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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-18
(45)【発行日】2024-07-26
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
A63F7/02 312Z
A63F7/02 316A
A63F7/02 316Z
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021014951
(22)【出願日】2021-02-02
(65)【公開番号】P2022118432
(43)【公開日】2022-08-15
【審査請求日】2023-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】100111970
【弁理士】
【氏名又は名称】三林 大介
(74)【代理人】
【識別番号】100163315
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健二
(72)【発明者】
【氏名】高木 和也
【審査官】下村 輝秋
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-117109(JP,A)
【文献】特開2018-140052(JP,A)
【文献】特開2002-210117(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤の前面に形成された遊技領域に遊技球を発射することによって遊技を行う遊技機において、
前記遊技領域の中の特定領域に到達した遊技球を検知する検知手段と、
前記特定領域との間に遊技球が流下可能な間隔を空けて設けられ、該特定領域に向かって下方に傾斜した傾斜面と、
前記特定領域と前記傾斜面との間に設置されて、前後方向の軸回りに回転可能な回転扉と、
前記回転扉の回転を制御し、当該回転扉が前記傾斜面に対して略平行な角度になって前記傾斜面から遊技球が前記特定領域へ至る経路の下側を構成した開放状態と、当該回転扉が前記傾斜面に対して略直交する角度になって前記経路を塞いだ閉鎖状態とに切り換え可能な回転制御手段と
を備え
前記開放状態における前記回転扉を、前記傾斜面から仮想的に延ばした延長面よりも下げて配置することで、段差が設けられており、
前記開放状態における前記回転扉と前記傾斜面との間隔が遊技球の直径よりも大きくなっている
ことを特徴とする遊技機
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技盤の前面に形成された遊技領域に遊技球を発射することによって遊技を行う遊技機(パチンコ機)に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技盤の前面に形成された遊技領域に向けて遊技球を発射することで遊技を行う遊技機では、遊技球が入球可能な入球口を遊技領域に備えているのが一般的であり、入球口への遊技球の入球を検知すると、賞球が付与されたり、遊技に関する抽選が行なわれたりするようになっている。
【0003】
また、入球口への遊技球の入球可能性を変化させる機構を備えたものが知られている。例えば、特許文献1では、入球口に向かって下方に傾斜した可動板が遊技領域を前後方向に移動可能に設けられており、可動板が前進して入球口に遊技球が入球可能(入球容易)な状態と、可動板が後退して入球口に遊技球が入球不能(入球困難)な状態との切り換えを制御することで、入球口への遊技球の入球し易さを調節可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-77235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述のように可動板の前後移動によって入球口への遊技球の入球可能性を変化させる遊技機では、動作中の可動板が移動する過程で偶発的に遊技球が挟まれ、いわゆる球噛みが発生することがあるという問題があった。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、球噛みの発生を抑制しながら、入球口への遊技球の入球し易さ(特定領域への遊技球の到達し易さ)を調節することが可能な遊技機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題の少なくとも一部を解決するために、本発明の遊技機は次の構成を採用した。すなわち、
遊技盤の前面に形成された遊技領域に遊技球を発射することによって遊技を行う遊技機において、
前記遊技領域の中の特定領域に到達した遊技球を検知する検知手段と、
前記特定領域との間に遊技球が流下可能な間隔を空けて設けられ、該特定領域に向かって下方に傾斜した傾斜面と、
前記特定領域と前記傾斜面との間に設置されて、前後方向の軸回りに回転可能な回転扉と、
前記回転扉の回転を制御し、当該回転扉が前記傾斜面に対して略平行な角度になって前記傾斜面から遊技球が前記特定領域へ至る経路の下側を構成した開放状態と、当該回転扉が前記傾斜面に対して略直交する角度になって前記経路を塞いだ閉鎖状態とに切り換え可能な回転制御手段と
を備え
前記開放状態における前記回転扉を、前記傾斜面から仮想的に延ばした延長面よりも下げて配置することで、段差が設けられており、
前記開放状態における前記回転扉と前記傾斜面との間隔が遊技球の直径よりも大きくなっている
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、球噛みの発生を抑制しながら、特定領域への遊技球の到達し易さを調節することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施例のパチンコ機の正面図である。
図2】本実施例の遊技盤の盤面構成を示す説明図である。
図3】本実施例のパチンコ機における制御回路の構成を示すブロック図である。
