(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-18
(45)【発行日】2024-07-26
(54)【発明の名称】ワクチン接種の管理のための管理サーバ、管理システム、および、方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/12 20230101AFI20240719BHJP
G16H 40/20 20180101ALI20240719BHJP
【FI】
G06Q40/12
G16H40/20
(21)【出願番号】P 2023139233
(22)【出願日】2023-08-29
【審査請求日】2023-09-05
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和4年12月19日、名古屋ステーションクリニックのウェブサイト<URL:https://www.travel.station-clinic.com/>にて公開
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522175037
【氏名又は名称】株式会社M-aid
(74)【代理人】
【識別番号】100167276
【氏名又は名称】渡邉 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】木下 水信
【審査官】樋口 龍弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-067019(JP,A)
【文献】特開2018-163475(JP,A)
【文献】特開2018-190427(JP,A)
【文献】特開2013-020398(JP,A)
【文献】国際公開第2022/203068(WO,A1)
【文献】特開2022-068098(JP,A)
【文献】特開2023-067451(JP,A)
【文献】特開2015-230657(JP,A)
【文献】特表2008-545210(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G16H 10/00 - 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
データベースに接続され、前記データベースに格納された情報を用いて、事前に登録された登録組織の構成員を含む利用者のワクチン接種を管理する管理システムを構成する管理サーバであって、
ネットワークを通じて、前記登録組織の端末と、前記利用者の端末と、事前に登録された医療機関の端末との通信を実行する通信制御部と、
前記ワクチンに関するワクチン情報と、前記利用者に関する利用者情報と、前記登録組織に関する組織情報と、前記医療機関に関する医療機関情報と、前記医療機関における前記利用者の前記ワクチン接種にかかる接種費用の算出に用いられる費用情報と、を前記データベース上で管理する情報管理部と、
前記医療機関の端末を通じた指示に従って前記接種費用の会計処理を実行する会計処理部と、
を備え、
前記組織情報は、前記構成員の前記接種費用に関して、前記登録組織が負担する費用分についての設定を示す、前記登録組織ごとの費用負担情報を含み、
前記会計処理部は、前記構成員が前記医療機関で前記接種費用の会計をする際の前記会計処理において、前記費用情報と前記費用負担情報とに基づいて、前記構成員の前記接種費用について、前記構成員自身が負担する個人負担費用と、前記登録組織が負担する組織負担費用と、を算出し、前記構成員が前記医療機関で前記個人負担費用を清算できるように、前記個人負担費用を示す請求情報を前記医療機関の端末に送信し、前記登録組織が前記組織負担費用を清算可能なように、前記組織負担費用を示す請求情報を前記登録組織の端末に送信し、
前記情報管理部は、前記利用者が接種する前記ワクチンの種類の選択と、前記利用者の前記ワクチンの種類ごとの接種日時の指定とを、前記医療機関の端末を通じて受け付け、前記データベース上に前記利用者ごとの予約情報として登録して、前記医療機関の端末と前記利用者の端末から閲覧可能にし、
前記情報管理部は、前記構成員が海外に渡航する際に接種すべき前記ワクチンの種類を渡航先の国ごとにまとめたワクチンセット情報を、前記登録組織に紐づけて前記データベースに登録しており、前記医療機関の端末による前記ワクチンセット情報の参照を可能にする、管理サーバ。
【請求項2】
請求項1記載の管理サーバであって、
前記会計処理部は、前記登録組織に対して、予め定められた期間内に発生した前記構成員ごとの前記組織負担費用を合算して一括請求する、管理サーバ。
【請求項3】
請求項
1記載の管理サーバであって、
前記ワクチン情報は、前記ワクチンの種類ごとに予め定められた接種を避けるべき制限期間を示す接種制限情報を含み、
前記情報管理部は、前記利用者が、前記医療機関の端末を通じて、接種する前記ワクチンの種類を選択したときに、前記接種制限情報の前記制限期間を反映させた、前記ワクチンの種類ごとの接種日時の候補を決定する、管理サーバ。
【請求項4】
請求項
1記載の管理サーバであって、
前記情報管理部は、前記予約情報に基づいて、前記ワクチンの接種時期が近付いた前記利用者の端末に、前記ワクチンの接種時期の到来を報知するメールを送信する、管理サーバ。
【請求項5】
請求項1記載の管理サーバであって、
前記情報管理部は、
前記データベース上において、前記利用者が前記ワクチンを接種した履歴を示す接種履歴情報を前記利用者ごとに管理し、
前記利用者の端末に、前記利用者自身の前記接種履歴情報へのアクセスを許容し、
前記登録組織の端末に、前記構成員の前記接種履歴情報へのアクセスを許容する、管理サーバ。
【請求項6】
請求項
5記載の管理サーバであって、
前記情報管理部は、
前記接種履歴情報に基づいて、前記ワクチンの接種を証明する接種記録証の電子データを生成する機能を有し、
前記利用者の端末を通じての前記利用者からの依頼に応じて、前記利用者の前記接種記録証の電子データを前記利用者の端末に送信する、管理サーバ。
【請求項7】
請求項1記載の管理サーバであって、
前記費用負担情報は、さらに、前記接種費用について、前記構成員の家族に対する前記登録組織による負担の適用の有無を示す情報を含む、管理サーバ。
【請求項8】
利用者のワクチン接種を管理する管理システムであって、
請求項1から請求項
7のいずれか一項に記載の管理サーバと、
前記管理サーバが接続する前記データベースと、
を備える、ワクチン接種管理システム。
【請求項9】
データベースに格納された情報を用いて、事前に登録された登録組織の構成員を含む利用者の事前に登録された医療機関でのワクチン接種を管理する管理システムにおいて実行される方法であって、
前記データベースには、前記ワクチンに関するワクチン情報と、前記登録組織に関する組織情報と、前記利用者に関する利用者情報と、前記医療機関に関する医療機関情報と、前記医療機関における前記利用者の前記ワクチンの接種にかかる接種費用の算出に用いられる費用情報と、が格納
されるとともに、前記構成員が海外に渡航する際に接種すべき前記ワクチンの種類を渡航先の国ごとにまとめたワクチンセット情報が、前記登録組織に紐づけて登録されており、
前記組織情報は、前記構成員の前記接種費用に関して、前記登録組織が負担する費用負担分についての設定を示す、前記登録組織ごとの費用負担情報を含み、
前記管理システムのコンピュータが、前記医療機関の端末からの指示に従って、前記費用情報と前記費用負担情報とに基づいて、前記医療機関における前記構成員の前記接種費用について、前記構成員が負担する個人負担費用と、前記登録組織が負担する組織負担費用と、を算出する工程と、
前記構成員が前記医療機関で前記個人負担費用を清算できるように、前記管理システムのコンピュータが、前記個人負担費用を示す請求情報を、前記医療機関の端末に送信する工程と、
前記登録組織が前記組織負担費用を清算可能なように、前記管理システムのコンピュータが、前記組織負担費用を示す請求情報を、前記登録組織の端末に送信する工程と、
前記管理システムのコンピュータが、前記利用者が接種する前記ワクチンの種類の選択と、前記利用者の前記ワクチンの種類ごとの接種日時の指定とを、前記医療機関の端末を通じて受け付け、前記データベース上に前記利用者ごとの予約情報として登録して、前記医療機関の端末と前記利用者の端末から閲覧可能にする工程と、
前記管理システムのコンピュータが、前記医療機関の端末による前記ワクチンセット情報の参照を可能にする工程と、
