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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-17
(45)【発行日】2024-07-25
(54)【発明の名称】温度検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01K 7/25 20060101AFI20240718BHJP
【FI】
G01K7/25 D
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022080327
(22)【出願日】2022-05-16
(65)【公開番号】P2023168934
(43)【公開日】2023-11-29
【審査請求日】2023-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【弁理士】
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100136423
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100130605
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 浩治
(72)【発明者】
【氏名】古川 公彦
(72)【発明者】
【氏名】中山 正人
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-141457(JP,A)
【文献】特開2004-325110(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 7/00 - 7/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池の予め定められた測定点に配置された第1温度センサと、前記第1温度センサに直列に接続された第1プルアップ抵抗とを備えた直列回路に、基準電位に対する参照電位が印加され、かつ、前記第1温度センサに印加される電圧が出力されるように構成された第1分圧回路と、
前記二次電池の予め定められた測定点に配置された第2温度センサと、前記第2温度センサに直列に接続された第2プルアップ抵抗とを備えた直列回路に、基準電位に対する参照電位が印加され、かつ、前記第2温度センサに印加される電圧が出力されるように構成された第2分圧回路と、
前記第1分圧回路の出力および前記第2分圧回路の出力に基づいて温度の検出を制御する制御部と
前記第1温度センサの電圧または前記第2温度センサの電圧に基づいて検出される前記二次電池の温度に基づいて前記第1分圧回路の出力と前記第2分圧回路の出力とを重み付けする重み付けテーブルと
を備え、
前記第1プルアップ抵抗は、予め定められた第1温度における前記第1温度センサの抵抗値に応じた抵抗値を有し、
前記第2プルアップ抵抗は、前記第1温度よりも低い予め定められた第2温度における前記第2温度センサの抵抗値に応じた抵抗値を有し、
前記制御部は、前記重み付けテーブルに基づいて、それぞれ重み付けされた前記第1分圧回路の出力と前記第2分圧回路の出力が加算されて出力されるように構成されている、
温度検出装置。
【請求項2】
前記第1分圧回路と前記第2分圧回路の接続を切り替えるスイッチング素子をさらに備え、前記スイッチング素子は、測定点の温度が予め定められた切替温度よりも高い場合には、前記第1分圧回路の出力を出力し、測定点の温度が前記切替温度よりも低い場合には、前記第2分圧回路の出力を出力するように構成された、請求項1に記載された温度検出装置。
【請求項3】
前記切替温度は、
前記第1分圧回路から前記第2分圧回路に接続を切り替える際の第1切替温度と、
前記第2分圧回路から前記第1分圧回路に接続を切り替える際の、前記第1切替温度とは異なる第2切替温度と
を有する、請求項2に記載された温度検出装置。
【請求項4】
前記重み付けテーブルには、予め定められた第1基準温度と、前記第1基準温度よりも低い予め定められた第2基準温度とが設定されており、
前記二次電池の温度が前記第1基準温度以上の場合には、前記第1分圧回路の出力が出力され、
前記二次電池の温度が前記第2基準温度以下の場合には、前記第2分圧回路の出力が出力され、
前記二次電池の温度が前記第1基準温度よりも低く前記第2基準温度よりも高い場合には、それぞれ重み付けされた前記第1分圧回路の出力と前記第2分圧回路の出力が加算されて出力されるように構成された、請求項に記載された温度検出装置。
【請求項5】
前記重み付けテーブルは、前記第1基準温度および第2基準温度の間の温度範囲では、前記第1分圧回路の出力と前記第2分圧回路の出力が線形補間されるように設定されている、請求項に記載された温度検出装置。
【請求項6】
