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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-18
(45)【発行日】2024-07-26
(54)【発明の名称】二酸化炭素回収システム
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/18 20060101AFI20240719BHJP
   C01B 32/50 20170101ALI20240719BHJP
【FI】
B01D53/18 150
C01B32/50
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022185716
(22)【出願日】2022-11-21
(65)【公開番号】P2024074508
(43)【公開日】2024-05-31
【審査請求日】2023-06-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000149790
【氏名又は名称】株式会社大気社
(73)【特許権者】
【識別番号】305027401
【氏名又は名称】東京都公立大学法人
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】舟里 忠益
(72)【発明者】
【氏名】三堀 顕弘
(72)【発明者】
【氏名】永田 雄二
(72)【発明者】
【氏名】渡部 竜平
(72)【発明者】
【氏名】山添 誠司
(72)【発明者】
【氏名】吉川 聡一
【審査官】太田 一平
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-107203(JP,A)
【文献】特開2018-187585(JP,A)
【文献】特開2021-007917(JP,A)
【文献】特開2013-022514(JP,A)
【文献】特開2018-187536(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/14 - 53/18
C01B 32/00 - 32/991
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収槽内に吸収剤を含有する吸収液を噴射する噴霧手段を有し、気体に含まれる二酸化炭素を前記吸収液に吸収させる吸収動作を行う吸収処理装置と、前記吸収液から前記二酸化炭素を放出させる放出動作を行う放出処理装置と、を備える二酸化炭素回収システムであって、
前記吸収液を洗い流す機能を有する液体を供給する液体供給手段と、
前記吸収動作を停止する場合に、前記液体供給手段から前記噴霧手段に前記液体を供給し、前記噴霧手段から前記液体を噴霧させ制御手段と、
を備えることを特徴とする二酸化炭素回収システム。
【請求項2】
前記吸収処理装置は、前記吸収槽内に、
前記噴霧手段の上方に設けられ、前記噴霧手段により噴霧された前記吸収液を捕集するデミスタ手段と、
前記デミスタ手段の上方に設けられたデミスタ清浄手段と、を更に有し、
前記制御手段
前記吸収動作を停止する場合に、前記液体供給手段から前記デミスタ清浄手段に前記液体を供給し、前記デミスタ清浄手段から前記デミスタ手段へ前記液体を噴させることを特徴とする請求項1に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項3】
前記液体供給手段は、前記吸収動作を停止した後、停止状態が所定時間連続する場合に前記噴霧手段、及び前記デミスタ清浄手段に前記液体を供給し、
前記噴霧手段、及び前記デミスタ清浄手段は、前記液体供給手段から供給された前記液体を噴霧することを特徴とする請求項2に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項4】
複数の配管と、
前記複数の配管の異なる位置に設けられ、ポンプから送出された吸収液の流量を計測する複数の計測手段と、を更に備え
前記制御手段は、
前記複数の計測手段により計測された流量の差分が閾値を超えた配管を清浄対象の配管として特定することを特徴とする請求項2に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項5】
前記制御手段は、二酸化炭素回収システムの運転開始から所定の期間経過毎に、前記清浄対象の配管の特定を行うことを特徴とする請求項4に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項6】
前記複数の配管ごとに計測された前記流量の差分と前記閾値との比較の結果を表示する表示手段を更に備え、
前記制御手段は、前記表示手段に表示された前記複数の配管のうち、入力手段により選択された配管を、追加の清浄対象の配管として特定することを特徴とする請求項4に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項7】
前記制御手段は、前記放出処理装置の放出槽から送出された吸収液が前記特定された配管に流れるように前記複数の配管に設けられた弁の開閉を制御することを特徴とする請求項4に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項8】
前記放出槽から送出された吸収液を加熱する加熱手段を更に備え、
前記加熱手段により加熱された前記吸収液が、前記特定された配管に流されることを特徴とする請求項7に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項9】
前記制御手段は、
前記ポンプの定格流量と、前記ポンプの出口側に設けられた計測手段の計測流量との差分が前記閾値を超えた場合に、前記ポンプの入口側の配管を清浄対象の配管として特定することを特徴とする請求項4に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項10】
前記吸収槽内に貯留された吸収液に含まれる固形物を除去するフィルタと、
前記フィルタを通過した固形物を濾過するストレーナと、を更に有し、
前記ポンプの入口側の配管は、前記フィルタ及び前記ストレーナを通る配管であることを特徴とする請求項9に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項11】
前記吸収槽に貯留された吸収液を所定の温度に冷却する冷却手段を更に有し、前記特定された配管には、
前記冷却手段を通る配管と、
前記冷却手段で冷却された吸収液を前記噴霧手段に供給する配管と、
前記冷却手段で冷却された吸収液を前記デミスタ清浄手段に供給する配管とのうち、少なくともいずれか一つの配管が含まれることを特徴とする請求項4に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項12】
前記吸収槽からの吸収液と放出槽からの吸収液との間で熱交換を行う熱交換器を更に備え、
前記特定された配管には、前記吸収槽側から送出される吸収液が前記熱交換器を通る配管が含まれることを特徴とする請求項4に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項13】
前記制御手段は、
前記噴霧手段から前記液体を噴霧する処理と、
前記放出処理装置の放出槽において、前記吸収液から前記二酸化炭素を放出させる前記放出槽の単独運転と、を並列に行うことを特徴とする請求項1に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項14】
前記制御手段は、
前記噴霧手段から前記液体を噴霧する処理と、
前記吸収処理装置で処理された前記吸収液を、前記吸収槽から前記放出処理装置の放出槽に移送する移送運転と、を並列に行うことを特徴とする請求項1に記載の二酸化炭素回収システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の技術は二酸化炭素回収システムに関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化を抑制する観点で、空気等の気体から二酸化炭素を回収する技術が注目されている。特許文献1には、溶液を加温することにより粘度を低減させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-34014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、吸収剤を含有する吸収液が乾くと、二酸化炭素を吸収した吸収剤の固着物(スケール)が生成され得る。経時的な変化によって固着物が成長すると、吸収液が流れる部位の目詰まりの要因になり得る。吸収液に吸収された二酸化炭素を、安定的に回収するためには、システムの運転において生じ得る目詰まりを未然に防止することが好ましい。
【0005】
上記の課題を鑑みて、本発明は、吸収液に吸収された二酸化炭素を、安定的に回収することが可能な技術の提供を目的とする。そして、本発明の一つの側面は、持続可能な環境の改善および発展に寄与する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の二酸化炭素回収システムは、吸収槽内に吸収剤を含有する吸収液を噴射する噴霧手段を有し、気体に含まれる二酸化炭素を前記吸収液に吸収させる吸収動作を行う吸収処理装置と、前記吸収液から前記二酸化炭素を放出させる放出動作を行う放出処理装置と、を備える二酸化炭素回収システムであって、
前記吸収液を洗い流す機能を有する液体を供給する液体供給手段と、
前記吸収動作を停止する場合に、前記液体供給手段から前記噴霧手段に前記液体を供給し、前記噴霧手段から前記液体を噴霧させ制御手段と、を備える
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、吸収液に吸収された二酸化炭素を、安定的に回収することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る二酸化炭素回収システムの構成例を示す図。
図2】実施形態に係る二酸化炭素回収システムの制御ブロック図。
図3】吸収槽の単独運転を説明する図。
図4】放出槽の単独運転を説明する図。
図5】比例制御弁MV8a,及び弁SV8bの開閉制御の流れを説明する図。
図6】取得量を優先する場合のMV3MV4の開閉制御の流れを説明する図。
図7】濃度を優先する場合のMV3、MV4の開閉制御の流れを説明する図。