を備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、ワクチン接種の管理のための管理サーバ、管理システム、および、方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ワクチンの接種に関しては、例えば、その接種の予約や、接種費用の清算、接種履歴の確認等の管理をより効率良くできるようにするために、コンピュータシステムを利用した種々の技術が従来から提案されている。例えば、下記の特許文献1には、ワクチンの接種スケジュールを生成でき、かつ、接種対象のワクチンがその接種日において助成金の対象となっていることを確認できるシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、海外に渡航する人にはその渡航先での感染症の状況に応じた適切なワクチンを接種することが推奨されている。このような渡航先での予防のためのワクチンの接種は「トラベルワクチン」や「トラベラーズワクチン」とも呼ばれる。企業等の組織においては、その構成員である社員を海外に渡航させる際のトラベルワクチンや、それに付随する検査や診断等の医療行為にかかる接種費用について、その一部、または、全部を当該組織が負担することを取り決めている場合がある。
【0005】
しかしながら、通常、そのような取り決めの項目は、ワクチンの種類ごとや渡航先ごとなど、多岐にわたって定められ、組織ごとにもその内容が異なる。そのため、医療機関が、ワクチンの接種費用についての組織の負担分と、構成員の負担分とを把握して会計処理を行うことは容易ではない。
【0006】
また、医療機関での精算時に、構成員に、自身の負担分とともに組織の負担分を立替払いさせると、その構成員が、立替払いのために一時的に大きな経済的負荷を負うことになる可能性がある。当該組織にとっても、その立替払いの清算のための事後的な手続きが煩雑になったり、遅延したりするなど、ワクチン接種に関する会計処理が円滑に行えなくなる可能性がある。
【0007】
このような課題は、トラベルワクチンに限られたものではない。国内の感染症の状況によっては、渡航予定がない人であっても、所属する組織からワクチン接種が求められ、その費用の一部、または、全部をその組織が負担する場合もあり得る。このように、上述した課題は、トラベルワクチンに限らず、ワクチン接種全般に共通する。
【0008】
本願は、ワクチンの接種に関して、組織の費用負担がある場合にも接種費用の管理を容易化でき、ワクチン接種の管理をより効率良く行えるようにできる技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の技術は、以下の形態として実現することが可能である。
【0010】
[第1形態]本開示の技術の第1形態は、データベースに接続され、前記データベースに格納された情報を用いて、登録組織の構成員を含む利用者のワクチン接種を管理する管理システムを構成する管理サーバとして提供される。第1形態の管理サーバは、ネットワークを通じて、前記登録組織の端末と、前記利用者の端末と、医療機関の端末との通信を実行する通信制御部と、前記ワクチンに関するワクチン情報と、前記利用者に関する利用者情報と、前記登録組織に関する組織情報と、前記医療機関に関する医療機関情報と、前記医療機関における前記利用者の前記ワクチン接種にかかる接種費用の算出に用いられる費用情報と、を前記データベース上で管理する情報管理部と、前記接種費用の会計処理を実行する会計処理部と、を備える。前記組織情報は、前記構成員の前記接種費用に関して、前記登録組織が負担する費用分についての設定を示す費用負担情報を含み、前記会計処理部は、前記構成員の前記会計処理の際に、前記費用情報と前記費用負担情報とに基づいて、前記構成員の前記接種費用について、前記構成員自身が負担する個人負担費用と、前記登録組織が負担する組織負担費用と、を算出し、前記ネットワークを通じて、前記個人負担費用を示す請求情報を前記医療機関の端末に送信するとともに、前記組織負担費用を示す請求情報を前記登録組織の端末に送信する。
第1形態の管理サーバによれば、ワクチンの接種費用に関して、登録組織の費用負担分と、構成員の費用負担分とを、データベース上で管理している情報に基づいて、容易に算出することができる。また、算出した構成員の費用負担分が個人負担費用として医療機関から当該構成員に直接請求され、登録組織の費用負担分が組織負担費用として管理システムから登録組織に請求されるようにできる。これにより、構成員が登録組織の費用負担の立替払いをしなくても済み、登録組織が、その立替払いのための会計処理を行わなくても済むため、ワクチン接種のための会計処理を円滑化することができる。よって、第1形態の管理サーバによれば、ワクチン接種を効率よく管理できる管理システムを構築することが容易にできる。
【0011】
[第2形態]上記第1形態の管理サーバにおいて、前記会計処理部は、前記登録組織に対して、予め定められた期間内に発生した前記構成員ごとの前記組織負担費用を合算して一括請求してよい。
第2形態の管理サーバによれば、登録組織は、各構成員のワクチンの接種費用の負担分を一括して処理することができるため、登録組織でのワクチン接種のための会計処理をより一層、円滑化することができる。
【0012】
[第3形態]上記第1形態、または、第2形態に記載の管理サーバにおいて、前記情報管理部は、前記利用者が接種する前記ワクチンの種類の選択と、前記利用者の前記ワクチンの種類ごとの接種日時の指定とを、前記医療機関の端末を通じて受け付け、前記データベース上に前記利用者ごとの予約情報として登録して、前記医療機関の端末と前記利用者の端末から閲覧可能にしてよい。
第3形態の管理サーバによれば、管理システムの利用者および医療機関は、利用者ごとのワクチン接種の予約、および、その確認を容易に行うことができる。よって、ワクチン接種の予約管理をより効率良く行うことができる。
【0013】
[第4形態]上記第3形態の記載の管理サーバにおいて、前記情報管理部は、前記構成員が海外に渡航する際に接種すべき前記ワクチンの種類を渡航先の国ごとにまとめたワクチンセット情報を、前記登録組織に紐づけて前記データベースに登録してよい。
第4形態の管理サーバによれば、医療機関に、医療機関の端末を通じて、ワクチンセット情報を参照させることにより、渡航する際に接種すべきであると登録組織が定めているワクチンを構成員に接種させることがより容易になる。
【0014】
[第5形態]上記第3形態、または、第4形態に記載の管理サーバにおいて、前記ワクチン情報は、前記ワクチンの種類ごとに予め定められた接種を避けるべき制限期間を示す接種制限情報を含み、前記情報管理部は、前記利用者が、前記医療機関の端末を通じて、接種する前記ワクチンの種類を選択したときに、前記接種制限情報の前記制限期間を反映させた、前記ワクチンの種類ごとの接種日時の候補を決定してよい。
第5形態の管理サーバによれば、ワクチン接種が複数回に渡って行われる場合に、制限期間に相当する間隔を空けてワクチン接種を行う適切なスケジュールでの予約がより容易に行えるようになる。
【0015】
[第6形態]上記第3形態、第4形態、第5形態のいずれかに記載の管理サーバにおいて、前記情報管理部は、前記予約情報に基づいて、前記ワクチンの接種時期が近付いた前記利用者の端末に、前記ワクチンの接種時期の到来を報知するメールを送信してよい。
第6形態の管理サーバによれば、利用者がワクチン接種の予約を失念することを抑制でき、管理システムによるワクチン接種の管理性をより一層、向上させることができる。
【0016】
[第7形態]上記第1形態、第2形態、第3形態、第4形態、第5形態、および、第6形態のいずれかに記載の管理サーバにおいて、前記情報管理部は、前記データベース上において、前記利用者が前記ワクチンを接種した履歴を示す接種履歴情報を前記利用者ごとに管理し、前記利用者の端末に、前記利用者自身の前記接種履歴情報へのアクセスを許容し、前記登録組織の端末に、前記構成員の前記接種履歴情報へのアクセスを許容してよい。
第7形態の管理サーバによれば、利用者が自身のワクチンの接種履歴を容易に確認することができる。また、登録組織が構成員のワクチンの接種履歴を容易に確認することもできる。よって、管理システムによるワクチン接種の管理性をより一層、向上させることができる。
【0017】
[第8形態]上記第7形態に記載の管理サーバにおいて、前記情報管理部は、前記接種履歴情報に基づいて、前記ワクチンの接種を証明する接種記録証の電子データを生成する機能を有し、前記利用者の端末を通じての前記利用者からの依頼に応じて、前記利用者の前記接種記録証の電子データを前記利用者の端末に送信してよい。
第8形態の管理サーバによれば、利用者が、ワクチン接種の接種記録証をより容易に入手することができるため、ワクチン接種の管理に関しての利用者にとっての利便性をより向上させることができる。
