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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-18
(45)【発行日】2024-07-26
(54)【発明の名称】水中油型固形化粧料及び化粧品
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/25 20060101AFI20240719BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20240719BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20240719BHJP
   A61Q 1/08 20060101ALI20240719BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20240719BHJP
   A61Q 1/10 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
A61K8/25
A61K8/06
A61K8/73
A61Q1/08
A61Q1/02
A61Q1/10
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020026402
(22)【出願日】2020-02-19
(65)【公開番号】P2021130625
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2022-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】591147339
【氏名又は名称】株式会社トキワ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】山脇 夕佳
(72)【発明者】
【氏名】石田 奈津子
【審査官】井上 莉子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-190835(JP,A)
【文献】特開2014-118386(JP,A)
【文献】特開2019-099480(JP,A)
【文献】国際公開第2017/188420(WO,A1)
【文献】特開2008-044920(JP,A)
【文献】特開2005-200407(JP,A)
【文献】特開2006-182736(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61Q
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
肌に直接当てて塗布するように立体成型された水中油型固形化粧料であって、
前記水中油型固形化粧料が、粉体成分と、ゲル化剤と、水溶性増粘剤(但し、カンテン及びジェランガムを除く)と、水と、油剤と、を含み、
前記粉体成分として、平均粒子径が10~200μmであり、アスペクト比が40~200である板状粉体を、化粧料全量基準で3~30質量%含有し、
前記ゲル化剤として、カンテンを、化粧料全量基準で0.5~3質量%含有する、水中油型固形化粧料。
【請求項2】
前記板状粉体が、合成金雲母、天然マイカ、金属酸化物被覆雲母及び金属酸化物被覆ガラス末からなる群より選択される少なくとも一種の粉体である、請求項1に記載の水中油型固形化粧料。
【請求項3】
前記水溶性増粘剤として、ポリアクリル酸アミド共重合体、キサンタンガム及びセルロース誘導体からなる群より選択される少なくとも一種を、化粧料全量基準で0.3~2.5質量%含有する、請求項1又は2に記載の水中油型固形化粧料。
【請求項4】
前記ゲル化剤として、ジェランガムを更に含有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の水中油型固形化粧料。
【請求項5】
前記水の含有量が、前記粉体成分の含有量以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載の水中油型固形化粧料。
【請求項6】
立体成型の形状が、円柱状の凸部、半球状の凸部、又は半球状に類似した凸部を有する形状である、請求項1~5のいずれか一項に記載の水中油型固形化粧料。
【請求項7】
容器と、容器に収納された請求項1~6のいずれか一項に記載の水中油型固形化粧料と、を備え、
前記容器が、前記水中油型固形化粧料を保持する容器本体を有し、前記水中油型固形化粧料が、前記容器本体から突出している状態で前記容器本体に保持されている、又は、
前記容器が、前記水中油型固形化粧料を収容する容器本体を有し、該容器本体は前記水中油型固形化粧料を保持するとともに前記容器本体から突出させることができる保持体を有する、化粧品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中油型固形化粧料及び化粧品に関する。
【背景技術】
【0002】
チーク、アイシャドウ、ファンデーション、口紅等のメークアップ化粧料は、金皿に充填された化粧料がコンパクト容器に収納された形態で利用されている。このような形態での化粧料は、塗布具を使用して肌へ塗布されるものが一般的である。
【0003】
近年、見栄えのよさといった視覚的な価値や利便性を高める目的で、化粧料の容器や化粧料本体の形状に工夫がなされている。例えば、下記特許文献1及び2には、立体的な構造をした化粧料が容器から突出した状態の製品が提案されている。このような形態の化粧料は、塗布具を使用せずに直接肌へ塗布することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-231968号公報
【文献】特開2006-182736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
化粧料を直接肌に当てて塗布する場合、みずみずしさ又は清涼感といった肌への心地よい使用感や肌への付着性に優れている等の使用性が求められる。上記特許文献1に記載の外用製品は、油性成分で構成されているため、べたつきが生じてしまう。上記特許文献2に記載の固形化粧料は、水性成分由来のみずみずしさがあるものの、使用性と耐久性との両立においては改善の必要がある。すなわち、化粧料を使用限界まで使いきるためには、肌との連続的な摩擦に耐えつつ使用途中でひび割れ等によって容器からの脱落が発生しないように立体形状を安定に保持できる耐久性が必要であるが、水が含まれる化粧料において、水を固形化する固化剤の配合によって化粧料を硬くするだけでは肌に化粧料を付着させにくくなり、使用感も損なわれてしまう。
