(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-17
(45)【発行日】2024-07-25
(54)【発明の名称】内燃機関用点火コイル
(51)【国際特許分類】
F02P 15/00 20060101AFI20240718BHJP
H01F 38/12 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
F02P15/00 303G
F02P15/00 301D
F02P15/00 303A
F02P15/00 303E
H01F38/12 G
H01F38/12 F
(21)【出願番号】P 2021049164
(22)【出願日】2021-03-23
【審査請求日】2023-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000217491
【氏名又は名称】ダイヤゼブラ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135013
【氏名又は名称】西田 隆美
(72)【発明者】
【氏名】足立 宏平
(72)【発明者】
【氏名】山村 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】河口 栄二
【審査官】津田 真吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-21794(JP,A)
【文献】特開2020-56362(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02P 15/00
H01F 38/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関用点火コイルであって、
1次コイルと2次コイルとを有するコイルアセンブリと、
前記2次コイルと電気的に接続されるリード端子と、
内燃機関の燃焼室で着火動作を実現する点火プラグに、電気的に接続されつつ、イグニッションノイズを低減させる雑防抵抗と、
前記コイルアセンブリ、前記リード端子、および前記雑防抵抗を収容するケースと、
を有し、
前記ケースの内部空間は、
前記コイルアセンブリおよび前記リード端子を収容する第1空間と、
前記第1空間と連続し、前記雑防抵抗を収容する第2空間と、
を含み、
前記ケースは、
前記第1空間へ向けて突出する一対のガイド部
を有し、
前記雑防抵抗が前記ケースに収容された状態で、前記コイルアセンブリおよび前記リード端子が前記ケースに収容されるときに、前記リード端子は、前記一対のガイド部の間隙を通り、かつ、前記雑防抵抗のうち前記第1空間へ露出する露出面に接触する、内燃機関用点火コイル。
【請求項2】
請求項1に記載の内燃機関用点火コイルであって、
前記一対のガイド部の間隙の幅は、前記露出面の幅よりも小さい、内燃機関用点火コイル。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の内燃機関用点火コイルであって、
前記リード端子の材料は真鍮である、内燃機関用点火コイル。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の内燃機関用点火コイルであって、
前記コイルアセンブリは、
1次ボビンに1次導線が巻回中心軸を中心として周方向に巻回されることにより形成された前記1次コイルと、2次ボビンに2次導線が前記巻回中心軸を中心として周方向に巻回されることにより形成された前記2次コイルと、前記1次コイルと前記2次コイルとを電磁結合する鉄心と、
を有し、
前記コイルアセンブリ、前記リード端子、および前記雑防抵抗が前記ケースに収容された状態において、前記リード端子は、前記巻回中心軸に沿って延伸しつつ、前記2次導線に直接的または間接的に固定される手前側から、前記手前側とは反対側の先端側へ向かうにつれて、前記雑防抵抗に近づく方向に傾斜する、内燃機関用点火コイル。
【請求項5】
内燃機関用点火コイルであって、
1次コイルと2次コイルとを有するコイルアセンブリと、
前記2次コイルと電気的に接続されるリード端子と、
内燃機関の燃焼室で着火動作を実現する点火プラグに、電気的に接続されつつ、イグニッションノイズを低減させる雑防抵抗と、
前記コイルアセンブリ、前記リード端子、および前記雑防抵抗を収容するケースと、
を有し、
前記ケースの内部空間は、
前記コイルアセンブリおよび前記リード端子を収容する第1空間と、
前記第1空間と連続し、前記雑防抵抗を収容する第2空間と、
を含み、
前記ケースは、
前記第1空間へ向けて突出する一対のガイド部
を有し、
前記コイルアセンブリ、前記リード端子、および前記雑防抵抗が前記ケースに収容された状態において、前記リード端子は、前記一対のガイド部の間隙を通り、かつ、前記雑防抵抗のうち前記第1空間へ露出する露出面に接触し、
前記コイルアセンブリは、
1次ボビンに1次導線が巻回中心軸を中心として周方向に巻回されることにより形成された前記1次コイルと、2次ボビンに2次導線が前記巻回中心軸を中心として周方向に巻回されることにより形成された前記2次コイルと、前記1次コイルと前記2次コイルとを電磁結合する鉄心と、
を有し、
