(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-17
(45)【発行日】2024-07-25
(54)【発明の名称】ショベル、ショベルの管理装置
(51)【国際特許分類】
E02F 9/26 20060101AFI20240718BHJP
【FI】
E02F9/26 A
(21)【出願番号】P 2021546962
(86)(22)【出願日】2020-09-17
(86)【国際出願番号】 JP2020035363
(87)【国際公開番号】W WO2021054416
(87)【国際公開日】2021-03-25
【審査請求日】2023-08-08
(31)【優先権主張番号】P 2019170200
(32)【優先日】2019-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】古賀 方土
【審査官】高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-241300(JP,A)
【文献】国際公開第2011/099337(WO,A1)
【文献】特開平08-257876(JP,A)
【文献】特開平10-096616(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一のタイミングで
、一方の姿勢から他方の姿勢にバケットを移行する動作である規定動作を開始した
前記バケットを撮像した第一の動画データと、前記第一のタイミングとは異なる第二のタイミングで前記規定動作を開始した前記バケットを撮像した第二の動画データと、を比較する比較部と、
前記比較部による、前記第一のタイミングで前記規定動作が開始されたときのガタの大きさと、前記第二のタイミングで前記規定動作が開始されたときのガタの大きさとの比較結果を出力する出力部と、を有
し、
前記ガタの大きさは、前記バケットが取り付けられたアームに対して前記バケットを回動させるリンク機構を構成する部品の隙間又は揺みに起因する前記バケットの移動幅である、ショベル。
【請求項2】
前記比較部は、
前記第一の動画データが示す動画のうち、前記規定動作が終了したタイミング以降の動画における前記バケットの画像の第一の移動幅を前記第一のタイミングで前記規定動作を開始したときのガタの大きさとし、
前記第二の動画データが示す動画のうち、前記規定動作が終了したタイミング以降の動画における前記バケットの画像の第二の移動幅を前記第二のタイミングで前記規定動作を開始したときのガタの大きさとする、請求項
1記載のショベル。
【請求項3】
下部走行体と、前記下部走行体に旋回可能に搭載される上部旋回体と、前記上部旋回体に取り付けられるアタッチメントと、を有し、
前記規定動作は、
前記アタッチメントの姿勢を維持したまま前記上部旋回体を旋回させる動作を含む第一の規定動作と、
アームに対する前記バケットの角度を変更する動作を含む第二の規定動作と、を含む、請求項
2記載のショベル。
【請求項4】
前記出力部は、
前記第一の
動画データ
に含まれる所定のタイミングのフレーム画像における前記バケットの爪先の画像と、前記第二の
動画データ
に含まれる前記所定のタイミングのフレーム画像における前記バケットの爪先の画像と、の差分を前記爪先の摩耗量として表示装置に表示させ、
さらに、
前記爪先の摩耗量に応じて、前記バケットの爪先の位置と、ブームフートピン位置との位置関係を較正する較正部を有する請求項1記載のショベル。
【請求項5】
前記第一の移動幅又は前記第二の移動幅の何れか一方を示す情報を、前記バケットのガタの大きさを示す情報として、前記バケットの画像とを重畳させて表示させる、請求項
3記載のショベル。
【請求項6】
前記出力部は、
前記第一の移動幅を示す情報と、前記第二の移動幅を示す情報とを、前記バケットのガタの大きさを示す情報として、前記バケットの画像とを重畳させて表示させる、請求項
3記載のショベル。
【請求項7】
物体検知装置を有し、
前記物体検知装置によって取得した周囲のデータに基づき、前記周囲に人が存在するか否かを判定する人検知部を有し、
前記人の存在が検知された場合は動作を停止させる、請求項
1記載のショベル。
【請求項8】
前記第一の動画データ及び前記第二の動画データの撮像の範囲は、前記ショベルの有するアームの画像と、ブームの画像とが含まれる範囲である、請求項
1記載のショベル。
【請求項9】
前記比較結果は、縦方向のガタの大きさ、横方向のガタの大きさ、規定動作を示す情報を含む、請求項
1記載のショベル。
【請求項10】
第一のタイミングで
、一方の姿勢から他方の姿勢にバケットを移行する動作である規定動作を開始した
前記バケットを撮像した第一の動画データと、前記第一のタイミングとは異なる第二のタイミングで前記規定動作を開始した前記バケットを撮像した第二の動画データと、を比較する比較部と、
前記比較部による、前記第一のタイミングで前記規定動作が開始されたときのガタの大きさと、前記第二のタイミングで前記規定動作が開始されたときのガタの大きさとの比較結果を出力する出力部と、を有
し、
前記ガタの大きさは、前記バケットが取り付けられたアームに対して前記バケットを回動させるリンク機構を構成する部品の隙間又は揺みに起因する前記バケットの移動幅である、ショベルの管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ショベル、ショベルの管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、キャビン内の表示部に表示された規定動作の指示に沿って、操作者が規定動作を行い、操作者による規定動作の実行中におけるセンサからの検出値を規定動作と対応付けて記憶部に記憶するショベルが知られている(特許文献1参照)。規定動作と対応付けられたセンサからの検出値は、例えば、管理装置へ送信され、ショベルの故障診断等に用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ショベルのバケットは、目標面等に接触する作業部位であること等から、センサを設けることが困難である。このため、従来では、バケットの状態の管理は、目視や人手による計測等によって行われており、煩雑である。
【0005】
そこで、上記事情に鑑み、バケットの状態の容易に把握させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態に係るショベルは、第一のタイミングで、一方の姿勢から他方の姿勢にバケットを移行する動作である規定動作を開始した前記バケットを撮像した第一の動画データと、前記第一のタイミングとは異なる第二のタイミングで前記規定動作を開始した前記バケットを撮像した第二の動画データと、を比較する比較部と、
前記比較部による、前記第一のタイミングで前記規定動作が開始されたときのガタの大きさと、前記第二のタイミングで前記規定動作が開始されたときのガタの大きさとの比較結果を出力する出力部と、を有し、前記ガタの大きさは、前記バケットが取り付けられたアームに対して前記バケットを回動させるリンク機構を構成する部品の隙間又は揺みに起因する前記バケットの移動幅である。
【0009】
本発明の実施形態に係るショベルの管理装置は、第一のタイミングで、一方の姿勢から他方の姿勢にバケットを移行する動作である規定動作を開始した前記バケットを撮像した第一の動画データと、前記第一のタイミングとは異なる第二のタイミングで前記規定動作を開始した前記バケットを撮像した第二の動画データと、を比較する比較部と、前記比較部による、前記第一のタイミングで前記規定動作が開始されたときのガタの大きさと、前記第二のタイミングで前記規定動作が開始されたときのガタの大きさとの比較結果を出力する出力部と、を有し、前記ガタの大きさは、前記バケットが取り付けられたアームに対して前記バケットを回動させるリンク機構を構成する部品の隙間又は揺みに起因する前記バケットの移動幅である。
【発明の効果】
【0010】
バケットの状態を容易に把握させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態に係るショベルの一例を示す側面図である。
【
図2】ショベルPSの駆動系の構成例を示すブロック図である。
【
図4】画像表示部に表示される診断メニューの選択画面の一例を示す図である。
【
図5】バケット診断におけるコントローラ30の処理を説明するフローチャートである。
【
図8】アタッチメントに関連する各種物理量を示すショベルの側面図である。
【
図9】他の実施形態の管理システムの動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態)
以下に図面を参照して、実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るショベルの一例を示す側面図である。
【0013】
ショベルPSの下部走行体1には、旋回機構2を介して旋回可能に上部旋回体3が搭載されている。上部旋回体3には、ブーム4が取り付けられている。ブーム4の先端には、アーム5が取り付けられている。アーム5の先端には、アームトップピンP1及びバケットリンクピンP2によりエンドアタッチメント(作業部位)としてバケット6が取り付けられている。エンドアタッチメントとしては、法面用バケット、浚渫用バケット、ブレーカ等が取り付けられてもよい。
【0014】
ブーム4、アーム5、及びバケット6は、アタッチメントの一例として掘削アタッチメントを構成し、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9によりそれぞれ油圧駆動される。ブーム4にはブーム角度センサS1が取り付けられ、アーム5にはアーム角度センサS2が取り付けられ、バケット6にはバケット角度センサS3が取り付けられている。掘削アタッチメントには、バケットチルト機構が設けられてもよい。ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、及びバケット角度センサS3を「姿勢センサ」と称することもある。
【0015】