前記第1温度センサと前記第2温度センサは、同じ温度抵抗特性を有する、請求項1~の何れか一項に記載された温度検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2006-010677号公報には、情報処理装置の内部に配置された複数の温度センサによって測定された温度に基づき温度制御を行う温度制御装置が開示されている。複数の温度センサのうち少なくとも1つは精度の高い温度センサで構成され、他の温度センサは精度の低い温度センサで構成されている。温度制御装置は、前回の電源切断時刻から規定値以上継続したときに、精度の高い温度センサの測定温度と、精度の低い温度センサの測定温度の測定温度差を検出する。温度制御装置は、精度の低い温度センサの測定値に前記測定温度差を加算した値を正常な測定温度と見なして情報処理装置の温度制御を行う。かかる温度制御装置では、精度の低い温度センサの誤差が補正される。それによって、安価な温度センサを用いた場合にも、精度よく情報処理装置の温度を制御することができるとされている。
【0003】
特開2019-029141号公報には、バッテリの周辺に設けられる複数の温度センサを用いてバッテリの温度を検出する温度検出部と、温度検出部によって検出されたバッテリの温度に基づき、バッテリの高温側および低温側の少なくとも一方の温度測定に用いる2個以上の温度センサを、複数の温度センサの中から選択する選択部とを備えたセンサ選択装置が開示されている。選択部は、選択した温度センサを高温側センサ情報または低温側センサ情報として不揮発性ストレージに記憶する。かかるセンサ選択装置は、適切に温度センサを選択することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-010677号公報
【文献】特開2019-029141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
二次電池の出力や充放電等は、二次電池の温度に基づいて制御される場合がある。このとき、二次電池の温度の測定誤差は、できる限り小さい方が好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここで開示される温度検出装置(1)は、二次電池の予め定められた測定点に配置された第1温度センサと第1温度センサに直列に接続された第1プルアップ抵抗とを備えた直列回路に、基準電位に対する参照電位が印加され、かつ、第1温度センサに印加される電圧が出力されるように構成された第1分圧回路と、二次電池の予め定められた測定点に配置された第2温度センサと第2温度センサに直列に接続された第2プルアップ抵抗とを備えた直列回路に、基準電位に対する参照電位が印加され、かつ、第2温度センサに印加される電圧が出力されるように構成された第2分圧回路と、第1分圧回路の出力および第2分圧回路の出力に基づいて温度の検出を制御する制御部とを備えている。第1プルアップ抵抗は、予め定められた第1温度における第1温度センサの抵抗値に応じた抵抗値を有している。第2プルアップ抵抗は、第1温度よりも低い予め定められた第2温度における第2温度センサの抵抗値に応じた抵抗値を有している。制御部は、第1温度センサの電圧または第2温度センサの電圧に基づいて検出される測定点の温度に応じて、温度の検出に用いる出力を選択するように構成されている。
かかる温度検出装置によると、二次電池の温度を精度よく検出することができる。
【0007】
ここで開示される温度検出装置(2)は、温度検出装置(1)において、第1分圧回路と第2分圧回路の接続を切り替えるスイッチング素子をさらに備えている。スイッチング素子は、測定点の温度が予め定められた切替温度よりも高い場合には、第1分圧回路の出力を出力し、測定点の温度が切替温度よりも低い場合には、第2分圧回路の出力を出力するように構成されている。
【0008】
ここで開示される温度検出装置(3)では、温度検出装置(2)において、切替温度は、第1分圧回路から第2分圧回路に接続を切り替える際の第1切替温度と、第2分圧回路から第1分圧回路に接続を切り替える際の、第1切替温度とは異なる第2切替温度とを有している。
【0009】
ここで開示される温度検出装置(4)は、温度検出装置(1)において、第1温度センサの電圧または第2温度センサの電圧に基づいて検出される二次電池の温度に基づいて第1分圧回路の出力と第2分圧回路の出力とを重み付けする重み付けテーブルをさらに備えている。重み付けテーブルに基づいて、それぞれ重み付けされた第1分圧回路の出力と第2分圧回路の出力が加算されて出力されるように構成されている。
【0010】
ここで開示される温度検出装置(5)では、温度検出装置(4)において、重み付けテーブルには、予め定められた第1基準温度と、第1基準温度よりも低い予め定められた第2基準温度とが設定されている。二次電池の温度が第1基準温度以上の場合には、第1分圧回路の出力が出力され、二次電池の温度が第2基準温度以下の場合には、第2分圧回路の出力が出力され、二次電池の温度が第1基準温度よりも低く第2基準温度よりも高い場合には、それぞれ重み付けされた第1分圧回路の出力と第2分圧回路の出力が加算されて出力されるように構成されている。
【0011】
ここで開示される温度検出装置(6)では、温度検出装置(5)において、重み付けテーブルは、第1基準温度および第2基準温度の間の温度範囲では、第1分圧回路の出力と第2分圧回路の出力が線形補間されるように設定されている。
