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特許7522836燃料タンクのためのバルブ機構を開放する方法
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  • 特許-燃料タンクのためのバルブ機構を開放する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-17
(45)【発行日】2024-07-25
(54)【発明の名称】燃料タンクのためのバルブ機構を開放する方法
(51)【国際特許分類】
   F17C 13/02 20060101AFI20240718BHJP
   F17C 13/12 20060101ALI20240718BHJP
   H01M 8/04858 20160101ALI20240718BHJP
   H01M 8/04746 20160101ALI20240718BHJP
   H01M 8/04694 20160101ALI20240718BHJP
   H01M 8/00 20160101ALI20240718BHJP
   H01M 8/0432 20160101ALI20240718BHJP
   H01M 8/0438 20160101ALI20240718BHJP
   B60L 50/70 20190101ALI20240718BHJP
   B60L 58/30 20190101ALI20240718BHJP
【FI】
F17C13/02 301Z
F17C13/12 301A
H01M8/04858
H01M8/04746
H01M8/04694
H01M8/00 Z
H01M8/0432
H01M8/0438
B60L50/70
B60L58/30
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022544100
(86)(22)【出願日】2020-12-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-30
(86)【国際出願番号】 EP2020087749
(87)【国際公開番号】W WO2021148220
(87)【国際公開日】2021-07-29
【審査請求日】2022-07-20
(31)【優先権主張番号】102020200679.2
(32)【優先日】2020-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】ケマー,ヘラーソン
【審査官】杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-190307(JP,A)
【文献】特開2015-069910(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02484885(EP,A1)
【文献】特許第5952150(JP,B2)
【文献】特開2013-230808(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 13/02
F17C 13/12
H01M 8/04858
H01M 8/04746
H01M 8/04694
H01M 8/00
H01M 8/0432
H01M 8/0438
B60L 50/70
B60L 58/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に燃料電池駆動式の車両で適用するための、パイロット弁(V)と少なくとも1つの別のバルブ(V)とを含む燃料タンクのためのバルブ機構を開放する方法において、
前記バルブ機構は、前記パイロット弁(V)が前記燃料タンクと直接的に接続され、かつ、前記パイロット弁(V)と前記少なくとも1つの別のバルブ(V)が高圧回路で互いに接続されており、前記少なくとも1つの別のバルブ(V)の開放制御の前に、前記パイロット弁(V)が開放されると、前記高圧回路の圧力が上昇し、前記高圧回路の圧力上昇により前記少なくとも1つの別のバルブ(V)の開弁のための必要なエネルギーが低下するように構成されていて、
前記少なくとも1つの別のバルブ(V)は前記高圧回路の圧力が前記少なくとも1つの別のバルブ(V)の開弁のための必要なエネルギーを低下させるように構成されており、
前記方法は次の各ステップを含み、
前記パイロット弁(V)の開放段階(P)で前記パイロット弁(V)を開放するために増幅器電圧(S)が印加(30)され、
前記パイロット弁(V)の前記開放段階(P)を終了させるために前記増幅器電圧(S)がターンオフ(32)され、
前記パイロット弁(V)のプルイン段階(P)で前記パイロット弁(V)を開放維持するためにプルイン電圧(S)が印加(34)され、