【0018】
[第9形態]第9形態は、利用者のワクチン接種を管理する管理システムとして提供される。第9形態の管理システムは、上記の第1形態から第8形態のいずれか一つの形態に記載の管理サーバと、前記管理サーバが接続する前記データベースと、を備えてよい。
第9形態の管理システムによれば、ワクチンの接種費用に関して、登録組織の費用負担分とその構成員の費用負担分の会計処理をより容易に行うことができ、ワクチン接種の管理をより効率良く行うことができる。
【0019】
[第10形態]第10形態は、データベースに格納された情報を用いて、登録組織の構成員を含む利用者の医療機関でのワクチン接種を管理する管理システムにおいて実行される方法として提供される。第10形態の方法において、前記データベースには、前記ワクチンに関するワクチン情報と、前記登録組織に関する組織情報と、前記利用者に関する利用者情報と、前記医療機関に関する医療機関情報と、前記医療機関における前記利用者の前記ワクチンの接種にかかる接種費用の算出に用いられる費用情報と、が格納されており、前記組織情報は、前記構成員の前記接種費用に関して、前記登録組織が負担する費用負担分についての設定を示す費用負担情報を含み、前記管理システムのコンピュータが、前記費用情報と前記費用負担情報とに基づいて、前記医療機関における前記構成員の前記接種費用について、前記構成員が負担する個人負担費用と、前記登録組織が負担する組織負担費用と、を算出する工程と、前記管理システムのコンピュータが、前記個人負担費用を示す請求情報を、前記医療機関の端末に送信する工程と、前記管理システムが、前記組織負担費用を示す請求情報を、前記登録組織の端末に送信する工程と、を備える。
第10形態の方法によれば、ワクチンの接種費用に関して、登録組織の費用負担分と、構成員の費用負担分とをデータベース上で管理している情報に基づいて容易に算出することができる。また、算出した構成員の費用負担分が個人負担費用として医療機関から当該構成員に直接請求され、登録組織の費用負担分が組織負担費用として管理システムから登録組織に請求されるようにできる。これにより、構成員が登録組織の費用負担の立替払いをしなくても済み、登録組織が、その立替払いのための会計処理を行わなくても済むため、ワクチン接種のための会計処理を円滑化することができる。
【0020】
本開示の技術は、ワクチン接種の管理のための管理サーバや、管理システム、方法以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、管理システムで用いられるデータベース、管理サーバで実行される管理システムの制御方法、データベースの管理方法、管理サーバで実行されるプログラム、そのプログラムを記録した記憶媒体等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】第1実施形態の管理システムの構成を示す概略図。
【
図3】ワクチン情報の内容を説明するための概略図。
【
図6】医療機関情報の内容を説明するための概略図。
【
図8】ワクチン接種の管理の方法を示す第1の説明図。
【
図9】ワクチン接種の管理の方法を示す第2の説明図。
【
図10】ワクチン接種の予約画面の一例を示す概略図。
【
図11】第2実施形態の管理システムの構成を示す概略図。
【0022】
1.第1実施形態:
1-1.システム構成:
図1は、第1実施形態における管理システム10の構成を示す概略図である。管理システム10は、管理システム10を構成する管理サーバ20と、管理サーバ20に接続されているデータベース30と、を備える。
【0023】
管理システム10は、管理サーバ20が、データベース30に格納された情報を用いて、事前に利用登録手続きがされた利用者USのワクチン接種の管理のための処理を実行する。「ワクチン接種の管理」には、例えば、ワクチンに関する情報の管理、ワクチンの接種予約や接種費用の清算等のワクチン接種のための手続きの管理、ワクチン接種の履歴情報の管理等が含まれる。
【0024】
管理サーバ20は、中央処理装置(CPU)と主記憶装置(RAM)とを備えるコンピュータによって構成される。
図1では、便宜上、CPUおよびRAMの図示は省略されている。管理サーバ20は、ワクチン接種を管理する管理処理を実行する制御部21を備える。制御部21は、管理サーバ20のCPUがRAM上に予め準備された命令やプログラムを読み込んで実行することにより実現される種々の機能部によって構成される。制御部21を構成する種々の機能部、および、制御部21が実行する管理処理の内容については後述する。
【0025】
管理サーバ20は、制御部21の制御下においてネットワークNTに接続して外部との通信を制御する通信制御部22を有している。管理サーバ20は、制御部21が実行する管理処理において、ネットワークNTを通じて、利用者USの端末と、登録組織ROの端末と、医療機関MIの端末のそれぞれと通信し、ワクチン接種の管理のための様々なサービスを提供する。
【0026】
本実施形態では、ネットワークNTは、インターネットであり、管理サーバ20は、利用者USの端末と、登録組織ROの端末と、医療機関MIの端末のそれぞれに対して、ワクチン接種の管理のための処理をWEBサービスとして提供する。管理サーバ20は、クラウドサーバとして構成されてもよい。
【0027】
上述したように、管理システム10での利用者USは、事前に管理システム10の利用登録手続きがされた個人である。登録組織ROは、事前に管理システム10の利用登録手続きがされた組織である。登録組織ROには、例えば、一般企業や公益法人等の種々の法人や、営利団体・非営利団体等の種々の団体が含まれる。
【0028】
医療機関MIは、事前に管理システム10に登録された、利用者USのワクチン接種を引き受け可能な病院や診療所である。なお、本明細書において、管理システム10への「登録」とは、管理システム10へのアクセス権限が付与されることを意味し、例えば、管理システム10に固有のアカウントが設定され、ログイン可能な状態になることを意味すると解釈されてもよい。
【0029】
管理システム10の利用者USには、登録組織ROに所属する構成員UMが含まれる。つまり、登録組織ROの構成員UMは、個人で利用登録することにより、利用者USとして管理システム10が提供するサービスを受けることが可能である。管理システム10では、構成員UMである利用者USは、自身が所属する登録組織ROに紐づけられて登録される。
【0030】
利用者US、登録組織RO、および、医療機関MIの各端末は、ネットワークNTを通じた管理システム10との通信可能な機能と、受信した情報を表示可能な機能と、管理システム10に送信する情報を入力可能な機能と、を有するデバイスであれば特に限定されない。各端末は、例えば、スマートフォンやタブレット端末、パーソナルコンピュータ等で構成することができる。
【0031】
データベース30は、情報を不揮発的に記憶する大容量の記憶装置を利用して構築される。「情報を不揮発的に記憶する」とは、情報を一時的ではなく通電停止後にも保持可能に記憶することを意味する。データベース30は、例えば、ハードディスク(HD)やソリッドステートディスク(SSD)等を利用して構築される。
【0032】
本実施形態では、データベース30は、管理サーバ20を介してネットワークNTに接続されている。利用者US、登録組織RO、および、医療機関MIのそれぞれの端末は、管理サーバ20の管理下においてデータベース30の情報にアクセスすることが可能である。なお、他の実施形態では、データベース30は、ネットワークNTに直接的に接続され、ネットワークNTを通じて管理サーバ20に接続されてもよい。この場合、データベース30は、管理サーバ20によって管理されるクラウド型データベースとして構成されてもよい。
【0033】
データベース30には、ワクチンに関する情報であるワクチン情報31と、利用者USに関する情報である利用者情報32と、登録組織ROに関する情報である組織情報33と、医療機関MIに関する情報である医療機関情報34と、が格納されている。また、本実施形態では、データベース30には、さらに、海外への渡航予定がある利用者USのワクチン接種のために用いられる情報である渡航先情報35が格納されている。データベース30上の各情報31,32,33,34,35については後述する。
【0034】
1-2.制御部の構成:
図2は、管理サーバ20の制御部21の構成を示すブロック図である。制御部21は、管理処理を実行するための機能部として、情報管理部23と、会計処理部25と、インターフェース管理部27と、を有する。
【0035】
