(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-17
(45)【発行日】2024-07-25
(54)【発明の名称】デュプレクサ、ネットワーク機器、制御方法、電子機器、及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
G01R 31/00 20060101AFI20240718BHJP
【FI】
G01R31/00
(21)【出願番号】P 2023505785
(86)(22)【出願日】2021-07-06
(86)【国際出願番号】 CN2021104788
(87)【国際公開番号】W WO2022037294
(87)【国際公開日】2022-02-24
【審査請求日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】202010827160.9
(32)【優先日】2020-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】511151662
【氏名又は名称】中興通訊股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZTE CORPORATION
【住所又は居所原語表記】ZTE Plaza,Keji Road South,Hi-Tech Industrial Park,Nanshan Shenzhen,Guangdong 518057 China
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】張 震
(72)【発明者】
【氏名】李 卓
(72)【発明者】
【氏名】谷 娟
【審査官】田口 孝明
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第111370824(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107910624(CN,A)
【文献】中国実用新案第201038289(CN,Y)
【文献】中国実用新案第201466178(CN,U)
【文献】韓国公開特許第2002-0068934(KR,A)
【文献】国際公開第2004/079857(WO,A1)
【文献】特表2009-542096(JP,A)
【文献】特開2004-129146(JP,A)
【文献】特開2002-299909(JP,A)
【文献】特開2002-217606(JP,A)
【文献】実開平05-034703(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2016/0315368(US,A1)
【文献】韓国公開特許第2019-0015959(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第111243481(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110825168(CN,A)
【文献】韓国公開特許第2014-0040397(KR,A)
【文献】韓国公開特許第2013-0011044(KR,A)
【文献】韓国公開特許第2013-0116780(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G01R 31/00、
H01P 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デュプレクサであって、
フィルタと、
誘電体同調部材と、
前記誘電体同調部材に接続され、前記誘電体同調部材と前記フィルタとの相対位置を制御して、前記デュプレクサの動作周波数を調整するように構成される制御モジュールと、
前記誘電体同調部材の変位を制限するように構成される制限アセンブリと、
前記制御モジュールに接続され、前記誘電体同調部材の変位データを検出して前記制御モジュールに送信するように構成されるホールセンサと、を含
み、
前記制御モジュールはさらに、前記変位データに基づいて前記誘電体同調部材の零点位置を決定するように構成され、
前記零点位置は、電気的零点と機械的零点とを含み、前記機械的零点は、前記誘電体同調部材の前記制限アセンブリと一致する位置であり、前記電気的零点は、前記機械的零点からM個(Mは第2所定値である。)の駆動ステップ値だけ異なり、前記電気的零点は、前記デュプレクサの動作周波数を調節する際に、前記誘電体同調部材を先に前記電気的零点に戻し、前記電気的零点を基準として調節するためのものであるデュプレクサ。
【請求項2】
前記制御モジュールは、
制御信号を取得し、前記制御信号に基づいて駆動信号を出力するように構成される処理ユニットと、
前記処理ユニットに接続され、前記駆動信号を受信し、前記駆動信号に基づいてモータユニットを駆動するように構成される駆動ユニットと、
前記駆動ユニットと前記誘電体同調部材にそれぞれ接続され、前記誘電体同調部材と前記フィルタとの相対位置を制御するように構成されるモータユニットと、を含む請求項1に記載のデュプレクサ。
【請求項3】
前記モータユニットは、
前記誘電体同調部材に接続された昇降アセンブリと、
前記昇降アセンブリに接続され、前記昇降アセンブリの変位を制御して、前記誘電体同調部材と前記フィルタとの相対位置を制御するように構成される伝動アセンブリと、
前記駆動ユニットと前記伝動アセンブリにそれぞれ接続され、前記伝動アセンブリを駆動するように構成されるモータと、を含む請求項
2に記載のデュプレクサ。
【請求項4】
前記伝動アセンブリは、
モータに接続された歯車と、
前記歯車に接続され、前記昇降アセンブリに螺合され、前記歯車に追従して回転して、前記昇降アセンブリの変位を制御するように構成されるねじ軸と、を含む請求項
3に記載のデュプレクサ。
【請求項5】
前記制御モジュールは、
前記処理ユニットに接続され、前記制御信号と前記駆動ステップ値とのマッピング関係を記憶するように構成される記憶ユニットをさらに含み、
前記処理ユニットは、前記制御信号に基づいて対応する前記駆動ステップ値を取得し、前記駆動ステップ値に基づいて前記駆動信号を出力するように構成される請求項
2に記載のデュプレクサ。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれか1項に記載のデュプレクサと、
前記デュプレクサに接続され、前記デュプレクサに制御信号を送信して、前記デュプレクサの動作周波数を調整するように構成される主制御モジュールと、を含むネットワーク機器。