【0006】
本発明は、みずみずしさ又は清涼感といった肌への心地よい使用感や肌への付着性に優れる使用性を有するとともに、耐久性に優れ、十分に使いきることができる水中油型固形化粧料及びそれを備える化粧品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、粉体成分と、ゲル化剤と、水溶性増粘剤と、水と、油剤と、を含む水中油型固形化粧料であって、粉体成分として、平均粒子径が10~200μmであり、アスペクト比が40~200である板状粉体を、化粧料全量基準で3~30質量%含有し、ゲル化剤として、カンテン及び/又はジェランガムを含有する、水中油型固形化粧料を提供する。
【0008】
本発明の水中油型固形化粧料によれば、所望の形状に成型することができ、成型体はみずみずしさ又は清涼感といった肌への心地よい使用感や肌への付着性に優れる使用性を有するとともに、耐久性に優れ、十分に使いきることができる。また、本発明の水中油型固形化粧料は、上記の特性に加えて、滑らかに塗布できるという滑らかさを有することもできる。
【0009】
上記板状粉体は、合成金雲母、天然マイカ、金属酸化物被覆雲母及び金属酸化物被覆ガラス末からなる群より選択される少なくとも一種の粉体であってもよい。
【0010】
本発明の水中油型固形化粧料は、上記水溶性増粘剤として、ポリアクリル酸アミド共重合体、キサンタンガム及びセルロース誘導体からなる群より選択される少なくとも一種を、化粧料全量基準で0.3~2.5質量%含有することができる。
【0011】
本発明の水中油型固形化粧料において、滑らかさ、肌への付着性等の使用性を一層向上させる観点から、カンテン及びジェランガムの含有量の合計が、化粧料全量基準で0.5~4質量%あることが好ましい。
【0012】
本発明の水中油型固形化粧料において、水の含有量が、粉体成分の含有量以上であることが好ましい。この場合、みずみずしい使用感が得られやすくなるとともに、化粧料を所定の型に充填することが容易となる。
【0013】
本発明の水中油型固形化粧料は、肌に直接当てて塗布するように立体成型されたものにすることができる。
【0014】
本発明はまた、容器と、容器に収納された上記本発明に係る水中油型固形化粧料と、を備え、容器が、水中油型固形化粧料を保持する容器本体を有し、水中油型固形化粧料が、容器本体から突出している状態で容器本体に保持されている、又は、容器が、水中油型固形化粧料を収容する容器本体を有し、容器本体は水中油型固形化粧料を保持するとともに容器本体から突出させることができる保持体を有する、化粧品を提供する。
【0015】
本発明の化粧品によれば、塗布具を使用せずに直接肌へ塗布することができ、みずみずしく清涼感のある使用感や肌への付着性に優れる使用性が得られるとともに、十分に使いきることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、みずみずしさ又は清涼感といった肌への心地よい使用感や肌への付着性に優れる使用性を有するとともに、耐久性に優れ、十分に使いきることができる水中油型固形化粧料及びそれを備える化粧品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る水中油型固形化粧料を備える化粧品を示す縦断面図である。
図2図1の化粧品の上蓋を外した状態を示す斜視図である。
図3】水中油型固形化粧料の他の立体形状を示す斜視図である。
図4図1及び図2中の容器本体を抽出して示す平面斜視図である。
図5図4に示す容器本体の底面斜視図である。
図6】水中油型固形化粧料を型と容器本体との間に画成される成形空間に充填する製造方法を示す状態説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[水中油型固形化粧料]
本実施形態の水中油型固形化粧料は、(A)粉体成分((A)成分という場合もある)と、(B)ゲル化剤((B)成分という場合もある)と、(C)水溶性増粘剤((C)成分という場合もある)と、(D)水((D)成分という場合もある)と、(E)油剤((E)成分という場合もある)と、を含有する。
【0019】
<(A)粉体成分>
粉体成分としては、化粧料に用いられる公知の粉体を配合することができ、体質粉体、着色顔料等が挙げられる。粉体は、球状、板状、針状等の形状;煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子径;多孔質、無孔質等の粒子構造等について特に限定されず用いることができる。(A)成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0020】
本実施形態の水中油型固形化粧料は、(A)成分として、平均粒子径が10~200μmであり、アスペクト比が40~200である板状粉体(以下、(A-1)成分ともいう)を含有することが好ましい。
【0021】
なお、板状粉体の平均粒子径とは、レーザー回折法による50%メジアン径を意味する。また、アスペクト比は、平均粒子径/平均厚みを意味する。厚みは電子顕微鏡観察により測定され、平均厚みは、測定した板状粉体の厚さの合計を測定個数で割った平均値である。
【0022】
本実施形態の水中油型固形化粧料は、耐久性の観点から、(A-1)成分として、平均粒子径が10~200μmである板状粉体を含むことが好ましく、平均粒子径が15~150μmである板状粉体を含むことがより好ましい。
【0023】
本実施形態の水中油型固形化粧料は、耐久性の観点から、(A-1)成分として、アスペクト比が40~150である板状粉体を含むことが好ましく、アスペクト比が60~150である板状粉体を含むことがより好ましい。
【0024】