図1の実施形態では、ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、及びバケット角度センサS3のそれぞれは、加速度センサとジャイロセンサの組み合わせで構成されている。但し、ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、及びバケット角度センサS3の少なくとも1つは、加速度センサのみで構成されていてもよい。また、ブーム角度センサS1は、ブームシリンダ7に取り付けられたストロークセンサであってもよく、ロータリーエンコーダ、ポテンショメータ、又は慣性計測装置等であってもよい。アーム角度センサS2及びバケット角度センサS3についても同様である。
【0016】
上部旋回体3は、エンジン11等の動力源、車体傾斜センサS4が搭載され、カバー3aにより覆われている。上部旋回体3のカバー3aの上部には、物体検知装置80が設けられている。
【0017】
物体検知装置80は、ショベルPSの周囲に存在する物体を検知するように構成されている。物体は、例えば、人、動物、車両、建設機械、建造物、壁、柵、又は穴等である。物体検知装置80は、例えば、超音波センサ、ミリ波レーダ、ステレオカメラ、LIDAR、距離画像センサ、又は赤外線センサ等である。
【0018】
本実施形態では、物体検知装置80は、キャビン10の上面前端に取り付けられた前方センサ80F、上部旋回体3の上面後端に取り付けられた後方センサ80B、上部旋回体3の上面左端に取り付けられた左方センサ80L、及び、上部旋回体3の上面右端に取り付けられた右方センサ80Rを含む。
【0019】
左側センサ80L及び右側センサ80Rは、ショベルPSの側面から突出しないように、ショベルPSの側面よりも内側に位置するように配置される。また、後方センサ80Bは、ショベルPSの後面から突出しないように、ショベルPSの後面よりも内側に位置するように配置される。
【0020】
本実施形態の物体検知装置80は、ショベルPSの周囲に設定された所定領域内の所定物体を検知するように構成されていてもよい。すなわち、物体検知装置80は、物体の種類を識別できるように構成されていてもよい。例えば、物体検知装置80は、人と人以外の物体とを区別できるように構成されていてもよい。
【0021】
上部旋回体3には、運転室としてのキャビン10が設けられている。キャビン10の頂部には、GPS装置(GNSS受信機)G1、及び送信装置T1が設けられている。GPS装置(GNSS受信機)G1は、ショベルPSの位置をGPS機能により検出し、位置データをコントローラ30内のマシンガイダンス装置50に供給する。送信装置T1は、ショベルPSの外部に向けて情報を発信する。送信装置T1は、例えば、後述する管理装置90が受信可能な情報を発信する。また、キャビン10内には、コントローラ30、表示装置40、音声出力装置43、入力装置45、及び記憶装置47が設けられている。
【0022】
コントローラ30は、ショベルPSの駆動制御を行う主制御部として機能する。コントローラ30は、CPU及び内部メモリを含む演算処理装置で構成されている。コントローラ30の各種機能は、CPUが内部メモリに格納されているプログラムを実行することで実現される。
【0023】
コントローラ30は、ショベルPSの操作をガイドするマシンガイダンス装置50としても機能する。マシンガイダンス装置50は、例えば、操作者が設定した目標地形の表面である目標面とアタッチメントの作業部位との距離等といった作業情報を操作者に報知する。目標面とアタッチメントの作業部位との距離は、例えば、エンドアタッチメントとしてのバケット6の先端(爪先)、バケット6の背面、エンドアタッチメントとしてのブレーカの先端等と目標面との間の距離である。マシンガイダンス装置50は、表示装置40や音声出力装置43等を介して、作業情報を操作者に報知し、ショベルPSの操作をガイドする。
【0024】
本実施形態では、マシンガイダンス装置50がコントローラ30に組み込まれているが、マシンガイダンス装置50とコントローラ30とは別に設けられてもよい。この場合、マシンガイダンス装置50は、コントローラ30と同様、CPU及び内部メモリを含む演算処理装置で構成される。マシンガイダンス装置50の各種機能は、CPUが内部メモリに格納されたプログラムを実行することで実現される。
【0025】
表示装置40は、コントローラ30に含まれるマシンガイダンス装置50からの指令に応じて各種の作業情報を含む画像を表示する。表示装置40は、例えば、マシンガイダンス装置50に接続される車載液晶ディスプレイである。
【0026】
音声出力装置43は、コントローラ30に含まれるマシンガイダンス装置50からの音声出力指令に応じて各種の音声情報を出力する。音声出力装置43は、例えば、マシンガイダンス装置50に接続される車載スピーカを含む。また、音声出力装置43は、ブザー等の警報器を含んでもよい。
【0027】
入力装置45は、ショベルPSの操作者がマシンガイダンス装置50を含むコントローラ30に各種情報を入力するための装置である。入力装置45は、例えば、表示装置40の表面に設けられるメンブレンスイッチを含んで構成される。また、入力装置45は、タッチパネル等を含んで構成されてもよい。
【0028】
記憶装置47は、各種情報を記憶するための装置である。記憶装置47は、例えば、半導体メモリ等の不揮発性記憶媒体である。記憶装置47は、マシンガイダンス装置50を含むコントローラ30等が出力する各種情報を記憶する。
【0029】
ゲートロックレバー49は、キャビン10のドアと運転席との間に設けられ、ショベルPSが誤って操作されるのを防止する機構である。コントローラ30は、ゲートロックレバー49が押し下げられている状態では、ゲートロック弁49a(
図2参照)を「閉」の状態とし、ゲートロックレバー49が引き上げられている状態では、ゲートロック弁49aを「開」の状態とするように制御する。
【0030】
ゲートロック弁49aは、コントロールバルブ17と操作レバー26A~26C(
図2参照)等との間の油路に設けられている切替弁である。なお、ゲートロック弁49aは、コントローラ30からの指令によって開閉する構成になっているが、ゲートロックレバー49と機械的に接続され、ゲートロックレバー49の動作に応じて開閉する構成であってもよい。
【0031】
ゲートロック弁49aは、「閉」の状態において、コントロールバルブ17と操作レバー26A~26C等との間の作動油の流れを遮断して操作レバー26A~26C等の操作を無効にする。また、ゲートロック弁49aは、「開」の状態において、コントロールバルブ17と操作レバー等との間で作動油を連通させて操作レバー26A~26C等の操作を有効にする。即ち、操作者が運転席に乗り込んでゲートロックレバー49を引き上げると、操作者はキャビン10から退出できなくなると共に各種の操作装置26(
図2参照)が操作できる状態になる(ロック解除状態)。操作者がゲートロックレバー49を押し下げると、操作者はキャビン10から退出可能になると共に、各種の操作装置26は操作できない状態になる(ロック状態)。
【0032】
集音装置92は、キャビン10の外部に配置され、キャビン10の周囲の音を集音する外部マイクである左側マイク92L、右側マイク92R、後方マイク92B、及び前方マイク92Fを有する。
【0033】
本実施形態の集音装置92は、物体検知装置80がショベルPSの周囲のデータを取得するタイミングと同時に、集音を開始しても良い。
【0034】
集音装置92によって集音された音データは、物体検知装置80によって取得されたデータと共に出力されても良い。具体的には、例えば、音データは、物体検知装置80によって撮像された画像データ(静止画データ、若しくは動画データ)に合わせて再生される。
【0035】
物体検知装置80によって撮像される画像データは、例えば、バケット6の動作を撮像した画像データ等である。本実施形態では、このように、ショベルPSの動作と音データとを合わせて再生することで、ショベルPSのメンテナンス等を行う専門スタッフに、ショベルPSのバケット6等の状態を確認させることができる。
【0036】
また、集音装置92は、キャビン10の内部に配置され、キャビン10の内部の音を集音する内部マイク92Iを有する。左側マイク92L、右側マイク92R、後方マイク92B、前方マイク92F、及び内部マイク92Iが集音する音には、例えば人間が発する言語音等の音声や、ショベルPSのエンジン音、作業現場の音等の機械音が含まれる。
【0037】
左側マイク92L、右側マイク92R、及び後方マイク92Bは、それぞれ上部旋回体3からキャビン10に向かって左方向、右方向、及び後方向からの音を捉える。本実施形態では、左側マイク92L、右側マイク92R、及び後方マイク92Bは、上部旋回体3のカバー3a上部に設けられており、それぞれ左側センサ80L、右側センサ80R、及び後方センサ80Bの近傍に配置されている。
【0038】
このように左側マイク92L、右側マイク92R、及び後方マイク92Bがそれぞれ左側センサ80L、右側センサ80R、及び後方センサ80Bの近傍に配置されているため、配線の取り回しが容易である。なお、左側マイク92L、右側マイク92R、及び後方マイク92Bは、例えばキャビン10上部に配置されていてもよい。
【0039】
また、左側マイク92L、右側マイク92R、及び後方マイク92Bは、それぞれが配線を介してコントローラ30に接続されており、集音した音をコントローラ30に送信する。
【0040】
また、左側マイク92L、右側マイク92Rは、ショベル100の側面から突出しないように、ショベル100の側面よりも内側に位置するように配置される。また、後方マイク92Bは、ショベル100の後面から突出しないように、ショベル100の後面よりも内側に位置するように配置される。
【0041】
前方マイク92Fは、上部旋回体3からキャビン10に向かって前方向からの音を捉える。本実施形態では、前方マイク92Fは、アーム5に配置されている。前方マイク92Fは、配線を介してコントローラ30に接続されており、集音した音をコントローラ30に送信する。なお、前方マイク92Fは、例えばブーム4、バケット6に配置されていてもよく、キャビン10上部に配置されていてもよい。
【0042】
