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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-17
(45)【発行日】2024-07-25
(54)【発明の名称】ターボ機械の加速度を調整する方法
(51)【国際特許分類】
   F02K 5/00 20060101AFI20240718BHJP
   F02C 7/26 20060101ALI20240718BHJP
   F02C 7/266 20060101ALI20240718BHJP
   F02K 3/06 20060101ALI20240718BHJP
   B64D 27/02 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
F02K5/00
F02C7/26 B
F02C7/266
F02K3/06
B64D27/02
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021572075
(86)(22)【出願日】2020-04-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-09
(86)【国際出願番号】 FR2020050716
(87)【国際公開番号】W WO2020245516
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2023-04-14
(31)【優先権主張番号】1906001
(32)【優先日】2019-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】315008740
【氏名又は名称】サフラン エアークラフト エンジンズ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【弁理士】
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】ロマン ギヨーム キュビリエ
(72)【発明者】
【氏名】ピエール カブレラ
【審査官】佐々木 淳
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0226934(US,A1)
【文献】特表2007-505261(JP,A)
【文献】特開2008-082335(JP,A)
【文献】特開2017-048784(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02K 5/00
F02C 7/26
F02C 7/266
F02K 3/06
B64D 27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターボ機械(1)の加速度を調整する方法であって、
前記ターボ機械(1)は、燃焼室(5)と、前記燃焼室(5)の下流側に位置しかつ高圧軸(8)を回転駆動する、高圧タービン(6)と、前記高圧タービン(6)の下流側に位置し、かつ、低圧軸(9)を回転駆動する低圧タービン(7)とを備える、方法において、
前記方法は、
前記高圧軸(8)の速度が目標値に達するまで、前記高圧軸(8)に機械的動力を注入するステップ(100)と、
前記速度を前記目標値に維持するように、前記高圧軸(8)から機械的動力を抽出するステップ(200)とを備える、ターボ機械(1)の加速度を調整する方法。
【請求項2】
前記高圧軸(8)から機械的動力を抽出するステップ(200)は、発電機モードの第1の電気機械(11)によって達成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記高圧軸(8)に機械的動力を注入するステップ(100)は、電動機モードの前記第1の電気機械(11)によって達成される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法は、前記高圧軸(8)から機械的動力を抽出するステップ(200)と並行して行われる、前記低圧軸(9)に機械的動力を注入するステップ(250)を備える、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記方法が、前記高圧軸(8)に機械的動力を注入するステップ(100)と並行して達成される、前記低圧軸(9)から機械的動力を抽出するステップ(150)を備える、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記低圧軸(9)に機械的動力を注入するステップ(250)は、電動機モードの第2の電気機械(12)によって達成され、前記低圧軸(9)から機械的動力を抽出するステップ(150)は、発電機モードの第2の電気機械(12)によって達成される、請求項4及び5に記載の方法。
