(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-17
(45)【発行日】2024-07-25
(54)【発明の名称】回転レーザシステム用セルフレベリングシステム
(51)【国際特許分類】
G01C 15/00 20060101AFI20240718BHJP
G01S 1/70 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
G01C15/00 105S
G01C15/00 103B
G01S1/70
(21)【出願番号】P 2022556195
(86)(22)【出願日】2021-01-27
(86)【国際出願番号】 US2021015149
(87)【国際公開番号】W WO2021188201
(87)【国際公開日】2021-09-23
【審査請求日】2024-01-12
(32)【優先日】2020-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】505315742
【氏名又は名称】トプコン ポジショニング システムズ, インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100187322
【氏名又は名称】前川 直輝
(72)【発明者】
【氏名】ニコライ ブイ ハトゥンツェフ
【審査官】山▲崎▼ 和子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0067250(US,A1)
【文献】特開2009-109458(JP,A)
【文献】国際公開第2019/103154(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0037045(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 15/00
G01S 1/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転ヘッドと、
前記回転ヘッドに搭載された加速度計と、
プロセッサと、
前記プロセッサ上で実行されると、前記加速度計からの加速度信号を受信することと、前記回転ヘッドの傾きを水平方向に調整する1つまたは複数の傾き調整信号を前記加速度信号に基づいて生成することを含む動作を、前記プロセッサに実行させる、コンピュータプログラム指令を記憶するメモリと、
前記1つまたは複数の傾き調整信号に基づいて前記回転ヘッドの前記傾きを調整する1つまたは複数のアクチュエータと、
を備え
、
前記加速度信号は、前記加速度計が回転する際の前記加速度計の接線方向軸上の加速度と前記加速度計の半径方向軸上の加速度との少なくとも1つを示す、
ことを特徴とするレーザ発信機。
【請求項2】
前記回転ヘッドの傾きを水平方向に調整する1つまたは複数の傾き調整信号を前記加速度信号に基づいて生成することは、
前記加速度信号から正弦波成分を実質的に除去するように前記1つまたは複数の傾き調整信号を生成することを含む、
ことを特徴とする、請求項1に記載のレーザ発信機。
【請求項3】
前記加速度信号から正弦波成分を実質的に除去するように前記1つまたは複数の傾き調整信号を生成することは、
前記レーザ発信機のエンコーダの基準角度と前記1つまたは複数のアクチュエータの基準角度との間のズレの角度に基づいて前記1つまたは複数の傾き調整信号を生成することを含む、
ことを特徴とする、請求項
2に記載のレーザ発信機。
【請求項4】
前記加速度信号から正弦波成分を実質的に除去するように前記1つまたは複数の傾き調整信号を生成することは、
前記加速度信号の振幅を最小限にするように前記1つまたは複数の傾き調整信号を生成することを含む、
ことを特徴とする、請求項
2に記載のレーザ発信機。
【請求項5】
前記回転ヘッドの傾きを水平方向に調整する1つまたは複数の傾き調整信号を前記加速度信号に基づいて生成することは、
第1方向における前記回転ヘッドの傾きを調整するための第1傾き調整信号と、第2方向における前記回転ヘッドの傾きを調整するための第2傾き調整信号と、を生成することを含み、
前記1つまたは複数のアクチュエータは、前記第1傾き調整信号に基づいて前記第1方向における前記回転ヘッドの前記傾きを調整する第1アクチュエータと、前記第2傾き調整信号に基づいて前記第2方向における前記回転ヘッドの前記傾きを調整する第2アクチュエータと、を含む、
ことを特徴とする、請求項1に記載のレーザ発信機。
【請求項6】
レーザ発信機の回転ヘッドに搭載された加速度計から加速度信号を受信する工程と、
回転ヘッドの傾きを水平方向に調整する1つまたは複数の傾き調整信号を前記加速度信号に基づいて生成する工程と、
前記1つまたは複数の傾き調整信号に基づいて前記回転ヘッドの前記傾きを調整する工程と、を含
み、
前記加速度信号は、前記加速度計が回転する際の前記加速度計の接線方向軸上の加速度と前記加速度計の半径方向軸上の加速度との少なくとも1つを示す、
ことを特徴とする方法。
【請求項7】
前記回転ヘッドの傾きを水平方向に調整する1つまたは複数の傾き調整信号を前記加速度信号に基づいて生成する工程は、
前記加速度信号から正弦波成分を実質的に除去するように前記1つまたは複数の傾き調整信号を生成する工程を含む、
ことを特徴とする、請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
前記加速度信号から正弦波成分を実質的に除去するように前記1つまたは複数の傾き調整信号を生成する工程は、
前記レーザ発信機のエンコーダの基準角度と1つまたは複数のアクチュエータの基準角度との間のズレの角度に基づいて前記1つまたは複数の傾き調整信号を生成する工程を含む、