【請求項7】
デュプレクサ
の制御方法であって、
前記デュプレクサは、フィルタと
、誘電体同調部材と、
ホールセンサと、前記誘電体同調部材に接続された昇降アセンブリと、前記昇降アセンブリの変位を制限するように構成される制限アセンブリとを含み、
前記
制御方法は、
制御信号を取得するステップと、
前記制御信号に基づいて駆動信号を出力して、前記誘電体同調部材と前記フィルタとの相対位置を制御
して、前記デュプレクサの動作周波数を調整するステップと、を含
み、
制御信号を取得する前記ステップの前に、
第1逆方向駆動信号を出力して、前記制限アセンブリと一致する位置まで前記昇降アセンブリを制御して逆方向に変位させ、前記ホールセンサによって前記昇降アセンブリの変位データを継続的に取得するステップと、
連続するN個(Nは第1所定値である。)の駆動ステップ値の第2逆方向駆動信号では対応する変位データを取得していない場合、前記昇降アセンブリが機械的零点に到達したと判定するステップと、をさらに含み、
前記昇降アセンブリが機械的零点に到達したと判定する前記ステップの後に、
M個(Mは第2所定値である。)の前記駆動ステップ値の第1順方向駆動信号を出力して、前記昇降アセンブリを制御して順方向に変位させ、前記昇降アセンブリを電気的零点にするステップをさらに含み、
前記電気的零点は、前記デュプレクサの動作周波数を調節する際に、前記誘電体同調部材を先に前記電気的零点に戻し、前記電気的零点を基準として調節するためのものであるデュプレクサ制御方法。
【請求項8】
前記制御信号に基づいて駆動信号を出力して、前記誘電体同調部材と前記フィルタとの相対位置を制御
して、前記デュプレクサの動作周波数を調整する前記ステップは、
前記制御信号に基づいて対応する前記駆動ステップ値を取得するステップと、
前記駆動ステップ値に基づいて前記駆動信号を出力して、前記誘電体同調部材と前記フィルタとの相対位置を制御するステップと、を含む請求項
7に記載のデュプレクサ制御方法。
【請求項9】
前記昇降アセンブリが機械的零点に到達したと判定する前記ステップの後に、
第2順方向駆動信号を出力して、前記昇降アセンブリを制御して機械的零点から順方向に変位させ、駆動ステップ値を継続的に記録し、前記昇降アセンブリの変位データを継続的に取得するステップと、
連続するK個の駆動ステップ値の第3順方向駆動信号では対応する変位データを取得していない場合、記録された前記駆動ステップ値が第3所定値を満たすか否かを判断するステップと、
判断結果に基づいて前記機械的零点を検証するステップと、をさらに含む請求項
7に記載のデュプレクサ制御方法。
【請求項10】
前記制御信号に基づいて駆動信号を出力して、前記誘電体同調部材と前記フィルタとの相対位置を制御する前記ステップは、
制御信号に基づいて第3逆方向駆動信号及び第4順方向駆動信号を取得するステップと、
第3逆方向駆動信号を出力して、前記昇降アセンブリを制御して電気的零点にするステップと、
第4順方向駆動信号を出力して、前記誘電体同調部材と前記フィルタとの相対位置を制御するステップと、を含む請求項
7に記載のデュプレクサ制御方法。
【請求項11】
メモリと、プロセッサと、前記メモリに記憶され、前記プロセッサ上で実行可能なコンピュータプログラムと、を含む電子機器であって、
前記プロセッサは、前記コンピュータプログラムを実行すると、
請求項
7~
10のいずれか1項に記載のデュプレクサ制御方法を実現する電子機器。
【請求項12】
コンピュータ読み取り可能な記憶のための記憶媒体であって、
1つ又は複数のプロセッサによって実行されて、請求項
7~
10のいずれか1項に記載のデュプレクサ制御方法を実現する1つ又は複数のプログラムを記憶している記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、出願番号が202010827160.9、出願日が2020年08月17日の中国特許出願に基づいて提出され、当該中国特許出願の優先権を主張しており、当該中国特許出願の全ての内容はここで参照として本願に組み込まれている。
【0002】
本願は、通信の技術分野に関し、特に、デュプレクサ、ネットワーク機器、制御方法、電子機器、及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0003】
従来の屋外ユニット(ODU:Out Door Unit)製品はデュプレクサ設計を採用している。従来のデュプレクサは、一般的に動作周波数が調整できず、柔軟性が悪く、適用範囲が狭い。例えば、機器のメーカーは事業者のデュプレクサに要求される周波数帯に応じて出荷しているが、周波数帯(例えば23Gは21.2G~23.6G)ごとにいくつかのサブバンドに分かれており、タイムリーに出荷するためにはサブバンドごとに一定量のデュプレクサ予備品の在庫品を用意する必要があり、貨物が滞積しやすい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
[発明の内容]
本願の実施例は、デュプレクサ、ネットワーク機器、制御方法、電子機器、及び記憶媒体を提案しており、誘電体同調部材とフィルタとの相対位置を制御することにより、デュプレクサの動作周波数を調整する目的を達成し、デュプレクサの柔軟性を向上させて適用範囲を広げ、さらに生産者の在庫品についてのプレッシャーを低減させるなど、関連する技術的課題の1つを少なくともある程度解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上に鑑み、本願の実施例は、
デュプレクサであって、
フィルタと、
誘電体同調部材と、
前記誘電体同調部材に接続され、前記誘電体同調部材と前記フィルタとの相対位置を制御して、前記デュプレクサの動作周波数を調整するように構成される制御モジュールと、を含むデュプレクサを提供する。
【0006】
本願の実施例はまた、
前記デュプレクサと、
前記デュプレクサに接続され、前記デュプレクサに制御信号を送信して、前記デュプレクサの動作周波数を調整するように構成される主制御モジュールと、を含むネットワーク機器を提供する。
【0007】
本願の実施例はまた、
デュプレクサ制御方法であって、
前記デュプレクサは、フィルタと誘電体同調部材と、を含み、
前記方法は、
制御信号を取得するステップと、
前記制御信号に基づいて駆動信号を出力して、前記誘電体同調部材と前記フィルタとの相対位置を制御するステップと、を含むデュプレクサ制御方法を提供する。
【0008】
本願の実施例はまた、
