(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-18
(45)【発行日】2024-07-26
(54)【発明の名称】信号機制御装置、信号機制御方法、及び、信号機制御プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/08 20060101AFI20240719BHJP
G08G 1/04 20060101ALI20240719BHJP
G08G 1/081 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
G08G1/08 A
G08G1/04 C
G08G1/081
(21)【出願番号】P 2020211379
(22)【出願日】2020-12-21
【審査請求日】2023-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】高柳 雄一
【審査官】上野 博史
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-134529(JP,A)
【文献】特開2006-343814(JP,A)
【文献】特開2009-146138(JP,A)
【文献】特開2015-068756(JP,A)
【文献】特開平07-014093(JP,A)
【文献】特開2007-241987(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/08
G08G 1/04
G08G 1/081
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路に設置された信号機を制御する信号機制御装置であって、
前記道路上の各地点における渋滞のレベルを示す地点渋滞レベルを特定し、前記各地点の地点渋滞レベルに基づいて、少なくとも1つの前記地点を含む少なくとも1つの区間と当該区間の渋滞のレベルを示す区間渋滞レベルとを決定し、前記各区間の前記区間渋滞レベルに基づいて前記信号機を制御する制御情報を生成するプロセッサと、
前記制御情報を前記信号機に送信する送信部と、を備
え、
前記プロセッサは、
前記区間渋滞レベルが所定の閾値以上の区間である渋滞区間が存在する場合、前記渋滞区間の前記区間渋滞レベルを低下させるための前記制御情報を生成し、
前記渋滞区間の前記区間渋滞レベルを低下させるための前記制御情報に基づく前記信号機の制御を所定回数以上実施しても前記渋滞区間の前記区間渋滞レベルが低下しない場合、他の渋滞区間の前記区間渋滞レベルを低下させるための前記制御情報を生成する、
信号機制御装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記道路の車線ごとに前記地点渋滞レベルを特定し、前記車線ごとに前記区間及び前記区間渋滞レベルを決定する、
請求項1に記載の信号機制御装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記道路を走行する車両に設置された車載装置によって測定された前記地点における車両の測定情報に基づいて、前記各車線の進行可能な方向を特定する、
請求項2に記載の信号機制御装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記地点渋滞レベルが共通又は所定範囲内に属し、かつ、連続している複数の前記地点を含めて1つの前記区間を決定する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の信号機制御装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、互いに隣接する第1の地点と第2の地点の前記地点渋滞レベルの差分が所定の閾値以上である場合、前記第1の地点を第1の区間に含め、前記第2の地点を前記第1の区間と異なる第2の区間に含める、
請求項1から4のいずれか1項に記載の信号機制御装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記各区間の長さに基づいて前記制御情報を生成する、
請求項1から5のいずれか1項に記載の信号機制御装置。
【請求項7】
道路に設置された信号機を制御する信号機制御方法であって、
前記道路上の各地点における渋滞のレベルを示す地点渋滞レベルを特定し、
前記各地点の地点渋滞レベルに基づいて、少なくとも1つの前記地点を含む少なくとも1つの区間と当該区間の渋滞のレベルを示す区間渋滞レベルとを決定し、
前記各区間の前記区間渋滞レベルに基づいて前記信号機を制御する制御情報を生成
する際、
前記区間渋滞レベルが所定の閾値以上の区間である渋滞区間が存在する場合、前記渋滞区間の前記区間渋滞レベルを低下させるための前記制御情報を生成し、前記渋滞区間の前記区間渋滞レベルを低下させるための前記制御情報に基づく前記信号機の制御を所定回数以上実施しても前記渋滞区間の前記区間渋滞レベルが低下しない場合、他の渋滞区間の前記区間渋滞レベルを低下させるための前記制御情報を生成し、
前記制御情報を前記信号機に送信する、
信号機制御方法。