ことを特徴とする、請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
前記加速度信号から正弦波成分を実質的に除去するように前記1つまたは複数の傾き調整信号を生成する工程は、
前記加速度信号の振幅を最小限にするように前記1つまたは複数の傾き調整信号を生成する工程を含む、
ことを特徴とする、請求項
7に記載の方法。
【請求項10】
前記回転ヘッドの傾きを水平方向に調整する1つまたは複数の傾き調整信号を前記加速度信号に基づいて生成する工程は、
第1方向における前記回転ヘッドの傾きを調整するための第1傾き調整信号と、第2方向における前記回転ヘッドの傾きを調整するための第2傾き調整信号を生成する工程を含み、
前記1つまたは複数の傾き調整信号に基づいて前記回転ヘッドの前記傾きを調整する工程は、
前記第1傾き調整信号に基づいて前記第1方向における前記回転ヘッドの前記傾きを調整する工程と、
前記第2傾き調整信号に基づいて前記第2方向における前記回転ヘッドの前記傾きを調整する工程とを含む、
ことを特徴とする、請求項
6に記載の方法。
【請求項11】
加速度信号を受信する受信手段と、
回転ヘッドの傾きを水平方向に調整する1つまたは複数の傾き調整信号を前記加速度信号に基づいて生成する生成手段と、
前記1つまたは複数の傾き調整信号に基づいて前記回転ヘッドの前記傾きを調整する調整手段と、
を備え
、
前記加速度信号は、加速度計が回転する際の前記加速度計の接線方向軸上の加速度と前記加速度計の半径方向軸上の加速度との少なくとも1つを示す、
ことを特徴とするレーザ発信機。
【請求項12】
前記回転ヘッドの傾きを水平方向に調整する1つまたは複数の傾き調整信号を前記加速度信号に基づいて生成する前記生成手段は、
前記加速度信号から正弦波成分を実質的に除去するように前記1つまたは複数の傾き調整信号を生成する生成手段を含む、
ことを特徴とする、請求項
11に記載のレーザ発信機。
【請求項13】
前記加速度信号から正弦波成分を実質的に除去するように前記1つまたは複数の傾き調整信号を生成する前記生成手段は、
前記レーザ発信機のエンコーダの基準角度と1つまたは複数のアクチュエータの基準角度との間のズレの角度に基づいて前記1つまたは複数の傾き調整信号を生成する生成手段を含む、
ことを特徴とする、請求項
12に記載のレーザ発信機。
【請求項14】
前記加速度信号から正弦波成分を実質的に除去するように前記1つまたは複数の傾き調整信号を生成する前記生成手段は、
前記加速度信号の振幅を最小限にするように前記1つまたは複数の傾き調整信号を生成する生成手段を含む、
ことを特徴とする、請求項
12に記載のレーザ発信機。
【請求項15】
前記回転ヘッドの傾きを水平方向に調整する1つまたは複数の傾き調整信号を前記加速度信号に基づいて生成する前記生成手段は、
第1方向における前記回転ヘッドの傾きを調整するための第1傾き調整信号と、第2方向における前記回転ヘッドの傾きを調整するための第2傾き調整信号と、を生成する生成手段を含み、
前記1つまたは複数の傾き調整信号に基づいて前記回転ヘッドの前記傾きを調整する前記調整手段は、
前記第1傾き調整信号に基づいて前記第1方向における前記回転ヘッドの前記傾きを調整する調整手段と、
前記第2傾き調整信号に基づいて前記第2方向における前記回転ヘッドの前記傾きを調整する調整手段とを含む、
ことを特徴とする、請求項
11に記載のレーザ発信機。
【請求項16】
回転ヘッドと、
前記回転ヘッドに搭載された加速度計と、
プロセッサと、
前記プロセッサ上で実行されると、前記加速度計からの加速度信号を受信することと、前記回転ヘッドの傾きを水平方向に調整する1つまたは複数の傾き調整信号を前記加速度信号に基づいて生成することを含む動作を、前記プロセッサに実行させる、コンピュータプログラム指令を記憶するメモリと、
前記1つまたは複数の傾き調整信号に基づいて前記回転ヘッドの前記傾きを調整する1つまたは複数のアクチュエータと、
を備え
、
前記加速度信号は、前記加速度計が回転する際の前記加速度計の接線方向軸上の加速度と前記加速度計の半径方向軸上の加速度との少なくとも1つを示す、
ことを特徴とするセルフレベリング装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2020年3月17日に出願された米国出願第16/821、855号に基づく優先権を主張するものであり、その開示内容全体をここに参照により援用する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、概して回転レーザシステムに関し、特に回転レーザシステム用のセルフレベリングレーザ発信機に関する。
【背景技術】
【0003】
建設作業現場や農作業現場などの作業現場の準備において、作業現場の様々な場所を所望のトポロジーに整地および掘削することが一般的に行われている。位置測定は、そのような整地および掘削の精度を向上する上で、作業現場準備における重要な一段階である。位置測定を容易にするために、レーザ測定システムが建設機器(例えば、ブルドーザ、スクレーパ、掘削機など)によく用いられる。具体的には、レーザ測定システムのレーザ発信機がレーザ信号を発信し、レーザ測定システムのレーザ受信機がそのレーザ信号を受信し、レーザ受信機の位置測定値を測定する。しかし、正確な測定結果を出すためには、レーザ発信機を水平にする必要がある。
【0004】
従来、レーザ測定システムは、バイアルタイプまたはMEMS(微小電気機械システム)のいずれかである2つの非回転式の傾斜計を用いて傾斜角を測定し、1つまたは複数のモーターを用いて角度を調整することでセルフレベリングを行っている。このような従来のレーザ測定システムにおける短所の一つとして、傾斜計のアセンブリをカリブレートして各傾斜計のゼロ度を回転の縦軸に正確に対応させなければならない点が挙げられる。このようなカリブレーションは、通常、追加のカリブレーション工程を行って傾斜計を回転軸に位置合わせすることによって、製造中に行われる。また、このような従来のレーザ測定システムは、例えばレーザ発信機を落とした時などにカリブレーションが狂ってしまう傾向にある。
