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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-18
(45)【発行日】2024-07-26
(54)【発明の名称】電話システム
(51)【国際特許分類】
   H04M 3/42 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
H04M3/42 Q
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020127180
(22)【出願日】2020-07-28
(65)【公開番号】P2022024533
(43)【公開日】2022-02-09
【審査請求日】2023-03-31
(73)【特許権者】
【識別番号】304020498
【氏名又は名称】サクサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091546
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 正美
(74)【代理人】
【識別番号】100206379
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 正
(72)【発明者】
【氏名】清水 高志
【審査官】山中 実
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-247552(JP,A)
【文献】特開2006-157974(JP,A)
【文献】特開2017-130882(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 3/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電話制御装置に対して、複数の電話端末が接続されることにより形成される電話システムであって、
前記電話制御装置は、
前記複数の電話端末の内の一の電話端末が通話中の通話回線について、前記複数の電話端末の内の他の電話端末からの通話予約操作に応じた通話予約要求を受け付ける予約要求受付手段と、
前記予約要求受付手段を通じて、前記通話予約要求を受け付けた場合に、通話中の前記一の電話端末の使用者と通話の相手先との一方あるいは両方に対して、少なくとも次の通話希望者が存在することを通知する予約通知手段と、
前記複数の電話端末の内の前記他の電話端末からの通話中の通話回線を特定する情報を含む情報提供要求を受け付ける提供要求受付手段と、
前記提供要求受付手段を通じて、前記情報提供要求を受け付けた場合に、前記通話中の通話回線の接続先を示す接続先情報を前記他の電話端末に提供する情報提供手段と
を備え、
前記複数の電話端末のそれぞれは、
前記複数の電話端末の内の一の電話端末が通話中の通話回線について、前記通話予約操作を受け付ける予約操作受付手段と、
前記予約操作受付手段を通じて前記通話予約操作を受け付けた場合に、前記通話予約要求を形成して、前記電話制御装置に提供する予約要求提供手段と、
通話中の通話回線を指示する所定の操作が行われた場合に、情報提供要求であることを示す情報と、自機の識別情報と、指示された通話中の通話回線を特定する情報とを含む前記情報提供要求を形成して、前記電話制御装置に提供する情報提供要求提供手段と、
前記電話制御装置からの前記接続先情報を取得する接続先情報取得手段と、
前記接続先情報取得手段を通じて取得した前記接続先情報を出力する出力手段と
を備えることを特徴とする電話システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電話システムであって、
前記複数の電話端末のそれぞれにおいて、
前記予約操作受付手段は、通話回線が対応付けられると共に、通話中表示機能を有する回線キーであり、
前記通話予約操作は、通話中表示がされている前記回線キーに対する所定の操作である
ことを特徴とする電話システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電話システムであって、
前記電話制御装置は、
前記予約要求受付手段を通じて、前記通話予約要求を受け付けた場合に、通話中の前記通話回線に対応付けて、通話予約登録を行う予約登録手段と、
前記一の電話端末からのオンフック操作に応じた回線切断要求を受け付ける切断要求受付手段と、
前記切断要求受付手段を通じて、前記回線切断要求を受け付けた場合に、前記一の電話端末が接続している通話回線に対して前記予約登録手段を通じて通話予約登録がされている場合には、前記一の電話端末から当該電話制御装置までの間の接続を切断するように制御する切断制御手段と、
前記切断制御手段により、前記一の電話端末から当該電話制御装置までの間の接続を切断した後に、前記一の電話端末が接続していた通話回線に対して前記予約登録手段を通じて通話予約登録がされている場合には、前記通話の相手先に対して、前記通話の相手先から当該電話制御装置までの間の通話回線の接続が維持されていることを通知する維持通知手段と、
前記切断制御手段により、前記一の電話端末から当該電話制御装置までの間の接続を切断した後に、前記一の電話端末が接続していた通話回線に対して前記予約登録手段を通じて通話予約登録がされている場合には、通話予約元の前記他の電話端末を呼び出すようにする通話予約元呼出手段と、
呼び出すようにされた前記他の電話端末からのオフフック操作に応じた通話回線接続要求を受け付ける接続要求受付手段と、
前記接続要求受付手段を通じて、前記通話回線接続要求を受け付けた場合に、前記他の電話端末と前記通話の相手先との間に通話回線を接続して通話を可能にする通話予約接続手段と
を備え、
前記複数の電話端末のそれぞれの前記予約要求提供手段は、通話予約要求であることを示す情報と、提供元である前記他の電話端末の識別情報と、指示された通話中の通話回線を特定する情報とを含む前記通話予約要求を形成するものである
ことを特徴とする電話システム。
【請求項4】
請求項3に記載に電話システムであって、
前記電話制御装置は、
前記通話予約接続手段を通じて、前記通話の相手先と前記他の電話端末との間に通話回線を接続する前に、前記通話の相手先が、前記通話回線を切断した場合に、前記通話の相手先に電話をかけて、通話回線を再接続するように制御する再接続制御手段を備え、
前記通話予約接続手段は、再接続された前記通話回線を通じて、前記他の電話端末と前記通話の相手先との間に通話回線を接続して通話を可能にする
ことを特徴とする電話システム。
【請求項5】
電話制御装置に対して、複数の電話端末が接続されることにより形成される電話システムであって、
前記電話制御装置は、
前記複数の電話端末の内の一の電話端末が通話中の通話回線について、前記複数の電話端末の内の他の電話端末からの通話予約操作に応じた通話予約要求を受け付ける予約要求受付手段と、
前記予約要求受付手段を通じて、前記通話予約要求を受け付けた場合に、通話中の前記一の電話端末の使用者と通話の相手先との一方あるいは両方に対して、少なくとも次の通話希望者が存在することを通知する予約通知手段と、
前記予約要求受付手段を通じて、前記通話予約要求を受け付けた場合に、通話中の前記通話回線に対応付けて、通話予約登録を行う予約登録手段と、
前記一の電話端末からのオンフック操作に応じた回線切断要求を受け付ける切断要求受付手段と、
前記切断要求受付手段を通じて、前記回線切断要求を受け付けた場合に、前記一の電話端末が接続している通話回線に対して前記予約登録手段を通じて通話予約登録がされている場合には、前記一の電話端末から当該電話制御装置までの間の接続を切断するように制御する切断制御手段と、
前記切断制御手段により、前記一の電話端末から当該電話制御装置までの間の接続を切断した後に、前記一の電話端末が接続していた通話回線に対して前記予約登録手段を通じて通話予約登録がされている場合には、前記通話の相手先に対して、前記通話の相手先から当該電話制御装置までの間の通話回線の接続が維持されていることを通知する維持通知手段と、
前記切断制御手段により、前記一の電話端末から当該電話制御装置までの間の接続を切断した後に、前記一の電話端末が接続していた通話回線に対して前記予約登録手段を通じて通話予約登録がされている場合には、通話予約元の前記他の電話端末を呼び出すようにする通話予約元呼出手段と、
呼び出すようにされた前記他の電話端末からのオフフック操作に応じた通話回線接続要求を受け付ける接続要求受付手段と、
前記接続要求受付手段を通じて、前記通話回線接続要求を受け付けた場合に、前記他の電話端末と前記通話の相手先との間に通話回線を接続して通話を可能にする通話予約接続手段と、
前記通話予約接続手段を通じて、前記通話の相手先と前記他の電話端末との間に通話回線を接続する前に、前記通話の相手先が、前記通話回線を切断した場合に、前記通話の相手先に電話をかけて、通話回線を再接続するように制御する再接続制御手段と
を備え、
前記通話予約接続手段は、再接続された前記通話回線を通じて、前記他の電話端末と前記通話の相手先との間に通話回線を接続して通話を可能にするものであり、
前記複数の電話端末のそれぞれは、
前記複数の電話端末の内の一の電話端末が通話中の通話回線について、前記通話予約操作を受け付ける予約操作受付手段と、
前記予約操作受付手段を通じて前記通話予約操作を受け付けた場合に、前記通話予約要求を形成して、前記電話制御装置に提供する予約要求提供手段と
を備え、
前記複数の電話端末のそれぞれの前記予約要求提供手段は、通話予約要求であることを示す情報と、提供元である前記他の電話端末の識別情報と、指示された通話中の通話回線を特定する情報とを含む前記通話予約要求を形成するものである
ことを特徴とする電話システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、主装置やSIPサーバなどの電話制御装置に対して、複数の電話端末が接続されて構成されるビジネスホンシステムなどと呼ばれる電話システムに関する。
【背景技術】
【0002】
会社のオフィスなどに構築されるビジネスホンシステムについては、従来から種々の機能が搭載されている。例えば、相手先に電話をかけて通話中であった場合に、電話をかけ直す手間を省いたり、相手先の終話を待つ必要をなくしたりする技術として、後に記す特許文献1に開示されたものがある。特許文献1には、従来の技術として電話をかけた相手先が通話中であった場合には、自動で一定時間経過後に同じ電話番号に電話をかけ直すことができるようにする技術があることが開示されている。
【0003】
更に、引用文献1には、当該出願の発明として、電話をかけた相手先が通話中で、その相手先が異なる2以上の電話番号を持っており、その2以上の電話番号が登録されている場合には、通話中の電話番号以外の電話番号に自動で発信する技術が開示されている。これらの技術は、できるだけ早く電話連絡を取りたい相手先に対して、使用者が繰り返しダイヤル操作を行うことなく、確実に電話をかけるようにする技術として一定の効果を有するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平5-122354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
オフィスにおいては、自分の近くに居る社員が電話をしている場合、聞こえてくるその社員の通話の内容などから、往々にして誰と通話しているのか推測がつくものであり、自分も当該社員が通話をしている相手先と通話をしたいと考える場合も多い。このような場合に、上述した特許文献1に開示された技術により、相手先が通話中であるので、一定時間経過後に電話をかけ直すようにして、通話中の電話が終了後にできるだけ早く通話を行えるようにすることが考えられる。
【0006】
しかし、相手先が取引先の会社の担当者である場合などにおいては、会社の代表電話番号などに電話をかけることになり、目的とする相手先が電話中であっても、他の人によって応答されてしまう場合がほとんどである。また、上述した特許文献1に開示された発明の場合にも、違う電話番号に電話をかけても、目的とする相手先が電話中であれば、電話に出られないのであるから無駄な電話になってしまう。このため、一般には、「電話が終わったら代わって。」と小声で伝えたり、メモを渡したりして、次に電話を代わってほしいことを伝える。
【0007】
この場合、電話中の当該社員にとっては、通話中のことでもあり、正確に電話を代わってほしいことが伝わらなかったり、通話が終わるころには電話を廻すことをすっかり忘れてしまったりする場合がある。このため、廻すべき電話を切ってしまい、電話を代わってほしいと頼んだ者から文句を言われ、不快な思いをすることが多々ある。
【0008】
以上のことに鑑み、この発明は、通話中に電話の引き継ぎを依頼するメモを渡すなどといった手間をかけることなく、次の通話希望者の存在を明確にして、当該次の通話希望者に電話を引き継ぐことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の電話システムは、
電話制御装置に対して、複数の電話端末が接続されることにより形成される電話システムであって、
前記電話制御装置は、
前記複数の電話端末の内の一の電話端末が通話中の通話回線について、前記複数の電話端末の内の他の電話端末からの通話予約操作に応じた通話予約要求を受け付ける予約要求受付手段と、
前記予約要求受付手段を通じて、前記通話予約要求を受け付けた場合に、通話中の前記一の電話端末の使用者と通話の相手先との一方あるいは両方に対して、少なくとも次の通話希望者が存在することを通知する予約通知手段と
前記複数の電話端末の内の前記他の電話端末からの通話中の通話回線を特定する情報を含む情報提供要求を受け付ける提供要求受付手段と、
