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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-18
(45)【発行日】2024-07-26
(54)【発明の名称】受給電端末装置及び受給電システム
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/00 20060101AFI20240719BHJP
   H04L 12/28 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
H04M1/00 Q
H04L12/28 400
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020163171
(22)【出願日】2020-09-29
(65)【公開番号】P2022055635
(43)【公開日】2022-04-08
【審査請求日】2023-05-22
(73)【特許権者】
【識別番号】304020498
【氏名又は名称】サクサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091546
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 正美
(74)【代理人】
【識別番号】100206379
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 正
(72)【発明者】
【氏名】深川 圭介
【審査官】石井 則之
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-525331(JP,A)
【文献】特開2009-106127(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0273661(US,A1)
【文献】特開2003-110589(JP,A)
【文献】特表2016-535330(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 1/00
H04L 12/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前段機器から受電する電源電圧の電圧値を検出する電圧検出手段と、
前記電圧検出手段で検出された前記電圧値が所定最小値以上である場合に、これを通知する通知情報を前記前段機器に提供する通知情報提供手段と、
前記前段機器から受電する前記電源電圧を、所定の電圧値分低くして後段機器に給電する電圧制限手段と、
前記電圧検出手段で検出された前記電圧値が前記所定最小値未満である場合に、電源電圧の前記後段機器への給電停止を指示する停止指示を出力する停止指示手段と、
前記停止指示手段から前記停止指示が出力された場合に、前記後段機器への電源電圧の給電を停止させる第1の停止手段と、
前記通知情報提供手段により前記前段機器に通知される前記通知情報と同様の内容の情報であって、前記後段機器から通知される通知情報の提供を受けるようにし、当該通知情報の有無を判別する判別手段と、
前記判別手段で前記通知情報が未提供であると判別された場合に、前記後段機器への電源電圧の給電を停止させる第2の停止手段と
を備えることを特徴とする受給電端末装置。
【請求項2】
請求項1に記載の受給電端末装置であって、
前記電圧検出手段で検出された前記電圧値が、所定最大値以上である場合に、前記通知情報提供手段は前記通知情報を前記前段機器に提供しない
ことを特徴とする受給電端末装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の受給電端末装置であって、
PoE技術のオルタナティブA(Alternative A)方式で電源電圧の受電/給電を行うようにされており、
前記通知情報提供手段は、LANケーブルの非使用ラインを通じて前記通知情報を前段機器に通知する
ことを特徴とする受給電端末装置。
【請求項4】
2以上の受給電装置が直列に説測されて構成される受給電システムであって、
前記受給電装置のそれぞれは、
前段機器から受電する電源電圧の電圧値を検出する電圧検出手段と、
前記電圧検出手段で検出された前記電圧値が所定最小値以上である場合に、これを通知する通知情報を前記前段機器に提供する通知情報提供手段と、
前記前段機器から受電する前記電源電圧を、所定の電圧値分低くして後段機器に給電する電圧制限手段と、
前記電圧検出手段で検出された前記電圧値が前記所定最小値未満である場合に、電源電圧の前記後段機器への給電停止を指示する停止指示を出力する停止指示手段と、
前記停止指示手段から前記停止指示が出力された場合に、前記後段機器への電源電圧の給電を停止させる第1の停止手段と、
前記通知情報提供手段により前記前段機器に通知される前記通知情報と同様の内容の情報であって、前記後段機器から通知される通知情報の提供を受けるようにし、当該通知情報の有無を判別する判別手段と、
前記判別手段で前記通知情報が未提供であると判別された場合に、前記後段機器への電源電圧の給電を停止させる第2の停止手段と
を備えることを特徴とする受給電システム。
【請求項5】
請求項4に記載の受給電システムであって、
前記給電端末装置間は、PoE技術のオルタナティブA(Alternative A)方式で電源電圧の受電/給電を行うようにされており、
後段の前記受給電端末装置の前記通知情報提供手段と、前段の前記受給電端末装置の前記判別手段とは、LANケーブルの非使用ラインを通じて接続される
ことを特徴とする受給電端末装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、前段機器より電源電圧を受電し、後段機器に電源電圧を給電する受給電端末装置、当該受給電端末装置を接続して構成する受給電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
後に記す特許文献1には、給電ハブ装置の各給電ポートにIP(Internet Protocol)電話機(電話端末)を接続して構築する、PoE(Power over Ethernet(登録商標))技術を用いた電話システムに関する発明が開示されている。当該電話システムでは、給電ハブ装置にIP電話機をLANケーブルで接続し、給電ハブ装置からIP電話機に対して給電を行う。このため、IP電話機にバッテリを搭載する必要もない。また、IP電話機は、ACコンセント(商用電源)から電源電圧の供給を受ける必要ないため、ACコンセントの位置に左右されることなく種々の位置に設置することができるので、柔軟に電話システムを構築できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-106632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、給電ハブ装置などの給電機器(PSE(Power Sourcing Equipment))では、1つの給電ポートには、消費電力の合計が例えば15.4W(ワット)までというように、接続可能な受電機器(PD(Powered Device))の台数が制限される。給電ハブの1つの給電ポートに対して消費電力の許容量を超えて複数台のIP電話機が接続された場合には、その給電ポートに接続された全部のIP電話機が使用できなくなる可能性がある。このため、給電機器と受電機器とでシステムを構築する場合には、1つの給電ポートに接続しようとしている受電機器ごとの消費電力を把握して、それらの受電機器の消費電力の合計値を把握する必要がある。
【0005】