【0012】
ここで開示される温度検出装置(7)では、温度検出装置(1)~(6)において、第1温度センサと第2温度センサは、同じ温度抵抗特性を有している。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、温度検出装置1を示す模式図である。
図2図2は、温度の測定誤差を示すグラフである。
図3図3は、制御部30で実行される処理を示すフローチャートである。
図4図4は、温度検出装置1Aを示す模式図である。
図5図5は、重み付け係数を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、ここで開示される技術の一実施形態について図面を参照して説明する。ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。各図面は模式的に描かれており、必ずしも実物を反映していない。また、同一の作用を奏する部材・部位には、適宜に同一の符号を付し、重複する説明は適宜に省略される。
【0015】
〈温度検出装置1〉
温度検出装置1は、二次電池の予め定められた測定点の温度を検出するための装置である。本明細書において、「二次電池」とは、繰り返し充放電可能な蓄電デバイス一般をいい、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池等のいわゆる蓄電池(すなわち化学電池)の他、電気二重層キャパシタ等のキャパシタ(すなわち物理電池)を包含する概念である。
【0016】
図1は、温度検出装置1を示す模式図である。図1に示されているように、温度検出装置1は、第1分圧回路10と、第2分圧回路20とを備えている。温度検出装置1はさらに、温度の検出を制御する制御部30を備えている。温度検出装置1はさらに、第1分圧回路10と第2分圧回路20の接続を切り替えるスイッチング素子40を備えている。第1分圧回路10は、第1温度センサ12を備えている。第2分圧回路20は、第2温度センサ22を備えている。
【0017】
温度センサ(第1温度センサ12および第2温度センサ22)としては、温度の変化に応じて抵抗値が変化する温度抵抗特性を有する接触式の温度センサが用いられる。熱電対等の温度抵抗特性によらずに温度を検出するものは、本明細書における温度センサには含まれない。温度センサとしては、例えば、サーミスタ、測温抵抗体等を用いることができる。サーミスタとしては、温度が上昇すると抵抗値が低下するNTC(Negative Temperature Coefficient)サーミスタ、温度が上昇すると抵抗値が上昇するPTC(Positive Temperature Coefficient)サーミスタ等が用いられうる。測温抵抗体としては、例えば、白金測温抵抗体、ニッケル測温抵抗体、銅測温抵抗体等が用いられうる。用いられる温度センサは、二次電池が使用される際に取りうる二次電池の温度範囲に応じて決定されるとよい。温度センサとしては、温度変化に対する抵抗値の変化が大きいサーミスタが好ましく用いられる。この実施形態では、第1温度センサ12および第2温度センサ22として、NTCサーミスタが用いられている。
【0018】
第1分圧回路10では、第1サーミスタ12と第1プルアップ抵抗14が直列に接続されている。第1サーミスタ12は、二次電池の予め定められた測定点に配置されている。第1サーミスタ12の、第1プルアップ抵抗14とは反対側の端部は、基準電位点16に接続されている。第1サーミスタ12と第1プルアップ抵抗14が直列に接続された直列回路には、基準電位に対する参照電圧Vrefが印加されるように構成されている。
【0019】
第1サーミスタ12と第1プルアップ抵抗14の間の接続点には、図示しない電圧測定器を介して第1A/D変換器18が接続されている。第1A/D変換器18には、第1サーミスタ12に印加される電圧V1が出力される。サーミスタは、温度変化に伴って抵抗値が変化する。測定点に配置されたサーミスタの抵抗値を測定することによって、測定点の温度が測定される。第1A/D変換器18は、第1サーミスタ12に印加される電圧V1を温度の情報に変換して制御部30に出力できるように構成されている。
【0020】
第2分圧回路20は、第1分圧回路10と同様、第2サーミスタ22と第2プルアップ抵抗24が直列に接続されている。第2サーミスタ22は、二次電池の予め定められた測定点に配置されている。第2サーミスタ22は、第1サーミスタ12と同じ場所に配置されていてもよく、異なる場所に配置されていてもよい。第2サーミスタ22の、第2プルアップ抵抗24とは反対側の端部は、基準電位点26に接続されている。第2サーミスタ22と第2プルアップ抵抗24が直列に接続された直列回路には、基準電位に対する参照電圧Vrefが印加されるように構成されている。この実施形態では、第1分圧回路10と第2分圧回路20は、基準電位および参照電圧Vrefが同じ値になるように構成されている。
【0021】
