(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-18
(45)【発行日】2024-07-26
(54)【発明の名称】収穫機
(51)【国際特許分類】
A01D 17/00 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
A01D17/00
(21)【出願番号】P 2020101828
(22)【出願日】2020-06-11
【審査請求日】2023-03-02
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000188009
【氏名又は名称】松山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】小畑 真人
(72)【発明者】
【氏名】湯原 光治
(72)【発明者】
【氏名】小林 信也
【審査官】星野 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-282642(JP,A)
【文献】特開平05-168319(JP,A)
【文献】特開2000-032828(JP,A)
【文献】特開2005-287443(JP,A)
【文献】実開昭49-093825(JP,U)
【文献】特開2000-102308(JP,A)
【文献】コバシ甘しょハーベスター 2019年版,説明書,日本,小橋工業株式会社,2019年,第21ー28頁,https://www.kobashiindustries.com/cms/wp-content/uploads/2020/10/HP600_0205190_010.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機枠と、
前記機枠に設けられた変速機
である減速機と、
収穫物を搬送する収穫物搬送手段とを備え、
前記収穫物搬送手段は、前側の第1搬送部分及び後側の第2搬送部分を有し、前記第1搬送部分が前記第2搬送部分に対して上下方向に回動可能となっており、
前記
減速機は、
複数個のギヤを有する変速手段
である減速手段及びこの
減速手段
の前記複数個のギヤが回転可能に収納された収納ケースを有し、
前記第2搬送部分は、少なくとも前記
減速機の前記収納ケースによって直接支持されている
ことを特徴とする収穫機。
【請求項2】
機枠と、
前記機枠の前部の左右両側に設けられた左右の取付体と、
前記機枠の後部の左右いずれか一方側に設けられた変速機
である減速機と、
前記機枠の後部の左右いずれか他方側に設けられた支持体と、
収穫物を搬送する収穫物搬送手段とを備え、
前記収穫物搬送手段は、前側の第1搬送部分及び後側の第2搬送部分を有し、前記第1搬送部分が前記第2搬送部分に対して上下方向に回動可能となっており、
前記
減速機は、
複数個のギヤを有する変速手段
である減速手段及びこの
減速手段
の前記複数個のギヤが回転可能に収納された収納ケースを有し、
前記第2搬送部分は、前記左右の取付体及び前記支持体によって支持されるとともに、前記
減速機の前記収納ケースによって直接支持されている
ことを特徴とする収穫機。
【請求項3】
減速機の
箱状の収納ケースは、
当該収納ケースの側板部の上部に設けられた板状の取付部を有し、
収穫物搬送手段の第2搬送部分は、前記取付部に取り付けられた側板を有する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の収穫機。
【請求項4】
収納ケースは、収穫物搬送手段の第2搬送部分の側板の下端部に沿った前低後高の傾斜状の上傾斜板部を有し、
前記収納ケースの取付部は、上側部分が前記上傾斜板部よりも上方に位置する取付板を有する
ことを特徴とする請求項3記載の収穫機。
【請求項5】
収納ケースの取付部の取付板には、取付具を挿入する取付用孔が形成されている
ことを特徴とする請求項4記載の収穫機。
【請求項6】
収穫物搬送手段は、前側の第1搬送部分であるコンベヤ前側部分及び後側の第2搬送部分であるコンベヤ後側部分の2つの部分のみで構成されている
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一記載の収穫機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軽量化を図ることができる収穫機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記の特許文献1に記載された収穫機が知られている。この従来の収穫機は、掘取刃を先端部に有した掘取搬送手段と、この掘取搬送手段からの収穫物を搬送する選別搬送手段と、選別後の収穫物が収納されるコンテナを支持するコンテナ支持体とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そして、近年では、この種の収穫機においては、比較的軽いものが求められ、軽量化が要望されている。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、軽量化を図ることができる収穫機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の収穫機は、機枠と、前記機枠に設けられた変速機と、前記変速機によって支持された収穫物搬送手段とを備えるものである。
