(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-17
(45)【発行日】2024-07-25
(54)【発明の名称】生産管理システム及び生産管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20240718BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
(21)【出願番号】P 2021104780
(22)【出願日】2021-06-24
【審査請求日】2023-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小泉 孝治
(72)【発明者】
【氏名】川俣 純希
【審査官】黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-112209(JP,A)
【文献】特開2018-017538(JP,A)
【文献】特開2001-165759(JP,A)
【文献】特開2007-316029(JP,A)
【文献】特開2008-222295(JP,A)
【文献】特開2011-90570(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生産ライン構成装置(12、13)と、その後段にある検査装置(14)と、を含む生産ラインを管理する生産管理システム(1)であって、
前記生産ライン構成装置及び前記検査装置とネットワーク(17)を介して通信可能に構成され
、前記生産ラインの各装置の配置が設定されたホストコンピュータ(16)を備え、
前記生産ライン構成装置は、自装置での処理の結果に関する情報である処理結果情報を前記ホストコンピュータに送信し、
前記検査装置は、自装置での検査の結果に関する情報である検査結果情報を前記ホストコンピュータに送信し、
前記処理結果情報及び前記検査結果情報には、どの装置から送信されたかを識別するための識別情報が割り当てられており、
前記ホストコンピュータは、前記ネットワークを介して受信した前記処理結果情報及び前記検査結果情報と前記識別情報とに基づいて、前記生産ライン構成装置及び前記検査装置の稼働状況を
示す数値をディスプレイ装置に一覧表示させ、
前記数値と前記配置に基づいて前記生産ライン構成装置の異常傾向
として前記生産ライン構成装置のうち隣接する装置間で処理数が異なる場合には、アラームを出力する生産管理システム。
【請求項2】
前記ホストコンピュータは、
前記ディスプレイ装置に前記稼働状況を示す数値を前記生産ラインの各装置の配置
順に並べて一覧表示させる請求項1に記載の生産管理システム。
【請求項3】
前記ホストコンピュータは、前記検査結果情報の製品の重量の不良が、重い方または軽い方に偏っている場合、前記製品の重量を計量する前記生産ライン構成装置が異常傾向にあると判定する請求項1に記載の生産管理システム。
【請求項4】
前記ホストコンピュータは、前記検査結果情報の製品の重量の標準偏差が所定の値より大きく、前記製品の重量を計量する前記生産ライン構成装置の前記処理結果情報の重量が目標重量近傍の所定範囲内であれば、前記製品を包装する前記生産ライン構成装置が異常傾向にあると判定する請求項
1に記載の生産管理システム。
【請求項5】
前記生産ライン構成装置の1が包装装置(13)であり、当該包装装置は、
さらに、自装置のヒータ温度及び/又は圧力の低下傾向の情報を
前記処理結果情報として前記ホストコンピュータに送信するとともに、当該低下傾向となった区間に処理した製品の情報を、自装置の後段にある前記検査装置に送信し、前記検査装置内に設けられた振分装置(14a)に当該製品を生産ライン外へと排出させ、
前記検査装置は、
さらに、前記検査結果情報
として前記振分装置に排出させた製品の数を前記ホストコンピュータに送信し
、
前記ホストコンピュータは、
前記生産ライン構成装置のうち前記包装装置
と隣接する装置との間で前記処理数が異なる場合には、アラームを出力する
請求項1に記載の生産管理システム。
【請求項6】
生産ライン構成装置(12、13)と、その後段にある検査装置(14)と、を含む生産ラインと、前記生産ライン構成装置及び前記検査装置とネットワーク(17)を介して通信可能に構成され
、前記生産ラインの各装置の配置が設定されたホストコンピュータ(16)と、を備え、前記生産ライン構成装置は、自装置での処理の結果に関する情報であり、どの装置から送信されたかを識別するための識別情報が割り当てられる処理結果情報を前記ホストコンピュータに送信し、前記検査装置は、自装置での検査の結果に関する情報であり、どの装置から送信されたかを識別するための識別情報が割り当てられる検査結果情報を前記ホストコンピュータに送信する、生産管理システムの生産管理プログラムであって、
