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特許7522755クランクケース通気機能を備えた船舶用船外機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-17
(45)【発行日】2024-07-25
(54)【発明の名称】クランクケース通気機能を備えた船舶用船外機
(51)【国際特許分類】
   F01M 13/04 20060101AFI20240718BHJP
   F02F 7/00 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
F01M13/04 F
F02F7/00 301D
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021552873
(86)(22)【出願日】2020-03-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-27
(86)【国際出願番号】 GB2020050517
(87)【国際公開番号】W WO2020178584
(87)【国際公開日】2020-09-10
【審査請求日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】1903091.5
(32)【優先日】2019-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519042375
【氏名又は名称】コックス パワートレイン リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ナイル フルカー
【審査官】上田 真誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-098950(JP,A)
【文献】特開2000-220434(JP,A)
【文献】特開平05-118210(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0290634(US,A1)
【文献】特開平05-149124(JP,A)
【文献】特開2001-115814(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01M 13/04
F02F 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関を有する船舶用船外機において、
前記内燃機関は、
少なくとも1つのシリンダを画定するエンジンブロックと、
前記少なくとも1つのシリンダに空気の流れを送るように構成された吸気口と、
エンクロージャを形成しているクランクケースであって、前記船舶用船外機が直である場合には、実質的に直方向であるクランク軸の軸線を中心に回転するように前記クランク軸が取り付けられており、前記クランクケースの前記エンクロージャは、その上側端部及び下側端部において、上側端壁及び下側端壁によって境界付けられている、クランクケースと、
前記クランクケースからのブローバイガスを通気し、通気されたブローバイガスを前記吸気口に供給するように構成されたクランクケース通気システムであって、クランクケース通気システムは、ブローバイガスから潤滑剤を分離するための潤滑剤分離室を備え、潤滑剤分離室は、前記クランクケースによって画定され、かつ、前記クランクケースは、前記下側端壁よりも下にある前記クランクケースの底端部に位置する区画部を備え、前記区画部は、前記下側端壁によって前記クランクケースの前記エンクロージャから分離されておりかつ前記下側端壁における1つ又は複数の開口を通して前記クランクケースの前記エンクロージャと流体連通しており、前記潤滑剤分離室は、作動中にブローバイガスが前記区画部から前記潤滑剤分離室へ引き込まれるように前記区画部から延びる室入口を有し、前記潤滑剤分離室は、前記クランクケースの実質的に全長に沿って前記クランク軸の軸線と実質的に平行に延びている、クランクケース通気システムとを備える、内燃機関を有する船舶用船外機。
【請求項2】
前記区画部から延びる室入口は、潤滑剤分離室の唯一の入口である、請求項1に記載の船舶用船外機。
【請求項3】
前記潤滑剤分離室は、前記クランクケースの外壁を通って延びる室出口を有し、前記室出口は、少なくとも1つの外部ホースによって前記吸気口に接続されている、請求項1又は2に記載の船舶用船外機。
【請求項4】
前記クランクケース通気システムは、少なくとも1つの外部ホースによって、前記潤滑剤分離室の前記室出口及び前記吸気口に接続された外部の潤滑剤分離器を更に備える、請求項3に記載の船舶用船外機。
【請求項5】
前記外部の潤滑剤分離器が、サイクロン分離器及び遠心分離器の一方又は両方を備える、請求項4に記載の船舶用船外機。
【請求項6】
前記エンジンブロックは、互いに接合されて前記クランクケースを形成する、シリンダブロック鋳造物とベッドプレート鋳造物とを備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の船舶用船外機。
【請求項7】
