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特許7522751プレスのためのフレームのシステム、及びプレス・フレーム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-17
(45)【発行日】2024-07-25
(54)【発明の名称】プレスのためのフレームのシステム、及びプレス・フレーム
(51)【国際特許分類】
   B30B 15/04 20060101AFI20240718BHJP
   G06F 30/10 20200101ALI20240718BHJP
【FI】
B30B15/04 B
B30B15/04 Z
G06F30/10 100
【請求項の数】 31
(21)【出願番号】P 2021548572
(86)(22)【出願日】2020-02-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-13
(86)【国際出願番号】 DE2020100083
(87)【国際公開番号】W WO2020169146
(87)【国際公開日】2020-08-27
【審査請求日】2023-01-10
(31)【優先権主張番号】102019001285.2
(32)【優先日】2019-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】321004851
【氏名又は名称】アイダ ヨーロッパ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】AIDA EUROPE GmbH
【住所又は居所原語表記】Birkenweg 4, 88250 Weingarten, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100153822
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 重之
(72)【発明者】
【氏名】トーマス シュピースホーファー
(72)【発明者】
【氏名】アネット プフォール
(72)【発明者】
【氏名】アントン レントラー
(72)【発明者】
【氏名】エルマー ヴェーバー
【審査官】石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-087899(JP,A)
【文献】特開2001-079696(JP,A)
【文献】実開昭61-018811(JP,U)
【文献】特開平08-118094(JP,A)
【文献】特開昭53-118093(JP,A)
【文献】特開2000-042797(JP,A)
【文献】実開昭51-035776(JP,U)
【文献】特開平11-197894(JP,A)
【文献】特開平06-143000(JP,A)
【文献】特開平08-197296(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0107597(US,A1)
【文献】特開2003-230993(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第19704776(DE,A1)
【文献】特許第6013546(JP,B1)
【文献】独国特許発明第00919031(DE,C1)
【文献】中国実用新案第201264376(CN,Y)
【文献】米国特許第05394723(US,A)
【文献】特開2016-022526(JP,A)
【文献】特開2000-343297(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B30B 15/04
G06F 30/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレスのためのフレームのシステムであって、プレス・フレーム(1)として、
サイドスタンド(2)と、
ヘッド・ピース(3)を伴う上側横断連結部と、
プレス・テーブル(4)を伴う下側横断連結部(4)として構成された構造ユニットを備え、
前記プレスの静的な力及び動的な力を受ける、閉じられた、且つ解放可能に接合されるフレームを形成し、
a)長さ(L)を有する前記サイドスタンド(2)は、構造ユニットとして製造され、タイ・ロッドなしで、力ロック式又は力・形状ロック式接合幾何構造(5)、並びに解放可能連結手段(5.1)によって、横断連結部(3、4)に横方向又は縦方向に境を接して接合可能であり、
b)前記サイドスタンド(2)は、前記プレスの操作力(Fp)のもとで引っ張り応力を受け、
c)少なくとも1つの前記サイドスタンド(2)は、ほかのサイドスタンドと異なる設計がされた構造を有し、前記サイドスタンドが、前記サイドスタンド(2)へと非対称に導入される前記操作力のもとで対称に変形するように設計される構造を有し、作用するプレス力に応じて差異化された断面領域を有し、サイドスタンド(2)の少なくとも1つの典型的な断面領域が、開いた又は閉じた及び/又は非対称の形状における断面に形成されており、以て、前記プレス・フレーム(1)は、タイ・ロッド・ブレーシング(6)により連結されるプレス・フレーム(1)と比較して、低減された垂直たわみ(v2)を有する、
プレスのためのフレームのシステム。
【請求項2】
プレスのためのフレームのシステムであって、プレス・フレーム(1)として、
サイドスタンド(2)と、
ヘッド・ピース(3)を伴う上側横断連結部と、
プレス・テーブル(4)を伴う下側横断連結部(4)として構成された構造ユニットを備え、
前記プレスの静的な力及び動的な力を受ける、閉じられた、且つ解放可能に接合されるフレームを形成し、
a)長さ(L)を有する前記サイドスタンド(2)は、構造ユニットとして製造され、タイ・ロッドなしで、力ロック式又は力・形状ロック式接合幾何構造(5)、並びに解放可能連結手段(5.1)によって、横断連結部(3、4)に横方向又は縦方向に境を接して接合可能であり、
b)前記サイドスタンド(2)は、前記プレスの操作力(Fp)のもとで引っ張り応力を受け、
c)少なくとも1つの前記サイドスタンド(2)は、ほかのサイドスタンドと異なる設計がされた構造を有し、前記サイドスタンドが、前記サイドスタンド(2)へと非対称に導入される前記操作力のもとで対称に変形するように設計される構造を有し、作用するプレス力に応じて差異化された断面領域を有し、サイドスタンド(2)の少なくとも1つの典型的な断面領域が、開いた又は閉じた及び/又は非対称の形状における断面に形成されており、以て、前記プレス・フレーム(1)は、タイ・ロッド・ブレーシング(6)により連結されるプレス・フレーム(1)と比較して、低減された垂直たわみ(v2)を有し、
関係v2≦1/n*v1に従って設計され得るものであり、n=(s+k)/(s+1)であり、
v1=Fp1の作用のもとでの張力をかけられるシステムの垂直たわみ、
v2=Fp2の作用のもとでの本発明による前記システムの前記垂直たわみ、
n=有利因子、
s=剛性比率、及び、
k=コスト因子である、
レスのためのフレームのシステム。
【請求項3】
前記サイドスタンド(2)は、前記上側横断連結部(3)又は前記下側横断連結部(4)から生じる、異なるタイプの曲がり傾向性を相殺するように構造的に設計されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のプレスのためのフレームのシステム。
【請求項4】
マルチ・スライド・プレスにおいてのデュアル・サイドスタンドとして構成されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のプレスのためのフレームのシステム。
【請求項5】
前記サイドスタンド(2)の、剛性が関連する断面領域は、能動的ブレーシングによって剛性を増大するための追加的な断面を受けることを特徴とする、請求項1又は2に記載のプレスのためのフレームのシステム。
【請求項6】
前記サイドスタンド(2)及び横断連結部(3、4)を連結する、力・形状ロック式接合幾何構造(5)、接合手段(5.2)、並びに解放可能連結手段(5.1)は、前記作用するプレッシング力に応じて設計され、過荷重保護を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載のプレスのためのフレームのシステム。
【請求項7】
前記プレス・フレーム(1)を形成するために連結される、前記サイドスタンド(2)及び接合幾何構造(5)を伴う前記横断連結部(3、4)を受け、タイ・ロッド・ブレーシングを用いずに、プレスの、形状変化、及びすべての前記応力、及び操作の形の変化を受けさせられる前記フレームは、輸送又は操作状態において前記プレスの機能構造ユニット(7)を受けるための、少なくとも一つの構造ユニット又は輸送ユニットを有することを特徴とする、請求項1又は2に記載のプレスのためのフレームのシステム。
