(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-17
(45)【発行日】2024-07-25
(54)【発明の名称】予知及び予防保全を支援するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
B23K 31/00 20060101AFI20240718BHJP
G05B 19/418 20060101ALI20240718BHJP
B23K 9/32 20060101ALI20240718BHJP
B23K 9/10 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
B23K31/00 N
G05B19/418 Z
B23K9/32 Z
B23K9/10 Z
B23K31/00 L
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022194146
(22)【出願日】2022-12-05
(62)【分割の表示】P 2018222065の分割
【原出願日】2018-11-28
【審査請求日】2022-12-05
(32)【優先日】2017-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510202156
【氏名又は名称】リンカーン グローバル,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ エー.ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム ティー.マシューズ
(72)【発明者】
【氏名】ランス ジェイ.ガイモン
【審査官】後藤 泰輔
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0149210(US,A1)
【文献】特開2009-172610(JP,A)
【文献】実開昭63-106591(JP,U)
【文献】特開2017-102554(JP,A)
【文献】米国特許第06583386(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0088567(US,A1)
【文献】特開昭60-158981(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 31/00
G05B 19/418
B23K 9/32
B23K 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接データを分析できる
ようにするシステムにおいて、
製造環境内の複数の製造セルであって、前記複数の製造セルの各製造セルは、セルコントローラと、溶接設備と、を含む複数の製造セルと、
中央コントローラと、
前記中央コントローラ及び前記複数の製造セルに動作的に接続され、前記中央コントローラと、前記複数の製造セルの各々の前記セルコントローラとの間のデータ通信を支援するように構成された通信ネットワークと、
を含み、
前記中央コントローラは、
前記通信ネットワークを介して、前記複数の製造セルの各々の前記セルコントローラから
前記溶接データを収集し、前記溶接データは、前記複数の製造セルの各々で製造されている同じ種類の部品上に前記溶接設備が生成する
一連の溶接
部に関していて、前記複数の製造セルのための集合溶接データセットを形成し、
前記集合溶接データセットを分析して、前記
一連の溶接
部のうち、前記溶接設備の少なくとも1つの構成要素が劣化したことによる劣化を生じている少なくとも1つの溶接
部を特定し、
前記劣化に対抗するために、前記一連の溶接部のうちの前記少なくとも1つの溶接部を生成することに関連付けられた更新済み溶接パラメータ集合を生成し、
前記通信ネットワークを介して、前記更新済み溶接パラメータ集合を前記複数の製造セルの少なくとも1つの製造セルの前記セルコントローラに通信する、
ように構成され、
前記複数の製造セルの前記少なくとも1つの製造セルの前記セルコントローラは、前記溶接設備に対して、前記劣化に対抗するための前記更新済み溶接パラメータ集合を使って、前記溶接設備に対して実行しなければならない保全を遅延させることを命じるように構成される、システム。
【請求項2】
前記更新済み溶接パラメータ集合は、溶接電圧、溶接電流、アーク移動速度、ワイヤ送給速度、ワイヤ電極突出し距離、及び溶接波形のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
それぞれ前記複数の製造セルの各々における
一連の溶接
部のうちの少なくとも1つの溶接
部に関連付けられる少なくとも1つのセンサをさらに含み、前記少なくとも1つのセンサは、前記少なくとも1つの溶接
部を生成することに関連付けられる少なくとも1つの品質パラメータを検出して、少なくとも1つの品質パラメータを前記溶接データとしてそれぞれの前記セルコントローラに直接又は間接に報告するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つのセンサは、可視スペクトルセンサ、X線センサ、レーザセンサ、電磁センサ、赤外線センサ、温度センサ、分光計センサ、又は超音波センサのうちの少なくとも1つを含む、請求項
3に記載のシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つの品質パラメータは、前記部品上の溶接位置、溶接ビードの大きさ、溶接ビードの形状、溶接の溶込み、溶接の融着、溶接の気孔、溶接の割れ、溶接の巻き込み、溶接の不連続性、アークプラズマの種類、又はアークプラズマの温度のうちの少なくとも1つに関する、請求項
3に記載のシステム。
【請求項6】
前記溶接設備の前記少なくとも1つの構成要素は、コンタクトチップ、ガスノズル、ワイヤ管路、ワイヤライナ、電気ケーブル、ワイヤ駆動ロール、ツール固定具、ツールクランプ、エアフィルタ、又はロボット関節のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記複数の製造セルはロボット製造セルである、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記中央コントローラは、前記
一連の溶接
部の
うちの、劣化を生じている前記少なくとも1つの溶接
部の識別情報を、前記通信ネットワークを通じて前記複数の製造セルの少なくとも1つの製造セルの前記セルコントローラに通信するように構成され、
前記複数の製造セルの前記少なくとも1つの製造セルの前記セルコントローラは、前記少なくとも1つの製造セルの前記溶接設備のロボットに対し、前記識別情報に応答して、前記少なくとも1つの溶接に向かうことを命令するように構成される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記中央コントローラは、前記
一連の溶接
部の
うちの、劣化を生じている前記少なくとも1つの溶接
部の識別情報を、前記通信ネットワークを通じて前記複数の製造セルの少なくとも1つの製造セルの前記セルコントローラに通信するように構成され、
前記複数の製造セルの前記少なくとも1つの製造セルの前記セルコントローラは、前記識別情報に応答して、製造されている前記部品上の前記少なくとも1つの溶接の位置が前記少なくとも1つの製造セルの表示装置上で前記少なくとも1つの製造セルのオペレータに対してグラフィクスにより表示されることを命令するように構成される、
請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照/参照による援用
本米国特許出願は、2017年11月29日に出願された米国仮特許出願第62/592,072号の優先権及びその利益を主張するものであり、その開示の全体を参照によって本願に援用する。
【0002】