【0007】
請求項2記載の収穫機は、機枠と、前記機枠の一方側に設けられた変速機と、前記機枠の他方側に設けられた支持体と、前記変速機及び前記支持体によって支持された収穫物搬送手段とを備えるものである。
【0008】
請求項3記載の収穫機は、請求項1又は2記載の収穫機において、変速機は、変速手段を収納する収納ケースを有し、収穫物搬送手段は、前記収納ケースによって支持されているものである。
【0009】
請求項4記載の収穫機は、請求項3記載の収穫機において、収納ケースは、取付部を有し、収穫物搬送手段は、前記取付部に取り付けられた側板を有するものである。
【0010】
請求項5記載の収穫機は、請求項4記載の収穫機において、収納ケースは、収穫物搬送手段の側板の下端部に沿った傾斜状の上傾斜板部を有するものである。
【0011】
請求項6記載の収穫機は、請求項1ないし5のいずれか一記載の収穫機において、変速機は、駆動源側からの動力を変速して収穫物搬送手段側に供給するもので、前記収穫物搬送手段の後端部の近傍に配置されているものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る収穫機の右側の側面図である。
【
図2】同上収穫機の格納姿勢の左側の側面図である。
【
図6】(a)ないし(c)は同上収穫機が備える安全体を示す図である。
【
図7】同上収穫機が備える振動手段を示す図である。
【
図8】(a)ないし(c)は同上収穫機が備える減速機を示す図である。
【
図10】同上収穫機が備える動力伝達手段を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施の形態について
図1ないし
図8を参照して説明する。
【0015】
図1ないし
図5において、11は農作業機である収穫機で、この収穫機11は、圃場の収穫物(農作物)Wの収穫作業を行うための小型の自走式収穫装置である。収穫対象である収穫物Wは、例えば圃場の土中に生育した略球形状の馬鈴薯である。なお、収穫物Wは、馬鈴薯以外に、例えば薩摩芋、玉葱、人参等でもよい。
【0016】
収穫機11は、機枠12に設けられた駆動源であるエンジン13と、機枠12に設けられエンジン13からの動力に基づいて作動する変速可能な左右の走行手段であるクローラ14と、同じくエンジン13からの動力に基づいて作動して収穫物Wを搬送する変速可能な収穫物搬送手段であるコンベヤ15と、このコンベヤ15の搬送部16を上下方向に振動させるための振動手段17とを備えている。
【0017】
そして、コンベヤ15は、前側の第1搬送部分であるコンベヤ前側部分15aと、後側の第2搬送部分であるコンベヤ後側部分15bとを有し、コンベヤ前側部分15aが左右方向の回動中心軸22を中心としてコンベヤ後側部分15bに対して上下方向に回動可能となっている。
【0018】
具体的には、回動部分であるコンベヤ前側部分15aは、駆動手段であるシリンダ21の伸縮(作動)に基づいて、回動中心軸22を中心としてコンベヤ後側部分15bに対して上下方向に回動可能となっている。そして、コンベヤ前側部分15aは、シリンダ21の伸び動作に基づく上方回動により非作業状態(格納状態)となり、シリンダ21の縮み動作に基づく下方回動により作業状態となる。また、このコンベヤ前側部分15aは、掘取刃23及びゲージ輪24を有し、このゲージ輪24の高さ位置(上下位置)は調整ハンドル25によって調整可能である。
【0019】
なお、コンベヤ15は、互いに離間対向する左右の側板46(46a,46b)を有している。つまり、コンベヤ前側部分15aは左右の側板46aを有し、かつ、コンベヤ後側部分15bは左右の側板46bを有しており、前側の側板46aが後側の側板46bに対して上下方向に回動可能となっている。また、コンベヤ後側部分15bにおける左右の側板46bの下端部間には、搬送部16の土落下開口20から落下した土を案内する前下り傾斜状の底板ガイド(底板)55が架設されている。この底板ガイド55は、左右両端部に立上板部55aを有し、この立上板部55aが側板46bの下端部外面に取り付けられている。
【0020】
また、収穫機11は、作業者が座る左右の座席26と、この各座席26の近傍に設けられたステップ27と、左側の座席26に座った作業者が操作可能な操作手段28と、収穫物収納容器であるコンテナ(収穫物Wが収納される容器)が載置される前コンテナ台29、後コンテナ台30及び補助コンテナ台40とを備えている。
