(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-17
(45)【発行日】2024-07-25
(54)【発明の名称】I型インターフェロン媒介性障害
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20240718BHJP
G01N 33/68 20060101ALI20240718BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20240718BHJP
G01N 33/50 20060101ALI20240718BHJP
G01N 33/15 20060101ALI20240718BHJP
C07K 16/24 20060101ALI20240718BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20240718BHJP
C07K 16/40 20060101ALI20240718BHJP
C12Q 1/02 20060101ALI20240718BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20240718BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240718BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20240718BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240718BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20240718BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240718BHJP
C07K 14/705 20060101ALN20240718BHJP
【FI】
A61K39/395 U
G01N33/68
G01N33/53 P
G01N33/50 Z
G01N33/15 Z
C07K16/24
C07K16/28
C07K16/40
C12Q1/02
A61K39/395 D
A61P37/06
A61P29/00
A61P21/00
A61P17/00
A61P13/12
A61P43/00 111
C07K14/705
(21)【出願番号】P 2021547261
(86)(22)【出願日】2020-02-14
(86)【国際出願番号】 EP2020053962
(87)【国際公開番号】W WO2020165437
(87)【国際公開日】2020-08-20
【審査請求日】2023-02-03
(32)【優先日】2019-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391008951
【氏名又は名称】アストラゼネカ・アクチエボラーグ
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100138911
【氏名又は名称】櫻井 陽子
(72)【発明者】
【氏名】ケイシー,ケリー
(72)【発明者】
【氏名】シニバルディ,ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】スミス,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】サンフアン,ミゲル
【審査官】渡邉 潤也
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-528118(JP,A)
【文献】Arthritis & Rheumatology,2017年,Volume 69, Issue 2,pp.376-386
【文献】Lupus Science & Medicine,2018年,Volume 5, Issue 1,e000284, pp.1-7
【文献】Lupus Science & Medicine,2018年,Volume 5, Issue 1,e000286, pp.1-10
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
G01N
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における全身性エリテマトーデス(SLE)、筋炎、強皮症、ループス腎炎又は皮膚エリテマトーデス(CLE)の治療に使用するための医薬組成物であって、治療有効量のアニフロルマブを含み、前記対象が、
前記医薬組成物の投与前に、健常ドナーにおけるEPHB2、BLC、LAG-3及びIP-10タンパク質の発現に対するEPHB2、BLC、LAG-3及びIP-10タンパク質の発現の上昇を特徴とするIFNタンパク質シグネチャー(IFNPS)の上昇を有す
る、医薬組成物。
【請求項2】
IFNPSの上昇が、健常ドナーにおけるEPHB2、BLC、LAG-3及びIP-10タンパク質発現の平均と比較した
前記対象におけるEPHB2、BLC、LAG-3及びIP-10タンパク質発現の平均によって特徴付けられる、請求項1に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項3】
前記医薬組成物が、300mgのアニフロルマブを含む、請求項1又は2に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項4】
前記使用が、4週毎の300mgのアニフロルマブの投与を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項5】
治療が、前記対象における前記IFNPS上昇を抑制する、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項6】
前記対象がSLEを有し、前記治療が、前記対象のSLE疾患活動性指数(SLEDAI)を改善する、請求項1~5のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項7】
前記対象がCLE又はSLEを有し、前記治療が、前記対象の皮膚エリテマトーデス疾患領域及び重症度指数(CLASI)活動性スコアを改善する、請求項1~6のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項8】
前記対象が、
前記医薬組成物の投与前に、インターフェロン遺伝子シグネチャー(IFNGS)試験低値患者と同定される、請求項1~7のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項9】
SLE、筋炎、強皮症、ループス腎炎又はCLEを有する対象から単離された第1の試料中の上昇したIFN活性を検出するためのインビトロ法であって、前記第1の試料中のEPHB2、BLC、LAG-3及びIP-10タンパク質の発現を定量化すること、並びに前記第1の試料中の前記タンパク質の発現を、健常ドナーから単離された第2の試料中のEPHB2、BLC、LAG-3及びIP-10タンパク質の発現と比較することを含
み、前記第1の試料中の前記タンパク質の発現が前記第2の試料中の前記タンパク質の発現よりも高いとき、前記第1の試料が上昇したIFN活性を有すると同定する、インビトロ法。
【請求項10】
前記第1及び第2の試料が血液試料である、請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
前記対象から単離された前記第1の試料におけるEPHB2、BLC、LAG-3及びIP-10タンパク質発現の平均を定量化し、前記第1の試料における前記EPHB2、BLC、LAG-3及びIP-10タンパク質発現の平均を、健常ドナーにおけるEPHB2、BLC、LAG-3及びIP-10タンパク質発現の平均と比較することを含む、請求項9
又は10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己免疫疾患(例えば、全身性エリテマトーデス)などのI型インターフェロン媒介性疾患又は障害に罹患している対象の検出及び/又はモニタリングのためのバイオマーカーの同定及び使用に関する。本発明は更に、対応する治療方法、及び候補治療剤を同定するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
I型インターフェロン(IFN)シグナル伝達は、多くの自己免疫疾患、特に全身性エリテマトーデス(SLE)において病態を促進し、このシグナル伝達を、全血中に存在するI型IFN誘導性転写物を介して追跡することができ、上記転写物は、I型IFN遺伝子シグネチャーをもたらす。例として、非特許文献1は、IFNα/β21-遺伝子シグネチャーの同定及びI型IFN関連疾患又は障害のバイオマーカーとしてのその使用を記載している。
【0003】
しかしながら、上記遺伝子シグネチャーアプローチは、誘導された転写物プロファイルと対応する誘導されたタンパク質プロファイルとの間の一貫性のない相関性によって、有用性が限られている。
【0004】
したがって、対象におけるI型IFN活性を検出及び/又はモニタリングするための、代替的な、相補的な、又は改善された方法が必要とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】Yao et al.(Hum Genomics Proteomics 2009,pii:374312)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記の課題の1つ以上を解決し、例えば、対象における1型IFN媒介性疾患又は障害を検出するための正確且つ/又は強力な手段を提供する。
【0007】
第1の態様では、本発明は、I型インターフェロン活性を調節する(例えば、それに結合する)治療剤によるI型インターフェロン媒介性疾患又は障害の治療に適した対象を同定する方法を提供し、この方法は、対象の試料中における第1のタンパク質のレベルの増加及び対象の試料中における第2のタンパク質のレベルの増加を検出することを含み、
第1のタンパク質は、EPHB2であり、
第2のタンパク質は、I型インターフェロンによって誘導可能な遺伝子発現を有し、且つI型インターフェロン遺伝子シグネチャーに対して0.3超のピアソン相関係数を示し、
第1のタンパク質のレベルの増加及び第2のタンパク質のレベルの増加は、
a)I型インターフェロン媒介性疾患若しくは障害を有さない組織若しくはヒト由来の試料中の、第1のタンパク質のレベル及び第2のタンパク質のレベルのそれぞれ、又は
b)対象の試料中の1つ以上の対照タンパク質のレベル
に対するものである。
【0008】
第2の態様では、本発明は、I型インターフェロン活性を調節する(例えば、それに結合する)治療剤によるI型インターフェロン媒介性疾患又は障害の治療に適した対象を同定する方法を提供し、この方法は、
i)対象の試料中における第1のタンパク質のレベルの増加及び対象の試料中における第2のタンパク質のレベルの増加を検出することであって、
第1のタンパク質は、EPHB2であり、
第2のタンパク質は、I型インターフェロンによって誘導可能な遺伝子発現を有し、且つI型インターフェロン遺伝子シグネチャーに対して0.3超のピアソン相関係数を示し、
第1のタンパク質のレベルの増加及び第2のタンパク質のレベルの増加は、
a)I型インターフェロン媒介性疾患若しくは障害を有さない組織若しくはヒト由来の試料中の、第1のタンパク質のレベル及び第2のタンパク質のレベルのそれぞれ、又は
b)対象の試料中の1つ以上の対照タンパク質のレベル
に対するものである、検出すること;並びに
ii)治療剤を投与することを含む。
【0009】
第3の態様では、本発明は、対象におけるI型インターフェロン媒介性疾患又は障害の治療における使用のためのI型インターフェロン活性を調節する(例えば、それに結合する)抗I型インターフェロン抗体又は抗I型インターフェロン受容体抗体を提供し、ここで、対象は、対象の試料中における第1のタンパク質のレベルの増加及び対象の試料中における第2のタンパク質のレベルの増加を検出することによって同定されており、
第1のタンパク質は、EPHB2であり、
第2のタンパク質は、I型インターフェロンによって誘導可能な遺伝子発現を有し、且つI型インターフェロン遺伝子シグネチャーに対して0.3超のピアソン相関係数を示し、
第1のタンパク質のレベルの増加及び第2のタンパク質のレベルの増加は、
a)I型インターフェロン媒介性疾患若しくは障害を有さない組織若しくはヒト由来の試料中の、第1のタンパク質のレベル及び第2のタンパク質のレベルのそれぞれ、又は
b)対象の試料中の1つ以上の対照タンパク質のレベル
に対するものである。
【0010】
第4の態様では、本発明は、対象におけるI型インターフェロン媒介性疾患又は障害を治療する方法を提供し、この方法は、I型インターフェロン活性を調節する(例えば、それに結合する)抗I型インターフェロン抗体又は抗I型インターフェロン受容体抗体を投与することを含み、ここで、対象は、対象の試料中における第1のタンパク質のレベルの増加及び対象の試料中における第2のタンパク質のレベルの増加を検出することによって同定されており、
第1のタンパク質は、EPHB2であり、
第2のタンパク質は、I型インターフェロンによって誘導可能な遺伝子発現を有し、且つI型インターフェロン遺伝子シグネチャーに対して0.3超のピアソン相関係数を示し、
第1のタンパク質のレベルの増加及び第2のタンパク質のレベルの増加は、
a)I型インターフェロン媒介性疾患若しくは障害を有さない組織若しくはヒト由来の試料中の、第1のタンパク質のレベル及び第2のタンパク質のレベルのそれぞれ、又は
b)対象の試料中の1つ以上の対照タンパク質のレベル
に対するものである。
【0011】
本発明は、対象の試料中における少なくとも1つの他のタンパク質のレベルの増加を検出することを更に含んでもよく、少なくとも1つの他のタンパク質は、I型インターフェロンによって誘導可能な遺伝子発現を有し、且つI型インターフェロン遺伝子シグネチャーに対して0.3超のピアソン相関係数を示し;少なくとも1つの他のタンパク質のレベルの増加は、
a)I型インターフェロン媒介性疾患若しくは障害を有さない組織若しくはヒト由来の試料中の、少なくとも1つの他のタンパク質のレベル、又は
b)対象の試料中の1つ以上の対照タンパク質のレベル
に対するものである。
【0012】
第5の態様では、本発明は、対象におけるI型インターフェロン媒介性疾患又は障害の進行をモニタリング又は予測する方法を提供し、この方法は、
i)対象の初期試料における第1のタンパク質の発現レベル及び対象の初期試料における少なくとも1つの他のタンパク質の発現レベルを同定すること;並びに
ii)対象の更なる試料(例えば、初期試料に対して適時に続けて採取される)における第1のタンパク質の発現レベル及び対象の更なる試料における少なくとも1つの他のタンパク質の発現レベルを同定することであって;
対象の初期試料に対する、更なる試料における第1のタンパク質の発現レベルの増加及び少なくとも1つの他のタンパク質の発現レベルの増加が疾患進行を予測するか;又は
対象の初期試料に対する、更なる試料における第1のタンパク質の発現レベルの低下及び少なくとも1つの他のタンパク質の発現レベルの低下が疾患後退を予測する、同定することを含み;
第1のタンパク質は、EPHB2であり;
少なくとも1つの他のタンパク質は、I型インターフェロンによって誘導可能な遺伝子発現を有し、且つI型インターフェロン遺伝子シグネチャーに対して0.3超のピアソン相関係数を示す。
【0013】
第6の態様では、本発明は、I型インターフェロン活性を調節する(例えば、それに結合する)治療剤による治療を受けている対象のI型インターフェロン媒介性疾患又は障害の進行をモニタリングする方法を提供し、この方法は、
i)対象の初期試料における第1のタンパク質の発現レベル及び対象の初期試料における少なくとも1つの他のタンパク質の発現レベルを同定すること;
ii)対象の更なる試料(例えば、初期試料に対して適時に続けて採取される)における第1のタンパク質の発現レベル及び対象の更なる試料における少なくとも1つの他のタンパク質の発現レベルを同定すること;
iii)I型インターフェロン活性を調節する治療剤を対象に投与することであって、治療剤がステップi)の前に、又はステップi)とステップii)との間に投与される、投与すること;並びに
iv)対象の初期試料における第1のタンパク質及び少なくとも1つの他のタンパク質の発現レベルを、対象の更なる試料における第1のタンパク質及び少なくとも1つの他のタンパク質の発現レベルとそれぞれ比較することであって;
第1のタンパク質及び少なくとも1つの他のタンパク質の発現レベルの差異が、I型インターフェロン活性を調節する治療剤の有効性のレベルを示す、比較することを含み;
第1のタンパク質は、EPHB2であり;
少なくとも1つの他のタンパク質は、I型インターフェロンによって誘導可能な遺伝子発現を有し、且つI型インターフェロン遺伝子シグネチャーに対して0.3超のピアソン相関係数を示す。
