(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-17
(45)【発行日】2024-07-25
(54)【発明の名称】電池パック及び車両
(51)【国際特許分類】
H01M 50/514 20210101AFI20240718BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20240718BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20240718BHJP
H01M 10/6554 20140101ALI20240718BHJP
H01M 10/6556 20140101ALI20240718BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20240718BHJP
H01M 50/505 20210101ALI20240718BHJP
H01M 10/6561 20140101ALI20240718BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20240718BHJP
【FI】
H01M50/514
H01M50/249
H01M10/613
H01M10/6554
H01M10/6556
H01M10/625
H01M50/505
H01M10/6561
H01M50/204 401H
(21)【出願番号】P 2022570367
(86)(22)【出願日】2021-03-26
(86)【国際出願番号】 CN2021083300
(87)【国際公開番号】W WO2021238379
(87)【国際公開日】2021-12-02
【審査請求日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】202010462922.X
(32)【優先日】2020-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】▲譚▼亮▲穏▼
(72)【発明者】
【氏名】▲譚▼晶
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼文会
【審査官】佐溝 茂良
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-075256(JP,A)
【文献】中国実用新案第202268412(CN,U)
【文献】特開2018-032520(JP,A)
【文献】特開2020-038762(JP,A)
【文献】特開2014-044817(JP,A)
【文献】特表2014-507760(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-50/298
H01M 50/50-50/598
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容溝が形成されているトレイであって、前記収容溝の側壁に少なくとも1つの貫通孔が配置されている、トレイと、
前記収容溝内に配置されている少なくとも1つの電池アレイであって、各電池アレイは順に配列された複数の電池を含み、各電池は電極端子を含み、各電極端子は前記貫通孔に向かう一側に配置されている、電池アレイと、
少なくとも1つの電気コネクタであって、前記電気コネクタは、前記収容溝内に設置され、少なくとも2つの電池の電極端子を接続する、電気コネクタとを備え、
前記第1電気コネクタ及び前記第2電気コネクタは、いずれも接続シートであり、前記第1電気コネクタ及び前記第2電気コネクタの長さ方向は、いずれも前記底板に対して傾斜して配置され、前記第2電気コネクタの長さは、前記第1電気コネクタの長さよりも大きく、前記第2電気コネクタの前記底板に対する傾斜角度は、前記第1電気コネクタの前記底板に対する傾斜角度よりも小さい、ことを特徴とする電池パック。
【請求項2】
前記トレイは、底板と、前記底板の周りに配置されたサイドビームとを含み、前記底板及び前記サイドビームは、前記収容溝を共に画定し、前記サイドビームは、第1方向に沿って対向して配置された第1サイドビーム及び第2サイドビームを含み、前記第1サイドビーム及び第2サイドビームのうちの少なくとも1つに前記貫通孔が配置され、前記第1方向は、前記電池パックの長さ方向又は前記電池パックの幅方向である、ことを特徴とする請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記電池アレイは、少なくとも2組であり、