前記コイルアセンブリ、前記リード端子、および前記雑防抵抗が前記ケースに収容された状態において、前記リード端子は、前記巻回中心軸に沿って延伸しつつ、前記2次導線に直接的または間接的に固定される手前側から、前記手前側とは反対側の先端側へ向かうにつれて、前記雑防抵抗に近づく方向に傾斜し、
前記リード端子は、
前記手前側の端部と、前記先端側の端部と、の間において屈曲する段差部
を有し
、
前記段差部は、前記手前側から前記先端側へ向かうにつれて前記雑防抵抗に近づく方向に屈曲し、前記リード端子は、前記段差部よりも前記先端側において、前記一対のガイド部の間隙を通り、かつ、前記露出面に接触する、内燃機関用点火コイル。
【請求項6】
請求項5に記載の内燃機関用点火コイルであって、
前記リード端子は、前記段差部よりも前記先端側において、V字型形状を有し、
前記雑防抵抗が前記ケースに収容された状態で、前記コイルアセンブリおよび前記リード端子が前記ケースに収容されるときに、前記V字型形状の底部が、前記雑防抵抗のうち前記露出面に接触しつつ摺動する、内燃機関用点火コイル。
【請求項7】
請求項4に記載の内燃機関用点火コイルであって、
前記2次ボビンは、前記巻回中心軸に対して直交する方向に板状に拡がる係合部
を有し、
前記ケースは、
前記第1空間へ向けて板状に突出する位置決め部
をさらに有し、
前記コイルアセンブリおよび前記リード端子が前記ケースに収容された状態において、前記係合部は、前記位置決め部に係合する、内燃機関用点火コイル。
【請求項8】
請求項7に記載の内燃機関用点火コイルであって、
前記係合部が前記位置決め部に係合した状態において、前記係合部の前記巻回中心軸に沿って可動できる幅は、前記露出面の幅よりも小さい、内燃機関用点火コイル。
【請求項9】
請求項5に記載の内燃機関用点火コイルであって、
前記一対のガイド部の間隙の幅は、前記露出面の幅よりも小さい、内燃機関用点火コイル。
【請求項10】
請求項5または請求項9に記載の内燃機関用点火コイルであって、
前記リード端子の材料は真鍮である、内燃機関用点火コイル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関用点火コイルに関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関用点火コイルにおいては、コイルアセンブリで昇圧された電圧を、着火動作を行う点火プラグへ確実に伝えることが要求される。そのため、内燃機関用点火コイルを構成する部材間の電気的接続の信頼性が高いことが望まれる。
【0003】
ここで、コイルアセンブリと点火プラグとの間に、イグニッションノイズを低減させるための雑防抵抗を介在させることがある。コイルアセンブリにおける高電圧が発生する二次側コイルと点火プラグとの間に雑防抵抗が配置された構造については、例えば、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の内燃機関用点火コイルにおいては、高電圧が発生する二次側コイル(13)の一端部に、端末ピン(14)の一端が電気接続される。端末ピン(14)は、硬質の導電金属部材である(段落0016)。一方、点火プラグ側に設けられた点火コイルケース(10)を構成する高圧タワー部(20)の内部には、高圧端子(16,17)が設置固定され、当該高圧端子(16,17)には、雑防抵抗(18)の両端に備えられた抵抗電極(18a,18b)が接合(例えば嵌合)固定される。雑防抵抗(18)は、柱状に形成された固定抵抗器であり、抵抗電極(18a,18b)は、冠状の導電部材からなる(段落0017)。また、高圧端子(16)は、雑防抵抗(18)よりも大きな径を有する(
図1ほか)。上記の端末ピン(14)の他端は、高圧端子(16)に電気接続される。
【0006】
しかしながら、二次側コイル(13)と雑防抵抗(18)との間に高圧端子(16)を介在させると、製造コストが増大する虞がある。そこで、製造コストを抑えるために、高圧端子を介在させず、例えば、二次側コイルに固定された上記の端末ピンと雑防抵抗とを直接的に接続することが考えられる。しかしながら、雑防抵抗は小径であるため、端末ピンの形状をそのまま維持した状態で、雑防抵抗に電気的に接続し、かつ、接続状態を良好に維持することは難しい。
【0007】
本発明の目的は、二次側コイルと雑防抵抗との間に高圧端子を配置することなく、これらを電気的に接続することができる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本願の第1発明は、内燃機関用点火コイルであって、1次コイルと2次コイルとを有するコイルアセンブリと、前記2次コイルと電気的に接続されるリード端子と、内燃機関の燃焼室で着火動作を実現する点火プラグに、電気的に接続されつつ、イグニッションノイズを低減させる雑防抵抗と、前記コイルアセンブリ、前記リード端子、および前記雑防抵抗を収容するケースと、を有し、前記ケースの内部空間は、前記コイルアセンブリおよび前記リード端子を収容する第1空間と、前記第1空間と連続し、前記雑防抵抗を収容する第2空間と、を含み、前記ケースは、前記第1空間へ向けて突出する一対のガイド部を有し、前記雑防抵抗が前記ケースに収容された状態で、前記コイルアセンブリおよび前記リード端子が前記ケースに収容されるときに、前記リード端子は、前記一対のガイド部の間隙を通り、かつ、前記雑防抵抗のうち前記第1空間へ露出する露出面に接触する。