しかし、IP電話機などの受電機器ごとの消費電力をいちいち把握することは面倒である。また、受電機器の消費電力の表示が確認できなかったり、受電機器の消費電力の合計値の計算にミスが生じたりして、1つの給電ポートに消費電力の許容量を超えて受電機器を接続してしまうということも起こり得る。このため、上述した特許文献1に開示された電話システムのように、給電ハブ装置を用いて電話システムを構築する場合には、給電ハブ装置の1つの給電ポートには、1台のIP電話機だけを接続するのが原則である。
【0006】
通常、1台のIP電話機の消費電力は、1つの給電ポートに接続可能な受電機器の合計消費電力よりも十分に低いので、消費電力不足を生じさせることなく、安定に動作する電話システムを構築できる。しかしながら、この場合、IP電話機は給電ハブの給電ポート分しか設置できず、広いオフィスのように多くのIP電話機を接続する場合には、多くの給電ハブが必要になる。また、主装置から比較的に離れた場所にIP電話機を設置したい場合には、給電ハブからケーブルを引き回すことになるため、配線の自由度が取りづらいという問題を生じる。
【0007】
以上のことに鑑み、この発明は、作業者の手を煩わせることなく、給電機器の1つの給電ポートに確実に動作することができる台数分の機器だけを接続できるようにし、信頼性の高いシステムを柔軟に構築できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の受給電端末装置は、
前段機器から受電する電源電圧の電圧値を検出する電圧検出手段と、
前記電圧検出手段で検出された前記電圧値が所定最小値以上である場合に、これを通知する通知情報を前記前段機器に提供する通知情報提供手段と、
前記前段機器から受電する前記電源電圧を、所定の電圧値分低くして後段機器に給電する電圧制限手段と、
前記電圧検出手段で検出された前記電圧値が前記所定最小値未満である場合に、電源電圧の前記後段機器への給電停止を指示する停止指示を出力する停止指示手段と、
前記停止指示手段から前記停止指示が出力された場合に、前記後段機器への電源電圧の給電を停止させる第1の停止手段と、
前記通知情報提供手段により前記前段機器に通知される前記通知情報と同様の内容の情報であって、前記後段機器から通知される通知情報の提供を受けるようにし、当該通知情報の有無を判別する判別手段と、
前記判別手段で前記通知情報が未提供であると判別された場合に、前記後段機器への電源電圧の給電を停止させる第2の停止手段と
を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項1に記載の発明の受給電端末装置によれば、電圧検出手段により、前段機器から受電する電源電圧の電圧値が検出され、当該電圧値が所定最小値以上であれば、通知情報提供手段から前段機器に通知情報が提供される。これにより、前段機器は十分な電源電圧の給電ができていることを把握でき、電源電圧の給電を継続させることができる。
【0010】
前段機器から受電した電源電圧は、電圧制限手段により、所定の電圧値分低くするように制限された上で、後段機器に対して給電される。電圧検出手段により検出された当該電圧値が所定最小値未満であれば、停止指示手段により、後段機器への電源電圧の給電停止が指示され、これに応じて、第1の停止手段により、後段機器への電源電圧の給電が停止される。
【0011】
また、判別手段が、後段機器から供給される通知情報(前記通知情報提供手段により前記前段機器に通知される前記通知情報と同様の内容の情報)の提供を受け付けうようにし、当該通知情報を受け付けたか否かが判別される。判別手段により、後段機器からの通知情報を受け付けていないと判別された場合には、第2の停止手段により、後段機器への電源電圧の給電が停止される。すなわち、検出された電圧値が所定最小値未満である場合と、後段機器から所定の通知情報が提供されない場合には、後段機器への電源電圧の給電を自動的に停止させることができるようにする構成を備えている。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、作業者の手を煩わせることなく、1つの給電ポートに確実に動作する台数分の機器だけを接続可能にできる。これにより、安定に機能する信頼性の高いシステムを柔軟に構築できる
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施の形態の受給電システムの構成例を説明するためのブロック図である。
図2】PoEハブ装置とIP電話端末とで構成した電話システム(受給電システム)について説明するための図である。
図3】実施の形態のPoEハブ装置の構成例を説明するための図である。
図4】実施の形態のIP電話端末の構成例を説明するためのブロック図である。
図5】実施の形態のIP電話端末の受電回路と給電回路の部分の構成を説明するためのブロック図である。
図6】PoE技術で給電可能な機器か否かの判別のためのネゴシエーションの手順(PoEシーケンス)について説明するための図である。
図7】実施の形態の電話システム(受給電システム)で行われる処理を説明するためのシーケンス図である。
図8】実施の形態のIP電話端末で実行される処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図を参照しながら、この発明による装置、システムの一実施の形態について説明する。データの伝送と電源電圧(駆動電圧)の供給とが可能なデジタルインターフェースが存在する。例えば、LANケーブルを用いたIEEE802.3af規格やIEEE802.3at規格のPoE技術、IEEE1394規格のデジタルインターフェース、USB規格のデジタルインターフェースなどが知られている。
【0015】
この発明は、データの送受信と電源電圧の供給とが可能であって、装置間を直列に接続するいわゆるデイジーチェーン接続が可能なデジタルインターフェースケーブルを用いて接続される電子機器、当該電子機器を用いて構成するシステムに適用可能である。このため、以下に説明する実施の形態においては、PoE技術が適用され、各装置のLANポート間をLANケーブルにより接続することによりシステムを構築する場合を例にして、この発明による装置、システムについて具体的に説明する。なお、この明細書において、PoEは、Power over Ethernet(登録商標)の略称であり、USBは、Universal serial Busの略称である。また、LANは、Local Area Networkの略称である。
【0016】
[受給電システムの構成例]
図1は、PoE技術が適用されて構成される実施の形態の受給電システムの構成例を説明するためのブロック図である。図1に示すように、PoE給電機器1の1の給電ポートには、PoE受給電機器2(1)~2(4)がデイジーチェーン接続されている。また、PoE給電機器1の他の1の給電ポートには、PoE受給電機器3(1)~3(4)がデイジーチェーン接続され、他の1の給電ポートには、PoE受給電機器4(1)~4(4)がデイジーチェーン接続されている。
【0017】
PoE給電機器1は、図示しない上位装置と接続され、当該上位装置とPoE給電機器との間でデータの送受信を行うと共に、ACコンセントから電源電圧の供給を受けて、これを自機の給電ポートに接続されたPoE受給電機器に給電する。PoE受給電機器2(1)~2(4)、3(1)~3(4)、4(1)~4(4)のそれぞれは、前段機器からの電源電圧を受電する受電ポート及び受電回路と、後段機器に電源電圧を給電する給電回路及び給電ポートとを備える。各機器は、前段機器の給電ポートと自機の受電ポートとが接続されることにより、図1に示したように、デイジーチェーン接続されて、システムが構成される。
【0018】