図4】セグメント表示部50を拡大して示した説明図である。
図5】本実施例の始動口ユニット60の構成を示す斜視図である。
図6】始動口ユニット60から前板64を省略して示した斜視図である。
図7】本実施例の始動口ユニット60で回転扉63が開放状態から閉鎖状態へと切り換わる過程を示した説明図である。
図8】本実施例の始動口ユニット60で回転扉63が閉鎖状態から開放状態へと切り換わる過程を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
上述した本発明の内容を明確にするために、本発明を「セブン機」や「デジパチ」と呼ばれるタイプのパチンコ機(遊技機)に適用した実施例について説明する。尚、実施例において、「前」および「表」は「遊技機を基準とする前方」、つまり「遊技者に近接する方向(遊技者から見て手前側)」を示し、「後」および「裏」は「遊技機を基準とする後方」、つまり「遊技者から離間する方向(遊技者から見て奥側)」を示す。また、「上」とは遊技者から見て「上」であることを示し、「下」とは遊技者から見て「下」であることを示し、「左」とは遊技者から見て「左」であることを示し、「右」とは遊技者から見て「右」であることを示す。
【0015】
A.パチンコ機の装置構成 :
A-1.装置前面側の構成 :
図1は、本実施例のパチンコ機1の正面図である。図1に示すように、パチンコ機1の前面部には、前面枠4が設けられている。前面枠4は、一端(図1における左側)が中枠3に対して回動可能に軸支されている。中枠3の前面側には遊技盤20(図2参照)が着脱可能に取り付けられており、前面枠4が中枠3に対してパチンコ機1の前方側に回動(開放)されると、遊技盤20が露出した状態となる。中枠3は、一端(図1における左側)が本体枠2に対して回動可能に軸支されている。本体枠2は、木製の板状部材を組み立てて構成された略長方形の枠体であり、パチンコ機1の外枠を形成している。
【0016】
前面枠4の略中央部には窓部4aが形成されており、この窓部4aにはガラス板等の透明板4bが嵌め込まれている。遊技者は、窓部4a(透明板4b)を通して奥側に配置された遊技盤20の後述する遊技領域を視認可能である。また、前面枠4における窓部4aの右下方には、小窓部4cが形成されており、この小窓部4cには合成樹脂板等の透明板4dが嵌め込まれている。遊技者は、小窓部4c(透明板4d)を通して奥側に配置された遊技盤20の後述するセグメント表示部を視認可能である。
【0017】
前面枠4における窓部4aの上方には上部ランプ5aが設けられ、窓部4aの右側の周縁部には右サイドランプ5bが設けられ、窓部4aの左側の周縁部には左サイドランプ5cが設けられている。また、窓部4aの上方の左右には一対の上部スピーカー6aが設けられており、本体枠2の下部の前面側には下部スピーカー6bが設けられている。これらの上部ランプ5a、右サイドランプ5b、左サイドランプ5c、上部スピーカー6a、および下部スピーカー6bは、遊技上の演出効果を高めるために駆動される。
【0018】
前面枠4における窓部4aの下方には、上皿部7が設けられている。上皿部7には、カードユニット242(図3参照)を介して貸し出される遊技球や、パチンコ機1から払い出される遊技球が貯留される。また、上皿部7の下方には下皿部8が設けられており、上皿部7の容量を超えて貸し出された遊技球や、上皿部7の容量を超えて払い出された遊技球が貯留される。
【0019】
前面枠4における下皿部8の右方には、遊技者による回転操作が可能な発射ハンドル9が設けられている。発射ハンドル9の回転軸は、発射ハンドル9の奥側に搭載された発射装置ユニット261(図3参照)に接続されている。この発射装置ユニット261には、上皿部7に貯留された遊技球が供給される。遊技者が発射ハンドル9を回転させると、その回転が発射装置ユニット261に伝達され、発射装置ユニット261に内蔵された発射モーターが作動して、発射ハンドル9の回転角度に応じた強さで遊技球が発射される。
【0020】
また、上皿部7の手前側の縁部には、遊技者による押下操作が可能な演出ボタン10aが設けられており、下皿部8の左方には、遊技者による押込操作や回転操作が可能なジョグシャトル10bが設けられている。これらの演出ボタン10aやジョグシャトル10bは、何れも遊技者によって操作される演出操作部であり、遊技者は、所定の条件成立時に演出操作部を操作することで、遊技演出に関与することが可能である。
【0021】
A-2.遊技盤の構成 :
図2は、本実施例の遊技盤20の盤面構成を示す説明図である。前述したように遊技盤20は、中枠3の前面側に着脱可能に取り付けられている。図2に示すように、遊技盤20の中央には略円形状の遊技領域21が形成されている。発射装置ユニット261(図3参照)から発射された遊技球は、外レール22と内レール23との間を通って遊技領域21に放出され、遊技領域21の上方から下方へと流下する。遊技領域21は、前面枠4の窓部4a(透明板4b)を通して遊技者に視認されるので、当然ながら、遊技領域21を流下する遊技球の様子も窓部4aを通して遊技者が視認可能である。
【0022】
遊技領域21の略中央には中央装置40が設けられており、中央装置40は、液晶表示器によって構成された演出表示装置41を備えている。演出表示装置41の表示画面上には、演出用の種々の画像を表示することが可能である。例えば、演出用の図柄として3つの装飾図柄41a,41b,41cを表示可能であり、これらの装飾図柄41a,41b,41cが複数の数字(例えば「1」~「9」の9つの数字)を順番に次々と切り換えて変動表示する演出(以下「図柄変動演出」ともいう)が行われる。
【0023】
遊技領域21における中央装置40(演出表示装置41)の右方には、普通図柄作動ゲート27が設けられている。遊技球が普通図柄作動ゲート27を通過すると、内蔵のゲートセンサー27s(図3参照)によって検知されて、下方へと流下していく。
【0024】