前記潤滑剤分離室は、シリンダブロック鋳造物とベッドプレート鋳造物とが互いに接合されて前記クランクケースを形成する時に閉鎖されるシリンダブロック鋳造物及びベッドプレート鋳造物の一方又は両方における開放した流路によって画定される、請求項6に記載の船舶用船外機。
【請求項8】
前記潤滑剤分離室は、シリンダブロック鋳造物とベッドプレート鋳造物とが互いに接合されて前記クランクケースを形成する時に、前記ベッドプレート鋳造物によって閉鎖される前記シリンダブロック鋳造物の内の開放した流路によって画定される、請求項6又は7に記載の船舶用船外機。
【請求項9】
前記潤滑剤分離室は休止室である、請求項1~8のいずれか一項に記載の船舶用船外機。
【請求項10】
前記潤滑剤分離室は、前記潤滑剤分離室の長さに沿って流れるブローバイガスの方向及び/又は速度の変化を生じさせ、それによって潤滑剤の分離を促進するように構成された1つ又は複数の流れ障害物を備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の船舶用船外機。
【請求項11】
前記1つ又は複数の流れ障害物は、1つ又は複数のバッフル及び/又は曲がりくねった通路を備える、請求項10に記載の船舶用船外機。
【請求項12】
請求項1~11のいずれかに記載の船舶用船外機を備える船舶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、垂直に取り付けられたクランク軸を備える内燃機関と、クランクケースからのブローバイガスを吸気口に通気するためのクランクケース通気システムとを備えた、船舶用船外機に関する。
【背景技術】
【0002】
船舶を推進するために、船外機が船舶の船尾部に取り付けられることが多い。船外機は、一般に、内燃機関を有する上側の発動機と、垂直に配向された駆動軸を介して内燃機関に接続されたプロペラシャフトを有する下側部分と、排気ガスを上側部分から下側部分に輸送するための排気ガス流路を画定する中間部分との3つの部分で形成される。内燃機関は、通常、垂直に延びる軸線を中心にクランク軸が回転するように取り付けられる。これにより、内燃機関とプロペラシャフトとの間に延びる、垂直に延びる駆動軸へのクランク軸の接続が容易になる。
【0003】
作動中、良好に管理されたエンジンでも、燃焼室内の少量のガスがピストンリングを通過して漏れることが一般的である。空気、未燃焼燃料、及び燃焼ガスを含みうるこれらの「ブローバイ」ガスは、クランクケース内に集まる。通気されていない場合、ブローバイガスはクランクケース内の圧力を上昇させ、この圧力上昇がエンジン性能に悪影響を及ぼしうる。また、ブローバイガスは、潤滑剤の有効性や耐用年数に有害な影響を与えうる。従って、内燃機関が、ブローバイガスをクランクケースから通気できるクランクケース通気システムを有することが一般的である。従来、ブローバイガスは、直接的に又はフィルタを介して、クランクケースから大気に排出されていた。しかしながら、これらの「開放型」システムは、一般に、排出規制のため、もはや許容されない。現在の排出基準を満たすために、近代的な内燃機関は、通常、ブローバイガスが、クランクケースからブリーザ通路を通って燃焼のために内燃機関吸気口に循環させられ、その後、排気口を通って内燃機関から排出される、「閉鎖型」クランクケース通気システムを使用する。
【0004】
閉鎖型クランクケース通気(CCV)システムでは、内燃機関の潤滑油(通常は油)は、高温の内燃機関の構成要素上に堆積物を生成する可能性があり、燃焼すると排出ガスの排出に悪影響を及ぼす可能性があるため、導入システムに入る前に、通気されたブローバイガス(「ブリーザガス」とも呼ばれる)から分離する必要がある。この分離を達成するために、CCVシステムは、典型的には、クランクケース通気経路内に潤滑剤分離器を有する。CCVシステムに使用される公知の潤滑剤分離器の例としては、サイクロニック潤滑剤分離器、遠心式潤滑剤分離器、潤滑剤分離室が挙げられる。潤滑剤分離室は、しばしばバッフルを採用するか又はラビリンス構造を有し、その両方共、ブリーザガスを一連の障害物の周囲に押し、流速及び方向に急激な変化を生じさせて潤滑剤液滴を分離させる。
【0005】
公知のCCVシステムの1つのタイプは、エンジンブロックの外側に配置されかつ多数の外部ホースによってクランクケースと吸気口に接続された、外部の潤滑剤分離室を使用している。しかしながら、船舶用船外機では、カウル部の下の利用可能な空間が極端に制限される可能性がある。つまり、これは、油分離を最適化するのではなく、カウル部の下の利用可能な空間に応じて外部の潤滑剤分離室を配置する必要がありうることを意味する。これは、また、既に混み入っているカウリング部の中での過剰で複雑なホース配線につながる可能性もある。
【0006】