従って、PoE受給電機器2(1)~2(4)、3(1)~3(4)、4(1)~4(4)のそれぞれは、バッテリが搭載されたものではなく、前段機器から受電して自機の各部に電源の供給ができると共に、後段機器に対しての給電もできるものである。すなわち、PoE受給電機器2(1)~2(4)、3(1)~3(4)、4(1)~4(4)のそれぞれは、前段機器からの電源電圧の受電機能と、後段機器への電源電圧の給電機能との両方を合わせ持つものである。このため、PoE受給電機器2(1)~2(4)、3(1)~3(4)、4(1)~4(4)のそれぞれは、ACコンセントの位置に左右されることなく、設置位置を柔軟に決めることができるものである。
【0019】
また、PoE受給電機器2(1)~2(4)、3(1)~3(4)、4(1)~4(4)のそれぞれは、詳しくは後述するが、PoE給電機器1の1つの給電ポートに接続可能なPoE受給電機器の台数を自動的に適切な台数に制限する機能を備えている。これにより、システムを構築する作業者が、受給電機器の消費電力などを気にすることなく、PoE給電機器の1つの給電ポートに対して、適切な台数のPoE受給電機器を接続して、信頼性の高い受給電システムを簡単に構築することができるようにしている。
【0020】
なお、PoE給電機器1は、具体的にはPoEハブ装置などのいわゆる中継器機器などであり、PoE受給電機器2(1)~2(4)、3(1)~3(4)、4(1)~4(4)のそれぞれは、LAN接続可能な種々の電子機器である。PoE受給電機器には、例えば、IP電話端末、無線LANのアクセスポイント、ネットワークカメラ、パーソナルコンピュータなどである。以下に、この発明の装置、システムの具体例について説明する。以下においては、PoE給電装置としてのPoEハブ装置1に対して、PoE受給電端末装置としてのIP電話端末2(1)~2(4)をデイジーチェーン接続して、受給伝システムとしての電話システムを構成する場合を例にして説明する。
【0021】
[PoEハブ装置とIP電話端末とで構成した受給電システム]
図2は、PoEハブ装置1とIP電話端末2(1)~2(4)とで構成した電話システムについて説明するための図である。図2に示すように、この実施の形態の電話システムは、PoEハブ装置1に対して、IP電話端末2(1)~2(4)がデイジーチェーン接続されて構成されている。後述もするように、PoEハブ装置1は給電ポートを備え、IP電話端末2(1)~2(4)のそれぞれは、受電ポート及び受電回路と給電回路及び給電ポートを備えたものである。IP電話端末2(1)~2(4)のそれぞれは、前段機器の給電ポートと自機の受電ポートとが接続されることにより、図2に示したように、デイジーチェーン接続されて電話システムが構成されている。
【0022】
PoEハブ装置1は、図示しないが、IP網に接続されたSIP(Session Initiation Protocol)サーバなどの主装置に接続されている。これにより、IP電話端末2(1)~2(4)は、PoEハブ装置1を介して主装置に接続され、電話をかけたり、電話を受けたりして、IP網を通じて接続される通話回線を通じて、通話を行うことができる。但し、この実施の形態のIP電話端末2(1)~2(4)は、自機に接続される前後のIP電話端末と協働することによって、PoEハブ装置1の1つの給電ポートに接続可能なIP電話端末の台数を自動的に適切な台数に制限できるようにしている。
【0023】
詳しくは後述するが、この実施の形態のIP電話端末2(1)~2(4)のそれぞれは、図2に示すように、後段機器に給電する電源電圧を一定値分(この実施の形態では4V分)低下させて給電する。従って、図2に示すように、IP電話端末2(1)~2(4)を経由するごとに、後段機器に給電する電源電圧は低下していき、電源電圧が所定最小値(この実施の形態では40V)未満になった場合には、後段機器への電源電圧の給電を停止する。これにより、電源電圧の後段機器への給電を停止したIP電話端末と、当該後段機器である他のIP電話端末との電気的な接続が切り離される。
【0024】
このように、この実施の形態においては、1つの給電ポートに対して、適切に機能することができるIP電話端末として3台までのIP電話端末の接続を可能にする機能を備えている。このため、図2においては、PoEハブ装置1に対して、4台のIP電話端末2(1)~2(4)が接続されているが、実際に機能するのは、IP電話端末2(1)~2(3)までの3台に自動的に制限できるようにしている。
【0025】
以下においては、まず、PoEハブ装置1の構成例について説明し、次に、IP電話端末2(1)~2(4)の構成例について説明する。なお、この実施の形態において、IP電話端末2(1)~2(4)のそれぞれは、同様の構成を備えたものである。このため、以下においては、区別して示す必要がある場合を除き、IP電話端末2(1)~2(4)を総称して、IP電話端末2と記載する。
【0026】
<PoEハブ装置の構成例>
図3は、PoE給電機器としてのPoEハブ装置1の構成例を説明するための図である。PoEハブ装置1は、複数の給電ポートを備えるものである。しかし、説明を簡単にするため、図3では、1つの後段機器側ポート(給電ポート)102と、これに対応する前段機器側ポート101とを含む部分について示している。各機器間を接続するLANケーブルは、1番から8番までの8本の絶縁被覆導線が2本ずつ撚り合わされて、4対のツイストペア線を備えて構成されている。具体的には、1番と2番、3番と6番、4番と5番、7番と8番というように、各線がペアとされてツイストペア線が構成されている。
【0027】
このようなLANケーブルを通じて、データの送受信と電源電圧の供給とを行うPoE技術(給電技術)には、オルタナティブA(Alternative A)方式とオルタナティブB(Alternative B)方式との2つの方式がある。いずれの方式の場合にも、データ通信には、1番と2番のツイストペア線と3番と6番のツイストペア線とが用いられる。電源電圧の供給は、オルタナティブA方式の場合には、データ通信に用いられる1番と2番のツイストペア線と3番と6番のツイストペア線とに電源電圧を重畳して給電を行う。従って、オルタナティブA方式の場合には、4番と5番のツイストペア線と7番と8番のツイストペン線とがオープン(空き)となる。これに対して、オルタナティブB方式の場合には、データ通用とは別の4番と5番のツイストペア線と7番と8番のツイストペン線を通じて給電を行う。従って、オルタナティブB方式の場合には、オープン(空き)となるツイストペア線は存在しない。
【0028】
PoEハブ装置1については、オルタナティブA方式とオルタナティブB方式とのいずれの方式を採用してもよい。しかし、後述もするように、IP電話端末2(1)~2(4)の間の接続はオルタナティブA方式を採用する。このため、この実施の形態では、PoEハブ装置1とIP電話端末2(1)との間もオルタナティブA方式で接続されるものとする。図3に示すように、PoEハブ装置1は、LANケーブルが接続されるポート(接続端)として、前段機器側ポート101と後段機器側ポート102とを備えている。前段機器側ポート101と後段機器側ポート102とにおいて、番号を付して丸印で示した8つの端子は、LANケーブルの1番から8番の8本の絶縁被覆導線に対応している。従って、1番と2番のツイストペア線を送信用線路(TX)として用い、3番と6番のツイストペア線を受信用線路(RX)として用いてデータ通信を行う。
【0029】
更に、図3に示すように、例えば、ACコンセントからの商用電源に基づいて形成された48V(ボルト)の電源電圧が、後段機器側ポート102の1番と2番のツイストペア線と3番と6番のツイストペア線とに印加されている。これにより、送受される通信データに電源電圧を重畳して、後段機器側ポート102に接続された後段機器に対して、電源電圧の給電が可能になる。すなわち、PoEハブ装置1の後段機器側ポート102は、給電ポートとして機能する。このように、PoEハブ装置1の前段機器側ポート101と後段機器側ポート102においては、1番端子及び2番端子のペアと3番端子と6番端子のペアとが、データ通信用端子として用いられる。更に、後段機器側ポート102において、1番端子及び2番端子のペアと3番端子と6番端子のペアとが、電源電圧の給電端子としても用いられる。