内部マイク92Iは、キャビン10の内部の音、例えば操作者が発する音声を捉える。本実施形態では、内部マイク92Iは、キャビン10の内壁面に配置されている。内部マイク92Iは、配線を介してコントローラ30に接続されており、集音した音をコントローラ30に送信する。なお、内部マイク92Iは、例えば表示装置40に内蔵されていてもよい。
【0043】
左側マイク92L、右側マイク92R、後方マイク92B、前方マイク92F、及び内部マイク92Iは、例えば、特定の方向に対しての音を捉えやすい単一指向性マイクであってよい。但し、全ての方向からの音を均等に捉える無指向性(全指向性)マイクを用いて、左側マイク92L、右側マイク92R、後方マイク92B、及び前方マイク92Fのうち2つ以上のマイクの機能を1つのマイクで実現してもよい。これにより、ショベルPSの周囲の音を集音するマイクの個数を削減できる。
【0044】
また、上部旋回体3にはエンジンルーム85が形成され、このエンジンルーム85内にはエンジン11が設置されている。エンジンルーム85は、エンジンカバー86で覆われている。
【0045】
図2は、
図1のショベルPSの駆動系の構成例を示すブロック図である。
図2の例では、ショベルPSは、ショベルPSの管理システム1に含まれる。管理システム1は、ショベルPSと、ショベルPSと通信を行う管理装置90とを含む。なお、管理システム1に含まれるショベルPSの台数は任意であって良い。
【0046】
ショベルPSの駆動系は、主に、エンジン11、メインポンプ14、パイロットポンプ15、コントロールバルブ17、操作装置26、コントローラ30、エンジン制御装置(ECU)74、エンジン回転数調整ダイヤル75、操作バルブ100等を含む。
【0047】
エンジン11は、ショベルPSの駆動源であり、例えば、所定の回転数を維持するように動作するディーゼルエンジンである。エンジン11の出力軸はメインポンプ14及びパイロットポンプ15の入力軸に接続される。
【0048】
メインポンプ14は、高圧油圧ライン16を介して作動油をコントロールバルブ17に供給する油圧ポンプであり、例えば、斜板式可変容量型油圧ポンプである。
【0049】
パイロットポンプ15は、パイロットライン25を介して各種の油圧制御機器に作動油を供給するための油圧ポンプであり、例えば、固定容量型油圧ポンプである。
【0050】
コントロールバルブ17は、ショベルPSにおける油圧システムを制御する油圧制御バルブである。コントロールバルブ17は、例えば、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9、走行用油圧モータ(右)1A、走行用油圧モータ(左)1B、及び旋回用油圧モータ2Aのうちの一又は複数のものに対し、メインポンプ14から供給された作動油を選択的に供給する。なお、以下の説明では、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9、走行用油圧モータ(右)1A、走行用油圧モータ(左)1B、及び旋回用油圧モータ2Aをまとめて「油圧アクチュエータ」と称する。
【0051】
操作装置26は、操作者が油圧アクチュエータの操作のために用いる装置であり、パイロットライン25を介して、パイロットポンプ15から供給された作動油を油圧アクチュエータのそれぞれに対応する流量制御弁のパイロットポートに供給する。なお、パイロットポートのそれぞれに供給される作動油の圧力は、油圧アクチュエータのそれぞれに対応する操作レバー26A~26Cの操作方向及び操作量に応じた圧力とされる。
【0052】
コントローラ30は、ショベルPSを制御するための制御装置であり、例えば、CPU、RAM、ROM等を備えたコンピュータで構成される。コントローラ30のCPUは、ショベルPSの動作や機能に対応するプログラムをROMから読み出してRAMに展開しながらプログラムを実行することで、それらプログラムのそれぞれに対応する処理を実行させる。
【0053】
ECU74は、エンジン11を制御する装置である。ECU74は、例えば、コントローラ30からの指令に基づき、エンジン回転数調整ダイヤル75により操作者が設定したエンジン回転数(モード)に応じて、エンジン11の回転数を制御するための燃料噴射量等をエンジン11に出力する。
【0054】
エンジン回転数調整ダイヤル75は、エンジンの回転数を調整するためのダイヤルであり、本発明の実施形態ではエンジン回転数を4段階で切り換えできるようにする。例えば、エンジン回転数調整ダイヤル75は、SPモード、Hモード、Aモード、及びIDLEモードの4段階でエンジン回転数を切り換えできるようにする。なお、
図2は、エンジン回転数調整ダイヤル75でHモードが選択された状態を示す。
【0055】
SPモードは、作業量を優先したい場合に選択される作業モードであり、最も高いエンジン回転数を利用する。Hモードは、作業量と燃費を両立させたい場合に選択される作業モードであり、2番目に高いエンジン回転数を利用する。Aモードは、燃費を優先させながら低騒音でショベルPSを稼働させたい場合に選択される作業モードであり、3番目に高いエンジン回転数を利用する。IDLEモードは、エンジンをアイドリング状態にしたい場合に選択される作業モードであり、最も低いエンジン回転数を利用する。そして、エンジン11は、エンジン回転数調整ダイヤル75で設定された作業モードのエンジン回転数で一定に回転数制御される。
【0056】
操作バルブ100は、コントローラ30が油圧アクチュエータの操作のために用いるバルブであり、パイロットライン25を介して、パイロットポンプ15から供給された作動油を油圧アクチュエータのそれぞれに対応する流量制御弁のパイロットポートに供給する。なお、パイロットポートのそれぞれに供給される作動油の圧力は、コントローラ30からの制御信号に応じた圧力とされる。操作バルブ100は、アタッチメントを構成するブーム4、アーム5、バケット6のシリンダに対して、規定動作に対応してロッド側とボトム側との少なくとも一方に設けられる。ロッド側とボトム側の両方に設けてもよい。
【0057】
本実施形態の規定動作とは、予め決められた第一の規定姿勢から、予め決められた第二の規定姿勢へ移行する動作である。したがって、規定動作は、第一の規定姿勢から開始し、第二の規定姿勢となったときに終了する動作である。第一の規定姿勢と第二の規定姿勢は、それぞれが異なる姿勢であっても良いし、同一の姿勢であっても良い。つまり、規定動作は、ある規定姿勢から他の規定姿勢へ姿勢を変える動作であっても良いし、ある規定姿勢から所定の動作をして、再びある規定姿勢に戻る動作であっても良い。
【0058】
また、走行用油圧モータ(右)1A、走行用油圧モータ(左)1B、及び旋回用油圧モータ2Aにおいては、吐出側と吸入側の少なくとも一方に設けられる。吐出側と吸入側の両方に設けてもよい。
【0059】
この場合、操作装置26が中立位置の状態でも、規定動作を実行することができる。また、操作装置26とコントロールバルブ17との間に配置した減圧弁を操作バルブ100として機能させてもよい。この場合、操作装置26を最大に倒した状態でコントローラ30から減圧弁へ減圧指令を送ることで、コントロールバルブ17に対して安定した動作指令を与えることができる。
【0060】
また、ショベルPSには、表示装置40が設けられる。
【0061】
表示装置40は、CAN(Controller Area Network)、LIN(Local Interconnect Network)等の通信ネットワークを介してコントローラ30に接続される。なお、表示装置40は、専用線を介してコントローラ30に接続されてもよい。
【0062】
また、表示装置40は、画像表示部41上に表示する画像を生成する変換処理部40aを含む。変換処理部40aは、物体検知装置80の出力に基づいて画像表示部41上に表示するセンサ画像を生成する。そのため、物体検知装置80は、例えば専用線を介して表示装置40に接続される。また、変換処理部40aは、コントローラ30の出力に基づいて画像表示部41上に表示する画像を生成する。
【0063】
物体検知装置80は、前方センサ80F、左方センサ80L、後方センサ80B、及び右方センサを含む。
【0064】
前方センサ80Fは、キャビン10の前側、例えば、キャビン10の天井部分等に設けられ、ショベルPSの前方、及びブーム4、アーム5、並びにバケット6の動作を検知する。左方センサ80Lは、例えば、上部旋回体3のカバー3a上部の左側に設けられ、ショベルPSの左方の状態を検知する。
【0065】
後方センサ80Bは、上部旋回体3の後側、例えば、上部旋回体3のカバー3a上部の後側に設けられ、ショベルPSの後方の状態を検知する。右方センサ80Lは、例えば、上部旋回体3のカバー3a上部の右側に設けられ、ショベルPSの右方の状態を検知する。
【0066】
例えば、前方センサ80F、左方センサ80L、後方センサ80B、及び右方センサは、例えば、CCDやCMOS等の撮像素子を有するデジタルカメラである。
【0067】
この場合、前方センサ80Fは、キャビン10の前側、例えば、キャビン10の天井部分等に設けられ、ショベルPSの前方、及びブーム4、アーム5、並びにバケット6の動作を撮像する。また、左方センサ80Lは、例えば、上部旋回体3のカバー3a上部の左側に設けられ、ショベルPSの左方の画像を撮像する。
【0068】
また、後方センサ80Bは、上部旋回体3の後側、例えば、上部旋回体3のカバー3a上部の後側に設けられ、ショベルPSの後方の画像を撮像する。右方センサは、例えば、上部旋回体3のカバー3a上部の右側に設けられ、ショベルPSの右方の画像を撮像する。
【0069】
そして、各センサは、それぞれ撮影した画像をキャビン10内に設けられている表示装置40に送信する。
【0070】
なお、変換処理部40aは、表示装置40が有する機能としてではなく、コントローラ30が有する機能として実現されてもよい。この場合、物体検知装置80は、表示装置40ではなく、コントローラ30に接続される。
【0071】
また、表示装置40は、入力部42としてのスイッチパネルを含む。スイッチパネルは、各種ハードウェアスイッチを含むパネルである。スイッチパネルは、例えば、ハードウェアボタンとしてのライトスイッチ42a、ワイパースイッチ42b、及びウインドウォッシャスイッチ42cを含む。
【0072】
