(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-18
(45)【発行日】2024-07-26
(54)【発明の名称】無形資産の価値策定および仮想通貨の発行と分配のための方法、プログラム、およびシステム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/06 20120101AFI20240719BHJP
【FI】
G06Q20/06
(21)【出願番号】P 2022067359
(22)【出願日】2022-04-15
【審査請求日】2022-04-15
(31)【優先権主張番号】10-2021-0192914
(32)【優先日】2021-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0036640
(32)【優先日】2022-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522154054
【氏名又は名称】ノルディ スター インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ビョン イク
【審査官】加舎 理紅子
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-063203(JP,A)
【文献】特開2002-092384(JP,A)
【文献】国際公開第2010/021057(WO,A1)
【文献】特表2013-541056(JP,A)
【文献】特開2001-306859(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2005-0062184(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0121398(KR,A)
【文献】特表2023-501963(JP,A)
【文献】株式会社日本総合研究所先端技術ラボ,NFT(Non-Fungible Token)に関する動向,[online],2021年06月10日,p.4,[令和6年1月30日検索]、インターネット<URL:https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/column/opinion/pdf/12710.pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータシステムで実行される資産価値策定方法であって、
前記資産価値策定方法は、前記コンピュータシステムが含む少なくとも1つのプロセッサにより、
無形資産に該当するコンテンツを前記コンピュータシステムによって提供される資産価値策定システムに最初に登録した第1のユーザに対して、前記資産価値策定システム内に地位情報を記録することによって創作者の地位を付与する段階、
前記コンテンツに対する第1の価値策定金額を前記資産価値策定システムに支払った第2のユーザに対して、前記資産価値策定システム内に前記地位情報を記録することによって価値策定者の地位を付与する段階
、
前記コンテンツに対して前記第1の価値策定金額よりも増額された第2の価値策定金額が第3のユーザによって決定されて前記資産価値策定システムにおいて記録された場合、前記第1のユーザと前記第2のユーザを対象に、前記資産価値策定システムにおいて仮想通
貨で前記増額した金額を分配する段階
、および
前記少なくとも1つのプロセッサにより、前記第3のユーザによる前記第2の価値策定金額の策定に対するロックアップ時間が経過すれば、前記第2の価値策定金額に値する仮想通貨を前記第3のユーザに返還する段階
を含む、資産価値策定方法。
【請求項2】
前記コンテンツは、原作を変形または加工した2次創作物に該当し、
前記分配する段階は、
前記増額した金額の一部を、前記第2のユーザを対象に分配すること
を特徴とする、請求項1に記載の資産価値策定方法。
【請求項3】
前記価値策定者の地位を付与する段階は、
前記コンテンツに対する最後の価値策定者にハイプ価値策定者の地位を付与する段階
を含む、請求項1に記載の資産価値策定方法。
【請求項4】
前記価値策定者の地位を付与する段階は、
前記コンテンツの以前の価値策定者に対してハイプ価値策定者の地位を剥奪し、以前の価値策定によって支払った金額を返還する段階
をさらに含む、請求項
3に記載の資産価値策定方法。
【請求項5】
前記資産価値策定方法は、
前記少なくとも1つのプロセッサにより、前記ハイプ価値策定者を対象に、前記コンピュータシステムの意思決定権限を有するトークンを支給する段階
をさらに含む、請求項
3に記載の資産価値策定方法。
【請求項6】
前記分配する段階は、
