(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-18
(45)【発行日】2024-07-26
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 41/29 20180101AFI20240719BHJP
F21V 17/00 20060101ALI20240719BHJP
F21W 102/00 20180101ALN20240719BHJP
F21Y 101/00 20160101ALN20240719BHJP
【FI】
F21S41/29
F21V17/00 200
F21W102:00
F21Y101:00
(21)【出願番号】P 2020113159
(22)【出願日】2020-06-30
【審査請求日】2023-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】崎野 克郎
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第209116237(CN,U)
【文献】特開平03-033801(JP,A)
【文献】実開昭58-113904(JP,U)
【文献】実公昭48-035506(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/29
F21V 17/00
F21W 102/00
F21Y 101/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズホルダーと、
前記レンズホルダーの前部において前記レンズホルダーに保持されたレンズと
を備え、
前記レンズは、レンズ本体と、前記レンズ本体の外縁から外方に延出された延出部とを有しており、前記延出部には、前記延出部の基礎面から突出された突部が設けられており、
前記レンズホルダーには、前記レンズ本体の外周位置に配置されるとともに前記延出部が挿通された挿通部が設けられており、
前記突部の先端面が前記挿通部の内壁に接触されて
おり、
前記突部は、前記基礎面から左方及び右方の少なくとも一方に突出された左右方向突出部を含んでおり、
前記左右方向突出部は、その左右方向の先端に先端面を有し、該先端面は、前記レンズが前記レンズホルダーに保持されたときに、前記挿通部の内壁と左右方向で向き合い当接する、
車両用灯具。
【請求項2】
前記突部は、前記基礎面から前方及び後方の少なくとも一方に突出された前後方向突出部を含んでいる、
請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記前後方向突出部は、上下方向に互いに離間して配置された第1及び第2前後方向突出部を含んでいる、
請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記突部は、前記基礎面から上方及び下方の少なくとも一方に突出された上下方向突出部を含んでいる、
請求項1から請求項
3までのいずれか1項に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記突部は、上端及び/又は下端に向かって先細りとなる形状を有している、
請求項1から請求項
4までのいずれか1項に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記挿通部には、前記突部の先端面に頂部が接触するリブが設けられている、
請求項1から請求項
5までのいずれか1項に記載の車両用灯具。
【請求項7】
前記レンズホルダーは、前記レンズを上下から挟み込む上フレーム及び下フレームを有しており、
前記挿通部は、前記上フレーム及び下フレームのそれぞれの前部において上下方向に延在された溝部である、
請求項1から請求項
6までのいずれか1項に記載の車両用灯具。
【請求項8】
前記溝部は、上端及び/又は下端に向かって内側の幅が狭くなる形状を有している、
請求項
7に記載の車両用灯具。
【請求項9】
前記延出部は、前記レンズ本体の外縁から左右方向に突出されるとともに、上下方向に所定の幅を有する左右延出部を含み、
前記左右方向突出部は、前記左右延出部の下部に設けられており、
前記左右延出部は、左右方向に関して、前記下フレームの前記挿通部の内壁と前記左右方向突出部と接触し、前記上フレームの前記挿通部の内壁と接触していない、
請求項7又は8に記載の車両用灯具。
【請求項10】