ライトスイッチ42aは、キャビン10の外部に取り付けられるライトの点灯・消灯を切り換えるためのスイッチである。ワイパースイッチ42bは、ワイパーの作動・停止を切り換えるためのスイッチである。また、ウインドウォッシャスイッチ42cは、ウインドウォッシャ液を噴射するためのスイッチである。
【0073】
また、表示装置40は、蓄電池70から電力の供給を受けて動作する。なお、蓄電池70はエンジン11のオルタネータ11a(発電機)で発電した電力で充電される。蓄電池70の電力は、コントローラ30及び表示装置40以外のショベルPSの電装品72等にも供給される。また、エンジン11のスタータ11bは、蓄電池70からの電力で駆動され、エンジン11を始動する。
【0074】
エンジン11は、ECU74により制御される。ECU74からは、エンジン11の状態を示す各種のデータ(例えば、水温センサ11cで検出される冷却水温を示すデータ)がコントローラ30に常時送信される。したがって、コントローラ30は一時記憶部30aにこのデータを蓄積しておき、必要なときに表示装置40に送信することができる。
【0075】
また、コントローラ30には以下のように各種のデータが供給され、コントローラ30の一時記憶部30aに格納される。格納されたデータは、必要なときに表示装置40に送信することができる。
【0076】
まず、可変容量式油圧ポンプであるメインポンプ14のレギュレータ14aから斜板角度を示すデータがコントローラ30に送信される。また、メインポンプ14の吐出圧力を示すデータが、吐出圧力センサ14bからコントローラ30に送信される。また、メインポンプ14が吸入する作動油が貯蔵されたタンクとメインポンプ14との間の管路には、油温センサ14cが設けられており、その管路を流れる作動油の温度を表すデータが、油温センサ14cからコントローラ30に送信される。
【0077】
また、操作レバー26A~26Cを操作した際にコントロールバルブ17に送られるパイロット圧が、油圧センサ15a、15bで検出され、検出したパイロット圧を示すデータがコントローラ30に送信される。
【0078】
また、エンジン回転数調整ダイヤル75からは、エンジン回転数の設定状態を示すデータがコントローラ30に常時送信される。
【0079】
また、ショベルPSは、通信ネットワーク93を介して管理装置90と相互に通信可能とされている。
【0080】
管理装置90は、例えば、ショベルPSのメーカーやサービスセンタに設置されたコンピュータ等であり、専門スタッフ(設計者等)がショベルPSの状況を遠隔にいながら把握することができる。コントローラ30がショベルPSに含まれる各種の状態検出センサからの検出値のデータを一時記憶部30a等に蓄積し、管理装置90に送信することができる。
【0081】
なお、コントローラ30は、無線通信機能を有し、通信ネットワーク93を介して、管理装置90と通信することが可能とされてよい。専門スタッフは、ショベルPSから管理装置90に送信され、管理装置90の受信部90aにより受信された各種の状態検出センサからの検出値のデータを分析し、ショベルPSの状態を判定する。
【0082】
例えば、専門スタッフは、故障や不調の有無を診断し、故障や不調がある場合には、故障や不調の部位、故障や不調の原因を特定する等を行ってよい。これにより、前もって、ショベルPSの修理に必要な部品等を持参することができ、メンテナンスや修理に費やす時間を短縮することができる。コントローラ30の機能の詳細は後述する。
【0083】
また、管理装置90は、処理部90bを有する。処理部90bは、予め定められたプログラムが入力され、プログラムによりショベルPSから送信された各種の状態検出センサからの検出値の演算処理を行ってよい。例えば、処理部90bは、入力された診断プログラムを含み、診断プログラムによりショベルPSから送信された検出値を用いて故障診断や故障予知を行ってよい。処理部90bによる演算処理結果は、管理装置90の表示部90cに表示されてよい。
【0084】
なお、管理装置90は、ショベルPSのメーカーやサービスセンタに設けられたサーバ等を介して間接的にショベルPSと通信可能な装置であってもよい。また、管理装置90は、メーカーやサービスセンタに配備される常設型コンピュータでもよいし、作業担当者が携帯可能な携帯型コンピュータ、例えば、携帯端末としての多機能型携帯情報端末であるいわゆるスマートフォン、タブレット端末等でもよい。
【0085】
管理装置90が携帯型である場合、点検・修理現場に持ち運びできるため、管理装置90のディスプレイ(表示部90c)を見ながら、点検・修理作業を実施でき、その結果、点検・修理の作業効率が向上する。
【0086】
また、携帯端末を用いる場合には、通信ネットワークを介さずにBluetooth(登録商標)、赤外線通信等の近距離通信により、直接、ショベルと通信を行っても良い。この場合、携帯端末への画面入力や音声入力等の操作により、規定動作の実行指示を携帯端末からショベルに送信する。つまり、規定動作の実行中における状態検出センサからの検出値を規定動作と対応付けて記憶させる指示を携帯端末からショベルへ送信する。そして、規定動作の動作結果をショベルから携帯端末へ送信することで、携帯端末の画面にて規定動作の動作結果を確認することができる。
【0087】
ショベルPSに含まれる各種の状態検出センサは、ショベルPSの各部の動作の状態を検出するセンサである。各種の状態検出センサは、ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、バケット角度センサS3、車体傾斜センサS4、旋回角度センサS5、走行回転センサ(右)S6A、走行回転センサ(左)S6B等を含む。
【0088】
ブーム角度センサS1は、上部旋回体3におけるブーム4の支持部(関節)に設けられ、ブーム4の水平面からの角度(ブーム角度)を検出する。ブーム角度センサS1には、例えば、ロータリポテンショメータ等、任意の角度センサが用いられてよく、後述するアーム角度センサS2、バケット角度センサS3についても同様である。検出されたブーム角度は、コントローラ30に送信される。
【0089】
アーム角度センサS2は、ブーム4におけるアーム5の支持部(関節)に設けられ、ブーム4に対するアーム5の角度(アーム角度)を検出する。検出されたアーム角度は、コントローラ30に送信される。
【0090】
バケット角度センサS3は、アーム5におけるバケット6の支持部(関節)に設けられ、アーム5に対するバケット6の角度(バケット角度)を検出する。検出されたバケット角度は、コントローラ30に送信される。
【0091】
車体傾斜センサS4は、ショベルPSの水平面に対する2軸方向(前後方向及び左右方向)の傾斜角を検出するセンサである。車体傾斜センサS4には、例えば、液封入静電容量式傾斜センサ、任意の傾斜センサが用いられてよい。検出された傾斜角はコントローラ30に送信される。
【0092】
旋回角度センサS5は、旋回機構2による上部旋回体3の旋回角度を検出する。旋回角度センサS5には、例えば、ロータリーエンコーダ等、任意の角度センサが用いられてよい。検出された旋回角度は、コントローラ30に送信される。
【0093】
走行回転センサ(右)S6A及び走行回転センサ(左)S6Bは、それぞれ走行用油圧モータ(右)1A及び走行用油圧モータ(左)1Bの回転速度を検出する。走行回転センサ(右)S6A及び走行回転センサ(左)S6Bには、例えば、磁気式等、任意の回転センサが用いられてよい。検出されたそれぞれの回転速度は、コントローラ30に送信される。
【0094】
また、上述したとおり、ショベルPSに含まれる各種の状態検出センサとして、水温センサ11c、レギュレータ14a、吐出圧力センサ14b、油温センサ14c、油圧センサ15a,15b、エンジン回転数調整ダイヤル75、物体検知装置80等がある。これらにより検出された検出値についても、コントローラ30に送信される。上述したショベルPSに含まれる各種の状態検出センサからコントローラ30に送信されたデータは、コントローラ30の一時記憶部30aに格納される。
【0095】
また、コントローラ30は、状態検出センサの1つである物体検知装置80によって撮像されたバケット6の画像データを取得し、この画像データを用いてバケット6の状態を分析する。なお、物体検知装置80によって撮像されたバケット6の画像データは、静止画を示す静止画像データと、動画を示す動画データとを含む。
【0096】
なお、物体検知装置80によって取得されるデータは、画像データに限定されない。例えば、物体検知装置80が超音波センサである場合には、物体検知装置80は、画像データの代わりに、バケット6に向かって照射した超音波の反射波を受信することで、ショベルPSの周囲のデータを取得する。
【0097】
本実施形態のショベルPSの周囲のデータとは、ショベルPSの周囲における物体の有無を検知するために参照されるデータであり、物体検知装置80は、ショベルPSの周囲における物体の検知に用いられるデータを取得する装置であれば良い。
【0098】
より具体的には、コントローラ30は、ショベルPSにある規定動作を行わせ、規定動作中のバケット6を撮像した動画データを取得する。そして、コントローラ30は、取得した動画データと、過去に行った同種の規定動作の動画データとを比較し、その結果を出力する。
【0099】
本実施形態のコントローラ30は、この比較によって、バケット6の先端(爪先)の摩耗の度合いやバケット6のガタの大きさを、作業員等に容易に把握させることができる。なお、バケット6の爪先の摩耗の度合いと、ガタの大きさの詳細は後述する。
【0100】
次に、
図3を参照して、本実施形態のコントローラ30の機能について説明する。
図3は、コントローラの機能を説明する図である。
【0101】
本実施形態のコントローラ30は、一時記憶部30a、送信情報記憶部30b、人検知部30c、診断処理部30d、較正部30eを有する。
【0102】
一時記憶部30aは、ショベルPSに含まれる各種の状態検出センサからの検出値のデータが一時的に格納される。したがって、状態検出センサに含まれる物体検知装置80によって撮像されたバケット6の画像データも、一時記憶部30aに一時的に格納される。
【0103】
送信情報記憶部30bは、管理装置90に送信される送信情報が格納される。送信情報の詳細は後述する。
【0104】