情報管理部23は、上述したデータベース30上の情報の管理を実行する。情報管理部23は、利用者US、登録組織RO、および、医療機関MIの各端末から受信した情報に基づいて、データベース30上の情報に対して、登録・追加・更新・変更・削除等の処理を実行する。また、情報管理部23は、利用者US、登録組織RO、および、医療機関MIの各端末がデータベース30上の情報にアクセス可能にするための処理を実行する。ここでの「アクセス」には、情報の閲覧をはじめ、情報の入力・編集等の行為が含まれる。
【0036】
情報管理部23は、さらに、データベース30上の情報を用いて、利用者USのワクチン接種の手続きに関連するサービスを提供する処理を実行する。情報管理部23は、例えば、医療機関MIへの予約のための処理や、その予約を管理する処理、利用者USのワクチン接種の履歴を管理する処理等を実行する。
【0037】
会計処理部25は、医療機関MIでのワクチン接種にかかる接種費用の会計処理を実行する。「ワクチン接種にかかる接種費用」には、ワクチンの接種自体にかかる費用と、ワクチンの接種に付随して行われる検査や診察などの医療行為にかかる費用と、が含まれる。会計処理部25は、データベース30上の情報に基づいて、会計処理を実行する。管理処理において情報管理部23や会計処理部25が実行する処理の詳細については後述する。
【0038】
インターフェース管理部27は、利用者US、登録組織RO、および、医療機関MIのそれぞれの端末に、管理システム10のインターフェース画面を表示させる処理を実行する。本実施形態では、当該インターフェース画面は、各端末のブラウザソフトによって表示される。インターフェース管理部27は、ブラウザソフトが当該インターフェース画面を表すWEBページを生成するためのデータを生成して各端末に送信する。当該インターフェース画面を通じて入力された情報は、管理サーバ20に送信される。
【0039】
1-3.データベースの情報:
図3~
図7を順に参照して、管理システム10において、データベース30上で管理されている情報の内容を説明する。
【0040】
図3は、ワクチン情報31の内容を説明するための概略図である。ワクチン情報31は、例えば、種類情報31aと、製造者情報31bと、来歴情報31cと、接種費用情報31dと、接種制限情報31eと、在庫情報31fと、を含む。製造者情報31bと来歴情報31cと接種費用情報31dと接種制限情報31eと在庫情報31fとは、種類情報31aに紐づけられている。
【0041】
種類情報31aは、ワクチンの種類を特定するための情報であり、例えば、ワクチンの名称や識別番号等を含む。製造者情報31bは、ワクチンのメーカー等の製造者を示す情報である。来歴情報31cは、ワクチンの来歴を示す情報であり、例えば、ワクチンが国産であるか、海外のどの国から輸入されたものであるか等の情報を含む。接種費用情報31dは、ワクチン接種にかかる費用を示す費用情報の一例であり、ワクチン接種にかかるワクチンの種類ごとの費用を示す情報である。この費用には、例えば、ワクチンの価格や医療機関MIでの接種のための手数料等が含まれていてもよい。
【0042】
なお、本実施形態では、接種費用情報31dは、各医療機関MIで共通の情報として登録されている。そのため、利用者URや登録組織ROにとっては、選択した医療機関¥によってワクチンの価格が不均一になることが抑制されるため、ワクチン接種の費用会計の確認が容易化される。
【0043】
接種制限情報31eは、ワクチンの種類ごとに予め定められた接種を避けるべき制限期間を示す。同種のワクチンを複数回にわけて接種する必要がある場合には、制限期間は、当該同種のワクチンについて、各回の接種の間に設けるべき時間的間隔を意味する。種類が異なるワクチンをそれぞれ異なる日に接種する必要がある場合には、制限期間は、そのワクチンの種類の組み合わせによって定まる、各ワクチンの接種の間に設けるべき時間的間隔を意味する。その他に、制限期間には、ワクチン接種を受ける利用者USの現在の健康状態や病歴に応じて定められる期間が含まれてもよい。
【0044】
なお、制限期間は、医療機関MIにおける独自の判断基準で医療機関MIごとに定められる場合がある。そのため、本実施形態では、接種制限情報31eは、医療機関MIに紐づけられた医療機関MIごとの情報としてデータベース30に格納されている。これにより、管理システム10は、医療機関MIごとに異なるワクチン接種の基準に対応することが可能である。
【0045】
在庫情報31fは、ワクチンの種類ごとの在庫数を示す情報である。在庫情報31fは、医療機関MIに紐づけられた医療機関MIごとの情報である。在庫情報31fは、各医療機関MIの端末を通じて、定期的に更新される。在庫情報31fは、利用者USのワクチン接種の予約の際に参照される。管理システム10は、在庫情報31fに基づいて、在庫が所定の数より少なくなっていることを検出したときに、医療機関MIにその旨を報知する機能を有していてもよい。
【0046】
図4は、利用者情報32の内容を説明するための概略図である。利用者情報32は、利用者USに一意に紐づけられている利用者USごとの情報である。利用者情報32は、例えば、個人情報32aと、所属情報32bと、予約情報32cと、接種履歴情報32dと、個人会計情報32eと、を含む。
【0047】
個人情報32aは、管理システム10において利用者US個人を特定可能にする情報であり、例えば、登録時に発行される利用者USのアカウント情報や識別番号等の固有の情報を含む。アカウント情報には、利用者USが連絡先として指定したメールアドレスや、アカウント名、ログインパスワードが含まれる。
【0048】
個人情報32aには、さらに、利用者USの氏名や住所等のプロフィール情報が含まれる。その他に、個人情報32aには、利用者USの既往歴や、その他の健康に関する情報、渡航経験等を示す情報が含まれていてもよい。
【0049】
所属情報32bは、利用者USの勤務先等の所属先を示す。登録組織ROの構成員UMである利用者USの所属情報32bには、所属先として、その登録組織ROが設定される。これにより、構成員UMである利用者USは、自身が所属する登録組織ROに紐づけられる。
【0050】
予約情報32cは、利用者USの後述する事前面談の予約内容や、利用者USのワクチン接種の予約内容を示す。予約情報32cは、情報管理部23が、後述する予約処理において医療機関MIの端末を通じて入力される情報に基づいて生成して、データベース30に登録する。管理システム10では、予約情報32cは、少なくとも、利用者USおよび医療機関MIの各端末から閲覧可能に管理される。
【0051】
予約情報32cには、例えば、利用者USが接種の予約をしたワクチンの種類と、そのワクチンの種類ごとの接種の予約日時と、接種の予約をした医療機関MIの情報が含まれる。また、予約情報32cには、後述する接種予約のリマインダ処理の設定等が含まれていてもよい。リマインダ処理の設定としては、例えば、リマインダ処理の実行可否の設定や、リマインダ処理におけるメール送信のタイミングに関する設定等がある。
【0052】
接種履歴情報32dは、利用者USのこれまでのワクチン接種の履歴を示す。接種履歴情報32dには、例えば、接種したワクチンの種類や、その接種日時、接種した医療機関等の情報が含まれる。管理システム10では、接種履歴情報32dは、利用者US、登録組織RO、および、医療機関MIの各端末から閲覧可能に管理される。後述するように、本実施形態では、情報管理部23が、接種履歴情報32dを用いてワクチンの接種記録証の電子データを生成・発行する。
【0053】
個人会計情報32eは、利用者USのワクチン接種にかかった接種費用の会計に関する情報である。個人会計情報32eには、利用者USに対する医療機関MIからのワクチンの接種費用の請求金額がワクチン接種の日時とともに記録される。利用者USが登録組織ROの構成員UMである場合には、ワクチンの接種費用のうち、後述する個人費用負担分が、その請求金額として記録される。また、個人会計情報32eには、利用者USによる支払が完了したか否かが記録される。
【0054】
管理システム10では、個人会計情報32eは、少なくとも、利用者USおよび医療機関MIの各端末から参照可能に管理される。構成員UMの個人会計情報32eは、登録組織ROの端末からも参照可能に管理されてもよい。
【0055】
図5は、組織情報33の内容を説明するための概略図である。組織情報33は、登録組織ROに一意に紐づけられた登録組織ROごとの情報である。組織情報33は、例えば、組織固有情報33aと、ワクチンセット情報33bと、費用負担情報33cと、組織会計情報33dと、を含む。
【0056】