図8】濃度及び取得量の双方を優先する場合のMV3、MV4の開閉制御の流れを説明する図。
図9】キャリアガスを供給するためのMV8c,MV8dの開閉制御の流れを説明する図。
図10】第1移送運転(吸収槽から放出槽への移送)を説明する図。
図11】第2移送運転(放出槽から吸収槽への移送)を説明する図。
図12】連続運転を説明する図。
図13】連続運転の変形例を説明する図。
図14】清浄運転における処理の流れを説明する図。
図15】停止時の清浄運転を説明する図。
図16】配管の清浄運転を説明する図(S116)。
図17】配管の清浄運転を説明する図(S113)。
図18】配管の清浄運転を説明する図(S113)。
図19】配管の清浄運転を説明する図(S113)。
図20】吸収槽の清浄運転のタイミングを例示する図。
図21】放出槽の単独運転と並列に行う吸収槽の清浄運転を例示する図。
図22】第1移送運転と並列に行う吸収槽の清浄運転を例示する図。
図23】表示装置の画面表示の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
[システムの概要]
図1は実施形態に係る二酸化炭素回収システム10の構成例を示す図である。二酸化炭素回収システム10は、吸収処理装置100、放出処理装置200及び連携装置300を有する。吸収処理装置100は、吸収槽101において、吸収剤(例えば、アミン系化合物)を含有する吸収液に、気体に含まれる二酸化炭素を吸収させる処理(吸収動作)を行う。吸収処理装置100は、空気中の二酸化炭素だけでなく、有害ガス等から二酸化炭素を吸収することも可能である。放出処理装置200は、放出槽201において、吸収処理装置100の吸収槽101から供給された吸収液から二酸化炭素を放出させる処理(放出動作)を行う。なお、二酸化炭素回収システム10を、単に二酸化炭素回収装置ともいう。
【0011】
連携装置300には、吸収処理装置100と放出処理装置200との間を接続する複数の配管、ポンプP1a、ポンプP2a、熱交換器301が設けられており、連携装置300は吸収処理装置100と放出処理装置200とのインタフェースとして機能する。吸収処理装置100と放出処理装置200とが連携した処理を行う際には、後述する制御装置20は、複数の配管のうち、いずれか一つの配管を選択する。ここで、連携処理には、吸収処理装置100及び放出処理装置200の連続運転、吸収槽101から放出槽201への吸収液の移送運転(第1移送運転)、放出槽201から吸収槽101への吸収液の移送運転(第2移送運転)、所定の間隔で実施する配管の詰まりを防止するための保守運転等が含まれる。
【0012】
図1において、P1,P1a,P2,P2a,及びP3はポンプを示し、Fはファンを示す。SVi(i=1,1a,1b,1c,...)は弁の開(ON)、閉(OFF)を制御可能な弁(ソレノイド弁)を示し、MVi(i=1,2,3,,...)は弁の開度を制御可能な比例制御弁を示し、FM1,FM2及びFM3は、流量計を示す。また、図1において、配管は経路の途中で省略して図示されており、CNi(i=1,2,3,4)は、省略した配管の接続点を示す。例えば、連携装置300において接続点CN3から出力される吸収液は、放出処理装置200における接続点CN3に入力されることを示す。図1において、矢印線は配管内を流れる吸収液が流れる方向を示すものである。他の接続点CN1,CN2,CN4も同様である。i
【0013】
[制御装置20]
図2は実施形態に係る二酸化炭素回収システム10の制御ブロック図である。制御装置20は、処理部21(プロセッサ)と、インタフェース部22と、記憶部23とを備えている。処理部21は、二酸化炭素回収システム10による動作を実行するための汎用集積回路である。処理部21は、例えば中央演算装置(CPU)によって構成されてもよい。処理部21は、記憶部23に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、各種処理を実行する。記憶部23には、各種運転モードに応じた制御情報が記憶されており、処理部21は、制御情報に基づいて各種運転モードに応じた処理を実行する。
【0014】
インタフェース部22は、二酸化炭素回収システム10に含まれる、各種のセンサ群28、及びデバイス群29のインタフェースであり、処理部21(プロセッサ)は、インタフェース部22を介してセンサ群28から取得した情報に基づいて、デバイス群29を制御する。ここで、センサ群28には、第1濃度検出部121、第2濃度検出部122、第3濃度検出部209、取得量検出部210(収量検出部)、第1液面検出部131、第2液面検出部208、第1流量計FM1、第2流量計FM2、及び第3流量計FM3が含まれる。
【0015】
また、デバイス群29には、弁SVi(i=1,1a,1b,1c,...)、比例制御弁MVi(i=1,2,3,...)、ファンF、液体供給装置132、冷却装置133、ポンプPi(i=1,1a,2,2a,3)、加熱装置206及びキャリアガス供給装置207が含まれる。以下、弁SVi(i=1,1a,1b,1c,...)の全体を示すときは、単に弁SViと示し、比例制御弁MVi(i=1,2,3,...)の全体を示すときは、単に比例制御弁MViと示す。また、ポンプPi(i=1,1a,2,2a,3)の全体を示すときは、単にポンプPiと示す。
【0016】
記憶部23は、二酸化炭素回収システム10の動作に使用される情報や、ソフトウェア、各種検出部で検出された情報と比較するための基準値(閾値)を記憶するための装置である。記憶部23は、ハードディスクドライブ(HDD)やソリッドステートドライブ(SSD)によって構成されてもよい。
【0017】
通信部24は、各種情報を無線で送受信する。通信部24は、制御装置20が外部の装置(例えば、ルータや基地局)と通信するための装置である。通信部24は、例えばネットワークカードで構成されてもよい。通信部24は、セルラー通信などをサポートしてもよい。
【0018】
制御装置20は通信部24を介して、吸収処理装置100、放出処理装置200、二酸化炭素回収システム10の動作状態を外部の装置に送信することができる。これにより、二酸化炭素回収システム10のユーザは、遠隔地において、ユーザの情報端末装置により、二酸化炭素回収システム10の動作状態を確認することができる。二酸化炭素回収システム10を複数の拠点に設置した場合に、複数の拠点の二酸化炭素回収システム10の動作状態を集中的に管理することができる。
【0019】
入力装置25は、二酸化炭素回収システム10を操作するユーザからの入力を受け付ける装置であり、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル形式のデバイスであってもよい。
【0020】
表示装置26は、二酸化炭素回収システム10の動作状態をユーザに提示する装置である。処理部21は、表示制御部として機能し、例えば、二酸化炭素の取得量や取得した二酸化炭素の濃度等、センサ群28における各種のセンサ情報を表示装置26に提示する。あるいは、取得(回収)された二酸化炭素の量を目標値に対する進捗情報として提示してもよい。
【0021】
また、処理部21は、二酸化炭素回収システム10の始動開始から取得されたセンサ情報の推移に基づいて、目標値に到達するまでに要する残りの時間を推定し、推定した時間を表示装置26に提示してもよい。入力装置25及び表示装置26は、二酸化炭素回収システム10の小型化のために一体化した装置として構成してもよい。また、ユーザは、遠隔地において、情報端末装置から操作指示を無線で送信してもよい。通信部24は、情報端末装置から無線で送信された操作指示を受信し、処理部21は、受信した操作指示に基づいた処理を行う。
【0022】
[吸収処理装置100]
(吸収槽101)
吸収槽101は、吸収剤(例えば、アミン系化合物)を含有する吸収液に気体中の二酸化炭素を吸収させる処理を行うための容器である。吸収槽101の下部には、吸収液を貯留する貯液部113が設けられている。
【0023】
吸収槽101の形状は特に限定されないが、貯液部113の吸収液や、槽内に拡散されたミストが外部に漏洩しないように閉塞された空間を構成するものであればよい。例えば、筒状形状であっても、直方体形状であってもよい。また、貯液部113から吸収液を排出しやすいように、貯液部113が下方に向かって漸次、径または幅がロート状(テーパ状)に縮小するようにしてもよい。
【0024】
貯液部113の液面の高さは、第1液面検出部131により電気的に検出され、検出結果は制御装置20に入力される。液面の高さが所定値より下がった場合に、制御装置20は液体供給装置132及び弁SV1a(閉じ→開く)を制御して、貯液部113に液体を補給する。
【0025】
また、貯液部113の液面の高さは、ボールタップ114(浮き)により機械的に管理されている。ボールタップ114は機械的な連結機構により弁Vと連結されている。ボールタップ114の位置の変化に応じて弁Vの開度も変化する。貯液部113の液面の高さの低下により、ボールタップ114の位置が下がると弁Vは開き、貯液部113の液面の高さの上昇により、ボールタップ114の位置が上がると、弁Vは閉じるように構成されている。弁Vと液体供給装置132とは機械的に連結されており、液体供給装置132は、弁Vの開度に応じて液体の供給を行う。貯液部113の液面の高さを、電気的及び機械的により検出することで、液面の高さ管理の信頼性を向上させることができる。
【0026】
(点検扉102)
点検扉102は、吸収槽101の外壁の開口部に設けられている。点検扉102を開いた状態で、ユーザは、吸収槽101の内部の点検、清掃、部品の交換等の保守作業を行うことが可能である。点検扉102の一部は透明の部材で構成されており、点検扉102を閉じた状態で、ユーザは透明の部材を介して吸収槽101の内部の状態(噴霧状態など)を視認することができる。点検扉102は、一つに限られず、異なる方向から保守作業や内部の視認ができるように複数の点検扉102を設けてもよい。
【0027】
(フィルタ103)
フィルタ103は、吸収槽101の外壁の開口部に設けられている。ファンFが動作すると、吸収槽101の内部は負圧になり、フィルタ103を介して気体が吸収槽101の内部に取り込まれる。気体がフィルタ103を通過することにより、気体に含まれている塵埃が除去される。フィルタ103は、一方向に限られず、吸収槽101の複数の方向から気体を取り込めるように複数方向においてフィルタ103を設けてもよい。
【0028】
(第1濃度検出部121、第2濃度検出部122)