【発明の概要】
【0005】
1つまたは複数の実施形態によれば、セルフレベリングレーザ発信機を提供する。上記セルフレベリングレーザ発信機は、高価な傾斜計を用いずとも高精度を達成する。
【0006】
一実施形態によれば、レーザ発信機は、回転ヘッドと、該回転ヘッドに搭載された加速度計とを備える。加速度計から加速度信号を受信し、該加速度信号に基づいて、回転ヘッドの傾きを水平方向に調整するための1つまたは複数の傾き調整信号を生成する。1つまたは複数のアクチュエータは、上記1つまたは複数の傾き調整信号に基づいて回転ヘッドの傾きを調整する。
【0007】
一実施形態によれば、上記加速度信号は、加速度計が回転する際の加速度計の接線方向軸上の加速度と加速度計の半径方向軸上の加速度との少なくとも一方を示す。上記1つまたは複数の傾き調整信号は、加速度信号から正弦波成分を実質的に除去するように決定される。一実施形態によれば、上記1つまたは複数の傾き調整信号は、上記レーザ発信機のエンコーダの基準角度と上記1つまたは複数のアクチュエータの基準角度との間のズレの角度に基づいて決定される。その他の一実施形態によれば、上記1つまたは複数の傾き調整信号は、上記加速度信号の振幅を最小限にするように決定される。
【0008】
一実施形態によれば、第1方向における回転ヘッドの角度を調整する第1傾き調整信号と第2方向における回転ヘッドの角度を調整する第2傾き調整信号を決定する。第1アクチュエータは、第1傾き調整信号に基づいて第1方向における回転ヘッドの角度を調整し、第2アクチュエータは、第2傾き調整信号に基づいて第2方向における回転ヘッドの角度を調整する。
【0009】
1つまたは複数の実施形態によれば、例えばレーザ発信機などの、セルフレベリング装置を提供する。該セルフレベリング装置は、回転ヘッドと、該回転ヘッドに搭載された加速度計を備える。加速度計から加速度信号を受信し、該加速度信号に基づいて、回転ヘッドの傾きを水平方向に調整するための1つまたは複数の傾き調整信号を生成する。1つまたは複数のアクチュエータは、上記1つまたは複数の傾き調整信号に基づいて回転ヘッドの傾きを調整する。
【0010】
本発明のこれらおよびその他の効果については、以下の詳細な説明および添付の図面を参照することにより、当業者にとって明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、レーザ測定システムの上位概要図である。
【
図3】
図3は、三軸加速度計により出力される加速度信号を例示するグラフを示す図である。
【
図4】
図4は、加速度信号のクリッピング効果を例示するグラフを示す図である。
【
図5】
図5は、レーザ発信機の回転ヘッドのレベリングを行う方法を示す図である。
【
図6】
図6は、レーザ発信機がロータリエンコーダを備えている場合における、レーザ発信機の回転ヘッドの傾きを水平方向に調整するための傾き調整信号の決定工程についての機能図である。
【
図7】
図7は、1つまたは複数のアクチュエータの基準角度と、エンコーダの基準角度間のズレの角度を例示するグラフである。
【
図8】
図8は、レーザ発信機がロータリエンコーダを備えていない場合における、レーザ発信機の回転ヘッドの傾きを水平方向に調整するための傾き調整信号の決定工程についての機能図である。
【
図9】
図9は、勾配降下アルゴリズムを用いてレーザ発信機の回転ヘッドのレベリングを行う傾き調整信号の決定工程についての、上位概要図である。
【
図10】
図10は、八点近似アルゴリズムを用いてレーザ発信機の回転ヘッドのレベリングを行う傾き調整信号の決定工程についての、上位概要図である。
【
図11】
図11は、本発明の概念を実施するためのコンピュータの、上位概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に、1つまたは複数の実施形態によるレーザ測定システム100を示す。レーザ測定システム100は、レーザ発信機102と、レーザ受信機104を備える。
図1に例示するように、レーザ受信機104は、測量ポール106に設けられるように構成されている。しかしながら、レーザ受信機104について多様な構成が考えられることは理解されるであろう。例えば、レーザ受信機104は、建設機器(例えば、掘削機、ダンプトラック、ブルドーザなど)に設けられるように構成されてもよく、手持ち式の装置であってもよい。なお、レーザ測定システム100は、レーザ発信機102から受信したレーザビームに基づいて各レーザ受信機104の位置及び方向情報を計算するために、任意の数のレーザ受信機を含んでもよいことは理解されよう。
【0013】
レーザ発信機102は、三脚108またはその他の任意の基部(例えば、測量用ポール、建設機器など)に搭載された回転ヘッド110を備え、回転ヘッド110は該三脚108または基部において回転する。レーザ発信機102は、レーザ受信機104に向けて一定速度での回転照射によりレーザ信号112を投射する。一実施形態において、レーザ信号112は、2007年3月27日発行の米国特許第7、196、302号に記載される(その開示内容全体をここに参照により援用する)ように、N字形ビームである。しかし、レーザビーム112は、好適であれば任意のレーザビーム(例えば、I字型ビーム)であってもよい。一実施形態において、レーザ発信機102は、後述する
図2に示すレーザ発信機200である。
【0014】