本発明の実施形態は、予知及び予防保全に関し、より詳しくは、製造環境における予知及び予防保全を支援するシステムと方法に関する。
【背景技術】
【0003】
製造環境中の設備の保全は、ロジスティクスの面から困難でありうる。設備の様々な構成要素は、製造環境の性質に応じて、異なる故障メカニズムを示し、異なる保全のニーズを有する可能性がある。特に製造環境における特定の1つの設備の特定の構成要素をいつ修理又は交換すべきかを特定する試みは非常に難しい場合がある。その結果、保全スケジュールを立てても、構成要素の修理又は交換の時期が早すぎたということが多く、これは時間的及び金銭的に無駄である。同様に、保全スケジュールを立てても、構成要素の修理又は交換が遅すぎ、その結果、構成要素が予期せず故障し、製造環境中の設備のダウンタイムが長くなる可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の実施形態は、製造環境における予知及び予防保全に関するシステム及び方法を含む。
【0005】
1つの実施形態は、予知及び予防保全を支援するシステムを含む。このシステムは、製造環境内の複数の製造セルを含む。複数の製造セルは、1つの実施形態において、ロボット製造セルである。複数の製造セルの中の各製造セルは、セルコントローラと、溶接設備、切削設備、又は付加的製造設備のうちの少なくとも1つと、を含む。システムはまた、中央コントローラと、中央コントローラ及び複数の製造セルに動作的に接続された通信ネットワークと、を含む。通信ネットワークは、中央コントローラと、複数の製造セルの各々のセルコントローラとの間のデータ通信を支援するように構成される。中央コントローラは、通信ネットワークを介して複数の製造セルの各々のセルコントローラからセルデータを収集するように構成される。セルデータは、複数の製造セルの各々の、同じ構成要素タイプの動作、パフォーマンス、又は修理のうちの少なくとも1つに関していて、その構成要素タイプに関する集合セルデータセットを形成する。中央コントローラはまた、集合セルデータセットを分析して、その構成要素タイプの今後の保全に関する予知モデルを生成するように構成される。予知モデルは、予知アルゴリズム、予知方程式、又は予知トレンドデータのうちの少なくとも1つを含む。1つの実施形態において、中央コントローラは、通信ネットワークを介して、予知モデルを複数の製造セルの各々のセルコントローラにそれぞれ通信するように構成される。複数の製造セルの各々のセルコントローラは、それぞれ、予知モデルを実行して、その構成要素タイプのある構成要素をいつ修理又は交換すべきかを特定するように構成される。1つの実施形態において、中央コントローラは、予知モデルを実行して、それぞれ複数の製造セルの各々について、その構成要素タイプのある構成要素をいつ修理又は交換すべきかを特定し、その構成要素をいつ修理又は交換すべきかをそれぞれ複数の製造セルの各々に対し、通信ネットワークを介して報告するように構成される。その構成要素タイプのその構成要素は、溶接設備、切削設備、又は付加的製造設備に関連付けられ、例えば、コンタクトチップ、ガスノズル、ワイヤ管路、ワイヤライナ、電気ケーブル、ワイヤ駆動ロール、ツール固定具もしくはクランプ、エアフィルタ、又はロボット関節のうちの1つを含んでいてもよい。複数の製造セルは、ロボット製造セル又は半自動製造セルであってもよい。1つの実施形態によれば、システムは、それぞれ複数の製造セルの各々における構成要素タイプのある構成要素に関連付けられた少なくとも1つのセンサを含む。センサは、構成要素の動作、パフォーマンス、又は修理に関連付けられる少なくとも1つのパラメータを検出し、そのパラメータをセルデータとして、それぞれのセルコントローラに直接又は間接に報告するように構成される。1つの実施形態において、中央コントローラは、通信ネットワークを介して、少なくとも1人の保全担当者に関連付けられた少なくとも1つの携帯通信機器に対し、その構成要素タイプのある構成要素をいつ修理又は交換すべきかを示すメッセージを送信するように構成される。1つの実施形態によれば、通信ネットワークは、中央コントローラと、複数の製造セルの各々のセルコントローラとの間の無線通信を容易にするように構成される。
【0006】
1つの実施形態は、保全を遅延させることのできるシステムを含む。このシステムは、製造環境内の複数の製造セルを含み、複数の製造セルの各製造セルは、セルコントローラと、溶接設備と、を含む。システムはまた、中央コトンローラと、中央コントローラ及び複数の製造セルに動作的に接続された通信コントローラと、を含む。通信ネットワークは、中央コントローラと、複数の製造セルの各々のセルコントローラとの間のデータ通信を支援するように構成される。中央コントローラは、通信ネットワークを介して、複数の製造セルの各々のセルコントローラから溶接データを収集するように構成される。溶接データは、複数の製造セルの各々で製造されている同じタイプの部品上に溶接設備が生成する溶接シーケンスに関していて、複数の製造セルのための集合溶接データセットを形成する。中央コントローラはまた、集合溶接データセットを分析して、溶接シーケンスのうち、溶接設備の少なくとも1つの構成要素が劣化したことによる劣化を生じている少なくとも1つの溶接を特定するように構成される。1つの実施形態によれば、中央コントローラは、劣化に対抗するために、溶接シーケンスのうちの少なくとも1つの溶接を生成することに関連付けられた更新済み溶接パラメータ集合を生成し、通信ネットワークを介して、更新済み溶接パラメータ集合を複数の製造セルの少なくとも1つの製造セルのセルコントローラに通信するように構成される。複数の製造セルの少なくとも1つの製造セルのセルコントローラは、溶接設備に対して、劣化に対抗するための更新済み溶接パラメータ集合を使って、溶接設備に対して実行しなければならない保全を遅延させることを命じるように構成される。更新済み溶接パラメータ集合は、例えば、溶接電圧、溶接電流、アーク移動速度、ワイヤ送給速度、ワイヤ電極突出し距離、及び溶接波形のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。1つの実施形態によれば、システムはまた、それぞれ複数の製造セルの各々における溶接シーケンスのうちの少なくとも1つの溶接に関連付けられる少なくとも1つのセンサを含んでいてもよい。センサは、少なくとも1つの溶接を生成することに関連付けられる少なくとも1つの品質パラメータを検出して、少なくとも1つの品質パラメータを溶接データとしてそれぞれのセルコントローラに直接又は間接に報告するように構成される。センサは例えば、例えば可視スペクトルセンサ、X線センサ、レーザセンサ、電磁センサ、赤外線センサ、温度センサ、分光計センサ、又は超音波センサのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。品質パラメータは、例えば部品上の溶接位置、溶接ビードの大きさ、溶接ビードの形状、溶接の溶込み、溶接の融着、溶接の気孔、溶接の割れ、溶接の巻き込み、溶接の不連続性、アークプラズマの種類、又はアークプラズマの温度のうちの少なくとも1つに関していてもよい。溶接設備の構成要素は例えば、コンタクトチップ、ガスノズル、ワイヤ管路、ワイヤライナ、電気ケーブル、ワイヤ駆動ロール、ツール固定具、ツールクランプ、エアフィルタ、又はロボット関節のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。1つの実施形態において、中央コントローラは、溶接シーケンスの中の、劣化を生じている少なくとも1つの溶接の識別情報を、通信ネットワークを通じて複数の製造セルの少なくとも1つの製造セルのセルコントローラに通信するように構成される。さらに、複数の製造セルの製造セルのセルコントローラは、製造セルの溶接設備のロボットに対し、識別情報に応答して、劣化した溶接に向かうことを命令するように構成される。代替的に、又は追加的に、複数の製造セルの少なくとも1つの製造セルのセルコントローラは、識別情報に応答して、製造されている部品上の劣化した溶接の位置が製造セルの表示装置上で製造セルのオペレータに対してグラフィクスにより表示されることを命令するように構成される。