【0030】
このようにPoEハブ装置1は、前段機器側ポート101に接続される主装置と後段機器側ポート102に接続されるIP電話端末2との間のデータ通信を中継するものである。更に、PoEハブ装置1は、給電ポートとして機能する後段機器側ポート102に接続された後段機器に対して、電源電圧を給電するものである。
【0031】
<IP電話端末の構成例>
図4は、IP電話端末2の構成例を説明するためのブロック図である。図4に示すように、IP電話端末2は、前段機器側ポート201と後段機器側ポート204とを備え、前段機器側ポート201は受電回路202に接続され、後段機器側ポート204は給電回路203に接続されている。すなわち、前段機器側ポート201は、受電ポートとして機能し、後段機器側ポート204は給電ポートとして機能する。受電回路202と給電回路203とは相互に接続され、これら2つ回路によって、LANI/F(Inter Face)として機能する。
【0032】
前段機器側ポート201と後段機器側ポート204とは、詳しくは後述するが、図3を用いて説明したPoEハブ装置1の前段機器側ポート101と後段機器側ポート102と同様に構成されたものである。IP電話端末2は、PoE技術のオルタナティブA方式で電源電圧の受電と給電とを行う。このため、受電回路202は、前段機器側ポートを通じて印加される電源電圧を受電して、これを電源供給部206に印加する。
【0033】
電源供給部206は、受電回路202から印加された電源電圧に応じて、各部に供給する駆動電流を形成して各部に供給する。これにより、IP電話端末2が機能するようになる。また、受電回路202は、前段機器側ポートを通じて印加された電源電圧を、そのまま給電回路203に供給する。給電回路203は、これに印加された電源電圧を、給電用の電源電圧に変換して、後段機器側ポート204を通じて後段機器である他のIP電話端末2に給電する。
【0034】
なお、詳しくは後述するが、給電回路203は、後段機器への電源電圧の後段機器への給電を停止させる機能を備えており、電源電圧の後段機器への給電を停止させた場合には、これを後述する制御部220に通知する。これにより、制御部220は、後述するディスプレイ213などを通じて、後段機器への電源電圧の給電を停止したことを、使用者(ユーザ)に対して通知できる。
【0035】
また、受電回路202は、前段機器側ポート201を通じて受信した自機宛ての受信データを抽出してパケット処理部205に供給する。また、受電回路202は、パケット処理部205から供給される自機からの送信データを、前段機器側ポート201を通じて前段機器側へ送出する。なお、前段機器側ポート201を通じて受信した受信データは、受電回路202→給電回路203→後段機器側ポート204の順に経由して、後段機器に提供される。逆に、後段機器側ポート204を通じて受信した後段機器から送信データは、給電回路203→受電回路202→前段機器側ポート201の順に経由して、前段機器に提供される。
【0036】
制御部220は、図示しないが、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発性メモリなどがCPUバスを通じて接続されて形成されたマイクロプロセッサである。制御部220は、IP電話端末2の各部を制御する。パケット処理部205は、パケット化されて送受される制御データや音声データなどの種々のデータの分解処理/生成処理を行う。
【0037】
ハンドセット207は、スピーカ(受話器)とマイクロホン(送話器)とを備える。コーデック208は、パケット処理部205においてパケット分解された音声データの供給を受けて、これを圧縮伸長してアナログ音声信号に変換し、オフフック状態のハンドセット207のスピーカに供給する。これにより、相手先からの音声がハンドセット207のスピーカから放音される。また、コーデック208は、オフフック状態のハンドセット207のマイクロホンにより収音されたアナログ音声信号をデジタル信号に変換し、これをデータ圧縮してパケット処理部205に供給する。パケット処理部205は、コーデック208からの音声データをパケット化して、これを受電回路202及び前段機器側ポート201を通じて相手先に送信する。
【0038】
なお、図4には図示しないが、IP電話端末2には、フックスイッチが設けられている。これにより、ハンドセット207がIP電話端末2の所定の位置に置かれている状態(オンフック状態)と、ハンドセット207がIP電話端末2の所定の位置から取り上げられた状態(オフフック状態)とを検出し、制御部220に通知できるようになっている。放音部209は、制御部220の制御の下、主に着信時において着信音を放音させるものであるが、着信音の他にも、警告音を放音したり、音声によるエラーメッセージや操作ガイダンスを放音したりすることもできるものである。
【0039】
操作入力部210と操作入力I/F(Inter Face)211とは、使用者からの操作入力を受け付けて、受け付けた情報を制御部220に提供する。操作入力部210には、図示しないが、いわゆるテンキー、発信キー、応答キー、保留キーなどのいくつかのファンクションキー、いくつかのフレキシブルキーなどが設けられている。ディスプレイコントローラ212とディスプレイ213とは、制御部220の制御の下、種々の情報をディスプレイ213の表示画面に表示する処理を行う。ディスプレイ213は、入力した相手先の電話番号、発信元の電話番号や名称、ガイダンスメッセージ、警告メッセージなど、種々の情報の表示が可能であり、上述もしたように、後段機器への電源電圧の供給を停止したことを通知する表示なども行われる。
【0040】
図5は、IP電話端末2の受電回路202と給電回路203の部分の構成を説明するためのブロック図である。図5に示すように、前段機器側ポート(受電ポート)201と後段機器側ポート(給電ポート)204とは、1番~8番までの番号を付した丸印で示したように8つの端子を備える。これら1番~8番の端子は、LANケーブルの1番~8番の絶縁被覆導線に対応している。従って、上述もしたように、IP電話端末2は、1番と2番のツイストペア線と3番と6番のツイストペア線とを通じて、データ通信(データの受信と送信)と、電源電圧の受電/給電とを行うことができるようになっている。
【0041】
前段機器側ポート201の1番と2番の端子と3番と6番の端子とは、通信処理部2021、電圧検出部2022、供給切替部2032、電圧制限部2033を通じて、後段機器側ポート204の1番と2番の端子と3番と6番の端子に接続されている。従って、前段機器側ポート201及び受電回路202と給電回路203及び後段機器側ポート204とを通じて、前段機器からの通信データを後段機器に提供し、また、後段機器からの通信データを前段機器に提供することができる。
【0042】
また、前段機器側ポート201の1番と2番の端子と3番と6番の端子とを通じて印加される電源電圧は、上述の受電回路と給電回路とを通じて接続された、後段機器側ポート204の1番と2番の端子と3番と6番の端子とを通じて、後段機器に対して給電される。更に、前段機器側ポート201と後段機器側ポート204との間にある受電回路202と給電回路203とは、上述のように、単に通信データと電源電圧の中継を行うだけでなく、以下の機能を有する。
【0043】