人検知部30cは、物体検知装置80により取得したショベルPSの周囲のデータに基づいて、ショベルPSの周囲に存在する人を検知する。言い換えれば、人検知部30cは、物体検知装置80によって撮像されたショベルPSの周囲の画像データに基づいて、ショベルPSの周囲に人等が存在するか否かを判定する。なお、ショベルPSの周囲に人等が存在するか否かの判定においては、人を検知可能な種々の人体検知センサを用いることができる。
【0105】
診断処理部30dは、ショベルPSの診断箇所等に応じた各種の診断を行う。また、本実施形態の診断処理部30dは、物体検知装置80によって撮像された画像データを用いたバケット6の状態の分析を行う。バケット6の状態の診断には、画像データに含まれる動画データと静止画像データの両方を用いても良い。
【0106】
具体的には、診断処理部30dは、データ取得部30f、分析部30g、出力部30hを有する。データ取得部30fは、ショベルPSが規定動作を行っている最中に、物体検知装置80によって撮像された画像データを取得する。なお、規定動作には、第一の規定姿勢と第二の規定姿勢が含まれる。
【0107】
この画像データは、ショベルPSが行っていた規定動作を特定する情報と対応付けられた送信情報として、送信情報記憶部30bに格納される。規定動作を特定する情報とは、例えば、規定動作の名称等であって良い。
【0108】
分析部30gは、データ取得部30fが取得した画像データに基づき、バケット6の状態を分析する。分析部30gの処理の詳細は後述する。また、分析部30gによる分析結果は、送信情報に含められても良い。
【0109】
つまり、本実施形態の送信情報には、ショベルPSが行った規定動作を特定する情報と、この規定動作中に撮像された画像データを含む状態検出センサの検出値と、分析部30gによる分析結果とが含まれて良い。
【0110】
分析部30gによる分析結果は、バケット6のガタの大きさを示す情報を含む。また、分析部30gによる分析結果は、バケット6の爪先の摩耗量を示す情報を含む。また、分析部30gによる分析結果は、バケット6のガタの大きさを示す情報と、爪先の摩耗量を示す情報とを含んでも良い。
【0111】
また、分析結果には、バケット6の爪先の摩耗量とバケット6のガタの大きさから推定されるバケット6の状態を示す情報を含んでも良い。バケット6の状態を示す情報とは、具体的には、バケット6の爪先の交換が望ましいか否か、バケット6のガタが許容範囲よりも大きくなっていないか、等といった事柄を示す。つまり、バケット6の状態を示す情報とは、バケット6の爪先の摩耗量に基づき爪先の交換の要否、バケット6のガタの大きさに基づく点検の要否等を含む。なお、爪先の交換の要否を判定するための閾値や、ガタの許容範囲を示す値等は、分析部30gが予め保持していても良い。
【0112】
また、送信情報には、例えば、画像データが撮像された日時(規定動作を行った日時)、ショベルPSを特定するための機体識別情報、ショベルPSの稼働時間等が含まれて良い。
【0113】
出力部30hは、分析部30gによる分析結果を出力する。本実施形態では、分析結果を含む送信情報を管理装置90へ送信することを、分析結果を出力する、と表現する場合がある。また、本実施形態では、分析結果を含む送信情報を表示装置40の画像表示部41へ表示させることを、分析結果を出力する、と表現する場合がある。
【0114】
本実施形態の較正部30eは、診断処理部30dによるバケット6の状態の分析結果に応じて、バケット6の先端と、ブームフートピン位置(
図8参照)との位置関係を較正する。較正部30eの処理の詳細は後述する。
【0115】
次に、本実施形態の診断処理部30dの処理について説明する。
図4は、画像表示部に表示される診断メニューの選択画面の一例を示す図である。
【0116】
図4に示されるように、診断メニューの選択画面は、診断メニュー表示部410を有する。診断メニュー表示部410に表示される画像は、表示装置40の変換処理部40aによって、コントローラ30から送信される各種のデータから生成される。
【0117】
診断メニュー表示部410は、診断箇所等に応じた複数の診断項目の一覧を表示する。
図4に示す例では、診断メニュー表示部410には、「総合診断」、「簡易診断」、「バケット診断」、「エンジン関連」、「油圧関連」、及び「旋回関連」の6つの診断項目の一覧が表示されている。診断項目は、予めコントローラ30のROM等に記憶されている。診断項目の各々は、診断を行うために実行される規定動作が一種類であっても良いし、複数種類であっても良い。
【0118】
また、画像表示部41には、診断メニューの選択画面の表示を終了する際に用いられる「終了」のメニューが表示されている。操作者は、画像表示部41に表示される診断メニューの選択画面の中から実行したい診断項目をタッチ操作することにより、任意の診断項目を選択できる。なお、診断項目を選択する方法は、タッチ操作に代えて、例えばボタン操作であってもよい。
【0119】
「総合診断」は、ショベルPSの各部が正常であるか否かを総合的に診断する診断項目であり、例えば、エンジン関連、油圧関連、及び旋回関連の規定動作と対応付けられている。
【0120】
操作者が「総合診断」を選択すると、コントローラ30によって、ショベルPSのエンジン関連、油圧関連、及び旋回関連の規定動作が所定の順番で実行され、実行された規定動作を特定する情報と、規定動作中に取得された状態検出センサの検出値とが対応付けられる。また、「総合診断」は、上記の規定動作(エンジン関連、油圧関連、及び旋回関連の規定動作)に代え、又は上記の規定動作と共に、他の規定動作と対応付けられていても良い。
【0121】
この診断用のデータを収集するための規定動作は、自動で実行されてもよく、それぞれの動作について、診断の規定動作を表示装置にガイダンス表示することで、操作者によるレバー操作により手動で実行してもよい。
【0122】
「簡易診断」は、ショベルPSの各部が正常であるか否かを簡易的に診断する診断項目であり、例えば、エンジン関連の一部、油圧関連の一部であって、ショベルPSのアタッチメント動作及び旋回動作を含まない規定動作と対応付けられている。操作者が「簡易診断」を選択すると、コントローラ30によって、ショベルPSのエンジン関連の一部、油圧関連の一部の規定動作が実行され、実行された規定動作を特定する情報と、規定動作中に取得された状態検出センサの検出値とが対応付けられる。
【0123】
また、「簡易診断」は、上記の規定動作(エンジン関連の一部、油圧関連の一部の規定動作)に代え、又は上記の規定動作と共に、他の規定動作と対応付けられていても良い。
【0124】
「バケット診断」は、ショベルPSのバケット6の状態を分析する診断項目である。例えば、「バケット診断」が選択されると、コントローラ30によって、「バケット診断」と対応付けられたショベルPSの規定動作が実行され、実行された規定動作を特定する情報と、規定動作中に取得された画像データを含む状態検出センサの検出値とが対応付けられる。
【0125】
「バケット診断」と対応付けられた規定動作とは、例えば、アタッチメントの姿勢を第一の規定姿勢とし、この姿勢を維持したまま上部旋回体3を旋回させる動作や、上部旋回体3を旋回させずにアタッチメントを動かす動作を含む。また、「バケット診断」と対応付けられた規定動作とは、バケットシリンダ9による油圧駆動によってアーム5に対するバケット6の角度を変更させる動作を含む。
【0126】
上部旋回体3を旋回させる動作には、揺動旋回動作や反復旋回動作が含まれる。レバー操作を行う場合には、レバーの傾倒を左右に繰り返す操作により実現できる。揺動旋回動作とは、所定の周期で左右に旋回動作を繰り返す動作である。レバー操作を行う場合には、レバーの傾倒を一方向に倒し、その後、中立に戻す操作により実現できる。
【0127】
「エンジン関連」は、エンジン11が正常であるか否かを診断するための一又は複数の規定動作を含む診断項目である。操作者が「エンジン関連」を選択すると、コントローラ30によって、ショベルPSのエンジン関連の規定動作が実行される。
【0128】
「油圧関連」は、油圧システムが正常であるか否かを診断するための一又は複数の規定動作を含む診断項目であり、例えば、メインポンプ14、パイロットポンプ15等の油圧ポンプ、油圧アクチュエータを診断するための一又は複数の規定動作を含む。
【0129】
「油圧関連」は、例えば、規定動作αとして「アームをストロークエンドまで閉じる(アーム閉じ動作)」、規定動作βとして「アームを閉じた状態で、ブームをストロークエンドまで上げる(ブーム上げ動作)」を含む。また、「油圧関連」は、上記の規定動作(規定動作α,β)に代え、又は上記の規定動作と共に、他の規定動作を含んでいてもよい。
【0130】
ここで、ブーム4やアーム5等のアタッチメントに対する規定動作の例を説明する。まず、コントローラ30から操作バルブ100へ指令を出力することで、ブーム4をブーム上げ時のストロークエンドまで回動させる。その後、継続的に負荷を掛ける。つまり、コントロールバルブ17により、ブームシリンダ7へ作動油を流し続ける。この状態において、ブーム4はストロークエンドまで到達しているため、作動油はリリーフ弁からタンクへ吐出する。このように、シリンダのストロークエンドまで到達させることで、継続的に負荷がかかる状態にすることができる。
【0131】
これにより、どのような作業環境であっても、再現性が良く安定した状態で診断用のデータを検出することができる。アーム5やバケット6に対しても、同様である。更に、シリンダのストロークエンドまで到達後に、メインポンプ14のレギュレータ14aを調整すること、若しくは、エンジン回転数を変更することで負荷を変更してもよい。
【0132】
負荷を変更した際におけるブーム4等のアタッチメントのシリンダ圧の変化や、メインポンプ14の吐出圧の変化を検出することで、動的な状態を再現可能となり、診断精度を更に向上させることができる。その結果、油圧回路の診断だけで無く、メインポンプ14やエンジン11を診断することもできる。
【0133】
「旋回関連」は、旋回機構2(旋回用油圧モータ2A、旋回減速機等)が正常であるか否かを診断するための一又は複数の規定動作を含む診断項目である。「旋回関連」は、例えば、規定動作として「アタッチメントを閉じた状態で旋回する(旋回動作)」を含む。また、「旋回関連」は、上記の規定動作(旋回動作の規定動作)に代え、又は上記の規定動作と共に、他の規定動作を含んでいてもよい。ここで、旋回や走行等の油圧モータを用いる駆動部に対する規定動作の例を説明する。
