(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-17
(45)【発行日】2024-07-25
(54)【発明の名称】内部過渡回復電圧コンデンサアセンブリを有する回路遮断器
(51)【国際特許分類】
H02B 13/035 20060101AFI20240718BHJP
【FI】
H02B13/035 301G
(21)【出願番号】P 2021538315
(86)(22)【出願日】2019-12-18
(86)【国際出願番号】 US2019067195
(87)【国際公開番号】W WO2020142215
(87)【国際公開日】2020-07-09
【審査請求日】2021-08-19
【審判番号】
【審判請求日】2023-06-07
(32)【優先日】2018-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】523380173
【氏名又は名称】ヒタチ・エナジー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HITACHI ENERGY LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シンデ,スシル・エイ
(72)【発明者】
【氏名】クリンコ,カール・アール
(72)【発明者】
【氏名】クペット,マシュー・ディ
(72)【発明者】
【氏名】ブラドゥチック,ポール・ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】ダーラー,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ホバーン,トーマス・イー
【合議体】
【審判長】小川 恭司
【審判官】中屋 裕一郎
【審判官】尾崎 和寛
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-126544(JP,A)
【文献】特開昭55-3136(JP,A)
【文献】特開平10-155216(JP,A)
【文献】特開2015-43656(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 13/035
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路遮断器であって、
内部領域を有する筐体と、
前記筐体の前記内部領域内に収容される接点とを備え、前記接点の第1の側は前記回路遮断器の第1の導電体に電気的に結合され、前記接点の第2の側は前記回路遮断器の第2の導電体に電気的に結合され、前記回路遮断器はさらに、
前記筐体の前記内部領域内に収容され、前記接点の両端に並列接続されるコンデンサアセンブリを備え、前記コンデンサアセンブリは過渡回復電圧コンデンサを含み、
前記コンデンサアセンブリは、絶縁管、第1のエンドキャップ、および第2のエンドキャップをさらに含み、前記第1および第2のエンドキャップは、導電性材料を含み、前記絶縁管の両端に取り付けられ、前記過渡回復電圧コンデンサは前記絶縁管内に収容され、
前記コンデンサアセンブリは第1の装着ブラケットおよび第2の装着ブラケットをさらに含み、前記第1および第2の装着ブラケットは導電性材料を含み、前記第1の装着ブラケットは、前記第1のエンドキャップに取り付けられ、前記接点の第1の側に電気的に結合され、前記第2の装着ブラケットは、前記第2のエンドキャップに取り付けられ、前記接点の第2の側に電気的に結合され、前記回路遮断器はさらに、
前記内部領域内に収容される回路断続器を備え、前記回路断続器は第1の接点アセンブリおよび第2の接点アセンブリを有し、前記第2の接点アセンブリは第2のシールドを含み、前記第2のシールドは前記接点の第2の側の全周を囲うようにサイズ決めすることができ、前記第1の接点アセンブリは第1のシールドを含み、前記第1のシールドは前記接点の第1の側の全周を囲うようにサイズ決めすることができる、回路遮断器。
【請求項2】
前記筐体は、誘電絶縁媒体を収容する密閉された筐体である、請求項1に記載の回路遮断器。
【請求項3】
少なくとも前記接点が電気的な開位置にあるとき、前記コンデンサアセンブリの第1の側は前記第1の導電体に電気的に結合され、前記コンデンサアセンブリの第2の側は前記第2の導電体に電気的に結合される、請求項1に記載の回路遮断器。
【請求項4】
前記第1の導電体は第1のブッシング内に保持され、前記第2の導電体は第2のブッシング内に保持される、請求項3に記載の回路遮断器。
【請求項5】
前記接点は
前記第1の接点アセンブリおよび