再制御段階(P)で前記パイロット弁(V)を開放維持するために、および前記少なくとも1つの別のバルブ(V)を開放および開放維持するために、前記プルイン電圧(S)が交互にターンオフおよびターンオン(36)され、それにより、前記パイロット弁(V)の開放維持のために必要な平均の開放維持エネルギーと、前記少なくとも1つの別のバルブ(V)の必要な平均の開放エネルギーおよび/または開放維持エネルギーとが提供される、方法。
【請求項2】
前記増幅器電圧(S)は前記プルイン電圧(S)よりも数値的に高く、前記増幅器電圧(S)は好ましくは12Vを超える値、特別に好ましくは65Vを超える値、特に少なくとも400Vの値を有することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記開放段階(P)は2msを超えて、好ましくは5msを超えて、特に10msを超えて持続することを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記プルイン電圧(S)は前記増幅器電圧(S)よりも低く、前記プルイン電圧(S)は好ましくは12Vまたはこれ以下の値を有することを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
再制御段階(P)での前記プルイン電圧(S)の交互のターンオフとターンオンは、平均で少なくとも2アンペアの開放電流および/または開放維持電流が調整されるように行われることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記再制御段階(P)での前記プルイン電圧(S)の交互のターンオフとターンオンの周波数および/または振幅が動作条件に依存して、特に背圧および/または温度に依存して、変更されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
特に請求項1から6のいずれか1項に記載の方法を実施するための、燃料電池駆動式の車両で適用するための燃料タンクのためのバルブ機構を開放するためのシステム(1)において、
パイロット弁(V)と、
少なくとも1つの別のバルブ(V)と、
前記パイロット弁(V)の開放のための増幅器電圧(S)を印加するための、ならびに前記パイロット弁(V)の開放維持および前記少なくとも1つの別のバルブ(V)の開放と開放維持のためのプルイン電圧(S)を印加するための、制御装置とを含み、前記制御装置は、前記パイロット弁(V)の開放維持のために、および前記少なくとも1つの別のバルブ(V)の開放と開放維持のために、必要な平均の開放維持エネルギーを前記プルイン電圧(S)の交互のターンオフとターンオンを通じて提供可能であるように構成されて前記システム(1)の内部に配置される、システム。
【請求項8】
前記パイロット弁(V)および/または前記少なくとも1つの別のバルブ(V)が自動閉止型のバルブの形態で、好ましくは電磁弁の形態で、構成されることを特徴とする、請求項7に記載のシステム(1)。
【請求項9】
変更可能な電圧を印加する適切な時点を決定するための測定値を検出するための検出ユニットが設けられることを特徴とする、請求項7または8に記載のシステム。
【請求項10】
前記検出ユニットにより検出された測定値をベースとして、変更可能な電圧を印加する適切な時点を決定するための処理ユニットが設けられることを特徴とする、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
請求項7から10のいずれか1項に記載のシステムを含んでいる自動車、特に、請求項7から10のいずれか1項に記載のシステムを含んでいる燃料電池駆動式の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立方法請求項の分野に属する方法、ならびに独立システム請求項の分野に属するシステムを前提とする。
【背景技術】
【0002】
水素ベースの燃料電池は水だけを排ガスとして排出し、迅速なタンク充填時間を可能にすることから、将来のモビリティコンセプトと目されている。燃料電池システムは、化学反応のために空気と水素を必要とする。このとき水素は気体の形態で、1つまたは複数のタンクの中に圧力のもとで貯蔵される。現時点で従来技術から知られている圧力容器は、圧力容器を閉止および開放するための多数のタンク弁をしばしば有していて、これらは通常は電磁弁の形態で構成されるとともに、たとえば12Vの開放電圧の印加を通じて開放することができる。開放時には、作動時にさしあたり高い圧力差に抗してバルブを開放しなくてはならず、このことは一時的に高いエネルギーを必要とする。こうした高い開放エネルギーは開放段階で1秒よりも短い時間のあいだ利用するだけでよく、残りの時間には、タンク弁の開放維持のために明らかに低い開放維持エネルギーしか消費されなくてよいとはいえ、必然的に電磁弁の磁気回路は、開放段階のときの条件にも備えて設計されていなければならない。このような電磁弁の磁気回路の過大設計は、特に、コストの理由とエネルギーの観点からして不都合である。このとき高い圧力差を克服するための磁気回路の相応の設計は、事故での火災発生のケースに備えた安全性関連の理由からも必要である。大半の圧力容器は温度制御型のリリーフ安全弁(いわゆるTPRD)を装備しているものの、このような弁は火災発生場所が離れていると場合により開放が遅れ、ないしは開放せず、そのため、温度上昇によって増大する圧力容器内部の圧力をタンク弁を通じて排出することが必要となる。しかしタンク内部の圧力増大は、磁気回路が十分な大きさに設計されていないと、圧力差を克服するのに必要なエネルギーを使うことができないために、タンク弁を開放できなくなることにつながり得る。