【0007】
全体的な本発明のコンセプトの様々な態様は、例示的な実施形態に関する以下の詳細な説明から、特許請求の範囲から、及び添付の図面から容易に明らかとなるであろう。
【0008】
添付の図面は、本明細書の中に組み込まれてその一部を構成し、本開示の様々な実施形態を示している。図中に示される要素の境界(例えば、ボックス、ボックス群、又はその他の形状)は境界の1つの実施形態を表していると理解されたい。幾つかの実施形態において、1つの要素が複数の要素として示されているかもしれず、又は複数の要素が1つの要素として示されているかもしれない。幾つかの実施形態において、他の要素の内部構成要素として示されている要素は外部構成要素として実装されてもよく、及びその逆でもある。さらに、要素は正確な縮尺で描かれていないかもしれない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】製造環境内の部品を製造するための製造セルの1つの実施形態を示す。
【
図2】通信ネットワークを介して中央コントローラと有線通信する、製造環境内の複数の製造セルを有する予知及び予防保全を支援するシステムの1つの実施形態を示す。
【
図3】通信ネットワークを介して中央コントローラと無線通信する、製造環境内の複数の製造セルを有する予知及び予防保全を支援するシステムの1つの実施形態を示す。
【
図4】予知モデルを製造セルに通信する中央コントローラの1つの実施形態を示す。
【
図5】保全スケジュールを製造セルに通信する中央コントローラの1つの実施形態を示す。
【
図6A-6C】3種類の予知モデルの実施形態を示す。
【
図7】製造環境の製造セル内の設備の構成要素の例示的な実施形態を示す。
【
図8】製造環境の製造セル内の設備の構成要素に関連付けられるセンサの例示的な実施形態を示す。
【
図9】製造環境内の予知及び予防保全を支援する方法の1つの実施形態のフローチャートを示す。
【
図10】製造環境内の、保全を遅延させることのできる方法の1つの実施形態のフローチャートを示す。
【
図11】製造環境の製造セル内で部品を製造するために行われる溶接シーケンスの中の溶接に関連付けられるセンサの例示的な実施形態を示す。
【
図12】コントローラ(例えば、本明細書に記載のシステムの中で使用される中央コントローラ又はセルコントローラ)の例示的な実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
予知及び予防保全を支援するシステムと方法の実施形態が開示される。例えば、すべての製造セル(工場/施設拠点全体)を通じてトレンドが観察されてもよく、トレンドデータは個々の製造セルに押し戻すことができ、そこから学習が行われる、より大きい機械群による機械学習の基礎を提供する(これは、1つのみの機械の設定限界とは異なる)。このような、より大きなデータセットは、より予知可能な学習結果を提供できる。
【0011】
1つの実施形態は製造環境内の製造セルを含み、各製造セルは、セルコントローラと、溶接設備、切削設備、及び/又は付加的製造設備のうちの1つ又は複数と、を含む。通信ネットワークは、中央コントローラと製造セルの各々のセルコントローラとの間のデータ通信を支援する。中央コントローラは、通信ネットワークを介して、製造セルの各々のセルコントローラからセルデータを収集する。セルデータは、製造セルの各々の同じ構成要素タイプの動作、パフォーマンス、及び/又は修理に関していて、その構成要素タイプのための集合セルデータセットを形成する。中央コントローラはまた、集合セルデータセットを分析して、その構成要素タイプのある構成要素の今後の保全に関する予知モデルを生成する。「保全」という用語は、本明細書において使用されるかぎり、構成要素の修理及び/又は交換を指す。
【0012】
本明細書における例と図面は例示のためにすぎず、特許請求の範囲の範囲と主旨によってのみ評価される本発明を限定しようとしているのではない。ここで、その提示は本発明の例示的な実施形態を説明することのみを目的としており、これを限定するためではない図面を参照すると、
図1は、製造環境内で溶接を通じて金属部品を製造するための、溶接設備と共に構成された製造セル10の1つの実施形態を示す。製造セル10は、本明細書においては、溶接設備と共に構成されていることに関して詳しく論じられている。しかしながら、他の実施形態において、製造セルは、例えば金属を切削するための切削設備、又は金属部品を付加的製造により製造するための付加的製造設備と共に構成されてもよい。製造セルは、例えばガスメタルアーク溶接(GMAW)、フラックスコアアーク溶接(FCAW)、又はガスタングステンアーク溶接(GTAW)等のプロセスによって部品を溶接又は付加的製造で製造するために使用されてもよいことが想定される。また、製造セルは、プラズマ切削プロセスにより金属部品を切削するために使用されてもよいことも想定される。他の実施形態によれば、溶接、切削、又は付加的製造のためのその他のプロセスもまた可能である。
【0013】
例えば、一般的に知られているように、付加的製造は、材料が母材/基板又は部品の上に(例えば、層状に)堆積されて、所望の製品が製作されるプロセスである。付加的製造で製造される3次元(3D)部品の複数の層のパターンは、1つの実施形態によれば、デジタルデータとして表現され、記憶される。デジタルデータは、例えば、CADモデルからでのものあっても、スキャニングされた部品からのものであってもよい。
【0014】
付加的製造設備の実施形態は例えば、例えば金属ワイヤを溶融させることによって金属材料を堆積させるための、レーザ系サブシステム、プラズマ系サブシステム、アーク系サブシステム、電子ビーム系サブシステム、又は電気抵抗系サブシステムのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。さらに、付加的製造設備の幾つかの実施形態は、例えば、母材上に3D部品を付加的製造で製造するために、消耗金属ワイヤを送給/搬送するためのワイヤ搬送又は送給システムを含んでいてもよい。また、付加的製造設備の幾つかの実施形態は、レーザビーム、プラズマビーム、電気アーク、電子ビーム、又は消耗金属ワイヤを、母材又は基板上に付加的製造で製造される3D部品に関して移動させるために、例えば運動制御要素(例えば、ロボット)又はその他のタイプの制御要素(例えば、光学制御要素)を含んでいてもよい。
【0015】
図1に関して、製造セル10は溶接製造セルであり、一般に、フレーム12と、フレームの中に配置されたロボット14と、同じくフレームの中に配置された第一及び第二の溶接テーブル、それぞれ16及び18と、を含む。製造セル10は、加工物(部品)22及び24を溶接するために有益である。
図1に示される実施形態において、フレーム12は複数の壁及びドアを含み、ロボットと溶接テーブル16及び18を取り囲む。平面図で実質的に長方形の形状が示されているが、フレーム12及びセル10は、様々な形状をとることができる。
【0016】
正面アクセスドア26は、フレーム12に備え付けられて、フレーム内部へのアクセスを提供する。正面アクセスドア26は二つ折りの形状をとることができ、この場合、ドアは2つのヒンジセット、すなわち、ドア26をフレーム12に取り付ける第一のヒンジセットと、ドアの1つのパネルを他のパネルに取り付ける第二のヒンジセットを含む。それにかかわらず、正面アクセスドア26は、スライドドア又はスイングドア等、その他の形状をとることもできる。同様に、後方アクセスドア28もまたフレーム12に備え付けられる。図の実施形態における後方アクセスドア28も二つ折りの形状をとることができるが、後方アクセスドアは、正面アクセスドア26に関して述べたもののような他の形状をとることができる。窓32は、何れのドアにも提供できる(図では正面ドア26のみ)。窓は、例えば着色安全スクリーンを含むことができる。
