(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-17
(45)【発行日】2024-07-25
(54)【発明の名称】端子、二次電池および端子の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/562 20210101AFI20240718BHJP
H01M 50/543 20210101ALI20240718BHJP
H01M 50/566 20210101ALI20240718BHJP
H01M 50/55 20210101ALI20240718BHJP
H01G 11/74 20130101ALI20240718BHJP
H01G 11/78 20130101ALI20240718BHJP
【FI】
H01M50/562
H01M50/543
H01M50/566
H01M50/55 101
H01G11/74
H01G11/78
(21)【出願番号】P 2021093605
(22)【出願日】2021-06-03
【審査請求日】2022-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100136423
【氏名又は名称】大井 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100130605
【氏名又は名称】天野 浩治
(72)【発明者】
【氏名】大畑 耕太
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 貴宏
【審査官】小川 進
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2006/016441(WO,A1)
【文献】中国実用新案第207038611(CN,U)
【文献】特開平08-203494(JP,A)
【文献】特開2016-192322(JP,A)
【文献】特開2020-107464(JP,A)
【文献】特開2018-039044(JP,A)
【文献】特開2019-075309(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/531-50/566
H01G 11/74
H01G 11/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1金属と、
前記第1金属が重ねられた第2金属と
を備え、
前記第1金属と前記第2金属は、異なる種類の金属であり、
前記第2金属は、前記第1金属との境界面において
、
非絶縁部と
、
前記非絶縁部を囲っており、かつ、前記非絶縁部よりも電気抵抗率が高くなる処理が施された高電気抵抗処理部と
を有し、
前記非絶縁部には、前記境界面を中心として、前記第1金属および前記第2金属が溶融して接合された接合部が形成されている、
二次電池用の外部端子。
【請求項2】
前記接合部は、前記境界面の中心位置を含んで形成されている、請求項1に記載された
二次電池用の外部端子。
【請求項3】
前記高電気抵抗処理部は、アルマイト処理、ニッケルめっき、樹脂塗工のうちいずれかの方法により形成された層である、請求項1または2に記載された
二次電池用の外部端子。
【請求項4】
前記第2金属は、前記第1金属に重ねられた部位に開口よりも内部が広い凹部を有し、
前記第1金属は、前記凹部に入り込んだ部位を有している、請求項1から3のいずれか一項に記載された
二次電池用の外部端子。
【請求項5】
電池ケースと、
前記電池ケースに取り付けられた電極端子と
を備え、
前記電極端子は、請求項1から4のいずれか一項に記載された
二次電池用の外部端子である、二次電池。
【請求項6】
第1金属を用意する工程と、
第2金属を用意する工程と、
前記第1金属と前記第2金属の境界の一部を接合する工程と
を含み、
前記第2金属を用意する工程では、
前記第1金属と異なる種類の金属であり、前記第1金属との境界面に、前記第1金属と接合される接合予定部が設定された第2金属を用意することと、前記接合予定部を除いた部分に
電気抵抗率が高くなる処理を施し
高電気抵抗処理部を形成することとを含み、
前記接合予定部は、
前記高電気抵抗処理部に囲われる領域に設定されており、
前記第1金属と前記第2金属の境界の一部を接合する工程では、前記第1金属と前記第2金属を通電することによって、前記接合予定部において、前記境界面を中心として、前記第1金属および前記第2金属が溶融して接合された接合部を形成する、
二次電池用の外部端子の製造方法。
【請求項7】
前記接合予定部は、前記境界面の中心位置を含んで設定されている、請求項6に記載された
二次電池用の外部端子の製造方法。
【請求項8】
前記高電気抵抗処理部は、アルマイト処理、ニッケルめっき、樹脂塗工のうちいずれかの方法により形成された層である、請求項6または7に記載された
二次電池用の外部端子の製造方法。
【請求項9】
前記第2金属を用意する工程は、
電気抵抗率が高くなる処理が施された前記第2金属の表面に対し、超音波加工、研削加工、レーザアブレーション法のうちいずれかの方法で
前記高電気抵抗処理部を除去することによって前記接合予定部を設けることを含む、請求項6~8のいずれか一項に記載された
二次電池用の外部端子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子、二次電池および端子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池用端子を構成する金属部材の溶接性の向上等を目的として、端子部材の一部にめっきを施す技術が開示されている。