前記提供要求受付手段を通じて、前記情報提供要求を受け付けた場合に、前記通話中の通話回線の接続先を示す接続先情報を前記他の電話端末に提供する情報提供手段と
を備え、
前記複数の電話端末のそれぞれは、
前記複数の電話端末の内の一の電話端末が通話中の通話回線について、前記通話予約操作を受け付ける予約操作受付手段と、
前記予約操作受付手段を通じて前記通話予約操作を受け付けた場合に、前記通話予約要求を形成して、前記電話制御装置に提供する予約要求提供手段と
通話中の通話回線を指示する所定の操作が行われた場合に、情報提供要求であることを示す情報と、自機の識別情報と、指示された通話中の通話回線を特定する情報とを含む前記情報提供要求を形成して、前記電話制御装置に提供する情報提供要求提供手段と、
前記電話制御装置からの前記接続先情報を取得する接続先情報取得手段と、
前記接続先情報取得手段を通じて取得した前記接続先情報を出力する出力手段と
を備えることを特徴とする。
【0012】
なお、この明細書において、「通話中」との文言は、電話端末間に通話回線を接続し、当該電話端末間で通話が可能になっている場合を意味する。この場合、一方、又は、両方の電話端末で、例えば、保留キーなどが操作され、保留状態になってこともあるが、いずれかの電話端末でオフフック操作が行われ、その電話端末が通話から離脱するまでは、通話中となる。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、通話中に電話の引き継ぎを依頼するメモを渡すなどといった手間をかけることなく、電話端末に対する簡単な操作により、次の通話希望者の存在を明確にして、当該次の通話希望者に確実に電話を引き継ぐことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施の形態の電話システムの構成例を説明するための図である。
図2】実施の形態の電話制御装置の構成例を説明するためのブロック図である。
図3】実施の形態の電話制御装置のアドレス管理DB(Data Base)の格納データの例を説明するための図である。
図4】実施の形態の電話制御装置の電話帳ファイルの格納データの例を説明するための図である。
図5】実施の形態の電話制御装置の通話履歴ファイルの格納データの例を説明するための図である。
図6】実施の形態のIP電話端末の構成例を説明するためのブロック図である。
図7】実施の形態のIP電話端末の外観の例を説明するための図である。
図8】実施の形態のIP電話端末から電話制御装置に送信されるSIPメッセージのフォーマットの例を説明するための図である。
図9】実施の形態のIP電話端末で表示される情報の表示例を説明するための図である。
図10】実施の形態の電話システムで行われる通話予約機能を利用する場合の処理について説明するためのシーケンス図である。
図11】実施の形態の電話システムで行われる通話予約機能を利用する場合の処理について説明するためのシーケンス図である。
図12】実施の形態の電話システムで行われる通話予約機能を利用する場合の処理について説明するためのシーケンス図である。
図13】実施の形態の電話システムで行われる通話予約機能を利用する場合の処理について説明するためのシーケンス図である。
図14】実施の形態の電話制御装置で行われる処理について説明するための図である。
図15】実施の形態の電話制御装置で行われる処理について説明するための図である。
図16】実施の形態のIP電話端末で行われる処理について説明するための図である。
図17】IP電話端末で通話予約操作を受け付ける場合の他の例について説明するための図である。
図18】IP電話端末で通話予約操作を受け付ける場合の他の例について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図を参照しながら、この発明の電話システムの一実施の形態について説明する。以下に説明する実施の形態においては、この発明による電話システムを、例えば会社のオフィスなどに構築されるビジネスホンシステム(ボタン電話システム)に適用した場合を例にして説明する。また、この発明は、公衆交換回線網を通じて通話を行う従来からの電話システムにも、また、電話網の一部もしくは全てにVoIP(Voice over Internet Protocol)技術を利用して通話を行うIP電話システムにも適用可能である。しかし、以下に説明する実施の形態においては、IP電話システムに適用した場合を例にして説明する。
【0016】
[電話システムの構成例]
図1は、実施の形態の電話システム(ビジネスホンシステム)の構成例を説明するための図である。図1に示すように、電話制御装置(SIPサーバ)1に対して、LAN(Local Area Network)2を通じて、複数のIP電話端末3(1)、3(2)、3(3)、…が接続されることにより、ビジネスホンシステムが構成される。また、電話制御装置1は、広域ネットワーク4にも接続されている。この実施の形態において、広域ネットワーク4は、主にはIP電話網であるが、公衆交換電話網、携帯電話網をも含む。
【0017】
電話制御装置1は、SIP(Session Initiation Protocol)と呼ばれるプロトコルを利用して、自機に接続された(配下の)IP電話端末の呼制御を行う。なお、呼制御は、電話をかけたり、電話を受けたりして、通話回線(電話回線)を接続して通話を可能にしたり、接続した通話回線を切断したりするなど、電話をかけたり、電話を受けたり、電話を切ったりするための一連の制御を意味する。
【0018】
IP電話端末3(1)、3(2)、3(3)、…のそれぞれは、相手先の電話端末との間に接続される通話回線を通じて通話を行う機能を実現する。すなわち、IP電話端末3(1)、3(2)、3(3)、…のそれぞれは、電話制御装置1を介して、広域ネットワーク4に接続されているIP電話端末5や携帯電話端末(図示せず)などと外線通話を行える。また、IP電話端末3(1)、3(2)、3(3)、…のそれぞれは、電話制御装置1を介して、LAN2に接続されている他のIP電話端末と内線通話を行うこともできる。
【0019】
IP電話端末5は、電話制御装置1とIP電話端末3(1)、3(2)、3(3)、…とによって構成される電話システムには含まれない、いわゆる外線電話である。IP電話端末5は、単独で広域ネットワーク4に接続されている場合もあれば、例えば、他の会社のビジネスホンシステムの電話端末として広域ネットワーク4に接続されている場合もある。
【0020】
この実施の形態の電話システムにおいては、通話中の通話回線の引き継ぎを、簡単かつ確実に行えるようにする新たな機能として通話予約機能を備えるものである。例えば、IP電話端末3(1)の使用者Aが、外線電話であるIP電話端末5との間に通話回線を接続し、通話を行っているとする。この場合に、使用者Aの近くに居るIP電話端末3(2)の使用者Bが、聞こえてくるIP電話端末3(1)の使用者Aの話の内容から、通話の相手先は自分も通話したい相手先(IP電話端末5の使用者)であることが判別できたとする。このような場合、一般的には、使用者Bは、次に電話を廻してほしいことを記載したメモを使用者Aに渡すなどして、通話中の電話を自分に廻すことを依頼する。
【0021】
しかし、この実施の形態の電話システムでは、そのようなことをする必要はない。IP電話端末3(2)の使用者Bは、通話中の通話回線を特定した通話予約操作を行うことにより、IP電話端末3(2)において通話中の通話回線を特定した通話予約要求を形成して、これを電話制御装置1に対して提供する。電話制御装置1は、通話予約要求を受信すると、特定された通話回線を接続している通話者、この例においては、IP電話端末3(1)の使用者Bと相手先であるIP電話端末5の使用者との一方あるいは両方に対して、次の通話希望者が居ることを通知する。この通知は、例えば音声メッセージとして通知される。これにより、通話者に対して、次の通話希望者の存在を明示的に通知できる。
【0022】
なお、IP電話端末3(1)の使用者だけに次の通話者の存在を通知したとする。この場合には、IP電話端末3(1)の使用者は、自分の要件が済んだ段階で、IP電話端末5の使用者に他の者に電話を代わるので、電話を切らずにそのまま待って欲しいことを伝えることができる。また、IP電話端末5の使用者だけに次の通話希望者の存在を通知した場合には、IP電話端末5の使用者は、自分の要件が済んだ段階で、IP電話端末3(1)の使用者に次の通話希望者が居るようなので、次の通話希望者に電話を代わって欲しいことを依頼できる。もちろん、通話者双方に次の通話希望者が居ることを通知した場合には、通話の終了時に即座に電話を切ることなく、次の通話希望者に電話を代わることを双方の承知の元に確実に行うことができる。
【0023】
このように、通話中の通話回線を通じて通話を行っている一方あるいは両方に、次の通話希望者の存在を知らせることにより、スムーズに通話中の通話回線を次の通話希望者に引き継いで、通話を継続させることが可能になる。また、この実施の形態の電話システムの場合には、次の通話希望者の存在を知らせるだけではない。上述の例の場合、電話制御装置1は、IP電話端末3(1)が通話中の通話回線について、IP電話端末3(2)から通話予約要求が到来した場合には、当該通話回線について通話予約情報を登録しておく。
【0024】
この場合に、電話制御装置1は、IP電話端末3(1)がオンフックして通話回線を切断するようにしたら、通話の相手先であるIP電話端末5との通話回線は切断(解放)せずに維持し、電話制御装置1とIP電話端末3(1)との通話回線は切断(解放)する。この場合、通話の相手先であるIP電話端末5の使用者には、次の通話希望者に電話を繋ぐ旨の通知を例えば音声メッセージにより行う。更に、電話制御装置1は、通話予約元のIP電話端末3(2)を呼び出すようにし、IP電話端末3(2)が応答すれば、外線電話であるIP電話端末5と、IP電話端末3(2)との間に通話回線を接続して通話を可能にする。
【0025】
このように、電話制御装置1の配下のIP電話端末3(1)、3(2)、3(3)、…のそれぞれは、通話中の通話回線について、通話予約を行っておくことにより、通話中の通話回線の引き継ぎを簡単かつ確実に行うことができる。以下、この実施の形態の電話システムを構成する電話制御装置1と、IP電話端末3(1)、3(2)、3(3)、…の構成例等について具体的に説明する。なお、IP電話端末3(1)、3(2)、3(3)、…のそれぞれについては、同様に構成されるものであるので、特に区別して示す必要がある場合を除き、IP電話端末3と総称する。
【0026】
[電話制御装置1の構成例]
図2は、実施の形態の電話制御装置1の構成例を説明するためのブロック図である。接続端101Tは、広域ネットワーク4への接続端を構成する。通信I/F(Interface)101は、広域ネットワーク4を通じての通信処理を行う。すなわち、通信I/F101は、広域ネットワーク4を介して送信されて来る自機宛ての信号を、自機において処理可能な形式の信号に変換してこれを取り込む。また、通信I/F101は、自機から目的とする相手先に送信する信号を、送信用の形式の信号に変換してこれを広域ネットワーク4に送出して相手先に送信する。
【0027】
制御部102は、図示しないがCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発性メモリなどを備えたマイクロプロセッサであり、電話制御装置1の各部を制御する。また、制御部102は、パケット化されて送受される制御データや音声データなどの種々のデータの分解処理や生成処理をも行うことができるものである。
【0028】
記憶装置103は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などの、記録媒体とそのドライバとからなる装置部であり、種々のデータの記録、読み出し、変更、削除などを行う。記憶装置103は、必要となるデータやプログラムを記憶保持する他、種々の処理において生じる中間データを一時記憶する作業領域としても用いられる。
【0029】
アドレス管理DB104は、HDDやSSDなどの記録装置部に作成され、自機に収容されたIP電話端末3についてのアドレス情報やその他の管理情報を記憶保持する。図3は、電話制御装置1のアドレス管理DB104の格納データの例を説明するための図である。図3に示すように、アドレス管理DB104には、電話制御装置1に収容されるIP電話端末3ごとに、「内線番号」、「IP(Internet Protocol)アドレス」、「ポート番号」、「使用者名」の各情報が記憶保持される。
【0030】
「内線番号」は、電話制御装置1に収容される全てのIP電話端末3に割り当てられる内線電話用の番号である。IPアドレスは、インターネットに接続可能な機器に対して、例えばDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバなどにより付与され、インターネットに接続可能な機器のそれぞれを一意に特定できる情報である。この実施の形態において、電話制御装置1に収容されるIP電話端末3のそれぞれには、IPアドレスが割り当てられている。
【0031】
「ポート番号」は、IP電話端末3のそれぞれが用いるポートの番号である。「使用者名」は、当該IP電話端末3を主に使用する使用者の氏名である。この他にも、例えば、IP電話端末3のMACアドレス(Media Access Control address)、URL(Uniform Resource Locator)や使用者の所属(部、課、グループ)など、必要となる種々の情報をアドレス管理DB104おいて管理することも可能である。アドレス管理DB104の格納データにより、電話制御装置1は、自機に収容するようにされたIP電話端末3のそれぞれに関する情報を把握できる。
【0032】
