(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-17
(45)【発行日】2024-07-25
(54)【発明の名称】原価管理装置、原価管理方法、および、原価管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/04 20120101AFI20240718BHJP
【FI】
G06Q50/04
(21)【出願番号】P 2022019050
(22)【出願日】2022-02-09
【審査請求日】2024-05-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石田 一基
(72)【発明者】
【氏名】中村 圭吾
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【審査官】三吉 翔子
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-227903(JP,A)
【文献】特開2017-72870(JP,A)
【文献】特開2004-258717(JP,A)
【文献】特開2009-122987(JP,A)
【文献】特開2005-215782(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶部と制御部とを備えた原価管理装置であって、
前記記憶部は、
製品、ならびに、前記製品を構成する構成要素の品番、工程、および、所要量を紐付けて設定した製造構成マスタと、
前記製品の前記品番、前記工程、および、生産予定数を紐付けて設定した生産予定データを記憶する製品管理記憶手段と、
原価費目毎の製造経費金額を設定した製造経費データを記憶する製造経費記憶手段と、
前記構成要素である原材料の標準購入価格である原材料単価を設定した原材料単価マスタと、
直接工の時間単価である標準賃率を設定した直接労務費単価マスタと、
前記構成要素の外注加工時の外注費単価を設定した外注費単価マスタと、
前記製品または前記構成要素毎の、前記品番、前記工程、部門、単位作業時間、単位設備稼働時間、ならびに、単位製造数を紐付けて設定した製造指示マスタと、
を備え、
前記制御部は、
前記製造構成マスタ、前記原材料単価マスタ、前記直接労務費単価マスタ、前記外注費単価マスタ、前記製造指示マスタ、前記生産予定データ、および、前記製造経費データに基づいて、前記製品および前記構成要素の標準原価単価である自標準原価単価、ならびに、前記製品および前記構成要素の下位構成の前記標準原価単価である下位標準原価単価を階層的に紐付けて設定した原価標準単価マスタを設定する原価標準単価設定手段、
を備えたことを特徴とする原価管理装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記原価標準単価マスタ、前記製造構成マスタ、および、前記生産予定データに基づいて、前記品番および前記工程単位の前記生産予定数と前記自標準原価単価とを乗じた金額を合計した標準総製造費用額を含む総製造費用データを取得する総製造費用取得手段、
を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の原価管理装置。
【請求項3】
前記記憶部は、
前記製品の前記品番、前記工程、および、販売単価を紐付けて設定した販売単価マスタ、
を更に備え、
前記製品管理記憶手段は、
更に、前記製品の前記品番、前記工程、および、販売予定数を紐付けて設定した販売予定データを記憶し、
前記制御部は、
前記販売単価マスタ、および、前記販売予定データに基づいて、前記販売予定数と前記販売単価とを乗じた前記製品の標準売上高を取得する売上高取得手段と、
前記標準売上高から売上原価である前記標準総製造費用額を差し引いた売上総利益を取得する売上総利益取得手段と、
を更に備えたことを特徴とする請求項2に記載の原価管理装置。
【請求項4】
前記記憶部は、
前記原価費目、ならびに、変動費もしくは固定費を示す固変区分を紐付けて設定した原価費目区分マスタ、
を更に備え、
前記原価標準単価マスタは、
更に、前記原価費目が設定され、
前記制御部は、
前記原価費目区分マスタ、および、前記原価標準単価マスタに基づいて、前記製品の標準固定費、および、標準変動費を算出し、当該標準固定費、当該標準変動費、および、前記標準売上高に基づいて、前記製品の損益分岐点売上高を取得する損益分岐点取得手段、
を更に備えたことを特徴とする請求項3に記載の原価管理装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記製品の生産実績数を設定した生産実績データを取得する生産実績取得手段と、
前記原価標準単価マスタ、前記製造構成マスタ、および、前記生産実績データに基づいて、前記品番および前記工程単位の前記生産実績数と前記自標準原価単価とを乗じた金額を合計した実際総製造費用額を含む総製造費用データを取得する総製造費用取得手段と、
を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の原価管理装置。
【請求項6】
前記原価標準単価設定手段は、
更に、前記原価標準単価マスタに基づいて、前記品番および前記工程単位の前記自標準原価単価と前記下位標準原価単価との合計標準原価単価を設定した合計標準単価マスタを設定することを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の原価管理装置。
【請求項7】
前記原価標準単価設定手段は、
前記製造構成マスタ、前記製造指示マスタ、および、前記生産予定データに基づいて、前記製品または前記構成要素の下位の前記構成要素、構成レベル、および、生産予定数を紐付けて設定した生産予定構成展開データを生成する生産予定構成展開生成手段、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の原価管理装置。
【請求項8】
前記原価標準単価設定手段は、
前記生産予定構成展開データに対する、労務費、外注費、材料費および経費を含む前記原価費目毎の所定計算を行うことで、前記製品の前記品番、前記工程、前記原価費目、前記構成レベル、ならびに、前記下位構成の前記品番である下位品番、前記下位構成の前記工程である下位工程、および、前記下位構成の原価単価である下位品番単価を紐付けて設定した生産予定構成展開費目データを生成する生産予定構成展開費目生産手段、
を更に備えたことを特徴とする請求項7に記載の原価管理装置。
【請求項9】
前記原価標準単価設定手段は、
前記構成レベルの下位から上位の順に、前記生産予定構成展開費目データに設定された前記製品または前記構成要素に紐付けられた前記下位品番単価を積み上げることにより、階層化された前記構成要素の前記下位標準原価単価を算出する下位標準原価単価算出手段、
を更に備えたことを特徴とする請求項8に記載の原価管理装置。
【請求項10】
記憶部と制御部とを備えた原価管理装置に実行させるための原価管理方法であって、
前記記憶部は、
製品、ならびに、前記製品を構成する構成要素の品番、工程、および、所要量を紐付けて設定した製造構成マスタと、
前記製品の前記品番、前記工程、および、生産予定数を紐付けて設定した生産予定データを記憶する製品管理記憶手段と、
原価費目毎の製造経費金額を設定した製造経費データを記憶する製造経費記憶手段と、
前記構成要素である原材料の標準購入価格である原材料単価を設定した原材料単価マスタと、
直接工の時間単価である標準賃率を設定した直接労務費単価マスタと、
前記構成要素の外注加工時の外注費単価を設定した外注費単価マスタと、
前記製品または前記構成要素毎の、前記品番、前記工程、部門、単位作業時間、単位設備稼働時間、ならびに、単位製造数を紐付けて設定した製造指示マスタと、
を備え、
前記制御部で実行させる、
