(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-17
(45)【発行日】2024-07-25
(54)【発明の名称】シリコーンゴム塊用組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 83/04 20060101AFI20240718BHJP
C08K 5/54 20060101ALI20240718BHJP
A61K 6/887 20200101ALI20240718BHJP
A61K 6/30 20200101ALI20240718BHJP
C07F 7/10 20060101ALI20240718BHJP
C09J 183/10 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
C08L83/04
C08K5/54
A61K6/887
A61K6/30
C07F7/10 S
C09J183/10
(21)【出願番号】P 2021509830
(86)(22)【出願日】2019-08-20
(86)【国際出願番号】 EP2019072280
(87)【国際公開番号】W WO2020038950
(87)【国際公開日】2020-02-27
【審査請求日】2022-04-07
(32)【優先日】2018-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】510054005
【氏名又は名称】ニトロヘミー、アッシヤウ、ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100122297
【氏名又は名称】西下 正石
(72)【発明者】
【氏名】クラウス・ランガーバインス
(72)【発明者】
【氏名】アレクシス・クルップ
(72)【発明者】
【氏名】ウルリヒ・ピヒル
【審査官】西山 義之
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-537015(JP,A)
【文献】特開昭60-135458(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00- 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の成分a~cを含む組成物:
a.一般構造式R
1
mSi(R)
4-mを有する化合物を含む、シリコーンゴム塊用硬化剤:
式中、
各R
1は、独立して、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C16アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルケニル基、又は要すれば置換されたC4~C14アリール基を表し、
mは0から2までの整数であり、
各Rは、独立して、以下からなる群から選択されるものである:
- 一般構造式(I)を有するヒドロキシカルボン酸エステル残基:
【化1】
式中、
各R
2は、独立して、水素原子、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C16アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルケニル基、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルキニル基、又はC4~C14アリール基を表し、
各R
3は、独立して、水素原子、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C16アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルケニル基、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルキニル基、又はC4~C14アリール基を表し、
R
4は、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C16アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルケニル基、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルキニル基、C4~C14シクロアルキル基、C5~C15アラルキル基、又はC4~C14アリール基を表し、
R
5は、炭素原子、又は4~14個の炭素原子を有する、要すれば置換された飽和又は部分的に不飽和の環状環系、又は4~14個の炭素原子を有する、要すれば置換された芳香族基であり、
nは0~10の整数である;
- 一般構造式(II)のヒドロキシカルボン酸アミド残基:
【化2】
式中、
各R
6は、独立して、水素原子、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C16アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルケニル基、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルキニル基、又はC4~C14アリール基を表し、
各R
7又はR
8は、独立して、水素原子、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C16アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルケニル基、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルキニル基、又はC4~C14アリール基を表す;
- O-C(O)-R
9、式中、R
9は、水素原子、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C16アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルケニル基、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルキニル基、C4~C14シクロアルキル基、又はC4~C14アリール基を表す;
- O-N=CR
10R
11、式中、R
10及びR
11は、独立して、水素原子、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C16アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルケニル基、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルキニル基、C4~C14シクロアルキル基、又はC4~C14アリール基を表す;
b1.水スカベンジャー、アルコールスカベンジャー及び/又は水酸化物イオンスカベンジャーとして、少なくとも1つの複素環式オルガノシラン、ここに、少なくとも1つのケイ素原子及び少なくとも1つのヘテロ原子が相互に直接連結され、ヘテロ原子が窒素原子、リン原子、イオウ原子又は酸素原子からなる群から選択され;又は
b2.一般構造式(VII)のイミノシラン、一般構造式(VIII)のシラノアミノシラン、一般構造式(IX)に由来する(IXa)~(IXe)のアミノ保護基含有オルガノシラン又はそれらの混合物からなる群から選択される少なくともひとつのオルガノシラン:
【化3】
式中、
- R
hはC又はSiであり;
- 各R
i、R
jは、独立して、水素原子、-C(O)R
t、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C16アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルケニル基、又は要すれば置換されたC4~C14アリール基を意味し
- 各R
k、R
l、R
mは、独立して、水素原子、-C(O)R
t、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C16アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルケニル基、又は要すれば置換されたC4~C14アリール基を意味し
- 各R
n、R
o、R
p、R
q、R
r、R
sは、独立して、水素原子、-C(O)R
t、-COOR
t、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C16アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルケニル基、又は要すれば置換されたC4~C14アリール基を意味し
- 各R
t、R
u、は、独立して、水素原子、-OR
i、-C(O)R
i、-C(O)CF
3、-COOR
i、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C16アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルケニル基、要すれば置換されたC4~C14アリール基、又はtert-ブトキシカルボニル基、フルオレニルメトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、要すれば置換されたイソインドール-1,3-ジオン基又は3-メチル-ベンゼンスルホン基を意味し、及び
-zは1~30の整数であり;及び
c.要すれば少なくとも1つのオルガノポリシロキサン。
【請求項2】
1つ以上の複素環式オルガノシランは、一般構造式(III)、(IIIa)、(IV)、(IVa)、(V)、(Va)、又はそれらの混合物の群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物:
【化4】
式中、
aは0、1、又は2であり;
xは0~100を意味し;
yは1~1000を意味し;
nは0~6を意味し;
- 各R
a、R
b、R
c、R
d、R
e、R
f、又はR
gは、独立して、水素原子、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C20アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C20アルケニル基、要すれば置換されたC3~C20シクロアルキル基、要すれば置換されたC4~C20シクロアルケニル基、要すれば置換された、直鎖、分岐鎖又は環状のC4~C20アルキニル基、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C20ヘテロアルキル基、要すれば置換された、直鎖、分岐鎖又は環状のC3~C20ヘテロアルケニル基、又は要すれば置換されたC4~C14アリール又はヘテロアリール基であり;
- 各R
A及び/又はR
B及び/又は(R
C)
nは一緒になって、4~10員環を形成する。
【請求項3】
少なくとも、請求項1に記載する少なくとも1つの硬化剤と、請求項1に記載する少なくとも1つのオルガノシラン及び/又は請求項2に記載する複素環式オルガノシランとを、混合することによって得られる混合物を含む組成物。
【請求項4】
複素環式オルガノシランは、それぞれ組成物の総重量に基づいて、最大3重量%含まれることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
複素環式オルガノシランが4~10員の複素環であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
複素環式オルガノシランが5~6員の複素環であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
複素環
式オルガノシランが、少なくとも1つの窒素原子を含むことを特徴とする、請求項4~6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記複素環式オルガノシランのケイ素原子が少なくとも1つのOR
d残基を有し、各R
dが、独立して、水素原子、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C20アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C20アルケニル基、要すれば置換されたC3~C20シクロアルキル基、要すれば置換されたC4~C20シクロアルケニル基、要すれば置換された、直鎖、分岐鎖又は環状のC4~C20アルキニル基、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C20ヘテロアルキル基、要すれば置換された、直鎖、分岐鎖又は環状のC3~C20ヘテロアルケニル基、又は要すれば置換されたC4~C14アリール又はヘテロアリール基を有することを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
複素環式オルガノシランが、以下の構造式の少なくとも1つを有することを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の組成物:
【化5】
式中、
aは0、1、又は2であり
;
nは0~6を意味し;
- 各R
a、R
b、R
c、R
d、又はR
gは、独立して、水素原子、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C20アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C20アルケニル基、要すれば置換されたC3~C20シクロアルキル基、要すれば置換されたC4~C20シクロアルケニル基、要すれば置換された、直鎖、分岐鎖又は環状のC4~C20アルキニル基、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C20ヘテロアルキル基、要すれば置換された、直鎖、分岐鎖又は環状のC3~C20ヘテロアルケニル基、又は要すれば置換されたC4~C14アリール又はヘテロアリール基であり;
- 各R
A及び/又はR
B及び/又は(R
C)
nは一緒になって、4~10員環を形成する。
【請求項10】
以下の成分a及びbを含む組成物。
a.一般構造式R
1
mSi(R)
4-mを有する化合物を含む、シリコーンゴム塊用硬化剤:
式中、
各R
1は、独立して、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C16アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルケニル基、又は要すれば置換されたC4~C14アリール基を表し、
mは0から2までの整数であり、
各Rは、独立して、以下からなる群から選択されるものである:
- O-N=CR
10R
11、式中、R
10及びR
11は、独立して、水素原子、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C16アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルケニル基、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルキニル基、C4~C14シクロアルキル基、又はC4~C14アリール基を表す、
及び
b.少なくとも1つの以下の構造式を有する複素環式オルガノシラン:
【化6】
式中、
aは0、1、又は2であり
;
nは0~6を意味し;
- 各R
a、R
b、R
c、R
d、又はR
gは、独立して、水素原子、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C20アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C20アルケニル基、要すれば置換されたC3~C20シクロアルキル基、要すれば置換されたC4~C20シクロアルケニル基、要すれば置換された、直鎖、分岐鎖又は環状のC4~C20アルキニル基、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C20ヘテロアルキル基、要すれば置換された、直鎖、分岐鎖又は環状のC3~C20ヘテロアルケニル基、又は要すれば置換されたC4~C14アリール又はヘテロアリール基であり;
各R
A及び/又はR
B及び/又は(R
C)
nは一緒になって、4~10員環を形成する。
【請求項11】
少なくとも1つのオルガノポリシロキサンを
さらに含むことを特徴とする、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
以下の成分a~cを含むことを特徴とする、請求項1~11のいずれか1項に記載の組成物:
a)30~70重量%のα,ω-ジヒドロキシジアルキルオルガノポリシロキサン、
b)1~10重量%の硬化剤、及び
c)0.1~10重量%のオルガノシラン。
【請求項13】
以下の工程を包含する、組成物を調製する方法:
(i)オルガノポリシロキサンと、請求項1~12のいずれか1項に記載の硬化剤又は硬化剤混合物とを、真空下で混合する工程;
(ii)請求項1~12のいずれか1項に記載のオルガノシランと、触媒とを、真空下で混合する工程。
【請求項14】
請求項1~12のいずれか1項に記載のオルガノシランが複素環式オルガノシランである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
該触媒は、カルボン酸スズ、チタン、ジルコニウム、又はアルミニウム化合物からなる群から選択される、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
該触媒は、チタンシルセスキオキサン(Ti-POSS)、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズバレリエート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジネオデカノエート、ジブチルスズジアセチルアセトネート、ジオクチルスズビス(2-エチルヘキサノエート)、ジブチルスズジマレエート、スズ(II)オクトエート及びブチルスズトリス(2-エチルヘキサノエート)からなる群から選択される、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項17】
該触媒は、(iBu)
7Si
7O
12TiOEt、(C
8H
17)
7Si
7O
12TiOEt、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート及びスズ(II)オクトエートからなる群から選択される、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項18】
請求項1~10のいずれか1項に記載の組成物のシリコーンゴム組成物の製造のための使用。
【請求項19】
請求項1~10のいずれか1項に記載の組成物の密閉材、接着剤、ポッティングコンパウンド又はコーティング剤としての使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコーンゴム組成物用の硬化剤と、オルガノシラン、好ましくは環状オルガノシランとを含む組成物、前記組成物を含む密閉材、接着剤又はコーティング剤、前記組成物のシリコーンゴム組成物を調製するための使用、その密閉材、接着剤又はコーティング剤としての使用、及び前記オルガノシランのシリコーンゴム組成物における接着促進剤としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