前記ホストコンピュータに、前記ネットワークを介して受信した前記処理結果情報及び前記検査結果情報に基づいて、前記生産ライン構成装置及び前記検査装置の稼働状況を
示す数値をディスプレイ装置に一覧表示させる機能、及び
前記数値と前記配置に基づいて前記生産ライン構成装置の異常傾向
として前記生産ライン構成装置のうち隣接する装置間で処理数が異なる場合には、アラームを出力する機能を実現させるための生産管理プログラム。
【請求項7】
前記生産ライン構成装置の1が包装装置(13)であり、当該包装装置は、自装置のヒータ温度及び/又は圧力の低下傾向の情報を
前記処理結果情報として前記ホストコンピュータに送信するとともに、当該低下傾向となった区間に処理した製品の情報を、自装置の後段にある前記検査装置に送信し、前記検査装置内に設けられた振分装置(14a)に当該製品を生産ライン外へと排出させ、前記検査装置は、
前記検査結果情報
として前記振分装置に排出させた製品の数を前記ホストコンピュータに送信
し、
前記ホストコンピュータに、前記処理結果情報及び前記検査結果情報に基づいて
、前記生産ライン構成装置のうち前記包装装置
と隣接する装置との間で前記処理数が異なる場合には、アラームを出力する機能を実現させるための
請求項6に記載の生産管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、肉、魚、加工食品、医薬品等を生産する生産ラインでの生産状況などを管理する生産管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、肉、魚、加工食品、医薬品等を生産する生産ラインでは、製造された物品を、計量して所定重量で包装し、異物混入の検査や最終的な重量の検査等を行ない、これらの検査で良品と判定されたものを最終製品として箱詰め等して出荷している。
【0003】
特許文献1には、計量機、包装機、製品検査機あるいは箱詰め機である複数の生産ライン構成装置でなる生産ラインが記載されている。
【0004】
このような生産ラインでは、各装置のセンサ等に異常が発生した場合、生産ラインのオペレータに異常を告知するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、複数の生産ライン構成装置が連携して動作している場合には、いずれかの装置でエラーやアラーム等が発生する異常状態にまではならないまでも、異常状態になりかかっている、いわば異常傾向が発生していることを検知することが難しい。
【0007】
そこで、本発明は、生産ラインを成す生産ライン構成装置での異常傾向を検知し、生産ライン構成装置のトラブルを早期に発見することができる生産管理システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の生産管理システムは、生産ライン構成装置と、その後段にある検査装置と、を含む生産ラインを管理する生産管理システムであって、前記生産ライン構成装置及び前記検査装置とネットワークを介して通信可能に構成され、前記生産ラインの各装置の配置が設定されたホストコンピュータを備え、前記生産ライン構成装置は、自装置での処理の結果に関する情報である処理結果情報を前記ホストコンピュータに送信し、前記検査装置は、自装置での検査の結果に関する情報である検査結果情報を前記ホストコンピュータに送信し、前記処理結果情報及び前記検査結果情報には、どの装置から送信されたかを識別するための識別情報が割り当てられており、前記ホストコンピュータは、前記ネットワークを介して受信した前記処理結果情報及び前記検査結果情報と前記識別情報とに基づいて、前記生産ライン構成装置及び前記検査装置の稼働状況を示す数値をディスプレイ装置に一覧表示させ、前記数値と前記配置に基づいて前記生産ライン構成装置の異常傾向として前記生産ライン構成装置のうち隣接する装置間で処理数が異なる場合には、アラームを出力するものである。
【0009】
この構成により、検査結果情報と識別情報とに基づいて、生産ライン構成装置及び検査装置の稼働状況を示す数値がディスプレイ装置に一覧表示され、生産ライン構成装置の異常傾向として生産ライン構成装置のうち隣接する装置間で処理数が異なると、アラームが出力される。このため、生産ライン構成装置での異常傾向を検知し、生産ライン構成装置のトラブルを早期に発見することができる。
【0010】
また、本発明の生産管理システムにおいて、前記ホストコンピュータは、前記ディスプレイ装置に前記稼働状況を示す数値を前記生産ラインの各装置の配置順に並べて一覧表示させるものである。
【0011】