第2サーミスタ22と第2プルアップ抵抗24の間の接続点には、図示しない電圧測定器を介して第2A/D変換器28が接続されている。第2A/D変換器28には、第2サーミスタに印加される電圧V2が出力される。A/D変換器28は、第2サーミスタ22に印加される電圧V2を温度の情報に変換して制御部30に出力できるように構成されている。
【0022】
ところで、上記構成の第1分圧回路10および第2分圧回路20において、サーミスタに印加される電圧Vと、参照電圧Vrefと、サーミスタの抵抗値Rthと、プルアップ抵抗の抵抗値Rpuとの関係は、以下の式で表される。
V=(Rth/(Rpu+Rth))Vref
参照電圧Vrefとプルアップ抵抗の抵抗値Rpuは、測定点の温度変化には影響されない。このため、サーミスタの抵抗値Rthは、サーミスタに印加される電圧Vから求められる。サーミスタの抵抗値Rthと温度の関係から、測定点の温度を測定することができる。しかしながら、温度の測定には、測定誤差が生じうる。
【0023】
本発明者の知見では、測定誤差が生じる原因のひとつとして、分圧回路構成に由来する誤差が挙げられる。サーミスタの抵抗値Rthが分圧回路によって電圧情報に変換される際に、サーミスタの抵抗値Rthの変化量に対して電圧情報の変化量が大きい場合に、測定誤差が大きくなる。本発明者の検討によると、サーミスタの抵抗値Rthの変化量に対する分圧回路の電圧情報の変化量は、上式のRth/(Rpu+Rth)が1/2に近いほど小さくなり、1/2から離れるほど大きくなる。このため、電圧情報に由来する温度の測定誤差は、サーミスタの抵抗値Rthとプルアップ抵抗の抵抗値Rpuが近いほど小さくなり、離れるほど大きくなる。このことから、温度の測定誤差を小さくするためには、温度が測定される温度帯において、サーミスタの抵抗値Rthとプルアップ抵抗の抵抗値Rpuが近くなるようにサーミスタとプルアップ抵抗が選択されることが好ましい。
【0024】
第1分圧回路10と第2分圧回路20では、それぞれ異なる温度帯において、サーミスタの抵抗値Rthとプルアップ抵抗の抵抗値Rpuが近くなるようにサーミスタとプルアップ抵抗が選択されている。第1分圧回路10と第2分圧回路20では、第1分圧回路10は、例えば、常温に近い温度帯(25℃程度)で第1サーミスタ12と第1プルアップ抵抗14の抵抗値が近くなるように設計される。第2分圧回路20は、第1分圧回路10よりも低い温度帯で第2サーミスタ22と第2プルアップ抵抗24の抵抗値が近くなるように設計される。
【0025】
第1プルアップ抵抗14として、予め定められた第1温度における第1サーミスタ12の抵抗値に応じた抵抗値を有する抵抗が選択されている。第2プルアップ抵抗24として、第1温度よりも低い予め定められた第2温度における第2サーミスタ22の抵抗値に応じた抵抗値を有する抵抗が選択されている。ここでは、第1サーミスタ12と第1プルアップ抵抗14は、予め定められた第1温度において抵抗値が近くなるように選択されている。第2サーミスタ22と第2プルアップ抵抗24は、第1温度よりも低い予め定められた第2温度において抵抗値が近くなるように選択されている。
【0026】
この実施形態では、温度検出装置1は、車載用の二次電池の測定点の温度を測定する。ここでは、車両使用時の二次電池の温度として、-30℃~60℃程度の温度範囲が想定されている。
【0027】
この実施形態では、第1温度は、25℃に設定されている。ここでは、第1サーミスタ12として、25℃における抵抗値が10kΩであり-10℃における抵抗値が100kΩのサーミスタが用いられている。第1プルアップ抵抗14は、第1温度25℃における第1サーミスタ12の抵抗値に応じた抵抗値(この実施形態では、10kΩ)を有している。第1プルアップ抵抗14の抵抗値は、温度によらず略一定である。このため、第1温度25℃付近では、第1サーミスタ12の抵抗値に基づいて測定される温度の測定誤差は、低く抑えられる。温度の測定誤差は、第1温度25℃から離れるほど大きくなる。
【0028】
この実施形態では、第2サーミスタ22としては、第1サーミスタ12と同じ温度抵抗特性を有するサーミスタが用いられている。上述したように、第2サーミスタ22の25℃における抵抗値は10kΩであるが、-10℃における抵抗値は100kΩである。第2プルアップ抵抗24は、第2温度-10℃における第2サーミスタ22の抵抗値に応じた抵抗値(この実施形態では、100kΩ)を有している。第2プルアップ抵抗24の抵抗値は、温度によらず略一定である。このため、第2温度-10℃付近では、第2サーミスタ22の抵抗値に基づいて測定される測定点の温度の測定誤差は、低く抑えられる。温度の測定誤差は、第2温度-10℃から離れるほど大きくなる。
【0029】
図2は、温度の測定誤差を示すグラフである。図2では、第1サーミスタ12の抵抗値に基づく測定誤差は実線で示されており、第2サーミスタ22の抵抗値に基づく測定誤差は二点鎖線で示されている。図2では、分圧回路に由来する誤差、サーミスタ12,22のB定数、および、サーミスタ12,22とプルアップ抵抗14,24の製品の許容誤差から計算される、温度の測定誤差の計算値の上限および下限が示されている。測定誤差は、公知の方法で計算されるため、詳細な説明は省略する。なお、温度の測定誤差は、種々の要因により生じうるため、必ずしも図2の上限および下限に収まるわけではない。
