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特許7522922マレイミド変性の活性エステル及びその調製方法と使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-17
(45)【発行日】2024-07-25
(54)【発明の名称】マレイミド変性の活性エステル及びその調製方法と使用
(51)【国際特許分類】
   C08G 63/685 20060101AFI20240718BHJP
   C08G 63/19 20060101ALI20240718BHJP
   C08G 59/40 20060101ALI20240718BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20240718BHJP
   C08J 5/24 20060101ALI20240718BHJP
   B32B 27/38 20060101ALI20240718BHJP
   H05K 1/03 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
C08G63/685
C08G63/19
C08G59/40
C08L63/00 A
C08L63/00 C
C08J5/24 CFC
B32B27/38
H05K1/03 610H
H05K1/03 630H
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023514068
(86)(22)【出願日】2020-11-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-15
(86)【国際出願番号】 CN2020127671
(87)【国際公開番号】W WO2022088239
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2023-02-28
(31)【優先権主張番号】202011164355.6
(32)【優先日】2020-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514309583
【氏名又は名称】廣東生益科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHENGYI TECHNOLOGY CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【弁理士】
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】林 偉
(72)【発明者】
【氏名】黄 天輝
(72)【発明者】
【氏名】遊 江
(72)【発明者】
【氏名】許 永静
【審査官】小森 勇
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/098488(WO,A1)
【文献】特開平04-178422(JP,A)
【文献】特開平05-140272(JP,A)
【文献】特開昭54-004996(JP,A)
【文献】特開2018-044120(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110655791(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 63/00-63/91
C08G 59/00-59/72
C08L 63/00-63/10
C08J 5/24
B32B 27/38
H05K 1/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マレイミド変性の活性エステルであって、前記活性エステルの調製原料は式A1で表される構造を有するジフェノール類化合物、式A2で表される構造を有するジアシル基化合物及び式A3で表される構造を有するマレイミド基含有化合物を含むことを特徴とするマレイミド変性の活性エステル。
(ここで、Arは、
から選ばれ、
Ar は、
から選ばれ、
Ar は、
から選ばれ、
、R はそれぞれ独立して、フッ素、C1~C5直鎖又は分岐鎖アルキル基、C2~C5直鎖又は分岐鎖オレフィン基、
から選ばれ、
はC1~C5直鎖又は分岐鎖アルキレン基であり、
、n はそれぞれ独立して、0~4の整数から選ばれ、
は0~6の整数から選ばれ、
、Y はそれぞれ独立して、-O-、-S-、カルボニル基、スルホン基、置換又は非置換のC1~C20直鎖又は分岐鎖アルキレン基、置換又は非置換のC3~C30シクロアルキレン基、置換又は非置換のC6~C30アラルキレン基から選ばれ;前記置換する置換基はそれぞれ独立して、フッ素、C1~C5直鎖又は分岐鎖アルキル基、C6~C18アリール基から選ばれ、
mは0~10から選ばれる。
(ここで、Xは置換又は非置換のフェニレン基、置換又は非置換のビフェニレン基、置換又は非置換のナフチレン基、置換又は非置換のビフェニレンエーテル基から選ばれ、前記置換する置換基はそれぞれ独立して、フッ素、C1~C5直鎖又は分岐鎖アルキル基から選ばれ、
前記X は塩素、臭素、ヨウ素又は水酸基から選ばれる。
(ここで、Ar は置換又は非置換のフェニレン基、置換又は非置換のナフチレン基から選ばれ、前記置換する置換基はフッ素、C1~C5直鎖又は分岐鎖アルキル基から選ばれ、
前記R 、R がいずれも水素である。)
【請求項2】
前記Y、Yはそれぞれ独立して、-O-、-S-、C1~C5直鎖又は分岐鎖アルキレン基、
から選ばれる、
ことを特徴とする請求項1に記載の活性エステル。
【請求項3】
前記ジアシル基化合物とジフェノール類化合物とのモル比は1:(0.5~0.9)である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の活性エステル。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の活性エステルの調製方法であって、式A1で表される構造を有するジフェノール類化合物、式A2で表される構造を有するジアシル基化合物及び式A3で表される構造を有するマレイミド基含有化合物を反応させ、前記活性エステルが得られることを含む、ことを特徴とする活性エステルの調製方法。
【請求項5】
前記反応の温度は-10~60℃であり、
前記反応は塩基性触媒の存在で行い、
前記反応の保護ガス雰囲気で行い、
前記反応は溶媒の存在で行い、
前記反応は完了後、さらに生成物をポスト処理することを含む、ことを特徴とする請求項4に記載の調製方法。
【請求項6】
エポキシ樹脂と請求項1~3のいずれか1項に記載の活性エステルを含む、ことを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
【請求項7】
さらに、他の硬化剤、難燃剤、無機フィラー、有機フィラー又は硬化促進剤の任意の1種又は少なくとも2種の組み合わせを含む、ことを特徴とする請求項6に記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項8】
半導体封止材料の原料は請求項6または7に記載の熱硬化性樹脂組成物を含む、ことを特徴とする半導体封止材料。
【請求項9】
基材、及び浸漬・乾燥で前記基材に付着する請求項6または7に記載の熱硬化性樹脂組成物を含み、
前記基材はガラス繊維布、不織布又はクォーツクロスの任意の1種又は少なくとも2種の組み合わせを含む、ことを特徴とするプリプレグ。
【請求項10】
少なくとも1枚の請求項に記載のプリプレグ、及び前記プリプレグの一側又は両側に設置される金属箔を含む、ことを特徴とする回路基板。
【請求項11】
基材フィルム又は金属箔、及び前記基材フィルム又は金属箔の少なくとも1つの表面にコートされる請求項6または7に記載の熱硬化性樹脂組成物を含む、ことを特徴とする積層フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銅張板の技術分野に属し、具体的には、マレイミド変性の活性エステル及びその調製方法と使用に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信インターネット、ビッグデータ、クラウドコンピューティング、データセンター等の電子情報分野の急速な発展、並びにアプリーケーション携帯電話、基地局、モノのインターネット、自動車等のハード担体の進歩に伴い、電子材料及び電子部品等には、高速で、高周波と大容量記憶及び信号送信の機能を有することが求められている。また、電子デバイスの取り付けの小型化及び高密度化が進んでおり、基板材料には、信号高周波送信の需要を満足するための良好な誘電率及び誘電損失率だけでなく、複層プリント配線板或いはHDI工程プロセスの需要を満足するための良好な耐熱性、寸法安定性、耐湿熱性等も求められている。
【0003】
銅張板及び回路基板に代表されるベース電子材料には、一般に補強作用を有する基材と、基材と貼り付けられる樹脂層とが含まれており、電子材料の性能は樹脂層の組成及び性質に大きく依存する。現在、電子材料中の樹脂層材料は、エポキシ樹脂系が採用されることが多い。
【0004】
エポキシ樹脂と硬化剤を必須成分とするエポキシ樹脂組成物は、硬化した後に良好な耐熱性と絶縁性を示し、且つ優れた加工性とコスト面の利点を有するので、電子フィルム、半導体又は複層プリント回路基板等の電子材料に広く用いられている。しかしながら、エポキシ樹脂自体は高い誘電率(D)と誘電損失(D)を有しており、アミン類、フェノール樹脂等の従来の硬化剤を使用して硬化させると、その硬化物から多量の2次水酸基が生じ、吸水率の上昇、誘電特性及び耐湿熱性能の低減を招いてしまう。
【0005】
活性エステルは高活性のエステル基を含み、硬化剤としてエポキシ樹脂とエステル交換反応を発生でき、反応した後に形成されるグリッド構造が第2級アルコールヒドロキシ基を含まないことで、その硬化生成物は低い誘電損失、低い吸水率及び低い誘電率を有する。例えば、JP200923516にはエポキシ樹脂組成物及びその硬化生成物が開示されており、該エポキシ樹脂組成物では以下の構造のような活性エステル化合物が使用されている。
【0006】
【化1】
【0007】
ここで、Xはベンゼン環又はナフタレン環であり、kは0又は1を示し、nは0.25から1.5である。この樹脂組成物は、高耐熱性と低い誘電正接を兼ね備えるとともに、有機溶媒に溶解した場合の粘度が十分に低く、次の加工過程を容易にする。しかし、前記樹脂組成物を代表とする活性エステル硬化エポキシ樹脂体系においては、活性エステル反応基の分子量が大きく、且つエポキシ基と発生する化学反応の機構がエステル交換反応であるため、芳香族アミン、フェノール樹脂、シアネート樹脂、ビスマレイミド樹脂等については、その硬化物の架橋密度が高くなく、ガラス転移温度(T)が低く、熱膨張係数が高い等の欠点が示され、その高性能印刷配線板基材における使用がある程度制限されてしまう。
【0008】
ビスマレイミド樹脂は高性能のベース樹脂の一種であって、その硬化物は高いガラス転移温度、高耐熱性と良好な力学的性能及び誘電特性を有する。例えば、CN101885900Aに開示されている樹脂組成物は、臭素化エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、シアネート樹脂、イソオクチル酸亜鉛触媒及び溶媒を含み、高いT、低い熱膨張係数という特徴を有することで、それを使用して作製した銅張板は良好な耐熱性、剥離強度及び誘電特性を有し、中国内のIC封止工業及びHDI複層PCBに適する。しかしながら、ビスマレイミド樹脂は性質が脆く、エポキシ樹脂と直接反応できず、アミン、ジアリルビスフェノールA等により変性或いは混合されてからでないと、エポキシ樹脂と組み合わせて使用することができず、反応後に形成されるグリッド構造は、極性が大きく且つ吸水しやすい第2級アルコールヒドロキシ基を含有し、さらに、マレイミド構造自体も吸水しやすく、その硬化生成物の誘電特性と耐湿熱性等の効果が大幅に低減され、高性能の印刷配線板基材に適用することができない。
【0009】
従って、高性能回路基板の性能及び使用需要を満足するために、架橋密度が高く、誘電損失と吸水率が低い硬化剤及びそれを含む樹脂組成物を開発することは、当該分野の研究における重要な点である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来技術の欠陥に対して、本発明は、マレイミド変性の活性エステル及びその調製方法と使用を提供することを目的とする。前記活性エステルは特定の原料で調製したものであって、その分子構造は活性エステル基とマレイミド基を含有し、2種の基が互いに協力することで、前記活性エステルが高い反応架橋サイト、低い吸水率、低い誘電損失、低い誘電率及び低い熱膨張係数等の特点を有する。前記活性エステルを硬化剤とするエポキシ樹脂組成物は、硬化された後に、優れた誘電特性、耐熱性、耐湿熱性及び低い熱膨張係数を示し、且つ金属との結合力が良く、高性能回路基板の使用要求を十分に満たすことができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的に達するために、次の技術案を採用する。
【0012】
第1の方面において、本発明は、マレイミド変性の活性エステルを提供し、前記活性エステルの調製原料に、式A1で表される構造を有するジフェノール類化合物、式A2で表される構造を有するジアシル基化合物、及び式A3で表される構造を有するマレイミド基含有化合物を含むマレイミド変性の活性エステルを提供する。
【0013】
【化2】
【0014】
式A1において、Arは置換又は非置換のC6~C150二価の芳香族基であり;Arにおける置換する置換基はフッ素、C1~C5(例えば、C1、C2、C3、C4又はC5)直鎖又は分岐鎖アルキル基、C2~C5(例えば、C2、C3、C4又はC5)直鎖又は分岐鎖オレフィン基、アリールホスフィンオキシド構造含有基から選ばれる。
【0015】
本発明において、前記「二価の芳香族基」は、アリール基を含む2つの結合サイトを有する基の意味であり、アリーレン基、及び少なくとも2つのアリール基同士が連結基(例えば、―O―、―S―、カルボニル基、スルホン基、アルキレン基、シクロアルキレン基又はアリーレンアルキル基等)によって連結して形成した置換基を含む。下記の文書において同じ説明に関する場合、いずれも同じ意味を有する。
【0016】
前記C1~C5直鎖又は分岐鎖アルキル基はC1、C2、C3、C4又はC5の直鎖又は分岐鎖アルキル基を含み、例示的に、メチル、エチル、n―プロピル、イソプロピル、n―ブチル、イソブチル、t―ブチル、ペンチル又はイソペンチル等を含むが、これらに限られるものではない。下記の文書において同じ説明に関する場合、いずれも同じ意味を有する。
【0017】
【化3】
【0018】
式A2において、Xは置換又は非置換のC6~C18(例えば、C6、C9、C10、C12、C14、C16又はC18等)二価の芳香族基であり;Xにおける置換する置換基はフッ素、C1~C5(例えば、C1、C2、C3、C4又はC5)直鎖又は分岐鎖アルキル基から選ばれる。
【0019】
式A2において、X1はハロゲン又は水酸基から選ばれる。
【0020】
【化4】
【0021】
式A3において、Ar1は置換又は非置換のC6~C12(例えば、C6、C9、C10又はC12等)アリーレン基であり;Ar1における置換する置換基はフッ素、C1~C5(例えば、C1、C2、C3、C4又はC5)直鎖又は分岐鎖アルキル基から選ばれる。
【0022】
式A3において、R1、R2はそれぞれ独立して、水素、フッ素、C1~C5(例えば、C1、C2、C3、C4又はC5)直鎖又は分岐鎖アルキル基から選ばれる。
【0023】
本発明に提供される活性エステルはジフェノール類化合物、ジフェノール類化合物及びマレイミド基含有化合物の3種の原料により調製したものである。前記活性エステルはマレイミド基と活性エステル基の2種の官能基を含有し、これらが互いに協力することで、前記活性エステルが低い誘電損失、低い誘電率、低い吸水率、高い反応架橋サイト、高Tg、高耐熱及び低い熱膨張係数等の利点を兼ね備え、硬化剤としてエポキシ樹脂と硬化反応でき、得られた硬化生成物は優れた誘電特性、耐熱性、耐湿熱性、低い熱膨張係数及び強い金属結合力を有する。
【0024】
本発明の前記活性エステルはエポキシ基とエステル交換反応してアルキルエステル構造を生成でき、即ち、エポキシ基と良好な反応活性を有する活性エステルとして、その構造においてエステル基
【化5】
との連結方式はアルコールの酸素型ではなく、フェノールの酸素型でなければならず、前記ArとArは、直接酸素原子と連結する部分すべてが芳香環であり、即ち、式A1で表される構造を有するジフェノール類化合物と式A3で表される構造を有するマレイミド基含有化合物はアルコール化合物ではなく、フェノール化合物である。
【0025】
好ましくは、前記Arは、
【化6】
から選ばれる。
【0026】
Arは、
【化7】
から選ばれる。
【0027】
Arは、
【化8】
から選ばれる。
【0028】
、Rはそれぞれ独立して、フッ素、C1~C5(例えば、C1、C2、C3、C4又はC5)直鎖又は分岐鎖アルキル基、C2~C5(例えば、C2、C3、C4又はC5)直鎖又は分岐鎖オレフィン基



【化9】

から選ばれる。
【0029】
本発明において、基の構造の一方又は両方の短い直線は、メチルではなく、基の結合手を表す。
【0030】
はC1~C5(例えば、C1、C2、C3、C4又はC5)直鎖又は分岐鎖アルキレン基である。
【0031】
、nはそれぞれ独立して、0~4の整数から選ばれ、例えば、0、1、2、3又は4である。
【0032】
は0~6の整数から選ばれ、例えば、0、1、2、3、4、5又は6である。
【0033】
、Yはそれぞれ独立して、―O―、―S―、カルボニル基、スルホン基、置換又は非置換のC1~C20(例えば、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C8、C10、C12、C14、C16、C18又はC20等)直鎖又は分岐鎖アルキレン基、置換又は非置換のC3~C30(例えば、C3、C4、C5、C6、C8、C10、C12、C15、C18、C20、C22、C25、C28又はC29等)シクロアルキレン基、置換又は非置換のC6~C30(例えば、C6、C7、C8、C9、C10、C12、C15、C18、C20、C22、C25、C28又はC29等)アラルキレン基から選ばれ;該置換する置換基はそれぞれ独立して、フッ素、C1~C5(例えば、C1、C2、C3、C4又はC5)直鎖又は分岐鎖アルキル基、C6~C18(例えば、C6、C8、C9、C10、C12、C14、C16又はC18等の)アリール基から選ばれる。
【0034】
mは繰り返し単位の平均値を代表し、0~10、例えば、0.2、0.5、0.8、1、1.2、1.5、1.8、2、2.2、2.5、2.8、3、3.3、3.5、3.7、4、4.2、4.5、4.7、5、5.3、5.5、5.8、6、6.2、6.5、6.8、7、7.5、8、8.5、9、9.5又は10、及び前記の数値間の具体的な値から選ばれる。簡潔にするために、本発明において、前記範囲に含まれる具体的な値は網羅的に例示されていない。
【0035】
好ましくは、前記Y、Yはそれぞれ独立して、―O―、―S―、C1~C5(例えば、C1、C2、C3、C4又はC5)直鎖又は分岐鎖アルキレン基、
【化10】
から選ばれる。
【0036】
好ましくは、前記Xは置換又は非置換のフェニレン基、置換又は非置換のビフェニレン基
【化11】
置換又は非置換のナフチレン基、置換又は非置換のビフェニレンエーテル基
【化12】
から選ばれ;前記置換する置換基はそれぞれ独立して、フッ素、C1~C5(例えば、C1、C2、C3、C4又はC5)直鎖又は分岐鎖アルキル基から選ばれる。
【0037】
好ましくは、前記Xは塩素、臭素、ヨウ素又は水酸基から選ばれる。
【0038】
好ましくは、前記Arは置換又は非置換のフェニレン基、置換又は非置換のナフチレン基から選ばれ;前記置換する置換基はフッ素、C1~C5(例えば、C1、C2、C3、C4又はC5)直鎖又は分岐鎖アルキル基から選ばれる。
【0039】
好ましくは、前記RもRも水素である。
【0040】
本発明において、前記ジアシル基化合物とジフェノール類化合物とのモル比は1:(0.5~0.9)、例えば、1:0.52、1:0.55、1:0.58、1:0.6、1:0.62、1:0.65、1:0.68、1:0.7、1:0.72、1:0.75、1:0.78、1:0.8、1:0.82、1:0.85、1:0.87又は1:0.89等であり、好ましくは1:(0.5~0.8)である。
【0041】
本発明において、前記ジアシル基化合物とマレイミド基含有化合物とのモル比は1:(0.2~1)、例えば、1:0.22、1:0.25、1:0.28、1:0.3、1:0.32、1:0.35、1:0.38、1:0.4、1:0.42、1:0.45、1:0.48、1:0.5、1:0.52、1:0.55、1:0.58、1:0.6、1:0.62、1:0.65、1:0.68、1:0.7、1:0.72、1:0.75、1:0.78、1:0.8、1:0.82、1:0.85、1:0.88、1:0.9、1:0.92、1:0.95、1:0.97又は1:0.99等であり、好ましくは1:(0.4~1)である。
【0042】
本発明において、前記ジアシル基化合物を1molとすると、理論上、前記ジフェノール類化合物と前記マレイミド基含有化合物中のフェノール性水酸基の合計は2molである。ここで、前記ジアシル基化合物はジフェノール類化合物に対して過剰量で、ジフェノール類化合物とジアシル基化合物との反応は鎖延長の役割を果たすが、前記マレイミド基含有化合物は末端封止剤で、鎖延長を止める役割を果たす。また、活性エステルの他の構造形式として、ジフェノール類化合物はジアシル基化合物に対して過剰量でもよく、マレイミド基含有モノ酸ハライド又はそのカルボン酸化合物を採用して末端封止剤として過剰量のフェノール性水酸基を封止する。しかし、本発明はさらに鋭意研究を行うことによって、「マレイミド基含有モノ酸ハライド又はそのカルボン酸化合物を末端封止剤として」採用する構造形式は、本発明に限定されるマレイミド変性の活性エステルに対して、誘電率、誘電損失及び結着性等の点で性能の効果が相当するものの、耐湿熱性の点で効果が不良であり、次の使用に影響することを見出した。そのため、本発明は、特定の構造のジフェノール類化合物、ジアシル基化合物及びマレイミド基含有化合物を選んで反応原料とすることで、前記マレイミド変性の活性エステルが誘電特性、耐熱性、耐湿熱性及び結着性等の総合性能において最適なバランスを取る。
【0043】
本発明に提供されるマレイミド変性の活性エステルは、前記ジアシル基化合物の用量を1molとし、前記ジフェノール類化合物の割合が高いほど、マレイミド基の割合が低く、硬化物の性能の効果が一般的な活性エステルよりになり、即ち、誘電特性はやや良いが、Tと熱膨張係数において不足があり、且つ得られるマレイミド変性の活性エステルは分子量が大きいほど、有機溶媒への溶解性が劣り、選ばれる有機溶媒が少なくなり、合成過程のプロセス難度が増加し、ひいては一部爆縮重合してゲルが生じることに繋がる一方、樹脂の使用時のプロセス難度の増加にも繋がる。逆に、前記ジフェノール類化合物の仕込み割合が低いほど、前記マレイミド基含有化合物の仕込み割合が高く、即ち反応で生成したマレイミド変性の活性エステルの中のマレイミド基の割合が高いほど、有機溶媒への溶解性が劣る。そのため、前記の点のいくつかを一括して考慮し、さらに好ましくは、前記ジアシル基化合物とジフェノール類化合物とのモル比は1:(0.5~0.8)、前記ジアシル基化合物とマレイミド基含有化合物とのモル比は1:(0.4~1)である。
【0044】
他方、本発明は、式A1で表される構造を有するジフェノール類化合物、式A2で表される構造を有するジアシル基化合物及び式A3で表される構造を有するマレイミド基含有化合物を反応させ、前記活性エステルが得られることを含む前記に記載されるような活性エステルの調製方法を提供する。
【0045】
好ましくは、前記反応の温度は-10~60℃、例えば、-10℃、-8℃、-5℃、-2℃、-0℃、2℃、5℃、8℃、10℃、12℃、15℃、18℃、20℃、22℃、25℃、28℃、30℃、32℃、35℃、38℃、40℃、42℃、45℃、48℃、50℃、52℃、55℃又は58℃、及び前記の値の間の値であって、簡潔にするために、本発明において、前記範囲に含まれる具体的な値は網羅的に例示されていない。
【0046】
好ましくは、前記反応は塩基性触媒の存在で行う。
【0047】
好ましくは、前記塩基性触媒は無機塩基性化合物及び/又は有機塩基を含む。前記無機塩基性化合物は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、重炭酸ナトリウム又は重炭酸カリウムの任意の1種又は少なくとも2種の組み合わせを含む。前記有機塩基はトリエチルアミン、ピリジン、4‐ジメチルアミノピリジン、トリブチルアミン、N,N‐ジイソプロピルエチルアミン、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド又はテトラデシルトリメチルアンモニウムクロリドのいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせを含む。
【0048】
好ましくは、前記反応の保護ガス雰囲気で行い、前記保護ガス雰囲気は窒素ガス又はアルゴンガスが好ましい。
【0049】
好ましくは、前記反応は溶媒の存在で行う。
【0050】
好ましくは、前記反応は溶媒の存在で行う。前記溶媒は特に限定されず、反応を妨げなければよい。例示的に、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ブタノン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、1,4‐ブチロラクトン、N,N‐ジメチルホルムアミド、N,N‐ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド又はN‐メチルピロリドンのいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせを含むが、これらに限定されない。前記溶媒の用量は、原料と生成物の異なる溶解性に応じてを適宜調整されることで、各原料と生成物が溶媒に溶解可能となり、好ましくは各原料の質量の合計の3~15倍、例えば、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、5.5倍、6倍、6.5倍、7倍、7.5倍、8倍、8.5倍、9倍、10倍、11倍、12倍、13倍又は14倍等である。
【0051】
好ましくは、前記反応は完了後、さらに生成物をポスト処理することを含む。
【0052】
好ましくは、前記ポスト処理の方法は濾過、水洗、濃縮、抽出、再結晶又はカラムクロマトグラフィー等を含み、前記活性エステルの分離と精製を実現する。
【0053】
他方、本発明はエポキシ樹脂と前記のような活性エステルとを含む熱硬化性樹脂組成物を提供する。
【0054】
本発明に提供される熱硬化性樹脂組成物はエポキシ樹脂と前記のようなマレイミド変性の活性エステルを含む。前記活性エステルは、分子構造に活性エステル基(芳香エステル基)とマレイミド基を同時に含有し、多くの反応活性サイトを有し、硬化剤としてエポキシ樹脂と反応する場合、芳香エステル基とエポキシ樹脂と反応する際に高極性の2次水酸基が生じないことで、硬化生成物が低い誘電損失、低い吸水率及び低い誘電率を有する一方、マレイミド基が硬化して高剛性及び高耐熱のイミド環構造を形成でき、反応過程で水酸基、アミノ基等の極性基を生成しないため、優れた耐熱性能(高T)と力学的性能、並びに良好な誘電特性と加工性能を有し、一般的な活性エステル硬化エポキシ樹脂のT及び熱膨張係数における欠陥が克服される。
【0055】
好ましくは、前記エポキシ樹脂とは1分子に少なくとも2つのエポキシ基を有するエポキシ樹脂である。例示的に、二官能ビスフェノールA型エポキシ樹脂、二官能ビスフェノールF型エポキシ樹脂、二官能ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールホルムアルデヒド型エポキシ樹脂、メチルフェノールアルデヒド型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型フェノールエポキシ樹脂、ビスシクロペンタジエン(DCPD)エポキシ樹脂、ビフェニルエポキシ樹脂、DCPD型フェノールエポキシ樹脂、ビフェニルフェノールエポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂、ナフタレン系エポキシ樹脂、リン含有エポキシ樹脂、ケイ素含有エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ポリエチレングリコール型エポキシ樹脂、テトラフェノールエタンテトラグリシジルエーテル、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、二官能シアネートとエポキシ樹脂の縮合物、或いは二官能イソシアネートとエポキシ樹脂の縮合物の任意の1種又は少なくとも2種の組み合わせを含むが、これらに限定されない。例示的な組み合わせは、二官能ビスフェノールA型エポキシ樹脂と二官能ビスフェノールF型エポキシ樹脂との組み合わせ、二官能ビスフェノールS型エポキシ樹脂とフェノールホルムアルデヒド型エポキシ樹脂との組み合わせ、レゾルシノール型エポキシ樹脂とナフタレン系エポキシ樹脂との組み合わせ、脂環式エポキシ樹脂とポリエチレングリコール型エポキシ樹脂との組み合わせを含む。
【0056】
好ましくは、前記熱硬化性樹脂組成物はさらに、他の硬化剤、難燃剤、無機フィラー、有機フィラー又は硬化促進剤のいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせを含む。
【0057】
好ましくは、前記他の硬化剤はアミン類硬化剤、フェノール類硬化剤、ベンゾオキサジン類硬化剤、シアネート類硬化剤、普通な活性エステル硬化剤(本発明に記載のマレイミド変性の活性エステルとは異なる)、酸無水物類硬化剤又はアミン変性のマレイミド硬化剤の任意の1種又は少なくとも2種の組み合わせから選ばれる。
【0058】
好ましくは、前記難燃剤はハロゲン系有機難燃剤、リン系有機難燃剤、窒素系有機難燃剤又はケイ素含有有機難燃剤のいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせから選ばれる。
【0059】
好ましくは、前記無機フィラーは非金属酸化物、金属窒化物、非金属窒化物、無機水和物、無機塩、金属水和物又は無機リンのいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせを含み;さらに好ましくは、溶融シリカ、結晶型シリカ、球状シリカ、中空シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、タルク、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化ケイ素、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム又はマイカのいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせである。
【0060】
好ましくは、前記有機フィラーはポリテトラフルオロエチレン粉末、ポリフェニレンスルフィド粉末又はポリエーテルスルフォン粉末のいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせを含む。
【0061】
好ましくは、前記硬化促進剤はイミダゾール類化合物、イミダゾール類化合物の誘導体、ピペリジン類化合物、ピリジン類化合物、有機金属塩ルイス酸又はトリフェニルホスフィンのいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせを含む。
【0062】
本発明に記載される「含む」とは、前述した成分に加えて、さらに他の成分を含んでも良いという意味であって、これらの他の成分は前記熱硬化性樹脂組成物に対して異なる特性を付与する。これ以外に、本発明に記載される「含む」は、クローズドの「である」又は「からなる」に差し替えられてもよい。
【0063】
本発明に記載される熱硬化性樹脂組成物の調製方法は、先に固形物を入れてから、溶媒を加え、固形物が完全に溶けるまで撹拌した後、液状樹脂と硬化促進剤を加えて、均一に撹拌し続ければよい。
【0064】
前記溶媒は特に限定されず、アルコール類溶媒、エーテル類溶媒、芳香族炭化水素類溶媒、エステル類溶媒、ケトン類溶媒又は窒素含有溶媒のいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせを含むが、ケトン類溶媒が好ましい。ここで、前記アルコール類溶媒はメタノール、エタノール又はブタノールのいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせを含む。前記エーテル類溶媒はエチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチレングリコールメチルエーテル、カルビトール又はブチルカルビトールのいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせを含む。前記芳香族炭化水素類溶媒はベンゼン、トルエン又はキシレンのいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせを含む。前記エステル類溶媒は酢酸エチル、酢酸ブチル又はエトキシエチルアセテートのいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせを含む。前記ケトン類溶媒はアセトン、ブタノン、メチルエチルケトン又はシクロヘキサノンのいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせを含む。前記窒素含有溶媒はN,N‐ジメチルホルムアミド及び/又はN,N‐ジメチルアセトアミドを含む。
【0065】
前記溶媒の用量は実際の加工と使用の需要に応じて調節できる。
【0066】
さらに、本発明は前記のような熱硬化性樹脂組成物を硬化させて調製した硬化物に関する。
【0067】
他方、本発明は原料に前記のような熱硬化性樹脂組成物を含む半導体封止材料を提供する。
【0068】
他方、本発明は基材、及び浸漬・乾燥により前記基材に付着する前記のような熱硬化性樹脂組成物を含むプリプレグを提供する。
【0069】
好ましくは、前記基材はガラス繊維布、不織布又はクォーツクロスのいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせを含む。
【0070】
前記ガラス繊維布はE‐ガラス繊維布、D‐ガラス繊維布、S‐ガラス繊維布、Tガラス繊維布又はNE‐ガラス繊維布等であってもよい。
【0071】
前記基材の厚さは特に限定されないが、良好な寸法安定性を考慮すると、前記基材の厚さは0.01~0.2mm、例えば、0.02mm、0.05mm、0.08mm、0.1mm、0.12mm、0.15mm、0.17mm又は0.19mm等であることが好ましい。
【0072】
好ましくは、前記基材は開繊処理及び/又はシランカップリング剤表面処理を経た基材である。良い耐水性と耐熱性を提供するために、前記シランカップリング剤はエポキシシランカップリング剤、アミノ基シランカップリング剤又はビニルシランカップリング剤のいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせが好ましい。
【0073】
例示的に、前記プリプレグの調製方法は、基材を前記熱硬化性樹脂組成物の樹脂ゲルに浸漬して、取り出して乾燥し、前記プリプレグが得られる。
【0074】
好ましくは、前記乾燥の温度は100~250℃、例えば、105℃、110℃、115℃、120℃、130℃、140℃、150℃、160℃、170℃、180℃、190℃、200℃、210℃、220℃、230℃、240℃又は245℃等である。
【0075】
好ましくは、前記乾燥の時間は1~15min、例えば、2min、3min、4min、5min、6min、7min、8min、9min、10min、11min、12min、13min又は14min等である。
【0076】
他方、本発明は少なくとも1枚の前記のようなプリプレグ、及び前記プリプレグの一側又は両側に設置される金属箔を含む回路基板を提供する。
【0077】
前記金属箔の材質は特に限定されない。好ましくは、前記金属箔は銅箔、ニッケル箔、アルミニウム箔又はSUS箔を含む。
【0078】
例示的に、前記回路基板の調製方法は、1枚のプリプレグの一側又は両側に金属箔を圧着して、硬化して、前記回路基板が得られるか;或いは、少なくとも2枚のプリプレグを粘着してラミネートを製造してから、前記ラミネートの一側又は両側に金属箔を圧着して、硬化して、前記回路基板が得られる。
【0079】
好ましくは、前記硬化は熱プレス機で行う。
【0080】
好ましくは、前記硬化の温度は150~250℃、例えば、150℃、155℃、160℃、165℃、170℃、175℃、180℃、185℃、190℃、195℃、200℃、205℃、210℃、215℃、220℃、225℃、230℃、235℃、240℃又は245℃等である。
【0081】
好ましくは、前記硬化の圧力は10~60kg/cm、例えば、15kg/cm、20kg/cm、25kg/cm、30kg/cm、35kg/cm、40kg/cm、45kg/cm、50kg/cm又は55kg/cm等である。
【0082】
他方、本発明は、基材フィルム又は金属箔、及び前記基材フィルム又は金属箔の少なくとも1つの表面にコートされる前記のような熱硬化性樹脂組成物を含む積層フィルムを提供する。
【発明の効果】
【0083】
従来技術に対して、本発明は以下の有益な効果を有する。
【0084】
(1)本発明に係るマレイミド変性の活性エステルは、活性エステル基(芳香エステル基)とマレイミド基を含有し、多い反応架橋サイト、低い誘電損失、低い誘電率及び低い吸水率を有し、硬化剤としてエポキシ樹脂と硬化反応でき、得られた硬化生成物は優れた誘電特性、耐熱性、耐湿熱性、低い熱膨張係数及び加工性能を有する。
【0085】
(2)本発明に提供される熱硬化性樹脂組成物は、高架橋サイトのマレイミド変性の活性エステルとエポキシ樹脂とを組み合わせて使用することによって、前記活性エステル中の芳香エステル基とエポキシ樹脂と反応する際に高極性の2次水酸基が生じず、得られた硬化物は低い誘電損失、低い誘電率及び低い吸水率を有する一方、前記活性エステルにおけるマレイミド基は硬化して高剛性及び高耐熱のイミド環構造を形成でき、反応過程で水酸基、アミノ基等の極性基を生成しないため、優れた耐熱性能を有し、得られた硬化物は高T、優れた耐熱性能、力学的性能及び結着性能、並びに良好な誘電特性及び加工性能を有する。
【0086】
(3)前記活性エステルを含む熱硬化性樹脂組成物及びその回路基板は、低い熱膨張係数、低い誘電率及び誘電損失を有し、優れた誘電特性、耐熱性、耐湿熱性及び金属との結着強度を示し、回路基板の高性能需要を満足できる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
図1】実施例1に提供されるマレイミド変性の活性エステルの赤外分光グラフである。
【0088】
図2】実施例1に提供されるマレイミド変性の活性エステルの高機能性ポリマークロマトグラフィーグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0089】
以下、具体的な実施形態により、本発明の技術案についてさらに説明する。当業者であれば、前記実施例は、本発明に対する理解を助けるためのものに過ぎず、本発明を具体的に限定するものと見なすべきではない。
【実施例1】
【0090】
[実施例1]
マレイミド変性の活性エステルK―1であって、その調製方法は以下のステップを含む。
【0091】
温度計、滴下ロート、冷却器、分留管及び撹拌機が取り付けられたフラスコにビスシクロペンタジエンとフェノールの重付加反応樹脂231g(水酸基当量:165g/eq.)、イソフタル酸ジクロリド203g(1mol)、4―(マレインイミド‐N‐イル)フェノール113.5g(0.6mol)及びトルエン4350gを仕込み、系内に対して減圧窒素ガス置換を行いながら、撹拌して溶解する。反応系を60℃以下に制御し、3hをかけて20%の水酸化ナトリウム水溶液420g(2.1mol)を滴下して、滴下の完了後、1h撹拌する。反応の完了後、静置分液により水層を除去する。得られたトルエン層に脱イオン水を加えて15min撹拌し、静置分液により水層を除去し、得られたトルエン層を、水層がpH7となるまで水洗を繰り返す。最後に、加熱減圧乾燥によりマレイミド変性の活性エステルK―1が得られた。
【0092】
仕込み比から計算して測定したところ、本実施例に提供されたマレイミド変性の活性エステルK―1のエステル基当量は237g/eq.である。
【実施例2】
【0093】
[実施例2]
マレイミド変性の活性エステルK―2であって、その調製方法は以下のステップを含む。
【0094】
温度計、滴下ロート、冷却器、分留管及び撹拌機が取り付けられたフラスコに114.2gビスフェノールA(0.5mol)、イソフタル酸ジクロリド203g(1.0mol)、1―マレイミド基―7―ナフトール239.2g(1.0mol)及びジクロロメタン3600gを仕込み、系内に対して減圧窒素ガス置換を行いながら、撹拌して溶解する。反応系を30℃以下に制御し、テトラブチルアンモニウムブロミド0.5gを加えてから、3hをかけて20%の水酸化カリウム水溶液589g(2.1mol)を滴下して、滴下の完了後、1h撹拌する。反応の完了後、静置分液により水層を除去する。得られたジクロロメタン層に脱イオン水を加えて15min撹拌し、静置分液により水層を除去し、得られたジクロロメタン層を、水層がpH7となるまで水洗を繰り返す。最後に、加熱減圧乾燥によりマレイミド変性の活性エステルK―2が得られた。
【0095】
仕込み比から計算して測定したところ、本実施例に提供されたマレイミド変性の活性エステルK―2のエステル基当量は242g/eq.である。
【実施例3】
【0096】
[実施例3]
マレイミド変性の活性エステルK―3であって、その調製方法は以下のステップを含む。
【0097】
温度計、滴下ロート、冷却器、分留管及び撹拌機が取り付けられたフラスコに182.7gビスフェノールA(0.8mol)、イソフタル酸ジクロリド203g(1.0mol)、1―マレイミド基―7―ナフトール95.7g(0.4mol)及びジクロロメタン4815gを仕込み、系内に対して減圧窒素ガス置換を行いながら、撹拌して溶解する。反応系を30℃以下に制御し、テトラブチルアンモニウムブロミド0.5gを加えて、3hをかけて20%の水酸化カリウム水溶液589g(2.1mol)を滴下して、滴下の完了後、1h撹拌する。反応の完了後、静置分液により水層を除去し。得られたジクロロメタン層に脱イオン水を加えて15min撹拌し、静置分液により水層を除去し、得られたジクロロメタン層を、水層がpH7となるまで水洗を繰り返す。最後に、加熱減圧乾燥によりマレイミド変性の活性エステルK―3が得られた。
【0098】
仕込み比から計算して測定したところ、本実施例に提供されたマレイミド変性の活性エステルK―3のエステル基当量は204g/eq.である。
【実施例4】
【0099】
[実施例4]
マレイミド変性の活性エステルK―4であって、その調製方法は以下のステップを含む。
【0100】
温度計、滴下ロート、冷却器、分留管及び撹拌機が取り付けられたフラスコに10―(2,5―ジヒドロキシフェニル)―10―ヒドロ―9―オキサ―10―ホスファフェナントレン―10―オキシド210.8g(0.65mol)、4,4’―ビス(クロロカルボニル)ジフェニルエーテル295.1g(1.0mol)、4―(マレインイミド‐N‐イル)フェノール132.4g(0.7mol)及びジクロロメタン5750gを仕込み、系内に対して減圧窒素ガス置換を行いながら、撹拌して溶解する。反応系を30℃以下に制御し、3hをかけてトリエチルアミン222.2g(2.2mol)を滴下して、滴下の完了後、1h撹拌する。反応の完了後、静置分液により水層を除去する。得られたジクロロメタン層に脱イオン水を加えて15min撹拌し、静置分液により水層を除去し、得られたジクロロメタン層を、水層がpH7となるまで水洗を繰り返す。最後に、加熱減圧乾燥によりマレイミド変性の活性エステルK―4が得られた。
【0101】
仕込み比から計算して測定したところ、本実施例に提供されたマレイミド変性の活性エステルK―4のエステル基当量は283g/eq.である。
【実施例5】
【0102】
[実施例5]
マレイミド変性の活性エステルK―5であって、その調製方法は以下のステップを含む。
【0103】
温度計、滴下ロート、冷却器、分留管及び撹拌機が取り付けられたフラスコに4,4’―ビフェニルジカルボキシアルデヒドとフェノールとの重縮合反応樹脂263.2g(水酸基当量:188g/eq.)、イソフタル酸166.2g(1.0mol)、4―(マレインイミド―N―イル)フェノール113.5g(0.6mol)及びトルエン6000gを仕込み、系内に対して減圧窒素ガス置換を行いながら、撹拌して溶解する。反応系を60℃以下に制御し、3hをかけて20%の水酸化ナトリウム水溶液460g(2.3mol)を滴下して、滴下の完了後、1h撹拌する。反応の完了後、静置分液により水層を除去する。得られたジクロロメタン層に脱イオン水を加えて15min撹拌し、静置分液により水層を除去し、得られたジクロロメタン層を、水層がpH7となるまで水洗を繰り返す。最後に、加熱減圧乾燥によりマレイミド変性の活性エステルK―5が得られた。
【0104】
仕込み比から計算して測定したところ、本実施例に提供されたマレイミド変性の活性エステルK―5のエステル基当量は253.5g/eq.である。
【比較例1】
【0105】
[比較例1]
変性活性エステルL―1であって、その調製方法は以下のステップを含む。
【0106】
温度計、滴下ロート、冷却器、分留管及び撹拌機が取り付けられたフラスコにビスシクロペンタジエンとフェノールの重付加反応樹脂330g(水酸基当量:165g/eq.)、イソフタル酸ジクロリド142.1g(0.7mol)、4―マレイミド安息香酸クロリド141.4g(0.6mol)及びトルエン4350gを仕込み、系内に対して減圧窒素ガス置換を行いながら、撹拌して溶解する。反応系を60℃以下に制御し、3hをかけて20%の水酸化ナトリウム水溶液420g(2.1mol)を滴下して、滴下の完了後、1h撹拌する。反応の完了後、静置分液により水層を除去する。得られたトルエン層へ脱イオン水を加えて15min撹拌し、静置分液により水層を除去し、得られたトルエン層を、水層がpH7となるまで水洗を繰り返す。最後に、加熱減圧乾燥により変性活性エステルL―1が得られた。
【0107】
仕込み比から計算して測定したところ、本比較例に提供された変性活性エステルL―1のエステル基当量は237g/eq.である。
【比較例2】
【0108】
[比較例2]
変性活性エステルL―2であって、その調製方法は以下のステップを含む。
【0109】
温度計、滴下ロート、冷却器、分留管及び撹拌機が取り付けられたフラスコに217gビスフェノールA(0.95mol)、イソフタル酸ジクロリド203g(1.0mol)、1―マレイミド基―7―ナフトール18.9g(0.1mol)及びジクロロメタン10000gを仕込み、系内に対して減圧窒素ガス置換を行いながら、撹拌して溶解する。反応系を30℃以下に制御し、テトラブチルアンモニウムブロミド0.5gを加えて、3hをかけて20%の水酸化カリウム水溶液589g(2.1mol)を滴下して、滴下の完了後、1h撹拌する。反応の完了後、静置分液により水層を除去する。得られたジクロロメタン層に脱イオン水を加えて15min撹拌し、静置分液により水層を除去し、得られたジクロロメタン層を、水層がpH7となるまで水洗を繰り返す。最後に、加熱減圧乾燥により変性活性エステルL―2が得られた。
【0110】
仕込み比から計算して測定したたところ、本比較例に提供された変性活性エステルL―2のエステル基当量は183g/eq.である。
【0111】
活性エステルの性能テスト
(1)構造同定:フーリエ赤外分光装置(FT‐IR)により実施例1~5に提供されたマレイミド変性の活性エステルについて赤外テスト同定を行う。
例示的に、実施例1で提供されたマレイミド変性の活性エステルK―1の赤外分光グラフは図1に示すとおりであり、図1から分かるように、前記マレイミド変性の活性エステルK―1は、波数1740cm-1で活性エステルのエステル基固有の吸収ピークが表れ、波数1717.2cm-1、722.2cm-1がイミド環固有のピークであり、1606.8cm-1がC=Cの伸縮振動吸収ピークであるが、3400cm-1付近でフェノール性水酸基の強い吸収ピークが表れず、これはフェノール性水酸基がエステル基化になったことを説明している。
【0112】
(2)分子量テスト:Waters社の高機能性ポリマークロマトグラフィーシステム(APC)により実施例1~5で提供されたマレイミド変性の活性エステルの重量平均分子量Mを測定する。
例示的に、実施例1で提供されたマレイミド変性の活性エステルK―1の高機能性ポリマークロマトグラフィーグラフ(APC図)は図2に示すとおりであり、図2から分かるように、前記マレイミド変性の活性エステルK―1の重量平均分子量Mは2745である。
【0113】
本発明の以下の適用例及び比較例に使用された実験材料は表1に示すとおりである。
【0114】
【表1】
【適用例1】
【0115】
熱硬化性樹脂組成物とそれを含むプリプレグ及び回路基板であって、調製方法は以下の通りである。
【0116】
(1)54.5重量部のエポキシ樹脂A―1、45.5重量部のマレイミド変性の活性エステルK―1、0.7重量部の4―ジメチルアミノピリジン(硬化促進剤D―1)及び0.4重量部の2―エチル―4―メチルイミダゾール(硬化促進剤D―2)を溶媒に均一に混合し、熱硬化性樹脂組成物の樹脂ゲルが得られる。樹脂ゲルの固形分は65%である。2116ガラス繊維布を使用して前記ガム液に浸漬し、適切な厚みに制御した後、160℃のオーブンで10min焼いてプリプレグを製造した。
【0117】
(2)6枚のプリプレグを重ね合わせて、その上と下の両面に1OzのRTF銅箔を重ね合わせ、硬化温度が200℃、硬化圧力が45Kg/cm、硬化時間が120minとなる条件で回路基板を製造した。
【適用例2】
【0118】
熱硬化性樹脂組成物とそれを含むプリプレグ及び回路基板であって、調製方法は以下の通りである。
【0119】
(1)54.0重量部のエポキシ樹脂A―1、46重量部のマレイミド変性の活性エステルK―2、0.6重量部の4―ジメチルアミノピリジン(硬化促進剤D―1)及び0.5重量部の2―エチル―4―メチルイミダゾール(硬化促進剤D―2)を溶媒に均一に混合し、熱硬化性樹脂組成物の樹脂ゲルが得られる。樹脂ゲルの固形分は65%である。2116ガラス繊維布を使用して前記ガム液に浸漬し、適切な厚みに制御した後、145℃のオーブンで15min焼いてプリプレグを製造した。
【0120】
(2)6枚のプリプレグを重ね合わせて、その上と下の両面に1OzのRTF銅箔を重ね合わせ、硬化温度が190℃、硬化圧力が60Kg/cm、硬化時間が150minとなる条件で回路基板を製造した。
【適用例3】
【0121】
熱硬化性樹脂組成物とそれを含むプリプレグ及び回路基板であって、調製方法は以下の通りである。
【0122】
(1)58.5重量部のエポキシ樹脂A―1、41.5重量部のマレイミド変性の活性エステルK―3、0.8重量部の4―ジメチルアミノピリジン(硬化促進剤D―1)及び0.2重量部の2―エチル―4―メチルイミダゾール(硬化促進剤D―2)を溶媒に均一に混合し、熱硬化性樹脂組成物の樹脂ゲルが得られる。樹脂ゲルの固形分は65%である。2116ガラス繊維布を使用して前記ガム液に浸漬し、適切な厚みに制御した後、175℃のオーブンで5min焼いてプリプレグを製造した。
【0123】
(2)6枚のプリプレグを重ね合わせて、その上と下の両面に1OzのRTF銅箔を重ね合わせ、硬化温度が220℃、硬化圧力が30Kg/cm、硬化時間が90minとなる条件で回路基板を製造した。
【0124】
適用例4~5、比較例3~6
【0125】
熱硬化性樹脂組成物とそれを含むプリプレグ及び回路基板であって、熱硬化性樹脂組成物の組成及び含有量は表2に示し、プリプレグと回路基板の調製方法は適用例1と同じである。
【0126】
【表2】
【0127】
性能テスト
適用例1~5、比較例3~6に提供された熱硬化性樹脂組成とそれを含む回路基板について性能テストを行う。方法は以下の通りである。
【0128】
(1)ガラス転移温度(T):DSCテストにより、標準IPC―TM―650 2.4.24に規定されたDSCテスト方法に従って測定する。
【0129】
(2)熱膨張係数CTE(Z―axis):TMA装置により、標準IPC―TM―650 2.4.24に規定されたCTE(Z―axis)テスト方法に従って50~260℃の間の熱膨張係数を測定する。
【0130】
(3)誘電率D及び誘電損失率D:標準IEC61189―2―721に規定されたSPDR法に従って10GHzでのD及びDを測定する。
【0131】
(4)熱分層時間T300(銅付き):TMA装置により、標準IPC―TM―650 2.4.24.1に規定されたT300(銅付き)テスト方法に従って測定する。
【0132】
(5)耐湿熱性(PCT)評価:3個の100×100mmのサンプルを180℃、105KPaのプレスレトルト処理装置で2h又は3h保持した後、288℃のはんだ槽に5min浸み込み、サンプルの分層・バブリング等の現象の有無を観察して、3個がいずれも分層・バブリングが発生しない場合を3/3、2個が分層・バブリングが発生しない場合を2/3、1個が分層・バブリングが発生しない場合を1/3、0個が分層・バブリングが発生しない場合を0/3と記する。
【0133】
(6)剥離強度(PS):標準IPC―TM―650 2.4.8に規定された「受取り状態」という実験条件に従って、金属蓋層の剥離強度をテストする。
【0134】
具体的なテスト結果は表3に示すとおりである。
【0135】
【表3】
【0136】
表3の性能テストデータから分かるように、比較例3~6に対して、本発明適用例1~5で提供された回路基板において、使用された熱硬化性樹脂組成物は本発明で提供されるマレイミド変性の活性エステルを硬化成分とするため、高いガラス転移温度(T)と低い熱膨張係数(Z―CTE)を有するとともに、低い誘電率及び低い誘電損失、優れた耐熱性、耐湿熱性及び金属との良好な結着強度を兼ね備える。そのうち、ガラス転移温度が190~235℃に達し、Z―CTEが2.2~3.1%と低く、誘電率が4.10(10GHz)より低く、誘電損失が0.010(10GHz)より低く、T300(銅付き)>60minであり、剥離強度が1.10N/mmより大きく、1.15~1.25N/mmに達すると、PCT(3h)の耐湿熱性テストに合格できる。
【0137】
適用例1、5と比較例3、6の比較から、本発明前記マレイミド変性の活性エステルを使用して硬化した熱硬化性樹脂組成物及び回路基板は、一般的な活性エステル硬化の体系と比べて、T及びZ―CTEの点でより顕著な優位性を示していることが分かる。
【0138】
適用例1と比較例4の比較から、両者はT、Z―CTE及び誘電特性においては、レベルがほぼ同じであるが、適用例1は耐湿熱性能(PCTテスト)においてより優れた効果を有し、これは、本発明に限定されるジフェノール類化合物、ジアシル基化合物及びマレイミド基含有化合物を反応原料としているからこそ、前記マレイミド変性の活性エステルが誘電特性、耐熱性、耐湿熱性及び結着性等の総合性能において、最適なバランスを取ることができることを表していることがわかる。
【0139】
適用例2、3と比較例5の比較から、本発明に限定されるモル比のジフェノール類化合物、ジアシル基化合物及びマレイミド基含有化合物を反応させて、得られた前記マレイミド変性の活性エステルを硬化剤とすることで、熱硬化性樹脂組成物及び回路基板が、優れたT及び低い熱膨張係数を有することができる。活性エステル中のマレイミド基含有量が低すぎると、熱硬化性樹脂組成物及び回路基板のTとZ―CTEの効果が低減することが分かる。
【0140】
本発明は、上記実施例により本発明に係るマレイミド変性の活性エステル及びその調製方法と使用を説明したが、本発明は上記プロセスステップに限定されるものではなく、すなわち、本発明は上記プロセスステップに依存して実施しなければならないわけではないことを出願人より声明する。当業者は、本発明に対するあらゆる改良、本発明で選択された原料に対する等価置換及び補助成分の添加、具体的な態様に対する選択等がすべて本発明の保護範囲及び開示範囲内に属することを理解すべきである。
図1
図2