【0009】
本願の第2発明は、第1発明の内燃機関用点火コイルであって、前記一対のガイド部の間隙の幅は、前記露出面の幅よりも小さい。
【0010】
本願の第3発明は、第1発明または第2発明の内燃機関用点火コイルであって、前記リード端子の材料は真鍮である。
【0011】
本願の第4発明は、第1発明から第3発明までのいずれか一つの内燃機関用点火コイルであって、前記コイルアセンブリは、1次ボビンに1次導線が巻回中心軸を中心として周方向に巻回されることにより形成された前記1次コイルと、2次ボビンに2次導線が前記巻回中心軸を中心として周方向に巻回されることにより形成された前記2次コイルと、前記1次コイルと前記2次コイルとを電磁結合する鉄心と、を有し、前記コイルアセンブリ、前記リード端子、および前記雑防抵抗が前記ケースに収容された状態において、前記リード端子は、前記巻回中心軸に沿って延伸しつつ、前記2次導線に直接的または間接的に固定される手前側から、前記手前側とは反対側の先端側へ向かうにつれて、前記雑防抵抗に近づく方向に傾斜する。
【0012】
本願の第5発明は、内燃機関用点火コイルであって、1次コイルと2次コイルとを有するコイルアセンブリと、前記2次コイルと電気的に接続されるリード端子と、内燃機関の燃焼室で着火動作を実現する点火プラグに、電気的に接続されつつ、イグニッションノイズを低減させる雑防抵抗と、前記コイルアセンブリ、前記リード端子、および前記雑防抵抗を収容するケースと、を有し、前記ケースの内部空間は、前記コイルアセンブリおよび前記リード端子を収容する第1空間と、前記第1空間と連続し、前記雑防抵抗を収容する第2空間と、を含み、前記ケースは、前記第1空間へ向けて突出する一対のガイド部を有し、前記コイルアセンブリ、前記リード端子、および前記雑防抵抗が前記ケースに収容された状態において、前記リード端子は、前記一対のガイド部の間隙を通り、かつ、前記雑防抵抗のうち前記第1空間へ露出する露出面に接触する。また、前記コイルアセンブリは、1次ボビンに1次導線が巻回中心軸を中心として周方向に巻回されることにより形成された前記1次コイルと、2次ボビンに2次導線が前記巻回中心軸を中心として周方向に巻回されることにより形成された前記2次コイルと、前記1次コイルと前記2次コイルとを電磁結合する鉄心と、を有し、前記コイルアセンブリ、前記リード端子、および前記雑防抵抗が前記ケースに収容された状態において、前記リード端子は、前記巻回中心軸に沿って延伸しつつ、前記2次導線に直接的または間接的に固定される手前側から、前記手前側とは反対側の先端側へ向かうにつれて、前記雑防抵抗に近づく方向に傾斜する。また、前記リード端子は、前記手前側の端部と、前記先端側の端部と、の間において屈曲する段差部を有し、前記段差部は、前記手前側から前記先端側へ向かうにつれて前記雑防抵抗に近づく方向に屈曲し、前記リード端子は、前記段差部よりも前記先端側において、前記一対のガイド部の間隙を通り、かつ、前記露出面に接触する。
【0013】
本願の第6発明は、第5発明の内燃機関用点火コイルであって、前記リード端子は、前記段差部よりも前記先端側において、V字型形状を有し、前記雑防抵抗が前記ケースに収容された状態で、前記コイルアセンブリおよび前記リード端子が前記ケースに収容されるときに、前記V字型形状の底部が、前記雑防抵抗のうち前記露出面に接触しつつ摺動する。
【0014】
本願の第7発明は、第4発明の内燃機関用点火コイルであって、前記2次ボビンは、前記巻回中心軸に対して直交する方向に板状に拡がる係合部を有し、前記ケースは、前記第1空間へ向けて板状に突出する位置決め部をさらに有し、前記コイルアセンブリおよび前記リード端子が前記ケースに収容された状態において、前記係合部は、前記位置決め部に係合する。
【0015】
本願の第8発明は、第7発明の内燃機関用点火コイルであって、前記係合部が前記位置決め部に係合した状態において、前記係合部の前記巻回中心軸に沿って可動できる幅は、前記露出面の幅よりも小さい。
【発明の効果】
【0016】
本願の第1発明~第8発明によれば、2次コイルに電気的に接続されるリード端子を、一対のガイド部の間隙に挿通させつつ、雑防抵抗の露出面に接触させる。これにより、リード端子が延伸方向に対して横方向にずれることが抑制される。この結果、2次コイルと雑防抵抗との間に高圧端子を介在させることなく、これらを電気的に接続することができる。
【0017】
特に、本願の第2発明によれば、リード端子が、一対のガイド部の間隙において若干横振れした場合でも、リード端子が露出面から外れることを抑制できる。
【0018】
特に、本願の第6発明によれば、リード端子の製造過程において発生し得る公差を吸収し、公差に起因する雑防抵抗との接触状態の悪化を抑制できる。
【0019】
特に、本願の第7発明によれば、コイルアセンブリおよびリード端子が、リード端子の延伸方向にずれることを抑制できる。
【0020】
特に、本願の第8発明によれば、係合部を含む2次ボビンが、巻回中心軸に沿って若干振れた場合でも、2次ボビンに固定されたリード端子が露出面から外れることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】第1実施形態に係る内燃機関用点火コイルの動作環境を模式的に示すブロック図である。