【発明の概要】
【0003】
本発明の対象物は、第1の態様においては独立方法請求項の構成要件を有する方法であり、第2の態様においては独立システム請求項の構成要件を有するシステムである。本発明のその他の構成要件と詳細事項は、それぞれの従属請求項、発明の詳細な説明、および図面から明らかとなる。このとき、本発明による方法との関連で記載されている構成要件や詳細事項は、当然ながら、本発明によるシステムとの関連でも適用され、その都度その逆も成り立つので、それぞれ個々の発明態様についての開示に関しては常に相互に参照がなされ、ないしは参照することができる。
【0004】
燃料タンクのためのバルブ機構を開放する本発明の方法の利点は、特に、燃料タンクのためのバルブ機構の本発明に基づく制御によって、複数のバルブの特別にエネルギー効率的な開放が可能になるという点に見ることができる。さらに、本発明による方法の適用は特定のバルブの特別な製作を必要とせず、したがって、統一化可能な製造によるコスト削減を実現する。さらに、本発明による方法の適用は安全性の向上を可能にし、それは、たとえば火災発生に基づいて圧力容器の内部と外部の間の圧力差が大きいときでさえ、タンク弁の確実な開放を依然として実行可能であることによる。
【0005】
燃料タンクのためのバルブ機構を開放する本発明の方法は、特に、乗用車やトラックなどの自動車で適用することができる。さらに、フォークリフト、クレーン、船舶、飛行物体など、これ以外の車両または移動手段での適用も同様に考えられる。定置のシステムでの適用も同じく考えられる。このとき、特に燃料電池駆動式の車両で適用するための、パイロット弁と少なくとも1つの別のバルブとを含む燃料タンクのためのバルブ機構を開放する本発明の方法は、パイロット弁の開放段階でパイロット弁を開放するために増幅器電圧が印加されるステップと、パイロット弁の開放段階を終了させるために増幅器電圧がターンオフされるステップと、パイロット弁のプルイン段階でパイロット弁を開放維持するためにプルイン電圧が印加されるステップと、再制御段階でパイロット弁を開放維持するために、および少なくとも1つの別のバルブを開放および開放維持するために、プルイン電圧が交互にターンオフおよびターンオンされるステップとを含んでおり、それにより、パイロット弁の開放維持のために必要な平均の開放維持エネルギーと、少なくとも1つの別のバルブの必要な平均の開放エネルギーおよび/または開放維持エネルギーとが提供される。
【0006】
ここでバルブ機構とは、本発明の枠内では、特に複数のバルブからなる互いに接続されたシステムであると理解することができる。さらにパイロット弁とは、圧力容器と直接的に接続されていてよいのが好ましい、圧力容器を閉止するために他のすべてのバルブより前に制御されるべき最初のバルブであると理解することができるのが好ましい。それに応じて別のバルブとは、圧力容器を閉止するためにパイロット弁の後で制御されるべきバルブであると理解することができる。このときパイロット弁は別のバルブと類似して設計されていてよく、好ましくは完全に同一の設計および/または装備となっていててよい。さらに、必要な平均の開放維持エネルギーとは、本発明の枠内では、パイロット弁および/または少なくとも1つの別のバルブが開放後に依然として開放された状態にとどまり得るように、特に特定のタイムスパンにわたって平均して印加されなくてはならないエネルギーであると理解することができる。プルイン段階から再制御段階への移行という観点からすると、パイロット弁のプルイン段階の終了前にプルイン電圧を、および同様に別のバルブの開放段階の終了前に増幅器電圧を、まずターンオフしておくことができ、その後で再制御段階が開始されて、プルイン電圧を交互にターンオフおよびターンオンすることができるのは当然である。しかしながら再制御段階をダイレクトに開始することも同様に考えられる。というのもプルイン電圧は、再制御段階ではもともとターンオフおよびターンオンされるからである。任意選択の最後の方法ステップで、具体的にたとえば再制御段階を終了するためにプルイン電圧のターンオフがさらに意図されていてよく、これはパイロット弁と少なくとも1つの別のバルブの同時の閉止を通じて行うことができるのが好ましい。さらに、少なくとも1つの別のバルブに加えて、再制御段階のときに少なくとも部分的に順次または同時に開放ないし開放維持することができる、複数の別のバルブが設けられていてもよいことは当然である。
【0007】