この構成により、ディスプレイ装置に稼働状況を示す数値が生産ラインの各装置の配置順に並べて一覧表示される。このため、生産ラインで隣接する装置間での処理数の違いが分かりやすく、生産ライン構成装置のトラブルを早期に発見することができる。
【0012】
また、本発明の生産管理システムにおいて、前記ホストコンピュータは、前記検査結果情報の製品の重量の不良が、重い方または軽い方に偏っている場合、前記製品の重量を計量する前記生産ライン構成装置が異常傾向にあると判定するものである。
【0013】
この構成により、検査結果情報の製品の重量の不良が、重い方または軽い方に偏っている場合、製品の重量を計量する生産ライン構成装置が異常傾向にあると判定される。このため、生産ライン構成装置での異常傾向を検知し、生産ライン構成装置のトラブルを早期に発見することができる。
【0014】
また、本発明の生産管理システムにおいて、前記ホストコンピュータは、前記検査結果情報の製品の重量の標準偏差が所定の値より大きく、前記製品の重量を計量する前記生産ライン構成装置の前記処理結果情報の重量が目標重量近傍の所定範囲内であれば、前記製品を包装する前記生産ライン構成装置が異常傾向にあると判定するものである。
【0015】
この構成により、検査結果情報の製品の重量の標準偏差が所定の値より大きく、製品の重量を計量する生産ライン構成装置の処理結果情報の重量が目標重量近傍の所定範囲内であれば、製品を包装する生産ライン構成装置が異常傾向にあると判定される。このため、生産ライン構成装置での異常傾向を検知し、生産ライン構成装置のトラブルを早期に発見することができる。
【0016】
また、本発明の生産管理システムにおいて、前記生産ライン構成装置の1が包装装置であり、当該包装装置は、さらに、自装置のヒータ温度及び/又は圧力の低下傾向の情報を前記処理結果情報として前記ホストコンピュータに送信するとともに、当該低下傾向となった区間に処理した製品の情報を、自装置の後段にある前記検査装置に送信し、前記検査装置内に設けられた振分装置に当該製品を生産ライン外へと排出させ、前記検査装置は、さらに、前記検査結果情報として前記振分装置に排出させた製品の数を前記ホストコンピュータに送信し、前記ホストコンピュータは、前記生産ライン構成装置のうち前記包装装置と隣接する装置との間で前記処理数が異なる場合には、アラームを出力するものである。
【0017】
この構成により、処理結果情報と識別情報とに基づいて、包装装置を含む生産ライン構成装置及び検査装置の稼働状況を示す数値がディスプレイ装置に一覧表示され、包装装置と隣接する装置との間で処理数が異なると、アラームが出力される。このため、包装装置での異常傾向を検知し、包装装置のトラブルを早期に発見することができる。さらに、不良品予備軍の効率的な生産ライン外排出もできる。
【0018】
また、本発明の生産管理プログラムは、生産ライン構成装置と、その後段にある検査装置と、を含む生産ラインと、前記生産ライン構成装置及び前記検査装置とネットワークを介して通信可能に構成され、前記生産ラインの各装置の配置が設定されたホストコンピュータと、を備え、前記生産ライン構成装置は、自装置での処理の結果に関する情報であり、どの装置から送信されたかを識別するための識別情報が割り当てられる処理結果情報を前記ホストコンピュータに送信し、前記検査装置は、自装置での検査の結果に関する情報であり、どの装置から送信されたかを識別するための識別情報が割り当てられる検査結果情報を前記ホストコンピュータに送信する、生産管理システムの生産管理プログラムであって、前記ホストコンピュータに、前記ネットワークを介して受信した前記処理結果情報及び前記検査結果情報に基づいて、前記生産ライン構成装置及び前記検査装置の稼働状況を示す数値をディスプレイ装置に一覧表示させる機能、及び前記数値と前記配置に基づいて前記生産ライン構成装置の異常傾向として前記生産ライン構成装置のうち隣接する装置間で処理数が異なる場合には、アラームを出力する機能を実現させるものである。
【0019】
この構成により、ネットワークを介して受信した処理結果情報及び検査結果情報に基づいて、生産ライン構成装置及び検査装置の稼働状況を示す数値がディスプレイ装置に一覧表示され、生産ライン構成装置の異常傾向として生産ライン構成装置のうち隣接する装置間で処理数が異なると、アラームが出力される。このため、生産ライン構成装置での異常傾向を検知し、生産ライン構成装置のトラブルを早期に発見することができる。
【0020】