特開2014-17081号公報には、金属メッキ層が形成された負極外部端子板と、負極接続端子を有する負極端子部材が開示されている。負極外部端子板は、電池蓋上に配置され、バスバと接続される部品である。負極外部端子板は、貫通孔を備えている。負極接続端子は、貫通孔を貫通し、金属メッキ層を介してカシメられている。かかる構成によると、負極端子板と負極接続端子の密着性を向上させることができ、接続抵抗の低減を図ることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、本発明者は、異種金属からなる端子部品を、二次電池用の外部端子として用いることを検討している。二次電池が車両に用いられる場合、車両の走行振動がバスバを通じて二次電池の外部端子にも伝わる。外部端子が複数の金属から構成されている場合には、金属間の接合界面にも振動が伝わる。本発明者は、振動等の外力が伝わっても、金属間の接合界面の接合状態が維持されるような、耐久性の高い端子部品を提案したいと考えている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ここで開示される端子部品は、第1金属と、第1金属が重ねられた第2金属とを備えている。第1金属と第2金属の境界面には、金属の拡散によって接合された接合部が形成されている。第2金属は、接合部を除く部分に、絶縁処理が施されている絶縁部を有する。
かかる端子部品には、接合強度の高い接合部が形成されており、端子部品の耐久性が向上されている。
【0006】
接合部は、境界面の中心位置を含んで形成されていてもよい。
絶縁部は、アルマイト処理、ニッケルめっき、樹脂塗工のうちいずれかの方法により形成された層であってもよい。
第2金属は、第1金属に重ねられた部位に開口よりも内部が広い凹部を有し、第1金属は、凹部に入り込んだ部位を有していてもよい。
電池ケースと、電池ケースに取り付けられた電極端子とを備えた二次電池において、電極端子は、上述した端子部品で構成された部位を含んでいてもよい。
【0007】
ここで開示される端子部品の製造方法は、第1金属を用意する工程と、第2金属を用意する工程と、第1金属と第2金属とを通電し、第1金属と第2金属の境界の一部を接合する工程とを含む。第2金属は、第1金属との境界面に、第1金属と接合される接合予定部が設定されており、かつ、接合予定部を除く部分に、絶縁処理が施された絶縁部を有する。
かかる製造方法によると、金属の拡散によって接合された接合部の接合強度を向上させることができる。
【0008】
接合予定部は、境界面の中心位置を含んで設定されていてもよい。
絶縁部は、アルマイト処理、ニッケルめっき、樹脂塗工のうちいずれかの方法により形成された層であってもよい。
第2金属を用意する工程は、絶縁処理が施された第2金属の表面に対し、超音波加工、研削加工、レーザアブレーション法のうちいずれかの方法で絶縁部を除去することによって接合予定部を設けることを含んでいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、リチウムイオン二次電池10の部分断面図である。
【
図4】
図4は、端子部品200を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、ここで開示される端子部品および二次電池の一実施形態を説明する。ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。本発明は、特に言及されない限りにおいて、ここで説明される実施形態に限定されない。各図面は模式的に描かれており、必ずしも実物を反映していない。また、同一の作用を奏する部材・部位には、適宜に同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、数値範囲を示す「A~B」などの表記は、特に言及されない限りにおいて「A以上B以下」を意味する。なお、以下に説明する図面において、同じ作用を奏する部材、部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略または簡略化することがある。また、図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。
【0011】
本明細書において「二次電池」とは、電解質を介して一対の電極(正極と負極)の間で電荷担体が移動することによって充放電反応が生じる蓄電デバイス一般をいう。かかる二次電池は、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池等のいわゆる蓄電池の他に、電気二重層キャパシタ等のキャパシタなども包含する。以下では、上述した二次電池のうち、リチウムイオン二次電池を対象とした場合の実施形態について説明する。
【0012】
〈リチウムイオン二次電池10〉
図1は、リチウムイオン二次電池10の部分断面図である。
図1では、略直方体の電池ケース41の片側の幅広面に沿って、内部を露出させた状態が描かれている。
図1に示されたリチウムイオン二次電池10は、いわゆる密閉型電池である。
図2は、
図1のII-II断面を示す断面図である。
図2では、略直方体の電池ケース41の片側の幅狭面に沿って内部を露出させた状態の部分断面図が模式的に描かれている。
【0013】
リチウムイオン二次電池10は、
図1に示されているように、電極体20と、電池ケース41と、正極端子42,負極端子43とを備えている。
【0014】
〈電極体20〉
電極体20は、絶縁フィルム(図示は省略)などで覆われた状態で、電池ケース41に収容されている。電極体20は、正極要素としての正極シート21と、負極要素としての負極シート22と、セパレータとしてのセパレータシート31,32とを備えている。正極シート21と、第1のセパレータシート31と、負極シート22と、第2のセパレータシート32とは、それぞれ長尺の帯状の部材である。