さらなるタイプの公知のCCVシステムは、カムシャフトカバーに一体化された潤滑油分離室を使用する。この一体化は、通常、摩擦溶接の前に複雑な鋳型を使用してバッフルをカムシャフトカバーの下側に鋳造するか、又は、バッフルにわたって追加のカバーをボルト留めして潤滑剤分離室を閉鎖することによって達成される。次いで、バッフル室は、シリンダブロック及びシリンダヘッドを通って延びるブリーザ通路によってクランクケースに接続される。使用時には、潤滑剤は内燃機関を通ってクランクケース内のサンプに垂直に排出され、ブリーザガスは別個のブリーザ通路を通って反対方向に通気される。これらのシステムは良好に作動するが、製造に時間がかかり、複雑な工具を必要とする場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来技術に関連する1つ又は複数の課題を克服又は緩和する、改良された船舶用船外機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、垂直軸線の内燃機関を有する船舶用船外機であって、この内燃機関は、少なくとも1つのシリンダを画定するエンジンブロックと、少なくとも1つのシリンダに空気の流れを送るように構成された吸気口と、船舶用船外機が垂直である場合に実質的に垂直であるクランク軸の軸線を中心に回転するようにクランク軸が取り付けられたクランクケースと、クランクケースからブローバイガスを通気し、通気されたブローバイガスを吸気口に供給するように構成されたクランクケース通気システムとを備え、クランクケース通気システムは、ブローバイガスから潤滑剤を分離するための潤滑剤分離室を備え、潤滑剤分離室は、クランクケースによって画定され、クランクケースに沿ってクランク軸の軸線に実質的に平行に延びる、船舶用船外機が提供される。
【0009】
上記の構成により、潤滑剤分離室は、クランクケースと一体的に形成される。これにより、外部の潤滑剤分離室と比較して、潤滑剤分離室が占める空間を減少させることができる。また、これにより、船舶用船外機のパッケージングを容易にし、その全体の寸法及び/又は重量を低減することができる。さらに、潤滑剤分離室を垂直に延びているクランクケース内に配置することにより、ブリーザガスはクランクケースの長さにわたって上昇し、油などの潤滑剤の液滴は、クランクケース内に残りながら重力の作用下でブリーザガスから「脱落(drop out)」しうる。これは、分離された潤滑剤の液滴が、内燃機関が垂直軸線に沿って整列されると、カムカバー内のバッフル室からクランクケースに容易に戻ることができないので、船舶用船外機用の既知のシリンダヘッド又はカムカバーの潤滑剤分離室よりも特に有利であることが分かっている。さらに、この構成によって、クランクケースが典型的にはカムカバーよりも長いため、潤滑剤分離室の長さをカムカバー内のバッフル室に対して増加させることができる。
【0010】
好ましくは、潤滑剤分離室は、クランクケースの実質的に全長に沿って延びている。「実質的に全長(substantially the entire length)」という用語は、油分離室がクランクケースの全長寸法の少なくとも70パーセント、好ましくは少なくとも80パーセント、より好ましくは少なくとも90パーセントに沿って延びていることを意味する。
【0011】
この構成により、潤滑剤分離室は、ブリーザガスから分離される潤滑剤の量を増加させる高い垂直形状を有する。
【0012】
好ましくは、クランクケースは、クランクケースの底端部に位置する区画部を備える。この区画部は、壁によって少なくとも1つのシリンダから分離されうる。この区画部は、壁内の1つ又は複数の開口を通してクランクケースの残りの部分と流体連通しうる。潤滑剤分離室は、好ましくは、区画部から延びる室入口を有する。この構成により、クランクケース通気システムは、ブローバイガスを区画部から潤滑剤分離室内に引き込む。区画部は内燃機関のいくつかの可動部品の大部分から離れており、圧力波や浮遊している油滴に関しては「より穏やか」である。その結果、ブローバイガスをサンプから引き出すことにより、潤滑剤分離室を通る流れがより滑らかで遅くなり、それにより潤滑剤の分離が促進される。また、ブローバイガス中に最初に浮遊していた潤滑剤の量を減少させることができる。これらのどちらも吸気口に循環する潤滑油の量を減らすことができる。
【0013】
他の実施形態では、潤滑剤分離室は、クランクケースの任意の他の部分から延びる、1つ又は複数の室入口を有しうる。
【0014】
区画部は流体ポンプを収容することができ、それによって、潤滑剤が内燃機関の下のサンプから内燃機関のより高い部分に圧送させられる。上記の例では、区画部は、流体ポンプハウジング室又は「油ポンプポケット」とみなすこともできる。
【0015】
好ましくは、区画部から延びている室入口は、潤滑剤分離室の唯一の入口である。
【0016】
好ましくは、潤滑剤分離室は、クランクケースの外壁を通って延びる室出口を有し、この室出口は、少なくとも1つの外部ホースによって吸気口に接続される。少なくとも1つの外部ホースは、好ましくは、可撓性ホースを備える。室出口は、好ましくは、少なくとも1つのホースが出口に取り付けられる栓を備える。他の例では、潤滑剤分離室は、エンジンブロックに沿って水平に延びる1つ又は複数の内部流路によって吸気口に接続されうる。
【0017】
好ましくは、クランクケース通気システムは、少なくとも1つの外部ホースによって流体分離室出口及び吸気口に接続された、外部の流体分離器をさらに備える。これは、流体分離室と組み合わせて、吸気口に搬送される潤滑剤の量を減らす。外部の流体分離器は、好ましくは、クランクケースに隣接して配置される。これにより、室出口を外部の流体分離器に接続し、潤滑剤をクランクケースに戻すために必要なホースの量を減らすことができる。
【0018】
