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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-18
(45)【発行日】2024-07-26
(54)【発明の名称】キャップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/08 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
B65D47/08 110
B65D47/08 BRL
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020178500
(22)【出願日】2020-10-26
(65)【公開番号】P2022069705
(43)【公開日】2022-05-12
【審査請求日】2023-10-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000175397
【氏名又は名称】三笠産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】秀島 智
【審査官】二ッ谷 裕子
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-348049(JP,A)
【文献】特開2005-53533(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0208374(US,A1)
【文献】特開平11-236065(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 39/00 - 55/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の口部に装着するキャップ本体と、ヒンジを介してキャップ本体と一体をなし、ヒンジ廻りに開閉動する上蓋部を有し、
キャップ本体は、容器の口部の開口に連通する注出筒を形成したキャップ上部と、容器の口部外周に形成した容器外側凹部に嵌合するキャップ内側凸部を形成したキャップ下部と、キャップ上部とキャップ下部を繋ぐ薄肉状の上下接続部と、キャップ上部とキャップ下部の周りを囲んで筒状をなす外郭部と、キャップ上部と外郭部を隔てる上部スリットと、キャップ下部と外郭部を隔てる下部スリットと、上下接続部の近傍において上部スリットと下部スリットを隔て外郭部とキャップ下部を繋ぐ薄肉状の内外接続部を備え、
キャップ本体は、ヒンジに対応する内外分離領域と、キャップの軸心廻りにおいて内外分離領域に続く上下分離領域を有し、
外郭部は、内外分離領域においてヒンジと一体をなし、内外分離領域の始端側にキャップ本体の軸心方向に伸びる外郭縦スコアを有し、
内外接続部は、内外分離領域においてスコアを有し、
キャップ下部は、内外分離領域に続く上下分離領域の始端側に上下接続部からキャップ下部の下端に向けて伸びるキャップ下部縦スコアを有し、
上下接続部は、上下分離領域においてスコアを有することを特徴とするキャップ。
【請求項2】
外郭部は、上下分離領域の始端側に外郭部の上端側から上下接続部に向けて伸びる外郭第2縦スコアを有することを特徴とする請求項1に記載のキャップ。
【請求項3】
外郭部は、キャップ本体の軸心方向に伸びてキャップ下部を覆うことを特徴とする請求項1または2に記載のキャップ。
【請求項4】
上蓋部は、容器の口部の径方向においてヒンジと対向する位置にスコアを介して繋がるロック部を有し、
キャップ本体は、ロック部に形成したロック爪に係合して上蓋部の開動を阻止するストッパ部を有し、外郭部は、ロック爪およびストッパ部を囲むガード部を有することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のキャップ。
【請求項5】
ガード部は、スコアで破断したロック部を保持する構造をなすことを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載のキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャップ本体にヒンジを介して蓋体が一体をなすキャップの分別の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のキャップには、特許文献1に記載するものがある。これは、キャップの外周壁に、容器の口部のくびれ凹部に嵌合する嵌合突条を形成したものである。また、外周壁には軸方向に伸びる深溝を形成し、深溝の薄肉部に主竪弱化線を形成している。
【0003】