【請求項7】
前記ターボ機械(1)は、前記燃焼室(5)の上流に位置しかつ前記高圧軸(8)によって回転駆動される、高圧圧縮機(4)を備え、
前記方法は、前記高圧圧縮機(4)のサージングパラメータを決定することによって前記高圧圧縮機(4)を監視するステップと、前記高圧圧縮機(4)のサージングパラメータが閾値に達した場合に、前記高圧軸(8)に機械的動力を注入するステップ(100)とを備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
航空機用ターボ機械(1)において、
前記航空機用ターボ機械(1)は、
燃焼室(5)の下流側に位置しかつ高圧軸(8)に接続されている、高圧タービン(6)と、
前記高圧タービン(6)の下流側に位置しかつ低圧軸(9)に接続されている、低圧タービン(7)と、
機械的動力を前記高圧軸(8)に注入する装置(11)と、
前記高圧軸(8)から機械的動力を抽出する装置(11)と、
前記注入する装置(11)及び前記抽出する装置(11)に接続されている制御システム(13)であって、前記制御システム(13)は、請求項1~7のいずれか一項に記載のターボ機械の加速度を調整する方法を実施するように構成されている、制御システム(13)とを備える、航空機用ターボ機械(1)。
【請求項9】
前記注入する装置(11)は、前記高圧軸(8)に機械的動力を注入するステップ(100)を達成する電動機モードで動作するように構成された第1の電気機械(11)であり、前記抽出する装置(11)は、前記高圧軸(8)から機械的動力を抽出するステップ(200)を達成する発電機モードで動作するように構成された前記第1の電気機械(11)である、請求項8に記載の航空機用ターボ機械(1)。
【請求項10】
前記ターボ機械は、前記低圧軸(9)に接続されておりかつ前記低圧軸(9)に機械的動力を注入するステップ(250)を達成する電動機モードで作動しかつ前記低圧軸(9)に機械的動力を注入するように構成された、第2の電気機械(12)を備える、請求項8~9のいずれか1項に記載の航空機用ターボ機械(1)。
【請求項11】
前記第2の電気機械(12)が、前記高圧軸(8)から機械的動力を抽出するステップ(200)を達成する発電機モードで作動し、前記低圧軸(9)から機械的動力を抽出するように構成されている、請求項10に記載の航空機用ターボ機械(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機用ターボ機械の一般分野に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、航空機用ターボ機械は、高圧(HP)タービンにより回転駆動される高圧軸(HP軸)と、低圧タービンにより回転駆動される低圧軸(LP軸)とを備え、低圧軸はターボ機械のファンを回転駆動させる。
【0003】
ターボ機械の加速段階の間では、ターボ機械の高圧(HP)軸と低圧(LP)軸の間に目標回転数達成のための遅れが発生しうる。実際、本願の出願人は、低圧軸が高圧軸よりも迅速に加速しない傾向があり、従って、低圧軸が高圧軸よりも遅くその目標回転速度に到達することを見出した。本願の出願人は、低圧軸とファンとの間に減速ギアを配置すると、低圧軸の加速の遅れが強く増すことを見出した。
【0004】
低圧軸の加速度の遅れにより、ファンの加速度の遅れを引き起こし、従って、加速度指令と目標推力が得られる瞬間との間の期間が増す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明は、前述した課題に対応する解決策を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様によれば、本発明は、ターボ機械の加速度を調整する方法であって、前記ターボ機械は、燃焼室と、前記燃焼室の下流側に位置しかつ高圧軸を回転駆動する高圧タービンと、前記高圧タービンの下流側に位置しかつ低圧軸を回転駆動する低圧タービンとを備える、方法において、方法は、高圧軸の速度が目標値に達するまで機械的な動力を高圧軸に注入するステップと、速度を目標値に維持するように、高圧軸から機械的な動力を抽出するステップとを備えることを特徴とする方法に関する。
【0007】
このタイプの調整方法により、高圧軸の加速と低圧軸の加速の間の遅れを減らすことができる。加速段階の開始時に、加速を助けるために高圧軸に動力が注入され、次いで、低圧軸の強い加速を可能にするように高圧軸の加速が停止され、次いで、低圧軸は、従来技術よりも急速にその目標速度を達成する。より一般的には、高圧軸及び低圧軸の加速の持続時間は、いずれも従来技術よりも短い。
【0008】