【0030】
図2に示されているように、第1サーミスタ12の抵抗値に基づく測定誤差は、-10℃以上60℃以下の範囲では、1℃以下に抑えられうる。一方、第1サーミスタ12の抵抗値に基づく測定誤差は、-10℃よりも低い範囲と60℃よりも高い範囲では、1℃よりも大きくなりうる。第2サーミスタ22の抵抗値に基づく測定誤差は、-40℃以上20℃以下の範囲では、1℃以下に抑えられうる。一方、第2サーミスタ22の抵抗値に基づく測定誤差は、-40℃よりも低い範囲(図示省略)と20℃よりも高い範囲では、温度の測定誤差は、1℃よりも大きくなりうる。
【0031】
制御部30(図1参照)は、第1分圧回路10からの出力と第2分圧回路20からの出力に基づいて測定点の温度の検出を制御する。この実施形態では、第1分圧回路10からの出力と第2分圧回路20からの出力のうち、いずれか一方の出力が選択される。ここでは、制御部30は、測定点の温度が第1温度に近い場合には第1分圧回路10からの出力を選択し、測定点の温度が第2温度に近い場合には第2分圧回路10からの出力を選択するように構成されている。
【0032】
制御部30は、例えば、マイクロコンピュータである。制御部30は、例えば、通信用インターフェースと、CPUと、ROMと、RAMとを備えている。制御部30は、図1に示されているように、判定部32と、検出部34とを有している。判定部32および検出部34は、例えば、複数のプロセッサによって実現されてもよい。判定部32は、第1A/D変換器18と第2A/D変換器28と通信可能に接続されている。判定部32は、スイッチング素子40を有している。検出部34は、判定部32と通信可能に構成されている。検出部34は、判定部32のスイッチング素子40を介して第1A/D変換器18と第2A/D変換器28と通信可能に構成されている。
【0033】
判定部32は、第1分圧回路10からの出力と第2分圧回路20からの出力のうち、測定点の温度の検出に用いる出力を判定する。この実施形態では、判定部32は、第1サーミスタ12の電圧V1に基づいて検出される測定点の温度tに応じて、出力を選択する。なお、かかる形態に限定されず、出力は、第2サーミスタ22の電圧V2に基づいて検出される温度tに応じて選択されてもよい。
【0034】
この実施形態では、スイッチング素子40のスイッチング動作によって出力が選択される。スイッチング素子40は、判定部32からの指示に応じて、第1分圧回路10と第2分圧回路20の接続を切り替えるスイッチング動作を行う。スイッチング素子40は、測定点の温度が予め定められた切替温度よりも高い場合には、第1分圧回路10の出力を出力し、測定点の温度が予め定められた切替温度よりも低い場合には、第2分圧回路20の出力を出力するように構成されている。特に限定されないが、スイッチング素子40としては、例えば、半導体スイッチが用いられうる。
【0035】
この実施形態では、切替温度として、第1切替温度T1と、第2切替温度T2とが設定されている。第1切替温度T1は、第1分圧回路10から第2分圧回路20に接続を切り替える際の温度である。第1切替温度T1は、-10℃に設定されている。第2切替温度T2は、第2分圧回路20から第1分圧回路10に接続を切り替える際の温度である。第2切替温度T2は、0℃に設定されている。第1切替温度T1と第2切替温度T2は、いわゆるヒステリシス制御が実行されるように、所要の温度差に設定されていることが好ましい。第1切替温度T1と第2切替温度T2の差は、例えば、3℃以上に設定されていることが好ましく、5℃以上に設定されていてもよい。第1切替温度T1と第2切替温度T2の差は、温度の測定誤差を抑える観点から、20℃以下に設定されていることが好ましく、15℃以下に設定されていてもよい。
【0036】
以下、温度検出装置1が温度を検出する際に制御部30で実行される処理の一例を説明するが、本発明をかかる形態に限定することを意図したものではない。図3は、制御部30で実行される処理を示すフローチャートである。かかる処理は、電動車両が起動される際に開始されうる。車載用の二次電池の温度は、走行中または停車中に関わらず、電動車両が起動されている間に予め定められた間隔で検出されうる。
【0037】
図3に示されているように、制御部30の判定部32は、はじめに、スイッチの設定で測定される測定点の温度tを取得する(S10)。次に、スイッチの設定に合わせて切替えるべき温度帯であるかどうかの判定を行う(S12)。
【0038】
判定部32は、スイッチの設定が第1分圧回路10である場合(Yes)、温度tが第1切替温度T1以上であるか否かを判定する(S20)。温度tが第1切替温度T1以上である場合(Yes)には、第1分圧回路10の温度情報を出力すべきであるため、検出部34の接続先の切り替えは不要である。検出部34は、測定点の温度として第1分圧回路10で測定された温度tを検出する(S40)。
【0039】
判定(S20)において、第1分圧回路10で測定される温度tが第1切替温度T1以上ではない場合(No)には、第2分圧回路20の出力を選択し(S21)、再度温度tを取得する(S22)。検出部34は、測定点の温度として第2分圧回路20で測定された温度tを検出する(S40)。