受電回路202は、図5に示したように、通信処理部2021、電圧検出部2022、通知情報提供部2023、供給停止指示部2024を備える。通信処理部2021は、1番と2番の端子を通じて受信した受信データのうち、自機宛ての受信データを抽出してパケット処理部205に供給する。また、通信処理部2021は、パケット処理部205から供給される自機からの送信データを前段機器側ポート201の3番と6番の端子を通じて、前段機器に送信する。これにより、パケット処理部205を通じて、自機宛ての受信データの取り込みと、自機からの送信データの送出を行うことができる。
【0044】
電圧検出部2022は、前段機器側ポート201の1番と2番の端子と3番と6番の端子とを通じて受電した電源電圧を電源供給部206に印加する。電源供給部206は電源電圧が印加されることにより、上述もしたように、IP電話端末2の各部に供給する電源電流を形成して、各部に供給する。更に、電圧検出部2022は、前段機器側ポート201の1番と2番の端子と3番と6番の端子とを通じて受電した電源電圧の電圧値を検出し、これを通知情報提供部2023と供給停止指示部2024とに通知する。
【0045】
通知情報提供部2023は、電圧検出部2022からの電圧値が、予め決められた所定最小値以上である場合には、所定の通知情報を形成し、これをオルタナティブA方式で空ラインとなっている7番と8番のライン(端子)を通じて前段機器に提供する。すなわち、自機が受電した電源電圧の電圧値が、正常に動作するために充分な電圧値である場合に、これを通知する通知情報を前段機器に提供する。この実施の形態においては、電源電圧の所定最小値は、例えば40V(ボルト)であるものとする。また、通知情報としては、予め決められたものであれば、どのようなものであってもよいが、例えば、メーカーコード、製品型番などの自社製品であることを示す自社製品通知情報が用いられる。これにより、前段機器においては、後段機器より通知情報が通知されれば、充分な電源電圧を供給していること、また、後段機器が自社製品であることを把握することが可能になる。
【0046】
逆に、後段機器より通知情報が通知されなければ、充分な電源電圧を供給していないこと、或いは、後段機器が自社製品ではないことを認識でき、後段機器に対して、電源電圧の供給を停止することが可能になる。なお、後段機器が自社製品でないことを認識できるのは、自社製品でない場合には、通知情報を提供することはないためである。また、仮に、何等かの通知情報が通知されても、それがメーカーコードや製品番号といった自社製品であることを判別することができる所定の自社製品通知情報でない場合には、後段機器は自社製品でないことが判別できる。このように、後段機器が自社製品でない場合においても、後段機器に電源電圧の提供をしないのは、後段機器の消費電力を正確に把握できないので、電源電圧が所定最小値以上であっても、適切に動作できることの保証ができないためである。
【0047】
また、この実施の形態において、通知情報提供部2023は、電圧検出部2022からの電圧値が、予め決められた所定最大値以上である場合には、所定の通知情報を前段機器に対して提供をしない。電圧値の所定最大値は、例えば、48V(ボルト)のように決められる。この実施の形態のIP電話端末2に対して48Vの電源電圧が供給された場合には、当該IP電話端末2は、PoEハブ装置1に直接接続された1番目のPoE受給電機器であると判別できる。この場合には、PoEハブ装置1からの電源電圧の給電を停止させるなどといった必要性は発生しないので、通知情報の提供は行われない。
【0048】
但し、IP電話端末2に対して48Vの電源電圧が供給され、所定の通知情報を前段機器に提供しない場合には、通常のPoEシーケンスにより、IP電話端末2がPoE給電できるものか否かの判別が行われる。ここで、PoE技術に対応した機器間で行われるネゴシエーションのためのPoEシーケンスについて説明する。図6は、PoE技術で給電可能な機器か否かの判別のためのネゴシエーションの手順(PoEシーケンス)について説明するための図である。
【0049】
PoEハブ装置1は、自機の給電ポート102に対して、何等かの電子機器(後段機器)が接続されると、図6(A)に示すPoEシーケンスを実行する。PoEハブ装置1は、まず、2.8V~10Vの範囲で2つの異なる値の電圧を後段機器に印加して、電流を測定する。PoE技術で電源電圧の給電が可能な後段機器の場合、検出用として25kΩ(キロオーム)の抵抗を内蔵している。このため、25kΩに対応する電流値が検出されれば、PoEハブ装置1は、自機に接続された後段機器がPoE技術により電源電圧の給電が可能なPoE受電機器であると判別できる。
【0050】
後段機器がPoE技術により電源電圧の給電が可能なPoE受電機器であると判別できた場合には、次に、PoEハブ装置1は、15.5V~20.5Vの範囲の電圧を後段機器に印加し、電流を測定する。この測定した電流値により後段機器が属する消費電力クラスを特定する。消費電力クラスは、図6(B)に示すように、検出電流に応じて特定可能な、クラス0~クラス4までの5段階のものである。但し、あくまでも後段機器が属する消費電力クラス、すなわち、後段機器が取り得る最小消費電力と最大消費電力が判別できるだけで、後段機器の消費電力自体を判別できるわけではない。後段機器の消費電力クラスの判別処理の開始後、400ms(ミリ秒)が経過すると、後段機器への電源電圧の供給が開始される。なお、図6(A)に示すように、安定して電源電圧の供給が行われるまでには、数百ミリ秒程度の時間がかかる。
【0051】
次に、供給停止指示部2024について説明する。上述もしたように、電圧検出部2022において検出された電源電圧の電圧値は、供給停止指示部2024にも供給されている。供給停止指示部2024は、電圧検出部からの電圧値が、所定最小値(例えば40V)未満である場合には、電源電圧の後段機器への給電停止を指示する停止指示を形成し、これを給電回路203の供給切替部2032に供給する。受電した電源電圧の電圧値が所定最小値未満(この実施の形態では40V未満)である場合には、後段機器が動作するために充分な電源電圧の給電ができないので、後段機器に対して電源電圧を給電しないようにする必要があるためである。
【0052】
このように、受電回路202は、通信処理部2021、電圧検出部2022を備え、自機宛ての受信データの取り込みや自機からの送信データの送出を行うことができると共に、前段機器から電源電圧を受電して、各部に駆動電源の供給をできるようにしている。更に、受電回路202は、通知情報提供部2023を備えることにより、受電した電源電圧の電圧値が所定最低値以上であれば、通知情報を前段機器に通知することにより、簡単かつ迅速にネゴシエーションを行えるようにしている。また、供給停止指示部2024を備えることにより、電源電圧が所定最小値未満であれば、電源電圧の後段機器への供給停止を迅速に指示できるようにしている。
【0053】
一方、給電回路203は、図5に示すように、通知情報判別部2031、供給切替部2032、電圧制限部2033を備える。通知情報判別部2031は、後段機器側ポート204に、何等かの機器が接続された場合に、7番と8番の端子を通じて後段機器から通知される通知情報を取得するようにする。更に通知情報判別部2031は、所定の通知情報が通知されなかった(通知されないために取得できなかった)の場合に、電源電圧の供給停止を指示する停止指示を供給切替部2032に供給する。すなわち、後段機器からの通知情報が未提供の場合には、後段機器に充分な電源電圧が供給できていないか、後段機器が自社製品でないかの何れかであるため、この場合には後段機器に対して、電源電圧を供給しないためである。
【0054】
なお、通知情報判別部2031は、通知情報としてメーカーコードや製品番号などの後段機器が自社製品か否かをも検出する場合には、メーカーコードや製品番号を記憶保持するメモリを設ける。このメモリに保持した情報と提供を受けた通知情報とを比較することにより、後段機器が自社製品か否かの確定が可能になる。