第1濃度検出部121は、気体(処理前気体)に含まれる二酸化炭素の濃度を検出するセンサであり、第1濃度検出部121により検出された検出結果は制御装置20に入力される。第2濃度検出部122は、吸収槽101から排出される処理済の気体(処理気体)を排出するための配管またはダクトRT_OUT1に設けられ、処理気体に含まれる二酸化炭素の濃度を検出するセンサである。第2濃度検出部122により検出された検出結果は制御装置20に入力される。配管またはダクトRT_OUT1を以下、排気経路RT_OUT1ともいう。
【0029】
(槽内スクリーン115、ストレーナ116)
槽内スクリーン115は、例えば、網目状、またはスリット状に構成され、貯液部113の吸収液に含まれる粒状固形物を除去するフィルタである。
【0030】
また、ストレーナ116は、吸収槽101の外部に設けられ、槽内スクリーン115を通過した固形物を濾過する。固形物除去機構として、槽内スクリーン115及びストレーナ116を設けることにより、配管(経路)内に固形物が混入することを防止することができる。
【0031】
(ポンプP1)
ポンプP1は、弁SV4から入力される吸収液、または、接続点CN4から入力される吸収液を所定のポンプ圧で圧送(送出)する。制御装置20はポンプP1の動作を制御することが可能である。
【0032】
(液体供給装置132)
液体供給装置132は、二酸化炭素(CO)を吸収する吸収剤の溶媒や洗浄剤など洗浄機能のある液体等(以下、総称して、液体という)を供給する装置であり、液体の供給源に接続して液体を供給してもよいし、液体タンクを設けて、液体タンクから液体を供給することも可能である。液体供給装置132は、弁SV1a(開)を介して貯液部に液体を供給する。なお、液体供給装置132が供給する液体は水であってもよい。
【0033】
液体供給装置132は、弁SV1c(開),弁SV2a(開)(弁SV3(閉))を介して、第1噴霧部111に液体を供給する。また、液体供給装置132は、弁SV1c(開)を介して、第2噴霧部112に液体を供給する。
【0034】
また、液体供給装置132は、接続点CN1、弁SV1b(開)を介して、デミスタ清浄部104に液体を供給する。
【0035】
(冷却装置133)
冷却装置133は、ポンプP1から送出された吸収液を所定の温度になるように冷却して出力する。吸収液は、液体の蒸発により気化熱で冷却される一方、二酸化炭素の吸収熱で加熱される。冷却装置133は、吸収液の液温を検出し、検出した液温が所定の温度を超える場合には、所定の温度より低くなるように吸収液を冷却する。一方、吸収液の液温が所定の温度を超えない場合には、冷却装置133は、冷却を行わずにポンプP1から送られた吸収液を出力する。
【0036】
(噴霧部(第1噴霧部111、第2噴霧部112))
噴霧部は、複数のバンク(段)を有する。図1に示す例では、噴霧部が2段の構成を例示しているが、この例に限定されるものではない。2段構成の噴霧部を、第1噴霧部111、第2噴霧部112とする。
【0037】
第1噴霧部111、及び第2噴霧部112は、それぞれ、少なくとも一つのノズルを有する。図面では、第1噴霧部111及び第2噴霧部112は、1列の構成を例示しているが、この構成に限られず、二次元的(紙面に対して垂直方向)に複数列設けてもよい。また、第1噴霧部111及び第2噴霧部112は、上下方向に2段の構成を例示しているが、この構成に限られず、更に段数を増やした構成にしてもよい。
【0038】
(第1デミスタ105)
第1デミスタ105は、第1噴霧部111及び第2噴霧部112の上方に設けられている。第1デミスタ105は、例えば、金網、多孔板等の網状または多孔質の部材を使用することが可能である。第1デミスタ105は、吸収槽101内に噴霧されたミストのうち、貯液部113に戻らずに吸収槽101の上方を浮遊した状態のミストを捕集する。
【0039】
(デミスタ清浄部104)
デミスタ清浄部104は、第1デミスタ105の上方に設けられており、少なくとも一つのノズルを有する。図面では、デミスタ清浄部104は、1列の構成を例示しているが、この構成に限られず、二次元的(紙面に対して垂直方向)に複数列設けてもよい。デミスタ清浄部104は、液体を噴霧して第1デミスタ105を洗浄する。デミスタ清浄部104から噴霧される液体は、第1デミスタ105を洗浄するともに、貯液部113に補給される。
【0040】
制御装置20は、弁SV1bを開状態に制御し、液体供給装置132を制御して、液体を供給または補給させる。間欠的に供給または補給を行う場合、制御装置20は、所定のタイミングで弁SV1bの開閉を行うように制御すればよい。間欠的に供給または補給を行う場合、例えば、制御装置20は、弁SV1bを所定の時間、開状態にし、そして、所定時間の経過後に閉状態にする。この開閉制御を交互に繰り返すことにより、間欠的な供給または補給を行うことが可能である。
【0041】
デミスタ清浄部104は、液体供給装置132から供給された液体をノズルから噴霧して、第1デミスタ105を洗浄する。第1デミスタ105により捕集されたミストにおいても吸収剤との反応により二酸化炭素が吸収されており、デミスタ清浄部104からの液体の噴霧により、第1デミスタ105の表面に付着したミスト(二酸化炭素が吸収されたミスト)が貯液部113に戻される。また、第1デミスタ105を洗浄することにより、捕集されたミストの濃度を下げ、局所的な表面乾燥や吸収剤の固着化を防止することができる。
【0042】
(第2デミスタ106)
第2デミスタ106は、第1デミスタ105と同様に、例えば、金網、多孔板等の網状または多孔質の部材を使用することが可能である。第2デミスタ106は、第1デミスタ105を通過したミストや、デミスタ清浄部104から噴霧された液体のミストを捕集する。図面において、第2デミスタ106は、吸収槽101から排出される処理済の気体(処理気体)を排出するための配管(排気経路RT_OUT1)に設けられている。第2デミスタ106は、吸収槽101の外部に設けられているが、この例に限られず、吸収槽101内において、デミスタ清浄部104より上方の位置に設けてもよい。
【0043】
(ファンF)
ファンFは、吸収槽101の内部を負圧にして、気体を吸収槽101に取り込む動力源として機能する。ファンFは、吸収槽101から排出される処理済の気体(処理気体)を排出するための配管(排気経路RT_OUT1)に設けられている。制御装置20はファンFの動作を制御することが可能である。ファンFの出力を制御することにより、フィルタ103を介して吸収槽101に取り込む気体の量(気体量)を調整することができる。
【0044】
第1濃度検出部121により検出された検出結果は、吸収槽101の入力側の二酸化炭素の濃度(Den1)であり、第2濃度検出部122により検出された検出結果は、吸収槽101の出力側の二酸化炭素の濃度(Den2)である。両者の差分濃度(Den1-Den2)は、吸収槽101の内部で二酸化炭素が吸収液に吸収された吸収量を示す指標(パラメータ)となる。
【0045】
制御装置20は、濃度差分と閾値(吸収目標値)との比較により、ファンFの動作を制御して吸収槽101に取り込む気体の量(気体量)を調整する。例えば、濃度差分が閾値より低い場合、制御装置20は、気体量を多くするため、ファンFの出力を増加させるように制御する。一方、濃度差分が閾値以上の場合、制御装置20は、気体量を少なくするため、ファンFの出力を低下させるように制御する。
【0046】
(吸収槽101の単独運転)
図3は吸収槽101の単独運転を説明する図であり、初期状態では、制御装置20は弁SViを閉じた状態にする。吸収槽101の単独運転を行う場合、制御装置20は、弁SV4,SV3,SV2aを開状態に制御し、ポンプP1及びファンFを動作させる。
【0047】
貯液部113から、槽内スクリーン115、ストレーナ116、ポンプP1、冷却装置133を介し、第1噴霧部111、及び第2噴霧部112まで、太線で示す配管RT_iNは、吸収剤(例えば、アミン系化合物)を含有する吸収液が流れる配管である。配管RT_iNを以下、吸収液が流れる吸収経路ともいう。また、吸収槽101の上部から第2デミスタ106及びファンFを介した太線の配管は、吸収槽101から排出される処理済の気体(処理気体)を排出するための配管(排気経路RT_OUT1)である。
【0048】
第1噴霧部111、及び第2噴霧部112は、ポンプP1により送出され、配管RT_iN(吸収経路)から供給された吸収液をミスト状に噴霧する。ファンFの動作により吸収槽101内が負圧になると、気体はフィルタ103を介して吸収槽101の内部に取り込まれる。気体と、吸収剤を含有するミストとの気液接触により、気体に含まれる二酸化炭素と吸収剤とが反応する。これにより、二酸化炭素は吸収剤を含有するミストに吸収され、ミストは貯液部113に戻される。
【0049】
吸収槽101内に噴霧されたミストのうち、貯液部113に戻らずに吸収槽101の上方を浮遊した状態のミストは第1デミスタ105で捕集される。
【0050】
貯液部113に貯液された吸収液は、ポンプP1の動作により配管RT_iN(吸収経路)に取り出(吸引)され、送出される。第1噴霧部111、及び第2噴霧部112は、ポンプP1により送出され、配管RT_iN(吸収経路)から供給された吸収液をミスト状に噴霧する。この処理を循環的に継続することにより、気体に含まれる二酸化炭素が吸収された吸収液を貯液部113に貯留することができる。
【0051】
[放出処理装置200]
(放出槽201)
図4は放出槽201の単独運転を説明するである。放出槽201は、吸収処理装置100の吸収槽101から供給された吸収液から二酸化炭素を放出させる処理を行うための容器である。放出槽201の下部には、二酸化炭素が吸収された吸収液を貯留する貯液部203が設けられている。貯液部203の液面の高さは、第2液面検出部208により電気的に検出され、検出結果は制御装置20に入力される。
【0052】
放出槽201の形状は特に限定されないが、貯液部203の吸収液や、槽内ガスが外部に漏洩しないように閉塞された空間を構成するものであればよい。例えば、筒状形状であっても、直方体形状であってもよい。また、放出槽201から吸収液を排出しやすいように、放出槽201が下方に向かって漸次、径または幅がロート状(テーパ状)に縮小するようにしてもよい。
【0053】
(噴霧部202)
噴霧部202は、貯液部203に貯留された吸収液の液面に向けて、貯液部203から取り出した吸収液を噴霧する。噴霧部202は、放出槽201の内部において貯液部203の上方に設けられ、吸収液を噴霧する少なくとも一つのノズルを有する。
