(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-17
(45)【発行日】2024-07-25
(54)【発明の名称】音叉型水晶振動子
(51)【国際特許分類】
H03H 9/19 20060101AFI20240718BHJP
H03H 3/02 20060101ALI20240718BHJP
H03H 9/215 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
H03H9/19 J
H03H3/02 B
H03H9/215
(21)【出願番号】P 2021023145
(22)【出願日】2021-02-17
【審査請求日】2023-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000232483
【氏名又は名称】日本電波工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】桑原 貴之
【審査官】石田 昌敏
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-146597(JP,A)
【文献】特開2014-022965(JP,A)
【文献】特開2015-008351(JP,A)
【文献】特開2014-027505(JP,A)
【文献】特開2019-165357(JP,A)
【文献】国際公開第2008/117891(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H 9/00- 9/74
H03H 3/007-3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部と、前記基部から互いに平行に延びている第1及び第2の振動腕と、これら振動腕の間に前記基部から延びている支持腕と、前記第1及び第2の振動腕に配置された第1の励振用電極及び第2の励振用電極と、これら第1の励振用電極及び第2の励振用電極を外部と接続するため、前記支持腕の先端側に設けた第1の接続パッド及び前記支持腕の前記基部側に設けた第2の接続パッドと、前記支持腕の長手方向途中に幅方向に沿って両側から設けた少なくとも1対の切欠きと、を具える音叉型水晶振動子において、
前記1対の切欠きのうち
の、水晶の結晶軸の-X側に位置する切欠きを、当該支持腕の厚さ方向に向かって
2段の段差状となった切欠きとしてあり、
前記2段の段差状となった切欠きは、水晶のX面に当たる面を見たとき、水晶のR面と水晶のr面とが、水晶のY′軸に沿って連なる結晶面構造を含み、かつ、水晶のZ軸方向に沿って垂壁が非連続で散在する結晶面構造を含むものであることを特徴とする音叉型水晶振動子。
【請求項2】
基部と、前記基部から互いに平行に延びている第1及び第2の振動腕と、これら振動腕の間に前記基部から延びている支持腕と、前記第1及び第2の振動腕に配置された第1の励振用電極及び第2の励振用電極と、これら第1の励振用電極及び第2の励振用電極を外部と接続するため、前記支持腕の先端側に設けた第1の接続パッド及び前記支持腕の前記基部側に設けた第2の接続パッドと、前記支持腕の長手方向途中に幅方向に沿って両側から設けた少なくとも1対の切欠きであっ
て、水晶の結晶軸の-X側に位置する切欠きは当該支持腕の厚さ方向に向かって
2段の段差状となった切欠きとなっている1対の切欠きと、を具える音叉型水晶振動子を製造するに当たり、
水晶ウエハに、前記基部、前記第1及び第2の振動腕、前記支持腕並びに前記1対の切欠きの1段目の切欠きから成る当該音叉型水晶振動子の外形を形成する第1エッチング工程と、
前記第1エッチング工程が済んだ水晶ウエハに、
前記2段の段差状となった切欠きの2段目の切欠きを形成するため、
当該2段目の切欠きの平面的な大きさを、前記1段目の切欠きより大きくする第2エッチング工程と、
前記第2エッチング工程が済んだ水晶ウエハ全面に金属膜を形成する工程と、
前記金属膜をパターニングして、前記第1の励振用電極及び第2の励振用電極と、前記第1の接続パッド及び第2の接続パッドを形成する工程と、
を含むことを特徴とする音叉型水晶振動子の製造方法。
【請求項3】