前記製造構成マスタ、前記原材料単価マスタ、前記直接労務費単価マスタ、前記外注費単価マスタ、前記製造指示マスタ、前記生産予定データ、および、前記製造経費データに基づいて、前記製品および前記構成要素の標準原価単価である自標準原価単価、ならびに、前記製品および前記構成要素の下位構成の前記標準原価単価である下位標準原価単価を階層的に紐付けて設定した原価標準単価マスタを設定する原価標準単価設定ステップ、
を含むことを特徴とする原価管理方法。
【請求項11】
記憶部と制御部とを備えた原価管理装置に実行させるための原価管理プログラムであって、
前記記憶部は、
製品、ならびに、前記製品を構成する構成要素の品番、工程、および、所要量を紐付けて設定した製造構成マスタと、
前記製品の前記品番、前記工程、および、生産予定数を紐付けて設定した生産予定データを記憶する製品管理記憶手段と、
原価費目毎の製造経費金額を設定した製造経費データを記憶する製造経費記憶手段と、
前記構成要素である原材料の標準購入価格である原材料単価を設定した原材料単価マスタと、
直接工の時間単価である標準賃率を設定した直接労務費単価マスタと、
前記構成要素の外注加工時の外注費単価を設定した外注費単価マスタと、
前記製品または前記構成要素毎の、前記品番、前記工程、部門、単位作業時間、単位設備稼働時間、ならびに、単位製造数を紐付けて設定した製造指示マスタと、
を備え、
前記制御部において、
前記製造構成マスタ、前記原材料単価マスタ、前記直接労務費単価マスタ、前記外注費単価マスタ、前記製造指示マスタ、前記生産予定データ、および、前記製造経費データに基づいて、前記製品および前記構成要素の標準原価単価である自標準原価単価、ならびに、前記製品および前記構成要素の下位構成の前記標準原価単価である下位標準原価単価を階層的に紐付けて設定した原価標準単価マスタを設定する原価標準単価設定ステップ、
を実行させるための原価管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原価管理装置、原価管理方法、および、原価管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、製品を生産する際に、製品、ならびに、製品を階層的に構成する半製品および部材それぞれの生産に必要な標準原価を記憶する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1記載の発明においては、それぞれの製品、半製品および部材それぞれの生産に必要な標準原価単価である自標準原価単価と、階層的に各構成の下位に存在する構成の生産に必要な標準原価単価である下位標準原価単価と、を対応付けて保持することができないという課題があった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、取扱う製品に対し、原価標準の単価データ保有方法を工夫することで、原価標準を品番工程毎に多段階に算出することができる原価管理装置、原価管理方法、および、原価管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る原価管理装置は、記憶部と制御部とを備えた原価管理装置であって、前記記憶部は、製品、ならびに、前記製品を構成する構成要素の品番、工程、および、所要量を紐付けて設定した製造構成マスタと、前記製品の前記品番、前記工程、および、生産予定数を紐付けて設定した生産予定データを記憶する製品管理記憶手段と、原価費目毎の製造経費金額を設定した製造経費データを記憶する製造経費記憶手段と、前記構成要素である原材料の標準購入価格である原材料単価を設定した原材料単価マスタと、直接工の時間単価である標準賃率を設定した直接労務費単価マスタと、前記構成要素の外注加工時の外注費単価を設定した外注費単価マスタと、前記製品または前記構成要素毎の、前記品番、前記工程、部門、単位作業時間、単位設備稼働時間、ならびに、単位製造数を紐付けて設定した製造指示マスタと、を備え、前記制御部は、前記製造構成マスタ、前記原材料単価マスタ、前記直接労務費単価マスタ、前記外注費単価マスタ、前記製造指示マスタ、前記生産予定データ、および、前記製造経費データに基づいて、前記製品および前記構成要素の標準原価単価である自標準原価単価、ならびに、前記製品および前記構成要素の下位構成の前記標準原価単価である下位標準原価単価を階層的に紐付けて設定した原価標準単価マスタを設定する原価標準単価設定手段、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る原価管理装置において、前記制御部は、前記原価標準単価マスタ、前記製造構成マスタ、および、前記生産予定データに基づいて、前記品番および前記工程単位の前記生産予定数と前記自標準原価単価とを乗じた金額を合計した標準総製造費用額を含む総製造費用データを取得する総製造費用取得手段、を更に備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る原価管理装置において、前記記憶部は、前記製品の前記品番、前記工程、および、販売単価を紐付けて設定した販売単価マスタ、を更に備え、前記製品管理記憶手段は、更に、前記製品の前記品番、前記工程、および、販売予定数を紐付けて設定した販売予定データを記憶し、前記制御部は、前記販売単価マスタ、および、前記販売予定データに基づいて、前記販売予定数と前記販売単価とを乗じた前記製品の標準売上高を取得する売上高取得手段と、前記標準売上高から売上原価である前記標準総製造費用額を差し引いた売上総利益を取得する売上総利益取得手段と、を更に備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る原価管理装置において、前記記憶部は、前記原価費目、ならびに、変動費もしくは固定費を示す固変区分を紐付けて設定した原価費目区分マスタ、を更に備え、前記原価標準単価マスタは、更に、前記原価費目が設定され、前記制御部は、前記原価費目区分マスタ、および、前記原価標準単価マスタに基づいて、前記製品の標準固定費、および、標準変動費を算出し、当該標準固定費、当該標準変動費、および、前記標準売上高に基づいて、前記製品の損益分岐点売上高を取得する損益分岐点取得手段、を更に備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る原価管理装置において、前記制御部は、前記製品の生産実績数を設定した生産実績データを取得する生産実績取得手段と、前記原価標準単価マスタ、前記製造構成マスタ、および、前記生産実績データに基づいて、前記品番および前記工程単位の前記生産実績数と前記自標準原価単価とを乗じた金額を合計した実際総製造費用額を含む総製造費用データを取得する総製造費用取得手段と、を更に備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る原価管理装置において、前記原価標準単価設定手段は、更に、前記原価標準単価マスタに基づいて、前記品番および前記工程単位の前記自標準原価単価と前記下位標準原価単価との合計標準原価単価を設定した合計標準単価マスタを設定することを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る原価管理装置において、前記原価標準単価設定手段は、前記製造構成マスタ、前記製造指示マスタ、および、前記生産予定データに基づいて、前記製品または前記構成要素の下位の前記構成要素、構成レベル、および、生産予定数を紐付けて設定した生産予定構成展開データを生成する生産予定構成展開生成手段、を備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る原価管理装置において、前記原価標準単価設定手段は、前記生産予定構成展開データに対する、労務費、外注費、材料費および経費を含む前記原価費目毎の所定計算を行うことで、前記製品の前記品番、前記工程、前記原価費目、前記構成レベル、ならびに、前記下位構成の前記品番である下位品番、前記下位構成の前記工程である下位工程、および、前記下位構成の原価単価である下位品番単