【0054】
吸収液の噴霧により、貯液部203に貯留された吸収液の液面を乱すことにより、放出槽201内の気体と吸収液との接触面積を、噴霧を行わない場合に比べて増やすことができる。接触面積の増加により、放出槽201における吸収液中の二酸化炭素の槽内気体への移動量が増える。
【0055】
放出槽201の内部において、貯液部203の上方の空間における二酸化炭素の濃度(空間中濃度)に比べて、吸収液中の二酸化炭素の濃度(液中濃度)は高い。噴霧により接触面積を増やすことにより、噴霧を行わない場合に比べて、空間中濃度、及び液中濃度の差分(濃度差)を利用しやすくなり、気液平衡が促進され、吸収液中の二酸化炭素の放出が促進される。これにより、貯液部203の吸収液から放出された二酸化炭素は、放出配管RT_OUT2から放出槽201の外部に取り出される。
【0056】
ここで、吸収液の噴霧には、吸収液の吐出(噴射)することが含まれ、ポンプP2の圧力や比例制御弁MV8aの開度を制御することにより、噴霧量を制御することが可能である。
【0057】
貯液部203に貯留された吸収液は、噴霧前の状態では、時間経過で変化しない静的な状態である。
【0058】
また、液面を乱すとは、噴霧前の状態(時間経過で変化しない静的な状態)に対して変化(擾乱)を加えることにより、時間経過で変化する動的な状態にすることをいう。例えば、静的な状態にある波面に対して、噴霧することにより、波紋を生じさせたり、波立たせた状態にすることなどが含まれる。
【0059】
(点検扉205)
点検扉205は、放出槽201の外壁の開口部に設けられている。点検扉205を開いた状態で、ユーザは、放出槽201の内部の点検、清掃、部品の交換等の保守作業を行うことが可能である。点検扉205の一部は透明の部材で構成されており、点検扉205を閉じた状態で、ユーザは透明の部材を介して放出槽201の内部の状態(噴霧状態など)を視認することができる。点検扉205は、一つに限られず、異なる方向から保守作業や内部の視認ができるように複数の点検扉205を設けてもよい。
【0060】
(ポンプP2)
ポンプP2は、放出槽201(貯液部203の取出し口S1)から取り出される吸収液、または、接続点CN3から入力される吸収液を所定のポンプ圧で送出する。ポンプP2が吸収液を送出する配管は、貯液部203から取り出した吸収液を放出槽201に供給する(戻す)ための配管である。
【0061】
図4に示すように、配管は、第1配管RT1、第2配管RT2、第3配管RT3を有する。第1配管RT1は、取出し口S1から接続口S2まで延設された配管である。第1配管RT1の途中には、ポンプP2及び加熱装置206が配置されている。第2配管RT2は、第1配管RT1と接続口S2で接続し、噴霧部202を介して、吸収液を放出槽201に供給する配管である。第1配管RT1の途中にポンプP2及び加熱装置206が配置されているため、ポンプP2により圧送(送出)され、かつ、加熱装置206により加熱された吸収液を第2配管RT2により放出槽201に供給することができる。
【0062】
第3配管RT3は、第1配管RT1から接続口S3で分岐し、噴霧部202を介さず、吸収液を放出槽201に供給する配管である。第1配管RT1の途中にポンプP2及び加熱装置206が配置されているため、ポンプP2により圧送(送出)され、かつ、加熱装置206により加熱された吸収液を第3配管RT3により噴霧部202に供給することができる。
【0063】
第2配管RT2及び第3配管RT3からの吸収液の供給により、加熱装置206により加熱された吸収液が貯液部203に貯液される。
【0064】
(加熱装置206)
加熱装置206は、ポンプP2から送出された吸収液を所定の温度になるように加熱して出力する。所定温度によっては廃熱利用、またはヒートポンプ装置利用、さらには、ヒートポンプの冷却側を冷却装置133で兼ねることによって装置の消費エネルギを抑制できる。
【0065】
(キャリアガス供給装置207)
キャリアガス供給装置207は、二酸化炭素とは異なるガス(以下、キャリアガスともいう)を吸収液に供給する。キャリアガスは、所定の温度に加熱された吸収液中において、吸収液に含まれる二酸化炭素の放出を促進するガスであり、例えば、窒素ガスや空気でもよい。
【0066】
キャリアガス供給装置207は、2つの経路によりキャリアガスを供給することができる。第1の経路として、キャリアガス供給装置207は、第5配管RT5及び第6配管RT6を介して、第1配管RT1を流れる吸収液に対してキャリアガスを供給する。第1配管RT1を流れる吸収液にキャリアガスが供給されることにより、第1配管RT1と接続する第2配管RT2、及び第1配管RT1から分岐した第3配管RT3を流れる吸収液にもキャリアガスは含まれる(供給される)ことになる。
【0067】
キャリアガスが含まれた吸収液が第2配管RT2により供給されると、噴霧部202は、キャリアガスを含む吸収液を、貯液部203に貯留された吸収液の液面に向けて噴霧する。キャリアガスを含む吸収液を液面に向けて噴霧することにより、更に、空間中濃度、及び液中濃度の差分(濃度差)を大きくすることができる。濃度差を大きくすることにより、気液平衡が更に促進され、吸収液中の二酸化炭素の放出が促進される。また、噴霧部202が、キャリアガスを含む吸収液を噴霧することにより、吸収液中に多量のキャリアガスの微細気泡が残存することになる。これにより、吸収液に含まれる二酸化炭素の放出を促進することができる。
【0068】
また、第2の経路として、キャリアガス供給装置207は、第5配管RT5及び第7配管RT7を介して、貯液部203に貯留された吸収液中に配置された分散器204に対してキャリアガスを供給する。
【0069】
(分散器204)
分散器204は、キャリアガス供給装置207から供給されたガスを、貯液部203の吸収液中に分散させる。キャリアガスを、所定の温度に加熱された吸収液中に分散させることにより、キャリアガスと吸収液との接触面積を増やすことができる。これにより、気液平衡が更に促進され、吸収液中の二酸化炭素の放出が促進される。
【0070】
(ポンプP3)
ポンプP3は、放出槽201の内部を負圧にするガスポンプであり、放出槽201の内部の気体を吸引し、吸引した気体を送出する。放出処理装置200には、放出槽201から放出された二酸化炭素が送出される放出配管RT_OUTと、放出配管RT_OUT2から分岐して、放出された二酸化炭素を放出槽201に戻す第4配管RT4とが設けられている。
【0071】
ここで、放出槽201の内部の気体は、貯液部203の吸収液から放出された二酸化炭素やキャリアガスとして供給された窒素ガス等を含有するものである。ポンプP3の動作により放出槽201の内部を負圧にすることで、放出槽201内の気体が外部環境に漏洩することを防止することができる。制御装置20はポンプP2及びP3の動作を制御することが可能である。
【0072】
ポンプP3の出力側(ポンプP3の紙面左側)には、第3濃度検出部209が設けられている。第3濃度検出部209は、放出配管RT_OUT2を流れる気体に含まれる二酸化炭素の濃度を検出し、検出結果は制御装置20に入力される。第3流量計FM3は、放出配管RT_OUT2を流れる気体の流量を計測し、計測結果は制御装置20に入力される。取得量検出部210は、放出配管RT_OUT2を流れる気体に含まれる二酸化炭素の取得量を検出し、検出結果は制御装置20に入力される。
【0073】
(放出槽201の単独運転)
図4において、太線で示す配管が、放出槽201の単独運転で用いる配管である。初期状態では比例制御弁MVi,弁SViは閉じた状態とする。放出槽201の単独運転を行う場合、制御装置20は、弁SV7を開状態に制御し、ポンプP2及びポンプP3を作動させる。弁SV7を開くことにより、貯液部203に貯液された吸収液は、ポンプP2の動作により第1配管RT1に取り出(吸引)され、送出される。
【0074】
(MV8a、SV8bの開閉制御)
制御装置20は、第3濃度検出部209、及び取得量検出部210の検出結果の比較に基づいて、第2配管RT2に設けられた比例制御弁MV8a、及び第3配管RT3に設けられた弁SV8bの開閉を制御する。
【0075】
図5は、比例制御弁MV8a,及び弁SV8bの開閉制御の流れを説明する図である。S51において、制御装置20は、第3濃度検出部209、及び取得量検出部210の検出結果を比較する。
【0076】
S52において、制御装置20は、二酸化炭素の濃度を優先して運転するか、取得量(収量)を優先して運転するかを判定する。濃度優先で運転する場合(S52でYES)、処理をS53に進める。
【0077】
S53において、制御装置20は、第2配管RT2に設けられた比例制御弁MV8aを開く制御(全開にする制御)を行い、かつ、第3配管RT3に設けられた弁SV8bを開く制御を行う。これにより吸収液は、第1配管RT1及び第2配管RT2を介して噴霧部202に供給される。また、吸収液は、第1配管RT1及び第3配管RT3を介して放出槽201の貯液部203に供給される。
【0078】
一方、S52の判定で、取得量(収量)を優先で運転する場合(S52でNO)、処理をS54に進める。
【0079】
S54において、制御装置20は、取得量検出部210の検出結果に基づいて、単位時間あたりの二酸化炭素の取得量を示す放出速度が閾値を超えるか判定する。放出速度が閾値を超える場合(S54でYES)、処理をS55に進める。
【0080】
S55において、制御装置20は、第2配管RT2に設けられた比例制御弁MV8aを閉じる制御(全閉にする制御)を行い、第3配管RT3に設けられた弁SV8bを開く制御を行う。これにより、吸収液は、第1配管RT1及び第3配管RT3を介して放出槽201に供給される。一方、第2配管RT2を介した吸収液の供給は抑制される。
【0081】
S54の判定で、放出速度が閾値以下に低下している場合(S54でNO)、処理をS56に進める。
【0082】
S56において、制御装置20は、第2配管RT2に設けられた比例制御弁MV8aの開度を制御し、第3配管RT3に設けられた弁SV8bを開くように制御する。比例制御弁MV8aの開度は、予定収量に対する取得量(収量)の検出値(実績)の割合(目標達成度合い)に応じて可変に制御することが可能である。例えば、目標達成度合いの低下に従い、比例制御弁MV8aの開度を開き、目標達成度合いの上昇に従い、比例制御弁MV8aの開度を絞るように制御することで、取得量(収量)の検出値を調整してもよい。
【0083】
(取得量を優先する運転モードにおけるMV3、MV4の開閉制御)