前記延出部は、前記レンズ本体の外縁から左右方向に突出されるとともに、上下方向に所定の幅を有する左右延出部と、前記レンズ本体の外縁から上下方向に突出されるとともに、左右方向に所定の幅を有する上下延出部とを含み、
前記突部は、前記左右延出部の基礎面から突出されている、
請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばヘッドランプ等として適用される車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来用いられていたこの種の車両用灯具としては、例えば下記の特許文献1等に示されている構成を挙げることができる。すなわち、従来の車両用灯具は、レンズホルダーとレンズとを有している。レンズホルダーの前部には、環状の溝が設けられている。レンズには、薄肉状の外周フランジが設けられている。レンズの外周フランジがレンズホルダーの環状の溝に嵌着されることで、レンズホルダーの前部にレンズが保持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来の車両用灯具では、環状の溝及び外周フランジによりレンズをレンズホルダーに保持させている。レンズホルダーの環状の溝及びレンズの外周フランジには、周方向全域にわたって所定の許容寸法誤差(公差)がそれぞれ認められており、周方向のいずれかの方向にレンズが偏った状態でレンズがレンズホルダーに保持されることがある。このレンズの偏りは、車両用灯具毎に異なる虞が大きく、レンズから出射される光の強度分布にバラツキを生じさせる要因となる。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的の一つはは、レンズの偏りを抑え、レンズから出射される光の強度分布にバラツキを低減できる車両用灯具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車両用灯具は、レンズホルダーと、レンズホルダーの前部においてレンズホルダーに保持されたレンズとを備え、レンズは、レンズ本体と、レンズ本体の外縁から外方に延出された延出部とを有しており、延出部には、延出部の基礎面から突出された突部が設けられており、レンズホルダーには、レンズ本体の外周位置に配置されるとともに延出部が挿通された挿通部が設けられており、突部の先端面が挿通部の内壁に接触されており、突部は、基礎面から左方及び右方の少なくとも一方に突出された左右方向突出部を含んでおり、左右方向突出部は、その左右方向の先端に先端面を有し、該先端面は、レンズがレンズホルダーに保持されたときに、挿通部の内壁と左右方向で向き合い当接する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の車両用灯具によれば、レンズの延出部の基礎面から突部が突出されており、その突部の先端面がレンズホルダーの挿通部の内壁に接触されているので、特定位置(レンズの突部及びレンズホルダーの挿通部)の寸法管理によりレンズの位置を管理できる。これにより、レンズの偏りを抑え、レンズから出射される光の強度分布にバラツキを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態1による車両用灯具を示す斜視図である。
【
図5】
図1のレンズホルダー及びレンズの分解斜視図である。
【
図11】
図2の線XI-XIに沿う車両用灯具の断面図である。
【
図12】
図2の線XII-XIIに沿う車両用灯具の断面図である。
【
図13】
図2の線XIII-XIIIに沿う車両用灯具の断面図である。
【
図14】
図3の線XIV-XIVに沿う車両用灯具の断面図である。
【
図15】本発明の実施の形態2による車両用灯具を示す正面図である。
【
図17】
図15のレンズホルダー及びレンズの分解斜視図である。
【
図18】
図15の線XVIII-XVIIIに沿う車両用灯具の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。本発明は各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態の構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0010】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1による車両用灯具を示す斜視図であり、
図2は