【0015】
正極シート21は、予め定められた幅および厚さの正極集電箔21a(例えば、アルミニウム箔)に、幅方向の片側の端部に一定の幅で設定された未形成部21a1を除いて、正極活物質を含む正極活物質層21bが両面に形成されている。正極活物質は、例えば、リチウムイオン二次電池では、リチウム遷移金属複合材料のように、充電時にリチウムイオンを放出し、放電時にリチウムイオンを吸収しうる材料である。正極活物質は、一般的にリチウム遷移金属複合材料以外にも種々提案されており、特に限定されない。
【0016】
負極シート22は、予め定められた幅および厚さの負極集電箔22a(ここでは、銅箔)に、幅方向の片側の縁に一定の幅で設定された未形成部22a1を除いて、負極活物質を含む負極活物質層22bが両面に形成されている。負極活物質は、例えば、リチウムイオン二次電池では、天然黒鉛のように、充電時にリチウムイオンを吸蔵し、充電時に吸蔵したリチウムイオンを放電時に放出しうる材料である。負極活物質は、一般的に天然黒鉛以外にも種々提案されており、特に限定されない。
【0017】
セパレータシート31,32には、例えば、所要の耐熱性を有する電解質が通過しうる多孔質の樹脂シートが用いられる。セパレータシート31,32についても種々提案されており、特に限定されない。
【0018】
ここで、負極活物質層22bの幅は、例えば、正極活物質層21bよりも広く形成されている。セパレータシート31,32の幅は、負極活物質層22bよりも広い。正極集電箔21aの未形成部21a1と、負極集電箔22aの未形成部22a1とは、幅方向において互いに反対側に向けられている。また、正極シート21と、第1のセパレータシート31と、負極シート22と、第2のセパレータシート32とは、それぞれ長さ方向に向きを揃え、順に重ねられて捲回されている。負極活物質層22bは、セパレータシート31,32を介在させた状態で正極活物質層21bを覆っている。負極活物質層22bは、セパレータシート31,32に覆われている。正極集電箔21aの未形成部21a1は、セパレータシート31,32の幅方向の片側からはみ出ている。負極集電箔22aの未形成部22a1は、幅方向の反対側においてセパレータシート31,32からはみ出ている。
【0019】
上述した電極体20は、
図1に示されているように、電池ケース41のケース本体41aに収容されうるように、捲回軸を含む一平面に沿った扁平な状態とされる。そして、電極体20の捲回軸に沿って、片側に正極集電箔21aの未形成部21a1が配置され、反対側に負極集電箔22aの未形成部22a1が配置されている。
【0020】
〈電池ケース41〉
電池ケース41は、
図1に示されているように、電極体20を収容している。電池ケース41は、一側面が開口した略直方体の角形形状を有するケース本体41aと、開口に装着された蓋41bとを有している。この実施形態では、ケース本体41aと蓋41bは、軽量化と所要の剛性を確保するとの観点で、それぞれアルミニウムまたはアルミニウムを主とするアルミニウム合金で形成されている。
【0021】
〈ケース本体41a〉
ケース本体41aは、一側面が開口した略直方体の角形形状を有している。ケース本体41aは、略矩形の底面部61と、一対の幅広面部62,63(
図2参照)と、一対の幅狭面部64,65とを有している。一対の幅広面部62,63は、それぞれ底面部61のうち長辺から立ち上がっている。一対の幅狭面部64,65は、それぞれ底面部61のうち短辺から立ち上がっている。ケース本体41aの一側面には、一対の幅広面部62,63と一対の幅狭面部64,65で囲まれた開口41a1が形成されている。
【0022】
〈蓋41b〉
蓋41bは、一対の幅広面部62,63(
図2参照)の長辺と、一対の幅狭面部64,65の短辺とで囲まれたケース本体41aの開口41a1に装着される。そして、蓋41bの周縁部が、ケース本体41aの開口41a1の縁に接合される。かかる接合は、例えば、隙間がない連続した溶接によるとよい。かかる溶接は、例えば、レーザ溶接によって実現されうる。
【0023】
この実施形態では、蓋41bには、正極端子42と、負極端子43とが取り付けられている。正極端子42は、内部端子42aと、外部端子42bとを備えている。負極端子43は、内部端子43aと、外部端子43bとを備えている。内部端子42a,43aは、それぞれインシュレータ72を介して蓋41bの内側に取り付けられている。外部端子42b,43bは、それぞれガスケット71を介して蓋41bの外側に取り付けられている。内部端子42a,43aは、それぞれケース本体41aの内部に延びている。正極の内部端子42aは、正極集電箔21aの未形成部21a1に接続されている。負極の内部端子43aは、負極集電箔22aの未形成部22a1に接続されている。
【0024】
電極体20の正極集電箔21aの未形成部21a1と、負極集電箔22aの未形成部22a1とは、
図1に示されているように、蓋41bの長手方向の両側部にそれぞれ取り付けられた内部端子42a,43aに取り付けられている。電極体20は、蓋41bに取り付けられた内部端子42a,43aに取付けられた状態で、電池ケース41に収容される。なお、ここでは、捲回型の電極体20が例示されている。電極体20の構造はかかる形態に限定されない。電極体20の構造は、例えば、正極シートと負極シートとが、セパレータシートとを介在させて交互に積層された積層構造でもよい。また、電池ケース41内には、複数の電極体20が収容されていてもよい。
【0025】