1つの可能な特徴によれば、高圧軸から機械的な動力を抽出するステップは、発電機モードの第1の電気機械によって達成される。
【0009】
1つの可能な特徴によれば、機械的動力を高圧軸に注入するステップは、電動機モードの第1の電気機械によって達成される。
【0010】
1つの可能な特徴によれば、本方法は、機械的動力を高圧軸から抽出するステップと並行して達成される、機械的動力を低圧軸に注入するステップを備える。
【0011】
1つの可能な特徴によれば、本方法は、機械的動力を高圧軸に注入するステップと並行して達成される、低圧軸から機械的動力を抽出するステップを備える。
【0012】
1つの可能な特徴によれば、低圧軸に機械的な動力を注入するステップは、電動機モードの第2の電気機械によって達成され、低圧軸から機械的な動力を抽出するステップは、発電機モードの第2の電気機械によって達成される。
【0013】
一つの可能な特徴によれば、前記ターボ機械は、前記燃焼室の上流に位置しかつ前記高圧軸によって回転駆動される高圧圧縮機を備え、前記方法は、前記高圧圧縮機のサージングパラメータを決定することによって前記高圧圧縮機を監視するステップと、前記高圧圧縮機のサージングパラメータが閾値に達した場合に、前記高圧軸に機械的動力を注入するステップが達成されるステップとを備える。
【0014】
第2の態様によれば、本発明は、航空機用ターボ機械において、
航空機用ターボ機械は、
燃焼室の下流側に位置しかつ高圧軸に接続されている高圧タービンと、
高圧タービンの下流側に位置しかつ低圧軸に接続されている低圧タービンと、
高圧軸に機械的動力を注入する装置と、
高圧軸から機械的な動力を抽出する装置と、
前記注入装置及び前記抽出装置に接続されている制御システムであって、前記制御システムは、上記の特徴のいずれか1つに従って、前記ターボ機械の加速度を調整するための方法を実施するように構成されている、制御システムとを備える、航空機用ターボ機械に関する。
【0015】
1つの可能な特徴によれば、注入装置は、電動機モードで作動するように構成された第1の電気機械であり、抽出装置は、発電機モードで作動するように構成された第1の電気機械である。
【0016】
1つの可能な特徴によれば、ターボ機械は、低圧軸に接続されておりかつ電動機モードで作動し、低圧軸に機械的な動力を注入するように構成された、第2の電気機械を備える。
【0017】
1つの可能な特徴によれば、第2の電気機械は、発電機モードで作動しかつ低圧軸から機械的な動力を抽出するように構成されている。
【0018】
本発明の他の特徴及び利点は、限定的な性格を持たない本発明の一実施形態を図示する添付図面を参照して、以下の説明によって明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、第1の実施形態に係る航空機用ターボ機械を模式的に示す。
図2図2は、第2の実施の形態に係る航空機用ターボ機械を模式的に示す。
図3図3は、ターボ機械の加速度を調整する方法のステップを模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、空気流の流れ方向における上流から下流にかけて、ファン2と、低圧(LP)圧縮機3と、高圧(HP)圧縮機4と、燃焼室5と、高圧(HP)タービン6と、低圧(LP)タービン7とを備える、航空機用の二軸複流式のターボ機械1を模式的に示している。
【0021】
高圧タービン6は、高圧軸8によって高圧圧縮機4に接続されており、低圧タービン7は、低圧軸9によって低圧タービン3とファン2に接続されている。
【0022】
さらに、図1及び図2に示すように、ターボ機械1は、ファン2と低圧軸9とを接続する減速機Rを備えることができ、減速機Rは、ファン2の回転速度と低圧タービン9の回転速度を切り離すことができる。しかしながら、本発明は、ファン2が低圧軸3に直接的に接続され、従って、低圧タービン7に直接的に接続されているターボ機械1にも使用することができる。しかしながら、本発明は、ターボ機械1が減速ギアRを備える場合に、より有利であり、本願の出願人は、ターボ機械1が減速ギアRを備える場合に、低圧軸の慣性が増すことを見出した。
【0023】
ターボ機械1は、高圧軸8に接続されている第1の電気機械11を備える。第1の電気機械11は、一方では、発電機モードで作動し、従って、高圧軸8から機械的動力を抽出し、他方では、電動機モードで作動し、従って、機械的動力を高圧軸8に注入するように構成された可逆機械である。別の可能な変形例によれば、第1の電気機械11は、発電機であり、可逆的ではなく、この第1の電気機械11は、この変形例では電動機として動作することができない。
【0024】