【0017】
コントロールパネル40は、フレーム12の正面ドア26の付近に提供される。コントロールパネル40に提供された調節ノブ及び/又はスイッチは、同じくフレーム12に備え付けられたコントロールエンクロージャ42の中に格納された制御手段と通信する。コントロールパネル40上の制御手段は、既知の製造セルで使用される制御手段と同様の方法で、製造セル10内で行われる動作を制御するために使用できる。
【0018】
1つの実施形態において、ロボット14は、支持体上に備え付けられた台の上に備え付けられる。図の実施形態のロボット14は、溶接テーブル16及び18に関して中央にあり、複数の移動軸を含む。希望に応じて、台はタレットと同様に、支持体に関して回転可能である。したがって、ある種の駆動機構、例えばモータ及びトランスミッション(図示せず)を台及び/又は支持体の中に格納して、ロボット14を回転させることができる。
【0019】
1つの実施形態において、溶接ガン60がロボット14のアームの先端部に取り付けられる。溶接ガン60は、当業界で知られているものと同様とすることができる。柔軟なチューブ又は管路62が溶接ガン60に取り付けられる。消耗溶接電極ワイヤ64は、容器66の中に保管しておくことができ、管路62を通って溶接ガン60へと搬送される。ワイヤフィーダ68はフレーム12に備え付けられ、溶接ガン60への消耗溶接ワイヤ64の搬送を容易にする。ロボット14はフレーム12の基部又は下側部分に備え付けられているように示されているが、希望に応じて、ロボット14はフレームの上部構造に取り付けて、製造セル10の中へと吊り下げられるようにすることもできる。1つの実施形態において、溶接作業用の電源72は、フレーム12に接続されてその一部とすることのできるプラットフォーム74に取り付けられ、その上に載る。
【0020】
図1の実施形態において、センサ61は、ロボット14のアームの、ロボット14の関節付近に備え付けられる。例えば、1つの実施形態によれば、センサ61は、ロボット14の関節(構成要素)における振動を検出するように構成された振動センサである。他の実施形態において、センサ61は、製造セル10内の別の箇所に備え付けられた異なる種類のセンサであってもよい。例えば、センサ61は、構成要素の摩耗を検出するカメラ、構成要素の中の空気の流れもしくはガスの流れを検出するフローセンサ、オペレータが構成要素に対して保全/交換を行った時間を入力することのできるユーザイタフェース、構成要素の動作時間を追跡するカウンタ(タイムセンサ)、構成要素から出る音を検出する音センサ、又は構成要素の電流及び電圧を検出する電流センサもしくは電圧センサ(例えば、電気ケーブルの場合、検出された電流と電圧は、例えばその電気ケーブルの抵抗及び/又はインダクタンスの計算に使用されてもよい)。他の実施形態によれば、製造セル全体を通じて複数のセンサを利用し、構成要素に関連するパラメータを検出することができる。このような検出は、幾つかの実施形態によれば、溶接中及び/又は溶接後に行うことができる。幾つかの実施形態によれば、センサフュージョン又はデータフュージョン方式を利用して、2つ又はそれ以上のセンサからデータを組み合わせて、構成要素に関連するセルデータを生成してもよい。
【0021】
さらに、1つの実施形態において、フィードバック機構(例えば、ユーザインタフェース)は、オペレータが交換可能な構成要素の状態を容易に提供できるようにするために提供され、これは構成要素の状態に関するオペレータの入力を収集する方法を提供する。システムは、オペレータの入力を(セルデータとして)施設拠点から受け取り、例えば機械学習を使って、構成要素に交換又は修理がいつ必要になるかを予知するようにモデルを訓練するために使用するように構成される。
【0022】
図1において、他のセンサ63が加工物22の付近に備え付けられて、加工物22上で行われる溶接の品質パラメータの品質を観察する。1つの実施形態によれば、センサ63は、加工物22上で行われる溶接を観察するように構成される。例えば、センサ63は、可視スペクトルセンサ(例えば、カメラ)、X線センサ、レーザセンサ、電磁センサ、赤外線センサ、温度センサ、分光計センサ、又は超音波センサであってもよい。品質パラメータは、例えば加工物/部品22上の溶接位置、溶接ビードの大きさ、溶接溶込み、溶接の融着、溶接の気孔、溶接の割れ、溶接の巻き込み、溶接の不連続性、アークプラズマの種類、又はアークプラズマの温度に関していてもよい。このような検出は、幾つかの実施形態によれば、溶接中及び/又は溶接後に行うことができる。幾つかの実施形態によれば、センサフュージョン又はデータフュージョン方式を利用して、2つ又はそれ以上のセンサからデータを組み合わせて、溶接に関連する溶接データを生成してもよい。
【0023】
セルコントローラ76は、製造セル10の溶接設備(ロボット14を含む)の様々な部分と通信し、これらを制御し、プラットフォーム74の上に載り、それに備え付けられる。例えば、セルコントローラ76は、1つの実施形態によれば、コントロールエンクロージャ42及び電源72と通信できる。セルコントローラ76はまた、外部中央コントローラと通信するように構成され、これについては本明細書中で後述する。代替的な実施形態において、ロボット14は製造セル10の一部ではない。その代わりに、製造セルは半自動製造セルであり、これはワイヤを人間の使用者が握り、操作する溶接ガンへと送給して、加工物/部品上に溶接を生成する。1つの実施形態において、セルコントローラと、例えば溶接電源コントローラは、相互に通信してもよい(保全がいつ必要かを予知するために使用できるデータを交換する)。その結果、機械学習をより幅広い機械群へと提供できる。セルコントローラは、製造セルの多くの異なる層値(ロボット、電源、ツーリング、センサ、その他)からデータを集め、サービスをまとめて行うことができる。
【0024】
図2は、予知及び予防保全を支援し、通信ネットワーク230を介して中央コントローラ220と通信する、製造環境内の複数の製造セル210を有するシステム200の1つの実施形態を示す。例えば、製造セル210の各々は、
図1の製造セル10と同様であってもよく、溶接設備を支持し、セルコントローラ(例えば、
図1のセルコントローラ76と同様)を有する。他の実施形態において、製造セル210は、切削設備又は付加的製造設備を支持するように構成されてもよい。
図2の実施形態において、通信ネットワーク230を介した製造セル210と中央コントローラ220との間の通信は、有線通信(例えば、銅線又は光ファイバ)を介して実現される。1つの実施形態において、製造セル210はロボット製造セルである。他の実施形態において、製造セル210は半自動製造セルであり、消耗ワイヤを人間の使用者が握り、操作する溶接ガンへと送給して、加工物/部品上に溶接を生成する。
【0025】
同様に、
図3は、予知及び予防保全を支援し、無線通信ネットワーク330を介して中央コントローラ320と無線通信する、製造環境内の複数の製造セル310を有するシステム300の1つの実施形態を示す。システム300はまた、携帯機器340(例えば、保全担当者又は管理者のスマートフォン)も含み、これは無線通信ネットワーク330を介して中央コントローラ320と無線通信して、例えば、ある構成要素をいつ修理又は交換すべきかを示すメッセージを、無線通信ネットワーク330を介して受け取るように構成される。有線及び無線通信の組合せを有するシステムの実施形態もまた可能である。1つの実施形態において、製造セル310はロボット製造セルである。他の実施形態において、製造セル310は半自動製造セルであり、これは消耗ワイヤを人間の使用者が握り、操作する溶接ガンへと送給して、加工物/部品上に溶接を生成する。
【0026】
再び
図2と、