【0021】
前コンテナ台29は座席26よりも前方側に配置され、後コンテナ台30及び補助コンテナ台40が座席26よりも後方側に配置されている。後コンテナ台30は、コンベヤ15のコンベヤ後側部分15bの後端部に設けられている。また、操作手段28は、各種の操作レバーや操作スイッチ等からなるもので、例えば主クラッチレバー61、補助クラッチレバー62、エンジン停止スイッチ63等を有している。
【0022】
さらに、収穫機11は、コンベヤ後側部分15bに対するコンベヤ前側部分15aの上方回動時における作業者の安全を図るための左右の安全体71を備えている。そして、この収穫機11では、シリンダ21の作動により所定位置(例えば上限位置である非作業位置)まで上方回動した非作業状態のコンベヤ前側部分15aの下方回動を安全体71によって規制可能な構成となっている。つまり、この安全体71は、シリンダ21の故障等による非作業状態のコンベヤ前側部分15aの落下(自重による下方回動)を防止する落下防止機能を兼ね備えたものである。
【0023】
ここで、安全体71は、
図6(a)ないし(c)にも示すように、コンベヤ前側部分15aの側板46aに立設された取付部材(ゲージ輪用の取付フレーム)72に連結ピン73を介して回動可能に連結された長手状の安全カバー部材76と、この安全カバー部材76をコンベヤ後側部分15bの側板46bに対して固定(ロック)するための固定部材である着脱ピン77とを有している。
【0024】
安全カバー部材76は、作業者が前後の側板46(46a,46b)間で手等を挟まないようにコンベヤ15の両部分15a,15bの側板46(46a,46b)の上方部を同時に覆う断面コ字状の長手状部材である。この安全カバー部材76の後端部の上側には作業用孔(スライド用孔)78が形成され、その後端部の下側には固定用孔79が形成されている。
【0025】
着脱ピン77は、安全カバー部材76に対して着脱可能な頭付きピン部材である。この着脱ピン77は、丸軸状の軸部81と、この軸部81の基端に設けられた頭部82とを有している。軸部81の先端部には先端側孔83が形成され、軸部81の基端部には基端側孔84が形成されている。
【0026】
コンベヤ後側部分15bの側板46bは、鉛直状の側板部86と、この側板部86の上端部から内側(搬送部16側)に向かって突出する上板部87と、この上板部87の内端部から下方に向かって突出する突出板部88とを有している。側板部86の内面の所定部分には補強部材(例えば補強座金等)90が溶接固定されている。これら補強部材90及び側板部86には、固定用孔91,92がそれぞれ形成されている。
【0027】
そして、
図4、
図6(a)及び(b)に示すように、作業時には、着脱ピン77は、安全カバー部材76の作業用孔78に挿入され、その後に基端側孔84に挿入されたRピン(抜止用ピン)93によって当該作業用孔78から抜け出ない状態とされ、この状態で、当該着脱ピン77は、シリンダ21の作動に基づくコンベヤ前側部分15aの回動に応じてコンベヤ後側部分15bの側板46(46b)の上板部87の上面87a上をこの上面87aと線状に接触した状態で当該上面87aに沿ってスライドする。なおこのとき、例えば収穫物W、土、作業者の手等との当接によってRピン93が抜けることがないように、Rピン93は基端側孔84に挿入されて安全カバー部材76内に位置している。
【0028】
また、
図2、
図6(c)に示すように、非作業時(格納時)には、着脱ピン77は、互いに対向したピン挿入孔である固定用孔79,91,92に挿入され、その後に先端側孔83に挿入されたRピン93によって当該固定用孔79,91,92から抜け出ない状態にされる。
【0029】
そして、この状態において、例えばシリンダ21の故障等が原因で非作業状態のコンベヤ前側部分15aが自重で下方回動しようとした場合でも、コンベヤ後側部分15bに対して固定された固定状態(ロック状態)の安全体71によって非作業状態のコンベヤ前側部分15aの下方回動が規制され、当該非作業状態が維持される。なおこのとき、Rピン93を着脱ピン77に対して容易に脱着できるように、Rピン93は先端側孔83に挿入されて安全カバー部材76外に位置している。
【0030】
また一方、コンベヤ15は、非作業時に前後の長さが短くできるように互いに回動可能に連結されたコンベヤ前側部分15a及びコンベヤ後側部分15bを有した折畳み可能なもので、圃場における畝の土中に植生した収穫物Wをその土中から掘り取って斜め上方の搬送方向に搬送する掘取搬送装置(収穫物搬送手段)である。
【0031】
このコンベヤ15は、当該コンベヤ15上に収穫物Wとともに搬入された圃場の土を土落下開口(隣り合う搬送バー43間の間隙)20から落下させながら収穫物Wを斜め上後方(搬送方向)に向けて搬送する回行可能な無端状の搬送部16を有している。なお、搬送部16の前側部分はコンベヤ前側部分15aの一部であり、搬送部16の後側部分はコンベヤ後側部分15bの一部である。
