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  • 特許-ステータ及びそれを用いたモータ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-18
(45)【発行日】2024-07-26
(54)【発明の名称】ステータ及びそれを用いたモータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/18 20060101AFI20240719BHJP
   H02K 3/28 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
H02K3/18 P
H02K3/28 M
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020550217
(86)(22)【出願日】2019-09-03
(86)【国際出願番号】 JP2019034631
(87)【国際公開番号】W WO2020071035
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2022-07-04
(31)【優先権主張番号】P 2018187195
(32)【優先日】2018-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】額田 慶一郎
(72)【発明者】
【氏名】玉村 俊幸
(72)【発明者】
【氏名】前田 裕也
【審査官】三島木 英宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-136317(JP,A)
【文献】特開2016-165208(JP,A)
【文献】特開2005-160143(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/18
H02K 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状のヨークと、該ヨークと接続するティースと、板状の導線からなり、前記ティースに装着されたコイルと、を少なくとも備えたステータであって、
該コイルは、
第1端子部と、
前記第1端子部と電気的に接続する巻線部と、
前記第1端子部よりも前記ティースの先端の近くに位置し、前記巻線部と電気的に接続する第2端子部と、
を有し、
前記巻線部は前記ティースにnターン(nは2以上の整数)巻回されており、
前記巻線部は、前記コイルの第kターン(kは整数で1≦k≦n)において、前記ティースの軸方向端面に沿った第1部分の軸方向の高さをAkとし、前記第1端子部から前記第2端子部に向かって前記第1部分の隣に位置し前記第1部分の端部から延びて前記ティースの周方向端面に沿った第2部分の周方向の幅をBkとした場合、Ak<Bkの関係を満たし、
前記第1部分の軸方向の高さは、第1ターンから第nターンに向かうにつれて低くなり、
前記第1部分の径方向の厚さは、前記第1ターンから前記第nターンに向かうにつれて厚くなっており、
前記第1~第nターンのそれぞれにおいて、前記高さAkと前記幅Bkとの比が一定となるように構成されていることを特徴とするステータ。
【請求項2】
請求項1に記載のステータにおいて、
第1~第nターンにおける前記第1部分の軸方向の高さのうち最大値をAmaxとし、
第1~第nターンにおける前記第2部分の周方向の幅のうち最小値をBminとしたとき、Amax<Bminの関係を満たすことを特徴とするステータ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のステータにおいて、
前記第1部分は、前記ティースと前記軸方向で向かい合う領域に位置し、
前記第2部分は、前記ティースと前記軸方向に直交する方向で向かい合う領域に少なくとも位置することを特徴とするステータ。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載のステータと、
前記ステータと所定の間隔をあけて設けられたロータと、を少なくとも備えたことを特徴とするモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステータ及びそれを用いたモータに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、産業、車載用途でモータの需要は高まっている。その中で、モータの小型化、効率向上が要望されている。
【0003】
モータの体積増加を抑制しつつ効率を向上させる手法の一つとして、ステータのスロット内に配置されるコイルの占積率を向上させることが知られている。コイルの占積率を向上させることで、モータの駆動時に、コイルに流れる電流に起因する損失を抑制できる。
【0004】