【請求項8】
少なくとも一つのサイドスタンド(2)は、
a)前記プレスの、中心を外れた操作力を考慮に入れ、構成要素の損傷を回避すること、
b)スライド・ガイドにおいての、不利な、形状の弾性変化、若しくは遊びの変化を相殺すること、又は、
c)マルチ・スライド・プレスを最適化すること
を行いながら、他のサイドスタンド(2)との関係において非対称に、永続的に寸法設定又は設計され得ることを特徴とする、請求項1又は2に記載のプレスのためのフレームのシステム。
【請求項9】
前記サイドスタンド(2)のうちの少なくとも一つは、アクスル・ボルトなどの駆動機構の部品が、関連する前記ヘッド・ピース(3)において、前記ヘッド・ピース(2)又は前記プレスの前記長さを低減するために、適した開いた断面、又は、同様の装着開口部を有する、前記サイドスタンド(2)の領域内に配され得るように構築されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のプレスのためのフレームのシステム。
【請求項10】
少なくとも一つの過荷重保護手段が、接合幾何構造(5)、又は接合手段(5.2)、又は少なくとも一つの連結手段(5.1)により形成されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のプレスのためのフレームのシステム。
【請求項11】
前記プレス・フレーム(1)の過荷重保護のために、過荷重保護手段が、最大プレッシング力(Fp)が超過されたときにたわむ、せん断ボルト、弾性形状ロック式連結部又は力ロック式円筒連結部、液圧の、又は予荷重をかけられた機械ばねなどの、予め決定された破断連結部として設計され、前記サイドスタンド(2)内に、又は、前記サイドスタンド(2)と前記横断連結部(3、4)との間に配置されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のプレス・フレーム(1)。
【請求項12】
力ロック式又は力・形状ロック式接合幾何構造(5)、又は解放可能連結手段(5.1)は、予め決定された破断要素、弾性連結部、液圧で予荷重をかけられたばね要素、機械的に予荷重をかけられたばね要素、又は摩擦要素として形成されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のプレス・フレーム(1)。
【請求項13】
接合幾何構造(5)及び連結手段(5.1)の位置及び形状により影響され、前記プレスの変形及び局所応力状態に積極的に作用する、有利なパワーフローを特徴とする、請求項1又は2に記載のプレス・フレーム(1)。
【請求項14】
○ 幅広の冠部のフェザ・キー、又は、
○ ダブテール連結部、又は片側斜角を伴うダブテール連結部もしくは、
○ シングル若しくはマルチ・パートくさび及びフェザ・キー
によって、前記横断連結部(3、4)のたわみを相殺する少なくとも一つの設計を特徴とする、請求項1又は2に記載のプレス・フレーム(1)。
【請求項15】
連結手段(5.1)であって、少なくとも一つの
○ ばねで作動させられる円錐締め付けシステム、又は、
○ 液圧締め付けシステム、又は、
○ ばねで荷重をかけられるシングル若しくはマルチ・パートくさびシステム、又は、
○ 重量で張力をかけられるシステム
によって、接合幾何構造(5)などの連結部においての進入及び定着現象を補償するために、前記連結手段の予荷重かけ力を自動的に調整する、連結手段(5.1)を特徴とする、請求項1又は2に記載のプレス・フレーム(1)。
【請求項16】
位相オフセットを有する場合にも異なるステージ力を好適に相殺するように、及び、前記操作力のもとでの前記プレス・フレーム(1)の(非対称的な)総体的変形の傾向性を低減するように、前記プレス又はプレス・ステージの入口側及び出口側における構造的に異なって設計されるサイドスタンド(2)を特徴とする、請求項1又は2に記載のプレス・フレーム(1)。
【請求項17】
とりわけ最大操作力の有効範囲においての、低減されるスライド・ガイド遊びに起因する、工具内部ガイドを用いない設計を特徴とする、請求項1又は2に記載のプレス・フレーム(1)。
【請求項18】
フレッティング腐食を防止するための、前記サイドスタンド(2)と横断連結部(3、4)との間の相対的運動の、対象を絞った生成のための、接合幾何構造(5)内の、局所的に、又は大きい区域にわたって使用される滑動要素を特徴とする、請求項1又は2に記載のプレス・フレーム(1)。
【請求項19】
前記プレス・フレーム(1)の総体的剛性を増大するための、隣接するサイドスタンド(2)同士を連結する横材を特徴とする、請求項1又は2に記載のプレス・フレーム(1)。
【請求項20】
締め付け要素が、例えば過荷重保護のため、又は、スライド重量のカウンタバランスをとるために、機能又はデバイスに操作的に連結されることを特徴とする、請求項18又は19に記載のプレス・フレーム(1)。
【請求項21】
○ 自動化のための駆動ユニット、又は、
○ 装置を含む流体ユニット、又は、
○ 知覚性部品/ワークピース・モニタリング、又は、
○ 光バリア、又は、
○ 照明システム
を備える機能構造ユニット(7)として実現される横断及び縦方向横材を特徴とする、請求項1又は2に記載のプレス・フレーム(1)。
【請求項22】
前記解放可能連結手段(5.1)は、外に外れることを防止する、軸方向に装着されるアクスル・ボルト及び構成要素であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のプレス・フレーム(1)。
【請求項23】
前記プレス・フレーム(1)の剛性の可変調整のために、必要とされるときに能動化され得る少なくとも一つの締め付け要素を特徴とする、サイドスタンド(2)と上側及び下側横手方向接合部(3、4)とを備える、請求項1又は2に記載のプレス・フレーム(1)。
【請求項24】
前記締め付け要素は、液圧で、電動で、空気圧で、熱的に、又はセンサにより能動化され得ることを特徴とする、請求項23に記載のプレス・フレーム(1)。
【請求項25】
前記解放可能に接合されるフレームは、相互に異なる高さ(L)を有するサイドスタンド(2)、並びに/又は、相互に異なる幅(b)を有する上側及び下側横断連結部(3、4)を備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載のプレス・フレーム(1)。
【請求項26】
前記プレスの最終構造ユニット寸法(B)と比較して、前記構造ユニット上側又は下側横断連結部(3、4)を備える一時的輸送ユニットの、より小さい輸送寸法(b)を特徴とする、請求項1又は2に記載のプレス・フレーム(1)。
【請求項27】
コンクリート基礎支持体に代わる、下向きの前記サイドスタンド(2)の延伸を特徴とする、請求項1又は2に記載のプレス・フレーム(1)。
【請求項28】
一時的輸送ユニットとしての、又は、プレス操作のための、前記プレスの機能構造ユニット(7)である、
○ 付属品と一体のいわゆる自動化システムの駆動ユニット、
○ 照明及び光学監視のための横材、
○ 油タンク、空気タンク、工具潤滑/引抜きエージェント、
○ サーボ駆動のための液圧管路、冷却管路、及び電力ケーブル、
○ 制御/調節/スイッチ・ボックス、
○ 制御パネル、他の操作要素、
○ 手動補助デバイス、洗浄デバイス、閃光灯、工具、被圧縮空気のためのサービス・ボックス、
○ 他のセンサのための付属品、
○ 振動減衰要素
のうちの少なくとも一つに対して、少なくとも、一つのサイドスタンド(2)に形成されるコンセントを特徴とする、請求項1乃至27のいずれか一項に記載のプレス・フレーム(1)。
【請求項29】
a)長さ(L)を伴って生産され、タイ・ロッド・ブレーシング(6)を用いずに、力ロック式若しくは力・形状ロック式接合幾何構造(5)、並びに解放可能連結手段(5.1)によって、横方向若しくは縦方向に前記横断連結部(3、4)に取り付けられることになる前記サイドスタンド(2)、又は、
b)前記プレスの操作力(Fp)のもとで張力を受けさせられることになる前記サイドスタンド(2)、又は、
c)低減された垂直たわみ(v2)を伴って設計されることになる前記プレス・フレーム(1)
の構造設計のための、請求項1又は2に記載のプレス・フレーム(1)のシステムのためのコンピュータ・プログラムであって、
関係v2≦1/n*v1に従って前記低減された垂直たわみv2を決定するためのプログラム・ステップを組み込むことを特徴とし、n=(s+k)/(s+1)であり、