【0014】
第7の態様では、本発明は、I型インターフェロン媒介性疾患又は障害を治療するための候補治療剤を同定する方法を提供し、この方法は、
i)対象の初期試料における第1のタンパク質の発現レベル及び対象の初期試料における少なくとも1つの他のタンパク質の発現レベルを同定すること;
ii)候補治療剤を対象に投与すること;
iii)対象の更なる試料(例えば、初期試料に対して適時に続けて採取される)における第1のタンパク質の発現レベル及び対象の更なる試料における少なくとも1つの他のタンパク質の発現レベルを同定すること;並びに
iv)対象の初期試料における第1のタンパク質及び少なくとも1つの他のタンパク質の発現レベルを、対象の更なる試料における第1のタンパク質及び少なくとも1つの他のタンパク質の発現レベルとそれぞれ比較することであって;
第1のタンパク質及び少なくとも1つの他のタンパク質の発現レベルのアップレギュレーションの低減をそれぞれ含む、第1のタンパク質及び少なくとも1つの他のタンパク質の発現レベルの差異が、薬剤が候補治療剤であることを示す、比較することを含み;
第1のタンパク質は、EPHB2であり;
少なくとも1つの他のタンパク質は、I型インターフェロンによって誘導可能な遺伝子発現を有し、且つI型インターフェロン遺伝子シグネチャーに対して0.3超のピアソン相関係数を示す。
【0015】
本発明全体を通して、第2のタンパク質及び/又は少なくとも1つの他のタンパク質に対する言及は、ALCAM、アンギオポエチン-2(ANG-2)、AREG、C1q、AXL受容体チロシンキナーゼ(AXL)、B細胞活性化因子(BAFF)、B7-H1、ベータ-2-ミクログロブリン(B2M)、sCD163、CLM6、BLC、CD5L、ST4S6、SCGF-アルファ、CO8A1、マクロファージコロニー刺激因子1(M-CSF)、M-CSF R、カテプシンS、可溶性CXCL16、DLL1、DERM、単球走化性タンパク質4(MCP-4)、TIMD3、EMR2、細胞間接着分子1(ICAM-1)、IL-13 Ra1、インターロイキン-18(IL-18)、bFGF、IL-18 BPa、MIP-3b、MCP-1、VEGF sR3、TCCR、PHI、IGFBP-4、IL-3 Ra、LAG-3、インターロイキン-1受容体アンタゴニスト(IL-1Ra)、JAG1、KYNU、マクロファージ炎症性タンパク質3ベータ(MIP-3ベータ)、LG3BP、ILT-4、MCP-3、フラクタルカイン/CX3CL-1、インターフェロンガンマ誘導タンパク質10(IP-10)、MAPK14、単球走化性タンパク質2(MCP-2)、インターフェロン誘導性T細胞アルファ走化性因子(ITAC)、ガンマインターフェロン誘導モノカイン(MIG)、MMP-14、マトリックスメタロプロテイナーゼ-7(MMP-7)、NAGK、Notch-3、LDH-H 1、グルココルチコイド受容体、PDGF-CC、PLPP、NADPH-P450オキシドレダクターゼ、SAA、a1-アンチトリプシン、PARK7、シアロアドヘシン、シグレック-7、SLAF7、オステオポンチン、PD-L2、BGH3、TGF-b R III、TNF-a、CD30、テネイシン、腫瘍壊死因子受容体2(TNFR2)、TS、及びSCGF-ベータからなる群から(それぞれ)独立して選択されるか、又はこれらを(それぞれ)独立して含むタンパク質を意味する。
【0016】
一実施形態では、第2のタンパク質及び/又は少なくとも1つの他のタンパク質は、第1のタンパク質の生物学的経路から独立した生物学的経路の一部を形成する。
【0017】
好ましくは、第2のタンパク質及び/又は少なくとも1つの他のタンパク質は、それぞれ独立して、BLC、LAG-3及びIP-10から選択される。
【0018】
相対発現レベルを測定する場合、一実施形態では、
第1のタンパク質、及び
第2のタンパク質又は少なくとも1つの他のタンパク質
のうちの少なくとも1つのレベルは、少なくとも10%増加する。
【0019】
或いは、相対発現レベルを測定する場合、一実施形態では、
第1のタンパク質のレベル、並びに
第2のタンパク質のレベル及び/又は少なくとも1つの他のタンパク質のレベル
の平均値は、少なくとも10%増加する。
【0020】
用いられる治療剤は、抗I型インターフェロン抗体又は抗I型インターフェロン受容体抗体であり得る。一実施形態では、治療剤は、抗I型インターフェロン受容体抗体である。好ましくは、抗I型インターフェロン受容体抗体は、アニフロルマブである。別の実施形態では、治療剤は、抗I型インターフェロン抗体である。好ましくは、抗I型インターフェロン受容体抗体は、シファルミマブ(sifalumimab)である。
【0021】
本発明により対処される対象は、典型的には、全身性エリテマトーデス、円板状ループス、ループス腎炎、皮膚筋炎、多発性筋炎、乾癬、SSc、血管炎、サルコイドーシス、シェーグレン症候群、及び特発性炎症性筋炎から選択されるI型インターフェロン媒介性疾患又は障害の治療を必要とする。好ましくは、対象は、全身性エリテマトーデスの治療を必要とする。
【0022】
本発明の方法の出力(例えば、結果)を可読媒体に記録する方法もまた、提供される。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下の略語が本明細書において使用される:
DM=皮膚筋炎
HD=健常ドナー
IBM=封入体筋炎
IFN=インターフェロン
IFNGS=インターフェロン遺伝子シグネチャー
IFNPS=インターフェロンタンパク質シグネチャー
LLOQ=定量下限
PM=多発性筋炎
QC=品質管理
RBM=ルール・ベースド・メディスン(rules based medicine)
RFU=相対蛍光単位
SLE=全身性エリテマトーデス
SLEDAI=SLE全般疾患活動性指数
SOMAmer=遅いオフレートの修飾アプタマー
SSc=全身性硬化症
WBC=白血球
【0024】
本発明者らは、全体的なI型IFN活性を検出/モニタリングするためのツールとして、(例えば、SLE罹患組織から)血流に侵入し得る循環タンパク質の測定について試験した。
【0025】
歴史的に、患者血清中の抗DNA自己抗体の存在により、SLEにおける循環タンパク質の評価のためのSOMAmerの有効利用が妨げられていた。しかしながら、本発明者らは、これらの自己抗体を軽減するようにプロトコルを適合させ、QC合格率が100%である高い再現性及び精度を報告し、これまで検証された複数分析物プラットフォームの結果との相関性を向上させた。本発明者らは、Yao et al.(2009)によって同定されたIFNα/β21-遺伝子シグネチャー(IFNGS)と共にSOMAmerを使用して、IFNGSスコアに近似し得るI型IFNタンパク質シグネチャーを得た。このI型IFNタンパク質シグネチャーは、I型IFN活性を評価するための全く新しいアプローチを表す。
【0026】
したがって、本発明は、対象における疾患又は障害の進行を同定、診断、治療、及びモニタリング又は予測する方法に関する。対象には、I型IFN媒介性疾患、障害又は状態を有する任意の動物が含まれる。対象には、自己免疫疾患又は障害又は状態を有する任意の動物が含まれる。対象には、ヒト、マウス、ラット、ウマ、ブタ、ネコ、イヌ、及び調査に使用される任意の動物が含まれる。
【0027】
本発明は更に、候補治療剤を同定する方法に関する。
【0028】
I型IFNPSを形成するタンパク質の同定及び測定
本発明のI型IFNタンパク質シグネチャー(IFNPS)は、I型インターフェロンによって誘導可能な遺伝子発現を有し且つI型インターフェロン遺伝子シグネチャーに対して0.3超のピアソン相関係数を示す、タンパク質を含む。I型IFNGSは、Yao et al(2009)によって同定されたIFNα/β21-遺伝子シグネチャー(IFNGS)を含み得る。ピアソン相関において使用される循環タンパク質は、実施例1に記載されているように、Somalogic測定によって同定され得る。
【0029】
典型的には、ピアソン相関係数は、0.1超、又は0.15超である。一実施形態では、ピアソン相関係数は、0.2超、又は0.25超である。一実施形態では、ピアソン相関係数は、0.3超、又は0.35超である。別の実施形態では、ピアソン相関係数は、0.4超、又は0.45超である。別の実施形態では、ピアソン相関係数は、0.5超、又は0.6超である。好ましい実施形態では、ピアソン相関係数は、0.7超である。
【0030】
本発明によれば、I型IFNPSは、典型的には、EPHB2、並びにALCAM、アンギオポエチン-2(ANG-2)、AREG、C1q、AXL受容体チロシンキナーゼ(AXL)、B細胞活性化因子(BAFF)、B7-H1、ベータ-2-ミクログロブリン(B2M)、sCD163、CLM6、BLC、CD5L、ST4S6、SCGF-アルファ、CO8A1、マクロファージコロニー刺激因子1(M-CSF)、M-CSF R、カテプシンS、可溶性CXCL16、DLL1、DERM、単球走化性タンパク質4(MCP-4)、TIMD3、EMR2、細胞間接着分子1(ICAM-1)、IL-13 Ra1、インターロイキン-18(IL-18)、bFGF、IL-18 BPa、MIP-3b、MCP-1、VEGF sR3、TCCR、PHI、IGFBP-4、IL-3 Ra、LAG-3、インターロイキン-1受容体アンタゴニスト(IL-1Ra)、JAG1、KYNU、マクロファージ炎症性タンパク質3ベータ(MIP-3ベータ)、LG3BP、ILT-4、MCP-3、フラクタルカイン/CX3CL-1、インターフェロンガンマ誘導タンパク質10(IP-10)、MAPK14、単球走化性タンパク質2(MCP-2)、インターフェロン誘導性T細胞アルファ走化性因子(ITAC)、ガンマインターフェロン誘導モノカイン(MIG)、MMP-14、マトリックスメタロプロテイナーゼ-7(MMP-7)、NAGK、Notch-3、LDH-H 1、グルココルチコイド受容体、PDGF-CC、PLPP、NADPH-P450オキシドレダクターゼ、SAA、a1-アンチトリプシン、PARK7、シアロアドヘシン、シグレック-7、SLAF7、オステオポンチン、PD-L2、BGH3、TGF-b R III、TNF-a、CD30、テネイシン、腫瘍壊死因子受容体2(TNFR2)、TS、及びSCGF-ベータのうちの1つ以上からなるか、又はこれらを含む。
【0031】
一実施形態では、I型IFNPSは、典型的には、EPHB2、並びにインターフェロン誘導性ケモカイン、樹状細胞/T細胞活性化マーカー、又はB細胞生存/分化マーカーのうちの1つ以上からなるか、又はこれらを含む。一実施形態では、I型IFNPSは、典型的には、EPHB2、並びに更なる炎症/組織損傷及び修復マーカーからなるか、又はこれらを含む。
【0032】
一実施形態では、I型IFNPSは、典型的には、EPHB2、並びにB細胞活性化因子(BAFF)、BLC、DLL1、及びSLAF7からなる群から選択されるB細胞生存/分化マーカーからなるか、又はこれらを含む。
【0033】
一実施形態では、I型IFNPSは、典型的には、EPHB2及びBLCからなるか、又はこれらを含む。
【0034】
一実施形態では、I型IFNPSは、典型的には、EPHB2、並びにAXL受容体チロシンキナーゼ(AXL)、B7-H1、ベータ-2-ミクログロブリン(B2M)、SCGF-アルファ、TIMD3、細胞間接着分子1(ICAM-1)、IL-13 Ra1、インターロイキン-18(IL-18)、IL-18 BPa、TCCR、IL-3 Ra、LAG-3、LDH-H 1、グルココルチコイド受容体、PARK7、PD-L2、TGF-b R III、TNF-a、CD30及びSCGF-ベータからなる群から選択される樹状細胞/T細胞活性化マーカーからなるか、又はこれらを含む。
【0035】
一実施形態では、I型IFNPSは、典型的には、EPHB2及びLAG-3からなるか、又はこれらを含む。
【0036】
一実施形態では、I型IFNPSは、典型的には、EPHB2、並びに単球走化性タンパク質4(MCP-4)、MIP-3b、MCP-1、マクロファージ炎症性タンパク質3ベータ(MIP-3ベータ)、MCP-3、フラクタルカイン/CX3CL-1、インターフェロンガンマ誘導タンパク質10(IP-10)、単球走化性タンパク質2(MCP-2)、インターフェロン誘導性T細胞アルファ走化性因子(ITAC)、及びガンマインターフェロン誘導モノカイン(MIG)からなる群から選択されるインターフェロン誘導性ケモカインからなるか、又はこれらを含む。
【0037】
一実施形態では、I型IFNPSは、典型的には、EPHB2及びIP-10からなるか、又はこれらを含む。
【0038】
一実施形態では、I型IFNPSは、典型的には、EPHB2、並びにALCAM、アンジオポエチン-2(ANG-2)、AREG、C1q、sCD163、CLM6、CD5L、ST4S6、CO8A1、マクロファージコロニー刺激因子1(M-CSF)、M-CSF R、カテプシンS、可溶性CXCL16、DERM、EMR2、bFGF、VEGF sR3、PHI、IGFBP-4、インターロイキン-1受容体アンタゴニスト(IL-1Ra)、JAG1、KYNU、LG3BP、ILT-4、MAPK14、MMP-14、マトリックスメタロプロテイナーゼ-7(MMP-7)、NAGK、Notch-3、PDGF-CC、PLPP、NADPH-P450オキシドレダクターゼ、SAA、a1-アンチトリプシン、シアロアドヘシン、シグレック-7、オステオポンチン、BGH3、テネイシン、腫瘍壊死因子受容体2(TNFR2)、及びTSからなる群から選択される更なる炎症/組織損傷及び修復マーカーからなるか、又はこれらを含む。
【0039】
一実施形態では、I型IFNPSは、EPHB2、並びにBLC、LAG-3及びIP-10のうちの1つ以上からなるか、又はこれらを含む。
【0040】
一実施形態では、I型IFNPSは、EPHB2、BLC、LAG-3及びIP-10からなるか、又はこれらを含む。
【0041】
本明細書全体を通して、タンパク質(例えば、第1のタンパク質、第2のタンパク質及び少なくとも1つの他のタンパク質)への言及は、構造的に相同なタンパク質、例えば、天然に存在するアイソフォーム又は種又は対立遺伝子変異体、及び機能的等価物を包含する。
【0042】
I型IFNタンパク質シグネチャーのアップレギュレーション又はダウンレギュレーション
本発明は、I型IFN活性(例えば、タンパク質のレベル)を検出又は同定する方法を提供する。本発明のこれらの方法は、SOMAmer(遅いオフレートの修飾アプタマー)を使用して、試料中の目的循環タンパク質(即ち、I型IFNPSに含まれるタンパク質)のレベルを測定することができる。SOMAmerは、アミノ酸側鎖を模倣する官能基で修飾された、個々の分子標的に結合する能力に関してライブラリーからインビトロで選択された短い一本鎖デオキシオリゴヌクレオチドである。これらの修飾体は、主にSOMAmer試薬自体内に形成された新たな二次及び三次構造の結果として、より広い範囲の標的分子上のより多くのエピトープと相互作用することができる。更に、SOMAmerは、それらの標的との解離速度が低い(オフレートが遅い)。SOMAmerは、より多様なタンパク質に対してより高い親和性及び特異性を有し得、ヌクレアーゼ分解を比較的受けにくい。
【0043】
対象は、I型IFNPSプロファイルを有し得る。I型IFNPSプロファイルは、強力なプロファイル、中等度のプロファイル、又は弱いプロファイルであり得る。I型IFNPSプロファイルは、対照試料又は対照対象に対する、対象の誘導可能なI型IFNPSプロファイルの倍率調節不全(fold dysregulation)(例えば、対象におけるアップレギュレートされたI型IFNPSの発現の倍率増加)を判定し、対象の倍率調節不全とI型IFNPSプロファイルを有する他の対象の倍率調節不全とを比較することにより、強力であるか、中等度であるか、又は弱いと容易に示すことができる。
【0044】
I型IFNPSプロファイルに含まれるタンパク質の群のアップレギュレーション又はダウンレギュレーション(例えば、レベルの増加)は、当該分野で周知の方法によって算出することができる。対象のシグネチャープロファイルにおけるI型IFNPSのアップレギュレーション又はダウンレギュレーションは、対照由来の試料(対象の疾患組織ではない試料(例えば、乾癬対象の非病変皮膚)由来、若しくはI型インターフェロン媒介性疾患若しくは障害を有さないヒト由来であり得る)のアップレギュレーション若しくはダウンレギュレーションに対する任意の程度であり得るか、又は疾患によって発現が変化しない対象由来のタンパク質(制御タンパク質)のアップレギュレーション若しくはダウンレギュレーションに対するものであり得る。
【0045】
アップレギュレーション又はダウンレギュレーションの程度は、対照又は対照試料のアップレギュレーション又はダウンレギュレーションの少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも125%、少なくとも150%、又は少なくとも200%、又は少なくとも300%、又は少なくとも400%、又は少なくとも500%以上であり得る。
【0046】