当該音叉型水晶振動子は、前記第1の振動腕及び第2の振動腕各々に、溝を備え、前記第2エッチング工程は、前記溝を形成するエッチング工程を兼ねるものとすることを特徴とする請求項
2に記載の音叉型水晶振動子の製造方法。
以 上
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3本腕構造の音叉型水晶振動子に関する。
【背景技術】
【0002】
小型化に有利な音叉型水晶振動子として、いわゆる3本腕構造の音叉型水晶振動子がある。3本腕構造の音叉型水晶振動子の一例が、例えば特許文献1に開示されている。
図6はこの音叉型水晶振動子10の概要を説明する図である。特に
図6(A)は、この音叉型水晶振動子10を配線の展開図の体裁で示した平面図、
図6(B)は、音叉型水晶振動子10の、
図6(A)中のP-P線に沿った断面図である。
図6中に示したX,Y′、Zは、水晶の結晶軸であるX軸、Y′軸、Z軸である。なお、Y′軸とは、音叉の設計に起因して決まる所定の切断角度分、本来のY軸からずれていることを示している。
【0003】
この音叉型水晶振動子10は、基部11と、第1の振動腕13a及び第2の振動腕13bと、支持腕15と、溝13c(
図6(B)のみで図示)と、第1の励振用電極17a及び第2の励振用電極17bと、を具えている。
第1の振動腕13a及び第2の振動腕13bは、基部11から互いに平行に延びている。支持腕15は、第1の振動腕13aと、第2の振動腕13bとの間に、基部11から、これら振動腕13a、13bに平行な状態で延びている。溝13cは、第1の振動腕13a、第2の振動腕13b各々の表裏両面に、所定の深さで設けてある。溝13cは、振動腕13a、13bに駆動信号の電界を効率的に印加するためのものである。
【0004】
第1の励振用電極17a及び第2の励振用電極17bは、各振動腕13a、13baの合計8個の面に、所定関係で引き回してある。しかも、第1の励振用電極17a及び第2の励振用電極17bの一部を、支持腕15に引き回してあり、この引き回した部分の一部分が、パッケージ(図示せず)と接続するための第1の接続パッド17ax、第2の接続パッド17bxとなっている。
【0005】
また、支持腕15の長手方向の途中に、支持腕15の幅方向に沿って支持腕の両側から一対の切欠き15c、15dを設けてある。特許文献1の段落68,70,71、74等に、切欠き15c、15dの機能が記載されている。
すなわち、励振用電極17a,17bや接続パッド17ax、17bxを形成する場合、音叉の外形形成が済んだウエハ全面に金属膜を形成し、そのウエハにレジストを塗布し、このレジストを所定のホトマスクを介して露光し現像してレジストパタンを得る。そして、金属膜の、レジストパタンで覆われていない部分を、除去して、上記励振用電極や接続パッドを形成する。ところが、支持腕の側面のレジストは露光されにくいため、支持腕側面の金属膜は除去できず残存し易い。支持腕側面に金属膜が残存した場合は、第1の接続パッド17axと第2の接続パッド17bxとを、分割できない。しかし、切欠き15c、15dを設けてあると、切欠きの箇所に斜面が生じるためレジストは露光がされ易くなるため、上記短絡を防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載されている切欠きは、支持腕側面における金属膜の短絡を防止する効果を示すが、それでも改善の余地はまだある。
この出願はこの点に着目してなされたものであり、従ってこの発明の目的は、3本腕構造の音叉型水晶振動子の支持腕における電極分割が従来に比べ確実にできる新規な構造とその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的の達成を図るため、この発明の音叉型水晶振動子は、基部と、前記基部から互いに平行に延びている第1及び第2の振動腕と、これら振動腕の間に前記基部から延びている支持腕と、前記第1及び第2の振動腕に配置された第1の励振用電極及び第2の励振用電極と、これら第1の励振用電極及び第2の励振用電極を外部と接続するため、前記支持腕の先端側に設けた第1の接続パッド及び前記支持腕の前記基部側に設けた第2の接続パッドと、前記支持腕の長手方向途中に幅方向に沿って両側から設けた少なくとも1対の切欠きと、を具える音叉型水晶振動子において、