【
図2】第1実施形態に係るコイルアセンブリおよびリード端子の縦断面図である。
【
図3】第1実施形態に係る雑防抵抗およびケースの縦断面図である。
【
図4】第1実施形態に係るコイルアセンブリ、イグナイタ、リード端子、および雑防抵抗がケースに収容された状態の縦断面図である。
【
図5】第1実施形態に係るリード端子の概略図である。
【
図6】第1実施形態に係るケースの第1収容部および第2収容部の斜視図である。
【
図7】第1実施形態に係る一対のガイド部を、隣接方向および第2軸方向に対して垂直な方向から見た概略図である。
【
図8】第1実施形態に係るコイルアセンブリ、リード端子、および雑防抵抗がケースに収容された状態の部分縦断面図である。
【
図9】変形例に係るコイルアセンブリ、リード端子、および雑防抵抗がケースに収容された状態の部分縦断面図である。
【
図10】第1実施形態に係るコイルアセンブリ、リード端子、および雑防抵抗がケースに収容された状態の部分縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0023】
<1.第1実施形態>
<1-1.内燃機関用点火コイルの構成>
まず、本発明の第1実施形態となる内燃機関用点火コイル1の構成について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、第1実施形態に係る内燃機関用点火コイル1の動作環境を模式的に示すブロック図である。なお、後述のとおり、内燃機関用点火コイル1に含まれるコイルアセンブリ103の1次コイルL1と2次コイルL2とは、互いに積層される方向に配置されるが、
図1では、理解容易のため、これらを隣接させて図示している。
【0024】
本実施形態の内燃機関用点火コイル1は、例えば、自動車等の車両の車体100に搭載され、内燃機関用の点火プラグ113に火花放電を発生させるための高電圧を印加する装置である。また、
図1に示すように、車体100には、内燃機関用点火コイル1に加え、点火プラグ113と、バッテリ102と、ECU105(Engine Control Unit)とが、備えられている。
【0025】
点火プラグ113は、内燃機関の燃焼室で着火動作を実現するための装置である。点火プラグ113は、コイルアセンブリ103の2次コイルL2の一方の端部822に、リード端子106および雑防抵抗107を介して電気的に接続される。コイルアセンブリ103の2次コイルL2に高電圧が誘起されると、点火プラグ113のギャップdにおいて放電が起こり、火花が発生する。これにより、内燃機関に充填された燃料に点火される。
【0026】
バッテリ102は、直流電力を充放電可能な電源装置(蓄電池)である。本実施形態では、バッテリ102は、コイルアセンブリ103の後述する1次コイルL1およびイグナイタ104と、電気的に接続される。バッテリ102は、コイルアセンブリ103の1次コイルL1およびイグナイタ104に、直流電圧を供給する。
【0027】
ECU105は、車体100のトランスミッションやエアバックの作動等を総合的に制御する既存のコンピュータである。
【0028】
内燃機関用点火コイル1は、コイルアセンブリ103、イグナイタ104、リード端子106、雑防抵抗107、およびケース108(後述する
図3ほか参照)を含む。
【0029】
図2は、コイルアセンブリ103およびリード端子106の縦断面図である。
図2に示すように、コイルアセンブリ103は、ボビン40と、1次コイルL1と、2次コイルL2と、鉄心60とを有する。なお、以下のコイルアセンブリ103の説明においては、ボビン40の中心軸と平行な方向を「第1軸方向」、ボビン40の中心軸に直交する方向を「第1径方向」、ボビン40の中心軸を中心とする円弧に沿う方向を「第1周方向」、とそれぞれ称する。また、当該「平行な方向」とは、略平行な方向も含むものとし、当該「直交する方向」とは、略直交する方向も含むものとする。
【0030】
ボビン40は、互いに連結可能な1次ボビン41および2次ボビン42を含む。1次ボビン41および2次ボビン42はそれぞれ、第1軸方向に筒状に延びる。また、1次ボビン41の第1径方向の外側に、2次ボビン42が配置される。1次ボビン41および2次ボビン42の材料には、例えば、樹脂が用いられる。
【0031】
1次コイルL1は、1次ボビン41の外周面に導線(以下「1次導線81」と称する)が、上記のボビン40の中心軸と略一致する巻回中心軸Rcを中心として第1周方向に巻回されることによって形成される。1次コイルL1の形成が完了した後、1次コイルL1の外周面を覆うように、2次ボビン42が配置され、1次ボビン41に連結される。これにより、1次ボビン41と2次ボビン42との間の第1軸方向、第1径方向、または第1周方向のずれが抑制される。そして、2次ボビン42の外周面に、1次導線81とは別の2次導線82が、上記の巻回中心軸Rcを中心として第1周方向に巻回されることによって、2次コイルL2が形成される。このように、1次コイルL1と2次コイルL2とを互いに積層するように配置することによって、これらを含むコイルアセンブリ103全体を小型化できる。ただし、1次コイルL1と2次コイルL2とは、このように互いに積層されつつ巻回される場合のみでなく、