I型IFNPSプロファイルは、タンパク質シグネチャープロファイルに含まれるタンパク質のセットの発現レベルの平均倍率増加として算出することができる。タンパク質のセットの発現レベルの平均倍率増加は、少なくとも約2~少なくとも約15、少なくとも約2~少なくとも約10、又は少なくとも約2~少なくとも約5であり得る。遺伝子のセットの発現レベルの平均倍率増加は、少なくとも約2、少なくとも約2.5、少なくとも約3、少なくとも約3.5、少なくとも約4、少なくとも約4.5、少なくとも約5、少なくとも約5.5、少なくとも約6、少なくとも約6.5、少なくとも約7、少なくとも約8、少なくとも約9、又は少なくとも約10であり得る。
【0047】
発現レベルの増加の程度により、自己免疫疾患に罹患しているシグネチャー陽性及びシグネチャー陰性対象を同定するための倍率変化カットオフの同定が可能になる。一実施形態では、カットオフは、少なくとも約2である。別の実施形態では、カットオフは、少なくとも約2.5である。別の実施形態では、カットオフは、少なくとも約3である。別の実施形態では、カットオフは、少なくとも約3.5である。別の実施形態では、カットオフは、少なくとも約4である。別の実施形態では、カットオフは、少なくとも約4.5である。別の実施形態では、カットオフは、少なくとも3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、及び4.5から選択される。別の実施形態では、カットオフは、約2~約8である。一実施形態では、カットオフは、EPHB2、並びにBLC、LAG-3及びIP-10のうちの少なくとも1つの増加した発現レベルの平均値である。別の実施形態では、カットオフは、EPHB2、並びにBLC、LAG-3及びIP-10のうちの少なくとも1つの増加した発現レベルの中央値である。
【0048】
更に、対象は、I型IFNサブタイプを、対照の少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも125%、少なくとも150%、又は少なくとも200%、又は少なくとも300%、又は少なくとも400%、又は少なくとも500%、過剰発現し得るか、又はそれを過剰発現する組織を有し得る。I型IFNサブタイプは、IFNα1、IFNα2、IFNα4、IFNα5、IFNα6、IFNα7、IFNα8、IFNα10、IFNα14、IFNαl7、IFNα21、IFNβ、又はIFNωのいずれかであり得る。I型IFNサブタイプは、IFNαl、IFNα2、IFNα8、及びIFNαl4の全てを含み得る。
【0049】
一実施形態では、(i)第1のタンパク質、及び(ii)第2のタンパク質又は少なくとも1つの他のタンパク質のうちの少なくとも1つのレベルは、
a)I型インターフェロン媒介性疾患若しくは障害を有さない組織若しくはヒト由来の試料中の、第1のタンパク質のレベル、若しくは第2のタンパク質若しくは少なくとも1つの他のタンパク質のレベルのそれぞれ、又は
b)対象の試料中の1つ以上の対照タンパク質のレベル
に対して0.5超であるSLE対健常ドナー(HD)の曲線下面積(AUC)を有する。
【0050】
実施形態では、AUCは0.6超である。実施形態では、AUCは0.7超である。実施形態では、AUCは0.8超である。実施形態では、AUCは0.9超である。実施形態では、AUCは0.95超である。実施形態では、AUCは0.975超である。実施形態では、AUCは0.99超である。実施形態では、AUCは1である。
【0051】
一実施形態では、(i)第1のタンパク質、及び(ii)第2のタンパク質又は少なくとも1つの他のタンパク質のうちの少なくとも1つのレベルは、
a)I型インターフェロン媒介性疾患若しくは障害を有さない組織若しくはヒト由来の試料中の、第1のタンパク質のレベル、若しくは第2のタンパク質若しくは少なくとも1つの他のタンパク質のレベルのそれぞれ、又は
b)対象の試料中の1つ以上の対照タンパク質のレベル
に対する健常ドナー平均値から少なくとも1標準偏差である。
【0052】
実施形態では、レベルは、健常ドナー平均値から少なくとも2標準偏差である。実施形態では、レベルは、健常ドナー平均値から少なくとも2標準偏差である。
【0053】
一実施形態では、アップレギュレーション又はダウンレギュレーション(例えば、レベルの増加)は、少なくとも2つのタンパク質の群のタンパク質シグネチャー発現レベルの平均倍率変化として算出され、第1のタンパク質は、EPHB2であり、第2のタンパク質は、I型インターフェロンによって誘導可能な遺伝子発現を有し、且つI型インターフェロン遺伝子シグネチャーに対して0.3超のピアソン相関係数を示す(例えば、実施例5を参照されたい)。タンパク質の群のアップレギュレーション又はダウンレギュレーション(例えば、レベルの増加)は、
a)I型インターフェロン媒介性疾患若しくは障害を有さない組織若しくはヒト由来の試料中の、第1のタンパク質のレベル及び第2のタンパク質のレベルのそれぞれ、又は
b)対象の試料中の1つ以上の対照タンパク質のレベル
に対して測定される。
【0054】
実施形態では、第1のタンパク質のレベル、及び第2のタンパク質のレベル、及び/又は少なくとも1つの他のタンパク質のレベルの平均値は、
a)I型インターフェロン媒介性疾患若しくは障害を有さない組織若しくはヒト由来の試料中の、第1のタンパク質のレベル及び第2のタンパク質のレベルのそれぞれの平均値、又は
b)対象の試料中の1つ以上の対照タンパク質のレベル
に対して少なくともY%増加する。
【0055】
実施形態では、Yは10である。実施形態では、Yは15である。実施形態では、Yは20である。実施形態では、Yは25である。実施形態では、Yは30である。実施形態では、Yは40である。実施形態では、Yは50である。実施形態では、Yは60である。実施形態では、Yは70である。実施形態では、Yは80である。実施形態では、Yは90である。実施形態では、Yは100である。実施形態では、Yは125である。実施形態では、Yは150である。実施形態では、Yは200である。実施形態では、Yは300である。実施形態では、Yは400である。実施形態では、Yは500である。好ましくは、Yは10である。より好ましくは、Yは50である。
【0056】
タンパク質レベルを検出するための方法は、酵素結合免疫吸着アッセイ、ウエスタンブロッティング、タンパク質アレイ、及び銀染色などの免疫に基づくアッセイを含む。
【0057】
タンパク質レベルのアップレギュレーション又はダウンレギュレーションは、検出可能なリン酸化活性、脱リン酸化活性、又は切断活性を含むがこれらに限定されない、タンパク質の活性を検出することによって判定され得る。
【0058】
試料は対象から、患者試料を有する供給元から、又は較正のために若しくは対照として使用される対照試料から得ることができる。試料が対象から得られる場合、全血、血清、唾液、尿、滑液、骨髄、脳脊髄液、鼻分泌物、痰、羊水、気管支肺胞洗浄液、末梢血単核細胞、全白血球、リンパ節細胞、脾細胞、扁桃細胞、又は皮膚などの任意の体液又は組織であってよい。試料は、当該技術分野で公知の任意の手段によって得ることができる。好ましくは、試料は、全血又は血清である。
【0059】
一実施形態では、本発明の方法において、第1のタンパク質のレベル及び第2のタンパク質又は少なくとも1つの他のタンパク質のレベルは、同じ試料中又は異なる試料中で検出され得る。一実施形態では、第1のタンパク質のレベル及び第2のタンパク質又は少なくとも1つの他のタンパク質のレベルは、同じ試料中で検出される。別の実施形態では、第1のタンパク質のレベル及び検出された第2のタンパク質又は少なくとも1つの他のタンパク質のレベルは、異なる試料中で検出される。
【0060】
対象を同定、診断、及び治療する方法
本発明は、I型インターフェロン活性を調節する(例えば、それに結合する)治療剤によるI型インターフェロン媒介性疾患又は障害の治療に適した対象を同定する方法を提供し、上記方法は、対象の試料中における第1のタンパク質のレベルの増加及び対象の試料中における第2のタンパク質のレベルの増加を検出することを含み、
第1のタンパク質は、EPHB2であり、
第2のタンパク質は、I型インターフェロンによって誘導可能な遺伝子発現を有し、且つI型インターフェロン遺伝子シグネチャーに対して0.3超のピアソン相関係数を示し、第1のタンパク質のレベルの増加及び第2のタンパク質のレベルの増加は、
a)I型インターフェロン媒介性疾患若しくは障害を有さない組織若しくはヒト由来の試料中の、第1のタンパク質のレベル及び第2のタンパク質のレベルのそれぞれ、又は
b)対象の試料中の1つ以上の対照タンパク質のレベル
に対するものである。
【0061】
本発明は、I型インターフェロン活性を調節する(例えば、それに結合する)治療剤によるI型インターフェロン媒介性疾患又は障害の治療に適した対象を同定する方法を提供し、上記方法は、対象の試料中における第1のタンパク質のレベルの増加及び対象の試料中における第2のタンパク質のレベルの増加を検出することを含み、
第1のタンパク質は、EPHB2であり、
第2のタンパク質は、ALCAM、アンギオポエチン-2(ANG-2)、AREG、C1q、AXL受容体チロシンキナーゼ(AXL)、B細胞活性化因子(BAFF)、B7-H1、ベータ-2-ミクログロブリン(B2M)、sCD163、CLM6、BLC、CD5L、ST4S6、SCGF-アルファ、CO8A1、マクロファージコロニー刺激因子1(M-CSF)、M-CSF R、カテプシンS、可溶性CXCL16、DLL1、DERM、EPHB2、単球走化性タンパク質4(MCP-4)、TIMD3、EMR2、細胞間接着分子1(ICAM-1)、IL-13 Ra1、インターロイキン-18(IL-18)、bFGF、IL-18 BPa、MIP-3b、MCP-1、VEGF sR3、TCCR、PHI、IGFBP-4、IL-3 Ra、LAG-3、インターロイキン-1受容体アンタゴニスト(IL-1Ra)、JAG1、KYNU、マクロファージ炎症性タンパク質3ベータ(MIP-3ベータ)、LG3BP、ILT-4、MCP-3、フラクタルカイン/CX3CL-1、インターフェロンガンマ誘導タンパク質10(IP-10)、MAPK14、単球走化性タンパク質2(MCP-2)、インターフェロン誘導性T細胞アルファ走化性因子(ITAC)、ガンマインターフェロン誘導モノカイン(MIG)、MMP-14、マトリックスメタロプロテイナーゼ-7(MMP-7)、NAGK、Notch-3、LDH-H 1、グルココルチコイド受容体、PDGF-CC、PLPP、NADPH-P450オキシドレダクターゼ、SAA、a1-アンチトリプシン、PARK7、シアロアドヘシン、シグレック-7、SLAF7、オステオポンチン、PD-L2、BGH3、TGF-b R III、TNF-a、CD30、テネイシン、腫瘍壊死因子受容体2(TNFR2)、TS、及びSCGF-ベータから選択され、第1のタンパク質のレベルの増加及び第2のタンパク質のレベルの増加は、
a)I型インターフェロン媒介性疾患若しくは障害を有さない組織若しくはヒト由来の試料中の、第1のタンパク質のレベル及び第2のタンパク質のレベルのそれぞれ、又は
b)対象の試料中の1つ以上の対照タンパク質のレベル
に対するものである。
【0062】
本発明はまた、I型インターフェロン活性を調節する(例えば、それに結合する)治療剤によるI型インターフェロン媒介性疾患又は障害の治療に適した対象を同定する方法を提供し、この方法は、
i)対象の試料中における第1のタンパク質のレベルの増加及び対象の試料中における第2のタンパク質のレベルの増加を検出することであって、第1のタンパク質は、EPHB2であり、第2のタンパク質は、I型インターフェロンによって誘導可能な遺伝子発現を有し、且つI型インターフェロン遺伝子シグネチャーに対して0.3超のピアソン相関係数を示し、第1のタンパク質のレベルの増加及び第2のタンパク質のレベルの増加は、
a)I型インターフェロン媒介性疾患若しくは障害を有さない組織若しくはヒト由来の試料中の、第1のタンパク質のレベル及び第2のタンパク質のレベルのそれぞれ、又は
b)対象の試料中の1つ以上の対照タンパク質のレベル
に対するものである、検出すること;並びに
ii)治療剤を投与することを含む。
【0063】
本発明は、I型インターフェロン活性を調節する(例えば、それに結合する)治療剤によるI型インターフェロン媒介性疾患又は障害の治療に適した対象を同定する方法を提供し、この方法は、
i)対象の試料中における第1のタンパク質のレベルの増加及び対象の試料中における第2のタンパク質のレベルの増加を検出することであって、第1のタンパク質は、EPHB2であり、第2のタンパク質は、ALCAM、アンギオポエチン-2(ANG-2)、AREG、C1q、AXL受容体チロシンキナーゼ(AXL)、B細胞活性化因子(BAFF)、B7-H1、ベータ-2-ミクログロブリン(B2M)、sCD163、CLM6、BLC、CD5L、ST4S6、SCGF-アルファ、CO8A1、マクロファージコロニー刺激因子1(M-CSF)、M-CSF R、カテプシンS、可溶性CXCL16、DLL1、DERM、EPHB2、単球走化性タンパク質4(MCP-4)、TIMD3、EMR2、細胞間接着分子1(ICAM-1)、IL-13 Ra1、インターロイキン-18(IL-18)、bFGF、IL-18 BPa、MIP-3b、MCP-1、VEGF sR3、TCCR、PHI、IGFBP-4、IL-3 Ra、LAG-3、インターロイキン-1受容体アンタゴニスト(IL-1Ra)、JAG1、KYNU、マクロファージ炎症性タンパク質3ベータ(MIP-3ベータ)、LG3BP、ILT-4、MCP-3、フラクタルカイン/CX3CL-1、インターフェロンガンマ誘導タンパク質10(IP-10)、MAPK14、単球走化性タンパク質2(MCP-2)、インターフェロン誘導性T細胞アルファ走化性因子(ITAC)、ガンマインターフェロン誘導モノカイン(MIG)、MMP-14、マトリックスメタロプロテイナーゼ-7(MMP-7)、NAGK、Notch-3、LDH-H 1、グルココルチコイド受容体、PDGF-CC、PLPP、NADPH-P450オキシドレダクターゼ、SAA、a1-アンチトリプシン、PARK7、シアロアドヘシン、シグレック-7、SLAF7、オステオポンチン、PD-L2、BGH3、TGF-b R III、TNF-a、CD30、テネイシン、腫瘍壊死因子受容体2(TNFR2)、TS、及びSCGF-ベータから選択され、第1のタンパク質のレベルの増加及び第2のタンパク質のレベルの増加は、
a)I型インターフェロン媒介性疾患若しくは障害を有さない組織若しくはヒト由来の試料中の、第1のタンパク質のレベル及び第2のタンパク質のレベルのそれぞれ、又は
b)対象の試料中の1つ以上の対照タンパク質のレベル
に対するものである、検出すること;並びに
ii)治療剤を投与することを含む。
【0064】
本発明は更に、対象におけるI型インターフェロン媒介性疾患又は障害の治療における使用のためのI型インターフェロン活性を調節する(例えば、それに結合する)抗I型インターフェロン抗体又は抗I型インターフェロン受容体抗体を提供し、ここで、対象は、対象の試料中における第1のタンパク質のレベルの増加及び対象の試料中における第2のタンパク質のレベルの増加を検出することによって同定されており、
第1のタンパク質は、EPHB2であり、
第2のタンパク質は、I型インターフェロンによって誘導可能な遺伝子発現を有し、且つI型インターフェロン遺伝子シグネチャーに対して0.3超のピアソン相関係数を示し、第1のタンパク質のレベルの増加及び第2のタンパク質のレベルの増加は、
a)I型インターフェロン媒介性疾患若しくは障害を有さない組織若しくはヒト由来の試料中の、第1のタンパク質のレベル及び第2のタンパク質のレベルのそれぞれ、又は
b)対象の試料中の1つ以上の対照タンパク質のレベル
に対するものである。
【0065】
本発明は、対象におけるI型インターフェロン媒介性疾患又は障害の治療における使用のためのI型インターフェロン活性を調節する(例えば、それに結合する)抗I型インターフェロン抗体又は抗I型インターフェロン受容体抗体を提供し、ここで、対象は、対象の試料中における第1のタンパク質のレベルの増加及び対象の試料中における第2のタンパク質のレベルの増加を検出することによって同定されており、
第1のタンパク質は、EPHB2であり、
第2のタンパク質は、ALCAM、アンギオポエチン-2(ANG-2)、AREG、C1q、AXL受容体チロシンキナーゼ(AXL)、B細胞活性化因子(BAFF)、B7-H1、ベータ-2-ミクログロブリン(B2M)、sCD163、CLM6、BLC、CD5L、ST4S6、SCGF-アルファ、CO8A1、マクロファージコロニー刺激因子1(M-CSF)、M-CSF R、カテプシンS、可溶性CXCL16、DLL1、DERM、EPHB2、単球走化性タンパク質4(MCP-4)、TIMD3、EMR2、細胞間接着分子1(ICAM-1)、IL-13 Ra1、インターロイキン-18(IL-18)、bFGF、IL-18 BPa、MIP-3b、MCP-1、VEGF sR3、TCCR、PHI、IGFBP-4、IL-3 Ra、LAG-3、インターロイキン-1受容体アンタゴニスト(IL-1Ra)、JAG1、KYNU、マクロファージ炎症性タンパク質3ベータ(MIP-3ベータ)、LG3BP、ILT-4、MCP-3、フラクタルカイン/CX3CL-1、インターフェロンガンマ誘導タンパク質10(IP-10)、MAPK14、単球走化性タンパク質2(MCP-2)、インターフェロン誘導性T細胞アルファ走化性因子(ITAC)、ガンマインターフェロン誘導モノカイン(MIG)、MMP-14、マトリックスメタロプロテイナーゼ-7(MMP-7)、NAGK、Notch-3、LDH-H 1、グルココルチコイド受容体、PDGF-CC、PLPP、NADPH-P450オキシドレダクターゼ、SAA、a1-アンチトリプシン、PARK7、シアロアドヘシン、シグレック-7、SLAF7、オステオポンチン、PD-L2、BGH3、TGF-b R III、TNF-a、CD30、テネイシン、腫瘍壊死因子受容体2(TNFR2)、TS、及びSCGF-ベータから選択され、第1のタンパク質のレベルの増加及び第2のタンパク質のレベルの増加は、