【0055】
供給切替部2032は、供給停止指示部2024から停止指示が提供された場合と、通知情報判別部2031から停止指示が提供された場合とにおいて、電圧検出部2022を通じて供給された電源電圧を、電圧制限部2033に供給するのを停止する。すなわち、供給切替部2032は、供給停止指示部2024と通知情報判別部2031との何れか一方からでも、停止指示が通知された時には、電源電圧の電圧制限部2033への供給を停止する。これにより、前段機器より電圧値が所定最低値以上の電源電圧が供給されていない場合には、後段機器への電源電圧の供給は停止されるし、また、後段機器より通知情報が提供されない場合にも、後段機器への電源電圧の供給は停止される。
【0056】
電圧制限部2033は、供給切替部2032により供給が停止されることなく電源電圧が供給された場合に、この電源電圧を所定値分低下させるように制限し、制限した電源電圧を後段機器側ポートの1番と2番の端子と、3番と6番の端子とに印加する。これにより、所定値分、この実施の形態では上述もしたように4Vb分低下させた電源電圧を後段機器に対して給電する。なお、この実施の形態において、電圧制限部2033は、これに印加された電源電圧を4V分低下させて、後段機器側ポートの1番と2番の端子と、3番と6番の端子とに印加する。
【0057】
このように、電圧制限部2033が電源電圧の電圧値を4V分低下させて、後段機器に給電するように処理するのは、PoEハブ装置1の1つの給電ポートに対して、接続可能なIP電話端末2の台数を適正台数(この実施の形態では3台)に制限するためである。この実施の形態においては、図2に示したように、IP電話端末2を経由する毎に、電源電圧は4V低くなるようにされる。従って、図2に示したように、IP電話端末2(1)には、48Vの電源電圧が供給され、IP電話端末2(2)には、44Vの電源電圧が供給され、IP電話端末2(3)には、40Vの電源電圧が供給される。
【0058】
更に、IP電話端末2(4)には、36Vの電源電圧が供給されるが、各IP電話端末2の消費電力から、給電された電源電圧が40V未満になった場合には、所定の通知情報を前段機器に提供しない。また、36Vの電源電圧が供給されたIP電話端末2(4)は、給電された電源電圧が40V未満なので、自機の後段機器側ポート204に後段機器が接続されていても、電源電圧の給電は行われない。このため、図2に示した電話システムに場合には、IP電話端末2(3)とIP電話端末2(4)からは、電源電圧の給電は行われないようにされる。従って、PoEハブ装置1の給電ポートには、IP電話端末2を3台、デイジーチェーン接続するように制限される。すなわち、PoEハブ装置1の1つの給電ポートに対いて、確実に動作することを担保できる3台のIP電話端末2を接続するように自動で制限できるようにしている。
【0059】
なお、上述の説明からも分かるように、受電した電源電圧が所定最小値未満である場合に、供給停止指示部2024から供給切替部2032に対して停止指示を通知して給電を停止する機能は、自機から後段機器への電源電圧の供給を停止する機能を実現する。また、通知情報提供部2023を通じて前段機器に通知情報を通知するのは、前段機器の通知情報判別部2031と供給切替部2032の機能により、前段機器からの電源電圧の供給を停止させる機能を実現する。すなわち、受電機能と給電機能とを、別々に制御できるようにしている。
【0060】
[電話システムの動作]
図7は、上述したPoEハブ装置1とIP電話端末2(1)~2(4)により構成される図2に示した実施の形態の電話システム(受給電システム)で行われる処理を説明するためのシーケンス図である。図2に示したように、PoEハブ装置1とIP電話端末2(1)~2(4)が接続されることにより電話システムが構築され、各機器の電源が投入されたとする。
【0061】
PoEハブ装置1は、自機の後段機器側ポート(給電ポート)102に電子機器が接続されると、図6を用いて説明したように、PoE技術で給電可能な機器か否かの判別のための通常のネゴシエーションの手順(PoEシーケンス)を実行する(ステップS1)。PoEハブ装置1は、PoEシーケンスを実行し、自機に接続されたIP電話端末2(1)を通じて流れる電流の電流値に基づいて、IP電話端末2(1)はPoE技術により給電可能な機器か否かを判別して、PoEネゴシエーションを終了する(ステップS2)。この実施の形態において、IP電話端末2(1)は、PoE技術に対応したPoE受給電機器であるので、PoE技術により給電可能であると判別され、PoEハブ装置1からIP電話端末2(1)への48Vの電源電圧の給電が開始される(ステップS3)。なお、図7では、「ネゴシエーション」を「ネゴ」と略称で示している。
【0062】
なお、図7では省略したが、IP電話端末2(1)でも電源電圧の電圧値が検出されるが、この場合、受電した電源電圧の電圧値は48Vである。このため、通知情報提供部2023が機能して、所定の通知情報を前段機器に通知することもないし、供給停止指示部2024が供給切替部2032に停止指示を出して、後段機器への電源電圧の給電を停止させることもない。従って、IP電話端末2(1)では、電圧制限部2033が機能し、給電ポート204に接続されたIP電話端末2(2)に対して、受電した48Vの電源電圧から4V低減させて形成した44Vの給電用の電源電圧の給電を開始する(ステップS4)。
【0063】
IP電話端末2(2)では、電圧検出部2022が機能し、電源電圧の電圧値を検出する(ステップS5)。IP電話端末2(2)の電圧検出部2022は、検出した電圧値を通知情報提供部2023と供給停止指示部2024に通知する。この場合、検出した電圧値は所定最大値の48V以上ではなく、また、所定最小値の40V未満でもない。このため、IP電話端末2(2)の通知情報提供部2023は、所定の通知情報を形成し、これを受電ポート201の7番と8番の端子を通じて、前段機器であるIP電話端末2(1)に提供する(ステップS6)。IP電話端末2(1)は、後段機器であるIP電話端末2(2)から所定の通知情報の提供を受けたことにより、通知情報判別部2031において、通知情報が提供されたことが判別できる。このため、IP電話端末2(1)は、44Vの電源電圧の給電を停止させることなく、IP電話端末2(2)への給電を継続する(ステップS7)。
【0064】
また、IP電話端末2(2)の供給停止指示部2024は、電源電圧の電圧値は、所定最小値の40V未満ではないため、停止指示を供給切替部2032に出すことはない。このため、IP電話端末2(2)では、電圧制限部2033が機能し、自機の給電ポート204に接続されたIP電話端末2(3)に対して、受電した44Vの電源電圧を4V低下させて形成した40Vの給電用の電源電圧の給電を開始する(ステップS8)。IP電話端末2(3)は、電圧検出部2022が機能し、電源電圧の電圧値を検出する(ステップS9)。
【0065】
IP電話端末2(3)の電圧検出部2022は、検出した電圧値を通知情報提供部2023と供給停止指示部2024に通知する。この場合、検出した電圧値は所定最大値の48V以上ではなく、また、所定最小値の40V未満でもない。このため、IP電話端末2(3)の通知情報提供部2023は、所定の通知情報を形成し、これを受電ポート201の7番と8番の端子を通じて、前段機器であるIP電話端末2(2)に提供する(ステップS10)。IP電話端末2(2)は、後段機器であるIP電話端末2(3)から所定の通知情報の提供を受けたことにより、通知情報判別部2031において、通知情報が提供されたことが判別できる。このため、IP電話端末2(2)は、40Vの電源電圧の給電を停止させることなく、IP電話端末2(3)への給電を継続する(ステップS11)。