取得量を優先する運転モードにおいて、制御装置20は、第3濃度検出部209、及び取得量検出部210の検出結果の比較に基づいて、放出配管RT_OUT2に設けられた比例制御弁MV3、及び第4配管に設けられた比例制御弁MV4の開閉を制御する。
【0084】
図6は、取得量を優先する運転モードにおいて、放出配管RT_OUT2に設けられた比例制御弁MV3、及び第4配管RT4に設けられた比例制御弁MV4の開閉制御の流れを説明する図である。
【0085】
S61において、取得量検出部210は、二酸化炭素の取得量(収量)を検出し、制御装置20は、取得量検出部210から二酸化炭素の取得量の検出結果を取得する。
【0086】
S62において、制御装置20は、取得量検出部210で検出された取得量が、予め設定された予定収量(目標収量)を超えるか否かを判定する。検出された取得量が予定収量を超える場合(S62でYES)、処理をS63に進める。
【0087】
予定収量(目標収量)に到達しており、過剰な放出を抑制するため、S63において、制御装置20は、比例制御弁MV3を閉じる制御(全閉または所定の絞り開度にする制御)を行い、比例制御弁MV4を開く制御(全開または所定の開き開度にする制御)を行う。放出槽201から放出された二酸化炭素が第4配管RT4を介して放出槽201に戻される。これにより、放出槽内201の二酸化炭素の濃度を高くすることができる。
【0088】
一方、S62の判定で、取得量検出部210で検出された取得量が予定収量(目標収量)以下の場合(S62でNO)、処理をS64に進める。
【0089】
予定収量(目標収量)に到達するように、S64において、制御装置20は、比例制御弁MV3を開く制御(全開または所定の開き開度にする制御)を行い、比例制御弁MV4を閉じる制御(全閉または所定の絞り開度にする制御)を行う。これにより、放出槽201から放出された二酸化炭素は放出配管RT_OUT2を介して回収される。S64の後に処理はS61に戻され、同様の処理が繰り返される。
【0090】
(濃度を優先する運転モードにおけるMV3、MV4の開閉制御)
濃度を優先する運転モードにおいて、制御装置20は、第3濃度検出部209、及び取得量検出部210の検出結果の比較に基づいて、放出配管RT_OUT2に設けられた比例制御弁MV3、及び第4配管に設けられた比例制御弁MV4の開閉を制御する。
【0091】
図7は、濃度を優先する運転モードにおいて、放出配管RT_OUT2に設けられた比例制御弁MV3、及び第4配管RT4に設けられた比例制御弁MV4の開閉制御の流れを説明する図である。
【0092】
S71において、第3濃度検出部209は、二酸化炭素の濃度を検出し、制御装置20は、第3濃度検出部209から二酸化炭素の濃度の検出結果を取得する。
【0093】
S72において、制御装置20は、第3濃度検出部209で検出された濃度が、予め設定された予定濃度(目標濃度)を超えるか否かを判定する。検出された濃度が予定濃度を超える場合(S72でYES)、処理をS73に進める。
【0094】
予定濃度(目標濃度)に到達しているため、S73において、制御装置20は、比例制御弁MV3を開く制御(全開または所定の開き開度にする制御)を行い、比例制御弁MV4を閉じる制御(全閉または所定の絞り開度にする制御)を行う。これにより、予定濃度(目標濃度)に到達した二酸化炭素が放出配管RT_OUT2を介して回収される。
【0095】
一方、S72の判定で、第3濃度検出部209で検出された濃度が予定濃度(目標濃度)以下の場合(S72でNO)、処理をS74に進める。
【0096】
予定濃度(目標濃度)に到達するように、S74において、制御装置20は、比例制御弁MV3を閉じる制御(全閉または所定の絞り開度にする制御)を行い、比例制御弁MV4を開く制御(全開または所定の開き開度にする制御)を行う。放出槽201から放出された二酸化炭素が第4配管RT4を介して放出槽201に戻される。これにより、放出槽内201の二酸化炭素の濃度を高くすることができる。S74の後に処理はS71に戻され、同様の処理が繰り返される。
【0097】
(濃度優先で取得量も確保する場合のMV3、MV4の開閉制御)
図8は濃度優先で取得量も確保する場合の比例制御弁MV3、MV4の開閉制御の流れを説明する図である。S81において、第3濃度検出部209は、二酸化炭素の濃度を検出し、制御装置20は、第3濃度検出部209から二酸化炭素の濃度の検出結果を取得する。
【0098】
S82において、制御装置20は、第3濃度検出部209で検出された濃度が予定濃度(目標濃度)を超えるか否かを判定する。S82の判定で、第3濃度検出部209で検出された濃度が予定濃度(目標濃度)以下の場合(S82でNO)、処理をS85に進める。S85では、制御装置20は、図7のS74の処理を行う。S85の後に処理はS81に戻され、同様の処理が繰り返される。
【0099】
一方、S82の判定で、検出された濃度が予定濃度を超える場合(S82でYES)、処理をS83に進める。
【0100】
S83において、取得量検出部210は、二酸化炭素の取得量(収量)を検出し、制御装置20は、取得量検出部210から二酸化炭素の取得量の検出結果を取得する。
【0101】
S84において、制御装置20は、取得量検出部210で検出された取得量が予定収量(目標収量)を超えるか否かを判定する。検出された取得量が予定収量(目標収量)以下の場合(S84でNO)、処理をS86に進める。S86では、制御装置20は、図6のS64の処理を行う。S86の後に処理はS83に戻され、同様の処理が繰り返される。S84の判定で、検出された取得量が予定収量を超える場合(S84でYES)、処理を終了する。
【0102】
(キャリアガスを供給するための比例制御弁MV8c,MV8dの開閉制御)
制御装置20は、第3濃度検出部209および取得量検出部210の検出結果を取得し、二酸化炭素の濃度及び取得量の変化を監視し、キャリアガスを供給するか否かを判定する。また、制御装置20は、供給量を変えるか否かを判定する。
【0103】
比例制御弁MV8cは、分散器204にキャリアガスを供給する第7配管RT7に設けられており、比例制御弁MV8cの開度を制御することにより、分散器204に向けたキャリアガスの供給(供給量)を制御することができる。比例制御弁MV8cを閉じる(全閉)ことにより、分散器204に対するキャリアガスの供給を停止することができる。
【0104】
また、比例制御弁MV8dは、第1配管RT1にキャリアガスを供給する第6配管RT6に設けられており、比例制御弁MV8dの開度を制御することにより、第1配管RT1に向けたキャリアガスの供給(供給量)を制御することができる。比例制御弁MV8dを閉じる(全閉)ことにより、第1配管RT1に対するキャリアガスの供給を停止することができる。
【0105】
図9はキャリアガスを供給するための比例制御弁MV8c,MV8dの開閉制御の流れを説明する図である。S90において、制御装置20は、第3濃度検出部209及び取得量検出部210の検出結果を取得し、濃度及び取得量の変化を監視し、キャリアガスを供給するか否かを判定する。また、制御装置20は、供給量を変えるか否かを判定する。制御装置20は、本ステップの処理を、以降の処理ステップ中において、バックグランドで継続して処理を行う。これにより、濃度及び取得量の変化に即時的に対応した、キャリアガスの供給(供給量)の制御が可能になる。
【0106】
S91において、制御装置20は、分散器204にキャリアガスを供給するか判定し、キャリアガスを分散器204に供給する場合(S91でYES)、処理をS92に進める。
【0107】
S92において、制御装置20は、分散器204にキャリアガスを供給するための比例制御弁MV8cの開度を、第3濃度検出部209及び取得量検出部210の検出結果に基づいて制御する。
【0108】
次に、S93において、制御装置20は、第1配管RT1にキャリアガスを供給するか判定し、キャリアガスを、第1配管RT1に供給する場合(S93でYES)、処理をS94に進める。
【0109】
S94において、制御装置20は、第1配管RT1にキャリアガスを供給するための比例制御弁MV8dの開度を、第3濃度検出部209及び取得量検出部210の検出結果に基づいて制御する。
【0110】
一方、S93において、第1配管RT1にキャリアガスを供給しない場合(S93でNO)、処理をS95に進める。
【0111】
S95において、制御装置20は、第1配管RT1にキャリアガスを供給するための比例制御弁MV8dを閉じるように制御する(全閉状態)。
【0112】
また、S91の判定で、分散器204にキャリアガスを供給しない場合(S91でNO)、処理をS96に進める。S96において、制御装置20は、分散器204にキャリアガスを供給するための比例制御弁MV8cを閉じるように制御する(全閉状態)。
【0113】
次に、S97において、制御装置20は、第1配管RT1にキャリアガスを供給するか判定し、キャリアガスを、第1配管RT1に供給する場合(S97でYES)、処理をS98に進める。
【0114】
S98において、制御装置20は、第1配管RT1を流れる吸収液にキャリアガスを供給するための比例制御弁MV8dの開度を、第3濃度検出部209及び取得量検出部210の検出結果に基づいて制御する。
【0115】
一方、S97において、第1配管RT1にキャリアガスを供給しない場合(S97でNO)、処理をS99に進める。
【0116】
S99において、制御装置20は、第1配管RT1にキャリアガスを供給するための比例制御弁MV8dを閉じるように制御する(全閉状態)。
【0117】
図5図9の処理フローを実行することにより、放出処理装置200は、放出槽201において、吸収処理装置100の吸収槽101から供給された吸収液から二酸化炭素を放出させる処理(回収)を行うことができる。
【0118】
[連携装置300]
連携装置300には、吸収処理装置100と放出処理装置200との間を接続する複数の配管、ポンプP1a、ポンプP2a、熱交換器301が設けられている。
【0119】
熱交換器301には、吸収槽101から放出槽201に吸収液を送出するための配管と、放出槽201から吸収槽101に吸収液を送出するための配管とが通過している。熱交換器301では、吸収槽101からの吸収液と放出槽201からの吸収液との間で熱交換が行われる。放出槽201側から送出される吸収液が熱源になって、吸収槽101側から送出される吸収液が所定の温度まで加熱される。また、吸収槽101側から送出される吸収液が冷熱源になって、放出槽201側から送出される吸収液が所定の温度まで冷却される。