特許文献2に記載するものは、キャップが係合筒部と外周筒部の二重構造をなし、係合筒部と外周筒部を繋ぐブリッジを有している。また、係合筒部の内周に形成した係合突条が容器の口筒部の外周に形成した係合突条に係合し、係合筒部の下端側と外周筒部の下端側を弱化片および連結片で連結している。
【0004】
特許文献3に記載するものは、キャップ本体の筒状側壁が内側壁部と外側壁部から形成され、スリットにより内側壁部と外側壁部は区画されている。内側壁部には下端の内面全周にわたって所定の間隔で係合突起が形成されており、係合突起が容器口部の外面と係合する。外側壁部には上端から下端の近傍まで延び軸方向スコアが形成されており、内側壁部の下端部と外側壁部とが連結部で繋がっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2001-192053
【文献】特開2011-246173
【文献】特開2007-22567
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の従来形式では、キャップを容器の口部に打栓する際に、キャップの内周面に形成した突条もしく突起が容器の口部の外周面上を摺動するとともに、容器の口部の外周面の形状に倣って口部の径方向に移動し、キャップの開口が径方向に広がる。
【0007】
このため、特許文献1のように、キャップが容器の口部の径方向において単一の壁体である場合には、キャップの軸心方向に形成した弱化部にキャップの周方向の引っ張り力が作用し、特に弱化部の引き裂き開始部が破断するおそれがある。この弱化部の強度を上げると、キャップを容器から外す分別作業において弱化部の破断に要する力が増加し、特に弱化部の引き裂き開始部において破断が起こり難くなり、分別作業を阻害する要因となる。
【0008】
特許文献3においては、キャップが容器の口部の径方向において二重の壁体であるが、係合突起よりも下方の位置において連結部が内壁と外壁どうしを繋いでおり、連結部を介して内壁に作用する力が外壁におよぶ。
【0009】
すなわち、打栓時にキャップの内周面に形成した係合突起が容器の口部の外周面上を口部の軸心方向に摺動するとともに、容器の口部の外周面の形状に倣って口部の径方向に移動し、内壁の開口が径方向に広がり、連結部を介して外壁の開口が径方向に広がり、キャップの軸心方向に形成した弱化部にキャップの周方向の引っ張り力が作用し、破断するおそれがある。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するものであり、キャップの打栓時に弱化部が破断することを防止し、分別作業においてキャップの取り外しを容易に行うことができるキャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明に係るキャップは、容器の口部に装着するキャップ本体と、ヒンジを介してキャップ本体と一体をなし、ヒンジ廻りに開閉動する上蓋部を有し、キャップ本体は、容器の口部の開口に連通する注出筒を形成したキャップ上部と、容器の口部外周に形成した容器外側凹部に嵌合するキャップ内側凸部を形成したキャップ下部と、キャップ上部とキャップ下部を繋ぐ薄肉状の上下接続部と、キャップ上部とキャップ下部の周りを囲んで筒状をなす外郭部と、キャップ上部と外郭部を隔てる上部スリットと、キャップ下部と外郭部を隔てる下部スリットと、上下接続部の近傍において上部スリットと下部スリットを隔て外郭部とキャップ下部を繋ぐ薄肉状の内外接続部を備え、キャップ本体は、ヒンジに対応する内外分離領域と、キャップの軸心廻りにおいて内外分離領域に続く上下分離領域を有し、外郭部は、内外分離領域においてヒンジと一体をなし、内外分離領域の始端側にキャップ本体の軸心方向に伸びる外郭縦スコアを有し、内外接続部は、内外分離領域においてスコアを有し、キャップ下部は、内外分離領域に続く上下分離領域の始端側に上下接続部からキャップ下部の下端に向けて伸びるキャップ下部縦スコアを有し、上下接続部は、上下分離領域においてスコアを有することを特徴とする。
【0013】
本発明に係るキャップにおいて、外郭部は、上下分離領域の始端側に外郭部の上端側から上下接続部に向けて伸びる外郭第2縦スコアを有することを特徴とする。
【0014】
本発明に係るキャップにおいて、外郭部は、キャップ本体の軸心方向に伸びてキャップ下部を覆うことを特徴とする。
【0015】
本発明に係るキャップにおいて、上蓋部は、容器の口部の径方向においてヒンジと対向する位置にスコアを介して繋がるロック部を有し、キャップ本体は、ロック部に形成したロック爪に係合して上蓋部の開動を阻止するストッパ部を有し、外郭部は、ロック爪およびストッパ部を囲むガード部を有することを特徴とする。
【0016】
本発明に係るキャップにおいて、ガード部は、スコアで破断したロック部を保持する構造をなすことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