価を紐付けて設定した生産予定構成展開費目データを生成する生産予定構成展開費目生産手段、を更に備えたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る原価管理装置において、前記原価標準単価設定手段は、前記構成レベルの下位から上位の順に、前記生産予定構成展開費目データに設定された前記製品または前記構成要素に紐付けられた前記下位品番単価を積み上げることにより、階層化された前記構成要素の前記下位標準原価単価を算出する下位標準原価単価算出手段、を更に備えたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る原価管理方法は、記憶部と制御部とを備えた原価管理装置に実行させるための原価管理方法であって、前記記憶部は、製品、ならびに、前記製品を構成する構成要素の品番、工程、および、所要量を紐付けて設定した製造構成マスタと、前記製品の前記品番、前記工程、および、生産予定数を紐付けて設定した生産予定データを記憶する製品管理記憶手段と、原価費目毎の製造経費金額を設定した製造経費データを記憶する製造経費記憶手段と、前記構成要素である原材料の標準購入価格である原材料単価を設定した原材料単価マスタと、直接工の時間単価である標準賃率を設定した直接労務費単価マスタと、前記構成要素の外注加工時の外注費単価を設定した外注費単価マスタと、前記製品または前記構成要素毎の、前記品番、前記工程、部門、単位作業時間、単位設備稼働時間、ならびに、単位製造数を紐付けて設定した製造指示マスタと、を備え、前記制御部で実行させる、前記製造構成マスタ、前記原材料単価マスタ、前記直接労務費単価マスタ、前記外注費単価マスタ、前記製造指示マスタ、前記生産予定データ、および、前記製造経費データに基づいて、前記製品および前記構成要素の標準原価単価である自標準原価単価、ならびに、前記製品および前記構成要素の下位構成の前記標準原価単価である下位標準原価単価を階層的に紐付けて設定した原価標準単価マスタを設定する原価標準単価設定ステップ、を含むことを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る原価管理プログラムは、記憶部と制御部とを備えた原価管理装置に実行させるための原価管理プログラムであって、前記記憶部は、製品、ならびに、前記製品を構成する構成要素の品番、工程、および、所要量を紐付けて設定した製造構成マスタと、前記製品の前記品番、前記工程、および、生産予定数を紐付けて設定した生産予定データを記憶する製品管理記憶手段と、原価費目毎の製造経費金額を設定した製造経費データを記憶する製造経費記憶手段と、前記構成要素である原材料の標準購入価格である原材料単価を設定した原材料単価マスタと、直接工の時間単価である標準賃率を設定した直接労務費単価マスタと、前記構成要素の外注加工時の外注費単価を設定した外注費単価マスタと、前記製品または前記構成要素毎の、前記品番、前記工程、部門、単位作業時間、単位設備稼働時間、ならびに、単位製造数を紐付けて設定した製造指示マスタと、を備え、前記制御部において、前記製造構成マスタ、前記原材料単価マスタ、前記直接労務費単価マスタ、前記外注費単価マスタ、前記製造指示マスタ、前記生産予定データ、および、前記製造経費データに基づいて、前記製品および前記構成要素の標準原価単価である自標準原価単価、ならびに、前記製品および前記構成要素の下位構成の前記標準原価単価である下位標準原価単価を階層的に紐付けて設定した原価標準単価マスタを設定する原価標準単価設定ステップ、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、計算過程において、自工程で発生した原価と下位工程から積み上げされた原価を識別して管理することができるという効果を奏する。また、本発明によれば、販売計画、生産計画をもとに原価標準を策定する際に、その原価標準のデータ保有方法を工夫することで、簡易に総製造費用、売上総利益、限界利益を確認できるという効果を奏する。また、本発明によれば、販売計画を立てる上で、当期の着地予想、原価費目毎の変動費および固定費の識別もあることから損益分岐点の把握に活用できるという効果を奏する。また、本発明によれば、原価標準単価マスタに自標準原価単価、下位標準原価単価を設けることで標準原価をもちいた製造費用を確認可能とし、固変分解等の分析を可能とするという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本実施形態における原価管理処理の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、本実施形態における原価管理装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、本実施形態における製品構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、本実施形態における製造構成マスタの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、本実施形態における生産予定データの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本実施形態における販売予定データの一例を示す図である。
【
図7】
図7は、本実施形態における製造経費データの一例を示す図である。
【
図8】
図8は、本実施形態における原価標準単価マスタの一例を示す図である。
【
図9】
図9は、本実施形態における販売単価マスタの一例を示す図である。
【
図10】
図10は、本実施形態における原価費目区分マスタの一例を示す図である。
【
図11】
図11は、本実施形態における各種マスタの一例を示す図である。
【
図12】
図12は、本実施形態における各種マスタの一例を示す図である。
【
図13】
図13は、本実施形態における原価管理装置の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図14】
図14は、本実施形態における原価管理処理の一例を示す図である。
【
図15】
図15は、本実施形態における原価管理処理の一例を示す図である。
【
図16】
図16は、本実施形態における原価管理処理の一例を示す図である。
【
図17】
図17は、本実施形態における原価管理処理の一例を示す図である。
【
図18】
図18は、本実施形態における原価管理処理の一例を示す図である。
【
図19】
図19は、本実施形態における原価管理処理の一例を示す図である。
【
図20】
図20は、本実施形態における原価管理処理の一例を示す図である。
【
図21】
図21は、本実施形態における原価管理処理の一例を示す図である。
【
図22】
図22は、本実施形態における原価管理処理の一例を示す図である。
【
図23】
図23は、本実施形態における原価管理処理の一例を示す図である。
【
図24】
図24は、本実施形態における原価管理処理の一例を示す図である。
【
図25】
図25は、本実施形態における原価管理処理の一例を示す図である。
【
図26】
図26は、本実施形態における製品構成の一例を示す図である。
【
図27】
図27は、本実施形態における勘定連絡図の一例を示す図である。
【
図28】
図28は、本実施形態における勘定連絡図の一例を示す図である。
【
図29】
図29は、本実施形態における勘定連絡図の一例を示す図である。
【
図30】
図30は、本実施形態における勘定連絡図の一例を示す図である。
【
図31】
図31は、本実施形態における勘定の一例を示す図である。
【
図32】
図32は、本実施形態における勘定の一例を示す図である。
【
図33】
図33は、本実施形態における標準総製造費用管理の一例を示す図である。
【
図34】
図34は、本実施形態における売上総利益算出処理の概要を示す図である。
【
図35】
図35は、本実施形態における売上総利益算出処理の一例を示す図である。