【請求項8】
請求項
7に記載の信号機制御方法をコンピュータに実行させる、
信号機制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、信号機制御装置、信号機制御方法、及び、信号機制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、道路の車線をカメラで撮影し、その撮影画像から車線の予め定められた固定区間における渋滞レベルを算出することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示される構成は、予め定められた固定区間を平均化して渋滞レベルを算出するため、渋滞に関する区間を詳細に認識できない。例えば、特許文献1に開示の構成は、固定区間の中に距離の短い渋滞区間が存在するとしても、平均化により、固定区間の全体では渋滞が発生していないと認識される場合がある。
【0005】
本開示の目的は、渋滞に関する区間を詳細に認識し、その認識した渋滞に関する区間に基づいて信号機を制御することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る信号機制御装置は、道路に設置された信号機を制御する信号機制御装置であって、前記道路上の各地点における渋滞のレベルを示す地点渋滞レベルを特定し、前記各地点の地点渋滞レベルに基づいて、少なくとも1つの前記地点を含む少なくとも1つの区間と当該区間の渋滞のレベルを示す区間渋滞レベルとを決定し、前記各区間の前記区間渋滞レベルに基づいて前記信号機を制御する制御情報を生成するプロセッサと、
前記制御情報を前記信号機に送信する送信部と、を備える。
【0007】
本開示の一態様に係る信号機制御方法は、道路に設置された信号機を制御する信号機制御方法であって、前記道路上の各地点における渋滞のレベルを示す地点渋滞レベルを特定し、前記各地点の地点渋滞レベルに基づいて、少なくとも1つの前記地点を含む少なくとも1つの区間と当該区間の渋滞のレベルを示す区間渋滞レベルとを決定し、前記各区間の前記区間渋滞レベルに基づいて前記信号機を制御する制御情報を生成し、前記制御情報を前記信号機に送信する。
【0008】
なお、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム又は記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、渋滞に関する区間を詳細に認識し、その認識した渋滞に関する区間に基づいて信号機を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1に係る信号機制御システムの構成の一例を示す模式図
【
図2】実施の形態1に係る信号機制御装置の構成の一例を示すブロック図
【
図3】区間及び区間渋滞レベルの決定方法の一例を説明するための図
【
図4】信号機制御装置が実行する処理の一例を示すフローチャート
【
図5】
図4に示す渋滞区間の選択処理の一例を示すフローチャート
【
図6】交差点の信号機の制御により右折車線の渋滞が解消される場合を説明するための図
【
図7】交差点の信号機の制御を所定回数以上行っても右折車線の渋滞が解消されない場合を説明するための図
【
図8】複数の信号機を連携制御する場合を説明するための図
【
図9】複数の交差点の複数の信号機を連携制御する場合を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を適宜参照して、本開示の実施の形態について、詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、すでによく知られた事項の詳細説明及び実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の記載の主題を限定することは意図されていない。
【0012】
(実施の形態1)
<信号機制御システムの構成>
図1は、実施の形態1に係る信号機制御システム10の構成の一例を示す模式図である。
【0013】
信号機制御システム10は、信号機13を制御するシステムである。信号機制御システム10は、センサ11、車載装置12、信号機13、及び、信号機制御装置100を含む。
【0014】
センサ11、車載装置12、信号機13、及び、信号機制御装置100は、通信ネットワーク14を通じて、互いに情報を送受信できる。通信ネットワーク14の例として、専用線、インターネット網、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、移動体通信網(LTE、4G、5G)が挙げられる。
【0015】
センサ11は、道路2の各車線3の交通状況を測定する装置である。複数のセンサ11は、道路2に沿って所定の距離間隔で設置されてよい。センサ11の例として、車線3を走行する車両1を撮影するカメラ装置、及び、車線3を走行する車両1を検知する車両検知器等が挙げられる。例えば、センサ11は、交通状況として、各車線3における測定対象の地点4を通過する車両1の台数及び速度を所定の時間間隔で測定し、その測定結果を含むセンサ測定情報を生成し、信号機制御装置100へ送信する。
