(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-17
(45)【発行日】2024-07-25
(54)【発明の名称】充電制御装置、充電制御方法及び充電制御システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/10 20060101AFI20240718BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240718BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20240718BHJP
B60L 53/14 20190101ALI20240718BHJP
B60L 53/35 20190101ALI20240718BHJP
B60L 53/67 20190101ALI20240718BHJP
B60L 53/80 20190101ALI20240718BHJP
B60L 58/18 20190101ALI20240718BHJP
【FI】
H02J7/10 K
H02J7/00 A
B60L50/60
B60L53/14
B60L53/35
B60L53/67
B60L53/80
B60L58/18
(21)【出願番号】P 2021157588
(22)【出願日】2021-09-28
【審査請求日】2023-07-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】入内嶋 洋一
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-244663(JP,A)
【文献】特開2011-083165(JP,A)
【文献】特開2010-252449(JP,A)
【文献】国際公開第2016/143374(WO,A1)
【文献】特開2021-078248(JP,A)
【文献】特開2009-268341(JP,A)
【文献】特開2020-060134(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
B60L 50/60
B60L 53/14
B60L 53/35
B60L 53/67
B60L 53/80
B60L 58/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の利用予定時期を示す利用予定データを取得する予定データ取得部と、
前記利用予定データが示す前記利用予定時期までの期間が基準期間以上である場合、前記移動体が使用する電池の残量を所定範囲内にし、前記利用予定時期までの期間が前記基準期間未満である場合、前記電池の残量が前記所定範囲よりも多くなるように前記電池を充電するように充電装置を制御する充電制御部と、
を有
し、
前記移動体は、第1の容量の大容量電池を単独で、又は前記第1の容量よりも小さい第2の容量の複数の小容量電池を連結した状態で使用可能であり、
前記充電制御部は、前記利用予定データが示す前記利用予定時期までの時間の長さに基づいて、前記充電装置に前記大容量電池に充電させるか複数の前記小容量電池に充電させるかを決定する、充電制御装置。
【請求項2】
移動体の利用予定時期を示す利用予定データを取得する予定データ取得部と、
前記利用予定データが示す前記利用予定時期までの期間が基準期間以上である場合、前記移動体が使用する電池の残量を所定範囲内にし、前記利用予定時期までの期間が前記基準期間未満である場合、前記電池の残量が前記所定範囲よりも多くなるように前記電池を充電するように充電装置を制御する充電制御部と、
天候を示す天候データを取得する天候データ取得部と、
を有
し、
前記充電制御部は、前記天候データを参照することにより、前記利用予定データが示す前記利用予定時期における天候を特定し、特定した天候に基づいて前記電池を前記充電装置に充電させるか否かを決定する、充電制御装置。
【請求項3】
前記充電制御部は、前記利用予定時期までに前記電池の残量を前記移動体が使用するために必要な残量にするために充電を開始する時期まで、前記電池の残量を所定範囲内にするように前記充電装置を制御する、
請求項1
又は2に記載の充電制御装置。
【請求項4】
前記充電制御部は、前記予定データ取得部が前記利用予定データを取得した時点における前記電池の残量が前記所定範囲の下限値よりも小さく、かつ、前記予定データ取得部が前記利用予定データを取得した時点から前記利用予定時期までの時間が前記電池の残量が所要残量に達するまでに要する充電時間よりも長い前記基準期間以上である場合、前記電池の残量が前記所定範囲内になるまで前記充電装置に前記電池を充電させ、前記電池の残量が前記所定範囲内に達した時点で前記充電装置に前記電池への充電を中断させた後に、前記電池の残量が前記所要残量以上になるまで前記充電装置に前記電池への充電を再開させる、
請求項1から3のいずれか一項に記載の充電制御装置。
【請求項5】
前記予定データ取得部は、前記移動体の利用内容を示す利用内容データをさらに取得し、
前記充電制御部は、前記利用内容データが示す前記利用内容において必要な電池残量である所要残量以上になるまで前記電池を充電するように前記充電装置を制御する、
請求項1から
3のいずれか一項に記載の充電制御装置。
【請求項6】
前記電池の残量を示す電池データを取得する電池データ取得部をさらに有し、
前記充電制御部は、前記電池を充電するために要する時間を示すデータを参照することにより、前記電池データが示す残量と前記利用内容において必要な電池残量とに基づいて、前記電池の残量が前記所要残量に達するまでに要する充電時間を算出し、前記利用予定時期よりも前記充電時間以上前に前記電池の充電を開始するように前記充電装置を制御する、
請求項5に記載の充電制御装置。
【請求項7】
複数の前記移動体それぞれに対応する前記電池の残量を示す電池データを取得する電池データ取得部をさらに有し、
前記充電制御部は、前記電池を充電するために要する時間を示すデータを参照することにより、前記電池データが示す残量と前記利用内容において必要な電池残量とに基づいて、前記電池の残量が前記所要残量に達するまでに要する充電時間を算出し、前記利用予定時期よりも前に前記電池の残量が前記所要残量に達する前記移動体の前記電池の充電を開始するように前記充電装置を制御する、
請求項5に記載の充電制御装置。
【請求項8】
前記移動体が使用する前記電池は着脱可能であり、
前記充電制御装置は、それぞれ容量が異なる複数の電池から前記所要残量に基づいて選択された一以上の電池の残量を示す電池データを取得する電池データ取得部をさらに有し、
前記充電制御部は、前記電池データが示す残量と前記所要残量とに基づいて、前記電池の残量が前記所要残量に達するまでに要する充電時間を算出し、前記利用予定時期よりも前記充電時間以上前に前記電池の充電を開始するように前記充電装置を制御する、
請求項5に記載の充電制御装置。
【請求項9】
複数の前記電池の性能試験データを取得する電池データ取得部をさらに有し、