【0032】
搬送部16は、前端部に位置する従動ローラ(従動回転体)31と、後端部に位置する駆動ローラ(駆動回転体)32とに巻き掛けられている。そして、搬送部16は、駆動ローラ32の駆動回転(コンベヤ15の駆動軸176の駆動回転)により所定方向に回行しながら収穫物Wを搬送する。また、この搬送部16は、複数の土落下開口20から土を落下させながら収穫物Wを搬送する往路面部33を上側に有し、この往路面部(往路面部のうちのベルト部分)33がローラ体35及び固定ガイド体36によって下方から支持されている。
【0033】
また、搬送部16は、所定方向に回行する左右一対の帯状の無端部材である無端ベルト(ベルト部分)41と、これら両無端ベルト41間に架設され、当該無端ベルト41とともに回行して収穫物Wを搬送方向に搬送する左右方向長手状の複数本の搬送部材である搬送バー(コンベヤバー)43とを有している。搬送方向に互いに隣り合う搬送バー43間には、圃場に向けて土を落下させるための土落下開口20が存在する。
【0034】
複数本の搬送バー43は、例えば互いに形状等が異なって最下位置(振動ローラ101との当接位置である下端位置)の高さがそれぞれ異なる3種類の搬送バー43a,43b,43cによって構成されており、そのうちの1種類の搬送バー43(43a)が立上りコンベヤバーである。そして、この搬送バー43(43a)は、他の搬送バー43(43b,43c)よりも上方に位置して収穫物Wの転がりを防止する上方突出状の転がり防止部(立上り部)44を有している。
【0035】
また、左右のローラ体35は、所定方向に従動回転しながら搬送部16の無端ベルト41の中間部分を下方から支持する中間従動ローラ体である。このローラ体35は、細長板状の固定部材(石避け板)51を含む固定手段50によって、コンベヤ後側部分15bの側板の所定部分に固定されている。
【0036】
また一方、振動手段17は、コンベヤ15から土を振るい落とすためにコンベヤ15の搬送部16を上下方向に振動させるためのコンベヤ振動装置である。そして、この振動手段17は、少なくとも3つの状態、すなわち例えば搬送部16を第1振動強さ(振幅「20mm」及び振幅「9mm」を有する振動強さ)で振動させる第1振動入状態(振動「強」状態)と、搬送部16を第1振動強さよりも弱い第2振動強さ(振幅「8.2mm」を有する振動強さ)で振動させる第2振動入状態(振動「弱」状態)と、搬送部16に振動を付与しない振動切状態(振動「切」状態)とに選択的に切換可能となっている。
【0037】
ここで、
図7に示すように、振動手段17は、振動入状態時(第1振動入状態時、第2振動入状態時)に搬送部16の搬送バー43との当接に基づいて搬送部16に振動を付与する上下動可能な左右の振動付与体である振動ローラ101と、振動切状態時に振動ローラ101が搬送部16の搬送バー43に当接しないように搬送部16の無端ベルト41を摺動可能(スライド可能)に支持する上下動可能な板状の左右の支持体である支持ガイド102とを有している。
【0038】
また、振動手段17は、この振動手段17の状態を3つの状態のうち選択したいずれか一の状態に切り換えるための回動可能な操作体である操作レバー103を有し、振動ローラ101及び支持ガイド102はその操作レバー103の回動操作に基づく上下動により振動手段17の状態に対応する所定位置に同時に設定される。すなわち、操作レバー103をロックピン104で第1振動入位置に固定することで振動手段17が第1振動入状態に切り換えられ、操作レバー103をロックピン104で第2振動入位置に固定することで振動手段17が第2振動入状態に切り換えられ、操作レバー103をロックピン104で振動切位置に固定することで振動手段17が振動切状態にそれぞれ切り換えられる。
【0039】
操作レバー103は、板状のレバー本体部106と、このレバー本体部106に固着されたコ字状枠部107とを有している。L字状のロックピン104は、レバー本体部106のピン用孔108及びコ字状枠部107のピン用孔109に挿入されている。また、ロックピン104のうちコ字状枠部107内に位置する部分には、切換プレート110の孔(第1振動入位置用孔111、第2振動入位置用孔112、振動切位置用孔113)に向けてロックピン104を付勢する付勢部材であるバネ115が装着されている。
【0040】
切換プレート110は、コンベヤ前側部分15aの左側の側板46aに固着されている。切換プレート110の前後側には、操作レバー103との当接により当該操作レバー103の回動を規制するストッパ117,118が突設されている。それゆえ、操作レバー103の回動範囲は、前後のストッパ117,118によって制限されている。
【0041】