前記1対の切欠きのうちの、少なくとも水晶の結晶軸の-X側に位置する切欠きを、当該支持腕の厚さ方向に向かって2段以上の段差状となった複数段の切欠きとしてあることを特徴とするものである。
【0009】
この音叉型水晶振動子の発明を実施するに当たり、前記複数段の切欠きは、水晶のX面に当たる面を見たとき、水晶のR面と水晶のr面とが、水晶のY′軸に沿って連なる結晶面構造を含むものであることが好ましい。
この音叉型水晶振動子の発明を実施するに当たり、前記複数段の切欠きは、水晶のX面に当たる面を水晶のZ軸方向に沿って見たとき、垂壁が非連続で散在する結晶面構造を含むものであることが好ましい。
上記のいずれの結晶面構造も、音叉型水晶振動子の側面に生じる垂壁の面積を減少させる効果を生むので、露光されにくい面を減少できるため、電極間短絡の危険性を低減できる。
【0010】
また、この発明の音叉型水晶振動子の製造方法は、基部と、前記基部から互いに平行に延びている第1及び第2の振動腕と、これら振動腕の間に前記基部から延びている支持腕と、前記第1及び第2の振動腕に配置された第1の励振用電極及び第2の励振用電極と、これら第1の励振用電極及び第2の励振用電極を外部と接続するため、前記支持腕の先端側に設けた第1の接続パッド及び前記支持腕の前記基部側に設けた第2の接続パッドと、前記支持腕の長手方向途中に幅方向に沿って両側から設けた少なくとも1対の切欠きであって、少なくとも水晶の結晶軸の-X側に位置する切欠きは当該支持腕の厚さ方向に向かって2段以上の段差状となった複数段の切欠きとなっている1対の切欠きと、を具える音叉型水晶振動子を製造するに当たり、
水晶ウエハに、前記基部、前記第1及び第2の振動腕、前記支持腕並びに前記複数段の切欠きの1段目の切欠きから成る当該音叉型水晶振動子の外形を形成する第1エッチング工程と、
前記第1エッチング工程が済んだ水晶ウエハに、前記複数段の切欠きの2段目の切欠きを形成する第2エッチング工程と、
前記第2エッチング工程が済んだ水晶ウエハ全面に金属膜を形成する工程と、
前記金属膜をパターニングして、前記第1の励振用電極及び第2の励振用電極と、前記第1の接続パッド及び第2の接続パッドを形成する工程と、
を含むことを特徴とする。
【0011】
この音叉型水晶振動子の製造方法を実施するに当たり、前記2段目の切欠きの平面的な大きさは、前記1段目の切欠きより大きくすることが好ましい。
【0012】
この音叉型水晶振動子の製造方法を実施するに当たり、当該音叉型水晶振動子は、前記第1の振動腕及び第2の振動腕各々に、溝を備え、前記第2エッチング工程は、前記溝を形成するエッチング工程を兼ねるものとすることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
音叉型水晶振動子の分野では小型化や複雑化が著しい。そのため、音叉型水晶振動子を製造する際は、フォトリソグラフィ技術及びウエットエッチングが使用される。従って、ウエットエッチングに対する水晶の結晶異方性が顕著になり、外形エッチングが済んだ音叉の特に水晶の-X面に当たる部分が垂壁になり、露光光が当たりにくくなる。これに対し、この発明の音叉型水晶振動子の場合、1対の切欠きのうちの少なくとも水晶の結晶軸の-X側に位置する切欠きを、複数段の切欠きとしてあるため、単純な切欠きを設ける場合に比べ、垂壁を減少でき、切欠きでの露光を促進できる。このため、第1の接続パッドと第2の接続パッドとの短絡を、従来に比べ、低減できる。
また、この発明の音叉型水晶振動子の製造方法によれば、複数段の切欠きを容易に製造できるため、複数段の切欠きを備えた音叉型水晶振動子を容易に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、実施形態の音叉型水晶振動子100の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照してこの発明の音叉型水晶振動子及びその製造方法の実施形態について説明する。なお、説明に用いる各図はこれらの発明を理解できる程度に概略的に示してあるにすぎない。また、説明に用いる各図において、また従来図に対して同様な構成成分については同一の番号を付して示し、その説明を省略する場合もある。また、以下の説明中で述べる形状、寸法、材質等はこの発明の範囲内の好適例に過ぎない。従って、本発明は以下の実施形態のみに限定されるものではない。
【0016】