【
図36】
図36は、本実施形態における売上総利益算出処理の一例を示す図である。
【
図37】
図37は、本実施形態における売上総利益算出処理の一例を示す図である。
【
図38】
図38は、本実施形態におけるマスタの一例を示す図である。
【
図39】
図39は、本実施形態における損益分岐点特定処理の一例を示す図である。
【
図40】
図40は、本実施形態における実際総製造費用管理の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は本実施形態により限定されるものではない。
【0020】
[1.概要]
まず、
図1を参照して、本発明の概要を説明する。
図1は、本実施形態における原価管理処理の一例を示す図である。
【0021】
従来は、原価標準に関して費目毎に単価を保有する形であるため、簡易に売上総利益を算出することが可能だが、製造費用や限界利益を確認することができなかった。
【0022】
そこで、
図1に示すように、本実施形態においては、組織データ、品目データ、構成データ、製造操業データ、単価データ、費目データを利用して、生産予定データから生産予定展開データを作成し、各費目を生産予定展開データの勘定連絡レベルの大きな値から順に計算を行い、原価標準計算処理として、原価標準単価マスタを費目別に積み上げ計算を行い、費目別の原価標準単価マスタを品番および工程番号単位で集計することで、合計標準単価マスタを作成する。
【0023】
そして、本実施形態においては、自身の勘定(品番コード、工程番号)の自標準原価単価に自身の勘定で発生した生産数(予定、実績)を乗算するだけで、標準の製造費用(標準、標準+数量差異)が確認でき、「自標準原価単価+下位標準原価単価」を計算することで容易に払出単価、資産単価を算出する仕組みを提供している。また、製品構成が1階層の場合、自標準原価単価と下位標準原価単価とが合計値で管理しても製造費用の単価と払出単価、資産単価が同一のため、製造費用の単価、払出単価、資産単価の取得可能であるが、多段階の場合、合計値で管理した場合、自身の勘定(品番コード、工程番号)で発生した製造費用をとらえられないが、本実施形態においては、自身の勘定(品番コード、工程番号)の製造費用を確認することで、どの勘定で発生した費用かが費目別または変動費、固定費毎に確認可能とする仕組みを提供している。また、本実施形態においては、これらのデータを活用することで、計画ベースの売上総利益の把握、各品番の固変分解、損益分岐点、限界利益の把握など一般的な標準原価計算による実際原価、原価差異の把握を可能とする仕組みを提供している。
【0024】
このように、本実施形態においては、品番工程毎の総製造費用を、品番工程毎の生産数量を乗算するだけで簡易に計算ができるため、品番工程毎の半製品などの途中の生産計画も加味した計画を立てながら、品番工程毎のそれぞれの計画上の総製造費用の確認が可能となる。また、本実施形態においては、「自標準原価単価+下位標準原価単価」を計算した払出単価を、売上原価の元になる単価としている。また、本実施形態においては、販売計画を立てる上で、コスト構造を意識しながら、当期の着地予想や、原価費目毎に変動費、固定費の識別を可能することで、損益分岐点の把握にも活用でき、管理会計として定量的に数字を把握させることを可能としている。
【0025】
すなわち、本実施形態においては、原価標準単価マスタの自標準原価単価のみを利用して、品番、工程番号毎に計算した原価標準を活用した計画ベースの総製造費用の算出を可能とし、利用した計画ベースの全部原価計算での営業利益、および、品番工程別総合直接標準原価計算(非累加法)を可能としている。また、本実施形態においては、データ構造として非累加法による費目別にデータを保有し、変動費、固定費の識別をつけていることで、品番、工程番号毎に計算した原価標準を活用し、売上総利益の算出を可能としている。また、本実施形態においては、実際原価(標準+数量差異分)を即座に計算可能としている。また、本実施形態においては、一般的な製造実績数(製造数および消費材料数量)と基礎データの製造構成マスタを利用することで、標準消費数量と実際の消費数量との差数に基礎データの原材料単価マスタを乗算することで、材料費の数量差異(歩留)の算出を可能とし、一般的な製造実績数(作業時間)および基礎データの製造実績数に対する標準作業時間を算出し、差数に基礎データの直接労務費単価マスタを乗算することで、労務費の数量差異(効率、能率)の算出を可能としている。
【0026】
[2.構成]
本実施形態に係る原価管理装置100の構成の一例について、
図2から
図12を参照して説明する。
図2は、本実施形態における原価管理装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0027】
図2に示すように、原価管理装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、原価管理装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0028】
原価管理装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。原価管理装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0029】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、原価管理装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、原価管理装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。
【0030】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(タッチパネルを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、およびマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114またはプリンタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0031】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル、およびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。記憶部106は、製造構成マスタ106aと製品管理データベース106bと製造経費データベース106cと原価標準単価マスタ106dと販売単価マスタ106eと原価費目区分マスタ106fと外注費単価マスタ106gと直接労務費単価マスタ106hと原材料単価マスタ106iと製造指示マスタ106jとを備えている。
【0032】
製造構成マスタ106aは、製品、ならびに、製品を構成する構成要素を紐付けて設定したマスタである。ここで、製造構成マスタ106aは、製品、ならびに、製品を構成する構成要素の品番、工程、および、所要量が紐付けて設定されていてもよい。
【0033】
ここで、
図3および
図4を参照して、本実施形態における製造構成マスタ106aの一例について説明する。
図3は、本実施形態における製品構成の一例を示す図である。
図4は、本実施形態における製造構成マスタ106aの一例を示す図である。
【0034】
本実施形態においては、
図3に示す製品構成に対して、
図4に示すように、品番、消費工程、構成番号、下位品番、(自)工程および所要量が紐付けて設定された製造構成マスタ106aを備えている。
【0035】
図2に戻り、製品管理データベース106bは、製品の生産予定データを記憶する。ここで、製品管理データベース106bは、製品の品番、工程、および、生産予定数を紐付けて設定した生産予定データを記憶していてもよい。また、製品管理データベース106bは、製品の品番、工程、および、販売予定数を紐付けて設定した販売予定データを記憶していてもよい。