図1のように互いに隣接しつつ配置されてもよい。
【0032】
鉄心60は、中心鉄心601と後述する外周鉄心602とが組み合わさった構造を有する。鉄心60の中心鉄心601および外周鉄心602はそれぞれ、例えば、珪素鋼板が積層された積層鋼板により形成される。中心鉄心601は、第1軸方向に延びる。また、中心鉄心601は、1次ボビン41の第1径方向の内側の空間410に挿通される。外周鉄心602は、中心鉄心601の軸方向の両端部を繋ぐ(後述する
図4参照)。これにより、鉄心60は、1次コイルL1と2次コイルL2とを電磁結合させる閉磁路構造を形成する。
【0033】
図1に示すように、1次コイルL1を形成する1次導線81の一方の端部811には、バッテリ102から延びる導線である電源線150が接続される。1次導線81の他方の端部812は、後述するイグナイタ104に接続される。イグナイタ104に制御されることによって、1次コイルL1の一方の端部811に、バッテリ102からの直流の低電圧が印加され、1次コイルL1に次第に増加する1次電流I1が流れ始める。
【0034】
2次コイルL2を形成する2次導線82の一方の端部822は、点火プラグ113に接続される。2次導線82の線径は、1次導線81の線径よりも小さい。また、2次コイルL2における2次導線82の巻数(例えば、10000回)は、1次コイルL1における1次導線81の巻数(例えば、100回)の100倍程度以上である。これにより、コイルアセンブリ103は、1次電流I1の遮断時に、バッテリ102から供給される直流の低電圧の電力を、数千ボルトにまで昇圧する。すなわち、2次コイルL2には高い電圧が誘起される。そして、2次コイルL2は、誘起された高電圧の電力を、リード端子106および雑防抵抗107を介して、点火プラグ113ヘと供給する。これにより、点火プラグ113において電気火花を発生させて燃料を点火させる。
【0035】
なお、
図1に示すように、本実施形態では、2次コイルL2のうち、点火プラグ113が接続される一方の端部822とは反対側の他方の端部821において、さらに電源線150へ向かって順方向となるダイオード114が、2次コイルL2と直列に接続される。これにより、次第に増加する1次電流I1により2次コイルL2に誘起される電圧による誘導電流が、点火プラグ113へ逆方向に流れることが防止される。
【0036】
イグナイタ104は、1次コイルL1に接続され、1次コイルL1に流れる電流を制御する半導体デバイスである。イグナイタ104には、イグナイタ104を起動させるため、上記のとおりバッテリ102から直流電圧が供給される。また、イグナイタ104は、ECU105と電気的に接続され、ECU105から信号(以下「EST信号」と称する)を受信する。イグナイタ104は、EST信号により、1次コイルL1に流れる電流の導通および遮断を制御するスイッチとしての役割を果たす。なお、イグナイタ104は、ECU105の電子回路と一体化されていてもよい。
【0037】
リード端子106は、導電性を有する硬質の細い棒状の部材である。本実施形態では、リード端子106を構成する材料として、真鍮が用いられる。ただし、リード端子106の材料は、これに限定されない。リード端子106の手前側の一方の端部91は、2次ボビン42に固定される。また、当該一方の端部91には、2次コイルL2を形成する2次導線82が巻き付けられ、例えば、図示を省略した半田付けによって固定される。これにより、リード端子106は、2次コイルL2の2次導線82と直接的かつ電気的に接続される。ただし、リード端子106は、別途設けられた部材を介して、2次導線82に間接的に固定されてもよい。また、リード端子106は、一方の端部91が2次ボビン42上に配置されつつ、先端側へ向かってコイルアセンブリ103の巻回中心軸Rcに沿って延伸する。リード端子106のより詳細な構造については、後述する。
【0038】
雑防抵抗107は、内燃機関用点火コイル1内のイグニッションノイズを低減させるための部材である。上記のとおり、雑防抵抗107は、点火プラグ113に電気的に接続される。
図3は、雑防抵抗107およびケース108(後述するコネクタ部63および蓋部64を除く)の縦断面図である。
図3に示すように、雑防抵抗107は、略円柱形状を有する。
【0039】
ケース108は、コイルアセンブリ103、イグナイタ104、リード端子106、および雑防抵抗107を収容するための樹脂製の容器である。
図4は、コイルアセンブリ103、イグナイタ104、リード端子106、および雑防抵抗107がケース108に収容された状態の縦断面図である。
図4に示すように、ケース108は、第1収容部61、第2収容部62、コネクタ部63、および蓋部64を有する。なお、以下のケース108の説明においては、
図4の第1収容部61と第2収容部62とが隣接する方向を「第2軸方向」、第1収容部61および第2収容部62の中心軸に直交する方向を「第2径方向」、第1収容部61および第2収容部62の中心軸を中心とする円弧に沿う方向を「第2周方向」、とそれぞれ称する。また、当該「平行な方向」とは、略平行な方向も含むものとし、当該「直交する方向」とは、略直交する方向も含むものとする。