前記充電制御部は、前記利用内容データと前記性能試験データとの関係に基づいて、前記充電装置に充電させる前記電池を選択する、
請求項5に記載の充電制御装置。
【請求項10】
前記充電制御部は、前記利用予定データ及び前記利用内容データに基づいて、同一の前記移動体を使用可能な複数の利用予定を特定し、特定した前記複数の利用予定における前記所要残量を算出する、
請求項5から9のいずれか一項に記載の充電制御装置。
【請求項11】
前記移動体が使用する前記電池は着脱可能であり、
前記充電制御部が複数の前記電池それぞれを充電させた回数を記憶する記憶部をさらに有し、
前記充電制御部は、前記移動体が使用可能な複数の前記電池のうち、前記記憶部が記憶する前記回数が少ない前記電池を、前記回数が多い前記電池よりも優先して前記充電装置に充電させる、
請求項1から
10のいずれか一項に記載の充電制御装置。
【請求項12】
移動体が使用する電池を充電する充電ポートを有する充電装置と、
前記充電装置を制御する充電制御装置と、
を備え、
前記充電制御装置は、
前記移動体の利用予定時期を示す利用予定データを取得する予定データ取得部と、
前記利用予定データが示す前記利用予定時期までの期間が基準期間以上である場合、前記移動体が使用する電池の残量を所定範囲内にし、前記利用予定時期までの期間が前記基準期間未満である場合、前記電池の残量が前記所定範囲よりも多くなるように前記電池を充電するように前記充電装置を制御する充電制御部と、
を有
し、
前記充電装置は、
複数の前記移動体が待機可能な複数の待機スペースと、
前記複数の待機スペースのいずれかの位置に前記充電ポートを移動させる移動制御部と、
を有し、
前記充電制御部は、前記利用予定データに基づいて、前記充電装置に待機している複数の前記移動体のうち前記充電装置に前記電池を充電させる前記移動体を選択し、選択した前記移動体が待機している前記待機スペースに前記充電ポートを移動させるように前記充電装置を制御する、充電制御システム。
【請求項13】
移動体が使用する電池を充電する充電ポートを有する充電装置と、
前記充電装置を制御する充電制御装置と、
を備え、
前記充電制御装置は、
前記移動体の利用予定時期を示す利用予定データを取得する予定データ取得部と、
前記利用予定データが示す前記利用予定時期までの期間が基準期間以上である場合、前記移動体が使用する電池の残量を所定範囲内にし、前記利用予定時期までの期間が前記基準期間未満である場合、前記電池の残量が前記所定範囲よりも多くなるように前記電池を充電するように前記充電装置を制御する充電制御部と、
を有し、
前記充電制御部は、前記利用予定データに基づいて、前記充電装置に待機している複数の前記移動体のうち前記充電装置に前記電池を充電させる前記移動体を選択し、前記選択した前記移動体に対して、前記充電ポートの位置まで移動させるための指示データを送信する、
充電制御システム。
【請求項14】
移動体が使用する電池を充電する充電ポートを有する充電装置と、
前記充電装置を制御する充電制御装置と、
を備え、
前記充電制御装置は、
前記移動体の利用予定時期を示す利用予定データを取得する予定データ取得部と、
前記利用予定データが示す前記利用予定時期までの期間が基準期間以上である場合、前記移動体が使用する電池の残量を所定範囲内にし、前記利用予定時期までの期間が前記基準期間未満である場合、前記電池の残量が前記所定範囲よりも多くなるように前記電池を充電するように前記充電装置を制御する充電制御部と、
を有
し、
前記移動体は、第1の容量の大容量電池を単独で、又は前記第1の容量よりも小さい第2の容量の複数の小容量電池を連結した状態で使用可能であり、
前記充電制御部は、前記利用予定データが示す前記利用予定時期までの時間の長さに基づいて、前記充電装置に前記大容量電池に充電させるか複数の前記小容量電池に充電させるかを決定する、充電制御システム。
【請求項15】
移動体が使用する電池を充電する充電ポートを有する充電装置と、
前記充電装置を制御する充電制御装置と、
を備え、
前記充電制御装置は、
前記移動体の利用予定時期を示す利用予定データを取得する予定データ取得部と、
前記利用予定データが示す前記利用予定時期までの期間が基準期間以上である場合、前記移動体が使用する電池の残量を所定範囲内にし、前記利用予定時期までの期間が前記基準期間未満である場合、前記電池の残量が前記所定範囲よりも多くなるように前記電池を充電するように前記充電装置を制御する充電制御部と、
天候を示す天候データを取得する天候データ取得部と、
を有
し、
前記充電制御部は、前記天候データを参照することにより、前記利用予定データが示す前記利用予定時期における天候を特定し、特定した天候に基づいて前記電池を前記充電装置に充電させるか否かを決定する、充電制御システム。
【請求項16】
コンピュータが、
移動体の利用予定時期を示す利用予定データを取得するステップと、
前記利用予定データが示す前記利用予定時期までの期間が基準期間以上である場合、前記移動体が使用する電池の残量を所定範囲内にし、前記利用予定時期までの期間が前記基準期間未満である場合、前記電池の残量が前記所定範囲よりも多くなるように前記電池を充電するように充電装置を制御するステップと、
を実行
し、
前記移動体は、第1の容量の大容量電池を単独で、又は前記第1の容量よりも小さい第2の容量の複数の小容量電池を連結した状態で使用可能であり、
前記充電装置を制御するステップにおいて、前記利用予定データが示す前記利用予定時期までの時間の長さに基づいて、前記充電装置に前記大容量電池に充電させるか複数の前記小容量電池に充電させるかを決定する、充電制御方法。
【請求項17】
コンピュータが、
移動体の利用予定時期を示す利用予定データを取得するステップと、
前記利用予定データが示す前記利用予定時期までの期間が基準期間以上である場合、前記移動体が使用する電池の残量を所定範囲内にし、前記利用予定時期までの期間が前記基準期間未満である場合、前記電池の残量が前記所定範囲よりも多くなるように前記電池を充電するように充電装置を制御するステップと、
天候を示す天候データを取得するステップと、
を実行
し、
前記充電装置を制御するステップにおいて、前記天候データを参照することにより、前記利用予定データが示す前記利用予定時期における天候を特定し、特定した天候に基づいて前記電池を前記充電装置に充電させるか否かを決定する、充電制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体を充電するための充電制御装置、充電制御方法及び充電制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電池により動作する移動体が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電池が使用されていない間における電池の残量を所定の範囲内にすることで電池の寿命が長くなるということが知られている。しかしながら、従来の移動体においては電池の充電量が管理されていなかったため、移動体が長期間にわたって使用されないにもかかわらず、電池の長寿命化に適していない充電状態にされている場合があるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、移動体において使用される電池の寿命を長くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る充電制御装置は、移動体の利用予定時期を示す利用予定データを取得する予定データ取得部と、前記利用予定データが示す前記利用予定時期までの期間が基準期間以上である場合、前記移動体が使用する電池の残量を所定範囲内にし、前記利用予定時期までの期間が前記基準期間未満である場合、前記電池の残量が前記所定範囲よりも多くなるように前記電池を充電するように充電装置を制御する充電制御部と、を有する。