【0066】
また、IP電話端末2(3)の供給停止指示部2024は、電源電圧の電圧値は、所定最小値の40V未満ではないため、停止指示を供給切替部2032に出すことはない。このため、IP電話端末2(3)では、電圧制限部2033が機能して、自機の給電ポート204に接続されたIP電話端末2(4)に対して、受電した40Vの電源電圧を4V低下させて形成した36Vの給電用の電源電圧の給電を開始する(ステップS12)。IP電話端末2(4)は、電圧検出部2022が機能し、電源電圧の電圧値を検出する(ステップS13)。
【0067】
IP電話端末2(4)の電圧検出部2022は、検出した電圧値を通知情報提供部2023と供給停止指示部2024に通知する。この場合、検出した電圧値は所定最大値の48Vではないし、所定最小値の40V未満となっている。このため、IP電話端末2(3)の通知情報提供部2023は、所定の通知情報を前段機器であるIP電話端末2(3)に提供することはない。IP電話端末2(3)は、後段機器であるIP電話端末2(4)から所定の通知情報の提供を受けていないことにより、通知情報判別部2031が停止指示を供給切替部2032に供給する。これにより、IP電話端末2(3)からIP電話端末2(4)への電源電圧の給電が停止される(ステップS14)。
【0068】
なお、IP電話端末2(4)の供給停止指示部2024は、電圧値が36Vであることの通知を受けて、自機が受電した電源電圧が所定最小値の40V未満であるので、IP電話端末2(4)の供給切替部2032に対して停止指示を出す。これにより、IP電話端末2(4)は、例え自機の給電ポート204に後段機器が接続されていたとしても、IP電話端末2(4)の供給切替部2032は、電源電圧を出力することはない。従って、前段機器であるIP電話端末2(3)からの電源電圧を後段機器に給電することもない。
【0069】
[IP電話端末2の動作のまとめ]
次に、この実施の形態のPoE受給電機器であるIP電話端末2で行われる処理についてまとめる。図8は、実施の形態のIP電話端末2で実行される処理を説明するためのフローチャートである。図8に示す処理は、図2に示したように、PoEハブ装置1やIP電話端末2をLANケーブルにより接続した後、PoEハブ装置1に電源を入れて給電を可能にすると共に、各IP電話端末2の電源をオンにした場合に、各IP電話端末2において実行される。
【0070】
IP電話端末2の受電回路202の電圧検出部2022は、前段機器側ポート(受電ポート)201を通じて受電した電源電圧の電圧値Vを検出し、検出した電圧値Vを通知情報提供部2023と供給停止指示部2024に通知する(ステップS101)。この場合、電圧検出部2022は、自機に電源電圧が印加されて動作が可能になり、印加された電源電圧の電圧値Vが一定値になった後に、電源電圧の電圧値Vを検出して通知する処理を行う。
【0071】
通知情報提供部2023と供給停止指示部2024は、受電した電源電圧の電圧値Vは、所定最大値Hth(例えば、48V)以上か否かを判別する(ステップS102)。ステップS102の判別処理において、電圧値Vは、所定最大値Hth以上であると判別したときには、所定の通知情報を前段機器に通知する必要もないし、電源電圧の後段機器への給電を停止させる必要もない。このため、通知情報提供部2023と供給停止指示部202は、何の処理も行うことなく、後述するステップS107からの処理を行うようにする。
【0072】
ステップS102の判別処理において、電圧値Vは所定最大値Hth以上ではないと判別したとする。この場合には、通知情報提供部2023と供給停止指示部2024は、更に、受電した電源電圧の電圧値Vは、所定最小値Lth(例えば、40V)以上か否かを判別する(ステップS103)。ステップS103の判別処理において、受電した電源電圧の電圧値Vが所定最小値Lth未満であると判別したとする。この場合、通知情報提供部2023は、所定の通知情報の提供は行わないようにし、また、供給停止指示部2024は、供給停止指示を供給切替部2032に通知する(ステップS104)。停止指示の提供を受けた供給切替部2032は、後段への電源電圧の出力を停止させる(ステップS105)。この後、この図8に示す処理を終了する。
【0073】
このように、前段機器に対して所定の通知情報を提供しないことにより、不十分な電源電圧の自機への供給を停止させることができる。また、停止指示を供給切替部に通知することにより、供給切替部2032は、不十分な電源電圧の後段機器への供給を停止させることができる
一方、ステップS103の判別処理において、受電した電源電圧の電圧値Vが所定最小値Lth以上であると判別したとする。この場合、通知情報提供部2023は、所定の通知情報(前段機器へ提供する通知情報)を形成し、これを前段機器側ポート201の7番と8番の端子を通じて前段機器に提供する(ステップS106)。なお、ステップS106において、後段機器への電源電圧を停止させる状態ではないので、供給停止指示部2024が供給切替部2032に対して停止指示を出すこともない。
【0074】
ステップS106の処理の後と、ステップS102の判別処理において、電圧値Vは、所定最大値Hth以上であると判別した場合には、後段機器への電源電圧の供給が開始される(ステップS107)。ステップS107では、電圧制限部2033が機能して、受電した電源電圧を所定値分(この実施の形態では4V分)下げた給電用の電源電圧を形成される。この形成された給電用の電源電圧は、後段機器側ポート(給電ポート)204の1番と2番の端子と、3番と6番の端子とを通じて、後段機器である他のIP電話端末2に給電される。
【0075】
この後、IP電話端末2の通知情報判別部2031が機能し、後段機器側ポート204の7番と8番の端子を通じて提供される所定の通知情報(後段機器から提供を受ける通知情報)を取得するようにする(ステップS108)。このステップS108の処理は、後段機器における処理の遅延も考慮し、所定期間、例えば、数秒間程度の間において、通知情報の取得処理を行うようにする。次に、通知情報判別部2031は、所定の通知情報が有るか否か(所定の通知情報の提供を受けたか否か)を判別する(ステップS109)。
【0076】
すなわち、後段機器から提供を受ける通知情報は、自機の通知情報提供部2023を通じて前段機器に提供する通知情報と、同様の内容を示すものである。このため、ステップS109の判別処理において、所定の通知情報が有ると判別したときには、後段機器は、充分な電源電圧の供給を受けている自社製品であると判別できる。この場合、通知情報判別部2031は何もすることなく、ステップS105において開始した電源電圧の後段機器への給電を継続するようにする(ステップS110)。この後、この図8に示す処理を終了する。
【0077】
また、ステップS109の判別処理において、所定の通知情報は無いと判別したときには、後段機器は、充分な電源電圧の供給を受けていないか、自社製品ではないと判別できる。この場合、通知情報判別部2031は、電源電圧の給電の停止指示を形成し、これを供給切替部2032に供給する(ステップS111)。これにより、供給切替部2032は、後段への電源電圧の供給を停止し、後段機器には電源電圧を供給しないようにし(ステップS112)、この図8に示す処理を終了する。
【0078】
この図8に示した処理を、図2に示した電話システムのIP電話端末2(1)~2(4)のそれぞれが実行する。これにより、この実施の形態の電話システムの場合には、PoEハブ装置1の1つの給電ポートに対して、IP電話端末2(1)~2(3)までの3台までの接続を可能にするように制限できる。この場合、IP電話端末2(3)の後段に、IP電話端末2(4)が物理的に接続されていたとしても、電源電圧は供給されず、電気的には切り離された状態となるので、過剰接続の状態になってIP電話端末2(1)~2(3)も使用できなくなる状態が回避できる。