前記ハイプ価値策定者を対象に、前記トークンの保有量に応じて収益の一部を分配すること
を特徴とする、請求項
5に記載の資産価値策定方法。
【請求項7】
前記分配する段階は、
前記ハイプ価値策定者を対象に、前記トークンの保有量と前記ハイプ価値策定者の地位を維持した期間に応じて収益の一部を分配すること
を特徴とする、請求項
5に記載の資産価値策定方法。
【請求項8】
資産価値策定方法をコンピュータに実行させるためにコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されるコンピュータプログラムであって、
前記資産価値策定方法は、
無形資産に該当するコンテンツを前記コンピュータによって提供される資産価値策定システムに最初に登録した第1のユーザに対して、前記資産価値策定システム内に地位情報を記録することによって創作者の地位を付与する段階、
前記コンテンツに対する第1の価値策定金額を前記資産価値策定システムに支払った第2のユーザに対して、前記資産価値策定システム内に前記地位情報を記録することによって価値策定者の地位を付与する段階、
前記コンテンツに対して前記第1の価値策定金額よりも増額した第2の価値策定金額が第3のユーザによって決定されて前記資産価値策定システムにおいて記録された場合、前記第1のユーザと前記第2のユーザを対象に、前記資産価値策定システムにおいて仮想通
貨で前記増額した金額を分配する段階、および
前記第3のユーザによる前記第2の価値策定金額の策定に対するロックアップ時間が経過することにより、前記第3のユーザに前記第2の価値策定金額に値する仮想通貨を返還する段階、
を含む、コンピュータプログラム。
【請求項9】
コンピュータシステムであって、
メモリに含まれるコンピュータ読み取り可能な命令を実行するように構成された少なくとも1つのプロセッサ
を含み、
前記少なくとも1つのプロセッサは、
無形資産に該当するコンテンツを前記コンピュータシステムによって提供される資産価値策定システムに最初に登録した第1のユーザに対して、前記資産価値策定システム内に地位情報を記録することによって創作者の地位を付与する過程、
前記コンテンツに対する第1の価値策定金額を前記資産価値策定システムに支払った第2のユーザに対して、前記資産価値策定システム内に前記地位情報を記録することによって価値策定者の地位を付与する過程、
前記コンテンツに対して前記第1の価値策定金額よりも増額した第2の価値策定金額が第3のユーザによって決定されて前記資産価値策定システムにおいて記録された場合、前記第1のユーザと前記第2のユーザを対象に、前記資産価値策定システムにおいて仮想通
貨で前記増額した金額を分配する過程、および
前記第3のユーザによる前記第2の価値策定金額の策定に対するロックアップ時間が経過することにより、前記第3のユーザに前記第2の価値策定金額に値する仮想通貨を返還する過程
を処理する、コンピュータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の説明は、ICT(Information and Communications Technologies)技術分野においてブロックチェーン基盤の暗号通貨技術に関する。
【背景技術】
【0002】
無形資産の価値の策定において、入札取引による従来の方式の場合は、1次購入後に追加で再販売がなされず、再販売がなされない場合には1次販売に比べて販売価格が下落するというリスクがある。また、相対取引などの方式により、策定された価値の信頼性が低い場合もある。
【0003】
仮想通貨の配布においても、新規発行された仮想通貨の場合は、最大限多くのユーザに多くの通貨が流通されなければならない。エアドロップ(無償支給)、ステーキング、プール預金などのようにユーザに報酬を支給する方式によって流通を拡張しているが、これらはそれぞれ次のような問題を抱えている。
【0004】
エアドロップの場合は、不特定多数に配布されるため、短期間で最大限多くのユーザに達することは可能であるが、通貨自体の使用目的とは関係のない1次的な流通後に、その殆どが市場に売り渡ってしまうというリスクがある。
【0005】
ステーキングやプール預金方式の場合は、脱中央化取引所(Defi)サービスに対する理解に基づいてサービス使用のためのユーザを募ることができるが、殆どの報酬が該当のサービスを使用する一部のヘビーユーザだけに分配されるという短所があり、ユーザの拡大に困難をきたしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
韓国公開特許第10-2014-0137098号公報(データで管理される無形通貨であるビットマネーの生成方法と提供サービスシステム、公開日2014年12月2日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