以上のように本発明に係るキャップによれば、キャップ上部と、容器外側凹部に嵌合するキャップ内側凸部を形成したキャップ下部を薄肉状の上下接続部で繋ぎ、上下接続部の近傍において上部スリットと下部スリットを隔て外郭部とキャップ下部を繋ぐ薄肉状の内外接続部を備えることで、キャップ下部の下端が他部材に拘束されない構造となる。
【0018】
このため、打栓時にキャップ内側凸部が容器の口部の外周面上を口部の軸心方向に摺動するとともに、容器の口部の外周面の形状に倣って口部の径方向に移動するとき、キャップ上部と薄肉状の上下接続部で繋がるとともに薄肉状の内外接続部で外郭部に繋がるキャップ下部は、その開口が他部材に拘束されることなく、径方向に容易に広がるので、打栓作業をスムーズに行えるとともに、打栓に要する力の省力化を図れる。
【0019】
そして、上下接続部の近傍において薄肉状の内外接続部でキャップ下部に繋がる外郭部には負荷が作用せず、外郭部の外郭縦スコアを破断させるようなキャップの周方向の引っ張り力は作用しない。
【0020】
さらに、打栓時に不要な力が作用しない外郭部に外郭縦スコアを形成することで、外郭縦スコアの強度を決定する上で、打栓時の影響要因を外すことができ、分別作業時に容易に破断できる弱化度を優先的に選択することができ、分別作業の容易化を実現できる。
【0021】
分別作業はキャップの内外分離領域において開始され、外郭縦スコアにおいて外郭部がキャップの軸心方向に破断し、内外接続部のスコアの破断によって内外分離領域の外郭部がキャップ本体から分離し、その後にキャップ下部縦スコアおよび上下分離領域の上下接続部のスコアの破断によってキャップ本体がキャップ上部とキャップ下部に分離する。
【0022】
よって、外郭部に形成した外郭縦スコア、すなわち分別作業時に容易に破断できる弱化度を優先的に選択して強度を決定した外郭縦スコアにおいて分別作業を開始でき、分別作業においてキャップに加える力が外郭縦スコアに続いて内外接続部のスコアに円滑に作用し、外郭部をキャップの軸心廻りに容易に剥がすことができる。
【0023】
内外分離領域において外郭部がキャップ本体から外れることで、外れた外郭部に力を加え易くなり、外郭部に加えるキャップの軸心廻りの力が内外分離領域の内外接続部のスコアの終端から近傍に位置する上下分離領域の上下接続部のスコアの始端に円滑に伝わり、上下接続部のスコアの破断が過剰な力を要することなく始まり、分別作業を容易に行える。
【0024】
また、キャップ上部とキャップ下部の分離によって、キャップ下部に形成したキャップ内側凸部が容器の口部外周に形成した容器外側凹部から外れるので、容器の口部からキャップを容易に離脱させることができる。
【0025】
また、外郭部が外郭第2縦スコアを有することで、外郭部に加えるキャップの軸心廻りの力が内外分離領域の内外接続部のスコアの終端から上下分離領域の上下接続部のスコアの始端により円滑に伝わる。
【0026】
外郭部がキャップ本体の軸心方向に伸びてキャップ下部の下端を覆うので、キャップ本体に直接力を加えてキャップを容器の口部から外すことはできず、キャップを外そうとする力が外郭部に作用すると、内外接続部のスコア、上下接続部のスコアが破断することでいたずら行為の痕跡が残り、キャップのTE性(タンパーエビデンス tamper evidence)が向上する。
【0027】
ガード部に囲まれた領域においてロック爪とストッパ部が係合することで、上蓋部が不正に開封されることが防止され、不正な開封が生じるとスコアが破断してロック部が上蓋部から分離し、外れたロック部がガード部に保持される。よって、キャップのTE性が向上するとともに、外れたロック部がゴミとなることを防止して環境保全に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施の形態を示す未開封状態のキャップの断面図
図2】同実施の形態における開封状態のキャップの断面図
図3】同実施の形態における不正な開封行為を受けた状態のキャップの断面図
図4】同実施の形態における他の不正な開封行為を受けた状態のキャップの断面図
図5】同実施の形態における中栓組み立て前の状態を示すキャップの断面図
図6】同実施の形態における中栓組み立て後の状態を示すキャップの断面図
図7】同実施の形態におけるキャップ本体の正面図
図8】同実施の形態におけるキャップの底面図
図9図8に示すB-Gの各位置における断面図
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係るキャップの実施の形態を、図面を参照して説明する。図1図6に示すように、キャップ1は容器2の口部3に装着するキャップ本体4と、ヒンジ5およびバンド5aを介してキャップ本体4と一体をなし、ヒンジ廻りに開閉動する上蓋部6を有している。キャップ1は全体が樹脂製である。