【0036】
ここで、
図5および
図6を参照して、本実施形態における製品管理データの一例について説明する。
図5は、本実施形態における生産予定データの一例を示す図である。
図6は、本実施形態における販売予定データの一例を示す図である。
【0037】
図5に示すように、本実施形態における生産予定データにおいては、事業、品番、工程および生産予定数が紐付けて設定されており、生産予定データから作成された生産予定展開データにおいては、事業、部門、品番、工程、生産予定数、単位作業時間、単位設備稼働時間、単位製造数および構成レベルが紐付けて設定されている。また、
図6に示すように、本実施形態における販売予定データにおいては、事業、品番、工程および販売予定数が紐付けて設定されている。
【0038】
図2に戻り、製造経費データベース106cは、原価費目毎の製造経費金額を設定した製造経費データを記憶する。
【0039】
ここで、
図7を参照して、本実施形態における製造経費データの一例について説明する。
図7は、本実施形態における製造経費データの一例を示す図である。
【0040】
図7に示すように、本実施形態における製造経費データにおいては、部門、原価費目および経費金額が紐付けて設定されている。
【0041】
図2に戻り、原価標準単価マスタ106dは、製品および構成要素の標準原価単価である自標準原価単価、ならびに、製品および構成要素の下位構成の標準原価単価である下位標準原価単価を階層的に紐付けて設定したマスタである。ここで、原価標準単価マスタ106dは、原価費目が設定されていてもよい。
【0042】
ここで、
図8を参照して、本実施形態における原価標準単価マスタ106dの一例について説明する。
図8は、本実施形態における原価標準単価マスタ106dの一例を示す図である。
【0043】
図8に示すように、本実施形態における原価標準単価マスタ106dにおいては、会計年月、事業、品番、工程、原価費目、自標準原価単価および下位標準原価単価が紐付けて設定されている。
【0044】
図2に戻り、販売単価マスタ106eは、製品の販売単価を設定したマスタである。ここで、販売単価マスタ106eは、製品の品番、工程、および、販売単価が紐付けて設定されていてもよい。
【0045】
ここで、
図9を参照して、本実施形態における販売単価マスタ106eの一例について説明する。
図9は、本実施形態における販売単価マスタ106eの一例を示す図である。
【0046】
図9に示すように、本実施形態における販売単価マスタ106eにおいては、品番、工程および販売単価が紐付けて設定されている。
【0047】
図2に戻り、原価費目区分マスタ106fは、原価費目、ならびに、変動費もしくは固定費を示す固変区分を紐付けて設定したマスタである。
【0048】
ここで、
図10を参照して、本実施形態における原価費目区分マスタ106fの一例について説明する。
図10は、本実施形態における原価費目区分マスタ106fの一例を示す図である。
【0049】
図10に示すように、本実施形態における原価費目区分マスタ106fにおいては、原価費目、直間区分、固変区分、費目区分、労務費振替費目区分および配賦基準区分が紐付けて設定されている。
【0050】
図2に戻り、外注費単価マスタ106gは、構成要素の外注加工時の外注費単価を設定したマスタである。
【0051】
また、直接労務費単価マスタ106hは、直接工の時間単価である標準賃率を設定したマスタである。
【0052】
また、原材料単価マスタ106iは、構成要素である原材料の標準購入価格である原材料単価を設定したマスタである。
【0053】
また、製造指示マスタ106jは、製品または構成要素毎の、品番、工程、部門、単位作業時間、単位設備稼働時間、ならびに、単位製造数を紐付けて設定したマスタである。
【0054】
ここで、
図11および
図12を参照して、本実施形態における各種マスタの一例について説明する。
図11および
図12は、本実施形態における各種マスタの一例を示す図である。
【0055】
図11および
図12に示すように、本実施形態における記憶部106には、直間区分マスタ、固変区分マスタ、費目区分マスタ、配賦基準区分マスタ、原価管理区分マスタ、原材料単価マスタ106i、品番マスタ、資産分類区分マスタ、直接労務費単価マスタ106h、外注費単価マスタ106g、合計標準単価マスタ、製造指示マスタ106j、事業マスタ、および、部門マスタを備えている。
【0056】
図2に戻り、制御部102は、原価管理装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。制御部102は、機能概念的に、原価標準単価設定部102aと総製造費用取得部102bと売上高取得部102cと売上総利益取得部102dと損益分岐点取得部102eと生産実績取得部102fとを備えている。
【0057】
原価標準単価設定部102aは、製品および構成要素の標準原価単価である自標準原価単価、ならびに、製品および構成要素の下位構成の標準原価単価である下位標準原価単価を階層的に紐付けて設定した原価標準単価マスタ106dを設定する。ここで、原価標準単価設定部102aは、製造構成マスタ106a、原材料単価マスタ106i、直接労務費単価マスタ106h、外注費単価マスタ106g、製造指示マスタ106j、生産予定データ、および、製造経費データに基づいて、製品および構成要素の標準原価単価である自標準原価単価、ならびに、製品および構成要素の下位構成の標準原価単価である下位標準原価単価を階層的に紐付けて設定した原価標準単価マスタ106dを設定してもよい。また、原価標準単価設定部102aは、原価標準単価マスタ106dに基づいて、品番および工程単位の自標準原価単価と下位標準原価単価との合計標準原価単価を設定した合計標準単価マスタを設定してもよい。また、原価標準単価設定部102aは、製造構成マスタ106a、製造指示マスタ106j、および、生産予定データに基づいて、製品または構成要素の下位の構成要素、構成レベル、および、生産予定数を紐付けて設定した生産予定構成展開データを生成してもよい。また、原価標準単価設定部102aは、生産予定構成展開データに対する、労務費、外注費、材料費および経費を含む原価費目毎の所定計算を行うことで、製品の品番、工程、原価費目、構成レベル、ならびに、下位構成の品番である下位品番、下位構成の工程である下位工程、および、下位構成の原価単価である下位品番単価を紐付けて設定した生産予定構成展開費目データを生成してもよい。また、原価標準単価設定部102aは、構成レベルの下位から上位の順に、生産予定構成展開費目データに設定された製品または構成要素に紐付けられた下位品番単価を積み上げることにより、階層化された構成要素の下位標準原価単価を算出してもよい。
【0058】
総製造費用取得部102bは、品番および工程単位の生産予定数と自標準原価単価とを乗じた金額を合計した標準総製造費用額を含む総製造費用データを取得する。ここで、総製造費用取得部102bは、原価標準単価マスタ106d、製造構成マスタ106a、および、生産予定データに基づいて、品番および工程単位の生産予定数と自標準原価単価とを乗じた金額を合計した標準総製造費用額を含む総製造費用データを取得してもよい。また、総製造費用取得部102bは、原価標準単価マスタ106d、製造構成マスタ106a、および、生産実績データに基づいて、品番および工程単位の生産実績数と自標準原価単価とを乗じた金額を合計した実際総製造費用額を含む総製造費用データを取得してもよい。
【0059】
売上高取得部102cは、販売予定数と販売単価とを乗じた製品の標準売上高を取得する。ここで、売上高取得部102cは、販売単価マスタ106e、および、販売予定データに基づいて、販売予定数と販売単価とを乗じた製品の標準売上高を取得してもよい。
【0060】
売上総利益取得部102dは、製品の売上総利益を取得する。ここで、売上総利益取得部102dは、標準売上高から売上原価である標準総製造費用額を差し引いた売上総利益を取得してもよい。