前記第2の接点アセンブリを含み、前記第1の接点アセンブリは1つ以上の可動接点を有し、前記第2の接点アセンブリは1つ以上の接点を有する、請求項1に記載の回路遮断器。
【請求項6】
前記コンデンサアセンブリの第1の側は前記第1の接点アセンブリに直接電気的に結合され、前記コンデンサアセンブリの第2の側は前記第2の接点アセンブリに直接電気的に結合される、請求項5に記載の回路遮断器。
【請求項7】
前記絶縁管はエポキシから構成される、請求項1に記載の回路遮断器。
【請求項8】
装置であって、
内部領域を有する筐体と、
前記内部領域内に収容される回路断続器とを備え、前記回路断続器は第1の接点アセンブリおよび第2の接点アセンブリを有し、前記第2の接点アセンブリは少なくとも1つの固定接点および第2のシールドを含み、前記第2のシールドは前記少なくとも1つの固定接点の全周を囲うようにサイズ決めすることができ、前記第1の接点アセンブリは少なくとも1つの可動接点および第1のシールドを含み、前記第1のシールドは前記少なくとも1つの可動接点の全周を囲うようにサイズ決めすることができ、前記少なくとも1つの可動接点は、(1)前記回路断続器が電気的な閉構成にあるときに前記少なくとも1つの固定接点と接触し、(2)前記回路断続器が電気的な開構成にあるときに前記少なくとも1つの固定接点との接触から変位するように、構成され、前記装置はさらに、
前記筐体の前記内部領域内に収容される少なくとも1つのコンデンサアセンブリを備え、前記少なくとも1つのコンデンサアセンブリは過渡回復電圧コンデンサを含み、前記少なくとも1つのコンデンサアセンブリの第1の端は前記第1のシールドと電気的に接触し、前記少なくとも1つのコンデンサアセンブリの第2の端は前記第2のシールドと電気的に接触し、
前記少なくとも1つのコンデンサアセンブリは、第1の装着ブラケット、第2の装着ブラケット、およびコンデンサ部を含み、前記第1の装着ブラケットは、前記第1のシールドおよび前記コンデンサ部の第1の端に電気的に結合され、前記第2の装着ブラケットは、前記第2のシールドおよび前記コンデンサ部の第2の端に電気的に結合され、前記過渡回復電圧コンデンサは前記コンデンサ部内に収容され、
前記コンデンサ部は、第1のエンドキャップ、第2のエンドキャップ、および本体部を含み、前記第1のエンドキャップ、前記第2のエンドキャップ、前記第1の装着ブラケット、および前記第2の装着ブラケットは導電性材料から構成され、前記第1の装着ブラケットは前記第1のエンドキャップに直接結合され、前記第2の装着ブラケットは前記第2のエンドキャップに直接結合される、装置。
【請求項9】
前記回路断続器は、前記少なくとも1つの可動接点と前記少なくとも1つの固定接点とを含む接点を含み、前記少なくとも1つのコンデンサアセンブリは前記接点の両端に電気的に並列接続される、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記筐体は、絶縁媒体を収容する密閉された筐体である、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
装置であって、
第1の導電体と、第2の導電体と、筐体と、回路断続器と、少なくとも1つのコンデンサアセンブリとを有する少なくとも1つの極アセンブリを備え、前記回路断続器および前記少なくとも1つのコンデンサアセンブリは前記筐体の内部領域内に収容され、前記少なくとも1つのコンデンサアセンブリは、前記回路断続器の接点の両端に並列接続される過渡回復電圧コンデンサを有し、
前記回路断続器は第1の接点アセンブリおよび第2の接点アセンブリを含み、前記第1の接点アセンブリは、少なくとも1つの可動接点を含み、前記第1の導電体に電気的に結合され、前記第2の接点アセンブリは、少なくとも1つの固定接点を含み、前記第2の導電体に電気的に結合され、前記過渡回復電圧コンデンサの第1の側は前記第1の接点アセンブリに電気的に結合され、前記過渡回復電圧コンデンサの第2の側は前記第2の接点アセンブリに電気的に結合され、
前記少なくとも1つのコンデンサアセンブリは第1の装着ブラケットおよび第2の装着ブラケットを含み、前記第1および第2の装着ブラケットは前記少なくとも1つのコンデンサアセンブリの両端にあり、前記第1の装着ブラケットは前記第1の接点アセンブリの第1のシールドに直接電気的に結合され、前記第2の装着ブラケットは前記第2の接点アセンブリの第2のシールドに直接電気的に結合され、
前記第1のシールドは前記少なくとも1つの可動接点の全周を囲うようにサイズ決めすることができ、前記第2のシールドは前記少なくとも1つの固定接点の全周を囲うようにサイズ決めすることができる、装置。