レーザ受信機104の位置測定値は、レーザ発信機102が送信し、レーザ受信機104が受信したレーザ信号に基づいて測定される。しかし、レーザ受信機104の精確な位置測定値をレーザ測定システム100が提供するためには、レーザ発信機102の回転ヘッド110がレベリングされてなければならない。回転ヘッド110は、回転ヘッド110の回転軸が重力のベクトルと略平行であるときに水平とされる。本発明の実施形態によれば、レーザ発信機102の回転ヘッド110は加速度計を備えて構成され、回転ヘッド110のレベリングは、加速度計が測定した加速度に基づいて傾き調整信号を決定し、1つまたは複数の傾き調整信号に基づいて回転ヘッド110の傾きを水平方向に調整することで行われる。
【0015】
本発明の実施形態は、2018年12月4日に発行され、その開示内容全体が参照により本件に組み込まれている米国特許10、145、671号に記載されているように、例えば、3Dレーザ発信機などのレーザ発信機のレベリングに適用することができ、また、N型ビームレーザ発信機に適用することができる。しかし、本発明の実施形態は、例えば、レーザシステムの基準面のレベリングや建築用の高精度な測鉛ツールなどのあらゆるタイプの回転システムのレベリングに適用可能である。
【0016】
図2は、1つまたは複数の実施形態によるレーザ発信機200の詳細図である。一実施形態において、レーザ発信機200は、
図1のレーザ発信機102である。レーザ発信機200は、例えば、三脚、測量用ポール、建設機器などに搭載された基部204上に搭載された回転ヘッド202を備えている。回転ヘッド202は、時計回り方向214(または、いくつかの実施形態では、反時計回り方向)に、回転軸212を中心にして回転する。回転ヘッド202が回転すると、1つまたは複数のレーザダイオード(図示せず)または他のレーザ源が、発信機レンズ224を介してレーザ信号を投射する。
【0017】
回転ヘッド202は、回転ヘッド202のレベリングを容易にするために加速度計206を備えている。加速度計206は、少なくとも1つの感知軸を有し、適切な最小サンプリング周波数及びノイズ密度を有する任意の適切な加速度計であってもよい。回転ヘッド202のレベリング精度は、以下の式(1)により推定することができる。
(1)
式中、L
accはレベリング精度(mkrad)、N
dは加速度計206のノイズ密度(
)、leveling_durationはレベリングの継続時間(秒)を示す。最小サンプリング周波数は、加速度センサ206加速度計206の出力帯域幅より少なくとも2倍以上大きいものであることが好ましい。加速度計206の出力帯域幅は、回転ヘッド202の回転率より大きいことが好ましい。好ましい一実施形態において、加速度計206の出力帯域幅は、回転ヘッド202の回転率より少なくとも2倍以上大きい。加速度計206は、回転ヘッド202上または回転ヘッド202内の任意の位置に配置されていてもよい。好ましい一実施形態では、加速度計206は、回転軸212のできるだけ近くに配置される。
【0018】
一実施形態では、加速度計206は、加速度計206が回転軸212を中心にして(例えば、回転照射中に回転ヘッド202により)回転する際に加速度計206の接線方向加速度を測定するように配向された感知軸228を有する単軸加速度計である。
図2に例示するように、加速度計206は、円形経路218に沿って回転軸212を中心に(回転ヘッド202により)回転する。加速度計206は、その感知軸228が加速度計206の円形経路218の接線方向軸208と一致するように配向される。加速度計206の接線方向軸208は、回転軸212に対して垂直であり、また加速度計206の半径方向軸216に対して垂直である。半径方向軸216は、回転軸212と加速度計206の間に形成される軸であり、加速度計206の位置における円形経路218の半径に相当する。軸208、212、216は互いに直交し、直交3次元系を形成する。
【0019】
一実施形態では、加速度計206は、加速度計206の半径方向の加速度を測定するように配向された第1感知軸230、加速度計206の接線方向の加速度を測定するように配向された第2感知軸228、および加速度計206の重力方向の加速度を測定するように配向された第3感知軸232とを有する三軸加速度計である。よって、加速度計206は、第1感知軸230が半径方向軸216と一致し、第2感知軸228が接線方向軸208と一致し、第3感知軸232が回転軸212と平行の重心軸222と一致するように配向される。三軸加速度計の一例からの加速度信号の出力の例を
図3のグラフ300に例示し、その詳細は後述する。
【0020】
なお、加速度計206は、回転軸212と平行ではない少なくとも1本の感知軸を有する如何なる好適な加速度計であってもよい。上記加速度計206の少なくとも1本の感知軸が回転軸212と平行である場合、該少なくとも1つの加速度計はDC(直流)成分のみを感知し、AC(交流)成分を感知しないので、セルフレベリングに使用することはできない。一例では、加速度計206は、慣性測定ユニットであってもよい。
【0021】
加速度計206は、接線方向軸208上の加速度を表す加速度信号(および、いくつかの実施形態では、半径方向加速度信号および/または重力方向加速度信号)を生成し、任意の適切なデータ伝送機構を用いてデータプロセッサ226に該加速度信号を送信する。データプロセッサ226は、例えば、
図11のコンピュータ1102のような任意の演算装置を用いて実装されてもよく、