コイルの占積率を向上させる手法として、銅材を用いた鋳造コイルをスロット内に配置する構成が提案されている(例えば特許文献1参照)。また、この構成では、占積率を向上させるため、コイルの断面を四角形とし、かつその線径を太くしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】独国特許出願公開第102012212637号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年、車両や産業機器等に使用されるモータの個数が増大しており、個々のモータにおいてさらなる小型化が要求されている。
【0007】
しかし、特許文献1に示された従来の構成では、コイルの占積率を向上させるため、コイルの線径を太くしている。このため、コイルの軸方向端部、具体的には、スロットからモータの出力軸方向にはみ出た部分(以下、コイルエンドという)の高さも高くなってしまい、コイル、ひいてはモータを十分に小型化することは難しかった。
【0008】
本発明はかかる点に鑑みてなされたもので、その目的は、コイルエンドの高さを低減したステータ及びそれを用いたモータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係るステータは、環状のヨークと、該ヨークと接続するティースと、板状の導線からなり、前記ティースに装着されたコイルと、を少なくとも備えたステータであって、該コイルは、第1端子部と、前記第1端子部と電気的に接続する巻線部と、前記第1端子部よりも前記ティースの先端の近くに位置し、前記巻線部と電気的に接続する第2端子部と、を有し、前記巻線部は前記ティースにnターン(nは2以上の整数)巻回されており、前記コイルの第kターン(kは整数で1≦k≦n)において、前記ティースの軸方向端面に沿った第1部分の軸方向の高さをAkとし、前記第1端子部から前記第2端子部に向かって前記第1部分の隣に位置し前記第1部分の端部から延びて前記ティースの周方向端面に沿った第2部分の周方向の幅をBkとした場合、Ak<Bkの関係をAk<Bkの関係を満たし、前記第1部分の軸方向の高さは、第1ターンから第nターンに向かうにつれて低くなり、前記第1部分の径方向の厚さは、前記第1ターンから前記第nターンに向かうにつれて厚くなっていることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、コイルエンドに相当する第1部分の軸方向の高さを低くすることができ、ステータを小型化することができる。また、コイルからの放熱量が低減せず、ステータの放熱性能を維持できる。
【0011】
本発明に係るモータは、前記ステータと、前記ステータと所定の間隔をあけて設けられたロータと、を少なくとも備えたことを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、ステータの高さを低減でき、モータの小型化が図れる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のステータによれば、コイルエンドの高さを低くでき、ステータの小型化が図れる。また、ステータの放熱性能を維持できる。本発明のモータによれば、ステータの高さを低減でき、モータの小型化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の実施形態1に係るモータの断面図である。
図2図2は、コイルの第kターンを径方向から見た模式図である。
図3A図3Aは、ティースに巻回されたコイルの斜視図である。
図3B図3Bは、図3AのIIIB-IIIB線での断面図である。
図3C図3Cは、図3AのIIIC-IIIC線での断面図である。
図4A図4Aは、本発明の実施形態2に係るティースに巻回されたコイルの斜視図である。
図4B図4Bは、図4AのIVB-IVB線での断面図である。
図4C図4Cは、図4AのIVC-IVC線での断面図である。
図5図5は、変形例に係るコイルエンドの断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0016】
(実施形態1)
[モータの構成]
図1は、本実施形態に係るモータの断面図を示す。なお、以降の説明において、モータ1000の半径方向を「径方向」と、外周方向を「周方向」と、モータ1000の出力軸210の延びる方向(図1における紙面と垂直な方向)を「軸方向」とそれぞれ呼ぶことがある。また、径方向において、モータ1000の中心側を径方向内側と、外周側を径方向外側と呼ぶことがある。
【0017】
モータ1000は、ステータ100とロータ200とを有している。なお、モータ1000は、これら以外の構成部品、例えば、モータケースや出力軸を軸支する軸受等の部品を有しているが、説明の便宜上、その図示及び説明を省略する。
【0018】
ステータ100は、円環状のヨーク20と、ヨーク20の内周に接続され、当該内周に沿って等間隔に設けられた複数のティース10と、周方向に隣り合うティース10の間にそれぞれ設けられたスロット30と、スロット30内に収容されたコイル40とを有しており、ロータ200の径方向外側に、ロータ200と一定の間隔をあけて配置されている。