無形資産の市場価値を適切に策定して、健全な取引市場を形成することができる方法およびシステムを提供する。
【0008】
少額ユーザと高額ユーザの両方の関心事に応じて仮想通貨の分配および報酬に参加することができる方法およびシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
コンピュータシステムで実行される資産価値策定方法であって、前記資産価値策定方法は、前記コンピュータシステムが含む少なくとも1つのプロセッサにより、無形資産に該当するコンテンツを登録したユーザに対して創作者(Creator)の地位を付与する段階、前記少なくとも1つのプロセッサにより、前記コンテンツに対する価値策定金額を支払ったユーザに対して価値策定者(Valuator)の地位を付与する段階、および前記少なくとも1つのプロセッサにより、前記コンテンツに対して前記価値策定金額として以前の価値策定よりも増額した金額を、前記創作者の地位を有するユーザと前記コンテンツの価値策定に寄与したユーザを対象に分配する段階を含む、資産価値政策方法を提供する。
【0010】
一側面によると、前記資産価値策定方法は、前記少なくとも1つのプロセッサにより、価値策定に対するロックアップ(Lock-up)時間が経過すれば、前記価値策定者の地位を有するユーザに前記価値策定金額を返還し、前記価値策定金額に値する仮想通貨を発行する段階をさらに含んでよい。
【0011】
他の側面によると、前記コンテンツは、原作を変形または加工した2次創作物に該当し、前記分配する段階は、前記増額した金額の一部を前記原作の価値策定に寄与したユーザを対象に分配してよい。
【0012】
また他の側面によると、前記価値策定者の地位を付与する段階は、前記コンテンツに対する最後の価値策定者にハイプ価値策定者(Hype-Valuator)の地位を付与する段階を含んでよい。
【0013】
また他の側面によると、前記価値策定者の地位を付与する段階は、前記コンテンツの以前の価値策定者に対して、ハイプ価値策定者の地位を剥奪し、以前の価値策定で支払った金額を返還する段階をさらに含んでよい。
【0014】
また他の側面によると、前記資産価値策定方法は、前記少なくとも1つのプロセッサにより、前記ハイプ価値策定者の地位を有するユーザを対象に、前記コンピュータシステムの意思決定権限をもつトークンを支給する段階をさらに含んでよい。
【0015】
また他の側面によると、前記分配する段階は、前記ハイプ価値策定者の地位を有するユーザを対象に、前記トークンの保有量に応じて収益の一部を分配してよい。
【0016】
さらに他の側面によると、前記分配する段階は、前記ハイプ価値策定者の地位を有するユーザを対象に、前記トークンの保有量と前記ハイプ価値策定者の地位を維持した期間に応じて収益の一部を分配してよい。
【0017】
資産価値策定方法をコンピュータに実行させるためにコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されるコンピュータプログラムであって、前記資産価値策定方法は、無形資産に該当するコンテンツを登録したユーザに対して創作者の地位を付与する段階、前記コンテンツに対する価値策定金額を支払ったユーザに対して価値策定者の地位を付与する段階、価値策定に対するロックアップ時間が経過することによって前記価値策定者の地位を有するユーザに前記価値策定金額を返還し、前記価値策定金額に値する仮想通貨を発行する段階、および前記コンテンツに対して前記価値策定金額として以前の価値策定よりも増額した金額を、前記創作者の地位を有するユーザと前記コンテンツの価値策定に寄与したユーザを対象に分配する段階を含む、コンピュータプログラムを提供する。
【0018】
コンピュータシステムであって、メモリに含まれるコンピュータ読み取り可能な命令を実行するように構成された少なくとも1つのプロセッサを含み、前記少なくとも1つのプロセッサは、無形資産に該当するコンテンツを登録したユーザに対して創作者の地位を付与する過程、前記コンテンツに対する価値策定金額を支払ったユーザに対して価値策定者の地位を付与する過程、価値策定に対するロックアップ時間が経過することによって前記価値策定者の地位を有するユーザに前記価値策定金額を返還し、前記価値策定金額に値する仮想通貨を発行する過程、および前記コンテンツに対して前記価値策定金額として以前の価値策定よりも増額された金額を、前記創作者の地位を有するユーザと前記コンテンツの価値策定に寄与したユーザを対象に分配する過程を処理する、コンピュータシステムを提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明の実施形態によると、無形資産の価値に対する測定を行うだけで実質的な取引は行わない方式により、手持ちおよび再販売に対するリスクはもちろん、対象の価値下落に対するリスクを最小化することができる。