【0040】
第1収容部61は、第1円筒部611と第1底面部612とを有する。第1円筒部611は、第2軸方向に沿って筒状に延びる。第1底面部612は、第1円筒部611の一端からさらに当該一端側へ向かうにつれて徐々に収束する漏斗形状かつ環形状を有する。ケース108の内部空間のうち当該第1収容部61の内部空間である第1空間610には、コイルアセンブリ103およびリード端子106が収容される。また、第1円筒部611と第1底面部612との境界付近には、第1空間610に向けて突出する直方体形状の2つの支持部613が形成されている。
【0041】
第2収容部62は、第1底面部612の一端から、さらに当該一端側へ第2軸方向に円筒状に延びる。ケース108の内部空間のうち当該第2収容部62の内部空間である第2空間620は、上記の第1空間610と連続する。第2空間620には、雑防抵抗107が収容される。
【0042】
また、第2収容部62は、内面突出部621を有する。内面突出部621は、第2収容部62のうち第2軸方向の一部において全周に亘って第2径方向の内側へ突出する。雑防抵抗107は、雑防抵抗107の長尺方向が第2軸方向を向くように、内面突出部621の第2径方向の内側に挿入され、圧入により固定される。また、雑防抵抗107が圧入により固定された状態において、雑防抵抗107は、第2収容部62の中心軸を通りつつ、第2軸方向に延びる。なお、雑防抵抗107は、第1空間610にコイルアセンブリ103およびリード端子106が収容される前に、予め第2空間620に収容される。また、雑防抵抗107のうち第2軸方向の端面は、第1空間610へ露出する露出面50となっている。
【0043】
上記のとおり、第1空間610には、コイルアセンブリ103が収容される。
図4に示すように、コイルアセンブリ103は、コイルアセンブリ103の第1軸方向が、ケース108の第2径方向を向いた状態で、第1空間610に収容される。このとき、コイルアセンブリ103の1次ボビン41が、支持部613に接触する。これにより、コイルアセンブリ103が、第2軸方向に位置決めされつつ、支持される。
【0044】
さらに、コイルアセンブリ103の隣には、イグナイタ104が配置される。上記のとおり、イグナイタ104は、1次導線81の他方の端部812に電気的に接続される。さらに、第1収容部61の側部には、コネクタ部63が接続される。イグナイタ104から延びる配線や、1次導線81から延びる電源線150は、コネクタ部63の内部を介して内燃機関用点火コイル1の外部まで引き出され、ECU105やバッテリ102に接続される。
【0045】
また、第1収容部61の内側の第1空間610に収容されたコイルアセンブリ103を覆うように、U字形状の蓋部64が被せられる。蓋部64は、底部(後述するキャップ641および外周鉄心602の一部)を露出しつつ、第1収容部61の奥まで挿入される。蓋部64は、1次ボビン41および中心鉄心601を、上記の2つの支持部613へ向けて第2軸方向に押圧する。これにより、1次ボビン41および中心鉄心601の第2軸方向の動きが制限される。
【0046】
蓋部64は、外周鉄心602、キャップ641、およびカバー642を有する。上記のとおり、外周鉄心602は、蓋部64の一部を構成するとともに、コイルアセンブリ103の鉄心60の一部を構成する。蓋部64が第1収容部61の奥まで挿入された状態で、外周鉄心602は、2次ボビン42および2次導線82よりも径方向外側を通り、中心鉄心601の軸方向の両端部を繋ぐ。これにより、鉄心60は、1次コイルL1と2次コイルL2とを電磁結合させる閉磁路構造を形成する。
【0047】
キャップ641は、外周鉄心602のうち第1収容部61から露出している部分を覆うことによって、外周鉄心602を保護するための部材である。キャップ641の材料には、例えば、耐久性に優れた樹脂である、PBT、PPS、またはPETが用いられる。また、カバー642は、外周鉄心602のうちイグナイタ104と対向する面等を覆う。カバー642の材料には、例えば、エラストマーが用いられる。
【0048】
<1-2.リード端子およびケースの詳細な構造>
続いて、リード端子106およびケース108のさらに詳細な構造について説明する。
【0049】
上記のとおり、リード端子106の手前側の一方の端部91は、2次ボビン42に固定される。また、当該一方の端部91には、2次コイルL2を形成する2次導線82が巻き付けられ、例えば、半田付けによって固定される。また、コイルアセンブリ103、リード端子106、および雑防抵抗107がケース108に収容された状態において、リード端子106は、巻回中心軸Rcに沿って延伸しつつ、2次導線82が固定される手前側の一方の端部91から、手前側とは反対側の先端側の他方の端部92へ向かうにつれて、雑防抵抗107に概ね近づく方向に傾斜する。
【0050】
図5は、リード端子106の概略図である。
図5に示すように、リード端子106は、手前側の端部91と、先端側の端部92との間において屈曲する、段差部93を有する。段差部93は、リード端子106の延伸方向の中央付近において屈曲する部位である。コイルアセンブリ103、リード端子106、および雑防抵抗107がケース108に収容された状態において、段差部93は、手前側の一方の端部91から、手前側とは反対側の先端側の他方の端部92へ向かうにつれて、他の部位よりもさらに、雑防抵抗107に近づく方向に傾斜する。