好ましくは、外部の潤滑剤分離器は、サイクロン潤滑剤分離器及び遠心式潤滑剤分離器の一方又は両方を備える。上記の分離器は、潤滑剤分離室の下流側のブローバイガスの流れにおいて依然として混合され得る通気されたブローバイガスからの比較的に小さな液滴の分離を促進する。このようにして、潤滑剤分離室は、比較的に大きな流体液滴を除去するように機能し、一方、外部の潤滑剤分離器は、さもなければ吸気口に搬送され得る比較的に小さな液滴を除去する。
【0019】
エンジンブロックは、好ましくは、クランクケースを形成するために互いに接合される、シリンダブロック鋳造物とベッドプレート鋳造物とを備える。例えば、シリンダブロック鋳造物とベッドプレート鋳造物は、クランクケースを形成するために共にボルト留めされうる。
【0020】
潤滑剤分離室は、シリンダブロック鋳造物及びベッドプレート鋳造物の一方又は両方における開放した流路によって画定することができ、これらの開放した流路は、シリンダブロック鋳造物とベッドプレート鋳造物とが互いに接合されてクランクケースを形成する時に閉鎖される。これにより、別個の機械加工工程によってではなく、シリンダブロック鋳造物及び/又はベッドプレート鋳造物の鋳造中に潤滑剤分離室を鋳型内で画定し形成することができることによって、潤滑剤分離室の製造を単純化する。潤滑剤分離室は、シリンダブロック鋳造物又はベッドプレート鋳造物内に鋳造される閉鎖された流路によって画定されうる。潤滑剤分離室は、シリンダブロック鋳造物内に鋳造される第1の閉鎖部分とベッドプレート鋳造物内に収容される第2の閉鎖部分とを有する、閉鎖された流路によって画定されることができ、第1の閉鎖部分と第2の閉鎖部分は、シリンダブロック鋳造物とベッドプレート鋳造物とが互いに接合されてクランクケースを形成する時に連続して接合される。
【0021】
好ましくは、潤滑剤分離室は、シリンダブロック鋳造物とベッドプレート鋳造物とが互いに接合されてクランクケースを形成する時に、ベッドプレート鋳造物によって閉鎖されるシリンダブロック鋳造物内の開放した流路によって画定される。
【0022】
潤滑剤分離室は休止室としうる。すなわち、この室は、ブローバイガスの流れが減速され、重力の作用下で潤滑剤が分離されるように圧力パルスから遮断される室である。
【0023】
潤滑剤分離室は、潤滑剤分離室の長さに沿って流れるブローバイガスの方向及び/又は速度の変化を生じさせ、それによって潤滑剤分離を促進するように構成された1つ又は複数の流れ障害物を備えうる。
【0024】
1つ又は複数の流れ障害物は、1つ又は複数のバッフル及び/又は曲がりくねった通路を備えうる。
【0025】
本明細書で用いる「エンジンブロック」という用語は、エンジンの少なくとも1つのシリンダが設けられた中実構造を指す。この用語は、シリンダヘッドとクランクケースを備えたシリンダブロックの組み合わせ、又はシリンダブロックのみを指す場合がある。エンジンブロックは、単一のエンジンブロック鋳造物から形成することができる。エンジンブロックは、例えばボルトを用いて互いに接続される複数の別々のエンジンブロック鋳造物から形成されうる。
【0026】
エンジンブロックは、単一のシリンダを備えうる。好ましくは、エンジンブロックは、複数のシリンダを備える。
【0027】
エンジンブロックは、単一のシリンダバンクを備えうる。
【0028】
エンジンブロックは、第1シリンダバンク及び第2シリンダバンクを備えうる。第1シリンダバンクと第2シリンダバンクは、V字の構成で配置されうる。
【0029】
エンジンブロックは、3つのシリンダバンクを備えうる。これらの3つのシリンダバンクは、扇形の構成で配置されうる。エンジンブロックは、4つのシリンダバンクを備えうる。これらの4つのシリンダバンクは、W字の構成又は2つのV字の構成で配置されうる。
【0030】
内燃機関は垂直軸線内燃機関(vertical axis internal combustion engine)である。上記の内燃機関では、クランク軸は、内燃機関内に垂直に取り付けられる。内燃機関はガソリンエンジンとしうる。好ましくは、内燃機関はディーゼルエンジンである。内燃機関は、ターボチャージャ付きのディーゼルエンジンとしうる。
【0031】
本発明の第2の態様によれば、第1の態様の船舶用船外機を備える船舶が提供される。
【0032】
本出願の範囲内において、特許請求の範囲及び/又は以下の説明及び図面における、先の段落に示された様々な態様、実施形態、実施例、及び、代替案、特にその個々の特徴は、独立に又は任意の組合せで理解されることが明確に意図されている。すなわち、全ての実施形態及び/又は任意の実施形態の特徴は、組み合わされる特徴が不適合でない限り、任意の方法及び/又は組み合わせで組み合わせることができる。本出願人は、最初に提出された請求項を変更又は新たな請求項を提出する権利を留保する。この権利には、最初に請求項されたものではないが、他の請求項の任意の特徴に依存するようにかつ/又は組み込むように、最初に提出された請求項を補正する権利が含まれる。
【0033】
本発明のさらなる特徴及び利点は、以下に、単なる例として、添付図面を参照してさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1図1は、船舶用船外機を備える小型船舶の概略側面図である。
図2a図2aは、傾斜位置における船舶用船外機の模式図を示す。