【0134】
まず、コントローラ30から操作バルブ100へ指令を出力することで、ブーム4等のアタッチメントを所定の姿勢にする。特に、旋回の診断では、旋回負荷がアタッチメントの姿勢変化に基づく旋回慣性モーメントの影響を大きく受けるためである。このため、アタッチメントが所定の姿勢になるようにブーム4、アーム5、バケット6等を駆動する。
【0135】
更に、バケット6もブレーカなどの重たいエンドアタッチメントが装着されている場合には、所定のバケット6へ変更するように、運転者へ促してもよい。このように、旋回時に発生する慣性モーメントが同一になるように、旋回駆動部を駆動させる前に、アタッチメントの調整を行う。調整完了後、コントローラ30から操作バルブ100へ予め定めた駆動指令を出力することで、旋回動作を実行させる。旋回用油圧モータ2Aを加速、等速、減速させる駆動指令に基づき、旋回用油圧モータ2Aは旋回用の規定動作を実行できる。
【0136】
これにより、旋回用油圧モータ2A、旋回用油圧モータ2A用の油圧回路、旋回減速機の診断を行うことができる。例えば、油圧回路のリリーフ弁へ不具合が生じた場合には旋回加速度が悪くなる。この不具合の場合、旋回用油圧モータ2Aの油圧回路の圧力検出値の変化により把握することができる。
【0137】
以下、
図5を参照して、本実施形態のショベルPSにおけるバケット診断の処理について説明する。
図5は、バケット診断におけるコントローラ30の処理を説明するフローチャートである。
【0138】
図5に示す処理は、
図4に示す診断メニューの選択画面から、診断項目「バケット診断」が選択された場合のコントローラ30の処理を示している。
【0139】
まず、コントローラ30は、診断処理部30dにより、操作者により診断メニューの選択画面から、診断項目「バケット診断」が選択されたか否かを判定する(ステップS501)。ステップS501において、診断項目「バケット診断」が選択されない場合、コントローラ30は、診断項目「バケット診断」が選択されるまで待機する。
【0140】
ステップS501において、診断項目「バケット診断」が選択された場合、コントローラ30は、人検知部30cにより、ショベルPSの周囲に人等が存在するか否かを判定する(ステップS502)。
【0141】
ステップS502において、周囲に人が検知された場合、コントローラ30は、表示装置40に、周囲の人が存在すること示す警告を表示させ(ステップS503)、ショベルPSの動作を停止させ、診断処理部30dによる処理を終了させる。
【0142】
ステップS502において、周囲に人が検知されない場合、コントローラ30は、診断処理部30dにより、項目「バケット診断」と対応付けられた規定動作の開始時の規定姿勢(第一の規定姿勢)となるように、ショベルPSを動作させる(ステップS504)。続いて、コントローラ30は、物体検知装置80によるバケット6の画像データの撮像を開始する(ステップS505)。
【0143】
続いて、コントローラ30は、ショベルPSに規定動作をさせ(ステップS506)、ショベルPSを規定動作の終了時の規定姿勢(第二の規定姿勢)まで動作させる(ステップS507)。なお、コントローラ30は、規定動作の終了から一定の時間は、物体検知装置80によるバケット6の画像データの撮像を継続させる。具体的には、物体検知装置80は、規定動作が終了してからバケット6が静止するまでの間、画像データの撮像を継続し、バケット6が静止した後に画像データの撮像を終了しても良い。
【0144】
また、コントローラ30は、物体検知装置80による画像データの撮像が終了すると、この画像データと、規定動作を特定する情報とを対応付けた送信情報を、送信情報記憶部30bに格納しても良い。
【0145】
以下の説明では、ステップS506で撮像が開始された画像データを、直前の規定動作の画像データと呼ぶ場合がある。
【0146】
続いて、コントローラ30は、直前の規定動作の画像データが、分析部30gによる分析に使用できる画像データであるか否かを判定する(ステップS508)。具体的には、診断処理部30dは、直前の規定動作の画像データの画質が、バケット6の形状や動きを検出することができる画質であるか否かを判定している。
【0147】
ステップS508において、直前の規定動作の画像データが、バケット6の形状や動きを検出することができない画質である場合、コントローラ30は、処理を終了する。バケット6の形状や動きを検出することができない画質とは、例えば、光の加減等によって、バケット6の形状が認識できないような画質を示す。
【0148】
ステップS508において、直前の規定動作の画像データが、分析部30gによる分析に使用できる画像データである場合、コントローラ30は、データ取得部30fにより、過去に、ステップS504~ステップS507において実行された規定動作と同じ種類の規定動作を行った際に撮像された画像データを取得する(ステップS509)。以下の説明では、ステップS509で取得した画像データを、過去の規定動作の画像データと呼ぶ場合がある。
【0149】
なお、ステップS509で取得される画像データは、例えば、送信情報記憶部30bに蓄積された送信情報から取得しても良い。また、ステップS509で取得される画像データは、管理装置90に対して、コントローラ30が画像データの取得要求を送信し、管理装置90から受信するものであっても良い。
【0150】
続いて、コントローラ30は、分析部30gにより、直前の規定動作の画像データ(第一の画像データ)と、ステップS509で取得した過去の規定動作の画像データ(第二の画像データ)と、を比較して、バケット6の爪先の摩耗の状態を分析する(ステップS510)。
【0151】
以下に、分析部30gによるステップS510の処理について説明する。まず、直前の規定動作の画像データと、過去の規定動作の画像データとが、共に動画データである場合について説明する。
【0152】
この場合、分析部30gは、例えば、直前の規定動作の動画データに含まれる所定のタイミングのフレーム画像と、ステップS509で取得した過去の規定動作の動画データに含まれる所定のタイミングのフレーム画像と、を取得する。つまり、ここでは、直前の規定動作において、ショベルPSが、ある規定姿勢となったタイミングのフレーム画像と、過去の規定動作において、ショベルPSがある規定姿勢と同一の規定姿勢となったタイミングのフレーム画像と、を抽出する。
【0153】
そして、分析部30gは、直前の規定動作の動画データから抽出したフレーム画像におけるバケット6の爪先の長さと、過去の規定動作の動画データから抽出したフレーム画像におけるバケット6の爪先の長さとの差分を求め、この差分を示す情報を、バケット6の爪先の摩耗量を示す情報とする。
【0154】
次に、直前の規定動作の画像データと、過去の規定動作の画像データとが、静止画像データである場合について説明する。この静止画像データは、例えば、バケット6が規定動作の開始時の規定姿勢となったときに撮像されたものであっても良いし、バケット6が規定動作の終了時の規定姿勢となったときに撮像されたものであっても良い。
【0155】
この場合は、分析部30gは、例えば、直前の規定姿勢の静止画像データと、過去の規定姿勢の静止画像データとを比較し、2つの静止画像におけるバケット6の爪先の長さの差分を求め、分析結果とすれば良い。このように、本実施形態では、直前に規定動作を行ったときのバケット6の爪先が、過去に規定動作を行ったときと比較して、どの程度摩耗したかを操作者等に把握させることができる。
【0156】
つまり、本実施形態の分析部30gは、規定姿勢を第一のタイミングで撮像した第一の画像データと、この規定姿勢を、第一のタイミングと異なるタイミングで撮像した第二の画像データとを比較する比較部の一例である。
【0157】
なお、上述した説明では、バケット6の爪先の摩耗の状態の分析において、直前の規定動作の画像データを、過去に規定動作の画像データと比較するものとしたが、これに限定されない。
【0158】
分析部30gは、直前の規定動作(規定姿勢)の画像データと、バケット6が未使用の状態であるときに撮像されたバケット6の規定姿勢の画像データとを比較しても良い。この場合、未使用時からのバケット6の爪先の摩耗量を得ることができる。
【0159】
また、分析部30gは、過去に規定動作を行った際に取得した画像データと、バケット6が未使用の状態であるときのバケット6の画像データとの両方と、直前に取得した画像データとを比較しても良い。
【0160】
このようにすれば、作業環境に応じた爪先の摩耗の仕方のちがいを視覚的に操作者に把握させることができる。
【0161】
例えば、未使用時から過去の規定姿勢の画像データを取得するまでの期間と、過去の規定姿勢の画像データを取得したときから直前の規定姿勢の画像データを取得するまでの期間が同程度であったとする。この場合において、未使用時の画像データと、過去の規定姿勢の画像データとの比較から得た爪先の摩耗量と、過去の規定姿勢の画像データと直前の規定姿勢の画像データとの比較から得た爪先の摩耗量とが異なる場合には、ショベルPSの作業環境が異なっていたことが考えられる。
【0162】
したがって、その場合には、コントローラ30は、それぞれの期間における作業環境を示す情報を、各期間における爪先の摩耗量を示す情報と共に表示させても良い。この場合、作業環境を示す情報とは、ショベルPSが取得する位置情報であっても良い。
【0163】
続いて、コントローラ30は、分析部30gにより、直前の規定動作の画像データと、ステップS509で取得した過去の規定動作の画像データと、を比較して、バケット6のガタの状態を分析する(ステップS511)。
【0164】
バケット6のガタは、例えば、アーム5に対してバケット6を回動させるリンク機構を構成する部品の摩耗等によって生じる隙間や揺みに起因する不安定な動きであり、ガタが発生するとバケット6の位置が定まりにくくなる。また、ガタは、例えば、砂等がリンク機構内に入り込んでしまい、摩耗が促進されることによって、大きくなるため、定期的にガタの大きさの変動を確認することが好ましい。
【0165】
