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特許7522832縦型電界効果トランジスタおよびその形成のための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-17
(45)【発行日】2024-07-25
(54)【発明の名称】縦型電界効果トランジスタおよびその形成のための方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20240718BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
H01L29/78 652E
H01L29/78 652F
H01L29/78 652J
H01L29/78 652K
H01L29/78 652S
H01L29/78 653A
H01L29/78 658G
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022525733
(86)(22)【出願日】2020-09-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-11
(86)【国際出願番号】 EP2020076738
(87)【国際公開番号】W WO2021089230
(87)【国際公開日】2021-05-14
【審査請求日】2022-05-02
(31)【優先権主張番号】102019217081.1
(32)【優先日】2019-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100161908
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 依子
(72)【発明者】
【氏名】バリングハウス,イェンス
(72)【発明者】
【氏名】クレープス,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ショルテン,ディック
【審査官】上田 智志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/141472(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/147466(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0043468(US,A1)
【文献】特表2014-527302(JP,A)
【文献】特開2010-232627(JP,A)
【文献】特開2013-012647(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/78
H01L 21/336
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドリフト領域(204)と、
前記ドリフト領域(204)の上または上方の半導体フィン(230)と、
前記半導体フィン(230)の上または上方の接続領域(212)と、
前記半導体フィン(230)の少なくとも1つの側壁の隣に形成されているゲート電極(220)とを有し、
前記半導体フィン(230)が、前記ゲート電極(220)の横隣に配置されている第1の区間(208)内で、前記ドリフト領域(204)と接触する第2の区間(206)内および/または前記接続領域(212)と接触する第3の区間(210)内より小さな横方向の広がりを有する縦型電界効果トランジスタ(200,300,400,500,600において、
前記接続領域(212)が、前記第3の区間(210)内の前記半導体フィン(230)の横方向の広がりより大きな横方向の広がりを有する、
縦型電界効果トランジスタ(200,300,400,500,600)
【請求項2】
前記半導体フィン(230)が、少なくとも1つの直線状の側壁を有する、請求項1に記載の縦型電界効果トランジスタ(200,300,400,500,600)。
【請求項3】
前記半導体フィン(230)が、直線状の第1の側壁および前記第1の側壁に向かい合う直線状の第2の側壁を有する、請求項1または2に記載の縦型電界効果トランジスタ(200,300,400,500,600)。
【請求項4】
前記半導体フィン(230)が、前記第2の区間(206)内で、前記第1の区間(208)内の前記半導体フィン(230)および/または前記ドリフト領域(204)より大きな導電率を有する結合領域(402)を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の縦型電界効果トランジスタ(200,300,400,500,600)。
【請求項5】
前記結合領域(402)の横隣に形成されているシールド構造(404)をさらに有し、前記シールド構造(404)が、前記結合領域(402)とは違う導電型を有する、請求項に記載の縦型電界効果トランジスタ(200,300,400,500,600)。
【請求項6】
前記ゲート電極(220)と前記ドリフト領域(204)の間に配置されている絶縁層(223)をさらに有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の縦型電界効果トランジスタ(200,300,400,500,600)。