図2b図2bは、船舶用船外機の様々な位置調整された位置の一つと、水域内の船舶の対応する向きを示す。
図2c図2cは、船舶用船外機の様々な位置調整された位置の一つと、水域内の船舶の対応する向きを示す。
図2d図2dは、船舶用船外機の様々な位置調整された位置の一つと、水域内の船舶の対応する向きを示す。
図3図3は、本発明による船舶用船外機の概略断面を示す図を示す。
図4図4は、図3の船舶用船外機の内燃機関の斜視側面図を示す。
図5図5は、図4の内燃機関のクランクケースの拡大斜視側面図を示す。
図6図6は、図5の線VI-VIに沿った断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、船舶用船外機2を備えた船舶1の概略側面図を示す。船舶1は、連絡船やスキューバダイビングボートなどの、船舶用船外機と共に使用するのに適した任意の種類の船舶とすることができる。図1に示す船舶用船外機2が船舶1の船尾部に取り付けられている。船舶用船外機2は、通常、船舶1の船体内に受け入れられている燃料タンク3に接続されている。リザーバ又は燃料タンク3からの燃料は、燃料ライン4を介して船舶用船外機2に供給される。燃料ライン4は、燃料タンク3と船舶用船外機2との間に配置された、1つ又は複数のフィルタと低圧ポンプと(水が船舶用船外機2に入るのを防止するための)分離器タンクを集合的に配置したものとしうる。
【0036】
以下にさらに詳細に説明するように、船舶用船外機2は、概ね、上側部分21と、中間部分22と下側部分23の3つの部分に分割されている。中間部分22及び下側部分23は、しばしば、集合的に脚部として知られ、この脚部は、排気システムを収容する。プロペラ8は、船舶用船外機2のギアボックスとも呼ばれる、下側部分23において、プロペラシャフト上に回転可能に配置されている。当然のことながら、作動中、プロペラ8は、少なくとも部分的には水中に沈められており、船舶1を推進するために、様々な回転速度で作動させることができる。
【0037】
典型的には、船舶用船外機2は、ピボットピンによって、船舶1の船尾部に回動可能に接続されている。ピボットピンの回りの回動により、操作者が公知の方法で水平軸線の回りで船舶用船外機2を傾斜させて位置調整することができる。更に、当技術分野でよく知られているように、船舶用船外機2は、船舶1の船尾部にも回動可能に装着されており、これにより、略直立軸線を中心に回動して、船舶1を操縦することができる。
【0038】
傾斜とは、船舶用船外機2全体が完全に水中から出て上昇することができるように、船舶用船外機2を十分に上昇させる動きである。船舶用船外機2の傾斜動作は、船舶用船外機2の電源を切った状態又は中立状態で行うことができる。しかしながら、いくつかの例では、船舶用船外機2は、浅い海域での作動を可能にするように、傾斜範囲での船舶用船外機2の限定的な運転を可能にするように構成されうる。従って、船舶用エンジンアセンブリは、主に、脚部の長手軸線が実質的に垂直方向にある状態で作動させられる。船舶用船外機2の脚部の長手軸線と実質的に平行である船舶用船外機2のエンジンのクランク軸は、船舶用船外機2の通常作動中では概ね垂直方向に配向されるであろうが、特定の作動条件下、特に浅い水中で船舶で作動させられる場合には、非垂直方向に配向させることもできる。また、エンジンアセンブリの脚部の長手軸線に実質的に平行に配向されている船舶用船外機2のクランク軸は、垂直クランク軸配置と呼ぶこともできる。また、エンジンアセンブリの脚部の長手軸線に対して実質的に垂直に配向された船舶用船外機2のクランク軸は、水平クランク軸配置と呼ぶこともできる。
【0039】
前述したように、適切に作動するためには、船舶用船外機2の下側部分23が水中に延びる必要がある。しかし、極めて浅い海域では、又は、トレーラーから船舶を進水させる際、船舶用船外機2の下側部分23が下方に傾斜した位置にある場合に、海底で引きずられたり、ボートが傾斜したりすることがある。船舶用船外機2を傾斜させて図2aに示す位置のように上方に傾斜した位置に傾けることによって、下側部分23及びプロペラ8の損傷を防止する。
【0040】
対照的に、位置調整は、図2b~図2dの3つの例に示すように、船舶用船外機2を完全に下降した位置から数度上方への比較的に小さな範囲にわたって移動させる機構である。位置調整は、船舶1の燃費と加速と高速作動の最良の組合せを提供する方向にプロペラ8の推力を方向付けるのに役立つ。
【0041】
船舶1が平面上にある場合(船舶1の重量が、静水揚力ではなく、流体力学的揚力によって主に支持される場合)、船首上げ構成は、抗力が比較的少なく、比較的大きな安定性及び効率をもたらす。これは、例えば図2bに示すように、ボート又は船舶1の中心線が約3度~5度で上向きである場合に一般的に当てはまる。
【0042】
傾斜が多すぎると、図2cに示す位置などのように、水中で船舶1の船首が高すぎる状態になる。この形態では、船舶1の船体が水を押しており、その結果、より多くの空気抵抗が生じるので、性能と経済性は減少する。上方への傾斜が大きすぎると、プロペラが通気し、性能がさらに低下することもある。さらに厳しい場合には、船舶1が水中を飛び跳ね、操作者と乗客がボード外に投げ出されてしまう可能性がある。
【0043】