(A-1)成分としては、合成金雲母(合成マイカ)、天然マイカ、タルク、セリサイト、硫酸バリウム、窒化ホウ素、雲母チタン、ガラス末、PET末、アルミナ等を用いることができる。(A-1)成分は、金属酸化物で被覆処理されてもよい。この場合、金属酸化物被覆による特性(例えばパール感、着色など)を水中油型固形化粧料に付与することができる。金属酸化物は、酸化チタン、酸化鉄、酸化クロム、酸化スズ、及び酸化アルミナのうちから1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、水相への分散性及び形状保持性の観点から、合成金雲母、天然マイカ、金属酸化物被覆雲母及び金属酸化物被覆ガラス末からなる群より選択される少なくとも一種の粉体を用いることが好ましく、耐久性と使用性をより高水準で満たす観点から、合成金雲母、天然マイカ及び金属酸化物被覆雲母からなる群より選択される少なくとも一種の粉体を用いることがより好ましい。
【0025】
(A-1)成分は、水相への分散性を阻害しない範囲であれば表面処理が施されてもよい。表面処理としては、金属石鹸、シリコーン化合物、フッ素化合物、界面活性剤、アミノ酸化合物等が挙げられる。
【0026】
水中油型固形化粧料における(A-1)成分の含有量は、充填を容易とし、使用性と耐久性とを両立する成型体を形成しやすくする観点から、化粧料全量基準で3~30質量%とすることができ、耐久性と使用感や充填性とをより高水準で両立させる観点から、4~30質量%であることがより好ましく、5~30質量%であることがさらに好ましく、7~25質量%であることがさらにより好ましく、10~20質量%であることが特に好ましい。
【0027】
本実施形態の水中油型固形化粧料は、(A-1)成分以外の板状粉体や、板状粉体以外の粉体成分を含むことができる。そのような粉体としては、例えば、黒酸化鉄、ベンガラ、黄酸化鉄、酸化コバルト、酸化クロム、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛等の無機性着色顔料、赤色228号、赤色226号、青色404号、赤色202号、黄色4号アルミニウムレーキ等の有機性着色顔料、雲母チタン、魚鱗箔、オキシ塩化ビスマス等のパール顔料、カルミン、ベニバナ等の天然色素、ガラス末、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、マイカ、合成マイカ、合成セリサイト、セリサイト、タルク、カオリン、炭化珪素、硫酸バリウム等の体質顔料や、架橋型ポリメチルメタクリレート、シリコーンエラストマー等の球状粉体を含有することができる。これらの粉体は、使用性や分散性等の向上を目的として、表面処理が施されていてもよい。表面処理としては、金属石鹸、シリコーン化合物、フッ素化合物、界面活性剤、アミノ酸化合物等が挙げられる。
【0028】
水中油型固形化粧料における(A)成分の含有量は、耐久性、使用感、及び充填性の観点から、化粧料全量基準で、3~40質量%であることが好ましく、3~35質量%であることがより好ましい。
【0029】
<(B)ゲル化剤>
ゲル化剤としては、化粧料に用いられる公知のゲル化剤を配合することができ、水を含む水性成分を固める効果があるものを用いることができる。(B)成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0030】
本実施形態の水中油型固形化粧料は、(B)成分として、カンテン及び/又はジェランガムを含むことが好ましい。
【0031】
水中油型固形化粧料における(B)成分の含有量の合計は、耐久性、及び、滑らかな塗布性や付着性等の使用性を一層向上させる観点から、化粧料全量基準で0.5~4質量%であることが好ましく、0.5~3.5質量%であることがより好ましく、1~3.0質量%であることがさらに好ましい。
【0032】
<(C)水溶性増粘剤>
水溶性増粘剤としては、(B)成分以外のものを用いることができ、セルロース系増粘剤、多糖類系増粘剤、粘土鉱物、アクリル酸共重合体増粘剤等が挙げられる。(C)成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0033】
セルロース系増粘剤としては、メチルセルロース、エチルセルロース、セルロースガム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体が挙げられる。
【0034】
多糖類系増粘剤としては、ペクチン、グアーガム、キサンタンガム、カラギーナン、ジェランガム、アラビアゴム等が挙げられる。
【0035】
アクリル酸共重合体増粘剤としては、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸アミド共重合体等が挙げられる。これらの中でも、ポリアクリル酸アミド共重合体が好ましく、共重合体成分にアクリロイルジメチルタウリン塩を含むポリアクリル酸アミド共重合体が好ましい。
【0036】
共重合成分としてアクリロイルジメチルタウリン塩を含むポリアクリル酸アミド共重合体としては、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VP)コポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウムメタクリル酸ベヘネス-25)クロスポリマー等が挙げられる。これらの中でも、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーが好ましい。またポリアクリル酸アミド共重合体を含有した市販品を用いることができる。
【0037】
本実施形態の水中油型固形化粧料は、(C)成分として、ポリアクリル酸アミド共重合体、キサンタンガム及びセルロース誘導体からなる群より選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。
【0038】
水中油型固形化粧料における(C)成分の含有量の合計は、耐久性、滑らかな塗布性、及び付着性の観点から、化粧料全量基準で、0.3~2.5質量%であることが好ましく、0.5~2.5質量%であることがより好ましく、0.5~2質量%であることがさらに好ましく、0.8~1.5質量%であることがさらにより好ましく、1.1~1.5質量%であることが特に好ましい。
【0039】
本実施形態の水中油型固形化粧料においては、(A-1)成分に対する(C)成分の割合[(C)成分の含有量]/[(A-1)成分の含有量]が、0.01~0.7であってもよく、耐久性、滑らかな塗布性、及び付着性の観点から、0.02~0.5であってもよく、0.05~0.3であってもよい。
【0040】
<(D)水>
本実施形態の水中油型固形化粧料における(D)成分の含有量は、みずみずしさの付与や、化粧料を所定の型に充填することが容易となる観点から、(A)成分の含有量以上であることが好ましい。
【0041】