遊技領域21における中央装置40(演出表示装置41)の下方には、始動口ユニット60が設けられている。詳細な構成については別図を用いて後述するが、本実施例の始動口ユニット60は、2つの入球口(始動口)を上下に組み合わせて構成されている。上側に設けられた第1始動口61は、遊技球の入球可能性が不変(一定)であり、遊技球が常時入球可能になっている。第1始動口61に入球した遊技球は、通路を通って遊技盤20の裏面側に導かれて、第1始動口センサー61s(図3参照)によって検知される。
【0025】
一方、下側に設けられた第2始動口62は、遊技球の入球可能性が変化可能になっている。前後方向の軸回りに回転可能な回転扉63を備えており、回転扉63の回転によって、第2始動口62に遊技球が入球不能(または入球困難)な閉鎖状態と、第2始動口62に遊技球が入球可能(または入球容易)な開放状態とを切り換えることが可能である。遊技球が第2始動口62に入球すると、第2始動口センサー62s(図3参照)によって検知されて、遊技盤20の裏面側へと導かれる。
【0026】
遊技領域21における始動口ユニット60の右方には、前方に向かって略長方形状に大きく開口した大入賞口28が設けられている。大入賞口28は、下端側を軸に上端側を前方に傾けて回動可能な開閉扉29を備えており、開閉扉29が略直立して遊技球が入球不能な閉鎖状態と、開閉扉29が前方に回動して遊技球が入球可能な開放状態とに変化可能である。図2では、大入賞口28が開放状態となっている様子が示されている。大入賞口28に入球した遊技球は、通路を通って遊技盤20の裏面側に導かれて、大入賞口センサー28s(図3参照)によって検知される。
【0027】
遊技領域21における始動口ユニット60の左方には、その他入賞口30が2つ設けられている。その他入賞口30は、上方に向かって開口しており、遊技球の入球可能性に変化がなく、遊技球が常時入球可能である。その他入賞口30に入球した遊技球は、通路を通って遊技盤20の裏面側に導かれて、その他入賞口センサー30s(図3参照)によって検知される。
【0028】
また、上述した各遊技装置の周辺には、遊技球が流下する経路に影響を与える風車型ホイール31や、多数の遊技釘(図2では図示省略)が設けられている。さらに、遊技領域21の最下部には、アウト口33が設けられており、上述した第1始動口61、第2始動口62、大入賞口28、その他入賞口30の何れにも入球しなかった遊技球は、アウト口33から遊技盤20の裏面側に排出される。
【0029】
本実施例のパチンコ機1において、複数の遊技釘の配置などにより、上述した第1始動口61、その他入賞口30には、中央装置40(演出表示装置41)の左方の領域を流下する遊技球が入球可能である。これに対して、普通図柄作動ゲート27、第2始動口62、大入賞口28には、中央装置40(演出表示装置41)の右方の領域を流下する遊技球が通過または入球可能である。以下では、中央装置40の左方の領域を流下させるように遊技球を発射することを「左打ち」とも表現し、中央装置40の右方の領域を流下させるように遊技球を発射することを「右打ち」とも表現する。尚、本実施例のパチンコ機1では、第1始動口61、第2始動口62、その他入賞口30の何れかに遊技球が入球した場合は、賞球として3個の遊技球が払い出され、大入賞口28に遊技球が入球した場合は、賞球として13個の遊技球が払い出される。
【0030】
さらに、遊技盤20における遊技領域21の右下方には、複数のLEDの組み合わせによって遊技に係る情報を表示するセグメント表示部50が設けられている。セグメント表示部50は、前面枠4に設けられた小窓部4c(図1参照)を通して遊技者が視認可能である。尚、セグメント表示部50の表示内容については別図を用いて後述する。
【0031】
A-3.制御回路の構成 :
次に、本実施例のパチンコ機1における制御回路の構成について説明する。図3は、本実施例のパチンコ機1における制御回路の構成を示したブロック図である。図示されているようにパチンコ機1の制御回路は、多くの制御基板や、各種基板などから構成されている。機能に着目して大別すると、遊技の基本的な進行に係る制御を司る主制御基板200と、遊技の演出に係る制御を司るサブ制御基板220と、サブ制御基板220の制御下で画像の表示や音声の出力に係る制御を司る画像音声制御基板230と、サブ制御基板220の制御下でランプの発光に係る制御を司るランプ制御基板226と、遊技球の貸し出しや払い出しに係る制御を司る払出制御基板240と、遊技球の発射に係る制御を司る発射制御基板260などから構成されている。これら制御基板は、各種論理演算および算出演算を実行するCPU(図3におけるCPU201、221、231等)や、CPUで実行される各種プログラムやデータが記憶されているROM(図3におけるROM202、222、232等)、プログラムの実行に際してCPUが一時的なデータを記憶するRAM(図3におけるRAM203、223、233等)、入出力用回路など、種々の周辺LSIがバスで相互に接続されて構成されている。
【0032】
主制御基板200には、第1始動口61へ入球した遊技球を検知する第1始動口センサー61sや、第2始動口62へ入球した遊技球を検知する第2始動口センサー62s、普通図柄作動ゲート27を通過する遊技球を検知するゲートセンサー27s、大入賞口28へ入球した遊技球を検知する大入賞口センサー28s、その他入賞口30へ入球した遊技球を検知するその他入賞口センサー30sなどが接続されている。主制御基板200のCPU201は、第1始動口センサー61sや、第2始動口センサー62s、ゲートセンサー27s、大入賞口センサー28s、その他入賞口センサー30sなどから遊技球の検知信号の入力があると、その検知信号の入力のあったセンサーに対応したコマンドを、サブ制御基板220や、払出制御基板240などに向けて送信する。
【0033】
また、主制御基板200には、第2始動口62の閉鎖状態と開放状態とを切り換え可能な回転扉63を駆動する始動口モーター63mや、大入賞口28の閉鎖状態と開放状態とを切り換え可能な開閉扉29を駆動する大入賞口ソレノイド29m、セグメント表示部50などが接続されている。主制御基板200のCPU201は、始動口モーター63m、大入賞口ソレノイド29m、セグメント表示部50に駆動信号を送信することにより、これらの動作の制御を行う。尚、本実施例の主制御基板200のCPU201は、本発明の「回転制御手段」に相当している。