冷間硬化シリコーンゴムコンパウンドはRTV(室温硬化)シリコーンゴムコンパウンドとも呼ばれ、弾性特性を備えたテーラーメイド材料(tailor-made materials)として知られている。それらは、ガラス、磁器、セラミック、石、プラスチック、金属、木材などの密閉材として、接合材料として、又は接着剤として、特に衛生関連、建物の建設、又はコーティングの材料として広く使用されている。冷間硬化シリコーンゴムコンパウンドは、一成分RTVシリコーンゴムコンパウンド(RTV-1)として使用することが好ましい。このようなシリコーンゴムコンパウンドは通常、官能基を有するポリオルガノシロキサン及び適切な架橋剤、特に適切な硬化剤を含む塑性変形可能な混合物であり、水分を除外して保管される。これらの混合物は、室温で水又は空気湿度の影響下で架橋する。このプロセスは通常、硬化と呼ばれる。このプロセスで使用される硬化剤は、しばしば架橋剤とも呼ばれる。また、シリコーンゴム塊においては、接着促進剤が常用されている。シリコーンゴムコンパウンド(例えば、密閉材又は接着剤など)においては、種々の基材に対する良好な接着性を確実にするという重要な特性を担う。
【0003】
硬化したシリコーンゴムコンパウンドの特性は、主に使用されるポリオルガノシロキサン、硬化剤、及び接着促進剤によって決定される。例えば、硬化したシリコーンゴム塊の架橋の程度は、三官能性及び/又は四官能性硬化剤の使用に依存して制御することができる。架橋の程度は、例えば、硬化したシリコーンゴムコンパウンドの耐溶剤性にかなりの影響を与える。使用される接着促進剤は、例えば、処方の他の成分との相互作用などによって、得られる密閉材の特性も改変する。接着促進剤は通常、シリコーンゴムコンパウンド及び基材の両方と相互作用することができる物質である。これまで、これは通常、シラン基とさらに反応性官能基を有する化合物によって達成されてきた。反応性アミノ、カルボキシ、エポキシ又はチオラト基を有するオルガノシランが使用されることがある。反応性官能基は基材と相互作用する。反応性アミノ基を有するオルガノシランは、例えばトリメトキシ[3-(メチルアミノ)プロピル]シランの形態で特に頻繁に使用される。
【0004】
これらの反応性化合物、特に反応性の一級及び二級アミン化合物の欠点は、可能な反応相手に対する特異性が低いことである。例えば、接着促進剤と基材との望ましい反応に加えて、副反応も観察される。このような副反応は、密閉材が排出される前にしばしば発生する。これらの副反応は、主に、オルガノシラン接着促進剤と他のシラン、特に、組成物中に存在するシラン架橋剤との間の交換反応である。これは、接着促進剤の機能に対してだけでなく、組成物中に存在するシラン架橋剤の機能に対しても影響を及ぼし得る。特に、前記交換反応は接着促進剤の消費につながる。
【0005】
例えば、従来技術から、異なる複数のシラン硬化剤、又はシラン硬化剤とオルガノシラン接着促進剤とを組み合わせて含有するシーリング化合物の配合中に、シラン間で活性置換基交換が起こることが知られている。
【0006】
これに関連して、WO2016/146685A1は、少なくとも1つの特殊なα-ヒドロキシカルボン酸アミド残基、それらの調製物、及び関連する硬化性組成物を含む、架橋剤としての新しく安定なシランを明らかにしている。前記新しい架橋剤タイプの調製は、アミノシラン化合物と、一般式Si(R1)m(R2)4-mのシランとの間の交換反応によって行われる。
【0007】
したがって、これらの組成物は、接着促進剤として増加した濃度のアミノシラン化合物を含み、これは、それらの接着特性に加えて、架橋剤も安定化する。
【0008】
このプロセスのさらなる欠点は、制御されていない交換が、例えば、硬化中に脱離基として制御されていない方法で放出される化合物をもたらす可能性があることである。
【0009】
WO2018/011360A1から、架橋剤/接着剤の組み合わせが知られている。反応性アミン基の悪影響は、特別な非環式接着促進剤構造を特別な架橋剤と組み合わせて使用することによって除去された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】国際公開2016/146685号公報
【文献】国際公開2018/011360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、適用範囲は特殊な化合物に限定されているため、適合する可能性のある接着促進剤の幅広い選択肢を使用できることが望ましい。
【0012】
したがって、本発明の目的は、少なくとも1つの記載された問題点を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的は、請求項1から14に示される組成物、請求項15に示される方法、及び請求項18から20に示される使用によって達成される。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の有利な実施形態を以下に詳細に説明する。
本発明による組成物は、以下の成分a、b及びcを含有する。
a.一般構造式R1
mSi(R)4-mを有する化合物を含む、シリコーンゴム塊用硬化剤:
【0015】
式中、
各R1は、独立して、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C16アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルケニル基、又は要すれば置換されたC4~C14アリール基を表し、
mは0から2までの整数であり、
各Rは、独立して、以下からなる群から選択されるものである:
【0016】
- 一般構造式(I)を有するヒドロキシカルボン酸エステル残基:
【0017】
【0018】
式中、
各R2は、独立して、水素原子、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C16アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルケニル基、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルキニル基、又はC4~C14アリール基を表し、
各R3は、独立して、水素原子、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C16アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルケニル基、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルキニル基、又はC4~C14アリール基を表し、
R4は、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C16アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルケニル基、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルキニル基、C4~C14シクロアルキル基、C5~C15アラルキル基、又はC4~C14アリール基を表し、
R5は、炭素原子、又は4~14個の炭素原子を有する、要すれば置換された飽和又は部分的に不飽和の環状環系、又は4~14個の炭素原子を有する、要すれば置換された芳香族基であり、
nは0~10の整数である;
【0019】
- 一般構造式(II)のヒドロキシカルボン酸アミド残基:
【0020】
【0021】
式中、
各R6は、独立して、水素原子、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C16アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルケニル基、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルキニル基、又はC4~C14アリール基を表し、
各R7又はR8は、独立して、水素原子、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C16アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルケニル基、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルキニル基、又はC4~C14アリール基を表す;
- O-C(O)-R9、式中、R9は、水素原子、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C16アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルケニル基、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルキニル基、C4~C14シクロアルキル基、又はC4~C14アリール基を表す;
- O-N=CR10R11、式中、R10及びR11は、独立して、水素原子、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C16アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルケニル基、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルキニル基、C4~C14シクロアルキル基、又はC4~C14アリール基を表す。
【0022】
b.水スカベンジャー、アルコールスカベンジャー及び/又は水酸化物イオンスカベンジャーとして、少なくとも1つのオルガノシラン、特に複素環式オルガノシラン。
【0023】
c.要すれば少なくとも1つのオルガノポリシロキサン。
【0024】
驚くべきことに、オルガノシラン特に複素環式オルガノシランを使用すると、向上した接着促進特性を有するシリコーンゴム塊が生成することが見出された。これらのオルガノシランは、活性化した後に、接着促進剤として使用することができる。化合物に依存して、開環(複素環式オルガノシランの場合)によって、又は、例えば、保護基又は他の開裂生成物を分離することによって、活性化を行うことができる。活性化した後に、オルガノシランは一級又は二級アミンとして存在する。そして、これは接着促進剤として機能することができる。
【0025】
オルガノシラン、特に複素環式オルガノシランを過剰に使用する必要はない。シラン架橋剤を含む従来の非環状カップリング剤で通常観察される副反応を阻害できるため、これらは低濃度で存在させてよい。また、それらは、水スカベンジャー、アルコールスカベンジャー、水酸化物イオンスカベンジャーとしても適しており、同時にシリコーンゴム塊の貯蔵安定性を改善することができる。
【0026】
したがって、本発明の特に好ましい実施形態において、組成物は、それぞれ組成物の総重量に基づいて、最大3重量%、好ましくは最大2重量%、さらに好ましくは最大1.5重量%、特に好ましくは最大1.1重量%のオルガノシラン、特に複素環式オルガノシランを含有する。
【0027】
シリコーンゴムコンパウンド、特に本発明による組成物を含む密閉材処方物は、ガラス、金属、及び様々なポリマー、特にポリアミド、ポリスチレン又はメッツォプラスト(Metzoplast)などの様々な基材に対して特に有利な接着性を発揮することが示されている。
【0028】
改善された接着性は、好ましくは、低濃度の接着促進剤において、すでに達成されている。改善された接着性は、シリコーンゴム塊の総重量に基づいて、0.25~3重量%、好ましくは0.25~2重量%、より好ましくは0.5~1.5重量%、特に好ましくは0.8~1.2重量%のオルガノシラン、特に複素環式オルガノシランの比率におけるより好ましい設計において、すでに達成されている。
【0029】
本発明による組成物は高い貯蔵安定性を示すことも見出された。さらに、得られたシリコーンゴム塊、特に密閉材処方物は、有利な特性、特に良好な引裂き抵抗、ならびに心地よい臭気を示し、無色透明である。科学理論に拘束されることなく、本発明による組成物の効果は、オルガノシラン、特に複素環式オルガノシランの特別な化学構造に求めることができるようである。特に、シランの分野の専門家に知られている架橋剤と接着促進剤の間の交換反応はおそらく防ぐことができる。潜在的な接着促進剤は消費されていないようであり、したがって密閉材処方物が排出された後、接着促進のために完全に利用可能になる。さらに、本発明による、硬化剤とオルガノシラン、特に複素環式オルガノシランとの組み合わせは、互いに高い相溶性を有するようである。加水分解されたオルガノシラン、特に加水分解された複素環式オルガノシランの密閉材処方物が排出された後の接着促進特性に加えて、これらのコンパウンドは水、アルコール、又は水酸化物イオンスカベンジャーとしても機能する。これが、本発明による組成物の安定性の増加の理由である。
【0030】
反応スキーム1(ウォータートラップの機能):
【0031】
【0032】
本発明による複素環式オルガノシランの使用及び水スカベンジャーとしてのそれらの反応は、反応スキーム1に示されている。環状の化合物は、最初に水を加えることによって開裂する。このような「マスクされたアミノシラン」を使用することにより、驚くべきことに、それらは反応において水、アルコール、又は水酸化物イオンスカベンジャーとして作用し、したがって本発明による組成物において安定剤として作用し、したがって有利なシリコーンゴム塊を生成することが可能である。
【0033】
有利には、本発明に従って使用できるオルガノシランは、一般構造式(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IV)、(IVa)、(V)、(Va)、(VI)、(VIa)及び/又は(VII)(以下を参照)のうちの1つによるアミノシラン化合物又はそれらの混合物である。これらは、本発明による組成物中の水、アルコール、又は水酸化物イオンスカベンジャーの機能を実行するのに特に適している。
【0034】
あるいは、オルガノシラン、特にマスクされたアミノシランは、好ましくは、一般構造式(VII)のイミノシラン、一般構造式(VIII)のシラノアミノシラン、一般構造式(IX)の非環状オルガノシラン、一般構造式(IX)から誘導されるアミノ保護基含有オルガノシラン(IXa)から(IXe)、又はそれらの混合物からなる群から選択される。
【0035】
【0036】
式中、
- RhはC又はSiであり;
- 各Ri、Rjは、独立して、水素原子、-C(O)Rt、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C16アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルケニル基、又は要すれば置換されたC4~C14アリール基を表し、
- 各Rk、Rl、Rmは、独立して、水素原子、-C(O)Rt、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C16アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルケニル基、又は要すれば置換されたC4~C14アリール基を表し、
- 各Rn、Ro、Rp、Rq、Rr、Rsは、独立して、水素原子、-C(O)Rt、-COORt、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C16アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルケニル基、又は要すれば置換されたC4~C14アリール基を表し、
- 各Rt、Ru、は、独立して、水素原子、-ORi、-C(O)Ri、-C(O)CF3、-COORi、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C16アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルケニル基、要すれば置換されたC4~C14アリール基、又は保護基、特にtert-ブトキシカルボニル基、フルオレニルメトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、要すれば置換されたイソインドール-1,3-ジオン基又は3-メチル-ベンゼンスルホン基を表し、及び
-zは1~30の整数である。
【0037】
好ましい実施形態において、本発明による組成物は、少なくとも1つにおいて、上記定義のいずれかのマスクされたアミノシランを含む。
【0038】
さらに驚くべきことに、本発明によるオルガノシラン、特に複素環式オルガノシランは、異なる架橋剤、特にオキシム架橋剤の臭気負荷を低減するのに好ましいことが見出された。悪臭のある脱離基を有する架橋剤、特にオキシム架橋剤を含む硬化性組成物に、好ましくはトリアルキルシリル基を有する、ある種の複素環式オルガノシランを加えると、完全に中和されない場合でも、臭気負荷を減らすことができる。科学理論に縛られることなく、複素環式オルガノシランは、嗅覚負荷が減少するか、好ましくはない構造が得られるように、脱離基と反応しているように見える。複素環式オルガノシランはトリアルキルシリル転移試薬として機能しているようである。
【0039】
したがって、1,3-ビス(トリメチルシリル)尿素(BSU)などの一般的なトリメチルシリル転移試薬を、本発明による組成物に優先的に添加できる。
【0040】
実地試験においては、転移試薬は安定剤としても機能するため、得られる密閉材の嗅覚特性にプラスの影響を与えるだけでなく、組成物の貯蔵安定性にも有利な影響を与えることが示されている。
【0041】
驚くべきことに、特定のオルガノシラン、特に複素環式オルガノシランは、接着促進特性に加えて、安定剤としても使用できることが示されている。したがって、本発明による組成物は、好ましくは、少なくとも1つのヘテロ原子上にトリアルキルシリル基、特にトリメチルシリル基を有する複素環式オルガノシランを含む。
【0042】
さらに好ましい安定剤は、ジアルコキシ(トリアルキルシリル)アザシラシクロアルキルであり、特に好ましい化合物は、2,2-ジメトキシ-1-(トリメチルシリル)アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-(トリメチルシリル)アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメトキシ-1-(トリメチルシリル)アザ-2-シラシクロヘキサン、2,2-ジエトキシ-1-(トリメチルシリル)アザ-2-シラシクロヘキサン、2,2-ジメトキシ-1-(トリエチルシリル)アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-(トリエチルシリル)アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメトキシ-1-(トリエチルシリル)アザ-2-シラシクロヘキサン及び2,2-ジエトキシ-1-(トリエチルシリル)アザ-2-シラシクロヘキサン、特に好ましくは、2,2-ジメトキシ-1-(トリメチルシリル)アザ-2-シラシクロペンタン及び2,2-ジエトキシ-1-(トリメチルシリル)アザ-2-シラシクロペンタンからなる群から選択される。
【0043】
「架橋剤」は、特に、架橋することが可能なシラン化合物であり、加水分解によって分離(split off)できる少なくとも2つの基を有する。そのような架橋可能なシラン化合物の例は、Si(OCH3)4、Si(CH3)(OCH3)3及びSi(CH3)(C2H5)(OCH3)2である。架橋剤は硬化剤とも呼ばれる。「架橋剤」はまた、特に「架橋剤系」を含み、これは、複数の架橋可能なシラン化合物を含み得る。
【0044】
「密閉材」又は「シーリングコンパウンド」とは、特に水、ガス、又は他の媒体に対して表面を密閉するために、液体ないし粘性形態、又は柔軟性プロファイル、又はウェブとして適用される弾性材料を意味する。
【0045】
本明細書で使用される「密閉材」という用語は、特許請求の範囲の1つによる硬化組成物を説明する。
【0046】
「アルキル基」という用語は、飽和炭化水素鎖を意味する。アルキル基は、特に一般式-CnH2n+1を有している。「C1~C16アルキル基」という用語は、特に、鎖内に1~16個の炭素原子を有する飽和炭化水素鎖を指す。C1~C16アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル及びエチルヘキシルである。したがって、「C1~C8アルキル基」は、特に、鎖内に1~8個の炭素原子を有する飽和炭化水素鎖を指す。特に明記されていない場合でも、アルキル基は置換されていてよい。
【0047】