【0051】
リード端子106がこのような段差部93を有することにより、段差部93よりも手前側(一方の端部91側)の部位がケース108の第1底面部612と接触したり、段差部93よりも先端側(他方の端部92側)の部位がコイルアセンブリ103と接触して短絡したりすることを抑制できる。
【0052】
また、
図5に示すように、リード端子106は、段差部93よりも先端側(他方の端部92側)において、V字型形状94を有する。雑防抵抗107がケース108の第2空間620に収容された状態で、コイルアセンブリ103およびリード端子106がケース108に収容されるときに、V字型形状94の底部941は、雑防抵抗107の側を向く。そして、リード端子106の底部941を、雑防抵抗107の露出面50に接触させつつ容易に摺動させることができる。これにより、リード端子106の製造過程において発生し得る公差を吸収し、詳細を後述するとおり、当該公差に起因する雑防抵抗107との接触状態の悪化を抑制できる。
【0053】
図6は、ケース108の第1収容部61および第2収容部62の斜視図である。
図6に示すように、第1収容部61の第1底面部612には、一対のガイド部65が設けられている。一対のガイド部65は、第1空間610へ向けて突出する。ただし、一対のガイド部65が設けられる位置は、第1底面部612には限定されない。一対のガイド部65は、ケース108の少なくとも一部において、第1空間610へ向けて突出するように設けられていればよい。
【0054】
図7は、一対のガイド部65を、一対のガイド部65を構成するガイド片651,652の隣接方向D2に対して垂直、かつ、第2軸方向に対して垂直な方向から見た概略図である。なお、
図7では、一対のガイド部65の間隙D1を通るリード端子106を、1点鎖線にて図示している。コイルアセンブリ103、リード端子106、および雑防抵抗107がケース108に収容された状態において、リード端子106は、一対のガイド部65の間隙D1を通り、雑防抵抗107の露出面50に接触する。これにより、リード端子106が、一対のガイド部65を構成するガイド片651,652の隣接方向D2、すなわち、巻回中心軸Rcおよびリード端子106の延伸方向に対して横方向にずれることが抑制される。
【0055】
また、本実施形態では、コイルアセンブリ103、リード端子106、および雑防抵抗107がケース108に収容された状態において、リード端子106は、段差部93よりも先端側(他方の端部92側)の部位において、一対のガイド部65の間隙D1を通り、雑防抵抗107の露出面50に接触する。これにより、リード端子106が、巻回中心軸Rcおよびリード端子106の延伸方向に対して横方向にずれることが、さらに抑制される。
【0056】
また、本実施形態では、一対のガイド部65の間隙D1の幅は、露出面50の幅よりも小さい。これにより、リード端子106が、一対のガイド部65の間隙D1において若干横振れした場合でも、リード端子106の先端側(他方の端部92側)の部位が、露出面50から外れることが抑制される。
【0057】
図7に示すように、一対のガイド部65を構成するガイド片651,652には、テーパ面653,654が形成されている。テーパ面653,654はそれぞれ、間隙D1の底部655へ近づく方向に傾斜する。本実施形態のテーパ面653,654の角度は、第2軸方向に対して、45°程度である。このようなテーパ面653,654を設けることにより、コイルアセンブリ103およびリード端子106をケース108の第1空間610に収容する際に、リード端子106を一対のガイド部65の間隙D1に容易に挿入することができる。
【0058】
上記のとおり、雑防抵抗107は、第1空間610にコイルアセンブリ103およびリード端子106が収容される前に、予め第2空間620に収容される。
図8は、コイルアセンブリ103、リード端子106、および雑防抵抗107がケース108に収容された状態の部分縦断面図である。
図8に示すように、雑防抵抗107がケース108の第2空間620に収容された状態で、コイルアセンブリ103およびリード端子106がケース108の第1空間610に収容されるときに、リード端子106のV字型形状94の底部941が、雑防抵抗107の露出面50に接触しつつ矢印A1の方向に摺動する。
【0059】
ここで、リード端子106の製造過程において発生し得る公差として、リード端子106が若干短くなる場合と、若干長くなる場合とが想定される。リード端子106が若干短くなる場合は、上記のとおり、コイルアセンブリ103およびリード端子106がケース108の第1空間610に収容されるときに、リード端子106のV字型形状94の底部941が、雑防抵抗107の露出面50に接触しつつ矢印A1の方向に摺動し、コイルアセンブリ103およびリード端子106が第1空間610に完全に収容された後も、底部941が露出面50に接触した状態が維持される。すなわち、底部941が、露出面50との接点(第1接点)となる。これにより、リード端子106と雑防抵抗107、さらにはリード端子106が固定される2次コイルL2の2次導線82と雑防抵抗107とを電気的に接続し、かつ、接続状態を良好に維持することができる。