【0061】
損益分岐点取得部102eは、製品の標準固定費、および、標準変動費を算出し、当該標準固定費、当該標準変動費、および、標準売上高に基づいて、製品の損益分岐点売上高を取得する。ここで、損益分岐点取得部102eは、原価費目区分マスタ106f、および、原価標準単価マスタ106dに基づいて、製品の標準固定費、および、標準変動費を算出し、当該標準固定費、当該標準変動費、および、標準売上高に基づいて、製品の損益分岐点売上高を取得してもよい。
【0062】
生産実績取得部102fは、製品の生産実績数を設定した生産実績データを取得する。
【0063】
[3.具体例]
本実施形態の具体例について、
図13から
図40を参照して説明する。
【0064】
[原価管理処理]
ここで、
図13を参照して、本実施形態における原価管理処理の一例について説明する。
図13は、本実施形態における原価管理装置100の処理の一例を示すフローチャートである。
【0065】
図13に示すように、原価標準単価設定部102aは、製造構成マスタ106a、原材料単価マスタ106i、直接労務費単価マスタ106h、外注費単価マスタ106g、製造指示マスタ106j、製品管理データベース106bに記憶された生産予定データ、および、製造経費データに基づいて、製品および構成要素の標準原価単価である自標準原価単価、ならびに、製品および構成要素の下位構成の標準原価単価である下位標準原価単価を階層的に紐付けて設定した原価標準単価マスタ106dを設定する(ステップSA-1)。
【0066】
そして、総製造費用取得部102bは、原価標準単価マスタ106d、製造構成マスタ106a、および、製品管理データベース106bに記憶された生産予定データに基づいて、品番および工程単位の生産予定数と自標準原価単価とを乗じた金額を合計した標準総製造費用額を含む総製造費用データを取得する(ステップSA-2)。
【0067】
そして、売上高取得部102cは、販売単価マスタ106e、および、製品管理データベース106bに記憶された販売予定データに基づいて、販売予定数と販売単価とを乗じた製品の標準売上高を取得し、売上総利益取得部102dは、標準売上高から売上原価である標準総製造費用額を差し引いた売上総利益を取得する(ステップSA-3)。
【0068】
そして、損益分岐点取得部102eは、原価費目区分マスタ106f、および、原価標準単価マスタ106dに基づいて、製品の標準固定費、および、標準変動費を算出し、当該標準固定費、当該標準変動費、および、標準売上高に基づいて、製品の損益分岐点売上高を取得する(ステップSA-4)。
【0069】
そして、生産実績取得部102fは、製品の生産実績数を設定した生産実績データを取得し、総製造費用取得部102bは、原価標準単価マスタ106d、製造構成マスタ106a、および、生産実績データに基づいて、品番および工程単位の生産実績数と自標準原価単価とを乗じた金額を合計した実際総製造費用額を含む総製造費用データを取得し(ステップSA-5)、処理を終了する。
【0070】
ここで、
図3および
図14から
図25を参照して、本実施形態における原価管理処理の一例について説明する。
図14から
図25は、本実施形態における原価管理処理の一例を示す図である。
【0071】
本実施形態においては、
図14に示すように、
図3に示す製品構成について、「生産予定取込シート」に値が格納され、「生産予定取込」が実行され(生産予定取込手順1)、「生産予定取込シート」および「基礎データ」.「製造指示マスタ106j」をキー(事業コード、品番コード、工程番号)として突合され、「製造指示マスタ106j」から部門コードが取得され、「生産予定データ」が作成され(手順2)、「生産予定データ」が製品管理データベース106bに格納される(生産予定取込手順3)。
【0072】
そして、本実施形態においては、
図15に示すように、「製造経費取込シート」に値が格納され、「製造経費取込」が実行され(製造経費取込手順1)、「製造経費データ」として製造経費データベース106cに格納される(製造経費取込手順2)。ここで、本実施形態において、取込対象データは、原価費目区分マスタ106fの直間区分が2の間接費且つ費目区分が1:材料費、4:経費または費目区分が3:労務費であってもよく、労務費に関しては、直間区分が1の直接費としているが、取り込む値は、総労務費であってもよい。また、本実施形態における原価標準計算処理においては、直接労務費と間接労務費とに振り分けられてもよい。なお、本実施形態において、「生産予定取込」と「製造経費取込」とは、並列に処理が可能である。
【0073】
そして、本実施形態においては、
図16に示すように、「製造指示マスタ106j」(キー:事業コード、品番コード)毎に工程番号の降順に並べる999を最大値として下位の工程番号が存在する場合、「製造構成マスタ106a」の所要量分子、分母の関係が作成され、下位に値が存在しなくなるまで処理が行われる(原価標準計算処理手順1)。なお、所要量分子、分母の関係は、1:1としてもよい(例えば、A1001:製品(1)、工程番号999の下位は、A1001:製品(1)、工程番号500)。
【0074】
そして、本実施形態においては、
図17に示すように、製造指示マスタ106j(キー:品番コード、工程番号)および製造構成マスタ106a(品番コード、消費工程番号)より,製造指示マスタ106j(キー:品番コード、工程番号)をメインテーブルとして「製造指示構成マスタ」が作成される(原価標準計算処理手順2)。すなわち、原価標準計算処理手順1-2では、製造指示マスタ106jおよび製造構成マスタ106aのデータに基づく製品および中間品材料等の工程および構成(A1001-999:最終製品、A1001-500:途中工程品、A1001-100:途中工程品、B1001-999:中間品の最終、B1001-500:中間品の途中工程、C100X-999:原材料)を示しており、階層構造を作成し、品番工程別総合標準原価計算(非累加法)を実行する。
【0075】
そして、本実施形態においては、
図18に示すように、「製造指示構成マスタ」に階層の順序がつけられ、品番コード、工程番号の組合せが下位品番コード、下位工程番号の組合せにないレコードが構成レベル「0」とされ、構成レベル「0」の下位品番コード、下位工程番号が取得され、品番コード、工程番号と同一となるレコードが「1」とされ、当該処理が繰り返されて構成レベルがカウントアップされる(原価標準計算処理手順3)。すなわち、原価標準計算処理手順3では、TOPが0の階層構造の順番(0→1→2→3の階層)を決めている。
【0076】
そして、本実施形態においては、
図19に示すように、「製造指示構成マスタ」(キー:事業コード、品番コード、工程番号)、および、生産予定データ(キー:事業コード、品番コード、工程番号)より「製造指示構成マスタ」(キー:事業コード、品番コード、工程番号)をメインテーブルとして結合され、「生産予定構成展開データ」が作成され、「作業時間=単位作業時間/単位製造数×生産予定数」および「設備稼働時間=単位設備稼働時間/単位製造数×生産予定数」が計算され、構成レベル「0」のレコードにて「生産予定数×所要量分子÷所要量分母」によって生産予定構成展開.下位品番コード、下位工程番号の所要量が計算され、算出された所要量を構成レベル「1」の生産予定数とし、当該作業が繰り返され、生産予定構成展開.下位品番コードの原価管理区分2:購入になるまで繰り返される。ここで、本実施形態において、原価管理区分は、品番マスタ、資産分類区分マスタ、原価管理区分マスタでトレースされて取得される(原価標準計算処理手順4)。すなわち、原価標準計算処理手順4では、事前準備した階層構造に対し、生産予定数量からの所要量算出(下位品の消費量を計算)をしており、階層によって当該処理を繰り返す。
【0077】
そして、本実施形態においては、