また、電池ケース41は、電極体20と一緒に、図示しない電解液を収容していてもよい。電解液としては、非水系溶媒に支持塩を溶解させた非水電解液を使用できる。非水系溶媒の一例として、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等のカーボネート系溶媒が挙げられる。支持塩の一例として、LiPF6等のフッ素含有リチウム塩が挙げられる。
【0026】
図3は、
図2のIII-III断面図である。
図3では、負極端子43が蓋41bに取り付けられた部位の断面が示されている。この実施形態では、負極の外部端子43bには、異種金属を接合した部材が用いられている。
図3では、外部端子43bを構成する異種金属の構造や異種金属の界面などは図示されず、外部端子43bの断面形状が模式的に示されている。
【0027】
蓋41bは、
図3に示されているように、負極の外部端子43bを取り付けるための取付孔41b1を有している。取付孔41b1は、蓋41bの予め定められた位置において蓋41bを貫通している。蓋41bの取付孔41b1には、ガスケット71とインシュレータ72を介在させて、負極の内部端子43aと外部端子43bとが取り付けられる。取付孔41b1の外側には、取付孔41b1の周りにガスケット71が装着される段差41b2が設けられている。段差41b2には、ガスケット71が配置される座面41b3が設けられている。座面41b3には、ガスケット71を位置決めするための突起41b4が設けられている。
【0028】
ここで、負極の外部端子43bは、
図3に示されているように、頭部43b1と、軸部43b2と、カシメ片43b3とを備えている。頭部43b1は、蓋41bの外側に配置される部位である。頭部43b1は、取付孔41b1よりも大きな略平板状の部位である。軸部43b2は、ガスケット71を介して取付孔41b1に装着される部位である。軸部43b2は、頭部43b1の略中央部から下方に突出している。カシメ片43b3は、
図3に示されているように、蓋41bの内部において、負極の内部端子43aにかしめられる部位である。カシメ片43b3は、軸部43b2から延びており、蓋41bに挿通された後で折曲げられて負極の内部端子43にかしめられる。
【0029】
〈ガスケット71〉
ガスケット71は、
図3に示されているように、蓋41bの取付孔41b1および座面41b3に取り付けられる部材である。この実施形態では、ガスケット71は、座部71aと、ボス部71bと、側壁71cとを備えている。座部71aは、蓋41bの取付孔41b1周りの外側面に設けられた座面41b3に装着される部位である。座部71aは、座面41b3に合わせて略平坦な面を有する。座部71aは、座面41b3の突起41b4に応じた凹みを備えている。ボス部71bは、座部71aの底面から突出している。ボス部71bは、蓋41bの取付孔41b1に装着されるように取付孔41b1の内側面に沿った外形形状を有している。ボス部71bの内側面は、外部端子43bの軸部43b2が装着される装着孔となる。側壁71cは、座部71aの周縁から上方に立ち上がっている。外部端子43bの頭部43b1は、ガスケット71の側壁71cで囲まれた部位に装着される。
【0030】
ガスケット71は、蓋41bと外部端子43bとの間に配置され、蓋41bと外部端子43bとの絶縁を確保している。また、ガスケット71は、蓋41bの取付孔41b1の気密性を確保している。かかる観点で、耐薬品性や耐候性に優れた材料が用いられるとよい。この実施形態では、ガスケット71には、PFAが用いられている。PFAは、四フッ化エチレンとパーフルオロアルコキシエチレンとの共重合体(Tetrafluoroethylene-Perfluoroalkylvinylether Copolymer)である。なお、ガスケット71に用いられる材料は、PFAに限定されない。
【0031】
〈インシュレータ72〉
インシュレータ72は、蓋41bの取付孔41b1の周りにおいて、蓋41bの内側に装着される部材である。インシュレータ72は、ベース部72aと、孔72bと、側壁72cとを備えている。ベース部72aは、蓋41bの内側面に沿って配置される部位である。この実施形態では、ベース部72aは、略平板状の部位である。ベース部72aは、蓋41bの内側面に沿って配置され、ケース本体41aに収められるように、蓋41bからはみ出ない程度の大きさを有している。孔72bは、ガスケット71のボス部71b内側面に対応して設けられた穴である。この実施形態では、孔72bは、ベース部72aの略中央部に設けられている。蓋41bの内側面に対向する側面において、孔72bの周りには凹んだ段差72b1が設けられている。段差72b1には、取付孔41b1に装着されたガスケット71のボス部71bの先端が干渉しないように収められている。側壁72cは、ベース部72aの周縁部から下方に立ち上がっている。ベース部72aには、負極の内部端子43aの一端に設けられる基部43a1が収められる。インシュレータ72には、電池ケース41の内部に配置されるため、所要の耐薬品性を備えているとよい。この実施形態では、インシュレータ72には、PPSが用いられている。PPSは、ポリフェニレンサルファイド樹脂(Poly Phenylene Sulfide Resin)である。なお、インシュレータ72に用いられる材料は、PPSに限定されない。
【0032】
負極の内部端子43aは、基部43a1と、接続片43a2(
図1および
図2参照)とを備えている。基部43a1は、インシュレータ72のベース部72aに装着される部位である。この実施形態では、基部43a1は、インシュレータ72のベース部72aの周りの側壁72cの内側に応じた形状を有している。接続片43a2は、基部43a1の一端から延びており、ケース本体41a内に延びて電極体20の負極の未形成部22a1に接続されている(