【0034】
サブ制御基板220には、画像音声制御基板230や、ランプ制御基板226、演出操作基板228などが接続されている。サブ制御基板220のCPU221は、主制御基板200からの各種コマンドを受信すると、コマンドの内容を解析して、その内容に応じた遊技演出を行う。すなわち、画像音声制御基板230に対して、表示画像や出力音声を指定するコマンドを送信したり、ランプ制御基板226に対して、上部ランプ5a、右サイドランプ5b、左サイドランプ5c(以下「各種ランプ5a~5c」ともいう)の発光パターンを指定するコマンドを送信したりすることによって、遊技演出を行う。また、サブ制御基板220のCPU221は、演出操作基板228を介して、演出ボタン10aやジョグシャトル10b(以下「演出操作部10a,10b」ともいう)に対する遊技者の操作を検知すると、その操作を反映して遊技演出を行う。
【0035】
画像音声制御基板230は、CPU231、ROM232、RAM233に加えて、VDP234、画像ROM235、音声ROM236を備えている。画像音声制御基板230のCPU231は、サブ制御基板220からコマンドを受信すると、そのコマンドに対応した画像の表示をVDP234に指示する。VDP234は、指示された画像の表示に利用する画像データ(例えば、スプライトデータや動画データなど)を画像ROM235から読み出して画像を生成し、演出表示装置41の表示画面に出力する。また、画像音声制御基板230のCPU231は、サブ制御基板220からコマンドを受信すると、そのコマンドに対応した音声データを音声ROM236から読み出して、音声データの信号をアンプ基板224に送信することにより、上部スピーカー6aおよび下部スピーカー6b(以下「各種スピーカー6a,6b」ともいう)から音声を出力する。
【0036】
払出制御基板240には、上皿部7に設けられた球貸ボタン241(図1では図示省略)や、パチンコ機1に並設されたカードユニット242、払出モーター243などが接続されている。球貸ボタン241が操作されると、その検知信号は、払出制御基板240を介してカードユニット242に伝達される。カードユニット242は、払出制御基板240とデータを通信しながら、払出モーター243を駆動して遊技球の貸し出しを行う。また、払出制御基板240は、主制御基板200から遊技球の払い出しを指示する払出コマンドを受信すると、払出モーター243を駆動して遊技球の払い出しを行う。
【0037】
また、払出制御基板240には発射制御基板260が接続されており、発射制御基板260には発射装置ユニット261が接続されている。発射装置ユニット261は、遊技球を発射するための発射モーター262や、遊技者が発射ハンドル9に触れていることを検知するタッチスイッチ263などを有している。遊技者が発射ハンドル9に触れていることをタッチスイッチ263で検知すると、発射モーター262の作動が可能となり、発射ハンドル9の回転角度に応じた強さで遊技球を発射する。
【0038】
B.遊技の概要 :
本実施例のパチンコ機1では、次のようにして遊技が進行する。上皿部7に遊技球が貯留された状態で遊技者が発射ハンドル9を回転させると、上皿部7に貯留された遊技球が1球ずつ発射装置ユニット261に供給されて、図2を用いて前述した遊技領域21に向けて発射される。遊技球を打ち出す強さは発射ハンドル9の回転角度に対応するので、遊技者は発射ハンドル9の回転角度を変化させることによって、所望の領域に遊技球を流下させることができる。例えば、中央装置40(演出表示装置41)の左方の領域に流下させるように遊技球を発射したり(左打ちを行ったり)、中央装置40の右方の領域に流下させるように遊技球を発射したり(右打ちを行ったり)することができる。
【0039】
前述したように第1始動口61には、左打ちされた遊技球が入球可能である。遊技球が第1始動口61に入球して、第1始動口センサー61sによって検知されると、所定の判定乱数(大当り判定乱数など)を取得し、その判定乱数の値に基づいて大当りか外れかを判定する大当り判定を行った後、セグメント表示部50にて第1の特別図柄(以下「第1特図」ともいう)の変動表示を行う。また、第2始動口62には、右打ちされた遊技球が入球可能である。遊技球が第2始動口62に入球して、第2始動口センサー62sによって検知されると、判定乱数を取得して大当り判定を行った後、セグメント表示部50にて第2の特別図柄(以下「第2特図」ともいう)の変動表示を行う。尚、以下では、第1特図と第2特図とを特に区別する必要がない場合には、単に「特別図柄」と称することがある。
【0040】
図4は、セグメント表示部50を拡大して示した説明図である。前述したようにセグメント表示部50は、前面枠4に設けられた小窓部4c(図1参照)を通して遊技者が視認可能である。図示されるようにセグメント表示部50には、第1特図を表示する第1特図表示部51と、第2特図を表示する第2特図表示部52とが設けられており、それぞれ9個のLEDで構成されている。第1特図および第2特図は、対応する表示部51,52で9個のLEDを点滅させる(点灯させるLEDを切り換える)ことによって変動表示され、所定の組み合わせのLEDを点灯させた状態で停止表示される。このとき、大当り判定の結果が大当りであれば、大当り図柄に対応する組み合わせのLEDを点灯させ、外れであれば、外れ図柄に対応する組み合わせのLEDを点灯させる。
【0041】
尚、第1始動口61または第2始動口62に遊技球が入球しても、第1特図や第2特図の変動表示中などで新たな変動表示の開始条件が満たされていない場合には、第1始動口61への入球で取得した判定乱数の値を第1特図保留として記憶し、第2始動口62への入球で取得した判定乱数の値を第2特図保留として記憶する。その後、特別図柄(第1特図または第2特図)の新たな変動表示の開始条件が満たされると、第1特図保留または第2特図保留に基づいて大当り判定を行い、対応する特別図柄の変動表示を行う。本実施例のパチンコ機1では、このような第1特図保留および第2特図保留を、それぞれ最大4つまで記憶可能である。また、第1特図保留および第2特図保留の両方が記憶されている場合には、第1特図保留よりも優先して第2特図保留に基づく大当り判定を行う(第2特図保留を優先消化する)ようになっている。