図1の車両用灯具を示す正面図であり、
図3は
図1の車両用灯具を示す右側面図であり、
図4は
図1の車両用灯具を示す上面図である。以下、
図1~4に示す向きを基準として、前後、上下及び左右との用語を用いて車両用灯具の構成を説明する。前後方向は後述のレンズ2の光軸に沿う方向であり、前は灯具から光が出射される側を指すと理解できる。また、上下方向及び左右方向は、光軸に直交する面内で互いに直交する2つの方向と理解できる。上下は、車両用灯具を車両に搭載した際の鉛直方向に係る上下であり得る。しかしながら、
図1~
図4に示す向きとは異なる向きで車両用灯具を使用してもよい。
【0011】
図1~
図4に示す車両用灯具は、例えば自動車等の車両に搭載されて、例えばヘッドランプ等の灯具として利用されるものである。複数の車両用灯具が組み合わされて灯具アッセンブリとして構成されてもよい。
図1~
図4に示すように、本実施の形態1の車両用灯具は、レンズホルダー1、レンズ2、ヒートシンク3、複数のコネクタ4及びファン5を有している。
【0012】
レンズホルダー1は、レンズ2を保持するための部材である。レンズ2は、レンズホルダー1の前部においてレンズホルダー1に保持されている。レンズホルダー1の前部には開口(前部開口)が設けられており、その前部開口を通してレンズ2の凸状の前面がレンズホルダー1の外部に露出されている。レンズホルダー1の内部には図示しない光源及び内部光学系が配置されており、光源からの光が内部光学系を経てレンズ2の前面から出射される。内部光学系は、光源からの光を拡散及び/又は反射させるように適合され得る。レンズ2は、内部光学系で拡散及び/又は反射された光をコリメートするように適合され得る。
【0013】
ヒートシンク3は、光源で発生した熱を発散させるための部材である。ヒートシンク3の配置態様は任意であるが、本実施の形態のヒートシンク3はレンズホルダー1の後部上方に配置されている。ヒートシンク3は、レンズホルダー1の後部に設けられた開口を塞ぐように配置されており、ヒートシンク3の前後及び両側において例えばネジ等の締結部材3aによりレンズホルダー1に取り付けられている。ヒートシンク3の上面はレンズホルダー1外に露出されている。レンズホルダー1内に位置するヒートシンク3の下面には、光源が装着されており、光源からの熱はヒートシンク3を介してレンズホルダー1外に発散される。
【0014】
図1及び
図3に特に示されているように、車両用灯具の側面には複数のコネクタ4が設けられている。コネクタ4は、レンズホルダー1とヒートシンク3との間に配置されており、光源等の車両用灯具の内部機器に接続されている。コネクタ4を通して、内部機器への給電及び内部機器に関する信号の入出力を行うことができる。
【0015】
ファン5は、レンズホルダー1の後部下方に配置されており、レンズホルダー1内に外気を導入することができるように構成されている。より具体的には、ファン5は、レンズホルダー1の後部直下の外気を上方(レンズホルダー1内部)に向けて送ることができるように構成されている。レンズホルダー1内に導入された外気は、光源、内部光学系及びヒートシンク3等に冷却風として吹き付けられるとともに、例えば車両用灯具の側面等に設けられた排気口を通してレンズホルダー1外に排出される。
【0016】
次に、
図5は、
図1のレンズホルダー1及びレンズ2の分解斜視図である。
図5に示すように、レンズ2は、レンズ本体21と延出部22とを有している。レンズ本体21の外形は任意であるが、本実施の形態のレンズ本体21は正面視円形の外形を有している。また、本実施の形態のレンズ本体21は前後方向に所定の板厚を有しており、レンズ本体21の外縁21aは前後方向(レンズ本体21の板厚方向)に所定の幅を有する帯状の面とされている。レンズ本体21の外縁21aは、前後方向に延在されていてもよいし、前後方向に対して傾斜して延在されていてもよい。
【0017】
延出部22は、レンズ本体21の外縁21aから外方に延出された部分である。延出部22は、前後方向に所定の板厚を有する壁体により構成されている。延出部22の板厚は、任意であるが、本実施の形態ではレンズ本体21の板厚方向に係る外縁21aの幅よりも薄くされている。延出部22は、外縁21aの幅内で後方側に配置され得る。延出部22の詳細については、後に説明する。
【0018】
レンズホルダー1は、レンズ2を上下から挟み込む上フレーム11及び下フレーム12を有している。本実施の形態の下フレーム12は、車両用灯具の前後方向全体に延在されており、上フレーム11、ヒートシンク3及びファン5等の他の構成が取り付けられるベースとしての役割も有している。