【0007】
前記充電制御部は、前記利用予定時期までに前記電池の残量を前記移動体が使用するために必要な残量にするために充電を開始する時期まで、前記電池の残量を所定範囲内にするように前記充電装置を制御してもよい。
【0008】
前記充電制御部は、前記電池の残量が所定範囲よりも少ない場合、前記電池の残量が前記所定範囲内になるよう前記電池を充電するように前記充電装置を制御してもよい。
【0009】
前記充電制御部は、前記予定データ取得部が前記利用予定データを取得した時点における前記電池の残量が前記所定範囲の下限値よりも小さく、かつ、前記予定データ取得部が前記利用予定データを取得した時点から前記利用予定時期までの時間が前記電池の残量が所要残量に達するまでに要する充電時間よりも長い前記基準期間以上である場合、前記電池の残量が前記所定範囲内になるまで前記充電装置に前記電池を充電させ、前記電池の残量が前記所定範囲内に達した時点で前記充電装置に前記電池への充電を中断させた後に、前記電池の残量が前記所要残量以上になるまで前記充電装置に前記電池への充電を再開させてもよい。
【0010】
前記予定データ取得部は、前記移動体の利用内容を示す利用内容データをさらに取得し、前記充電制御部は、前記利用内容データが示す前記利用内容において必要な電池残量である所要残量以上になるまで前記電池を充電するように前記充電装置を制御してもよい。
【0011】
前記充電制御装置は、前記電池の残量を示す電池データを取得する電池データ取得部をさらに有し、前記充電制御部は、前記電池を充電するために要する時間を示すデータを参照することにより、前記電池データが示す残量と前記利用内容において必要な電池残量とに基づいて、前記電池の残量が前記所要残量に達するまでに要する充電時間を算出し、前記利用予定時期よりも前記充電時間以上前に前記電池の充電を開始するように前記充電装置を制御してもよい。
【0012】
前記充電制御装置は、複数の前記移動体それぞれに対応する前記電池の残量を示す電池データを取得する電池データ取得部をさらに有し、前記充電制御部は、前記電池を充電するために要する時間を示すデータを参照することにより、前記電池データが示す残量と前記利用内容において必要な電池残量とに基づいて、前記電池の残量が前記所要残量に達するまでに要する充電時間を算出し、前記利用予定時期よりも前に前記電池の残量が前記所要残量に達する前記移動体の前記電池の充電を開始するように前記充電装置を制御してもよい。
【0013】
前記移動体が使用する前記電池は着脱可能であり、前記充電制御装置は、それぞれ容量が異なる複数の電池から前記所要残量に基づいて選択された一以上の電池の残量を示す電池データを取得する電池データ取得部をさらに有し、前記充電制御部は、前記電池データが示す残量と前記所要残量とに基づいて、前記電池の残量が前記所要残量に達するまでに要する充電時間を算出し、前記利用予定時期よりも前記充電時間以上前に前記電池の充電を開始するように前記充電装置を制御してもよい。
【0014】
前記充電制御装置は、複数の前記電池の性能試験データを取得する電池データ取得部をさらに有し、前記充電制御部は、前記利用内容データと前記性能試験データとの関係に基づいて、前記充電装置に充電させる前記電池を選択してもよい。
【0015】
前記充電制御部は、前記利用予定データ及び前記利用内容データに基づいて、同一の前記移動体を使用可能な複数の利用予定を特定し、特定した前記複数の利用予定における前記所要残量を算出してもよい。
【0016】
前記移動体は、第1の容量の大容量電池を単独で、又は前記第1の容量よりも小さい第2の容量の複数の小容量電池を連結した状態で使用可能であり、前記充電制御部は、前記利用予定データが示す前記利用予定時期までの時間の長さに基づいて、前記充電装置に前記大容量電池に充電させるか複数の前記小容量電池に充電させるかを決定してもよい。
【0017】
前記移動体が使用する前記電池は着脱可能であり、前記充電制御部が複数の前記電池それぞれを充電させた回数を記憶する記憶部をさらに有し、前記充電制御部は、前記移動体が使用可能な複数の前記電池のうち、前記記憶部が記憶する前記回数が少ない前記電池を、前記回数が多い前記電池よりも優先して前記充電装置に充電させてもよい。
【0018】
前記充電制御装置は、天候を示す天候データを取得する天候データ取得部をさらに有し、前記充電制御部は、前記天候データを参照することにより、前記利用予定データが示す前記利用予定時期における天候を特定し、特定した天候に基づいて前記電池を前記充電装置に充電させるか否かを決定してもよい。
【0019】
本発明の第2の態様の充電制御システムは、移動体が使用する電池を充電する充電ポートを有する充電装置と、前記充電装置を制御する充電制御装置と、を備え、前記充電制御装置は、前記移動体の利用予定時期を示す利用予定データを取得する予定データ取得部と、前記利用予定データが示す前記利用予定時期までの期間が基準期間以上である場合、前記移動体が使用する電池の残量を所定範囲内にし、前記利用予定時期までの期間が前記基準期間未満である場合、前記電池の残量が前記所定範囲よりも多くなるように前記電池を充電するように前記充電装置を制御する充電制御部と、を有する。
【0020】
前記充電装置は、複数の前記移動体が待機可能な複数の待機スペースと、前記複数の待機スペースのいずれかの位置に前記充電ポートを移動させる移動制御部と、を有し、前記充電制御部は、前記利用予定データに基づいて、前記充電装置に待機している複数の前記移動体のうち前記充電装置に前記電池を充電させる前記移動体を選択し、選択した前記移動体が待機している前記待機スペースに前記充電ポートを移動させるように前記充電装置を制御してもよい。
【0021】
前記充電制御部は、前記利用予定データに基づいて、前記充電装置に待機している複数の前記移動体のうち前記充電装置に前記電池を充電させる前記移動体を選択し、前記選択した前記移動体に対して、前記充電ポートの位置まで移動させるための指示データを送信してもよい。
【0022】