【0042】
図4に示されるようにセグメント表示部50には、第1特図保留の記憶数(第1特図保留数)を表示する第1特図保留表示部53と、第2特図保留の記憶数(第2特図保留数)を表示する第2特図保留表示部54とが設けられており、それぞれ2個のLEDで構成されている。これらの保留表示部53,54では、保留数が0個であればLEDが2個とも消灯し、保留数が1個であれば1個のLEDが点灯し、保留数が2個であれば2個のLEDが点灯し、保留数が3個であれば1個のLEDが点滅し、保留数が4個であれば、2個のLEDが点滅する。
【0043】
さらに、特別図柄の変動表示と連動して、演出表示装置41では図柄変動演出(装飾図柄41a,41b,41cの変動表示)が行われる。そして、3つの装飾図柄41a,41b,41cは、特別図柄が外れ図柄で停止表示される場合には、同じ数字で揃わない組み合わせ(バラケ目)で停止表示されるのに対して、特別図柄が大当り図柄で停止表示される場合には、同じ数字で揃った組み合わせ(ゾロ目)で停止表示される。このため、3つの装飾図柄のうち2つが停止表示されたときに同じ数字であると、最後に停止表示される装飾図柄も同じ数字で揃うのではないかと、遊技者は装飾図柄の変動表示(図柄変動演出)を注視することになる。このように2つの装飾図柄が同じ図柄で停止表示された状態で最後の装飾図柄を変動表示させながら行われる演出は「リーチ演出」と呼ばれており、リーチ演出を発生させることで遊技興趣を高めることが可能である。
【0044】
第1特図または第2特図が大当り図柄で停止表示されると、大入賞口28が開放状態となる大当り遊技を実行する。大当り遊技では、開放した大入賞口28を、規定個数(例えば9個)の遊技球が入球するか、あるいは所定の開放時間(例えば30秒)が経過したら閉鎖するラウンド遊技が複数回繰り返される。本実施例のパチンコ機1では、複数の大当り図柄が設けられており、停止表示された大当り図柄の種類によって、大当り遊技で行われるラウンド遊技の回数が異なる(例えば、4回、6回、10回)。前述したように大入賞口28に遊技球が1球入球する毎に、賞球として13個の遊技球が払い出されることから、ラウンド遊技の回数(ラウンド回数)が多い大当り遊技であるほど、遊技者は多量の賞球を獲得することが可能である。
【0045】
図4に示されるようにセグメント表示部50には、3個のLEDで構成された右打ち表示部55が設けられている。前述したように大入賞口28には、右打ちされた遊技球が入球可能であり、大当り遊技中は、遊技者にとって右打ちが有利であることから、右打ち表示部55のLEDを点灯させる。
【0046】
また、前述したように、中央装置40(演出表示装置41)の右方には、普通図柄作動ゲート27が設けられており、右打ちされた遊技球が普通図柄作動ゲート27を通過可能である。普通図柄作動ゲート27を通過する遊技球がゲートセンサー27sによって検知されると、所定の判定乱数(普図当り判定乱数など)を取得し、その判定乱数の値に基づいて普図当りか外れかを判定する普図当り判定を行った後、セグメント表示部50にて普通図柄の変動表示を行う。
【0047】
図4に示されるようにセグメント表示部50には、普通図柄を表示する普図表示部56が設けられており、左右2個のLEDで構成されている。普通図柄は、普図表示部56で2個のLEDを点滅させる(点灯させるLEDを切り換える)ことによって変動表示され、一方のLEDを点灯させた状態で停止表示される。このとき、普図当り判定の結果が普図当りであれば、普図当り図柄に対応する左側のLEDを点灯させ、外れであれば、外れ図柄に対応する右側のLEDを点灯させる。そして、普通図柄が普図当り図柄で停止表示されると、第2始動口62が所定時間だけ開放状態となった後に閉鎖状態に戻る普図当り遊技を実行する。
【0048】
尚、遊技球が普通図柄作動ゲート27を通過しても、普通図柄の変動表示中などで新たな変動表示の開始条件が満たされていない場合には、取得した判定乱数の値を普図保留として最大4つまで記憶することが可能である。その後、普通図柄の新たな変動表示の開始条件が満たされると、普図保留に基づいて普図当り判定や、普通図柄の変動表示を行う。図4に示されるようにセグメント表示部50には、2個のLEDで構成された普図保留表示部57が設けられており、普図保留の記憶数(普図保留数)は普図保留表示部57に表示される。
【0049】
普図当り遊技における第2始動口62の開放時間は、「電サポ状態」であるか「非電サポ状態」であるかによって異なり、電サポ状態では、非電サポ状態よりも第2始動口62の開放時間が長く設定される。例えば、非電サポ状態では開放時間が0.3秒(0.1秒×3回開放)に設定されるのに対して、電サポ状態では開放時間が4.5秒(1.5秒×3回開放)に設定される。また、電サポ状態では、非電サポ状態よりも普通図柄の変動時間が短く設定される。従って、電サポ状態では、非電サポ状態に比べて第2始動口62に遊技球が入球する可能性(すなわち、第2特図の変動表示が行われる可能性)が高まり、電サポ状態中は、遊技者にとって右打ちが有利であることから、大当り遊技中と同様に、右打ち表示部55のLEDを点灯させる。
【0050】
本実施例のパチンコ機1では、複数設けられた大当り図柄が「通常当り図柄」と「確変当り図柄」とに大別されており、特別図柄が何れの大当り図柄で停止表示された場合でも、大当り遊技の終了後に電サポ状態が設定される。そして、通常当り図柄で停止表示された場合は、大当り遊技の終了後に、大当り判定の結果が大当りとなる確率(大当り確率)が所定の通常確率(低確率)に設定され、特別図柄の変動回数が所定回数(例えば100回)に達すると非電サポ状態に設定される。一方、確変当り図柄で停止表示された場合は、大当り遊技の終了後に大当り確率が通常確率よりも高い高確率に設定され、電サポ状態と共に次回の大当り遊技まで継続される。