v1=Fp1の前記作用のもとでの張力をかけられるシステムの垂直たわみ、
v2=Fp2の前記作用のもとでの本発明による前記システムの前記垂直たわみ、
n=有利因子、
s=剛性比率、及び、
k=コスト因子である、
コンピュータ・プログラム。
【請求項30】
プレス・フレーム(1)として、サイドスタンド(2)を伴う構造ユニットと、ヘッド・ピース(3)を伴う上側横断連結部と、プレス・テーブル(4)を伴う下側横断連結部(4)とを備える、フレーム、並びに、前記プレスの静的な力及び動的な力を吸収する、閉じられた、且つ解放可能に接合されるフレームを備え、請求項1から28のいずれか1項に記載のプレス・フレーム(1)のシステムのための、制御及び調節デバイスであって、
a)プレス・フレーム(1)と、サイドスタンド(2)と、上側横手方向連結部及び下側横断連結部(4)とを備える前記構造ユニットにおける荷重の、前記プレスの静的な力及び動的な力に関係するデータを受信するために前記システム内で対応する、ひずみゲージであることが好ましい、少なくとも一つの測定手段と、
b)コンピュータにおける前記データの評価と、
c)前記プレス・フレーム(1)の構造ユニットの弾性挙動に対する制御/調節対策のために、前記プレスの静的な力及び動的な力に関わるデータを出力することと
を特徴とする、制御及び調節デバイス。
【請求項31】
能動化可能締め付け要素による、前記サイドスタンド(2)の、剛性が関連する断面の能動的ブレーシングのための、前記プレス・フレーム(1)の剛性の荷重依存制御/調節される可変調整を特徴とする、請求項30に記載の制御及び調節デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレスのための分離可能フレームのシステム、及び、それに応じて構築されるプレス・フレームに関係し、それぞれのプレス・フレームは、サイドスタンドと、上側横断連結部としてのヘッド・ピースと、下側横断連結部としてのプレス・テーブルとを含み、工具を使用して成形加工するためにスライド駆動装置などの、プレスの任意の必要な機能のための静的な力及び動的な力を吸収する閉じられたフレームを構造ユニットとして形成する。そのようなフレーム状のプレス・フレームは、O形状プレス・フレームとも呼称されるが、すべてのサイズ及びタイプのプレスに適するものであり、中でも、2コラム・プレスとしての、及び、四つのコラムを伴うコラム設計としての、又は、マルチ・スライド・プレスにおいての「2+2×スライドの数」個のコラムとしての、それらのフレームの設計に依存して異なる。
【0002】
本発明は、更には、プレス・フレームのシステムのためのコンピュータ・プログラム並びに制御及び調節デバイスに関係する。
【背景技術】
【0003】
DE102013108299B4は、プレス・フレームを、プレス・フレーム及びプレスを組立てるための方法と共に説明している。特に、鍛造プレスに対して、このプレス・フレームは、更にはヘッド・ピースと呼称される上側ビームと、下側横断連結部としての下側ビームとを有し、サイドスタンドが、上側ビームと下側ビームとの間に配置構成される。上側及び下側ビームは、タイ・ロッドによって互いに対してブレーシングされ、サイドスタンドが介挿されている。
【0004】
そのようなO形状プレス・フレームの開発を、鋳鉄から作製されるワン・ピース・フレームから、被溶接構造ユニットから作製されるマルチ・ピース・フレームまでたどることができる。一方では、それらのプレス・フレームは、すでに、元々鋳造されるフレームにおいて強度及び張力の観点から重大な意味をもつ、ヘッド・ピース(上側ビーム)と側方スタンド(サイドスタンド)との間の移行部(円弧)を回避可能にするために、水平に分離可能であるように設計されている。他方では、鋳造材料から作製される一体形フレームは、当時すでに、鋳造材料の材料特質が、例えば達成されるべきプレスの主剛性に関して、補償及び/又は改善されることを必要としたとき、タイ・ロッドによってブレーシングされている。
【0005】
特に、成形、切断、又はパンチング・プレスの事例において、そのような又は同様に構築されるプレス・フレームは、スライドに対する回転又は並進駆動機構を収容しなければならず、持ち上げ動きを実行し、上側工具を備え、下側工具を有するテーブルに対して作用する。
【0006】
このタイプのフレームとして、プレス・フレームは、複雑な操作力に応じて設計されることになる。このことは、例えば、シングル・プレス、トランスファ・プレス、プレス・ライン、マルチ・スライド・プレス、マルチプル・ダイ・プレスという種に対して使用されるすべてのプレス・フレームに当てはまる。
【0007】
これらの複雑な力を吸収するために、被介挿サイドスタンドが上側横断連結部(ヘッド・ピースなど)及び下側横断連結部(プレス・テーブルなど)に対してタイ・ロッドによって予応力をかけられる、プレス・フレーム構築物が開発されている。
【0008】
作業圧力により引き起こされる、及び、機械部材に作用する力を制御することができるために、重さがあるプレスは、なかんずく、DE1938279A、DE2239147A、DE2818511C2、DE3007975C2、及びEP262593B1において詳述されているように、次第にタイ・ロッドを備え付けられるようになってきた。
【0009】
これらのタイ・ロッドは、例えば成形プロセスの間の、フレーム上の引っ張り荷重の結果、個々の構成要素の間の予応力の損失を防止する、例えば、サイドスタンドからのヘッド・ピースのいわゆる持ち上げを防止することを意図される。
【0010】
従来型のフレームの、タイ・ロッド連結部の残留締め付け力、及びかくして過荷重保護は、予応力をセットすることにより、十分な正確度を伴って規定され得るということが知られている。
【0011】
タイ・ロッドの使用の理由は、一般的には、複雑な荷重を受けやすい機械システムの構成要素においてのたわみ及び応力などの、形状の弾性変化に影響を及ぼすことである。
【0012】
プレス・フレームの個々の構成要素において動的荷重により引き起こされる損傷の相当量の割合が阻止されなければならないという認識が浮上してきた。
【0013】
最終的に、このことは、タイ・ロッドに予荷重をかけることにより、プレス・フレームのたわみを低減する結論につながった。
【0014】
しかしながら、テンション・ロッド予荷重が静的荷重及び残留締め付け力に影響を及ぼすという、結果的に生じる効果は、プレスの疲労強度に対して決定的であり、操作者側での有用な値である、プレスの正確度、並びに主として、プレス・フレームのスプリング・バック及び動的荷重かけに関する有意パラメータを調査することの問題を覆い隠した。
【0015】
動的及び静的荷重判断基準に加えて、プレス・フレームを開発する専門家及び設計者は、更には、以下のことを考慮に入れなければならない:
・プレス・フレームは、クロス・メンバ、サイドスタンド、圧力点、タイ・ロッド、コネクチング・ロッド、ギヤ、軸受、シャフト、アクスル、及びモータなどの駆動要素などの、プレスの機能的に重要な部品が、全部分の、又は、部分的に予製作された形設ユニットとして、輸送可能でなければならないように構築されるべきである。
【0016】
・被選択部品の外部寸法は、更には、世界中でのコンテナ内でのコスト効果的輸送を可能にするように、典型的なコンテナ寸法の中に収容され得るものでなければならない。
【0017】
・被溶接部品は、それらの部品が、安価で製造され、小輸送体積を有し得るものであり、容易な組立て/解体のために設計され得るように、それらの部品が、溶接技術を使用して容易に製造され、更には、穴及び表面が接合されることなどの、最小量の機械加工操作を有し得るような方式で設計されなければならない。
【0018】
・プレスの弾性特質及び運用寿命に対する、材料又は生産コストの、バランスのとれた比率の現実化。
【0019】
総体的には、重さがある大型の構成要素を、それらの構成要素の関連する高輸送コストを伴いながら、何らの問題もなく現場で組立てることができるために、並びに、時間及び材料を節減しながら、保守又は修理のためにそれらの構成要素を分解することができるために、ロジスティック的に複雑な条件が満たされなければならない。加えて、コスト節減様式でのそのような構成要素の予組立てが、更には可能であるべきである。
【0020】
全般的なプレス・フレームは、それゆえに、プレスの機能を決定する部品が関連性をもつということのみではなく、更には、完全な、又は、部分的に予組立てされたユニットとしての、それぞれのプレス・フレームの構造ユニットが、初期に、コスト効果的な、及び空間最適化された様式で、工場内で生産される後、世界中で輸送され、次いで、技術的に好都合な様式で、十二分に機能するプレスを形成するために、操作者の現場において、現場で設置され得るということであるように、構築されなければならない。