【0019】
上フレーム11には、前部開口の上部を縁取る上縁片111が設けられている。同様に、下フレーム12には、前部開口の下部を縁取る下縁片121が設けられている。上縁片111及び下縁片121のそれぞれは、前後方向に所定の厚みを有する壁体により構成されており、前部開口の周方向に沿って半円状に延在されている。上フレーム11及び下フレーム12がレンズ2を上下から挟み込んだとき、レンズ本体21の上方及び下方において延出部22の前面が上縁片111及び下縁片121の背面に接触されることにより、前方向へのレンズ2の移動が規制される。
【0020】
また、上フレーム11及び下フレーム12には、挿通部13が設けられている。挿通部13は、上フレーム11及び下フレーム12がレンズ2を上下から挟み込んだ状態でレンズ本体21の外周位置に配置されるとともに延出部22が挿通される部分である。上フレーム11及び下フレーム12がレンズ2を上下から挟み込んだとき、レンズ本体21の左方及び右方において延出部22が挿通部13に挿通されることで、前後方向及び左右方向へのレンズ2の移動が規制される。
【0021】
挿通部13には、上フレーム11の前部左方に設けられた左上挿通部131、上フレーム11の前部右方に設けられた右上挿通部132、下フレーム12の前部左方に設けられた左下挿通部133、及び下フレーム12の前部右方に設けられた右下挿通部134が含まれる。これら左上挿通部131、右上挿通部132、左下挿通部133及び右下挿通部134は、上フレーム11及び下フレーム12のそれぞれの前部において上下方向に延在されるとともに、前部開口の内径側に向けて開口する溝部とされている。左上挿通部131及び右上挿通部132は下方に向けてさらに開口しており、左下挿通部133及び右下挿通部134は上方に向けてさらに開口している。上フレーム11及び下フレーム12がレンズ2を上下から挟み込んだとき、レンズ本体21の左方において左上挿通部131及び左下挿通部133に延出部22が挿通され、レンズ本体21の右方において右上挿通部132及び右下挿通部134に延出部22が挿通される。
【0022】
次に、
図6は
図5のレンズ2の正面図であり、
図7は
図5のレンズ2の右側面図であり、
図8は
図5のレンズ2の上面図であり、
図9は
図5のレンズ2の下面図であり、
図10は
図5のレンズ2の背面図である。レンズ2の左側面は
図7に示す右側面と対称に表れる。
図6~
図10を参照しながら、延出部22の詳細について説明する。
【0023】
本実施の形態の延出部22は、レンズ本体21の周方向に互いに離間して配置された左延出部25及び右延出部26(左右延出部)並びに上延出部27及び下延出部28(上下延出部)を含んでいる。これら左延出部25、右延出部26、上延出部27及び下延出部28は、レンズ本体21の周方向に90°間隔で配置されている。左延出部25、右延出部26、上延出部27及び下延出部28の位置は、それぞれの幅方向に係る中心位置を基準とすることができる。なお、延出部22の外形は任意であり、延出部22は例えばレンズ本体21の全周にわたって延在された円環状等の他の外形を採ってもよい。
【0024】
左延出部25及び右延出部26は、レンズ本体21の外縁21aから左右方向に突出されるとともに、上下方向に所定の幅を有している。より具体的には、左延出部25は、レンズ本体21の左側において外縁21aから左方に突出されており、右延出部26はレンズ本体21の右側において外縁21aから右方に突出されている。これら左延出部25及び右延出部26は、前後方向に所定の板厚を有する長方形状の壁体とされている。また、これら左延出部25及び右延出部26は、互いに左右対称の外形を有している。
【0025】
上延出部27及び下延出部28は、レンズ本体21の外縁21aから上下方向に突出されるとともに、左右方向に所定の幅を有している。より具体的には、上延出部27はレンズ本体21の上側において外縁21aから上方に突出されており、下延出部28はレンズ本体21の下側において外縁21aから下方に突出されている。これら上延出部27及び下延出部28は、前後方向に所定の板厚を有する長方形状の壁体とされている。また、これら上延出部27及び下延出部28は、互いに上下対称の外形を有している。
【0026】