【0020】
本発明の実施形態によると、少額ユーザと高額ユーザの両方の関心事に応じて仮想通貨の分配および報酬に持続的に参加できるようにし、該当の通貨のネットワークが活性化するような生態系を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態における、コンピュータシステムの内部構成の一例を説明するためのブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態における、コンピュータシステムが実行することのできる方法の一例を示したフローチャートである。
【
図3】本発明の一実施形態における、無形資産脱中央化システムを示した構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照しながら詳しく説明する。
【0023】
本発明の実施形態は、ブロックチェーン基盤の暗号通貨技術に関する。
【0024】
本明細書で具体的に開示される事項を含む実施形態は、無形資産の適市場価値を適切に策定することで健全な取引市場を形成することができ、少額ユーザと高額ユーザの両方の関心事に応じて仮想通貨の分配および報酬に持続的に参加することができる。
【0025】
図1は、本発明の一実施形態における、コンピュータシステムの例を示したブロック図である。例えば、本発明の実施形態に係る資産価値策定システムは、
図1に示したコンピュータシステム100によって実現されてよい。
【0026】
図1に示すように、コンピュータシステム100は、本発明の実施形態に係る資産価値策定方法を実行するための構成要素として、メモリ110、プロセッサ120、通信インタフェース130、および入力/出力インタフェース140を含んでよい。
【0027】
メモリ110は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、RAM(random access memory)、ROM(read only memory)、およびディスクドライブのような永続的大容量記録装置を含んでよい。ここで、ROMやディスクドライブのような永続的大容量記録装置は、メモリ110とは区分される別の永続的記録装置としてコンピュータシステム100に含まれてもよい。また、メモリ110には、オペレーティングシステムと、少なくとも1つのプログラムコードが記録されてよい。このようなソフトウェア構成要素は、メモリ110とは別のコンピュータ読み取り可能な記録媒体からメモリ110にロードされてよい。このような別のコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、フロッピー(登録商標)ドライブ、ディスク、テープ、DVD/CD-ROMドライブ、メモリカードなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体を含んでよい。他の実施形態において、ソフトウェア構成要素は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体ではない通信インタフェース130を通じてメモリ110にロードされてもよい。例えば、ソフトウェア構成要素は、ネットワーク160を介して受信されるファイルによってインストールされるコンピュータプログラムに基づいてコンピュータシステム100のメモリ110にロードされてよい。
【0028】
プロセッサ120は、基本的な算術、ロジック、および入出力演算を実行することにより、コンピュータプログラムの命令を処理するように構成されてよい。命令は、メモリ110または通信インタフェース130によって、プロセッサ120に提供されてよい。例えば、プロセッサ120は、メモリ110のような記録装置に記録されたプログラムコードにしたがって受信される命令を実行するように構成されてよい。
【0029】
通信インタフェース130は、ネットワーク160を介してコンピュータシステム100が他の装置と互いに通信するための機能を提供してよい。一例として、コンピュータシステム100のプロセッサ120がメモリ110のような記録装置に記録されたプログラムコードにしたがって生成した要求や命令、データ、ファイルなどが、通信インタフェース130の制御にしたがってネットワーク160を介して他の装置に伝達されてよい。これとは逆に、他の装置からの信号や命令、データ、ファイルなどが、ネットワーク160を経てコンピュータシステム100の通信インタフェース130を通じてコンピュータシステム100に受信されてよい。通信インタフェース130を通じて受信された信号や命令、データなどは、プロセッサ120やメモリ110に伝達されてよく、ファイルなどは、コンピュータシステム100がさらに含むことのできる記録媒体(上述した永続的記録装置)に記録されてよい。