【0120】
ポンプP1aは、熱交換器301を介して、吸収槽101の吸収液を放出槽201に送出(圧送)するためのポンプである。ポンプP2aは、熱交換器301を介して、放出槽201の吸収液を吸収槽101に送出(圧送)するためのポンプである。制御装置20は、ポンプP1a、P2aの他、吸収処理装置100側のポンプP1及び放出処理装置200側のポンプP2を用いて各種の連携運転を行うことが可能である。
【0121】
制御装置20は、吸収処理装置100と放出処理装置200とが連携する連携運転に応じて、連携運転を行うために使用する配管を吸収液が流れるように比例制御弁MVi,弁SVi,ポンプP1a、P1、ポンプP2a、P2を制御する。
【0122】
連携運転には、(a)吸収槽101から放出槽201に吸収液を送出するための第1移送運転、(b)放出槽201から吸収槽101に吸収液を送出するための第2移送運転、(c)二酸化炭素回収システム10の連続運転、(d)配管のつまり防止運転(清浄運転)等が含まれる。
【0123】
ここで、連続運転とは、吸収処理装置100(吸収槽101)の単独運転と、放出処理装置200(放出槽201)の単独運転と、を並列的に行う運転である。吸収処理装置100の単独運転は、図3で説明した吸収槽101の単独運転であり、放出処理装置200の単独運転は、図4で説明した放出槽201の単独運転である。連続運転では、各槽において単独運転を行いつつ、各槽の液面の高さを一定に維持するように各槽の入出力の流量を等しくするような流量制御を行う。
【0124】
(第1移送運転:吸収槽101→放出槽201)
図10は、吸収槽101から放出槽201に吸収液を送出(移送)するための第1移送運転を説明する図であり、初期状態では、制御装置20は弁SViを閉じた状態にする。図10において、太線の配管は、第1移送運転を行う場合に使用する配管(第1移送経路)である。第1移送運転を行う場合、制御装置20は、弁SV4,SV11を開状態に制御し、ポンプP1を動作させる。
【0125】
制御装置20は、第1液面検出部131により検出された吸収槽101の液面の高さが下限の液面の高さに到達した場合、または、第2液面検出部208により検出された放出槽201の液面の高さが上限の液面の高さに到達した場合、第1移送運転を自動終了する。
【0126】
なお、第1移送運転を行う場合にポンプP1aを用いて熱交換器301を経由した移送も可能であるが、熱交換器301を通過するため、移送可能な流量が制限され得る。
【0127】
制御装置20は、移送する吸収液の流量に応じて、ポンプP1を用いて移送する経路、または、ポンプP1aを用いて移送する経路を選択する。例えば、移送する吸収液の流量が閾値を超える場合に、制御装置20は、図10に示すように、ポンプP1を用いて移送する経路を選択する。
【0128】
移送する吸収液の流量が閾値以下の場合に、制御装置20は、弁SV4,SV4a,SV5,比例制御弁MV1を開状態に制御し、ポンプP1aを動作させて、吸収液を放出槽201に移送する経路を選択することも可能である。本実施形態の第1移送運転によれば、予め吸収槽101側で二酸化炭素が吸収された吸収液を、放出槽201側に送り、放出槽201側で放出処理をまとめて実行するバッチ処理が可能になる。例えば、夜間電力を利用して二酸化炭素を消費する植物工場等では、二酸化炭素を夜間に供給することが好ましい。本実施形態の第1移送運転によれば、日中に吸収槽101側で吸収処理を行い、第1移送運転で吸収槽101側から放出槽201側に送り、夜間に放出槽201側で放出処理を行うようなバッチ処理が可能になる。
【0129】
(第2移送運転:放出槽201→吸収槽101)
図11は、放出槽201から吸収槽101に吸収液を送出(移送)するための第2移送運転を説明する図であり、初期状態では、制御装置20は弁SViを閉じた状態にする。図11において、太線の配管は、第2移送運転を行う場合に使用する配管(第2移送経路)である。第2移送運転を行う場合、制御装置20は、弁SV9,SV10,SV3,SV2aを開状態に制御し、ポンプP2、P1及び冷却装置133を動作させる。制御装置20は、第1液面検出部131により検出された吸収槽101の液面の高さが上限の液面の高さに到達した場合、または、第2液面検出部208により検出された放出槽201の液面の高さが下限の液面の高さに到達した場合、第2移送運転を自動終了する。
【0130】
なお、第2移送運転を行う場合にポンプP2aを用いて熱交換器301を経由した移送も可能であるが、熱交換器301を通過するため、移送可能な流量が制限され得る。
【0131】
制御装置20は、移送する吸収液の流量に応じて、ポンプP2を用いて移送する経路、または、ポンプP2aを用いて移送する経路を選択する。例えば、移送する吸収液の流量が閾値を超える場合に、制御装置20は、図11に示すように、ポンプP2を用いて移送する経路を選択する。
【0132】
移送する吸収液の流量が閾値以下の場合に、制御装置20は、比例制御弁MV2,弁SV6,SV10,SV3,SV2aを開状態に制御し、ポンプP2a、P1を動作させて、吸収液を吸収槽101に移送する経路を選択することも可能である。放出槽201側で放出処理済となった吸収液には吸収剤が既に含有されており、二酸化炭素の吸収能力の高いものである。第2移送運転により、放出槽201側から吸収槽101側へ吸収液を移送することにより、吸収槽101において、移送された吸収液を再利用することが可能になる。本実施形態の第2移送運転によれば、二酸化炭素の吸収能力の高い吸収液を再利用することにより、運用コストの低減を図ることが可能になる。
【0133】
(連続運転)
図12は、実施形態に係る連続運転を説明する図であり、初期状態では、制御装置20は弁SViを閉じた状態にする。図12において、太線の配管は、連続運転を行う場合に使用する配管である。
【0134】
吸収槽101への液体の供給を行う場合、制御装置20は、弁SV1bを開状態にして、液体供給装置132を制御して、接続点CN1、弁SV1bを介してデミスタ清浄部104から行う。
【0135】
冷却装置133は、槽内スクリーン115、ストレーナ116、弁SV4を介して、ポンプP1から送出された吸収液の液温を検出し、検出した液温が所定の温度を超える場合には、所定の温度より低くなるように吸収液を冷却する。吸収液の液温が所定の温度を超えない場合には、冷却装置133は、冷却を行わずにポンプP1から送られた吸収液を出力する。
【0136】
第1噴霧部111は、放出槽201側からポンプP2aにより送出され、接続点CN2から供給された吸収液を噴霧する。気体に含まれる二酸化炭素と吸収剤とが反応し、二酸化炭素は吸収剤を含有するミストに吸収される。放出槽201側で二酸化炭素が放出され、吸収能力の高い吸収液を噴霧することにより、二酸化炭素の吸収率を向上させることができる。
【0137】
制御装置20は、放出処理装置200における二酸化炭素の取得量に応じて、熱交換器301を通過する2つの配管における吸収液の流量が所定の流量になるように制御する。2つの配管における吸収液の流量は、第1流量計FM1、第2流量計FM2により計測され、計測結果は制御装置20に入力される。制御装置20は、第1流量計FM1及び第2流量計FM2の計測結果に基づいて、2つの配管における吸収液の流量が所定の流量になるように、比例制御弁MV1,MV2の開度を制御する。
【0138】
放出槽201の貯液部203の液面の高さを一定に維持するように液面の高さを制御する場合、制御装置20は、放出槽201から出力される流量を示す第2流量計FM2により計測される流量と、放出槽201に入力される流量を示す第1流量計FM1により計測される流量と、を等しくするように、比例制御弁MV1,MV2の開度を制御する。連続運転では、各槽において単独運転を行いつつ、各槽の液面の高さを一定に維持するように各槽の入出力の流量を等しくするような流量制御を行う。本実施形態によれば、吸収槽101及び放出槽201に対する入出力の流量を等しくするような流量制御を行うことにより、入出力流量を調整するための貯液部(バッファ)を吸収槽101及び放出槽201の間に別途設けることなく、連続運転を行うことが可能であり、よりコンパクトな構成の二酸化炭素回収システム10を提供することができる。
【0139】
図13は、連続運転の変形例を説明する図である。図13においては、吸収槽101側において、ポンプP1の出口側とポンプP1aの出口側との間に第1バイパス配管RT_BP1と、弁SV12とが更に設けられている。また、放出槽201側において、ポンプP2の出口側とポンプP2aの出口側との間に第2バイパス配管RT_BP2と、弁SV13とが更に設けられている。
【0140】
第1流量計FM1及び第2流量計FM2の計測結果に基づいて、ポンプP1aにより送出される吸収液の流量が、ポンプP2aにより送出される液量に比べて少ない場合、制御装置20は弁SV12を開状態に制御し、ポンプP1から送出される吸収液を、第1バイパス配管RT_BP1を介してポンプP1a側の配管に供給してもよい。
【0141】
また、第1流量計FM1及び第2流量計FM2の計測結果に基づいて、ポンプP2aにより送出される吸収液の流量が、ポンプP1aにより送出される液量に比べて少ない場合、制御装置20は弁SV13を開状態に制御し、ポンプP2から送出される吸収液を、第2バイパス配管RT_BP2を介してポンプP2a側の配管に供給してもよい。
【0142】
ポンプP1a、P2aの送出能力が上限に達し、比例制御弁MV1,MV2の開度制御では、第2流量計FM2により計測される流量と、第1流量計FM1により計測される流量と、を等しくするような流量制御ができない場合が生じ得る。このような場合であっても、第1バイパス配管RT_BP、及び第2バイパス配管RT_BP2のうち、少なくともいずれか一方を用いた吸収液の供給(補充)により、第2流量計FM2により計測される流量と、第1流量計FM1により計測される流量と、を等しくするような流量制御を行うことが可能になる。本変形例においても、吸収槽101及び放出槽201に対する入出力の流量を等しくするような流量制御を行うことにより、入出力流量を調整するための貯液部を吸収槽101及び放出槽201の間に別途設けることなく、連続運転を行うことが可能であり、よりコンパクトな構成の二酸化炭素回収システム10を提供することができる。
【0143】
以上説明したように、実施形態及び変形例により開示される技術によれば、吸収液に吸収された二酸化炭素を、より効率的に回収することが可能になる。
【0144】
(清浄運転)