図2に示すように基部204内に一体化されていてもよく、または、回転ヘッド202内に一体化されていてもよい。データ伝送機構は、例えば、データプロセッサ226が基部204に一体化されている場合、加速度計206とデータプロセッサ226との間で加速度信号を伝送する構成であってもよい。また、データ伝送機構は、例えば、データプロセッサ226が回転ヘッド202に一体化されている場合、1つまたは複数のアクチュエータ220とデータプロセッサ226との間でアクチュエータ制御信号を伝送する構成であってもよい。データ伝送機構は、例えば、スリップリングを使用して実装された有線接続に基づいたものであってよい。上記構成に加えて、または、上記構成に代替して、データ伝送機構は、例えば、双方向に別々のシンプレックスチャンネルを用いた無線周波数(RF)送信または光学的送信を使用して実装された有線接続に基づいたものであってよい。また、他のデータ伝送機構を採用してもよい。
【0022】
データプロセッサ226は、加速度計206から加速度信号を受信し、回転ヘッド202の傾きを水平方向に調整するための傾き調整信号を生成し、傾き調整信号に基づいて回転ヘッド202の傾きを調整するための(例えば、2つの)アクチュエータ220に、傾き調整信号を出力する。データプロセッサ226は、加速度信号からあらゆる正弦波成分を除去し、それによって回転ヘッド202を水平にするように、傾き調整信号を決定する。回転ヘッド202が水平である場合、回転軸212は重力ベクトル210に平行である。一実施形態では、データプロセッサ226は、
図5に示す方法500により、回転ヘッド202をレベリングするための傾き調整信号を決定する。アクチュエータ220は、回転ヘッド202と基部204との間に結合されて、回転ヘッド202の傾きを2方向で調整する。一実施形態において、アクチュエータ220は、それぞれ、X方向とY方向における回転ヘッド202の傾きの調整を行う第1および第2アクチュエータを含んでいる。アクチュエータ220は、リードスクリューを有する1つまたは複数のステッピングモータ、または他の任意の適切なアクチュエータを含んでいてもよい。
【0023】
加速度計206は、任意の適切な電力伝送機構(
図2には示されていない)を介して電力を供給される構成であってもよい。電力伝送機構は、例えば、スリップリングを使用して実装された有線接続に基づいたものであってよい。上記構成に加えて、または、上記構成に代替して、電力伝送機構は、例えば、回転ヘッド202および基部204に設けたアンテナを用いたRF電力伝送、または基部204に搭載された発光ダイオード(LED)および回転ヘッド202に搭載されたフォトダイオードまたは太陽電池を用いてLEDから光を集め、その光を電気に変換する光電力伝送を用いて実施される無線接続に基づいてもよい。また、他の電力伝送機構を採用してもよい。
【0024】
図3に、1つまたは複数の実施形態による、三軸加速度計により生成、出力された加速度信号を例示するグラフ300を示す。グラフ300の加速度信号は、時間(秒)に対する加速度(単位:m/s
2)を表している。
図3の説明は、
図2を参照して行う。一実施形態において、グラフ300の加速度信号は、レーザ発信機200の回転ヘッド202に搭載された
図2の加速度計206により出力されるものであってもよい。よって、加速度計206は、第1感知軸230が半径方向軸216と一致し、第2感知軸228が接線方向軸208と一致し、第3感知軸232が(回転軸212と平行の)重心軸222と一致するように配向される。クリッピングが発生しない限り、検出軸の多少のズレは許容される。後述する
図4にクリッピングの例を示す。
【0025】
半径方向加速度信号302は、回転ヘッド202が水平でない時に第1感知軸230によって半径方向軸216に沿って測定された半径方向加速度を表し、半径方向加速度信号304は、回転ヘッド202が水平の時に第1感知軸230によって半径方向軸216に沿って測定された半径方向加速度を表している。接線方向加速度信号306は、回転ヘッド202が水平でない時に第2感知軸228によって接線方向軸208に沿って測定された接線方向加速度を示し、接線方向加速度信号308は、回転ヘッド202が水平の時に第2感知軸228によって接線方向軸208に沿って測定された接線方向加速度を示す。重力方向加速度信号310は、回転ヘッド202が水平でない時に第3感知軸232によって重力方向軸222に沿って測定された重力方向加速度を表し、重力方向加速度信号312は、回転ヘッド202が水平の時に第3感知軸232によって重力方向軸222に沿って測定された重力方向加速度を表している。
【0026】
グラフ300に示すように、半径方向加速度信号302および304はa=4π2f2rのバイアスがかかっている。式中、fは回転の周波数(ヘルツ)、rは加速度計オフセット半径(メートル)である。接線方向加速度信号306および308にはバイアスがかかっていない。加速度信号302および306は、回転ヘッド202が水平方向にないので、正弦波となっている。重力方向加速度信号310および312は、重力による加速度を示し、回転ヘッド202が水平方向にあるか否かについて影響を受けない。
【0027】
回転ヘッド202が水平のとき、加速度計206は、半径方向加速度のバイアスa=4π2f2r、接線方向加速度ゼロ、重力加速度にほぼ等しい加速度を出力する。実際には、加速度計206からの加速度信号にはノイズやドリフトオフセットがある場合がある。
【0028】
図4に、1つまたは複数の実施形態による、三軸加速度計により出力される加速度信号のクリッピング効果を示すグラフ400を例示する。グラフ400の加速度信号は、時間(秒)に対する加速度(単位:m/s
2)を表している。
図4の説明は、
図2を参照して行う。一実施形態において、グラフ400の加速度信号は、
図3に関して上記に説明したように搭載され、配向された
図2の加速度計206により出力されたものであってもよい。
【0029】
半径方向加速度信号402は半径方向軸216に沿って測定された半径方向加速度を表し、接線方向加速度信号404は接線方向軸208に沿って測定された接線方向加速度を表し、重力加速度信号406は重力方向軸222に沿って測定された重力加速度を表している。