延出部22には、延出部22の基礎面220から突出された突部29が設けられている。基礎面220は、延出部22(左延出部25、右延出部26、上延出部27及び下延出部28)の上面、下面、前面、背面、左側面及び/又は右側面を構成する。本実施の車両用灯具では、突部29は左延出部25及び右延出部26(左右延出部)に設けられている。しかしながら、突部29が上延出部27及び下延出部28に設けられていてもよい。
【0027】
突部29は延出部22の任意の位置に設けられていてもよいが、本実施の形態の突部29は延出部22の角部に設けられている。より具体的には、本実施の形態の突部29は、左延出部25の上部左端及び下部左端並びに右延出部26の上部右端及び下部右端に設けられている。
【0028】
本実施の形態の突部29は、前後方向突出部291、左右方向突出部292及び上下方向突出部293を含んでいる。
【0029】
前後方向突出部291は、左延出部25及び右延出部26の基礎面220(前面及び/又は背面)から前方及び後方の少なくとも一方に突出された部分である。本実施の形態の前後方向突出部291は、前方及び後方の両方に突出されている。また、本実施の形態の前後方向突出部291は、上下方向に互いに離間して配置された第1及び第2前後方向突出部を含む。すなわち、本実施の形態の前後方向突出部291は、前方上部突出部291A、前方下部突出部291B、後方上部突出部291C及び後方下部突出部291Dを含んでいる。但し、これら前方上部突出部291A、前方下部突出部291B、後方上部突出部291C及び後方下部突出部291Dの少なくとも1つが省略されていてもよい。
【0030】
前方上部突出部291A、前方下部突出部291B、後方上部突出部291C及び後方下部突出部291Dの先端面(前面及び背面)は互いに平行に延在されていてもよいが、本実施の形態では、前方上部突出部291A及び前方下部突出部291Bの先端面が後方上部突出部291C及び後方下部突出部291Dの先端面に対して非平行に延在されている。本実施の形態では、
図7に特に表れているように、前方上部突出部291A及び前方下部突出部291Bの先端面は上下方向に沿って延在されており、後方上部突出部291C及び後方下部突出部291Dの先端面は上下方向に対して傾斜して延在されている。後方上部突出部291Cの先端面は、後方上部突出部291C(突部29)が上端に向かって先細り状となるように傾斜されている。同様に、後方下部突出部291Dの先端面は、後方下部突出部291D(突部29)が下端に向かって先細り状となるように傾斜されている。
【0031】
左右方向突出部292は、左延出部25及び右延出部26の基礎面220(左側面及び/又は右側面)から左方及び右方の少なくとも一方に突出された部分である。本実施の形態の左右方向突出部292は、左方及び右方の両方に突出されている。すなわち、本実施の形態の左右方向突出部292は、左延出部25の基礎面220(左側面)から左方に突出された左方突出部292Lと、右延出部26の基礎面220(右側面)から右方に突出された右方突出部292Rとを含んでいる。但し、左方突出部292L及び右方突出部292Rの少なくとも一方が省略されていてもよい。
【0032】
本実施の形態では、左方突出部292L及び右方突出部292Rは、左延出部25及び右延出部26の下部に配置されている。しかしながら、左方突出部292L及び右方突出部292Rは、左延出部25及び右延出部26の上部に配置されていてもよいし、上部及び下部の両方に配置されていてもよい。
【0033】
左方突出部292L及び右方突出部292Rの先端面(左側面及び右側面)は、互いに平行に延在されていてもよいが、本実施の形態では互いに非平行に延在されている。本実施の形態では、
図6に特に表れているように、左方突出部292L及び右方突出部292Rの先端面は、上下方向に対して傾斜して延在されている。本実施の形態の左方突出部292L及び右方突出部292Rの先端面は、これら左方突出部292L及び右方突出部292R(突部29)が下端に向かって先細り状となるように傾斜されている。
【0034】
上下方向突出部293は、左延出部25及び右延出部26の基礎面220(上面及び/又は下面)から上方及び下方の少なくとも一方に突出された部分である。本実施の形態の上下方向突出部293は、上方及び下方の両方に突出されている。すなわち、本実施の形態の上下方向突出部293は、左延出部25及び右延出部26の基礎面220(上面)から上方に突出された上方突出部293Uと、左延出部25及び右延出部26の基礎面220(下面)から下方に突出された下方突出部293Lとを含んでいる。しかしながら、上方突出部293U及び下方突出部293Lの少なくとも一方が省略されていてもよい。