組織固有情報33aは、管理システム10において登録組織ROを特定可能にする情報であり、例えば、登録時に発行される登録組織ROのアカウント情報や識別番号等の固有の情報を含む。アカウント情報には、登録組織ROの端末のメールアドレスや、アカウント名、ログインパスワード等が含まれる。
【0057】
また、組織固有情報33aは、登録組織ROの名称や住所、代表者の氏名等の組織のプロフィール情報を含む。組織情報33には、例えば、一般企業や財団法人、公共団体等といった、登録組織ROが属する組織の種類を示す情報が含まれていてもよい。
【0058】
ワクチンセット情報33bは、登録組織ROの構成員UMが海外に渡航する際に接種すべきワクチンの種類を渡航先の国ごとにまとめた情報である。ワクチンセット情報33bは、登録組織ROが、端末を通じて任意に設定することができる。登録組織ROの端末を通じて設定されたワクチンセット情報33bは、管理サーバ20の情報管理部23が、登録組織ROに紐づけてデータベース30に登録する。詳細は後述するが、ワクチンセット情報33bは、構成員UMが医療機関MIでトラベルワクチンの予約をする際に、医療機関MIの端末を通じて参照される。
【0059】
費用負担情報33cは、構成員UMのワクチンの接種費用に関して、登録組織ROが負担する費用負担についての設定を示す。費用負担情報33cは、登録組織ROが自身の端末を通じて任意に設定することができる。登録組織ROの端末を通じて設定された費用負担情報33cは、管理サーバ20の情報管理部23が、登録組織ROに紐づけてデータベース30に登録する。
【0060】
費用負担情報33cには、構成員UMのワクチン接種にかかる接種費用のうち、登録組織ROが費用負担する項目や適用範囲が設定される。「費用負担する項目」としては、例えば、登録組織ROが接種費用を負担するワクチンの種類や、ワクチンの接種に付随して行われる検査や診察などの医療サービスの項目等が設定される。「費用負担する適用範囲」としては、例えば、構成員UMの家族に対する費用負担の有無が設定される。
【0061】
管理システム10では、医療機関MIでの構成員UMのワクチン接種の後に、管理サーバ20の会計処理部25が、登録組織ROの費用負担情報33cを参照する。そして、会計処理部25は、当該費用負担情報33cに基づいて、構成員UM自身が負担する個人負担費用と、登録組織ROが負担する組織負担費用と、を算出する。会計処理部25による会計処理の詳細は後述する。
【0062】
組織会計情報33dは、構成員UMのワクチン接種にかかった費用の会計に関する情報である。組織会計情報33dには、登録組織ROに対する医療機関MIからのワクチンの接種費用の請求金額が、ワクチン接種を受けた構成員UMの情報と、そのワクチン接種の日時とともに記録される。医療機関MIから登録組織ROが請求される請求金額は、上述した組織負担費用に相当する。組織会計情報33dには、登録組織ROによる請求金額の支払が完了したか否かが記録される。
【0063】
図6は、医療機関情報34の内容を説明するための概略図である。医療機関情報34は、医療機関MIに一意に紐づけられた医療機関MIごとの情報である。医療機関情報34は、例えば、医療機関固有情報34aと、スケジュール情報34bと、医療費用情報34cと、を含む。
【0064】
医療機関固有情報34aは、管理システム10において医療機関MIを特定可能にする情報であり、例えば、医療機関MIのアカウント情報や識別番号等の固有の情報を含む。アカウント情報には、医療機関MIの端末のメールアドレスや、アカウント名、ログインパスワード等が含まれる。医療機関固有情報34aは、医療機関MIの名称や住所等のプロフィール情報を含む。医療機関MIのプロフィール情報には、医療機関MIの専門分野や対応可能な医療行為、医療機関の診療時間、所属する医師の情報等が含まれていてもよい。
【0065】
スケジュール情報34bは、利用者USが医療機関MIの予約をする際に利用される。スケジュール情報34bには、医療機関MIが、利用者USの予約を受け入れ可能な日時を示す情報が含まれる。利用者USの予約としては、例えば、ワクチン接種のための事前面談の予約や、ワクチン接種の予約、その他の検査等の医療行為の提供を受けるための予約等がある。スケジュール情報34bは、医療機関MIの端末を通じて定期的に更新される。
【0066】
医療費用情報34cは、ワクチン接種にかかる費用を示す費用情報の一例である。医療費用情報34cには、医療機関MIの検査や診察等の医療サービスの料金を示す情報がまとめられている。医療費用情報34cは、管理サーバ20の会計処理部25が、会計処理において、ワクチンの接種以外の医療サービスの費用について算出する際に参照される。
【0067】
図7は、渡航先情報35の内容を説明するための概略図である。渡航先情報35は、利用者USの渡航先となる各国の情報である。利用者USや医療機関MIへの提供を目的として準備された情報であり、管理システム10では、利用者USや医療機関MIの各端末を通じて参照可能に管理されている。
【0068】
渡航先情報35は、例えば、国情報35aと、推奨ワクチン情報35bと、医療情報35cと、を含む。国情報35aは、管理システム10において、渡航先の国を特定可能にする情報であり、例えば、国名や、国に固有の国コード等が含まれる。推奨ワクチン情報35bは、国ごとに予め設定された情報であり、その国に渡航する際に接種することが推奨されるワクチンの種類を示す情報である。
【0069】
医療情報35cは、渡航先となる国ごとの現在の医療の状況についての情報である。医療情報35cには、例えば、その国での現在の感染症の状況等の情報が含まれる。医療情報35cは、例えば、外務省のホームページ等、諸外国の医療に関する情報がまとめられたホームページから情報を取得可能なように、そのホームページへのリンク先を含む情報によって構成されてもよい。
【0070】
1-4.管理システムにおけるワクチン接種の管理の方法:
図8、および、
図9は、管理システム10で実行されるワクチン接種の管理の方法を説明するための説明図である。
図8、および、
図9には、利用者USがワクチン接種を受ける際の、管理システム10、利用者US、登録組織RO、および、医療機関MIのそれぞれにおける処理手順を示すフローチャートが並列に示されている。
図8には、利用者USがワクチン接種を受けるまでの処理が示されており、
図9には、利用者USがワクチン接種以後の処理が示されている。
【0071】
a.利用者の利用登録:
ステップS10では、利用者USが自身の端末を通じて、管理システム10に利用登録手続きを実行する。利用者USが既に登録済みである場合には、ステップS10は省略される。なお、登録組織ROがその構成員UMに渡航させる場合には、ステップS5に示すように、登録組織ROは構成員UMに対して、渡航と、ワクチン接種とを指示する。この場合において、構成員UMが管理システム10に利用者USとして登録されていない場合には、構成員UMは自身の端末を通じてステップS10の利用登録手続きを実行する。
【0072】
ステップS10では、まず、利用者USは、自身の端末を通じて管理システム10にアクセスする。本実施形態では、利用者USは、自身の端末のブラウザソフトによって、管理システム10がネットワークNT上に開設している操作ページにアクセスし、その操作ページに表示されている操作メニューから「登録手続き」を選択する。これによって、利用者USの端末には、利用者USの登録情報を入力するための登録画面が表示される。
【0073】
利用者USは、登録画面において、登録情報として、例えば、氏名や住所、アカウント名、メールアドレス、パスワード等、利用者情報32の個人情報32aとして登録される情報を入力する。また、利用者USが登録組織ROの構成員UMである場合には、自身の所属先の登録組織ROを登録情報として入力する。登録組織ROの入力は、プルダウンメニューで示される登録組織ROの一覧リストから選択する方式であってもよい。利用者USによる登録画面への入力が完了すると、入力された登録情報が管理サーバ20に送信される。
【0074】
ステップS15では、管理サーバ20の情報管理部23が登録処理を実行する。登録処理では、情報管理部23は、利用者USが管理システム10にアクセス可能にするための設定をするとともに、入力された登録情報を利用者情報32としてデータベース30に格納する。利用者USが、所属先として登録組織ROを入力している場合には、情報管理部23は、当該登録組織ROの端末に対して、構成員UMの認証のための処理を実行し、認証後に、当該構成員UMと登録組織ROとを紐づけて登録する。
【0075】