図2に示すように、ターボ機械1は、低圧軸9に接続されている第2の電気機械12を備えることができる。第2の電気機械12は、低圧軸9に機械的な動力を注入するように構成された電動機とすることができる。第2の電気機械は、一方では、発電機モードで作動し、従って、低圧軸9から機械的動力を抽出し、他方では、電動機モードで作動し、従って、低圧軸9に機械的動力を注入するように構成された、可逆機械とすることができる。別の可能な変形例によれば、第2の電気機械12は、電動機であり、可逆的ではなく、この第2の電気機械12は、この変形例では発電機として動作することができない。
【0025】
ターボ機械1は、第1の電気機械11及び第2の電気機械12に接続されている制御システム13を備えている。制御システム13は、前記ターボ機械1が加速するのに要する時間を短縮するためにターボ機械1の加速度を調整する方法を実施するように構成されている。換言すれば、制御システム13によって実施される方法は、ターボ機械1が加速度指令と目標推力を生成するときの瞬間の間の遅れを低減することができる。この方法により、特に、発進推力達成の遅れを低減することができる。
【0026】
制御システム13によって実施されるターボ機械1の加速度を調整する方法は、
高圧軸8の速度が目標値に達するまで、機械的動力を高圧軸8に注入するステップ100と、
次いで、同一の電気機械11によって目標値で速度を維持するように高圧軸8から機械的動力を抽出するステップ200とを備える。
【0027】
それゆえ、電動機モードで動作する第1の電気機械11は、目標速度に達するまで高圧軸8を加速するように制御システム13によって指令される。次いで、発電機モードで動作する第1の電気機械11は、高圧軸8が目標速度に到達したときに高圧軸8から機械的動力を抽出するように制御システム13によって指令される。
【0028】
本願の出願人は、ターボ機械1の高圧軸が目標速度に到達したときに高圧軸8の回転速度を抑制する(高圧軸から機械的動力を抽出する)ことにより、ターボ機械1の低圧軸の速度上昇を加速することができるので、目標推力をより急速に得ることができることを見出した。実際、高圧軸6の回転速度が抑制されていることによって、余分なエネルギーが低圧軸7に伝達される。
【0029】
制御システム13は、高圧軸8の補正された速度を使用することによって、ターボ機械の加速度を調整することができる。高圧軸8の補正速度は、高圧軸8の温度加重回転速度に相当する。
【0030】
ターボ機械1の低圧軸の加速持続時間をさらに減少させることを可能にする1つの有利な変形例によれば、前記高圧軸8が目標速度に到達したとき、前記高圧軸8から抽出された機械的動力が前記低圧軸9に注入される(ステップ250)。
【0031】
この変形例は、第1の電気機械11を発電機モードで動作するように制御しかつ電動機モードで動作する第2の電気機械12に電気を供給する制御システム13によって実施することができる。電流を適応させるために、第1の電気機械11と第2の電気機械12との間に変圧器を配置することができる。
【0032】
1つの可能な解決策によれば、第1の電気機械11は、電動機モードで作動するときに電池14によって電気を供給される。
【0033】
別の可能な解決法によれば、第1の電気機械11は、電動機モードで動作するときに発電機モードで動作する第2の電気機械12によって電気が供給され、第2の電気機械12は、低圧軸9から機械的な動力を抽出することによって電気を発生させる(ステップ150)。実際、本願の出願人は、最初に高圧軸の急速な加速を確保し、次に低圧軸の急速な加速を確保することが有利であることを見出した。電流を適応させるために、第1の電気機械11と第2の電気機械12との間に変圧器を配置することができる。
【0034】
高圧圧縮機4のサージングの危険を低減することを可能にする1つの可能な変形例によれば、制御システム13は、高圧圧縮機4を監視するステップを実施するように構成されている。この高圧圧縮機4を監視するステップは、高圧圧縮機のサージングパラメータを決定し、高圧圧縮機4のポンピングパラメータが閾値に達したときに機械的動力を高圧軸8に注入することによって達成される。ポンピング(サージング)とは、圧縮機の入口側と圧縮機の出口側との間の圧力差が高すぎるために空気の流れの方向の反転が起こる現象である。
【0035】
高圧圧縮機4のサージングパラメータは、前記高圧圧縮機4の圧力比、すなわち、前記高圧圧縮機4の出口圧力と前記高圧圧縮機4の入口圧力の比と、高圧圧縮機4の流量とに基づいて決定することができる。したがって、ターボ機械1は、高圧圧縮機4の入口の圧力を測定するように構成された第1の圧力センサと、高圧圧縮機4の出口圧力を測定するように構成された第2の圧力センサとを備えることができ、第1の圧力センサ及び第2の圧力センサは制御システム13に接続されている。ターボ機械は、また、高圧圧縮機4内の空気の流量を測定するように構成された流量計を備えることができ、この流量計は制御システム13に接続される。