メモリと、プロセッサと、前記メモリに記憶され、前記プロセッサ上で実行可能なコンピュータプログラムと、を含む電子機器であって、
前記プロセッサは、前記コンピュータプログラムを実行すると、
前記方法を実現する電子機器を提供する。
【0009】
本願の実施例はまた、
コンピュータ読み取り可能な記憶のための記憶媒体であって、
1つ又は複数のプロセッサによって実行されて、前記方法を実現する1つ又は複数のプログラムを記憶している記憶媒体を提供する。
【0010】
本願の他の特徴及び利点は、後の明細書で説明され、本明細書から部分的に明らかになるか、又は本願を実施することによって理解される。本願の目的及び他の利点は、明細書、特許請求の範囲、及び図面において特に指摘された構成によって達成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本願の第1態様の実施例によるデュプレクサの構造概略図である。
【
図2】本願の第1態様の実施例によるフィルタの構造概略図である。
【
図3】本願の第1態様の別の実施例によるデュプレクサの構造概略図である。
【
図4】本願の第1態様の別の実施例によるデュプレクサの構造概略図である。
【
図5】本願の第1態様の別の実施例によるデュプレクサの構造概略図である。
【
図6】本願の第1態様の別の実施例によるデュプレクサの構造概略図である。
【
図7】本願の第1態様の別の実施例によるデュプレクサの構造概略図である。
【
図8】本願の一実施例のE面フィルタの等価回路図である。
【
図9】本願の第1態様の別の実施例によるデュプレクサの構造概略図である。
【
図10】本願の第1態様の別の実施例によるデュプレクサの構造概略図である。
【
図11】本願の第1態様の別の実施例によるデュプレクサの構造概略図である。
【
図12】本願の第2態様の実施例によるネットワーク機器の構造概略図である。
【
図13】本願の第3態様の実施例によるデュプレクサ制御方法のフローチャートである。
【
図14】本願の第3態様の別の実施例によるデュプレクサ制御方法のフローチャートである。
【
図15】本願の第3態様の別の実施例によるデュプレクサ制御方法のフローチャートである。
【
図16】本願の第3態様の別の実施例によるデュプレクサ制御方法のフローチャートである。
【
図17】本願の第3態様の別の実施例によるデュプレクサ制御方法のフローチャートである。
【
図18】本願の第3態様の別の実施例によるデュプレクサ制御方法のフローチャートである。
【
図19】本願の実施例に係る電子機器の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本願の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下では、図面及び実施例を参照して、本願をさらに詳細に説明する。なお、ここで説明されるいくつかの実施例では、実施例は単に本願を解釈するために使用され、本願を限定するものではない。本願の実施例及び実施例の特徴は、矛盾しない限り、互いに任意に組み合わせてもよい。
【0013】
以下の説明では、「モジュール」、「部材」、又は「ユニット」のような要素を表すために使用される接尾辞は、本願の説明を容易にするためにのみ使用され、それ自体に固有の意味はない。これにより、「モジュール」、「部材」又は「ユニット」は交換して使用してもよい。
【0014】
なお、機能モジュール分割は装置の概略図に示され、論理的順序はフローチャートに示されているが、示された又は説明されたステップは、場合によっては、装置のモジュール分割又はフローチャートに示された順序とは異なるもので実行されてもよい。明細書及び特許請求の範囲、並びに上記の図面における用語「第1」、「第2」などは、特定の順序又は優先順位を説明するために使用されるのではなく、類似の対象を区別するために使用される。
【0015】
デュプレクサ:異周波複信局であって、中継局の主要な部材であり、送信信号と受信信号を分離し、受信と送信が同時に正常に行われることを確保する役割を果たす。これは周波数の異なる2組のバンドパスフィルタで構成されており、自機送信信号が受信機に送信されないようにする。
【0016】
従来の屋外ユニット(ODU:Out Door Unit)製品はデュプレクサ設計を採用しており、デュプレクサはODU全体の中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)に通信可能に接続されている。従来のデュプレクサは、一般的に動作周波数が調整できず、柔軟性が悪く、適用範囲が狭い。例えば、機器のメーカーは事業者のデュプレクサに要求される周波数帯に応じて出荷しているが、周波数帯(例えば23Gは21.2G~23.6G)ごとにいくつかのサブバンドに分かれており、タイムリーに出荷するためにはサブバンドごとに一定量のデュプレクサ予備品の在庫品を用意する必要があり、貨物が滞積しやすい。1種類のハードウェア在庫品を使用して1つの周波数帯域をカバーし、在庫予備品を削減するという目的を達成するためには、ハードウェアを交換することなく、現場の周波数ニーズに合わせてデュプレクサの動作周波数を調整できる周波数調整可能なデュプレクサを開発する必要がある。
【0017】
上記に基づいて、本願は、デュプレクサの周波数を調整可能にし、デュプレクサの柔軟性を向上させて適用範囲を広げ、生産者の在庫品についてのプレッシャーを低減させることができるデュプレクサ、ネットワーク機器、制御方法、電子機器、及び記憶媒体を提案する。
【0018】
以下、具体的な実施例を参照して、本願の技術案について説明する。
第1態様では、
図1に示すように、本願の実施例は、
フィルタ100と、
誘電体同調部材200と、
誘電体同調部材200に接続され、誘電体同調部材200とフィルタ100との相対位置を制御して、デュプレクサの動作周波数を調整するように構成される制御モジュール300と、を含むデュプレクサを提供する。
【0019】
いくつかの実施例では、デュプレクサの誘電体同調部材とフィルタ(内部金属シート)との相対位置は、デュプレクサの電気的性能(例えば、動作周波数)を決定する重要な要素の1つである。デュプレクサの制御モジュールは、誘電体同調部材とフィルタとの相対位置を制御して、デュプレクサの動作周波数を調整する目的を達成することができる。複数の周波数のデュプレクサが必要な場合、誘電体同調部材とフィルタとの相対位置を調整することによって、デュプレクサの動作周波数を調整することができ、これにより、デュプレクサの柔軟性を向上させて適用範囲を広げ、サブバンドごとに所定量のデュプレクサ予備品の在庫品を用意する必要があるという問題を回避し、生産者の在庫品についてのプレッシャーを低減させることができる。