また、充填性及び耐久性の観点から、(D)成分の含有量は、化粧料全量基準で、30~70質量%であることが好ましく、40~65質量%であることがより好ましい。
【0042】
<(E)油剤>
(E)成分としては、例えば、油脂、ロウ類、炭化水素、エステル油、高級アルコール、高級脂肪酸、シリコーン油、油溶性紫外線吸収剤等が挙げられる。(E)成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0043】
油脂としては、硬化ヒマシ油、水添ホホバ油、パーム油、モクロウ等の固形油脂、及び、ホホバ種子油、ヒマワリ種子油、オリーブ油、ヒマシ油、マカデミアナッツ油、ツバキ油、ナタネ油、アマニ油、トリグリセリン等の液状油脂が挙げられる。
【0044】
ロウ類としては、ミツロウ、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、コメヌカロウ、ヒマワリ種子ロウ、ヌカロウ、鯨ロウ、ラノリン等が挙げられる。
【0045】
炭化水素としては、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、セレシン、ワセリン、流動パラフィン、スクワラン、ミネラルオイル等が挙げられる。
【0046】
エステル油としては、トリベヘン酸グリセリル、コレステロール脂肪酸エステル、リンゴ酸ジイソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、2-エチルヘキサン酸セチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチルヘキシル、トリカプリル・カプリン酸グリセリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリイソステアリン酸ポリグリセリル、テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル、ジ-2-エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリエチルヘキサノイン、ダイマー酸エステル等が挙げられる。
【0047】
高級アルコールとしては、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール、オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール等が挙げられる。
【0048】
高級脂肪酸としては、ステアリン酸、オレイン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、イソステアリン酸、ベヘン酸、リノール酸、リノレイン酸等が挙げられる。
【0049】
シリコーン油としては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、メチルトリメチコン、等が挙げられる。
【0050】
水中油型固形化粧料における(E)成分の含有量の合計は、使用性の観点から、化粧料全量基準で0.1~20質量%であることが好ましく、0.5~15質量%であることがより好ましく、1~10質量%であることがさらに好ましく、1~5質量%であることがさらにより好ましい。
【0051】
<その他の成分>
本実施形態の水中油型固形化粧料は、上述した成分以外の成分を含むことができる。その他の成分としては、通常化粧品に使用される成分、例えば保湿剤や低級アルコールなどの水性成分、紫外線吸収剤、消泡剤、界面活性剤、防腐剤、ビタミン類、美容成分、酸化防止剤、香料等を必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。
【0052】
保湿剤としては、例えば、1,3-ブチレングリコール(BG)、ジプロピレングリコール(DPG)、グリセリン、1,2-ペンタンジオール、ソルビトール、マンニトール等の多価アルコールが挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0053】
低級アルコールとしては、例えば、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール等が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0054】
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤が挙げられ、両性界面活性剤、及び非イオン界面活性剤が好ましい。
【0055】
非イオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、グリセリンアルキルエーテル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル及び、それらのアルキレングリコール付加物、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーンなどが挙げられる。アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、スルホン酸塩、アルキル硫酸塩、ポリアスパラギン酸塩などが挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩などが挙げられる。両性界面活性剤としては、水添レシチン、カルボベタイン型両性界面活性剤、スルホベタイン型両性界面活性剤、アミノ酸型両性界面活性剤などが挙げられる。
【0056】
界面活性剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0057】
本実施形態の水中油型固形化粧料における界面活性剤の含有量は、化粧料全量を基準として、1質量%以下であることが好ましく、0.7質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましい。
【0058】
本実施形態の水中油型固形化粧料は、耐久性及び使用性の観点から、バルク硬度が0.2~1.5Nであることが好ましく、0.1~0.5Nであることがより好ましい。なお、化粧料のバルク硬度は、以下の測定方法により求められる。
【0059】
<バルク硬度の測定方法>