【0040】
判定(S12)において、検出部34が第2分圧回路20に接続されていた場合(No)には、第2分圧回路20で測定される温度tが第2切替温度T2以下であるか否かを判定する(S30)。温度tが第2切替温度T2以下である場合(Yes)には、第2分圧回路20の温度情報を出力すべきであるため、検出部34の接続先の切り替えが不要である。検出部34は、測定点の温度として第2分圧回路20で測定される温度tを検出する(S40)。
【0041】
判定(S30)において、第2分圧回路20で測定される温度tが第2切替温度T2以下ではない場合(No)には、第1分圧回路10の出力を選択し(S31)、再度温度tを取得する(S32)。検出部34は、測定点の温度として第1分圧回路10で測定された温度tを検出する(S40)。
【0042】
ところで、例えば、車載用の二次電池では、温度に応じて種々の制御が実行されている。例えば、二次電池に充放電する際の充放電電流や走行時の出力等は、二次電池の温度によって制御されうる。二次電池の温度の測定誤差が大きい場合には、二次電池が必要以上に充電または放電されたり、過電流が流れたりしうる。その結果、二次電池の劣化が進行する等の事象が発生しうる。このため、二次電池の温度は、精度よく検出されることが好ましい。
【0043】
ここで開示される温度検出装置1は、二次電池の予め定められた測定点に配置された第1サーミスタ12と第1サーミスタ12に直列に接続された第1プルアップ抵抗14を備えた第1分圧回路10と、二次電池の予め定められた測定点に配置された第2サーミスタ22と第2サーミスタ22に直列に接続された第2プルアップ抵抗24を備えた第2分圧回路20と、第1分圧回路10と第2分圧回路20の出力に基づいて温度の検出を制御する制御部30とを備えている。第1プルアップ抵抗14は、予め定められた第1温度における第1サーミスタ12の抵抗値に応じた抵抗値を有している。第2プルアップ抵抗24は、第1温度よりも低い予め定められた第2温度における第2サーミスタ22の抵抗値に応じた抵抗値を有している。制御部30は、第1サーミスタの電圧V1に基づいて検出される測定点の温度に応じて、温度検出に用いる出力を検出するように構成されている。
【0044】
かかる温度検出装置1では、第2分圧回路20の第2プルアップ抵抗24は、第1温度よりも低い第2温度における第2サーミスタ22の抵抗値に応じた抵抗値を有している。このため、第2分圧回路20は、第1分圧回路10と比較して低い温度帯での温度の測定誤差が低く抑えられやすくなる。また、第1サーミスタ12の電圧V1または第2サーミスタ22の電圧V2に基づいて検出される温度tに応じて、測定点の温度が高い時には第1分圧回路10の出力が選択され、測定点の温度が低い時には第2分圧回路20の出力が選択される。温度に応じて第1分圧回路10の出力と第2分圧回路20の出力が適宜選択されることによって、広い温度帯で温度測定の精度が向上する。
【0045】
また、複数の分圧回路で電圧が測定されていることによって、分圧回路の故障の検出が可能になりうる。例えば、一方の分圧回路が故障している場合には、第1分圧回路10で測定される電圧V1に基づいて検出される温度と第2分圧回路20で測定される電圧V2に基づいて検出される温度の差が大きくなる場合がある。温度検出装置1は、かかる温度の差を判定することによって、分圧回路の故障が判定されるように構成されてもよい。
【0046】
上述した実施形態では、温度検出装置1は、第1分圧回路10と第2分圧回路20の接続を切り替えるスイッチング素子40をさらに備えている。スイッチング素子40は、測定点の温度が予め定められた切替温度よりも高い場合には、第1分圧回路10の出力を出力し、測定点の温度が切替温度よりも低い場合には、第2分圧回路20の出力を出力するように構成されている。スイッチング素子40を用いることによって、容易な構成で温度を精度よく検出するための回路構成が実現されうる。
【0047】
また、切替温度は、第1分圧回路10から第2分圧回路20に接続を切り替える際の第1切替温度T1と、第2分圧回路20から第1分圧回路10に接続を切り替える際の、第1切替温度T1とは異なる第2切替温度T2とを有している。換言すると、第1分圧回路10と第2分圧回路20の切り替えの向きに応じて2つの切替温度が設定されている。このため、切替温度付近で出力元(第1分圧回路10と第2分圧回路20)が頻繁に切り替わる事象が発生しにくくなる。これによって、温度を検出する回路が切り替わったことに由来する検出温度の急な変化が起こりにくくなる。例えば、充放電電流の許容値は、二次電池の温度に大きく依存する。温度の急な変化を防ぐことによって、充放電電流の許容値が急に変化することによる出力の変化や、意図しない過充電および過放電が起こりにくくなる。
【0048】
上述した実施形態では、第1サーミスタ12と第2サーミスタ22は、同じ温度抵抗特性を有している。これによって、第1サーミスタ12と第2サーミスタ22の性能のばらつきが抑えられ、検出される温度の信頼性が向上しうる。また、第1プルアップ抵抗14と第2プルアップ抵抗24の抵抗値を変えるだけで異なる温度帯での測定精度をコントロールできるため、回路設計が容易になる。なお、「同じ温度抵抗特性」とは、温度抵抗特性が完全に同一である必要はなく、製品の性能のばらつきに由来する誤差等は許容される。