図4に例示するように、半径方向加速度信号402は、加速度計206の出力範囲が所定の半径方向オフセットおよび所定の回転率に対して小さすぎるためにクリッピングを生じるので、a=4π
2f
2rのバイアスは、出力範囲のエッジに対して信号をオフセットする。クリッピングの結果、加速度計206のデータ範囲の制約により、半径方向加速度信号402において、例えば重力加速度の1.5倍のところでフラットにカットオフされる。クリッピングが発生しない限り、特に接線方向加速度信号404における感知軸の多少のズレは許容される。
【0030】
図5に、1つまたは複数の実施形態によるレーザ発信機の回転ヘッドのレベリング方法500を示す。方法500は、
図2を参照して説明する。一実施形態において、方法500はデータプロセッサ226により実施される。
【0031】
ステップ502において、レーザ発信機200の回転ヘッド202に搭載された加速度計206から加速度信号を受信する。一実施形態において、加速度信号は、加速度計206が回転軸212を中心にして回転する際に接線方向軸208に沿った加速度計206の感知軸228により測定された加速度計206の加速度を示す。他の一実施形態において、加速度信号は、加速度計206が回転軸212を中心にして回転する際に半径方向軸216に沿った加速度計206の感知軸230により測定された加速度計206の加速度を示す。他の一実施形態において、加速度信号は、接線方向軸208に沿った加速度計206の感知軸228により測定された加速度計206の加速度と、半径方向軸216に沿った加速度計206の感知軸230により測定された加速度計206の加速度との線型結合を示す。
【0032】
ステップ504において、水平方向への回転ヘッド202の傾きの調整のための1つまたは複数の傾き調整信号は、加速度信号に基づいて決定される。上記1つまたは複数の傾き調整信号は、加速度信号における正弦波成分を実質的に除去するように加速度信号回転ヘッド202を2方向において調整する。一実施形態において、第1方向(例えば、X方向)における回転ヘッド202の傾きを調整するために第1傾き調整信号を生成し、第2方向(例えば、Y方向)における回転ヘッド202の傾きを調整するために第2傾き調整信号を生成する。一実施形態において、例えばレーザ発信機200がエンコーダを備えている場合、傾き調整信号は
図6を参照して後述するように決定される。その他の一実施形態において、例えばレーザ発信機200がエンコーダを備えていない場合、傾き調整信号は
図8を参照して後述するように決定される。加速度信号が、半径方向軸216において感知軸230により測定された加速度を(少なくとも一部)示すように構成された一実施形態において、加速度信号のクリッピングを回避するために、加速度計206の出力範囲をa=4π
2f
2rより大きくするか、もしくは加速度計206を中心に十分近い位置に配置してバイアスが加速度計206の範囲内にあるようにしなければならない。
【0033】
ステップ506において、上記1つまたは複数の傾き調整信号に基づいて回転ヘッド202の傾きを調整する。第1アクチュエータは、第1傾き調整信号に基づいて第1方向における回転ヘッド202の傾きを調整し、第2アクチュエータは、第2傾き調整信号に基づいて第2方向における回転ヘッド202の傾きを調整して、回転ヘッド202を水平方向にする。
【0034】
図6に、1つまたは複数の実施形態により、レーザ発信機の回転ヘッドの傾きを調整して水平方向にするための傾き調整信号を決定する機能
図600を示す。
図5のステップ504は、例えば、レーザ発信機がエンコーダを備えている場合、機能
図600に従って実施されてもよい。
【0035】
機能
図600において、レーザ発信機のエンコーダ604は、該レーザ発信機の回転ヘッドの角度位置を供給する。エンコーダ604は、例えば、アブソリュートまたはインクリメンタルロータリーエンコーダなど、任意の適切なエンコーダであってもよい。角度位置は、sin/cos変換部606によって、例えば、サインルックアップテーブルを使用する、もしくはsin(X)とcos(X)との関数(Xはラジアンまたは角度による角度位置)を直接算出することによって、sin信号とcos信号に変換される。乗算部608および610は、それぞれ、加速度a
t602にサインとコサインを乗算して周波数シフトを実行する。接線方向加速度a
t602は、回転ヘッドに搭載された加速部から受信し、加速部が回転する際の加速部における加速度を表す。乗算部608および610の結果は、所定の期間にわたって、回転ヘッドの回転数(整数)に対してそれぞれ積算部612および614によって蓄積される。そして、以下のステップにおいて回転マトリクス(
)で出力を乗算することにより、ズレの角度αに積算部612および614の出力(例えば、2次元ベクトル)を回転させる。積算部612からの積分結果は、乗算部616及び620によってそれぞれsin(α)およびcos(α)により乗算され、積算部614からの積分結果は、乗算部618および622によってそれぞれcos(α)及び-sin(α)により乗算され、式中αは1以上のアクチュエータとレーザ発信機のエンコーダ604の基準角度との間のずれの角度を示している。ずれの角度αについては、
図7を参照して以下でさらに説明する。乗算部616および618の結果は加算部624で合成されて、回転ヘッドのX方向の傾きを調整するための傾き調整信号を生成し、アクチュエータ628に出力される。乗算部620および622の結果は加算部626で合成されて、回転ヘッドのY方向の傾きを調整するための傾き調整信号を生成し、アクチュエータ630に出力される。傾き調整信号により、加速度a
t602の正弦波成分は一切除去される。アクチュエータ628および630は、それぞれ傾き調整信号に基づいてXまたはY方向における回転ヘッドの傾きを調整し、レーザ発信機の回転ヘッドを水平にする。