【請求項7】
前記ドリフト領域(204)および前記半導体フィン(230)が、窒化ガリウムもしくは炭化ケイ素を有するかまたは、窒化ガリウムもしくは炭化ケイ素から構成されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の縦型電界効果トランジスタ(200,300,400,500,600)。
【請求項8】
前記半導体フィン(230)が、2つ以上の相互に結合された半導体フィン(230)よりなるネットワークとして形成されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の縦型電界効果トランジスタ(200,300,400,500,600)。
【請求項9】
縦型電界効果トランジスタ(200,300,400,500,600)の形成のための方法(900)であって、
ドリフト領域(204)を形成するステップ(910)と、
前記ドリフト領域(204)の上または上方で半導体フィン(230)を形成するステップ(920)と、
前記半導体フィン(230)の上または上方で接続領域(212)を形成するステップ(930)と、
前記半導体フィン(230)の少なくとも1つの側壁の隣に形成されるゲート電極(220)を形成するステップ(940)とを有し、
前記半導体フィン(230)が、前記ゲート電極(220)の横隣に配置されている第1の区間(208)内では、前記ドリフト領域(204)と接触する第2の区間(206)内および/または前記接続領域(212)と接触する第3の区間(210)内より小さな横方向の広がりを有するよう形成され、
前記接続領域(212)が、前記第3の区間(210)内の前記半導体フィン(230)の横方向の広がりより大きな横方向の広がりを有するよう形成される、
方法(900)。
【請求項10】
前記半導体フィン(230)の前記より小さな横方向の広がりが、エッチング停止マスクおよび異方性エッチングを使用して形成され、前記エッチング停止マスクが、前記半導体フィン(230)の上または上方で形成される、請求項9に記載の方法(900)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は縦型電界効果トランジスタおよびその形成のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車分野において、エレクトロモビリティへと進んでいく開発により、高速で損失なくスイッチングするパワー半導体のための解決策が求められている。これと同時の横型部品から縦型部品への傾向と、数十年前から確立されているシリコン技術の、いわゆる「ワイドバンドギャップ」材料、つまりワイドバンドギャップ半導体材料、例えば炭化ケイ素(SiC)または窒化ガリウム(GaN)への傾向とが、新規の部品コンセプトおよび製造プロセスの開発をもたらした。
【0003】
ワイドバンドギャップ半導体の適用には、いわゆるパワーFinFET(Fin=フィン、FET=電界効果トランジスタ)の使用が有利であり得る。従来のMOSFETまたはMISFETでは、アクティブスイッチング可能なコンポーネントは、反転チャネルによって、例えばゲート電圧の印加により電子経路が形成されるnpn接合内のp型領域によって提供される。これに対しパワーFinFETでは、スイッチング可能なコンポーネントが薄い半導体フィンからなり、半導体フィンはその幾何形状およびゲートメタライゼーションの適切な選択によりスイッチング可能である。パワーFinFETのチャネル抵抗は、SiCまたはGaNをベースとする従来のMOSFETまたはMISFETの場合よりはるかに低い。これに基づき、部品全体のより低いオン抵抗が結果として生じる。
【0004】
パワーFinFETでは、半導体フィンの領域内のチャネル領域は、ゲート金属の高さに形成される。主にこの領域の幅がパワーFinFETの閾値電圧を決定するので、完全空乏化を保証するため、この領域の幅はある特定の値を下回るべきである。関連技術のパワーFinFET100の構造を図1に図解している。従来のパワーFinFET100は、基板102上で、n型ドーピングを有するドリフト領域104と、ドレイン電極106と、ソース電極108と、ゲート電極110と、半導体フィン112と、ゲート誘電体114と、絶縁部116とを有する。半導体フィン112は、n+型ドーピング118により、ソース電極108と接続されている。パワーFinFET100では、スイッチング可能なコンポーネントが薄い半導体フィン112からなり、半導体フィン112はその幾何形状およびゲートメタライゼーション110の適切な選択によりスイッチング可能である。半導体フィンの幅は、とりわけ半導体フィンに使用される半導体材料およびゲート金属の仕事関数に依存する。このように薄い半導体フィンは、パワートランジスタの大量生産において典型的に用いられているような従来のフォトリソグラフィの使用ではもう製造できない。