【請求項12】
前記回路断続器の前記接点は、少なくとも1つの可動接点および少なくとも1つの固定接点を含み、前記少なくとも1つの可動接点は、(1)前記回路断続器が電気的な閉構成にあるときに前記少なくとも1つの固定接点と接触し、(2)前記回路断続器が電気的な開構成にあるときに前記少なくとも1つの固定接点との接触から変位するように、構成される、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
少なくとも前記回路断続器が電気的な開構成にあるとき、前記第1のシールドは前記第1の導電体に電気的に結合され、前記第2のシールドは前記第2の導電体に電気的に結合される、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記筐体は、絶縁媒体を収容する密閉された筐体である、請求項11に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
本発明の実施形態は、概して回路遮断器に関する。排他的にではなくより具体的には、本発明の実施形態は、回路遮断器の接点の両端に並列結合される内部過渡回復電圧(transient recovery voltage)(TRV)コンデンサアセンブリを有する回路遮断器に関する。
【背景技術】
【0002】
電気的接続を選択的に開閉するために使用されるさまざまな種類の回路遮断器は、他の絶縁ガスおよび液体の中でも特に、たとえば六フッ化硫黄(SF6)を含む液体または気体の誘電絶縁媒体で充填される、密閉された筐体またはタンクを利用する。密閉された筐体内の誘電絶縁媒体は、少なくとも、回路遮断器の接点の開放と少なくとも関連付けられ得る、アーク放電を低減および/または消滅させる目的で、かつ、電気的活性部分および少なくとも筐体からの電流の流れを防止する目的で、使用され得る。さらに、そのような誘電絶縁媒体は、少なくとも、回路遮断器の密閉された筐体内に収容されている断続器の動作、たとえば、断続器の固定接点に対して相対的な可動接点の変位を伴う動作に関連付けられ得るアーク放電を防止するまたは消滅させる目的で、使用され得る。
【0003】
加えて、たとえば故障に応答して、回路遮断器の接点を開くと、少なくとも特定の状況において、回路遮断器接点の接点の両端に、さらに、回路遮断器の筐体内に収容されている回路断続器の接点の両端に、比較的高速に上昇するTRVが生じる場合がある。さらに、そのようなTRVは、電流の遮断が失敗する原因となる可能性があり、したがって、少なくとも特定の状況において、回路断続器の熱破損/絶縁破損につながる可能性がある。
【0004】
少なくとも特定の種類の回路遮断器におけるTRVに対処するこれまでの試みでは、外部線路-接地TRVコンデンサを使用していた。しかし、このような外部線路-接地TRVコンデンサには典型的に、たとえば、外部線路-接地TRVコンデンサを回路遮断器にまたは別個の台座上に外部から装着するための構成要素を含む、追加の外部装着構成要素および関連する空間が必要であり、これによって製造コストおよび費用が増加し得るだけでなく、回路遮断器に関連している少なくとも特定の構成要素に十分なクリアランスを提供することが複雑になる可能性がある。加えて、外部線路-接地TRVコンデンサは典型的に、回路遮断器の片側のみに電気的に結合されるので、回路遮断器の接点の両側の故障については効果的ではない場合がある。さらに、外部線路-接地TRVコンデンサは、外部構成要素であることによって、回路遮断器の接点から比較的遠くに離れている場合があり、これが外部線路-接地TRVコンデンサの効率に悪影響を及ぼす可能性がある。しかし、外部線路-接地TRVコンデンサと回路遮断器の接点との間のそのような距離の悪影響に対処する試みは、比較的大容量のコンデンサの使用を伴うことが多く、この結果、少なくとも設備コストが増加し得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要
本発明の一態様は、内部領域を有する筐体と、上記筐体の上記内部領域内に収容される接点とを含む回路遮断器である。上記接点の第1の側は上記回路遮断器の第1の導電体に電気的に結合されてもよく、上記接点の第2の側は上記回路遮断器の第2の導電体に電気的に結合されてもよい。上記回路遮断器はさらに、上記筐体の上記内部領域内に収容されて上記接点の両端に並列接続され得るコンデンサアセンブリを含んでもよい。さらに、上記コンデンサアセンブリは過渡回復電圧コンデンサを含んでもよい。
【0006】