【0049】
以下、他の実施形態にかかる温度検出装置1Aについて説明する。図4は、温度検出装置1Aを示す模式図である。図4に示されているように、温度検出装置1Aは、温度検出装置1と同様、第1分圧回路10と、第2分圧回路20とを備えている。第1分圧回路10と第2分圧回路20には、第1A/D変換器18と第2A/D変換器28がそれぞれ接続されている。温度検出装置1Aはさらに、温度の検出を制御する制御部130を備えている。この実施形態では、温度検出装置1Aは、第1分圧回路10の出力と第2分圧回路20の出力とを重み付けする重み付けテーブル140をさらに備えている。
【0050】
制御部130は、演算部132と、検出部134とを有している。制御部130は、例えば、マイクロコンピュータである。演算部132と検出部134は、例えば、複数のプロセッサによって実現されてもよい。重み付けテーブル140は、演算部132に格納されている。演算部132は、第1A/D変換器18と第2A/D変換器28と通信可能に接続されている。検出部134は、演算部132と通信可能に構成されている。
【0051】
重み付けテーブル140は、第1サーミスタ12の電圧V1に基づいて検出される二次電池の温度に基づいて第1分圧回路10の出力と第2分圧回路20の出力とを重み付けする。演算部132では、重み付けテーブル140に基づいて、それぞれ重み付けされた第1分圧回路10の出力と第2分圧回路20の出力が加算される。検出部134では、演算部132で演算された出力が検出される。
【0052】
この実施形態では、重み付けテーブル140には、第1サーミスタ12の電圧V1に基づいて検出される二次電池の温度と重み付け係数が対応付けて記憶されている。図5は、重み付け係数を示すグラフである。図5では、第1分圧回路10の出力に乗ずる重み付け係数は実線で示されており、第2分圧回路20の出力に乗ずる重み付け係数は二点鎖線で示されている。図5に示されているように、重み付けテーブル140では、第1分圧回路10の出力に乗ずる重み付け係数と、第2分圧回路20の出力に乗ずる重み付け係数の合計が1になるように重み付け係数が設定されている。
【0053】
重み付けテーブル140には、予め定められた第1基準温度T11と、第1基準温度T11よりも低い予め定められた第2基準温度T12とが設定されている。二次電池の温度が第1基準温度T11以上の場合には、第1分圧回路の出力が出力されるように構成されている。二次電池の温度が第2基準温度T12以下の場合には、第2分圧回路の出力が出力されるように構成されている。二次電池の温度が第1基準温度T11よりも低く第2基準温度T12よりも高い場合には、それぞれ重み付けされた第1分圧回路10の出力と第2分圧回路20の出力が加算されて出力されるように構成されている。特に限定されないが、この実施形態では、第1基準温度T11は10℃であり、第2基準温度T12は-10℃である。測定点の温度が第1基準温度T11の10℃以上の場合は、第1分圧回路10の出力の重み付け係数は1であり、第2分圧回路20の重み付け係数は0である。測定点の温度が第2基準温度T12の-10℃以下の場合は、第1分圧回路10の出力の重み付け係数は0であり、第2分圧回路20の重み付け係数は1である。
【0054】
第1基準温度T11および第2基準温度T12の間の温度範囲では、第1分圧回路10の出力と第2分圧回路20の出力が線形補間されるように重み付け係数が設定されている。例えば、測定点の温度が5℃の場合は、第1分圧回路10の出力の重み付け係数は0.75であり、第2分圧回路20の重み付け係数は0.25である。測定点の温度が0℃の場合は、第1分圧回路10の出力と第2分圧回路20の重み付け係数は共に0.5である。測定点の温度が-5℃の場合は、第1分圧回路10の出力の重み付け係数は0.25であり、第2分圧回路20の重み付け係数は0.75である。なお、重み付け係数は、線形補間に限られず、多項式補間等の非線形補間であってもよい。また、第1基準温度T11、第2基準温度T12、重み付け係数は、二次電池が使用される環境の温度に応じて適宜自動または手動で設定可能に構成されていてもよい。
【0055】
上述した実施形態では、温度検出装置1Aは、第1サーミスタ12の電圧V1に基づいて検出される二次電池の温度に基づいて第1分圧回路10の出力と第2分圧回路20の出力とを重み付けする重み付けテーブル140を備えている。温度検出装置1Aでは、重み付けテーブル140に基づいて、それぞれ重み付けされた第1分圧回路10の出力と第2分圧回路20の出力が加算されるように構成されている。これによって、測定点の温度が変動しても、第1分圧回路10の出力と、第2分圧回路20の出力とが連続的に切り替えられる。換言すると、第1分圧回路10の出力と、第2分圧回路20の出力とが滑らかに切り替えられる。これによって、例えば、第1分圧回路10と第2分圧回路20で測定誤差のばらつきが異なっている場合にも、第1分圧回路10と第2分圧回路20の切り替えに伴う測定温度の急激な変化が起こりにくくなる。これによって、上述したような、充放電電流の許容値が急に変化することによる出力の急な変化や、意図しない過充電および過放電がより起こりにくくなる。