【0016】
車載装置12は、車両1に搭載され、当該車両1の走行状況を測定する装置である。例えば、車載装置12は、走行状況として、車両1の位置、及び、車両1の速度等を所定の時間間隔で測定する。加えて、車載装置12は、各車線3向けのVICS(登録商標)から送信されたビーコン情報を受信し、車両1が走行中の車線3を特定する。車載装置12は、その測定及び特定した車両1の位置、速度、及び、走行中の車線3等を含む車両測定情報を生成し、信号機制御装置100へ送信する。車載装置12は、車両1のウィンカー及びワイパーの少なくとも1つの動作を測定し、その測定結果を車両測定情報に含めてもよい。車両測定情報は、プローブ情報と読み替えられてもよい。なお、車両1の位置は、全球測位衛星システム(GNSS(Global Navigation Satellite System))及び自律航法による位置補正によって特定されてよい。また、車載装置12は、ECU(Electronic Control Unit)として構成されてよい。
【0017】
信号機制御装置100は、信号機13の挙動を制御する装置である。信号機制御装置100は、各センサ11からセンサ測定情報を、各車載装置12から車両測定情報を受信する。信号機制御装置100は、センサ測定情報及び車両測定情報の少なくとも1つに基づいて、各車線3の各地点4における渋滞のレベルを示す地点渋滞レベルを特定する。信号機制御装置100は、各地点4の地点渋滞レベルに基づいて、少なくとも1つの地点4を含む少なくとも1つの区間20と当該区間20の渋滞のレベルを示す区間渋滞レベルとを決定する。地点渋滞レベル及び区間渋滞レベルは、レベルの値が大きいほど、渋滞状況が悪いことを示してよい。例えば、レベル1は、渋滞が発生していないことを示し、レベル2は低速ながら車両1が動いている渋滞が発生していることを示し、レベル3は、車両1がほとんど動かない渋滞が発生していることを示してよい。地点渋滞レベル及び区間渋滞レベルの区分数は、互いに異なってよい。例えば、地点渋滞レベルは9段階の区分であり、区間渋滞レベルは3段階の区分であってよい。
【0018】
信号機制御装置100は、信号機13から当該信号機13の動作状況を示す動作状況情報を受信する。動作状況情報には、信号機13における進行許可信号(例えば青信号)の残りの秒数、進行禁止信号(例えば赤信号)の残りの秒数、サイクル、スプリット、オフセット等の情報が含まれてよい。また、信号機制御装置100は、受信した動作状況情報、及び、上記で決定した各区間20の区間渋滞レベルに基づいて、信号機13を制御する制御情報を生成し、その制御情報を信号機13に送信する。例えば、信号機制御装置100は、渋滞区間レベルが所定の閾値以上である区間20(つまり渋滞が発生している区間20)の渋滞区間レベルが低下するような(つまり渋滞が解消されるような)制御情報を生成し、信号機13に送信する。制御情報には、各信号の点灯、点滅、消灯の時間長、サイクル、スプリット、オフセット等を示す情報が含まれてよい。なお、信号機制御装置100の詳細については後述する。
【0019】
信号機13は、例えば、道路2の交差点5に設置される。信号機13は、信号機制御装置100から受信した制御情報に基づいて、各信号の点灯、点滅、消灯の時間長、サイクル、スプリット、オフセット等を制御する。例えば、信号機13は、受信した制御情報に基づいて、直進車線3Aの進行許可信号(例えば青信号又は直進矢印信号)の点灯時間を延長又は短縮する。例えば、信号機13は、受信した制御情報に基づいて、直進車線3Aの進行禁止信号(例えば赤信号)の点灯時間を延長又は短縮する。例えば、信号機13は、受信した制御情報に基づいて、右折車線3の右折許可信号(例えば右矢印信号)の点灯時間を延長又は短縮する。上述したように、制御情報は、車線3に発生した渋滞が解消されるように、各信号の点灯、点滅、消灯の時間長、サイクル、スプリット、及び、オフセットの少なくとも1つの設定を含んで生成されたものであるので、これにより、信号機13の設置された交差点5に繋がる車線3の渋滞が解消され得る。以下、詳細に説明する。
【0020】
<信号機制御装置の構成>
図2は、実施の形態1に係る信号機制御装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0021】
信号機制御装置100は、プロセッサ101、メモリ102、入力I/F(Interface)103、出力I/F104、通信I/F105を含んで構成される。プロセッサ101、メモリ102、入力I/F103、出力I/F104、通信I/F105は、バス108を通じて互いに情報を送受信できる。
【0022】
メモリ102は、信号機制御装置100が取り扱うコンピュータプログラム及びデータ等を格納する。メモリ102は、ROM(Read-Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び、フラッシュメモリのうちの少なくとも1つによって構成されてよい。
【0023】