【0021】
最後に、高強度シート金属へと加工されることになるワークピースの開発、及び、工具の増大される複雑度は、プレスへの新たな負担を必然として伴う。
【0022】
特開2000-332500によれば、以下のことが、プレスに対するフレーム構造の容易な組立てに対して提案されている:
・ヘッド・ピース部材と、その端部において解放可能に連結される部品と、垂直コラム(サイドスタンド)とを伴うフレームを形成する、分離可能上側及び下側横断連結部。
【0023】
・ヘッド・ピース部材において、これらの部品内の連結表面を有する凹部と整合する、連結表面を伴う突出部が、形成され、操作の間のプレス・フレーム内のパワーフローを可能にし、分離可能横断連結部の関連する部品が、締結具(ねじ、すなわち、ねじ山を付けられた棒)によって互いに取り付けられ、補償調整ピースが、突出部と凹部との間に配置構成される。
【0024】
被分離サイドスタンドは、タイ・ロッドによって、横断連結部の、上側及び下側の、中間の、及び垂直に延伸された分離部に対してブレーシングされる。サイドスタンドにおいてのOフレームの水平分離部が、ヘッド・ピース部材においての垂直分離部において延伸され、そのことが、技術的及びロジスティック的に有利である、より短いヘッド・ピース部材を結果的に生じさせる。
【0025】
プレス操作により引き起こされた従来技術プレス・フレームにおいての不都合な損傷は、横断連結部及びサイドスタンドにおいて主に発生したが、タイ・ロッドにおいては発生しなかったということを試験が示している。
【0026】
技術的視点からは、タイ・ロッドは、高品質被鍛造材料から作製され、構造特徴(上側横断連結部の高さ、プラス、コラムの高さ、プラス、下側横断連結部の高さ、プラス、タイ・ロッド・ナットの高さ)に起因して、少なからぬ長さを有するということが注目すべきである。このことは、材料及び組立てコストの特異的に高い支出を結果的に生じさせる。プレス操作者は、プレスの総体的高さを収容するために、深い穴蔵くぼみを伴う高い建物を要する。
【0027】
翻って、プレス・フレームのサイドスタンドは、溶接生産プロセス、及び、動的荷重の永続的吸収を満足させるために、より高価でない材料から作製され得る。
【0028】
異なる側面への着目によって、このようにして分析されるプレス・フレームは、以下のように説明され得る:
・タイ・ロッド及びサイドスタンドは、異なる品質の材料から作製されるが、それらは、プレス・フレームにおいて同じ動的変形を必然的に受けやすい。
【0029】
・プレス・システムの高品質及びコスト集約的構成要素として、タイ・ロッドは、更には、莫大な調達及び組立てコストに起因して、プレス操作により引き起こされる損傷から保護されなければならず、それゆえに、プレス・フレームのタイ・ロッド連結部(拡大ねじ連結部に類する)が、一方では、対応して高い予応力の力又は残留締め付け力によって、過荷重かけ、又は、互いからの構成要素の持ち上げに対して保護するように設計されるべきである。他方では、タイ・ロッドの断面区域、及び構成要素断面は、加えて、耐久性のある解決策を達成するために最小数量の材料が指定され得るように、所定の最小比率を伴って寸法設定されなければならない。
【0030】
・顧客により用意される複雑な工具を含むプレス・システム(プレス機械装置)の高い総体的価値、及び、修理の事象においてのコストが関連性をもつ休止時間に起因して、関心の的は、プレス・システムの、及び工具の、可用性及び安全性並びに保護についてであり、以て、
○ プレス・フレーム(伝統的に積荷目録に載せられる)は、タイ・ロッドにより定められる構築に起因して特大であり、
○ タイ・ロッドの予荷重(=操作力の1.3倍)は、追加的な静的荷重をコラムに、又は、アンカ・ナットの表面圧力をヘッド・ピースにかける。
【0031】
総体的には、専門職の世界は、かくして、コラム及び横断連結部においての動的荷重の損傷を与える割合を相殺するために、高価なタイ・ロッド・ブレーシングによって、閉じられたフレームの形式で、任意の要されるプレス機能及び工具に対する、静的な力及び動的な力を吸収する、サイドスタンドと横断連結部とからなるプレスのプレス・フレームを接合することの設計慣例を受け入れた。
【0032】
自動車産業において、例えば、アルミニウム材料又はファイバ複合体材料の使用量を増大することにより、移動質量を低減するための取り組みがなされている。また、鋼材料が、依然として使用されている。しかしながら、重量節減は、単に、より薄い出発材料、及びかくして、より薄い構成要素によって達成され得るので、材料の強度は、すなわち、いわゆる高強度シート金属を加工することにより、安全性及び強度側面を満たすために増大されなければならない。
【0033】
このことは、正確度パラメータ、及び、要されるプレッシング力に関して、プレスなどの成形機に、増大される負担をかける。
【0034】
よって、従来型の設計は、タイ・ロッドの断面、及び、プレス・フレーム又はそのサイドスタンドの断面の両方に関して強化されなければならず、そのことは、プレスのコストを不利に増大する。
【0035】
更なる参考文献は、特開2005-279747、特開2003-230993、CN2500469Y、CN201394915Y、CN202045910U、WO2009/064500A1、CN201264376Y、又はDE10344635A1である。更なる参考文献は、DE19704776A1,特許6013546B1,特開2003-230993A,実開昭61-18811U,DE919031C,CN201264376Y,DE4239641A1及び特開2016-022526Aである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0036】
より高いプレッシング力、要される正確度、及び経済的側面の問題を満足させることができるために、プレス操作から結果的に生じる制御可能応力状態を伴うプレス・フレームを創出することが、本発明の目的であり、そのプレス・フレームの構成要素は、動的及び静的に作用する力を吸収するフレームを形成するために、技術的に有利な様式で接合され得るものであり、プレス・フレームは、材料使用量を最適化しながら、velzによる、増大された疲労強度と、低減された垂直弾性たわみとを有する。
【0037】
この事例において、それぞれのプレス・フレームの部品又は構造ユニットは、十二分に機能するプレスへの技術的に安価な現場での組立てを伴いながら、完全な、又は、部分的に予製作された構造ユニットとして、それらのユニットの製造の後に、コスト効果的な、及び空間最適化された様式で、世界中で輸送可能であるべきである。
【0038】
その上、コンピュータ・プログラム並びに制御及び調節デバイスが、プレス・フレームのシステムから結果的に生じる相乗作用から創出されることになる。
【0039】
タイ・ロッド剛性、コラム剛性、及び、横断連結部の剛性の組み合わせが、フレームを形成するプレス・フレームの総体的剛性に対して重要である。
【0040】
熟練者の視点からは、たわみは、プレスの特有の正確度パラメータとして、より厳密に考慮されるべきであり、なぜならば、そのたわみは、プレス操作の間のフレームの最大、垂直、及び弾性変形を特徴付け、タイ・ロッド及びねじ連結部によってブレーシングされるサイドスタンドの総体的剛性の特性を示すからである。
【0041】
上述の剛性は、弾性率、構成要素の高さ、及び、有効断面のサイズにより決定される。被選択鋼材料は、考慮中の材料の最も高い弾性率をすでに有し、以て、弾性率はもはや増大され得ないということに、ここでは留意すべきである。
【0042】
プレス・フレームの構成要素高さは、一方では、被製造ワークピースの幾何構造により機能的に決定され、他方では、作用する力を制御及び吸収することを要される構成要素の寸法により物理的に決定される。
【0043】
プレス・フレームの弾性特質を改善するために、設計者は、単に、用いられる材料の使用量によって、断面の寸法、及び、関連するコストに影響を及ぼすことの選択案を有する。
【0044】
本発明の理解のために、及び、冒頭において指定された異なるプレス・タイプによって、プレス・フレームにおいてのフレームの、以下の配置構成の間の区別がなされるべきである:
・例えばシングル・プレスに対する、二つのサイドスタンド並びに上部及び下部横断連結部からプレス・フレームに接合される単一フレーム、
・少なくとも四つのサイドスタンドから、又は、マルチ・スライド・プレスにおいてのように、「2+2×スライドの数」個のサイドスタンドから組成されるプレス・フレームを結果的に生じさせる、上側及び下側横断連結部によって二つのサイドスタンドから各々のフレームが形成される、互いの背後に一体で配置構成されるいくつかの並列フレーム、