本発明の第3の態様の充電制御方法は、コンピュータが、移動体の利用予定時期を示す利用予定データを取得するステップと、前記利用予定データが示す前記利用予定時期までの期間が基準期間以上である場合、前記移動体が使用する電池の残量を所定範囲内にし、前記利用予定時期までの期間が前記基準期間未満である場合、前記電池の残量が前記所定範囲よりも多くなるように前記電池を充電するように充電装置を制御するステップと、を実行する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、移動体において使用される電池の寿命を長くすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】充電制御システムSの概要を説明するための図である。
【
図5】充電制御部134の動作を説明するための図である。
【
図6】充電制御装置1の典型的な動作の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[充電制御システムSの概要]
図1は、充電制御システムSの概要を説明するための図である。充電制御システムSは、電池で動作する移動体3を充電するためのシステムである。充電制御システムSは、移動体3を利用するユーザから取得した利用予定に基づいて移動体3を充電する。移動体3は、例えばドローンのように空中を飛行する飛行体、電気自動車のように陸上を走行する車両又は水上若しくは水中を移動する船舶である。
【0026】
充電制御システムSは、充電制御装置1と充電装置2とを備える。充電制御装置1は、ユーザが利用する予定の移動体3に搭載された電池、又は移動体3が使用する予定の電池を充電するように充電装置2を制御するコンピュータである。充電制御装置1は、移動体3の利用予定時期を管理する予定管理装置4から移動体3の利用予定時期を示す利用予定データを取得することにより、充電装置2が電池の充電を開始するタイミングを制御する。利用予定データは、例えば、ユーザが移動体3を利用することを予約したことにより作成される。充電制御装置1が予定管理装置4の機能を内蔵していてもよい。
【0027】
充電装置2は、待機スペース21と、充電ポート22と、移動制御部23と、を有する。待機スペース21は、移動体3が待機可能なスペースである。
図1においては1枚の平面な板状に待機スペース21が形成されている。充電装置2は、1台の移動体3が待機できる待機スペース21を複数備えていてもよい。
【0028】
充電ポート22は、移動体3が使用する電池を充電するための電気回路及び機構を有しており、待機スペース21に設けられている。充電ポート22は、例えば移動体3が充電ポート22から所定の範囲内に待機している移動体3が有する電池に充電する。
図1に示す例においては、充電装置2が複数の充電ポート22(充電ポート22-1~22-6)を有する場合が示されているが、充電装置2が有する充電ポート22の数は任意である。また、
図1に示す例においては、複数の移動体3(移動体3-1~3-4)が複数の充電ポート22に結合されている状態を示しているが、充電装置2に結合される移動体3の台数も任意である。
【0029】
充電ポート22は移動可能に構成されていてもよい。この場合、移動制御部23が充電ポート22の位置を移動させる。移動制御部23は、例えば、充電が必要な移動体3が待機している位置から所定の範囲内に充電ポート22を移動させる。
【0030】
充電制御装置1は、電池の寿命が長くなるように電池の充電タイミングを制御することを特徴としている。利用予定データが示す利用予定時期までの期間が、電池の充電に要する時間に比べて十分に長い基準期間以上である場合、充電制御装置1は、移動体3が使用する電池の残量を所定範囲内にするように充電装置2を制御する。電池の残量は、例えば1時間に放電する電流量であるmAh(ミリアンペアアワー)を単位として表されるが、供給可能な電力量により表されてもよい。所定範囲は、電池の劣化が進行しづらい範囲である。充電制御装置1がこのように動作することで、移動体3が利用されるまでの時間が長い場合に、電池残量が所定範囲外の量に維持されないので、電池の寿命を長くすることができる。
【0031】
一方、利用予定時期までの期間が基準期間未満である場合、充電制御装置1は、移動体3が動作するために必要な充電量まで電池を充電するように充電装置2を制御する。充電制御装置1がこのように動作することで、電池の寿命を長くしつつ、移動体3が利用される時点における電池の残量を適切な量にすることができる。
【0032】
なお、基準期間は、充電を開始する前の電池の残量によらず一定の時間であってもよく、充電を開始する前の電池の残量に基づいて決定される時間であってもよい。電池の残量が少ないと、電池の残量が所定範囲に達するまで充電するための時間が必要なので、充電制御装置1は、電池の残量が少ないほど基準期間を長くしてもよい。
【0033】
[充電制御装置1の構成]
図2は、充電制御装置1の構成を示す図である。充電制御装置1は、通信部11と、記憶部12と、制御部13とを有する。制御部13は、予定データ取得部131と、電池データ取得部132と、天候データ取得部133と、充電制御部134と、を有する。
【0034】
通信部11は、インターネット又はイントラネット等のネットワークを介して充電装置2又は予定管理装置4との間でデータを送受信するための通信インターフェースを有する。通信部11は、予定管理装置4から受信した利用予定データを予定データ取得部131に入力する。また、通信部11は、充電装置2を介して受信した電池の残量又は電池の特性を示す電池データを電池データ取得部132に入力する。また、通信部11は、天候情報を提供しているサーバから受信した天候データを天候データ取得部133に入力する。
【0035】
さらに、通信部11は、充電制御部134から入力された制御データを充電装置2に送信する。制御データは、例えば、充電装置2が有する複数の充電ポート22を識別するための充電装置IDと、充電装置IDに対応する充電ポート22に充電を開始させる日時を示す日時データとを含む。
【0036】
記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びSSD(Solid State Drive)等の記憶媒体を有する。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを記憶する。また、記憶部12は、予定データ取得部131が取得した利用予定データを、移動体3を識別するための移動体IDに関連付けて記憶する。
【0037】
また、記憶部12は、移動体3が使用する電池の充電開始タイミングを制御部13が制御するために使用する各種のデータを記憶する。記憶部12は、例えば、移動体3の機種名と、利用内容と、必要な残量と、が関連付けられた必要残量データを記憶する。このデータは、ユーザが予約した移動体3の利用内容において必要な残量を充電制御部134が特定するために用いられる。
【0038】
図3は、必要残量データの一例を示す図である。