パイロット弁の迅速で効率的な開放という観点から、および、それと同時にエネルギー効率的な1つまたは複数の別のバルブの開放という観点から、本発明によると、増幅器電圧がプルイン電圧よりも数値的に高いことが意図されていてよいのが好ましく、増幅器電圧は好ましくは12Vを超える値、特別に好ましくは65Vを超える値、特に少なくとも400Vの値を有する。このとき増幅器電圧をたとえば電磁弁に印加することができ、5Aを超える、好ましくは7Aを超える、特に少なくとも10Aの開放電流が電磁弁のコイルに少なくとも一時的に流れようになっているのが好ましく、それによりスムーズな圧力補償が保証される。
【0008】
同様に、パイロット弁の迅速で効率的な開放という観点から、および、1つまたは複数の別のバルブの後続するエネルギー効率的な開放という観点から、開放段階が2msを超えて、好ましくは5msを超えて、特に10msを超えて持続することが意図されていてよいのが好ましい。
【0009】
さらに、タンク弁を開放するための特別にエネルギー効率的な動作の一環として、プルイン電圧が増幅器電圧よりも低いことが考えられ、プルイン電圧は好ましくは12Vまたはこれよりも低い値を有する。
【0010】
同様に、タンク弁を開放するための特別にエネルギー効率的な動作という観点から、再制御段階でのプルイン電圧の交互のターンオフとターンオンは、平均で少なくとも2Aの開放電流および/または開放維持電流が調整されるように行われることが意図されていてよい。
【0011】
さらに、特別に簡易かつフレキシブルに適合化可能な、燃料タンクのためのバルブ機構を開放する方法の一環として、開放維持段階でのプルイン電圧の交互のターンオフとターンオンの周波数および/または振幅が動作条件に依存して、特に背圧および/または温度に依存して、変更されることが考えられる。プルイン電圧のこのような変更は、特に、複数の別のバルブが用いられる実施形態で好ましい。
【0012】
さらに、燃料電池駆動式の車両で適用するための、燃料タンクのためのバルブ機構を開放するためのシステムも同じく本発明の対象物である。このとき本発明によるシステムは、パイロット弁と、少なくとも1つの別のバルブと、パイロット弁の開放のための増幅器電圧を印加するための、ならびにパイロット弁の開放維持および少なくとも1つの別のバルブの開放と開放維持のためのプルイン電圧を印加するための、制御装置とを含み、制御装置は、パイロット弁の開放維持のために、および少なくとも1つの別のバルブの開放と開放維持のために、必要な平均の開放維持エネルギーを、プルイン電圧の交互のターンオフとターンオンを通じて提供可能であるように構成されてシステムの内部に配置される。それに伴って本発明によるシステムは、本発明による方法に関してすでに詳細に説明したのと同じ利点を有する。さらに、特別にコンパクトで包括的な実施形態の一環として、このシステムは、少なくとも1つの燃料タンクを有することができる。このとき燃料タンクは、特に水素タンクまたは天然ガスタンクの形態で構成されていてよい。
【0013】
さらに、事故発生や完全な放電などの場合にも十分な安全性を保証できるようにするために、本発明によると、パイロット弁および/または少なくとも1つの別のバルブが自動閉止型のバルブの形態で、好ましくは電磁弁の形態で、構成されることが意図されていてよいのが好ましい。
【0014】
さらに具体的には、パイロット弁および/または別のバルブの開放プロセスの開始のための好ましい時点を認識するために、変更可能な電圧を印加する適切な時点を決定するための測定値を検出するための検出ユニットが設けられることが意図されていてよい。このとき可能な測定値は、特に、最新の背圧ないし圧力差および/または最新の内部温度および/または外部温度であってよい。
【0015】
さらに具体的には、パイロット弁および/または別のバルブの開放プロセスの開始のための好ましい時点の確実な決定という観点から、検出ユニットにより検出された測定値をベースとして、変更可能な電圧を印加する適切な時点を決定するための処理ユニットが設けられることが意図されていてよい。このとき処理ユニットは、開放プロセスの開始のための好ましい時点の確実な決定を保証するために、特に検出ユニットにより検出された測定値の事後的な処理を行い、たとえば平均化および/または重みづけまたはその他の種類の評価を行うことが可能である。簡易で迅速なデータ通信という観点から、制御装置、処理ユニット、および検出ユニットが制御回線を介して互いに接続されていてよいのがさらに好ましい。簡易に統合可能かつフレキシブルに配置可能な機構の一環として、制御装置、処理ユニット、および検出ユニットがWLAN、ブルートゥース(登録商標)、またはNFCなどを介してワイヤレス式に互いに接続されていても同様によい。
【0016】
さらに、上に説明したシステムを含む自動車、特に上に説明したシステムを含む燃料電池駆動式の自動車も、同じく本発明の対象物である。
【0017】
本発明のその他の利点、構成要件、および具体的事項は、図面を参照しながら本発明の実施例が具体的に説明される以下の記述から明らかとなる。このとき特許請求の範囲と発明の詳細な説明で言及されている構成要件は、それぞれ単独で、または任意の組合せとして、本発明の要部となり得る。