・プレス・フレームが、上側及び下側横断連結部によって接合される少なくとも三つのサイドスタンドの配置構成を含むように、列をなして配置構成されるいくつかのフレーム。
【課題を解決するための手段】
【0045】
請求項1において記載される本発明によれば、プレスのためのフレームのシステムは、サイドスタンドを伴う構造ユニットと、ヘッド・ピースを伴う上側横断連結部と、プレス・テーブルを伴う下側横断連結部とを含み、プレスの静的な力及び動的な力を吸収する、閉じられた、及び取り外し可能に組立てられるフレームを形成し、
a)サイドスタンドは、決定可能な最適長さを伴って製造され得るものであり、タイ・ロッドを用いずに、力ロック式又は力及び形態係止接合幾何構造/表面、並びに解放可能連結手段により、横断連結部に横方向又は縦方向に接合され得るものであり、
b)サイドスタンドは、プレスの力などの操作力のもとで引っ張り応力を受けさせられ、
c)サイドスタンドは、それらのサイドスタンドが、サイドスタンドへと非対称に持ち込まれる操作力のもとで対称に変形するような方式で設計され、
d)作用するプレス力に対応する異なる断面領域を有し、以て、プレス・フレームは、タイ・ロッド・ブレーシングにより接合されるプレス・フレームと比較して、低減された垂直たわみを有する。
【0046】
このシステムによって、サイドスタンドへと非対称に持ち込まれる操作力に相応の対称変形能に起因して、作用するプレス力に対応する異なる断面領域が創出され得るものであり、プレス・フレームは、低減された垂直たわみを経験するということを強調しておきたい。
【0047】
上記で分析された従来技術、すなわち、プレス・フレームがタイ・ロッド・ブレーシングにより接合される場合と比較して、このことは、構造及び機能視点から、新しい、及び発明性をもつものであり、なぜならば、今までは、
・フレームを形成するプレス・フレームのシステムは、高いたわみを伴う、タイ・ロッド剛性、コラム剛性、及び、横断連結部の剛性の組み合わせを含んでいたものであり、又は異なる見方によれば、
・従来技術による従来型のタイ・ロッド及びサイドスタンドの間の動的荷重かけの、都合の悪い分布が、少なくともより高価な材料をタイ・ロッドが用いることを要した
からである。
【0048】
本発明の目的に相応の、すなわち、同時に材料の使用量を最適化しながら、低減される弾性垂直たわみを伴う、高められる疲労強度を有するプレス・フレームを構築するための、代替案として請求項2による、サイドスタンドと、ヘッド・ピースを伴う上側横断連結部と、プレス・テーブルを含む構造ユニットを伴う下側横断連結部とを含む、並びに、プレスの静的な力及び動的な力を吸収する、閉じられた、及び取り外し可能に接合されるフレームを形成する、プレス・フレームのシステムであって、低減された垂直たわみは、関係v2≦1/n*v1に従って設計され得るものであり、n=(s+k)/(s+1)であり、
・v1=Fp1の作用のもとでの張力をかけられるシステムの垂直たわみ、
・v2=Fp2の作用のもとでの本発明によるシステムの垂直たわみ、
・n=有利因子、
・s=剛性比率、及び、
・k=コスト因子
である、プレス・フレームのシステム。
【0049】
このシステムは、コスト因子と剛性比率とから組成される技術経済(有利)因子を考慮し、その関係性をたわみ挙動によって調査することの、より複雑な概念に基づくものであり、そのことは、発明性をもつ技術結果、又は、構造及び機能関係性に関して、下記でより詳細に解説されることになる。
【0050】
両方のシステムは、従属請求項3乃至11において記載される特徴を伴って構築される。
【0051】
以下の分析考察は、請求項1又は請求項2による、本発明による、タイ・ロッドを欠くサイドスタンドを伴うプレス・フレームを現実化することに対して関連性をもつ。
【0052】
プレス・フレームのすべての相互作用する部品は、特に、例として、工具(中心)の方向において変形し、いわゆる砂時計効果を形成する傾向にある、テーブル、スライド、及びヘッド・ピースの曲がりの結果として、サイドスタンドに作用する非対称力に起因する、プレッシング力のもとでの変形を経る。
【0053】
それゆえに、プレスを設計するとき、工具と直接的に協働する構成要素スライド及びテーブルの剛性は、スライド及びテーブルにおいて、例えば0.125mm/メートル装着表面の、従来型のたわみ値を確実にするように、特異的に大きさ設定される。ヘッド・ピースが、他方では、許容可能張力に対して大きさ設定され、テーブルより多く変形する。この設計は、プレスにおいて非対称構造を結果的に生じさせる。
【0054】
発明性をもつシステムによって、この影響は、用いられる材料断面の適合させられる設計により相殺される。プレッシング力にさらされるサイドスタンドは、そのことにより、それらのサイドスタンドが、古典的プレス設計によってよりも、少なく変形させられる、又は、対称的に変形させられるような方式で影響され得る。
【0055】
中心を外れた荷重によって、サイドスタンドの対は、例えば、出口側でよりも高いプレッシング力が入口側で発生するので、不均等に荷重をかけられる。入口側のサイドスタンドは、出口側のサイドスタンドよりも多く変形する。とりわけトランスファ・プレスに関して、この影響は、生産プロセスにおいて予め決定される。この非対称は、工具に対して、増大される工具摩耗と関連する、対応して長々しい始動を要し、更には、構築物と平行に指定され、小さいガイド遊びを有する、サイドスタンド上に配設されるスライド・ガイドが、これらの荷重にさらされる。剛性は、サイドスタンドの特異的非対称寸法設定によって影響され得るものであり、そのことにより、起こり得る悪影響を相殺する。
【0056】
また、サイドスタンドは、更には、プレス・フレームの剛性及び非対称寸法設定を、工具使用の異なる区域に、対応して異なる要件によって適合させるために、ブレーシング要素などの追加的な能動化可能構成要素を使用することにより、可変断面を伴って設計され得る。
【0057】
目標は、更には、ワークピースなどの被生産部品の高品質、及び、低摩耗による工具の長運用寿命を確実にするために、スライド・ガイドを、最も小さい可能なガイド遊びを伴って、可能な限り平行に(対称に)維持することである。
【0058】
加えて、中心を外れた操作力を伴うサイドスタンドの可能な非対称設計は、サイドスタンドにおいての、より均等な荷重分布、すなわち、より均一な応力状況を結果的に生じさせ、そのことは、サイドスタンドの、より高い疲労強度を結果的に生じさせる。
【0059】
目標は、特に中心を外れた操作力により引き起こされる、操作力のもとでの(互いに相対的な)サイドスタンドの非対称変形を回避することである。サイドスタンドは、傾斜などのスライドの、及びかくして上側工具の、傾いた姿勢を相殺するために、取り付けられたガイド・ストリップによってスライドの経路をガイドする(スライド・ガイド)。
【0060】
プレス・フレームの最適に修正された幾何分離部により特徴付けられる、及び、タイ・ロッドによるブレーシングを用いずに、それぞれのシステムは、従属請求項12乃至29において記載されるプレス・フレームの構築特徴及び詳細を伴って修正され得る。
【0061】
このことは、調達においてのみではなく、更には、製造、組立て、及び輸送において高コストを結果的に生じさせる、高価な構成要素に対する必要性をなくする。かくして、本発明によるそれぞれのシステム、驚くべきことに、プレス・フレームのサイドスタンド及び構成要素においてのシート金属厚さを最適化すること、並びに、より少ない弾性変形、特に垂直たわみの技術効果による、従来型の構築物と比較して多くない資本投資。被溶接構成要素においての溶接継目応力を低減する、より低い応力振幅が、有利な効果を有する。プレスの有利な使用に加えて、このことは、更には、被溶接部品に対する、より長い運用寿命を結果的に生じさせる。
【0062】
有利には、工具に対する設置空間の、及び機能働き区域の匹敵するサイズによって、並びに、材料の匹敵する総使用量によって、タイ・ロッドを用いないフレーム構築物としてのプレスの外部寸法が低減され得る。更にまた、横断連結部などの構造ユニットのサイズ及び重量は、技術的加工(応力除去焼きなまし)、及び、輸送システムを使用するロジスティック活動が、よりコスト効果的に、及び、空間節減様式で(クレーン、橋、道路)履行され得るように、制限又は低減され得る。
【0063】
(コラム断面を最適化することによる)垂直方向においての、並びに更には、横手方向及び縦方向横材(traverse)の使用により強化される、水平方向においての、本発明によって達成されるプレスの、より高い総体的剛性は、スライド・ガイドへの有利な効果を有し、かくして、工具においての内部ガイドを不要にする。