図3においては、機種名A及び機種名Bの移動体3を10分間の撮影、20分間の撮影、10分間の運搬、20分間の運搬のそれぞれに利用する場合に必要な残量が示されている。利用内容は一例に過ぎず、必要残量データにおいては、さらに多くの作業時間と作業内容との組み合わせに必要残量が関連付けられていてもよい。作業内容には、運搬物の形状や重量に関する情報が含まれていてもよい。
【0039】
また、記憶部12は、移動体3の機種名又は移動体3が使用する電池の型名と、充電開始時の電池残量と、充電終了時の電池残量と、所要充電時間と、が関連付けられた充電時間データを記憶する。
図4は、充電時間データの一例を示す図である。
図4の横軸は時間を示しており、縦軸は電池残量を示している。
図4においては、電池A、電池B、電池Cそれぞれの充電時間データが示されている。充電制御部134は、この充電時間データを参照することにより、充電開始時の電池残量に対応する時間と、必要な電池残量(すなわち充電終了時の電池残量)に対応する時間との差に基づいて、所要充電時間を特定することができる。
【0040】
制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)を有する。制御部13は、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、予定データ取得部131、電池データ取得部132、天候データ取得部133及び充電制御部134として機能する。
【0041】
予定データ取得部131は、通信部11を介して、移動体3の利用予定時期を示す利用予定データを取得する。利用予定データにおいては、例えば、移動体IDと、移動体IDに対応する移動体3が利用される予定の日時とが関連付けられている。予定データ取得部131は、例えば予定管理装置4から利用予定データを取得するが、予め記憶部12に記憶された利用予定データを記憶部12から取得してもよい。
【0042】
予定データ取得部131は、移動体3の利用内容を示す利用内容データをさらに取得してもよい。利用内容データは、例えば移動体3の移動先を示すデータ、又は移動体3が実行する測定若しくは撮影等の作業の内容を示すデータである。利用内容データにおいては、移動体IDと、移動体IDに対応する利用内容とが関連付けられている。予定データ取得部131は、例えば予定管理装置4から利用内容データを取得するが、予め記憶部12に記憶された利用内容データを記憶部12から取得してもよい。予定データ取得部131は、取得した利用予定データ及び利用内容データを移動体IDに関連付けて記憶部12に記憶させる。
【0043】
電池データ取得部132は、複数の移動体3それぞれに対応する電池の残量を示す電池データを取得する。電池データ取得部132は、例えば、充電装置2が有する複数の充電ポート22に結合された複数の移動体3それぞれの移動体IDに関連付けて、移動体3が使用する電池の残量を示す電池データを取得する。電池データ取得部132は、例えば、移動体3から電池の残量を示す情報を取得した充電装置2から電池データを取得する。電池データ取得部132は、移動体3と直接通信をした通信部11を介して電池データを移動体3から取得してもよい。
【0044】
また、移動体3が使用する電池が着脱可能である場合、電池データ取得部132は、移動体3が使用することが可能な複数の電池それぞれを識別するための電池IDに関連付けて、電池の管理者が使用するコンピュータ又は充電装置2から電池データを取得する。電池データ取得部132は、取得した電池データを電池ID又は移動体IDに関連付けて記憶部12に記憶させる。
【0045】
電池データ取得部132は、それぞれ容量が異なる複数の電池から、利用内容データが示す利用内容において必要な電池の残量(所要残量)に基づいて選択された一以上の電池の残量を示す電池データを取得してもよい。容量は、電池に充電可能な最大残量である。電池データ取得部132は、例えば、充電制御部134により選択された、所要残量よりも大きな一以上の容量の一以上の電池の電池データを取得する。
【0046】
電池データ取得部132は、電池の管理者が使用するコンピュータから複数の電池の性能試験データを取得してもよい。性能試験データは、例えば、電池に蓄積可能な電流容量を示すデータ、出力電圧特性データ又は放電特性データである。
【0047】
天候データ取得部133は、天候を示す天候データを取得する。天候データ取得部133は、例えば、通信部11を介して、天候データを提供する外部のサーバから天候データを取得する。天候データには、移動体3が飛行可能か否かを判定するために必要なデータとして、例えば風速又は雨量の予報データが含まれている。
【0048】
充電制御部134は、充電装置2に制御データを送信することにより充電装置2の動作を制御する。充電制御部134は、充電装置2に電池を充電させる移動体3を選択したり、充電させる電池を選択したり、充電を開始するタイミング又は充電を停止するタイミングを決定したりする。充電制御部134は、充電する対象となる電池又は移動体3を識別するための情報を含む制御データ、又は充電を開始若しくは停止するタイミングを示す制御データを充電装置2に送信する。以下、充電制御部134の動作を詳細に説明する。
【0049】
(充電開始タイミング)
充電制御部134は、例えば、充電装置2が移動体3に充電するタイミングを制御する。一例として、充電制御部134は、利用予定データが示す利用予定時期までの期間が基準期間以上である場合、移動体3が使用する電池の残量を電池の劣化が進行しづらい所定範囲内にするように充電装置2を制御する。一方、充電制御部134は、利用予定時期までの期間が基準期間未満である場合、電池の残量が所定範囲よりも多くなるように電池を充電するように充電装置2を制御する。
【0050】
充電制御部134は、例えば、利用予定時期までに電池の残量を移動体3が使用するために必要な残量にするために充電を開始する時期まで、電池の残量を所定範囲内にするように充電装置2を制御する。また、充電制御部134は、電池の残量が所定範囲よりも少ない場合、電池の残量が所定範囲内になるよう電池を充電するように充電装置2を制御してもよい。
【0051】
具体的には、充電制御部134は、予定データ取得部131が利用予定データを取得した時点における電池の残量が所定範囲の下限値よりも小さく、かつ、予定データ取得部131が利用予定データを取得した時点から利用予定時期までの時間が充電に要する時間よりも長い基準期間以上である場合、電池の残量が所定範囲内になるまで充電装置2に電池を充電させる。そして、充電制御部134は、電池の残量が所定範囲内に達した時点で充電装置2に電池への充電を中断させる。その後、充電を再開するべき時期になると、電池の残量が、利用内容データが示す利用内容において必要な所要残量以上になるまで充電装置2に電池への充電を再開させる。
【0052】
充電を再開するべき時期は、利用予定時期よりも、所定範囲内の残量の電池を、利用内容データが示す利用内容において必要な残量(すなわち所要残量)に達するまでに充電するために要する時間よりも前の時期である。すなわち、充電制御部134は、利用予定時期において充電が完了するように、充電装置2に電池への充電を再開させる。充電制御部134は、利用予定データを取得した時点から利用予定時期までの時間が充電に要する時間に、所定期間を加算した期間を基準期間にしてもよい。所定期間は、電池の残量を所定範囲外に維持してもよい最小時間であり、例えば1時間である。