【0030】
通信方式が限定されることはなく、ネットワーク160が含むことのできる通信網(一例として、移動通信網、有線インターネット、無線インターネット、放送網)を利用する通信方式だけではなく、機器間の近距離無線通信が含まれてもよい。例えば、ネットワーク160は、PAN(personal area network)、LAN(local area network)、CAN(campus area network)、MAN(metropolitan area network)、WAN(wide area network)、BBN(broadband network)、インターネットなどのネットワークのうちの1つ以上の任意のネットワークを含んでよい。さらに、ネットワーク160は、バスネットワーク、スターネットワーク、リングネットワーク、メッシュネットワーク、スター-バスネットワーク、ツリーまたは階層的ネットワークなどを含むネットワークトポロジのうちの任意の1つ以上を含んでもよいが、これらに限定されることはない。
【0031】
入力/出力インタフェース140は、入力/出力装置150とのインタフェースのための手段であってよい。例えば、入力装置は、マイク、キーボード、カメラ、またはマウスなどの装置を、出力装置は、ディスプレイ、スピーカのような装置を含んでよい。他の例として、入力/出力インタフェース140は、タッチスクリーンのように入力と出力のための機能が1つに統合された装置とのインタフェースのための手段であってもよい。入力/出力装置150は、コンピュータシステム100と1つの装置で構成されてもよい。
【0032】
また、他の実施形態において、コンピュータシステム100は、
図1の構成要素よりも少ないか多くの構成要素を含んでもよい。しかし、大部分の従来技術的構成要素を明確に図に示す必要はない。例えば、コンピュータ装置100は、上述した入力/出力装置150のうちの少なくとも一部を含むように実現されてもよいし、トランシーバ、カメラ、各種センサ、データベースなどのような他の構成要素をさらに含んでもよい。
【0033】
以下では、無形資産の価値策定および仮想通貨の発行と分配のための方法およびシステムの具体的な実施形態について説明する。
【0034】
本実施形態に係るコンピュータシステム100は、クライアントを対象に、クライアント上にインストールされた専用アプリケーションやコンピュータシステム100と関連するウェブ/モバイルサイトへの接続によって無形資産管理サービスである脱中央化取引所(Defi)サービスを提供することができる。コンピュータシステム100には、コンピュータで実現された資産価値策定システムが構成されてよい。一例として、資産価値策定システムは、独立的に動作するプログラム形態で実現されてもよいし、特定のアプリケーションのイン-アプリ(in-app)形態で構成されて前記特定のアプリケーション上で動作が可能なように実現されてもよい。実施形態によっては、資産価値策定システムは、ウェブ/モバイルサイト上でサービス形態で提供されてもよいし、特定のサービスの一部の機能形態で提供されてもよい。
【0035】
コンピュータシステム100のプロセッサ120は、以下の資産価値策定方法を実行するための構成要素によって実現されてよい。実施形態によって、プロセッサ120の構成要素は、選択的にプロセッサ120に含まれても除外されてもよい。また、実施形態によって、プロセッサ120の構成要素は、プロセッサ120の機能の表現のために分離されても併合されてもよい。
【0036】
このようなプロセッサ120およびプロセッサ120の構成要素は、以下の資産価値政策方法に含まれる段階を実行するようにコンピュータシステム100を制御してよい。例えば、プロセッサ120およびプロセッサ120の構成要素は、メモリ110が含むオペレーティングシステムのコードと、少なくとも1つのプログラムのコードとによる命令(instruction)を実行するように実現されてよい。
【0037】
ここで、プロセッサ120の構成要素は、コンピュータシステム100に記録されたプログラムコードが提供する命令にしたがってプロセッサ120によって実行される、互いに異なる機能(different functions)の表現であってよい。
【0038】
プロセッサ120は、コンピュータシステム100の制御と関連する命令がロードされたメモリ110から必要な命令を読み取ってよい。この場合、前記読み取られた命令は、プロセッサ120が以下で説明する段階を実行するように制御するための命令を含んでよい。
【0039】
以下で説明する資産価値策定方法に含まれる段階は、図に示したものとは異なる順序で実行されてもよいし、段階のうちの一部が省略されたり追加の過程がさらに含まれたりしてもよい。