【0035】
本実施の形態の上方突出部293U及び下方突出部293Lの先端面(上面及び下面)は、互いに平行に延在されている。
図6に特に表れているように、上方突出部293U及び下方突出部293Lの先端面は、左右方向に延在されている。しかしながら、上方突出部293U及び下方突出部293Lの先端面は、互いに非平行に延在されていてもよく、左右方向に対して傾斜して延在されていてもよい。例えば、上方突出部293U及び下方突出部293Lの先端面は、これら上方突出部293U及び下方突出部293Lが外側の側端に向かって先細り状となるように傾斜させることも考えられる。
【0036】
次に、
図11は、
図2の線XI-XIに沿う車両用灯具の断面図である。
図11に示すように、上フレーム11及び下フレーム12がレンズ2を上下から挟み込んでいるとき、上フレーム11の左上挿通部131及び右上挿通部132(挿通部13)には、レンズ2の左延出部25及び右延出部26(延出部22、左右延出部)の上部が挿通される。
【0037】
このとき、左延出部25及び右延出部26の外面全体ではなく、左延出部25及び右延出部26の前方上部突出部291A及び後方上部突出部291Cの先端面が左上挿通部131及び右上挿通部132の内壁に接触されて、前後方向へのレンズ2の移動が規制されている。
【0038】
また、挿通部13には、突部29の先端面に頂部が接触するリブ135が設けられている。リブ135は、挿通部13の基礎面から突出した突状体である。リブ135の外面は、挿通部13の内壁を構成する。本実施の形態では、前方上部突出部291Aの先端面に頂部が接触するリブ135が左上挿通部131及び右上挿通部132の前壁に設けられている。リブ135は、左上挿通部131及び右上挿通部132の後壁及び/又は側壁等の他の部分に設けられていてもよい。
【0039】
次に、
図12は、
図2の線XII-XIIに沿う車両用灯具の断面図である。
図12に示すように、上フレーム11及び下フレーム12がレンズ2を上下から挟み込んでいるとき、下フレーム12の左下挿通部133及び右下挿通部134(挿通部13)には、レンズ2の左延出部25及び右延出部26(延出部22、左右延出部)の下部が挿通される。
【0040】
このとき、上述の前方上部突出部291A等と同様に、前方下部突出部291B及び後方下部突出部291Dの先端面が左下挿通部133及び右下挿通部134の内壁に接触されて、前後方向へのレンズ2の移動が規制されている。
【0041】
また、上述の左上挿通部131及び右上挿通部132と同様に、左下挿通部133及び右下挿通部134の前壁には、前方下部突出部291B及び後方下部突出部291Dの先端面に頂部が接触するリブ135が設けられている。リブ135は、左下挿通部133及び右下挿通部134の後壁及び/又は側壁等の他の部分に設けられていてもよい。
【0042】
また、左下挿通部133及び右下挿通部134においては、左方突出部292L及び右方突出部292R(左右方向突出部292)の先端面が左下挿通部133及び右下挿通部134の内壁に接触されて、左右方向へのレンズ2の移動が規制されている。
【0043】
次に、
図13は、
図2の線XIII-XIIIに沿う車両用灯具の断面図である。
図13では、右上挿通部132及び右下挿通部134に右延出部26が挿通されている状態が表れている。左上挿通部131及び左下挿通部133に左延出部25が挿通されている状態は、この
図13に示す右上挿通部132等の状態と同様である。
【0044】
図13に示すように、上フレーム11及び下フレーム12がレンズ2を上下から挟み込んでいるとき、上方突出部293U及び下方突出部293L(上下方向突出部293)の先端面が右上挿通部132及び右下挿通部134の内壁(上壁及び底壁)に接触されて、上下方向へのレンズ2の移動が規制されている。
【0045】
本実施の形態の右上挿通部132の上壁及び右下挿通部134の底壁には、上方突出部293U及び下方突出部293Lの先端面に頂部が接触するリブ135が設けられている。右上挿通部132の上壁及び右下挿通部134の底壁の少なくとも一方のリブ135が省略されていてもよい。
【0046】