利用者USの登録が完了した後、情報管理部23は、利用者USの端末に登録が完了した旨を報知するメールを送信する。当該メールには、例えば、利用者USのログインページにリンクするURL情報等、利用者USが管理システム10にアクセスするための情報が含まれている。登録手続きの完了後には、利用者USは、自身の端末で管理システム10にアクセスして、管理システム10が提供するサービスを受けることが可能になる。
【0076】
b.事前面談の予約:
ステップS20では、利用者USは、自身の端末で管理サーバ20にアクセスして、医療機関MIとの事前面談の予約を行う。利用者USは、管理システム10にログインした後に端末に表示される操作画面において、操作メニューから「事前面談の予約」を選択する。これにより、利用者USの端末から管理サーバ20に事前面談予約処理の実行開始が依頼される。
【0077】
ステップS25では、管理サーバ20の情報管理部23が事前面談予約処理を開始する。情報管理部23は、まず、利用者USの端末に、ワクチン接種を依頼する医療機関MIを利用者USに選択させるための画面を表示させる。医療機関MIの選択は、プルダウンメニューで示される医療機関MIの一覧リストから選択する方式であってもよい。利用者USが医療機関MIを選択すると、その選択結果が管理サーバ20に送信される。
【0078】
管理サーバ20の情報管理部23は、データベース30から選択された医療機関MIのスケジュール情報34bを読み込む。情報管理部23は、スケジュール情報34bに基づいて、利用者USの端末に、予約可能な日時の候補を示す情報を含む画面を表示する。利用者USが、その画面を通じて、予約希望日を入力すると、情報管理部23は、選択されている医療機関MIの端末にアクセスして、利用者USの予約希望日を送信する。
【0079】
ステップS27では、医療機関MIの端末がその予約を受け付けて登録する。医療機関MIで予約が受け付けられると、情報管理部23は、利用者USの端末に予約が成立した旨のメッセージを送信する。この後、この予約の内容は、データベース30の利用者情報32の予約情報32cと、医療機関情報34のスケジュール情報34bとに反映され、利用者USと医療機関MIのそれぞれの端末から閲覧可能にされる。
【0080】
ステップS29では、管理サーバ20の情報管理部23は、事前面談の予約情報に基づいて、事前面談のリマインダ処理を実行する。情報管理部23は、利用者USによって予め設定されたリマインダ処理の設定に従って、事前面談の予約日に近づいた所定の日に、事前面談の予約日が近いことを報知するメールを、利用者USの端末に送信する。
【0081】
c.事前面談(ワクチン接種の予約):
ステップS30~S37は、事前面談での処理である。ステップS30では、利用者USは、事前面談を予約した医療機関MIにアクセスする。利用者USは、予約した日時に間に合うように医療機関MIに訪問する。なお、利用者USと医療機関MIの担当医師との事前面談は、ネットワークNTを通じてオンラインで行われてもよい。この場合には、ステップS30では、利用者USは、自身の端末を通じて医療機関MIの端末にアクセスし、事前面談をリモートで行う。
【0082】
ステップS32では、医療機関MIにおいて利用者USの事前面談が行われる。事前面談では、ステップS32aとして示すように、医療機関MIの端末によってデータベース30上の情報を閲覧しながら、担当医師による利用者USに対するインタビューが行われる。担当医師は、医療機関MIの端末を通じて管理システム10にアクセスし、医療機関MIの端末に、利用者情報32や、ワクチン情報31、渡航先情報35から取得した情報を表示させながら利用者USに対するインタビューを実施する。
【0083】
担当医師は、インタビューにより、利用者USの状況の確認が終了すると、管理システム10によって医療機関MIの端末に表示されている操作画面において、操作メニューから「ワクチン接種の予約」を選択する。これによって、ステップS35において、管理サーバ20の情報管理部23が、ワクチン接種の予約処理の実行を開始する。情報管理部23は、医療機関MIの端末に予約処理のための予約画面RSを表示させる。
【0084】
図10は、ワクチン接種の予約画面RSの一例を示す概略図である。予約画面RSには、担当医師がインタビューの内容に従って抽出した接種候補となるワクチンや、ワクチン接種に付随して行われる検査や診察などの医療サービスの項目の項目リストLSが表示される。利用者USが、渡航を予定している登録組織ROの構成員UMである場合には、当該項目リストLSには、登録組織ROが渡航先ごとに予め登録したワクチンセット情報33bに基づいたワクチンの一覧が表示される。
【0085】
項目リストLSには、利用者USの選択を入力するためのチェックボックスCBが設けられている。項目リストLSの横には、データベース30のワクチン情報31に基づいて、各ワクチンや医療サービスの内容の説明が表示される。当該説明の欄には、接種制限情報31eに基づいて、ワクチン接種の制限期間も表示される。また、当該説明の欄の横には、ワクチン情報31の来歴情報31cと在庫情報31fとに基づいて、各ワクチンの来歴についての情報と、当該医療機関MIでのワクチンの在庫の情報が表示される。
【0086】
利用者USが登録組織ROの構成員UMである場合には、予約画面RSには、登録組織ROの費用負担情報33cに基づいて、各ワクチンや医療サービスの項目について、登録組織ROによる費用の負担の有無が表示される。また、予約画面RSには、登録組織ROの費用負担情報33cに基づいて、各ワクチンや医療サービスの項目について、構成員UMの家族に対する費用負担の有無が表示される。
【0087】
担当医師は、予約画面RSに表示されたチェックボックスCBに対して、利用者USが接種を希望するワクチンや医療サービスの項目をチェックする。担当医師が、予約画面RSにおいて選択を完了する操作を行うと、その選択結果が、管理サーバ20に送信される。
【0088】
管理サーバ20では、情報管理部23は、データベース30上の医療機関情報34のスケジュール情報34bを参照して、選択されたワクチンごとに接種日時の候補を決定し、医療機関MIの端末に送信する。本実施形態では、情報管理部23は、接種日時の候補を決定する際に、接種制限情報31eを参照し、各ワクチンの接種を避けるべき制限期間を反映させる。情報管理部23は、各ワクチンの接種日時の間隔が、その制限期間より長くなるように、接種日時の候補を決定する。
【0089】
医療機関MIの端末では、予約画面に、管理サーバ20で決定されたワクチン接種の候補日時が表示される。利用者USは、その候補日時をそのまま受け入れることもできるし、担当医師と相談の上、医療機関MIの端末を通じて、その候補日時を修正することもできる。
【0090】
利用者USとの合意の下、担当医師が、医療機関MIの端末に表示されている予約画面において、ワクチン接種の候補日時を確定する操作を行うと、管理サーバ20では、情報管理部23が予約の登録を完了させる。情報管理部23は、予約された日時を、データベース30上の利用者情報32の予約情報32cと、医療機関情報34のスケジュール情報34bと、に反映させる。
【0091】
ステップS37では、情報管理部23は、予約処理で確定された予約内容を示すメールを利用者USの端末に送信する。これによって、情報管理部23によるワクチン接種の予約処理は完了する。
【0092】
予約処理の完了後には、ステップS38a,S38bとして示すように、利用者USのワクチンの接種予約の内容は、少なくとも、利用者US、および、医療機関MIのそれぞれの端末を通じて、任意のタイミングで、閲覧・確認することが可能である。利用者US、および、医療機関MIのそれぞれの端末からの操作により、管理サーバ20の情報管理部23は、利用者USのワクチンの接種予約の内容を示す確認画面を各端末に表示させる。なお、利用者USが登録組織ROの構成員UMである場合には、登録組織ROの端末からも構成員UMのワクチンの接種予約の内容を確認できるものとしてもよい。
【0093】
ステップS39では、管理サーバ20の情報管理部23は、利用者USのワクチン接種の予約情報32cに基づいてリマインダ処理を実行する。情報管理部23は、利用者USによって予め設定されたリマインダ処理の設定に従って、ワクチン接種の予約日に近づいた所定の日に、ワクチン接種の予約日が近いことを報知するメールを、利用者USの端末に送信する。
【0094】
d.ワクチン接種:
ステップS40~S48は、利用者USのワクチンの接種日に行われる処理である。
図8のステップS40では、利用者USは、ワクチンの接種の予約日時に合わせて医療機関MIを訪問する。ステップS45では、利用者USは、医療機関MIにおいて、予約した種類のワクチンの接種を受ける。
【0095】