さらに、振動手段17は、互いに離間対向する左右の側板46間に回動可能に架設された回動軸121を有し、この回動軸121の左側の端部に操作レバー103のレバー本体部106の基端部が固着されている。また、コンベヤ前側部分15aの左右の両側板(前コンベヤ枠)46aは、左右方向長手状の連結パイプ120によって連結されている。
【0042】
回動軸121の2箇所には取付板122の基端側が固着され、この取付板122の先端側には円筒状の回転体である振動ローラ101がベアリング100を介して回転可能に取り付けられている。また、回動軸121のうち取付板122よりも外側に位置する部分には、回動体である支持ガイド(ベルト支持ガイド板)102を支持する支持板123が固着されている。それゆえ、操作レバー103の操作による回動軸121の回動に基づいて、振動ローラ101と支持ガイド102とが互いに連動して上下方向に回動する。
【0043】
支持ガイド102は、コンベヤ前側部分15aの側板46aに固定された支軸部(回動支点)124を中心として後端側が昇降するように上下方向に回動可能となっている。換言すると、支持ガイド102は、前端側の回動支点を中心として上下方向に回動可能となっている。
【0044】
この支持ガイド102は、1箇所で曲がったへ字状をなす細長板状のガイド本体部126と、このガイド本体部126の前端部に設けられた取付部127と、ガイド本体部126の下面に突設された突出板部128とを有している。そして、取付部127が支軸部124に回動可能に取り付けられ、かつ、ガイド本体部126の下面が支持板123の湾曲状の上端部である支持部130で支持されている。
【0045】
なお、振動ローラ101及び支持ガイド102は、左右の側板46a間でかつコンベヤ15の搬送部16の往路面部33及び復路面部34間の位置に配置されているが、操作レバー103は、作業者がコンベヤ15の側方から容易に操作できるように左側の側板46aよりも外側の位置に配置されている。
【0046】
次いで、
図1、
図4、
図5等に示すように、平面視矩形状のメインフレームである機枠12の後部の右側には、エンジン13側からの動力を減速(変速)してこの減速後の動力をコンベヤ15側に供給するコンベヤ用の変速機である減速機(例えばギヤ式のコンベヤ減速機)131が立設されている。機枠12の後部の左側には、支持体(例えば支持フレーム)132が減速機131と離間対向するように立設されている。機枠12の前部の左右両側には、互いに離間対向する上方突出状の取付板133が立設されている。
【0047】
そして、コンベヤ15は、減速機131、支持体132及び左右の取付板133によって支持されている。つまり、機枠12とコンベヤ15の左右の側板(コンベヤ側板)46とが減速機131、支持体132及び左右の取付板133を介して連結(結合)されており、コンベヤ15の重量が主としてこれら4つの部分に負荷されるように構成されている。
【0048】
ここで、機枠12は、互いに離間対向する前フレーム135及び後フレーム136と、これら両フレーム135,136間に架設された複数本(例えば4本)の連結フレーム137と、後フレーム136に固定された板状の固定フレーム138とを有している。
【0049】
左右の取付板133は、機枠12の前フレーム135に固定されている。この各取付板133の上端部には取付用孔139が形成されている。支持体132は、機枠12の後フレーム136に固定され、減速機131の側方位置に配置されている。減速機131は、取付ボルト140によって機枠12の固定フレーム138に固定的に取り付けられ、コンベヤ15の後端部(駆動側の端部)の近傍に配置されている。なお、例えば図示したボルト止めではなく、減速機131を固定フレーム138に溶接等で固定してもよい。
【0050】
支持体132は、下端部が機枠12の後フレーム136に固定された上下方向長手状の長尺部141と、この長尺部141の上端部に固着された板状部142と、この板状部142の外端部から上方に延びた取付部143とを有している。取付部143の上端部には、取付用孔144が形成されている。
【0051】
減速機131は、コンベヤ15を支持するコンベヤ支持機能を兼ね備えたもので、
図8にも示すように、エンジン13側からの動力を減速(変速)する変速手段である減速手段146と、この減速手段146が内部に収納されコンベヤ15を支持する箱状の収納ケース147と、減速手段146にそれぞれ接続された入力軸148及び出力軸149とを有している。
【0052】
なお、入力軸148には、エンジン13から出力された動力を減速機131まで伝達する動力伝達手段(図示せず)が接続されている。出力軸149には、減速機131による減速後の動力をコンベヤ15まで伝達する動力伝達手段150が接続されている。これら入力軸148及び出力軸149は、図示しないベアリングを介して収納ケース147にて回転可能に軸支されている。収納ケース147は、十分な強度を有するもので、この収納ケース147を介して機枠12とコンベヤ15とが結合されている。