「直鎖アルキル基」とは、分岐鎖を含まないアルキル基を意味する。直鎖アルキル基の例は、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチルである。
【0048】
「分岐鎖アルキル基」とは、直鎖ではない、即ち、特に、その炭化水素鎖が枝分かれ(fork)を持っているアルキル基を意味する。分岐鎖アルキル基の例は、イソプロピル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、sec-ペンチル、3-ペンチル、2-メチルブチル、イソペンチル、3-メチルブト-2-イル、2-メチルブト-2-イル、ネオペンチル、エチルヘキシル、2-エチルヘキシルである。
【0049】
「アルケニル基」とは、鎖に沿って少なくとも1つの二重結合を含む炭化水素鎖を意味する。
【0050】
例えば、1つの二重結合を有するアルケニル基は、特に一般式-CnH2n-1を有する。しかしながら、アルケニル基は、複数の二重結合を有してもよい。「C2~C16アルケニル基」という用語は、特に、鎖内に2~16個の炭素原子を有する炭化水素鎖を指す。水素原子の数は、アルケニル基の二重結合の数に依存して相違する。アルケニル基の例は、ビニル-、アリル-、2-ブテニル-及び2-ヘキセニル-である。
【0051】
「直鎖アルケニル基」とは、分岐鎖を含まないアルケニル基を意味する。直鎖アルケニル基の例は、ビニル、アリル、n-2-ブテニル、n-2-ヘキセニルである。
【0052】
「分岐鎖アルケニル基」とは、直鎖ではない、即ち、特に、その炭化水素鎖が枝分かれ(fork)を持っているアルケニル基を意味する。分岐鎖アルケニル基の例は、2-メチル-2-プロペニル-、2-メチル-2-ブテニル-及び2-エチル-2-ペンテニル-である。
【0053】
「アルキニル基」とは、鎖に沿って少なくとも1つの三重結合を含む炭化水素鎖を意味する。例えば、三重結合を含むアルキニル基は、特に、一般式-CnH2n-2を有している。しかしながら、アルキニル基は複数の三重結合を有してもよい。特に、アルキニル基は、アルキニル基に加えてアルケニル基を含んでもよい。「C2~C16アルキニル基」という用語は、特に、鎖内に2から16個の炭素原子を有する炭化水素鎖を意味する。水素原子の数は、アルキニル基中の三重結合と、要すれば、二重結合の数に依存して相違する。アルキニル基の例は、エチン、プロピン、1-ブチン、2-ブチン及びヘキシン、3-メチル-1-ブチン、2-メチル-3-ペンチニルである。
【0054】
「直鎖アルキニル基」とは、分岐鎖を含まないアルキニル基を意味する。直鎖アルキニル基の例は、エチン、プロピン、1-ブチン、2-ブチン、ヘキシンである。
【0055】
「分岐鎖アルキニル基」とは、直鎖ではない、即ち、特に、その炭化水素鎖が枝分かれ(fork)を持っているアルキニル基を意味する。分岐鎖アルキニル基の例は、3-メチル-1-ブチル-、4-メチル-2-ヘキシニル-及び2-エチル-3-ペンテニル-である。
【0056】
「アリール基」は、単環式(例えばフェニル)、二環式(例えばインデニル、ナフタレニル、テトラヒドロナフチル、又はテトラヒドロインデニル)及び三環式(例えばフルオレニル、テトラヒドロフルオレニル、アントラセニル、又はテトラヒドロアントラセニル)の環系であって、単環系、又は二環式又は三環式の環系の少なくとも1つの環が芳香族である、環系である。特に、C4~C14アリール基とは、4~14個の炭素原子を有するアリール基を意味する。特に明記されていない場合でも、アリール基は置換されていてよい。
【0057】
「芳香族基」とは、芳香族系を有する環状、平面炭化水素を意味する。4~14個の炭素原子を有する芳香族基は、特に4~14個の炭素原子を含む芳香族基を指す。芳香族基は、単環式、二環式、又は三環式でありうる。芳香族基は、窒素原子、O、イオウ原子のからなる群から選択される1~5個のヘテロ原子を含んでもよい。芳香族基の例は、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、フラン、ピロール、チオフェン、イソオキサゾール、ピリジン、及びキノリンであり、上記の例においては、それぞれの場合に必要な数の水素原子が除去されて、対応する構造式への組み込みが許容される。例えば、構造式HO-R*-CH3においては、R*は6個の炭素原子を有する芳香族基、特にベンゼンである場合、2個の水素原子が芳香族基、特にベンゼンから除去されて、上記構造式へ組み込まれる。
【0058】
「シクロアルキル基」とは、芳香族ではない炭化水素環を意味する。特に、4~14個の炭素原子を有するシクロアルキル基は、4~14個の炭素原子を有する非芳香族炭化水素環を意味する。シクロアルキル基は、飽和又は部分的に不飽和であってよい。飽和シクロアルキル基は、芳香族ではなく、二重結合又は三重結合を有していない。飽和シクロアルキル基とは対照的に、一部不飽和シクロアルキル基は、少なくとも1つの二重結合又は三重結合を有しているが、前記シクロアルキル基は芳香族ではない。特に明記されていない場合でも、シクロアルキル基は置換されていてよい。
【0059】
「環」とは、炭化水素のみ、及び/又は部分的又は全体的にヘテロ原子からなる環状化合物を意味する。ヘテロ原子は、好ましくは、ケイ素原子、窒素原子、リン原子、イオウ原子又は酸素原子からなる群から選択される。好ましくは、芳香族化合物も含まれる。特に、特許請求の範囲に従って、環には複素環式オルガノシランが含まれる。
【0060】
「環原子」という用語は、環状構造の一部である原子を表す。
【0061】
「オルガノシラン」とは、少なくとも1つの炭素原子と少なくとも1つのケイ素原子からなる化合物を意味する。
【0062】
「複素環式オルガノシラン」という用語は、少なくとも1つのケイ素原子及び少なくとも1つの他のヘテロ原子を含む複素環を意味する。特に、ヘテロ原子はケイ素原子に直接連結していてよい。
【0063】
「複素環」とは、1~10個のヘテロ原子を含む環状環系を意味し、好ましくは、ケイ素原子、窒素原子、リン原子、イオウ原子又は酸素原子からなる群から選択される。
【0064】
特に明記しない限り、Hは特に水素を意味し、Nは特に窒素を意味する。さらに、特に明記しない限り、Oは特に酸素を意味し、Sは特に硫黄を意味し、Pは特にリンを意味する。
【0065】
「一次結合」という用語は、化学結合型の部類についての包括名称である。一次結合には、イオン結合、分子結合(すなわち共有結合)及び金属結合が含まれる。
【0066】
「二次結合」とは、化学結合の部類についての一般名称を意味する。二次結合には、特に水素架橋結合、双極子-双極子結合、及びファンデルワールス結合が含まれる。
【0067】
「要すれば置換された」は、対応する基又はラジカルの水素原子が置換基で置換されてよいことを意味する。置換基は、特に、C1~C4アルキル、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、ベンジル、ハロゲン、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、C1~C4アルコキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、シアノ、ニトロ、及びチオからなる群から選択され得る。基について、要すれば置換されると指定された場合、その基の0~50個、特に0~20個の水素原子が置換基で置換されてよい。基が置換される場合、少なくとも1つの水素原子が置換基に置き換わる。
【0068】
「アルコキシ」とは、その化合物の主炭素鎖又は主骨格に酸素原子を介して接続されているアルキル基を意味する。
【0069】
「オルガノポリシロキサン」という用語は、少なくとも1つのオルガノシリコーン化合物、好ましくは2、3又はそれ以上の異なるオルガノシリコーン化合物を含む本発明による組成物を意味する。前記組成物に含まれる有機ケイ素化合物は、好ましくは、オリゴマー又はポリマー化合物である。ポリマーの有機ケイ素化合物は、好ましくは、二官能性ポリオルガノシロキサン化合物であり、特に好ましくは、α,ω-ジヒドロキシル末端ポリオルガノシロキサンである。特に好ましいものは、α,ω-ジヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサン、特にα,ω-ジヒドロキシル末端ポリジアルキルシロキサン、α,ω-ジヒドロキシル末端ポリジアルケニルシロキサン又はα,ω-ジヒドロキシル末端ポリジアリールシロキサンである。ホモポリマーα,ω-ジヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンに加えて、異なる有機置換基を有するヘテロポリマーα,ω-ジヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンも使用することができ、それにより、ケイ素原子上の類似の有機置換基を有するモノマーのコポリマー、及びケイ素原子上に異なる有機置換基を有するモノマーのコポリマーの両方が含まれる。例えば、混合アルキル、アルケニル及び/又はアリール置換基を有するものである。好ましい有機置換基には、1~8個の炭素原子を有する直鎖及び分岐鎖アルキル基、特にメチル、エチル、n-及びイソ-プロピル、及びn-、sec-及びtert-ブチル、ビニル及びフェニルが含まれる。個々の有機置換基において、個々の又はすべての炭素結合水素原子は、ハロゲン原子などの一般的な置換基、又はヒドロキシル及び/又はアミノ基などの官能基によって置換され得る。したがって、部分的にフッ素化又は過フッ素化された有機置換基を有するα,ω-ジヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンを使用することができ、又はヒドロキシル及び/又はアミノ基で置換されたケイ素原子上の有機置換基を有するα,ω-ジヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンを使用することができる。
【0070】
特に好ましい有機ケイ素化合物の例は、α,ω-ジヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサン、α,ω-ジヒドロキシル末端ポリジエチルシロキサン、又はα,ω-ジヒドロキシル末端ポリジビニルシロキサンなどのα,ω-ジヒドロキシル末端ポリジアルキルシロキサン、及びα,ω-ジヒドロキシル末端ポリジフェニルシロキサンなどのα,ω-ジヒドロキシル末端ポリジアリールシロキサンである。動的粘度が5,000~120,000cSt(25℃)のポリオルガノシロキサン、特に粘度が20,000~100,000cStのもの、特に粘度が40,000~90,000cStのものが好ましい。粘度の異なるポリジオルガノシロキサンのブレンドも使用することができる。
【0071】
補強充填剤と非補強充填剤の両方を「充填剤」として使用できる。好ましくは、高度に分散した、発熱性又は沈降シリカ、カーボンブラック、石英粉末、チョーク、又は金属塩又は酸化チタンなどの金属酸化物などの無機充填剤が使用される。特に好ましい充填剤は、Cabot社の「Cabosil 150」(商品名)などの高度に分散したシリカである。高分散シリカ、特にヒュームドシリカなどのフィラーもチキソトロピー剤として使用することができる。金属酸化物は着色剤としても使用することができ、例えば酸化チタンは白色着色剤として使用することができる。充填剤はまた、従来の方法によって表面修飾されてよく、例えば、シランで疎水化されたシリカを使用することができる。
【0072】
「可塑剤」は、材料の変形能又は粘度に影響を与えることが可能な添加剤である。それらは組成物に添加されて、材料の物理化学的特性が変えられる。そのような可塑剤の適切な代表例は、例えば、クエン酸エステル、フタル酸エステル、リン酸誘導体、特に式O=P(OR)3(式中、Rはアルキル、アルコキシアルキル、フェニル又はアラルキル、特にイソプロピル-フェニル)の化合物、ホスホン酸誘導体、特にリン酸エステル又はホスホン酸の塩、脂肪酸誘導体、フマル酸誘導体、グルタミン酸誘導体、特にグルタミン酸のエステル又は塩、ポリオールなどの高沸点アルコール、特にグリコール、ポリグリコール、及びグリセロールであり、適切な場合、これらは末端エステル化することが可能である。トルエンスルホンアミドなどのスルホン酸誘導体、一般式CH3-(CH2)n-A-(CH2)n-R(式中、Aは、好ましくは、1つ又は複数の二重結合を有するアルケン(例えば、不飽和脂肪酸)を含む)、nは最大25、RはC2~C15アルキル)の化合物、エポキシ化脂肪酸エステル誘導体、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油、アルキルエポキシタレート、アルキルエポキシセバケート、リシノール酸エステル(ricinolates)などのエポキシ誘導体、好ましくは、エポキシ化天然油;アジピン酸エステル(adipates);塩素化灯油;ポリカプロラクトン-トリオールを含むポリエステル;グルタル酸ポリエステル;アジピン酸ポリエステル;シリコーンオイル;好ましくは少なくとも9個の炭素原子を有する、直鎖又は分岐鎖の飽和炭化水素の混合物、特に鉱油又はそれらの組み合わせがある。
【0073】
「接着剤」という用語は、表面接着(接着)及び/又は内部強度(凝集)によって翼形部品を接合する物質を意味する。この用語は、特に接着剤、ペースト、分散接着剤、溶剤接着剤、反応接着剤、及び接触接着剤を包含する。
【0074】
「コーティング剤」とは、表面をコーティングするための任意の薬剤を意味する。
【0075】
本発明の意味において、「ポッティングコンパウンド」又は「ケーブルポッティングコンパウンド」は、ポッティングケーブル及び/又はケーブル付属品のための熱間又は冷間処理可能なコンパウンドである。
【0076】
上記の定義において、構造式に組み込むための対応する構成に必要な原子価は、特定されていない場合、当業者にとって自明である。
【0077】
架橋剤型と環状アミノシランとのある種の組み合わせが特に有利であることが示されている。特に、それらは、低減された臭気、特に高い貯蔵安定性又は改善された機械的又は光学的特性などの有利な特性を有する組成物を生成する。
【0078】
したがって、本発明による組成物は、本発明のさらなる実施形態において、以下のa、b及びcを含有する。
a.一般構造式R1
mSi(R)4-mを有する化合物を含む、シリコーンゴム塊用硬化剤:
【0079】
式中、
各R1は、独立して、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C16アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルケニル基、又は要すれば置換されたC4~C14アリール基を表し、
mは0から2までの整数であり、
各Rは、独立して、以下からなる群から選択されるものである:
【0080】
- 一般構造式(I)を有するヒドロキシカルボン酸エステル残基:
【0081】
【0082】
式中、
各R2は、独立して、水素原子、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C16アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルケニル基、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルキニル基、又はC4~C14アリール基を表し、
各R3は、独立して、水素原子、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C16アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルケニル基、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルキニル基、又はC4~C14アリール基を表し、
R4は、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C16アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルケニル基、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルキニル基、C4~C14シクロアルキル基、C5~C15アラルキル基、又はC4~C14アリール基を表し、
R5は、炭素原子、又は4~14個の炭素原子を有する、要すれば置換された飽和又は部分的に不飽和の環状環系、又は4~14個の炭素原子を有する、要すれば置換された芳香族基であり、
nは0~10の整数である;
- O-N=CR10R11、式中、R10及びR11は、独立して、水素原子、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C16アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルケニル基、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルキニル基、C4~C14シクロアルキル基、又はC4~C14アリール基を表す。
【0083】
b.水スカベンジャー、アルコールスカベンジャー及び/又は水酸化物イオンスカベンジャーとして、少なくとも1つのオルガノシラン、特に複素環式オルガノシラン。
【0084】
c.要すれば少なくとも1つのオルガノポリシロキサン。
【0085】
得られた本発明によるシリコーンゴム塊の優れた接着は、オルガノシラン、特に複素環式オルガノシランを、特に本発明による架橋剤と組み合わせて、低濃度で添加することによって達成される。
【0086】
したがって、本発明の特に好ましい実施形態の組成物は、それぞれ組成物の総重量に基づいて、最大3重量%、好ましくは最大2重量%、さらに好ましくは最大1.5重量%、特に好ましくは最大1.1重量%のオルガノシラン、特に複素環式オルガノシランを含む。
【0087】
改善された接着性が、更に好ましい実施形態において既に観察されており、それは、オルガノシラン、特に複素環式オルガノシランの割合が、シリコーンゴムコンパウンドの総重量に基づいて、0.25~3重量%、好ましくは0.25~2重量%、更に好ましくは0.5~1.5重量%、特に好ましくは0.8~1.2重量%の場合である。
【0088】
本発明のもう一つの実施形態によれば、組成物は、好ましくは4~10員の複素環である複素環式オルガノシランを含む。
【0089】
本発明による組成物の特に有利な特性は、複素環式オルガノシランの環サイズが8原子、好ましくは7原子、さらに好ましくは6原子を超えない場合に得られる。
【0090】
したがって、特に有利な実施形態においては、組成物は、5~6員の複素環である少なくとも1つの複素環式オルガノシランを含む。
【0091】
もう一つのの実施形態においては、複素環は最大5個のヘテロ原子を含んでよい。ここで、ヘテロ原子は、特に、ケイ素原子、窒素原子、リン原子、イオウ原子又は酸素原子からなる群から選択され、好ましくはケイ素原子又は窒素原子である。
【0092】
さらに、場合によっては、複素環式オルガノシランがケイ素及びヘテロ原子のみから構成されている場合に有利である。好ましい実施形態において、これらのヘテロ原子は、ケイ素原子、窒素原子、リン原子、イオウ原子又は酸素原子からなる群から選択され、好ましくはケイ素原子又は窒素原子である。
【0093】
特に好ましい実施形態において、本発明の組成物は、少なくとも1つの窒素原子を有する複素環を有する複素環式オルガノシランを含む。
【0094】
さらに、立体的要求性能を増大させるために、複素環式オルガノシランの末端を改変することが有利な場合がある。この目的のために、一実施形態によれば、複素環式オルガノシランは、少なくとも1つの他の環に連結されてよい。
【0095】
特に好ましい実施形態においては、複素環式オルガノシランは、共有結合を介して少なくとも1つの他の環に連結されることが好ましい。
【0096】
好ましくは、環は、縮合反応によって複素環式オルガノシランに結合される。追加の環を取り付けるこの方法は、当技術分野でよく知られており、アニーレーション(annellation)とも呼ばれる。得られる環系においては、少なくとも2つの元の環が結合点において原子結合を共有する。さらなる実施形態においては、アニールされた環に加えて、架橋された環構造が、有利であり得る。架橋された環構造には、特に、異なる環の2つの原子結合を共有し、直接隣接していない、環原子が含まれる。架橋された環構造を含む分子の例は、ノルボルナン又はアンサ(ansa)化合物である。