【0020】
いくつかの実施例では、誘電体同調部材200は誘電体同調レバーである。
いくつかの実施例では、
図2に示すように、フィルタ100は、送信フィルタ110、送信アイソレータ120、送信用導波管ポート130、受信フィルタ140、受信アイソレータ150、受信用導波管ポート160、サーキュレータ170、ローパスフィルタ180、及びアンテナ用導波管ポート190を含む。送信アイソレータ120及び受信アイソレータ150は信号を分離してフィルタリングする役割を果たし、サーキュレータ170は3ポートデバイスであり、サーキュレータを通過した信号はサーキュレータの矢印方向に伝送される。
【0021】
いくつかの実施例では、ODUのCPUからの無線周波数信号は、送信用導波管ポート130からフィルタ100に入り、送信アイソレータ120(矢印方向に伝送)、送信フィルタ110、サーキュレータ170、ローパスフィルタ180を経て、アンテナ用導波管ポート190に至り、アンテナ用導波管ポート190からの無線周波数信号は、ローパスフィルタ180、サーキュレータ170、受信フィルタ140、受信アイソレータ150(矢印方向に伝送)を通過し、受信用導波管ポート160に至り、ODUのCPUに入力され、このようにして、送信信号及び受信信号のバンドパスフィルタリングが行われる。
【0022】
いくつかの実施例では、制御モジュール300は、調整可能なフィルタ制御ボード(TFCB:Tunable Filter Controlled Board)を採用してもよい。TFCBはスタンドアロンモジュールとしてデュプレクサに直接組み込まれ、12Pinインタフェース線を介してODU全体のCPUと通信し、CPUからの制御信号を受信してもよい。
【0023】
いくつかの実施例では、
図3に示すように、制御モジュール300は、
制御信号を取得し、制御信号に基づいて駆動信号を出力するように構成される処理ユニット310と、
処理ユニット310に接続され、駆動信号を受信し、駆動信号に基づいてモータユニットを駆動するように構成される駆動ユニット320と、
駆動ユニット320と誘電体同調部材200にそれぞれ接続され、誘電体同調部材200とフィルタ100との相対位置を制御するように構成されるモータユニット330と、を含む。
【0024】
いくつかの実施例では、制御モジュール300は、順次接続された処理ユニット310、駆動ユニット320、及びモータユニット330を含む。処理ユニット310は、CPUからの制御信号を取得し、制御信号に基づいて駆動信号を駆動ユニット320に出力し、駆動ユニット320は、駆動信号に基づいてモータユニット330を駆動し、モータユニット330は、誘電体同調部材200を変位させることにより、誘電体同調部材200とフィルタ100との相対位置を変化させ、これによって、デュプレクサの動作周波数を調整する。
【0025】
いくつかの実施例では、処理ユニット310は、プロセッサ又はコントローラ(例えば、PLCコントローラ、PIDコントローラなど)を用いてもよい。駆動ユニット320は、モータ駆動チップを用いてもよい。
【0026】
いくつかの実施例では、
図4に示すように、モータユニット330は、
誘電体同調部材200に接続された昇降アセンブリ331と、
昇降アセンブリ331に接続され、昇降アセンブリ331の変位を制御して、誘電体同調部材200とフィルタ100との相対位置を制御するように構成される伝動アセンブリ332と、
駆動ユニット320と伝動アセンブリ332にそれぞれ接続され、伝動アセンブリ332を駆動するように構成されるモータ333と、を含む。
【0027】
いくつかの実施例では、モータユニット330は、順次接続されたモータ333、伝動アセンブリ332、及び昇降アセンブリ331を含む。駆動ユニット320は、モータ333を駆動し、モータ333は、伝動アセンブリ332を回転させ、伝動アセンブリ332は、誘電体同調部材200に固定して接続された昇降アセンブリ331を上昇又は降下させ、誘電体同調部材200を変位させて、誘電体同調部材200とフィルタ100との相対位置を変化させ、これによって、デュプレクサの動作周波数を調整する。
【0028】
いくつかの実施例では、昇降アセンブリ331は貫通孔を有する昇降板を採用してもよい。誘電体同調部材200はこの貫通孔を介して昇降板に固定して接続され、昇降板の上昇又は降下により誘電体同調部材200が変位し、誘電体同調部材200とフィルタ100との相対位置が変化し、これによって、デュプレクサの動作周波数を調整する。
【0029】
いくつかの実施例では、
図5に示すように、伝動アセンブリ332は、
モータ333に接続された歯車3321と、
歯車3321に接続され、昇降アセンブリ331に螺合され、歯車3321に追従して回転して、昇降アセンブリ331の変位を制御するように構成されるねじ軸3322と、を含む。
【0030】
いくつかの実施例では、伝動アセンブリ332は、接続された歯車3321及びねじ軸3322を含み、モータ333は歯車3321を回転させ、歯車3321はねじ軸3322を回転させ、ねじ軸3322は誘電体同調部材200に固定して接続された昇降アセンブリ331を上昇又は降下させ、誘電体同調部材200を変位させて、誘電体同調部材200とフィルタ100との相対位置を変化させ、これによって、デュプレクサの動作周波数を調整する。
【0031】
なお、伝動アセンブリ332がプーリ伝動を採用している場合、ベルトに加硫と老化のリスクがあり、しかもベルトの低温での引張力が不十分であるため、-40℃の温度では伝動できないという問題が生じる。本実施例では、歯車伝動を採用していることにより、上記課題をうまく解決することができる。さらに、本実施例は、歯車と昇降アセンブリとをねじ軸で接続しており、ねじ軸は伝動ストロークを正確に制御することができるので、昇降アセンブリの変位精度及び零点位置の較正精度を効果的に向上させることができる。
【0032】
いくつかの実施例では、
図6に示すように、モータユニット330は、
誘電体同調部材200の変位を制限するように構成される制限アセンブリ334と、
制御モジュール300に接続され、誘電体同調部材200の変位データを検出して制御モジュール300に送信するように構成されるホールセンサ335と、をさらに含み、
制御モジュール300はさらに、変位データに基づいて誘電体同調部材200の零点位置を決定するように構成される。
【0033】