プロセッサ101は、メモリ102から読み出したコンピュータプログラムを実行し、信号機制御装置100が有する機能を実現する。例えば、プロセッサ101は、渋滞分析部121及び信号機制御部122といった機能を実現する。プロセッサ101は、CPU(Central Processing Unit)、コントローラ、制御部、集積回路といった他の用語に読み替えられてもよい。なお、これらの機能の詳細については後述する。
【0024】
入力I/F103は、入力装置111を接続するためのインタフェースである。入力装置111の例として、キーボード、マウス、タッチパッド、マイク、ボタン等が挙げられる。入力I/F103は、入力装置111から受信した入力情報を、プロセッサ101へ送信する。
【0025】
出力I/F104は、出力装置112を接続するためのI/Fである。出力装置112の例として、ディスプレイ、スピーカ等が挙げられる。出力I/F104は、プロセッサ101から受信した出力情報を、出力装置112に送信する。
【0026】
通信I/F105は、信号機制御装置100を通信ネットワーク14に接続するためのI/Fである。通信I/F105は、通信ネットワーク14を通じて情報を受信する受信部106と、通信ネットワーク14を通じて情報を送信する送信部107とを含んでよい。受信部106は、通信ネットワーク14を通じて他の装置(例えばセンサ11、車載装置12及び信号機13)から受信した情報を、プロセッサ101へ送信する。送信部107は、プロセッサ101から受信した情報を、通信ネットワーク14を通じて他の装置(例えばセンサ11、車載装置12及び信号機13)へ送信する。
【0027】
次に、プロセッサ101によって実現される機能の一例である渋滞分析部121及び信号機制御部122について説明する。なお、本実施の形態における渋滞分析部121及び信号機制御部122を主語とする処理は、プロセッサ101を主語とする処理に読み替えることができる。
【0028】
<<渋滞分析部>>
渋滞分析部121は、センサ11から受信したセンサ測定情報、及び、車載装置12から受信した車両測定情報のうちの少なくとも1つに基づいて、道路2の各車線3の各地点4における地点渋滞レベルを特定する。
【0029】
渋滞分析部121は、センサ11の測定対象に含まれる地点4についてはセンサ測定情報と車両測定情報の両方を用い、センサの測定対象に含まれない地点4については車両測定情報を用いて、その地点4の地点渋滞レベルを特定してよい。
【0030】
渋滞分析部121は、隣接する第1の地点4と第2の地点4との間における車両1の停止回数に基づいて、第2の地点4における地点渋滞レベルを特定してよい。例えば、渋滞分析部121は、第1の地点4と第2の地点4との間において、車両1の停止回数が0回から1回の場合、地点渋滞レベルを「1」、車両1の停止回数が2回の場合、地点渋滞レベルを「2」、車両1の停止回数が3回以上の場合、第2の地点4の地点渋滞レベルを「3」と特定する。
【0031】
渋滞分析部121は、隣接する第1の地点4と第2の地点4との間における車両1の通過時間の遅延に基づいて、第2の地点4における地点渋滞レベルを特定してよい。車両1の通過時間の遅延は、渋滞が発生していない状態での平均的な通過時間からの遅延を示す。例えば、渋滞分析部121は、第1の地点4と第2の地点4との間において、車両1の通過時間の遅延が10秒未満の場合、地点渋滞レベルを「1」、車両1の通過時間の遅延が10秒以上かつ20秒未満の場合、地点渋滞レベルを「2」、車両1の通過時間の遅延が20秒以上の場合、第2の地点4の地点渋滞レベルを「3」と特定する。
【0032】
渋滞分析部121は、隣接する第1の地点4と第2の地点4との間における車両1の平均速度に基づいて、第2の地点4における地点渋滞レベルを特定してよい。例えば、渋滞分析部121は、第1の地点4と第2の地点4との間において、車両1の平均速度が20km/h以上である場合、地点渋滞レベルを「1」、車両1の平均速度が10km/h以上かつ20km/h未満である場合、地点渋滞レベルを「2」、車両1の平均速度が10km/h未満である場合、第2の地点4の地点渋滞レベルを「3」と特定する。
【0033】
なお、渋滞分析部121は、上述した各条件(つまり車両1の停止回数、車両1の通過時間の遅延、及び、車両1の平均速度)を組み合わせて、地点渋滞レベルを特定してもよい。例えば、渋滞分析部121は、各条件にて特定した地点渋滞レベルの多数決によって、第2の地点4の地点渋滞レベルを特定してもよい。例えば、渋滞分析部121は、車両1の停止回数に係る地点渋滞レベルを「3」、車両1の通過時間の遅延に係る地点渋滞レベルを「2」、車両1の平均速度に係る地点渋滞レベルを「3」と特定した場合、多数決によって、第2の地点4の地点渋滞レベルを「3」と特定してもよい。
【0034】
渋滞分析部121は、各地点4について特定した地点渋滞レベルに基づいて、少なくとも1つの地点4を含む少なくとも1つの区間20と、当該区間20の渋滞レベルを示す区間渋滞レベルとを決定する。なお、区間20及び区間渋滞レベルの決定方法の詳細については後述する(
図3参照)。
【0035】