【0019】
ティース10とヨーク20は、それぞれ、例えば、ケイ素等を含有した電磁鋼板を積層後に打ち抜き加工して形成される。コイル40は、断面が四角形の銅等からなる板状の導線がnターン(nは2以上の整数)巻回されてなる部品であり、図示しないインシュレータを挟んで複数のティース10のそれぞれに装着されて、スロット30内に収容されている。なお、本実施形態では、コイル40に流れる電流の位相に応じて、コイルをコイルU1~U4,V1~V4,W1~W4とそれぞれ呼ぶことがある。また、コイル40はティース10に対して集中巻きされている。
【0020】
ロータ200は、軸心に配置された出力軸210と、ステータ100に対向してN極、S極が出力軸210の外周方向に沿って交互に配置された磁石220とを有している。なお、磁石220の材料や形状や材質については、モータ1000の出力等に応じて適宜変更しうる。
【0021】
コイルU1~U4,V1~V4,W1~W4はそれぞれ直列に接続されており、互いに電気角で120°の位相差を有するU,V,W相の3相の電流がそれぞれコイルU1~U4,V1~V4,W1~W4に供給されて励磁され、ステータ100に回転磁界が発生する。この回転磁界と、ロータ200に設けられた磁石220が発生する磁界とが相互作用して、ロータ200にトルクが発生し、出力軸210が図示しない軸受に支持されて回転する。
【0022】
[コイルの構成]
図2は、本実施形態に係るコイルの第kターンを径方向から見た模式図を示す。また、図3Aは、ティースに巻回されたコイルの斜視図を、図3Bは、図3AのIIIB-IIIB線での断面図を、図3Cは、図3AのIIIC-IIIC線での断面図をそれぞれ示す。
【0023】
図3A図3Cに示すように、コイル40は、板状の導線がnターン(nは2以上の整数)巻回されてなる部品であり、第1端子部41と第2端子部42と巻線部43とを有している。また、コイル40の表面には絶縁被膜(図示せず)が設けられている。また、巻線部43のうち、ティース10の軸方向端面に沿って延びる部分がコイルエンド44に相当する。
【0024】
コイル40がティース10に装着されたとき、第1端子部41はティース10の基端側に位置しており、第2端子部42はティース10の先端側、つまり、第1端子部41よりもティース10の先端の近くに位置している。また、巻線部43は第1接続部位41aで第1端子部41に接続され、第2接続部位42aで第2端子部42に接続されている。つまり、巻線部43は第1端子部41及び第2端子部42と電気的に接続されている。また、巻線部43は、第1接続部位41aから第2接続部位42aにかけてティース10にnターン巻回されている。
【0025】
第1端子部41及び第2端子部42は、それぞれ図示しない外部からの電源線か、または中性線か、あるいは渡し線やバスバー等を介して他のコイル40の端子部に接続されている。なお、コイル40が1本の導線を巻回してなる場合は、第1及び第2端子部41,42は、巻線部43の両端がそれぞれ延長された部分に相当する。ただし、第1及び第2端子部41,42を巻線部43の両端、この場合は第1接続部位41a及び第2接続部位42aにそれぞれ溶接等して取付けるようにしてもよい。
【0026】
また、図2及び図3A図3Cに示すように、コイル40の第kターン(kは整数で1≦k≦n)は、ティース10の軸方向端面に沿って配置された第1部分k1と、第1端子部41から第2端子部42に向かって第1部分k1の隣に位置し、第1部分k1の端部から延びてティースの周方向端面に沿って配置された第2部分k2とを有しており、第1部分k1がコイルエンド44の一部に相当する。また、第1部分k1は、ティース10と軸方向で向かい合う領域に位置し、第2部分k2は、ティース10と軸方向に直交する方向で向かい合う領域に少なくとも位置している。
【0027】
第1部分k1におけるティース10の軸方向の高さをAkとし、第2部分k2におけるティース10の周方向の幅をBkとそれぞれしたとき、高さAkと幅Bkとが、Ak<Bkの関係を満たすようにコイル40は構成されている。また、図3Bに示すように、第1~第nターンにおいて、高さA1~Anがそれぞれ同じ値、この場合はAとなるようにコイル40が構成されている。一方、第1~第nターンにおいて、コイル40の幅B1~Bnは、図3Cに示すように、径方向内側、つまり、ティース10の先端側に位置するにつれて狭くなっている。
【0028】
なお、実際には、図示しないインシュレータを挟んでティース10にコイル40が装着されているため、高さA1~An(=A)はインシュレータの表面から第1部分k1の軸方向端面までの距離であり、幅B1~Bnはインシュレータの表面から第2部分k2の周方向外側面までの距離である。
【0029】
[効果等]