【0056】
上述した温度検出装置1,1Aでは、第1サーミスタ12と第2サーミスタは、予め定められた測定点に配置されるが、測定点の位置は特に限定されない。同一の測定点の温度を測定できるように、第1サーミスタ12と第2サーミスタを二次電池の同じ場所に配置してもよい。また、異なる測定点の温度を測定可能なように、第1サーミスタ12と第2サーミスタは、二次電池の異なる場所に配置されてもよい。例えば、熱が溜まりやすい部位には高い温度帯で測定精度が高い第1分圧回路10の第1サーミスタ12が配置され、熱が溜まりにくい部位には低い温度帯で測定精度が高い第2分圧回路20の第2サーミスタ22が配置されてもよい。例えば、二次電池として複数の単電池が接続され並べられた組電池が用いられている場合には、単電池が並べられている方向において中央部の単電池ほど熱が溜まりやすく、端部の単電池ほど熱を放出しやすい。このような場合には、中央部に第1分圧回路10を設け、端部に第2分圧回路20を設けることによって、それぞれの部位での温度測定の精度が向上しうる。
【0057】
また、第1分圧回路10と第2分圧回路20の出力の選択はさらに、二次電池が使用される状況によって実行されてもよい。例えば、車載用の二次電池では、外気温が十分に低い環境での駐車時など、一定以下の出力の状態が所定の時間経過した場合には、二次電池の温度は低下しうる。この場合、低い温度帯で測定精度が高い第2分圧回路20の出力のみによって温度が測定されるように制御されてもよい。このような場合、第2分圧回路20の出力のみを用いることによって、温度測定の精度が向上しうる。
【0058】
上述した実施形態では、第1サーミスタ12と第2サーミスタ22は、実質的に同じ温度抵抗特性を有している。第1プルアップ抵抗14と第2プルアップ抵抗24の抵抗値を変えることによって、異なる温度帯で測定精度が向上するように構成されている。しかしながら、かかる形態に限定されない。例えば、所望の温度帯で測定精度が向上するように、互いに異なる温度抵抗特性を有する第1サーミスタ12と第2サーミスタ22が選択されていてもよい。例えば、低い温度になりうる部分を測定するために配置されるサーミスタとして、低温領域で測定誤差のばらつきが小さくなるサーミスタが用いられてもよい。
【0059】
温度検出装置1,1Aでは、第1分圧回路10および第2分圧回路20は、それぞれ1つに限られない。温度検出装置1,1Aには、第1分圧回路10および第2分圧回路20がそれぞれ複数設けられていてもよい。温度検出装置1,1Aでは、複数の第1分圧回路10および第2分圧回路20の出力の平均から温度が検出されるように構成されていてもよい。複数の第1分圧回路10および第2分圧回路20は、二次電池の異なる部位の温度を測定できるように配置されていてもよい。第1分圧回路10および第2分圧回路20がそれぞれ複数設けられていることによって、検出される温度の信頼性が向上しうる。
【0060】
上述した実施形態では、温度検出装置1,1Aは、第1分圧回路10および第2分圧回路20を備えている。温度検出装置1,1Aでは、第1分圧回路10および第2分圧回路20以外にも、さらに追加の分圧回路が設けられていてもよい。追加の分圧回路は、第1分圧回路10および第2分圧回路20とは異なる温度帯で温度の測定精度が高くなるようにサーミスタやプルアップ抵抗の抵抗値が設定されていてもよい。例えば、第1分圧回路10および第2分圧回路20とは異なる温度帯で測定精度が向上するように、サーミスタおよびプルアップ抵抗の抵抗値が選択された第3分圧回路を備えていてもよい。このように、追加の分圧回路を設けることによって、より広い温度帯で検出される温度の信頼性が向上しうる。
【0061】
上述した温度検出装置1,1Aによれば、例えば、高精度の温度センサや、測定精度を向上させるための複雑な回路(例えば、ブリッジ回路や四端子回路)を採用することなく二次電池の温度の測定精度を向上させることができる。このため、二次電池が搭載される製品の製造コストが低く抑えられうる。
【0062】
以上、ここで開示される技術について、種々説明した。特に言及されない限りにおいて、ここで挙げられた実施形態などは本発明を限定しない。また、ここで開示される技術は、種々変更でき、特段の問題が生じない限りにおいて、各構成要素やここで言及された各処理は適宜に省略され、または、適宜に組み合わされうる。
【符号の説明】
【0063】
1,1A 温度検出装置
10 第1分圧回路
12 第1サーミスタ(第1温度センサ)
14 第1プルアップ抵抗
16 基準電位点
18 第1A/D変換器
20 第2分圧回路
22 第2サーミスタ(第2温度センサ)
24 第2プルアップ抵抗
26 基準電位点
28 第2A/D変換器
30 制御部
32 判定部
34 検出部
40 スイッチング素子
130 制御部
132 演算部
134 検出部
140 重み付けテーブル
図1
図2
図3
図4
図5