以下に、分析部30gによるステップS511の処理について説明する。ガタの状態の分析には、動画データが用いられる。したがって、直前の規定動作の画像データ(第一の動画データ)と、過去の規定動作の画像データ(第二の動画データ)とは、共に動画データである。
【0166】
分析部30gは、直前の規定動作の画像データが示す動画のうち、規定動作が終了したタイミング以降の動画におけるバケット6の画像の移動幅を算出し、この移動幅を、直前の規定動作を行ったときのガタの大きさを示す情報とする。
【0167】
また、分析部30gは、過去の規定動作の画像データのうち、規定動作が終了したタイミングから画像データの撮像を終了するまでの間の動画データにおけるバケット6の画像の移動幅を算出し、この移動幅を、過去に規定動作を行ったときのガタの大きさを示す情報とする。
【0168】
つまり、本実施形態では、規定動作の終了時のバケット6の揺れ幅を、動画におけるバケット6の画像の移動幅(ガタの大きさ)として算出する。また、分析部30gは、規定動作中の所定期間内の画像データを重ね合わせることにより、バケット6の画像の移動幅(ガタの大きさ)として算出してもよい。
【0169】
また、本実施形態では、例えば、アタッチメントの姿勢を維持したまま上部旋回体3を旋回させる規定動作の終了時のバケット6の揺れ幅の最大値を、バケット6の横方向の揺れ幅として検出しても良い。横方向の揺れ幅とは、言い換えれば、規定動作の終了時における、
図1のYZ平面上のY方向のバケット6の移動幅の最大値である。
【0170】
また、本実施形態では、例えば、アーム5に対するバケット6の角度を変更させる動作を含む規定動作の終了時のバケット6の揺れ幅の最大値を、バケット6の縦方向の揺れ幅として検出しても良い。縦方向の揺れ幅とは、言い換えれば、規定動作の終了時における、
図1のYZ平面上のZ方向の移動幅の最大値である。
【0171】
なお、本実施形態では、動画データにおいて、規定動作の終了時からバケット6が静止するまでの間におけるバケット6の移動幅の最大値をガタの大きさとしたが、これに限定されない。
【0172】
例えば、規定動作が終了してからバケット6が静止するまでにかかる時間や、規定動作が終了してからバケット6が静止するまでのバケット6の移動幅の累積値等を用いてガタの大きさを算出しても良い。
【0173】
そして、分析部30gは、直前に規定動作を行ってときのガタの大きさと、過去に規定動作を行ったときのガタの大きさとを比較し、比較結果を分析結果とする。
【0174】
つまり、本実施形態の分析部30gは、第一のタイミングで規定動作を開始したバケット6を撮像した第一の動画データと、第一のタイミングとは異なる第二のタイミングでこの規定動作を開始したバケット6を撮像した第二の動画データと、を比較する比較部の一例である。
【0175】
本実施形態の分析部30gは、バケット6の爪先の摩耗量を示す情報と、ガタの大きさを示す情報とを取得すると、これらの情報に基づき、バケット6の状態を示す情報を生成し、分析結果に含めても良い。
【0176】
なお、上記の実施形態では、物体検知装置80による画像データの撮像範囲としてバケット6を対象としていたが、アーム5、ブーム4も画像データの撮像範囲に含めてもよい。これにより、バケット6のガタがリンク機構の摩耗に依存するか、それともアームピンの摩耗やブームピンの摩耗に依存するかを判断することができる。
【0177】
続いて、コントローラ30は、出力部30hによって分析結果を出力する(ステップS512)。言い換えれば、コントローラ30は、分析結果を含む送信情報を表示装置40の画像表示部41へ表示させる。
【0178】
続いて、コントローラ30は、操作者により、バケット6の爪先とブームフートピン位置との位置関係の較正を指示されたか否かを判定する(ステップS513)。具体的には、コントローラ30は、ステップS512で画像表示部41に表示された分析結果の画面において、較正を指示する操作が行われたか否かを判定している。
【0179】
ステップS513において、較正を指示する操作が行われた場合、コントローラ30は、較正部30eにより、ブームフートピン位置との位置関係を較正し(ステップS514)、処理を終了する。ステップS513において、較正を指示する操作が行われない場合、コントローラ30は、処理を終了する。
【0180】
なお、本実施形態では、ステップS512において画像表示部41に表示された送信情報は、管理装置90に送信されて、管理装置90において蓄積されても良い。
【0181】
次に、
図6を参照して、分析結果の出力例について説明する。
図6は、分析結果の出力例を示す第一の図である。
【0182】
図6に示す画面21は、画像表示部41に表示された画面の一例である。画面21は、第1画像表示領域60、第2画像表示領域61、点検日表示領域62、規定動作表示領域63、機体識別情報表示領域64、アワーメータ表示領域65、点検部位表示領域66、及び点検状況表示領域67を含む。また、画面21には、ボタン68及びボタン69が表示される。
【0183】
第1画像表示領域60には、バケット6の画像と共に、分析結果に含まれるバケット6のガタの大きさを示す情報が表示される。第2画像表示領域61には、バケット6の画像と共に、分析結果に含まれるバケット6の爪先の摩耗量を示す情報が表示される。また、第1画像表示領域60には、アーム5、ブーム4の画像をも含めてもよい。
【0184】
なお、第1画像表示領域60と第2画像表示領域61に表示されるバケット6の画像は、例えば、バケット6を正面から撮像した画像である。
【0185】
点検日表示領域62は、直前の規定動作を行った日が表示される。なお、点検日表示領域62には、過去の規定動作を行った日を共に表示させても良い。規定動作表示領域63は、規定動作を特定する情報が表示される。機体識別情報表示領域64は、ショベルPSを特定する情報である機体識別情報が表示される。
【0186】
アワーメータ表示領域65は、ショベルPSの稼働時間が表示される。点検部位表示領域66は、診断の対象とされた部位を示す情報が表示される。点検状況表示領域67は、分析結果から得られた点検部位の状態を示す情報が表示される。
【0187】
つまり、画面21の各表示領域に表示された全ての情報を含む情報が送信情報であり、第1画像表示領域60、第2画像表示領域61、点検状況表示領域67に表示された情報は、送信情報に含まれる分析結果を示す情報となる。
【0188】
第1画像表示領域60では、バケット6の画像と、縦方向の高さ60aと、横方向の幅60b、60cとが表示されている。
【0189】
図6の例では、高さ60aが、バケット6の縦方向のガタの大きさを示し、幅60bと幅60cとの合計が、バケット6の横方向のガタの大きさを示す。
【0190】
また、規定動作表示領域63には、第1画像表示領域60と対応する規定動作を示す情報として、規定動作の名称「バケット閉じ」が表示されている。また、規定動作表示領域63には、第1画像表示領域60と対応する規定動作を示す情報として、規定動作の名称「アタッチメント固定で旋回」が表示されている。
【0191】
本実施形態では、このように、実行した規定動作と、その規定動作の際に検出されたガタの大きさを示す情報とを表示させることで、ショベルPSの操作者等に、どのような動作を行ったときに、どの程度のガタが生じるかを容易に把握させることができる。
【0192】
第2画像表示領域61では、バケット6の画像と、バケット6の爪先の摩耗量を示す情報とが表示されている。
【0193】
バケット6の爪先の摩耗量を示す情報とは、具体的には、図形61fと、バケット6の爪先との形状の差分である。図形61fは、交換直後(未使用)のバケット6の爪先の形状を示す。
【0194】
本実施形態では、図形61fと、バケット6の爪先との形状とが異なるほど、バケット6の爪先の摩耗量が大きいことを示す。本実施形態では、このように、交換直後のバケット6の爪先の形状を示す画像を、現在の爪先の画像に重畳させることで、交換直後の爪先に対する現在の爪先の摩耗量を視覚的に認識できる。
【0195】
したがって、本実施形態によれば、ショベルPSの操作者等に、バケット6の爪先の摩耗量を容易に把握させることができる。
【0196】
なお、バケット6の爪先の摩耗量の算出は、爪毎に行うことができる。特に、施工では中央の爪と左右両端の爪が重要になるため、中央の爪と左右両端の爪に対してのみバケット6の爪先の摩耗量の算出を行っても良い。
【0197】
また、本実施形態の点検状況表示領域67では、バケット6の状態を示す情報が表示されている。具体的には、点検状況表示領域67には、横方向のガタが大きくなっていることを示すメッセージと、バケット6のガタについての詳細を表示する画面へ遷移させるためのボタン67aとが対応付けられて表示されている。
【0198】
また、点検状況表示領域67には、爪先の交換を促すメッセージと、爪先の交換を行っているカスタマーセンターを呼び出すためのボタン67bとが対応付けられて表示されている。
【0199】
さらに、本実施形態の分析部30gは、例えば、直前に取得した画像データと過去の画像データのとの比較の結果として、バケット6の形状の変化の有無を判定し、その結果をバケット6の状態を示す情報に含めても良い。
図6の例では、点検状況表示領域67では、バケット6の形状に変化がなく、異常がないことを示すメッセージが表示される。
【0200】
なお、バケット6の形状に変化がある場合とは、例えば、バケット6の歪みが生じた場合や、バケット6に穴があいた場合等である。
【0201】
ボタン68は、画面21を診断メニューの選択画面へ遷移させるためのボタンである。ボタン68を選択する操作が行われると、コントローラ30は、画面21を診断メニューの選択画面へ遷移させる。
【0202】
ボタン69は、較正部30eによる較正を指示するためのボタンである。画面21において、ボタン69を選択する操作が行われると、較正部30eによる較正が行われる。
【0203】
図7は、分析結果の出力例を示す第二の図である。
図7に示す画面21Aは、画面21において、ボタン67aを選択する操作が行われた場合に、画像表示部41に表示される画面の例を示している。
【0204】