【0060】
一方、リード端子106の製造過程において発生し得る公差として、リード端子106が若干長くなる場合は、
図9の変形例に示すように、コイルアセンブリ103およびリード端子106がケース108の第1空間610に収容されるときに、リード端子106のV字型形状94の底部941が、雑防抵抗107の露出面50に接触しつつ矢印A1の方向に摺動し、底部941がさらに露出面50上を通り過ぎる。
【0061】
しかしながら、上記のとおり、リード端子106は、巻回中心軸Rcに沿って延伸しつつ、2次導線82が固定される手前側の一方の端部91から、手前側とは反対側の先端側の他方の端部92へ向かうにつれて、雑防抵抗107に概ね近づく方向に傾斜する。このため、底部941が露出面50上を通り過ぎた場合でも、リード端子106のうちの底部941よりも少し手前側(一方の端部91側)の部位が、露出面50の角部501と接触する。このため、コイルアセンブリ103およびリード端子106が第1空間610に完全に収容された後も、底部941よりも少し手前側(一方の端部91側)の部位が露出面50の角部501に接触した状態が維持される。すなわち、底部941よりも少し手前側(一方の端部91側)の部位が、露出面50との接点(第2接点)となる。これにより、リード端子106と雑防抵抗107、さらにはリード端子106が固定される2次コイルL2の2次導線82と雑防抵抗107とを電気的に接続し、かつ、接続状態を良好に維持することができる。
【0062】
図10は、コイルアセンブリ103、リード端子106、および雑防抵抗107がケース108に収容された状態の部分縦断面図である。
図10に示すように、本実施形態の2次ボビン42は、係合部421を有する。係合部421は、巻回中心軸Rcに対して直交する方向に板状に拡がる。また、
図10に示すように、本実施形態の第1底面部612には、さらに位置決め部66が設けられている。位置決め部66は、第1空間610へ向けて板状に突出する。ただし、位置決め部66が設けられる位置は、第1底面部612には限定されない。位置決め部66は、ケース108の少なくとも一部において、第1空間610へ向けて板状に突出するように設けられていればよい。
【0063】
コイルアセンブリ103、リード端子106、および雑防抵抗107がケース108に収容された状態において、2次ボビン42の係合部421は、位置決め部66に係合する。これにより、コイルアセンブリ103およびリード端子106が、位置決め部66を含むケース108に対して、巻回中心軸Rcに沿って第1軸方向にずれることが抑制される。
【0064】
また、本実施形態では、係合部421が位置決め部66に係合した状態において、係合部421が巻回中心軸Rcに沿って可動できる幅(係合部421と位置決め部66との間の第1軸方向の隙間)は、露出面50の幅よりも小さい。これにより、係合部421を含む2次ボビン42が、位置決め部66に対して第1軸方向に若干振れた場合でも、2次ボビン42に固定されたリード端子106の先端側(他方の端部92側)の部位が、露出面50から外れることが抑制される。
【0065】
以上の記載のとおり、本実施形態では、リード端子106およびケース108が上記の構成を有することにより、2次コイルL2の2次導線82と雑防抵抗107との間に高圧端子を介在させることなく、これらを電気的に接続し、かつ、接続状態を良好に維持することができる。また、リード端子106の製造過程において発生し得る公差を吸収し、当該公差に起因する雑防抵抗107との接触状態の悪化を抑制できる。
【0066】
<2.変形例>
以上、本発明の例示的な実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態には限定されない。
【0067】
本発明の内燃機関用点火コイルは、自動車等の車両のみならず、発電機等の様々な装置や産業機械に搭載されて、内燃機関の点火プラグに電気火花を発生させて燃料を点火させるために使用されるものであればよい。
【0068】
上記の内燃機関用点火コイルの細部の形状や構造は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜に変更してもよい。また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 内燃機関用点火コイル
40 ボビン
41 1次ボビン
42 2次ボビン
50 露出面
60 鉄心
61 第1収容部
62 第2収容部
65 ガイド部
66 位置決め部
81 1次導線
82 2次導線
91 (リード端子の手前側の一方の)端部
92 (リード端子の先端側の他方の)端部
93 段差部
94 V字型形状
103 コイルアセンブリ
106 リード端子
107 雑防抵抗
108 ケース
113 点火プラグ
421 係合部
610 第1空間
611 第1円筒部
612 第1底面部
620 第2空間
621 内面突出部
651 ガイド片
652 ガイド片
941 (V字型形状の)底部
D1 (一対のガイド部の)間隙
D2 (一対のガイド部の)隣接方向
L1 1次コイル
L2 2次コイル
Rc 巻回中心軸