また、本発明の生産管理プログラムにおいて、前記生産ライン構成装置の1が包装装置であり、当該包装装置は、自装置のヒータ温度及び/又は圧力の低下傾向の情報を前記処理結果情報として前記ホストコンピュータに送信するとともに、当該低下傾向となった区間に処理した製品の情報を、自装置の後段にある前記検査装置に送信し、前記検査装置内に設けられた振分装置に当該製品を生産ライン外へと排出させ、前記検査装置は、前記検査結果情報として前記振分装置に排出させた製品の数を前記ホストコンピュータに送信し、前記ホストコンピュータに、前記処理結果情報及び前記検査結果情報に基づいて、前記生産ライン構成装置のうち前記包装装置と隣接する装置との間で前記処理数が異なる場合には、アラームを出力する機能を実現させるものである。
【0021】
この構成により、包装装置と隣接する装置との間で処理数が異なると、アラームが出力される。このため、包装装置での異常傾向を検知し、包装装置のトラブルを早期に発見することができる。さらに、不良品予備軍の効率的な生産ライン外排出もできる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、生産ラインを成す生産ライン構成装置での異常傾向を検知し、生産ライン構成装置のトラブルを早期に発見することができる生産管理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る生産管理システムの概略構成図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係る生産管理システムの稼働状況の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る生産管理システムについて詳細に説明する。
【0025】
図1において、本発明の一実施形態に係る生産管理システム1は、上流の製造工程で製造・加工された食品・飲食物等の原材料を受け入れ、計量工程・包装工程で所定の重量分でまとめて包装して製品とし、検査工程で包装された製品の重量や異物混入、包装状態等の検査を行なう生産ラインの管理を行なう。
【0026】
生産ラインは、それぞれが異なる処理を実行する計量装置12と、包装装置13と、検査装置14と、を含んで構成される。計量装置12と包装装置13を生産ライン構成装置とも呼び、通常、各装置(12~14)が一連に配置されて並ぶ形態とされ、生産ラインの前後の工程との間および各工程の装置間には、ベルトコンベア等の搬送手段が配置されている。
【0027】
なお、
図1に示すように各装置(12~14)が隣接して配置される場合に限らず、例えば計量装置12と包装装置13が包装前の原材料を取り扱う原材料エリア内に隣接して配置され、検査装置14が包装後の製品を取り扱う製品エリアに隣接して配置され、区分けされた両エリア間をベルトコンベアやシュートからなる搬送手段により連結されるような場合でもよい。
【0028】
計量装置12は、供給された原材料を、所定の重量となるようにまとめたり組み合わせたりして、包装装置13に排出する。
【0029】
計量装置12は、受け入れた原材料を貯留容器に一旦貯留し、所定量ずつ複数の計量容器に分散して投入し、それぞれの計量容器で得られた計量値を組み合わせ演算して所定の重量範囲の原材料を排出する組み合わせ計量手段を有してもよい。
【0030】
包装装置13は、計量装置12から排出された、所定の重量の原材料を、包材で包装して検査装置14に排出する。
【0031】
検査装置14は、包装装置13から排出された包装された製品の重量や異物混入等の検査を行ない、検査で異常がなく良品と判定された包装された製品を後段工程へ排出する。
【0032】
ホストコンピュータ16は、図示しないCPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)と、ハードディスク装置と、入出力ポートとを備えたコンピュータユニットによって構成されている。
【0033】
計量装置12、包装装置13、検査装置14、ホストコンピュータ16は、ネットワーク17に接続されている。計量装置12、包装装置13、検査装置14、ホストコンピュータ16は、ネットワーク17を介して、相互に通信できるようになっている。
【0034】
ホストコンピュータ16には、生産ラインの各装置の配置が予め設定されていて、一つの装置の前後に配置された他の装置に関する情報が、例えば装置固有のIDと対応付けて記憶されている。
【0035】
図1に示す例では、計量工程に計量装置12、包装工程に包装装置13、検査工程に検査装置14が、この順で配置されていることが、ホストコンピュータ16に記憶されている。
【0036】
なお、いずれかの工程に複数の装置があり、それぞれがホストコンピュータ16と通信できる場合には、各装置が直列的に配置しているのか、並列的に配置しているのかを設定できるようになっているとよい。
【0037】
ホストコンピュータ16は、生産ラインの各装置から送信される処理結果・検査結果や動作来歴などの検査情報を、ネットワーク17を介して受信し、ハードディスク装置に記憶して管理する。
【0038】