下方に傾斜すると、船舶1の船首が下がり、立ち上がりからの加速に役立つ。図2dに示すように、下方への傾斜が多すぎると、船舶1が水中を「かきわけ(plough)」、燃費が落ちて速度が上がりにくくなる。高速では、下方への傾斜により船舶1が不安定になることさえある。
【0044】
図3を参照すると、本発明の一実施形態による船舶用船外機2の概略断面が示されている。船舶用船外機2は、前述した傾斜及び位置調整作動を行うための傾斜及び位置調整機構10を備えている。この実施形態では、傾斜及び位置調整機構10は、電気制御システムを介して船舶用船外機2を傾斜させ位置調整するように作動させることができる流体圧アクチュエータ11を有する。あるいは、操作者が油圧アクチュエータを使用するのではなく、手で船舶用船外機2を回動させる、手動の傾斜及び位置調整機構を提供することも実現可能である。
【0045】
以上のように、船舶用船外機2は、概ね3つの部分に分割されている。発動機としても知られる上側部分21は、船舶1に動力を供給するための内燃機関100を有する。カウリング部25が内燃機関100の周囲に配置される。上側部分21又は発動機に隣接して下方に延びている、中間部分22及び下側部分23が設けられている。下側部分23は、中間部分22に隣接して下方に延びており、中間部分22は、上側部分21を下側部分23に接続している。中間部分22は、内燃機関100とプロペラシャフト29との間に延びている駆動軸27を収容し、フローティング・コネクタ33(例えばスプライン接続部)を介して内燃機関のクランク軸31に接続されている。駆動軸27の下側端部には、駆動軸27の回転エネルギーを水平方向にプロペラ8に供給するギアボックス又は伝達装置(変速機)が設けられている。より詳細には、駆動軸27の底端部は、プロペラ8のプロペラシャフト29に回転接続可能な一対のかさ歯車37、39に接続されたかさ歯車35を有しうる。中間部分22及び下側部分23は、排気システムを形成し、これは、内燃機関100の排気ガス出口170からの排気ガス及び船舶用船外機2からの排気ガスを輸送するための排気ガス流路を画定する。
【0046】
内燃機関100は、4ストローク型V8ディーゼルエンジンの1バンクとして概略的に示されている。V字形シリンダバンクには、任意の他の量のシリンダを採用しうることが理解されるであろう。また、当業者は、インライン(直列)配置などの任意の他の配置を代替的に利用することができることを理解するであろう。本発明の内燃機関は、均等的に、2ストローク型燃焼エンジンとして構築することができる。
【0047】
内燃機関100は、シリンダがその中で画定されたシリンダブロック120と、シリンダヘッド130と、クランクケース140とを備えるエンジンブロック110を有する。クランク軸31は、垂直クランク軸の軸線32を中心に回転するためにクランクケース140内に取り付けられている。内燃機関100は、また、エンジンブロック内のシリンダに空気の流れを送るための吸気マニホールド150と、シリンダからの排気ガスの流れを方向付けるように構成された排気マニホールド160と、図4図6を参照して後述するクランクケース通気システムとを有する。内燃機関100は、排気マニホールド160からの排気ガスの流れの一部分を吸気マニホールド150に再循環させるように構成され、かつ、再循環された排気ガスを冷却するための熱交換器又は「EGR冷却器」を有する任意選択の排気ガス再循環システム(図示せず)を更に有しうる。
【0048】
図4及び図5を参照すると、内燃機関100は、シリンダブロック120と、シリンダヘッド130と、クランクケース140とから形成されたエンジンブロック110を有する。シリンダヘッド130は、タイミングベルト又はチェーン(図示せず)によってクランク軸に接続され、かつ、シリンダヘッド130内の吸気弁及び排気弁を作動させるための様々なカムを有する、カムシャフト(図示せず)を収容する。カムカバー131がシリンダヘッド130にボルト留めされ、カムシャフト及びバルブを覆う保護蓋として機能する。クランクケース140は、クランク軸のためのエンクロージャを形成し、シリンダブロック120と、従来の方法でシリンダブロック120にボルト留めされるベッドプレート鋳造物141とによって画定される。クランクケース140は、クランク軸がそれを通してフライホイール(図示せず)に接続される上側開口142と、クランク軸がそれを通して駆動軸に接続される下側開口(図示せず)とを有する。クランクケース140の構造について図6を参照してより詳細に後述する。内燃機関100の各バンクの吸気マニホールド150は、それぞれのカムカバー131に取り付けられており、かつ、そこを通って空気が吸気口ダクト(図示せず)を介して内燃機関100に供給される吸気口151を有する。排気マニホールド160は、排気システムを介して排気ガスを内燃機関から排出することができる、排気出口(図示せず)に接続されている。内燃機関は、排気マニホールドに接続されたタービンハウジングと、吸気ダクトに接続された圧縮機ハウジングとを備えた、1つ以上のターボチャージャを更に有しうる。内燃機関100は、さらに、クランクケース140からのブローバイガスを通気し、通気されたブローバイガスを吸気マニホールド150に供給するように構成された、クランクケース通気システム170を有する。