a)I型インターフェロン媒介性疾患若しくは障害を有さない組織若しくはヒト由来の試料中の、第1のタンパク質のレベル及び第2のタンパク質のレベルのそれぞれ、又は
b)対象の試料中の1つ以上の対照タンパク質のレベル
に対するものである。
【0066】
本発明はまた、対象におけるI型インターフェロン媒介性疾患又は障害を治療する方法を提供し、この方法は、I型インターフェロン活性を調節する(例えば、それに結合する)抗I型インターフェロン抗体又は抗I型インターフェロン受容体抗体を投与することを含み、ここで、対象は、対象の試料中における第1のタンパク質のレベルの増加及び対象の試料中における第2のタンパク質のレベルの増加を検出することによって同定されており、
第1のタンパク質は、EPHB2であり、
第2のタンパク質は、I型インターフェロンによって誘導可能な遺伝子発現を有し、且つI型インターフェロン遺伝子シグネチャーに対して0.3超のピアソン相関係数を示し、
第1のタンパク質のレベルの増加及び第2のタンパク質のレベルの増加は、
a)I型インターフェロン媒介性疾患若しくは障害を有さない組織若しくはヒト由来の試料中の、第1のタンパク質のレベル及び第2のタンパク質のレベルのそれぞれ、又は
b)対象の試料中の1つ以上の対照タンパク質のレベル
に対するものである。
【0067】
本発明は、対象におけるI型インターフェロン媒介性疾患又は障害を治療する方法を提供し、この方法は、I型インターフェロン活性を調節する(例えば、それに結合する)抗I型インターフェロン抗体又は抗I型インターフェロン受容体抗体を投与することを含み、ここで、対象は、対象の試料中における第1のタンパク質のレベルの増加及び対象の試料中における第2のタンパク質のレベルの増加を検出することによって同定されており、
第1のタンパク質は、EPHB2であり、
第2のタンパク質は、ALCAM、アンギオポエチン-2(ANG-2)、AREG、C1q、AXL受容体チロシンキナーゼ(AXL)、B細胞活性化因子(BAFF)、B7-H1、ベータ-2-ミクログロブリン(B2M)、sCD163、CLM6、BLC、CD5L、ST4S6、SCGF-アルファ、CO8A1、マクロファージコロニー刺激因子1(M-CSF)、M-CSF R、カテプシンS、可溶性CXCL16、DLL1、DERM、EPHB2、単球走化性タンパク質4(MCP-4)、TIMD3、EMR2、細胞間接着分子1(ICAM-1)、IL-13 Ra1、インターロイキン-18(IL-18)、bFGF、IL-18 BPa、MIP-3b、MCP-1、VEGF sR3、TCCR、PHI、IGFBP-4、IL-3 Ra、LAG-3、インターロイキン-1受容体アンタゴニスト(IL-1Ra)、JAG1、KYNU、マクロファージ炎症性タンパク質3ベータ(MIP-3ベータ)、LG3BP、ILT-4、MCP-3、フラクタルカイン/CX3CL-1、インターフェロンガンマ誘導タンパク質10(IP-10)、MAPK14、単球走化性タンパク質2(MCP-2)、インターフェロン誘導性T細胞アルファ走化性因子(ITAC)、ガンマインターフェロン誘導モノカイン(MIG)、MMP-14、マトリックスメタロプロテイナーゼ-7(MMP-7)、NAGK、Notch-3、LDH-H 1、グルココルチコイド受容体、PDGF-CC、PLPP、NADPH-P450オキシドレダクターゼ、SAA、a1-アンチトリプシン、PARK7、シアロアドヘシン、シグレック-7、SLAF7、オステオポンチン、PD-L2、BGH3、TGF-b R III、TNF-a、CD30、テネイシン、腫瘍壊死因子受容体2(TNFR2)、TS、及びSCGF-ベータから選択され、
第1のタンパク質のレベルの増加及び第2のタンパク質のレベルの増加は、
a)I型インターフェロン媒介性疾患若しくは障害を有さない組織若しくはヒト由来の試料中の、第1のタンパク質のレベル及び第2のタンパク質のレベルのそれぞれ、又は
b)対象の試料中の1つ以上の対照タンパク質のレベル
に対するものである。
【0068】
疾患又は障害の進行をモニタリング又は予測する方法
対象は、本発明により包含される方法によって、I型IFN媒介性疾患又は障害の進行についてモニタリングされ得る。特に、本発明は、対象におけるI型インターフェロン媒介性疾患又は障害の進行をモニタリング又は予測する方法を提供し、この方法は、
i)対象の初期試料における第1のタンパク質の発現レベル及び対象の初期試料における少なくとも1つの他のタンパク質の発現レベルを同定すること;並びに
ii)対象の更なる試料(例えば、初期試料に対して適時に続けて採取される)における第1のタンパク質の発現レベル及び対象の更なる試料における少なくとも1つの他のタンパク質の発現レベルを同定することであって;
対象の初期試料に対する、更なる試料における第1のタンパク質の発現レベルの増加及び少なくとも1つの他のタンパク質の発現レベルの増加が疾患進行を予測するか;又は
対象の初期試料に対する、更なる試料における第1のタンパク質の発現レベルの低下及び少なくとも1つの他のタンパク質の発現レベルの低下が疾患後退を予測する、同定することを含み;
第1のタンパク質は、EPHB2であり;
少なくとも1つの他のタンパク質は、I型インターフェロンによって誘導可能な遺伝子発現を有し、且つI型インターフェロン遺伝子シグネチャーに対して0.3超のピアソン相関係数を示す。
【0069】
本発明は、対象におけるI型インターフェロン媒介性疾患又は障害の進行をモニタリング又は予測する方法を提供し、この方法は、
i)対象の初期試料における第1のタンパク質の発現レベル及び対象の初期試料における少なくとも1つの他のタンパク質の発現レベルを同定すること;並びに
ii)対象の更なる試料(例えば、初期試料に対して適時に続けて採取される)における第1のタンパク質の発現レベル及び対象の更なる試料における少なくとも1つの他のタンパク質の発現レベルを同定することであって;
対象の初期試料に対する、更なる試料における第1のタンパク質の発現レベルの増加及び少なくとも1つの他のタンパク質の発現レベルの増加が疾患進行を予測するか;又は
対象の初期試料に対する、更なる試料における第1のタンパク質の発現レベルの低下及び少なくとも1つの他のタンパク質の発現レベルの低下が疾患後退を予測する、同定することを含み;
第1のタンパク質は、EPHB2であり;
少なくとも1つの他のタンパク質は、ALCAM、アンギオポエチン-2(ANG-2)、AREG、C1q、AXL受容体チロシンキナーゼ(AXL)、B細胞活性化因子(BAFF)、B7-H1、ベータ-2-ミクログロブリン(B2M)、sCD163、CLM6、BLC、CD5L、ST4S6、SCGF-アルファ、CO8A1、マクロファージコロニー刺激因子1(M-CSF)、M-CSF R、カテプシンS、可溶性CXCL16、DLL1、DERM、EPHB2、単球走化性タンパク質4(MCP-4)、TIMD3、EMR2、細胞間接着分子1(ICAM-1)、IL-13 Ra1、インターロイキン-18(IL-18)、bFGF、IL-18 BPa、MIP-3b、MCP-1、VEGF sR3、TCCR、PHI、IGFBP-4、IL-3 Ra、LAG-3、インターロイキン-1受容体アンタゴニスト(IL-1Ra)、JAG1、KYNU、マクロファージ炎症性タンパク質3ベータ(MIP-3ベータ)、LG3BP、ILT-4、MCP-3、フラクタルカイン/CX3CL-1、インターフェロンガンマ誘導タンパク質10(IP-10)、MAPK14、単球走化性タンパク質2(MCP-2)、インターフェロン誘導性T細胞アルファ走化性因子(ITAC)、ガンマインターフェロン誘導モノカイン(MIG)、MMP-14、マトリックスメタロプロテイナーゼ-7(MMP-7)、NAGK、Notch-3、LDH-H 1、グルココルチコイド受容体、PDGF-CC、PLPP、NADPH-P450オキシドレダクターゼ、SAA、a1-アンチトリプシン、PARK7、シアロアドヘシン、シグレック-7、SLAF7、オステオポンチン、PD-L2、BGH3、TGF-b R III、TNF-a、CD30、テネイシン、腫瘍壊死因子受容体2(TNFR2)、TS、及びSCGF-ベータから選択される。
【0070】
本発明は更に、I型インターフェロン活性を調節する(例えば、それに結合する)治療剤による治療を受けている対象のI型インターフェロン媒介性疾患又は障害の進行をモニタリングする方法を提供し、この方法は、
i)対象の初期試料における第1のタンパク質の発現レベル及び対象の初期試料における少なくとも1つの他のタンパク質の発現レベルを同定すること;
ii)対象の更なる試料(例えば、初期試料に対して適時に続けて採取される)における第1のタンパク質の発現レベル及び対象の更なる試料における少なくとも1つの他のタンパク質の発現レベルを同定すること;
iii)I型インターフェロン活性を調節する治療剤を対象に投与することであって、治療剤がステップi)の前に、又はステップi)とステップii)との間に投与される、投与すること;並びに
iv)対象の初期試料における第1のタンパク質及び少なくとも1つの他のタンパク質の発現レベルを、対象の更なる試料における第1のタンパク質及び少なくとも1つの他のタンパク質の発現レベルとそれぞれ比較することを含み;
第1のタンパク質及び少なくとも1つの他のタンパク質の発現レベルの差異は、I型インターフェロン活性を調節する治療剤の有効性のレベルを示し;
第1のタンパク質は、EPHB2であり;
少なくとも1つの他のタンパク質は、I型インターフェロンによって誘導可能な遺伝子発現を有し、且つI型インターフェロン遺伝子シグネチャーに対して0.3超のピアソン相関係数を示す。
【0071】
本発明は、I型インターフェロン活性を調節する(例えば、それに結合する)治療剤による治療を受けている対象のI型インターフェロン媒介性疾患又は障害の進行をモニタリングする方法を提供し、この方法は、
i)対象の初期試料における第1のタンパク質の発現レベル及び対象の初期試料における少なくとも1つの他のタンパク質の発現レベルを同定すること;
ii)対象の更なる試料(例えば、初期試料に対して適時に続けて採取される)における第1のタンパク質の発現レベル及び対象の更なる試料における少なくとも1つの他のタンパク質の発現レベルを同定すること;
iii)I型インターフェロン活性を調節する治療剤を対象に投与することであって、治療剤がステップi)の前に、又はステップi)とステップii)との間に投与される、投与すること;並びに
iv)対象の初期試料における第1のタンパク質及び少なくとも1つの他のタンパク質の発現レベルを、対象の更なる試料における第1のタンパク質及び少なくとも1つの他のタンパク質の発現レベルとそれぞれ比較することを含み;
第1のタンパク質及び少なくとも1つの他のタンパク質の発現レベルの差異は、I型インターフェロン活性を調節する治療剤の有効性のレベルを示し;
第1のタンパク質は、EPHB2であり;
少なくとも1つの他のタンパク質は、ALCAM、アンギオポエチン-2(ANG-2)、AREG、C1q、AXL受容体チロシンキナーゼ(AXL)、B細胞活性化因子(BAFF)、B7-H1、ベータ-2-ミクログロブリン(B2M)、sCD163、CLM6、BLC、CD5L、ST4S6、SCGF-アルファ、CO8A1、マクロファージコロニー刺激因子1(M-CSF)、M-CSF R、カテプシンS、可溶性CXCL16、DLL1、DERM、EPHB2、単球走化性タンパク質4(MCP-4)、TIMD3、EMR2、細胞間接着分子1(ICAM-1)、IL-13 Ra1、インターロイキン-18(IL-18)、bFGF、IL-18 BPa、MIP-3b、MCP-1、VEGF sR3、TCCR、PHI、IGFBP-4、IL-3 Ra、LAG-3、インターロイキン-1受容体アンタゴニスト(IL-1Ra)、JAG1、KYNU、マクロファージ炎症性タンパク質3ベータ(MIP-3ベータ)、LG3BP、ILT-4、MCP-3、フラクタルカイン/CX3CL-1、インターフェロンガンマ誘導タンパク質10(IP-10)、MAPK14、単球走化性タンパク質2(MCP-2)、インターフェロン誘導性T細胞アルファ走化性因子(ITAC)、ガンマインターフェロン誘導モノカイン(MIG)、MMP-14、マトリックスメタロプロテイナーゼ-7(MMP-7)、NAGK、Notch-3、LDH-H 1、グルココルチコイド受容体、PDGF-CC、PLPP、NADPH-P450オキシドレダクターゼ、SAA、a1-アンチトリプシン、PARK7、シアロアドヘシン、シグレック-7、SLAF7、オステオポンチン、PD-L2、BGH3、TGF-b R III、TNF-a、CD30、テネイシン、腫瘍壊死因子受容体2(TNFR2)、TS、及びSCGF-ベータから選択される。
【0072】
対象におけるI型インターフェロン媒介性疾患又は障害の進行をモニタリング又は予測する方法において、対象由来の試料は、異なる時点で、例えば、初期試料及び更なる試料で得ることができる。任意選択で、対象由来の試料は、治療剤、例えば、I型IFN活性に結合し且つ/又はそれを調節する薬剤、又はI型IFN活性に結合するがそれを調節しない薬剤、又はI型IFN活性に結合してそれを調節する薬剤を含んでも含まなくてもよい薬剤の組み合わせの投与前及び投与後に得ることができる。I型IFNPSプロファイルは、薬剤の投与前及び投与後の試料において得られる。試料中のI型IFNPSプロファイルを比較する。
【0073】
比較は、試料中に存在するI型IFNPSのタンパク質の数であってもよく、若しくは試料中に存在するI型IFNPSのタンパク質の量であってもよく、又はこれらの任意の組み合わせであってもよい。
【0074】
I型IFNPSのアップレギュレートされたタンパク質の数若しくはレベル(又はこれらの任意の組み合わせ)が、初期試料と比較して更なる試料において増加する場合、疾患進行を予測する差異が示され得る。
【0075】
I型IFNPSのアップレギュレートされたタンパク質の数若しくはレベル(又はこれらの任意の組み合わせ)が、初期試料と比較して更なる試料において低下する場合、疾患後退を予測する差異が示され得る。
【0076】
I型IFNPSのアップレギュレートされたタンパク質の数若しくはレベル(又はこれらの任意の組み合わせ)が、治療剤の投与前に得られた試料と比較して、治療剤の投与後に得られた試料において低下する場合、治療剤の有効性を示す差異が示され得る。
【0077】
I型IFNPSのアップレギュレートされたタンパク質の数は、少なくとも1倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、又は少なくとも10倍増加又は低下し得る。I型IFNPSの任意の所与のアップレギュレートされたタンパク質のレベルは、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%低下し得る。レベルが低下したI型IFNPSのアップレギュレートされたタンパク質の数は、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、又は少なくとも4であり得る。I型IFNPSのアップレギュレートされたタンパク質の数の低下とレベルの低下のいかなる組み合わせも、有効性を示し得る。I型IFNPSのダウンレギュレートされたタンパク質の数若しくはレベル(又はこれらの任意の組み合わせ)が、治療剤の投与前に得られた試料と比較して、治療剤の投与後に得られた試料において低下する場合、治療剤の有効性を示す差異が示され得る。
【0078】
対象から得られる試料は、薬剤の初回投与の前に得ることができ、即ち、対象は薬剤に対してナイーブである。或いは、対象から得られる試料は、治療の過程において薬剤の投与後に生じ得る。例えば、薬剤は、モニタリングプロトコルの開始前に投与されていてもよい。薬剤の投与後、対象から追加の試料を得ることができ、試料中のI型IFNPSプロファイルを比較する。試料は同じ又は異なるタイプであってもよく、例えば、得られた各試料は血液試料であってもよく、又は得られた各試料は血清試料であってもよい。各試料中で検出されるI型IFNPSプロファイルは、同じであってもよく、実質的に重複していてもよく、又は類似していてもよい。
【0079】