【0040】
図2は、本発明の一実施形態における、コンピュータシステムが実行することのできる方法の一例を示したフローチャートである。
【0041】
図2を参照すると、段階210で、プロセッサ120は、ユーザが自身の創作物を最初に登録すれば、該当の創作物の最初の価値を一定の価値に策定し、最初に創作物を登録したユーザに対して創作者(Creator)の地位を付与する。創作物は、価値策定が可能な知的財産権保護対象を含んでよく、原作を変形または加工したコンテンツ(例えば、原曲を編曲したカバー曲、スポーツ中継権、既存のゲーム要素を変形して作成した2次創作コンテンツであるMODなど)を含んでよい。コンピュータシステム100に創作物を登録したユーザは、コンピュータシステム100によって創作者地位が永続的に保障されてよい。コンピュータシステム100に登録された無形資産は、変形あるいは加工が可能であり、変形または加工された2次創作物も他のユーザによって下位登録が可能である。
【0042】
段階220で、プロセッサ120は、増額した価値策定および新規価値策定者にハイプ価値策定者(Hype-Valuator)の地位およびガバナンストークン(governance token)を付与してよい。ユーザは、登録されている無形資産に対し、既存の価値から特定の割合/金額が増額された金額(a)だけで価値策定を行ってよい。価値策定が繰り返される中で、最高価値(N+a)によって最後の価値策定を行ったユーザが該当の金額を支払えば、そのユーザは即時にハイプ価値策定者としての地位を有するようになり、コンピュータシステム100内の主要意思決定に対する権限を有することのできるトークンが付与される。このとき、以前のハイプ価値策定者はハイプ価値策定者の地位を失い、他の既存の価値策定者と同じように価値策定者の地位を得るようになり、本人が支払った以前の価値策定金額(N)は返済される。創作者は、創作者固有の権限により、増額した金額(a)よりも少ない一部金額(b)を受け取る。増額した金額(a)から創作者に返還された金額(b)を除いた残りの金額は、上位ノードのハイプ価値策定者(原作の最後の価値策定者)、該当のノードの価値策定者(=意思決定権限トークンの所有者)に分配される。
【0043】
段階230で、プロセッサ120は、価値策定が完了した資産のロックアップ(Lock-up)時間が経過すれば、財団がハイプ価値策定者に最終価値金額を返還し、最終価値金額に値する仮想通貨を発行する。最終価値測定後に一定の時間が経過すれば、ハイプ価値策定者には自身が支払った最終価値測定金額が財団から返済され、財団は最終価値測定金額と同じ金額に値する通貨を追加で発行してよい。
【0044】
創作者が登録するすべての無形資産の価値は、本発明に係る資産価値策定システムで通用する仮想通貨(以下、「BLC(Blue Cluster Token)コイン」とする)で策定されるため、無形資産の最終策定価値に値するだけが追加で発行されてよい。言い換えれば、BLCコインは、創作者の無形資産に対する価値を評価するための仮想通貨として使用され、脱中央化取引所で取引される。ユーザは、無形資産に対する既存の価値よりも一定の割合(例えば、30%)が増額された金額で価値策定を行ってよい。無形資産に対して最後に価値策定を行ったユーザは、策定後すぐにハイプ価値策定者としての地位を有するようになる。以前のハイプ価値策定者は、価値策定者の地位だけを維持するようになり、ハイプ価値策定者の地位は失う。
【0045】
無形資産の価値策定に使用されたBLCコインは、創作者と価値評価者の地位を有するユーザに分配されてよい。
【0046】
例えば、以前のハイプ価値策定者であるユーザBが100$BLC価値として評価した創作者Cの無形資産に対し、ユーザAが130$BLCの価値策定を行った場合、
【0047】
1)ユーザAは、本人のウォレットから、創作者Cの無形資産の価値策定に使用された130$BLCを支払う。ユーザAは新たなハイプ価値策定者となり、ハイプ価値策定者の地位を有するようになる。
【0048】
2)以前のハイプ価値策定者であるユーザBは、創作者Cの無形資産に対するハイプ価値策定者の地位を喪失した後、本人が以前の価値策定に使用した100$BLCが返済される。
【0049】
3)創作者Cは、無形資産に対する創作者固有の権限として、価値策定の差額(130$BLC-100$BLC=30$BLC)のうちの一部である20$BLCを受け取る。
【0050】
4)残りの10$BLCは、創作者Cの無形資産と関連する上位ノードのハイプ価値策定者、創作者Cの無形資産に該当するノードの価値策定者に分配される。
【0051】
5)価値策定に対するロックアップ時間が経過すれば、創作者Cの無形資産に対する価値は130$BLCに確定され、ユーザAは財団から130$BLCを受け取る。財団は、創作者Cの無形資産に対する最終策定価値である130$BLCに値する通貨を追加で発行する。