本願の実施形態の別の態様は、内部領域を有する筐体と、上記筐体の上記内部領域内に収容され得る回路断続器とを含む装置である。上記回路断続器は第1の接点アセンブリおよび第2の接点アセンブリを有してもよく、上記第1の接点アセンブリは少なくとも1つの可動接点および第1のシールドを含み、上記第2の接点アセンブリは少なくとも1つの固定接点および第2のシールドを含む。上記少なくとも1つの可動接点は、(1)上記回路断続器が電気的な閉構成にあるときに上記少なくとも1つの固定接点と接触し、(2)上記回路断続器が電気的な開構成にあるときに上記少なくとも1つの固定接点との接触から変位するように、構成されてもよい。加えて、上記装置は、上記筐体の上記内部領域内に収容され得る少なくとも1つのコンデンサアセンブリを含んでもよく、上記少なくとも1つのコンデンサアセンブリは過渡回復電圧コンデンサを含む。さらに、上記少なくとも1つのコンデンサアセンブリの第1の端は上記第1のシールドと電気的に接触してもよく、上記少なくとも1つのコンデンサアセンブリの第2の端は上記第2のシールドと電気的に接触してもよい。
【0007】
加えて、本願の実施形態の一態様は、第1の導電体と、第2の導電体と、筐体と、回路断続器と、少なくとも1つのコンデンサアセンブリとを有する少なくとも1つの極アセンブリを含む装置である。上記回路断続器および上記少なくとも1つのコンデンサアセンブリは、上記筐体の内部領域内に収容されてもよい。加えて、上記少なくとも1つのコンデンサアセンブリは、上記回路断続器の接点の両端に並列接続される過渡回復電圧コンデンサを有してもよい。
【0008】
本明細書における説明は、いくつかの図全体を通して同様の参照番号は同様の部分を指す添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】従来の高電圧デッドタンク回路遮断器の正面図である。
【
図3】本願の図示の実施形態に係る内部コンデンサアセンブリを有する回路遮断器用の密閉された筐体の一部の部分切取図である。
【
図4】本願の図示の実施形態に係る内部コンデンサアセンブリを有する回路遮断器用の密閉された筐体の一部の断面図である。
【
図5】本願の図示の実施形態に係る具体例としての内部コンデンサアセンブリの部分断面図である。
【
図6】本願の図示の実施形態に係る具体例としてのコンデンサの側面図である。
【
図7】開位置で示されている回路断続器と並列に、かつ当該回路断続器の両側に接続された、本願の図示の実施形態に係る具体例としての内部コンデンサアセンブリを表す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図示の実施形態の説明
上記の概要、および本発明の特定の実施形態の以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて読まれるとよりよく理解されるであろう。本発明を説明するために、図面には特定の実施形態が示されている。しかしながら、本発明は添付の図面に示されている構成および手段に限定されないことが理解されるべきである。
【0011】
特定の専門用語が上記の説明において便宜上使用されているが、限定するものとして意図されていない。「上」、「下」、「上部」、「下部」、「第1の」および「第2の」などの単語は、参照する図中の方向を示す。この専門用語は、上記で具体的に述べた単語、その派生語、および同様の意味の単語を含む。加えて、「ある」および「1つの」という単語は、明確に述べられていない限り、言及された項目の1つ以上を含むと定義される。「A、BまたはC」などの2つ以上の項目のリストに続く「のうちの少なくとも1つ」という文言は、A、BまたはCのいずれかの個々の1つ、およびそれらの任意の組み合わせを意味する。
【0012】
説明のために、
図1および
図2は、全体的に10で示されている従来のデッドタンク回路遮断器を示す。図示の例によれば、回路遮断器10は3相回路遮断器であり、したがって、外側極アセンブリ12aおよび12cと中央極アセンブリ12bとを含む3極アセンブリを含む。各極アセンブリ12a、12b、12cは、第1のブッシング16内に保持された第1の導電体14と、第2のブッシング20内に保持された第2の導電体18とを含む。電力線が第1および第2の導電体14、18に結合され、回路遮断器10はそれらの間の電気的接続を選択的に開閉する。ベルクランク22a、22b、22cがそれぞれの極アセンブリ12a、12b、12cに関連付けられ、図示の例におけるベルクランク22a~cは、3極アセンブリ12a、12b、12cのすべてが、全体的に23で示されている1つ以上の操作機構によって同時に作動されるように、相互接続シャフトを含む連動式リンク構造によって相互接続される。各極アセンブリ12a、12b、12cは筐体24を含み、筐体24は、この例ではデッドタンクであり、たとえば1つ以上の回路断続器を含む遮断器10の電気接点を収容することができる。図示の例に示されるように、各筐体24は従来のボルト30によって支持構造28に固定される。