【0097】
また、スピロ原子を含む化合物も含まれる。これらのスピロ化合物は、特に、その環が、1つの原子であるスピロ原子でのみ結合している多環式化合物である。
【0098】
特に好ましい実施形態に従って、複素環式オルガノシランのケイ素原子は、少なくとも1つのORd残基を有する。好ましくは、各Rdは、独立して、水素原子、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C20アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C20アルケニル基、要すれば置換されたC3~C20シクロアルキル基、要すれば置換されたC4~C20シクロアルケニル基、要すれば置換された、直鎖、分岐鎖、又は環状のC4~C20アルキニル基、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C20ヘテロアルキル基、要すれば置換された、直鎖、分岐鎖又は環状のC3~C20ヘテロアルケニル基、又は要すれば置換されたC4~C14アリール又はヘテロアリール基である。好ましくは、Rdは、水素原子、要すれば置換されたC1~C10直鎖又は分岐鎖のアルキル基、要すれば置換されたC2~C10直鎖又は分岐鎖のアルケニル基、要すれば置換されたC2~C10直鎖又は分岐鎖のヘテロアルキル基、要すれば置換されたC3~C10直鎖又は分岐鎖のシクロアルキル基、又は要すれば置換されたC4~C8アリール又はヘテロアリール基からなる群から選択される。特に好ましくは、Rdは、水素原子、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C8アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C8アルケニル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC4~C8ヘテロアルキル基、要すれば置換されたC4~C6シクロアルキル基、又は要すれば置換されたC5~C6アリール又はヘテロアリール基を表す。
【0099】
本発明のさらなる実施形態において、ケイ素原子はまた、少なくとも1つのNRd1Rd1残基を有してよい。ここにおける各Rd1は、独立して、水素原子、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C20アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C20アルケニル基、要すれば置換されたC3~C20シクロアルキル基、要すれば置換されたC4~C20シクロアルケニル基、要すれば置換された、直鎖、分岐鎖又は環状のC4~C20アルキニル基、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C20ヘテロアルキル基、要すれば置換された、直鎖、分岐鎖又は環状のC3~C20ヘテロアルケニル基、又は要すれば置換されたC4~C14アリール又はヘテロアリール基である。好ましくは、Rd1は、水素原子、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C10アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C10アルケニル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C10 ヘテロアルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C10シクロアルキル基、又は要すれば置換されたC4~C8アリール又はヘテロアリール基を表す。特に好ましいRd1は、水素原子、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C8アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C8アルケニル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC4~C8ヘテロアルキル基、要すれば置換されたC4~C6シクロアルキル基、又は要すれば置換されたC5~C6アリール又はヘテロアリール基である。
【0100】
好ましい実施形態において、本発明による組成物中の環状オルガノシランのヘテロ原子は、もう一つのオルガノシラン、好ましくは複素環式オルガノシランに直接結合してもよい。
【0101】
ヘテロ原子は、2次結合及び/又は1次結合を介するより好ましい実施形態において、オルガノシラン、特に複素環式オルガノシランと連結してよい。オルガノシラン、特に複素環式オルガノシランは、より好ましい実施形態において、イオン結合、共有結合、及び/又は水素結合によって連結されている。特に、ヘテロ原子は、ヘテロ原子への共有分子結合によって、オルガノシラン、特に複素環式オルガノシランに連結される。
【0102】
本発明のさらなる実施形態においては、複素環式オルガノシランのヘテロ原子は、1つ以上の炭素原子を介して、さらなるオルガノシラン、特に複素環式オルガノシランに接続される。
【0103】
連結は、好ましい実施形態では、二次結合及び/又は一次結合を介して行われる。オルガノシラン、特に複素環式オルガノシランは、好ましい実施形態内では、イオン結合、共有結合、及び/又は水素結合によって連結されている。特に、ヘテロ原子は、ヘテロ原子との共有分子結合によってオルガノシラン、特に複素環式オルガノシランに連結される。
【0104】
本発明の特に好ましい実施形態において、本発明による組成物は、少なくとも1つの以下の構造式(III)~(V)及び(IIIa)~(Va)を有する複素環式オルガノシランを含む。
【0105】
【0106】
(Rd)a又は(Rd1)aのパラメータaは、アルコキシ基と、本明細書で定義される、基Rdとの比率を意味する。その中で、aは0~2の値を取ってよい。a=0の場合、対応する複素環式オルガノシランはRdラジカルを含まず、2つのORdラジカルを含む。特性値aは1であってもよい。この場合、1つのRdラジカルと1つのORdラジカルが複素環式オルガノシランのケイ素原子に直接接続される。a=2の場合、Rd残基がケイ素原子に接続され、ORdは存在しない。
【0107】
本発明による構造式(IV)、(IVa)、(V)又は(Va)のxは、複素環式オルガノシランの窒素原子に接合された炭素鎖(CRf
2)の鎖長を意味する。ここで、xは0.1~100.0、好ましくは0.1~30.0、特に好ましくは0.5~10.0の値をとることができる。yは、構造式(V)及び(Va)において、直接又は炭素鎖を介して相互に接続された個々の複素環式オルガノシランの数を決定し、1.0~1000.0、好ましくは1.0~100.0、より好ましくは1.0~30.0、特に好ましくは1.0~10.0の値をとることができる。
【0108】
特に指定のない限り、指定されたx又はy値の範囲には、考えられるすべての10進数、特にx又はyの整数値と半整数値が含まれる。
【0109】
一般構造式(III)~(V)及び(IIIa)~(Va)のそれぞれにおける複素環式オルガノシランの環の寸法は、構造中の特性値nによって決定される。構造式及びnの結果、採ることができる環の寸法は4(n=0の場合)~10(n=6の場合)になる。
【0110】
構造式(III)~(V)中の残基(Rc)n、及び構造式(IIIa)~(Va)からの(RC)nは、それぞれ、特性値nによって決定される環の寸法に直接関係する。環原子上の残基の採ることが可能な数も値nによって調整される。例えば、6環がある場合、n=2であり、残基Rc又はRCの数は2に調整される。したがって、各環原子は1つの残基を有してよい。
【0111】
複素環式オルガノシランは、各環原子に異なる残基を有していてよく、構造式(III)、(IV)、又は(V)からの各Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、又はRgは、独立して、水素原子、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C20アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C20アルケニル基、要すれば置換されたC3~C20シクロアルキル基、要すれば置換されたC4~C20シクロアルケニル基、要すれば置換された、直鎖、分岐鎖又は環状のC4~C20アルキニル基、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C20ヘテロアルキル基、要すれば置換された、直鎖、分岐鎖又は環状のC3~C20ヘテロアルケニル基、又は要すれば置換されたC4~C14アリール又はヘテロアリール基である。好ましくは、Rd1は、水素原子、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C10アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C10アルケニル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C10ヘテロアルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C10シクロアルキル基、要すれば置換されたC3~C10シクロアルキル基、又は要すれば置換されたC4~C8アリール又はヘテロアリール基を意味する。特に好ましくは、Rd1は、水素原子、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C8アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C8アルケニル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC4~C8ヘテロアルキル基、要すれば置換されたC4~C6シクロアルキル基、又は要すれば置換されたC5~C6アリール又はヘテロアリール基である。
【0112】
あるいは、複素環式オルガノシランは、ここに説明した置換様式に加えて、さらに環を有してよい。
【0113】
環は、構造式(IIIa)、(IVa)、又は(Va)の各RAとRB、又はRAと(RC)nが一緒になって、4~10員環、好ましくは5~8員環、特に好ましくは5~6員環を形成するように、形成されてよい。
【0114】
さらなる実施形態においては、RB、及び構造式(IIIa)、(IVa)又は(Va)中の採ることが可能な(RC)nのそれぞれは、代わりに、4~10員環、好ましくは5~8員環、特に好ましくは5~6員環を形成してよい。
本発明のさらなる好ましい実施形態において、本発明による組成物は、一般構造式(VII)のイミノシラン、一般構造式(VIII)のシラノアミノシラン、一般構造式(IX)の非環状オルガノシラン、一般構造式(IX)に由来する(IXa)~(IXe)のアミノ保護基含有オルガノシラン又はそれらの混合物からなる群から選択される1つ以上のオルガノシランを含み得る:
【0115】
【0116】
式中、
- RhはC又はSiであり;
- 各Ri、Rjは、独立して、水素原子、-C(O)Rt、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C16アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルケニル基、又は要すれば置換されたC4~C14アリール基を意味し;
- 各Rk、Rl、Rmは、独立して、水素原子、-C(O)Rt、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C16アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルケニル基、又は要すれば置換されたC4~C14アリール基を意味し;
- 各Rn、Ro、Rp、Rq、Rr、Rsは、独立して、水素原子、-C(O)Rt、-COORt、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C16アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルケニル基、又は要すれば置換されたC4~C14アリール基を意味し;
- 各Rt、Ru、は、独立して、水素原子、-ORi、-C(O)Ri、-C(O)CF3、-COORi、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C16アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルケニル基、要すれば置換されたC4~C14アリール基、又は保護基、特にtert-ブトキシカルボニル基、フルオレニルメトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、要すれば置換されたイソインドール-1,3-ジオン基又は3-メチル-ベンゼンスルホン基を意味し;及び
-zは1~30の整数である。
【0117】
上記のように、組成物は、悪臭のある脱離基を有する架橋剤と組み合わせて、特定のオルガノシラン特に複素環式オルガノシランを含んでよい。ここで使用される複素環式オルガノシランは接着促進剤として、好ましくは安定剤又はシリル転移試薬として機能することができる。
【0118】
したがって、本発明による組成物は、本発明の好ましい実施形態に含まれる。
a.一般構造式R1
mSi(R)4-mを有する化合物を含む、シリコーンゴム塊用硬化剤:
【0119】
式中、
各R1は、独立して、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C16アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルケニル基、又は要すれば置換されたC4~C14アリール基を表し、
mは0から2までの整数であり、
各Rは、独立して、以下からなる群から選択されるものである:
- O-N=CR10R11、式中、R10及びR11は、独立して、水素原子、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C16アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルケニル基、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルキニル基、C4~C14シクロアルキル基、又はC4~C14アリール基を表す。
【0120】
b.以下の一般構造式を有する複素環式オルガノシラン:
【0121】
【0122】
式中、(Rd)a又は(Rd1)aのパラメータaは、アルコキシラジカルと、ここで定義される、ラジカルRdとの比率を意味する。構造式(VI)及び(VIa)の環原子は、独立して、ここで定義される相違するラジカルRa、Rb、Rc、Rd、又はRgを有してよい。
【0123】
本発明の好ましい実施形態において、構造式(VI)及び(VIa)中のラジカルR9は、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C6アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C6アルケニル基、要すれば置換されたC3~C6シクロアルキル基、要すれば置換されたC4~C6シクロアルケニル基、要すれば置換された、直鎖分岐鎖の又は環状C4~C8アルキニル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C6ヘテロアルキル基、要すれば置換された、直鎖、分岐鎖又は環状のC2~C6ヘテロアルケニル基、又は要すれば置換されたC4~C6アリール又はヘテロアリール基、好ましくは直鎖又は分岐鎖のC1~C6アルキル基、直鎖又は分岐鎖のC2~C6アルケニル基、C5-~C6-シクロアルキル基、又はC5-~C6-アリール又はヘテロアリール基、特に好ましくは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、エテニル、プロペニル、ブテニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロペンタジエニル又はフェニルからなる群から選択される場合に、特に有利な特性を有する密閉材が得られることが示されている。
【0124】
複素環式オルガノシランの環の寸法は、構造内の特性値nによって決定される。ここで、nは0から6までの値を取ってよい。
【0125】
構造式(VI)の残基(Rc)n及び構造式(VIa)の(RC)nは、特性値nによって決定される環の寸法に直接関係する。環原子上の残基の採ることが可能な数も値nによって調整される。例えば、6環がある場合、n=2であり、残基Rc又はRCの数は2に調整される。したがって、各環原子は1つの残基を有してよい。
【0126】
上記のオルガノシランを含む組成物、特に複素環式オルガノシランは、貯蔵安定性が増加するなどの優れた特性を有している。特に、この組成物は、様々な基材に対して優れた接着性を示し、好ましい基材は、例えば、ガラス、アルミニウム、PVC、板金、鋼、コンクリート、木材、塗装木、艶出し木材、ポリアミド、Al/Mg合金、ポリスチレン及びメッツォプラスト、好ましい基材は、PVC、ポリアミド、ポリスチレン及びメッツォプラスト(Metzoplast)であり、特に好ましいのは、ポリスチレン及びメッツォプラストである。
【0127】
本発明の好ましい実施形態によれば、今説明した一般構造式(VIa)の複素環式オルガノシランの更なる環は、本発明による構成中に、ケイ素原子、窒素原子、リン原子又は酸素原子、好ましくはケイ素原子、窒素原子又はイオウ原子などの少なくとも1つのヘテロ原子を含む。
本発明の一実施形態においては、組成物はまた、以下の構造式を有する複素環式オルガノシランを含んでよい:
【0128】
【0129】
本発明のさらなる実施形態によれば、組成物は、少なくとも2つの複素環式オルガノシランを含み、複素環式オルガノシランは、本明細書に記載されるように定義され得る。
【0130】
少なくとも1つの更なるオルガノシラン、特に上記の環状オルガノシランを含む組成物は、特に高温で保存した場合に、特に良好な安定性を特徴とする。
【0131】
本発明による組成物は、一般構造式R1
mSi(R)4-m、式中、mは、0~2の整数であり得る、を有する化合物を含む硬化剤を含む。一般構造式R1
mSi(R)4-mを有する化合物は、特にシランとも呼ばれる。したがって、硬化剤は、2個、3個、又は4個の加水分解性基を有するシランを含み得る。硬化剤が3個又は4個の加水分解性基を有するシランを含むように、好ましくは、mは0又は1である。このようにして、硬化剤の架橋度を制御することができ、シリコーンゴム塊の耐溶剤性及び/又は機械的特性を調整することができる。
【0132】
一般構造式R1
mSi(R)4-m中でmが0でない場合、すなわちシランが4個の加水分解性基Rを含まない場合、もう一つのラジカルR1が存在することが好ましい。
【0133】
したがって、mが1の場合、シランは3個の加水分解性基及びラジカルR1を含んでよい。.
【0134】
一般構造式R1
mSi(R)4-mにおいて、mも2であってよい。したがって、一般構造式は、2個の残基R1を有する。残基R1は、互いに同じであっても異なっていてもよい。ラジカルR1を選択することにより、架橋の速度を制御することができる。
【0135】
本発明の一実施形態によれば、本発明による組成物は、硬化剤のオリゴマー又はポリマーを含むか、又は硬化剤がこれらからなる。硬化剤のオリゴマー及びポリマーは、特に、一般構造式R1
mSi(R)4-mを有する少なくとも2つの化合物であり得、異なるモノマーの少なくとも2つのケイ素原子は、シロキサン酸素を介して相互に接合されている。ラジカルの数Rは、ケイ素原子に接続しているシロキサン酸素の数に従って減少する。