これに加え、薄い半導体フィンは、電気抵抗の低い表面メタライゼーションとの電気接触を困難にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、改善された表面コンタクトを備えた縦型電界効果トランジスタを可能にする縦型電界効果トランジスタおよびその形成のための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本課題は、本発明の1つの態様に基づき、縦型電界効果トランジスタによって解決される。縦型電界効果トランジスタは、ドリフト領域と、ドリフト領域の上または上方の半導体フィンと、半導体フィンの上または上方の接続領域と、半導体フィンの少なくとも1つの側壁の隣に形成されているゲート電極とを有し、半導体フィンは、ゲート電極の横隣に配置されている第1の区間内で、ドリフト領域と接触する第2の区間内および/または接続領域と接触する第3の区間内より小さな横方向の広がりを有する。チャネル領域(第1の区間)の上および/または下のより幅広い領域は、半導体フィン上でのより大きな接触面積を、したがって半導体フィンの接触領域(半導体フィンの第2および/または第3の区間)の寄生的な電気接触抵抗の減少を可能にする。チャネル領域の上および/または下の領域内の拡張された半導体フィンは、表面コンタクト、例えばソース電極の接触抵抗の減少を可能にする。
【0007】
半導体フィンの代わりに、さらなる態様では半導体柱が形成され得る。
本課題は、本発明のさらなる態様に基づき、縦型電界効果トランジスタの形成のための方法によって解決される。方法は、ドリフト領域を形成するステップと、ドリフト領域の上または上方で半導体フィンを形成するステップと、半導体フィンの上または上方で接続領域を形成するステップと、半導体フィンの少なくとも1つの側壁の隣に形成されるゲート電極を形成するステップとを有し、半導体フィンは、ゲート電極の横隣に配置されている第1の区間内では、ドリフト領域と接触する第2の区間内および/または接続領域と接触する第3の区間内より小さな横方向の広がりで形成される。これは、縦型電界効果トランジスタを製造するために、ほかのコンセプトに比べて投資費用および運営費用に関して安価な工場設備を採用し得ることを可能にする。
【0008】
これらの態様の変形形態は従属請求項および明細書中で詳しく説明している。本発明の実施形態を図に示しており、以下により詳しく解説する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】関連技術の縦型電界効果トランジスタの概略図である。
図2】様々な実施形態に基づく縦型電界効果トランジスタの概略的な断面図である。
図3】様々な実施形態に基づく縦型電界効果トランジスタの概略的な断面図である。
図4】様々な実施形態に基づく縦型電界効果トランジスタの概略的な断面図である。
図5】様々な実施形態に基づく縦型電界効果トランジスタの概略的な断面図である。
図6】様々な実施形態に基づく縦型電界効果トランジスタの概略的な断面図である。
図7】様々な実施形態に基づく縦型電界効果トランジスタの製造のためのプロセスステップの概略図である。
図8図8Aは様々な実施形態に基づく半導体フィンを上から見た概略図である。図8Bは様々な実施形態に基づく半導体柱を上から見た概略図である。図8Cは様々な実施形態に基づく結合された半導体フィンよりなるネットワークを上から見た概略図である。
図9】様々な実施形態に基づく縦型電界効果トランジスタの形成のための方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の詳細な説明では、この説明の一部を成している添付の図面を参照し、これらの図面では、具体的な説明のために、本発明が行使され得る個々の例示的実施形態を示している。本発明の保護範囲から逸脱することなく、ほかの例示的実施形態を利用できること、および構造上または論理上の変更が行われ得ることは自明である。個別に別の記載がない限り、ここで説明される様々な例示的実施形態の特徴が相互に組み合わされ得ることは自明である。したがって以下の詳細な説明を制限の意味において解釈するべきではなく、本発明の保護範囲は添付の請求項によって定義されている。図では、それが理にかなっている限り、同一のまたは類似の要素に同一の符号を付している。
【0011】
図2は、様々な実施形態に基づく縦型電界効果トランジスタ200の概略的な断面図を示している。様々な実施形態において縦型電界効果トランジスタ200は、半導体基板202上のドリフト領域204と、ドリフト領域204の上または上方の接続領域212を備えた半導体フィン230(その長手方向が図平面に縦に延びている)と、第1のソース/ドレイン電極(例えばソース電極214)と、第2のソース/ドレイン電極(例えばドレイン電極216)とを有する。以下では例示的に、第1のソース/ドレイン電極がソース電極214であり、第2のソース/ドレイン電極がドレイン電極216であると仮定する。縦型電界効果トランジスタ200はさらに、半導体フィン230の少なくとも1つの側壁の横隣にゲート電極220を有し、ゲート電極220は、絶縁層222によってソース電極214から電気的に絶縁されている。ゲート誘電体218は、ゲート電極220と半導体フィン230の少なくとも1つの側壁との間に配置されている。
【0012】