【0064】
同様に、スライド・ガイドの遊び(隙間)は、最大操作力の有効時間の間に影響を及ぼされ得る。従来型のプレスにおいて、コラムにおいての応力は、成形プロセスの間は除去され、コラムは、不定の大きさを伴って、不定の方向において変形する。タイ・ロッドを用いないプレスにおいて、コラムは、工具の中心の方への引っ張り荷重に起因して、成形プロセスの間に動き、ガイド遊びの低減を引き起こす傾向にあり、そのことは、工具においての内部ガイドを不必要にし得る。
【0065】
本発明によって構築される、タイ・ロッドを用いないプレス・フレームは、プレス・システムをセット・アップするときに、様々な新しい設計選択案を可能にする。例えば、下側横断連結部上のアンカ・ナットをなくすことにより、振動遮断される装置のばね要素が、最適化される振動絶縁のために位置決めされ得る。
【0066】
サイドスタンドを下向きに延伸することにより、基部においてのコンクリート基礎支持体が不要にされ得るものであり、すなわち、フレームは、プレスくぼみ基礎の床上に直接的に、ばね要素によって振動遮断されて配置される。
【0067】
請求項30によれば、本発明によって、低減された垂直ばねたわみvを決定するためのプログラム・ステップが、
a)タイ・ロッド・ブレーシングを用いずに、力ロック式若しくは形状ロック式接合幾何構造、及び取り外し可能連結手段を使用することにより、生産されることになる、及び、横断連結部に取り付けられることになるサイドスタンド、又は、
b)プレスの操作力のもとで引っ張り応力を受けさせられることになるサイドスタンド、又は、
c)低減された垂直たわみを伴って設計されることになるプレス・フレーム
の構造設計のためにコンピュータ・プログラムに組み込まれ得る。
【0068】
最終的に、本発明は、請求項31及び32によれば、コンピュータ内の対応する測定手段によりシステム内で記録される荷重のデータを評価するために、及び、特に、能動化可能締め付け要素を使用することによる、サイドスタンドの、剛性が関連する断面の能動的ブレーシングのために、プレス・フレームの構成要素の弾性挙動に関係する技術対策を制御/調節することを実行するためのデータを入力するために使用される、システムのための制御及び調節デバイスを含む。
【図面の簡単な説明】
【0069】
図1a】連結されるタイ・ロッド及びサイドスタンドの、形状の弾性変化、及び動的荷重を例解する、力/変形線図(張力線図)を示す図である。
図1b】タイ・ロッドを用いないサイドスタンドにおいての、形状の弾性変化、及びかくして動的荷重を例解する、力/変形線図を示す図である。
図2図3において示される従来型の設計と比較して、より小さい輸送寸法bを例解する、タイ・ロッドを用いない図1b)に対応する、本発明によるプレス・フレームの構造原理を示す図である。
図3】従来技術によるプレス・フレームを示す図である。
図4】接合幾何構造/表面、及び解放可能連結手段に関係する詳細、並びに、機能構造ユニットの挿入を示す図である。
図5】変形体系(砂時計効果)を示す図である。
図6】縦方向に取り付けられたサイドスタンドを伴う、本発明によるプレス・フレームの実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0070】
上記で分析された従来技術と比較される発明性をもつシステムの明確化のために、図1aは、図3による、従来のようにタイ・ロッド・ブレーシングされるプレス・フレーム1の弾性挙動の線図を最初に示し、その線図から、垂直たわみv1を引き起こす、例解されない総体的剛性が導出され得る。線図は、古典的なねじ張力線図に対応し、プレス・フレーム1内のタイ・ロッド6(図3)と類似的にここではタイ・ロッドと呼称される、予張力をかけられるねじの操作的連結部を示す。この線図は、当業者に(四つのサイドスタンドへのプレス力分布の例を使用して)従来型のタイ・ロッド6及びサイドスタンド2への動的荷重の分布を例解することを意図される。
【0071】
線図においての記号は、以下のようなものである。
【0072】
F=N単位の力
Fp1=プレッシング力
v=mm単位のたわみ(弾性垂直たわみvelz=z方向においての弾性変位としてのDIN55189による)
v1=Fp1の作用のもとでの張力をかけられるシステムの垂直たわみ
vt=予荷重に起因するたわみタイ・ロッド
vu=予荷重に起因するたわみサイドスタンド
s=コラム対タイ・ロッドの剛性比率
この線図は、プレス技術においての通例である、例えば1.5:1の、サイドスタンド2(サイドスタンド)及びタイ・ロッド6(タイ・ロッド)の剛性比率sに基づく。かくして、タイ・ロッド6は、動的荷重の割合部分を経験し、サイドスタンド2は、この剛性比率sに対応する動的荷重の割合部分を経験する。例えば1.3×プレッシング力Fp1の従来型の予荷重によって、ばねたわみv1が推論され得る。
【0073】
線図は、従来型のタイ・ロッド及びサイドスタンドへの動的荷重の、都合の悪い従来型の分布を例解するものであり、なぜならば、以前はより高い品質の材料から作製されたタイ・ロッドが、サイドスタンドより低い動的荷重を吸収するからである。サイドスタンド2対タイ・ロッド6の1.5:1剛性比率sは、1.5:1の動的荷重分布を引き起こし、かくして、サイドスタンドに対する最適化される荷重分布を妨げる。剛性を増大するために、タイ・ロッド6は、それゆえに、サイドスタンド2よりも高価な/高い耐荷重性の材料から構築される。
【0074】
タイ・ロッド6によって達成される予荷重は、変化しないプレッシング力Fp1によって、及び、変化しない指定されたたわみv1によって、単にいわゆる残留締め付け力が増大されるという不利な点を有する。より高いプレッシング力Fp1が要されるならば、対応して、より高いたわみv1が受け入れられなければならず、そのことは、例えば、成形プロセスに悪影響を及ぼす。
【0075】
設計に依存して、空洞/貫通孔が、サイドスタンド、並びに、ヘッド・ピース及びプレス・テーブルなどの横断連結部内に設けられ、アンカ・ナットに対する適切に寸法設定される接触表面が、ヘッド・ピース及びプレス・テーブル上に設けられる。タイ・ロッドの直径の強化/拡張は、同じように、サイドスタンドの、及び/又は、システムの外部寸法の拡張を結果的に生じさせることになり、そのことは、材料消費に起因して、被投資財務経費を不利に増大する。
【0076】
この開発傾向は、他方では、図2図5、又は図6によるプレスのためのフレームの、本発明によるシステムにより破られ、そのシステムは、プレス・フレーム1として、サイドスタンド2を伴う構造ユニットと、ヘッド・ピース3を伴う上側横断連結部と、プレス・テーブルを伴う下側横断連結部4とを含み、プレスの静的な力及び動的な力を吸収する、閉じられた、且つ解放可能に接合されるフレームを形成し、
a)長さLを伴うサイドスタンド2が、構造ユニットとして製造され、タイ・ロッドを用いずに、力ロック式又は力・形状ロック式接合幾何構造5、並びに解放可能連結手段5.1によって、横断連結部3、4に横方向又は縦方向に接合され、
b)サイドスタンド2が、操作力Fpによる張力を受けさせられるように設計され、
c)プレス・フレーム1が、タイ・ロッド・ブレーシング6によって接合されるプレス・フレーム(1)と比較して、低減された垂直たわみv2を有する
ような方式で設計される。
【0077】
このシステムは、より複雑な詳細な考慮に基づき、それらの考慮によって、因子の関係n=(s+k)/(s+1)が創出されており、その関係は、
・コスト因子k=タイ・ロッドのキロあたりの価格/サイドスタンドのキロあたりの価格(実際上は、k>2)、及び、
・剛性比率s=コラム剛性/タイ・ロッド剛性(実際上は、s=1.5)
に基づく。
【0078】
これらの特性パラメータ「k」及び「s」の、経済及び技術論点を併合する、この組み合わされた考慮から、並びに、従来型の設計に対してと同じ財務投資によって、図1bによる線図は、本発明によって、
・低減された垂直ばねたわみv2≦1/n*v1、ただしn=(s+k)/(s+1)が適用され、
・この事例において、増大される操作力のFp2=n*Fp1である
ということを例解し、例えば、k=2及びs=1.5は、1.4倍の剛性(又は、1/1.4倍のたわみ)、又は、1.4倍の操作力を可能とする。
【0079】
線図において(図1aとの比較において)次のことを表象する。
【0080】
F=N単位の力
Fp2=本発明によるプレス・フレームにおいてのプレッシング力
v=mm単位のたわみ(弾性垂直たわみvelz=z方向においての弾性変位としてのDIN55189による)
v2=Fp2の作用のもとでの垂直たわみ
s=剛性比率