1.音叉型水晶振動子の構造
図1は、実施形態の音叉型水晶振動子100の説明図であり、特に(A)図はその平面図、(B)図は(A)図のP-P線に沿った断面図である。
実施形態の音叉型水晶振動子100は、基部11と、第1の振動腕13a及び第2の振動腕13bと、支持腕15と、溝13c((B)図のみで図示)と、第1の励振用電極17a及び第2の励振用電極17bと、第1の接続パッド17ax及び第2の接続パッド17bxとを具えている。これらは構成成分は、
図6を用いて説明した既知の音叉型水晶振動子のものと同様であるので、その説明は省略する。
【0017】
実施形態の音叉型水晶振動子100において特徴となるものは、支持腕15に設けた1対の切欠き101、15dのうち水晶のX軸の-X側に当たる位置にする切欠き101である。すなわち、支持腕15に設けた切欠きのうち水晶のX軸の-X側に当たる位置にする切欠き101は、支持腕15の厚さ方向、すなわち水晶のZ軸方向に向かって2段以上の段差状となった複数段の切欠き101としてあることが特徴である。
複数段の切欠き101での切欠きの段数は、2段以上の任意で良いが、本発明の目的や製造の容易さを考量すれば、2段又は3段が好ましい。実施形態の場合は、複数段の切欠き101は、1段目の切欠き101aと2段目の切欠き101bとの2段構成としてある。また、この実施形態の場合、水晶の+X側に位置する切欠きは、従来と同様に通常の切欠き15dとしてあるが、水晶の+X側に位置する切欠きも、複数段の切欠き101で構成する場合があっても良い。
【0018】
また、この実施形態の場合、複数段の切欠き101と切欠き15dとは、X方向に直線状に並ぶように支持腕15に設けているが、複数段の切欠き101と切欠き15dとを、Y′方向に沿ってずらして設ける場合があっても良い。また、切欠きは1対以上設ける場合があっても良い。
また、
図1に示した例では、複数段の切欠きの平面形状を、1段目が右向き三角形状、2段目が左空きのコの字形状としてあるが、平面形状は、短絡防止効果が図り易い任意の形状に変更できる。
【0019】
2.実施例及び比較例
次に、実施例及び比較例により、本発明の音叉型水晶振動子における複数段の切欠き101について詳細に説明する。
図2は実施例の説明図である。具体的には、
図2(A)は、本発明の思想に従い試作した音叉型水晶振動子の支持腕15の1対の切欠きの部分に着目して、上方から撮影したSEM写真である。
図2(B)は、複数段の切欠き101に着目して側面から撮影したSEM写真であって、各面の状態や結晶面を補足をしたものである。
図2(C)は、複数段の切欠き101に着目して上方から撮影したSEM写真であって、各面の状態や結晶面を補足をしたものである
図3は比較例の説明図である。具体的には、複数段の切欠きを設けない従来の音叉型水晶振動子の支持腕15の切欠き15c、15dに着目して上方から撮影したSEM写真である。
図3(B)は、切欠き15cに着目して側面から撮影したSEM写真であって、各面の状態や結晶面をしたものである。
図3(C)は、切欠き15cに着目して上方から撮影したSEM写真であって、各面の状態や結晶面を補足をしたものである。
【0020】
図2及び
図3を比較することで明らかなように、実施例と比較例とでは、垂壁Vの位置、形状および面積に違いがあり、然も、水晶のr面及び水晶のR面の配置や形状に違いがあることが分かる。以下、具体的に説明する。
図2(A)~(C)のSEM写真及び結晶面の補足から理解できるように、実施例の音叉型水晶振動子の複数段の切欠き101の場合は、垂壁Vは、連続する面積が比較的狭く、かつ、散在していることが分かる。しかも、特に、
図2(C)から理解できるように、水晶のr面およびR面は、水晶のY′軸方向に連なる結晶面構造を有していることが分かる。
すなわち、複数段の切欠き101は、水晶のX面に当たる面を水晶のZ軸方向に沿って見たとき、垂壁Vが非連続で散在する結晶面構造を含むものとなっている。従って、本発明に係る複数段の切欠き101によれば、露光されにくい垂壁の面積を減少でき、かつ、連続性を低減できる効果が得られる。
これに対し、比較例の場合は、
図3(A)~(C)のSEM写真及び結晶面の補足から理解できるように、特に、