また、渋滞分析部121は、各車両1の車載装置12から受信した各地点4における車両測定情報に基づいて、各車線3の進行可能な方向を特定(又は学習)してよい。例えば、渋滞分析部121は、ある連続する地点4に関する複数の車両測定情報がいずれも車両1の右折を示す場合、その連続する地点4に対応する車線3は右折車線3Cであると特定(又は学習)する。渋滞分析部121は、同様の方法により、直進車線3A、左折車線3B、一方通行車線等を特定(又は学習)してもよい。
【0036】
<<信号機制御部>>
信号機制御部122は、渋滞分析部121によって決定された各車線3における各区間20と、当該各区間20の区間渋滞レベルとに基づいて、信号機13を制御する制御情報を生成する。
【0037】
例えば、信号機制御部122は、区間渋滞レベルが所定の閾値以上(例えばレベル「2」以上)である区間(以下、渋滞区間という)20が存在する場合、渋滞区間20の区間渋滞レベルを低下させるための制御情報を生成する。例えば、信号機制御部122は、渋滞区間20が右折車線3Cに存在する場合、その右折車線3Cに対応する信号機13の右折許可信号の点灯時間を延長する制御情報を生成する。これにより、右折車線3Cに存在する渋滞区間20の渋滞が解消され得る。
【0038】
信号機制御部122は、ある渋滞区間20の区間渋滞レベルを低下させるための制御情報に基づく信号機13の制御を所定回数以上実施しても当該渋滞区間20の区間渋滞レベルが所定の閾値未満に低下しない場合(つまり渋滞が解消されない場合)、区間渋滞レベルが所定の閾値以上である他の区間20(つまり別の渋滞区間20)の区間渋滞レベルを低下させるための制御情報を生成してよい。これにより、渋滞が解消されないにも関わらず同様の信号機13の制御が継続されて、却って別の渋滞が発生又は悪化してしまうことを防止できる。
【0039】
なお、信号機制御部122は、渋滞区間20が複数存在する場合、所定の条件に基づいて、最初に対処する渋滞区間20を選択してよい。例えば、信号機制御部122は、最も距離の長い渋滞区間20を、最初に対処する渋滞区間20として選択してよい。あるいは、信号機制御部122は、渋滞区間20が複数存在する場合、過去の信号機13の制御の結果において最も別の渋滞の発生又は悪化を引き起こさなかった渋滞区間20を、最初に対処する渋滞区間20として選択してよい。
【0040】
<区間及び区間渋滞レベルの決定方法>
図3は、区間20及び区間渋滞レベルの決定方法の一例を説明するための図である。
図3(a)は、従来の固定区間の決定方法を説明するための図である。
図3(b)、
図3(c)、
図3(d)は、実施の形態1に係る区間20の決定方法を説明するための図である。
【0041】
図3(a)に示すように、従来は、予め定められた固定区間の渋滞レベルを算出する。例えば、固定区間に含まれる複数のセンサが測定した車両1の速度を平均し、その平均速度に基づいて当該固定区間の渋滞レベルを算出する。この場合、当該固定区間の一部に渋滞レベルの比較的大きな区間(つまり渋滞区間)が存在していたとしても、固定区間内における平均化により、その渋滞区間を認識できない。すなわち、従来は、詳細な渋滞の状況を認識できない。
【0042】
これに対して、実施の形態1に係る渋滞分析部121は、各地点4の地点渋滞レベルに基づいて、可変的に区間20を決定し、各区間20の区間渋滞レベルを決定する。なお、
図3(b)、
図3(c)、
図3(d)において、白丸の地点4は地点渋滞レベル「1」を示し、網掛け丸の地点4は地点渋滞レベル「2」を示し、黒丸の地点4は地点渋滞レベル「3」を示し、白の区間20は区間渋滞レベル「1」を示し、斜線の区間20は区間渋滞レベル「2」を示し、市松模様の区間20は区間渋滞レベル「3」を示す。
【0043】
渋滞分析部121は、地点渋滞レベルが共通し、かつ、連続している複数の地点4を含めて1つの区間20を決定し、その共通する地点渋滞レベルに基づいて当該区間20の区間渋滞レベルを決定する。隣接する2つの地点4の最小間隔は、車両1の全長以上であってよい。例えば、
図3(b)に示すように、渋滞分析部121は、地点渋滞レベル「3」の地点4Aが3つ連続している場合、その3つ連続している地点4Aを含めて1つの区間20Aを決定し、その区間20Aの区間渋滞レベルを「3」に決定する。すなわち、区間20の長さは、地点渋滞レベルが共通する地点4の連続する数に応じて変化する。したがって、実施の形態1に係る区間20の長さは、従来と比較して、実際の渋滞の距離をより正確に表している。
【0044】
また、渋滞分析部121は、地点渋滞レベルの高い2つの地点4に地点渋滞レベルの低い地点が所定数(例えば1つ)挟まれている場合、その渋滞レベルの低い地点4については、地点渋滞レベルの高い地点4とみなした上、上記と同様、地点渋滞レベルが共通し、かつ、連続している複数の地点4を含めて1つの区間20を決定し、その共通する地点渋滞レベルに基づいて区間20の区間渋滞レベルを決定してもよい。例えば、渋滞分析部121は、
図3(c)に示すように、地点渋滞レベル「3」の2つの地点4B、4Cに、地点渋滞レベル「2」の地点4Dが1つ挟まれている場合、その地点4Dについては地点渋滞レベル「3」とみなしてよい。そして、渋滞分析部121は、