前記底板に前記第1方向に沿って延在する、少なくとも1つの仕切ビームが配置され、前記仕切ビームは、前記収容溝を複数のサブ溝に分割し、前記サブ溝内に少なくとも1組の電池アレイが配置される、ことを特徴とする請求項2に記載の電池パック。
【請求項4】
少なくとも1つの電気コネクタは、少なくとも1つの第1電気コネクタ及び少なくとも1つの第2電気コネクタを含み、同じ電池アレイ内の隣接する2つの電池の電極端子は、前記第1電気コネクタにより接続され、仕切ビームの両側に位置する、隣接する2つの電池の電極端子は、少なくとも1つの第2電気コネクタにより接続される、ことを特徴とする請求項3に記載の電池パック。
【請求項5】
電池アレイ内の複数の電池は、第2方向に沿って順に配列され、前記電池の長さが前記第1方向に沿って延在し、電池の電極端子が電池の前記第1方向に沿った一側に配置され、電池の厚さが前記第2方向に沿って延在し、
前記第1方向が電池パックの長さ方向であり、前記第2方向が前記電池パックの幅方向である、又は、
前記第1方向が電池パックの幅方向であり、前記第2方向が前記電池パックの長さ方向である、ことを特徴とする請求項
1~
4のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項6】
前記貫通孔は、1つであり、かつ全ての電池アレイ内の電池の電極端子に対応する、ことを特徴とする請求項1~
5のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項7】
電池アレイに電気的に接続された配電ボックスをさらに含み、前記配電ボックスは、前記電池アレイと、前記貫通孔が配置されたサイドビームとの間の、前記収容溝内に配置され、前記配電ボックスは、前記貫通孔を通過して点検されるように配置されている、ことを特徴とする請求項1~
6のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項8】
上部カバーをさらに含み、前記上部カバーは、前記トレイの上部に配置され、内部に流路が配置されている、ことを特徴とする請求項1~
7のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項9】
前記上部カバーは、直冷板であり、前記流路を共に画定する第1放熱板及び第2放熱板を含む、ことを特徴とする請求項
8のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項10】
少なくとも1つの貫通孔を封止する封止カバーをさらに含み、前記封止カバーは、前記トレイに取り外し可能に接続されている、ことを特徴とする請求項1~
9のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項11】
請求項1~
10のいずれか一項に記載の電池パックを含む、ことを特徴とする車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、ビーワイディーカンパニーリミテッドが2020年5月27日に提出した、出願名称が「電池パック及び車両」である中国特許出願第「202010462922.X」号の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、電池の技術分野に関し、特に、電池パック及び車両に関する。
【背景技術】
【0003】
科学技術の発展と人間の従来のエネルギーの消費に伴い、新エネルギー自動車は、その高い環境保護性で人々の生活に徐々に入っている。電池パックの技術は、新エネルギー自動車技術の開発において最も重要であり、新エネルギー自動車の将来開発につながる。
【0004】
関連技術について、新エネルギー自動車の電池パックは、まず複数の電池を順次配列して電池アレイを形成し、次に電池の電極端子と電気コネクタとを溶接して電池間の電気的接続を実現し、さらに溶接済みの電池アレイをトレイ内に入れる方法で組み立てられるが、溶接済みの電池アレイ全体をトレイ内に取り付ける難度が大きく、かつ電池アレイをトレイ内に移動する過程において電極端子と電気コネクタとの溶接部位の脱落及び電気コネクタの破損等の問題が発生しやすく、それにより製造コストを増加させ、かつ電池パックの製造と使用に影響を与える。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、少なくとも従来の技術に存在する技術的問題の1つを解決することを目的とする。このために、本発明の1つの目的は、電池パックを提出することであり、該電池パックは、電池の電極端子と電気コネクタとの接続プロセスを簡略化することができ、それによりプロセスフローを最適化することができる。