【0030】
キャップ本体4は、キャップ上部7と、キャップ下部8、およびキャップ上部7とキャップ下部8を繋ぐ薄肉状の上下接続部9を有している。キャップ上部7は容器2の口部3の開口3aに連通する注出筒10を有し、キャップ下部8は容器2の口部外周に形成した容器外側凹部11に嵌合するキャップ内側凸部12を有している。
【0031】
さらに、キャップ1は、キャップ上部7とキャップ下部8の周りを囲んでキャップ本体4と二重壁状をなす筒状の外郭部13を有している。キャップ上部7の周囲にはキャップ上部7と外郭部13を隔てる上部スリット14を有し、キャップ下部8の周囲にはキャップ下部8と外郭部13を隔てる下部スリット15を有しており、上下接続部9の近傍において上部スリット14と下部スリット15を隔てるとともに、外郭部13とキャップ下部7を繋ぐ薄肉状の内外接続部16を備えている。
【0032】
外郭部13は、キャップ本体4の軸心方向に伸びてキャップ下部8を覆っており、容器2の口部3に形成した鍔部17の近傍に達しており、周方向に沿って適当間隔で複数の脆化部13aを有している。
【0033】
図5から図7に示すように、注出筒10の開口を塞ぐ中栓18は、上蓋部6をヒンジ5において折り畳む前の状態において、上蓋部6とキャップ本体4とは別体のものである。注出筒10の開口に中栓18を設置した状態で、上蓋部6をヒンジ5において折り畳むことで中栓18を上蓋部6に組み込む。
【0034】
上蓋部6は、中栓18を抱え込む筒状の中栓保持部19を有し、上蓋部6の内周縁に沿って環状をなし、径方向内側に隆起する嵌合突起部20を有している。
【0035】
キャップ本体4は外周縁に沿って環状の上蓋保持部21を有しており、上蓋保持部21はキャップ本体4の径方向外側の斜め上方に向けて広がる形状をなす。上蓋保持部21は、外周面が円弧状に窪む嵌合面22をなし、嵌合面22において上蓋部6の嵌合突起部20に嵌合する。
【0036】
上蓋部6は容器2の口部3の径方向においてヒンジ5と対向する位置にロック部23を有しており、ロック部23はロック部スコア24を介して上蓋部6に繋がっている。キャップ本体4は、ロック部23に形成したロック爪23aに係合して上蓋部6の開動を阻止するストッパ部25を有し、外郭部13は、ロック爪23aおよびストッパ部25を囲むガード部26を有している。ガード部26は、キャップ本体4との間に保持空間27を形成し、ロック部スコア24で破断して容器2の鍔部17の上に落下するロック部23を保持空間27に保持する構造をなす。
【0037】
図8図9に示すように、キャップ本体4は、ヒンジ5に対応する内外分離領域A(図8のB-F区間)と、キャップ1の軸心廻りにおいて内外分離領域Aに続く上下分離領域B(図8B-F区間以外の領域)を有する。
【0038】
外郭部13は、内外分離領域Aにおいてヒンジ5と一体をなし、内外分離領域Aの始端側(図8のB位置)にキャップ本体4の軸心方向の全長にわたって伸びる外郭縦スコア28を有する。
【0039】
内外接続部16は、内外分離領域Aにおいて内外分離スコア29を有し、キャップ下部8は、内外分離領域Aに続く上下分離領域Bの始端側(図8のE位置)に上下接続部9からキャップ下部8の下端に向けて伸びるキャップ下部縦スコア30を有し、上下接続部9は、上下分離領域Aにおいて上下分離スコア31を有する。
【0040】
また、外郭部13は、上下分離領域Bの始端側(図8のF位置)に外郭部13の上端側から上下接続部9に向けて伸びる外郭第2縦スコア32を有する。本実施の形態では、外郭第2縦スコア32が外郭部13の軸心方向の全長にわたって存在するが、外郭第2縦スコア32に対応する位置の上下接続部9が厚肉の補強部33をなすことで外郭第2縦スコア32の破断が補強部33で止まる。
【0041】
以下に上記構成の作用を説明する。図5図6に示すように、上蓋部6を折り畳む前の状態において、中栓18を注出筒10の開口に設置し、上蓋部6をヒンジ5において折り畳むことで中栓18を上蓋部6に組み込む。
(TE性)
図1に示すように、上蓋部6を折り畳んだ状態において、中栓保持部19が中栓18を抱え込み、上蓋部6の嵌合突起部20がキャップ本体4の上蓋保持部21に嵌合する。また、上蓋部6のロック部23がガード部26に入り込み、ロック爪23aがストッパ部25に係合する。
【0042】
開封時には、ロック爪23aがストッパ部25に係合する状態で上蓋部6を押し上げてロック部23のロック部スコア24を破断させる。ロック部スコア24の破断により上蓋部6から分離したロック部23は、鍔部17の上に落下し、ガード部26とキャップ本体4との間の保持空間27に保持される。
【0043】