まず、加熱により溶融した化粧料を容量30mLのスクリューカップに充填し、25℃にて一晩放置した測定用サンプルを用意する。この測定用サンプルについて、FUDOHレオメーター RT-2002D・D((株)レオテック製)を用い、25℃にて、感圧軸3φ円柱状、針入速度6cm/min、針入深度10mmで硬度を測定する。
【0060】
本実施形態の水中油型固形化粧料は、肌に直接当てて塗布するように立体成型されていてもよい。立体成型の形状としては、半球状又は半球状に類似した凸部を有する形状とすることができる。この凸部が容器本体から突出するように化粧料を容器本体に保持させることで、凸部を肌に直接当てて塗布することができる。
【0061】
凸部は、ドーム状、ピラミッド状、ダイヤモンドカット状、円柱状に成型されていてもよく、花弁状のように意図的に高低差のある部分を設けるようなデザインであってもよい。
【0062】
本実施形態の水中油型固形化粧料は、単色であってもよく、多色であってもよい。多色の場合、例えば、異なる色の部位が一体に成型されていてもよい。
【0063】
本実施形態の水中油型固形化粧料の用途としては、チーク、アイシャドウ、ファンデーション、口紅、コンシーラー、ハイライター、化粧下地、アイブロウなどのメークアップ化粧料、美容液、保湿剤などのスキンケア化粧料、日焼け止め、練り香水などの身体用化粧料、一時染毛料などの整髪化粧料が挙げられる。
【0064】
[水中油型固形化粧料の製造方法]
本実施形態に係る水中油型固形化粧料の製造方法としては、例えば、(D)成分である水に、上述した(A)成分、(B)成分、(C)成分、(E)成分、及びその他の成分を混合し、この混合物を所定の容器本体に充填し、固化することにより得ることができる。
【0065】
混合の手順としては、例えば、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、及び必要に応じて界面活性剤を含む水相と、(E)成分及びその他の成分を含む油相とをそれぞれ調製し、水相に油相を加えて撹拌し乳化させてもよい。水相を調製するときの温度は、(B)成分及び(C)成分が溶解する温度であることが好ましい。油相を調製するときの温度は、(E)成分が溶解する温度であることが好ましい。
【0066】
水中油型固形化粧料の充填温度は、60~90℃とすることができ、水中油型固形化粧料の充填粘度が1,000~50,000mPa・sとなるように調整してもよい。充填粘度は、所定の充填温度におけるB型粘度計で測定した数値である。
【0067】
[化粧品]
本発明に係る化粧品は、容器と、容器に収納された、上述した本実施形態に係る水中油型固形化粧料とを備え、容器が、水中油型固形化粧料を保持する容器本体を有し、水中油型固形化粧料が、容器本体から突出している状態で容器本体に保持されている、又は、容器が、水中油型固形化粧料を収容する容器本体を有し、容器本体は水中油型固形化粧料を保持するとともに容器本体から突出させることができる保持体を有する。
【0068】
水中油型固形化粧料を収容する容器本体を有し、容器本体が水中油型固形化粧料を保持するとともに容器本体から突出させることができる保持体を有する容器としては、例えば、スティック状の形態を有する化粧料の繰り出しと繰り戻しが可能な機構を有する容器などの、口紅等に用いられる一般の容器を用いることができる。
【0069】
本実施形態においては、化粧料を繰り出す操作をしなくても使用することができ、利便性に優れるとの観点から、水中油型固形化粧料が、容器本体から突出している状態で容器本体に保持されていることが好ましい。以下、このような実施形態について、図1図6を参照しながら説明する。図1図5は、本実施形態に係る化粧品を示す図であり、図6は、容器に保持される凸状を成す水中油型固形化粧料の製造方法を示す図である。当該化粧品は、例えば、チーク、アイシャドウ、ファンデーション、口紅、コンシーラー、ハイライター、化粧下地、アイブロウなどのメークアップ化粧料、美容液、保湿剤などのスキンケア化粧料、日焼け止め、練り香水などの身体用化粧料、一時染毛料などの整髪化粧料に適用することができる。
【0070】
図1に示すように、本実施形態の化粧品は、水中油型固形化粧料2と、水中油型固形化粧料2を保持する中皿としての容器本体3を主体として、水中油型固形化粧料2を覆うようにして容器本体3の上部を覆う上蓋4及びこの容器本体3の下部を覆う底蓋5を具備する容器1と、を備える。容器本体3、上蓋4及び底蓋5は、例えば樹脂等で形成されて成る。
【0071】
図1図2図4、及び図5に示すように、容器本体3は、円筒形状を成し、図1及び図4に示すように、内周側に設けられる保持体3dが、図1及び図2に示すように、円筒空間を埋めるようにして上方に突出する略半球状の凸部2aが設けられている水中油型固形化粧料2を保持する構成とされている。図3は、水中油型固形化粧料の別の立体形状の例を示し、凸部2bがダイヤモンドカット状に成型されている。凸部の形状はこれらに限定されず、上述した形状などに適宜変更することができる。
【0072】
容器本体3は、図1及び図4に示すように、上部の外周面に沿って、上蓋4を着脱可能に装着するための雄螺子3cを備え、下部の外周面の開放端側に、図4に示すように、底蓋5との相対回転を拘束するための突状3bを周方向等配位置に複数個備えると共に、図1及び図4に示すように、この突状3bより上部位置に、底蓋5の上下方向の移動を拘束するための環状凸部3aを備えている。
【0073】
図1に示すように、上蓋4は、有底円筒状を成し、水中油型固形化粧料2に対向し当該水中油型固形化粧料2を上方から覆うドーム形状の覆部4aと、この覆部4aの周縁に連設される円環状の周壁部4bと、を備え、容器本体3の上部に外挿され、周壁部4bの内周面に形成される雌螺子4cが容器本体3の雄螺子3cに螺合することで、容器本体3に着脱可能に装着されている。
【0074】
容器本体3の雄螺子3cと上蓋4の雌螺子4cとの螺合にあっては、上蓋4の覆部4a内面の周壁部4b近傍位置に突設される円環状の凸部4dが、容器本体3の上端面に当接し、螺子3c,4c同士の締め過ぎが防止されている。
【0075】
底蓋5は、有底円筒状を成し、容器本体3の下部に外挿され、円環状を成す周壁の内周面に沿って形成される多数のローレット5bに容器本体3の突状3bが進入することで、容器本体3との相対回転が拘束されていると共に、周壁のローレット5bより上部の内周面に沿って形成される環状溝部5aに容器本体3の環状凸部3aが係合することで、容器本体3に回転方向・上下方向共に固定されている。
【0076】