画面21Aは、第1画像表示領域60A、第2画像表示領域61A、点検日表示領域62、規定動作表示領域63A、機体識別情報表示領域64、アワーメータ表示領域65、点検部位表示領域66、及び点検状況表示領域67Aを含む。また、画面21Aには、ボタン68及びボタン69が表示される。
【0205】
第1画像表示領域60Aは、バケット6の横方向のガタの大きさを示す情報が表示されており、第2画像表示領域61Aには、バケット6の縦方向のガタの大きさを示す情報が表示されている。
【0206】
図7の第1画像表示領域60Aでは、例えば、前回規定動作を行ったときのバケット6の横方向のガタの大きさと、今回規定動作を行ったときの横方向のガタの大きさとの差分も表示させている。
【0207】
具体的には、第1画像表示領域60Aにおいて、幅60b1と幅60c1との合計が、前回規定動作を行ったときのバケット6の横方向のガタの大きさを示す。
【0208】
また、第1画像表示領域60Aにおいて、幅60b2と幅60c2との合計が、今回規定動作を行ったときのバケット6の横方向のガタの大きさを示す。
【0209】
第1画像表示領域60Aでは、幅60b2と幅60c2のそれぞれが、幅60b1と幅60c1よりも大きく、バケット6の横方向のガタが大きくなっていることがわかる。
【0210】
第2画像表示領域61Aでも同様に、例えば、前回規定動作を行ったときのバケット6の縦方向のガタの大きさと、今回規定動作を行ったときの縦方向のガタの大きさとの差分も表示させている。
【0211】
第2画像表示領域61Aにおいて、高さ60a1は、前回規定動作を行ったときのバケット6の縦方向のガタの大きさを示し、高さ60a2は、今回規定動作を行ったときのバケット6の縦方向のガタの大きさを示す。
図7の例では、縦方向のガタの大きさは、あまり変化していないことがかわる。
【0212】
また、規定動作表示領域63Aは、第1画像表示領域60Aと対応する規定動作を示す情報として、規定動作の名称「アタッチメント固定で旋回」が表示されている。言い換えれば、規定動作表示領域63Aには、横方向のガタを検出するための規定動作の名称「アタッチメント固定で旋回」が表示されている。
【0213】
また、規定動作表示領域63Aには、第2画像表示領域61Aと対応する規定動作を示す情報として、規定動作の名称「バケット閉じ」が表示されている。言い換えれば、規定動作表示領域63Aには、縦方向のガタを検出するための規定動作の名称「バケット閉じ」が表示されている。
【0214】
また、点検状況表示領域67Aには、横方向のガタが前回の規定動作を行ったときよりも大きくなったことを示すメッセージが表示されている。
【0215】
つまり、ここでは、分析部30gによって、前回の横方向のガタの大きさと、今回の横方向のガタの大きさとの差が一定の閾値以上となったことが検出されたことを示している。
【0216】
本実施形態では、このように、画像表示部41に、バケット6の横方向のガタの大きさを示す情報と、縦方向のガタの大きさを示す情報と、をそれぞれバケット6の画像と共に表示させても良い。
【0217】
このように、バケット6のガタの大きさを表示させることで、操作者等に対しガタの発生の仕方を視覚的に把握させることができる。
【0218】
次に、
図8を参照して、本実施形態の較正部30eの処理について説明する。
図8は、較正部による位置関係の較正について説明する図である。
【0219】
図8では、アタッチメントに関連する各種物理量を示すショベルの側面図である。ブーム角度センサS1は、例えば、ブーム角度(θ1)を取得する。ブーム角度(θ1)は、XZ平面において、ブームフートピン位置P3とアーム連結ピン位置P4とを結ぶ線分P3-P4の水平線に対する角度である。アーム角度センサS2は、例えば、アーム角度(θ2)を取得する。アーム角度(θ2)は、XZ平面において、アーム連結ピン位置P4とバケット連結ピン位置P5とを結ぶ線分P4-P5の水平線に対する角度である。バケット角度センサS3は、例えば、バケット角度(θ3)を取得する。バケット角度(θ3)は、XZ平面において、バケット連結ピン位置P5とバケット爪先位置P6とを結ぶ線分P5-P6の水平線に対する角度である。
【0220】
ショベルPSにおいて、バケット爪先位置P6とブームフートピン位置P3との位置関係は、ブーム角度(θ1)と、アーム角度(θ2)と、バケット角度(θ3)とによって決まる。また、バケット爪先位置P6の位置は、バケット6の爪先の摩耗によって変化する。
【0221】
本実施形態のコントローラ30は、バケット6の爪先とブームフートピン位置P3との位置関係の較正の指示を受けつけると、較正部30eにより、バケット6の爪先の摩耗量に基づき、バケット爪先位置P6とブームフートピン位置P3との位置関係を更新する。具体的には、較正部30eは、爪先の摩耗によって値が変化するバケット角度(θ3)を更新する。
【0222】
このように、本実施形態では、バケット6の爪先の摩耗量に応じて、バケット6の爪先とブームフートピン位置との位置関係を更新するため、爪先がある程度摩耗した場合でも、バケット6の爪先を目標位置に合わせることができ、操作の精度を維持することができる。
【0223】
その結果、ショベルはバケット6の爪先を目標軌道(設定施工面等)に沿って精度よく移動させることができる。また、本実施形態は、遠隔操作によるショベルへも適用できる。
【0224】
以上のように、本実施形態によれば、状態検出センサの検出値の一つである物体検知装置80によって撮像された画像データを用いてバケット6の状態を分析し、分析結果を表示装置40に表示させることができる。したがって、本実施形態によれば、バケット6の状態を確認するための、バケット6を目視したり、人手で爪先の長さを計測する、といった煩雑な作業が不要となり、操作者等に対し、容易にバケット6の状態を把握させることができる。
【0225】
(他の実施形態)
他の実施形態では、ショベルPSの有していた診断処理部30dを管理装置90が有する。以下の他の実施形態の説明では、実施形態と同様の機能構成を有するものには、実施形態の説明で用いた符号を付与し、その説明を省略する。
【0226】
図9は、他の実施形態の管理システムの動作を示すシーケンス図である。管理システム1Aは、ショベルPSと、管理装置90Aとを有する。管理装置90Aは、診断処理部30dを有する。
【0227】
したがって、管理システム1Aでは、ショベルPSは、物体検知装置80によって撮像された画像データを管理装置90Aへ送信し、管理装置90Aの診断処理部30dによる処理の結果を受け取る。
【0228】
ショベルPSは、周囲に人が検知されず、規定動作の開始時の姿勢となると、物体検知装置80によるバケット6の画像データの撮像を開始する(ステップS901)。続いて、ショベルPSは、規定動作を行い(ステップS902)、規定動作が終了すると、撮像した画像データを管理装置90Aへ送信する(ステップS903)。
【0229】
このとき、画像データは、規定動作を特定する情報と対応付けられた送信情報として、管理装置90Aに送信される。また、送信情報には、画像データが撮像された日時(規定動作を行った日時)、ショベルPSを特定するための機体識別情報、ショベルPSの稼働時間等が含まれて良い。
【0230】
続いて、管理装置90Aは、画像データを受信すると、管理装置90Aの有するデータベース等に画像データを蓄積する(ステップS904)。
【0231】
続いて、ショベルPSは、画像表示部41に表示された診断メニューの選択画面から、診断項目「バケット診断」が選択されると(ステップS905)、管理装置90Aに対して、バケット診断の実行を要求する(ステップS906)。なお、この要求には、ショベルPSを特定する機体識別情報が含まれても良い。
【0232】
管理装置90Aは、要求を受け付けると、診断処理部30dにより、要求に含まれる機体識別情報と対応する直前の画像データと過去の画像データをデータベースから読み出して、バケット6の状態を分析し(ステップS907)、分析結果をショベルPSへ送信する(ステップS908)。
【0233】
ショベルPSは、分析結果を受信すると、これを表示装置40に表示させる(ステップS909)。
【0234】
以上のように、
図9では、ショベルPSが撮像した画像データを管理装置90Aへ蓄積しておき、管理装置90Aにおいて、診断処理部30dの処理を実行しても良い。
【0235】
また、
図9の例では、分析結果は、ショベルPSの表示装置40に表示されるものとしたが、これに限定されない。分析結果は、例えば、管理装置90Aの表示部90cに表示されても良い。
【0236】
また、分析結果は、例えば、ショベルPSの近傍等でショベルPSと無線通信を行う端末装置等に表示されても良い。
【0237】
また、ショベルPSに規定動作を行わせる際には、この端末装置から無線通信によって、ショベルPSに対して規定動作の実行指示を送信しても良い。
【0238】
この場合、端末装置は、規定動作の実行指示を送信する前に、ショベルPSとの通信を確立させて、ショベルPSの機体識別情報をショベルPSから受信する。そして、端末装置は、規定動作の実行指示を行った後に、管理装置90Aから分析結果を受信すると、ショベルPSから受信した機体識別情報と、管理装置90Aから受信した分析結果とを同一画面に表示させても良い。
【0239】
このようにすれば、端末装置からの操作によって、ショベルPSに規定動作を行わせ、規定動作中に取得した画像データを用いてバケット6の状態を分析した分析結果を取得することができる。
【0240】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなしに上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0241】
また、本国際出願は、2019年9月19日に出願された日本国特許出願2019-170200に基づく優先権を主張するものであり、日本国特許出願2019-170200の全内容を本国際出願に援用する。
【符号の説明】
【0242】
PS ショベル
30 コントローラ
30a 一時記憶部
30b 送信情報記憶部
30c 人検知部
30d 診断処理部
30g 分析部
30e 較正部
31 操作バルブ
40 表示装置
42 入力装置
80 物体検出装置
80B,80F,80L,80R センサ
90、90A 管理装置