【0052】
図3は、本発明の一実施形態における、無形資産脱中央化システムを示した構造図である。
【0053】
図3を参照すると、無形資産脱中央化のためのシステム構成要素は、財団301、下位ノード(Block)302、およびスマートコントラクト(smart contract)303を含んでよい。
【0054】
財団301は、無形資産の価値策定および仮想通貨の発行と分配のための全体システムを構成および運営する役割を担う。財団301は、仮想通貨を発行する機能、ガバナンストークンを発行する機能、価値策定が完了した資産のロックアップを解除する機能などを含んでよい。
【0055】
下位ノード302は、資産モジュール、ユーザモジュール、価値モジュール、および取引および地位モジュールを含んでよい。このとき、資産モジュールは、登録された無形資産または追加、変形、再創作された無形資産に関する情報を記録する役割を担う。ユーザモジュールは、ユーザプロフィール(profile)と、ユーザと関連するウォレット情報を記録する役割を担う。価値モジュールは、資産の価値値を計算および記録する役割を担い、取引および地位モジュールは、ユーザが取得あるいは喪失した地位情報および取引内訳を記録する役割を担う。
【0056】
地位情報は、創作者の地位、価値策定者の地位、ハイプ価値策定者の地位に区分されてよい。コンピュータシステム100上の無形資産管理サービスを利用するすべてのユーザは、営利/非営利目的にかかわらず、すべてのリソースを変形、加工、再創造することができ、システム上で創作者としても価値策定者としても活動することができる。創作者とは、無形資産に該当する自信の創作物をシステム内に最初に登録したユーザを意味し、該当の創作物に対する創作者地位を永続的に受けることができる。システムに登録された無形資産は、システム内の方式にしたがって価値策定(valuate)を受けるようになる。価値策定者とは、システムに登録された無形資産に対する価値を策定するユーザを意味し、価値策定に寄与した構成員は価値策定者の地位を永続的に受けることができる。ハイプ価値策定者とは、システムに登録された無形資産の価値を最後に策定したユーザを意味し、他の価値策定者がより高い価値を策定するようになれば、その地位を喪失するようになる。ハイプ価値策定者は、システム内の生態系政策を決定する仮想通貨(以下、「vXA」とする)を取得することができる。価値策定者とハイプ価値策定者は、コンピュータシステム100上の意思決定権限トークンを所有するユーザを意味してよい。
【0057】
スマートコントラクト303は、ブロックチェーンにおいて取引の一定の条件を満たせば、当事者それぞれに自動で取引を締結する役割を担い、仮想通貨発行ロジックモジュール、トークン分配ロジックモジュール、価値策定ロジックモジュール、およびロックアップ時間政策モジュールを含んでよい。このとき、仮想通貨発行ロジックモジュールは、仮想通貨の発行のためのアルゴリズムを含んでよく、トークン分配ロジックモジュールは、トークン分配と関連するアルゴリズムを含んでよい。価値策定ロジックモジュールは、価値策定と関連する予め定義された政策を含んでよく、ロックアップ時間政策モジュールは、価値策定が完了した資産のロックアップ時間に対する政策を含んでよい。
【0058】
vXAトークンは、生態系内の主要意思決定に対する権限を有するトークンであり、ハイプ価値策定者の地位を有するユーザに支給されるトークンである。プロセッサ120は、ハイプ価値策定者のvXAトークンの保有量とハイプ価値策定者の地位を維持した期間のうちの少なくとも1つに基づき、生態系内で発生する収益の一部を価値評価に使用することのできるBLCコイン、またはコンピュータシステム100と連携可能なプラットホーム、例えば、ゲームプラットホームで使用可能な仮想通貨(以下、「rEXOS」とする)などで支給することができる。
【0059】
プロセッサ120は、ゲームプラットホームと関連するすべてのイメージリソース、ソースコードなどを価値策定対象に公開してよい。このとき、ユーザは、公開されたリソースを利用して、無形資産を新たに登録した創作者または登録された無形資産の価値を策定する価値策定者として活動することができる。
【0060】
ゲームプラットホーム内のユーザは、ゲーム内の達成度によってBLCコインやrEXOSなどを取得することができ、rEXOSは、ゲームに必要な行動力を購入したりゲーム取引で財貨として活用したりするなどの用途に使用することができる。
【0061】
プロセッサ120は、ゲームプラットホームの生態系で価値評価に寄与した価値策定者を対象に、ゲームプラットホームの生態系の主要意思決定に対する議決権を有するトークン(以下、「vEXOS」とする)を支給してよい。プロセッサ120は、価値策定者のvEXOSコイン保有量によって、ゲームプラットホームで発生する収益の一部をrEXOSコインなどで支給してよい。