本実施形態にあっては、水中油型固形化粧料2を保持する容器本体3の保持体3dが、円環状保持体3eと、放射状保持体3fと、を備える構成とされているが、保持体の形状は適宜変更することができる。
【0077】
円環状保持体3eは、図1に示すように、横断面矩形形状とされ、図1及び図4に示すように、複数個(図では三個)が同心円状に配設されている。これらの隣接する円環状保持体3e,3e同士は、図1に示すように、外側の円環状保持体が上部側に高くされ、具体的には、最内側の円環状保持体3eの上面3e1に比して中側の円環状保持体3eの上面3e2が高く、この中側の円環状保持体3eの上面3e2に比して最外側の円環状保持体3eの上面3e3が高く、且つ、これらの上面3e1,3e2,3e3が、略同角度で傾斜し上面同士が離間して連なる傾斜面に構成されている。そして、図1及び図4図5に示すように、上面3e1を備える最内側の円環状保持体3eに囲まれる開口3gが、後述の溶解状態の水中油型固形化粧料が流し込まれる充填口として設定されている。
【0078】
放射状保持体3fは、上面3e1を備える最内側の円環状保持体3eに連結されて当該最内側の円環状保持体3eから複数個(図では八個)が放射状に延び容器本体3の内周面に連結されている。これらの放射状保持体3fは、その上部が、円環状保持体3eの上部より下部側に位置するように円環状保持体3eを連結し、当該円環状保持体3eを容器本体3に支持させている。
【0079】
そして、これらの円環状、放射状保持体3e,3fを備える保持体3dが、図1に示すように、水中油型固形化粧料2に覆われた状態とされて当該水中油型固形化粧料2を保持する構成とされている。
【0080】
次に、図6を参照しながら、容器本体3の保持体3dに保持される水中油型固形化粧料2の製造について説明する。
【0081】
先ず、保持体7と、この保持体7の上方に、溶解状態の水中油型固形化粧料を吐出する充填ノズル8と、を備える製造機を用意する。
【0082】
次いで、ドーム形状の凹部6aを備える紅型(成形型)6に、容器本体3を逆さにして嵌め込み、紅型6を、保持体7にセットする。この紅型6は、例えばアルミニウム、樹脂、ゴム等で構成される。
【0083】
次いで、充填ノズル8から、熱溶解された状態の水中油型固形化粧料9を、容器本体3の開口3gを通して流し込む。
【0084】
すると、溶解状態の水中油型固形化粧料が、紅型6と容器本体3との間に画成される成形空間10に充填されていく。
【0085】
水中油型固形化粧料の充填は、水中油型固形化粧料が保持体3dを覆う迄行われる。水中油型固形化粧料は一色であってもよく、多色であってもよい。多色の場合、異なる色の水中油型固形化粧料を別々に充填してもよく、一度に充填してもよい。また、保持体7が回転体であり、充填ノズル8が複数の充填ノズルを備える場合、複数色以上の渦巻模様を形成することができる。すなわち、回転体が回転することで紅型6及び容器本体3が回転し、回転開始と同時、あるいは所定回転に達したところで、充填ノズルから熱溶解された状態の異色の水中油型固形化粧料が略同時に流し込まれることにより、渦巻模様が形成される。
【0086】
そして、水中油型固形化粧料が固化したら、紅型6から離型し、これにより、容器本体3の保持体3dに保持される略半球状の水中油型固形化粧料2が得られる。
【0087】
水中油型固形化粧料の充填温度は上述した条件とすることができる。
【0088】
そして、このような水中油型固形化粧料2を保持する容器本体3が得られたら、上蓋4をその開放端側から容器本体3の上部に外挿し、上蓋4と容器本体3とを相対回転しながら、上蓋4の雌螺子4cと容器本体3の雄螺子3cとを螺合していくことで、上蓋4を容器本体3に着脱可能に装着し、次いで、底蓋5をその開放端側から、上蓋4が装着された容器本体3の下部に外挿し、底蓋5のローレット5bに容器本体3の突状3bを進入させると共に、底蓋5の環状溝部5aと容器本体3の環状凸部3aとを係合することで、底蓋5を容器本体3に固着し、図1に示す化粧品が得られる。
【0089】
このような構成を有する化粧品によれば、略半球状の凸部を有する水中油型固形化粧料2が、複数の円環状保持体3eを挟むようにして当該円環状保持体3eに堅固に保持されているため、落下等の衝撃に起因する水中油型固形化粧料2の容器本体3からの離脱が防止されている。また、当該水中油型固形化粧料2は、さらに複数の放射状保持体3fを挟むようにして当該放射状保持体3fに堅固に保持されているため、水中油型固形化粧料2の容器本体3からの離脱が一層防止されている。
【0090】
次に、水中油型固形化粧料2を塗布する場合には、先ず、上蓋4と底蓋5を掴み、上蓋4と底蓋5とを相対回転しながら、上蓋4の雌螺子4cと容器本体3の雄螺子3cとの螺合を解除していき、上蓋4を容器本体3から抜脱して図2に示す状態とし、容器本体3から略半球状に突出する水中油型固形化粧料2を塗布すればよい。このような化粧品は、化粧料を繰り出す操作をしなくても使用することができ、利便性に優れる。
【0091】
この塗布に従って水中油型固形化粧料2は消費され、消費限界に近い円環状保持体3eの近傍に達するが、本実施形態に係る水中油型固形化粧料は形状保持性に優れることから、消費限界迄、みずみずしく清涼感のある使用感や肌への付着性に優れる使用性が得られながら、十分に使いきることができる。
【0092】
なお、底蓋5の環状溝部5aと容器本体3の環状凸部3aとを抜脱(着脱)可能な係合としても良い。このように構成することで、水中油型固形化粧料2の消費限界迄の消費により水中油型固形化粧料2を交換する必要が生じた場合に、容器本体3に対して、上蓋4を相対回転し螺合を解除して当該上蓋4を取り外すと共に、底蓋5を抜脱し係合を解除して当該底蓋5を取り外し、新規の水中油型固形化粧料2を保持する交換用の容器本体3に交換することが可能である。
【実施例
【0093】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、これらの実施例により本発明の技術範囲が限定されるものではない。なお、表中の数値は、化粧料基材全量を基準とする含有量(質量%)を示す。
【0094】
実施例に先立ち、各実施例で採用した評価方法を説明する。
【0095】
<化粧料の硬度>
化粧料のバルク硬度は、以下の測定方法により求めた。
まず、加熱により溶融した化粧料を容量30mLのスクリューカップに充填し、25℃にて一晩放置した測定用サンプルを用意した。この測定用サンプルについて、FUDOHレオメーター RT-2002D・D((株)レオテック製)を用い、25℃にて、感圧軸3φ円柱状、針入速度6cm/min、針入深度10mmで硬度を測定した。