本実施形態に係るステータ100は、環状のヨーク20と、ヨーク20と接続するティース10と、板状の導線からなり、ティース10に装着されたコイル40と、を少なくとも備えている。コイル40は、第1端子部41と、第1端子部41と電気的に接続する巻線部43と、第1端子部41よりもティース10の先端の近くに位置し、巻線部43と電気的に接続する第2端子部42と、を有し、巻線部43はティースにnターン(nは2以上の整数)巻回されている。
【0030】
巻線部43は、コイル40の第kターン(kは整数で1≦k≦n)において、ティース10の軸方向端面に沿った第1部分k1の軸方向の高さをAkとし、第1端子部41から第2端子部42に向かって第1部分k1の隣に位置し第1部分k1の端部から延びてティース10の周方向端面に沿った第2部分k2の周方向の幅をBkとした場合、Ak<Bkの関係を満たしている。
【0031】
コイル40をこのように構成することで、コイルエンド44に相当する第1部分k1の高さAkを低くでき、ステータ100を小型化することができる。なお、第1部分k1は、ティース10と軸方向で向かい合う領域に位置し、第2部分k2は、ティース10と軸方向に直交する方向で向かい合う領域に少なくとも位置している。
【0032】
また、第1~第nターンにおいて、ティース10の先端側に位置するにつれて幅B1~Bnが狭くなるようにすることで、スロット30内に収容されるコイル40の占積率を高めることができる。
【0033】
また、本実施形態によれば、コイル40の放熱性能を大きく低減させずにコイル40を小型化することができる。このことについてさらに説明する。スロット30内に収容されたコイル40で発生した熱は、主としてティース10に伝搬し、また、ティース10を介してヨーク20に伝搬する。さらに、図示しないモータのハウジング等から大気中あるいは別途設けられた放熱部材に放熱される。
【0034】
一方、スロット30からはみ出た部分であるコイルエンド44では、ティース10やヨーク20への熱伝搬が起こりにくく、大気中に直接、熱が放散される。しかし、大気は、ティース10やヨーク20を構成する電磁鋼板や、ティース10に装着され、樹脂からなる図示しないインシュレータ等と比べて熱伝導率が小さいため、コイルエンド44には熱が溜まりやすい。
【0035】
一方、本実施形態によれば、第1部分k1の高さAkを第2部分の幅Bkよりも小さくすることで、コイルエンド44の体積を低減して、コイルエンド44に溜まる熱量を小さくできる。また、第1部分k1の上面とティース10との距離を短くして、コイルエンド44からティース10やヨーク20への熱伝搬量を大きくすることができる。
【0036】
また、スロット30内に収容され、放熱に寄与する部分、つまり、第2部分k2において、コイル40の占積率を所定以上とするように周方向の幅Bkを確保することで、例えば、特許文献1に開示される従来の構成と同等のコイル40の放熱性能を実現できる。
【0037】
また、本実施形態に係るモータ1000は、ステータ100と、ステータ100と所定の間隔をあけて設けられたロータ200と、を少なくとも備えている。
【0038】
本実施形態によれば、コイル40、ひいてはステータ100の高さを低減でき、モータ1000の小型化が図れる。また、従来の構成と同等のモータ1000の放熱性能を実現できる。
【0039】
(実施形態2)
図4Aは、本実施形態に係るティースに巻回されたコイルの斜視図を、図4Bは、図4AのIVB-IVB線での断面図を、図4Cは、図4AのIVC-IVC線での断面図をそれぞれ示す。なお、図4A~4Cにおいて、実施形態1と同様の箇所については同一の符号を付し詳細な説明を省略する。
【0040】
本実施形態に示す構成と実施形態1に示す構成とでは、以下の点で異なる。まず、第1ターン~第nターンに向かうにつれて第1部分の高さA1~Anが低くなるようにコイル40が構成されている。
【0041】
コイル40をこのように構成することで、各ターンにおいて断面積の変化率、言い換えると電流密度の変化率を小さくすることができる。このようにすることで、異なるターンで発熱のばらつきを生じるのを抑制でき、コイル40の信頼性を高められるとともにモータ1000の効率を向上できる。
【0042】
特に、第1~第nターンのそれぞれにおいて、高さAkと幅Bkとの比が一定となるようにすると、各ターンにおいて断面積の変化率、言い換えると電流密度の変化率を一定にすることができ、コイル40内での発熱ばらつきを抑制でき、コイル40の信頼性及びモータ1000の効率をさらに高められる。
【0043】
次に、第1~第nターンでの高さA1~Anのうちの最大値をAmaxとし、幅B1~Bnのうち第1~第nターンでの最小値をBminとしたとき、Amax<Bminの関係を満たすようにコイル40が構成されている点で異なる。
【0044】
コイル40をこのように構成することで、コイル40に流れる電流の電流密度を確保しつつコイルエンド44を十分に低くできる。
【0045】