電話帳ファイル105は、HDDやSSDなどの記録装置部に作成され、よく電話をかけたり、よく電話がかかってきたりする相手先についての情報の登録を受け付けて、これを記憶保持するものである。図4は、電話制御装置1の電話帳ファイル105の格納データの例を説明するための図である。この実施の形態において、電話帳ファイル105には、相手先の氏名、相手先の所属(会社名など)、相手先の電話番号(外線電話用の番号)が記憶保持される。もちろん、これは一例であり、更に、住所、電子メールアドレス、ファクシミリ番号等の種々の情報を記憶保持するように構成することもできる。この電話帳ファイル105の情報により、例えば、電話番号から相手の氏名や所属を特定することができる。上述したように、この明細書では、内線番号は、内線電話用の番号であり、単に電話番号と記載した時には、外線電話用の番号を意味する。
【0033】
通話履歴ファイル106は、HDDやSSDなどの記録装置部に作成され、電話をかけたり、或いは、電話がかかってきたりした場合の通話履歴情報を記憶保持すると共に、通話中の通話回線に対応付けて、通話予約情報についても記憶保持する。図5は、電話制御装置1の通話履歴ファイル106の格納データの例を説明するための図である。図5に示すように、通話履歴ファイル106には、大きく分けると、通話履歴情報と通話予約情報とが記録される。
【0034】
通話履歴情報は、通話回線が捕捉され、着信や発信が発生してから当該捕捉された通話回線が解放されるまでの情報で構成される。従って、通話履歴情報は、主に、通話回線が接続されて通話が行われた場合の情報であるが、着信や発信が発生して、相手先が応答せずに通話回線が接続されなかった場合の情報や保留機能や転送機能を用いて、通話回線を引き継ぐようにした情報等も含む。ここでは、説明を簡単にするため、応答がされずに通話回線が接続されなかった場合や保留機能や転送機能が用いられた場合の説明について省略する。
【0035】
この実施の形態において、通話履歴情報は、発信元番号、着信先番号、開始日時及び終了日時、使用回線、使用状態からなる。発信元番号は、発信元に割り当てられている内線番号若しくは電話番号である。着信先番号は、着信先の内線番号又は電話番号である。開始日時及び終了日時の内、開始日時は、発信や着信が発生した日時を示す。終了日時は、発信や着信が発生してから相手が応答せずに発信や着信が終了した日時、あるいは、発信や着信が発生してから相手が応答し、通話回線を接続して通話をしてから、その通話が終了し、通話回線を切断した日時を示す。
【0036】
使用回線は、接続されている通話回線を特定する情報である。例えば、外線の電話番号が3つ取得されている場合には、各電話番号に対応して、電話番号Aは外線1、電話番号Bは外線2、電話番号Cは外線3というように使用回線が特定可能にされる。また、内線の場合には、同時に接続されている内線が複数存在する場合には、例えば、接続順に内線1、内線2、内線3のように特定可能にされる。このように、接続された通話回線を特定可能にするのは、詳しくは後述するが、回線キーに対応付けて、通話回線を特定可能にするためである。使用状態は、例えば、着信呼び出し中、発信呼び出し中、保留中、通話中、終話といった、用いるようにされた通話回線がどのような状態であるのかを示す情報である。
【0037】
一方、通話予約情報は、通話中の通話回線に対する通話予約の状況を示す情報である。具体的に、通話予約情報は、予約元、状態、予約日時及び終話日時からなる。予約元は、詳しくは後述もするが、通話予約操作が行われることにより、通話予約要求を形成して電話制御装置1に送信してきた通話予約元のIP電話端末3の内線番号である。状態は、待機中か、呼び出し中か、通話中か、終話かを示す情報である。予約日時は、電話制御装置1がIP電話端末3から通話予約要求を受信した日時であり、終話日時は、通話予約元のIP電話端末3を通じた通話が終了した日時を示す。このように、通話履歴ファイル106は、発信や着信の発生の状況、発信や着信に応じて行われた通話の状況を管理すると共に、配下のIP電話端末3を通じて行われた通話予約の状況、その通話予約に応じて行われた通話の状況を管理する。
【0038】
なお、図5において、開始日時及び終了日時、予約日時及び終話日時は、時刻だけを示しているが、実際には年月日及び時刻の情報が格納される。また、通話履歴ファイル106を、例えば、年月日別に作成することもできる。この場合には、開始日時及び終了日時の欄は、開始時刻及び終了時刻の欄として、時刻情報だけを更新するようにし、同様に、予約日時及び終話日時の欄は、予約時刻及び終話時刻の欄として、時刻情報だけを更新するようにしてもよい。
【0039】
また、図5の1番目の情報では、内線番号が「101」のIP電話端末3から電話番号が「03 XXXX XXXX」に対して、午前9時0分に外線1を通じて電話を掛け、現在は「通話中」であることが管理されている。更に、当該1番目の情報では、通話中である外線1に対しては、内線番号が「102」のIP電話端末から午前9時1分に通話予約がされて、現在待機中であることが管理されている。
【0040】
また、図5の2番目の情報では、電話番号が「03 YYYY YYYY」から午前9時1分に外線2を通じて着信があり、内線番号が301のIP電話端末3で応答し、午前9時6分には終話していることが管理されている。更に、この2番目の情報では、外線2を用いた通話中に、内線番号が「302」のIP電話端末から午前9時3分に通話予約がされて、現在、通話予約元のIP電話端末を呼び出し中であることが管理されている。
【0041】
また、図5の3番目の情報では、内線番号が「201」のIP電話端末3から電話番号が「03 ZZZZ ZZZZ」に対して、午前9時3分に外線3を通じて電話を掛け、午前9時10分に終話していることが管理されている。更に、この3番目の情報では、外線3を用いた通話中に、内線番号が「203」のIP電話端末から午前9時05分に通話予約がされていることが管理されている。また、現在、電話番号が「03 ZZZZ ZZZZ」の着信先と、内線番号が「203」の通話予約元との間で通話中であることが管理されている。
【0042】
なお、図5の4番目~6番目の情報は、内線の通話履歴情報と通話予約情報を示すものである。これらについては、後述する内線の通話中の通話回線について通話予約を行う場合の説明で、一緒に説明することとする。
【0043】
接続端107Tは、LAN2への接続端を構成する。LANI/F(Interface)107は、電話制御装置1と、LAN2を通じて電話制御装置1に収容されるIP電話端末3のそれぞれとの間の通信を可能にする。従って、電話制御装置1からIP電話端末3への信号は、LANI/F107において送信用の形式の信号に変換されて、IP電話端末3に送信される。また、IP電話端末3からの信号は、LANI/F107において自機において処理可能な形式の信号に変換されて取り込まれる。時計回路108は、現在年月日、現在曜日、現在時刻を提供するものであり、上述した通話履歴ファイル106に記録する開始日時及び終了日時、予約日時及び終話日時などが、当該時計回路108から取得される。
【0044】
呼制御部109は、制御部102の制御の下、アドレス管理DB104の管理情報を用い、配下のIP電話端末3の発信、着信、応答、切断等の呼制御を行う。呼制御部109は、図2に示すように、発信制御部1091と、着信制御部1092とを備えている。配下のIP電話端末3から発信(発信要求)を受け付けると、発信制御部1091が機能して、指示された相手先に対して発信情報を送出して当該相手先を呼び出すようにし、当該相手先が応答してきたら通話回線を接続して通話を可能にする。また、発信制御部1091は、発信要求に応じて通話回線の接続処理を行うようにしている場合に、オンフックされた場合には、当該接続処理をキャンセルする処理(取消す処理)も行う。
【0045】
また、自機宛ての着信(相手先からの発信通知)を受け付けた場合には、着信制御部1092が機能して、配下のIP電話端末3に着信通知を行う。これにより、IP電話端末3では、呼び出し音が放音され、着信の発生が通知される。IP電話端末3において、着信に応答する操作(オフフック操作)がされると、着信制御部1092は、これを検知して、着信に応答し、オフフックがされた配下のIP電話端末3との間に通話回線を接続して通話を可能にする。
【0046】
なお、この実施の形態の電話制御装置1において、接続した通話回線を保留にしたり、転送したり、解放したりする処理は、配下のIP電話端末3からの要求に応じて、制御部102の制御の下に処理される。また、着信通知後に代理応答機能が用いるようにされた場合にも、配下のIP電話端末3からの要求に応じて、制御部102の制御の下に処理される。この他、制御部102は、配下のIP電話端末3が備えるLED(Light Emitting Diode)の点灯/消灯制御やディスプレイへの表示制御なども行う。
【0047】
通話予約処理部110は、通話予約機能を実現するための主要部である。通話予約処理部110は、図2に示すように、予約登録部111、通知処理部112、切断制御部113、通話予約元呼出部114、通話予約接続部115、再接続制御部116、情報提供部117からなる。詳しくは後述するが、IP電話端末3においては、他のIP電話端末3が通話中の通話回線について、通話予約操作が行われた場合に、その通話回線についての通話予約要求を形成して、電話制御装置1に送信して来る。通話予約要求は、当該要求が通話予約要求であることを示す情報、通話予約要求の送信元のIP電話端末の端末識別情報としての内線番号、通話中の通話回線特定情報としての回線キーを示す情報が含まれる。
【0048】
当該通話予約要求は、予約要求受付部として機能する接続端107T及びLANI/F107を通じて受け付けられ、通話予約処理部110の予約登録部111に送られる。予約登録部111は、接続端107T及びLANI/F107を通じて、配下のIP電話端末3からの通話予約要求を受け付けた場合に、通話中の当該通話回線に対応付けて、通話予約登録を行う。具体的に、予約登録部111は、回線キーを示す情報により特定される通話履歴ファイル106の指示された通話中の通話回線に対して、通話予約情報の各欄に情報の更新を行う。この場合、予約登録部111は、予約元の欄に、通話予約要求の送信元のIP電話端末3の内線番号を更新し、状態の欄に待機中を示す情報を更新し、予約日時に時計回路108から取得した現在時刻を更新する。
【0049】
通知処理部112は、予約通知部として機能すると共に、維持通知部として機能する。すなわち、通知処理部112は、接続端107T及びLANI/F107を通じて、配下のIP電話端末3からの通話予約要求を受け付けた場合には、予約通知部として機能する。この場合、通知処理部112は、対応する通話回線を通じて通話中のIP電話端末3の使用者と通話の相手先との一方あるいは両方に対して、少なくとも次の通話希望者が存在することを通知する。
【0050】
また、通話予約が登録された通話中の通話回線について、配下のIP電話端末3がオンフックすることにより、通話回線を切断するようにしたとする。この場合に、通知処理部112は、当該IP電話端末3の通話の相手先に対しては、次の通話希望者に電話を繋ぐため、通話回線の接続は維持されていることを通知する。当該通知は、通話の相手先に対して、電話を切らずに維持することを要請する通知でもある。このように、通知処理部112は、維持通知部としての機能をも実現する。
【0051】
上述したように、通話回線を接続していたIP電話端末3がオンフック操作を行った場合には、オンフック操作されたことを示す情報、すなわち、回線切断要求を形成して電話制御装置1に対して送信して来る。このため、電話制御装置1は、切断要求受付部としての接続端107T及びLANI/F107を通じて、IP電話端末3からの回線切断要求を受信する。
【0052】
接続端107T及びLANI/F107を通じて、IP電話端末3からの回線切断要求を受信し、当該IP電話端末3が接続している通話回線に通話予約登録がされていたとする。この場合には、切断制御部113が機能し、当該回線切断要求を送信してきたIP電話端末3と電話制御装置1との間の通話回線を切断する。しかし、回線切断要求元のIP電話端末3と通話していた通話の相手先と電話制御装置1との間の通話回線は維持する。接続していた通話回線を通話予約元のIP電話端末3に引き継ぐためである。
【0053】
回線切断要求を送信してきたIP電話端末3と電話制御装置1との間の通話回線を、切断制御部113により切断した場合には、更に、通話予約元呼出部114が機能して、通話予約元のIP電話端末3を呼び出す処理を行う。これにより、通話予約元のIP電話端末3では、例えば、呼び出し音を放音するなどして、当該IP電話端末3の使用者に対して、通話予約した相手先との通話が可能になったことが通知される。ここでの呼び出し音は、着信音と同じでもよいし、着信音とは異なる音質や異なる放音パターンのものであってもよい。
【0054】
この後、呼び出された通話予約元のIP電話端末3に対して使用者(予約者)がオフフック操作を行うと、当該IP電話端末3は、通話回線接続要求を形成して、電話制御装置1に送信して来る。当該通話回線接続要求は、接続要求受付部としての接続端107T及びLANI/F107を通じて、電話制御装置1が受信する。当該通話回線接続要求を受信した電話制御装置1では、通話予約接続部115が機能して、通話回線接続要求元のIP電話端末3と、電話制御装置1との間で通話回線が維持されている元の(最初の)通話の相手先との間に通話回線を接続し、通話を可能にする。すなわち、一のIP電話端末3と通話の相手先との間で通話回線が接続されて通話が行われていた場合に、当該通話回線を通話予約元である他のIP電話端末3が引き継いで、当該通話の相手先との間で通話が可能にされる。
【0055】