【0053】
減速手段146は、収納ケース147内に回転可能に収納された複数個のギヤ、すなわち例えば第1ギヤ151、第2ギヤ152、第3ギヤ153及び第4ギヤ154を有している。第1ギヤ151は、入力軸148のうち収納ケース147内に位置する部分に取り付けられている。第4ギヤ154は、出力軸149のうち収納ケース147内に位置する部分に取り付けられている。第2ギヤ152及び第3ギヤ153は、収納ケース147内に位置する中間軸155に取り付けられている。なお、減速手段146を構成するギヤの個数や歯数等は、図示された例には限定されず、任意である。
【0054】
収納ケース147は、機枠12の固定フレーム138に固定的に取り付けられた底板部156と、この底板部156に立設された前後左右の側板部157と、屈曲板状の上板部158とを有している。底板部156には、取付用孔159及びドレン孔160が形成され、このドレン孔160にはボルト161が螺合されている。
【0055】
右側である出力軸149側の側板部157には、注油孔162が形成され、この注油孔162には蓋163が脱着可能に装着されている。また、出力軸149側の側板部157の2箇所には、ねじ孔164が形成された軸状の取付用軸部165が設けられている。さらに、出力軸149側の側板部157には、取付用孔166が形成された板状の取付部167が設けられている。
【0056】
取付部167は、略矩形状の取付板168と、この取付板168の下端部に折曲げにより一体に設けられた下板169と、取付板168の後端部に折曲げにより一体に設けられた後板170とを有している。下板169及び後板170は、出力軸149側の側板部157の上部前側に溶接固定されている。そして、取付板168の上側部分は、前低後高の傾斜状の上傾斜板部171よりも上方に位置している。
【0057】
上板部158は、例えばコンベヤ15の長手状の側板46bの下端部(下縁部)に沿った前低後高の傾斜状の上傾斜板部171と、この上傾斜板部171の後端部に連設された水平状の上水平板部172とで構成されている。また、
図9から明かなように、傾斜状の上傾斜板部171とコンベヤ15の側板46bの下端部との間には、隙間173が存在している。なお、この図示した例では、所定寸法(例えば15mm)の隙間173が存在するが、例えば隙間をなくして収納ケースの上傾斜板部でコンベヤの側板を下方から支持するようにしてもよい。また、例えば収納ケースの上板部を傾斜状の上傾斜板部のみで構成してもよい。
【0058】
そして、
図5に示すように、コンベヤ15のコンベヤ後側部分15bの左右の側板46bは、取付用孔139,144,166に挿入する取付ボルト(取付具)175を用いて、減速機131の取付部167、支持体132の取付部143、及び左右の取付板(突出部)133に固定的に取り付けられる。その結果、コンベヤ15の側板46bは、少なくともこれら4つの部品(減速機131、支持体132及び左右の取付板133)によって支持される。
【0059】
次いで、減速機131による減速後の動力をコンベヤ15に供給する動力伝達手段(動力伝達装置)150は、
図10に示すように、互いに大きさ(外径)が異なる複数の回転体、すなわち例えば互いに歯数が異なる第1スプロケット(スプロケット小、例えば「18T」)181及び第2スプロケット(スプロケット大、例えば「23T」)182と、これら両スプロケット181,182に巻き掛けられた無端体であるチェーン183と、このチェーン183に張力を付与するテンショナ184と、これらチェーン183等を収納するチェーンケース185とを有している。
【0060】
第1スプロケット(第1回転体)181及び第2スプロケット(第1回転体よりも径大な第2回転体)182のうちいずれか一方は、動力伝達手段150の入力側の軸(入力側回転軸)である減速機131の出力軸149の端部に脱着可能に取り付けられ、かつ、いずれか他方は、動力伝達手段150の出力側の軸(出力側回転軸)であるコンベヤ15の駆動軸176の端部に脱着可能に取り付けられている。
【0061】
なお、コンベヤ15の駆動軸176は、側板46bの後端部に回転可能に取り付けられており、この駆動軸176には駆動ローラ32が取り付けられ、この駆動ローラ32に搬送部16の無端ベルト41が巻き掛けられている。また、この駆動軸176のうちチェーンケース185内に位置する部分に、第1スプロケット181又は第2スプロケット182が直結されるようになっている。
【0062】
ここで、
図10に示すように、第1スプロケット181が減速機131の出力軸149に取り付けられかつ第2スプロケット182がコンベヤ15の駆動軸176に取り付けられた場合には、コンベヤ15は、動力伝達手段150からの動力により、第1搬送速度Va1で収穫物Wを搬送する。また、図示しないが、第2スプロケット182が減速機131の出力軸149に取り付けられかつ第1スプロケット181がコンベヤ15の駆動軸176に取り付けられた場合には、コンベヤ15は、動力伝達手段150からの動力により、第1搬送速度Va1よりも速い第2搬送速度Va2で収穫物Wを搬送する。