【0136】
例えば、本発明による組成物においては、相違する硬化剤の基Rの間に交換反応が発生する可能性がある。特に、これらの交換反応は平衡状態まで進行する可能性がある。この過程は、平衡化として説明してよい。
【0137】
上記の交換反応、特に平衡化は、特に、本発明による組成物中に含まれる他のシランの適切な基RAuを用いて行うこともできる。交換反応に適した基RAuは、例えば、アルコキシ、カルボキシレート、ラクテート、サリチレート、アミド、アミン、及びオキシム基である。したがって、特に、タイプ(RIn)zSi(RAu)4-zのシランの基RAuは、硬化剤の基Rと交換反応を受け、それにより、基RInは交換反応を受けない。尚、zは0から3までの整数である。したがって、交換反応は、存在する場合、適切な基R及びRAuを、本発明による組成物に含まれる、特にシリコーンゴム組成物に含まれる、特に平衡状態が達成される、対応するシラン化合物に分配しうる。
【0138】
本発明の好ましい実施形態によれば、一般構造式R1
mSi(R)4-mにおいて、各R1は、独立して、メチル、エチル、プロピル、ビニル、フェニル又はアリル残基を表す。実地試験においては、このような残留物を含む硬化剤が良好な機械的特性を備えた密閉材を生成することが示されている。さらに、そのような残基を有する硬化剤を含む密閉材は、無色透明にできる。
【0139】
一般構造式R1
mSi(R)4-mにおいては、Rは、ここに記載されている一般構造式(I)を有するヒドロキシカルボン酸エステル残基でありうる。
【0140】
【0141】
一実施形態によれば、このヒドロキシカルボン酸エステル残基において、各R2及びR3は、互いに独立して、水素原子又はメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル及びtert-ブチルを表す。ヒドロキシカルボン酸エステル残基の特に好ましいものは、水素原子及びメチルからなる群から選択された各R2とR3である。nが1以上の整数である場合、R2及びR3は、鎖の炭素原子ごとに相互に独立して異なるものであってよい。そのような化合物を含む硬化剤を含む組成物は、特に、心地よい臭気を示し、及び/又は容易に配合することができる。
【0142】
もう一つの形態によれば、ヒドロキシカルボン酸エステル残基のR4は、フェニル、トリル、ナフチル、ベンジル、シクロヘキシル、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、n-ブチル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、n-ペンチル、sec-ペンチル、3-ペンチル、2-メチルブチル、イソペンチル、3-メチルブト-2-イル、2-メチルブト-2-イル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、エチルヘキシル、及び2-エチルヘキシルからなる群から選択される。
【0143】
そのような化合物を含む硬化剤を含む組成物は、良好な機械的特性を備えた密閉材をもたらす。さらに、それらは良好に配合することができる。得られる密閉材は、いまだ無色及び透明であり得る。
【0144】
上記のように、例えば、芳香族基は2個の水素原子が除去されており、その場所でエステル基とアルコール官能基が結合しているため、一般構造式(I)に組み込むことができる。R5は炭素原子を意味してよく、各R2及びR3は水素原子を意味してよい。
【0145】
さらに、R5は炭素原子を意味してよく、R2は水素原子を意味してよく、R3はメチル-を意味してよい。ヒドロキシカルボン酸エステル残基において、R5が炭素原子であり、nが1より大きい整数である場合、R2及びR3は、鎖の炭素原子ごとに、相互に独立して異なってよい。
【0146】
本発明の好ましい実施形態によれば、ヒドロキシカルボン酸エステル残基において、nは、1~5、好ましくは1~3、特に1の整数である。
【0147】
本発明のさらなる実施形態によれば、一般構造式R1
mSi(R)4-mにおいて、Rは、グリコール酸エステル残基、乳酸エステル残基及びサリチル酸エステル残基からなる群から選択され、ここで、R4は、それぞれ場合に、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C16アルキル基、特に要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C12、又はC1~C8アルキル基、C4~C14シクロアルキル基、特にC4~C10シクロアルキル基、C5~C15アラルキル基、特にC5~C11アラルキル基、又はC4~C14アリール基、特にC4~C10アリール基であり、ここで、R4は、特に、フェニル、トリル、ナフチル、ベンジル、シクロヘキシル、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、n-ペンチル、sec-ペンチル、3-ペンチル、2-メチルブチル、イソペンチル、3-メチルブト-2-イル、2-メチルブト-2-イル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、エチルヘキシル、及び2-エチルヘキシルからなる群から選択される。
【0148】
実用的な試験は、そのような化合物を含む組成物が良好な機械的特性を有する密閉材をもたらすことを示している。さらに、そのような化合物を含む組成物は、加水分解中に心地よい臭気を有する物質を放出するので、心地よい臭気を有する。さらに、そのような硬化剤を含む密閉材は、無色透明でありうる。
【0149】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、組成物中の硬化剤は、トリス(メチルラクタト)ビニルシラン、
トリス(エチルラクタト)ビニルシラン、
トリス(エチルヘキシルラクタト)ビニルシラン、
トリス(メチルサリシラト)ビニルシラン、
トリス(エチルサリチルアト)ビニルシラン、
トリス(エチルヘキシルサリシラト)ビニルシラン、
トリス(2-エチルヘキシルサリシラト)ビニルシラン、
トリス(イソプロピルサリシラト)ビニルシラン、
トリス(メチルラクタト)メチルシラン、
トリス(エチルラクタト)メチルシラン、
トリス(エチルヘキシルラクタト)メチルシラン、
トリス(メチルサリシラト)メチルシラン、
トリス(エチルサリシラト)メチルシラン、
トリス(エチルヘキシルサリシラト)メチルシラン、
トリス(2-エチルヘキシルサリシラト)メチルシラン、
トリス(3-アミノプロピル)メチルシラン、
トリス(5-アミノペンチル)メチルシラン、
トリス(メチルラクタト)プロピルシラン、
トリス(エチルラクタト)プロピルシラン、
トリス(エチルヘキシルラクタト)プロピルシラン、
トリス(エチルサリシラト)-プロピルシラン、
トリス(エチルヘキシルサリシラト)プロピルシラン、
トリス(2-エチルヘキシルサリシラト)プロピルシラン、
トリス(イソプロピルサリシラト)プロピルシラン、
トリス(3-アミノプロピル)プロピルシラン、
トリス(5-アミノペンチル)-プロピルシラン、
トリス(メチルラクタト)エチルシラン、
トリス(エチルラクタト)エチルシラン、
トリス(エチルヘキシルラクタト)エチルシラン、
トリス(メチルサリシラト)-エチルシラン、
トリス(エチルサリシラト)-エチルシラン、
トリス(エチルヘキシルサリシラト)エチルシラン、
トリス(2-エチルヘキシルサリシラト)エチルシラン、
トリス(イソプロピルサリシラト)エチルシラン、
トリス(3-アミノプロピル)エチルシラン、
トリス(5-アミノペンチル)エチルシラン、
トリス(メチルラクタト)フェニルシラン、
トリス(エチルラクタト)フェニルシラン、
トリス-(エチルヘキシルラクタト)フェニルシラン、
トリス(メチルサリシラト)フェニルシラン、
トリス(エチルサリシラト)フェニルシラン、
トリス(エチルヘキシルサリシラト)フェニルシラン、
トリス(2-エチルヘキシルサリシラト)フェニルシラン、
トリス(イソプロピルサリシラト)フェニルシラン、
トリス(3-アミノプロピル)フェニルシラン、
トリス(5-アミノペンチル)フェニルシラン、
テトラ(メチルラクタト)シラン、テトラ(エチルラクタト)シラン、
テトラ(エチルヘキシルラクタト)シラン、
テトラ(エチルヘキシルサリシラト)シラン、
テトラ(2-エチルヘキシルサリシラト)シラン、
テトラ(メチルサリシラト)シラン、
テトラ(イソプロピルサリシラト)シラン、
テトラ(エチルサリシラト)シラン、
テトラ(3-アミノプロピル)シラン、
テトラ(5-アミノペンチル)シラン及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0150】
一般構造式R1
mSi(R)4-mを有する化合物に加えて、硬化剤は一般構造式R12
oSi(R)4-oを有する化合物を、追加して含んでよい。ここで、各R12は、それぞれ独立して、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C16アルキル基、特に要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C12、又はC1~C8アルキル基又はメチル基又はプロピル基、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2-~C16-アルケニル基、特に要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2-~C12-又はC2-~C8-アルケニル基又はビニル基、又は要すれば置換されたC4-~C14-アリール基又はフェニル基である。Rは、請求項1、15又は21のいずれかに従って定義され、oは0~2の整数であり、R1
mSi(R)4-m及びR12
oSi(R)4-oは同一であってはならない。
【0151】
さらなる実施形態においては、組成物は、ここに定義される少なくとも1つ硬化剤、又は上述の硬化剤の混合物と、本発明のオルガノシラン、特にここに定義される複素環式オルガノシランとを混合することによって得られる。
【0152】
例えば、本発明による組成物は、硬化剤として、トリス(2-エチルヘキシルサリシラト)ビニルシラン及び/又はトリス(2-エチルヘキシルサリシラト)メチルシランと、複素環式オルガノシランとして、2,2-ジメトキシ-1-(n-ブチル)アザ-2-シラシクロペンタン(BDC)及び/又は2,2-ジエトキシ-1-(トリメチルシリル)アザ-2-シラシクロペンタン(TMS-DEC)との組み合わせを含むことができる。
【0153】
さらに、本発明による組成物は、硬化剤として、ビニルトリス(エチルラクタト)シラン及び/又はメチルトリス(エチルラクタト)シランの組み合わせと、複素環式オルガノシランとして、2,2-ジメトキシ-1-(n-ブチル)アザ-2-シラシクロペンタン(BDC)及び/又は2,2-ジエトキシ-1-(トリメチルシリル)アザ-2-シラシクロペンタン(TMS-DEC)との組み合わせを含むことができる。
【0154】
さらに、本発明による組成物は、硬化剤として、ビニルトリス(エチルラクタト)シラン及び/又はメチルトリス(エチルラクタト)シランと、複素環式オルガノシランとして、2,2-ジメトキシ-1-(メチル)アザ-2-シラシクロペンタン(MDC)及び/又は2,2-ジエトキシ-1-(3-トリエトキシシリルプロピル)アザ-2-シラシクロペンタン(TESPDC)との組み合わせを含むことができる。
【0155】
さらに、本発明による組成物は、硬化剤として、ビニルトリス(エチルラクタト)シラン及び/又はメチルトリス(エチルラクタト)シランと、複素環式オルガノシランとして、2,2-ジメトキシ-1-(フェニル)アザ-2-シラシクロペンタン(Ph-DC)及び/又は2,2-ジメトキシ-1-(メチル)アザ-2-シラシクロペンタン(MDC)との組み合わせを含むことができる。
【0156】
本発明による組成物はまた、硬化剤として、トリス(エチルサリシラト)ビニルシラン及び/又はトリス(エチルサリシラト)プロピルシランと、複素環式オルガノシランとして、2,2-ジエトキシ-1-(ベンジル)アザ-2-シラシクロペンタン(Bn-DEC)及び/又は2,2-ジメトキシ-1-(ベンジル)アザ-2-シラシクロペンタン(Bn-DC)との組み合わせを含むことができる。
【0157】
さらに、本発明による組成物は、硬化剤として、ビニルトリス(エチルラクタト)シラン及び/又はメチルトリス(エチルラクタト)シランと、複素環式オルガノシランとして、2,2-ジエトキシ-1-(ベンジル)アザ-2-シラシクロペンタン(Bn-DEC)及び/又は2,2-ジエトキシ-1-(3-トリエトキシシリルプロピル)アザ-2-シラシクロペンタン(TESPDC)との組み合わせを含むことができる。
【0158】
さらに、本発明による組成物は、硬化剤として、ビニルトリス(エチルラクタト)シラン及び/又はメチルトリス(エチルラクタト)シランと、複素環式オルガノシランとして、2,2-ジエトキシ-1-(フェニル)アザ-2-シラシクロペンタン(Ph-DEC)及び/又は2,2-ジエトキシ-1-(トリメチルシリル)アザ-2-シラシクロペンタン(TMS-DEC)との組み合わせを含むことができる。
【0159】
さらに、本発明による組成物は、硬化剤として、ビニルトリス(エチルラクタト)シラン及び/又はメチルトリス(エチルラクタト)シランと、複素環式オルガノシランとして、2,2-ジメトキシ-1-(トリメチルシリル)アザ-2-シラシクロペンタン(TMS-DC)及び/又は2,2-ジメトキシ-1-(メチル)アザ-2-シラシクロペンタン(MDC)との組み合わせを含むことができる。
【0160】
硬化剤と接着促進剤とのこのような組み合わせは、密閉材処方物に対して有利な特性を持ちうることが示されている。一方において、シラン、特にシラン架橋剤と環状接着促進剤との間のアミド化反応がより困難になるか、好ましくは完全に防止されるような形で、複素環式オルガノシランのアミノ官能基の反応性が低下する。他方、架橋剤及び接着促進剤は、ほとんど又は好ましくは、消費されない。オルガノシラン、特に複素環式オルガノシランは、α-ヒドロキシカルボン酸誘導体、αヒドロキシカルボン酸アミド、又はオキシム誘導体などのさまざまなタイプの架橋剤と組み合わせることができる。脱離基はまた、心地よい臭気を有し、これは、好ましくは、2,2-ジエトキシ-1-(トリメチルシリル)アザ-2-シラシクロペンタン(TMS-DEC)又は2,2-ジエトキシ-1-(3-トリエトキシシリルプロピル)アザ-2-シラシクロペンタ(TESPDC)などの特別なシリル転移試薬を加えることによってさらに改善することができる。さらに、オルガノシラン、特に複素環式オルガノシランは、水、アルコール、又は水酸化物イオン用のスカベンジ試薬(scavenging reagents)として適している。これにより、密閉材コンパウンドの保管中の長期安定性が向上する。密閉材におけるそのような組み合わせは、密閉材の良好な機械的特性につながることも見出された。さらに、これらの組み合わせは、金属、大理石、モルタルなどの攻撃可能性(attackable)基材を含む幅広い基材における使用に適している。特に、本発明による密閉材は、ポリスチレンやメッツォプラストなどのプラスチック基材に対して良好な接着性を示す。
【0161】
本発明のさらなる実施形態によれば、本発明による組成物は、上記の成分、硬化剤及び接着促進剤又は第1の硬化剤に加えて、第2の硬化剤及び接着促進剤、少なくとも1つのオルガノポリシロキサン化合物、好ましくは2、3又はそれ以上の異なるオルガノポリシロキサン化合物を含む。組成物に含まれる有機ケイ素化合物は、好ましくは、ここに定義されるようなオリゴマー又はポリマー化合物である。
【0162】
本発明の意味の範囲内において、硬化性組成物は、要すれば、可塑剤、充填剤、着色剤、チキソトロピー剤、湿潤剤又はUV安定剤などの従来の添加剤を加えることによって、それらの特性が改変されてよい。
【0163】
好ましい実施形態において、ポリアルキルシロキサン、特にポリジメチルシロキサンが可塑剤として使用される。
【0164】
もう一つの好ましい実施形態において、硬化性組成物に充填剤としてケイ酸、特に好ましくは、ヒュームドシリカとして知られるヒュームドシリカが添加される。
【0165】
アミノアルキルトリアルコキシシランは好ましいチキソトロピー剤である。アミノプロピルトリエトキシシランは、特に有利な特性を有する組成物を提供し、したがって好ましい。
【0166】
可塑剤として、ここに定義される化合物を使用することができる。特に好ましい実施形態においては、官能末端基を有しない既知のポリジオルガノシロキサン及び/又は液体脂肪族又は芳香族炭化水素、好ましくは分子量が約50~約5000で、揮発性が低く、ポリシロキサンと十分に適合性を有するものが特に有利であることが証明されている。官能末端基を有しないポリジアルキルシロキサンは特に好ましく、最も好ましくは、官能末端基を有しないポリジ-C1~6-アルキルシロキサンであり、最も好ましくは官能末端基を有しないポリジメチルシロキサンである。
【0167】
本発明による組成物は、水分の存在下で架橋しうる。その過程において、Si-O-Si結合が形成されて、硬化する。組成物の硬化は、適切な触媒を加えることによって加速することができる。
【0168】
したがって、組成物は、好ましくは、少なくとも1つの触媒を含んでよい。縮合硬化ポリシロキサンのために通常使用されるものなどの有機金属触媒を使用してよい。触媒の例は、カルボン酸スズ、チタン、ジルコニウム、又はアルミニウム化合物である。特に、チタンシルセスキオキサン(Ti-POSS)、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジバレリエート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジネオデカノエート、ジブチルスズジアセチルアセトネート、ジオクチルスズビス(2-エチルヘキサノエート)、ジブチルスズジマレエート、スズ(II)オクトエート及びブチルスズトリス(2-エチルヘキサノエート)からなる化合物が好ましい。特に好ましい触媒は、(iBu)7Si7O12TiOEt、(C8H17)7Si7O12、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート及び/又はスズ(II)オクトエートである。
【0169】
組成物は、水分がない状態で9ヶ月以上から12ヶ月以上まで保存することができ、それでも室温下で、水又は湿度の影響によって架橋することが見出された。
【0170】
本発明による組成物は、それぞれ、本発明による組成物の総重量に基づいて、30~70重量%のα,ω-ジヒドロキシジアルキルオルガノポリシロキサン、1~10重量%の硬化剤、及び0.1~10重量%のオルガノシラン、特に複素環式オルガノシランを含み得る。
【0171】
本発明による組成物は、それぞれ、本発明による組成物の総重量に基づいて、好ましくは、30~70重量%のα,ω-ジヒドロキシジアルキルオルガノポリシロキサン、1~10重量%の硬化剤、0.1~10重量%のオルガノシラン、特に複素環式オルガノシラン、20~50重量%の可塑剤、1~20重量%の充填剤、及び0.01~1重量%の触媒を含む。
【0172】
さらに、本発明による組成物は、いずれの場合も、本発明による組成物の総重量に基づいて、40~60重量%のα,ω-ジヒドロキシジアルキルオルガノポリシロキサン、3~7重量%の硬化剤、0.5~2.5重量%のオルガノシラン、特に複素環式オルガノシラン、25~40重量%の可塑剤、5~15重量%の充填剤及び0.05~0.5重量%の触媒を含みうる。
【0173】
同様に、オルガノシラン、特に好ましい実施形態の複素環式オルガノシランは、水スカベンジャー、アルコールスカベンジャー及び/又は水酸化物イオンスカベンジャーとして使用することができる。したがって、オルガノシラン、特に複素環式オルガノシランは、特に排出前に、組成物の貯蔵安定性に有利な影響を与えうる。
【0174】
本発明による組成物の排出後、オルガノシラン、特に複素環式オルガノシランは、その場の空気湿度及び/又は水と反応し得る。好ましくは、オルガノシラン、特に複素環式オルガノシランのアルコール分解及び/又は加水分解の後に、接着促進剤として作用する化合物が形成される。
【0175】