【0096】
<ドーム形状の耐久性評価>
化粧品評価専門パネル10名に、実施例及び比較例の水中油型固形化粧料を腕の内側に塗布してもらい、下記の評価基準に従って5段階評価を行いサンプル毎に評点を付し、更に全パネルの評点の平均点を下記の判定基準に従って判定した。
[評点:評価基準]
5点:使い切れる
4点:ほぼ使い切れる
3点:3/4以上使える
2点:1/2以上使える
1点:1/4以上使える

[判定基準(評点の平均点)]
◎:4以上
○:3以上4未満
△:2以上3未満
×:2未満
【0097】
<使用性の評価>
化粧品評価専門パネル10名に、実施例及び比較例の水中油型固形化粧料を頬に塗布してもらい、滑らかな塗布性、みずみずしさや清涼感といった肌への心地よい使用感、肌への付きを総合的に使用性として評価してもらった。なお、使用性の評価は、下記の評価基準に従って5段階評価を行いサンプル毎に評点を付し、更に全パネルの評点の平均点を下記の判定基準に従って判定した。
[評点:評価基準]
5点:非常に良好
4点:良好
3点:普通
2点:やや不良
1点:不良

[判定基準(評点の平均点)]
◎:4以上
○:3以上4未満
△:2以上3未満
×:2未満
【0098】
(実施例1~24及び比較例1~10)
表1~4に示す組成(質量%)の水中油型固形化粧料(チーク)を以下の製法により調製し、上記の評価を行った。その結果を併せて表1~4に示す。
【0099】
<製法>
先ず、精製水に、水相成分を分散し、この分散液を90℃以上に加熱溶解し、水相部とした。続いて、水相部に、油相成分が均一混合された油相部を加えて十分に撹拌、乳化した。得られた溶液を60℃以上で所定の型に充填し、これを冷却することにより、図1に示されるものと同様の形状を有する水中油型固形化粧料を得た。そして、得られた固形化粧料を、水中油型固形化粧料の凸部が露出される所定の容器内に移し、これを試料とした。
【0100】
【表1】
【0101】
【表2】
【0102】
【表3】
【0103】
【表4】
【0104】
表1~4中、各原料の詳細は下記のとおりである。
<粉体成分>
合成金雲母1:「PDM-10L」(トピー工業社製、製品名、平均粒子径:12μm、アスペクト比:60)
合成金雲母2:「PDM-20L」(トピー工業社製、製品名、平均粒子径:20μm、アスペクト比:70)
合成金雲母3:「PDM-40L」(トピー工業社製、製品名、平均粒子径:40μm、アスペクト比:80)
合成金雲母4:「PDM-10S」(トピー工業社製、製品名、平均粒子径:12μm、アスペクト比:25)
合成金雲母5:「PDM-5L」(トピー工業社製、製品名、平均粒子径:7μm、アスペクト比:40)
天然マイカ1:「マイカ♯2000」(脇田砿業社製、製品名、平均粒子径:27.5μm、アスペクト比:42.5)
天然マイカ2:「マイカ粉SA-350」(ヤマグチマイカ社製、製品名、平均粒子径:42μm、アスペクト比:80)
天然マイカ3:「セリサイトLQ-15」(オーケム通商社製、製品名、平均粒子径:9μm、アスペクト比:22)
天然マイカ4:「セリサイトFSE」(三信鉱工社製、製品名、平均粒子径:7μm、アスペクト比:40)
雲母チタン1:「Cosmetica Glitter White 9000E」(CQV社製、製品名、平均粒子径:45~50μm、アスペクト比:145)
酸化チタン被覆ガラス末1:「マイクログラスメタシャイン MT1080RS」(日本板硝子社製、製品名、平均粒子径:80μm、アスペクト比:80)
酸化チタン被覆ガラス末2:「マイクログラスメタシャイン MT1120RS」(日本板硝子社製、製品名、平均粒子径:120μm、アスペクト比:120)
タルク:「タルク MS-KY」(日本タルク社製、製品名、平均粒子径:23μm、アスペクト比:25)
球状シリカ:「SILICA MICRO BEAD BA-1」(日揮触媒化成社製、製品名、平均粒子径:16μm)
着色剤:酸化鉄、酸化チタン、及び赤226
【0105】
<水溶性増粘剤>
ポリアクリル酸アミド共重合体1:「SEPINOV EMT 10」(SEPPIC社製、製品名)(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーを90質量%含有する混合物)
【0106】
(実施例25:チーク)
<水相>
(成分) (配合割合(質量%))
精製水 残余
(A-1)合成金雲母3 11.0
(A-1)合成金雲母1 2.0
赤226 0.5
黄酸化鉄 0.9
ベンガラ 0.2
酸化チタン 0.1
(B)カンテン 2.3
(C)ポリアクリル酸アミド共重合体2 3.0
(C)キサンタンガム 0.1
BG 7.5
DPG 9.0
グリセリン 8.5
水添レシチン 0.1
PEG-60水添ヒマシ油 0.3
防腐剤 適量
<油相>
(成分) (配合割合(質量%))
エチルヘキサン酸セチル 1.5
消泡剤 適量
酸化防止剤 適量

上記成分の詳細は、以下に示す成分以外はすでに上述したものと同様である。
ポリアクリル酸アミド共重合体2:製品名「SIMULGEL EG」(SEPPIC社製)(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーを40質量%含有する混合物
【0107】
<製法>
先ず、精製水に、水相成分を分散し、この分散液を90℃以上に加熱溶解し、水相部とした。続いて、水相部に、油相成分が均一混合された油相部を加えて十分に撹拌、乳化した。得られた溶液を60℃以上で所定の型に充填し、これを冷却することにより、図1に示されるものと同様の形状を有する水中油型固形化粧料を得た。そして、得られた固形化粧料を、水中油型固形化粧料の凸部が露出される所定の容器内に移し、これを試料とした。
【0108】
<評価>
得られたチークについて、上記同様の評価を行ったところ、硬度が0.4N、耐久性が「◎(4.2)」、使用性が「○」の評価であった。
【0109】
(実施例26:ハイライター)
<水相>
(成分) (配合割合(質量%))
精製水 残余
(A-1)合成金雲母3 9.0
(A-1)雲母チタン1 3.0
雲母チタン 2.0
酸化チタン 0.2
(B)カンテン 2.0
(C)セルロースガム 1.0
(C)キサンタンガム 0.1
(B)ジェランガム 0.1
BG 10.0
DPG 6.0
グリセリン 8.0
水添レシチン 0.1
PEG-60水添ヒマシ油 0.3