いくつかの実施例では、モータユニット330は、制限アセンブリ334とホールセンサ335をさらに含む。制限アセンブリ334は、誘電体同調部材200の変位を制限するように構成される。なお、昇降アセンブリ331は誘電体同調部材200に固定して接続されているので、誘電体同調部材200の変位データを昇降アセンブリ331の変位データと呼んでもよい。ホールセンサ335は、昇降アセンブリ331の変位データを検出し、制御モジュール300の処理ユニット310に送信し、処理ユニット310は、昇降アセンブリ331の変位データに基づいて誘電体同調部材200の零点位置を決定する。なお、昇降アセンブリ331は誘電体同調部材200に固定して接続されているので、誘電体同調部材200の零点位置を昇降アセンブリ331の零点位置と呼んでもよい。
【0034】
いくつかの実施例では、ホールセンサ335が昇降アセンブリ331の変位データを検出する具体的な方法は、以下のとおりである。歯車3321には複数の磁石が取り付けられており、歯車3321が回転するとホールセンサ335は歯車3321の回転をリアルタイムで検出し、歯車3321の回転と昇降アセンブリ331が発生する変位データとの関係が既知であるため、ホールセンサ335は歯車3321の回転を検出することで昇降アセンブリ331の変位データを検出することができる。
【0035】
いくつかの実施例では、ホールセンサ335の代わりとして、他の磁気センサを使用することも可能である。
【0036】
いくつかの実施例では、昇降アセンブリ331の零点位置は、機械的零点及び電気的零点を含む。機械的零点は、昇降アセンブリ331の制限アセンブリ334と一致する位置であり、電気的零点は、機械的零点から予め設定された駆動ステップ値だけ異なる。すなわち、昇降アセンブリ331が機械的零点に到達した後、予め設定された駆動ステップ値の駆動信号を出力して、昇降アセンブリ331を制御して一定の距離だけ移動させることにより、電気的零点に到達する。具体的には、システムが電源投入された後、十分な駆動信号が出力され、昇降アセンブリ331が制限アセンブリ334と一致する位置まで降下するように制御され、このとき、モータ333はそれ以上の回転ができず、ホールセンサ335も昇降アセンブリ331の変位データを処理ユニット310にフィードバックしなくなり、すなわち、昇降アセンブリ331が機械的零点に到達したとみなす。昇降アセンブリ331を制御して一定の距離だけ上昇させ続けると、電気的零点に到達する。その後のデュプレクサの動作周波数の調整は全て電気的零点を基準とし、すなわち、デュプレクサの動作周波数を調整するたびに、まず、電気的零点に戻るように昇降アセンブリ331を制御し、昇降アセンブリ331は誘電体同調部材200に固定して接続されているので、昇降アセンブリ331が電気的零点に戻ることは、誘電体同調部材200が零点に戻ることと同等である。次に、誘電体同調部材200とフィルタ100とを制御して相対位置を変化させ、これによって、デュプレクサの動作周波数を調整する。
【0037】
なお、デュプレクサの動作周波数を調整するたびに、昇降アセンブリ331が機械的零点に戻ることではなく、昇降アセンブリ331が電気的零点に戻ることを基準とすることにより、周波数を調整するたびに昇降アセンブリ331が制限アセンブリ334と一致する位置に到達する必要があることによるアセンブリの摩耗や衝突を回避し、アセンブリの使用時間を延長することができる。
【0038】
本実施例では、光電デバイスを使用すると、光が遮断されるなどの原因で、検出される零点の位置が正確でなく、調整されたデュプレクサの動作周波数が正確でない可能性があることから、光電デバイス(赤外線センサや光センサなど)を検出に使用するのではなく、ホールセンサ+機械的零点と電気的零点を用いて検出する。このように、本実施例では、ホールセンサ+機械的零点と電気的零点を用いて零点位置の検出を行うことにより、検出精度を向上させることができるとともに、光電デバイスの導入に伴うコストの問題を解決することができる。
【0039】
いくつかの実施例では、
図7に示すように、制御モジュール300は、
処理ユニット310に接続され、制御信号と駆動ステップ値とのマッピング関係を記憶するように構成される記憶ユニット340をさらに含み、
処理ユニット310は、制御信号に基づいて対応する駆動ステップ値を取得し、駆動ステップ値に基づいて駆動信号を出力するように構成される。
【0040】
いくつかの実施例では、制御モジュール300は、制御信号と駆動ステップ値とのマッピング関係を記憶するように構成される記憶ユニット340をさらに含む。処理ユニット310は、ODUのCPUからの制御信号を受信し、制御信号と駆動ステップ値とのマッピング関係を記憶ユニットから呼び出し、制御信号に基づいて対応する駆動ステップ値を取得し、駆動ステップ値に基づいて駆動信号を出力する。
【0041】
以上より、デュプレクサの動作周波数が調整される毎に、ODUのCPUは、デュプレクサの動作周波数に対応する制御信号を処理ユニット310に送信する。処理ユニット310は、まず、電気的零点に戻るように昇降アセンブリ331を制御し、制御信号に基づいて対応する駆動ステップ値を検索し、駆動ステップ値に基づいて対応する駆動信号を出力して、昇降アセンブリ331(又はモータ333)を駆動して対応するステップ値を進め、これにより、誘電体同調部材200とフィルタ100とを制御して相対位置を変化させ、デュプレクサの動作周波数を所望の周波数に調整することができる。
【0042】
いくつかの実施例では、フィルタ100は、
内部に金属シートが配置され、中間にキャビティが形成されたハウジングを含み、
誘電体同調部材200はキャビティ内に配置される。
【0043】
いくつかの実施例では、フィルタ100はE面フィルタである。E面フィルタは金属シートと空導波管を交互にカスケードしたものと見なすことができ、金属シートはT型ネットワークと等価であり、空導波管は平行双線路と等価であり、その等価回路は
図8に示され、X
S1、X
S2、X
S3及びX
S4は等価直列リアクタンスであり、X
P1、X
P2は等価並列リアクタンスである。キャビティ内における誘電体同調部材200の位置、すなわちE面フィルタにおける金属シートに対する誘電体同調部材200の位置を変更することにより、等価直列リアクタンスX
S1、X
S2、X
S3及びX
S4と等価並列リアクタンスX
P1、X
P2の値を変更することができ、これによって、E面フィルタの属性パラメータを変更し、デュプレクサの動作周波数を調整することができる。
【0044】
なお、いくつかの実施例では、
図9に示すように、駆動ユニット320、モータユニット330、送信用導波管ポート130、受信用導波管ポート160、及びアンテナ用導波管ポート190は、一体的に設計され、E面フィルタを形成するために金属シートが埋め込まれたハウジング400を有する。
【0045】
以下、特定の実施例をもって、本願のデュプレクサの動作原理を説明する。
図10に示すように、歯車ボックス410と、ねじ軸3322と、昇降板420と、誘電体同調部材200と、を備える。ホールセンサ335、モータ333、歯車3321は、いずれも歯車ボックス410内に収納されている。
図11に示すように、昇降板420には制限ポスト421が設けられ、ねじ軸3322には制限ピン422が設けられている。なお、逆方向駆動信号は昇降アセンブリを逆方向に変位させるように構成され、逆方向変位とは、昇降アセンブリが制限アセンブリに近づく方向に変位することを意味する。順方向駆動信号は昇降アセンブリを順方向に変位させるように構成され、順方向変位とは、昇降アセンブリが昇降アセンブリから離れる方向に変位することを意味する。
【0046】
1)デュプレクサの電源が入り、制御モジュールは十分な逆方向駆動信号を出力して、モータ333は正転し、ねじ軸3322を時計回りに回転させ、昇降板420の制限ポスト421が制限ピン422に接触するまで昇降板420を降下させ(すなわち逆方向変位)(
図11は制限ポスト421が制限ピン422に接触したときの構造図である)、この点の位置は機械的零点である。
【0047】
2)機械的零点に到達した後、モータ333は回転不能となり、ホールセンサ335は信号をフィードバックしなくなる。連続するN回の逆方向駆動信号内でホールセンサ335のフィードバック信号が受信されなければ、機械的零点に到達したと判定するようにしてもよい。
【0048】
3)制御モジュールは引き続き十分な順方向駆動信号を出力して、モータ333は反転し、ねじ軸3322を反時計回りに回転させ、一定の数の順方向駆動信号を出力して、昇降板420を一定の安全な距離だけ上昇させる(すなわち順方向変位)と、この点の位置を電気的零点にしてもよい。
【0049】
4)電気的零点の位置が確認された後、デュプレクサの動作周波数を調整するたびに、この電気的零点を基準として、誘電体同調部材200とE面フィルタとの相対位置を正確に調整し、デュプレクサの動作周波数を調整する。
【0050】
第2態様では、
図12に示すように、本願の実施例は、
第1態様に記載のデュプレクサ500と、
デュプレクサ500に接続され、デュプレクサ500に制御信号を送信して、デュプレクサ500の動作周波数を調整するように構成される主制御モジュール600と、を含むネットワーク機器を提供する。
【0051】
いくつかの実施例では、主制御モジュール600は、第1態様に記載のODUのCPUである。デュプレクサ500はCPUに通信可能に接続され、CPUからの制御信号を受信し、制御信号に基づいてデュプレクサ500の動作周波数を調整する。具体的な調整プロセスは、第1態様の実施例の説明を参照すればよいので、ここでは詳しく説明しない。
【0052】
第3態様では、本願の実施例は、第1態様に記載のデュプレクサに適用されるデュプレクサ制御方法を提供する。いくつかの実施例では、
図13に示すように、この方法はステップS100とステップS200を含む。
【0053】
ステップS100:制御信号を取得する。
ステップS200:制御信号に基づいて駆動信号を出力して、誘電体同調部材とフィルタとの相対位置を制御する。
【0054】
いくつかの実施例では、デュプレクサの誘電体同調部材とフィルタ(内部金属シート)との相対位置は、デュプレクサの電気的性能(例えば、動作周波数)を決定する重要な要素の1つである。デュプレクサは制御信号を取得し、制御信号に基づいて駆動信号を出力して誘電体同調部材とフィルタとの相対位置を制御し、これによって、デュプレクサの動作周波数を調整する目的を達成し、デュプレクサの柔軟性を向上させて適用範囲を広げ、生産者の在庫品についてのプレッシャーを低減させる。
【0055】
いくつかの実施例では、
図14に示すように、ステップS200は、ステップS210とステップS220を含む。
【0056】
ステップS210:制御信号に基づいて対応する駆動ステップ値を取得する。
ステップS220:駆動ステップ値に基づいて駆動信号を出力して、誘電体同調部材とフィルタとの相対位置を制御する。
【0057】
いくつかの実施例では、デュプレクサは、ODUのCPUからの制御信号を受信し、制御信号と駆動ステップ値とのマッピング関係を記憶ユニットから呼び出し、制御信号に基づいて対応する駆動ステップ値を取得し、駆動ステップ値に基づいて駆動信号を出力する。
【0058】
いくつかの実施例では、
図15に示すように、ステップS100の前に、ステップS110~ステップS130をさらに含む。
【0059】
ステップS110:第1逆方向駆動信号を出力して、制限アセンブリと一致する位置まで昇降アセンブリを制御して逆方向に変位させ、昇降アセンブリの変位データを継続的に取得する。
【0060】
ステップS120:連続するN個(Nは第1所定値である。)の駆動ステップ値の逆方向駆動信号では対応する変位データを取得していない場合、昇降アセンブリが機械的零点に到達したと判定する。
【0061】
いくつかの実施例では、デュプレクサの動作周波数を調整する前に、デュプレクサの零点位置を検出し、較正する必要がある。具体的には、デュプレクサは、まず、第1逆方向駆動信号を出力して、制限アセンブリと一致する位置まで昇降アセンブリを制御して逆方向に変位させ、昇降アセンブリが機械的零点に到達したか否かを検出するために、昇降アセンブリの変位データを継続的に取得する。連続するN個の駆動ステップ値の第2逆方向駆動信号では対応する変位データを取得していない場合、昇降アセンブリはすでに制限アセンブリと一致する位置に達していることを示しており、この時点でモータはそれ以上回転できなくなり、昇降アセンブリを引き続き変位させることができない。したがって、連続するN個の駆動ステップ値の逆方向駆動信号内で対応する変位データを取得していない場合、昇降アセンブリが機械的零点に到達したと判定する。ここで、Nは第1所定値である。実施の過程では、電気伝送などの原因により変位データの取得漏れが発生する可能性があり、もし変位データを取得しないと検出した直後に昇降アセンブリが機械零点に到達したと判定したら、誤判定の恐れがある。本実施例では、連続するN個の駆動ステップ値の第2逆方向駆動信号では対応する変位データを取得していない場合にのみ、昇降アセンブリが機械的零点に到達したと判定するような判断機構により、誤判定の確率を低減し、機械的零点の検出精度を効果的に向上させる。
【0062】
いくつかの例では、実験の結果、Nを10に設定すると、機械的零点の検出精度が向上し、検出時間が長くなるのを避けることができるので好ましい。
【0063】
いくつかの実施例では、
図16に示すように、ステップS120の後に、ステップS130をさらに含む。
【0064】
ステップS130:M個(Mは第2所定値である。)の駆動ステップ値の第1順方向駆動信号を出力して、昇降アセンブリを制御して順方向に変位させ、昇降アセンブリを電気的零点にする。
【0065】
いくつかの実施例では、昇降アセンブリが機械的零点に到達したと判定した後、デュプレクサは、M個の駆動ステップ値の第1順方向駆動信号を出力し続け、昇降アセンブリを制御して順方向に変位させ、昇降アセンブリを電気的零点にする。ここでは、Mは第2所定値であり、システムにおいて予め設定されている。それ以降、デュプレクサの動作周波数を調整するたびに、昇降アセンブリが電気的零点に戻ることを基準とする。
【0066】
なお、デュプレクサの動作周波数を調整するたびに、昇降アセンブリが機械的零点に戻ることではなく、昇降アセンブリが電気的零点に戻ることを基準とすると、調整するたびに昇降アセンブリが制限アセンブリと一致する位置に到達する必要があることによるアセンブリの摩耗や衝突を回避し、アセンブリの使用時間を延長することができる。
【0067】
本実施例では、光電デバイスを使用すると、光が遮断されるなどの原因で、検出される零点の位置が正確でなく、調整されたデュプレクサの動作周波数が正確でない可能性があることから、光電デバイス(赤外線センサや光センサなど)を検出に使用するのではなく、ホールセンサ+機械的零点と電気的零点を用いて検出する。このように、本実施例では、ホールセンサ+機械的零点と電気的零点を用いて零点位置の検出を行うことにより、検出精度を向上させることができるとともに、光電デバイスの導入に伴うコストの問題を解決することができる。
【0068】
いくつかの実施例では、
図17に示すように、ステップS120の後に、ステップS140~ステップS160をさらに含む。
【0069】
ステップS140:第2順方向駆動信号を出力して、昇降アセンブリを制御して機械的零点から順方向に変位させ、駆動ステップ値を継続的に記録し、昇降アセンブリの変位データを継続的に取得する。
【0070】
ステップS150:連続するK個の駆動ステップ値の第3順方向駆動信号では対応する変位データを取得していない場合、記録された駆動ステップ値が第3所定値を満たすか否かを判断する。
【0071】
ステップS160:判断結果に基づいて機械的零点を検証する。
いくつかの実施例では、昇降アセンブリを制御して電気的零点にした後、機械的零点(又は電気的零点)が正確であるか否かを検証する必要もある。具体的には、昇降アセンブリを制御して電気的零点にした後、デュプレクサは、さらに第2順方向駆動信号を出力して、昇降アセンブリを制御して機械的零点から順方向に変位させ、駆動ステップ値を継続的に記録し、昇降アセンブリの変位データを継続的に取得する。連続するK個の駆動ステップ値の第3順方向駆動信号では対応する変位データを取得していない場合、昇降アセンブリは変位不能な場所(例えば
図10の歯車ボックス)に変位しており、それ以上変位することができないことを示している。このとき、記録された駆動ステップ値が第3所定値を満たすか否かを判断する。第3所定値を満たす場合、機械的零点位置は正確である。事業者又は生産者にとって、機械的零点から昇降アセンブリが変位できない場所までの距離が一定であれば、昇降アセンブリを機械的零点から変位できない場所まで変位させるのに必要な駆動ステップ値の数も一定であることが理解できる。
【0072】
例えば、昇降アセンブリを機械的零点から変位不能な場所に変位させるのに必要な駆動ステップ値は4200個であり、機械的零点と電気的零点の駆動ステップ値は20個である。まず、第1逆方向駆動信号を出力して、昇降アセンブリを制御して制限アセンブリと一致する位置まで逆方向に変位させ、このとき、モータは回転することができず、ホールセンサも昇降アセンブリの変位データをフィードバックしなくなり、昇降アセンブリが機械的零点に到達したと予備的に判定する。その後、10個(すなわち、N=10)の駆動ステップ値の第2逆方向駆動信号を出力し、この10個の駆動ステップ値の第2逆方向駆動信号内で昇降アセンブリの変位データが連続して取得されない場合、昇降アセンブリが機械的零点に到達したと判定される。次いで、さらに20個(すなわち、M=20)の駆動ステップ値の第1順方向駆動信号を出力し、昇降アセンブリを電気的零点まで順方向に変位させる。このとき、記録された駆動ステップ値は20である。その後、さらに第2順方向駆動信号を出力し、昇降アセンブリを順方向に変位させ続ける。昇降アセンブリが、変位不能な場所まで順方向変位を続けると、それ以上の変位は不可能になる。さらに10個(すなわち、K=10)の駆動ステップ値の第3順方向駆動信号を出力し、この10個の駆動ステップ値の第3順方向駆動信号内で昇降アセンブリの変位データが持続して取得されない場合、記録された駆動ステップ値が第3所定値を満たすか否かを判断する。この時点で記録されている駆動ステップ値が4210であれば、第3所定値(昇降アセンブリを機械的零点から変位不能な場所に変位させるのに必要な駆動ステップ値は4200であり、その後、さらに10個の駆動ステップ値が出力されるため、第3所定値は理論的に4210である)を満たし、これによって、昇降アセンブリの電気的零点の位置が正確であることが検証されている。昇降アセンブリの電気的零点の位置が間違っている場合、上記のステップを再度実行して、昇降アセンブリの電気的零点の位置が正確であるか否かを再検証する。
【0073】
なお、もし前回の動作周波数の調整後の昇降アセンブリの位置に誤差が存在するならば、後続の周波数の調整には誤差が重なり、調整する周波数がますます不正確になることから、前回の動作周波数の調整後の昇降アセンブリの位置をもとに調整するのではなく、デュプレクサの動作周波数を調整するたびに、昇降アセンブリが電気的零点に戻ることを基準とする。したがって、本実施例では、デュプレクサの動作周波数を調整するたびに、昇降アセンブリが電気的零点に戻ることを基準としているので、電気的零点の較正と検証は特に重要になり、これによって、以前の誤差が今回の周波数調整に影響を与えることを効果的に回避でき、周波数調整の精度を高めることができる。
【0074】
いくつかの実施例では、