図3(C)から理解できるように、垂壁Vは、支持腕15の側面を支持腕の表裏に渡って広い面積で存在している。しかも、水晶のr面およびR面は、垂壁Vによって分断されて、互いに離れた位置に存在していて、かつ、面積も比較的狭い。
【0021】
支持腕の側面において、垂壁が連続したり、垂壁の面積が広いと、支持腕15の側面に金属膜が残存し易くなり、その分、第1の接続パッド17axと第2の接続パッド17bx(
図1参照)とが短絡する危険が増す。また、水晶のr面及びR面が散在したり、面積が狭いと、支持腕側面の斜面の面積が少なくなり、露光がされにくくなるから、支持腕15の側面に金属膜が残存し易くなり、その分、第1の接続パッド17axと第2の接続パッド17bx(
図1参照)とが短絡する危険が増す。
このような短絡のメカニズムを考えた場合、実施例の音叉型水晶振動子のような複数段の切欠き101の構造は、第1の接続パッド17axと第2の接続パッド17bx(
図1参照)との短絡不良の軽減に好ましいことが分かる。
【0022】
3.実製品の例
次に、この発明の理解を深めるための一例として、本発明の音叉型水晶振動子100を用いた実製品20の例を説明する。
図4はそのための図であり、特に
図4(A)は平面図、
図4(B)は
図4(A)中のP-P線断面図、
図4(C)は背面図である。
実製品20は、音叉片を収容する凹部21aを有したセラミック製容器21を用いた例である。凹部21aの底面に、容器側の接着パッド21bを具えている。容器21の外側底面に、外部実装端子21cを具えている。接着パッド21bと外部実装端子21cとは、図示しないビア配線によって接続されている。
音叉型水晶振動子100は、容器21に、支持腕15の第1の接着パッド17ax及び第2の接着パッド17bxと、容器側の接着パッド21bとの位置で、導電性接着剤23によって接続固定してある。容器21の天面に蓋部材25が接合されて、音叉型水晶振動子100を容器21内に封止してある。
【0023】
4.製造方法の実施形態
次に、この出願の製造方法の発明の実施形態について説明する。
図5(A)、(B)はそのための説明図である。
本願の音叉型水晶振動子の製造方法の発明では、先ず、
図5(A)に示したように、水晶ウエハW1に、上記の基部、第1及び第2の振動腕、支持腕並びに前記複数段の切欠きの1段目の切欠き101x、15xから成る当該音叉型水晶振動子の外形11aを形成する第1エッチング工程を実施する。具体的には、ウエハW1の全面に金属膜を形成し、次に、このウエハ上に、外形11aと桟となる部分とは被覆するレジストパタンを形成し、次いで、このレジストパタンをマスクとして金属膜を選択的にエッチングする。その後、このウエハをフッ酸系のエッチャントに浸漬して、外形11aに対応する音叉片がマトリクス状に配置されたウエハを得る。
【0024】
次に、
図5(B)に示したように、第1エッチングが済んだ水晶ウエハに、前記複数段の切欠きの2段目の切欠きを形成する第2エッチング工程を実施する。具体的には、第1エッチングが済んだ水晶ウエハW2に、その残存する金属膜の2段目の切欠きに当たる領域を露出する窓101yを有したレジストパタンを形成し、その後、このウエハをフッ酸系のエッチャントに浸漬する。この工程は、振動腕に溝を形成するための窓13caを形成する工程と併せて行うことが好ましく、この実施形態ではそうしている。第2エッチング工程が済むと、
図1、
図2等に示した複数段の切欠き101を有した音叉型水晶片の要部が完成する。なお、第2段目の切欠きを形成するためのパタンは、第1の切欠きより少なくとも水晶のX軸方向においては平面的に大きい方が好ましい。
次に、第2エッチング工程が済んだ水晶ウエハ全面に励振用電極形成用の金属膜を形成し、次いで、この金属膜をパターニングして、第1の励振用電極及び第2の励振用電極と、第1の接続パッド及び第2の接続パッドを形成する。
上記した実施形態の製造方法によれば、複数段の切欠き101を容易に形成できる。しかも、振動腕の溝を形成する工程で同時に形成できるので、好ましい。
【符号の説明】
【0025】
100:実施形態の音叉型水晶振動子 11:基部
13a:第1の振動腕 13b:第2の振動腕
13c:溝 15:支持腕
17a:第1の励振用電極 17b:第2の励振用電極
17ax:第1の接続パッド 17bx:第2の接続パッド
101:15c:1対の切欠き 101:複数段の切欠き
V:垂壁 r:水晶のr面
R:水晶のR面