図13に示すように、本実施の形態の挿通部13(溝部)は、上端及び/又は下端に向かって内側の幅が狭くなる形状を有している。具体的には、右上挿通部132(及び左上挿通部131)は、上壁に向かって前後方向に係る幅が狭くなる形状を有している。同様に、右下挿通部134(及び左下挿通部133)は、底壁に向かって前後方向に係る幅が狭くなる形状を有している。上フレーム11及び下フレーム12がレンズ2を上下から挟み込む過程でレンズ2の前後方向に係る位置が所定位置に徐々に合わされる。
【0047】
次に、
図14は、
図3の線XIV-XIVに沿う車両用灯具の断面図である。
図14には、左上挿通部131及び左下挿通部133に左延出部25が挿通されており、左延出部25の左方突出部292L、上方突出部293U及び下方突出部293Lの先端面が左上挿通部131及び左下挿通部133の内壁に接触されている様子が表れている。また、
図14には、右上挿通部132及び右下挿通部134に右延出部26が挿通されており、右延出部26の右方突出部292R、上方突出部293U及び下方突出部293Lの先端面が右上挿通部132及び右下挿通部134の内壁に接触されている様子が表れている。
【0048】
図14に表れているように、左上挿通部131及び右上挿通部132は、上壁に向かって左右方向に係る幅が狭くなる形状を有している。同様に、左下挿通部133及び右下挿通部134は、底壁に向かって左右方向に係る幅が狭くなる形状を有している。上フレーム11及び下フレーム12がレンズ2を上下から挟み込む過程でレンズ2の左右方向に係る位置が所定位置に徐々に合わされる。
【0049】
このような車両用灯具では、レンズ2の延出部22の基礎面220から突部29が突出されており、その突部29の先端面がレンズホルダー1の挿通部13の内壁に接触されているので、特定位置(レンズ2の突部29及びレンズホルダー1の挿通部13)の寸法管理によりレンズ2の位置を管理できる。これにより、レンズ2の偏りを抑え、レンズ2から出射される光の強度分布にバラツキを低減できる。
【0050】
また、突部29は、基礎面220から前方及び後方の少なくとも一方に突出された前後方向突出部291を含んでいるので、前後方向突出部291により前後方向に係るレンズ2の位置を管理でき、より確実にレンズ2の偏りを抑えることができる。
【0051】
また、前後方向突出部291は、上下方向に互いに離間して配置された第1及び第2前後方向突出部を含んでいるので、上下方向に互いに離間した位置で前後方向に係るレンズ2の位置を管理でき、レンズ2に傾きが生じる虞を低減できる。
【0052】
また、突部29は、基礎面220から左方及び右方の少なくとも一方に突出された左右方向突出部292を含んでいるので、左右方向突出部292により左右方向に係るレンズ2の位置を管理でき、より確実にレンズ2の偏りを抑えることができる。
【0053】
また、突部29は、基礎面220から上方及び下方の少なくとも一方に突出された上下方向突出部293を含んでいるので、左右方向突出部292により上下方向に係るレンズ2の位置を管理でき、より確実にレンズ2の偏りを抑えることができる。
【0054】
また、突部29は、上端及び/又は下端に向かって先細りとなる形状を有しているので、上フレーム11及び下フレーム12がレンズ2を上下から挟み込む過程でレンズ2の位置を所定位置に徐々に合わせることができ、より確実にレンズ2の偏りを抑えることができる。
【0055】
また、挿通部13には、突部29の先端面に頂部が接触するリブ135が設けられているので、リブ135の寸法管理によりレンズ2の位置を管理でき、より確実にレンズ2の偏りを抑えることができる。
【0056】
また、レンズホルダー1は、レンズ2を上下から挟み込む上フレーム11及び下フレーム12を有しており、挿通部13は、上フレーム11及び下フレーム12のそれぞれの前部において上下方向に延在された溝部であるので、より確実にレンズ2の偏りを抑えることができる。
【0057】
また、溝部は、上端及び/又は下端に向かって内側の幅が狭くなる形状を有しているので、上フレーム11及び下フレーム12がレンズ2を上下から挟み込む過程でレンズ2の位置を所定位置に徐々に合わせることができ、より確実にレンズ2の偏りを抑えることができる。
【0058】
また、延出部22は、レンズ本体21の外縁21aから左右方向に突出されるとともに、上下方向に所定の幅を有する左右延出部(左延出部25及び右延出部26)と、レンズ本体21の外縁21aから上下方向に突出されるとともに、左右方向に所定の幅を有する上下延出部(上延出部27及び下延出部28)とを含み、突部29は、左右延出部の基礎面220から突出されているので、より確実にレンズ2の偏りを抑えることができる。
【0059】
実施の形態2.