図20に示すように、「生産予定展開ワーク」から不要なデータが削除され、生産予定展開データとされる(すなわち、不要なデータである「生産予定展開ワーク」の事業コード、品番コード、工程番号の重複するレコードが削除され、不要な列が削除される)(原価標準計算処理手順5)。
【0078】
そして、本実施形態においては、
図21に示すように、直接工の直接労務費が計算され、「原価費目区分マスタ106f」.直間区分=1:直接、費目区分=3:労務費より原価費目区分の30が特定され(重複した場合、最大値)、「生産予定展開データ」と「直接労務費単価マスタ106h」とが事業コードで突合され、事業単位の時間単価セット、「作業時間×時間単価=直接労務費金額」が計算され、その計算値を被除数とし生産予定数を除数とした場合の商が、原価費目区分30の直接労務費単価として算出され、生産予定展開費目データ(原価費目区分30)が作成される(原価標準計算処理手順6)。すなわち、原価標準計算処理手順6から、各費目の計算に移り、原価標準計算処理手順6では、直接労務費を計算する。
【0079】
そして、本実施形態においては、
図22に示すように、原価標準計算処理手順6の「生産予定展開データ」の部門コード毎の直接労務費計と「製造経費データ」の原価費目区分30のデータとが突合され、製造経費から差し引きした値として「原価費目区分マスタ106f」より労務費振替費目区分:35が取得され、差し引きした値が原価費目区分35の間接労務費金額とされる(原価標準計算処理手順7)。すなわち、原価標準計算処理手順7では、製造経費取込として取り込んだ総労務費(原価費目区分:30)を、原価標準計算処理手順6の直接労務費と間接労務費とに振り分ける。
【0080】
そして、本実施形態においては、
図23に示すように、原価標準計算処理手順7で利用された「製造経費データ」の原価費目区分30を除き、原価標準計算処理手順7で新たに生成された原価費目区分35が加えられた「製造経費データ」が配賦され、各間接製造経費の単価が求められ、「製造経費データ(30を35へ振替後)」と「生産予定展開データ」とが(キー:部門コード)で突合され、品番コード毎に設備稼働時間で経費金額が配賦され品番別配賦金額が算出され、品番別配賦金額を設備稼働時間で除算されることで、配賦率が算出され、各原価費目区分より原価費目区分マスタ106fが参照される、配賦基準区分より配賦基準が選択される。そして、本実施形態においては、
図23に示すように、配賦率に稼働時間が乗算され、生産予定数で除算されることで間接経費単価が算出され、生産予定展開費目データ(原価費目区分15、35、45、50)が作成される(原価標準計算処理手順8)。ここで、本実施形態においては、3:設備稼働時間が採用されており、配賦基準区分2:作業時間の場合、生産予定展開データの作業時間が利用されて同様の処理が行われ、配賦基準区分0:生産数の場合、生産予定展開データの生産予定数が利用されて同様の処理が行われる。なお、本実施形態においては、費目毎に配賦基準区分が設定可能であってもよい。すなわち、原価標準計算処理手順8では、製造経費取込を行い、原価標準計算処理手順7で処理したものを計算する。
【0081】
そして、本実施形態においては、
図24に示すように、外注費単価が算出され、「生産予定展開データ」と「外注費単価マスタ106g」とが品番コードで突合され、外注費単価が算出され、原価費目区分マスタ106fより、外注費の原価費目が取得され、費目区分2:外注費、直間区分1:直接費で取得され、重複した場合、最大値とされる(原価標準計算処理手順9)。すなわち、原価標準計算処理手順9では、外注費の単価を計算する。
【0082】
そして、本実施形態においては、
図25に示すように、「生産予定構成展開データ」の構成レベルが大きいものから順次各単価計算が行われ、「生産予定構成展開データ」(キー:事業コード、下位品番コード、下位工程番号)にて取得され、下位品番コードより原価管理区分が2:購入の場合、「原材料単価マスタ106i」が参照され、テーブルのキーを(キー:事業コード、品番コード、工程番号)として、下位品番単価が取得される。ここで、本実施形態において、原価管理区分は、品番マスタ、資産分類区分マスタ、原価管理区分マスタから取得可能であり、「原材料単価マスタ106i」に工程番号はないが、(工程番号無=999であるため)999として取得可能であり、「原材料単価マスタ106i」から取得された場合、原価費目区分が10とされる(原価費目区分マスタ106fの直間区分:1、費目区分:1、固変区分:1で取得され、重複した場合、最大値とされる)。そして、本実施形態においては、
図25に示すように、「生産予定構成展開データ」(キー:事業コード、品番コード、工程番号)より、「生産予定展開費目データ(原価費目区分20)」、「生産予定展開費目データ(原価費目区分30)」、「生産予定展開費目データ(原価費目区分15、35、45、50)」から原価費目区分毎の各単価が取得され、自標準原価単価がセットされる。すなわち、本実施形態においては、「生産予定展開費目データ(原価費目区分20)」から外注費単価が取得され、「生産予定展開費目データ(原価費目区分30)」から直接労務費単価が取得され、「生産予定展開費目データ(原価費目区分15、35、45、50)」から製造間接経費が取得されてもよい。
【0083】
そして、本実施形態においては、
図25に示すように、「生産予定構成展開データ」(キー:事業コード、下位品番コード、下位工程番号)にて取得され、下位品番コードより原価管理区分が1:製造の場合、構成レベルが現在のレベルより前のものである「生産予定構成展開データ」(キー:事業コード、品番コード、工程番号)の各原価費目区分の「下位標準原価単価+自標準原価単価」の値が下位品番単価にセットされ、下位品番単価が利用されて、下位標準原価単価が計算される(原価標準計算処理手順10)。ここで、本実施形態においては、「原価標準単価=所要数×下位品番単価÷生産予定数」が計算され、下位品番コードの原価管理区分2:購入の場合、自標準原価単価へセットされ、下位品番コードの原価管理区分1:製造の場合、下位標準原価単価へセットされる。また、本実施形態において、原価管理区分は、品番マスタ、資産分類区分マスタ、原価管理区分マスタでトレースされて取得される。すなわち、原価標準計算処理手順10では、構成レベルの3、2、1、0の順に、今までに準備した原価単価および材料単価を利用し、順番に計算をする。
【0084】
そして、本実施形態においては、「生産予定構成展開費目データ」がキー(事業コード、品番コード、工程番号、原価費目区分)毎にグループ化され、下位標準原価単価、自標準原価単価が合計され、その値が原価標準単価マスタ106dにセットされ、「生産予定構成展開費目データ」がキー(事業コード、品番コード、工程番号)毎にグループ化され、下位標準原価単価と自標準原価単価とが合計され、その値が合計原価標準単価マスタにセットされる。
【0085】
また、
図26から
図32を参照して、本実施形態における勘定管理の一例について説明する。
図26は、本実施形態における製品構成の一例を示す図である。
図27から
図30は、本実施形態における勘定連絡図の一例を示す図である。
図31および
図32は、本実施形態における勘定の一例を示す図である。
【0086】
図27から
図30に示すように、本実施形態における勘定連絡図においては、
図26に示す構成の製品の製造過程での原価の流れ、および、結びつきが表されている。また、
図31には、本実施形態における労務費の勘定が示されており、
図32には、本実施形態における製造間接費の勘定が示されている。
【0087】
また、
図33を参照して、本実施形態における標準総製造費用管理の一例を説明する。
図33は、本実施形態における標準総製造費用管理の一例を示す図である。
【0088】