なお、切断制御部113により、先に通話回線を接続していたIP電話端末3がオンフック操作を行って、当該IP電話端末3と電話制御装置1との間の通話回線を切断したとする。この場合に、先に通話回線を接続して通話を行っていた通話の相手先と電話制御装置1との間の通話回線は維持されるが、当該通話の相手先が、誤ってオンフック操作を行って、当該維持している通話回線を切断してしまったとする。この場合には、通話予約元のIP電話端末3は、いうまでもなく、当該通話の相手先と通話を行うことができない。
【0056】
そこで、再接続制御部116が機能し、通話回線を切断してしまった当該通話の相手先に対して発信を行うことにより電話のかけ直しを行い、通話回線を再接続する。通話回線が再接続されれば、通話予約接続部115が機能して、通話予約元のIP電話端末3との間に通話回線を接続して、通話を可能にすることができる。この場合の再接続のための発信に用いる通話の相手先の電話番号は、図5を用いて説明した通話履歴ファイル106の発信元番号や着信先番号を用いることができる。
【0057】
また、上述もしたように、取得した外線の電話番号が例えば3つあり、これらが同時に利用されて通話回線が接続されている場合には、IP電話端末の使用者は、自分が通話予約を行いたい通話回線はどれかを特定することができない場合がある。そこで、この実施の形態の電話システムでは、電話制御装置1において、取得した3つの外線の電話番号のそれぞれを異なる回線キーである外線1キー、外線2キー、外線3キーのそれぞれに割り当てておく。これにより、電話制御装置1は、使用されている外線電話番号の通話回線に応じて、外線1キー、外線2キー、外線3キーのLED(Light Emitting Diode)を点灯、点滅、消灯などの制御ができる。
【0058】
例えば、電話制御装置1は、IP電話端末のそれぞれについて、以下のような制御が可能である。外線の電話番号Aに通話回線が接続されて通話が可能な状態にある場合には、IP電話端末3の外線1キーのLED(Light Emitting Diode)を点灯さる。また、外線の電話番号Bに通話回線が接続されて通話が可能な状態にある場合には、IP電話端末3の外線2キーのLEDを点灯させる。また、外線に電話番号Cに通話回線が接続されて通話が可能な状態にある場合には、IP電話端末3の外線3キーのLEDを点灯させる。
【0059】
これにより、IP電話端末3のそれぞれでは、どの外線の電話番号に対応する通話回線が接続されて通話が行われているのかを明確に示すことが可能になる。このため、詳しくは後述するが、IP電話端末3において、通話回線が接続されているために対応するLEDが点灯している回線キー(外線1キー、外線2キー、外線3キー)が、例えば、短く押下操作されたとする。この場合、当該IP電話端末は、情報提供要求を形成して電話制御装置1に送信する。当該情報提供要求は、情報提供要求であることを示す情報と、IP電話端末3の識別情報と、指示された通話中の通話回線を特定する情報として、外線1キー、外線2キー、外線3キーのいずれが操作されたのかを示す情報を含むものである。
【0060】
電話制御装置1では、提供要求受付部として機能する接続端107T及びLANI/F107を通じて、IP電話端末3からの情報提供要求を受信する。電話制御装置1の制御部102は、情報提供要求を受信した場合には、情報提供部117を制御して、通話履歴ファイル106の蓄積情報に基づいて、要求された通話中の通話回線についての双方の接続先情報として、少なくとも内線番号や電話番号を通知する。この接続先情報は、LANI/F107及び接続端107Tを通じてLAN2に送出され、要求元のIP電話端末3に提供される。
【0061】
これにより、情報提供要求の送信元のIP電話端末3では、電話制御装置1からの接続先情報をディスプレイに表示させるなどのことが可能になる。情報提供要求の送信元のIP電話端末3の使用者は、外線1キー、外線2キー、外線3キーのそれぞれに対応付けられている通話中の通話回線の接続先を明確に認識できる。このようなIP電話端末3のディスプレイへの接続先情報の表示により、当該IP電話端末3の使用者は、自分が通話予約をしたい通話中の通話回線は、どの回線を通じて接続されているのかを明確に把握することが可能になる。IP電話端末3の使用者は、自分が通話予約をしたい通話中の通話回線が対応する外線キーを操作することにより、通話に用いられている通話回線を特定した通話予約要求を形成して電話制御装置1に対して提供できる。
【0062】
このように、電話制御装置1は、配下のIP電話端末3についての呼制御を行うと共に、通話中の通話回線についての通話予約機能を実現する。当該通話予約機能は、通話中の通話回線について、IP電話端末3を通じて通話予約を行うことによって、他のIP電話端末が接続している通話回線を、通話予約を行ったIP電話端末3が、簡単に引き継ぐことができるようにしている。
【0063】
[IP電話端末3の構成例]
図6は、実施の形態の電話制御装置1に収容されるIP電話端末3の構成例を説明するためのブロック図である。図7は、IP電話端末3の外観を説明するための図である。制御部310は、図示しないが、CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリなどを備えたマイクロプロセッサであり、IP電話端末3の各部を制御する。また、制御部310は、パケット化されて送受される制御データや音声データなどの種々のデータの分解処理/生成処理も行う。
【0064】
接続端301Tは、LAN2への接続端を構成する。LANI/F301は、LAN2を通じた電話制御装置1との接続を実現する。すなわち、LANI/F301は、自機宛てに送信されてきた信号を、自機において処理可能な形式の信号に変換して自機に取り込む処理を行う。また、LANI/F301は、自機から送信する信号を、送信用の信号に変換し、これを送出する処理を行う。IP電話端末3は、接続端301T及びLANI/F301を通じて電話制御装置1に対して有線接続されている。
【0065】
ハンドセット302は、スピーカ(受話器)とマイクロホン(送話器)とを備えたものである。また、IP電話端末3は、図7に示すように、ハンドセット302がIP電話端末3の筐体の定位置に置かれているときにはオンフック状態となり、IP電話端末3の筐体の定位置から取り上げるとオフフック状態となるようにされている。このため、IP電話端末3においては、これらのフック状態を制御部310が把握できる構成が整えられている。
【0066】
コーデック303は、制御部310においてパケット分解された音声データの供給を受けて、これを圧縮伸長してアナログ音声信号に変換し、オフフック状態のハンドセット302のスピーカに供給する。これにより、相手先からの音声がハンドセット302のスピーカから放音される。また、コーデック303は、オフフック状態のハンドセット302のマイクロホンにより収音されたアナログ音声信号をデジタル信号に変換し、これをデータ圧縮して制御部310に供給する。制御部310は、コーデック303からの音声データをパケット化して、これをLANI/F301及び接続端301Tを通じて相手先に送信する。
【0067】
操作入力部304は、使用者からの操作入力を受け付けて、受け付けた情報を制御部310に提供する。操作入力部304には、図7に示すように、テンキーや複数のファンクションキーが設けられている他、外線キー、内線キーなどの設定が可能ないわゆるラインキーなどが設けられている。この実施の形態のIP電話端末3では、丸形状のキーとして示したテンキーの右横に、例えば、発信キー、応答キー、スピーカキー、保留キーといった4つのファンクションキーが設けられている。
【0068】
また、IP電話端末3では、図7に示すように、6つのラインキーLK1~LK6が設けられている。IP電話端末3においては、ラインキーLK1、LK2、LK3には、外線1、外線2、外線3が割り付けられ、ラインキーLK4、LK5、LK6には、内線1、内線2、内線3が割り付けられているものとする。
【0069】
LED部305は、図7に示すように、各ラインキーLK1~LK6に対応して設けられたLED51~56によって構成され、電話制御装置1からの制御信号に応じた制御部102の制御により、点灯、点滅、消灯の制御がされる。このため、LED51~53のそれぞれは、対応する外線について、着信が発生したり、発信のために捕捉されたりした場合には早く点滅し、通話回線が保留状態にされたらゆっくり点滅するように制御される。また、LED51~53のそれぞれは、対応する外線について、通話回線が電話端末間に接続されて通話中になったら点灯し、非使用状態の時には消灯するように制御される。
【0070】
また、発信のために内線が捕捉された場合には、空いているラインキーLK4~LK6が割り当てられ、対応するLED54~56が早く点滅し、通話回線が保留状態にされたらゆっくり点滅するように制御される。また、LED54~56のそれぞれは、対応する内線について、通話中になったら点灯し、非使用状態の時には消灯するように制御部102により制御される。従って、ラインキーLK1~LK3によって、外線の使用状態が把握でき、ラインキーLK4~LK6によって、内線の使用状態が把握できる。なお、ここで説明した制御の内容は、一例であり、LED51~56の点灯、点滅、消灯の制御は、種々の態様で行うことができる。
【0071】
放音部306は、制御部310の制御の下、例えば、着信時や上述した通話予約後の呼び出し時において、呼び出し音を放音させたり、誤操作時の警告音を放音させたりするものである。放音部306は、その他にも、制御部310の制御の下、種々の音声メッセージなどを放音させることもできるものである。ディスプレイ307は、ディスプレイコントローラを備え、制御部310の制御の下、図7に示すように、IP電話端末3の前面の右上端側に設けられるディスプレイ307の表示画面に、種々の情報を表示する処理を行う。表示される情報には、入力した相手先の電話番号、発信元の電話番号、ガイダンスメッセージ、警告メッセージ、また、上述した接続された通話回線の双方の利用者電話番号など、種々の情報がある。
【0072】
このような構成のIP電話端末3が、電話制御装置1に収容され、電話制御装置1を介して、外線電話を受けたり、外線電話を掛けたり、内線電話を受けたり、内線電話を掛けたりすることができるようになっている。また、上述もしたように、通話予約機能の利用も可能になっている。
【0073】
例えば、電話番号Aが割り当てられた外線1を通じて通話回線が接続されて通話が行われており、ラインキーLK1のLED51が点灯しているとする。この場合において、通話を行っている者(社員A)が自分(社員B)の近くに居る者で、その話の内容から自分(社員B)もその通話の相手先と通話を行いたいと考えたとする。この場合、社員Bは、LED51が点灯しているラインキーLK1を長押しする。この場合には、ラインキーLK1が通話予約受付部として機能することになる。
【0074】
通話回線が通話中(通話に使用中)であるためLED51が点灯中のラインキーLK1が長押しされることにより、ラインキーLK1が長押しされたことを示す信号が制御部310に供給される。この場合、制御部310は、通話予約要求を形成し、電話制御装置1に送信する。当該通話予約要求は、LANI/F301及び接続端301Tを通じてLAN2に送出され、電話制御装置1に送信される。このように、制御部310は、予約要求提供部としての機能を実現する。
【0075】
また、複数の異なる外線を通じて同時に通話回線が接続される場合もある。例えば、電話番号Aが割り当てられた外線1を通じて通話回線が接続されて通話が行われており、ラインキーLK1のLED51が点灯しているとする。同時に、電話番号Bが割り当てられた外線2を通じて通話回線が接続されて通話が行われており、ラインキーLK2のLED52が点灯しているとする。この場合において、通話を行っている者(社員A)が自分(社員B)の近くに居る者で、その話の内容から自分(社員B)も社員Aと通話を行っている相手先と通話を行いたいと考えたとする。
【0076】
しかし、社員Aが通話を行っている通話回線は、外線1なのか、外線2なのかの判別がつかず、外線1と外線2のどちらに通話予約をしてよいか分からなかったとする。この場合において、社員Bは、まず、LED51が点灯しているラインキーLK1を短く押下操作する。すなわち、この場合には、ラインキーLK1が、情報提供要求受付部として機能することになる。
【0077】
通話回線が通話中であるためLED51が点灯中のラインキーLK1が短く押下操作されることにより、LED51が点灯中のラインキーLK1が短く押下操作されたことを示す信号が制御部310に供給される。この場合、制御部310は、回線情報提供要求を形成し、電話制御装置1に送信する。当該情報提供要求は、LANI/F301及び接続端301Tを通じてLAN2に送出され、電話制御装置1に送信される。このように、制御部310は、情報提供要求提供部としての機能を実現する。
【0078】
電話制御装置1は、IP電話端末3からの回線情報提供要求を受信すると、上述もしたように、情報提供部117が機能して、指示された通話回線を通じて通話を行っている双方の電話番号等の接続先情報を形成して送信して来る。情報提供要求元のIP電話端末3は、これを受信し、制御部310の制御の下、ディスプレイ307に電話制御装置1からの接続先情報を表示する。これにより、情報提供要求元のIP電話端末3の使用者である社員Bは、当該接続先情報の表示を見て、通話予約を行うべき通話中の通話回線を特定し、その通話回線に対して通話予約を行うことができる。
【0079】
このように、IP電話端末3の制御部310とディスプレイ307とが協働して、接続先情報を出力する出力部として機能する。なお、LED52が点灯しているラインキーLK2についても短く押下操作することによって、回線情報提供要求を送信し、外線2を通じて通話回線を接続して通話を行っている双方の電話番号等の接続先情報を確認することももちろん可能である。