【0053】
図5は、充電制御部134の動作を説明するための図である。
図5の横軸は時刻を示しており、縦軸は電池の残量を示している。
図5は、充電制御部134が充電装置2を制御することにより電池を充電し、電池の残量が変化する様子を示している。縦軸における「100%」は、電池に充電可能な最大の残量が充電された状態に対応する。
【0054】
図5に示す例においては、移動体3を15:00から利用するための予約が10:00に行われたことが想定されている。
図5に示す2点鎖線「必要残量」は、予約された利用内容において必要な残量を示している。
【0055】
予約が行われた10:00の時点では、移動体3の電池の充電量は、最大充電量の20%しかなく、必要残量に達していない。そこで、充電制御部134は、充電量が所定範囲(
図5の例では最大充電量の50%±α)になるまで電池を充電するように充電装置2を制御する。所定範囲の大きさは、充電装置2が電池の充電量を制御できる精度に対応しており、例えば50±5%である。充電制御部134は、例えば、充電装置2から電池の残量を示すデータを取得し、取得したデータが示す電池の残量を所定の範囲の値と比較することにより、電池の充電を中断するタイミングを決定する。
【0056】
充電量が所定の範囲に達した11:00の時点では、移動体3の利用開始時刻である15:00までに4時間ある。所定範囲まで充電された電池を必要残量に達するまで充電するために要する時間が2時間であるとすると、11:00からさらに充電を続けると、必要残量まで充電できてから移動体3の利用が開始されるまでの2時間は、充電量が所定範囲外になってしまい電池が劣化してしまう。
【0057】
そこで、充電制御部134は、電池を充電するために要する時間を示す充電時間データを参照することにより、電池データが示す残量と利用内容において必要な電池残量とに基づいて、電池の残量が所要残量に達するまでに要する充電時間(すなわち所要充電時間)を算出する。
図4に示したように、充電時間データにおいては、電池の充電前の残量と、電池の充電後の残量と、充電に要する時間とが関連付けられている。
【0058】
充電制御部134は、充電時間データにおいて、充電装置2から取得した電池の残量と、移動体3の利用内容に必要な残量との組み合わせに対応する充電時間を特定する。そして、充電制御部134は、利用予定時期よりも算出した充電時間以上前の所定の時刻までは、電池の残量が所定範囲内に維持されるように充電装置2を制御する。その後、充電制御部134は、利用予定時期よりも、算出した充電時間以上前に電池の充電を開始するように充電装置2を制御する。
【0059】
図5に示す例の場合、充電制御部134は、13:00になった時点で充電を再開するように充電装置2を制御することで、15:00の時点で電池の残量が必要残量に到達する。充電制御部134は、移動体3の利用開始時刻よりも所定時間だけ早く充電が完了するように、所定範囲内の充電量の電池の充電を再開してもよい。所定時間は、例えば、充電時間のばらつきの大きさに基づいて決定された時間である。
【0060】
このように、移動体3の利用の予約が行われてから利用開始時刻までの時間が、移動体3の電池の充電量が必要残量に達するまで充電するために必要な時間よりも長い場合に、電池の残量を所定範囲内にするように充電制御部134が充電装置2を制御することで、電池の劣化を抑制することができる。
【0061】
必要残量は、移動体3がどのような利用内容で利用されるかによって異なる。移動体3の利用内容において電力が不足することがないように、充電制御部134は、利用内容データが示す利用内容において必要な電池残量である所要残量以上になるまで電池を充電するように充電装置2を制御する。ただし、必要以上に多くの電力を電池に充電すると、電池が劣化しやすくなるとともにエネルギーの損失にもつながるので、充電制御部134は、所要残量以上であり、かつ所要残量に対して所定の余裕量を加算した量まで電池を充電するように充電装置2を制御してもよい。所定の余裕量は、移動体3の利用内容における消費残量のばらつき範囲に基づいて定められており、利用内容によって異なる値であってもよい。
【0062】
(充電する電池の選択)
また、移動体3を予約したユーザの利用内容で使用できる移動体3が複数ある場合、充電制御部134は、電池データ取得部132が取得した複数の移動体3それぞれに対応する電池の残量を示す電池データを参照することにより、充電装置2に充電させるのに適した移動体3を選択してもよい。充電装置2に充電させるのに適した移動体3は、例えば、利用予定時期よりも前に、電池の残量が必要残量に達するように充電できる移動体3である。
【0063】
具体的には、充電制御部134は、電池を充電するために要する時間を示すデータを参照することにより、複数の移動体3それぞれに対応する電池データが示す残量と利用内容において必要な電池残量とに基づいて、それぞれの移動体3の電池の残量が所要残量に達するまでに要する充電時間を算出する。そして、充電制御部134は、利用予定時期よりも前に電池の残量が所要残量に達する移動体3の電池の充電を開始するように充電装置2を制御する。充電装置2に充電させるのに適した移動体3が複数ある場合、充電制御部134は、例えば、電池の残量が所要残量に達するまでに要する時間が最短の移動体3を選択する。
【0064】
充電装置2が充電可能な電池が複数ある場合、充電制御部134は、それぞれ容量が異なる複数の電池から、利用内容データが示す利用内容において必要な電池の残量(所要残量)に基づいて選択した一以上の電池を充電するように充電装置2を制御してもよい。具体的には、まず、充電制御部134は、電池データが示す残量と、ユーザによる移動体3の利用内容において必要な電池残量とに基づいて、電池の残量が所要残量に達するまでに要する充電時間を算出する。そして、充電制御部134は、利用予定時期よりも所要充電時間以上前に電池の充電を開始するように充電装置2を制御する。
【0065】
ところで、利用内容によって、要求される電池の性能が異なるという場合がある。例えば、安全性に対する要求レベルが高い利用内容においては、安全性に対する要求が低い利用内容よりも高性能の電池を使用することが望ましい。そこで、充電制御部134は、利用内容データと性能試験データとの関係に基づいて、充電装置に充電させる電池を選択してもよい。
【0066】
充電制御部134は、例えば、予め記憶部12に記憶された、利用内容と、要求される電池の性能との関係を示すデータを参照することにより、利用内容データが示す利用内容において使用可能な性能を性能試験データが示している電池を選択する。充電制御部134は、要求される性能を満たす電池が複数ある場合、当該複数の電池のうち最も性能が低い電池を選択してもよい。充電制御部134がこのように動作することで、比較的性能が高い電池を他のユーザのために確保しておくことが可能になる。