【0062】
このように、本発明の実施形態によると、無形資産の価値に対する測定だけを行って実質的な取引は行わない方式により、手持ちおよび再販売に対するリスクはもちろん、対象の価値下落に対するリスクを最小化することができる。さらに、本発明の実施形態によると、少額ユーザと高額ユーザの両方の関心事に応じて仮想通貨の分配および報酬に持続的に参加するようにし、該当の通貨のネットワークを活性化する生態系を構成することができる。
【0063】
上述した装置は、ハードウェア構成要素、ソフトウェア構成要素、および/またはハードウェア構成要素とソフトウェア構成要素との組み合わせによって実現されてよい。例えば、実施形態で説明された装置および構成要素は、プロセッサ、コントローラ、ALU(arithmetic logic unit)、デジタル信号プロセッサ、マイクロコンピュータ、FPGA(field programmable gate array)、PLU(programmable logic unit)、マイクロプロセッサ、または命令を実行して応答することができる様々な装置のように、1つ以上の汎用コンピュータまたは特殊目的コンピュータを利用して実現されてよい。処理装置は、オペレーティングシステム(OS)およびOS上で実行される1つ以上のソフトウェアアプリケーションを実行してよい。また、処理装置は、ソフトウェアの実行に応答し、データにアクセスし、データを記録、操作、処理、および生成してもよい。理解の便宜のために、1つの処理装置が使用されるとして説明される場合もあるが、当業者であれば、処理装置が複数個の処理要素および/または複数種類の処理要素を含んでもよいことが理解できるであろう。例えば、処理装置は、複数個のプロセッサまたは1つのプロセッサおよび1つのコントローラを含んでよい。また、並列プロセッサのような、他の処理構成も可能である。
【0064】
ソフトウェアは、コンピュータプログラム、コード、命令、またはこれらのうちの1つ以上の組み合わせを含んでもよく、思うままに動作するように処理装置を構成したり、独立的または集合的に処理装置に命令したりしてよい。ソフトウェアおよび/またはデータは、処理装置に基づいて解釈されたり、処理装置に命令またはデータを提供したりするために、いかなる種類の機械、コンポーネント、物理装置、コンピュータ記録媒体または装置に具現化されてよい。ソフトウェアは、ネットワークによって接続されたコンピュータシステム上に分散され、分散された状態で記録されても実行されてもよい。ソフトウェアおよびデータは、1つ以上のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてよい。
【0065】
実施形態に係る方法は、多様なコンピュータ手段によって実行可能なプログラム命令の形態で実現されてコンピュータ読み取り可能な媒体に記録されてよい。ここで、媒体は、コンピュータ実行可能なプログラムを継続して記録するものであっても、実行またはダウンロードのために一時記録するものであってもよい。また、媒体は、単一または複数のハードウェアが結合した形態の多様な記録手段または格納手段であってよく、あるコンピュータシステムに直接接続する媒体に限定されることはなく、ネットワーク上に分散して存在するものであってもよい。媒体の例としては、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、および磁気テープのような磁気媒体、CD-ROMおよびDVDのような光媒体、フロプティカルディスク(floptical disk)のような光磁気媒体、およびROM、RAM、フラッシュメモリなどを含み、プログラム命令が記録されるように構成されたものであってよい。また、媒体の他の例として、アプリケーションを配布するアプリケーションストアやその他の多様なソフトウェアを供給または配布するサイト、サーバなどで管理する記録媒体または格納媒体が挙げられる。
【0066】
以上のように、実施形態を、限定された実施形態および図面に基づいて説明したが、当業者であれば、上述した記載から多様な修正および変形が可能であろう。例えば、説明された技術が、説明された方法とは異なる順序で実行されたり、かつ/あるいは、説明されたシステム、構造、装置、回路などの構成要素が、説明された方法とは異なる形態で結合されたりまたは組み合わされたり、他の構成要素または均等物によって対置されたり置換されたとしても、適切な結果を達成することができる。
【0067】
したがって、異なる実施形態であっても、特許請求の範囲と均等なものであれば、添付される特許請求の範囲に属する。
【符号の説明】
【0068】
301:財団
302:下位ノード
303:スマートコンタクト