【0080】
図8は、IP電話端末3から電話制御装置1に送信されるSIPメッセージのフォーマットの例を説明するための図である。また、図9は、IP電話端末3のディスプレイ307に表示される接続先情報の表示例を説明するための図である。IP電話端末3の制御部310は、図8に示したSIPメッセージのフォーマットに従って、通話予約要求や回線情報提供要求を形成して、電話制御装置1に送信できる。
【0081】
例えば、通話予約要求の場合には、SIPメッセージとして、情報の登録(REGISTER)を用い、ボディーに要求区分と通話回線特定情報を記録するようにする。要求区分には、「1:通話予約要求」が記録され、通話回線特定情報には、操作された回線キー(外線1キー、外線2キー、外線3キー)の識別情報が記録される。これにより、REGISTERメソッドとボディーの要求区分により、当該メッセージが通話予約要求であることが認識できる。
【0082】
また、ヘッダフィールドの送信元のIPアドレスに基づいて、アドレス管理DB104を参照することにより、送信元のIP電話端末3の内線番号を特定できる。また、ボディーの通話回線特定情報により、どの通話中の通話回線に対して、通話予約を行うのかを特定できる。これにより、電話制御装置1では、予約登録部111が機能して、通話履歴ファイル106の対象となる通話中の通話回線を特定し、通話予約情報の更新を行うことができる。
【0083】
また、回線情報提供要求の場合には、SIPメッセージとして、イベントの通知要請(SUBSCRIBE)を用い、ボディーに要求区分と通話回線特定情報を記録するようにする。要求区分には、「2:回線情報提供要求」が記録され、通話回線特定情報には、操作された回線キー(外線1キー、外線2キー、外線3キー)の識別情報が記録される。これにより、SUBSCRIBEメソッドとボディーの要求区分により、当該メッセージが通話回線情報提供要求であることが認識できる。
【0084】
また、ヘッダフィールドの送信元のIPアドレスに基づいて、アドレス管理DB104を参照することにより、送信元のIP電話端末3の内線番号を特定できる。また、ボディーの通話回線特定情報により、どの通話中の通話回線についての接続先情報を提供するのかを特定できる。これにより、電話制御装置1では、情報提供部117が機能して、対象となる通話中の通話回線を特定し、当該通話回線を通じて通話を行っている双方の情報を通話履歴ファイル106から取得して接続先情報を形成し、要求元のIP電話端末3に提供できる。
【0085】
このようにして、電話制御装置1から提供される接続先情報は、図9に示すように、要求元のIP電話端末3のディスプレイ307に表示される。図9に示した例の場合には、外線1を通じて通話回線を接続して通話を行っているのは、発信元である内線番号が「101」の「田中○○」さんと、着信先である電話番号が「03 XXXX XXXX」の「山田○△」さんであることが示されている。この情報により、内線番号が「101」の「田中○○」さんから、電話番号が「03 XXXX XXXX」の「山田○△」さんに電話がかけられて通話回線が接続されたことも把握できる。また、内線番号に対応する氏名は、アドレス管理DB104から取得されたものであり、外線の電話番号に対応する氏名は、電話帳ファイル105から取得されたものである。
【0086】
このように、IP電話端末3の制御部310は、要求区分、端末識別情報、通話中の通話回線特定情報からなる通話登録要求メッセージや回線情報提供要求メッセージを形成して、電話制御装置1に提供できるものである。また、IP電話端末3のディスプレイ307には、電話制御装置1から提供を受けた接続先情報を出力できるものである。
【0087】
[実施の形態の電話システムで行われる処理]
次に、上述した構成の電話制御装置1とIP電話端末3とによって、図1に示したように構成される電話システムにおいて行われる通話予約機能を利用する場合の処理について説明する。図10図12は、実施の形態の電話システムにおいて行われる通話予約機能を利用する場合の処理について説明するためのシーケンス図である。図10図12は、電話制御装置1の配下のIP電話端末3(1)から外線のIP電話端末5に電話をかけて通話回線を接続して通話を行っている場合に、電話制御装置1の配下のIP電話端末3(2)が当該通話回線について通話予約を行う場合の例である。
【0088】
また、この例において、通話の相手先であるIP電話端末5は、図4に示した、電話番号が「03 XXXX YYYY」で、使用者が「山田△□」さんであるものとする。また、この例において、IP電話端末3(1)は、図3に示した、内線番号が「101」で、使用者が「田中○○」さんであり、IP電話端末3(2)は、図3に示した、内線番号が「102」で、使用者が「鈴木□□」さんであるものとする。
【0089】
なお、図10図12のそれぞれのフローチャートに示した処理は、通話予約が行われた場合に、次の通話希望者が居ることの通知先が異なるのみで、その他の処理は同様に行われるものである。すなわち、図10は、通話予約が行われた場合に、次の通話希望者が居ることの通知先は、通話の相手先であるIP電話端末5である場合の例である。また、図11は、通話予約が行われた場合に、次の通話希望者が居ることの通知先は、電話制御装置1の配下のIP電話端末3(1)である場合の例である。
【0090】
また、図12は、通話予約が行われた場合に、次の通話希望者が居ることの通知先は、通話の相手先であるIP電話端末5と電話制御装置1の配下のIP電話端末3(1)の両方である場合の例である。このため、以下においては、まず、図10を参照しながら、実施の形態の電話システムで行われる通話予約機能を利用する場合の処理の詳細について説明し、続いて、図10の処理に対する図11図12の処理の差異部分について説明する。
【0091】
[通話予約機能の利用時の処理1]
図10に示すシーケンス図の処理について説明する。電話制御装置1の配下のIP電話端末3(1)において、オフフック操作が行われて、例えば外線1が捕捉され、電話番号「03 XXXX YYYY」が入力される発信操作が行われたとする。この場合、IP電話端末3(1)からは相手先の電話番号などの必要情報を含むセッション参加要求(INVITEメソッド)が形成され、電話制御装置1を介して広域ネットワーク4に送出され、相手先のIP電話端末5に送信される(ステップS1)。
【0092】
これに応じて、IP電話端末5では、着信音を放音させるなどの着信通知が行われ、使用者である山田さんがオフフック操作を行うと、IP電話端末5から成功応答(200 OK)が電話制御装置1に送信される。成功応答(200 OK)を受信した電話制御装置1は、配下のIP電話端末3(1)と外線のIP電話端末5との間に例えば外線1を通じて通話回線を接続して通話を可能にする(ステップS2)。このようにして接続された通話回線を通じて、IP電話端末3(1)の使用者の田中さんと外線のIP電話端末5の使用者の山田さんとの間の通話が可能になる。
【0093】
IP電話端末3(1)の使用者である田中さんの近くに居たIP電話端末3(2)の使用者の鈴木さんは、田中さんの通話の内容から通話の相手先が、図4に示した「山田△□」さんであることが把握でき、自分も当該山田さんと通話する要件があったとする。この場合、ラインキーLK1に対応するLED51だけが点灯していたとする。IP電話端末3(2)の使用者の鈴木さんは、LED51が点灯しているラインキーLK1を長押しする通話予約操作を行い、IP電話端末3(2)はこれを受け付ける(ステップS3)。通話予約操作を受け付けたIP電話端末3(2)の制御部310は、図8を用いて説明したように、通話予約要求を形成し、これを電話制御装置1に送信する(ステップS4)。すなわち、通話予約要求は、送信元(要求元)識別情報、当該メッセージが通話予約要求であることを要求区分、通話回線特定情報(回線キー識別情報)を含むものである。
【0094】
当該通話予約要求を受け付けた電話制御装置1は、予約登録部111が機能して、通話履歴ファイル106の外線1を用いたIP電話端末3(1)と外線のIP電話端末5との通話履歴情報に対して、通話予約情報を登録(記録)する(ステップS5)。次に、電話制御装置1の通知処理部112が機能して、次の通話希望者が居ることを通知する音声ガイダンスを形成し、IP電話端末3(1)と通話を行っている通話の相手先である外線のIP電話端末5に提供する(ステップS6G)。
【0095】
具体的に、ステップS6Gにおいては、「次の通話希望者が予約されました。現在の通話終了後も、電話を切らずに少々お待ち下さい。」といった音声ガイダンスになる。このような音声ガイダンスは、記憶装置103に音声メッセージデータとして事前に用意しておくことで容易に形成できる。当該音声ガイダンスの提供により、IP電話端末3(1)の田中さんとの通話終了後において、着信先の外線のIP電話端末5を使用する山田さんが直ぐに電話を切ってしまうことを防止できる。
【0096】
この後、IP電話端末5の山田さんとIP電話端末3(1)の田中さんとの通話が終了し、IP電話端末(1)の使用者である田中さんが通話回線の切断操作であるオンフック操作を行うことになる。IP電話端末3(1)が、使用者からのオンフック操作を受け付けると(ステップS7)、制御部310は、セッション終了(BYEメソッド)を形成して、これを電話制御装置1に送信する(ステップS8)。
【0097】
BYEメソッドを受け付けた電話制御装置1の制御部102は、通話履歴ファイル106のIP電話端末3(1)が接続している通話回線についての通話履歴情報に対応して、通話予約情報が登録されているかを確認する。この場合には、IP電話端末3(2)を通じて通話予約登録がされているので、制御部102は、通話予約処理部110の各部を制御して、通話回線の引き継ぎのための一連の処理を実行する。まず、切断制御部113が機能して、成功応答(200 OK)をIP電話端末3(1)に送信する(ステップS9)。更に、切断制御部113は、IP電話端末3(1)との通話回線は切断するが、外線のIP電話端末5との通話回線は保留状態にして維持する。
【0098】
次に、通知処理部112が機能して、通話回線を切断せずに、そのまま待機することを要請する音声ガイダンスを形成し、通話回線を保留状態にしているIP電話端末5に対して提供する(ステップS10)。具体的に、ステップS10においては、「次の通話希望者に繋いでおります。少々お待ち下さい。」といった音声ガイダンスを、通話予約元のIP電話端末3(2)との間で通話回線が接続されるまで、繰り返し提供する。或いは、最初に1、2回、当該音声メッセージを提供し、その後は所定の保留音を提供したり、最初から保留音を提供したりすることも可能である。これにより、外線のIP電話端末5の使用者の山田さんは、電話を切らずに次の通話希望者との間に通話回線が接続するまで待機を促すことができる。
【0099】
このような音声ガイダンス等の提供処理と並行して、通話予約元呼出部114が機能し、セッション参加リクエスト(INVITEメソッド)を当該通話予約情報の登録要求元のIP電話端末3(2)に対して提供する(ステップS11)。これに応じて、IP電話端末3(2)の制御部310は、放音部306を制御して呼び出し音を放音するようにし、使用者であり次の通話希望者である鈴木さんを呼び出すようにする(ステップS12)。これに応じて、IP電話端末3(2)の使用者である鈴木さんは、オフフック操作をして、呼び出しに応じることになる(ステップS13)。当該オフフック操作を受け付けたIP電話端末3(2)の制御部310は、成功応答(200 OK)を電話制御装置1に送信する(ステップS14)。
【0100】
これに応じて、電話制御装置1においては、通話予約接続部115が機能する。通話予約接続部115は、まず、通知処理部112が行っている音声メッセージ或いは保留音の提供を終了させ、保留中の外線のIP電話端末5と通話予約元のIP電話端末3(2)との間に通話回線を接続して、通話を可能にする(ステップS15)。
【0101】
このように、最初にIP電話端末3(1)の使用者である田中さんが、外線のIP電話端末5に電話をかけて接続した通話回線が、1度も切断されることなく、IP電話端末3(2)を通じて通話予約を行った鈴木さに引き継ぐことが可能になる。しかも、IP電話端末3(2)の鈴木さんが、直接に田中さんにアクセスすることなく、IP電話端末3(2)の回線キーの長押し操作という簡単な操作だけで、通話中の通話回線の引き継ぎが可能になる。
【0102】
[通話予約機能の利用時の処理2]
図11図10とを比較すると分かるように、図11に示すシーケンス図において、図10に示したシーケンス図と異なる点は、次の通話希望者有りの通知先が、IP電話端末5ではなく、電話制御装置1の配下のIP電話端末3(1)になっている点である。その他の処理は、図11に示す処理においても、図10に示した処理と同様に行われる。
【0103】
図11に示す処理においても、ステップS4において、電話制御装置1が、IP電話端末3(2)からの通話予約要求を受け付けたとする。この場合、電話制御装置1は、予約登録部111が機能して、通話履歴ファイル106の外線1を用いたIP電話端末3(1)と外線のIP電話端末5との通話履歴情報に対して、通話予約情報を登録(記録)する(ステップS5)。この後、電話制御装置1の通知処理部112が機能して、次の通話希望者が居ることを通知する音声ガイダンスを形成し、通話予約対象の通話回線を通じて通話を行っている電話制御装置1の配下のIP電話端末3(1)に提供する(ステップS6N)。
【0104】
具体的に、ステップS6Nにおいては、「次の通話希望者が予約されました。通話終了時に電話の相手に対し、次の通話希望者がいるので電話を切らないようお伝えください。」といった音声ガイダンスが提供される。このような音声ガイダンスは、記憶装置103に音声メッセージデータとして事前に用意しておくことで容易に形成できる。当該音声ガイダンスの提供により、最初の通話者であるIP電話端末3(1)の田中さんが、電話をかけた相手先のIP電話端末5を使用する山田さんに対して、直接に電話を切らないように要請できる。従って、着信先の外線のIP電話端末5を使用する山田さんが直ぐに電話を切ってしまうことを防止できる。