図1および
図2参照)。
【0033】
この実施形態では、取付孔41b1にボス部71bを装着しつつ、蓋41bの外側にガスケット71を取付ける。外部端子43bがガスケット71に装着される。この際、外部端子43bの軸部43b2がガスケット71のボス部71bに挿通され、かつ、ガスケット71の座部71aに外部端子43bの頭部43b1が配置される。蓋41bの内側は、インシュレータ72と負極端子43が取り付けられる。そして、
図3に示されているように、外部端子43bのカシメ片43b3が折曲げられて、負極端子43の基部43a1にかしめられる。外部端子43bのカシメ片43b3と負極端子43の基部43a1とは、導通性を向上させるために部分的に溶接や金属接合により接合されているとよい。
【0034】
ところで、リチウムイオン二次電池10の正極の内部端子42aでは、耐酸化還元性の要求レベルが負極に比べて高くない。そして、要求される耐酸化還元性と、軽量化の観点で、正極の内部端子42a(
図1参照)にはアルミニウムが用いられうる。これに対して、負極の内部端子43aでは、耐酸化還元性の要求レベルが正極よりも高い。かかる観点で、負極の内部端子43aには、銅が用いられうる。他方で、外部端子43bが接続されるバスバでは、軽量化および低コスト化の観点で、アルミニウムまたはアルミニウム合金が用いられうる。
【0035】
本発明者は、内部端子43aに接続される部位とバスバと接続される部位とで異なる種類の金属を用いることを検討している。すなわち、外部端子43bのうち、バスバと接続される部位と、内部端子43aと接続される部位とで、それぞれに対して溶接性の高い金属を用いることを検討している。しかしながら、本発明者の知見では、異種金属接合は、導通性や接合強度への課題がある。本発明者は、金属間を機械的に締結することと、金属間の導通を確保するために冶金的に接合することを検討している。
以下、ここで開示される端子部品200について、端子部品200の製造方法と併せて説明する。ここでは、端子部品200は、銅とアルミニウムから構成されている。なお、外部端子43bを構成する金属は、銅とアルミニウムに限定されない。
【0036】
〈端子部品200〉
図4は、端子部品200を模式的に示す断面図である。端子部品200は、
図3に示された負極の外部端子43bとして用いられうる。
図4では、端子部品200について、異種金属の構造や異種金属の界面が模式的に示されている。また、
図4では、端子部品200を構成する第1金属201と第2金属202とが接合される工程が模式的に示されている。
【0037】
端子部品200は、
図4に示されているように、第1金属201と、第1金属201に重ねられた第2金属202とを備えている。第1金属201と第2金属202の凹部202aの境界面202a2,202a3の一部には、金属の拡散によって接合された接合部203が形成されている。第2金属202は、凹部202aの表面のうち、接合部203を除く部分に、絶縁処理が施されている絶縁部202bを有している。この実施形態では、第2金属202は、第1金属201に重ねられた部位に、凹部202aを有している。凹部202aは、開口202a1よりも内部が広くなっている。第1金属201は、凹部202aに入り込んだ部位を有している。接合部203は、第1金属201と第2金属202の凹部202aの底部202a2との境界の一部に形成されている。第2金属202は、凹部202aの表面のうち、接合部203を除く部分に、絶縁処理が施されている絶縁部202bを有している。
【0038】
端子部品200を製造する方法は、以下の工程(a)~(c):
(a)第1金属201を用意する工程;
(b)第2金属202を用意する工程;
(c)第1金属201と第2金属202とを通電し、第1金属201と第2金属202の境界の一部を接合する工程;
を含んでいる。ここで、第2金属202の凹部202aには、第1金属201と接合される接合予定部202cが設定されている。第2金属202は、接合予定部202cを除く部分に、絶縁処理が施された絶縁部202bを有している。
【0039】
<工程(a):第1金属201を用意する工程>
工程(a)では、第1金属201を用意する。
第1金属201は、端子部品200のうち電池ケース41(
図1および
図2参照)の内部に向けて配置され、負極の内部端子43a(
図3参照)に接続される部位を構成する。この実施形態では、第1金属201は、銅から構成されている。第1金属201は、例えば、第1金属201の材料(この実施形態では、銅)に対して公知の金属加工方法によって、所定の形状に加工することにより、用意することができる。金属加工は、例えば、鍛造加工や切削加工等によって行うことができる。
【0040】
この実施形態では、第1金属201は、軸部201aと、軸部201aの一端から外径方向に延びたフランジ部201bとを有している。第1金属201の、フランジ部201bが設けられた端部201a1は、略円形状である。フランジ部201bは、軸部201aの周方向に連続して形成されている。フランジ部201bの外縁201b1は、フランジ部201bを含む第1金属201の端面側から他方の側面側に向けて徐々に外径が小さくなるように傾斜したテーパ面で構成されている。また、軸部201aには、フランジ部201bが設けられた側とは反対側に、さらに内部端子43aにかしめられるカシメ片43b3となる部位201cが設けられている。
【0041】
<工程(b):第2金属202を用意する工程>
工程(b)では、第2金属202を用意する。この工程は、第2金属202の一部に絶縁処理を施すことを含んでいてもよい。