図33に示すように、本実施形態においては、事業コード、品番コード、工程番号単位の生産予定数と原価標準単価の自標準原価単価とが乗算されることで、標準総製造費用額が算出可能である。また、本実施形態における原価標準計算手順にて展開された生産予定数(生産予定データ)を自標準原価単価と乗算することで、標準原価での総製造費用が確認可能である。また、本実施形態において、生産予定数を自標準原価単価と乗算して算出した総製造費用は、予算としての製造費用の意味合いとなる。また、本実施形態においては、生産予定数を変動させ、総製造費用の予算確認が可能となる。また、本実施形態においては、シミュレーションの意味合いでもあり、計算を繰り返し、総製造費用の予算を決めることが可能である。
【0089】
また、
図3、
図34から
図37を参照して、本実施形態における売上総利益管理の一例について説明する。
図34は、本実施形態における売上総利益算出処理の概要を示す図である。
図35から
図37は、本実施形態における売上総利益算出処理の一例を示す図である。
【0090】
図34には、本実施形態における売上総利益の算出処理の概要が示されており、売上高から売上原価を差し引いた額が売上総利益として算出される。例えば、
図35から
図37には、本実施形態において、
図3に示す品番コード:A1001の構成(1)の製品および品番コード:A2001の構成(2)の製品について、仕掛品の期首および期末の金額を¥0とし、計画通り完成し、且つ、計画通り販売された場合の全部原価計算での売上総利益、ならびに、計画通り完成し、且つ、計画通り販売された場合の直接原価計算での変動損益を示している。ここで、
図35に示すように、本実施形態においては、完成品の払出単価、製品単価が完成品分の「自標準原価単価+下位標準原価単価」により算出可能である。また、
図35に示すように、本実施形態においては、構成(1)の製品および構成(2)の製品の生産予定数と標準原価単価とを乗じた金額の小計が、標準総製造費用と一致する(総製造費用が、TOPの製品に積み上げされている証明である)。また、
図35に示すように、本実施形態においては、製品の完成分にて、費目別の自標準原価単価と下位標準原価単価とが品目工程番号毎に加算された標準原価単価に、生産予定数が乗算されることで、完成金額の把握を可能とする。
【0091】
また、
図38および
図39を参照して、本実施形態における損益分岐点特定処理の一例を説明する。
図38は、本実施形態におけるマスタの一例を示す図である。
図39は、本実施形態における損益分岐点特定処理の一例を示す図である。
【0092】
図39に示すように、本実施形態における多品種製品の損益分岐点(CVP)分析においては、
図38に示す原価標準単価マスタ106d、原価費目区分マスタ106f、直間区分マスタ、固変区分マスタおよび費目区分マスタに基づいて、品番、工程毎に売上総利益を基準として、各製品の販売割合を販売計画数より1:2とした場合の損益分岐点が特定される。ここで、本実施形態においては、「損益分岐点売上高=固定費÷{1-(変動費÷売上高)}」が計算されてもよい。
【0093】
また、
図7および
図40を参照して、本実施形態における実際総製造費用管理の一例を説明する。
図40は、本実施形態における実際総製造費用管理の一例を示す図である。
【0094】
図40に示すように、本実施形態においては、生産実績の生産実績数と原価標準単価マスタ106dの自標準原価単価とが乗算されることで実際総製造費用額が取得される。また、
図40に示すように、本実施形態においては、標準原価+数量差異が即座に計算可能である。また、
図40に示すように、本実施形態においては、固定費について、
図7に示す製造経費データに基づいて、部門コード、原価費目区分毎の実績経費データ(一般的な会計データ)と製造経費データとの差異により価格差異(すなわち、「価格差異=実績経費データ-製造経費(標準+数量差異)」)が算出可能であり、製造経費(標準+数量差異+価格差異)が算出可能である。また、
図40に示すように、本実施形態においては、変動費について、材料費と外注費との合計が数量差異として算出され、一般的な原材料仕入データ(購入数量×購入単価=実際仕入金額)と、基礎データの原材料単価および購入数量が乗算された金額との差異が材料費の価格差異として算出され、一般的な外作の生産実績データ(製品数量×加工単価=実際加工金額)と、基礎データの原価標準単価および製品数量が乗算された金額との差異が加工費(外注費)の価格差異として算出される。また、
図40に示すように、本実施形態においては、生産実績データに基づいて、事業コード、品番コード、工程番号単位の生産実績数と原価標準単価の自標準原価単価とが乗算されることで、総製造費用が算出可能であり(生産実績数は、生産予定展開のデータ構造と同じでよい)、標準原価と生産実績数とが乗算されることで「総製造費用+数量差異」が確認可能である。
【0095】
[4.国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8及び9に貢献することが可能となる。
【0096】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、13及び15に貢献することが可能となる。
【0097】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0098】
[5.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0099】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0100】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0101】
また、原価管理装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0102】
例えば、原価管理装置100が備える処理機能、特に制御部102にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて原価管理装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0103】
また、このコンピュータプログラムは、原価管理装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0104】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0105】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、本実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0106】
記憶部106に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0107】
また、原価管理装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、原価管理装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0108】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明は、製造業等の業界において有用である。
【符号の説明】
【0110】
100 原価管理装置
102 制御部
102a 原価標準単価設定部
102b 総製造費用取得部
102c 売上高取得部
102d 売上総利益取得部
102e 損益分岐点取得部
102f 生産実績取得部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 製造構成マスタ
106b 製品管理データベース
106c 製造経費データベース
106d 原価標準単価マスタ
106e 販売単価マスタ
106f 原価費目区分マスタ
106g 外注費単価マスタ
106h 直接労務費単価マスタ
106i 原材料単価マスタ
106j 製造指示マスタ
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク