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特許7522941手振れ補正モータ、撮像モジュール及び電子機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-17
(45)【発行日】2024-07-25
(54)【発明の名称】手振れ補正モータ、撮像モジュール及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   G03B 5/00 20210101AFI20240718BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20240718BHJP
   H04N 23/50 20230101ALI20240718BHJP
   H04N 23/68 20230101ALI20240718BHJP
【FI】
G03B5/00 J
G03B30/00
H04N23/50
H04N23/68
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023560336
(86)(22)【出願日】2022-09-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(86)【国際出願番号】 CN2022117287
(87)【国際公開番号】W WO2023216475
(87)【国際公開日】2023-11-16
【審査請求日】2023-10-25
(31)【優先権主張番号】202210502038.3
(32)【優先日】2022-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521010115
【氏名又は名称】基合半導体(寧波)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【弁理士】
【氏名又は名称】大行 尚哉
(74)【代理人】
【識別番号】100087859
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 秀治
(72)【発明者】
【氏名】張毓麟
(72)【発明者】
【氏名】張耀国
(72)【発明者】
【氏名】夏波
(72)【発明者】
【氏名】聶波
【審査官】眞岩 久恵
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第112531981(CN,A)
【文献】中国実用新案第207114854(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第113572938(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111142323(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第112600360(CN,A)
【文献】特開2005-37599(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 5/00-5/08
G03B 30/00
H04N 5/222-5/257
H04N 23/00
H04N 23/40-23/76
H04N 23/90-23/959
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、手振れ補正ホルダと、回路基板と、導電性極板と、を含み、
前記手振れ補正ホルダが予め設定された平面内で前記ベースに移動可能に設けられ、前記手振れ補正ホルダに導電用の磁性部材が設けられ、
前記回路基板が前記ベースに設けられ、前記回路基板には、前記磁性部材を駆動して前記手振れ補正ホルダを前記予め設定された平面内で移動させるためのコイルが設けられ、
前記導電性極板は、前記回路基板に設けられ、かつ前記磁性部材に対向してコンデンサを形成し、前記磁性部材は、前記回路基板に電気的に接続され、かつ前記回路基板を介して、前記導電性極板と形成されたコンデンサ信号を出力
前記導電性極板は、前記回路基板の表面に設けられた銅張りであり、前記導電性極板と前記コイルが前記回路基板に垂直な方向に重ねられて配置されており、
前記磁性部材は、複数あり、複数の前記磁性部材は、一部が第1方向に沿って順次分布し、他の一部が第2方向に沿って順次分布し、前記第1方向と前記第2方向は互いに垂直であり、且ついずれも前記予め設定された平面に平行であり、前記コイル及び前記導電性極板は、いずれも複数あり、かつ、それぞれ複数の前記磁性部材に1対1で対応しており、
前記第1方向に沿って分布する前記導電性極板の対応する前記磁性部材における正投影は、前記第1方向において少なくとも一部が前記磁性部材のエッジの外部にあり、前記第2方向において前記磁性部材のエッジの内部にあり、且つ前記磁性部材が前記第2方向に沿って運動する過程全体にわたって、常に前記磁性部材のエッジの内部にあり、
前記第2方向に沿って分布する前記導電性極板の対応する前記磁性部材における正投影は、前記第2方向において少なくとも一部が前記磁性部材のエッジの外部にあり、前記第1方向において前記磁性部材のエッジの内部にあり、且つ前記磁性部材が前記第1方向に沿って運動する過程全体にわたって、常に前記磁性部材のエッジの内部にある、
ことを特徴とする手振れ補正モータ。
【請求項2】
前記第1方向及び/又は前記第2方向に沿って分布する前記磁性部材の数は、少なくとも2つである、
ことを特徴とする請求項に記載の手振れ補正モータ。
【請求項3】
前記コイルは、前記回路基板の前記磁性部材から離れた表面に設けられ、前記導電性極板は、前記コイルと前記磁性部材との間に位置している、
ことを特徴とする請求項1に記載の手振れ補正モータ。
【請求項4】
前記磁性部材は、磁石と、前記磁石の表面に設けられた金属層と、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の手振れ補正モータ。
【請求項5】
サスペンションワイヤアセンブリをさらに含み、前記手振れ補正ホルダが前記サスペンションワイヤアセンブリに接続され、かつ前記サスペンションワイヤアセンブリを介して前記ベースに支持され、前記磁性部材が前記サスペンションワイヤアセンブリを介して前記回路基板に電気的に接続される、
ことを特徴とする請求項1に記載の手振れ補正モータ。
【請求項6】
請求項1~のいずれか1項に記載の手振れ補正モータと、レンズと、駆動チップを備え、
前記手振れ補正モータは、前記手振れ補正ホルダに接続されたレンズホルダをさらに備え、前記レンズホルダに取付穴が設けられ、
前記レンズが前記取付穴内に設けられ、
前記駆動チップが前記回路基板に電気的に接続され、前記駆動チップが前記コンデンサ信号を受信し、かつ前記コンデンサ信号に基づいて前記コイルを制御する制御信号を前記回路基板に送信することに用いられる、
ことを特徴とする撮像モジュール。
【請求項7】
請求項に記載の撮像モジュールを含む、
ことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、出願番号が2022105020383、出願日が2022年05月10日である中国特許出願に基づいて提出され、この中国特許出願の優先権を主張するものであり、この中国特許出願の開示全体は、ここで援用により本願に組み込まれるものとする。
【0002】
(発明の分野)
本願は、撮像の技術分野に関し、特に、手振れ補正モータ、撮像モジュール及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0003】
電子機器の継続的なモデルチェンジに伴って、ユーザーの電子機器の写真撮影機能に対する要求もますます高まっている。電子機器の写真撮影性能を向上させるために、通常、電子製品の撮像モジュールに光学式手振れ補正(OIS、Optical image stabilization)機能を搭載する。光学式手振れ補正機能を搭載した撮像モジュールでは、手振れ補正モータによってレンズを光軸の垂直方向に沿って移動させるように駆動することで、撮影時の手振れが撮像モジュールの結像品質に与える影響を解消している。
【0004】
手振れ補正モータの中でクローズドループ制御を実現するために、ある場合に、手振れ補正モータにホール(hall)センサ又はホール検出機能付きのドライバーIC(Integrated Circuit、集積回路)及び対応するセンシング用磁石を内蔵して、光軸の垂直方向でのレンズの移動を検出する。さらに、撮像モジュールの手振れ補正効果を確保するために、信号を検出することでレンズの移動過程を制御する。しかし、このようにすると、手振れ補正モータの内部空間を占用し、駆動部品の体積が制限され、手振れ補正モータの駆動力の向上に不利である。
【0005】
したがって、どのようにして手振れ補正モータがクローズドループ制御を実現する過程で、手振れ補正モータの内部空間が多く占用されることを防止するかは、重要な課題となっている。
【発明の概要】
【0006】
本願のいくつかの実施例には、手振れ補正モータが提供され、この手振れ補正モータは、ベースと、手振れ補正ホルダと、回路基板と、導電性極板と、を含み、手振れ補正ホルダが予め設定された平面内でベースに移動可能に設けられ、手振れ補正ホルダに導電用の磁性部材が設けられ、回路基板がベースに設けられ、回路基板には、磁性部材を駆動して手振れ補正ホルダを予め設定された平面内で移動させるためのコイルが設けられ、導電性極板は、回路基板に設けられ、かつ磁性部材に対向してコンデンサを形成し、磁性部材は、回路基板に電気的に接続され、かつ回路基板を介して、導電性極板と形成されたコンデンサ信号を出力する。
【0007】
本願のいくつかの実施例には、撮像モジュールがさらに提供され、この撮像モジュールは、上記の手振れ補正モータを備え、手振れ補正モータは、手振れ補正ホルダに接続されたレンズホルダをさらに備え、レンズホルダに取付穴が設けられ、撮像モジュールが、レンズと、駆動チップをさらに備え、レンズがレンズホルダの取付穴内に設けられ、駆動チップが回路基板に電気的に接続され、駆動チップがコンデンサ信号を受信し、かつコンデンサ信号に基づいてコイルを制御する制御信号を回路基板に送信することに用いられる。
【0008】
本願のいくつかの実施例には、上記の撮像モジュールを含む電子機器がさらに提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
一つ又は複数の実施例は、それに対応する図面中の図によって例示的に説明され、これらの例示的な説明は、実施例を限定するものではなく、図面において同一の符号を付した要素は類似の要素として示され、特に断らない限り、図面中の図は縮尺制限を構成しない。
図1図1は、本願のいくつかの実施例に係る手振れ補正モータの構造を示す図である。
図2図2は、本願のいくつかの実施例に係る手振れ補正モータ内の磁性部材とコイルの分布構造を示す図である。
図3図3は、本願のいくつかの実施例に係る手振れ補正モータ内の磁性部材と導電性極板とを合わせた模式図である。
図4図4は、本願のいくつかの実施例に係る手振れ補正モータ内の磁性部材、導電性極板及びコイルの分布構造を示す図である。
図5図5は、本願のいくつかの実施例に係る手振れ補正モータ内のサスペンションワイヤアセンブリ、弾性シートアセンブリ及び回路基板の接続構造を示す図である。
図6図6は、本願のいくつかの実施例に係る撮像モジュールの構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本願実施例の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下、本願の各実施形態について図面を用いて詳述する。しかしながら、当業者であれば、本願の各実施形態において、読者に本願をより良く理解させるために多くの技術的細部が提案されることを理解することができる。しかし、これらの技術的細部や以下の各実施例に基づく様々な変更と修正がなかったとしても、本願が保護しようとする技術案を実現することが可能である。以下の各実施例の区分は、便宜上のためのものであり、本願の具体的な実施形態に対していかなる限定を構成するものではなく、各実施例は矛盾しない前提で互いに結合して参照することができる。
【0011】
手振れ補正モータは、撮像モジュールの光学式手振れ補正を実現するための駆動部品として、撮像モジュールの写真撮影品質を高める上で重要な役割を果たしている。手振れ補正モータは、手振れ補正を実現するように、コイルと磁性部材が生じる電磁力によって、手振れ補正ホルダとレンズホルダを一緒に光軸の垂直方向に沿って移動させるように駆動する。
【0012】
手振れ補正モータのクローズドループ制御を実現するために、通常、手振れ補正モータ内にホールセンサ又はホール検出機能付きのドライバーIC及び対応するセンシング用磁石を設ける。手振れ補正過程に磁束の変化を検出することで、手振れ補正ホルダの位置を取得し、検出された手振れ補正ホルダの位置に応じて、コイル中の電流を調整することで、手振れ補正ホルダが手振れ補正位置に素早く正確に到達するように制御する。
【0013】
しかし、このように、手振れ補正モータの大きな内部空間を占用することになり、コイルと磁性部材の体積が制限されてしまい、手振れ補正モータの駆動力の向上に不利になる。また、磁場強度を検出する方式を採用すると、外部からの磁場の干渉及び温度の影響を受けやすくなり、手振れ補正モータのクローズドループ制御の精度を妨害する。
【0014】
他の場合では、手振れ補正モータの内部にコンデンサ極板を設け、コンデンサ極板から出力されるコンデンサ信号によって、手振れ補正ホルダの位置検出を実現することができる。ただし、コンデンサ極板の設置方向とコイル、磁性部材の電磁力方向とは交差し、両者が45度の対応関係を持っている。これにより、アルゴリズムについて余分な数学的処理を行ってから、はじめて検出信号を変位に対応させることができる。また、手振れ補正モータに可動子電極板と固定子電極板を追加設置する必要があり、設計の難易度と組み立ての難易度を増やしている。
【0015】
手振れ補正モータがクローズドループ制御を実現する過程において、手振れ補正モータの内部空間を多く占用することを防止するために、本願のいくつかの実施例は、解決策を提供する。具体的に、手振れ補正モータには、コイルが設置された回路基板に導電性極板を設け、導電性極板と磁性部材で形成されたコンデンサ信号によって、手振れ補正ホルダの位置検出を実現する。
【0016】
このように、コイルと協働して電磁力を生じさせる手振れ補正モータ中の磁性部材を利用して、導電性極板と協働してコンデンサを形成することができ、即ち磁性部材に持たれた導電性によって、磁性部材の移動位置に関わっているコンデンサ信号を生成することができ、ひいては手振れ補正ホルダの位置検出を実現する。これによって、ホール検出方式を採用することで検出精度が外部磁場の干渉及び温度の影響を受けやすくなることを防止するとともに、磁石をコンデンサ極板として使用しないコンデンサ極板方式を採用することで余分な数学的処理を行う必要になる問題を防止することができる。これにより、クローズドループ制御が可能な手振れ補正モータの構造を最適化し、部品点数を減らし、手振れ補正モータの内部空間を多く占用することを回避し、手振れ補正モータに十分な駆動力を持たせることを確保することができる。
【0017】
図1図3に示すように、本願のいくつかの実施例に係る手振れ補正モータは、ベース110と、手振れ補正ホルダ120と、回路基板130と、導電性極板140と、を含み、手振れ補正ホルダ120が予め設定された平面内でベース110に移動可能に設けられ、手振れ補正ホルダ120に導電用の磁性部材122が設けられ、回路基板130がベース110に設けられ、回路基板130には、磁性部材122を駆動して手振れ補正ホルダ120を予め設定された平面内で移動させるためのコイル131が設けられ、導電性極板140は、回路基板130に設けられ、かつ磁性部材122に対向してコンデンサを形成し、磁性部材122は、回路基板130に電気的に接続され、かつ回路基板130を介して、導電性極板140と形成されたコンデンサ信号を出力する。
【0018】
ベース110は、手振れ補正モータの中で支持の機能を果たす部品であり、他の部品に取付基礎を提供することができる。ベース110全体は、中空状を呈しており、即ち、ベース110の中間部に光が通るための透光孔が設けられている。ベース110の外部輪郭形状は、矩形に設定されることができる。また、手振れ補正モータ内部へのほこりの侵入を防ぐように、ベース110には、段差状の構造を設けてもよい。
【0019】
手振れ補正ホルダ120は、手振れ補正モータのうち、手振れ補正による移動を行うための部品である。理解できるように、手振れ補正ホルダ120にも同様に透光孔が設けられており、手振れ補正ホルダ120の透光孔とベース110の透光孔とは、対応関係にあり、つまり両者が同じ方向(レンズ光軸方向)に沿って延びている。また、手振れ補正機能を実現するために、手振れ補正ホルダ120は、予め設定された平面(即ちレンズ光軸に垂直な平面)内でベース110に移動可能に設けられている。手振れ補正ホルダ120の駆動は、磁性部材122とコイル131との間に生じた電磁力によって実現される。ここで、手振れ補正ホルダ120には、レンズホルダ200が接続されており、レンズホルダ200がレンズを固定する機能を果たしている。
【0020】
回路基板130は、手振れ補正モータの中で電気信号を伝送し、かつ電子機器を配置する部品である。手振れ補正ホルダ120の移動中に手振れ補正ホルダ120を遮断することを回避するために、回路基板130は、FPC形式(Flexible Printed Circuit、フレキシブルプリント回路基板)を採用することができる。また、コイル131は、回路基板130に設けられることができる。コイル131は、通電中に磁性部材122の磁場作用を受けてローレンツ力を生じさせ、ひいては磁性部材122を駆動して手振れ補正ホルダ120を移動させることで手振れ補正を実現することができる。
【0021】
導電性極板140は、回路基板130に設けられ、磁性部材122とコンデンサを形成するための部品である。磁性部材122自体の導電性を借りて、導電性極板140は、磁性部材122に対向して極板コンデンサを形成することができ、導電性極板140と磁性部材122との間は、空気で充填されることができる。コイル131の通電中、コイル131と磁性部材122との間に電磁力が生じ、磁性部材122を移動させるように駆動する。一方、磁性部材122が移動するときに、導電性極板140との間の正対面積を変化させ、ひいては導電性極板140と磁性部材122とによって形成されたコンデンサ信号を変化させる。これにより、コンデンサ信号の変化を検出することで磁性部材122の位置を取得することができる。
【0022】
本願のいくつかの実施例に係る手振れ補正モータは、コイル131と協働して電磁力を生じさせる手振れ補正モータの中の磁性部材122と導電性極板140との協働によって、コンデンサを形成し、即ち磁性部材122が有する導電性によって、磁性部材122の移動位置に関わっているコンデンサ信号を生成する。ひいては手振れ補正ホルダ120の位置検出を実現する。これにより、ホール検出方式を採用することで検出精度が外部磁場の干渉と温度の影響を受けやすくなることを回避するとともに、磁石をコンデンサ極板として使用しないコンデンサ極板方式を採用することで、余分な数学的処理を行う必要になる問題を回避することができる。したがって、クローズドループ制御が可能な手振れ補正モータの構造を最適化し、部品点数を減らし、手振れ補正モータの内部空間を多く占用することを防止し、手振れ補正モータに十分な駆動力を持たせることを保つことができる。
【0023】
本願のいくつかの実施例では、手振れ補正ホルダ120のレンズ光軸に垂直な平面内での位置検出を効果的に行うために、磁性部材122を複数設けることができる。複数の磁性部材122は、一部が第1方向に沿って順次分布し、他の一部が第2方向に沿って順次分布し、第1方向と第2方向は互いに垂直であり、且ついずれも予め設定された平面に平行であり、コイル131及び導電性極板140は、いずれも複数あり、かつ、それぞれ複数の磁性部材122に1対1で対応している。
【0024】
第1方向と第2方向は、レンズ光軸に垂直な平面(予め設定された平面)内の2つの互いに垂直な方向であり、第1方向が図2及び図3における矢印Xで示されるものであり、第2方向が図2及び図3に矢印Yで示されるものである。手振れ補正ホルダ120は、移動して手振れ補正を実現するときに、第1方向に沿って移動したり、第2方向に沿って移動したりし、かつ、第1方向と第2方向の両方に沿って移動してもよい。即ち、コイル131と磁性部材122とで形成される駆動構造は、第1方向と第2方向の両方にも配置されており、第1方向に沿って配置されたコイル131に通電すると、対応する磁性部材122が電磁力の作用を受けて、手振れ補正ホルダ120を第1方向に沿って移動させるように駆動する。第2方向に沿って配置されたコイル131に通電すると、対応する磁性部材122が電磁力の作用を受けて、手振れ補正ホルダ120を第2方向に沿って移動させるように駆動する。第1方向に沿って配置されたコイル131と第2方向に沿って配置されたコイル131に同時に通電すると、手振れ補正ホルダ120は、第1方向と第2方向の合力方向に沿って移動するようになる。また、コイル131内の電流方向を変えることで、手振れ補正ホルダ120の運動方向を第1方向から第1方向の逆方向に変えることができる。
【0025】
このように、磁性部材122に対応して設けられた導電性極板140によって、手振れ補正ホルダ120が第1方向、第2方向又は第1方向と第2方向との合力方向に沿って運動した時に、手振れ補正ホルダ120の位置検出を実現することができる。
【0026】
第1方向に沿って分布する導電性極板140の対応する磁性部材122における正投影は、第1方向において少なくとも一部が磁性部材122のエッジの外部にあり、第2方向において磁性部材122のエッジの内部にあり、且つ磁性部材122が第2方向に沿って運動する過程全体にわたって、常に磁性部材122のエッジの内部にある。第2方向に沿って分布する導電性極板140の対応する磁性部材122における正投影は、第2方向において少なくとも一部が磁性部材122のエッジの外部にあり、第1方向において磁性部材122のエッジの内部にあり、且つ磁性部材122が第1方向に沿って運動する過程全体にわたって、常に磁性部材122のエッジの内部にある。
【0027】
図2及び図3に示すように、導電性極板140は、全体として矩形を呈し、第1方向に沿って分布する導電性極板140の第2方向における長さは、磁性部材122の第2方向における長さより小さい。磁性部材122が電磁力に駆動されて移動する過程において、第1方向に沿って分布する導電性極板140は、第2方向において常に対応する磁性部材122の外側に移動することなく、第1方向のみにおいて交差する長さが変化し、ひいては正対する面積の変化が生じる。即ち、第1方向に沿って分布する導電性極板140の対応する磁性部材122における正投影は、第1方向において少なくとも一部が磁性部材122のエッジの外部にあり、第2方向において磁性部材122のエッジの内部にあり、且つ磁性部材122が第2方向に沿って移動する過程全体にわたって、常に磁性部材122のエッジの内部にある。したがって、両者が形成する電気容量値の大きさと磁性部材122の第1方向における変位とは、直線的に変化する。一方、第1方向に沿って分布する磁性部材122が第2方向に沿って移動するときに、対応する導電性極板140と正対する面積が変化しない。
【0028】
同じように、第2方向に沿って分布する導電性極板140の第2方向における長さは、磁性部材122の第2方向における長さより小さい。磁性部材122が電磁力に駆動されて移動する過程において、第2方向に沿って分布する導電性極板140は、第1方向において常に対応する磁性部材122の外側に移動することなく、第2方向のみにおいて交差する長さが変化し、ひいては正対する面積の変化が生じる。即ち、第2方向に沿って分布する導電性極板140の対応する磁性部材122における正投影は、第2方向において少なくとも一部が磁性部材122のエッジの外部にあり、第1方向において磁性部材122のエッジの内部にあり、且つ磁性部材122が第1方向に沿って運動する過程全体にわたって、常に磁性部材122のエッジの内部にある。したがって、両者が形成する電気容量値の大きさと磁性部材122の第2方向における変位とは、直線的に変化する。一方、第2方向に沿って分布する磁性部材122が第1方向に沿って移動する間に、対応する導電性極板140と正対する面積が変化しない。
【0029】
このように、第1方向に沿って分布する導電性極板140によって、手振れ補正ホルダ120の第1方向に沿った運動時の位置検出を行い、第2方向に沿って分布する導電性極板140によって、手振れ補正ホルダ120の第2方向に沿った運動時の位置検出を行うことができる。両者が互いに干渉せず、コンデンサ信号と手振れ補正ホルダ120の位置との対応関係を簡略化することができ、また、コンデンサ信号と手振れ補正ホルダ120の位置との間の対応精度を高めることができる。
【0030】
本願のいくつかの実施例では、第1方向及び/又は第2方向に沿って分布する磁性部材122の数は、少なくとも2つである。
【0031】
これにより、2つ以上の磁性部材122と導電性極板140によって形成されたコンデンサ信号に対して差分処理を行うことができ、検出結果がより高いロバスト性能を持ち、即ち検出結果がより正確になる。
【0032】
図2に示すように、磁性部材122は、全部で4つあり、4つの磁性部材122がベース110の四隅に分布するとともに、4つの対応するコイル131及び4つの対応する導電性極板140がいずれもベース110の四隅に分布している。第1方向及び第2方向において、対応する磁性部材122とコンデンサ信号を形成することができる導電性極板140はいずれも2つあり、即ち、手振れ補正ホルダ120が第1方向又は第2方向に沿って運動する時に、2つのコンデンサ信号で形成された差動信号によって手振れ補正ホルダ120の位置を正確に検出することができる。
【0033】
本願のいくつかの実施例では、導電性極板140は、回路基板130の表面に設けられた銅張り(Copper Clad)であってもよい。
【0034】
銅張り、即ち、回路基板130の表面に敷設された金属銅材料は、銅の透磁率が空気の透磁率と同じで、いずれも4π×10H/m(ヘンリー/メートル)で、即ち相対透磁率がいずれも1であるため、導電性極板140がコイル131と磁性部材122との間の磁場に影響しない。つまり、コイル131による磁性部材122の駆動の過程に影響しない。
【0035】
また、コイル131は、回路基板130の磁性部材122から離れた表面に設けられ、導電性極板140は、コイル131と磁性部材122との間に位置している。
【0036】
コイル131は、回路基板130に設けられた多層配線によって実現されることができ、銅線で巻かれたコイル131と同じ機能を果たすことができ、また、サイズがより小さく、デザインが柔軟で、組み立てが簡単である。例えば、FPCに配線を配置してコイル131の配置を実現することができる。これにより、コイル131は、回路基板130と一体構造を形成し、回路基板130にて導通を直接実現することができる。
【0037】
導電性極板140は、コイル131と磁性部材122との間に位置し、即ち、コイル131と導電性極板140とは、いずれも磁性部材122のレンズ光軸に垂直な表面に対向している。この場合、磁性部材122が移動すると、導電性極板140と磁性部材122との正対面積がそれに応じて変化し、ひいてはコンデンサ信号の変化を検出することで、手振れ補正ホルダ120の位置検出を行うことができる。
【0038】
導電性極板140は、コイル131と磁性部材122との間の磁場に影響しないため、図4に示すように、コイル131と導電性極板140とは、回路基板130に垂直な方向において重なり領域がある。導電性極板140とコイル131を回路基板130に垂直な方向に重ねて配置することで、手振れ補正モータの内部空間に対する占用をさらに減らし、他の部品の設計及び取り付けに影響することを回避することができる。
【0039】
また、導電性極板140は、レンズ光軸に平行な方向に沿って設置されてもよい。即ち、回路基板130は、第1部分と、第2部分と、を含み、第1部分がベース110に設けられ、第2部分が第1部分から予め設定された平面に垂直な方向に沿って折り曲がって延びる。コイル131が第1部分に設けられ、コイル131が磁性部材122のレンズ光軸に垂直な表面に対向している。導電性極板140が第2部分に設けられ、導電性極板140が磁性部材122のレンズ光軸に平行な表面に対向している。この場合、磁性部材122が移動すると、導電性極板140と磁性部材122との間の距離がそれに応じて変化し、ひいてはコンデンサ信号の変化を検出することで手振れ補正ホルダ120の位置検出を実現することができる。
【0040】
本願のいくつかの実施例では、図4に示すように、磁性部材122は、磁石123と、磁石123の表面に設けられた金属層124と、を含むことができる。金属層は、ニッケルメッキ層であることが多い。
【0041】
磁石123は、ネオジム鉄ホウ素磁石を用いることができる。これにより、磁石123自体は、導電性を持っている。また、磁石123がコンデンサ極板として使用できるように、磁石123の表面にニッケルメッキを施す。
【0042】
また、手振れ補正ホルダ120とベース110との接続は、サスペンションワイヤ151によって実現されることができる。即ち、手振れ補正モータは、さらに、サスペンションワイヤアセンブリ150を含んでもよく、手振れ補正ホルダ120がサスペンションワイヤアセンブリ150に接続され、かつサスペンションワイヤアセンブリ150を介してベース110に支持され、磁性部材122がサスペンションワイヤアセンブリ150を介して回路基板130に電気的に接続される。
【0043】
図1に示すように、レンズホルダ200は、4つの上部弾性シート161と4つの下部弾性シート(図示せず)からなる弾性シートアセンブリ160によって、手振れ補正ホルダ120に接続され、これによって、レンズホルダ200がレンズ光軸方向に沿って移動してピント合わせを実現することができる。一方、4つの上部弾性シート161は、4つのサスペンションワイヤ151の一端と1対1で対応して接続され、4つのサスペンションワイヤ151の他端がそれぞれベース110の四隅に固定されている。手振れ補正ホルダ120は、サスペンションワイヤ151によってベース110に取り付けられるとともに、手振れ補正ホルダ120のベース110に対する移動を実現する。また、コイル131に通電すると、コイル131と磁石との間の電磁力作用によって手振れ補正ホルダ120を移動させて手振れ補正を実現する。また、サスペンションワイヤ151と弾性シートは、導電性材料、例えば金属材料で作られ、サスペンションワイヤ151と上部弾性シート161とが溶接によって接続され、上部弾性シート161が導電性接着剤又は低温溶接によって磁石に接続されている。そして、図5に示すように、サスペンションワイヤ151は、回路基板130に溶接されている。これにより、各磁石が1つの上部弾性シート161と1本のサスペンションワイヤ151によって、磁石と回路基板130との間の電気的接続を実現し、磁石と導電性極板140とで形成されたコンデンサ信号を回路基板130によって撮像モジュールの駆動チップに輸送することができる。
【0044】
本願のいくつかの実施例は、さらに、撮像モジュールが提供され、この撮像モジュールは、上記の実施例における手振れ補正モータを備え、手振れ補正モータは、手振れ補正ホルダ120に接続されたレンズホルダ200をさらに備え、レンズホルダ200に取付穴210が設けられ、撮像モジュールが、レンズと、駆動チップ170をさらに備え、レンズがレンズホルダ200の取付穴210内に設けられ、駆動チップ170が回路基板130に電気的に接続され、駆動チップ170がコンデンサ信号を受信し、かつコンデンサ信号に基づいてコイル131を制御する制御信号を回路基板130に送信することに用いられる。
【0045】
図6に示すように、駆動チップ170は、撮像モジュールの回路基板180に設けられ、手振れ補正モータの回路基板130は、ピン190を介して撮像モジュールの回路基板180に接続され、ひいては駆動チップ170との電気的な接続が実現される。同時に、図6に示すケース111は、撮像モジュール内のレンズを保護することができる。
【0046】
本願のいくつかの実施例は、上記の実施例における撮像モジュールを含む電子機器をさらに提供する。
【0047】
電子機器は、携帯電話、タブレットまたはノートパソコンなどの写真撮影機能を備えたスマート電子機器であってもよい。
【0048】
当業者は、上記の各実施形態が本願を実現するための具体的な実施例であるが、実際の応用において、本願の精神及び範囲を逸脱することなく、形式及び細部に対して様々な変更を行うことができることが理解できる。

図1
図2
図3
図4
図5
図6