ここでいう装置の動作来歴には、各装置の運転開始、停止に限らず、例えば、計量装置12における供給された原材料の貯留量検知、計量手段(図示せず)のゼロセット処理などが含まれ、包装装置13におけるヒートシール部の温度安定待ち、包材のシートロール交換などが含まれ、検査装置14における物品の搬入検知、検査結果の出力、検査手段(図示せず)のリセット処理や安定待ち期間など、各装置固有の動作情報が含まれ、検査情報としてホストコンピュータ16に送信される。
【0039】
なお、検査情報には、装置固有のIDが割り当てられ、どの検査情報がどの装置から送信されたかをデータ上で識別するための識別情報とするとよい。
【0040】
さらに、ホストコンピュータ16は、各装置から送信される検査情報を受信すると、受信した時刻情報をタイムスタンプとして付加する受信時刻情報付加手段を有してもよい。これにより、いずれかの装置の検査情報に時刻情報が含まれない場合であっても、ほぼ同時点の時刻情報がホストコンピュータ16に記録されることとなり、装置側の制御ソフトウェアの機能上の制約を受けないようにできる。また、各装置に設定されている時刻にずれがあっても影響が小さい。
【0041】
計量装置12、包装装置13は、各装置の処理の結果に関する情報である処理結果情報をホストコンピュータ16に送信する。
【0042】
計量装置12は、前段の供給装置(図示せず)等から供給された原材料を受け入れて計量し、所定の重量範囲になるようにまとめたり組み合わせたりし、排出した時刻と組み合わせた重量を、ホストコンピュータ16に組み合わせ排出結果として送信する。
【0043】
包装装置13は、包装した結果として包装OK(正常に包装された状態を指す)または包装NG(正常に包装されなかった状態を指す)、包装が完了した時刻などを包装結果としてホストコンピュータ16に送信する。
【0044】
検査装置14は、検査の結果に関する情報である検査結果情報をホストコンピュータ16に送信する。
【0045】
検査装置14は、製品を検査した結果として検査OKまたは検査NG、検査が完了した時刻と検査結果の重量などを検査結果としてホストコンピュータ16に送信する。検査装置14は、検査NGの製品、および包装装置13から包装NGを受信した製品を生産ライン外に排出する振分装置14aを含んでも良く、これにより、後段工程に正常製品のみを効率よく排出することができる。
【0046】
本実施形態において、ホストコンピュータ16は、各装置から受信した処理結果情報及び検査結果情報に基づいて、"異常状態にはなっていないが、異常状態に近い状態である異常傾向にある装置"を検知し、アラーム出力する。アラーム出力は、例えば、ホストコンピュータ16に接続された図示しないディスプレイ装置にメッセージとして出力される。
【0047】
ホストコンピュータ16は、例えば、隣接する装置間で処理数が異なる場合、その装置間で製品が正しく搬送されなかったと判定する。
【0048】
ホストコンピュータ16は、検査装置14における検査結果を常に監視しており、例えば、検査装置14での重量の検査結果が、重量が重い傾向にある場合で、すなわち不良品発生まで至っていないが原料歩留まりを悪化させている場合、または重量が軽い傾向にある場合で、すなわち不良品発生まで至っていないが軽量NG品の発生に陥る可能性がある場合、計量装置12の計量に異常傾向があると判定する。なお、計量装置12での計量結果が目標重量付近で安定した排出となっていることも条件として判定してもよい。
【0049】
また、計量装置12での計量結果と、検査装置14での検査結果とに差があり、計量装置12での計量結果が目標重量付近となっているのであれば、計量装置12の秤が異常傾向にあると認識できる。
【0050】
ホストコンピュータ16は、例えば、検査装置14での検査結果の値の偏りが大きい場合、包装装置13での包装に異常傾向があると判定する。なお、計量装置12での計量結果が目標重量付近で安定した排出となっていることも条件として判定してもよい。
【0051】
検査装置14で検出した重量の標準偏差が所定の値より大きく、計量装置12での計量結果が目標重量の近傍の所定範囲内にあるのであれば、包装装置13での噛み込みや、フォーマーでの詰まりなど、包装装置13が異常傾向にあると認識できる。
【0052】
また、包装装置13のヒータ温度や圧力低下を傾向監視することで、その傾向となった区間に処理された包装不良とまではなっていない被検査品を、後段の検査装置14内の振分装置14aにて生産ライン外へと排出可能とし、所謂不良品予備軍の流出を防ぐことも可能となる。この場合、包装装置13から検査装置14に生産ライン外へと排出すべき被検査品の情報が通知される。また、包装装置13から傾向監視情報が処理結果情報としてホストコンピュータ16へ送信され、ホストコンピュータ16はアラーム出力する。なお、振分装置14aは検査装置14内に設けたものに限られず、検査装置14とは独立して設けてもよいことは言うまでもない。また、包装装置13以外の生産ライン構成装置であっても、自装置の所定の性能の低下傾向情報をホストコンピュータ16と振分装置14aに送り、同様の処理を行ってもよいことも言うまでもない。