【0105】
[通話予約機能の利用時の処理3]
図12図10及び図11とを比較すると分かるように、図12においては、以下の点が異なっている。すなわち、図12に示すシーケンス図において、図10図11に示したシーケンス図と異なる点は、次の通話希望者有りの通知先が、IP電話端末5またはIP電話端末3(1)ではなく、IP電話端末5とIP電話端末3(1)との両方になっている点である。その他の処理は、図12に示す処理においても、図10図11に示した処理と同様に行われる。
【0106】
図12に示す処理においても、ステップS4において、電話制御装置1が、IP電話端末3(2)からの通話予約要求を受け付けたとする。この場合、電話制御装置1は、予約登録部111が機能して、通話履歴ファイル106の外線1を用いたIP電話端末3(1)と外線のIP電話端末5との通話履歴情報に対して、通話予約情報を登録(記録)する(ステップS5)。
【0107】
この後、電話制御装置1の通知処理部112が機能して、次の通話希望者が居ることを通知する音声ガイダンスを形成し、通話予約対象の通話回線を通じて通話を行っているIP電話端末5に提供する(ステップS6G)。また、通知処理部112が機能して、次の通話希望者が居ることを通知する音声ガイダンスを形成し、通話予約対象の通話回線を通じて通話を行っている電話制御装置1のIP電話端末3(1)にも提供する(ステップS6N)。
【0108】
具体的に、ステップS6Gにおいては、「次の通話希望者が予約されました。現在の通話終了後も、電話を切らずに少々お待ち下さい。」といった音声ガイダンスになる。また、ステップS6Nにおいては、「次の通話希望者が予約されました。通話終了時に電話の相手に対し、次の通話希望者がいるので電話を切らないようお伝えください。」といった音声ガイダンスにある。これらの音声ガイダンスは、上述もしたように、記憶装置103に音声メッセージデータとして事前に用意しておくことで容易に形成できる。
【0109】
これらの音声ガイダンスの提供により、外線のIP電話端末5の使用者の山田さんと、電話制御装置1の配下のIP電話端末3(1)の田中さんとの双方に、次の通話希望者が存在することを通知できる。これにより、IP電話端末3(1)の田中さんとの通話終了後において、着信先の外線のIP電話端末5を使用する山田さんが電話を切ってしまうことをより確実に防止できる。
【0110】
[通話予約がされた通話回線が切断された場合の処理]
図10図12を用いて説明したように、通話中の通話回線に対して通話予約がされた場合には、当該通話回線を通じて通話を行っている一方あるいは両方に対して、次の通話希望者が居ることが通知される。このため、当該通話回線が完全に切断されてしまうことはあまりないと考えられるが、それでも維持しておくべき通話回線を誤って切断してしまう場合もあると考えられる。この実施の形態の電話制御装置1は、このような場合にも適切に対応し、通話予約元が目的とする相手先と通話ができるようにしている。
【0111】
図13は、実施の形態の電話システムにおいて、通話予約対象の通話回線が切断されてしまった場合の処理について説明するためのシーケンス図である。図13において、図10図12を用いて説明した処理と同様に行われるステップには、同じ参照符号を付し、当該ステップについての詳細な説明は重複するので省略する。すなわち、IP電話端末3(1)から外線のIP電話端末5に電話をかけて(ステップS1)、通話回線を接続し(ステップS2)、IP電話端末3(1)の使用者の田中さんと外線のIP電話端末5の使用者の山田さんが通話している。
【0112】
この場合に、IP電話端末3(2)の鈴木さんが、通話中の当該通話回線に対して通話予約を行うようにし(ステップS3、S4)、これが電話制御装置1の通話履歴ファイル106に登録されたとする(ステップS5)。図13の例の場合には、図12を用いて説明した例の場合と同様に、電話制御装置1は、外線のIP電話端末5とIP電話端末3との両方に対して、次の通話希望者が居ることを通知している(ステップS6G、ステップS6N)。従って、図13に示す処理の場合においても、図12を用いて説明した処理の場合と同様に、IP電話端末5の使用者の山田さんも、IP電話端末3(1)の使用者の田中さんも、次の通話希望者が居ることを把握している。
【0113】
この場合に、IP電話端末3(1)の使用者の田中さんがオンフック操作を行って(ステップS7)、IP電話端末3(1)と電話制御装置1との間の通話回線を切断したとする(ステップS8、S9)。上述もしたように、外線のIP電話端末5と電話制御装置1との間の通話回線は保留状態にして維持され、音声ガイダンスにより通話回線の維持をIP電話端末5の使用者の山田さんに依頼する(ステップS10)。次に、電話制御装置1は通話予約元のIP電話端末3(2)にセッション参加要求(INVITEメソッド)を送信して(ステップS11)、IP電話端末3(2)の使用者を呼び出す(ステップS12)。
【0114】
これに応じて、IP電話端末3(2)の使用者の鈴木さんがオフフック操作を行って(ステップS13)、IP電話端末3(2)から成功応答(200 OK)が電話制御装置1に送信されたとする(ステップS14)。本来なら図12を用いて説明したように外線のIP電話端末5とIP電話端末(2)との間に通話回線が接続されて通話が可能にされる(ステップS15)。しかし、図13に示すように、ステップS11のINVITEメソッドの送信からステップS14の成功応答の送信までの間に、外線のIP電話端末5の使用者の山田さんがIP電話端末5に対してオンフック操作を行ってしまったとする(ステップS20)。
【0115】
この場合には、外線のIP電話端末5からはセッション終了(BYEメソッド)が電話制御装置1に送信され(ステップS21)、電話制御装置1から成功応答(200 OK)が返信される(ステップS22)。これにより、IP電話端末5と電話制御装置1との間の保留状態の通話回線も切断されてしまう。このため、ステップS14において、通話予約元のIP電話端末3(2)が成功応答(200 OK)を送信してきて、IP電話端末3(2)と電話制御装置1との間で通話回線が接続されても、IP電話端末5との通話回線が消失しているので接続できない。
【0116】
そこで、電話制御装置1の再接続制御部116が機能し、通話履歴ファイル106の通話予約要求元のIP電話端末3(2)の通話予約情報が登録されている通話履歴情報に基づいて、IP電話端末5の電話番号を特定する。この特定した電話番号を用いて、再接続制御部116は、IP電話端末5にセッション参加要求(INVITEメソッド)を送信する(ステップS23)。これに応じて、IP電話端末5では、着信を通知する呼び出し音を放音するなどして使用を呼び出す(ステップS24)。
【0117】
呼び出しに応じて、IP電話端末5に対してオフフック操作が行われると(ステップS25)、IP電話端末5からは成功応答(200 OK)が形成されて、発信元の電話制御装置1に返信される(ステップS26)。この場合、再接続制御部116は、電話制御装置1との間で既に通話回線を接続しているIP電話端末3(2)と、通話回線が再接続されたIP電話端末5との間を接続するようにして通話を可能にする(ステップS27)。
【0118】
これにより、通話回線を維持すべきIP電話端末5の使用者が、誤って通話回線を切断してしまったとしても、電話制御装置1の再接続制御部116が機能する。この場合、自動的に発信して、IP電話端末5との間に通話回線を再接続するようにし、通話予約元のIP電話端末3(2)との間に通話回線を接続して、通話の引き継ぎを行うことができる。従って、IP電話端末5の使用者が電話をかけ直したり、IP電話端末3(2)の使用者が電話をかけ直したりするといった手間をかける必要もない。
【0119】
なお、図13を用いて説明した処理の場合、ステップS20~ステップS23の処理により、IP電話端末5から通話回線を切断した直後に、ステップS23において、電話制御装置1から電話をかけ直している。このため、IP電話端末5の使用者は即座に応答するものと考えられる。しかし、何等かの理由により、IP電話端末5の使用者が即座に応答できない場合もあること考えられる。この場合には、図13において点線矢印で示したように、再呼び出し中であることを示す音声ガイダンスを電話制御装置1から通話予約元のIP電話端末3(2)に提供することもできる(ステップS28)。
【0120】
[電話制御装置1の処理のまとめ]
次に、電話制御装置1で行われる処理についてまとめる。図14は、電話制御装置1で行われる処理について説明するための図である。この図14に示す処理は、電話制御装置1の制御部102で実行される処理である。電話制御装置1の制御部102は、常時、図14に示す処理を実行しており、広域ネットワーク4及びLAN2を通じて、自機宛ての要求等を受信するようにし(ステップS101)、自機宛ての要求等を受信したか否かを判別する(ステップS102)。ステップS102の判別処理において、自機宛ての要求等を受信していないと判別したときには、ステップS101からの処理を繰り返すようにする。
【0121】
ステップS102の判別処理において、自機宛ての要求等を受信したと判別したときには、制御部102は、当該要求等は、通話予約要求か否かを判別する(ステップS103)。ステップS103の判別処理において、通話予約要求であると判別したとする。この場合には、制御部102は、予約登録部111を制御して、通話履歴ファイル106に登録されている通話中の通話回線に対応する通話履歴情報に対応付けて、通話予約情報を登録する処理を行う(ステップS104)。この後、制御部102は、通知処理部112を制御して、次の通話希望者が居ることを、通話の一方または両方に通知する音声ガイダンスを提供する(ステップS105)。この後、ステップS101からの処理を繰り返す。
【0122】
また、ステップS103の判別処理において、ステップS101で受信した要求等は、通話予約要求ではないと判別したときには、制御部102は、受信した要求等は、回線情報提供要求か否かを判別する(ステップS106)。ステップS106の判別処理において、受信した要求等は、回線情報提供要求であると判別したとする。この場合、制御部102は、情報提供部117を制御して、回線情報を提供する処理を行う(ステップS107)。
【0123】
ステップS107において、情報提供部117は、回線情報提供要求に含まれる通話回線特定情報(基線キー特定情報)に基づいて特定される通話回線を通じて、通話を行っている双方の内線番号又は電話番号を、通話履歴ファイル106から取得する。情報提供部117は、回線特定情報、回線特定情報、発信元番号(内線番号又は外線電話番号)、着信先番号(内線番号又は外線電話番号)を、回線情報提供要求元のIP電話端末に提供する。この後、制御部102は、ステップS101からの処理を繰り返す。
【0124】
なお、ステップS107の処理により、要求元のIP電話端末3では、図9を用いて説明したように、指示した通話中の通話回線を用いて通話を行っているのは、誰と誰なのかを把握し自分が通話予約を行うべき通話回線の特定が可能になる。また、図9に示した例の場合には、内線番号や電話番号だけでなく、氏名も表示しているので、より直観的に通話者双方を把握できる。
【0125】
また、ステップS106の判別処理において、受信した要求等は、回線情報提供要求ではないと判別した場合には、制御部102は、受信した要求等は、オンフック操作に基づくセッション終了(BYEメソッド)か否かを判別する(ステップS108)。ステップS108の判別処理において、受信した要求等は、オンフック操作に基づくセッション終了(BYEメソッド)であると判別したとする。この場合には、詳しくは後述するが、通話予約接続処理を行うルーチンも含むオンフック処理を実行し(ステップS109)、この後、ステップS101からの処理を繰り返す。
【0126】
ステップS108の判別処理において、受信した要求等は、オンフック操作に基づくセッション終了(BYEメソッド)ではないと判別したとする。この場合、制御部102は、受信した要求等に基づく他の処理を実行する(ステップS110)。この後、制御部102は、ステップS101からの処理を繰り返すようにする。なお、ステップS110で行われる処理は、例えば、発信処理、着信処理、保留転送処理など、電話に関する種々の処理が行われる。
【0127】
<オンフック処理(通話予約接続処理を含む)>
図15は、図14のステップS109で行われる処理を説明するためのフローチャートである。まず、制御部102は、通話履歴ファイル106を参照し、セッション終了(BYEメソッド)を送信してきたIP電話端末3が接続していた通話回線に対して、通話予約情報が登録されているか否かを判別する(ステップS201)。ステップS201の判別処理において、通話予約情報は登録されていないと判別したときには、通話予約接続処理を行う必要はないので、接続していた通話回線を切断するように処理して(ステップS214)、この図15に示す処理を終了する。この後、図14のステップS109の処理に戻り、ステップS101からの処理を繰り返す。
【0128】
また、ステップS201の判別処理において、通話予約情報が登録されていると判別したときには、以下の一連の通話予約接続処理が実行される。まず、制御部102は、切断制御部113を制御し、オンフック操作が行われたIP電話端末3と自機(電話制御装置1)との間の通話回線を切断する(ステップS202)。従って、通話回線が切断されたIP電話端末3の通話の相手先と電話制御装置1との間の通話回線の接続は維持され、保留状態とされる。次に、制御部102は、当該通話の相手先に対して、次の通話希望者に繋ぐので、電話を切らずに待って欲しい旨の音声ガイダンスを提供する(ステップS203)。