【0006】
本発明は、さらに車両を提供する。
【0007】
本発明に係る電池パックは、側壁に貫通孔が形成される収容溝が形成されるトレイと、前記収容溝内に設置され、順に配列された複数の電池を含み、各前記電池の前記貫通孔に向かう一側に電極端子が設置される電池アレイと、前記収容溝内に設置され、少なくとも2つの前記電池の電極端子を接続する電気コネクタであって、前記貫通孔が前記電極端子及び電気コネクタを露出させる電気コネクタと、を含む。
【0008】
これにより、本発明の電池パックによれば、トレイ上の貫通孔を通過して収容溝内の電池の電極端子と電気コネクタとを接続することができ、電池の電極端子と電気コネクタとの接続工程をトレイの外部で完了する必要がなく、電池パックの組立工程を減少させることができ、プロセスフローを最適化することができる。
【0009】
本発明のいくつかの例において、前記トレイは、底板と、前記底板の周りに配置されたサイドビームとを含み、前記底板及び前記サイドビームは、前記収容溝を共に画定し、前記サイドビームは、第1方向に沿って対向して設置された第1サイドビーム及び第2サイドビームを含み、前記第1サイドビーム及び第2サイドビームのうちの少なくとも1つに前記貫通孔が設置され、前記第1方向は、前記電池パックの長さ方向又は前記電池パックの幅方向である。
【0010】
本発明のいくつかの例において、前記電池アレイは、少なくとも2組であり、前記底板に前記第1方向に沿って延在する仕切ビームが設置され、前記仕切ビームは、前記収容溝を複数のサブ溝に分割し、前記サブ溝内に少なくとも1組の前記電池アレイが設置される。
【0011】
本発明のいくつかの例において、前記電気コネクタは、第1電気コネクタ及び第2電気コネクタを含み、同じ組の前記電池アレイ内の隣接する2つの前記電池の電極端子は、前記第1電気コネクタにより接続され、前記仕切ビームの両側に位置し、かつ隣接する2つの前記電池の電極端子は、前記第2電気コネクタにより接続される。
【0012】
本発明のいくつかの例において、前記第1電気コネクタ及び第2電気コネクタは、いずれも接続シートであり、前記第1電気コネクタ及び前記第2電気コネクタの長さ方向は、いずれも前記底板に対して傾斜して設置され、前記第2電気コネクタの長さは、前記第1電気コネクタの長さよりも大きく、前記第2電気コネクタの前記底板に対する傾斜角度は、前記第1電気コネクタの前記底板に対する傾斜角度よりも小さい。
【0013】
本発明のいくつかの例において、前記電池アレイ内の複数の電池は、第2方向に沿って順に配列され、前記電池の長さが前記第1方向に沿って延在し、前記電池の電極端子が前記電池の前記第1方向に沿った一側に設置され、前記電池の厚さが前記第2方向に沿って延在し、前記第1方向が電池パックの長さ方向であり、前記第2方向が前記電池パックの幅方向であり、又は、前記第1方向が電池パックの幅方向であり、前記第2方向が前記電池パックの長さ方向である。
【0014】
本発明のいくつかの例において、前記貫通孔は、1つであり、かつ全ての前記電池アレイ内の前記電池の電極端子に対応する。
【0015】
本発明のいくつかの例において、前記電池パックは、さらに、前記電池アレイに電気的に接続された配電ボックスを含み、前記配電ボックスは、前記収容溝内に設置され、かつ前記貫通孔を通過して点検されるように、前記電池アレイと、前記貫通孔が設置されたサイドビームとの間に位置する。
【0016】
本発明のいくつかの例において、前記電池パックは、さらに、前記トレイの上部に設置され、内部に流路が設置される上部カバーを含む。
【0017】
本発明のいくつかの例において、前記上部カバーは、直冷板であり、前記流路を共に画定する第1放熱板及び第2放熱板を含む。
【0018】
本発明のいくつかの例において、前記電池パックは、さらに、前記貫通孔を封止し、前記トレイに取り外し可能に接続された封止カバーを含む。
【0019】
本発明に係る車両は、前記電池パックを含む。
【0020】
本発明の追加の態様及び利点は、一部が以下の説明において示され、一部が以下の説明において明らかになるか又は本発明の実施により把握される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明の上記及び/又は追加の態様及び利点は、以下の図面を参照して実施例を説明することにより、明らかになって理解されやすくなる。