図3を参照すると、1つの実施形態によれば、各製造セル210(又は310)はセルコントローラ(例えば、
図1のセルコントローラ76と同様)を含む。各セルコントローラと同様と中央コントローラ220(又は320)は、
図12のコントローラ1200(本明細書で後述する)と1つ又は複数の特長を共有してもよい。通信ネットワーク230(又は330)は、例えば、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、インターネット、又はその何れかの組合せとして構成されてもよく、様々な実施形態によれば、例えばサーバコンピュータ、ネットワークストレージデバイス、無線ルータ、モデム、又はそれらの何れかの組合せを含んでいてもよい。各製造セル210(又は310)のセルコントローラは、通信ネットワーク230(又は330)を介して中央コントローラ220(又は320)と通信するように構成される。
【0027】
1つの単純な(最低限の)実施形態において、通信ネットワーク230は、例えば、中央コントローラ220及び製造セル210におけるデジタル通信回路間に接続されるデジタル通信ケーブル(例えば、銅線又は光ファイバ)として構成されてもよい。デジタル通信回路は、デジタル通信ケーブル上で中央コントローラ220と製造セル210との間でデジタルデータを送受信するように構成される。また、単純な(最低限の)実施形態において、無線通信ネットワーク330は、例えば、中央コントローラ320と製造セル310における無線通信デジタル回路に接続される無線アンテナとして構成されてもよい。無線デジタル通信回路は、アンテナを介して中央コントローラ320と製造セル310との間でデジタルデータで符号化された無線信号を送受信するように構成される。
【0028】
したがって、各種の実施形態によれば、通信ネットワーク230(及び330)は、中央コントローラ220(及び320)と製造セル210(及び310)から離れて、及び/又は中央コントローラ220(及び320)と製造セル210(及び310)に配置された要素を有していてもよい。
【0029】
製造セルのセルコントローラ(例えば、
図1のセルコントローラ76)は、製造セルのための通信ハブとして機能し、例えばその製造のためのセルデータのすべてを収集し、保全項目をまとめてバッチサービスとすることができる。システム全体はまた、保全に関する電子メール又はテキストを送信する他、何の保全が必要であるかのメモを送り、保全担当者が製造セルの構成要素の修理にとって適当な資材を持っていくことができるようにしてもよい。1つの実施形態において、資材は、例えば「セル919ではこれらの構成要素の交換が3日以内に必要」等と書かれたメモにより注文し、搬送することができる。
【0030】
中央コントローラ220(又は320)は、経時的に製造環境全体の製造セル210(又は310)からセルデータを収集し、セルデータは製造セル210(又は310)の構成要素の動作、パフォーマンス、及び/又は修理に関する。そのセルデータが収集される各構成要素タイプ(例えば、ガスノズル)に関していて、その構成要素タイプに関する集合セルデータセットが生成される。中央コントローラ220(又は320)は、集合セルデータセットを分析して(例えば、それについて訓練して)、その構成要素タイプの今後の保全に関する予知モデル(PM)を生成する。中央コントローラにより生成された予知モデルは、1つの実施形態によれば、メモリに記憶され、プロセッサにより実行されることが可能である。予知モデルは、経時的に、例えば追加のセルデータが収集されたときに、中央コントローラによって更新されてもよい。集合セルデータセットは経時的に更新されて、特定のセルデータを廃棄し(例えば、より古いセルデータを廃棄し)、特定のセルデータを追加し(例えば、より新しいセルデータを追加し)、又は特定のセルデータに重み付けする(例えば、より新しいセルデータついて、より古いセルデータより強く重み付けする)。再び、予知モデルは、複数の製造セルから、製造環境全体にわたって収集されたセルデータから形成される集合セルデータセットに基づいて生成される。
【0031】
図4は、ある構成要素タイプ(例えば、コンタクトチップ)に関する予知モデル400を製造セル210に通信する中央コントローラ220の1つの実施形態を示す。1つの実施形態によれば、製造セルのセルコントローラは、入力データ(その製造セル210のその構成要素タイプのその構成要素に固有である)を予知モデル400に供給し、予知モデル400を実行して、その製造セル210のその構成要素(例えば、ガスノズル)をいつ修理又は交換するかを特定するように構成される。中央コントローラ220は同様に、予知モデル400を製造環境内の製造セルの各々に通信することができ、それによって各製造セルの各セルコントローラは、予知モデル400を同様にして実行できる。製造セル内の異なる構成要素タイプごとに異なる予知モデルが中央コントローラにより生成可能である。
【0032】
代替的に、
図5は、保全スケジュール(MS)500を製造セル210に通信する中央コントローラ220の1つの実施形態を示す。中央コントローラ220は、入力データ(その製造セル210のその構成要素タイプのその構成要素に固有である)を予知モデル400に供給し、予知モデル400を実行して、その製造セル210のその構成要素(例えば、ガスノズル)をいつ修理又は交換するかを特定し、それに対応する保全スケジュール500を生成するように構成される。
図5に示されるように、保全スケジュール500は、その製造セル210のセルコントローラに報告され、それによってセルコントローラは、その製造セル210に関して、その構成要素がいつ修理又は交換される予定かを知る。中央コントローラ220は同様に、異なる保全スケジュールを生成し、製造環境内の製造セルの各々にそれを通信することができ、それによって、各製造セルの各セルコントローラは、その製造セル210について、その構成要素タイプがいつ修理又は交換される予定かを知る。製造セル内の異なる構成要素タイプごとに異なる予知モデル及び異なる保全スケジュールが中央コントローラにより生成可能である。
【0033】
図6A、6B、及び6Cは、3種類の予知モデルの実施形態を示す。第一の種類の予知モデル610はアルゴリズムである。第二の種類の予知モデル620は方程式である。第三の種類の予知モデル630は、例えばトレンドデータにより表されるトレンド(
図6Cではグラフで表される)である。他の実施形態によれば、他の種類の予知モデルもまた可能であってよい。1つの実施形態によれば、中央コントローラ220(又は320)は、機械学習技術で構成され、機械学習技術を使って、収集されたセルデータを分析し、予知モデルを生成する。
【0034】
各種の実施形態によれば、中央コントローラ220(又は320)により利用される機械学習は、例えば教師付き学習方式、教師なし学習方式、又は強化学習方式を含み、予知モデルを訓練又は生成してもよい。学習方式は、例えば線形回帰法、ロジスティック回帰法、決定木法、K近傍法、K平均法、進化的アルゴリズム法(例えば、遺伝的アルゴリズム法)、勾配ブースティング法、又はAdaBoost法のうちの1つ又は複数を含んでいてもよい。他の実施形態によれば、その他の学習方式も可能である。各種の実施形態によれば、中央コントローラ220(又は320)は、例えばサポートベクトルマシン、テンソルプロセシングユニット、人工神経網、ベイジアンネットワーク、又は学習分類子システムを利用して、学習方式の1つ又は複数をサポートしてもよい。
【0035】
ここで、本明細書では特定の予知モデルは開示又はクレームされていない点に留意されたい。中央コントローラ220(又は320)によって生成される何れの予知モデルについても、その詳細は、収集された特定のセルデータと、収集された特定のセルデータに対して実行される分類の特定の種類(例えば、利用されている機械学習の特定の種類)によって異なる。したがって、本明細書中では特定の予知モデルを開示しようとしておらず、またその必要もない。当業者であればわかるように、異なる製造環境内で実装される本発明の異なる実施形態では、異なる予知モデルが生成され、また、予知モデルは、新しいセルデータ及び/又は製造環境内のその他の可変条件に基づいて経時的に更新され、変更されることができる。