【0036】
図7に、1つまたは複数の実施形態による、レーザ発信機の回転ヘッドの傾きを調整する1つまたは複数のアクチュエータの基準角度と、レーザ発信機のエンコーダの基準角度との間のズレの角度を示すグラフ700を示す。エンコーダの基準角度(ゼロ)は線702で表され、cos線に相当する。エンコーダの基準角度(ゼロ)は+x軸で表される。ずれの角度α704は、+x軸と線702のなす角度として示されている。
【0037】
図8に、1つまたは複数の実施形態により、レーザ発信機の回転ヘッドの傾きを調整して水平方向にするための傾き調整信号を決定する機能
図800を示す。
図5のステップ504は、例えば、レーザ発信機がエンコーダを備えている場合、機能
図800に従って実施されてもよい。
【0038】
ローカル発振部804は、おおよその回転率におけるsin信号とcos信号を出力し、sin信号とcos信号はそれぞれ乗算部806、808により加速度a
t802(例えば、接線方向加速度や半径方向加速度など)で乗算される。加速度a
t802は、回転ヘッドに搭載された加速部から受信されるものであり、加速部が回転する際の加速部における加速度を示す。乗算部806および808の結果は、それぞれ、実際の回転率と近似回転率の差より大きな帯域幅を持つローパスフィルタ810および814と、二乗関数812、816とで処理され、加算部818で合成される。最小検索論理ブロック820は、加算部818の結果から、X方向とY方向における回転ヘッドの傾きを調整するための傾き調整信号を決定し、そして傾き調整信号は、アクチュエータ822および824に出力され、それぞれ、接線方向加速度a
t802の正弦波成分を除去するようにしてX方向とY方向における回転ヘッドの傾きを水平方向に調整する。最小検索論理ブロック820は、接線方向加速度a
t802のあらゆる正弦波成分を実質的に除去する傾き調整信号を決定する。一実施形態では、最小検索論理ブロック820は、接線方向加速度a
t802の振幅を最小化するアルゴリズム(例えば、最小検索アルゴリズム)を適用するように実装されていてもよい。最小検索アルゴリズムの例としては、それぞれ
図9および
図10を参照して以下で説明するように、勾配降下アルゴリズムまたは八点近似アルゴリズムなどが挙げられる。
【0039】
図9に、1つまたは複数の実施形態による、勾配降下アルゴリズムを用いたレーザ発信機の回転ヘッドを水平方向にするための傾き調整信号の決定に関する上位概要
図900を示す。勾配降下アルゴリズムは、加速度信号(例えば、接線方向または半径方向の加速度信号)の最小振幅を得るように、傾き調整信号を求める。初期点(x、y)902(例えば、加算部818の出力として求められる点)を起点として、(x、y)902における加速度信号の振幅a
0、点(x+dx、y)908における振幅a
dx、および点(x、y+dy)910における振幅a
dyを測定する。初期ステップdxとdyは、任意に選択されてもよく、あるいはアクチュエータの調整の全範囲に基づいて、例えば全範囲の10%または5%と選択されてもよい。勾配を
にて算出し、初期点(x、y)902を勾配の方向に点904まで移動させる。このプロセスを繰り返して、点906における接線方向加速度の最小振幅を求める。
【0040】
図10に、1つまたは複数の実施形態による、八点近似アルゴリズムを用いたレーザ発信機の回転ヘッドを水平方向にするための傾き調整信号の決定に関する上位概要
図1000を示す。八点近似アルゴリズムは、接線方向加速度の最小振幅を得るように、傾き調整信号を求める。初期点(x、y)(例えば、加算部818の出力として求められる点)を起点として、任意のdxおよびdy(dxはdyと等しくてもよい)を決定する(例えば、全アクチュエータ範囲の5%)。接線方向加速度の振幅をA
1(x+dx、y-dy)、A
2(x、y-dy)、A
3(x-dx、y-dy)、A
4(x-dx、yy)、A
5(x-dx、y+dy)、A
6(x、y+dy)、A
7(x+dx、y+dy)、およびA
8(x+dx、y)の八点において測定する。係数kはk=A
1+A
3+A
5+A
7-A
2-A
4-A
6-A
8として算出される。ΔxおよびΔyは、
および
として算出される。傾き調整信号は、レーザ発信機の回転ヘッドの水平な向きに対応する、(x+Δx)および(y+Δy)として求められる。
【0041】
本明細書に記載のシステム、装置、および方法は、デジタル回路を用いて、または公知のコンピュータプロセッサ、メモリユニット、記憶装置、コンピュータソフトウェアや他の構成要素を用いる1つまたは複数のコンピュータを用いて実現されてもよい。典型的には、コンピュータは、指令を実行するためのプロセッサと、指令およびデータを記憶するための1つまたは複数のメモリとを備えた構成であってもよい。また、コンピュータは、1つまたは複数の磁気ディスク、内部ハードディスクおよびリムーバブルディスク、光磁気ディスク、光ディスクなどの、1つまたは複数の大容量記憶装置を備えている構成であってもよく、1つまたは複数の大容量記憶装置に接続している構成であってもよい。
【0042】
本明細書に記載のシステム、装置、および方法は、プログラマブルプロセッサにより実行されるために、例えば、機械読み取り可能な非一時的記憶装置などの情報担体において有形に具現化されたコンピュータプログラム製品を用いて実施されてもよく、本明細書に記載の方法やワークフローにおける各ステップ(
図5のステップまたは機能のうちの1つ以上を含む)は、そのようなプロセッサによって実行可能な1つまたは複数のコンピュータプログラムを用いて実施されてもよい。コンピュータプログラムは、任意の動作を行ったり、任意の結果を得たりするためにコンピュータにおいて直接的または間接的に使用することができる1組のコンピュータプログラム指令である。コンピュータプログラムは、コンパイラ型言語やインタープリタ型言語などの任意の方式のプログラミング言語で記載でき、スタンドアロンプログラムとして、またはモジュール、構成要素、サブルーチンや任意の演算環境での利用に適した他のユニットとしての方式などの任意の方式で展開できる。