図1bは、このようにして、予期されないたわみv2を伴う、タイ・ロッドの使用を用いない、発明性をもつシステムによるサイドスタンド上の動的荷重分布を例解し、そのシステムは、プレス・フレームにおいての新しい、及び有利な構築構成を現実化するための基盤を形成して、サイドスタンド2による、プレス力Fp2により引き起こされる動的荷重全体の吸収を可能にする。
【0081】
図2は、サイドスタンド2、ヘッド・ピース3などの上側横断連結部、プレス・テーブル4などの下側横断連結部、接合幾何構造5、解放可能連結手段5.1、及び接合手段5.2の有利な総体的高さLを伴い、最終構造ユニット寸法Bに相対的な、本発明と関連性をもつ、有利の例示的なより小さい輸送寸法bを伴う、発明性をもつプレス・フレーム1の、図1b)と同様の構築物を概略的に例解する。
【0082】
翻って、図3は、サイドスタンド2の高さLであって、この高さから不利に突き出る、並びに、ヘッド・ピース3などの上側横断連結部、及び、プレス・テーブル4などの下側横断連結部と同様にサイドスタンド2をブレーシングする、タイ・ロッド6をサイドスタンド2が伴う、高さLを伴い、最終構造ユニット寸法Bと等しい不利な輸送寸法bを伴う、従来型の設計を概略的に示す。
【0083】
プレスのためのフレームのこのシステムは、プレス・フレーム1において、以下の特徴を、単独で、さもなければ組み合わせて、伴って完成される:
・上側3及び下側横断連結部4の、異なるタイプの曲がり傾向性を相殺するサイドスタンド2の設計、
・とりわけ、それぞれのスライドが、異なるプレス力により異なって荷重をかけられる、マルチ・スライド・プレス(コンパクト・サクション・プレス、ステップ・プレス)においてダブル・サイドスタンドを使用するとき、サイドスタンド2が、非対称に持ち込まれる操作力のもとで互いに関して対称に変形するような方式での、サイドスタンド2の対称設計、
・作用するプレッシング力に応じて断面領域を適合させることによる、サイドスタンド2の断面の、対象を絞った寸法設定、
・内方又は外方断面に等しい、剛性を増大するための追加的な断面を得るための能動的ブレーシングにより、サイドスタンド2において剛性が関連する断面を創出する実施形態、
・作用するプレッシング力に応じた過荷重保護を含む、連結する力・形状ロック式接合幾何構造5、接合手段5.2、並びに解放可能連結手段5.1による、サイドスタンド2及び横断連結部3、4の設計、
・タイ・ロッド・ブレーシングを用いずに、プレスの、形状の変化、及び応力の全体、及び操作の形の変化を吸収し、輸送又は操作状態においてプレスの機能構造ユニット7を収容するための、少なくとも一つの構造ユニット又は輸送ユニットを有する、サイドスタンド2及び接合幾何構造5を伴う、並びに、プレス・フレーム1に連結される、横断連結部3、4を受けるフレーム、
・サイドスタンド2のうちの少なくとも1つの、特に、
a)プレスの、中心を外れた操作力を考慮に入れ、構成要素の損傷を防止すること、
b)スライド・ガイドの、不利な、形状の弾性変化、若しくは遊びの変化を相殺すること、又は、
c)マルチ・スライド・プレスを最適化すること
のための、他のサイドスタンド2のうちの一つに対して非対称での、永続的寸法設定又は設計、
・少なくとも一つの断面実現形態は、開いた、若しくは閉じられた、及び/又は非対称形式でのサイドスタンド2の典型的な断面である、
・対応するヘッド・ピース3においてのアクスル・ボルトなどの駆動機構の部品が、ヘッド・ピース2の、又はプレスの長さを低減するために、対応する開いた断面を伴う、又は、同様の組立て開口部を伴う、サイドスタンド2の領域内に配置構成され得るような、サイドスタンド2のうちの少なくとも一つの実現形態、
・接合部幾何構造5、又は接合手段5.2、又は連結手段(5.1)による、少なくとも1つの過荷重保護手段の形成。
【0084】
個別の設計特徴又は特質が、プレス・フレーム1において、以下の特徴により、個々に、さもなければ組み合わせて、現実化され、又は特徴付けられる:
・プレス・フレーム1を過荷重から保護するために、及び、予め決定された破断連結部として、最大プレッシング力Fpが超過されたときにたわむ、例えば、せん断ボルト、液圧要素として、又は、予張力をかけられた機械ばね、弾性形態嵌合連結部、若しくは、形態嵌合円筒連結部として構築される過荷重保護手段が、サイドスタンド2内に、又は、サイドスタンド2と横断連結部3、4との間に配置構成され得る。
【0085】
・形状ロック式若しくは力ロック式接合幾何構造5、又は解放可能連結手段5.1は、
a)予め決定された破断を有する要素、
b)弾性連結部、
c)液圧でバイアスされるばね要素、
d)機械的にバイアスされるばね要素、
e)摩擦タイプ要素
として設計される。
【0086】
・プレス・フレーム1は、プレスの変形及び局所応力状況に形状ロック式に作用し、接合幾何構造5及び連結手段5.1の位置及び形状に依存する、有利なパワーフローを有する。
【0087】
・プレス・フレーム1は、
○ 幅広の冠部の(broad-crowned)フェザ・キー、又は、
○ 更には片側斜角を伴うダブテール連結部、又は、
○ シングル若しくはマルチ・パートくさび及びフェザ・キー
によって、横断連結部3、4のたわみを相殺する設計を有する。
【0088】
・プレス・フレーム1は、連結手段5.1であって、少なくとも一つの
○ ばねで作動させられる円錐締め付けシステム、又は、
○ 液圧締め付けシステム、又は、
○ ばねで荷重をかけられるシングル若しくはマルチ・パートくさびシステム、又は、
○ 重量で張力をかけられるシステム
によって、接合幾何構造5などの連結部においての進入及び定着(run-in and settlement)現象を補償するために、その連結手段の予荷重かけ力を自動的に調整する、連結手段5.1を有する。
【0089】
・プレス・フレーム1は、位相オフセットを有する場合にも異なるステージ力を、好適に相殺するように、及び、操作力のもとでのプレス・フレーム1の(非対称的な)総体的変形の傾向性を低減するように、プレス又はプレス・ステージの入口側及び出口側における構造的に異なって設計されるサイドスタンド2を伴って形成される。
【0090】
・プレス・フレーム1は、とりわけ最大操作力の有効範囲においての、低減されるスライド・ガイド遊びに起因して、工具内部ガイドを欠く。
【0091】
・フレッティング腐食を防止するために、プレス・フレーム1は、接合幾何構造5内に、サイドスタンド2と横断連結部3.4との間の相対的運動の、対象を絞った生成のための、局所的に、又は大きい区域にわたって使用される滑動要素を有する。
【0092】
更にまた、本発明によれば、このプレス・フレーム1は、以下の特殊な特徴を伴って設計され得る:
・隣接するサイドスタンド2は、各々の事例において、プレス・フレーム1の総体的剛性を増大するための横材(縦方向、横手方向、及び対角線)を設けられる。
【0093】
・少なくとも一つの機能構造ユニット7は、
○ 自動化のための駆動ユニット、又は、
○ 装置を含む流体ユニット、又は、
○ 知覚性部品/ワークピース・モニタリング、又は、
○ 光バリア、又は、
○ 照明システム
によって、横手方向及び縦方向横材として実現され得る。
【0094】
・解放可能連結手段5.1において、軸方向に装着されるアクスル・ボルト及び構成要素が、取り外しを防止するために安固に装着される。
【0095】
・所望されるならば、少なくとも一つの液圧、電動、空気圧、熱的、又は知覚性能動化可能締め付け要素が、過荷重保護のため、又は、スライド・カウンタバランシングのためなどで、機能又は設備に操作的に連結される。
【0096】
発明性をもつシステムによってのみ、プレス・フレーム1は、相互に異なる高さLを有するサイドスタンド2に起因して、並びに/又は、相互に異なる幅bを有する上側及び下側横断連結部3、4により、解放可能に接合されるフレームとして有利に構築され得る。
【0097】
このことは、横方向又は縦方向に長さLを伴うサイドスタンド2が、タイ・ロッド・ブレーシングを用いずに、境を接して、力ロック式又は力・形状ロック式接合幾何構造5、並びに解放可能連結手段5.1によって、横断連結部3、4と接合され得るということであれば、特殊な事例、並びに/又は、異なるプレス・ジャンル、タイプ、及び配置構成に対して、例えば、マルチ・スライド・プレス、プレス・ライン、マルチ・ステージ・プレス、トランスファ・プレスにおいて、
・単一フレームの中で、サイドスタンド2並びに上側及び下側横断連結部3、4の相互に異なる長さと、接合幾何構造の領域内で、相互に異なる横方向若しくは縦方向接合タイプとを、
・並列の、及び順次配置構成されるフレームによって、フレームごとに、サイドスタンド2並びに上側及び下側横断連結部3、4の異なる長さと、異なる横方向若しくは縦方向接合タイプとを、又は、