【0067】
また、移動体3が、第1の容量の大容量電池を単独で使用することが可能であり、第1の容量よりも小さい第2の容量の複数の小容量電池を連結した状態で使用することも可能である場合、充電制御部134は、各種の条件に基づいて、大容量電池を充電装置2に充電させるか複数の小容量電池を充電装置2に充電させるかを決定してもよい。充電制御部134は、例えば、利用予定データが示す利用予定時期までの時間の長さに基づいて、充電装置に大容量電池に充電させるか複数の小容量電池に充電させるかを決定する。複数の小容量電池の容量は、同一であってもよく、それぞれ異なっていてもよい。
【0068】
一例として、利用予定データが示す利用予定時期までの時間の長さが、必要残量に達するまで大容量電池を充電するために要する時間以上である場合に、充電制御部134は、一つの大容量電池を充電装置2に充電させる。一方、利用予定データが示す利用予定時期までの時間の長さが、必要残量に達するまで大容量電池を充電するために要する時間よりも短い場合に、充電制御部134は、複数の小容量電池を充電装置2に充電させる。
【0069】
具体的には、充電制御部134は、複数の小容量電池の合計容量が必要残量よりも大きく、かつ、最も充電に時間を要する小容量電池の充電時間が、利用予定時期までの時間の長さよりも短いという条件を満たす複数の小容量電池を、充電装置2に並行して充電させる。充電制御部134がこのように動作することで、移動体3の動作に必要な残量を充電できる大容量電池に充電する時間が足りない場合であっても、ユーザが利用予定時期に移動体3の利用を開始することができる。
【0070】
(充電回数の平準化)
電池は充放電をするたびに劣化が進行する。したがって、多数の電池がある場合に一部の電池が他の電池よりも劣化し過ぎることがないように、複数の電池の充放電回数を平準化することが望ましい。
【0071】
そこで、充電制御部134は、複数の電池それぞれを充電させた回数を記憶部12に記憶させ、移動体3が使用可能な複数の電池のうち、記憶部12が記憶する回数が少ない電池を、回数が多い電池よりも優先して充電装置2に充電させるようにしてもよい。記憶部12は、例えば、電池を識別するための情報に関連付けて、充電された回数を記憶する。記憶部12は、充電された日時をさらに記憶してもよく、充電制御部134は、充電日時の間隔ができるだけ均等になるように、充電装置2に充電させる電池を選択してもよい。
【0072】
また、例えばリチウムポリマー電池においては、満充電されると劣化が進むので、充電制御部134は、複数の電池それぞれが満充電状態になった回数を記憶部12に記憶させ、移動体3が使用可能な複数の電池のうち、満充電された回数が少ない電池を、満充電された回数が多い電池よりも優先して充電装置2に充電させるようにしてもよい。
【0073】
(複数のユーザによる移動体3の共用)
一人のユーザが移動体3を利用する時間が短い場合、一人のユーザによる移動体3の利用が終了するたびに電池を充電すると効率が悪く、電池の充電と放電の繰り返し回数が増えることにより電池も劣化する。そこで、充電制御システムSは、移動体3が使用する電池を1回充電してから次に充電するまでの間に、複数のユーザが同一の移動体3を順次利用することを前提にして充電装置2に電池を充電させてもよい。
【0074】
このようにするために、充電制御部134は、利用予定データ及び利用内容データに基づいて、同一の移動体3を使用可能な複数の利用予定を特定する。同一の移動体3を使用可能な複数の利用予定は、同一の移動体3により対応可能な利用内容であり、かつ、利用予定の時間帯が重なっていない複数の利用予定である。充電制御部134は、特定した複数の利用予定における所要残量を算出する。具体的には、充電制御部134は、複数の利用予定の利用内容それぞれにおいて必要な残量を加算することにより、複数の利用予定の所要残量を算出する。充電制御部134は、加算した残量に所定のマージンを加算することにより所要残量を算出してもよい。
【0075】
この場合、充電制御部134は、同一の移動体3を利用する複数の利用予定のうち、最も早い利用予定の利用開始時刻までに、電池の充電量が必要残量に達するように充電装置2を制御する。具体的には、充電制御部134は、複数の利用予定を決定した後に、充電開始前の電池の残量と算出した所要残量とに基づいて所要充電時間を算出する。そして、充電制御部134は、最も早い利用予定の利用開始時刻よりも、算出した所要充電時間以上前の時刻を充電開始時刻に決定する。
【0076】
(天候に応じた充電制御)
ユーザが移動体3を予約して利用予定が決まっているとしても、天候が悪い場合には移動体3が飛行をできないという場合もある。ユーザが移動体3を利用することができないにもかかわらず移動体3の電池を充電してしまうと、電池に所定範囲以上の電力が充電された状態が維持されてしまうので電池が劣化する。
【0077】
そこで、充電制御部134は、天候データ取得部133が取得した天候データを参照することにより、利用予定データが示す利用予定時期における天候を特定し、特定した天候に基づいて電池を充電装置2に充電させるか否かを決定してもよい。充電制御部134は、特定した天候に基づいて、移動体3が予定どおりに飛行できると判定した場合、利用予定時期に間に合うように充電装置2に充電を開始させる。
【0078】
一方、充電制御部134は、特定した天候に基づいて移動体3が飛行できないと判定した場合、利用予定時期が近づいたとしても充電装置2に充電を開始させない。充電制御部134は、移動体3が飛行できないと判定した場合、通信部11を介してユーザが又は移動体3の管理者が使用する情報端末(例えばスマートフォン又はコンピュータ)に充電中止の承認を受けるための画面を表示させ、充電中止の承認を受けたことを条件として、充電装置2に充電を開始させないようにしてもよい。
【0079】
[充電ポート22の移動制御]
充電制御システムSにおいては、充電ポート22が移動可能に構成されていてもよい。この場合、充電装置2の移動制御部23は、複数の待機スペース21のいずれかの位置に充電ポート22を移動させる。具体的には、移動制御部23は、充電する対象の移動体3に充電ポート22が充電をできるようにするべく、移動体3が待機している位置に充電ポート22を移動させる。
【0080】
一例として、移動制御部23は、充電制御部134からの指示に基づいて充電ポート22を移動させる。この場合、充電制御部134は、利用予定データに基づいて、充電装置2に待機している複数の移動体3のうち充電装置2に電池を充電させる移動体3を選択し、選択した移動体3が待機している待機スペース21に充電ポート22を移動させるように充電装置2を制御する。
【0081】