【0043】
本明細書に記載のシステム、装置、および方法を実施するために使用できるコンピュータ1102の一例の上位概略ブロック図を
図11に示す。コンピュータ1102は、データ記憶装置1112とメモリ1110に操作可能に接続されたプロセッサ1104を備える。プロセッサ1104は、コンピュータ1102の動作全般を、該動作を定義するコンピュータプログラム命令を実行することにより、制御する。該コンピュータプログラム命令は、データ記憶装置1112または他のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に保存されたものであってもよく、該コンピュータプログラム命令の実行が必要な際にメモリ1110にロードされてもよい。よって、
図5の方法やワークフローにおけるステップは、メモリ1110および/またはデータ記憶装置1112に保存されているコンピュータプログラム命令により定義され、該コンピュータプログラム命令を実行するプロセッサ1104により制御されるものであってもよい。例えば、
図5の方法やワークフローにおけるステップを実行するように当業者によりプログラムされたコンピュータ実行可能コードとして実施可能である。したがって、コンピュータプログラム指示を実行することにより、プロセッサ1104は、
図5の方法やワークフローにおけるステップ、または機能を実行する。また、コンピュータ1104は、ネットワークを介して他の装置と通信するための1つまたは複数のネットワークインターフェース1106を備えている構成であってもよい。また、コンピュータ1102は、コンピュータ1102とのユーザインタラクションを可能にする1つまたは複数の入出力デバイス1108(例えば、ディスプレイ、キーボード、マウス、スピーカ、ボタン等)を備えた構成であってもよい。
【0044】
プロセッサ1104は、汎用マイクロプロセッサと専用マイクロプロセッサとの両方を含んでいてもよく、コンピュータ1102の唯一のプロセッサであっても、複数のプロセッサの1つであってもよい。プロセッサ1104は、例えば、1つまたは複数の中央処理装置(CPU)を備えていてもよい。プロセッサ1104、データ記憶装置1112および/またはメモリ1110は、1つもしくは複数の特定用途向け集積回路(ASIC)および/または1つもしくは複数のフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)を含むか、これらによって補完されるか、またはこれらに内蔵されてもよい。
【0045】
データ記憶装置1112およびメモリ1110は、それぞれ、コンピュータ読み取り可能な、有体かつ非一次的な記憶媒体を備えている。データ記憶装置1112およびメモリ1110は、それぞれ、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、ダブルデータレート同期型ダイナミックランダムアクセスメモリ(DDR RAM)、または他のランダムアクセスのソリッドステートメモリ装置などの高速ランダムアクセスメモリを含んでいてもよく、内蔵ハードディスク、リムーバブルディスクなどの1つもしくは複数の磁気ディスク記憶装置、光磁気ディスク記憶装置、光ディスク記憶装置、フラッシュメモリ装置、消却・プログラム可能型読取専用メモリ(EPROM)、電気的消却・プログラム可能型読取専用メモリ(EEPROM)などの半導体メモリ装置、コンパクトディスク読取専用メモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク読取専用メモリ(DVD-ROM)ディスクなどの不揮発性メモリ、またはその他の不揮発性ソリッドステート記憶装置を含んでいてもよい。
【0046】
入力/出力装置1108としては、プリンタ、スキャナ、表示画面などの周辺機器を備えていてもよい。例えば、入力/出力装置1108は、ユーザに情報を表示する陰極線管(CRT)または液晶ディスプレイ(LCD)モニタ、およびそれによりユーザがコンピュータ1102に入力を行うことができるキーボードやマウスやトラックボールなどのポインティングディバイスを備えていてもよい。
【0047】
図2のデータプロセッサ装置226の構成要素を含む、本明細書に記載のシステムおよび装置のいずれかまたはすべてを、コンピュータ1102などの1つまたは複数のコンピュータを用いて実施してもよい。
【0048】
当業者は、実際のコンピュータやコンピュータシステムの実施は、その他の構成を有していたり、その他の構成要素を含んでいてもよく、
図11は、例示を目的としてそのようなコンピュータの構成要素のうち、いくつかの構成要素を上位表示したものであることを理解するであろう。
【0049】
上記の詳細な説明は、あらゆる点で、説明と例示のためのものであり、本発明を限定するものではなく、また、本明細書に開示されている本発明の範囲は、詳細な説明から判断されるべきものではなく、特許法により許容される最も広い範囲に従って解釈される請求項の範囲から判断されるべきものである。本明細書に記載かつ示された実施形態は、本発明の原理を例示するものにすぎず、本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく当業者が種々の変更を実施し得ることを理解されたい。当業者であれば、本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく、様々な他の特徴の組み合わせを実施することが可能であろう。