図15は本発明の実施の形態2による車両用灯具を示す正面図であり、
図16は
図15の車両用灯具を示す右側面図であり、
図17は
図15のレンズホルダー及びレンズの分解斜視図であり、
図18は
図15の線XVIII-XVIIIに沿う車両用灯具の断面図である。
【0060】
車両用灯具の全体としての構成は実施の形態1の構成に限定されず、例えば
図15~
図18に示す構成等の他の構成を採ることができる。実施の形態1では上フレーム11及び下フレーム12によりレンズ2を単純に上下から挟み込むように説明したが、例えば
図15~
図18に示すように、上フレーム11及び下フレーム12によりレンズ2を上下及び前後から挟み込む構成等を採ることもできる。なお、
図15では、
図16に示すヒートシンク3の図示を省略している。
【0061】
図17に特に表れているように、本実施の形態2の挿通部13は、下フレーム12の前部の左方及び右方に設けられた左挿通部136L及び右挿通部136Rと、上フレーム11の前部の左方及び右方に設けられた左前壁137L及び右前壁137Rとを含んでいる。
【0062】
下フレーム12の左挿通部136L及び右挿通部136Rは、下フレーム12の前部から後方に向かうにつれて斜め上方に延在された溝部とされている。左挿通部136L及び右挿通部136Rは、後端において開口しているとともに、前端に奥端面を有している。左挿通部136L及び右挿通部136Rの奥端面の形状は、レンズ2の左延出部25及び右延出部26の前面及び下面の形状に適合されている。
【0063】
左挿通部136L及び右挿通部136Rは、上壁136a、下壁136b及び中間突起136cを有している。上壁136a及び下壁136bは、互いに上下に離間した位置で、下フレーム12の内部側壁から内方に向かって突出されるとともに、前部から後方に向かうにつれて斜め上方に延在された壁体である。中間突起136cは、上壁136a及び下壁136bの離間方向に係る中間位置で、これら上壁136a及び下壁136bと平行に延在された突起である。
【0064】
上フレーム11の左前壁137L及び右前壁137Rは、上フレーム11の左右に設けられた側壁の前壁を構成する。左右方向に係る左前壁137L及び右前壁137Rの離間距離は、同方向に係る左挿通部136L及び右挿通部136Rの離間距離よりも狭くされている。すなわち、上フレーム11の側壁は、下フレーム12の左挿通部136L及び右挿通部136R間に挿通可能とされている。左前壁137L及び右前壁137Rの形状は、レンズ2の左延出部25及び右延出部26の背面及び上面の形状に適合されている。
【0065】
レンズ2の左延出部25及び右延出部26は、左挿通部136L及び右挿通部136Rの後端開口から左挿通部136L及び右挿通部136R内に挿通される。本実施の形態2の左延出部25及び右延出部26には、中間突起136cが挿通される延出部切欠200が設けられている。左延出部25及び右延出部26は、これら左延出部25及び右延出部26の前面が左挿通部136L及び右挿通部136Rの奥端面に突き当たるまで、上壁136a、下壁136b及び中間突起136cに案内されながら左挿通部136L及び右挿通部136R内を進められる。
【0066】
レンズ2の左延出部25及び右延出部26が左挿通部136L及び右挿通部136Rに挿通された後、上フレーム11の側壁が下フレーム12の左挿通部136L及び右挿通部136R間に挿通されて、レンズ2の左延出部25及び右延出部26の背面に左前壁137L及び右前壁137Rが突き当てられる。
【0067】
これにより、
図18に示すように、上フレーム11及び下フレーム12によりレンズ2が保持される。下フレーム12の左挿通部136L及び右挿通部136Rの奥端面、並びに上フレーム11の左前壁137L及び右前壁137Rには、左延出部25及び右延出部26の全面ではなく、突部29の各先端面が接触されている。その他の構成は実施の形態1と同様である。
【0068】
このように、車両用灯具の全体としての構成は、実施の形態1の構成に限定されずに適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0069】
1 レンズホルダー
11 上フレーム
12 下フレーム
13 挿通部
135 リブ
2 レンズ
21 レンズ本体
21a 外縁
22 延出部
220 基礎面
29 突部
291 前後方向突出部
292 左右方向突出部
293 上下方向突出部