【0036】
図7は、製造環境の製造セル内の設備の構成要素の例示的な実施形態を示す。
図7に示される構成要素は、コンタクトチップ710、ガスノズル720、ワイヤ管路730、ワイヤライナ740、電気ケーブル750、ワイヤ駆動ロールアセンブリ760、ツール固定具又はクランプ770、エアフィルタ780、及びロボット関節790を含む。幾つかの構成要素は、特定のその他のタイプの構成要素より頻繁に修理及び/又は交換されるタイプのものである。構成要素のその他のタイプもまた可能である。当業者であれば、そのような構成要素が製造セルの中の溶接設備、切削設備、又は付加的製造設備の中でどのように使用されるかがわかるであろう。
【0037】
図8は、製造環境の製造セル内の設備の構成要素に関連するセンサ(例えば、
図1のセンサ61)の例示的な実施形態を示す。
図8に示されるセンサは、製造セル内の構成要素(例えば、
図7の構成要素)に関連付けられる。センサは、構成要素の動作、パフォーマンス、又は修理に関連付けられるパラメータを検出して、パラメータをそれぞれの製造セルのそれぞれのセルコントローラに、セルデータとして直接又は間接に(例えば、溶接電源のコントローラを介して間接に)報告するように構成される。各製造セルからのセルデータは、中央コントローラ(例えば、中央コントローラ220又は320)に通信されて、セルデータが構成要素タイプごとにまとめられ、構成要素タイプごとの予知モデルが生成される。このような検出は、各種の実施形態によれば、溶接中及び/又は溶接後に行うことができる。幾つかの実施形態によれば、センサフュージョン又はデータフュージョン方式を利用して、2つ又はそれ以上のセンサからのデータを組み合わせて、ある構成要素に関連するセルデータを生成してもよい。
【0038】
図8に示されるように、センサは構成要素(例えば、コンタクトチップ710)の摩耗を検出するための可視スペクトルセンサ又は赤外線スペクトルセンサ(例えば、カメラ810)であってもよい。センサは、構成要素(例えば、ガスノズル720)の中又は周囲を流れる空気の流れ又はガスの流れを検出するためのフローセンサ820であってもよい。センサは、オペレータが、例えば動作及び/又は保全情報(例えば、構成要素(例えば、エアフィルタ780)の修理又は交換が行われた時間)を入力できるようにするユーザインタフェース830であってもよい。センサは、構成要素(例えば、ロボット関節790)の動作時間を追跡するためのカウンタ(タイムセンサ)840であってもよい。センサは、構成要素(例えば、ワイヤ駆動ロールアセンブリ760)から出る音を検出するための音センサ(例えば、マイクロフォン)850であってもよい。センサは、構成要素(例えば、ツール固定具又はクランプ770)が受ける、又はそれによって生成される振動の大きさ及び/又は周波数を検出するための振動センサ860であってもよい。センサは、構成要素(例えば、電気ケーブル750)を通る、又はそれによって生成される電流を検出するための電流センサ870であってもよい。センサは、構成要素(例えば、電気ケーブル750)の、又はそれにより生成される電圧を検出するための電圧センサ880であってもよい。例えば、1つの実施形態によれば、検出された電流と電圧は、電気ケーブル(構成要素)の抵抗及び/又はインダクタンスを計算するために使用できる。他の実施形態によれば、構成要素の動作、パフォーマンス、又は修理に関連付けられるその他の種類のパラメータを検出するためのその他の種類のセンサも可能である。例えば、構成要素の故障又は劣化率を示すパラメータを生成するセンサもまた捕捉され、セルデータとして報告されてもよい。
【0039】
ある例として、複数の製造セルからセルデータとして収集された多様な可変値(例えば、ワイヤの種類及びサイズ、ワイヤのパッケージングの種類、平均ワイヤ送給速度、及び使用されるライナの種類)をまとめて使用して、ライナの摩耗を予知し、故障する前にライナを交換するための、それに対応する保全スケジュールを決定することができる。また、経時的な、ロボットプログラムの溶接回数に基づくトーチワイヤフィーダのモータトルク及び異なる溶接でのトーチの捩れも、ワイヤフィーダのモータトルクに影響を与える。このような可変値とパラメータをモニタすることにより、オペレータに対し、予告されたタイミングでライナを交換するように注意喚起できる。
【0040】
他の例として、コンタクトチップの摩耗は、溶接作業の種類、溶接位置、ワイヤの種類と大きさ、平均アンペア数、ワイヤ送給速度、アークスタートの回数、及び溶接作業の持続時間(コンタクトチップの全体的温度)等の変数により影響を受ける。これらの相関する変数をセルデータとして使用し、具体的な使用のケースに基づいて、コンタクト寿命にわたる予知モデルと交換スケジュールを作成できる。すると、コンタクトチップの交換は、無駄(交換が早すぎること)を最小限にし、生産性を最大限にする(交換が遅すぎることによる故障を防止)ように計画できる。このような変数は、1つの実施形態によれば、ロボットプログラムによる溶接回数(異なる溶接で使用される異なる溶接データ)にしたがって追跡できる。
【0041】
別の例として、ガスノズルにスパッタがたまると、ガス流は変化し、それによってアークの特長が変化する(アークの劣化)。スパッタの堆積は、溶接作業の種類、溶接位置、ワイヤの種類と大きさ、シールドガス、ワイヤ送給速度、アークスタートの回数、及び溶接作業の持続時間により影響を受ける。予知交換スケジュールは、これらのパラメータを使って作成でき、これはガス流の制約が溶接欠陥の原因となる前にガスノズルを交換することによって溶接欠陥を回避するのに役立つ。このような変数は、1つの実施形態によれば、例えばトーチの捩れの影響を考慮して、ロボットプログラムによる溶接回数にしたがって追跡できる。
【0042】
汚れたエアフィルタに関するまた別の例として、動作データは、環境中の粒子の量に関連付けることのできる全体的な生産レベルに関する情報を提供できる。環境中の粒子の量は、必要なフィルタ交換の合間の期間を特定するために使用できる。例えば、これは電源用のフィルタとすることができ、又はこれはヒューム制御システム用のフィルタとすることができる。
【0043】
図9は、製造環境内の予知及び予防保全を支援する方法900の1つの実施形態のフローチャートを示す。方法900は、ブロック910で、製造環境内の複数の製造セルからセルデータを収集するステップ(例えば、中央コントローラ内にセルデータを収集するステップ)を含む。セルデータは、製造セルの各々の同じタイプの構成要素の動作、パフォーマンス、又は修理のうちの少なくとも1つに関していて、ある構成要素タイプ(例えば、ワイヤ駆動ロールアセンブリ)に関する集合セルデータセットを形成する。ブロック920で、集合セルデータセットが(例えば、機械学習法を適用する中央コントローラによって)分析されて、その構成要素タイプの今後の保全に関する予知モデルが生成される。
【0044】
ブロック930で、予知モデルは(例えば、中央コントローラから)複数の製造セルの各々に通信される。ブロック940で、予知モデルは製造セルの各々において(例えば、セルコントローラによって)実行され、それぞれの製造セルの各々の中のその構成要素タイプのその構成要素をいつ修理又は交換すべきかが特定される。
【0045】
ブロック930及び940の代わりに、ブロック950で、予知モデルが(例えば、中央コントローラによって)実行されて、それぞれの製造セルの各々の中のその構成要素タイプのその構成要素をいつ修理又は交換すべきかが特定される。すなわち、予知モデルは、各製造セルについて1回ずつ、複数回(例えば、中央コントローラによって)実行される。ブロック960で、各製造セルに対し、その構成要素タイプのそれぞれのその構成要素をいつ修理又は交換すべきかを示すレポートが(例えば、各製造セルのための保全スケジュールの形態で)送信される。