【0022】
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施例を詳細に説明し、図面を参照して説明される実施例は、例示的なものであり、以下、本発明の実施例を詳細に説明する。
【0024】
以下、
図1~
図5を参照して、本発明の実施例に係る電池パック100について説明し、電池パック100は、車両に適用することができる。
【0025】
図1及び2に示すように、本発明の実施例に係る電池パック100は、トレイ10、電池アレイ20及び電気コネクタ30を含んでもよく、トレイ10に収容溝11が設計され、収容溝11は、電池アレイ20を収容するために用いられ、即ち、電池アレイ20は、トレイ10の収容溝11内に取り付けられ、かつ主に複数の電池21で構成され、複数の電池21で構成された電池アレイ20は、収容溝11内に配列して設置され、収容溝11が電池アレイ20を取り付けるための十分な空間を提供することができるため、電池アレイ20は、電池パック100にエネルギーを安定的に提供し、外部からの干渉を回避し、電池パック100の安定性を向上させる。
【0026】
図1~
図5に示すように、収容溝11の側壁に貫通孔12が設計され、収容溝11内に配列して設置された電池アレイ20における電池21の貫通孔12に近接する一側に電極端子22が設計される。
図1~
図5に示すように、電気コネクタ30は、収容溝11内に設置され、かつ少なくとも2つの電池21の電極端子22を接続し、貫通孔12は、電極端子22及び電気コネクタ30を露出させることができる。即ち、電気コネクタ30は、収容溝11内に取り付けられ、少なくとも2つの電池21の電極端子22の間に接続され、電気コネクタ30により電池アレイ20内の少なくとも2つの電池21の電極端子22を接続することにより、少なくとも2つの電池21は、互いに接続され、電池パック100のエネルギーを共に生成し、このように設置すれば、電池アレイ20内の複数の電池21が順に接続されることを保証することができる。例えば、電気コネクタ30は、隣接するか又は間隔を隔てる2つの電池21を直列接続してもよく、隣接する又は間隔を隔てる2つの電池21を並列接続してもよく、又は、3つ以上の電池21を並列接続する。
【0027】
図4に示すように、貫通孔12は、電気コネクタ30が2つの電池21を接続する電極端子22に取付空間を提供することができ、電気コネクタ30を取り付ける時に、貫通孔12を通過して電気コネクタ30と電池21の電極端子22を接続することができ、電池アレイ20の電極端子22と電気コネクタ30との接続工程をトレイ10の外部で完了する必要がなく、電池パック100の製造難度を低下させることができ、プロセス設計を最適化することができ、電気コネクタ30の摩耗を回避することができ、電池パック100の耐用年数を延長することができる。
【0028】
図1、
図2、
図3及び
図5に示すように、トレイ10は、底板17と、底板17の周辺に配置されたサイドビーム13とを含み、底板17及びサイドビーム13は、収容溝11を共に画定し、サイドビーム13は、第1方向に沿って対向して設置された第1サイドビーム及び第2サイドビームを含み、第1方向は、電池パック100の長さ方向又は電池パック100の幅方向である。即ち、トレイ10は、主に、順に互いに固定接続された複数のサイドビーム13を含んでもよく、複数のサイドビーム13がいずれも底板17よりも高い高設ビームであるため、複数のサイドビーム13を順に接続し、かつ底板17と共に電池アレイ20の取付空間を画定することにより、電池アレイ20の取付信頼性を保証することができる。電池パック100の長さ方向は、
図1に示す前後方向であり、電池パック100の幅方向は、
図1に示す左右方向である。
【0029】
理解されるように、複数のサイドビーム13は、いずれも放熱性が良好で強度が大きい材料で製造され、その原因は、電池アレイ20が動作する時に大量の熱量を生成し、放熱性が良好なサイドビーム13が、ある程度で電池アレイ20の温度を低下させ、電池アレイ20の正常な動作を保証し、安全上の事故の発生を回避することができることである。同時に、強度が大きいサイドビーム13は、電池アレイ20を保護することができ、電池パック100が衝突され、押圧される場合に電池アレイ20が破損し、安全上の事故を引き起こすことを防止し、電池パック100の耐用年数を延長することができ、サイドビーム13は、さらに、良好な難燃性を有することができ、電池アレイ20に異常動作により温度が高すぎて自己燃焼が発生する時、サイドビーム13は、電池アレイ20の持続的燃焼を阻止することができ、電池パック100の安全性を向上させることができる。