試料は、治療剤の投与前及び投与後の任意の時点で得ることができる。治療剤の投与後に得られる試料は、治療剤の投与の少なくとも2日後、少なくとも3日後、少なくとも4日後、少なくとも5日後、少なくとも6日後、少なくとも7日後、少なくとも8日後、少なくとも9日後、少なくとも10日後、少なくとも12日後、又は少なくとも14日後に得ることができる。治療剤の投与後に得られる試料は、治療剤の投与の少なくとも2週間後、少なくとも3週間後、少なくとも4週間後、少なくとも5週間後、少なくとも6週間後、少なくとも7週間後、又は少なくとも8週間後に得ることができる。治療剤の投与後に得られる試料は、治療剤の投与の少なくとも2ヶ月後、少なくとも3ヶ月後、少なくとも4ヶ月後、少なくとも5ヶ月後、又は少なくとも6ヶ月後に得ることができる。
【0080】
追加の試料は、治療剤の投与後に対象から得ることができる。少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10個、少なくとも12個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個の試料を対象から得て、疾患又は障害の進行又は後退を経時的にモニタリングすることができる。疾患又は障害の進行は、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも7週間、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも1年間、少なくとも2年間、少なくとも3年間、少なくとも4年間、少なくとも5年間、少なくとも10年間の期間にわたって、又は対象の生涯にわたってモニタリングされ得る。追加の試料は、毎月、隔月、四半期毎、年2回、又は年1回の間隔などで、定期的に対象から得ることができる。試料は、薬剤を一定間隔で投与した後、対象から得ることができる。例えば、試料は、薬剤の各投与の1週間後、又は薬剤の各投与の2週間後、又は薬剤の各投与の3週間後、又は薬剤の各投与の1ヶ月後、又は薬剤の各投与の2ヶ月後に、対象から得ることができる。或いは、薬剤の各投与後に、対象から複数の試料を得ることができる。
【0081】
対象における疾患又は障害の進行は、薬剤の投与がない場合においても同様にモニタリングされ得る。試料は、疾患又は障害を有する対象から定期的に得ることができる。I型IFNPSのアップレギュレートされたタンパク質の数が、先に得られた試料(例えば、初期試料)と比較して、後に得られた試料(例えば、更なる試料)において増加する場合、疾患又は障害の進行が同定され得る。I型IFNPSのアップレギュレートされたタンパク質の数は、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、又は少なくとも10増加し得る。疾患又は障害の進行は、I型IFNPSの任意の所与のアップレギュレートされたタンパク質のレベルが、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%増加する場合に、同定され得る。疾患又は障害の進行は、I型IFNPSの任意の所与のダウンレギュレートされたタンパク質のレベルが、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%低下する場合に、同定され得る。レベルが増加したI型IFNPSのアップレギュレートされたタンパク質の数は、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、又は少なくとも35であり得る。レベルが低下したI型IFNPSのダウンレギュレートされたタンパク質の数は、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、又は少なくとも35であり得る。I型IFNPSのアップレギュレートされたタンパク質の数の増加とレベルの増加のいかなる組み合わせも、疾患又は障害の進行を示し得る。或いは、又は合わせて、I型IFNPSのダウンレギュレートされたタンパク質の数の低下とレベルの低下のいかなる組み合わせも、疾患又は障害の進行を示し得る。疾患又は障害の後退はまた、薬剤によって治療されない疾患又は障害を有する対象においても同定され得る。この場合、I型IFNPSのタンパク質の数が、先に得られた試料(例えば、初期試料)と比較して、後に得られた試料(例えば、更なる試料)において低下する場合、後退が同定され得る。I型IFNPSのタンパク質の数は、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、又は少なくとも10低下し得る。疾患又は障害の後退は、I型IFNPSの任意の所与のアップレギュレートされたタンパク質のレベルが、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%低下する場合に、同定され得る。疾患又は障害の後退は、I型IFNPSの任意の所与のダウンレギュレートされたタンパク質のレベルが、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%増加する場合に、同定され得る。レベルが低下したI型IFNPSのアップレギュレートされたタンパク質の数は、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、又は少なくとも35であり得る。レベルが増加したI型IFNPSのダウンレギュレートされたタンパク質の数は、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、又は少なくとも35であり得る。疾患若しくは障害の進行、又は疾患若しくは障害の後退は、任意の間隔で任意の期間にわたって試料を得ることにより、モニタリングされ得る。疾患若しくは障害の進行、又は疾患若しくは障害の後退は、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも7週間、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも1年間、少なくとも2年間、少なくとも3年間、少なくとも4年間、少なくとも5年間、少なくとも10年間の期間にわたって、又は対象の生涯にわたって試料を得ることにより、モニタリングされ得る。疾患若しくは障害の進行、又は疾患若しくは障害の後退は、少なくとも毎月、隔月、四半期毎、年2回、又は年1回試料を得ることにより、モニタリングされ得る。試料を厳密な間隔で得る必要はない。
【0082】
I型インターフェロン媒介性疾患、障害、又は状態
I型IFN媒介性疾患、障害、又は状態は、I型IFNPSを示すあらゆるものである。これらの疾患、障害、又は状態には、全身性エリテマトーデス(SLE)、円板状エリテマトーデス、インスリン依存性糖尿病、炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎、及びセリアック病を含む)、多発性硬化症、乾癬、自己免疫性甲状腺炎、強皮症(schleroderma)、関節リウマチ、糸球体腎炎、特発性炎症性筋炎、シェーグレン症候群、血管炎、封入体筋炎(IBM)、皮膚筋炎(DM)、多発性筋炎(PM)、サルコイドーシス、強皮症、並びにループス腎炎などの自己免疫成分を有するものが含まれる。他の疾患、障害、又は状態には、移植片対宿主病及び移植拒絶反応が含まれる。
【0083】
本発明の方法において、対象は、全身性エリテマトーデス、円板状ループス、ループス腎炎、皮膚筋炎、多発性筋炎、乾癬、SSc、血管炎、サルコイドーシス、シェーグレン症候群、及び特発性炎症性筋炎から選択されるI型インターフェロン媒介性疾患又は障害の治療を必要とし得る。好ましくは、対象は、全身性エリテマトーデスの治療を必要とする。
【0084】
対象はまた、例えば国際公開第2008/070135号パンフレットに記載されているような多数の症状のいずれかを示し得るか、又は同パンフレットに記載されているような臨床SLEDAIスコア又はBILAGスコアを有し得る。これらの症状には、疲労、器官損傷、頬部発疹、及び脱毛症が含まれ得る。対象は公知の臨床スコアリングシステム、例えば、過去10日以内に測定及び評価されたSLE疾患活動性の指標であるSLEDAIを使用してスコア化され得る(Bombardier C,Gladman D D,Urowitz M B,Caron D,Chang C H and the Committee on Prognosis Studies in SLE:Derivation of the SLEDAI for Lupus Patients.Arthritis Rheum 35:630-640,1992.)。SLEDAIスコアリングシステム下での疾患活動性は、0~105の範囲であり得る。以下のSLEDAI活動性のカテゴリーが定義されている:活動性なし(SLEDAI=0);軽度の活動性(SLEDAI=1~5);中等度の活動性(SLEDAI=6~10);高度の活動性(SLEDAI=11~19);非常に高度の活動性(SLEDAI=20以上)。(Griffiths et al.,Assessment of Patients with Systemic Lupus Erythematosus and the use of Lupus Disease Activity Indices)。別の疾患スコア指標は、全身、皮膚粘膜、神経、筋骨格、心血管、呼吸器、腎臓、及び血液学的結果の8つの器官系における特定の臨床症状に基づくSLEの活動性指標である、BILAG指標である。スコアリングは文字システムに基づくが、加重数値スコアを各文字に割り当てることもでき、これにより0~72の範囲でBILAGスコアを算出することができる。(Griffiths et al.,Assessment of Patients with Systemic Lupus Erythematosus and the use of Lupus Disease Activity Indices)。他のスコアリング指数には、PGAスコア、複合レスポンダー指数(composite responder index)(CRI)、及びANAM4(商標)試験が含まれる。
【0085】
本明細書に記載される方法、例えば、I型IFN媒介性疾患又は障害の治療に適した対象を同定する方法は、当該技術分野で公知の任意の分類手法(例えば、軽度、中等度、高度、又は非常に高度)によって測定される、対象の疾患活動性レベルを同定するために使用され得る。
【0086】
治療剤
治療剤は対象に投与され得るか、又は対象は、薬剤若しくは治療剤の投与の候補として同定され得る。治療剤は、I型インターフェロン活性を調節し得る。適切な治療剤には、I型IFN活性に結合し、それを調節する分子が含まれる。適切な治療剤には、I型インターフェロンの受容体に結合し、その活性を調節する分子が含まれる。治療剤は、小分子又は生物学的薬剤であり得る。実施形態では、治療剤は、小分子である。小分子は、合成され得るか、又は天然供給源から同定され単離され得る。他の実施形態では、治療剤は、生物学的薬剤である。好ましくは、生物学的薬剤は、抗体である。抗体は、抗I型インターフェロン抗体又は抗I型インターフェロン受容体抗体であり得る。
【0087】
抗体は、I型IFNの任意のサブタイプに特異的な抗体であり得る。例えば、抗体は、IFNαl、IFNα2、IFNα4、IFNα5、IFNα6、IFNα7、IFNα8、IFNα10、IFNαl4、IFNα17、IFNα21、IFNβ、又はIFNωのいずれか1つに対して特異的であり得る。或いは、抗体は、任意の2つ、任意の3つ、任意の4つ、任意の5つ、任意の6つ、任意の7つ、任意の8つ、任意の9つ、任意の10個、任意の11個、任意の12個のI型IFNサブタイプに対して特異的であり得る。抗体が2つ以上のI型IFNサブタイプに特異的である場合、抗体は、IFNαl、IFNα2、IFNα4、IFNα5、IFNα6、IFNα7、IFNα8、IFNα10、及びIFNα21に対して特異的であり得るか;又は抗体はIFNαl、IFNα2、IFNα4、IFNα5、IFNα8、及びIFNα10に対して特異的であり得るか;又は抗体はIFNαl、IFNα2、IFNα4、IFNα5、IFNα8、及びIFNα21に対して特異的であり得るか;又は抗体はIFNαl、IFNα2、IFNα4、IFNα5、IFNα10、及びIFNα21に対して特異的であり得る。I型IFNに特異的な抗体としては、シファルミマブ、シファルミマブ以外の任意の生物学的製剤又は抗体、2004年12月10日に出願された米国特許出願第11/009,410号明細書及び2005年6月20日に出願された同第11/157,494号明細書に記載された抗体、米国特許第7,087,726号明細書に記載された9F3及び他の抗体(実施例1及び実施例2、表3及び表4に開示されたもの、及び/又はカラム56、25~54行目の「Deposit of Material」と題する表に開示されたもの)、NK-2及びYOK5/19(国際公開第84/03105号パンフレット)、LO-22(米国特許第4,902,618号明細書)、144 BS(米国特許第4,885,166号明細書)、並びにEBI-1、EBI-2及びEBI-3(欧州特許第119476号明細書)が挙げられる。IFNa活性を調節する治療剤は、IFNa活性を中和し得る。当業者は、このような生物学的薬剤の調製及び製剤並びにこれらの投与方法を十分に認識している。
【0088】
抗体は、米国特許番号第7,619,070号明細書及び同第7,662,381号明細書、並びに国際公開第2009/100309号パンフレットに開示されているものを含む、I型インターフェロン受容体に対する抗体であり得る。
【0089】
抗体は、合成抗体、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、組換え産生抗体、細胞内抗体、多重特異性抗体(二重特異性抗体を含む)、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、一本鎖Fv(scFv)(二重特異性scFvを含む)、BiTE分子、一本鎖抗体、Fabフラグメント、F(ab’)フラグメント、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、又は上記のいずれかのエピトープ結合フラグメントであり得る。抗体は、免疫グロブリン分子又は免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分のいずれかであり得る。更に、抗体は、任意のアイソタイプであり得る。例えば、それは、アイソタイプIgGl、IgG2、IgG3又はIgG4のいずれかであり得る。抗体は、可変領域と定常領域とを含む完全長抗体、又はその抗原結合フラグメント、例えば、一本鎖抗体、又はFab若しくはFab’2フラグメントであり得る。抗体はまた、細胞毒素又は放射性同位体などの治療剤にコンジュゲート又は連結され得る。
【0090】
治療剤(例えば、I型インターフェロン活性を調節する抗I型インターフェロン抗体若しくは抗I型インターフェロン受容体抗体)による治療方法、又は治療剤を投与することを含む方法において、I型IFN活性を調節するためにそれに結合する薬剤以外の第2の薬剤、又はI型インターフェロンの受容体に結合しその活性を調節する薬剤が、対象に投与され得る。第2の薬剤としては、非ステロイド性抗炎症薬、例えば、イブプロフェン、ナプロキセン、スリンダク、ジクロフェナク、ピロキシカム、ケトプロフェン、ジフルニサル、ナブメトン、エトドラク、及びオキサプロジン、インドメタシン;抗マラリア薬、例えば、ヒドロキシクロロキン;コルチコステロイドホルモン、例えば、プレドニゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、及びデキサメタゾン;メトトレキサート;免疫抑制剤、例えば、アザチオプリン及びシクロホスファミド;並びに生物学的薬剤、例えば、T細胞を標的とするもの(アレファセプト及びエファリズマブなど)、又はTNFaを標的とするもの(エンブレル、レミケード、及びヒュミラなど)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0091】
治療剤による治療は、I型IFNPSプロファイルの中和をもたらし得る。治療剤による治療は、I型IFN媒介性疾患又は障害の1つ以上の症状の低下をもたらし得る。治療剤による治療は、I型IFN媒介性疾患又は障害に関連する再発を減少させ得る。薬剤による治療は、I型IFN媒介性疾患又は障害を有する対象の予後の改善をもたらし得る。薬剤による治療は、より高い生活の質を対象にもたらし得る。治療剤での治療は、第2の薬剤を併用投与する必要性を軽減し得るか、又は対象への第2の薬剤の投与の投与量を減少させ得る。治療剤による治療は、I型IFN媒介性疾患又は障害に関連する対象の入院回数を低減させ得る。
【0092】