【0013】
筐体24の内部容積、ならびに第1および第2のブッシング16、20への入口の少なくとも一部は、液体または気体の絶縁媒体26で充填されてもよい(
図3)。特定の実施形態によれば、絶縁媒体26は、他の絶縁ガスの中でも特に、たとえば六フッ化硫黄(SF
6)などの高圧電気絶縁ガスである。あるいは、絶縁媒体26は周囲空気または圧縮空気である。他の実施形態によれば、絶縁媒体は、他の液体絶縁媒体の中でも特に、たとえば油などの液体であってもよい。電気絶縁媒体26は、さまざまな異なる目的に利用可能である。たとえば、筐体24内の接点は、回路遮断器10の動作時に、たとえば、回路遮断器10の回路断続器の可動接点を、回路断続器の電気的な閉位置から、固定電気接点に対して相対的な位置に変位させたときに、アーク放電またはコロナ放電を受ける可能性がある。加えて、絶縁媒体26を利用して、このようなアーク放電を消滅させることができる。さらに、絶縁媒体26の特性を考慮すると、絶縁媒体26は、回路遮断器の他の導電部分または構成要素の中でも特に、筐体24内の導電部分と筐体24の壁との間の絶縁体として作用することもできる。
【0014】
図3は、本願の図示の実施形態に係る内部コンデンサアセンブリ32を有する回路遮断器10用の密閉された筐体24の一部の部分切取図を示す。密閉された筐体24は、少なくとも1つの回路断続器34と、液体または気体の絶縁媒体26とを収容する。加えて、以下でより詳細に述べるように、内部コンデンサアセンブリ32は、回路遮断器10の接点と並列であるように電気的に配置され、かつ、他の内部コンデンサアセンブリ32に対して並列に配置される。
図1および
図2はデッドタンクの形態の具体例としての筐体24を示しているが、本願の密閉された筐体24は、デッドタンクとして使用することに加えて、絶縁媒体26を利用するさまざまな他の種類の回路遮断器と共に使用するために構成することもできる筐体であってもよい。たとえば、筐体24は、デッドタンク回路遮断器に関連して使用されることに加えて、他の種類の回路遮断器の中でも特に、ライブタンク回路遮断器に関連して使用されるように構成することができる。
【0015】
さまざまな異なる種類または様式の回路断続器34を回路遮断器10と共に利用することができ、密閉された筐体24内に完全にではないにしても少なくとも部分的に収容することができる。たとえば、図示の実施形態によれば、回路断続器34は、少なくとも
図4に示されるように、パッファ断続器を含む。そのような実施形態によれば、回路断続器34は、第1の接点アセンブリ36および第2の接点アセンブリ38を含み得る。具体例としての実施形態によれば、第1の接点アセンブリ36は、回路断続器34の可動接点に関連付けられた構成要素を含み得、第2の接点アセンブリ38は、回路断続器34の固定接点に関連付けられた構成要素を含み得る。加えて、絶縁管40が第1および第2の接点アセンブリ36、38の対向する側面に隣接してもよい。さらに、絶縁管40は、回路遮断器10の接点の開閉時に第2の接点アセンブリ38の少なくとも一部を絶縁管40の内部で直線変位させることができるように、構成することができる。
【0016】
第1の接点アセンブリ36は、少なくとも、可動側シールド56と、パッファピストン58と、パッファシリンダ60と、複数のトランスファー接点62と、たとえば可動アーク接点66および主可動接点68などの1つ以上の可動接点64とを含み得る。特定の実施形態によれば、回路遮断器10の接点74は、回路断続器34の第2の接点アセンブリ38の1つ以上の固定接点44と、第1の接点アセンブリ36の1つ以上の可動接点64とを含み得る。加えて、特定の実施形態によれば、可動側部シールド56は、他の材料の中でも特に、たとえばアルミニウムまたは鋼鉄などの導電性材料からから構成することができ、第1の接点アセンブリ36の構成要素の少なくとも一部を収容するようにサイズ決めすることができ、直接的または間接的に互いに結合される第1のエンドキャップ70および第1の本体部72を含み得る。加えて、少なくとも