クランクケース通気システム170は、クランクケース140内の一体型の潤滑剤分離室(参照番号180、図6)と、遠心式潤滑剤分離器190の形態の外部の潤滑剤分離器とを有し、これらは両方ともブローバイガスから潤滑剤を分離するためのものである。遠心式潤滑剤分離器190は、第1の外部ホース192によって潤滑剤分離室の室出口182に接続される分離器入口191を有する。遠心式潤滑剤分離器190は、また、第2の外部ホース(図示せず)によって吸気口に接続されるガス出口(図示せず)を有し、さらに、その下側において、第3の外部ホース194によって内燃機関100の下の潤滑剤リザーバ(図示せず)に接続される排出口193を有する。この実施形態では、各シリンダバンクのカムカバー131は、カムカバー131の下を循環するガスから潤滑剤を分離するための任意選択のバッフル室を有し、各バッフル室は、第4の外部ホース195によって分離器入口191に接続されている。カムカバーの下の空間は、圧力を均等にするために連結通路によってクランクケースエンクロージャに連結することができ、ガスはこの連結通路を介してカムカバーの下の空間に入りうる。さらに、少量のガスがバルブステムシールを通過してカムカバー131の下の空間に漏れ出す可能性がある。カムカバー131内のバッフル室は、遠心式潤滑剤分離器190への負担を軽減するために、カムカバー131の下のガスから潤滑剤の比較的に大きな液滴を分離する。
【0049】
図6は、内燃機関100のクランクケース140を通した断面図を示す。クランクケース140は、クランクケースエンクロージャを画定する外側ケーシング147を有し、これは、シリンダブロック120及びベッドプレート141が構築される、シリンダブロック鋳造物とベッドプレート鋳造の外壁によって形成される。クランクケース140は、また、端壁145及び3つの隔壁143によって接合されている、いくつかの側壁149を有し、これらの側壁は、クランクケースエンクロージャの幅を横断して延びてそれを4つのエンクロージャ部分144に分割し、1つのエンクロージャ部分144がシリンダブロック内の各対のシリンダに対して設けられている。エンクロージャ部分144は、それぞれ、内燃機関のいくつかのシリンダの1つに隣接して配置され、キャビティを提供し、そのキャビティ内には、それぞれのシリンダ内で往復運動するピストンのクランクピンジャーナル及びコネクティングロッドが自由に回転するようになっている。クランクケースエンクロージャは、その上側端部及び下側端部において、端壁145によって境界付けされる。隔壁143及び端壁145は、それぞれ、クランク軸の主ジャーナルのための半円形の支持面を形成する。隔壁143及び端壁145によって提供される支持面は、クランクケース140を通って垂直に延びるクランク軸の軸線32を画定する。下側のエンクロージャ部分144を境界とする下側端壁145の下方には、隔壁143及び下側端壁145の開口を通して4つのエンクロージャ部分144と流体連通している、区画部148がある。潤滑剤を内燃機関100の比較的に高い部分に循環させるために、区画部148内にポンプ(図示せず)を設けることができる。区画部148は、隔壁143及び端壁145によって、ピストン及びクランク軸のカウンターウェイト及びクランクピンジャーナルから分離され、したがって、クランクケースの他の部分よりも圧力波及び浮遊している油滴に関して「より穏やか」である。
【0050】
潤滑剤分離室180は、外側ケーシング147といくつかの側壁149の内の1つとの間に配置される。潤滑剤分離室180は、区画部148に通じている室入口181から、クランクケース140の上側端部において外側ケーシング147を通って延びている室出口182まで、クランクケースのほぼ全長に沿って垂直に延びている。潤滑剤分離室180は、シリンダブロック120の鋳造物内の開放した流路183によって画定される。この例では、流路183は、シリンダブロック120内に鋳造され、シリンダブロック120の周囲の周りで閉じられている。他の例では、流路183は、ベッドプレート141の方向に開いており、次いで、ベッドプレート141がシリンダブロック120に対して組み立てられてクランクケース140を形成するときにベッドプレート141によってその長さに沿って閉じられるように、シリンダブロック120内に鋳造することができる。潤滑剤分離室180は、流路183の長さに対して横断方向に延びているバッフル184の形態のいくつかの任意選択の流れ障害物を有する。バッフル184によって、潤滑剤分離室180に沿って流れるブローバイガスの方向において急激な変化を生じさせ、それによって潤滑剤分離を促進する。
【0051】