【0036】
したがって、制御システム13が、サージングパラメータの展開を監視し、パラメータの値がサージ現象が発生しそうなことを示すときに、高圧圧縮機4への機械的動力の注入を制御するように構成されていることにより、サージ現象の危険を低減することができる。
【0037】
この高圧圧縮機4を監視するステップは、方法全体を通して、他のステップと同時に達成される。高圧圧縮機4のサージングパラメータが閾値に達したために前記高圧圧縮機4に機械的動力が注入されると、高圧軸8の速度の抑制は、サージングパラメータが再び閾値を下回るまで一時的に停止される。
また、本開示は以下の発明を含む。
第1の態様は、
ターボ機械(1)の加速度を調整する方法であって、
前記ターボ機械(1)は、燃焼室(5)と、前記燃焼室(5)の下流側に位置しかつ高圧軸(8)を回転駆動する、高圧タービン(6)と、前記高圧タービン(6)の下流側に位置し、かつ、低圧軸(9)を回転駆動する低圧タービン(7)とを備える、方法において、
前記方法は、
前記高圧軸(8)の速度が目標値に達するまで、前記高圧軸(8)に機械的動力を注入するステップ(100)と、
前記速度を前記目標値に維持するように、前記高圧軸(8)から機械的動力を抽出するステップ(200)とを備える、ターボ機械(1)の加速度を調整する方法である。
第2の態様は、
前記高圧軸(8)から機械的動力を抽出するステップ(200)は、発電機モードの第1の電気機械(11)によって達成される、第1の態様における方法である。
第3の態様は、
前記高圧軸(8)に機械的動力を注入するステップ(100)は、電動機モードの前記第1の電気機械(11)によって達成される、第2の態様における方法である。
第4の態様は、
前記方法は、前記高圧軸(8)から機械的動力を抽出するステップ(200)と並行して行われる、前記低圧軸(9)に機械的動力を注入するステップ(250)を備える、第1の態様~第3の態様のいずれか1つにおける方法である。
第5の態様は、
前記方法が、前記高圧軸(8)に機械的動力を注入するステップ(100)と並行して達成される、前記低圧軸(9)から機械的動力を抽出するステップ(150)を備える、第1の態様~第4の態様のいずれか1つにおける方法である。
第6の態様は、
前記低圧軸(9)に機械的動力を注入するステップ(250)は、電動機モードの第2の電気機械(12)によって達成され、前記低圧軸(9)から機械的動力を抽出するステップ(150)は、発電機モードの第2の電気機械(12)によって達成される、第4の態様及び第5の態様における方法である。
第7の態様は、
前記ターボ機械(1)は、前記燃焼室(5)の上流に位置しかつ前記高圧軸(8)によって回転駆動される、高圧圧縮機(4)を備え、
前記方法は、前記高圧圧縮機(4)のサージングパラメータを決定することによって前記高圧圧縮機(4)を監視するステップと、前記高圧圧縮機(4)のサージングパラメータが閾値に達した場合に、前記高圧軸(8)に機械的動力を注入するステップ(100)とを備える、第1の態様~第6の態様のいずれか1つにおける方法である。
第8の態様は、
航空機用ターボ機械(1)において、
前記航空機用ターボ機械(1)は、
燃焼室(5)の下流側に位置しかつ高圧軸(8)に接続されている、高圧タービン(6)と、
前記高圧タービン(6)の下流側に位置しかつ低圧軸(9)に接続されている、低圧タービン(7)と、
機械的動力を前記高圧軸(8)に注入する装置(11)と、
前記高圧軸(8)から機械的動力を抽出する装置(11)と、
前記注入する装置(11)及び前記抽出する装置(11)に接続されている制御システム(13)であって、前記制御システム(13)は、第1の態様~第7の態様のいずれか1つにおけるターボ機械の加速度を調整する方法を実施するように構成されている、制御システム(13)とを備える、航空機用ターボ機械(1)である。
第9の態様は、
前記注入する装置(11)は、前記電動機モードで動作するように構成された第1の電気機械(11)であり、前記抽出する装置(11)は、前記発電機モードで動作するように構成された前記第1の電気機械(11)である、第8の態様における航空機用ターボ機械(1)である。
第10の態様は、
前記ターボ機械は、前記低圧軸(9)に接続されておりかつ前記電動機モードで作動しかつ前記低圧軸(9)に機械的動力を注入するように構成された、第2の電気機械(12)を備える、第8の態様~第9の態様のいずれか1つにおける航空機用ターボ機械(1)である。
第11の態様は、
前記第2の電気機械(12)が、前記発電機モードで作動し、前記低圧軸(9)から機械的動力を抽出するように構成されている、第10の態様における航空機用ターボ機械(1)である。
図1
図2
図3