【0129】
次に、制御部102は、通話予約元呼出部114を制御し、当該通話回線に対して通話予約を行ったIP電話端末3に対し、INVITEメソッドを提供して、要求元のIP電話端末3の使用者の呼び出しを開始させる(ステップS204)。制御部102は、INVITEメソッドを提供したIP電話端末3から成功応答(200 OK)が送信されて来たか否かを判別する(ステップS205)。
【0130】
ステップS205の判別処理において、まだ送信されてきていないと判別したときには、制御部102は、予め設定された一定時間が経過したか否か(タイムアウトか否か)を判別する(ステップS210)。ステップS210の判別処理において、タイムアウトではないと判別したときには、ステップS205からの処理を繰り返す。
【0131】
ステップS210の判別処理において、タイムアウトであると判別したときには、通話予約接続処理の実行を取りやめて、通話の相手先との通話回線を切断する終了処理を行う(ステップS211)。これにより、通話予約情報に基づく接続処理は行わないようにされる。この後、図15に示す処理を終了し、図14に示したステップS109の処理に戻り、ステップS101からの処理を繰り返す。
【0132】
ステップS205の判別処理において、INVITEメソッドを提供したIP電話端末3から成功応答(200 OK)が送信されてきたと判別したとする。この場合、制御部102は、通話の相手先において、オンフック操作が行われ、維持しておくべき通話回線が消失しているか否かを判別する(ステップS206)。
【0133】
ステップS206の判別処理において、維持しておくべき通話回線は消失していないと判別したとする。この場合には、制御部102は、通話予約接続部115を制御して、通話予約を行ったIP電話端末3と、目的とする通話の相手先との間に通話回線を接続して通話を可能にする(ステップS209)。これにより、通話予約に基づく通話回線の引き継ぎが完了する。この後、図14のステップS109の処理に戻り、ステップS101から処理を繰り返す。
【0134】
また、ステップS206の判別処理において、維持しておくべき通話の相手先との通話回線が消失していると判別したとする。この場合には、制御部102は、再接続制御部116を制御し、通話履歴ファイル106の対応する通話履歴情報に基づいて、目的とする通話の相手先にセッション参加要求(INVITEメソッド)を送信する(ステップS207)。すなわち、ステップS207の処理は、目的とする通話の相手先に電話をかけ直して、通話回線を接続し直すようにする処理である。
【0135】
この後、目的とする通話の相手先が着信呼び出しに応答してオフフック操作することにより、成功応答(200 OK)が送信されて来たか否かを判別する(ステップS208)。ステップS208の判別処理において、まだ送信されてきていないと判別したときには、制御部102は、予め設定された一定時間が経過したか否か(タイムアウトか否か)を判別する(ステップS212)。ステップS212の判別処理において、タイムアウトではないと判別したときには、ステップS208からの処理を繰り返す。
【0136】
ステップS212の判別処理において、タイムアウトであると判別したときには、通話予約接続処理の実行を取りやめて、通話の相手先との通話回線を切断する終了処理を行う(ステップS213)。これにより、通話予約情報に基づく接続処理は行わないようにされる。この後、図15に示す処理を終了し、図14に示したステップS109の処理に戻り、ステップS101からの処理を繰り返す。
【0137】
ステップS208の判別処理において、INVITEメソッドを提供した目的とする通話の相手先から成功応答(200 OK)が送信されてきたと判別したとする。この場合、制御部102は、再接続制御部116を制御し、目的とする通話の相手先と、通話予約元のIP電話端末3との間に通話回線を接続して通話を可能にする(ステップS209)。これにより、通話予約に基づく通話回線の引き継ぎが完了する。この後、図14のステップS109の処理に戻り、ステップS101から処理を繰り返す。
【0138】
このように、電話制御装置1においては、制御部102の制御の下、通話予約処理部110を構成する各部が機能して、通話予約登録から登録された通話予約情報に基づく通話予約接続処理が実行される。
【0139】
[IP電話端末3の処理のまとめ]
次に、この実施の形態のIP電話端末3で行われる処理についてまとめる。図16は、IP電話端末3で行われる処理について説明するための図である。この図16に示す処理は、IP電話端末3の制御部310で実行される処理である。IP電話端末3の制御部310は、常時、図16に示す処理を実行しており、操作入力部304を通じて、使用者からの操作入力を受け付けるようにし(ステップS301)、使用者からの操作入力を受け付けたか否かを判別する(ステップS302)。ステップS302の判別処理において、使用者からの操作入力は受け付けていないと判別したときには、制御部310は、ステップS301からの処理を繰り返すようにする。
【0140】
ステップS302の判別処理において、使用者からの操作入力は受け付けていないと判別したときには、制御部310は、受け付けた操作入力は、通話中の通話回線についての接続先情報の提供を要求する操作か否かを判別する(ステップS303)。すなわち、ステップS303では、対応するLED(LED51、52、53)が点灯している回線キー(外線1キー、外線2キー、外線3キー)を短く押下する操作が行われたか否かを判別する処理である。
【0141】
ステップS303の判別処理において、受け付けた操作入力は接続先情報の提供を要求する操作であると判別したときには、制御部310は、回線情報提供要求を形成して、電話制御装置1に送信する(ステップS304)。これに応じて、電話制御装置1から提供される、指定された通話中の通話回線の接続先情報を、接続端301T及びLANI/F301を通じて受信し、制御部310の制御の下、ディスプレイ307に表示する処理を行う(ステップS305)。当該表示は、例えば、図9を用いて説明したものである。これにより、使用者によって指示された通話中の通話回線を通じて、どことどこが接続されているのかを、IP電話端末3の使用が把握できる。ステップS305の処理の後においては、ステップS301からの処理が繰り返される。
【0142】
また、ステップS303の判別処理において、受け付けた操作入力は接続先情報の提供を要求する操作ではないと判別したときには、制御部310は、受け付けた操作入力は、通話予約操作か否かを判別する(ステップS306)。すなわち、ステップS306では、対応するLED51、52、53が点灯している回線キー(外線1キー、外線2キー、外線3キー)を長押しする操作が行われたか否かを判別する処理である。ステップS306の判別処理において、受け付けた操作入力は通話予約操作であると判別したときには、制御部310は、通話予約要求を形成して、電話制御装置1に送信する(ステップS307)。これにより、電話制御装置1では、予約登録部111が機能して、通話履歴ファイル106の該当する通話履歴情報に対応付けて、通話予約情報を登録する処理が行われることになる。ステップS305の処理の後においては、ステップS301からの処理が繰り返される。
【0143】
また、ステップS306の判別処理において、受け付けた操作入力は通話予約操作ではないと判別したときには、制御部310は、受け付けた操作入力に応じた処理を実行する(ステップS308)。ステップS308においては、例えば、オフフック操作を受け付けた後に電話番号を入力する操作を受け付けた場合には、発信処理(INVITEメソッドの形成送信処理)が行われる。また、セッション参加要求(INVITEメソッド)が到来して呼び出し音を放音している状態のときに、オフフック操作を受け付けた時には、着信処理(応答成功(200 OK)の形成送信処理)が行われる。このように、ステップS308では、受け付けた操作入力に応じて、種々の処理が実行される。ステップS308の処理の後においては、ステップS301からの処理が繰り返される。
【0144】
このように、IP電話端末3は、使用者からの操作入力に応じて、回線情報提供要求や通話予約要求を形成して、電話制御装置1に提供することにより、IP電話端末3の使用者が、通話予約機能を簡単に利用することができるようにしている。もちろん、IP電話端末3は、使用者からの操作入力に応じて、その他の種々の処理を実行することができることは言うまでもない。
【0145】
[通話予約要求の形成送信処理の他の例]
上述した実施の形態では、通話中の通話回線が割り当てられている回線キー(外線1キー、外線2キー、外線3キー)を、短く押下操作すれば回線情報提供要求を、長押しすれば通話予約要求を、それぞれ形成して電話制御装置1に提供するものとした。しかし、これに限るものではない。例えば、ディスプレイ307の表示情報により通話回線と接続先を確認し、操作キーを用いて選択することで通話予約を行うようにすることもできる。また、IP電話端末3が、LCDとタッチセンサとで構成されるタッチパネルを備えるものである場合には、当該タッチパネルを通じて、通話回線と接続先を確認し、通話予約を行うこともできる。
【0146】
図17は、IP電話端末3で通話予約操作を受け付ける場合の他の例について説明するための図である。図17(A)、(B)に示すように、IP電話端末3は、例えば、LCDなどで構成されたディスプレイ307を備えるものであるとする。更に、当該IP電話端末3は、図17(C)に示すように、操作入力部304には、アップキー304U、ダウンキー304D、決定キー304Kといった操作キーを備えるものであるとする。この場合、例えば、メニューキーを押下操作するなどの所定の操作を行うことによって、ディスプレイ307にメニューを表示し、その中から「通話予約」という項目をアップキー304U、ダウンキー304Dを用いて選択し、決定キー304Kを用いて決定する。
【0147】
すると、図17(A)に示すように、通話中の通話回線に関する情報がディスプレイ307に表示され、アップキー304U、ダウンキー304Dを押下操作することで、通話中の通話回線に関する情報の表示の改頁が可能になる。この場合において、目的する通話中の通話回線に関する情報がディスプレイ307に表示されている状態のときに、決定キー304Kを押下操作すると、当該通話中の通話回線について、通話予約を行うようにする通話予約要求を形成して、電話制御装置に送信する。この場合には、通話中の通話回線に関する情報を確認しながら、目的とする通話中の通話回線について通話予約をすることができる。
【0148】
このように、電話制御装置1の配下のIP電話端末3のそれぞれにおいては、予約操作受付部として、ディスプレイ307に表示される通話中の通話回線に対応する通話予約関連情報を選択するために用いられる1以上の選択操作キーであるものとすることができる。この場合、通話予約操作は、1以上の選択操作キーを通じて、表示素子に表示される目的とする通話予約関連情報を選択する操作となる。
【0149】
図18もまた、IP電話端末3で通話予約操作を受け付ける場合の他の例について説明するための図である。図18に示すように、IP電話端末3が、LCDなどで構成されたディスプレイ307とタッチセンサ308とにより構成されタッチパネル309を備えたものであるとする。この場合において、例えば、タッチパネル309に表示されたメニューキーをタッチ操作するなどの所定の操作を行うことによって、タッチパネル309にメニューを表示する。更に、当該メニューをスクロールして「通話予約」という項目を表示させて、その表示上をタッチ操作することにより、通話予約機能を実行させる。
【0150】
すると、図18に示すように、通話中の通話回線に関する情報がタッチパネル309に表示される。この場合に、目的とする通話中の通話回線に関する情報の右端の予約ボタンYB1、YB2、…をタッチ操作することで、当該目的とする通話中の通話回線について、通話予約を行うようにする通話予約要求を形成して、電話制御装置に送信するようにできる。この場合も、通話中の通話回線に関する情報を確認しながら、目的とする通話中の通話回線について通話予約をすることができる。
【0151】
このように、電話制御装置1の配下のIP電話端末3のそれぞれにおいては、予約操作受付部として、タッチパネル309が設けられる。この場合の通話予約操作は、タッチパネル309に表示される通話中の通話回線に対応する通話予約関連情報を選択する操作である。
【0152】
なお、図18においては、複数の通話中の通話回線を1画面に表示するようにしたが、これに限るものではない。図17に示した例の場合と同様に、通話中の通話回線に関する情報を、1つの通話回線毎に表示し、改頁操作を行うことによって目的とする通話中の通話回線を特定する。この特定した通話回線に関する情報をタッチ操作するといった決定操作を行うことで、その通話中の通話回線に通いて通話予約要求を形成して送信し、通話予約を行うこともできる。
【0153】
このように、ディスプレイの表示項目を、操作キーを用いて選択する操作や、タッチパネルの表示項目に対するタッチ操作によっても、通話予約操作を行うようにすることができる。この場合、表示によって目的とする通話中の通話回線を確認しながら、通話予約のための操作ができる点でメリットがある。
【0154】
[実施の形態の効果]