【0046】
したがって、システム構成に応じて、予知モデルは各製造セルによって(例えば、各製造セルのセルコントローラによって)実行されてもよく、又は予知モデルは製造セルの外部で(例えば、システムの中央コントローラによって)実行されてもよい。
【0047】
1つの実施形態によれば、フィードバック機構を製造セルに提供して、フィードバックデータを予知モデルを教えるのに役立てるためのセルデータとして提供できる。フィードバックデータ(例えば、良い、悪い、もしくは見苦しい、又はスライディングスケール)は、特定の構成要素が受ける損傷の量に基づいて提供できる。例えば、特定の構成要素がどれだけ悪いかについての0~5のスケールを提供するように構成された製造セルは、施設拠点全体を通じたその構成要素タイプについていつ保全が必要かを予知するようにシステムを訓練するために使用できる。それに加えて、フィードバック機構はまた、予知モデルに直接関係しない異常値イベントに関するデータを収集する能力も含むことができる(例えば、コンタクトチップを損傷し、交換を必要とするオペレータによるエラー、そのコンタクトチップの交換、及びそれに関連付けられるデータは、コンタクトチップの寿命を特定するための予知モデルの作成においては使用されないであろう)。
【0048】
図10は、製造環境内で保全を遅延できるようにする方法1000の1つの実施形態のフローチャートを示す。方法1000は、ブロック1010で、製造環境全体の複数の製造セルの各々から溶接データを収集して、複数の製造セルに関する集合溶接データセットを形成するステップ(例えば、中央コントローラの中に溶接データを収集するステップ)を含む。溶接データは、製造セルの各々の中で製造されている同じ種類の部品について、製造セルの溶接設備により生成される溶接シーケンスに関する。例えば、溶接データはセンサにより捕捉されるデータを含んでいてもよく、これは加工物/部品上の溶接位置、溶接ビードの大きさ、溶接の溶込み、溶接の融着、溶接の気孔、溶接の割れ、溶接の巻き込み、溶接の不連続性、アークプラズマの種類、又はアークプラズマの温度に関する。他の実施形態によれば、その他の種類の溶接データも可能である。
【0049】
ブロック1020で、集合溶接データセットが分析されて、溶接シーケンスの中の、例えば溶接設備の劣化した構成要素により(すなわち、保全を必要とする構成要素による)劣化しているすべての溶接が特定される。例えば、1つの実施形態によれば、中央コントローラ(例えば、中央コントローラ220又は320)はあるモデル(例えば、機械学習法を通じて、以前に生成されたモデル)を集合溶接データセットに適用して、溶接シーケンスのうち、劣化しているすべての溶接を特定する。他の実施形態によれば、その他の種類の分析も可能である。溶接設備の劣化構成要素は、例えばコンタクトチップ、ガスノズル、ワイヤ管路、ワイヤライナ、電気ケーブル、ワイヤ駆動ロール、ツール固定具、ツールクランプ、エアフィルタ、又はロボット関節を含んでいてもよい。他の実施形態によれば、その他の種類の劣化構成要素も可能である。
【0050】
多くの例において、溶接の劣化は、構成要素が劣化し、したがって保全を必要としていることによるものである(例えば、不良なプロセスによる場合とは異なる)と仮定してもよく、これは、複数の製造セル全体からの溶接データが収集され、分析されるからである。例えば、溶接が製造セルのほとんどで良好な品質であるが、製造セルのうちの1つ又は2、3ではその品質が劣化している場合、プロセス(これは、同じ種類の部品に関して、複数の製造セル全体で使用されている同プロセスである)は溶接劣化の原因ではないと仮定されてもよい。しかしながら、溶接劣化が製造セルのすべて(又はほぼすべて)に見られる場合、これは、プロセスが実際に不良であるかもしれない(又は、何らかの形で不良となったかもしれない)ことを示しているかもしれない。
【0051】
ブロック1030で、更新済みの溶接パラメータセットが(例えば、中央コントローラ220又は320により)生成され、これは、劣化したと判断され、特定された溶接の生成に関連付けられる。更新済みの溶接パラメータの意図は、特定された溶接の劣化に対抗することである。1つの実施形態によれば、中央コントローラは、溶接の劣化の性質(例えば、加工物/部品上の溶接位置が不適正、溶接ビードの大きさが許容できない、溶接の溶込みが不適切、溶接の融着が不適切、溶接の気泡、溶接の割れ、溶接の巻き込み、溶接の不連続性、アークプラズマの種類が望ましくない、又はアークプラズマの温度が低い)に基づいて、更新済みの溶接パラメータセットを生成するように構成される。更新済みの溶接パラメータセットは、例えば溶接電圧、溶接電流、アーク移動速度、ワイヤ送給速度、ワイヤ電極突出し距離、及び溶接波形を含んでいてもよい。他の実施形態によれば、その他の溶接パラメータも可能である。
【0052】
ブロック1040で、更新済みの溶接パラメータセットは適当な製造セルに通信される(例えば、通信ネットワーク230又は330上で、中央コントローラ220又は320から適当な製造セル210又は310のセルコントローラに通信される)。更新済みの溶接パラメータセットを受け取る製造セルの溶接設備には、(例えば、適当な製造セルのセルコントローラによって、)特定された溶接の劣化に対抗するために、更新済みの溶接パラメータセットを使用するように命令される。その結果、その更新済みの溶接パラメータセットが溶接の劣化を排除すると仮定して、溶接設備の1つ又は複数の構成要素に対して実行しなければならない保全を遅延させることができる。
【0053】
ブロック1050で、劣化した溶接の識別情報が適当な製造セルに通信される。例えば、劣化した溶接の識別情報は、通信ネットワーク230又は330上で、中央コントローラ220又は320によって適当な製造セル210又は310のセルコントローラに通信される。1つの実施形態によれば、複数の製造セルはロボット製造セルである。他の実施形態によれば、複数の製造セルは半自動製造セルであり、これはワイヤを、人間の使用者が握り、操作する溶接ガンへと送給して、加工物/部品上に溶接を生成する。
【0054】
ブロック1060で、製造セルのロボットに対し、劣化した溶接に向かうように命令される(例えば、製造セルのセルコントローラによって命令される)。代替的に、又は追加的に、劣化した溶接の位置がオペレータに対してグラフィクスにより表示されることが命令される。例えば、製造セルのセルコントローラは、劣化した溶接の位置が製造セルの表示装置上でグラフィクスにより表示されることを命令するように構成される。また、1つの実施形態によれば、製造セルの溶接シーケンサの動作は、劣化溶接に対応する溶接シーケンスのステップに戻り、そのステップに関連付けられる作業指示をオペレータに対して表示することができる。
【0055】
図11は、製造環境の製造セル内で部品を製造するために行われる溶接シーケンスの溶接に関連付けられるセンサ(例えば、
図1のセンサ63)の例示的な実施形態を示す。
図8の種類のセンサは、溶接シーケンスの溶接を生成することに関連付けられる品質パラメータを検出し、(すなわち、センサは部品上で行われる溶接を観察するように構成される)、その品質パラメータを、それぞれの製造セルのそれぞれのセルコントローラに溶接データとして直接又は間接に報告するように構成される。品質パラメータは、劣化溶接(例えば、溶接溶込み不良)を指し示すものとすることができる。
【0056】