【0030】
理解されるように、電池パック100付きの車両が道路を走行する場合に、最も衝突されやすいのは、車両走行方向の垂直方向であり、即ち電池パック100の左側と右側であるため、第1サイドビームと第2サイドビームのうちの少なくとも1つに貫通孔12を設計し、電池アレイ20における電池21の電極端子22と電気コネクタ30との取付接続位置を車両走行方向に設定することができ、このように設定することにより、車両が衝突された後に、電池アレイ20による安全上の事故が発生するリスクを低減することができ、車両と電池パック100の安全信頼性を向上させることができる。
【0031】
なお、電池21の電極端子22が電池21の長さ方向の両側に設置される場合、第1サイドビームと第2サイドビームにそれぞれ貫通孔12が設置される。
【0032】
図1、
図2、
図3及び
図5に示すように、貫通孔12が形成されたサイドビーム13は、縦方向に間隔を隔てて設置され、かついずれも2つのサイドビーム13の間に接続された上部サイドビーム15と下部サイドビーム16を含み、貫通孔12は、上部サイドビーム15と下部サイドビーム16との間に位置する。即ち、第1サイドビーム及び第2サイドビームのうちの1つに貫通孔12が設計され、貫通孔12が設計されたサイドビーム13は、主に、上部サイドビーム15と、上部サイドビーム15の下方に位置する下部サイドビーム16とを含んでもよく、上部サイドビーム15は、隣接する2つのサイドビーム13に接続され、下部サイドビーム16は、該隣接する2つのサイドビーム13に接続され、上部サイドビーム15と下部サイドビーム16との間に一定の距離が残され、上部サイドビーム15と下部サイドビーム16との間隔設置により貫通孔12の位置を画定することができ、プロセス構造を最適化することができる。上部サイドビーム15と下部サイドビーム16の設置は、トレイ10の構造信頼性を保証することができる。
【0033】
図1、
図2、
図3及び
図5に示すように、電池アレイ20は、少なくとも2組であり、電池アレイ20を複数組に設計することにより、電池21が破損してメンテナンスされ交換される必要がある場合、破損した1組をメンテナンスし交換すればよく、複数組の電池アレイ20全体をメンテナンスし交換することによる浪費を回避し、メンテナンス及び交換のコストを低減し、かつ複数組の電池アレイ20を用いて電池アレイ20と外部空気との接触面積を増加させ、電池パック100の放熱効果を効果的に向上させることができ、それにより電池パック100の安全性を向上させることができる。
【0034】
図5に示すように、底板17に第1方向に沿って延在する仕切ビーム18が設置され、仕切ビーム18は、収容溝11を複数のサブ溝に分割し、サブ溝内に少なくとも1組の電池アレイ20が設置される。具体的には、トレイ10は、さらに、仕切ビーム18を含んでもよく、底板17の取付位置は、複数のサイドビーム13が順次画定した収容溝11の下方に位置する。各サブ溝内の電池アレイ20の数は、同じであってもよく、異なってもよい。また、底板17は、良好な難燃性及び放熱性を有し、電池アレイ20が動作する時の温度を効果的に低下させ、温度が高すぎることによる電池パック100の燃焼を防止することができ、電池パック100の耐用年数を延長し、安全上の事故の発生を防止することができる。
【0035】
一実施例では、仕切ビーム18の取付位置は底板17にあり、かつ底板17において第1方向に沿って延在し、仕切ビーム18は、隣接する電池アレイ20を分離することができ、隣接する電池アレイ20の相互影響を回避し、仕切ビーム18は、良好な難燃性を有し、このような設置により、1組の電池アレイ20は温度が高すぎるため燃焼する時、仕切ビーム18は、火が他の1組の電池アレイ20に拡散することを防止することができ、それにより火勢を最小限に抑え、さらに電池パック100の安全性を向上させ、安全上の事故の発生を防止することができる。
【0036】
一実施例では、仕切ビーム18は、良好な放熱性を有し、仕切ビーム18を用いて複数組の電池アレイ20を分離し、複数組の電池アレイ20は、電池パック100のエネルギーを保証するとともに、電池アレイ20と仕切ビーム18との接触面積を増加させることができ、仕切ビーム18の良好な放熱性は、電池アレイ20の温度を効果的に低下させ、電池パック100の安全性を向上させ、安全上の事故の発生を防止することができ、また、仕切ビーム18が隣接する2つの電池アレイ20の間に位置するため、仕切ビーム18の数は電池アレイ20の数より1つ少なく、仕切ビーム18は、底板17に均一に分布し、収容溝11を、大きさが同じである複数の空間に均一に分割し、各空間における取り付けられた電池アレイ20内の電池は数及び体積等が完全に同じであり、各電池アレイ20を均一に放熱させ、放熱ムラによる局所的な高温開始事故を防止することができる。