上述した実施の形態の電話システムにおいては、通話中の人に、電話を代わって欲しいことを知らせるために声をかけたり、メモを渡したりするといった手間をかけることなく、自分の使用するIP電話端末3に対する操作だけで通話予約ができる。また、通話予約者が引き継ぎたい通話中の通話回線を通じて通話を行っている者の一方あるいは両方には、次の通話希望者の存在を明確にして、当該次の通話希望者に確実に電話を引き継ぐようにすることができる。これにより、次の通話希望者に引き継ぐべき通話回線を切断してしまうことを極力少なくし、次の通話希望者に対して、通話回線の引き継ぎを行うようにすることができる。また、通話予約者が通話を希望する通話の相手先が、通話回線を切断してしまったとしても、直後に通話回線の再接続を自動的に行って、通話の引き継ぎを行うことができる。
【0155】
[変形例等]
<テキストガイダンスの利用>
図10図13を用いて説明した処理において、ステップS6G、ステップS6Nにおいては、音声ガイダンスにより、次の通話希望者が居ることを通知し、ステップS10においては、音声ガイダンスにより、通話回線の維持を依頼するようにした。しかし、これに限るものではない。例えば、テキスト情報によりIP電話端末3やIP電話端末5などの外線電話端末にガイダンス情報を提供し、これを提供先の端末において、ディスプレイに表示させて提供するように構成してもよい。また、図9を用いて説明したように、テキスト情報として提供される接続先情報を、音声情報としてIP電話端末3に提供し、放音するように構成することも可能である。また、音声ガイダンスとテキスト情報などの表示ガイダンスを併用するように構成することもできる。
【0156】
<次の通話希望者の存在の通知先の選択>
上述した実施の形態では、図10図13を用いて説明した処理においては、次の通話希望者が居ることの通知は、電話制御装置1の配下のIP電話端末3と外線の通話の相手先の一方あるいは両方であることを説明した。この場合に、次の通話希望者が居ることの通知をどこにするかは、電話制御装置1の運用者が選択し、設定することができるようにされる。当該設定は、電話制御装置1の例えば、図示しない操作部を通じて入力し、制御部102の不揮発性メモリに登録することで実現される。
【0157】
<次の通話希望者の氏名の通知>
上述した実施の形態では、図10図13を用いて説明した処理においては、次の通話希望者が居ることの通知は、接続先の内線番号や電話番号を通知することにより行うようにしたが、これに限るものではない。内線番号が分かれば、これに基づいてアドレス管理DB104を参照することにより、使用者の氏名を特定できる。このため、通話予約要求の要求元の内線番号等の識別情報に基づいて、通話要求元のIP電話端末3の使用者の氏名を特定し、これを次の通話希望者の氏名として通知するようにしてもよい。例えば、「内線番号:101の田中により、通話予約がされました。現在の通話終了後も電話を切らずにお待ちください。」といった、次の通話希望者の氏名も明示して、通話回線の維持を依頼することも可能である。
【0158】
<着信に応答して接続された通話回線についての通話予約>
上述した実施の形態では、電話制御装置1の配下のIP電話端末3(1)から外線のIP電話端末5に電話をかけて接続した通話回線について、IP電話端末3(2)から通話予約を行って、通話回線の引き継ぎを行う場合を例にして説明した。しかし、外線の電話端末からの着信について、電話制御装置1を通じてIP電話端末3が応答して接続した通話回線についても、同様して通話予約を行い通話回線の引き継ぎを行うことができる。すなわち、着信、発信に左右されることなく、電話制御装置1の配下のIP電話端末3が接続した通話回線について、通話予約を行って引き継ぐようにすることができる。
【0159】
<内線電話への適用>
電話制御装置1の配下のIP電話端末3の間で接続した内線通話回線について、電話制御装置1の配下の他のIP電話端末3が通話予約を行って、内線通話回線を引き継ぐことも可能である。しかし、維持しておくべき通話回線の特定が問題になる。すなわち、上述した実施の形態の場合には、外線の電話端末と、電話制御装置1の配下のIP電話端末3との間に接続した通話回線について、電話制御装置1の配下の他のIP電話端末3が通話予約を行って、引き継ぐようにした場合であった。このため、接続を維持しておくべき通話回線は、外線の電話端末との間に接続した通話回線であると特定できた。
【0160】
これに対して、電話制御装置1の配下のIP電話端末3の間で接続した内線通話回線の場合には、いずれも電話制御装置1の配下のIP電話端末3であるため、どちらのIP電話端末3との間の内線通話回線を維持すべきかの特定ができない。しかし、通話予約機能の利用時の状況を鑑みると、近くに居る人の通話内容を聞いていて、自分のその通話の相手先と通話したいと判別した場合に通話予約を行う。このため、維持しておくべき内線通話回線は、通話予約を行ったIP電話端末3とは離れた位置にあるIP電話端末3との間の通話回線である。
【0161】
そこで、アドレス管理DB104に、内線番号が付与されたIP電話端末3ごとに、設置場所を管理する。内線通話回線を特定して行われる通話予約操作に応じて通話予約要求が送出された場合に、電話制御装置1は、通話予約要求の通話回線特定情報に基づいて、通話履歴ファイル106を参照する。この場合、電話制御装置1は、対応する通話歴情報を特定し、内線通話回線を接続して通話を行っている双方のIP電話端末3A、3Bを特定する。
【0162】
更に、電話制御装置1は、特定した双方のIP電話端末3A、3Bの設置場所と、通話予約要求元のIP電話端末3Cの設置場所を、アドレス管理DB104の蓄積情報に基づいて特定する。この場合に、電話制御装置1は、現在通話中のIP電話端末3AとIP電話端末3Bの内、通話予約要求元のIP電話端末3Cの設置場所からより離れた場所に設置されているIP電話端末との間の内線通話回線を維持すべき内線通話回線として特定する。
【0163】
具体的に説明する。例えば、図5に示した通話履歴ファイル106の例の場合について考える。この例のおいては、100番台の内線番号のIP電話端末は、1階の総務部に配置され、そのそれぞれは比較的近い場所に設置されているものとする。また、200番台の内線番号のIP電話端末は、2階の営業部に設置され、そのそれぞれは比較的近い場所に設置されているものとする。また、300番台の内線番号のIP電話端末は、3階の経理部に設置され、そのそれぞれは比較的近い場所に設置されているものとする。
【0164】
従って、100番台の内線番号のIP電話端末と、200番台の内線番号のIP電話端末と、300番台の内線番号のIP電話端末とは、それぞれ設置階が異なっており、それらの間は相互に離れていることになる。このようなIP電話端末の設置位置に関する情報が、アドレス管理DB104において、IP電話端末ごとに、例えば、1階総務部、2階営業部、3階経理部のように管理されているものとする。
【0165】
この場合に、図5の4番目の通話履歴情報及び通話予約情報によれば、内線番号が「103」の1階総務部に設置されたIP電話端末と、内線番号が「304」の3階経理部に設置されたIP電話端末との間に内線通話回線が接続されて内線通話が行われている。当該内線通話回線については、内線番号が「303」の3階経理部に設置されたIP電話端末から通話予約が入っている。
【0166】
この場合においては、内線番号が「103」の1階総務部に設置されたIP電話端末との間の内線通話回線が、維持すべき内線通話回線として特定できる。従って、内線番号が「304」の3階経理部に設置されたIP電話端末がオンフックして通話を終了させたとする。この場合、引き続き内線番号が「103」の1階総務部に設置されたIP電話端末と、通話予約元の内線番号が「303」の3階経理部に設置されたIP電話端末との間に内線通話回線を自動的に接続して、通話を行うようにすることができる。
【0167】
この場合の内線通話回線の特定は、図7を用いて説明したように、ラインキーLK4、LK5、LK6を、内線1キー、内線2キー、内線3キーとして、接続された内線通話回線を対応付ける。これにより、ラインキーLK4、LK5、LK6に対する操作により、上述した実施の形態の場合と同様に、回線情報提供要求を送信して接続先情報の提供を受けて、目的とすり内線通話回線を特定したり、通話予約要求を送信して通話予約を行ったりできる。
【0168】
なお、内線番号によって設置場所が絞り込める場合には、アドレス管理DB104において、IP電話端末ごとに設置場所を管理する必要はない。例えは、セクションごとに100番台、200番台、300番台のように設定してく。これにより、百番台の番号が通話予約元のIP電話端末とは異なる通話の相手先との間の内線通話回線を維持する内線通話回線として特定でき、通話予約に応じた内線通話回線の引き継ぎができる。
【0169】
<通話回線の複数回の引き継ぎ>
通話回線の引き継ぎは、一般には、1回だけ行う場合が多いと考えられる。このため、上述した実施の形態では、通話履歴ファイル106には、通話予約情報の格納欄を1つだけ設けるものとして説明した。しかし、通話履歴ファイル106に通話予約情報の格納欄を複数設けて管理することにより、通話中の通話回線について複数回の引き継ぎを行うようにすることも可能である。この場合には、通話履歴情報に加え、直前の通話予約情報をも考慮して、どことどこが通話を行っているのかを把握することによって、通話回線の引き継ぎを適切に行うことができる。
【0170】
<転送された通話回線の引き継ぎ>
電話システムにおいては、代表電話番号やグループ電話番号にかかって来た電話について、1次応答者が応答し、本来の着信先である2次応答者に引き継ぐ場合が多い。このように、かかって来た電話が、2次応答者に引き継がれた場合であっても、図5を用いて説明した通話履歴ファイル106に通話履歴情報が形成されて登録される。この場合、着信者番号に2次応答者の使用するIP電話端末の内線番号を更新するようにすればよい。これにより、2次応答者に廻された電話についても、通話予約機能を用いて、通話回線の引き継ぎを行えることはいうまでもない。要は、通話中の通話回線であれば、通話予約を行って引き継ぐことが可能である。
【0171】
また、図5を用いて説明した通話履歴ファイルの格納データの例は、一例であるので、より詳しい情報を管理するようにし、現時点において、通話回線を接続して、どことどこが通話可能になっているのかを把握できるようにしておけばよい。
【0172】
<ガイダンスだけを提供する態様>
上述した実施の形態の電話システムにおいては、通話中の通話回線について、通話予約に基づいて、次の通話予約者の存在の通知し、通話の相手先との通話回線を維持して、当該通話回線を通話要求元のIP電話端末3に引き継ぐ処理を自動的に行うようにした。しかし、これに限るものではない。例えば、通話予約に基づいて、次の通話希望者が存在することを通話中の一方あるいは双方に通知する処理までを行い、その後の通話回線の接続処理は、先に通話を行っているIP電話端末3の使用者の操作に任せるようにしてもよい。
【0173】
次の通話希望者の存在を通知するだけでも、従来のメモ等を用いて通話回線の引き継ぎ依頼を行っていた場合よりも、通話回線の引き継ぎを確実に行うことが可能になる。しかし、上述した実施の形態の電話システムのように、通話回線の引き継ぎを自動的に行う構成を備えることによって、人手に頼ることなく、通話回線の引き継ぎをより確実に行うことが可能になる。
【0174】
<従来からの電話システムへの適用>
また、上述した実施の形態では、IP電話システムにこの発明を適用した場合を例にして説明したが、これに限るものではない。上述もしたように、公衆交換回線網を通じて通話を行う従来からの電話システムにも、この発明を適用することができる。この場合には、上述した実施の形態では、SIPに従った要求(リクエスト)や応答を送受するようにしたが、これらを従来からの方式に従った要求や応答を形成して送受するようにすればよい。
【0175】
[その他]
上述した実施の形態の説明からも明らかなように、請求項の電話制御装置の予約要求受付手段、切断要求受付手段、接続要求受付手段、提供要求受付手段の各機能は、実施の形態の電話制御装置1の接続端107T及びLANI/F107が実現している。また、請求項の予約通知手段、維持通知手段の機能は、電話制御装置1の通知処理部112が実現している。また、請求項の予約登録手段、切断制御手段、通話予約元呼出手段、通話予約接続手段の各機能は、電話制御装置1の予約登録部111、切断制御部113、通話予約元呼出部114、通話予約接続部115が実現している。また、請求項の再接続制御手段の機能は、電話制御装置1の再接続制御部116が実現している。請求項の情報提供手段の機能は、電話制御装置1の情報提供部117が実現している。
【0176】
また、請求項の電話端末の予約操作受付手段、予約要求提供手段の各機能は、実施の形態のIP電話端末3の操作入力部304、制御部310が実現している。請求項の情報提供要求提供手段、接続先情報取得手段、出力手段の各機能は、実施の形態のIP電話端末3の制御部310、接続端301T及びLANI/F301、ディスプレイ307が実現している。
【符号の説明】
【0177】
1…電話制御装置、101T…接続端、101…通信I/F、102…制御部、103…記憶装置、104…アドレス管理DB、105…電話帳ファイル、106…通話履歴ファイル、107T…接続端、107…LANI/F、108…時計回路、109…呼制御部、1091…発信制御部、1092…着信制御部、110…通話予約処理部、111…予約登録部、112…通知処理部、113…切断制御部、114…通話予約元呼出部、115…通話予約接続部、116…再接続制御部、117…情報提供部、2…LAN、3、3(1)、3(2)、3(3)…IP電話端末、301T…接続端、301…LANI/F、302…ハンドセット、303…コーデック、304…操作入力部、305…LED部、306…放音部、307…ディスプレイ、51~56…LED、LK1~LK6…ラインキー、4…広域ネットワーク、5…IP電話端末
図1
図2
図3
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