【0051】
上述したように、電サポ状態中は、第2始動口62の開放時間が長くなることで、第2始動口62への遊技球の入球が容易となっている。そのため、電サポ状態では、「右打ち」によって遊技球を第2始動口62に入球させる遊技(すなわち、専ら第2特図が変動表示する第2特図主体の遊技)が行われる。一方、非電サポ状態中は、「右打ち」によって普通図柄作動ゲート27に遊技球を通過させて第2始動口62が開放状態になっても開放時間が短く、第2始動口62への遊技球の入球が困難となっている。そのため、非電サポ状態では、「左打ち」によって遊技球を第1始動口61に入球させる遊技(すなわち、専ら第1特図が変動表示する第1特図主体の遊技)が行われる。このように第2始動口62への遊技球の入球し易さを調節可能とするために、本実施例のパチンコ機1では、以下のような始動口ユニット60を採用している。
【0052】
C.始動口ユニットの構成 :
図5は、本実施例の始動口ユニット60の構成を示す斜視図である。前述したように始動口ユニット60は、第1始動口61と第2始動口62とが上下に組み合わされて構成されている。この始動口ユニット60は、後面の取付板60aが遊技盤20の盤面に接した状態で取り付けられる。上側に設けられた第1始動口61は、取付板60aから前方に突出して設けられ、上面が開口した断面U字形の受け樋61aを備えており、遊技球が常時入球可能な入球口である。受け樋61aの上面の開口部から入球した遊技球は、遊技盤20の裏面側に導かれて、第1始動口センサー61s(図3参照)によって検知される。
【0053】
一方、下側に設けられた第2始動口62は、前方が前板64によって覆われている。前板64は、取付板60aと略平行に設置されており、前板64と取付板60aとの間隔は、遊技球が通過可能に遊技球の直径よりも広く設定されている。また、本実施例の前板64は、透明な樹脂材料で形成されており、奥側の第2始動口62を遊技者が視認可能となっている。
【0054】
図6は、始動口ユニット60から前板64を省略して示した斜視図である。図6(a)には、第2始動口62の開放状態が示されており、図6(b)には、第2始動口62の閉鎖状態が示されている。図示されるように始動口ユニット60は、前板64を左右両側で支持するために取付板60aから前方に突設された左支柱65および右支柱66を備えており、左支柱65と右支柱66との間に回転扉63が配置されている。
【0055】
左支柱65には、右方に向かって開口した第2始動口62が設けられており、通過孔62tを有する第2始動口センサー62sが内蔵されている。遊技球が第2始動口62に入球すると、第2始動口センサー62sの通過孔62tを通過することで検知された後、遊技盤20の裏面側へと導かれる。また、左支柱65の上部には、第2始動口62の上方を覆い、左側に向かって下方に傾斜した被覆部65aが形成されている。さらに、被覆部65aの右端からは、右側に向かって下方に傾斜した庇部65bが張り出している。尚、本実施例の第2始動口62は、本発明の「特定領域」に相当しており、本実施例の第2始動口センサー62sは、本発明の「検知手段」に相当している。
【0056】
右支柱66の上部には、左側に向かって下方に傾斜した傾斜面66aが第2始動口62に向けて延設されている。第1始動口61の右側を流下して傾斜面66aに達した遊技球は、傾斜面66aに沿って転動することにより、第2始動口62に向けて誘導される。この傾斜面66aの左端と左支柱65(庇部65bの右端)との間には、遊技球が流下可能な間隔が設けられている。
【0057】
回転扉63は、前述したように前後方向の軸回りに回転可能であり、回転扉63の回転軸は、遊技盤20の奥側に搭載された始動口モーター63m(図3参照)に接続されている。本実施例の始動口モーター63mは、ステッピングモーターが採用されており、回転扉63を駆動して、その回転角度の制御が可能となっている。また、本実施例の回転扉63は、中央の回転軸から両端に向かって厚みが薄くなる形状に形成されている。
【0058】
図6(a)に示されるように第2始動口62の開放状態では、回転扉63が傾斜面66aに対して略平行な角度になっている。傾斜面66aを転動してきた遊技球は、回転扉63の上面を伝って第2始動口62に入球することが可能である。すなわち、開放状態における回転扉63は、傾斜面66aから遊技球が第2始動口62へと至る経路の下側を構成している。
【0059】
また、本実施例の始動口ユニット60では、開放状態における回転扉63を、傾斜面66aから仮想的に延ばした延長面よりも下げて配置することで、段差が設けられている。加えて、開放状態における回転扉63の右端と、傾斜面66aの左端との間には、遊技球の直径よりも大きい間隔が空いている。このため、例えば、第1始動口61の左側を流下して庇部65bの上面に沿って左支柱65と右支柱66との間に誘導された遊技球などは、回転扉63と傾斜面66aとの間を通り抜けていくことがある。尚、このような間隔が空いていても、傾斜面66aを転動する遊技球に勢いがあれば、傾斜面66aから遊技球が段差を下って回転扉63に飛び移れるので、第2始動口62に入球可能である。
【0060】
一方、図6(b)に示されるように第2始動口62の閉鎖状態では、回転扉63が傾斜面66aに対して略直交する角度となっている。始動口モーター63m(ステッピングモーター)を駆動して回転扉63を90度回転させることにより、図6(a)の開放状態と、図6(b)の閉鎖状態とを切り換えることが可能である。
【0061】
そして、閉鎖状態における回転扉63は、傾斜面66aから遊技球が第2始動口62へと至る経路を塞いでおり、傾斜面66aを転動してきた遊技球は、回転扉63に阻まれて第2始動口62に入球することはなく、下方のアウト口33へと流下していく(図2参照)。また、左支柱65から庇部65bが張り出して閉鎖状態における回転扉63の上方まで覆っているので、第1始動口61の左側を流下する遊技球が回転扉63の左側を通って第2始動口62に入球してしまうことはなく、庇部65bの上面に沿って回転扉63の右側に誘導された遊技球は、そのまま下方へと流下していく。