第2金属202は、端子部品200のうち電池ケース41の外部に露出し、バスバ等の外部の接続部品と接続される部位を構成する。この実施形態では、第2金属202は、開口202a1よりも内部が広い凹部202aを備えている。
【0042】
この実施形態では、第2金属202は、展延性を有し、第1金属201よりも剛性が低いアルミニウムから構成されている。第2金属202は、板状であり、一方の面202f1は、外部の接続部品と接続される面である。第2金属202は、他方の面202f2に、凹部202aを有している。凹部202aは、フランジ部201bを含む第1金属201の端部201a1を覆うことができる形状を有している。この実施形態では、凹部202aの側周面202a3は、開口202a1から底部202a2に向かって徐々に広がるように傾斜したテーパ面である。第2金属202の凹部202aの底部202a2は、第1金属201のフランジ部201bの外径(端部201a1)に対応する大きさを有している。また、上述したように、凹部202aは、開口202a1から底部202a2に向かって傾斜している。そのため、凹部202aの開口202a1は、第1金属201のフランジ部201bの外径よりも狭い開口面積を有している。
第2金属202の材料(この実施形態では、アルミニウム)に対して、例えば、鍛造加工や切削加工等の公知の金属加工を行うことによって、第2金属202を上述した形状に加工することができる。
【0043】
第2金属202には、第1金属201と接合される接合予定部202cが設定されている。接合予定部202cは、第1金属201の端部201a1と対向する面(すなわち、凹部202aの底部202a2)の一部に設定されている。この実施形態では、接合予定部202cは、凹部202aの底部202a2の中心位置(すなわち、第1金属201と第2金属202の境界面202a2の中心位置)を含んで設定されている。
【0044】
絶縁部202bは、接合予定部202cよりも電気抵抗率が高くなるように、第2金属202の表面に絶縁処理が施された部位である。第2金属202の表面には、絶縁部202bと、絶縁部202bよりも電気抵抗率が低い非絶縁部202dが形成されている。絶縁部202bは、少なくとも凹部202aの表面に設けられている。非絶縁部202dは、少なくとも接合予定部202cに設けられている。
【0045】
上述したように、この実施形態では、接合予定部202cは、凹部202aの底部202a2の中心位置を含んで設定されている。絶縁部202bは、凹部202aの表面において、接合予定部202c以外の部分に設けられている。つまり、絶縁部202bは、凹部202aの表面において、底部202a2の中心位置を含んだ一部を除いた部分と、側周面202a3に設けられている。この実施形態では、絶縁部202bは、凹部202aが形成されている面202f2にも設けられている。それによって、外部端子43bの頭部43b1と蓋41bとの絶縁性が向上されている(
図3参照)。非絶縁部202dは、接合予定部202c、面202f1、側面202f3に設けられている。
【0046】
絶縁部202bは、第2金属202の表面に選択的に絶縁処理を施すことにより形成された層でありうる。絶縁部202bの構成は特に限定されないが、例えば、アルマイト処理、ニッケルめっき、樹脂塗工等によって形成された層(以下、絶縁層ともいう。)が例示される。絶縁層の厚みは特に限定されないが、30μm以下であってもよく、例えば、20μm以下や10μm以下であってもよい。非絶縁部202dには、このような絶縁層が形成されていなくてもよい。また、非絶縁部202dには、絶縁部の電気抵抗よりも低い電気抵抗となるように、絶縁部202bよりも薄い絶縁層が形成されていてもよい。この実施形態では、接合予定部202cを含む非絶縁部202dには、絶縁層が形成されていない。すなわち、接合予定部202cでは、アルミニウムが露出している。
【0047】
アルマイト処理は、アルミニウム表面に酸化被膜を形成する処理である。第2金属202がアルミニウム製である場合には、第2金属202の表面にアルマイト処理を施すことにより、強度、耐腐食性、絶縁性に優れる絶縁層を形成することができる。ニッケルめっきは、アルミニウムや銅等と比較して電気抵抗率の高いニッケルを第2金属202の表面にめっきする処理である。ニッケルめっきは、電解めっきや無電解めっきによって施すことができる。ニッケルめっきによって絶縁層を形成する場合には、融点の高く反応性の低い絶縁層(ニッケルめっき層)を形成する観点から、電解めっきによってニッケルめっきを施すことが好ましい。
【0048】
アルマイト処理やニッケルめっきによって絶縁処理を施す場合は、例えば、第2金属202の表面にこれらの処理を施して絶縁層を形成させた後に、部分的に絶縁層を除去することによって、絶縁部202bと非絶縁部202dとを形成してもよい。絶縁層を除去する方法は特に限定されないが、例えば、超音波加工や研削加工等によって絶縁部を除去することができる。研削加工では、被膜よりも硬度の高いエンドミルによって被覆された部分に対して超音波振動を加え、被覆された部分を除去することができる。超音波加工では、被膜よりも硬度の高い超音波ツールによって被覆された部分に対して超音波振動を加え、被覆された部分を除去することができる。このような方法で絶縁層の厚みの調整を行った場合には、エンドミルや超音波ツールを押し当てたことによる痕跡が残りうる。なお、超音波加工によって絶縁部を除去する際には、超音波振動が加えられた部分の表面の油分や汚れ等も一緒に除去されうる。そのため、後の工程で接合される面(すなわち、底部202a2)が良好な状態に保たれうる。
【0049】