【0037】
図4に示すように、電気コネクタ30は、第1電気コネクタ31及び第2電気コネクタ32を含み、同じ組の電池アレイ20内の隣接する2つの電池21の電極端子22は、第1電気コネクタ31により接続され、仕切ビーム18の両側に位置し、かつ隣接する2つの電池21の電極端子22は、第2電気コネクタ32により接続される。
【0038】
理解されるように、1つの電池21に2つの電極端子22が設計され、それぞれ1つの正電極端子22、1つの負電極端子22であり、例えば、電池21に設置された2つの電極端子22のうち、上方に位置する1つが正電極端子22であり、下方に位置する1つが負電極端子22であり、第1電気コネクタ31が同じ組の電池アレイ20内の隣接する2つの電池の電極端子22を接続する場合、第1電気コネクタ31は、一端がそのうちの1つの電池21の正電極端子22に接続され、他端が他の電池21の負電極端子22に接続され、それにより隣接する2つの電池21を互いに接続し、第2電気コネクタ32が仕切ビーム18の両側に位置し、かつ隣接する2つの電池21の電極端子22を接続する場合、第2電気コネクタ32は、一端がそのうちの1つの電池21の正電極端子22に接続され、他端が他の電池21の負電極端子22に接続され、それにより隣接する2つの電池21を互いに接続する。これにより、電流は正電極端子22から入り、負電極端子22から出る原理に従って絶えず外部にエネルギーを輸送する。
【0039】
第1電気コネクタ31及び第2電気コネクタ32は、いずれも接続シートであり、第1電気コネクタ31及び第2電気コネクタ32の長さ方向がいずれも底板17に対して傾斜して設置され、第2電気コネクタ32の長さが第1電気コネクタ31の長さよりも大きく、第2電気コネクタ32の底板17に対する傾斜角度が第1電気コネクタ31の底板17に対する傾斜角度よりも小さい。第2電気コネクタ32により接続された2つの電極端子22の垂直方向における距離は、第1電気コネクタ31により接続された2つの電極端子22の垂直方向における距離と等しいが、第2電気コネクタ32により接続された2つの電極端子22の水平方向における距離は、仕切ビーム18の存在により、第1電気コネクタ31により接続された2つの電極端子22の水平方向における距離よりも長いため、理解されるように、三平方の定理に基づいて、第2電気コネクタ32に接続された2つの電極端子22の直線距離は、第1電気コネクタ31に接続された2つの電極端子22の直線距離よりも長く、即ち、第2電気コネクタ32は、第1電気コネクタ31よりも長い。
【0040】
理解されるように、電気コネクタ30が隣接する2つの電池21を接続する時、電気コネクタ30は、一端がそのうちの1つの電池21における上方に位置する正電極端子22に接続され、他端が他の電池21における下方に位置する負電極端子22に接続されるため、電気コネクタ30は、隣接する2つの電池21の電極端子22を接続する時に底板17に対して傾斜し、正余定理及び余弦定理に基づいて、第2電気コネクタ32の底板17に対する傾斜角度は、第1電気コネクタ31の底板17に対する傾斜角度よりも小さく、即ち、第2電気コネクタ32と底板17とのなす角の角度は、第1電気コネクタ31と底板17とのなす角の角度よりも小さく、このような設置により、電池アレイ20の構造を変更することなく、複数の電池を互いに接続することができ、構造がより精巧になり、プロセスフローを最適化することができる。
【0041】
電池アレイ20における複数の電池21は、第2方向に沿って順に配列され、電池21の長さが第1方向に沿って延在し、電池21の電極端子22が電池21の第1方向に沿った一側に設置され、電池21の厚さが第2方向に沿って延在し、第1方向が電池パック100の長さ方向であり、第2方向が電池パック100の幅方向であり、又は、第1方向が電池パック100の幅方向であり、第2方向が電池パック100の長さ方向である。電池21の配列方向及び厚さ方向に合理的に対応することにより、電池21を電池パック100内に安定的に配列することができ、電池パック100の内部空間を合理的に利用することができ、電極端子22を電池21の一側に設置することにより、複数の電池21の電極端子22を順に配列することができ、電気コネクタ30を容易に接続することができる。