【0053】
ホストコンピュータ16では、例えば、現在の稼働状況をディスプレイ装置に表示させることができる。
【0054】
ホストコンピュータ16は、例えば、
図2に示すように、各装置での、生産開始からの、生産数、良数、不良数、平均値、標準偏差、ロス数を表示させる。
【0055】
生産数は、各装置で処理した数である。良数は、各装置で処理した中で良品とした製品の数である。不良数は、各装置で処理した中で不良品とした製品の数である。
【0056】
平均値は、計量装置12及び検査装置14で計量した重量の平均値である。標準偏差は、計量装置12及び検査装置14で計量した重量の標準偏差である。ロス数は、隣接する前段の装置での生産数から、その装置での生産数を減算した値である。
【0057】
ホストコンピュータ16は、例えば、計量装置12の平均値と検査装置14の平均値との差が、所定の閾値以上で、計量装置12の平均値のほうが小さい値であると、「計量装置の秤値がマイナス傾向にあります。秤を確認してください。」とメッセージを表示させる。
【0058】
ホストコンピュータ16は、例えば、検査装置14の標準偏差が所定の閾値以上となると、「包装装置のフォーマーでの詰まりにより計量品を正しく包装できていない可能性があります。フォーマー部分を確認してください。」とメッセージを表示させる。
【0059】
ホストコンピュータ16は、例えば、検査装置14のロス数が所定の閾値以上となると、「包装装置と検査装置間で製品が正しく搬送できていません。搬送経路を確認してください。」とメッセージを表示させる。
【0060】
このように、上述の実施形態では、ホストコンピュータ16は、検査結果情報に基づいて計量装置12または包装装置13の異常傾向を検知した場合には、アラームを出力する。
【0061】
これにより、検査結果情報に基づいて計量装置12または包装装置13の異常傾向が検知されると、アラームが出力される。このため、計量装置12または包装装置13での異常傾向を検知し、装置のトラブルを早期に発見することができる。
【0062】
また、ホストコンピュータ16は、検査結果情報及び処理結果情報に基づいて計量装置12または包装装置13の異常傾向を検知した場合には、アラームを出力する。
【0063】
これにより、検査結果情報及び処理結果情報に基づいて計量装置12または包装装置13の異常傾向が検知されると、アラームが出力される。このため、計量装置12または包装装置13での異常傾向を検知し、装置のトラブルを早期に発見することができる。
【0064】
また、ホストコンピュータ16は、検査結果情報の製品の重量の不良が、重量が重いことで不良となっている傾向、または重量が軽いことで不良となっている傾向がある場合、計量装置12が異常傾向にあると判定する。
【0065】
これにより、検査結果情報に基づいて計量装置12の異常傾向が検知され、装置のトラブルを早期に発見することができる。
【0066】
また、ホストコンピュータ16は、検査結果情報の製品の重量の標準偏差が所定の値より大きく、計量装置12の処理結果情報の重量が目標重量近傍の所定範囲内であれば、包装装置13が異常傾向にあると判定する。
【0067】
これにより、検査結果情報及び処理結果情報に基づいて包装装置13の異常傾向が検知され、装置のトラブルを早期に発見することができる。
【0068】
また、包装装置13は、自装置のヒータ温度や圧力の低下傾向の情報を処理結果情報としてホストコンピュータ16に送信するとともに、当該低下傾向となった区間に処理した製品の情報を、自装置の後段にある振分装置14aに当該製品を生産ライン外へと排出させるべく送信し、ホストコンピュータ16は、処理結果情報に基づいて包装装置13の異常傾向を検知した場合には、アラームを出力する。
【0069】
これにより、包装装置13での異常傾向を検知し、包装装置13のトラブルを早期に発見することができる。さらに、不良品予備軍の効率的な生産ライン外排出もできる。
【0070】
本発明の実施形態を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0071】
1 生産管理システム
12 計量装置(計量工程の生産ライン構成装置)
13 包装装置(包装工程の生産ライン構成装置)
14 検査装置(検査工程の装置)
14a 振分装置
16 ホストコンピュータ
17 ネットワーク