【0018】
図面は次のものを示す:
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】燃料タンクのためのバルブ機構を開放する本発明の方法の個々のステップを示す模式図である。
図2】パイロット弁のための制御プロファイルを示す模式図である。
図3】別のタンク弁のための制御プロファイルを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、特に燃料電池駆動式の車両で適用するための、パイロット弁Vと少なくとも1つの別のバルブVとを含む、燃料タンクのためのバルブ機構を開放する本発明の方法の個々のステップの模式図を示している。
【0021】
ここでは本方法は、パイロット弁Vの開放段階Pでパイロット弁Vを開放するための増幅器電圧Sが印加30されるステップを含んでいる。このとき増幅器電圧Sは、後続して印加されるべきプルイン電圧Sよりも数値的に大きいのが好ましく、増幅器電圧Sは好ましくは12Vを超える値、特別に好ましくは65Vを超える値、特に少なくとも400Vの値を有する。
【0022】
本発明による方法のその後に続く第2のステップで、パイロット弁Vの開放段階Bを終了させるための増幅器電圧Sのターンオフ32が行われる。このとき開放段階Bは、たとえば2msを超えて、好ましくは5msを超えて、特に10msを超えて持続することができる。
【0023】
本発明による方法のこれに続く第3のステップでは、パイロット弁Vのプルイン段階Bでパイロット弁Vを開放維持するためのプルイン電圧Sの印加34が行われる。このときプルイン電圧Sは増幅器電圧Sよりも低いのが好ましく、プルイン電圧Sは12Vまたはこれ以下の値を有するのが好ましい。
【0024】
次いで、本発明による方法の第4のステップでは、再制御段階Pでパイロット弁Vを開放維持するために、および少なくとも1つの別のバルブVを開放および開放維持するために、プルイン電圧Sの交互のターンオフとターンオン36が行われ、それにより、パイロット弁Vの開放維持のために必要な平均の開放維持エネルギー、ならびに少なくとも1つの別のバルブVの必要な平均の開放エネルギーおよび/または開放維持エネルギーが提供される。このとき再制御段階Pでのプルイン電圧Sの交互のターンオフとターンオンは、平均して少なくとも2Aの開放電流および/または開放維持電流が調整されるように行われるのが好ましい。このとき、開放維持段階Pでのプルイン電圧Sの交互のターンオフとターンオンの周波数および/または振幅は、特に動作条件に依存して、たとえば背圧や温度などに依存して、変更することができる。
【0025】
図2は、パイロット弁Vのための制御プロファイルの模式図を示している。
【0026】
ここではパイロット弁Vは、まず開放段階Pで本例では65Vの増幅器電圧Sの供給を受け、それにより電流Iが一時的に10Aを超えて上昇する。ここではパイロット弁の開放段階Pが約10ms持続し、その後に65Vの増幅器電圧Sがターンオフされ、プルイン段階Pでは約12Vの電圧だけが印加される。プルイン段階Pの後、開始される再制御段階Pで本例では12Vのプルイン電圧Sが交互にターンオフおよびターンオンされ、それにより、パイロット弁Vのために必要な平均の開放維持エネルギーが依然として継続して提供される。
【0027】
図3は、別のタンク弁Vの制御プロファイルを示している。パイロット弁Vが開放された後、パイロット弁Vは高圧回路の圧力が上昇するように作用し、それにより、補償された圧力に抗して、かつ明らかにより低いエネルギーのもとで、残りのタンク弁Vを開放することができる。その場合、そのためにたとえば65Vの増幅器電圧Vは必要ではなく、12Vのプルイン電圧Sでも十分である。別のバルブVは、本例では12Vのプルイン電圧Sの交互のターンオンとターンオフにより平均して約2Aの電流の供給を受け、この電流はバルブが確実に開放および開放維持されるように作用する。
【0028】
このような再制御段階P3は、バルブVとパイロット弁Vが走行の終了時に再び閉止されるまで続けられる。このことは、12Vの供給が調整されることによって行われる。さらに、本例で図示しているプルイン電圧Sの電圧供給の周波数、位相、および振幅は、動作条件に応じて、特に背圧および/または温度に依存して、変更することができる。特別に高い圧力(たとえば火災発生を伴う事故中または事故直後、およびこれに伴って生じるタンク内の圧力上昇)に抗して非常開放がなされるケースでは、開放と開放維持を保証するために、パイロット弁Vの増幅器電圧Sを明らかに長く、かつ頻繁に印加することができる。
【符号の説明】
【0029】
1 システム
30 印加
32 ターンオフ
34 印加
36 ターンオン
S1 増幅器電圧
S2 プルイン電圧
P1 開放段階
P2 プルイン段階
P3 再制御段階
V1 パイロット弁
V2 別のバルブ
図1
図2
図3