図4に示されるように、可動側部シールド56の第1の本体部72は、第1の導電体14に取り付けられて第1の導電体14と電気通信することができる。さらに、主可動接点68の少なくとも第1の本体部72は、パッファピストン58と、パッファシリンダ60と、複数のトランスファー接点62と、可動アーク接点66と、主可動接点68とに結合されてこれらと電気通信することができる。可動アーク接点66および主可動接点68は、回路断続器34の動作時に、可動アーク接点66および主可動接点68が、パッファシリンダ60の直線変位によって第2の接点アセンブリ38およびパッファピストン58に対して相対的に直線変位するように、パッファシリンダ60に結合することができる。
【0017】
第2の接点アセンブリ38は、少なくとも、固定側シールド42と、たとえば固定アーク接点46および主固定接点48などの1つ以上の固定接点44とを含み得る。特定の実施形態によれば、固定側シールド42は、他の材料の中でも特に、アルミニウムまたは鋼鉄などの導電性材料からから構成することができ、第2の接点アセンブリ38の構成要素の少なくとも一部を収容するようにサイズ決めすることができ、第2のエンドキャップ50および第2の本体部52を含み得る。加えて、少なくとも
図4に示されるように、固定側シールド42の第2の本体部52は、第2の導電体18に取り付けられて第2の導電体18と電気通信することができる。さらに、少なくとも
図4に示されるように、固定側部シールド42は、固定アーク接点46に結合されて固定アーク接点46と電気通信することができる内向き突起54を含み得る。同様に、図示の実施形態によれば、主固定接点48は、固定側シールド42の第2の本体部52に結合されて第2の本体部52と電気通信することができ、固定アーク接点46の少なくとも一部の外周の周りに延在するように位置決めすることができる。
【0018】
図示の実施形態によれば、回路遮断器10の接点74が、したがって回路断続器34が電気的な閉位置にあるとき、パッファシリンダ60は、可動アーク接点66が固定アーク接点46と電気的に接触し、主可動接点68が主固定接点48に電気的に接触するように、少なくとも第2の接点アセンブリ38およびパッファピストン58に対して相対的な直線位置にある。回路遮断器10を操作して、回路遮断器10の接点74を電気的な閉位置から開位置に変えると、パッファシリンダ60を第1の接点アセンブリ36および/または絶縁管40の少なくとも一部に沿って直線変位させることができ、それにより、主可動接点68および可動アーク接点66は、主固定接点48および固定アーク接点46との接触からそれぞれ外れることによって、少なくとも、回路断続器34の固定接点44と可動接点64との間の電気的な接触を全体的に終了させることを試みる。
【0019】
少なくとも
図3~
図5に示されるように、内部コンデンサアセンブリ32の各々は、コンデンサ部76と、1つ以上の装着ブラケット78a、78bとを含み得る。コンデンサ部76は、コンデンサ部76の第1のエンドキャップ82aと第2のエンドキャップ82bとの間に延在する本体部80を含む。第1および第2のエンドキャップ82a、82bは、他の材料の中でも特に、たとえばアルミニウムまたは鋼鉄などの導電性材料から構成することができる。さらに、このような実施形態によれば、第1および第2のエンドキャップ82a、82bの各々は、以下で述べるように、内部コンデンサアセンブリ32を回路断続器34に取り付けるように構成された、隣接する装着ブラケット78a、78bに結合されるように構成される。
【0020】
図示の実施形態によれば、装着ブラケット78a、78bは、内部コンデンサアセンブリ32の隣接する第1および第2のエンドキャップ82a、82bと回路断続器34とに結合されるように構成することができる。内部コンデンサアセンブリ32および回路断続器34への装着ブラケットのこのような結合は、さまざまな異なる方法で達成することができる。たとえば、少なくとも
図5に示されるように、特定の実施形態によれば、装着ブラケット78a、78bは1つ以上の開口84a、84bを有し、開口84a、84bは、隣接する第1もしくは第2のエンドキャップ82a、82bおよび/または筐体24のねじ付き開口に確実に係合することができる締結具86、たとえば、他の種類の締結具の中でも特に、ボルトまたはねじを受けるようにサイズ決めされる。特定の実施形態によれば、開口84a、84bは、締結具86の少なくとも頭部の配置を収容するようにサイズ決めされる座ぐりを含み得る。加えて、締結具86がボルトまたはねじである特定の実施形態によれば、装着ブラケット78a、78bの開口84a、84b、第1もしくは第2のエンドキャップ82a、82bの開口88、および/または回路断続器34の嵌合開口、のうちの少なくとも一部は、対応する締結具86の雄ねじの少なくとも一部と螺合するように構成される雌ねじを含み得る。さらに、少なくとも