接合予定部202cが絶縁層によって被覆されている場合は、接合予定部202cを被覆する絶縁層を除去することによって、接合予定部202cの電気抵抗率を低くするとよい。なお、接合予定部202cを被覆している絶縁層を完全に除去する必要はない。つまり、後の工程で第1金属201と第2金属202とを通電する際に、周囲と比較して接合予定部202cに電流が集中する程度に絶縁層が除去されていればよい。かかる観点から、接合予定部202cの絶縁層の厚みは、アルマイト処理やニッケルめっきによって形成された絶縁部202bの絶縁層の厚み以下である。接合予定部202cの絶縁層の厚みは、アルマイト処理やニッケルめっきによって形成された絶縁部202bの絶縁層の厚みの0.5倍以下であることが好ましく、0.2倍以下であってもよい。
【0050】
なお、アルマイト処理やニッケルめっきによって絶縁処理を施す方法は、上述の方法に限られない。例えば、第2金属202の表面の非絶縁部202dとなる部分をマスキングした状態でアルマイト処理やニッケルめっきを施してもよい。また、絶縁処理後に非絶縁部202dの絶縁層を除去する方法と、絶縁処理前に非絶縁部202dをマスキングする方法を組み合わせてもよい。
【0051】
樹脂塗工は、電気抵抗率の高い樹脂を第2金属202の表面に塗工する処理である。例えば、液体または半固体状態の樹脂を第2金属202の表面に塗工し、乾燥させ硬化させることで絶縁部202bを形成してもよい。塗工する樹脂の種類は特に限定されないが、二次電池の使用温度に耐えうる耐熱性、電解液、酸、アルカリ等に対する耐腐食性、良好な機械特性等を有することが好ましい。塗工する樹脂としては、例えば、ポリベンゾイミダゾール(PBI)樹脂、ポリイミド(PI)樹脂等が例示される。塗工する樹脂の厚みは特に限定されないが、後の工程で第1金属201と、いわゆるかしめ構造が形成される観点から、20μm以下であるとよく、10μm以下であることが好ましく、5μm以下であってもよい。
【0052】
樹脂塗工によって絶縁処理を施す場合は、例えば、第2金属202の表面に樹脂(絶縁)を塗工した後に、部分的に樹脂を除去することによって、絶縁部202bと非絶縁部202dとを形成してもよい。第2金属202の表面に塗工された樹脂は、例えば、レーザアブレーション等によって除去することができる。また、第2金属202の表面に樹脂を塗工する際に、非絶縁部202dとなる部分に塗工は行わず、絶縁部202bとなる部分にのみ塗工することによって、絶縁部202bと非絶縁部202dとを形成してもよい。樹脂の塗工後に部分的に除去する方法と、樹脂を部分的に塗工する方法とを組み合わせてもよい。樹脂塗工では、部分的に樹脂を塗工したり、樹脂を除去したりする際の操作を比較的容易に行うことができる。つまり、煩雑な処理を要することなく、絶縁部202bと非絶縁部202dを形成することができる。
【0053】
樹脂塗工によって絶縁処理を施す場合は、後の工程で第1金属201と第2金属202の通電を行う際の発熱によって樹脂が損傷されないような範囲に塗工することが好ましい。通電時の発熱によって、樹脂がガラス転移温度を上回らないようにすることが好ましい。例えば、接合予定部202cよりも広めに非絶縁部202dを設定することによって、通電時に電流が集中することを緩和することができる。
【0054】
<工程(c):第1金属201と第2金属202とを通電し、接合する工程>
工程(c)では、第1金属201と第2金属202とを通電し、第1金属201と第2金属202の境界面202a2,202a3の一部を金属の拡散によって接合する。
この実施形態では、第1金属201の一部を第2金属202の凹部202aに入り込ませることによって、第1金属201と第2金属202を機械的に接合し、その後に、第1金属201と第2金属202を金属の拡散によって接合する。
【0055】
まず、第1金属201と第2金属202を相互に加圧することによって第1金属201を凹部202aに入り込ませる。例えば、第1金属201の端部201a1に第2金属202を重ねた状態で、プレス機等を用いて所要のプレス圧をかける。それによって、第2金属202は塑性変形し、第1金属201のフランジ部201bを含んだ部分は凹部202aに入り込む。
図4に示されているように、第1金属201のフランジ部201bを含む端部201a1は、第2金属202の凹部202aに収められる。第1金属201と第2金属202には、いわゆるかしめ構造が形成される。第1金属201と第2金属202とがこのように機械的に締結されることによって、第1金属201と第2金属202との高い接合強度が実現される。
【0056】
次いで、この実施形態では、いわゆる抵抗溶接によって第1金属201と第2金属202を接合する。工程(c)で機械的に締結された第1金属201と第2金属202を、電極301,302で挟み込み、通電を行う。通電条件は特に限定されないが、例えば、電流値は9kA~12kA、圧力は50N~500N、通電時間は20ms~300ms程度に設定されうる。
【0057】
上述したように、第2金属202の接合予定部202cは、絶縁層が形成されていないか、形成されていても、絶縁部202bと比較して薄くなっている。そのため、第1金属201と第2金属202の境界において、接合予定部202cの電気抵抗率は低く抑えられている。電極301,302で挟み込んだ第1金属201と第2金属202とを通電すると、接合予定部202cに電流が集中する。接合予定部202cに電流が集中すると、電流が集中した部位での発熱量が多くなる。発熱量が多くなった接合予定部位202cでは、第1金属201および第2金属202を構成する金属の拡散が起こる。その結果、接合部203が形成される。この実施形態では、第1金属201を構成する銅が第2金属202を構成するアルミニウムに対して拡散すると同時に、第2金属202を構成するアルミニウムが第1金属を構成する銅に拡散し、接合部203が形成される。