二酸化炭素回収システム10が運転を停止した後、吸収液が乾くと、例えば、吸収槽101内の噴霧部(第1噴霧部111、第2噴霧部112)や第1デミスタ105には、二酸化炭素を吸収した吸収剤の固着物(スケール)が生成され得る。運転を停止する際の清浄運転では、目詰まりし易い箇所に吸収液が残らないように、噴霧部(第1噴霧部111、第2噴霧部112)及び第1デミスタ105を液体により清浄することにより、吸収剤を洗い流して固着物の生成を抑制する。以下、停止時の清浄運転または吸収槽101の清浄運転ともいう。
【0145】
また、継続的に二酸化炭素回収システム10を運転すると、吸収処理装置及び放出処理装置の間の配管の管壁には吸収剤の固着物が徐々に付着していき、経時的な変化によって固着物が成長すると配管に目詰まりが生じ得る。
【0146】
配管の目詰まりを未然に防止するために、所定期間の経過毎に行う清浄運転では、複数の流量計の計測結果に基づいて、流量の変化(流量の差分)を配管経路の途中で計測する。そして、流量の差分が閾値を超えた配管を清浄対象の配管として特定し、特定した配管に放出槽201側から加熱された液体を流して管壁に付着した固着物を除去する。以下、所定期間毎の清浄運転ともいう。
【0147】
(清浄運転の処理フロー)
図14は、清浄運転における処理の流れを説明する図である。図14のフローチャートにおいて、S101からS103の処理は、停止時の清浄運転(吸収槽101)に対応する処理であり、S110からS116の処理は所定期間毎の清浄運転に対応する処理である。
【0148】
また、図20は、吸収槽101の清浄運転を行う場合のタイミングを例示する図である。ここで、図20の20Aは、連続運転を停止する場合に吸収槽101の清浄運転を行うタイミングを例示する図である。連続運転中においては、各槽において単独運転を行いつつ、各槽の液面の高さを一定に維持するように各槽の入出力の流量を等しくするような流量制御を行う。連続運転の停止後に所定のタイミングで吸収槽101の清浄運転を行う。
【0149】
図20の20Bは、吸収槽101の単独運転を停止する場合に吸収槽101の清浄運転を行うタイミングを例示する図である。吸収槽101の単独運転の停止後に所定のタイミングで吸収槽101の清浄運転を行う。以下、具体的な処理の流れを、図14のフローチャートを参照して説明する。
【0150】
S100では、二酸化炭素回収システム10は運転状態である。二酸化炭素回収システム10の運転状態は、例えば、先に説明した連続運転、または吸収槽101の単独運転のいずれかの運転である。
【0151】
S101において、制御装置20は、二酸化炭素回収システム10の運転を停止するか否かを判定し、運転を停止する場合(S101でYES)、処理をS102に進める。
【0152】
S102において、制御装置20は停止判定後、一定の時間、停止時状態が継続したか判定し、一定の時間が経過するまで待機状態にする(S102でNO)。一定の時間内に運転を再開した場合はS100に処理を戻す。一定の時間の経過後(S102でYES)、処理をS103に進める。時間の計測は処理部21の内部クロックでカウントし、内部クロックのカウント値に基づいて一定の時間の経過後、制御装置20は処理をS103に進める。
【0153】
S103において、制御装置20は、液体供給装置132からの液体の供給により、噴霧部(第1噴霧部111、第2噴霧部112)及び第1デミスタ105を液体により清浄する(吸収槽101の清浄運転)。
【0154】
図15はS103における停止時の清浄運転を説明する図であり、初期状態では、制御装置20は弁SViを閉じた状態にする。図15において、太線の配管は、停止時の清浄運転を行う場合に使用する配管である。
【0155】
制御装置20は、弁SV1c,SV2aを開状態にして、液体供給装置132を制御して、第1噴霧部111、及び第2噴霧部112に液体を供給する。第1噴霧部111、及び第2噴霧部112は液体供給装置132から供給された液体を吸収槽101内に噴霧する。液体の噴霧によりノズルを清浄することにより、残留する吸収剤を含有する吸収液を洗い流して固着物の生成を抑制することができる。
【0156】
また、制御装置20は、弁SV1bを開状態にして、液体供給装置132を制御して、接続点CN1、弁SV1bを介してデミスタ清浄部104に液体を供給する。デミスタ清浄部104は液体供給装置132から供給された液体を第1デミスタ105に噴霧する。第1デミスタ105に液体を噴霧することにより、第1デミスタ105により捕集された、吸収剤を含有する吸収液を洗い流して固着物の生成を抑制することができる。
【0157】
制御装置20は、清浄処理の終了後、処理をS104に進める。S104において、制御装置20は運転を停止させて処理を終了する。
【0158】
(吸収槽の清浄運転を行う場合のタイミングの例示)
図14の処理フローでは、連続運転、または吸収槽101の単独運転のいずれかの運転を停止し、停止状態が継続した場合に(S101でYES、S102でYES)、清浄運転を行う処理(S103)を説明した。この処理例の他、S103の処理は吸収槽101内の処理であるため、S103の清浄運転と、放出槽201の単独運転とを並列に行ってもよい。
【0159】
図21は、連続運転を停止する場合における吸収槽101の清浄運転のタイミングを例示する図である。図21に示すように、連続運転を停止する場合に、放出槽201の単独運転を継続して、吸収槽101の清浄運転と、放出槽201の単独運転と並列に行ってもよい。この場合の放出槽201の単独運転は、図4図9で説明した処理と同様である。放出槽201の単独運転中では、吸収槽101側では運転を行わない空き時間が生じる。吸収槽101側における清浄運転と、放出槽201の単独運転とを並列に行うことにより、吸収槽101側で空き時間となる間に清浄運転を行うことが可能になり、二酸化炭素回収システム10の運用効率を向上させることが可能になる。
【0160】
あるいは、S103の清浄運転と、第1移送運転(吸収槽101→放出槽201)とを並列に行ってもよい。図22は、吸収槽101の単独運転を停止する場合における吸収槽101の清浄運転のタイミングを例示する図である。図22に示すように、吸収槽101の単独運転を停止した後に、第1移送運転(吸収槽101→放出槽201)を行い、その後、放出槽201の単独運転を行ってもよい。吸収槽101の清浄運転と、第1移送運転または放出槽201の単独運転とを並列に行ってもよい。なお、第1移送運転を開始するタイミングは任意であり、図22に示すように、吸収槽101の単独運転の停止後に限られず、吸収槽101の単独運転と並列に第1移送運転を行ってもよい。
【0161】
説明を図14に戻し、S101の判定で、運転を停止しない場合(S101でNO)、処理をS110に進める。
【0162】
S110において、制御装置20は、運転開始から所定期間が経過したか判定する。所定期間の管理は処理部21の内部クロックでカウントし、内部クロックのカウント値を累積した期間を示す累積カウント値を記憶部23に記憶することが可能である。制御装置20は、累積カウント値が所定期間(累積基準時間)を超えたか判定し、累積カウント値が所定期間を超えていない場合(S110でNO)、処理をS100に戻し、同様の処理を繰り返す。
【0163】
一方、S110の判定で、累積カウント値が所定期間を超えた場合(S110でYES)、処理をS111に進める。
【0164】
S111において、配管に設けられた複数の流量計FMiは、運転中における配管経路上での流量FM_OUTiを計測する。複数の流量計FMiは、複数の配管の異なる位置に設けられ、ポンプP1,P1aから送出された吸収液の流量を計測する。
【0165】
図16図19は所定期間毎の清浄運転を説明する図である。図16図19においては、配管経路に設けられた複数の流量計FMi(i=4~10)が追加されている。複数の流量計FMiは、配管を流れる吸収液の流量の変化を配管経路の途中で監視するものである。複数の流量計FMiの配置は例示的なものであり、複数の流量計FMiを配置する位置や配置数はこの例に限られず、種々の変更が変更可能である。また、ポンプP1、P1aからの出力の変化を監視する計測装置は、流量計に限られず、圧力計により配管経路における圧力の変化を監視してもよい。
【0166】
図16図19において、初期状態では、制御装置20は弁SViを閉じた状態にする。太線の配管は、所定期間毎の清浄運転を行う場合において、清浄対象となる配管である。
【0167】
S112において、制御装置は、ポンプの定格流量と、ポンプの出口側に設けられた流量計の計測流量との差分が閾値を超えた場合に、ポンプの入口側の配管を清浄対象の配管として特定する。制御装置20は、ポンプP1の定格流量とポンプ出口の配管流量との差分(差分の絶対値,以下単に差分ともいう)を取得し、取得した差分が閾値以上であるか判定する。例えば、制御装置20は、ポンプP1の定格流量と、第5流量計FM5により計測されたポンプ出口の配管流量F_OUT5との差分を取得する。
【0168】
ポンプ圧と出力される流量とは一定の対応関係があり、制御装置20は、ポンプP1を運転する際のポンプ圧を決めれば、ポンプ圧に基づいて送出される流量(定格流量)を一意に取得することが可能である。ポンプP1,P1aのポンプ圧と流量との対応関係を示すテーブルを予め記憶部23に記憶しておき、制御装置20は、テーブルの参照により定格流量を取得してもよい。
【0169】
定格流量とポンプ出口の配管流量F_OUT5との差分が閾値以上の場合(S112でYES)、制御装置20は処理をS116に進める。差分(定格流量-ポンプ出口の配管流量F_OUT5)が閾値以上の場合とは、ポンプP1の入力側において、定格流量を維持できる吸収液が入力されていない状態であり、この場合、制御装置20はポンプP1の上流側を清浄対象の配管として特定する。
【0170】
なお、ポンプP1に限られず、ポンプP1aの定格流量と第9流量計FM9により計測された配管流量F_OUT9との差分が閾値以上の場合も同様である。この場合、ポンプP1の入口側の第4流量計FM4やポンプP1aの入口側の第8流量計FM8の計測結果を用いて、各ポンプの入口側の流量がポンプの定格流量を維持できる流量に到達しているか否かを判定してもよい。
【0171】
S116において、制御装置20はポンプP1の入力側の配管(槽内スクリーン115及びストレーナ116を含む)を清浄対象の配管として特定する。制御装置20は、放出槽201から送出された吸収液が特定された配管に流れるように複数の配管に設けられた弁の開閉を制御する。加熱装置206により加熱された吸収液が、特定された配管に流される。