よって、分離したロック部23がゴミとして周囲に飛散せず、環境保全に貢献できる。さらに、陳列棚等にある容器2においてロック部23が上蓋部6から分離した状態は不正開封の状態を示しており、ロック部23が保持空間27に保持されることでTE性が向上する。
【0044】
外郭部13がキャップ本体4の軸心方向に伸びてキャップ下部8の下端を覆い、容器2の鍔部17の近傍に達してキャップ本体4を保護する。よって、図3図4に示すように、栓抜き等の道具を使用するなどしてキャップ本体4に直接力を加えてキャップ1を容器2の口部3から外すことはできず、キャップ1を外そうとする力が外郭部13に作用すると、内外接続部16の内外分離スコア29、上下接続部9の上下分離スコア31が破断することでいたずら行為の痕跡が残り、キャップ1のTE性が向上する。
(打栓)
キャップ上部7とキャップ下部8を薄肉状の上下接続部9で繋ぎ、上下接続部9の近傍において外郭部13とキャップ下部8を繋ぐ薄肉状の内外接続部16を備えることで、キャップ下部8の下端が他部材に拘束されない構造となる。
【0045】
このため、打栓時にキャップ内側凸部12が容器2の口部3の外周面上を口部3の軸心方向に摺動するとともに、容器2の口部3の外周面の形状に倣って口部3の径方向に移動するとき、キャップ上部7と薄肉状の上下接続部9で繋がるとともに、薄肉状の内外接続部16で外郭部13に繋がるキャップ下部8は、その開口が他部材に拘束されることなく、径方向に容易に広がるので、打栓作業をスムーズに行えるとともに、打栓に要する力の省力化を図れる。
【0046】
そして、上下接続部9の近傍において薄肉状の内外接続部16でキャップ下部8に繋がる外郭部13には負荷が作用せず、外郭部13の外郭縦スコア28および外郭第2縦スコア32を破断させるようなキャップ1の周方向の引っ張り力は作用しない。
(分別)
さらに、打栓時に不要な力が作用しない外郭部13に外郭縦スコア28および外郭第2縦スコア32を形成することで、外郭縦スコア28および外郭第2縦スコア32の強度を決定する上で、打栓時の影響要因を外すことができ、分別作業時に容易に破断できる弱化度を優先的に選択することができ、分別作業の容易化を実現できる。
【0047】
分別作業はキャップ1の内外分離領域Aにおいて開始される。まず、全開した上蓋部6を下方に引っ張り、ヒンジ5およびバンド5aを介して外郭部13に力を加える。外郭部13が外郭縦スコア28においてキャップ1の軸心方向に破断する。
【0048】
外郭縦スコア28は、分別作業時に容易に破断できる弱化度を優先的に選択して強度を決定しているので、外郭縦スコア28において容易に分別作業を開始できる。そして、分別作業においてキャップ1の上蓋部6および外郭部13に加える力が外郭縦スコア28に続いて内外接続部16の内外分離スコア31に円滑に作用し、外郭部13をキャップ1の軸心廻りに容易に剥がすことができる。
【0049】
内外分離領域Aにおいて外郭部13がキャップ本体2から外れることで、外れた外郭部13に力を加え易くなる。さらに、内外分離領域Aの終端側においてキャップ下部8のキャプ下部縦スコア30が破断し、続いて外郭部13が外郭第2縦スコア32において上端から上下接続部9の補強部33に対応する位置まで破断することで、外郭部13に加えるキャップ1の軸心廻りの力が内外分離領域Aから上下分離領域Bに、すなわち内外分離領域Aにおける内外分離スコア29の終端から近傍に位置する上下分離領域Bの上下分離スコア31の始端に円滑に伝わり、上下分離領域Bの上下接続部9の上下分離スコア31の破断が過剰な力を要することなく始まり、分別作業を容易に行える
そして、上下分離領域Bの上下分離スコア31の破断によってキャップ本体4がキャップ上部7とキャップ下部8に分離する。このキャップ上部7とキャップ下部8の分離によって、キャップ下部8に形成したキャップ内側凸部12が容器2の口部外周に形成した容器外側凹部11から外れるので、容器2の口部3からキャップ1を容易に離脱させることができる。
【符号の説明】
【0050】
1 キャップ
2 容器
3 口部
3a 開口
4 キャップ本体
5 ヒンジ
5a バンド
6 上蓋部
7 キャップ上部
8 キャップ下部
9 上下接続部
10 注出筒
11 容器外側凹部
12 キャップ内側凸部
13 外郭部
13a 脆化部
14 上部スリット
15 下部スリット
16 内外接続部
17 鍔部
18 中栓
19 中栓保持部
20 嵌合突起部
21 上蓋保持部
22 嵌合面
23 ロック部
23a ロック爪
24 ロック部スコア
25 ストッパ部
26 ガード部
27 保持空間
28 外郭縦スコア
29 内外分離スコア
30 キャップ下部縦スコア
31 上下分離スコア
32 外郭第2縦スコア
33 補強部
A 内外分離領域
B 上下分離領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9