図5に示されるように、特定の実施形態によれば、装着ブラケット78a、78bを第1または第2のエンドキャップ82a、82bに固定するために使用される装着ブラケット78a、78bの開口84aは、装着ブラケット78a、78bを回路断続器34に固定するために使用される装着ブラケット78a、78bの開口84bに体して概して垂直であってもよい。
【0021】
コンデンサ部76の本体部80は、第1の管端92aおよびその反対の第2の管端92bを有する絶縁管90を含み得、第1および第2の管端92a、92bは、隣接する第1および第2のエンドキャップ82a、82bにそれぞれ結合される。絶縁管90は、外面96および内面98を有する絶縁壁94を含み得、内面98は絶縁管90の内部領域100を全体的に規定する。さらに、絶縁壁94は、他の材料の中でも特に、硬化したエポキシを含むがこれに限定されないさまざまな異なる電気絶縁材料から構成することができる。絶縁管90の内部領域100は、少なくともTRVコンデンサ102を収容することができる。TRVコンデンサ102は、少なくとも回路遮断器10の接点74を、したがって回路断続器34の接点44、64を電気的な閉位置から電気的な開位置に変えているときに過渡回復電圧(TRV)を軽減するように構成される。さらに、TRVコンデンサ102は、回路遮断器10の開接点74の両端に現れ得る初期TRV(ITRV)の端子故障および短線故障上昇率を遅延させるように構成され、したがって、そうしなければ回路断続器34が破損して回路が断続され得るレベルにTRVレベルが到達しないようにすることを助ける時間遅延を提供する。内部コンデンサアセンブリ32によって提供される遅延の持続期間は、たとえばTRVコンデンサ102の容量値を含むさまざまな要因に基づくことができる。
【0022】
特定の実施形態によれば、TRVコンデンサ102は油入コンデンサとすることができ、したがって、絶縁管90の内部領域100内に収容されているTRVコンデンサ102の他の構成要素の中でも特に、絶縁管90の内部領域100に油を充填することができる。さらに、特定の実施形態によれば、TRVコンデンサ102はさらに、たとえばベローズなどの膨張要素104を含んでもよく、膨張要素104は、他の圧縮体の中でも特に、たとえば窒素などのガスで充填されてもよく、または充填されなくてもよい。膨張要素104は、絶縁管90の内部領域100内の変化に応答して、たとえば、絶縁管90の内部領域100内に収容されている油の温度および/または圧力の変化に応答して、圧縮されるようにサイズ決めすることができる。
【0023】
内部コンデンサアセンブリ32は、したがってTRVコンデンサ102は、たとえば回路遮断器10の接点74が電気的な開位置にあるときであるが、これに限定されず、第1および第2の導電体14、18の両方と直接的または間接的に電気通信することができる。したがって、特定の実施形態によれば、TRVコンデンサ102は、少なくとも
図7によって示されるように、回路遮断器10の接点74の両端に、かつ接点74と並列に、配線することができる。内部コンデンサアセンブリ32の、したがってTRVコンデンサ102のそのような並列構成は、故障が回路遮断器10のどちらの側で発生したかおよび/または存在しているかに関わらず、端子故障および短線故障ITRV上昇率を遅延させるのに効果的なTRVコンデンサ102を容易にすることができる。さらに、上述のように、特定の実施形態によれば、内部コンデンサアセンブリ32の各々のTRVコンデンサ102は、内部コンデンサアセンブリ32が回路遮断器の接点74および/または回路断続器34の接点44、64に比較的近接するように、筐体24内に回路断続器34とともに収容することができる。コンデンサアセンブリ32が、筐体24内でそのように内部位置決めされること、およびそれに関連して回路遮断器10の接点74に比較的近接していることにより、TRVコンデンサ102が筐体24の外部にある場合と比べて、容量が比較的小さいTRVコンデンサ102にコンデンサを使用することができる。
【0024】