図3(c)に示すように、連続する地点4B、4D、4Cを含めて1つの区間20Bを決定し、その区間20Bの区間渋滞レベルを「3」に決定してよい。なお、上記した、地点渋滞レベルの高い2つの地点4に地点渋滞レベルの低い地点4が挟まれている箇所の検出については、地点渋滞レベルの高いものから順に行われてよい。
【0045】
また、渋滞分析部121は、隣接する第1の地点4と第2の地点4の地点渋滞レベルの差分が所定の閾値以上である場合、第1の地点4を第1の区間20に含め、第2の地点4を第1の区間20とは異なる第2の区間20に含めてよい。例えば、
図3(c)に示すように、渋滞分析部121は、地点渋滞レベル「1」の第1の地点4Eと地点渋滞レベル「3」の第2の地点4Bとが隣接している場合、地点渋滞レベルの差分が所定の閾値「2」以上であるので、第1の地点4Eを第1の区間20Cに含め、第2の地点4Bを第2の区間20Bに含めてよい。別言すると、渋滞分析部121は、第1の地点4と第2の地点4との間に、第1の区間20と第2の区間20を分ける境界を設けてよい。
【0046】
また、渋滞分析部121は、地点4ごとに、隣接する地点4の渋滞レベルに基づいて区間20を決定してもよい。例えば、渋滞分析部121は、隣接する第1の地点4と第2の地点4の地点渋滞レベルが同一である場合、隣接する地点4の地点渋滞レベルに対応する区間渋滞レベルとすることで区間を設定する。例えば、
図3(d)に示すように、地点渋滞レベル「2」の地点4Dは、隣接する地点渋滞レベル「3」の地点4Bと地点4Cとに挟まれているので、渋滞分析部121は、地点4Dの地点渋滞レベルを、隣接する地点渋滞レベルと同様の「3」とみなす。また、地点渋滞レベル「3」の地点4Cは、隣接する地点渋滞レベル「2」の地点4Dと地点4Fとに挟まれているので、渋滞分析部121は、地点4Fの地点渋滞レベルを、隣接する地点渋滞レベルと同様の「2」とみなす。この処理は、信号機13(又は交差点5)に近い地点4から、当該信号機13(又は当該交差点5)から遠ざかる方向に順に行われてよい。そして、渋滞分析部121は、
図3(d)に示すように、連続する地点4B、4Cを含めて1つの区間20Dを決定し、その区間20Dの区間渋滞レベルを「3」に決定してよい。また、渋滞分析部121は、図(d)に示すように、連続する地点4C、4F、4Gを含めて1つの区間20Eを決定し、その区間20Eの区間渋滞レベルを「2」に決定してよい。
【0047】
<信号機制御装置が実行する処理>
図4は、信号機制御装置100が実行する処理の一例を示すフローチャートである。本処理は、繰り返し実行されてよい。
【0048】
S101として、渋滞分析部121は、各地点4のセンサ測定情報及び車両測定情報のうちの少なくとも1つを取得する。
【0049】
S102として、渋滞分析部121は、S101で取得したセンサ測定情報及び車両測定情報のうちの少なくとも1つに基づいて、各地点4の地点渋滞レベルを算出する。
【0050】
S103として、渋滞分析部121は、S102にて算出した各地点4の地点渋滞レベルに基づいて、区間20及び区間渋滞レベルを決定する。なお、渋滞分析部121は、上記にて
図3を参照して説明した方法によって、区間20及び区間渋滞レベルを決定してよい。
【0051】
S104として、信号機制御部122は、渋滞区間の選択処理を行う。なお、渋滞区間20の選択処理の詳細については後述する(
図5参照)。
【0052】
S105として、信号機制御部122は、S104の処理の結果、渋滞区間20が存在するか否かを判定する。例えば、区間渋滞レベル「2」又は「3」の区間20が存在しない場合、渋滞区間20は存在しないので、S105の判定結果はNOとなる。
【0053】
S105にて渋滞区間20が存在すると判定された場合(S105:YES)、S106として、信号機制御部122は、S104で選択された渋滞区間20の渋滞を解消するための信号機13の制御情報を生成し、信号機13に送信する。そして、本処理は終了する。
【0054】
S105にて渋滞区間20が存在しないと判定された場合(S105:NO)、S107として、渋滞分析部121は、渋滞区間20の渋滞が解消されたことを示す情報を出力装置112(例えばディスプレイ装置)に表示し、通常時の制御情報を信号機13に送信する。そして、本処理は終了する。
【0055】
図5は、
図4に示す渋滞区間の選択処理の一例を示すフローチャートである。すなわち、
図5に示す処理は、
図4のS104の処理の詳細に相当する。
【0056】
S201として、信号機制御部122は、最も優先的に渋滞解消すべき区間20を、渋滞解消の対象区間20として選択する。例えば、信号機制御部122は、区間渋滞レベルが所定の閾値以上(例えばレベル「2」以上)である区間20の中から、過去の統計上、最初に渋滞を解消した場合に交通の流れが最もスムーズになると推定される区間20を、渋滞解消の対象区間20として選択する。
【0057】
S202として、信号機制御部122は、S201にて渋滞解消の対象区間20を選択できたか否かを判定する。例えば、区間渋滞レベルが所定の閾値以上である区間20が存在しない場合(つまり渋滞区間20が存在しない場合)、信号機制御部122は、S201にて最も優先的に渋滞解消すべき区間20を選択できないので、S202の判定結果はNOとなる。
【0058】