充電制御部134がこのように充電装置2を制御できるようにするために、充電制御部134は、充電装置2又は移動体3から、移動体3が待機している位置を示すデータを取得してもよい。充電制御部134は、例えば、移動体3が待機している待機スペース21を特定するための識別情報を移動制御部23から取得する。移動体3が、待機している待機スペース21の位置又は待機スペース21の識別情報を特定し、充電制御部134は、移動体3が待機している待機スペース21の位置を示す情報又は待機スペース21の識別情報を移動体3から取得してもよい。充電制御装置1及び充電装置2がこのように構成されていることで、待機スペース21の数が充電ポート22の数よりも多い場合であっても、移動体3が待機後に移動することなく充電装置2が移動体3の電池を充電することができる。
【0082】
[移動体3の移動制御]
充電制御システムSにおいては、移動体3の位置まで充電ポート22を移動させる代わりに、移動体3を充電ポート22の位置まで移動させてもよい。この場合、充電制御部134は、利用予定データに基づいて、充電装置2に待機している複数の移動体3のうち充電装置2に電池を充電させる移動体3を選択し、選択した移動体3に対して、充電ポート22の位置まで移動させるための指示データを送信する。
【0083】
充電制御部134は、例えば移動体3に充電をしていない充電ポート22を特定し、特定した充電ポート22の位置を示す位置情報又は充電ポート22の識別情報を移動体3に送信する。移動体3は、受信した位置情報又は識別情報に対応する位置まで移動し、移動が完了すると、移動が完了した旨を充電制御部134に通知する。充電制御部134は、移動が完了した旨の通知を受信した後に、移動体3への充電を開始する。充電制御装置1及び移動体3がこのように動作することで、充電ポート22が固定されている場合であっても、充電装置2が移動体3の電池に充電することができる。
【0084】
[充電制御装置1の動作の流れ]
図6は、充電制御装置1の典型的な動作の流れを示すフローチャートである。
図6に示すフローチャートは、ユーザが移動体3の利用の予約を行った時点から開始している。
【0085】
予定データ取得部131は、移動体3の利用の予約が行われたという通知を予定管理装置4から受けると、利用予定データ及び利用内容データを予定管理装置4から取得する(S1)。続いて、電池データ取得部132は、利用の予約が行われた移動体3が有する電池、又は移動体3が使用可能な電池の残量を示す電池データを充電装置2から取得する(S2)。
【0086】
続いて、充電制御部134は、例えば、記憶部12に記憶された、移動体3の機種名と利用内容と必要な残量とが関連付けられた必要残量データを参照することにより、ステップS1で取得された利用内容データが示す利用内容において必要な残量を特定する(S3)。
【0087】
そして、充電制御部134は、ステップS2で取得された電池データが示す電池の残量と必要残量との関係に基づいて、当該残量の電池を必要残量が充電された状態になるまで充電するために要する第1所要時間を算出する(S4)。充電制御部134は、例えば、記憶部12に記憶された、移動体3の機種名又は移動体3が使用する電池の型名と、充電開始時の電池残量と、充電終了時の電池残量と、所要充電時間とが関連付けられた充電時間データを参照することにより、予約された移動体3の所要充電時間を算出する。
【0088】
さらに、充電制御部134は、移動体3が使用する電池に関連付けられた所定範囲の電池残量の電池を必要残量が充電された状態になるまで充電するために要する第2所要時間を算出する(S5)。充電制御部134は、利用予定データが示す利用開始時刻よりも第2所要時間だけ前の時刻を、所定範囲の状態から充電を開始する時刻(充電開始時刻)に決定する。
【0089】
続いて、充電制御部134は、利用予定データが示す利用開始時刻までの残時間よりも第1所要時間が長いか否かを判定する(S6)。充電制御部134は、第1所要時間が残時間よりも長いと判定した場合(S6においてNO)、他の電池の電池データを取得するように電池データ取得部132に指示し、第1所要時間が残時間以下であると判定できるまで(S6においてYESになるまで)、ステップS2からS5の処理を繰り返す。
【0090】
なお、充電制御部134は、第1所要時間が残時間よりも長いと判定した場合、充電が間に合わないということを示す警告情報を出力してもよい。充電制御部134は、例えば、警告情報をディスプレイに表示したり、移動体3の管理者が使用する情報端末に警告情報を送信したりする。
【0091】
続いて、充電制御部134は、第1所要時間と残時間との差の時間を算出し、差の時間が閾値以上であるか否かを判定する(S7)。閾値は、電池が使用されていない状態で電池の残量を所定範囲以上にしておくことが望ましくない時間であり、例えば1時間である。
【0092】
充電制御部134は、差の時間が閾値以上であると判定した場合(S7においてYES)、電池残量が所定範囲内に維持されるように充電装置2を制御する(S8)。具体的には、充電制御部134は、電池残量が所定範囲未満である場合には、電池残量が所定範囲に達するまで充電装置2に電池を充電させ、電池残量が所定範囲内である場合には充電装置2に電池を充電させない。一方、充電制御部134は、差の時間が閾値未満である場合(S7においてNO)、充電装置2に電池の充電を開始させる。
【0093】
その後、充電制御部134は、電池残量が所定範囲内の状態において、ステップS5で算出した充電開始時刻になったか否かを判定する(S9)。充電制御部134は、充電開始時刻になったと判定すると(S9においてYES)、電池への充電を開始するように充電装置2に指示する(S10)。充電制御部134は、充電装置2から定期的に送信される電池残量を示すデータに基づいて必要残量の充電が完了したかどうかを監視し(S11)、電池残量が必要残量に達したと判定した場合(S11においてYES)、充電処理を終了する。
【0094】
[充電制御システムSによる効果]
以上説明したように、充電制御部134は、ユーザが移動体3を利用する予定の時期までの期間が基準期間以上である場合、移動体3が使用する電池の残量を所定範囲内にし、移動体3を利用する予定の時期までの期間が基準期間未満である場合、電池の残量が前記所定範囲よりも多くなるように電池を充電するように充電装置2を制御する。充電制御部134がこのように動作することで、ユーザが移動体3を利用する予定の時期が、電池の充電に要する時間よりも十分に長い場合に、電池の残量を適切な範囲に維持することができるので、電池の寿命を長くすることが可能になる。
【0095】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0096】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0097】
1 充電制御装置
2 充電装置
3 移動体
4 予定管理装置
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
21 待機スペース
22 充電ポート
23 移動制御部
131 予定データ取得部
132 電池データ取得部
133 天候データ取得部
134 充電制御部