【0062】
以上のように本実施例のパチンコ機1では、第2始動口62と、第2始動口62に向かって下方に傾斜した傾斜面66aとの間に、前後方向の軸回りに回転可能な回転扉63が設置されており、回転扉63の回転を制御することで、傾斜面66aから遊技球が第2始動口62に入球(到達)可能な開放状態と、傾斜面66aから遊技球が第2始動口62に入球(到達)不能な閉鎖状態とを切り換えることができるので、第2始動口62への遊技球の入球(到達)し易さを調節することが可能となる。
【0063】
そして、本実施例とは異なり、第2始動口62と傾斜面66aとの間に、前後方向に移動可能な可動板を備え、その可動板が前進して傾斜面66aから遊技球が第2始動口62に入球可能な状態と、可動板が後退して傾斜面66aから遊技球が第2始動口62に入球不能な状態とを切り換えるタイプでは、例えば、前進する可動板が偶発的に遊技球を前板64に押し付けることで球噛みが発生し得る。これに対して、本実施例の始動口ユニット60では、前後方向の軸回りに回転する回転扉63が遊技球を前板64に押し付けることはなく、回転扉63が回転することで触れた遊技球を回転方向に払い除けることにより、傾斜面66aなどの他の部材と回転扉63との間で球噛みが発生することを抑制することができる。
【0064】
特に、本実施例の始動口ユニット60では、回転扉63の形状が中央の回転軸から両端に向かって厚みが薄くなっていると共に、開放状態における回転扉63と傾斜面66aとの間に遊技球の直径よりも大きい間隔が確保されていることにより、回転扉63と傾斜面66aとの間での球噛みの発生を回避することができる。そして、このような間隔が回転扉63と傾斜面66aとの間に空いていても、開放状態における回転扉63を、傾斜面66aから仮想的に延ばした延長面よりも下げて配置することで、段差が設けられており、傾斜面66aから遊技球が段差を下って回転扉63に飛び移れるので、回転扉63を伝って遊技球が第2始動口62に入球することが可能である。
【0065】
また、本実施例の始動口ユニット60では、第2始動口62の上方を覆う被覆部65aから庇部65bが閉鎖状態における回転扉63の上方まで張り出している。このように閉鎖状態における回転扉63よりも第2始動口62側の上方を庇部65bで覆っておくことにより、上方から流下する遊技球が傾斜面66aを介さずに閉鎖状態の第2始動口62に入球してしまうことを防ぐことが可能となる。
【0066】
図7は、本実施例の始動口ユニット60で回転扉63が開放状態から閉鎖状態へと切り換わる過程を示した説明図である。図では、前板64を省略した始動口ユニット60の正面図を表している。本実施例の回転扉63は、図中に破線で示した開放状態から閉鎖状態へと切り換わる際に、図中の時計回りに回転し、開放状態で第2始動口62側に位置していた回転扉63の左端部が上方に移動するようになっている。
【0067】
このようにすれば、開放状態から閉鎖状態へと切り換わる過程で速やかに回転扉63は傾斜面66aに向かって下方に傾斜した姿勢となって、傾斜面66aから第2始動口62に向かう(第2始動口62に入球仕掛けた)遊技球を回転扉63が傾斜面66a側に振り払うことになるので、第2始動口62への遊技球の入球を抑制することが可能となる。
【0068】
また、図8は、本実施例の始動口ユニット60で回転扉63が閉鎖状態から開放状態へと切り換わる過程を示した説明図である。図では、前板64を省略した始動口ユニット60の正面図を表している。本実施例の回転扉63は、図中に破線で示した閉鎖状態から開放状態へと切り換わる際に、図7の開放状態から閉鎖状態へと切り換わる際と同方向に回転する。すなわち、回転扉63が図中の時計回りに回転し、閉鎖状態における回転扉63の上端部が傾斜面66a側に移動する。
【0069】
このようにすれば、閉鎖状態から開放状態へと切り換わる際に、回転扉63は上端部が傾斜面66a側に傾くことによって、傾斜面66aから第2始動口62へと向かっていた遊技球を払い落とすことになるため、第2始動口62への遊技球の入球を抑制することが可能となる。
【0070】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
【0071】
例えば、上述した実施例では、回転扉63が開放状態から閉鎖状態へと切り換わる際に、時計回りに回転するようになっていた。しかし、これとは逆に、回転扉63が反時計回りに回転するようにしてもよい(図7参照)。このようにすれば、開放状態から閉鎖状態へと回転する回転扉63が、傾斜面66aから第2始動口62に向かっていた遊技球を押し込んで第2始動口62に入球させることがあるので、第2始動口62への遊技球の入球を促進することが可能となる。
【0072】
また、前述した実施例では、回転扉63が閉鎖状態から開放状態へと切り換わる際にも、時計回りに回転するようになっていたが、これとは逆に、回転扉63が反時計回りに回転するようにしてもよい(図8参照)。このようにすれば、閉鎖状態から回転する回転扉63が完全に開放状態となる前に、傾斜面66aから第2始動口62に向かう遊技球を拾い上げて第2始動口62に入球させることがあるので、第2始動口62への遊技球の入球を促進することが可能となる。
【0073】
加えて、「電サポ状態」と「非電サポ状態」とで回転扉63の回転方向を変えてもよい。前述したように電サポ状態では、非電サポ状態よりも第2始動口62の開放時間を長く設定することで、第2始動口62に遊技球が入球する可能性を高めている。そこで、第2始動口62の開放時間が短い非電サポ状態では、回転扉63の回転方向を「時計回り」として、第2始動口62への遊技球の入球を抑制すると共に、第2始動口62の開放時間が長い電サポ状態では、回転扉63の回転方向を「反時計回り」として、第2始動口62への遊技球の入球を促進してもよい。
【0074】