S202にて渋滞解消の対象区間20を選択できなかったと判定した場合(S202:NO)、S203として、信号機制御部122は、渋滞解消区間を「無し」とし、
図4のS105以降の処理に戻る。この場合、
図4のS105の判定結果はNOとなる。
【0059】
S202にて渋滞解消の対象区間20を選択できたと判定した場合(S202:YES)、S204として、信号機制御部122は、渋滞解消の対象区間20について所定回数(例えば3回)以上、渋滞解消のための信号機13の制御を実施済みであるか否か判定する。
【0060】
対象区間20の渋滞を解消するために信号機13を制御した回数が所定回数未満である場合(S204:NO)、S205として、信号機制御部122は、渋滞解消区間を「有り」とし、
図4のS105以降の処理に戻る。
【0061】
対象区間20の渋滞を解消するために信号機13を制御した回数が所定回数以上である場合(S204:YES)、S206として、信号機制御部122は、次に優先的に渋滞解消すべき区間20を、渋滞解消の対象区間20として選択する。
【0062】
S207として、信号機制御部122は、S206にて渋滞解消の対象区間20を選択できたか否かを判定する。例えば、最も優先的に渋滞解消すべき区間20の他に、渋滞区間レベルが所定の閾値以上(例えばレベル「2」以上)である区間20が存在しない場合、信号機制御部122は、S206にて次に優先的に渋滞解消すべき区間20を選択できないので、S207の判定結果はNOとなる。
【0063】
S207にて渋滞解消の対象区間20を選択できたと判定した場合(S207:YES)、信号機制御部122は、S206にて選択した対象区間20について、S204以降の処理を行う。
【0064】
S207にて渋滞解消の対象区間20を選択できなかったと判定した場合(S207:NO)、S208として、信号機制御部122は、直進車線3Aの所定の区間20を対象区間20として選択し、渋滞解消区間を「有り」とし、
図4のS105以降の処理に戻る。当該処理は、最も優先的に渋滞解消すべき区間20(例えば右折車線3Cの区間20)の渋滞を解消するために所定回数以上、信号機13を制御したにも関わらず、当該渋滞が解消されず、かつ、次に優先的に渋滞解消すべき区間20が存在しない場合に行われる。このような場合、直進車線3Aにおいて渋滞又は混雑が発生している可能性が高い。そのため、信号機制御部122は、いったんここで、直進車線3Aの所定の区間20を渋滞解消の対象区間20としている。これにより、
図4のS105の判定結果はYESとなり、直進車線3Aの所定の区間20がS106の対象区間20となる。
【0065】
<信号機の制御と渋滞解消の例>
図6は、交差点5の信号機13の制御により右折車線3Cの渋滞が解消される場合を説明するための図である。
【0066】
図6の(a)は、右折車線3Cに、区間渋滞レベル「3」の区間20Fと区間渋滞レベル「2」の区間20Gとが存在し、直進車線3Aに、区間渋滞レベル「1」の区間20Fが存在する場合を示す。
【0067】
この場合、信号機制御部122は、
図5のS201において、最も優先的に渋滞解消すべき区間20を、右折車線3Cの区間渋滞レベル「3」の区間20Fとしてよい。そして、信号機制御部122は、
図4のS106において、交差点5の信号機13に対して、右折許可信号(例えば右矢印信号)の点灯時間を延長する制御情報を送信してよい。これにより、交差点5において右折が可能な時間が延びるので、
図6(b)及び(c)に示すように、右折車線3Cの渋滞は解消され得る。
【0068】
図7は、交差点5の信号機13の制御を所定回数以上行っても右折車線3Cの渋滞が解消されない場合を説明するための図である。
【0069】
図7(a)は、右折車線3Cに、区間渋滞レベル「3」の区間20Fと区間渋滞レベル「2」の区間20Gとが存在し、直進車線3Aに、区間渋滞レベル「1」の区間20Fが存在する場合を示す。
【0070】
この場合、信号機制御部122、
図5のS201において、最も優先的に渋滞解消すべき区間20を、右折車線3Cの区間渋滞レベル「3」の区間20Fとしてよい。そして、信号機制御部122は、
図4のS106において、交差点5の信号機13に対して、右折許可信号の点灯時間を延長する制御を行う。
【0071】
しかし、信号機制御部122が、交差点5の信号機13の右折許可信号の点灯時間を延長する制御を所定回数以上実施しても、
図7(b)及び(c)に示すように、右折車線3Cの渋滞が解消されない場合がある。この場合、
図7(c)に示すように、右折許可信号の点灯時間を延長した分、今度は直進車線3Aにて渋滞が発生し得る。
【0072】
このような場合、
図5のS204の判定結果がYESとなるので、
図5のS206において、次に優先的に渋滞解消すべき区間20は、直進車線3Aの区間渋滞レベル「3」の区間20Hとなってよい。そして、信号機制御部122は、
図4のS107において、交差点5の信号機13に対して、直進許可信号(青信号)の点灯時間を延長する制御を行ってよい。これにより、交差点5において直進が可能な時間が延びるので、
図7の(d)、(e)、(f)に示すように、直進車線3Aの渋滞が解消され得る。
【0073】