【0042】
一実施例では、
図1~
図5に示すように、貫通孔12は1つであり、かつ該貫通孔12は、全ての電池アレイ20内の電池の電極端子22に対応する。即ち、複数組の電池アレイ20の電池21の電極端子22は、全て貫通孔12に向かって設置され、このような設置により、複数組の電池アレイ20をまずトレイ10の収容溝11内に取り付け、次に貫通孔12を通過して電気コネクタ30と全ての電池の電極端子22とを溶接接続することにより、電池アレイ20の電極端子22と電気コネクタ30との接続工程をトレイ10の外部で完了する必要がなく、電池パック100の組立工程を減少させ、プロセスフローを最適化することができ、同時に、このように設置により、貫通孔12を通過して電池アレイ20を直接的にメンテナンスしやすく、電池アレイ20を収容溝11から取り出してメンテナンスすることを回避し、メンテナンスのコスト及び難度を低減することができる。
【0043】
図2及び
図3に示すように、電池パック100は、主に、電池アレイ20に電気的に接続された配電ボックス40を含み、配電ボックス40は、収容溝11内に設置され、かつ貫通孔12を通過して点検されるように、電池アレイ20と、貫通孔12が設置されたサイドビーム13との間に位置する。即ち、トレイ10は、電池アレイ20が取り付けられた後、電池アレイ20と、トレイ10に貫通孔12が設計されたサイドビーム13との間にさらに余分な空間が存在し、配電ボックス40が、電池アレイ20と、トレイ10に貫通孔12が設計されたサイドビーム13との間に取り付けられ、配電ボックス40の電池アレイ20に近接する一側が電池アレイ20と互いに接続し嵌合されることにより、電池アレイ20で生成した電流が配電ボックス40に流入し、配電ボックス40の制御、変換、割り当て等の操作を経た後、配電ボックス40の電池アレイ20から離れる一側から外部に安定的に輸送され、配電ボックス40に破損が発生し、メンテナンスを必要とする場合、配電ボックス40を取り出す必要がなく、貫通孔12を通過して直接的に作業を行うことができ、配電ボックス40を容易にメンテナンス及び検査する。
【0044】
図1、
図2、
図3及び
図5に示すように、電池パック100は主に、トレイ10の上部に設置され、内部に流路が設置される上部カバー50を含む。即ち、電池パック100は、さらに、主に、収容溝11の上部に取り付けられる上部カバー50を含み、上部カバー50は、底板17及び複数のサイドビーム13と共に、密閉された収容溝11を形成し、外部の異物が進入して電池アレイ20を損傷することを回避し、電池アレイ20の耐用年数を延長することができる。当然のことながら、他の実施例では、上部カバー50は車体と一体化されてもよい。
【0045】
一実施例では、上部カバー50内に流路が設計され、流路における液体の流れは上部カバー50が吸収した熱量をよく放出することができ、電池アレイ20の温度を効果的に低下させ、電池パック100の安全性を向上させることができる。
【0046】
図1、
図2及び
図3に示すように、上部カバー50は、直冷板であり、流路を共に画定する第2放熱板51と第1放熱板52を含み、具体的には、第1放熱板52は、突起状の流路を形成し、第2放熱板51は、第1放熱板52の下側に設置され、かつ下側に流路を封止する。即ち、上部カバー50は、直冷板であり、第2放熱板51と第1放熱板52は、いずれもアルミニウム板であってもよく、アルミニウムは、放熱性が良好で、酸化されにくく、密度が小さく、安価であり、硬度が大きいなどの利点を有するため、第2放熱板51を選択して収容溝11の上部をカバーし、収容溝11の上部を封止し、電池パック100を軽量化すると同時に上部カバー50の良好な放熱性を保証することができ、また、第2放熱板51の高い強度は電池パック100が衝突され、押圧されるなどの時に電池アレイ20が損傷しないように保護することができる。
【0047】
第1放熱板52は、第2放熱板51の上方に取り付けられ、第1放熱板52にプレスプロセスにより突起状の流路が形成され、流路は、第1放熱板52に湾曲して設置され、このような設置により、第1放熱板52は、同じ面積である場合、流路の長さが増加でき、上部カバー50の放熱性を向上させることができ、電池アレイ20の温度をできるだけ低下させることができる。第1放熱板52と第2放熱板51は、ろう付けにより互いに接続され、かつ流路の封止を実現することができ、封止された流路は、中空であり、かつ外界と連通し、中空の流路の内部に放熱通路が画定され、放熱通路内に気体状態の冷却剤が存在し、放熱通路内に熱量を吸収した気体状態の冷却剤は、中空の流路内に流動することができ、電池アレイ20の温度を低下させることができ、それにより一実施例において上部カバー50の放熱効果を向上させる。