このようにして、端子部品200を製造することができる。
【0058】
端子部品200の接合部203は、いわゆる冶金的接合によって接合されている。それによって、第1金属201と第2金属202の間の導通抵抗が低く抑えられている。
通電条件や絶縁部202bの構成等によっても異なるが、接合部203では、一方の金属が他方の金属に対してそれぞれ拡散した接合構造が実現されうる。例えば、接合部203では、銅製の第1金属201側からアルミニウム製の第2金属202側に、銅が15μm~50μm程度拡散しうる。また、接合部203では、アルミニウム製の第2金属202側から銅製の第1金属201側にアルミニウムが1μm~10μm程度拡散しうる。銅がアルミニウムに拡散している領域では、主にCuAl2とアルミニウムのデンドライト共晶とからなる拡散層が形成されうる。アルミニウムが銅に拡散している領域では、主にCu9Al4からなる拡散層が形成されうる。このような接合状態は、例えば、接合部203の断面を、SEMによって観察することによって確認することができる。
【0059】
上述した端子部品200は、
図4に示されているように、第1金属201と第2金属202の境界面202aには、金属の拡散によって接合された接合部203が形成されている。この接合部203では、金属の拡散によって接合された部位を有することによって、異種金属が用いられているにも関わらず、低い導通抵抗が実現されている。また、第1金属201と第2金属202の境界面202aには、一部を除いて絶縁部202bが形成されている。そのため、抵抗溶接時に、電流集中により狭い範囲での接合が行われ、接合部203の接合強度が高くなっている。端子部品200に振動等による外力が伝わっても、接合部203の接合状態が維持されやすい。すなわち、端子部品200の耐久性が向上されている。
【0060】
上述した実施形態では、端子部品200の接合部203は、境界面202a2の中心位置を含んで形成されている。かかる構成の端子部品200を二次電池10の外部端子43bとして用いることによって、第1金属201と第2金属202の界面に電解液が侵入しにくく、接合部203が腐食されにくい構成とすることができる。また、外部端子43bとして用いられる端子部品200にバスバが取り付けられ、バスバを通して振動が伝わる際にも、接合部203が凹部202aの中心位置を含んで形成されていることによって、接合部203に大きな力がかかりにくい。
【0061】
電池ケース41と、電池ケース41に取り付けられた電極端子42,43とを備えた二次電池100において、電極端子42,43は、端子部品200で構成された部位を含んでいてもよい。
【0062】
以上、ここで開示される端子部品および二次電池について、種々説明した。特に言及されない限りにおいて、ここで挙げられた端子部品および電池の実施形態などは本発明を限定しない。また、ここで開示される電池は、種々変更でき、特段の問題が生じない限りにおいて、各構成要素やここで言及された各処理は適宜に省略され、または、適宜に組み合わされうる。
【0063】
例えば、上述した実施形態では、軸部201aと、軸部201aの一端から外径方向に延びたフランジ部201bとを有する第1金属201に、開口202a1よりも内部が広い第2金属202が重ねられていた。しかしながら、第1金属は、フランジ部を有する形態に限定されない。例えば、軸部から突出する部位を有し、当該突出する部位が第2金属の凹部に入り込むような構成であってもよい。また、第1金属が第2金属の凹部に入り込む部位は、連続的に形成されていなくてもよく、間欠的に形成されていてもよい。
上述した実施形態では、第2金属202の凹部202aは、開口202a1から底部202a2に向かって傾斜しているテーパ面であった。第1金属201のフランジ部201bは、凹部202aに対応する形状を有していた。かかる形態に限定されず、例えば、凹部は、側面の中央部が広くなるような形状であってもよい。
また、上述した実施形態では、接合部203は、第2金属202の凹部202aの中心位置を含んで一箇所に形成されていたが、接合部の数や位置は特に限定されない。接合部は複数個所設けられてもよい。接合部は、第2金属の凹部の側面にも設けられていてもよい。接合部の数や位置等は、第1金属と第2金属の形状等に応じて、適宜設定するとよい。
【符号の説明】
【0064】
10 リチウムイオン二次電池
20 電極体
21 正極シート
21a 正極集電箔
21a1 未形成部
21b 正極活物質層
22 負極シート
22a 負極集電箔
22a1 未形成部
22b 負極活物質層
31,32 セパレータシート
41 電池ケース
41a ケース本体
41a1 開口
41b 蓋
41b1 取付孔
41b2 段差
41b3 座面
41b4 突起
42 正極端子
42a 正極の内部端子
42b 正極の外部端子
43 負極端子
43a 負極の内部端子
43a1 基部
43a2 接続片
43b 負極の外部端子
43b1 頭部
43b2 軸部
43b3 カシメ片
61 底面部
62,63 幅広面部
64,65 幅狭面部
71 ガスケット
71a 座部
71b ボス部
71c 側壁
72 インシュレータ
72a ベース部
72b 孔
72b1 段差
72c 側壁
200 端子部品
201 第1金属
201a 軸部
201a1 端部
201b フランジ部
201b1 外縁
201c カシメ片となる部位
202 第2金属
202a 凹部
202a1 開口
202a2 底部(境界面)
202a3 側周面(境界面)
202b 絶縁部
202c 接合予定部
202d 非絶縁部
202f1,202f2 面
202f3 側面
203 接合部
301,302 電極