・順次配置構成されるフレームによって、フレームごとに、サイドスタンド2並びに上側及び下側横断連結部3、4の異なる長さと、異なる横方向若しくは縦方向接合タイプとを
用いることを、低減された垂直たわみv2を伴って、本発明によって要される応力状態、パワーフロー、及び剛性の値を保持しながら行うことを可能にする。このようにして、プレス操作者のいかなる現場での条件も、各々のプレス・フレームを、横方向又は縦方向接合タイプ、サイドスタンド又は上側及び下側横断連結部の異なる長さ又は幅の、様々な構成によって適合させることにより満たされ得る。
【0098】
プレス・フレーム1は、更には、
・モジュール上側若しくは下側横断連結部3、4を含む一時的輸送ユニットに対して、プレスの最終構造ユニット寸法Bと比較して、より小さい輸送寸法bを伴って、又は、
・コンクリートから作製される基礎支持体に代わって、サイドスタンド2の下向き延伸を伴って、又は、
・一時的輸送ユニットとしての、若しくは、プレス操作のための、
○ 付属品と一体のいわゆる自動化システムの駆動ユニット、
○ 照明及び光学監視のための横材、
○ 油タンク、空気タンク、工具潤滑/引抜きエージェント、
○ サーボ駆動のための液圧管路、冷却管路、及び電力ケーブル、
○ 制御/調節/スイッチ・ボックス、
○ 制御パネル、他の操作要素、
○ 手動補助デバイス、洗浄デバイス、閃光灯、工具、被圧縮空気のためのサービス・ボックス、
○ 他のセンサのための付属品、
○ 振動減衰要素
などの、プレスの機能構造ユニットのうちの少なくとも一つに対して、少なくとも一つのサイドスタンド2に形成されるコンセントを伴って、
有利に設計され得る。
【0099】
タイ・ロッドをなくすことによって創出される使用可能な空洞は、粒状物及び砂などの振動減衰材料が、サイドスタンド2内に埋め込まれることを可能とする。
【0100】
加えて、アンカ・ボルトと共にタイ・ロッドをなくすことは、プレス・テーブルの装着表面の設計/場所においての、より多い構築上の自由を許し、以て、振動遮断装置(ばね要素)が、往復して輸送されなければならない締め付けデバイスを使用する操作者の現場においての最終構造ユニットに対するアンカ・ナットの、以前は必要な、コストのかかる、及び時間を消費する締めをなくすことに起因して、最適に配され寸法設定され得る。
【0101】
同等の、及び要されるたわみvにおいて、このことは、サイドスタンド2が、少なくとも、図1aによる、張力をかけられるシステムの総体的剛性に対応する剛性を帯びるということを意味する。
【0102】
かくして、サイドスタンド2の耐荷重性壁は、中実スタンドを表す設計まで、及びその設計を含めて、より厚い金属シートを使用することにより、内向きに強化され得る。
【0103】
サイドスタンド2の典型的な断面は、サイドスタンド2の変形に特異的に影響を及ぼす、又は、機能モジュール7を空間最適化された様式で収容するように、部分的に開いた、又は閉じられた、対称又は非対称形状を有するように設計され得る。
【0104】
プレス上のスライド・ガイドの遊びは、有利には小さい遊びが成形プロセスの間又は少し前にセットされ得るような、サイドスタンド2においての所定の断面の剛性を設計することにより、特異的に影響される。
【0105】
プレッシング力の非一様/非対称分布が、特殊マルチ・ステージ工具の使用に起因して、又はマルチ・スライド・プレスによって要されるとき、サイドスタンド2は、その後、荷重分布に対応して異なって寸法設定され得る。
【0106】
サイドスタンド2内の空いている空洞は、図4によって、例えば、追加的なユニット、制御要素、空間節減様式でのメモリ、又は振動減衰材料などの機能モジュール7を実現するために、他の目的のために使用され得る。
【0107】
プレス自動化の機能構造ユニット7は、プレス・フレーム1の支持/補剛部品として、二つのサイドスタンド2の間に組み込まれ得る。同時に、予組立てされた構造ユニットとしての3部品ユニットが、組立て作業を操作者にとってより容易にすることになる。
【0108】
プレス機械装置を組立て輸送するために要される時間及び金銭は低減され得るものであり、タイ・ロッド6及びアンカ・ナットによる、以前に要された締め付けのための、コストのかかる液圧補助デバイスがなくされる。
【0109】
生産広間及び操作者建物に対する低減される空間要件は、相当量のコスト低減につながる。
【0110】
本発明によれば、設計を精緻化するために、関係v2≦1/n*v1に従って低減された垂直たわみv2を決定するためのプログラム・ステップが、
a)長さLを伴って生産され、タイ・ロッド・ブレーシング6を用いずに、力ロック式若しくは力・形状ロック式接合幾何構造5、並びに解放可能連結手段5.1によって、横方向若しくは縦方向に横断連結部3、4に取り付けられることになるサイドスタンド2、又は、
b)プレスの操作力Fpのもとで張力を受けさせられることになるサイドスタンド2、又は、
c)低減された垂直たわみv2を伴って設計されることになるプレス・フレーム1
を構築するためにコンピュータ・プログラムに組み込まれ得るものであり、
n=(s+k)/(s+1)であり、
v1=Fp1の作用のもとでの張力をかけられるシステムの垂直たわみ、
v2=Fp2の作用のもとでの本発明によるシステムの垂直たわみ、
n=有利因子、
s=剛性比率、及び、
k=コスト因子
である。
【0111】
プレスのためのフレームの、本発明によるシステムのための制御及び調節デバイスは、上記で述べた能動化可能ブレーシング要素の手段により、サイドスタンド2の、剛性が関連する断面の能動的ブレーシングのために、プレス・フレーム1の剛性の荷重依存制御/調節される可変適合を可能にするように、
a)サイドスタンド2と、上側横断連結部及び下側横断連結部3、4とを含むユニットにおける荷重に関する、プレスの静的な力及び動的な力に関わるデータを受信するためにシステム内で対応する、ひずみゲージであることが好ましい、少なくとも一つの測定手段と、
b)コンピュータにおけるこれらのデータの評価と、
c)プレス・フレーム1の構造ユニットの弾性挙動に対する制御/調節対策のために、プレスの静的な力及び動的な力に関わるデータを出力することと
を含む。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明の範囲は、溶接技術の見地において非常に容易に加工され得る、及び、世界中で利用可能である、より高価でない材料の、対象を絞った使用を含む。
【0113】
プレス機械装置内のプレス・システム全体までの、本発明によって生産される個々の構成要素の最大重量及び寸法は低減され得る。
【0114】
垂直予荷重かけをなくすことによるプレス・フレームの剛性の、対象を絞った変化を伴う、本発明によるシステムは、プレスの用途をより柔軟にし、又は、それらのプレスの用途の分野を拡大する。
【0115】
サイドスタンドの追加的な張力かけ可能(tensionable)断面を能動化する、非能動化する、又は変化させることによる、サイドスタンドの剛性の変化は、プレス・フレームが、
・被使用工具、例えば、切断工具に対する増大されるサイドスタンド剛性、
・ガイド及び他の摩耗部品の、より長い運用寿命を達成するための、成形工具に対する低減される最小の要される剛性
に対して最適に適合させられることを可能とする。
【0116】
サイドスタンドの、それらの剛性を増大するための、決定可能断面区域においての材料の選択的使用は、高強度部品の加工のとき、及び更には、切断工具を使用するときの限界切断ストロークに関しての両方で、プレス操作者に対する使用価値を増大する。
【0117】
工具においてのガイド・ロッドをなくす、又は低減することは、用いられる工具の構造単純化を結果的に生じさせ、そのことは、より好都合なワークピース輸送を可能にし、工具コストを低減する。
【符号の説明】
【0118】
1 プレス・フレーム
2 高さ(=長さ)Lを伴うサイドスタンド
3 上側横断連結部、ヘッド・ピース
4 下側横断連結部、プレス・テーブル
4.1 接合幾何構造
4.2 取り外し可能締結具
4.3 接合エージェント
6 タイ・ロッド
7 機能構造ユニット
b 幅、輸送寸法
B 最終構造ユニット寸法、外部寸法
L サイドスタンドの高さ(=ユニットの長さ)
F N単位の力
Fp1 プレッシング力
Fp2 プレッシング力
v mm単位のたわみ
v1 Fp1の作用のもとでの張力をかけられるシステムの垂直たわみ
v2 Fp2の作用のもとでの本発明によるシステムの垂直たわみ
vt 予荷重に起因するたわみタイ・ロッド
vu 予荷重に起因するたわみサイドスタンド
s サイドスタンド対タイ・ロッドの剛性比率
n 有利因子
k コスト因子
図1a
図1b
図2
図3
図4
図5
図6