半導体フィン230は、ゲート電極220の横隣に配置されている第1の区間208内で、ドリフト領域204と接触する第2の区間206内および/またはソース電極214と接触する第3の区間210内より小さな横方向の広がりを有するように形成されている。これは、基板表面での電流を通す接触面積を何倍も拡げることを可能にする。これにより、縦型電界効果トランジスタのための、明らかにより低くてより確実なオーミック接触領域が作製され得る。
【0013】
言い換えれば、半導体フィン230は第2の区間206および/または第3の区間210内で、第1の区間208に対して横方向に拡張されており、したがって減少した総抵抗を有する。第2の区間206および第3の区間210内での拡張は、同じ横方向の広がりで形成されてもよく、互いに異なる横方向の広がりで形成されてもよい。様々な実施形態において半導体フィン230は、第2の区間206内では第1の区間208内より大きな横方向の広がりを有するが、第3の区間210内では第1の区間208内より大きな横方向の広がりを有しない(図3を参照)。代替策として半導体フィン230は、第3の区間210内では第1の区間208内より大きな横方向の広がりを有するが、第2の区間206内では第1の区間208内より大きな横方向の広がりを有しない。代替策として半導体フィン230は、第2および第3の区間206、210内で第1の区間208内より大きな横方向の広がりを有する。半導体フィン230は、少なくとも1つの実質的に直線状の、つまり真っ直ぐの、または縦方向に平坦な側壁を有し得る。半導体フィン230は、例えば直線状の第1の側壁および第1の側壁に向かい合う直線状の第2の側壁を有する。第1および第2の側壁は互いに平行であり得る。
【0014】
図2は、様々な実施形態に基づく単一のFinFETセルの概略的な断面図を示す。一般的には、何百~何千ものこのようなセルが並列接続されており、この構造は、この三次元の平面において続いている。複数のセルを組み合わせることにより、2次元に広がるFinFETセルのアレイが生じる。縦型電界効果トランジスタは、パワー半導体部品であり得る。例として、半導体基板202は、GaN基板202またはSiC基板202であり得る。半導体基板202上で、弱いn型導電性の半導体ドリフト領域204、例えばGaNドリフト領域204またはSiCドリフト領域204が形成(例えば被覆)され得る。ドリフト領域204の上では、半導体フィン230の形態での、例えばGaNフィンまたはSiCフィンの形態でのn型導電性の半導体領域が形成され得る。接続領域212は、n型ドーピングされた(例えばn+型ドーピングされた)半導体材料を有し得るかまたはそれから構成され得る。
【0015】
トランジスタまたはスイッチとしての縦型電界効果トランジスタ200の機能のために、半導体フィン230は、第1の区間208内では、例えば示されている図平面内での横方向の広がりを約100nm~約200nmの範囲内で、および示されている図平面内での縦方向の広がりを約0.3μm~約3μmの範囲内で有する。
【0016】
ゲート電圧の印加なしでは、電界効果トランジスタ200は、半導体フィン230の下で、ドリフト領域204内の電子ガスが空乏化され得るので、自己遮断していることができる。ゲート電極220への正電圧の印加により、半導体フィン230のうちゲート電極220に隣接する領域内で電子が蓄積され得る。電子は、ソース電極214から半導体フィン230を通って半導体フィン230の底内へと流れることができ、かつそこからドリフト領域204内へ、さらにドリフト領域204および基板202を通ってドレイン電極216内に達し得る。
【0017】
様々な実施形態において接続領域212は、第3の区間210の上方で、(図平面の中への)深さ全体に形成されている。
様々な実施形態において、ゲート誘電体218、ドリフト領域204、および/または半導体フィン230は、ゲート誘電体218に対する界面が、丸められた角および/もしくは縁を有するかまたはできるだけ大きな曲率半径を有するように形成され得る。これは、電界ピークの低下を可能にする。
【0018】
様々な実施形態に基づく縦型電界効果トランジスタ300を示す、図3で図解されているように、様々な実施形態において接続領域212は、第3の区間210内の半導体フィン230の横方向の広がりより大きな横方向の広がりを有する。
【0019】
様々な実施形態に基づく縦型電界効果トランジスタ400を示す、図4で図解されているように、半導体フィン230は、第2の区間206内で、第1の区間208内の半導体フィン230および/またはドリフト領域204より大きな導電率を有する結合領域402を有し得る。
【0020】
図4で図解されているように、様々な実施形態において、結合領域402の横隣に形成されているシールド構造404が設けられてもよく、シールド構造404は、結合領域402とは違う導電型を有する。第2の区間内の結合領域402は、n型ドーピングされた(例えばn+型ドーピングされた)半導体材料を有し得るかまたはそれから構成され得る。シールド構造404は、例えばp型ドーピングされた半導体材料もしくは真性半導体材料を有するかまたはそれから構成されている。
【0021】