なお、第1ターン~第nターンに向かうにつれて第1部分の高さA1~Anが低くなるようにコイル40を構成することと、Amax<Bminの関係を満たすこととを同時に満足しなくてもよい。いずれか一方の関係を満たすことで、それぞれの関係に対応した効果を奏することができる。
【0046】
<変形例>
図5は、本変形例に係るコイルエンドの断面模式図を示す。なお、図5は、図3B,4Bに示す断面のうち軸方向上側に位置する第1部分k1の断面にそれぞれ対応している。なお、図5において、実施形態1,2と同様の箇所については同一の符号を付し詳細な説明を省略する。
【0047】
本変形例に示す構成と、実施形態1に示す構成とでは、第1~第nターンにおいてコイルエンド44の高さが変化している点で異なる。また、実施形態2に示すような単調な変化ではなく、高さA1~Anは、例えば、図5の(a)図に示すように変化してもよいし、(b)図に示すように変化してもよい。あるいは、(c)図に示すように変化してもよい。また、図示しないが、軸方向下側に位置するコイルエンド44の形状を図5に示すようにしてもよい。なお、高さA1~Anは第1~第nターンの中で図5に示す以外の変化をしてもよい。高さAh(hは整数で2≦h≦n-1)が、第1~第(-1)ターンにおける第1部分の軸方向の高さA1~A-1のうちのいずれか1つよりも高く、かつ第(+1)~第nターンにおける第1部分の軸方向の高さA+1~Anのうちのいずれか1つよりも高くなるように、コイルエンド44の高さが変化すればよい。あるいは、高さAが、高さA1~A-1のうちのいずれか1つよりも低く、かつ高さA+1~Anのうちのいずれか1つよりも低くなるように、コイルエンド44の高さが変化すればよい。
【0048】
前述したように、コイルエンド44では主として、大気中に熱が放散される。一方、本変形例によれば、コイルエンド44の高さが上記のように変化しているため、コイルエンド44の表面積を、例えば、実施形態1,2に示す場合に比べて大きくすることができ、コイルエンド44から大気中への熱放散量を大きくすることができる。
【0049】
また、本変形例によれば、コイルエンド44の軸方向端面、つまり、上面または下面のうち少なくとも一方に凹部または凸部あるいはその両方が形成されるため、凸部の両側または凹部をステータ100内に流れる冷媒の流路とすることができる。このことにより、コイル40を含むステータ100の冷却効率を高められるとともにモータ1000の効率を向上できる。なお、冷媒として、油や水等の液体を用いることができる。
【0050】
なお、第1~第nターンにおける第1部分の軸方向の高さA1~Anのうちの最小値Aminは、ジュール発熱によってコイル40が断線したり、信頼性が低下したりしないように所定値以上に高くすることが好ましい。
【0051】
(その他の実施形態)
なお、実施形態1では、円環状のヨーク20に複数のティース10が接続される構成を例に取って説明したが、特にこれに限定されず、周方向に分割された分割ヨークにそれぞれ1つずつティース10を接続し、この状態で複数の分割ヨークを周方向に接続することでステータ100を構成するようにしてもよい。
【0052】
また、コイル40を構成する導線の断面形状は台形でも長方形でも正方形でもよく、n角形(nは4以上の整数)であってもよい。
【0053】
また、図3A図3C及び図4A図4Cにおいて、第1端子部41がティース10の基端側に、第2端子部42がティース10の先端側に位置するようにコイル40がティース10に装着されていたが、第1端子部41及び第2端子部42の位置は特にこれに限定されず、例えば、第2端子部42が径方向外側に引き回されて、第1端子部41及び第2端子部42がともにティース10の基端側に位置するようにしてもよい。なお、この場合も、第2接続部位42aはティース10の先端側に位置している。
【0054】
また、実施形態1,2において、軸方向上側及び下側に位置するコイルエンド44において、第kターンの第1部分k1の高さと第2部分k2の幅との関係が、Ak<Bkの関係を満たす例を示したが、必ずしも軸方向両側のコイルエンド44でこの関係を満たす必要はなく、少なくとも一方のコイルエンド44において、Ak<Bkの関係を満たせばよい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明のステータは、コイルエンドの高さを低くできるため、小型化が必要とされるモータに適用する上で有用である。
【符号の説明】
【0056】
10 ティース
20 ヨーク
30 スロット
40 コイル
41 第1端子部
42 第2端子部
43 巻線部
44 コイルエンド
100 ステータ
200 ロータ
210 出力軸
220 磁石
1000 モータ
k1 コイル40の第kターンの第1部分
k2 コイル40の第kターンの第2部分
Ak 第1部分k1の軸方向の高さ
Bk 第2部分k2の周方向の幅
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5