例えば、溶接の品質パラメータを検出するためのセンサは、可視スペクトルセンサ(例えば、カメラ)1110、X線センサ1120、レーザセンサ1130、電磁センサ1140、赤外線センサ1150、温度センサ1160、分光計センサ1170、又は超音波センサ1180であってもよい。他の実施形態によれば、他の種類のセンサも可能である。品質パラメータは、例えば加工物/部品上の溶接位置、溶接ビードの大きさ、溶接溶込み、溶接の融着、溶接の気孔、溶接の割れ、溶接の巻き込み、溶接の不連続性、アークプラズマの種類、又はアークプラズマの温度に関していてもよい。他の実施形態によれば、他の品質パラメータも可能である。このような検出は、各種の実施形態によれば、溶接中及び/又は溶接後に行うことができる。幾つかの実施形態によれば、センサフュージョン又はデータフュージョン法を利用して、2つ又はそれ以上のセンサからのテータを組み合わせて、溶接に関連付けられる溶接データを生成してもよい。
【0057】
図12は、コントローラ1200(例えば、本明細書に記載されているシステムで使用される中央コントローラ220もしくは320又はセルコントローラ76)の例示的な実施形態を示す。コントローラ1200は、バスサブシステム1212を介して多数の周辺機器と通信する少なくとも1つのプロセッサ1214を含む。これらの周辺機器は、例えばメモリサブシステム1228及びファイルストレージサブシステム1226を含むストレージサブシステム1224、ユーザインタフェース入力デバイス1222、ユーザインタフェース出力デバイス1220、及びネットワークインタフェースサブシステム1216が含まれる。入力及び出力デバイスにより、コントローラ1200とのユーザインタラクションが可能となる。ネットワークインタフェースサブシステム1216は、外部ネットワークとのインタフェースを提供し、他のコンピュータシステム内の、それに対応するインタフェースデバイスに連結される。例えば、製造セル10のセルコントローラ76は、コントローラ1200と1つ又は複数の特長を共有していてもよく、例えば、従来のコンピュータ、デジタルシグナルプロセッサ、及び/又はその他のコンピューティングデバイスであってもよい。
【0058】
ユーザインタフェース入力デバイス1222は、キーボード、マウス、トラックボール、タッチパッドもしくはグラフィクスタブレット等のポインティングデバイス、ディスプレイに組み込まれたタッチスクリーン、音声認識システム、マイクロフォン等の音声入力デバイス、及び/又はその他の種類の入力デバイスを含んでいてもよい。一般に、「入力デバイス」という用語の使用は、情報をコントローラ1200の中に、又は通信ネットワーク上に入力するための、考えられるあらゆる種類のデバイス及び方法を含むものとする。
【0059】
ユーザインタフェース出力デバイス1220は、表示サブシステム、プリンタ、ファックスマシン、又は音声出力デバイス等の非視覚的ディスプレイを含んでいてもよい。表示サブシステムは、陰極管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)等のフラットパネルデバイス、投射デバイス、又は可視像を生成するための他の幾つかの機構を含んでいてもよい。表示サブシステムはまた、例えば音声出力デバイスを介して非視覚的表示を提供してもよい。一般に、「出力デバイス」という用語の使用は、コントローラ1200からの情報を使用者又は他のマシンもしくはコンピュータシステムに出力する、考えられるあらゆる種類のデバイス及び方法を含むものとする。
【0060】
ストレージサブシステム1224は、本明細書に記載されている機能の幾つか又は全部を(例えば、ソフトウェアモジュールとして)提供又はサポートするプログラミング及びデータ構成を記憶する。例えば、ストレージサブシステム1224は、機械学習ソフトウェアモジュールを含んでいてもよく、これは中央コントローラの中で、製造セル内の設備の構成要素の予知及び予防保全を支援するための予知モデルを生成するために使用される。
【0061】
ソフトウェアモジュールは一般に、プロセッサ1214によって単独で、又は他のプロセッサとの組合せで実行される。ストレージサブシステムで使用されるメモリ1228は、プログラム実行中に命令及びデータを記憶するための主要なランダムアクセスメモリ(RAM)1230と、その中に確定された命令が記憶されるリードオンリメモリ(ROM)1232を含む多数のメモリを含むことができる。ファイルストレージサブシステム1226は、プログラム及びデータファイルのための固定記憶域を提供することができ、ハードディスクドライブ、フロッピディスクドライブとそれに関連するリムーバブルメディア、CD-ROMドライブ、光ドライブ、又はリーバブルメディアカートリッジとを含んでいてもよい。特定の実施形態の機能を実装するモジュールは、ストレージサブシステム1224の中のファイルストレージサブシステム1226によって、又はプロセッサ1214がアクセス可能な他のマシンの中に記憶されてもよい。
【0062】
バスサブシステム1212は、コントローラ1200の様々な構成要素とサブシステムが意図されたとおりに相互に通信できるようにするための機構を提供する。バスサブシステム1212は1つのバスとして図式的に示されているが、バスサブシステムの代替的な実施形態は複数のバスを使用してもよい。
【0063】
コントローラ1200は、ワークステーション、サーバ、コンピューティングクラスタ、ブレードサーバ、サーバファーム、又は他の何れかのデータ処理システムもしくはコンピューティングデバイスを含む様々な種類とすることができる。コンピューティングデバイス及びネットワークの常に変化する性質により、
図12に示されるコントローラ1200の説明は、幾つかの実施形態を例示することを目的とした特定の例であることが意図される。
図12に示されるコントローラより多くの、又は少ない構成要素を有する、コントローラ1200の他の多くの構成が可能である。
【0064】
開示された実施形態はかなり詳しく例示され、説明されているが、付属の特許請求の範囲の範囲をこのような詳細に制限し、又は何れかの方法で限定することは意図されていない。言うまでもなく、主旨の各種の態様を説明することを目的として構成要素や方法論の想定可能な組合せをくまなく述べることは不可能である。したがって、本開示は、図示され、説明された特定の詳細や例示のための例に限定されない。それゆえ、本開示は、米国特許法第101条の主旨の法的要件を満たす、付属の特許請求の範囲の範囲内に含まれる代替、改良、及び変更を包含することが意図される。特定の実施形態に関する上記の説明は、例として提供されている。提供された開示から、当業者であれば、全体的な本発明の概念及びそれに伴う利点を理解するだけでなく、開示された構造と方法に対する各種の明らかな変更及び改良に気付くであろう。したがって、付属の特許請求の範囲によって定義される全体的な本発明による概念の主旨と範囲及びその等価物に含まれる変更及び改良のすべてをカバーすることが求められる。
【符号の説明】
【0065】
10 製造セル
14 ロボット
22 加工物(部品)
40 コントロールパネル
60 溶接ガン
61 センサ
63 センサ
64 消耗溶接電極ワイヤ
76 セルコントローラ
200 予知及び予防保全を支援するシステム
210 製造セル
220 中央コントローラ
230 通信ネットワーク
300 予知及び予防保全を支援するシステム
310 製造セル
320 中央コントローラ
330 無線通信ネットワーク
340 携帯機器
400 予知モデル
500 保全スケジュール
610 予知モデル
620 予知モデル
630 予知モデル
710 コンタクトチップ
720 ガスノズル
730 ワイヤ管路
740 ワイヤライナ
750 電気ケーブル
760 ワイヤ駆動ロールアセンブリ
770 ツール固定部又はクランプ
780 エアフィルタ
790 ロボット関節
1200 コントローラ
1212 バスサブシステム
1214 プロセッサ
1216 ネットワークインターフェースサブシステム
1220 ユーザインタフェース出力デバイス
1222 ユーザインタフェース入力デバイス
1224 ストレージサブシステム
1226 ファイルストレージサブシステム
1228 メモリサブシステム