I型IFN活性に結合し、それを調節する治療剤は、I型IFNPSプロファイルを中和し得る。I型IFNPSプロファイルの中和は、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つのタンパク質の低減であり得る。I型IFNPSプロファイルの中和は、I型IFNPSプロファイルにおいてアップレギュレートされた少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも2つのタンパク質のいずれかの、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、又は少なくとも90%の低減である。或いは、I型IFNPSプロファイルの中和は、対照試料におけるこれらのI型IFNPSタンパク質の発現レベルの最大50%、最大45%、最大40%、最大35%、最大30%、最大25%、最大20%、最大15%、最大10%、最大5%、最大4%、最大3%、最大2%、又は最大1%以内である、アップレギュレートされたI型IFNPSタンパク質の発現の低減を指す。I型IFN活性に結合し、それを調節する治療剤が抗体などの生物学的薬剤である場合、薬剤は、0.3~30mg/kg、0.3~10mg/kg、0.3~3mg/kg、0.3~1mg/kg、1~30mg/kg、3~30mg/kg、5~30mg/kg、10~30mg/kg、1~10mg/kg、3~10mg/kg、又は1~5mg/kgの用量で、I型IFNタンパク質シグネチャーを中和することができる。
【0093】
I型IFN活性に結合し、それを調節する治療剤は、更に又は代わりに1つ以上のI型IFNサブタイプの発現を中和することができる。I型IFNサブタイプは、任意の2つ以上の、3つ以上の、4つ以上の、5つ以上の、6つ以上の、7つ以上の、8つ以上の、9つ以上の、10個以上の、又は11個以上のI型IFNサブタイプを含み得る。これらのサブタイプは、IFNαl、IFNα2、IFNα4、IFNα5、IFNα6、IFNα7、IFNα8、IFNα10、IFNαl4、IFNαl7、IFNα21、IFNβ、又はIFNωを含み得る。これらのサブタイプは、IFNαl、IFNα2、IFNα8、及びIFNαl4の全てを含み得る。或いは、これらのサブタイプは、IFNαl、IFNα2、IFNα4、IFNα5、IFNα8、IFNα10、IFNα21を含み得る。I型IFNサブタイプの中和は、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも5つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも10個のサブタイプのいずれかの、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、又は少なくとも90%の低減であり得る。I型IFNサブタイプの中和は、対照試料におけるこれらのI型IFNサブタイプの発現レベルの最大50%、最大45%、最大40%、最大35%、最大30%、最大25%、最大20%、最大15%、最大10%、最大5%、最大4%、最大3%、最大2%、又は最大1%以内である、I型IFNサブタイプタンパク質の発現の低減であり得る。I型IFN活性に結合し、それを調節する薬剤が抗体などの生物学的薬剤である場合、薬剤は、0.3~30mg/kg、0.3~10mg/kg、0.3~3mg/kg、0.3~1mg/kg、1~30mg/kg、3~30mg/kg、5~30mg/kg、10~30mg/kg、1~10mg/kg、3~10mg/kg、又は1~5mg/kgの用量で、I型IFNサブタイプを中和することができる。
【0094】
I型IFN活性に結合し、それを調節する治療剤は、更に又は代わりに、IFNARl若しくはIFNAR2のいずれか、若しくはその両方であるIFNα受容体、又はTNFα又はIFNγ、又はIFNγ受容体(IFNGRl、IFNGR2のいずれか、若しくはIFNGRlとIFNGR2の両方)の発現を中和することができる。IFNARl若しくはIFNAR2のいずれか、若しくはその両方であるIFNα受容体、又はTNFα又はIFNγ、又はIFNγ受容体(IFNGRl、IFNGR2のいずれか、若しくはIFNGRlとIFNGR2の両方)の発現の中和は、これらの遺伝子の少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも5つ、又は少なくとも6つのいずれかの、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、又は少なくとも90%の低減であり得る。IFNARl若しくはIFNAR2のいずれかであるIFNα受容体、又はTNFα又はIFNγ、又はIFNγ受容体(IFNGRl、IFNGR2のいずれか、若しくはIFNGRlとIFNGR2の両方)の発現の中和は、対照試料中のこれらの遺伝子の発現レベルの最大50%、最大45%、最大40%、最大35%、最大30%、最大25%、最大20%、最大15%、最大10%、最大5%、最大4%、最大3%、最大2%、又は最大1%の発現の低減である。I型IFN活性に結合し、それを調節する治療剤が抗体などの生物学的薬剤である場合、薬剤は、0.3~30mg/kg、0.3~10mg/kg、0.3~3mg/kg、0.3~1mg/kg、1~30mg/kg、3~30mg/kg、5~30mg/kg、10~30mg/kg、1~10mg/kg、3~10mg/kg、又は1~5mg/kgの用量で、IFNα受容体IFNARl若しくはIFNAR2、又はTNFα、又はIFNγ、又はIFNγ受容体IFNGRl若しくはIFNGR2の発現を中和することができる。
【0095】
候補治療剤の同定
I型IFN媒介性疾患又は障害を治療するための候補治療薬は、本発明により包含される方法によって同定され得る。特に、本発明は、I型インターフェロン媒介性疾患又は障害を治療するための候補治療剤を同定する方法を提供し、この方法は、
i)対象の初期試料における第1のタンパク質の発現レベル及び対象の初期試料における少なくとも1つの他のタンパク質の発現レベルを同定すること;
ii)候補治療剤を対象に投与すること;
iii)対象の更なる試料(例えば、初期試料に対して適時に続けて採取される)における第1のタンパク質の発現レベル及び対象の更なる試料における少なくとも1つの他のタンパク質の発現レベルを同定すること;並びに
iv)対象の初期試料における第1のタンパク質及び少なくとも1つの他のタンパク質の発現レベルを、対象の更なる試料における第1のタンパク質及び少なくとも1つの他のタンパク質の発現レベルとそれぞれ比較することを含み;
第1のタンパク質及び少なくとも1つの他のタンパク質の発現レベルのアップレギュレーションの低減をそれぞれ含む、第1のタンパク質及び少なくとも1つの他のタンパク質の発現レベルの差異は、薬剤が候補治療剤であることを示し;
第1のタンパク質は、EPHB2であり;
少なくとも1つの他のタンパク質は、I型インターフェロンによって誘導可能な遺伝子発現を有し、且つI型インターフェロン遺伝子シグネチャーに対して0.3超のピアソン相関係数を示す。
【0096】
本発明はまた、I型インターフェロン媒介性疾患又は障害を治療するための候補治療剤を同定する方法を提供し、この方法は、
i)対象の初期試料における第1のタンパク質の発現レベル及び対象の初期試料における少なくとも1つの他のタンパク質の発現レベルを同定すること;
ii)候補治療剤を対象に投与すること;
iii)対象の更なる試料(例えば、初期試料に対して適時に続けて採取される)における第1のタンパク質の発現レベル及び対象の更なる試料における少なくとも1つの他のタンパク質の発現レベルを同定すること;並びに
iv)対象の初期試料における第1のタンパク質及び少なくとも1つの他のタンパク質の発現レベルを、対象の更なる試料における第1のタンパク質及び少なくとも1つの他のタンパク質の発現レベルとそれぞれ比較することを含み;
第1のタンパク質及び少なくとも1つの他のタンパク質の発現レベルのアップレギュレーションの低減をそれぞれ含む、第1のタンパク質及び少なくとも1つの他のタンパク質の発現レベルの差異は、薬剤が候補治療剤であることを示し;
第1のタンパク質は、EPHB2であり;
少なくとも1つの他のタンパク質は、ALCAM、アンギオポエチン-2(ANG-2)、AREG、C1q、AXL受容体チロシンキナーゼ(AXL)、B細胞活性化因子(BAFF)、B7-H1、ベータ-2-ミクログロブリン(B2M)、sCD163、CLM6、BLC、CD5L、ST4S6、SCGF-アルファ、CO8A1、マクロファージコロニー刺激因子1(M-CSF)、M-CSF R、カテプシンS、可溶性CXCL16、DLL1、DERM、EPHB2、単球走化性タンパク質4(MCP-4)、TIMD3、EMR2、細胞間接着分子1(ICAM-1)、IL-13 Ra1、インターロイキン-18(IL-18)、bFGF、IL-18 BPa、MIP-3b、MCP-1、VEGF sR3、TCCR、PHI、IGFBP-4、IL-3 Ra、LAG-3、インターロイキン-1受容体アンタゴニスト(IL-1Ra)、JAG1、KYNU、マクロファージ炎症性タンパク質3ベータ(MIP-3ベータ)、LG3BP、ILT-4、MCP-3、フラクタルカイン/CX3CL-1、インターフェロンガンマ誘導タンパク質10(IP-10)、MAPK14、単球走化性タンパク質2(MCP-2)、インターフェロン誘導性T細胞アルファ走化性因子(ITAC)、ガンマインターフェロン誘導モノカイン(MIG)、MMP-14、マトリックスメタロプロテイナーゼ-7(MMP-7)、NAGK、Notch-3、LDH-H 1、グルココルチコイド受容体、PDGF-CC、PLPP、NADPH-P450オキシドレダクターゼ、SAA、a1-アンチトリプシン、PARK7、シアロアドヘシン、シグレック-7、SLAF7、オステオポンチン、PD-L2、BGH3、TGF-b R III、TNF-a、CD30、テネイシン、腫瘍壊死因子受容体2(TNFR2)、TS、及びSCGF-ベータから選択される。
【0097】
候補治療薬は、小分子又は生物学的薬剤を含む任意のタイプの分子であり得る。本発明により包含される方法によって同定される候補治療剤は、疾患、障害、又は状態の治療薬として有用であると直ちに同定され得る。或いは、本発明により包含される方法によって同定される候補治療剤は、対象を治療するための選択の前に、更に試験及び/又は改変される必要がある場合がある。或いは、本発明により包含される方法によって同定される候補治療剤は、更なる試験の後に、対象を治療するための分子としては除外される場合がある。
【0098】
候補治療剤を同定する方法において、I型IFNPSプロファイルを含む試料(例えば、細胞)を薬剤と接触させる。細胞は、I型IFNPSプロファイルを含む市販の不死化細胞株、I型IFNPSプロファイルを誘導するためにI型IFNで処理された市販の不死化細胞株、I型IFNPSプロファイルを有する対象から単離された細胞、又は健常対象から単離され、I型IFNPSプロファイルを誘導するためにI型IFNで処理された細胞などの任意のタイプの細胞であってよい。
【0099】
試料を薬剤と接触させた後、試料のI型IFNPSプロファイルの変化の有無を検出する。変化の存在は、I型IFNPSプロファイルにおけるあらゆる変化であり得、I型IFNPSプロファイルの少なくとも2つのタンパク質のアップレギュレートされた発現レベルの少なくとも10%の低下、少なくとも2つのアップレギュレートされたタンパク質の少なくとも20%の低下、少なくとも2つのアップレギュレートされたタンパク質の少なくとも30%の低下、少なくとも2つのアップレギュレートされたタンパク質の少なくとも40%の低下、少なくとも2つのアップレギュレートされたタンパク質の少なくとも50%の低下、少なくとも2つのアップレギュレートされたタンパク質の少なくとも60%の低下、少なくとも2つのアップレギュレートされたタンパク質の少なくとも70%の低下、少なくとも2つのアップレギュレートされたタンパク質の少なくとも75%の低下、少なくとも2つのアップレギュレートされたタンパク質の少なくとも80%の低下、少なくとも2つのアップレギュレートされたタンパク質の少なくとも85%の低下、少なくとも2つのアップレギュレートされたタンパク質の少なくとも90%の低下、少なくとも2つのアップレギュレートされたタンパク質の少なくとも95%の低下、少なくとも2つのアップレギュレートされたタンパク質の少なくとも96%の低下、少なくとも2つのアップレギュレートされたタンパク質の少なくとも97%の低下、少なくとも2つのアップレギュレートされたタンパク質の少なくとも98%の低下、少なくとも2つのアップレギュレートされたタンパク質の少なくとも99%の低下、又は少なくとも2つのアップレギュレートされたタンパク質の少なくとも100%の低下を含む。
【0100】
本発明の態様を以下の項にさらに記載する:
[項1]
対象におけるI型IFN媒介性疾患を治療する方法であって、治療有効量の抗IFNAR抗体を前記対象に投与することを含み、患者が、前記I型IFN媒介性疾患を有さない対象と比較して、血清中のEPHB2、BLC、LAG-3及びIP-10のタンパク質発現の上昇を特徴とするインターフェロンタンパク質シグネチャー(IFNPS)の上昇を有すると同定される、方法。
[項2]
前記抗IFNAR抗体が、アニフロルマブ及びその機能的誘導体である、上記項1に記載の方法。
[項3]
300mgのアニフロルマブを投与することを含み、任意選択で、4週間毎に300mgのアニフロルマブを静脈内投与することを含む、上記項2に記載の方法。
[項4]
治療が、前記IFNPSを抑制する、上記項1~3のいずれか一項に記載の方法。
[項5]
前記I型IFN媒介性疾患が、SLEである、上記項1~4のいずれか一項に記載の方法。
[項6]
前記治療が、前記対象のSLE疾患活動性指数(SLEDAI)を改善する、上記項5に記載の方法。
[項7]
前記治療が、前記対象の皮膚エリテマトーデス疾患領域及び重症度指数(Cutaneous Lupus Erthematosus Disease Area and Severity Index)(CLASI)活動性スコアを改善する、上記項5又は6に記載の方法。
[項8]
前記IFN媒介性疾患が、筋炎である、上記項1~4のいずれか一項に記載の方法。
[項9]
前記対象が、型IFN媒介性疾患を有さない対象と比較して、IFNGSシグネチャーの上昇を有さないと同定される、上記項1~8のいずれか一項に記載の方法。
[項10]
治療が、前記IFNPSシグネチャーの上昇を低下させる、上記項1~9のいずれか一項に記載の方法。
[項11]
対象におけるI型インターフェロン媒介性疾患の治療に使用するための医薬組成物であって、治療有効量の抗IFNAR抗体を含み、前記対象が、EPHB2、BLC、LAG-3及びIP-10タンパク質の発現の上昇を特徴とするIFNタンパク質シグネチャーの上昇を有すると同定される、医薬組成物。
[項12]
前記抗IFNAR抗体が、アニフロルマブである、上記項10に記載の使用のための医薬組成物。
[項13]
前記医薬組成物が、300mgのアニフロルマブを含む、上記項11に記載の使用の医薬組成物。
[項14]
前記使用が、4週毎の300mgのアニフロルマブの投与を含む、上記項13に記載の使用のための医薬組成物。
[項15]
治療が、前記IFNPSを抑制する、上記項10~13のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
[項16]
前記I型IFN媒介性疾患が、SLEである、上記項10~14のいずれか一項に記載の方法。
[項17]
前記治療が、前記対象のSLE疾患活動性指数(SLEDAI)を改善する、上記項15に記載の使用のための医薬組成物。
[項18]
前記治療が、前記対象の皮膚エリテマトーデス疾患領域及び重症度指数(CLASI)活動性スコアを改善する、上記項16又は17に記載の使用の医薬組成物。
[項19]
前記IFN媒介性疾患が、筋炎である、上記項10に記載の使用のための医薬組成物。
[項20]
前記対象が、型IFN媒介性疾患を有さない対象と比較して、IFNGSシグネチャーの上昇を有さないと同定される、上記項10~19のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
[項21]
対象から単離された試料中の上昇したIFN活性を検出するためのインビトロ法であって、前記試料中のEPHB2、BLC、LAG-3及びIP-10タンパク質の発現を定量化すること、並びに前記試料中の前記タンパク質の発現を、健常ドナー由来の試料中のEPHB2、BLC、LAG-3及びIP-10タンパク質の発現と比較することを含む、インビトロ法。
[項22]
I型インターフェロン活性を調節する治療剤によるI型インターフェロン媒介性疾患又は障害の治療に適した対象を同定する方法であって、前記対象の試料中における第1のタンパク質のレベルの増加及び前記対象の試料中における第2のタンパク質のレベルの増加を検出することを含み、
前記第1のタンパク質が、EPHB2であり、
前記第2のタンパク質が、I型インターフェロンによって誘導可能な遺伝子発現を有し、且つI型インターフェロン遺伝子シグネチャーに対して0.3超のピアソン相関係数を示し、
前記第1のタンパク質のレベルの増加及び前記第2のタンパク質のレベルの増加が、
a)前記I型インターフェロン媒介性疾患若しくは障害を有さない組織若しくはヒト由来の試料中の、前記第1のタンパク質のレベル及び前記第2のタンパク質のレベルのそれぞれ、又は
b)前記対象の試料中の1つ以上の対照タンパク質のレベル
に対するものである、方法。