【0079】
しかも、IP電話端末2(3)が後段機器への電源電圧の供給を停止させた場合には、給電回路203の供給切替部2032から後段への電源電圧の給電を停止したことが、当該IP電話端末2の制御部220に通知される。これにより、制御部220は、例えば、「後段機器への電源電圧の供給を停止しました。」、「後段機器の接続はできません。」といった表示メッセージをディスプレイ213に表示したり、同様の内容の音声メッセージを放音部209から放音したりする。これにより、図2に示した電話システムの場合には、使用者(ユーザ)に対して、IP電話端末2(3)を通じてメッセージを出力することにより、P電話端末2(3)の後に、更にIP電話端末2(4)は接続できないことを明確に通知することができる。
【0080】
なお、後段にIP電話端末2を接続できないことの通知は、アラーム音やLED(Light Emitting Diode)の点灯、点滅などにより通知することも可能である。このように、この実施の形態では、IP電話端末2(3)を通じて、後段機器であるIP電話端末2(4)には電源電圧は供給されないことが明示できる。このため使用者は、IP電話端末2(4)を別の経路で主装置に接続し直すなどの対応を取ることができるので、IP電話端末2(4)が使用できない状態を回避できる。すなわち、PoEハブ装置1の1つの給電ポートに許容台数を越えてIP電話端末2を接続しても、何処から許容台数を越えているのかを把握することができるので、許容台数を越えた分のIP電話端末2については、適切に接続し直すことが容易にできるようになる。
【0081】
[実施の形態の効果]
以上説明したように、この実施の形態の受給電機器によれば、受給電機器のそれぞれが、前段機器及び後段機器と協働し、PoE給電機器の1つの給電ポートに対して、適切な台数分の受給電機器を接続するように制限できる。これにより、PoE給電機器の1つの給電ポートに接続できる電子機器の消費電力の合計値や受給電機器のそれぞれの消費電力を把握することなく、1つの給電ポートに適切な受給電機器を接続した信頼性の高い受給電システムを容易に構築することができる。
【0082】
[変形例]
上述した実施の形態では、電源電圧の電圧値についての所定最大値を48V、所定最小値を40V、受電した電源電圧から4V低減させた電源電圧を給電用の電源電圧とした。しかし、これらの電圧値は、一例であり、PoE給電機器の性能、PoE受給電機器の消費電力などに応じて、適宜の値とすることができる。従って、PoE受給電機器の消費電力によっては、より多くの台数のPoE受給電機器を、PoE給電機器の1つの給電ポートに接続することも可能であるし、逆に、1つの給電ポートに接続される機器の台数をより制限することも可能である。
【0083】
また、上述した実施の形態では、PoEハブ装置1に対して複数台のIP電話端末2を接続して電話システムを構築する場合を例にして説明したが、これに限るものではない。PoE給電機器に対して、無線LANのアクセスポイント、ネットワークカメラ、パーソナルコンピュータなどをPoE受給電機器として接続して構築する受給電システムに、この発明を適用することができる。
【0084】
また、上述した実施の形態では、図5を用いて説明したように、給電回路203側に供給切替部2032を設けるようにしたが、これに限るものではない。供給切替部2032は、受電回路202の例えば、電圧検出部2022の後段に設けるようにしてもよい。従って、図5に示した受電回路、給電回路の構成は一例であり、種々の変更や改良が可能である。
【0085】
また、図5を用いて説明した受電回路202及び給電回路203は、例えば、PLD(Programmable Logic Device)などの技術を用いて作成することもできる。なお、PLDは、製造後にユーザの手許で内部論理回路を定義・変更できる集積回路であり、柔軟に目的とする機能を備えた受電回路、給電回路を構成することができる。
【0086】
また、上述した実施の形態では、PoE技術のオルタナティブA方式で、電源電圧の受電、給電を行うものとして説明した。これは、所定の通知情報を、空きラインとなる7番と8番のツイストペア線を用いて前段機器に通知するためである。しかし、これに限るものではない。
【0087】
例えば、各機器間をPoE技術のオルタナティブB方式で接続し、電源電圧の供給を4番と5番のツイストペア線と、7番と8番のツイストペア線に重畳して行うようにしてもよい。この場合、電圧検出部2022は、4番と5番のツイストペア線と、7番と8番のツイストペア線に重畳される電源電圧の電圧値を検出することになる。また、供給切替部2032は、4番と5番のツイストペア線と、7番と8番のツイストペア線に重畳される電源電圧を後段に出力するか否かを切り替えることになる。
【0088】
また、電圧制限手段は、4番と5番のツイストペア線と、7番と8番のツイストペア線に重畳される電源電圧を制限することになる。また、所定の通知情報を例えば、7番と8番のツイストペア線に重畳して前段機器に提供し、前段機器側で抽出するように構成することになる。また、各機器間をPoE技術のオルタナティブB方式で接続する場合、所定の通知情報を3番と6番のツイストペア線で送信される送信データに対して、混在させて、あるいは、重畳して前段機器に提供し、前段機器で抽出するようにしてもよい。
【0089】
すなわち、給電機器と受給電機器、受給電機器と受給電機器とは、電源電圧の受電、給電が可能であって、デイジーチェーン接続が可能なインターフェースであれば、どのようなインターフェースを用いて接続してもよい。その際には、図5を用いて説明した以下に示す(1)~(5)機能を備えるようにすればよい。すなわち、(1)電源電圧の電圧値の検出機能、(2)検出した電圧値に応じた所定の通知情報の提供機能、(3)検出した電圧値に応じた電源電圧の供給制御機能を備えるようにする。更に、(4)後段機器からの通知情報の検出機能、(5)後段機器からの通知情報の有無に応じた電源電圧の供給制御機能を備えるようにする。
【0090】
[その他]
なお、上述した実施の形態の説明からも分かるように、請求項の電圧検出手段、通知情報提供手段、電圧制限手段の各機能は、実施の形態のIP電話端末2の電圧検出部2022、通知情報提供部2023、電圧制限部2033が実現している。また、請求項の停止指示手段、判別手段、第1、第2の停止手段の各機能は、実施の形態のIP電話端末2の供給停止指示部2024、通知情報判別部2031、供給切替部2032が実現している。
【0091】
また、図8のフローチャートに示した処理を行う方法が、受給電機器で行われるこの発明による受給電方法の一実施の形態に対応する。
【符号の説明】
【0092】
1…PoE給電機器(PoEハブ装置)、101…前段機器側ポート、102…後段機器側ポート、2、2(1)~2(4)…PoE受給電機器(IP電話端末)、201…前段機器側ポート(受電ポート)、202…受電回路、2021…通信処理部、2022…電圧検出部、2023…通知情報提供部、2024…供給停止指示部、203…給電回路、2031…通知情報判別部、2032…供給切替部、2033…電圧制限部、204…後段機器側ポート(給電ポート)、205…パケット処理部、206…電源供給部、207…ハンドセット、208…コーデック、209…放音部、210…操作入力部、211…操作入力I/F、212…ディスプレイコントローラ、213…ディスプレイ、220…制御部、3(1)~3(4)…PoE受給電機器、4(1)~4(4)…PoE受給電機器
図1
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図4
図5
図6
図7
図8