したがって、本発明の特に好ましい実施形態においては、少なくとも1つのオルガノシラン、特に複素環式オルガノシランと、水、水酸化物のイオン、アルコール又はそれらの混合物との、反応生成物は接着促進剤として使用される。
【0176】
本発明による組成物は、シリコーンゴム塊の製造に使用するのに特に適している。
【0177】
この組成物は、好ましくは、建築業界において、密閉材として、又は接着剤、ポッティングコンパウンドとして、又はコーティング剤として使用される。特に、これは、構造及び土木、ガラス及び窓の建設、及び衛生部門の接合部に使用される。他の用途は、機械工学、例えば自動車産業(推奨)、電気産業、繊維産業、又は産業プラント建設である。
【0178】
以下においては、本発明を特定の非限定的な実施例によって説明する。
【実施例】
【0179】
接着促進剤の合成
幾つかの複素環式オルガノシランは、N-n-ブチル-アザ-2,2-ジメトキシシラシクロペンタン((BDC)、CAS No. 618914-44-6)、2,2-ジエトキシ-1-(3-トリエトキシシリルプロピル)アザ-2-シラシクロペンタン((TESPDC)、CAS No. 1184179-50-7)又は2,2-ジエトキシ-1-(トリメチルシリル)アザ-2-シラシクロペンタン((TMS)DEC)、CAS番号21297-72-3))などの市販されている化合物である。
【0180】
しかしながら、複素環式オルガノシランは、好ましくは、非環状前駆体分子から合成的に製造される。原則として、かかる合成は、先行技術において既知であり、シラ-アザ-シクロペンタン(BDC)の調製によって例示されている。
【0181】
実施例1
(BDC)の合成
パドルスターラーと還流冷却器を有する500mL三ツ口フラスコに、100.40g(105.70mL、0.43モル)のブチルアミノプロピルトリメトキシシラン(BAPTMS)と2gの硫酸アンモニウム(1.13mL、0.015モル)を窒素雰囲気下で加え、攪拌しながらゆっくりと沸点(100°C)まで加熱し、この温度で8時間保持する。100°C及び25mbarで揮発性反応成分を除去すると、52.5g(0.26モル、60%)の生成物N-n-ブチル-アザ-2,2-ジメトキシシラシクロペンタン(BDC)が淡黄色の液体として得られる。
【0182】
密閉材処方物
さらに密閉材処方物が作成され、試験された。
【0183】
下記の実施例の場合、すべての特性値は下記の試験手順を使用して決定された。以下に説明するすべての密閉材は透明及び無色であり、心地よい臭気、及び24時間後の適切な安定性及び耐ノッチ性(notch resistance)を示した。さらに、以下の密閉材は、初期長さの100%の伸びでガラス上に設置され、DIN EN ISO8340気候法Aに準拠した3種類の試験片(test specimens)をパスした。
【0184】
シリコーンゴム塊(密閉材処方物)の皮膜形成時間、タックフリー時間、完全硬化(through-curing)及び破断点伸びの生成物特性は、以下に説明する試験方法を使用して密閉材を適用した後に決定された。特に記載のない限り、測定は23℃、湿度50%で行った。
【0185】
皮膜形成時間は、密閉材塗布後、糸状試料(sample strand)の表面に完全な層の固化した材料(スキン)が観察された時間を示す。タックフリー時間は、糸状試料の表面が粘着性を示さなくなった時間を示す。完全な硬化を決定するために、密閉材を9mmの高さでガラス板に塗布し、ガラス板に達して硬化するのに要する時間を測定する。破断点伸びは、DIN EN ISO8339:2005-09に従って決定した。
【0186】
実施例2
乳酸エステル架橋剤混合物及び2,2-ジメトキシ-1-(n-ブチル)アザ-2- シラシクロペンタン(BDC)
【0187】
【0188】
α,ω-ジヒドロキシジメチルポリシロキサン80,000cSt、PDMS100cSt、ビニルトリス(エチルラクタト)シラン及びメチルトリス(エチルラクタト)シランが真空下で混合された。その後、チキソトロピー剤としてAMEOが混合された。次に、シリカを分散させ、塊が滑らかになるまで、真空下で攪拌した。最後に、ジアルキル酸化亜鉛及びテトラアルコキシシランの1:1(w/w)混合物としての触媒と、2,2-ジメトキシ-1-(n-ブチル)アザ-2-シラシクロペンタン(BDC)の接着促進剤が真空下で混合された。
【0189】
生成物は透明及び無色であった。皮膜形成時間が6分、タックフリー時間が100分という特徴が得られた。組成物は、すべての試験された材料、すなわちガラス、アルミニウム、PVC、板金、鋼、コンクリート、木材、ニス塗装木、上塗り木、ポリアミド、ポリスチレン、メッツォプラスト及びAl/Mg合金に良好な接着性を有し、心地よい臭気を有していた。決定されたショアーA硬度は27であった。50℃で6週間保管した後でも、硬化後の密閉材は安定しており(ショアーA:18)、少しだけ黄色がかった着色を示し、得られる密閉材は露光後に再び無色であった。5バール及び30秒において、直径2mmのダイを使用した場合の押し出しは24.0gであった。さらに、密閉材は優れた特性を示した。
【0190】
【0191】
実施例3
乳酸エステル架橋剤混合物及び2,2-ジエトキシ-1-(トリメチルシリル)アザ-2-シラシクロペンタン(TMS-DEC)
【0192】
【0193】
ポリマー80,000cSt、PDMS 100cSt、及びビニルトリス(エチルラクタト)シランとメチルトリス(エチルラクタト)シランとの架橋剤混合物が真空下で混合された。その後、チキソトロピー剤としてAMEOが混合された。次に、シリカを分散させ、塊が滑らかになるまで、真空下で攪拌した。次いで、ジアルキル酸化亜鉛及びテトラアルコキシシランの1:1(w/w)混合物としての触媒と、2,2-ジエトキシ-1-(トリメチルシリル)アザ-2-シラシクロペンタン(TMS-DEC)の接着促進剤が真空下で混合された。
【0194】
生成物は透明及び無色であった。皮膜形成時間が17分、タックフリー時間が33分という特徴が得られた。得られた密閉材は、すべての試験された材料、すなわちガラス、アルミニウム、PVC、板金、鋼、コンクリート、木材、ニス塗装木、上塗り木、ポリアミド、ポリスチレン、メッツォプラスト及びAl/Mg合金に良好な接着性を有し、心地よい臭気を有していた。
【0195】
決定されたショアーA硬度は22であった。60℃で8週間保管した後でも、密閉材は安定しており(ショアーA:16)、少しだけ黄色がかった着色を示した。5バール及び30秒において、直径2mmのダイを使用した場合の押し出しは31.0gであり、密閉材は露光後に再び透明及び無色であった。密閉材は、以下の優れた特性によっても特徴付けられた。
【0196】
【0197】
本発明による接着促進剤(実施例4及び5)を使用した場合と従来の接着促進剤(比較実施例)との貯蔵安定性の比較
【0198】
次の実施例4及び5の密閉材処方物、及び比較例において、シリコーンゴム塊はそれぞれ次の処方で作成される。
【0199】
【0200】
実施例4
次の接着促進剤が密閉材処方に添加された。
【0201】
【0202】
-ジヒドロキシジメチルポリシロキサン80,000cSt、PDMS 100cSt、ビニルトリス(エチルラクタト)シラン及びメチルトリス(エチルラクタト)シランが真空下で混合された。次に、シリカを分散させ、塊が滑らかになるまで、真空下で攪拌した。その後、チキソトロピー剤としてAMEOが混合された。次に、シリカを分散させ、塊が滑らかになるまで、真空下で攪拌した。最後に、ジアルキル酸化亜鉛及びテトラアルコキシシランの1:1(w/w)混合物としての触媒と、2,2-ジメトキシ-1-(メチル)アザ-2-シラシクロペンタン(MDC)の接着促進剤が真空下で混合された。
【0203】
得られた密閉材は透明及び無色、及び皮膜形成時間は5分、タックフリー時間は9分、及びガラス上硬化時間(ガラス板に密閉材を厚さ9mmに塗布)は6日であった。密閉材は、すべての試験された材料、すなわちガラス、アルミニウム、PVC、板金、鋼、コンクリート、木材、ニス塗装木、上塗り木、ポリアミド、ポリスチレン、メッツォプラスト及びAl/Mg合金に良好な接着性を有し、心地よい臭気を有していた。DIN53504による引張強度の測定値は1.1N/mm2であり、DIN 53504による破断点伸びは1100%と測定された。決定されたショアーA硬度は27であった。50℃で8週間保管した後でも、密閉材は安定しており(ショアーA:17)、少しだけ、少し黄色がかった着色を示した。塗布後、露光すると、密閉材は再び無色になる。
【0204】
実施例5
接着促進剤Ph-DEC
【0205】
【0206】
α,ω-ジヒドロキシジメチルポリシロキサン80,000cSt、PDMS100cSt、ビニルトリス(エチルラクタト)シラン及びメチルトリス(エチルラクタト)シランが真空下で混合された。次に、シリカを分散させ、塊が滑らかになるまで、真空下で攪拌した。その後、チキソトロピー剤としてAMEOが混合された。次に、シリカを分散させ、塊が滑らかになるまで、真空下で攪拌した。最後に、ジアルキル酸化亜鉛及びテトラアルコキシシランの1:1(w/w)混合物としての触媒と、2,2-ジエトキシ-1-(フェニル)アザ-2-シラシクロペンタン(Ph-DEC)の接着促進剤が真空下で混合された。
【0207】
得られた密閉材は透明及び無色、及び皮膜形成時間は70分、タックフリー時間は24時間、及びガラス上硬化時間(ガラス板に密閉材を厚さ9mmに塗布)は7日であった。密閉材は、すべての試験された材料、すなわちガラス、アルミニウム、PVC、板金、鋼、コンクリート、木材、ニス塗装木、上塗り木、ポリアミド、ポリスチレン、メッツォプラスト及びAl/Mg合金に良好な接着性を有し、心地よい臭気を有していた。決定されたショアーA硬度は25であった。50℃で8週間保管した後でも、密閉材は安定しており(ショアーA:16)、少しだけ、少し黄色がかった着色を示した。
【0208】
比較例(先行技術; EP2030976 A1、実施例7に基づく)
実施例7からの接着促進剤
【0209】
【0210】
得られた密閉材は、空気中で塗布すると透明な外観になり、皮膜形成時間は5分、タックフリー時間は32分であった。密閉材は、ガラス、アルミニウム、PVC、板金、鉄鋼、木材、塗装木、ニス塗装木、ポリアミド、Al/Mg合金、コンクリート、ポリスチレン、メッツォプラストに対し、低い接着性を示した。また、ガラス上において完全硬化(9mm)せず、50℃での貯蔵安定性はわずか4日で硬化しなくなった。
【0211】
実施例6
乳酸エステル架橋剤混合物及び2,2-ジメトキシ-1-(ベンジル)アザ-2-シラシクロペンタン(Bn-DC)
【0212】
【0213】
ポリマー80,000cSt、PDMS 100cSt、及びビニルトリス(エチルラクタト)シランとメチルトリス(エチルラクタト)シランとの架橋剤混合物が真空下で混合された。その後、チキソトロピー剤としてAMEOが混合された。次に、シリカを分散させ、塊が滑らかになるまで、真空下で攪拌した。次いで、ジアルキル酸化亜鉛及びテトラアルコキシシランの1:1(w/w)混合物としての触媒と、2,2-ジメトキシ-1-(ベンジル)アザ-2-シラシクロペンタン(Bn-DC)の接着促進剤が真空下で混合された。
【0214】
得られた組成物は、硬化後、透明及び無色であった。皮膜形成時間が18分、タックフリー時間が30分という特徴が得られた。得られた密閉材は、すべての試験された材料、すなわちガラス、アルミニウム、PVC、板金、鋼、コンクリート、木材、ニス塗装木、上塗り木、ポリアミド、ポリスチレン、メッツォプラスト及びAl/Mg合金に良好な接着性を有し、心地よい臭気を有していた。
【0215】
決定されたショアーA硬度は23であった。50℃で8週間保管した後でも、硬化後の密閉材は安定しており(ショアーA:17)、少しだけ黄色がかった着色を示した。5バール及び30秒において、直径2mmのダイを使用した場合の押し出しは30.0gであり、密閉材は露光後に再び透明及び無色であった。密閉材は、以下の優れた特性によっても特徴付けられた。
【0216】
【0217】
実施例7
乳酸エステル架橋剤混合物及び2,2-ジメトキシ-1-(フェニル)アザ-2-シラシクロペンタン(Ph-DC)
【0218】
既に説明した実施例の処方に類似した成分を、真空下に混合することにより、以下の組成に従って、シリコーンゴム塊を調製した。
【0219】
【0220】
得られた密閉材は透明及び無色、及び皮膜形成時間は120分、タックフリー時間は24時間であった。得られた密閉材は、すべての試験された材料、すなわちガラス、アルミニウム、PVC、板金、鋼、コンクリート、木材、ニス塗装木、上塗り木、ポリアミド、ポリスチレン、メッツォプラスト及びAl/Mg合金に良好な接着性を有し、心地よい臭気を有していた。
【0221】
決定されたショアーA硬度は22であった。50℃で8週間保管した後でも、密閉材は安定しており(ショアーA:16)、少しだけ、少し黄色がかった着色を示し、露光すると、密閉材は再び無色になった。5バール及び30秒において、直径2mmのダイを使用した場合の押し出しは24.0gであった。密閉材は、その他の優れた特性によっても特徴付けられた。
【0222】
【0223】
実施例8
乳酸エステル架橋剤混合物及び2,2-ジエトキシ-1-(3-トリエトキシシリルプロピル)アザ-2-シラシクロペンタン(TESPDC)
【0224】
既に説明した実施例の処方に類似した成分を、真空下に混合することにより、以下の組成に従って、シリコーンゴム塊を調製した。
【0225】
【0226】
得られた密閉材は透明及び無色、及び皮膜形成時間は6分、タックフリー時間は18分であった。硬化後、密閉材は、すべての試験された材料、すなわちガラス、アルミニウム、PVC、板金、鋼、コンクリート、木材、ニス塗装木、上塗り木、ポリアミド、ポリスチレン、メッツォプラスト及びAl/Mg合金に良好な接着性を有し、心地よい臭気を有していた。
【0227】
決定されたショアーA硬度は29であった。50℃で8週間保管した後でも、密閉材は安定しており(ショアーA:17)、少しだけ黄色がかった着色を示し、露光すると、再び無色になった。5バール及び30秒において、直径2mmのダイを使用した場合の押し出しは34.0gであった。密閉材は、以下の優れた特性によっても特徴付けられた。
【0228】
【0229】
実施例9
乳酸エステル架橋剤混合物及び2,2-ジエトキシ-1-(ベンジル)アザ-2-シラシクロペンタン(Bn DEC)
【0230】
上述の成分を、真空下に混合することにより、以下の組成に従って、シリコーンゴム塊を調製した。
【0231】
【0232】
生成物は透明及び無色、及び皮膜形成時間は11分、タックフリー時間は21分であった。これは、すべての試験された材料、すなわちガラス、アルミニウム、PVC、板金、鋼、コンクリート、木材、ニス塗装木、上塗り木、ポリアミド、ポリスチレン、メッツォプラスト及びAl/Mg合金に良好な接着性を有し、心地よい臭気を有していた。
【0233】
決定されたショアーA硬度は27であった。50℃で8週間保管した後でも、密閉材は安定しており(ショアーA:16)、少しだけ黄色がかった着色を示し、露光すると、再び無色になった。5バール及び30秒において、直径2mmのダイを使用した場合の押し出しは30.0gであった。密閉材は100分の初期強度をも有していた。ガラス上の硬化時間は7日間と決定された。
【0234】
実施例10
乳酸エステル架橋剤混合物及び2,2-ジメトキシ-1-(n-ブチル)アザ-2-シラシクロペンタン(BDC)、及び1,3-ビス(トリメチルシリル)尿素(BSU)による追加の安定化
【0235】
【0236】
ポリマー80,000cSt及びPDMS100cStが真空下で5分間混合された。次いで、ビニルトリス(エチルラクタト)シラン及びメチルトリス(エチルラクタト)シランの架橋剤混合物とBSUペーストとを、真空下で5分間混合する。その後、チキソトロピー剤AMEOが真空下に添加された。次に、シリカを分散させ、塊が滑らかになるまで、真空下で攪拌した。最後に、ジアルキル酸化亜鉛及びテトラアルコキシシランの1:1(w/w)混合物としての触媒と、BDCの接着促進剤が真空下で20分間混合された。
【0237】
生成物は透明及び無色であり、皮膜形成時間が9分、タックフリー時間が21分であった。これは、すべての試験された材料、すなわちガラス、アルミニウム、PVC、板金、鋼、コンクリート、木材、ニス塗装木、上塗り木、ポリアミド、ポリスチレン、メッツォプラスト及びAl/Mg合金に良好な接着性を有し、心地よい臭気を有していた。
【0238】
実施例11
オキシム架橋剤混合物及び2,2-ジメトキシ-1-(トリメチルシリル)アザ-2-シラシクロペンタン(TMS-DC)
【0239】
【0240】
ポリマー80,000cSt、PDMS100cSt、及びオキシムとオキシムとの架橋剤混合物が、真空下で混合された。次に、シリカを分散させ、塊が滑らかになるまで、真空下で攪拌した。次いで、ジアルキル酸化亜鉛及びテトラアルコキシシランの1:1(w/w)混合物としての触媒と、接着促進剤1(2,2-ジメトキシ-1-(トリメチルシリル)アザ-2-シラシクロペンタン(TMS-DC))及び接着促進剤2(N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(DAMO))とが、真空下で混合された。
【0241】
生成物は透明及び無色であった。これは、皮膜形成時間が6分、タックフリー時間が15分であることにより、特徴付けられた。これは、すべての試験された材料、すなわちガラス、アルミニウム、PVC、板金、鋼、コンクリート、木材、ニス塗装木、上塗り木、ポリアミド、ポリスチレン、メッツォプラスト及びAl/Mg合金に良好な接着性を有し、心地よい臭気を有していた。
【0242】
決定されたショアーA硬度は22であった。60℃で4週間保管した後でも、密閉材は安定しており(ショアーA:21)、無色であった。5バール及び30秒において、直径2mmのダイを使用した場合の押し出しは24.0gであった。さらに、密閉材は60分後に早期に充填可能であり、4日間のガラス上硬化時間を示した。
【0243】
一般的に実行される試験手順:
1. シリコーン密閉材のタックフリー時間の決定
タックフリー時間を決定するためには、密閉材が排出される際の温度及び空気湿度を適切な装置を使用して決定する必要があり、対応するプロトコルに記録される。完全に充填及び密閉されたカートリッジ(少なくとも24時間の配合後密閉材の運用寿命)をシリコーンカートリッジ用のガンに入れる。その後、適切な量のシリコーンを清浄ガラス板にスプレーする。スパチュラをシリコーンに素早くこすりつけて、連続シリコーンストリップを作製する。現在時刻を記録する。適切な時間間隔で、シリコーンの表面に清浄な指で軽く触れることにより、測定対象の密閉材の接着がなくなる時間を決定する。密閉材にタックがない場合は、再度現在時刻が読み取られる。
【0244】
2. シリコーン密閉材の押し出しの決定
完全に充填及び密封されたカートリッジ(少なくとも24時間の配合後密閉材の運用寿命)をシリコーンカートリッジののための圧縮エアガンに入れ、適切なカートリッジチップをねじ込む。圧縮空気ピストルは圧縮空気供給機に接続されており、圧力計に5バールの圧力が設定されている。まず、シリコーンカートリッジからワイピングペーパーに少量のシリコーンをスプレーし、カートリッジの先端をシリコーンで完全に充填させる。次に、アルミ容器を上皿型計りに置き、ゼロ点合わせをする。ここで、シリコーンを容器に正確に30秒間スプレーし、上皿型計りで重量を読み取る。
【0245】
3. シリコーン密閉材の安定性の決定
安定性を判断するには、密閉材が排出される間の温度と空気湿度を適切な装置を使用して判断する必要があり、対応するプロトコルに記録される。完全に充填及び密閉されたカートリッジ(少なくとも24時間の配合後密閉材の運用寿命)をシリコーンカートリッジ用のガンに入れる。次に、段ボール箱にねじの形を円形(直径約3cm)にスプレーする。シリコーンのネジを有するカートンが垂直に配置され、現在時刻が読み取られる。30分後、シリコーンのネジが元の形状を有しているかどうか、又はネジが流れ落ちているかどうかが観察される。ネジの形状が変わっていなければシリコーン密閉材は安定性を有する。
【0246】
4. シリコーン密閉材の硬化の決定