【0063】
また一方、エンジン13側からの動力により駆動回行する無端状のクローラベルト186を有するクローラ14は、操作手段28が有する変速レバー187の操作により、少なくとも第1走行速度Vb1及びこの第1走行速度Vb1よりも速い第2走行速度Vb2に変更可能(設定可能)となっている。換言すると、作業時における収穫機11の進行方向への前進走行速度は、少なくとも第1走行速度Vb1及び第2走行速度Vb2に変更可能となっている。
【0064】
なお、収穫機11は、前進走行に加え、後進走行や旋回も可能である。また、変速レバー187は、クローラ14の走行速度を変えるためのギヤ式の走行ミッション(変速機)188にプッシュプルワイヤー(図示せず)を介して接続されている。変速レバー187は、例えば操作手段28の各種レバーのうちの一つである(
図3参照)。
【0065】
そして、作業者は、スプロケット181,182の付け替えにより、コンベヤ15の搬送速度を第1搬送速度Va1(低速)に設定した際には、変速レバー187を低速側に倒してクローラ14の走行速度(収穫機11の走行速度)を第1走行速度Vb1(低速)に設定する。また、スプロケット181,182の付け替えにより、コンベヤ15の搬送速度を第2搬送速度Va2(高速)に設定した際には、変速レバー187を高速側に倒してクローラ14の走行速度(収穫機11の走行速度)を第2走行速度Vb2(高速)に設定する。
【0066】
ここでこの収穫機11では、第1搬送速度Va1と第2搬送速度Va2との比は、第1走行速度Vb1と第2走行速度Vb2との比に等しい。具体的には、例えばVa1は「時速0.93km」、Va2は「時速1.51km」、Vb1は「時速0.224km」、Vb2は「時速0.37km」であるから、「Va1/Va2=Vb1/Vb2≒0.6」となり、両者の変速比は等しい。ここでいう「等しい」とは、厳密な意味で等しい場合のほか、略等しい場合をも含む。
【0067】
なお、コンベヤ15の搬送速度を変更可能な動力伝達手段150は、収穫機11の後部右側に設けられ、補助コンテナ台40の近傍に配置されている。また、作業者は、動力伝達手段150のスプロケット181,182の付け替えを行う際には、チェーンケース185のカバー部材190をケース本体部材191から取り外す。
【0068】
つまり、チェーンケース185は、
図10に示すように、取付ボルト192によってコンベヤ15の側板46b及び減速機131の取付用軸部165に取り付けられた板状のケース本体部材191と、このケース本体部材191に対して脱着可能な箱状のカバー部材190とを有している。
【0069】
そして、カバー部材190は、ケース本体部材191の複数本(例えば2本)の蓋取付用軸部193に形成されたねじ孔194への取付ボルト195の螺合によりケース本体部材191に取り付けることができ、かつ、取付ボルト195の螺合解除によりケース本体部材191から取り外すことができる。なお、
図10からも明らかなように、コンベヤ15の右側の側板46bは、ケース本体部材191によっても支持されている。
【0070】
次に、上述した収穫機11の作用等を説明する。
【0071】
圃場においてクローラ14の作動により左右のゲージ輪24が畝の裾部分を走行するように収穫機11を前方(
図1に示す進行方向)に移動させると、圃場の畝の土中の収穫物Wはコンベヤ前側部分15aの掘取刃23によってその畝の土中から掘り取られる。
【0072】
そして、その掘り取られた収穫物Wは、コンベヤ15のコンベヤ前側部分15a及びコンベヤ後側部分15bに亘って位置する搬送部16によって搬送方向に向かって搬送され、この搬送途中で座席26に座った作業者の手作業により当該搬送部16上から取り上げられてコンテナ内に収納される。
【0073】
ここで、例えば低速で作業をする場合には、作業者は、動力伝達手段150の第1スプロケット181を減速機131の出力軸149に取り付けかつ第2スプロケット182をコンベヤ15の駆動軸176に取り付けることでコンベヤ15の搬送速度を第1搬送速度Va1に設定するとともに、当該第1搬送速度Va1に合わせてクローラ14の走行速度を第1走行速度Vb1に設定する。
【0074】
また、例えば高速で作業をする場合には、作業者は、動力伝達手段150の第2スプロケット182を減速機131の出力軸149に取り付けかつ第1スプロケット181をコンベヤ15の駆動軸176に取り付けることでコンベヤ15の搬送速度を第2搬送速度Va2に設定するとともに、当該第2搬送速度Va2に合わせてクローラ14の走行速度を第2走行速度Vb2に設定する。
【0075】
こうして、作業者は、収穫物Wの量や圃場の土質等の作業状態に応じて、搬送速度及び走行速度を調整することで、適切な作業速度での作業が可能である。