【0048】
一実施例では、
図1及び
図2に示すように、上部カバー50の縁部とトレイ10との間にガスケット53又はシーラントが設置される。上部カバー50の周囲の縁部とトレイ10との間にガスケット53又はシーラントを設計することにより、上部カバー50が封止したトレイ10の密閉性を向上させることができ、一実施例において外部の異物が進入して電池アレイ20を損傷することを防止し、また、ガスケット53又はシーラントは、金属材質の上部カバー50とトレイ10との直接的な接触による摩耗を減少させることができ、電池パック100の耐用年数を延長することができる。
【0049】
図1及び
図2に示すように、電池パック100はさらに、貫通孔12を封止し、トレイ10に取り外し可能に接続された封止カバー60を含む。即ち、封止カバー60は、貫通孔12の電池アレイ20から離れる一側に取り付けられ、貫通孔12を封止するために用いられ、外部の異物が貫通孔12に進入して電池アレイ20を損傷することを防止し、電池パック100の耐用年数を延長することができ、また、封止カバー60が貫通孔12の電池アレイ20から離れる一側に取り外し可能に取り付けられるため、容易に封止カバー60を取り外して貫通孔12を通過して電池アレイ20をメンテナンスすることができ、メンテナンスのコストを低減することができ、構造設計を最適化することができる。
【0050】
一実施例では、
図2に示すように、封止カバー60とトレイ10との間にガスケット53又はシーラントが設置される。封止カバー60とトレイ10との間にガスケット53又はシーラントを設計することにより、封止カバー60が封止したトレイ10の密閉性を向上させることができ、一実施例において外界の異物が進入して電池アレイ20を損傷することを防止し、また、ガスケット53又はシーラントは、金属材質の封止カバー60とトレイ10との直接的な接触による摩耗を減少させることができ、電池パック100の耐用年数を延長することができる。
【0051】
本開示の実施例に係る車両は、上記実施例の電池パック100を含み、電池パック100は、車両のシャーシに取り付けられ、車両に道路を走行するための動力を提供することができるため、車両は、より環境にやさしく、安全になり、ユーザの使用体験を向上させることができる。
【0052】
なお、本発明の説明において、「中心」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「天」、「底」、「内」、「外」、「軸方向」、「径方向」等が示す方位や位置関係は、図面に示した方位や位置関係に基づくものであり、本発明を容易に説明し説明を簡略化するためのものに過ぎず、示された装置又は部品が特定の方位を有するとともに、特定の方位で構成されて動作しなければならないことを示すか又は示唆するものではないため、本発明を限定するものであると理解すべきではない。本発明の説明において、「複数」は、2つ以上であることを意味する。
【0053】
本明細書の説明では、用語「一実施例」、「いくつかの実施例」、「例示的な実施例」、「例」、「具体的な例」又は「いくつかの例」等を参照する説明は、該実施例又は例を組み合わせて説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性が本発明の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書では、上記用語の例示的な表現は、必ずしも同一の実施例又は例に限定されるものではない。
【0054】
本発明の実施例を例示して説明したが、当業者であれば理解できるように、本発明の原理及び趣旨から逸脱しない場合、これらの実施例に対して、様々な変更、修正、置換及び変形を行うことができ、本発明の範囲は、特許請求の範囲及びその均等物によって限定される。
【符号の説明】
【0055】
100 電池パック
10 トレイ
11 収容溝
12 貫通孔
13 サイドビーム
15 上部サイドビーム
16 下部サイドビーム
17 底板
18 仕切ビーム
20 電池アレイ
21 電池
22 電極端子
30 電気コネクタ
31 第1電気コネクタ
32 第2電気コネクタ
40 配電ボックス
50 上部カバー
51 第2放熱板
52 第1放熱板
53 ガスケット
60 封止カバー