たとえば、特定の実施形態によれば、上述のように、装着ブラケット78a、78bは、内部コンデンサアセンブリ32の各々の片側を回路断続器34の接点46、66の各側に固定することにより、したがって回路遮断器10の接点74に固定することにより、内部コンデンサアセンブリ32が回路遮断器10の接点74全体に、かつ接点74と平行に延びるように、構成することができる。たとえば、図示の実施形態によれば、内部コンデンサアセンブリ32の第1の装着ブラケット78aは、回路断続器34の可動側シールド56に取り付けることができ、内部コンデンサアセンブリ32の他方の装着ブラケット78bは、回路断続器34の固定側シールド42に取り付けることができる。さらに、特定の実施形態によれば、内部コンデンサアセンブリ32の第1および第2のエンドキャップ82a、82bと同様に、装着ブラケット78a、78bも、他の材料の中でも特に、たとえばアルミニウムまたは鋼鉄などの導電性材料から構成することができる。したがって、少なくとも特定の実施形態によれば、内部コンデンサアセンブリ32のTRVコンデンサ102は、第1および第2の装着ブラケット78a、78bが接点の両側にある回路断続器34の導電部分に結合することによって、第1および第2の導電体14、18と電気通信することができる。より具体的には、図示の実施形態によれば、コンデンサアセンブリ32の第1の装着ブラケット78aは、少なくとも第1の装着ブラケット78aが回路断続器34の可動側シールド56に結合することによって、第1の導電体14と間接的に電気通信することができる。同様に、コンデンサアセンブリ32の第2の装着ブラケット78bは、少なくとも第2の装着ブラケット78bが回路断続器34の固定側シールド42に結合することによって、第2の導電体18と間接的に電気通信することができる。しかしながら、内部コンデンサアセンブリ32は、内部コンデンサアセンブリ32のTRVコンデンサ102が回路断続器34の接点74の両端に、かつ接点74と並列に接続されるように、さまざまな他の方法で第1および第2の導電体14、18と電気通信するように構成することができる。たとえば、他の実施形態によれば、内部コンデンサアセンブリ32のTRVコンデンサ102は、回路遮断器10の接点74が開位置にあるか閉位置にあるかに関わらず内部コンデンサアセンブリ32が第1および第2の導電体14、18と電気通信し続けるように、有線接続を介して、回路断続器34の第1および第2の接点アセンブリ36、38の1つ以上の他の構成要素と電気通信することができる。
【0025】
図7を参照して、動作時、回路断続器34が電気的な閉位置にあるとき、電流は回路断続器34の閉接点74を流れ、それにより、電流は第1および第2の導電体14、18のうちの一方から回路遮断器10に流れ込み、第1または第2の導電体14、18のうちの他方から出ることができる。このような状況では、TRVコンデンサ102の両端の比較的高いインピーダンス、および回路断続器34の両端の比較的低い抵抗に鑑みて、電流は内部コンデンサアセンブリ32をバイパスし、代わりに回路遮断器10の閉接点74を流れる。回路遮断器10の接点74を、
図7に示されるように、電気的な閉位置から電気的な開位置に動かすと、電流は続いて内部コンデンサアセンブリ32を流れることができる。さらに、上述のように、各内部コンデンサアセンブリ32は、回路遮断器10の接点74の片側、たとえば、接点74の負荷側またはソース側にあるだけでなく、代わりに、接点74の両側にわたって延在し、かつ接点74と並列に接続されている。したがって、上述の具体例としての実施形態に関して、接点74を閉位置から開位置に動かすと、電流は、固定側シールド42および可動側シールド56のうちの一方から、内部コンデンサアセンブリ32を通って、固定側シールド42または可動側シールド56のうちの他方へと流れ続けることができる。このような構成により、内部コンデンサアセンブリ32のTRVコンデンサ102は、回路遮断器10の開接点74の両端に現れ得る端子故障および短線故障ITRV上昇率を遅延させることができる。
【0026】
本発明を、最も実際的で好ましい実施形態であると現在考えられているものに関連して説明してきたが、本発明は、開示されている実施形態に限定されるものではなく、反対に、添付の請求項の精神および範囲に含まれるさまざまな変更および均等な構成を包含することが意図されており、当該範囲には、法的に認められているすべてのそのような変更および均等な構造を含むように最も広範な解釈が与えられるべきである。さらに、上記の説明中の好ましい、好ましくは、または好まれるという単語の使用は、そのように記載されている特徴がより望ましくあり得ることを示すが、それにもかかわらず、それは必要でない場合もあり、それが欠如しているいずれの実施形態も本発明の範囲内にあると考えることができ、その範囲は以下の請求項によって定義されることが理解されるべきである。請求項の解釈において、「ある」、「少なくとも1つ」および「少なくとも一部」などの単語が使用される場合、請求項中に反対のことが明記されていない限り、請求項を1つの項目だけに限定することは意図されていない。さらに、「少なくとも一部」および/または「一部」という文言が使用される場合、反対のことが明記されていない限り、項目は項目の一部および/または全体を含み得る。