図4図6を参照して、クランクケース通気システムの作動について説明する。使用中、ブローバイガスはクランクケース140に入り、クランクケースのエンクロージャに集まる。これらのブローバイガスは、吸気口内の部分的真空の作用の下で、室入口181を介して区画部148から潤滑剤分離室180内に引き込まれる。通気されたブローバイガス又は「ブリーザガス」がクランクケース140の長さにわたって上昇するにつれて、ブリーザガスと混合された潤滑剤の液滴が、重力の作用下で落下し、室入口181及び区画部148を介してサンプ(図示せず)に排出される。潤滑剤の液滴の分離によって、バッフル184によってさらに促進され、これにより、ブリーザガスに方向及び速度を変えさせ、潤滑剤の液滴の慣性分離を促す。次いで、通気されたガスは、室出口182を介してクランクケース140から出て、第1の外部ホース192によって分離器入口191に方向付けられる。同様に、ガスは、カムカバー内のバッフル室から通気され、第4の外部ホース195によって分離器入口191に方向付けられる。ガスは遠心式潤滑剤分離器190内で遠心分離され、ガスからさらに比較的に小さな液滴の潤滑剤を分離する。次いで、濾過されたガスは、第2の外部ホースによって吸気口に循環され、分離された潤滑剤は、排出口193及び第3の外部ホース194を介してサンプに戻される。
【0052】
潤滑剤分離室をクランクケースに一体化し、ブローバイガスをクランクケースを通して送ることにより、外部の潤滑剤分離室を使用する配置と比較して、外部ホースの数及び長さを減少させることができる。更に、潤滑剤分離室の長さ、ひいては、潤滑剤分離室の有効性を、シリンダヘッド内のバッフル室と比較して増加させることができ、分離された潤滑剤は、クランクケースにより容易に戻りうる。
【0053】
本発明は、1つ以上の好ましい実施形態を参照して上述したが、添付の特許請求の範囲に規定されているように、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更又は修正を行いうることが理解されよう。
また、本開示は以下の発明を含む。
第1の態様は、
内燃機関を有する船舶用船外機において、
前記内燃機関は、
少なくとも1つのシリンダを画定するエンジンブロックと、
前記少なくとも1つのシリンダに空気の流れを送るように構成された吸気口と、
前記船舶用船外機が垂直である場合には、実質的に垂直方向であるクランク軸の軸線を中心に回転するように前記クランク軸が取り付けられているクランクケースと、
前記クランクケースからのブローバイガスを通気し、通気されたブローバイガスを前記吸気口に供給するように構成されたクランクケース通気システムであって、クランクケース通気システムは、ブローバイガスから潤滑剤を分離するための潤滑剤分離室を備え、潤滑剤分離室は、前記クランクケースによって画定され、かつ、前記クランクケースの長さに沿って前記クランク軸の軸線と実質的に平行に延びている、クランクケース通気システムとを備える、内燃機関を有する船舶用船外機である。
第2の態様は、
潤滑剤分離室は、前記クランクケースの実質的に全長に沿って延びている、第1の態様における船舶用船外機である。
第3の態様は、
前記クランクケースは、前記クランクケースの底端部に位置する区画部であって、壁によって前記少なくとも1つのシリンダから隔てられた区画部を備え、潤滑剤分離室は、前記区画部から延びる室入口を有する、第1の態様又は第2の態様における船舶用船外機である。
第4の態様は、
前記区画部から延びる室入口は、潤滑剤分離室の唯一の入口である、第3の態様における船舶用船外機である。
第5の態様は、
前記潤滑剤分離室は、前記クランクケースの外壁を通って延びる室出口を有し、前記室出口は、少なくとも1つの外部ホースによって前記吸気口に接続されている、第1の態様~第4の態様のいずれか1つにおける船舶用船外機である。
第6の態様は、
前記クランクケース通気システムは、少なくとも1つの外部ホースによって、前記潤滑剤分離室の前記室出口及び前記吸気口に接続された外部の潤滑剤分離器を更に備える、第5の態様における船舶用船外機である。
第7の態様は、
前記外部の潤滑剤分離器が、サイクロン分離器及び遠心分離器の一方又は両方を備える、第6の態様における船舶用船外機である。
第8の態様は、
前記エンジンブロックは、互いに接合されて前記クランクケースを形成する、シリンダブロック鋳造物とベッドプレート鋳造物とを備える、第1の態様~第7の態様のいずれか1つにおける船舶用船外機である。
第9の態様は、
前記潤滑剤分離室は、シリンダブロック鋳造物とベッドプレート鋳造物とが互いに接合されて前記クランクケースを形成する時に閉鎖されるシリンダブロック鋳造物及びベッドプレート鋳造物の一方又は両方における開放した流路によって画定される、第8の態様における船舶用船外機である。
第10の態様は、
前記潤滑剤分離室は、シリンダブロック鋳造物とベッドプレート鋳造物とが互いに接合されて前記クランクケースを形成する時に、前記ベッドプレート鋳造物によって閉鎖される前記シリンダブロック鋳造物の内の開放した流路によって画定される、第8の態様又は第9の態様における船舶用船外機である。
第11の態様は、
前記潤滑剤分離室は休止室である、第1の態様~第10の態様のいずれか1つにおける船舶用船外機である。
第12の態様は、
前記潤滑剤分離室は、前記潤滑剤分離室の長さに沿って流れるブローバイガスの方向及び/又は速度の変化を生じさせ、それによって潤滑剤の分離を促進するように構成された1つ又は複数の流れ障害物を備える、第1の態様~第11の態様のいずれか1つにおける船舶用船外機である。
第13の態様は、
前記1つ又は複数の流れ障害物は、1つ又は複数のバッフル及び/又は曲がりくねった通路を備える、第12の態様における船舶用船外機である。
第14の態様は、
第1の態様~第13の態様のいずれか1つにおける船舶用船外機を備える船舶である。
図1
図2a
図2b
図2c
図2d
図3
図4
図5
図6