半導体フィン230は、第2の区間206内で、第1の区間208内より強くn型ドーピングされ得る。これは、より良い電流波及を可能にする。さらに、ゲート電極220の下でドリフト領域204内に配置されているシールド構造404が設けられ得る。これは、電界ピークに対してゲート誘電体218をシールドすることを可能にする。第2の区間206内で半導体フィン230がより高濃度のn型ドーピングを有することができる。その代わりに、より高濃度のn型ドーピングがシールド構造404の下縁まで形成されていてよい。p型ドーピングを有するシールド構造404は、ソース電極214と導電性に接続され得る。その代わりにまたはそれに加えて、様々な実施形態に基づく縦型電界効果トランジスタ500を示す図5で図解されているように、ゲート電極220とドリフト領域204の間のゲート誘電体218において縦に生じる電界ピークは、ドリフト領域204とゲート電極220の間の底内で、半導体フィン230の隣に配置されている第2の絶縁層223によって低下され得る。例えば、第2の絶縁層223はゲート誘電体218とドリフト領域204の間に配置され得る。これは、領域内のゲート誘電体218の破壊強度を高めること、したがって縦型電界効果トランジスタの耐電圧を高めることを可能にする。第2の絶縁層223は、ゲート誘電体218より大きな厚さを有し得る。
【0022】
様々な実施形態に基づく縦型電界効果トランジスタ600を示す図6で図解されているように、様々な実施形態において、半導体フィン230の少なくとも1つの側壁が反っているかまたは湾曲していることができる。
【0023】
多数の半導体フィン230が相並んで(図8Aを参照)配置され得る。半導体フィンの代わりに1つまたは複数の半導体柱240(図8Bを参照)が設けられ得る。その代わりに、2つ以上の相互に結合された半導体フィン230よりなるネットワークが設けられ得る(図8Cを参照)。
【0024】
図9は、様々な実施形態に基づく縦型電界効果トランジスタの形成のための方法900のフロー図を示している。この方法900は、ドリフト領域を形成するステップ910と、ドリフト領域の上または上方で半導体フィンを形成するステップ920と、半導体フィンの上または上方で接続領域を形成するステップ930と、半導体フィンの少なくとも1つの側壁の隣に形成されるゲート電極を形成するステップ940とを有する。半導体フィンは、ゲート電極の横隣に配置されている第1の区間内では、ドリフト領域と接触する第2の区間内および/または接続領域と接触する第3の区間内より小さな横方向の広がりで形成される。半導体フィンの横方向のより小さな広がりは、例えばエッチング停止マスクおよび異方性エッチングを使用して形成され得る。エッチング停止マスクは、半導体フィンの上または上方で形成され得る。
【0025】
その上で熱酸化物が形成され得ない半導体材料、例えば窒化ガリウム(GaN)、酸化ガリウム(GaOx)、窒化アルミニウム(AlN)、ダイヤモンドの場合、異方性エッチングプロセスが、半導体フィン230の図2で示された形状を実現する可能性を提供し得る。図7A~Fでは、GaNをベースとする縦型電界効果トランジスタの形成のための方法の一例についての概略的な断面図を示している。
【0026】
図7Aは、n+型ドーピングされた半導体材料(212)の提示を示しており、この半導体材料(212)は、エピタクシーまたは(イオン)注入により、ドリフト領域204および基板202の上または上方で提供される。平面的な半導体フィンが、n+型ドーピングされた半導体材料内で形成され、これにより接続領域212が構造化されて形成される。この構造化は、湿式化学エッチングまたは乾式エッチングによって形成され得る。窒化ガリウム、酸化ガリウム、および窒化アルミニウムには、例えば塩素含有プラズマ中での乾式エッチングが適用され得る。ダイヤモンドには、酸素含有プラズマ中での同等のエッチングが適用され得る。窒化ガリウムのための湿式化学エッチングプロセスは、例えば様々な濃度および温度の水酸化カリウム(KOH)または水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)中で可能である。
【0027】
図7Bは、半導体フィンを露出させるまたは形成するための、接続領域212の上または上方でのマスキングまたはマスク702の形成と、溝構造(トレンチ)の構造化または形成とを示す。マスキング材料として、窒化物化合物および/または酸化物化合物が使用され得る。
【0028】
図7Cは、半導体フィンの第1の区間を形成するための、例えばKOHまたはTMAHを使った異方性湿式エッチングを示す。
図7Dは、半導体フィンの上または上方での、さらなるマスキングまたはマスク704の形成を示す。
【0029】
図7Eは、半導体フィン230の拡張部または半導体フィンの第2の区間を形成するための、マスキングされた半導体フィンの周囲での、さらなる溝構造の形成を示す。
図7Fは、ゲート電極、ソース電極、およびドレイン電極ならびに絶縁部の形成を示す。
【0030】
説明したおよび図に示した実施形態は、例示的に選択されているだけである。異なる実施形態を全体的にまたは個々の特徴に関して相互に組み合わせることができる。1つの実施形態がさらなる実施形態の特徴によって補填されてもよい。さらに、説明したプロセスステップを繰り返すことができ、かつ説明した順番とは違う順番で実施することができる。とりわけ、本発明は提示した方法には制限されていない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図8A
図8B
図8C
図9