防腐剤 適量
<油相>
(成分) (配合割合(質量%))
ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール 1.0
スクワラン 0.5
消泡剤 適量
酸化防止剤 適量

上記成分の詳細は、すでに上述したものと同様である。
【0110】
<製法>
先ず、精製水に、水相成分を分散し、この分散液を90℃以上に加熱溶解し、水相部とした。続いて、水相部に、油相成分が均一混合された油相部を加えて十分に撹拌、乳化した。得られた溶液を60℃以上で所定の型に充填し、これを冷却することにより、図1に示されるものと同様の形状を有する水中油型固形化粧料を得た。そして、得られた固形化粧料を、水中油型固形化粧料の凸部が露出される所定の容器内に移し、これを試料とした。
【0111】
<評価>
得られたハイライターについて、上記同様の評価を行ったところ、硬度が0.38N、耐久性が「◎(4.5)」、使用性が「◎」の評価であった。
【0112】
(実施例27:ファンデーション)
<水相>
(成分) (配合割合(質量%))
精製水 残余
(A-1)合成金雲母3 *1 5.0
表面処理酸化チタン *1 11.0
表面処理黄酸化鉄 *1 2.0
表面処理ベンガラ *1 0.3
(B)カンテン 2.0
(C)ポリアクリル酸アミド共重合体1 1.0
(B)ジェランガム 0.2
BG 10.0
DPG 4.0
グリセリン 11.0
水添レシチン 0.5
防腐剤 適量
<油相>
(成分) (配合割合(質量%))
メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 6.0
オクトクレリン 3.0
ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン 3.0
消泡剤 適量
酸化防止剤 適量

上記成分の詳細は、すでに上述したものと同様である。
ただし、*1については、粉体100質量部に対し、アルキルシラン3質量部及び水添レシチン3質量部により処理が施されたものである。
【0113】
<製法>
先ず、精製水に、水相成分を分散し、この分散液を90℃以上に加熱溶解し、水相部とした。続いて、水相部に、油相成分が均一混合された油相部を加えて十分に撹拌、乳化した。得られた溶液を60℃以上で所定の型に充填し、これを冷却することにより、図1に示されるものと同様の形状を有する水中油型固形化粧料を得た。そして、得られた固形化粧料を、水中油型固形化粧料の凸部が露出される所定の容器内に移し、これを試料とした。
【0114】
<評価>
得られたファンデーションについて、上記同様の評価を行ったところ、硬度が0.4N、耐久性が「○(3.5)」、使用性が「○」の評価であった。
【0115】
(実施例28:アイシャドウ)
<水相>
(成分) (配合割合(質量%))
精製水 残余
(A-1)合成金雲母3 10.0
(A-1)雲母チタン2 4.5
(A-1)ベンガラ被覆雲母チタン1 1.5
(B)カンテン 2.3
(C)ポリアクリル酸アミド共重合体1 1.2
(B)ジェランガム 0.1
(C)キサンタンガム 0.1
BG 6.8
DPG 9.0
グリセリン 8.5
水添レシチン 0.1
PEG-60水添ヒマシ油 0.3
防腐剤 適量
<油相>
(成分) (配合割合(質量%))
ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール 1.1
スクワラン 0.5
消泡剤 適量
酸化防止剤 適量

上記成分の詳細は、以下に示す成分以外はすでに上述したものと同様である。
雲母チタン2:「FLAMENCO SPARKLE GOLD」(メルク社製、製品名、平均粒子径:44μm、アスペクト比:94)
ベンガラ被覆雲母チタン1:「Colorona Sienna」(BASF社製、製品名、平均粒子径:22μm、アスペクト比:75)
【0116】
<製法>
先ず、精製水に、水相成分を分散し、この分散液を90℃以上に加熱溶解し、水相部とした。続いて、水相部に、油相成分が均一混合された油相部を加えて十分に撹拌、乳化した。得られた溶液を60℃以上で所定の型に充填し、これを冷却することにより、図1に示されるものと同様の形状を有する水中油型固形化粧料を得た。そして、得られた固形化粧料を、水中油型固形化粧料の凸部が露出される所定の容器内に移し、これを試料とした。
【0117】
<評価>
得られたアイシャドウについて、上記同様の評価を行ったところ、硬度が0.55N、耐久性が「◎(5.0)」、使用性が「○」の評価であった。
【0118】
(実施例29:スティック状チーク)
<水相>
(成分) (配合割合(質量%))
精製水 残余
(A-1)合成金雲母3 12.0
酸化チタン 1.5
ベンガラ 0.4
(B)カンテン 2.6
(C)ポリアクリル酸アミド共重合体1 1.2
(B)ジェランガム 0.1
(C)キサンタンガム 0.1
BG 10.8
DPG 6.0
グリセリン 8.5
水添レシチン 0.1
PEG-60水添ヒマシ油 0.3
防腐剤 適量
<油相>
(成分) (配合割合(質量%))
ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール 1.6
消泡剤 適量
酸化防止剤 適量

上記成分の詳細は、すでに上述したものと同様である。
【0119】
<製法>
先ず、精製水に、水相成分を分散し、この分散液を90℃以上に加熱溶解し、水相部とした。続いて、水相部に、油相成分が均一混合された油相部を加えて十分に撹拌、乳化した。得られた溶液を60℃以上で所定の型に充填し、これを冷却することにより、スティック形状を有する水中油型固形化粧料を得た。そして、得られた固形化粧料を、水中油型固形化粧料の繰り出される所定の容器内に移し、これを試料とした。
【0120】
<評価>
得られたスティック状チークについて、上記同様の評価を行ったところ、硬度が0.75N、耐久性が「○(3.2)」、使用性が「○」の評価であった。
【符号の説明】
【0121】
1…容器、2…水中油型固形化粧料、3…容器本体、3d…保持体、3e…円環状保持体、3e1,3e2,3e3…円環状保持体上面、3f…放射状保持体、3g…充填口(開口)、4…上蓋、5…底蓋、6…紅型(型)、6a…紅形の凹部、7…保持体、8…充填ノズル、9…溶解状態の水中油型固形化粧料、10…成形空間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6