硬化時間を決定するためには、密閉材が排出される間の温度及び空気湿度を適切な装置を使用して決定する必要があり、対応するプロトコルに記録される。完全に充填及び密閉されたカートリッジ(少なくとも24時間の配合後密閉材の運用寿命)をシリコーンカートリッジ用のガンに入れる。その後、適切な量のシリコーンを清浄ガラス板にスプレーする。スパチュラをシリコーンに素早くこすりつけて、連続シリコーンストリップを作製する。適切な間隔(日)で、小さなクロスピースをナイフで慎重にシリコーンから切り取り、密閉材の硬化を評価する。密閉材本体の内側がまだ粘着性でゲル状である場合、密閉材はまだ完全に硬化しておらず、測定が繰り返される。密閉材が完全に硬化した場合、硬化時間が日数で記録される。塗布後7日経っても密閉材が粘着性を有する場合は、硬化基準は不合格である。
【0247】
5. シリコーン密閉材の密着性の決定
接着力を測定するためには、密閉材が排出される間の温度及び空気湿度を適切な装置を使用して決定する必要があり、対応するプロトコルに記録される。完全に充填及び密閉されたカートリッジ(少なくとも24時間の配合後密閉材の運用寿命)をシリコーンカートリッジ用のガンに入れる。次に、適切に洗浄したキャリア材料(例えば、ガラス、アルミニウム、木材、プラスチック、コンクリート、天然石など)にシリコーンボタンがスプレーされる。密閉材が完全に硬化した後(約48時間)、シリコーンボタンを指で引いて、シリコーンがキャリア材料から再び分離するかどうか、又はシリコーンがキャリア材料と密接に接続しているかどうかを確認する。シリコーンボタンをキャリア素材から簡単に、困難に、又はまったく引き抜くことができない場合、接着性は悪い、中程度、又は良いと判断される。
【0248】
6. シリコーン密閉材の臭気の決定
完全に充填及び密閉されたカートリッジ(少なくとも24時間の配合後密閉材の運用寿命)をシリコーンカートリッジ用のガンに入れる。その後、適切な量のシリコーンを清浄ガラス板にスプレーする。スパチュラをシリコーンに素早くこすりつけて、連続シリコーンストリップを作製する。次に、シリコーン密閉材は、その臭気に関して評価される。
【0249】
7. シリコーン密閉材の表面の決定
完全に充填及び密閉されたカートリッジ(少なくとも24時間の配合後密閉材の運用寿命)をシリコーンカートリッジ用のガンに入れる。その後、適切な量のシリコーンを清浄ガラス板にスプレーする。スパチュラをシリコーンに素早くこすりつけて、連続シリコーンストリップを作製する。次に、シリコーン密閉材は、外観、色及び平滑さに関して評価される。
【0250】
8. シリコーン密閉材の皮膚形成時間の決定
皮膚形成時間を決定するためには、密閉材が排出される間の温度及び空気湿度を適切な装置を使用して決定する必要があり、対応するプロトコルに記録される。完全に充填及び密閉されたカートリッジ(少なくとも24時間の配合後密閉材の運用寿命)をシリコーンカートリッジ用のガンに入れる。その後、適切な量のシリコーンを清浄ガラス板にスプレーする。スパチュラをシリコーンに素早くこすりつけて、連続シリコーンストリップを作製する。決定される密閉材の皮膚形成は、適切な間隔で、清浄な指でシリコーン表面に軽い圧力をかけることにより、決定される。密閉材がその表面に皮膚を形成し、シリコーンの残留物が指に残っていない場合、ストップウォッチから測定された時間が取得される。
【0251】
9. DIN53504に準拠したショルダーロッドS1を有する引張試験
試験するシリコーンを決定するために、シリコーンカートリッジの対応する試験番号及び試験日をプロトコルに記録する必要がある。配合後密閉材の運用寿命は、カートリッジ内で少なくとも24時間でなければならない。注型モールドは、シリコーンが金属に付着するのを防止するために、洗浄液で濡らされる。完全に充填及び密封されたカートリッジをシリコーンカートリッジのガンに入れる。カートリッジの先端を外す。次に、シリコーンは、削り出された注型モールドの長さと高さにわたってショルダーロッドS1のマトリックスにスプレーされ、すぐにスパチュラで平滑にされる。少なくとも24時間後、試験片をマトリックスから持ち上げることで、シリコーンの硬化を確認する。非粘着性表面が残される必要がある。ショルダーロッドは、空気及び異物の混入又は亀裂がなく、視覚的に完全でなければならない。試験片には、ダイから取り外した後、試験番号が付けられる。T300引張試験機の中に、ショルダーロッドS1のための引張クランプを挿入する必要がある。試験可能なショルダーロッドは、ウェブが正確に26mmの初期ゲージ長を示すように、上部クランプと下部クランプの間にクランプされる。緩和状態においては、測定データ又は測定マークがゼロにリセットされる。スタートボタンを押すことで、試験片の伸長又はその測定値表示が開始する。試験片が破断した後に、装置は自動的に停止する。測定値は表示されたまま残されて、直接読み取ることができる
【0252】
10. DIN8339に準拠するH-試験片を使用する引張試験
試験するシリコーンを決定するためには、シリコーンカートリッジの対応する試験番号及び試験日を、プロトコルに記録する必要がある。配合後密閉材の運用寿命は、カートリッジ内で少なくとも24時間でなければならない。
【0253】
完全に充填及び密閉されたカートリッジをシリコーンカートリッジ用のガンに入れる。カートリッジの先端を外す。次に、シリコーンは、モールドの長さと高さにわたってスプレーされ、すぐにスパチュラで平滑にされる。その後、試験片は標準状態で28日間保存される。引張試験の前に、試験片を目視により確認する。試験片は、空気の混入又は亀裂を示してはならない。
【0254】
MFC T300引張試験機の中に、H-試験片用の引張クランプを挿入する必要がある。試験片は、距離が12mmになるように、上部クランプと下部クランプの間にクランプされる。緩和状態においては、測定データ又は測定マークがゼロにリセットされる。スタートボタンを押すことで、試験片の伸長又はその測定値表示が開始する。試験片が破断した後に、装置は自動的に停止する。測定値は表示されたまま残されて、直接読み取ることができる。
【0255】
11. DIN8340に準拠したH試験片を使用する引張試験
試験するシリコーンを決定するためには、シリコーンカートリッジの対応する試験番号及び試験日を、プロトコルに記録する必要がある。配合後密閉材の運用寿命は、カートリッジ内で少なくとも24時間でなければならない。完全に充填及び密閉されたカートリッジをシリコーンカートリッジ用のガンに入れる。カートリッジの先端を外す。次に、シリコーンは、モールドの長さと高さにわたってスプレーされ、すぐにスパチュラで平滑にされる。その後、試験片は標準状態で28日間保存される。引張試験の前に、試験片を目視により確認する。試験片は、空気の混入又は亀裂を示してはならない。
【0256】
MFC T300引張試験機の中に、H-試験片用の引張クランプを挿入する必要がある。試験片は、距離が12mmになるように、上部クランプと下部クランプの間にクランプされる。緩和状態においては、測定データ又は測定マークがゼロにリセットされる。スタートボタンを押すことで、試験片の伸長又はその測定値表示が開始する。試験片が破断した後に、装置は自動的に停止する。測定値は表示されたまま残されて、直接読み取ることができる。
【0257】
12. シリコーン密閉材の貯蔵安定性の決定
完全に充填及び密封されたカートリッジが加熱された乾燥キャビネット内に配置される。プロトコル試験方法に従って、シリコーン密閉材は、数週間である特定の期間、加熱された乾燥キャビネット内で適切な温度にて保存される。保存期間の終わりに、カートリッジをシリコーンカートリッジ用のガンに入れる。次に、適切な量のシリコーンを、広げた流式布にスプレーする。スパチュラを使用して、シリコーンを全体的に素早くこすり、連続シリコーンストリップを作製する。次に、シリコーン密閉材はPA-E0002及びPA-E0010に関して評価される。
【0258】
13. シリコーン密閉材の初期耐荷重容量の決定
初期耐荷重容量を決定するためには、密閉材が排出される間の温度及び空気湿度を適切な装置を使用して決定する必要があり、対応するプロトコルに記録される。完全に充填及び密閉されたカートリッジ(少なくとも24時間の配合後密閉材の運用寿命)をシリコーンカートリッジ用のガンに入れる。まず、カートリッジに3cm間隔で水平な線を引いてカットする。次いで、対応する量のシリコーンを段ボール紙にスプレーする。スパチュラを使用してシリコーンをすばやくかいて、連続したシリコーンストリップを作製する。現在時刻を読み取る。第1のラインから出発して、15分の等間隔で、カートンを直角に曲げ、シリコーン表面の曲げ部分を試験する。シリコーンが、折れ部分において、完全に又は部分的に裂けている場合は、さらに15分後に、次の3cmの線にて測定を繰り返す。シリコーンが折れ部分において弾力性であり、亀裂が検出されない場合、シリコーンは早期装填に耐えられる。現在時刻を再度記録する。
【0259】
14. シリコーン密閉材のショアー硬度の決定
完全に充填及び密閉されたカートリッジ(少なくとも24時間の配合後密閉材の運用寿命)をシリコーンカートリッジ用のガンに入れる。その後、適切な量のシリコーンを清浄ガラス板にスプレーする。スパチュラをシリコーンに素早くこすりつけて、連続シリコーンストリップを作製する。密閉材が完全に硬化した後(PA-E0008を参照)、ショアー硬度計を両手で完全に平らな位置でシリコーン表面に置き、ショアー硬度の最大値を読み取る。測定は、シリコーン表面の異なる点で少なくとも5回繰り返し、個々の測定値から平均値を計算する。
【0260】
実施形態
実施形態1:
以下の成分a、b及びcを含有する組成物。
a.一般構造式R1
mSi(R)4-mを有する化合物を含む、シリコーンゴム組成物用硬化剤:
【0261】
式中、
各R1は、独立して、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C16アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルケニル基、又は要すれば置換されたC4~C14アリール基を表し、
mは0から2までの整数であり、
各Rは、独立して、以下からなる群から選択されるものである:
【0262】
- 一般構造式(I)を有するヒドロキシカルボン酸エステル残基:
【0263】
【0264】
式中、
各R2は、独立して、水素原子、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C16アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルケニル基、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルキニル基、又はC4~C14アリール基を表し、
各R3は、独立して、水素原子、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C16アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルケニル基、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルキニル基、又はC4~C14アリール基を表し、
R4は、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C16アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルケニル基、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルキニル基、C4~C14シクロアルキル基、C5~C15アラルキル基、又はC4~C14アリール基を表し、
R5は、炭素原子、又は4~14個の炭素原子を有する、要すれば置換された飽和又は部分的に不飽和の環状環系、又は4~14個の炭素原子を有する、要すれば置換された芳香族基であり、
nは0~10の整数である;
【0265】
- 一般構造式(II)のヒドロキシカルボン酸アミド残基:
【0266】
【0267】
式中、
各R6は、独立して、水素原子、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C16アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルケニル基、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルキニル基、又はC4~C14アリール基を表し、
各R7又はR8は、独立して、水素原子、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C16アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルケニル基、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルキニル基、又はC4~C14アリール基を表す;
- O-C(O)-R9、式中、R9は、水素原子、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C16アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルケニル基、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルキニル基、C4~C14シクロアルキル基、又はC4~C14アリール基を表す;
- O-N=CR10R11、式中、R10及びR11は、独立して、水素原子、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C16アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルケニル基、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルキニル基、C4~C14シクロアルキル基、又はC4~C14アリール基を表す。
【0268】
b.水スカベンジャー、アルコールスカベンジャー及び/又は水酸化物イオンスカベンジャーとして、少なくとも1つのオルガノシラン、特に複素環式オルガノシラン。
【0269】
c.要すれば少なくとも1つのオルガノポリシロキサン。
【0270】
実施形態2:
複素環式オルガノシランが含まれ、少なくとも1つのケイ素原子及び少なくとも1つのヘテロ原子が相互に直接連結され、ヘテロ原子が窒素原子、リン原子、イオウ原子又は酸素原子からなる群から選択されることを特徴とする実施形態1に記載の組成物。
【0271】
実施形態3:
1つ以上の複素環式オルガノシランは、一般構造式(III)、(IIIa)、(IV)、(IVa)、(V)、(Va)、又はそれらの混合物の群から選択されることを特徴とする、実施形態1又は2に記載の組成物:
【0272】
【0273】
式中、
aは0、1、又は2であり;
xは0~100を意味し;
yは1~1000を意味し;
nは0~6を意味し;
- 各Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、又はRgは、独立して、水素原子、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C20アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C20アルケニル基、要すれば置換されたC3~C20シクロアルキル基、要すれば置換されたC4~C20シクロアルケニル基、要すれば置換された、直鎖、分岐鎖又は環状のC4~C20アルキニル基、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C20ヘテロアルキル基、要すれば置換された、直鎖、分岐鎖又は環状のC3~C20ヘテロアルケニル基、又は要すれば置換されたC4~C14アリール又はヘテロアリール基であり;
- 各RA及び/又はRB及び/又は(RC)nは一緒になって、4~10員環、好ましくは5~8員環、特に好ましくは5~6員環を形成する。
【0274】
実施形態4:
1つ以上のオルガノシランは、一般構造式(VII)のイミノシラン、一般構造式(VIII)のシラノアミノシラン、一般構造式(IX)の非環状オルガノシラン、一般構造式(IX)に由来する(IXa)~(IXe)のアミノ保護基含有オルガノシラン又はそれらの混合物からなる群から選択される、実施形態1に記載の組成物:
【0275】
【0276】
式中、
- RhはC又はSiであり;
- 各Ri、Rjは、独立して、水素原子、-C(O)Rt、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C16アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルケニル基、又は要すれば置換されたC4~C14アリール基を意味し
- 各Rk、Rl、Rmは、独立して、水素原子、-C(O)Rt、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C16アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルケニル基、又は要すれば置換されたC4~C14アリール基を意味し
- 各Rn、Ro、Rp、Rq、Rr、Rsは、独立して、水素原子、-C(O)Rt、-COORt、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C16アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルケニル基、又は要すれば置換されたC4~C14アリール基を意味し
- 各Rt、Ru、は、独立して、水素原子、-ORi、-C(O)Ri、-C(O)CF3、-COORi、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C16アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルケニル基、要すれば置換されたC4~C14アリール基、又は保護基、特にtert-ブトキシカルボニル基、フルオレニルメトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、要すれば置換されたイソインドール-1,3-ジオン基又は3-メチル-ベンゼンスルホン基を意味し、及び
-zは1~30の整数である。
【0277】
実施形態5:
少なくとも、実施形態1aによる少なくとも1つの硬化剤と、少なくとも1つのオルガノシラン4b及び/又は実施形態3bによる複素環式オルガノシランとを、混合することによって得られる混合物を含む組成物。
【0278】
実施形態6:
オルガノシラン、特に複素環式オルガノシランは、それぞれ組成物の総重量に基づいて、最大3重量%、好ましくは最大2重量%、さらに好ましくは最大1.5重量%、特に好ましくは最大1.2重量%含まれる、前記実施形態の一つの組成物。
【0279】
実施形態7:
オルガノシラン、特に複素環式オルガノシランは、シリコーンゴム塊の総重量に基づいて、0.25~3重量%、好ましくは0.25~2重量%、さらに好ましくは0.5~1.5重量%、特に好ましくは0.8~1.2重量%の比率で存在する、前記実施形態の一つの組成物。
【0280】
実施形態8:
複素環式オルガノシランが4~10員の複素環である前記実施形態のいずれかに記載の組成物。
【0281】
実施形態9:
複素環式オルガノシランが5~6員の複素環である前記実施形態のいずれかに記載の組成物。
【0282】
実施形態10:
オルガノシラン、特に複素環式オルガノシランが、排他的にケイ素とヘテロ原子からなる、前記実施形態の1つに記載の組成物。
【0283】
実施形態11:
複素環が、ケイ素原子、窒素原子、リン原子、イオウ原子又は酸素原子からなる群から選択される最大5個のヘテロ原子を含む、実施形態8又は9に記載の組成物。
【0284】
実施形態12:
複素環が、少なくとも1つの窒素原子を含む、前記実施形態8~11のいずれか1つに記載の組成物。
【0285】
実施形態13:
オルガノシラン、特に複素環式オルガノシランが、少なくとも1つのさらなる環状環系に連結されている、前記記実施形態の1つに記載の組成物。
【0286】
実施形態14:
ケイ素原子が少なくとも1つのORdラジカルを有し、各Rdが、独立して、水素原子、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C20アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C20アルケニル基、要すれば置換されたC3~C20シクロアルキル基、要すれば置換されたC4~C20シクロアルケニル基、要すれば置換された、直鎖、分岐鎖又は環状のC4~C20アルキニル基、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C20ヘテロアルキル基、要すれば置換された、直鎖、分岐鎖又は環状のC3~C20ヘテロアルケニル基、又は要すれば置換されたC4~C14アリール又はヘテロアリール基を有する、前記実施形態の1つに記載の組成物。
【0287】
実施形態15:
ケイ素原子が少なくとも1つのNRd1Rd1ラジカルを有し、各Rd1が、独立して、水素原子、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C20アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C20アルケニル基、要すれば置換されたC3~C20シクロアルキル基、要すれば置換されたC4~C20シクロアルケニル基、要すれば置換された、直鎖、分岐鎖又は環状のC4~C20アルキニル基、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C20ヘテロアルキル基、要すれば置換された、直鎖、分岐鎖又は環状のC3~C20ヘテロアルケニル基、又は要すれば置換されたC4~C14アリール又はヘテロアリール基を有する、前記実施形態の一つに記載の組成物。
【0288】
実施形態16:
ヘテロ原子が、もう一つのオルガノシラン、好ましくは複素環式オルガノシランに直接連結されている、前記記実施形態の1つに記載の組成物。
【0289】
実施形態17:
ヘテロ原子が、もう一つのオルガノシラン、好ましくは複素環式オルガノシランに1個以上の炭素原子を介して連結されている、前記記実施形態の1つに記載の組成物。
【0290】
実施形態18
複素環式オルガノシランが、以下の構造式の少なくとも1つを有する、上記実施形態のいずれかに記載の組成物:
【0291】
【0292】
式中、
aは0、1、又は2であり;
xは0~100を意味し;
yは1~1000を意味し;
nは0~6を意味し;
- 各Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、又はRgは、独立して、水素原子、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C20アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C20アルケニル基、要すれば置換されたC3~C20シクロアルキル基、要すれば置換されたC4~C20シクロアルケニル基、要すれば置換された、直鎖、分岐鎖又は環状のC4~C20アルキニル基、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C20ヘテロアルキル基、要すれば置換された、直鎖、分岐鎖又は環状のC3~C20ヘテロアルケニル基、又は要すれば置換されたC4~C14アリール又はヘテロアリール基であり;
- 各RA及び/又はRB及び/又は(RC)nは一緒になって、4~10員環、好ましくは5~8員環、特に好ましくは5~6員環を形成する。
【0293】
実施形態19
複素環式オルガノシランが、以下の構造式の少なくとも1つを有する、上記実施形態のいずれかに記載の組成物:
【0294】
【0295】
式中、
aは0、1、又は2であり;
xは0~100を意味し;
yは1~1000を意味し;
nは0~6を意味し;
- 各Ra、Rb、Rc、Rd、又はRgは、独立して、水素原子、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C20アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C20アルケニル基、要すれば置換されたC3~C20シクロアルキル基、要すれば置換されたC4~C20シクロアルケニル基、要すれば置換された、直鎖、分岐鎖又は環状のC4~C20アルキニル基、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C20ヘテロアルキル基、要すれば置換された、直鎖、分岐鎖又は環状のC3~C20ヘテロアルケニル基、又は要すれば置換されたC4~C14アリール又はヘテロアリール基であり;
- 各RA及び/又はRB及び/又は(RC)nは、一緒になって、4~10員環、好ましくは5~8員環、特に好ましくは5~6員環を形成する。
【0296】
実施形態20:
以下の成分を含む組成物。
a.一般構造式R1
mSi(R)4-mを有する化合物を含む、シリコーンゴム組成物用硬化剤:
【0297】
式中、
各R1は、独立して、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C16アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルケニル基、又は要すれば置換されたC4~C14アリール基を表し、
mは0から2までの整数であり、
各Rは、独立して、以下からなる群から選択されるものである:
- O-N=CR10R11、式中、R10及びR11は、独立して、水素原子、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C16アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルケニル基、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C16アルキニル基、C4~C14シクロアルキル基、又はC4~C14アリール基を表す、
及び
【0298】
b.少なくとも1つの以下の構造式を有する複素環式オルガノシラン:
【0299】
【0300】
式中、
aは0、1、又は2であり;
xは0~100を意味し;
yは1~1000を意味し;
nは0~6を意味し;
- 各Ra、Rb、Rc、Rd、又はRgは、独立して、水素原子、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C20アルキル基、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C20アルケニル基、要すれば置換されたC3~C20シクロアルキル基、要すれば置換されたC4~C20シクロアルケニル基、要すれば置換された、直鎖、分岐鎖又は環状のC4~C20アルキニル基、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2~C20ヘテロアルキル基、要すれば置換された、直鎖、分岐鎖又は環状のC3~C20ヘテロアルケニル基、又は要すれば置換されたC4~C14アリール又はヘテロアリール基であり;
- 各RA及び/又はRB及び/又は(RC)nは一緒になって、4~10員環、好ましくは5~8員環、特に好ましくは5~6員環を形成する。
【0301】
実施形態21:
各RA及び/又はRB及び/又は(RC)nが一緒になった環が、ケイ素原子、窒素原子、リン原子、イオウ原子又は酸素原子、好ましくはケイ素原子、窒素原子又はイオウ原子のヘテロ原子を含みうる、前記実施形態20に記載の組成物。
【0302】
実施形態22:
複素環式オルガノシランが、少なくとも1つの以下の構造式を有する、前記実施形態のいずれかに記載の組成物:
【0303】
【0304】
実施形態23:
一般構造式R1
mSi(R)4-mにおいて、各R1は、独立して、メチル、エチル、プロピル、ビニル、フェニル又はアリル残基である、前記実施形態のいずれかに記載の組成物。
【0305】
実施形態24:
ヒドロキシカルボン酸エステル残基において、各R2及びR3は、互いに独立して、水素原子、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル及びtert-ブチルから、特に、水素原子及びメチルからなる群から選択される、前記実施形態のいずれかに記載の組成物。
【0306】
実施形態25:
ヒドロキシカルボン酸エステル残基のR4は、フェニル、トリル、ナフチル、ベンジル、シクロヘキシル、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、n-ブチル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、n-ペンチル、sec-ペンチル、3-ペンチル、2-メチルブチル、イソペンチル、3-メチルブト-2-イル、2-メチルブト-2-イル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、エチルヘキシル、及び2-エチルヘキシルからなる群から選択される、前記実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
【0307】
実施形態26:
ヒドロキシカルボン酸エステル残基において、R5が二価ベンゼン残基であるか、又はR5が炭素原子及びR2及びR3が水素原子であるか、又はR5が炭素原子及びR2が水素原子及びR3がメチルである、前記実施形態の1つに記載の組成物。
【0308】
実施形態27:
ヒドロキシカルボン酸エステル残基において、nは1~5、特に1~3、特に1の整数である、前記実施形態のうちの1つに記載の組成物。
【0309】
実施形態28:
硬化剤は、トリス(メチルラクタト)ビニルシラン、
トリス(エチルラクタト)ビニルシラン、
トリス(エチルヘキシルラクタト)ビニルシラン、
トリス(メチルサリシラト)ビニルシラン、
トリス(エチルサリチルアト)ビニルシラン、
トリス(エチルヘキシルサリシラト)ビニルシラン、
トリス(2-エチルヘキシルサリシラト)ビニルシラン、
トリス(イソプロピルサリシラト)ビニルシラン、
トリス(メチルラクタト)メチルシラン、
トリス(エチルラクタト)メチルシラン、
トリス(エチルヘキシルラクタト)メチルシラン、
トリス(メチルサリシラト)メチルシラン、
トリス(エチルサリシラト)メチルシラン、
トリス(エチルヘキシルサリシラト)メチルシラン、
トリス(2-エチルヘキシルサリシラト)メチルシラン、
トリス(3-アミノプロピル)メチルシラン、
トリス(5-アミノペンチル)メチルシラン、
トリス(メチルラクタト)プロピルシラン、
トリス(エチルラクタト)プロピルシラン、
トリス(エチルヘキシルラクタト)プロピルシラン、
トリス(エチルサリシラト)-プロピルシラン、
トリス(エチルヘキシルサリシラト)プロピルシラン、
トリス(2-エチルヘキシルサリシラト)プロピルシラン、
トリス(イソプロピルサリシラト)プロピルシラン、
トリス(3-アミノプロピル)プロピルシラン、
トリス(5-アミノペンチル)-プロピルシラン、
トリス(メチルラクタト)エチルシラン、
トリス(エチルラクタト)エチルシラン、
トリス(エチルヘキシルラクタト)エチルシラン、
トリス(メチルサリシラト)-エチルシラン、
トリス(エチルサリシラト)-エチルシラン、
トリス(エチルヘキシルサリシラト)エチルシラン、
トリス(2-エチルヘキシルサリシラト)エチルシラン、
トリス(イソプロピルサリシラト)エチルシラン、
トリス(3-アミノプロピル)エチルシラン、
トリス(5-アミノペンチル)エチルシラン、
トリス(メチルラクタト)フェニルシラン、
トリス(エチルラクタト)フェニルシラン、
トリス-(エチルヘキシルラクタト)フェニルシラン、
トリス(メチルサリシラト)フェニルシラン、
トリス(エチルサリシラト)フェニルシラン、
トリス(エチルヘキシルサリシラト)フェニルシラン、
トリス(2-エチルヘキシルサリシラト)フェニルシラン、
トリス(イソプロピルサリシラト)フェニルシラン、
トリス(3-アミノプロピル)フェニルシラン、
トリス(5-アミノペンチル)フェニルシラン、
テトラ(メチルラクタト)シラン、テトラ(エチルラクタト)シラン、
テトラ(エチルヘキシルラクタト)シラン、
テトラ(エチルヘキシルサリシラト)シラン、
テトラ(2-エチルヘキシルサリシラト)シラン、
テトラ(メチルサリシラト)シラン、
テトラ(イソプロピルサリシラト)シラン、
テトラ(エチルサリシラト)シラン、
テトラ(3-アミノプロピル)シラン、
テトラ(5-アミノペンチル)シラン及びそれらの混合物からなる群から選択される、前記実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
【0310】
実施形態29:
硬化剤は、追加して、一般構造式R12
oSi(R)4-oを有する化合物を含み、式中、各R12は、それぞれ独立して、要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C16アルキル基、特に要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC1~C12、又はC1~C8アルキル基又はメチル基又はプロピル基、又は要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2-~C16-アルケニル基、特に要すれば置換された、直鎖又は分岐鎖のC2-~C12-又はC2-~C8-アルケニル基又はビニル基、又は要すれば置換されたC4-~C14-アリール基又はフェニル基であり、Rは、請求項1、15又は21のいずれかに従って定義され、oは0~2の整数であり、R1
mSi(R)4-m及びR12
oSi(R)4-oは同一であってはならない、前記実施形態の1つに記載の組成物。
【0311】
実施形態30:
実施形態1又は23~28の1つに記載の少なくとも1つの硬化剤、又は実施形態29に記載の硬化剤混合物と、オルガノシラン、特に実施形態1~22の一つに記載の複素環式オルガノシランとを、混合することにより得られる組成物。
【0312】
実施形態31:
少なくとも1つのオルガノポリシロキサン、好ましくはα,ω官能性ジオルガノポリシロキサンを含む、前記実施形態の1つに記載の組成物。
【0313】
実施形態32:
少なくとも1つのオルガノポリシロキサンの少なくとも1つが、α,ω-ジヒドロキシジアルキルオルガノポリシロキサン、好ましくはα,ω-ジヒドロキシジ-C1~6-アルキルオルガノポリシロキサン、特に好ましくはα ,ω-ジヒドロキシジメチルポリシロキサンである、実施形態31に記載の組成物。
【0314】
実施形態33:
少なくとも1つのオルガノポリシロキサンの少なくとも1つが、1,000~500,000cst、好ましくは20,000~200,000cst、特に好ましくは50,000~125,000cstの粘度を有する、実施形態31又は32に記載の組成物。
【0315】
実施形態34:
好ましくは、シリカ、カーボンブラック、石英、チョーク、金属塩、金属酸化物、及び2つ以上の前述の化合物の任意の混合物からなる群から選択される充填剤、最も好ましくはシリカ、最も好ましくは100~200m2/gのBET比表面積を有するシリカを含む、前記実施形態のいずれかに記載の組成物。
【0316】
実施形態35:
好ましくはアミノプロピルトリエトキシシランであるチキソトロピー剤を含む、前記実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
【0317】
実施形態36:
好ましくは官能末端基を有しないポリジオルガノシロキサン、より好ましくは官能末端基を有しないポリジアルキルシロキサン、より好ましくは官能末端基を有しないポリジ-C1~6-アルキルシロキサン、及び最も好ましくは官能末端基を有しないポリジメチルシロキサンである可塑剤を含む、前記実施形態のいずれかに記載の組成物。
【0318】
実施形態37:
好ましくは、カルボン酸スズ、チタン、ジルコニウム、又はアルミニウム化合物からなる群から選択され、より好ましくは、チタンシルセスキオキサン(Ti-POSS)、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジバレリエート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジネオデカノエート、ジブチルスズジアセチルアセトネート、ジオクチルスズビス(2-エチルヘキサノエート)、ジブチルスズジマレエート、スズ(II)オクトエート及びブチルスズトリス(2-エチルヘキサノエート)からなる群から選択され、最も好ましくは、(iBu)7Si7O12TiOEt、(C8H17)7Si7O12、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート及び/又はスズ(II)オクトエートからなる群から選択される少なくとも1つの触媒を含有する、前記実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
【0319】
実施形態38:
以下のa)~c)を含む前記実施形態の1つに記載の組成物:
a)30~70重量%のα,ω-ジヒドロキシジアルキルオルガノポリシロキサン、
b)1~10重量%の硬化剤、及び
c)0.1~10重量%のオルガノシラン、特に複素環式オルガノシラン。
【0320】
実施形態39:
以下のa)~f)を含む実施形態38に記載の組成物:
a)30~70重量%のα,ω-ジヒドロキシジアルキルオルガノポリシロキサン、
b)1~10重量%の硬化剤、
c)0.1~10重量%のオルガノシラン、特に複素環式オルガノシラン、
d)20~50重量%の可塑剤、
e)1~20重量%の充填剤、及び
f)0.01~1重量%の触媒。
【0321】
実施形態40:
以下のa)~f)を含む実施形態39に記載の組成物:
a)40~60重量%のα,ω-ジヒドロキシジアルキルオルガノポリシロキサン、
b)3~7重量%の硬化剤、
c)0.5~2.5重量%のオルガノシラン、特に複素環式オルガノシラン、
d)25~40重量%の可塑剤、
e)5~15重量%の充填剤及び
f)0.05~0.5重量%の触媒。
【0322】
実施形態41:
以下の工程を包含する、組成物を調製する方法:
(i)オルガノポリシロキサン、好ましくはα,ω-ジヒドロキシジアルキルオルガノポリシロキサンと、前記実施形態1~40の1つに記載の架橋剤又は架橋剤混合物とを、真空下で混合する工程;
(ii)オルガノシラン、特に前記実施形態1~40の1つに記載の複素環式オルガノシランと実施形態37に記載の触媒とを、真空下で混合する工程。
【0323】
実施形態42:
以下の工程を包含する、組成物を調製する方法:
(i)オルガノポリシロキサン、好ましくはα,ω-ジヒドロキシジアルキルオルガノポリシロキサンと、前記実施形態36に記載の可塑剤及び前記実施形態1~40の1つに記載の架橋剤又は架橋剤混合物とを、真空下で混合する工程;
(ii)チキソトロピー剤、好ましくはアミノプロピルトリエトキシシランを添加する工程;
(iii)充填剤、特にシリカを分散させる工程;
(iv)オルガノシラン、特に前記実施形態1~40の1つに記載の複素環式オルガノシランと実施形態37に記載の触媒とを、真空下で混合する工程。
【0324】
実施形態43:
前記実施形態の1つに記載のオルガノシラン、特に複素環式オルガノシランの水スカベンジャー、アルコールスカベンジャー及び/又は水酸化物イオンスカベンジャーとしての使用。
【0325】
実施形態44:
前記実施形態1~40のいずれか1つに記載の組成物のシリコーンゴム塊の製造のための使用。
【0326】
実施形態45:
前記実施形態1~40のいずれかによる少なくとも1つのオルガノシラン、特に複素環式オルガノシランと水との反応生成物の接着促進剤としての使用。
【0327】
実施形態46:
前記実施形態の1つに記載の組成物の密閉材、接着剤、注型コンパウンド又はコーティング剤としての使用。
【0328】
実施形態47:
前記実施形態の1つに記載のオルガノシラン、特に複素環式オルガノシランの安定剤としての使用であって、その後者は、少なくとも1つのヘテロ原子上に、トリアルキルシリル基、好ましくはトリメチルシリル基を有する使用。