[項23]
I型インターフェロン活性を調節する治療剤によるI型インターフェロン媒介性疾患又は障害の治療に適した対象を同定する方法であって、
i)前記対象の試料中における第1のタンパク質のレベルの増加及び前記対象の試料中における第2のタンパク質のレベルの増加を検出することであって、
前記第1のタンパク質が、EPHB2であり、
前記第2のタンパク質が、I型インターフェロンによって誘導可能な遺伝子発現を有し、且つI型インターフェロン遺伝子シグネチャーに対して0.3超のピアソン相関係数を示し、
前記第1のタンパク質のレベルの増加及び前記第2のタンパク質のレベルの増加が、
a)前記I型インターフェロン媒介性疾患若しくは障害を有さない組織若しくはヒト由来の試料中の、前記第1のタンパク質のレベル及び前記第2のタンパク質のレベルのそれぞれ、又は
b)前記対象の試料中の1つ以上の対照タンパク質のレベル
に対するものである、検出すること;並びに
ii)前記治療剤を投与することを含む、方法。
[項24]
対象におけるI型インターフェロン媒介性疾患又は障害の治療における使用のためのI型インターフェロン活性を調節する抗I型インターフェロン抗体又は抗I型インターフェロン受容体抗体であって、前記対象が、前記対象の試料中における第1のタンパク質のレベルの増加及び前記対象の試料中における第2のタンパク質のレベルの増加を検出することによって同定されており、
前記第1のタンパク質が、EPHB2であり、
前記第2のタンパク質が、I型インターフェロンによって誘導可能な遺伝子発現を有し、且つI型インターフェロン遺伝子シグネチャーに対して0.3超のピアソン相関係数を示し、
前記第1のタンパク質のレベルの増加及び前記第2のタンパク質のレベルの増加が、
a)前記I型インターフェロン媒介性疾患若しくは障害を有さない組織若しくはヒト由来の試料中の、前記第1のタンパク質のレベル及び前記第2のタンパク質のレベルのそれぞれ、又は
b)前記対象の試料中の1つ以上の対照タンパク質のレベル
に対するものである、抗I型インターフェロン抗体又は抗I型インターフェロン受容体抗体。
[項25]
対象におけるI型インターフェロン媒介性疾患又は障害を治療する方法であって、I型インターフェロン活性を調節する抗I型インターフェロン抗体又は抗I型インターフェロン受容体抗体を投与することを含み、前記対象が、前記対象の試料中における第1のタンパク質のレベルの増加及び前記対象の試料中における第2のタンパク質のレベルの増加を検出することによって同定されており、
前記第1のタンパク質が、EPHB2であり、
前記第2のタンパク質が、I型インターフェロンによって誘導可能な遺伝子発現を有し、且つI型インターフェロン遺伝子シグネチャーに対して0.3超のピアソン相関係数を示し、
前記第1のタンパク質のレベルの増加及び前記第2のタンパク質のレベルの増加が、
a)前記I型インターフェロン媒介性疾患若しくは障害を有さない組織若しくはヒト由来の試料中の、前記第1のタンパク質のレベル及び前記第2のタンパク質のレベルのそれぞれ、又は
b)前記対象の試料中の1つ以上の対照タンパク質のレベル
に対するものである、方法。
[項26]
前記対象の試料中における少なくとも1つの他のタンパク質のレベルの増加を検出することを更に含み、前記少なくとも1つの他のタンパク質が、I型インターフェロンによって誘導可能な遺伝子発現を有し、且つI型インターフェロン遺伝子シグネチャーに対して0.3超のピアソン相関係数を示し;前記少なくとも1つの他のタンパク質のレベルの増加が、
a)前記I型インターフェロン媒介性疾患若しくは障害を有さない組織若しくはヒト由来の試料中の、前記少なくとも1つの他のタンパク質のレベル、又は
b)前記対象の試料中の1つ以上の対照タンパク質のレベル
に対するものである、上記項22、23、若しくは25のいずれか一項に記載の方法、又は上記項3に記載の使用のための抗体。
[項27]
対象におけるI型インターフェロン媒介性疾患又は障害の進行をモニタリング又は予測する方法であって、
i)前記対象の初期試料における第1のタンパク質の発現レベル及び前記対象の初期試料における少なくとも1つの他のタンパク質の発現レベルを同定すること;並びに
ii)前記対象の更なる試料における前記第1のタンパク質の発現レベル及び前記対象の更なる試料における前記少なくとも1つの他のタンパク質の発現レベルを同定することであって;
前記対象の前記初期試料に対する、前記更なる試料における前記第1のタンパク質の発現レベルの増加及び前記少なくとも1つの他のタンパク質の発現レベルの増加が疾患進行を予測するか;又は
前記対象の前記初期試料に対する、前記更なる試料における前記第1のタンパク質の発現レベルの低下及び前記少なくとも1つの他のタンパク質の発現レベルの低下が疾患後退を予測する、同定することを含み;
前記第1のタンパク質が、EPHB2であり;
前記少なくとも1つの他のタンパク質が、I型インターフェロンによって誘導可能な遺伝子発現を有し、且つI型インターフェロン遺伝子シグネチャーに対して0.3超のピアソン相関係数を示す、方法。
[項28]
I型インターフェロン活性を調節する治療剤による治療を受けている対象のI型インターフェロン媒介性疾患又は障害の進行をモニタリングする方法であって、
i)前記対象の初期試料における第1のタンパク質の発現レベル及び前記対象の初期試料における少なくとも1つの他のタンパク質の発現レベルを同定すること;
ii)前記対象の更なる試料における前記第1のタンパク質の発現レベル及び前記対象の更なる試料における前記少なくとも1つの他のタンパク質の発現レベルを同定すること;
iii)I型インターフェロン活性を調節する治療剤を前記対象に投与することであって、前記治療剤がステップi)の前に、又はステップi)とステップii)との間に投与される、投与すること;並びに
iv)前記対象の前記初期試料における前記第1のタンパク質及び前記少なくとも1つの他のタンパク質の発現レベルを、前記対象の前記更なる試料における前記第1のタンパク質及び前記少なくとも1つの他のタンパク質の発現レベルとそれぞれ比較することであって;
前記第1のタンパク質及び前記少なくとも1つの他のタンパク質の発現レベルの差異が、前記I型インターフェロン活性を調節する治療剤の有効性のレベルを示す、比較することを含み;
前記第1のタンパク質が、EPHB2であり;
前記少なくとも1つの他のタンパク質が、I型インターフェロンによって誘導可能な遺伝子発現を有し、且つI型インターフェロン遺伝子シグネチャーに対して0.3超のピアソン相関係数を示す、方法。
[項29]
I型インターフェロン媒介性疾患又は障害を治療するための候補治療剤を同定する方法であって、
i)対象の初期試料における第1のタンパク質の発現レベル及び前記対象の初期試料における少なくとも1つの他のタンパク質の発現レベルを同定すること;
ii)前記候補治療剤を前記対象に投与すること;
iii)前記対象の更なる試料における前記第1のタンパク質の発現レベル及び前記対象の更なる試料における前記少なくとも1つの他のタンパク質の発現レベルを同定すること;並びに
iv)前記対象の前記初期試料における前記第1のタンパク質及び前記少なくとも1つの他のタンパク質の発現レベルを、前記対象の前記更なる試料における前記第1のタンパク質及び前記少なくとも1つの他のタンパク質の発現レベルとそれぞれ比較することであって;
前記第1のタンパク質及び前記少なくとも1つの他のタンパク質の発現レベルのアップレギュレーションの低減をそれぞれ含む、前記第1のタンパク質及び前記少なくとも1つの他のタンパク質の発現レベルの差異が、前記剤が候補治療剤であることを示す、比較することを含み;
前記第1のタンパク質が、EPHB2であり;
前記少なくとも1つの他のタンパク質が、I型インターフェロンによって誘導可能な遺伝子発現を有し、且つI型インターフェロン遺伝子シグネチャーに対して0.3超のピアソン相関係数を示す、方法。
[項30]
前記第2のタンパク質及び/又は前記少なくとも1つの他のタンパク質が、それぞれ独立してALCAM、アンギオポエチン-2、AREG、AXL受容体チロシンキナーゼ(AXL)、b2-ミクログロブリン、ベータ-2-ミクログロブリン(B2M)、C1q、単球走化性タンパク質4(MCP-4)、MIP-3b、MCP-1、MCP-3、単球走化性タンパク質2(MCP-2)、sCD163、B7-H1、CLM6、CD5L、ST4S6、SCGF-アルファ、SCGF-ベータ、CO8A1、CSF-1、M-CSF R、カテプシンS、フラクタルカイン/CX3CL-1、IP-10、I-TAC、BLC、可溶性CXCL16、ガンマインターフェロン誘導モノカイン(MIG)、DLL1、DERM、EMR2、EPHB2、bFGF、VEGF、sR3、PHI、TIMD3、細胞間接着分子1(ICAM-1)、IGFBP-4、IL-13、Ra1、インターロイキン-18(IL-18)、IL-18 BPa、インターロイキン-1受容体アンタゴニスト(IL-1ra)、TCCR、IL-3 Ra、JAG1、KYNU、LAG-3、LDH-H 1、LG3BP、ILT-4、MAPK14、MMP-14、MMP-7、NAGK、Notch-3、グルココルチコイド受容体、PARK7、PD-L2、PDGF-CC、PLPP、NADPH-P450オキシドレダクターゼ、SAA、a1-アンチトリプシン、シアロアドヘシン、シグレック-7、SLAF7、オステオポンチン、BGH3、TGF-b R III、テネイシン、TNF-a、TNFs R-II、CD30、BAFF、及びTSから選択される、上記項22、23、若しくは25~29のいずれか一項に記載の方法、又は上記項3若しくは上記項5に記載の使用のための抗体。
[項31]
(i)前記第1のタンパク質、及び(ii)前記第2のタンパク質又は前記少なくとも1つの他のタンパク質のうちの少なくとも1つのレベルが、
a.前記I型インターフェロン媒介性疾患若しくは障害を有さない組織若しくはヒト由来の試料中の、前記第1のタンパク質のレベル、若しくは前記第2のタンパク質若しくは前記少なくとも1つの他のタンパク質のレベルのそれぞれ、又は
b.前記対象の試料中の1つ以上の対照タンパク質のレベル
に対して0.5超であるSLE対健常ドナー(HD)の曲線下面積(AUC)を有する、上記項30に記載の方法、又は上記項30に記載の使用のための抗体。
[項32]
(i)前記第1のタンパク質、及び(ii)前記第2のタンパク質又は前記少なくとも1つの他のタンパク質のうちの少なくとも1つのレベルが、
a.前記I型インターフェロン媒介性疾患若しくは障害を有さない組織若しくはヒト由来の試料中の、前記第1のタンパク質のレベル、若しくは前記第2のタンパク質若しくは前記少なくとも1つの他のタンパク質のレベルのそれぞれ、又は
b.前記対象の試料中の1つ以上の対照タンパク質のレベル
に対する健常ドナー平均値から少なくとも1標準偏差である、上記項22、23、若しくは25~31のいずれか一項に記載の方法、又は上記項24、26、若しくは30~31のいずれか一項に記載の使用のための抗体。
[項33]
前記第2のタンパク質及び/又は前記少なくとも1つの他のタンパク質が、それぞれ独立して、BLC、LAG-3及びIP-10から選択される、上記項30~32のいずれか一項に記載の方法、又は上記項30~32のいずれか一項に記載の使用のための抗体。
[項34]
前記第2のタンパク質及び/又は前記少なくとも1つの他のタンパク質が、前記第1のタンパク質の生物学的経路から独立した生物学的経路の一部を形成する、上記項22、23、若しくは25~33のいずれか一項に記載の方法、又は上記項24、26若しくは30~33のいずれか一項に記載の使用のための抗体。
[項35]
前記第1のタンパク質、及び
前記第2のタンパク質又は前記少なくとも1つの他のタンパク質
のうちの少なくとも1つのレベルが少なくとも10%増加する、上記項22、23、25~28、若しくは30~34のいずれか一項に記載の方法、又は上記項24、26、若しくは30~34のいずれか一項に記載の使用のための抗体。
[項36]
前記第1のタンパク質のレベル、並びに
前記第2のタンパク質のレベル及び/又は前記少なくとも1つの他のタンパク質のレベル
の平均値が少なくとも10%増加する、上記項22、23、25~28、若しくは30~34のいずれか一項に記載の方法、又は上記項24、26、若しくは30~34のいずれか一項に記載の使用のための抗体。
[項37]
前記治療剤が、抗I型インターフェロン抗体又は抗I型インターフェロン受容体抗体である、上記項22、23、25、又は28~36のいずれか一項に記載の方法。
[項38]
前記抗I型インターフェロン受容体抗体が、アニフロルマブである、上記項37に記載の方法。
[項39]
前記抗I型インターフェロン抗体が、シファルミマブ(sifalumimab)である、上記項37に記載の方法、又は上記項24~5、若しくは9~15のいずれか一項に記載の使用のための抗体。
[項40]
前記対象が、全身性エリテマトーデス、円板状ループス、ループス腎炎、皮膚筋炎、多発性筋炎、乾癬、SSc、血管炎、サルコイドーシス、シェーグレン症候群、及び特発性炎症性筋炎から選択されるI型インターフェロン媒介性疾患又は障害の治療を必要とする、上記項22、23、若しくは25~39に記載の方法、又は上記項24、26、30~37、若しくは39のいずれか一項に記載の使用のための抗体。
[項41]
前記対象が、全身性エリテマトーデスの治療を必要とする、上記項40に記載の方法、又は上記項40に記載の使用のための抗体。
[項42]
上記項22、23、若しくは25~41に記載の方法の出力を、可読媒体に記録する方法。
[項43]
患者におけるI型IFN媒介性疾患を治療する方法であって、前記患者を選択すること、前記患者を治療することを含む、方法。
以下の図面を参照して、これより本発明をより詳細に説明する。
【実施例】
【0101】
実施例1:軽減プロトコル(mitigated protocol)を使用したSomalogic測定
SOMAscanマルチプレックスアッセイは、SOMAmer(登録商標)(遅いオフレートの修飾DNAアプタマー)試薬と呼ばれる1.3kの個々の親和性分子からなり、それぞれがそのタンパク質標的と非常に高い親和性を有する(Rohloff JC et al.,Nucleic Acid Ligands With Protein-like Side Chains:Modified Aptamers and Their Use as Diagnositc and Therapeutic Agents.Mol Ther Nucleic Acids 2014;3:e201、Gold L et al.,Aptamer-based multiplexed proteomic technology for biomarker discovery.PLoS One.2010;5:e15004)。SOMAscanアッセイの前に、生体試料を、緩衝液、塩、界面活性剤及び競合剤を含有する試料希釈剤で希釈した。SLE試料の場合、競合剤は、SomaLogic Polyanionic Competitorと一本鎖及び二本鎖ニシン精子DNAとの混合物であった。希釈した生体試料を30分間インキュベートした後、1.3kのSOMAmer試薬の混合物を含有する96ウェルプレートの各ウェルに添加した。添加後、試料-SOMAmer試薬混合物を、親和性複合体の形成のためにインキュベートした。
【0102】
2回の連続的なビーズベースの固定化及び洗浄ステップにより、未結合又は非特異的に結合したタンパク質及び未結合SOMAmer試薬を除去し、タンパク質標的が結合したSOMAmer試薬のみを残した。これらの残存SOMAmer試薬を単離し、各試薬を特注のAgilentハイブリダイゼーションアレイで同時に定量化した。測定した各SOMAmerの数は、元の試料中のタンパク質濃度に量的に比例した。この軽減プロトコルで採取したSomalogic測定値はQCを通過し、もはや抗dsDNAの保有率とともに増加しなかった(
図1)。
【0103】
データパッケージング:
データの整合性を確実なものにするために、データ標準化手順を展開した。最も単純な形態では、正規化手順によりアレイ間の変動を制御し、これを、2つのステップで実施した。1つ目は、ハイブリダイゼーションの前にアッセイ溶出液に導入され各試料アレイについて独立して測定される、ハイブリダイゼーション制御配列のセットを使用して、アッセイの読み出し段階の際に導入されるデータに対するあらゆる系統的影響を補正した。第2の正規化スキームは、所与のアレイ上の全てのSOMAmerシグナルを使用することにより、プレート全体、又は類似の群内の試料の比較を可能にした。これは、SOMAscanアッセイの過程で導入され得る変動、及び生じ得る初期試料濃度の自然変動を補正した。正規化方法により各試料に関するスケール因子を算出し、続いて、それをアレイ内の適切な特徴上のシグナルに適用した。反復対照試料からの内因性シグナルを使用したプレートのスケール及び較正を各プレート上で実行し、それらを各プレートに関する、及びプレート内の各配列に関するスケール因子を算出するために使用して、複数のアッセイの実行にわたって生じた可能性のあるプレートの変動を制御した。
【0104】
実施例2:ルール・ベースド・メディスン(Rules Based Medicine)測定値と相関するSomalogic測定値