図9のステップS46では、医療機関MIの担当者が、医療機関MIの端末を通じて、管理システム10にアクセスし、利用者USのワクチンの接種が完了したことを記録する。ワクチンの接種記録は、管理サーバ20の情報管理部23によって医療機関MIの端末に表示されるワクチン接種記録の入力画面を通じて行われる。ステップS48では、管理サーバ20の情報管理部23は、入力されたワクチンの接種記録の情報に基づいて、利用者情報32の接種履歴情報32dを更新する。
【0096】
接種履歴情報32dが更新された後には、ステップS49aとして示すように、利用者USは、ワクチンの接種履歴を確認することができる。また、ステップS49bとして示すように、登録組織ROは、構成員UMのワクチンの接種履歴を確認することができる。ステップS49a,S49bの利用者USのワクチンの接種履歴の確認は、接種履歴情報32dが更新された後には、任意のタイミングで可能である。
【0097】
e.ワクチン接種の会計処理:
ステップS50では、医療機関MIの会計担当者が、利用者USのワクチンの接種が完了したその日に、医療機関MIの端末を通じて、管理システム10に、利用者USのワクチンの接種費用を精算するための会計処理の実行を指示する。医療機関MIの会計担当者は、医療機関MIの端末によって管理システム10にアクセスし、医療機関MIの端末に表示される管理システム10の操作画面において、操作メニューから「ワクチン接種の会計」を選択することにより、管理サーバ20に指示する。
【0098】
管理システム10では、登録組織ROの構成員UMではない一般の利用者USの場合の会計処理と、利用者USが登録組織ROである場合の会計処理とが異なるため、以下では、それぞれについて分けて順に説明する。
【0099】
(i)一般の利用者の会計処理:
ステップS52では、管理サーバ20の会計処理部25は、データベース30に格納されたデータを用いて、利用者USが支払う費用を算出する。会計処理部25は、まず、利用者USの接種履歴情報32dから利用者USが接種したワクチンの種類と、利用者USが医療機関MIで受けた医療サービスの項目と、を特定する。会計処理部25は、費用情報である接種費用情報31dと医療費用情報34cとを参照して、そのワクチンの接種費用と医療サービスの費用とを求めて合算して、利用者USが支払うべき費用を算出する。ステップS53では、会計処理部25は、その費用の金額を示す請求情報IUを、医療機関MIの端末に送信する。
【0100】
ステップS54では、医療機関MIは、ワクチン接種を終えた利用者USに、その金額を請求する。利用者USは、ステップS56において、その費用を医療機関MIの会計窓口で支払う。ステップS58では、医療機関MIの会計担当者が、医療機関MIの端末を通じて、管理システム10にアクセスし、利用者情報32の個人会計情報32eに利用者USの支払いが完了したことを記録する。
【0101】
(ii)登録組織の構成員の会計処理:
利用者USが登録組織ROの構成員UMである場合には、会計処理部25は、ステップS52において、費用情報である接種費用情報31d、および、医療費用情報34cと、費用負担情報33cとに基づいて、構成員自身が負担する個人負担費用と、登録組織が負担する組織負担費用とを算出する。
【0102】
会計処理部25は、利用者USの接種履歴情報32dから利用者USが接種したワクチンの種類と、利用者USが医療機関MIで受けた医療サービスの項目と、を特定する。会計処理部25は、登録組織ROの費用負担情報33cを参照し、利用者USが接種したワクチンと、受けた医療サービスが、登録組織ROの負担となるか否かを判別する。会計処理部25は、費用情報である接種費用情報31dと医療費用情報34cとを参照して、構成員UMが負担する項目についての金額を求めて合算し、個人負担費用を算出する。また、会計処理部25は、登録組織ROの負担する項目についての金額を求めて合算し、組織負担費用を算出する。
【0103】
ステップS53では、会計処理部25は、個人負担費用の金額を示す請求情報IUaを、医療機関MIの端末に送信する。ステップS54では、医療機関MIは、ワクチン接種を終えた利用者USに、個人負担費用の金額を請求する。ステップS56では、利用者USが、その個人負担費用を支払う。すると、ステップS58において、医療機関MIの会計担当者が、医療機関MIの端末を通じて、管理システム10にアクセスして、利用者情報32の個人会計情報32eに利用者USの支払いが完了したことを記録する。
【0104】
会計処理部25は、さらに、ステップS60において、登録組織ROの端末に、組織負担費用の金額を示す請求情報IOを送信して、ワクチンの接種費用、および、医療サービスの費用のうち、登録組織ROの負担分を請求する。会計処理部25は、登録組織ROが予め設定している場合には、登録組織ROの負担分については、例えば、月単位など、予め定められた期間内に発生した構成員UMごとの組織負担費用を合算して、当該機関の末日等に一括請求する。
【0105】
ステップS62では、登録組織ROが、医療機関MIに組織負担費用を支払う。すると、ステップS63において、医療機関MIの会計担当者は、医療機関MIの端末を通じて、管理システム10にアクセスし、組織情報33の組織会計情報33dに登録組織ROの負担分の支払いが完了したことを記録する。
【0106】
以上により、管理システム10でのワクチン接種の会計処理が完了する。
【0107】
f.接種記録証の発行:
管理システム10では、利用者USは、医療機関MIでのワクチンの接種が完了した後の任意のタイミングで、ワクチンの接種を受けていることを証明する接種記録証を発行することができる。
【0108】
ステップS70では、利用者USは、自身の端末を通じて管理システム10にアクセスし、接種記録証の発行を依頼する。利用者USは、自身の端末に表示されている管理システム10の操作画面において、操作メニューから「接種記録証の発行」を選択する。利用者USは、次に端末に表示される入力画像を通じて、例えば、接種記録証で証明するワクチン等の接種記録証の記載事項を選択することが可能である。
【0109】
入力が完了すると、ステップS72において、管理サーバ20の情報管理部23が、接種記録証を発行する。情報管理部23は、接種記録証の発行を依頼した利用者USの接種履歴情報32dにアクセスして取得した情報を、予め準備されている接種記録証の所定のフォーマットデータに挿入することにより、接種記録証の電子データPDを生成する。
【0110】
接種記録証の電子データPDの種類は特に限定されることはなく、ラスターデータやベクターベータでもよく、所定のアプリケーションプログラム用の文書データでもよい。接種記録証の電子データPDは、例えば、PDFデータであってもよい。情報管理部23は、生成した接種記録証の電子データPDを利用者USの端末に送信する。
【0111】
1-5.管理システムにおいて得られる主な効果のまとめ:
第1実施形態の管理システム10によれば、登録組織ROの構成員UMのワクチンの接種費用について、予め設定されている費用負担情報33cに基づいて、登録組織ROの費用負担分が管理システム10から登録組織ROに請求される。また、構成員UMの費用負担分は医療機関MIから構成員UM個人に請求される。よって、構成員UMが登録組織ROの費用負担の立替払いをしなくても済み、登録組織ROが、その立替払いのための会計処理を行わなくても済むため、ワクチン接種のための会計処理が円滑化される。
【0112】
第1実施形態の管理システム10によれば、予め設定しておくことにより、登録組織ROの組織負担費用については、予め定められた期間内の構成員UMごとの費用を合算した金額が一括請求される。よって、登録組織ROでのワクチン接種のための会計処理をより一層、円滑化することができる。
【0113】
第1実施形態の管理システム10によれば、医療機関MIでの担当医師は、利用者USとの事前面談において、利用者USに対して直に聴き取りを行いながら、医療機関MIの端末を通じてワクチン接種の予約を行うことができる。よって、ワクチン接種に関して誤った予約がされることが抑制される。また、第1実施形態の管理システム10によれば、そのときの予約内容を、利用者USと医療機関のそれぞれの端末から容易に確認することが可能である。よって、ワクチン接種の予約の管理はより容易化される。
【0114】
第1実施形態の管理システム10によれば、登録組織ROは、その構成員UMが海外に渡航する際に接種すべきワクチンの種類を渡航先の国ごとにまとめたワクチンセット情報33bを、予めデータベース30に登録しておくことができる。これにより、登録組織ROは、構成員UMに対して、渡航する際に接種すべきであると定めているワクチンの接種を徹底させることが容易にできる。また、構成員UMは、医療機関MIでのトラベルワクチンの予約の際に、ワクチンセット情報33bに基づいて、接種すべきワクチンの選択を容易に行うことができる。よって、登録組織ROの構成員UMのトラベルワクチンの接種の管理を、より効率良く行うことができる。