【0172】
図16は、S116で特定された清浄対象の配管を清浄する場合の清浄運転を説明する図である。制御装置20は、弁SV9,SV10,SV4を開状態に制御し、ポンプP2を作動状態に制御する。そして、制御装置20は、放出槽201の貯液部203に貯留された吸収液をポンプP2で送出し、加熱装置206で加熱された吸収液を、弁SV9、SV10、接続点CN4、弁SV4を介して、清浄対象の配管として特定された配管、当該配管が通るストレーナ116及び槽内スクリーン115に供給する。放出槽201側から加熱された吸収液を流すことにより、ポンプP1の入力側の配管の管壁に付着した固着物や、ストレーナ116、槽内スクリーン115に付着した固着物を除去し、目詰まりを防止することができる。
【0173】
S116における清浄処理が終了した後、処理はS112に戻される。S112において、定格流量とポンプ出口の配管流量F_OUT5との差分が閾値未満の場合(S112でNO)、制御装置20は処理をS113に進める。S113以降の処理では、配管経路上における流量の変化(配管流量の差分)が閾値以上か否かの判定により、清浄対象の配管を特定し、特定した配管を加熱された液体で清浄する処理を行う。
【0174】
S113において、制御装置20は、配管経路に設けられた複数の流量計FMiにより計測された配管流量FM_OUTiを取得し、配管経路上における流量の変化(差分)を監視する。
【0175】
S114において、制御装置20は、複数の流量計FMiにより計測された流量の差分が閾値を超えたか判定し、流量の差分が閾値を超えていない場合(S114でNO)、処理をS113に戻し、同様の処理を繰り返す。制御装置20は、流量の差分が閾値を超える場合(S114でYES)、処理をS115に進める。
【0176】
S115において、制御装置20は、複数の流量計FMiにより計測された流量の差分が閾値を超えた配管を清浄対象の配管として特定する。すなわち、制御装置20は、配管経路上における流量の変化(差分)が閾値以上の配管を清浄対象の配管として特定する。以上の処理の流れに従い、制御装置20は、二酸化炭素回収システム10の運転開始から所定の期間経過毎に、清浄対象の配管の特定を行う。
【0177】
S116において、制御装置20は、放出槽201から送出された吸収液が特定された配管に流れるように複数の配管に設けられた弁の開閉を制御する。加熱装置206により加熱された吸収液が、特定された配管に流される。
【0178】
図17は、S113~S115で特定された清浄対象の配管を清浄する清浄運転を説明する図である。所定期間毎の清浄運転の一例として、第5流量計FM5及び第6流量計FM6の計測結果を取得し、流量の変化(差分)が閾値以上の場合に、冷却装置133を通る配管経路を清浄対象の配管として特定する例を説明する。
【0179】
制御装置20は、弁SV9,SV10,SV11を開状態に制御し、ポンプP2,P1を作動状態に制御する。そして、制御装置20は、放出槽201の貯液部203に貯留された吸収液をポンプP2で送出し、加熱装置206で加熱された吸収液を、弁SV9,SV10、接続点CN4、ポンプP1を介して、冷却装置133側に供給する。放出槽201側から加熱された吸収液を流すことにより、冷却装置133を通る配管の管壁に付着した固着物や、冷却装置133に付着した固着物を除去し、目詰まりを防止することができる。
【0180】
弁SV11を通過した吸収液は、接続点CN3を介して放出槽201側に戻され、放出槽201の貯液部203から出力される吸収液と合流し、清浄運転において循環的に使用される。清浄運転が終了すると、制御装置20は、ポンプP2を停止させ、ポンプP1で送出した吸収液は、接続点CN3を介して放出槽201の貯液部203に戻される。
【0181】
図18は、S113~S115で特定された清浄対象の配管を清浄する清浄運転を説明する図である。所定期間毎の清浄運転の一例として、第9流量計FM9及び第10流量計FM10の計測結果を取得し、流量の変化(差分)が閾値以上の場合に、熱交換器301を通る配管経路を清浄対象の配管として特定する例を説明する。図18では、熱交換器301を通る配管経路のうち、吸収槽101側から送出される吸収液が冷熱源になる配管経路を清浄対象として特定する例を説明する。
【0182】
制御装置20は、弁SV9、SV10、SV4a、SV5、比例制御弁MV1を開状態に制御し、ポンプP2,P1aを作動状態に制御する。そして、制御装置20は、放出槽201の貯液部203に貯留された吸収液をポンプP2で送出し、加熱装置206で加熱された吸収液を、弁SV9、SV10、接続点CN4、弁SV4a、ポンプP1aを介して、熱交換器301側に供給する。放出槽201側から加熱された吸収液を流すことにより、熱交換器301を通る配管の管壁に付着した固着物や、熱交換器301に付着した固着物を除去し、目詰まりを防止することができる。
【0183】
比例制御弁MV1を通過した吸収液は、接続点CN3を介して放出槽201側に戻され、放出槽201の貯液部203から出力される吸収液と合流し、清浄運転において循環的に使用される。清浄運転が終了すると、制御装置20は、ポンプP2を停止させ、ポンプP1aで送出した吸収液は、接続点CN3を介して放出槽201の貯液部203に戻される。
【0184】
図19は、S113~S115で特定された清浄対象の配管を清浄する清浄運転を説明する図である。所定期間毎の清浄運転の一例として、第6流量計FM6及び第7流量計FM7の計測結果を取得し、流量の変化(差分)が閾値以上の場合に、第1噴霧部111及び第2噴霧部112を通る配管経路を清浄対象の配管として特定する例を説明する。この清浄運転は、吸収槽101の入力側である、第1噴霧部111及び第2噴霧部112のノズルや配管の目詰まりを防止するための清浄運転である。この場合には、吸収槽101の入力側と併せて、吸収槽101の出力側である、槽内スクリーン115、ストレーナ116を通る配管経路(ポンプP1の入力側の配管経路)も清浄対象として特定される。
【0185】
制御装置20は、弁SV9、SV10、SV3、SV2a、SV4を開状態に制御し、ポンプP2,P1を作動状態に制御する。そして、制御装置20は、放出槽201の貯液部203に貯留された吸収液をポンプP2で送出し、加熱装置206で加熱された吸収液を、弁SV9、SV10、接続点CN4、弁SV3を介して、第1噴霧部111、第2噴霧部112に供給する。放出槽201側から加熱された吸収液を流すことにより、第1噴霧部111、第2噴霧部112のノズル内に付着した固着物や、配管経路の管壁に付着した固着物を除去し、目詰まりを防止することができる。
【0186】
ポンプP1の入力側の配管経路にも加熱された液体の一部を流すため、制御装置20は、ポンプP1のポンプ圧P_pres1を、ポンプP2のポンプ圧P_Pres2に比べて低く制御する。ポンプ圧の制御により、接続点CN4を介して供給された吸収液の一部は、ポンプP1に吸引されずに滞留し、ポンプの差圧(P_Pres2-P_pres1)により、弁SV4を介してストレーナ116及び槽内スクリーン115側に流れる。放出槽201側から加熱された吸収液を流すことにより、ポンプP1の入力側の配管の管壁に付着した固着物や、ストレーナ116、槽内スクリーン115に付着した固着物を除去し、目詰まりを防止することができる。
【0187】
なお、清浄運転により吸収槽101内に吸収液を供給する場合には、吸収槽101の貯液部113及び放出槽201の貯液部203の液面の高さを維持するように、制御装置20は、弁SV3とSV11とを交互に開閉するように制御する。放出槽201側に吸収液を戻す場合には、制御装置20は、弁SV3を閉じ、SV11を開き、ポンプP2を停止させる。ポンプP1で送出した吸収液は、接続点CN3を介して放出槽201の貯液部203に戻される。
【0188】
(清浄対象の配管の表示制御)
S113~S115の処理では、制御装置20は、複数の流量計FMiの計測結果に基づいて、流量の変化(差分)が閾値を超える配管を自動的に清浄対象の配管として特定する構成について説明した。制御装置20は、複数の配管のうち、どの配管が清浄対象になっているかをユーザに報知するために、表示装置26の表示を制御することが可能である。
【0189】
図23は表示装置26の画面表示の一例を示す図であり、表示装置26は、複数の配管ごとに計測された流量の差分と閾値との比較の結果を表示する。図23では、流量の差分(dif i)が閾値を超える配管には清浄対象を明示するための識別マークが表示されている。図23の表示例では、識別マークの表示例として「〇」が示されているが、この例に限らず、清浄対象であることを識別可能な表示であればよい。
【0190】
ユーザは、入力装置25の操作により、手動で清浄対象の配管を選択することが可能である。例えば、配管2は、流量の差分dif2が閾値を超えていないため、清浄対象の配管として特定されていないが、ユーザは、入力装置25の操作により、追加の清浄対象として配管2を選択することが可能である。制御装置20は、表示装置26に表示された複数の配管のうち、入力装置25により選択された配管を、追加の清浄対象の配管として特定する。例えば、手動選択により配管2が選択された場合、制御装置20が判定結果に基づいて、自動的に選択した配管1、4と、手動選択により選択された配管2とが、清浄対象の配管として特定される。これにより、制御装置20の判定結果をユーザは視認することが可能になり、ユーザの意図を反映した清浄運転が可能になる。
【0191】
本実施形態の清浄運転によれば、吸収液が流れる部位の目詰まりを未然に防止し、吸収液に吸収された二酸化炭素を、安定的に回収することが可能になる。
【0192】
[その他の実施形態]
また、各実施形態で説明された1以上の機能を実現するプログラムは、ネットワーク又は記憶媒体を介して制御装置に供給され、制御装置のコンピュータにおける1以上のプロセッサは、このプログラムを読み出して実行することができる。このような態様によっても本発明は実現可能である。
【0193】
本発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0194】
10:二酸化炭素回収システム、100:吸収処理装置、200:放出処理装置、201:放出槽、202:噴霧部、203:貯液部、204:分散器、206:加熱装置、207:キャリアガス供給装置、300:連携装置
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