【0076】
また、例えば作業終了後においては、
図2に示すように、シリンダ21によりコンベヤ前側部分15aを上方回動させて非作業状態にした後、着脱ピン77を固定用孔79,91,92に挿入しかつRピン93を着脱ピン77の先端側孔83に挿入することにより、安全カバー部材76をコンベヤ後側部分15bの側板46bに対して固定する。これにより、安全体71を用いて非作業状態のコンベヤ前側部分15aの下方回動を規制(防止)することが可能となる。また、この
図2に示す状態(格納姿勢)とした小型かつ軽量の収穫機11は、小型貨物車両である軽トラックの荷台に載せることが可能である。
【0077】
そして、このような収穫機11によれば、機枠12の右側(一方側)に立設された減速機131と、機枠12の左側(他方側)に立設された支持体132と、これら減速機131及び支持体132によって支持されたコンベヤ15とを備える構成であるため、例えば機枠に立設された左右の支持フレーム(結合用のフレーム)によってコンベヤを支持する構成等に比べて、コンベヤ15を支持する部品を少なくでき、よって、軽量化、小型化、コスト削減(低コスト化)等を図ることができる。
【0078】
また、減速機131は、減速手段146を収納する箱状の収納ケース147を有するため、この収納ケース147によってコンベヤ15を安定的に支持することができる。
【0079】
さらに、動力伝達手段150は、互いに大きさが異なる複数(例えば2つのみ)のスプロケット181,182を有し、これら両スプロケット181,182の付け替え(入れ替え等)によりコンベヤ15の搬送速度を変更可能であるため、コンベヤ変速用のHST等を不要にでき、よって、軽量化等をより一層図ることができる。
【0080】
また、コンベヤ15は少なくとも第1搬送速度Va1及び第2搬送速度Va2(Va2>Va1)に変更可能であるとともに、クローラ14は少なくとも第1走行速度Vb1及び第2走行速度Vb2(Vb2>Vb1)に変更可能であり、かつ、第1搬送速度Va1と第2搬送速度Va2との比が第1走行速度Vb1と第2走行速度Vb2との比に等しい(略等しいを含む)ので、低速か高速かに拘わらず、コンベヤ15の搬送部16上に搬入される収穫物Wの量を一定に保つことができる。
【0081】
また一方、シリンダ21の故障等により非作業状態(格納状態)のコンベヤ前側部分15aが自重でコンベヤ後側部分15bに対して下方回動しようとした場合でも、非作業状態のコンベヤ前側部分15aの下方回動(自重による落下)が固定状態の安全体71によって規制されるため、安全体71とは別体の落下防止部材が不要であり、その分部品点数の低減を図ることができ、よって、軽量化等をより一層図ることができる。
【0082】
また、着脱ピン77を作業用孔78から固定用孔79,91,92に差し替えることで、安全カバー部材76をコンベヤ後側部分15bに対して容易かつ確実に固定でき、しかも、作業者は着脱ピン77の差し替えによって安全カバー部材76の固定を確認(意識)でき、固定のし忘れを防止できる。
【0083】
さらに、着脱ピン77は、その下端がコンベヤ後側部分15bの側板46(46b)の上板部87の上面87aと線状に接触した状態でスライドするため、例えば当該上面87aと面状に接触してスライドする構成等に比べて摩擦抵抗が少なくスムーズにスライドできる。
【0084】
なお、上記実施の形態では、2つの搬送速度(Va1,Va2)に変更可能な収穫物搬送手段と、それに対応する2つの走行速度(Vb1,Vb2)に変更可能な走行手段とを備える構成について説明したが、例えば互いに対応するそれぞれ3つ以上の速度に変更可能な構成とすることも可能である。
【0085】
また、動力伝達手段は、チェーン式の構成には限定されず、例えばベルト式の構成、ギヤ式の構成等でもよい。
【0086】
さらに、収納ケースの取付部をコンベヤの側板に取り付ける手段は、ボルト以外に、かしめや溶接等の他の手段でもよい。
【0087】
また、機枠に設ける変速機は、減速機には限定されず、増速機でもよく、この場合、増速機は、変速手段である増速手段を収納する収納ケースを有する。
【0088】
さらに、変速機の収納ケースは、強度向上のために、例えば鋳物等のように一体形成したものでもよい。
【0089】
また、収納ケースの取付部や支持体の取付部を、コンベヤの側板に底板ガイド等の介在部材を介して間接的に取り付ける構成には限定されず、例えば当該取付部をコンベヤの側板に直接取り付けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0090】
11 収穫機
12 機枠
13 駆動源であるエンジン
15 収穫物搬送手段であるコンベヤ
46 側板
131 変速機である減速機
132 支持体
146 変速手段である減速手段
147 収納ケース
167 取付部
171 上傾斜板部