また、前述した実施例では、回転扉63の形状を、中央の回転軸から両端に向かって厚みが薄くなる形状としていた。しかし、回転扉63の形状は、これに限られず、傾斜面66aから遊技球が開放状態の回転扉63を伝って第2始動口62に入球可能であればよい。例えば、回転扉63の形状を、回転軸が接続された中央から両端に向かって細くなる紡錘形としてもよい。こうすれば、回転扉63の両端で遊技球と接触し得る面積が小さくなることにより、球噛みの発生を抑制することができる。
【0075】
また、前述した実施例では、遊技ホールの島設備から供給される遊技球を払い出すことによって、遊技の結果としての利益(遊技価値)を遊技者に付与するパチンコ機1に本発明を適用した例を説明した。これに限らず、「遊技球の払い出し」とは異なる形態で遊技上の利益を付与するタイプの遊技機にも、本発明を適用することができる。例えば、各種入球口への遊技球の入球が発生することで、その入球に対応する利益の量(遊技価値の大きさ)を示すデータを記憶することによって、遊技上の利益(遊技価値)を遊技者に付与するタイプのパチンコ機にも本発明を適用することができ、この場合にも、上述した実施例と同様の効果を得ることができる。なお、遊技上の利益(遊技価値)をデータ化して遊技者に付与するタイプのパチンコ機としては、パチンコ機に内蔵された複数個の遊技球を循環させて使用する遊技機、具体的には、各種入球口あるいはアウト口を経て遊技盤の裏面に排出された遊技球を、再度、発射位置に戻して発射するように構成されたパチンコ機(いわゆる封入式遊技機)を例示できる。
【0076】
<上述した実施例から抽出できる遊技機A1~A5>
上述した実施例のパチンコ機1は、次のような遊技機A1~A5として捉えることができる。
【0077】
<遊技機A1>
遊技盤の前面に形成された遊技領域に遊技球を発射することによって遊技を行う遊技機において、
前記遊技領域の中の特定領域に到達した遊技球を検知する検知手段と、
前記特定領域との間に遊技球が流下可能な間隔を空けて設けられ、該特定領域に向かって下方に傾斜した傾斜面と、
前記特定領域と前記傾斜面との間に設置されて、前後方向の軸回りに回転可能な回転扉と、
前記回転扉の回転を制御し、当該回転扉が前記傾斜面に対して略平行な角度になって前記傾斜面から遊技球が前記特定領域へ至る経路の下側を構成した開放状態と、当該回転扉が前記傾斜面に対して略直交する角度になって前記経路を塞いだ閉鎖状態とに切り換え可能な回転制御手段と
を備えることを特徴とする遊技機。
【0078】
このような遊技機A1では、回転扉の回転を制御することで、傾斜面から遊技球が特定領域に到達可能な開放状態と、傾斜面から遊技球が特定領域に到達不能な閉鎖状態とを切り換えることができるので、特定領域への遊技球の到達し易さを調節することが可能となる。そして、回転扉が前後方向の軸回りに回転することで触れた遊技球を回転方向に払い除けることにより、回転扉と他の部材との間で球噛みが発生することを抑制することができる。
【0079】
<遊技機A2>
遊技機A1において、
前記開放状態から前記閉鎖状態へと切り換える際の前記回転扉の回転方向は、前記開放状態で前記特定領域側に位置していた前記回転扉の端部が上方に移動する方向である
ことを特徴とする遊技機。
【0080】
このような遊技機A2では、開放状態から閉鎖状態へと切り換わる過程で速やかに回転扉は傾斜面側に向かって下方に傾斜した姿勢となって、傾斜面から特定領域に向かう(特定領域に到達仕掛けた)遊技球を回転扉が傾斜面側に振り払うことになるので、特定領域への遊技球の到達を抑制することが可能となる。
【0081】
<遊技機A3>
遊技機A2において、
前記閉鎖状態から前記開放状態へと切り換える際の前記回転扉の回転方向は、前記開放状態から前記閉鎖状態へと切り換える際と同方向である
ことを特徴とする遊技機。
【0082】
このような遊技機A3では、閉鎖状態から開放状態へと切り換わる際に、回転扉は上端部が傾斜面側に傾くことによって、傾斜面から特定領域へと向かっていた遊技球を払い落とすことになるため、特定領域への遊技球の到達を抑制することが可能となる。
【0083】
<遊技機A4>
遊技機A1ないし遊技機A3の何れか1つの遊技機において、
前記特定領域の上方が被覆部によって覆われており、
前記被覆部から前記閉鎖状態の前記回転扉の上方まで張り出した庇部が設けられている
ことを特徴とする遊技機。
【0084】
このような遊技機A4では、閉鎖状態における回転扉よりも特定領域側の上方を庇部で覆っておくことにより、上方から流下する遊技球が傾斜面を介さずに閉鎖状態の特定領域に到達してしまうことを防ぐことが可能となる。
【0085】
<遊技機A5>
遊技機A1ないし遊技機A4の何れか1つの遊技機において、
前記開放状態における前記回転扉を、前記傾斜面から仮想的に延ばした延長面よりも下げて配置することで、段差が設けられており、
前記開放状態における前記回転扉と前記傾斜面との間隔が遊技球の直径よりも大きくなっている
ことを特徴とする遊技機。
【0086】
このような遊技機A5では、開放状態における回転扉と傾斜面との間に遊技球の直径よりも大きい間隔を確保しておくことにより、回転扉と傾斜面との間での球噛みの発生を回避することができる。そして、こうした間隔が空いていても、傾斜面から遊技球が段差を下って回転扉に飛び移れるので、回転扉を伝って遊技球が特定領域に到達することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明は、遊技ホールで用いられる遊技機に利用することができる。
【符号の説明】
【0088】
1…パチンコ機(遊技機)、 4…前面枠、 4a…窓部、
4b…透明板、 20…遊技盤、 21…遊技領域、
60…始動口ユニット、 60a…取付板、 61…第1始動口、
61s…第1始動口センサー、 62…第2始動口(特定領域)、
62s…第2始動口センサー(検知手段)、 62t…通過孔、
63…回転扉、 63m…始動口モーター、 64…前板、
65…左支柱、 65a…被覆部、 65b…庇部、
66…右支柱、 66a…傾斜面、 200…主制御基板、
201…CPU(回転制御手段)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8