図18に示すように、ステップS200は、ステップS210~ステップS230を含む。
【0075】
ステップS210:制御信号に基づいて第3逆方向駆動信号及び第4順方向駆動信号を取得する。
【0076】
ステップS220:第3逆方向駆動信号を出力して、昇降アセンブリを制御して電気的零点にする。
【0077】
ステップS230:第4順方向駆動信号を出力して、誘電体同調部材とフィルタとの相対位置を制御する。
【0078】
いくつかの実施例では、昇降アセンブリが現在ちょうど電気的零点にあれば、電気的零点に戻る必要がなく、デュプレクサは、制御信号に基づいて対応する駆動ステップ値を直接取得し、駆動ステップ値に基づいて第4順方向駆動信号を出力して、誘電体同調部材とフィルタとの相対位置を制御する。
【0079】
いくつかの実施例では、昇降アセンブリが現在電気的零点になければ、周波数の調整を開始する前に、電気的零点に戻す必要がある。前回デュプレクサの動作周波数が予め設定された周波数F1に調整され、デュプレクサが出力する駆動信号に対応する駆動ステップ値がX個であった場合、今回デュプレクサの動作周波数を調整する際には、まず、X個の駆動ステップ値の逆方向駆動信号(すなわち第3逆方向駆動信号)を出力して、電気的零点に戻るように昇降アセンブリを制御する必要がある。いくつかの実施例では、前回出力された駆動ステップ値の数Xが記憶ユニットに記憶され、デュプレクサは記憶ユニットからXを取得し、Xに基づいてX個の駆動ステップ値の逆方向駆動信号を出力する。電気的零点に戻るように昇降アセンブリを制御した後、ODUのCPUからの制御信号を受信し、この制御信号は、今回デュプレクサの動作チャネルをどの周波数に調節するかを示す。制御信号と駆動ステップ値とのマッピング関係を記憶ユニットから呼び出し、制御信号に基づいて対応する駆動ステップ値を取得し、駆動ステップ値に基づいて第4順方向駆動信号を出力して、誘電体同調部材とフィルタとの相対位置を制御して、デュプレクサの動作周波数を調整する。
【0080】
第4態様では、
図19に示すように、本願の実施例は、メモリ1901と、プロセッサ1902と、メモリ1901に記憶され、プロセッサ1902上で実行可能なコンピュータプログラムとを含む電子機器であって、プロセッサ1902は、コンピュータプログラムを実行すると、
第3態様の前記デュプレクサ制御方法のステップを実現する電子機器を提供する。
【0081】
第5態様では、本願の実施例は、1つ又は複数のプロセッサによって実行されて、第3態様の前記デュプレクサ制御方法のステップを実現する1つ又は複数のプログラムを記憶しているコンピュータ読み取り可能な記憶のための記憶媒体を提供する。
【0082】
本願の実施例によるデュプレクサ、ネットワーク機器、制御方法、電子機器、及び記憶媒体では、誘電体同調部材とフィルタとの相対位置を制御することにより、フィルタ等価回路のリアクタンスパラメータを変更し、それにより、フィルタの属性パラメータを変更し、デュプレクサの動作周波数を調整する目的を達成する。複数の周波数のデュプレクサが必要な場合、誘電体同調部材とフィルタとの相対位置を調整することによって、デュプレクサの動作周波数を調整することができ、これにより、デュプレクサの柔軟性を向上させて適用範囲を広げ、サブバンドごとに所定量のデュプレクサ予備品の在庫品を用意する必要があるという問題を回避し、生産者の在庫品についてのプレッシャーを低減させることができる。
【0083】
当業者であれば、上記で開示された方法のステップ、システム、機器のすべて又はいくつかの機能モジュール/ユニットが、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、及びそれらの適切な組み合わせとして実装されてもよいことを理解する。
【0084】
ハードウェアの実施形態では、上記の説明に記載された機能モジュール/ユニット間の区分は、必ずしも物理的構成要素の区分に対応するものではなく、例えば、1つの物理的構成要素が複数の機能を有していてもよいし、複数の物理的構成要素が協働して1つの機能又はステップを実行していてもよい。物理的構成要素の一部又はすべては、中央処理装置、デジタル信号処理装置、マイクロプロセッサなどのプロセッサによって実行されるソフトウェアとして、又はハードウェアとして、又は特定用途向け集積回路などの集積回路として実装されてもよい。このようなソフトウェアは、コンピュータ記憶媒体(又は非一時的媒体)及び通信媒体(又は一時的媒体)を含むことができるコンピュータ読み取り可能な媒体上に配布することができる。当業者に周知のように、コンピュータ記憶媒体という用語は、情報(例えばコンピュータ読み取り可能な命令、データ構造、プログラムモジュール、又は他のデータ)を記憶するための任意の方法又は技術において実施される、揮発性及び不揮発性の、取り外し可能な、及び取り外し不可能な媒体を含む。コンピュータ記憶媒体は、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ又は他のメモリ技術、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)又は他の光ディスク記憶装置、磁気カートリッジ、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置や他の磁気記憶装置、又は所望の情報を記憶するために使用することができ、コンピュータによってアクセスすることができる他の任意の媒体を含むが、これらに限定されない。さらに、通信媒体は、通常、コンピュータ読み取り可能な命令、データ構造、プログラムモジュール、又は搬送波や他の送信機構のような変調データ信号中の他のデータを含み、任意の情報伝送媒体を含み得ることが当業者には周知である。
【0085】
以上、本願のいくつかの実施例は図面を参照して説明されているが、本願の特許請求の範囲を限定するものではない。当業者が本願の範囲から逸脱せず、かつ、本質的に行う補正、均等置換及び改良は全て本願の特許範囲内に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0086】
フィルタ100、誘電体同調部材200、制御モジュール300、処理ユニット310、駆動ユニット320、モータユニット330、昇降アセンブリ331、伝動アセンブリ332、歯車3321、ねじ軸3322、モータ333、制限アセンブリ334、ホールセンサ335、記憶ユニット340、ハウジング400、歯車ボックス410、昇降板420、制限ポスト421、制限ピン422、デュプレクサ500、主制御モジュール600