【0115】
第1実施形態の管理システム10によれば、利用者USのワクチン接種の予約において接種されるワクチンが選択されると、管理サーバ20の情報管理部23が、接種制限情報31eに含まれるワクチンの制限期間を適用して、ワクチンの種類ごとに接種日時の候補を決定する。これによって、ワクチン接種のスケジュールをワクチンの種類に応じて適切に生成することができる。そのため、ワクチン接種の予約を、より容易に行うことができる。
【0116】
第1実施形態の管理システム10によれば、ワクチンの接種時期が近付いた利用者USの端末に、ワクチンの接種時期の到来を報知するメールが送信される。よって、利用者USがワクチン接種の予約を失念することを抑制でき、管理システム10によるワクチン接種の管理性をより一層、向上させることができる。
【0117】
第1実施形態の管理システム10によれば、管理サーバ20の情報管理部23は、利用者USの端末による利用者USの接種履歴情報32dへのアクセスを許容し、登録組織ROの端末による構成員UMの接種履歴情報32dへのアクセスを許容する。これにより、利用者USが自身のワクチンの接種履歴を容易に確認することができるとともに、登録組織ROが構成員UMのワクチンの接種履歴を容易に確認することもできる。よって、管理システム10によるワクチン接種の管理性をより一層、向上させることができる。
【0118】
第1実施形態の管理システム10によれば、管理サーバ20の情報管理部23が、利用者USからの依頼に応じて、接種履歴情報32dに基づいて、ワクチンの接種記録証の電子データPDを生成し、利用者USの端末に送信する。これにより、利用者USが、ワクチンの接種記録証をより容易に入手することができるため、利用者USにとっての利便性をより向上させることができる。
【0119】
1-6.第1実施形態のまとめ:
以上のように、第1実施形態の管理サーバ20、それを備える管理システム10、および、管理システム10における管理の方法によれば、登録組織RO、および、その構成員UMのワクチン接種に関する費用の会計処理を円滑化することができる。その他に、第1実施形態の管理サーバ20、それを備える管理システム10、および、管理システム10における管理の方法によれば、ワクチン接種の管理に関して、上記実施形態中で説明した様々な効果を奏することが可能である。
【0120】
2.第2実施形態:
図11は、第2実施形態の管理システム10Aの構成を示す概略図である。管理システム10Aは、代理店TAが追加されている点以外は、第1実施形態の管理システム10の構成とほぼ同じである。
【0121】
代理店TAは旅行業務を行う企業である。代理店TAの端末は、ネットワークNTに接続されている。代理店TAの端末は、ネットワークNTを通じて管理サーバ20と通信可能である。また、代理店TAの端末は、ネットワークNTを通じて利用者US、登録組織RO、および、医療機関MIの各端末と通信可能である。
【0122】
管理システム10Aでは、利用者UAや登録組織ROは、代理店TAを通じて、管理システム10Aに利用登録をすることが可能である。また、渡航を予定している一般の利用者USや構成員UMは、代理店TAを通じて、渡航の手配をするときに、代理店TAを通じて、管理システム10に対して、トラベルワクチンのためのサービスの提供を依頼することが可能である。構成員UMを含む利用者USは、管理システム10への利用登録手続きや、トラベルワクチンのための医療機関MIでの事前面談の予約等を、代理店TAの端末との通信によって行うことができる。さらに、登録組織ROは、代理店TAを通じて、構成員UMのトラベルワクチンの費用と旅行の準備・手配の費用とをまとめて精算することができる。
【0123】
第2実施形態の管理システム10によれば、利用者USは、医療機関MIでのトラベルワクチンの接種と並行して、代理店TAを通じて、例えば、旅券の発行等の渡航のための準備を行うことができ、その精算もまとめて行うことができる。また、代理店TAは、構成員UMの許諾の下、管理システム10から構成員UMのトラベルワクチンの接種記録証を取り寄せることが容易にできる。その他に、第2実施形態の管理システム10によれば、上記第1実施形態において説明した種々の効果を奏することができる。
【0124】
3.他の実施形態:
本開示の技術は、上述の第1実施形態や第2実施形態の構成に限定されることはない。例えば、以下のように改変することが可能である。
【0125】
3-1.他の実施形態1:
上記の各実施形態において、管理システム10は、利用者US、登録組織RO、および、医療機関MIは、予め各端末にインストールされた専用のアプリケーションプログラムを通じて、管理システム10にアクセス可能であるとしてもよい。この場合には、そのアプリケーションプログラムの実行画面を通じて、管理システム10に対する操作が可能であるとしてもよい。
【0126】
3-2.他の実施形態2:
上記の各実施形態で説明したデータベース30に格納されているデータの構成は一例にすぎない。データベース30に格納されているデータの構成は、
図1や、
図3~
図7に示した構成に限定されることはない。例えば、接種費用情報31dと医療費用情報34cとは、ワクチン接種にかかる接種費用の算出に用いられる費用情報としてデータベース30上でまとめられていてもよいし、費用負担情報33cや、個人会計情報32e、組織会計情報33d等も、データベース30上で会計情報としてまとめられていてもよい。また、接種制限情報31eは、医療機関情報34としてデータベース30に登録されていてもよい。
【0127】
3-3.他の実施形態3:
上記の各実施形態において、費用負担情報33cには、ワクチンの接種費用や医療機関で受けるサービスの費用に対する登録組織ROの負担割合が設定されていてもよい。この場合には、会計処理部25は、その負担割合を用いて、接種費用を、個人負担費用と組織負担費用とに按分してもよい。
【0128】
3-4.他の実施形態4:
上記の各実施形態において、費用情報である接種費用情報31dと医療費用情報34cのうち、医療費用情報34cは省略されてもよい。また、接種費用情報31dは、医療機関MIごとの金額をまとめた情報として、医療機関情報34に含まれていてもよい。
【0129】
3-5.他の実施形態5:
管理システム10のネットワークNTはインターネットに限定されない。管理システム10のネットワークNTは、例えば、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)であってもよい。
【符号の説明】
【0130】
10,10A…管理システム、20…管理サーバ、21…制御部、22…通信制御部、23…情報管理部、25…会計処理部、27…インターフェース管理部、30…データベース、31…ワクチン情報、31a…種類情報、31b…製造者情報、31c…来歴情報、31d…接種費用情報、31e…接種制限情報、31f…在庫情報、32…利用者情報、32a…個人情報、32b…所属情報、32c…予約情報、32d…接種履歴情報、32e…個人会計情報、33…組織情報、33a…組織固有情報、33b…ワクチンセット情報、33c…費用負担情報、33d…組織会計情報、34…医療機関情報、34a…医療機関固有情報、34b…スケジュール情報、34c…医療費用情報、35…渡航先情報、35a…国情報、35b…推奨ワクチン情報、35c…医療情報、CB…チェックボックス、IU,IUa,IO…請求情報、MI…医療機関、LS…項目リスト、NT…ネットワーク、PD…接種記録証の電子データ、RO…登録組織、RS…予約画面、TA…代理店、UM…構成員、US…利用者
【要約】
【課題】ワクチン接種の管理をより効率良く行える技術を提供する。
【解決手段】管理サーバは、登録組織の構成員を含む利用者のワクチン接種を管理する管理システムを構成する。管理サーバは、ネットワークを通じて、前記登録組織の端末と前記利用者の端末と医療機関の端末との通信を実行する通信制御部と、ワクチン情報と利用者情報と組織情報と医療機関情報と費用情報とをデータベース上で管理する情報管理部と、前記ワクチンの接種にかかる接種費用の会計処理を実行する会計処理部と、を備え、前記組織情報は、前記構成員の前記接種費用に関して、前記登録組織が負担する費用負担についての設定を示す費用負担情報を含み、前記会計処理部は、前記構成員の前記会計処理の際に、前記構成員の前記接種費用について、前記構成員自身が負担する個人負担費用と、前記登録組織が負担する組織負担費用とを算出する。
【選択図】
図1