血中タンパク質I型IFN活性の相関物を同定するために、一連のタンパク質測定値を、血液マイクロアレイ及びタンパク質測定においてI型IFNの生物学的現象と相関するルール・ベースド・メディスン(Rules Based Medicine)(RBM)及びSOMAscanプラットフォームから同定した。I型IFN依存性遺伝子発現のタンパク質相関物を同定するために、103個のタンパク質を同定し、これらは、I型IFN21遺伝子シグネチャーと相関し、スピアマン相関は>0.3であった。IFN依存性タンパク質保有率に関連するタンパク質を同定するために、ブラインド信号源分離アルゴリズムを使用し、主成分分析、次いでプロマックス回転により、I型IFN21遺伝子シグネチャー及び複数のIFN誘導性ケモカインタンパク質測定値と強く相関するスコアを同定した。155個のタンパク質がこのスコアと相関し、スピアマンはR>0.3であった。タンパク質の両リストを統合したものを調査したところ、合計170個のタンパク質測定値がI型IFNの生物学的現象と関連があることが判明した。
【0105】
【0106】
【0107】
【0108】
実施例4:マイクロアレイ及びルール・ベースド・メディスン(Rules Based Medicine)(RBM)によるIFNPS成分の独立した確認
これら170個のタンパク質の有用性の例として、次いで、血中I型IFN活性の要約スコアを生成するために使用され得る小サブセットの同定に着手した。最初に、170個のタンパク質を、75個のユニークなタンパク質からの87個のタンパク質測定値のリストへとフィルタリングし、このうち、20個はルール・ベースド・メディスン(Rules Based Medicine)に由来し、67個はSOMAscanプラットフォームに由来しており、これらのプラットフォームは、Interferomeデータベース内に公開されているインターフェロン誘導性転写物を有することが知られている。次いで、ラッソ回帰を使用して、要約スコアとして使用するためのSOMAscan測定値の小サブセットを選択した。NIH-SLEコホートから2013年及び2014年に生成されたタンパク質測定値をトレーニングデータとして使用し、線形モデルに適合させた。2015年に生成されたタンパク質測定値を使用して、モデルを検証した。ラッソモデルに含めるための縮小パラメータλ、及びIFN21GSの上位のピアソン相関の数kを、5倍交差検証の10回の反復後に、I型IFN21遺伝子シグネチャーとの平均二乗誤差(MSE)を最小化する値に基づいて選択した。IFN21GSの上位4つのタンパク質相関物の線形結合は、トレーニングセットにおいてIFN21GSを最適に予測した。通常最小二乗(OLS)回帰を使用して、4つのタンパク質から構成されるモデルを再適合し、最終的な係数推定値を導出した。全てのタンパク質測定値をlog2変換し、次いで線形モデルに適合させる前に、トレーニング及び試験セット中のそれぞれのHD分布の平均値及び標準偏差に対してスケーリングした。
【0109】
実施例5:IFNPSはSLE全般疾患活動性指数(SLEDAI)と相関する
SLE患者のIFNGSとSLEDAIの間、及び4つのタンパク質のI型IFNシグネチャーとSLEDAIの間の相関を示す散布図を
図6に示す。IFNGS及びIFNPSのAUCは、特定のSLE症状を有するSLE患者及び有さないSLE患者を識別した(
図6B)。非リンパ球減少症SLE患者及びリンパ球減少症SLE患者における、IFNGSと4つのタンパク質のI型IFNシグネチャーとの関係を示す散布図を
図6Cに示す。
【0110】
実施例6:IFNPSはリンパ球減少症SLE患者及び非リンパ球減少症SLE患者のいずれにおいてもSLEDAIと相関する
図6Cに示すように、非リンパ球減少症SLE患者及びリンパ球減少症SLE患者における、IFNGSとSLEDAIの間、及び4つのタンパク質のI型IFNシグネチャーとSLEDAIの間の相関が得られた。
【0111】
全ての統計解析はR3.1.1で行った。別途記載のない限り、ペアワイズ相関をノンパラメトリックなスピアマンの相関を使用して算出した。ペアワイズ比較を、ノンパラメトリックなマン・ホイットニーのU検定を使用して算出した。R glmnetパッケージを使用して、ラッソモデルに適合させた。
【0112】
結論として、82例のSLE患者及び48例の健常ドナーのコホートにおいて、IFNGS試験高値患者の大部分(49/55、89%)について、またIFNGS試験低値患者のサブグループ(7/27、26%)についても、タンパク質シグネチャーが健常ドナーを上回って上昇したことが判明した(
図5)。タンパク質シグネチャーは、リンパ球減少症患者と非リンパ球減少症患者のいずれにおいても、全般疾患活動性(コホートのSLEDAIスコア中央値が4)と相関した(
図6)。皮膚病変、低補体、抗DNA自己抗体、及び血小板減少症との有意な関連も認められた。要約すると、この結果から、血液由来のタンパク質測定は、検証済みの遺伝子シグネチャーを補完し、I型IFN活性をモニタリングすることができることが示唆される。
【0113】
実施例7:IFNPSはI型IFN活性のエビデンスを有する患者の新規サブセットを同定する
SLE患者において、IFNGSは二峰性分布を示し、患者を高IFNGS(IFNGS-高値)の患者と低レベル(IFNGS-低値)の患者の2つのサブグループに分けるために使用することができる。IFNGS-高値及びIFNGS-低値のSLE患者の両方のHDにおけるIFNPSの保有率を比較した。全てのSLE患者でIFNPSが強力に上昇していることが判明した。SLE患者のうち、68%がHD平均値から2標準偏差を超えるIFNPSを示した(AUC=0.93、p<0.001)。意外にも、IFNPSは、IFNGS低値のSLE患者においても有意に上昇し(AUC=0.86、p<0.001)、HD平均値から2標準偏差を超えるIFNPSを同様に示したIFNGS低値のSLE患者の26%のサブセットを同定した(
図3)。したがって、IFNPSは、血中のI型IFN活性が高くIFN誘導性遺伝子のレベルが低い可能性のある患者のユニークなサブセットを同定するために使用することができる。
【0114】
実施例8:IFNPS及びIFNGSはSLEにおける全般疾患活動性と相関する
IFNPSが全体的な疾患活動性と相関するか否かを判定するため、トレーニングセットにおけるIFNPSと複合疾患活動性の関連性を特徴付けた。多器官系にわたるSLE疾患活動性の評価である、SLE疾患活動性指数(SLEDAI)とのIFNPS及びIFNGSのスピアマン相関を算出した。驚くべきことに、IFNPSはSLEDAIと0.45(p<0.001)のスピアマン相関を共有したのに対し、IFNGSはSLEDAIと0.19(p=0.029)のスピアマン相関を示したことが明らかとなり、これは、IFNPSがSLEの複合疾患の有用なバイオマーカーとして機能し得ることを示唆している(
図6A)。
【0115】
各SLEDAI構成要素に対して陽性及び陰性の患者における、IFNPS及びIFNGSの保有率を調査した。IFNGS及びIFNPSのいずれも、発疹、低補体及び抗dsDNA自己抗体を呈する患者において有意に上昇した。IFNPSはまた、SLEを有する血小板減少症の患者で有意に上昇し、IFNGSも同様の傾向を示した。IFNPSはまた、SLEを有する白血球減少症の患者において数値的上昇を示した(
図6B)。IFNPSは、SLEを有するリンパ球減少症患者と非リンパ球減少症患者の両方でSLEDAIと有意に相関し(p<0.05)、シグネチャーが血液組成上の変化に非感受性である組織生物学的現象を反映するという更なるエビデンスをもたらした(
図6c)。
【0116】
これらの知見が中等度から重度の疾患を有する患者の独立したコホートで再現できるか否かを確認するために、MUSEコホートのリンパ球減少症患者及び非リンパ球減少症患者の両方におけるIFNPSとSLEDAI複合スコアとの間の関連を評価した。このコホートにおいて、IFNPSと低補体血症、抗dsDNAの増加、及び白血球減少症との間に有意な関連が認められた()。2例の血小板減少症患者において、IFNPSは、皮膚疾患活動性の代替的尺度である皮膚エリテマトーデス疾患領域及び重症度指数(Cutaneous Lupus Erythematosus Disease Area and Severity Index)(CLASI)活動性スコアと正の相関を示し(スピアマンのr=0.21、p<0.001)、IFNPSとSLE皮膚病変との間の関連が確認された。
【0117】
要約すると、IFNPSはSLE患者の多器官系にわたる炎症を反映し、このことにより、IFNPSは極めて有用な複合疾患活動性のバイオマーカーとなっている。
【0118】
実施例9:IFNPSはI型IFN経路に関連している
I型及びII型IFNは免疫応答の増幅において異なる役割を有するが、細胞中で大部分が重複する転写変化を誘導する。更に、II型IFNは、I型IFNによって直接誘導可能である。これらの理由により、ヒトの疾患をモニタリングする際に両タイプの応答を区別することは困難である。同定したIFNPSがI型IFNに関連する生物学的現象を反映しており、II型IFNに関連する生物学的現象を反映していないことを検証するために、IFNPSとIFN-γ誘導性遺伝子シグネチャーのいくつかの成分であるIRF1、CXCL9、及びSLAMF8、39、41の転写との間の相関を測定し、これにより、SLE又は筋炎のいずれかを有する患者の試料におけるIFNPSとこれらの遺伝子との間の相関はないことが判明した。対照的に、IFNPSは、I型IFN誘導性遺伝子シグネチャーの全4成分であるIFI44L、IFI27、RSAD2、及びIFI44と相関しており、IFNPSはI型IFNによって直接誘導され、II型IFNでは誘導されないことが実証された。
【0119】
IFNPSがI型IFNによって特異的に誘導されるか否かを更に評価するために、I型IFNシグナル伝達に必要な受容体であるIFNARの中和によってIFNPSが抑制されるか否かを検討した。IFNARを中和するモノクローナル抗体であるアニフロルマブによる治療前後のSLE患者のIFNPSをモニタリングした。アニフロルマブ300mg投与群において、IFNPSは、1日目と比較して169日目及び365日目に有意に低下した(p<0.001)ことが判明した。対照的に、プラセボ群においては、IFNPSはベースラインからの有意な変化を示さなかった(p>0.05;
図7a)。1日目から169日目及び365日目までのIFNPSの変化もまた、アニフロルマブ300mg群とプラセボ群との間で比較した場合、有意であった(
図7b)。したがって、IFNPSはアニフロルマブによるIFNARの中和後に特異的に抑制されたことから、IFNPSがI型IFNにより誘導される生物学的現象を反映していることが実証された。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【
図1】循環タンパク質は、全血の遺伝子発現に見られるものとは大きく異なるデータを提供する。50個のHD試料及び143個のSLE試料における対応のあるRBM及びHGU133 Plus 2.0の測定値のスピアマン相関を示す密度プロット。分析は、測定値の75%が特定の試料群においてLLOQを上回ったRBM分析物に限定した。新規軽減プロトコルで採取したSomalogic測定値はQCを通過し、もはや抗dsDNAの保有率とともに増加しない。標準的なSomalogicプロトコル(A)及び軽減プロトコル(B)を使用して143個のSLE試料及び50例のHDから単離した血清試料から生成した1129個のタンパク質測定値の全体的なシグナル分布を示す箱型図。試料毎の最小、第1四分位数、中央値、第3四分位数、及び最大RFUを、各箱型図に示す。各試料の抗dsDNA保有率を緑色でプロットする。C.SLE及びHDにおけるプレート中央値正規化のために使用される試料特異的中央値スケーリング因子。0.4未満の試料スケーリング因子を有する試料は、品質管理で不合格であった、プレートRFU中央値より2.5倍大きいRFU中央値を意味する。軽減プロトコルは、ルール・ベースド・メディスン(Rules Based Medicine)との相関を改善する。標準プロトコル及び軽減プロトコルの両方から生成した50例のHD、抗dsDNA-SLE試料、及び抗dsDNA+SLE試料における対応のあるRBM及びSomalogic測定値のスペアマン相関を示す密度プロット。測定値の75%が特定の試料群においてLLOQを上回ったRBM分析物のみを、相関分析に使用した。分析物の大部分は、高い再現性を示す。A.同じ日に同じプレート上で(A)、及び軽減プロトコル下で、異なる日に異なるプレート上で(B)実行された、試料のRFUの再現性。箱型図は、HD、抗dsDNA-SLE、及び抗dsDNA+SLE試料の3回の反復実験の間のCVの10パーセンタイル及び90パーセンタイル、四分位範囲、及び中央値分布を表す。
【
図2】インターフェロンタンパク質シグネチャー(IFNPS)の同定。A.ラッソ回帰における特徴選択のために使用されるタンパク質測定値の選択を示すベン図。34個のSomalogicタンパク質測定値は、IFNGSに対して>0.3のピアソン相関を示し、インビトロ又はインビボヒト実験を通してI型IFNにより誘導可能な遺伝子発現を有することが知られていた。B.5倍交差検証の10回の反復を通して予測された、ラッソ回帰モデルに入力される特徴の数を変化させたIFNGSとのI型IFNタンパク質スコアの平均ピアソン相関。λの最適値もまた、5倍交差検証の10回の反復により選択した。特徴選択を、IFNGSに対して正の独立した関連を有するタンパク質に限定した。タンパク質をHD平均値及び標準偏差に対してスケーリングしてから、ラッソ回帰モデルを適合させた。C.通常最小二乗回帰を使用してIFNα/β21-遺伝子シグネチャーに再適合させた4つのタンパク質シグネチャーからの回帰係数。D.4つのタンパク質のI型IFNシグネチャーとIFNGSの間の一致を示す散布図。ピアソン相関を使用して算出したR値。マイクロアレイ及びルール・ベースド・メディスン(Rules Based Medicine)(RBM)によるIFNPS成分の独立した確認。独立したプラットフォームにおける4つのタンパク質のI型IFNシグネチャーのSomalogic測定値の成分の検証。シグネチャーの各成分に関する、Somalogic測定値と、RBMによるタンパク質測定値又はマイクロアレイによって測定された対応のある遺伝子発現との間の、ペアワイズスピアマン相関を記載する。Somalogic BLCタンパク質測定値とHGU133 Plus 2.0マイクロアレイによって報告されたBLC遺伝子発現測定値との相関を除き、全ての相関は有意(p<0.001)であった。
【
図3】IFNPSは、IFNGS試験高値患者の大部分(89%)について、またIFNGS試験低値患者のサブグループ(26%)についても、健常ドナーを上回って上昇した。A.SLE及びHDにおける21遺伝子のIFNα/βシグネチャーの保有率を示す密度プロット。B.HD及びSLE患者における4つのタンパク質のI型IFNシグネチャー。C.IFNα/β遺伝子シグネチャーの低保有率及び高保有率のHD及びSLE患者におけるIFNα/β遺伝子シグネチャーの保有率。D.IFNα/β遺伝子シグネチャーの低保有率及び高保有率のHD及びSLE患者におけるI型IFNタンパク質シグネチャーの保有率。SLE患者の各群とHD間の統計学的比較を、曲線下面積(AUC)及びマン・ホイットニーのU検定から報告されたp値で記載した。
【
図4】リンパ球数に対するT細胞数、B細胞数、NK細胞数、単球数、及びDC数(好中球なし)、並びにリンパ球数に対する好中球数、T細胞数、B細胞数、NK細胞数、単球数、及びDC数を示す。
【
図5】82例のSLE患者及び48例の健常ドナーのコホートにおいて、IFNGS試験高値患者の大部分(49/55、89%)について、またIFNGS試験低値患者のサブグループ(7/27、26%)についても、タンパク質シグネチャーが健常ドナーを上回って上昇したことが判明したことを示す。
【
図6】IFNPSはSLE全般疾患活動性指数(SLEDAI)と相関する。SLE患者におけるIFNGSとSLEDAIの間(A)、及び4つのタンパク質のI型IFNシグネチャーとSLEDAIの間の相関を示す散布図。B.特定のSLE症状を有するSLE患者及び有さないSLE患者の識別におけるIFNGS及びIFNPSのAUC。白血球減少症の閾値は<3000WBC/μl。マン・ホイットニーのU検定を使用して報告されたP値(***p<0.001、**p<0.01、*p<0.05、p<0.10)。
【
図6】(続き)IFNPSはリンパ球減少症及び非リンパ球減少症SLE患者のいずれにおいてもSLEDAIと相関する。C.非リンパ球減少症SLE患者及びB.リンパ球減少症患者における、IFNGSと4つのタンパク質のI型IFNシグネチャーとの関係を示す散布図。リンパ球減少症の閾値は<1000リンパ球/μl。通常最小二乗回帰を使用して適合させた両方のシグネチャー間の回帰直線。スピアマン相関を使用して報告された相関係数及びp値。
【
図7】IFNARを中和するモノクローナル抗体であるアニフロルマブによる治療前後のSLE患者のIFNPSのモニタリングを示す。