そして、
図7(f)において、最も優先的に渋滞解消すべき区間20は、右折車線3Cの区間渋滞レベル「3」の区間20Iとなり、
図7(a)と同様、信号機制御部122は、
図4のS106において、交差点5の信号機13に対して、右折許可信号の点灯時間を延長する制御を行ってよい。
【0074】
図8は、複数の信号機13を連携制御する場合を説明するための図である。
【0075】
図8(a)では、右折車線3Cにおける区間渋滞レベル「3」の区間20Jは、直進車線3Aまで延出していないが、
図8(b)に示すように、右折車線3Cにおける区間渋滞レベル「3」の区間20Iが直進車線3Aまで延出する場合もあり得る。この場合、信号機13Aの交差点5を直進したい車両1は、右折車線3Cから直進車線3Aまで延出している渋滞に阻まれて直進できない。
【0076】
そこで、信号機制御部122は、信号機13Aの交差点5の右折車線3Cに対する右折許可信号の点灯時間を延長すると共に、右折車線3Cに分岐する手前の交差点5に設置されている信号機13Bに対して、停止指示信号(赤信号)の点灯時間を延長する制御を行ってよい。これにより、右折車線3Cに分岐する手前の信号機13Bの交差点5から直進車線3Aに進入する車両1の数が制限されるので、
図8(c)に示すように、右折車線3Cから直進車線3Aに延出している渋滞が解消され得る。
【0077】
図9は、複数の交差点5の複数の信号機13を連携制御する場合を説明するための図である。なお、
図9の例示に限らず、対象となる信号機13の範囲は制限されない。
【0078】
例えば、信号機制御部122は、
図9(a)に示すように、交差点5Aにおける信号機13Aを制御して、交差点5Aにおける車両1の右折、左折及び直進を制御する。
【0079】
ここで、
図9(b)に示すように、交差点5Bから交差点5Aに繋がる直進車線3Aにおいて渋滞区間20が発生したとする(太矢印を参照)。この場合、信号機制御部122は、交差点5Bから交差点5Aに繋がる直進車線3Aの渋滞区間20が解消されるように、交差点5Aの信号機13Aと交差点5Bの信号機13Bとを連携制御してよい(点線枠を参照)。例えば、信号機13Bと信号機13Aの進行許可信号(例えば青信号)の点灯時間を延長する。
【0080】
ここで、
図9(c)に示すように、交差点5Aに繋がる直進車線3A及び右折車線3Cにおいて渋滞区間20が発生したとする(太矢印を参照)。この場合、信号機制御部122は、交差点5Bの信号機13Bと交差点5Aの信号機13Aに加えて、右折の先にある交差点5Cの信号機13Cも連携制御してよい(点線枠を参照)。例えば、信号機13Cの進行許可信号(例えば青信号)、信号機13Aの進行許可信号(例えば青信号)及び右折許可信号(例えば右矢印信号)、並びに、信号機13Cの進行許可信号(例えば青信号)の点灯時間を延長する。
【0081】
ここで、
図9(d)に示すように、交差点5Aに繋がる直進車線3A、右折車線3C及び左折車線3Bにおいて渋滞区間20が発生したとする(太矢印を参照)。この場合、信号機制御部122は、交差点5Bの信号機13Bと交差点5Aの信号機13Aと交差点5Cの信号機13Cとに加えて、左折の先にある交差点5Dの信号機13Dも連携制御してよい(点線枠を参照)。例えば、信号機13Bの進行許可信号(例えば青信号)、信号機13Aの進行許可信号(例えば青信号)、左折許可信号(例えば左矢印信号)及び右折許可信号(例えば右矢印信号)、信号機13Cの進行許可信号(例えば青信号)、並びに、信号機13Dの進行許可信号(例えば青信号)の点灯時間を延長する。
【0082】
なお、信号機制御部122は、車両向けの信号機13に限らず、歩行者向けの信号機も連携対象としてよい。例えば、信号機制御部122は、左折車線3Bに渋滞区間20が存在する場合、左折する車両1が進入する交差点5の歩行者向けの信号機に対して、横断許可信号(例えば青信号)の点灯時間を短縮する制御を行ってよい。これにより、左折車線3Bの車両1がスムーズに左折できるようになり、左折車線3Bの渋滞区間20が解消され得る。
【0083】
以上、添付図面を参照しながら実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても本開示の技術的範囲に属すると了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本開示の技術は、渋滞の検出、及び、信号機の制御に有用である。
【符号の説明】
【0085】
1 車両
2 道路
3 車線
3A 直進車線
3B 左折車線
3C 右折車線
4、4A、4B、4C、4D、4E、4F、4G 地点
5、5A、5B、5C、5D 交差点
10 信号機制御システム
11 センサ
12 車載装置
13、13A、13B、13C、13D 信号機
14 通信ネットワーク
20、20A、20B、20C、20D、20E、20F、20G、20H、20I、20J 区間
100 信号機制御装置
101 プロセッサ
102 メモリ
103 入力I/F
104 出力I/F
105 通信I/F
106 受信部
107 送信部
108 バス
111 入力装置
112 出力装置
121 渋滞分析部
122 信号機制御部