(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-18
(45)【発行日】2024-07-26
(54)【発明の名称】UFB水溶液生成装置、UFB水溶液生成方法および水溶液
(51)【国際特許分類】
B01F 31/80 20220101AFI20240719BHJP
B01F 23/232 20220101ALI20240719BHJP
B01F 25/50 20220101ALI20240719BHJP
B01F 27/90 20220101ALI20240719BHJP
B01F 35/90 20220101ALI20240719BHJP
C02F 1/50 20230101ALI20240719BHJP
C02F 1/78 20230101ALI20240719BHJP
【FI】
B01F31/80
B01F23/232
B01F25/50
B01F27/90
B01F35/90
C02F1/50 531B
C02F1/50 531J
C02F1/50 531R
C02F1/50 532C
C02F1/50 540B
C02F1/50 550D
C02F1/78
(21)【出願番号】P 2021167049
(22)【出願日】2021-10-11
【審査請求日】2022-07-05
【審判番号】
【審判請求日】2023-04-07
(31)【優先権主張番号】P 2020172527
(32)【優先日】2020-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504280724
【氏名又は名称】トスレック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100170449
【氏名又は名称】山本 英彦
(72)【発明者】
【氏名】大塚 俊宏
(72)【発明者】
【氏名】中川 亘
(72)【発明者】
【氏名】中尾 順次
【合議体】
【審判長】日比野 隆治
【審判官】金 公彦
【審判官】後藤 政博
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-65124(JP,A)
【文献】特表2005-506545(JP,A)
【文献】特開2005-74369(JP,A)
【文献】特開平11-193247(JP,A)
【文献】特開2019-42732(JP,A)
【文献】特開2005-15746(JP,A)
【文献】特開2020-50705(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0193260(US,A1)
【文献】特開2016-60713(JP,A)
【文献】韓国特許第10-2015-66004(KR,B1)
【文献】青木 繁 ほか,加圧溶解法で発生したマイクロバブルの基礎特性,東京都立産業技術高等専門学校研究紀要,2017年3月,11巻,p.7-14
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 21/00-25/90
B01F 27/00-27/96
B01F 29/00-33/87
B01F 35/00-35/95
C02F 1/50
C02F 1/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶液中に第1のバブルを生成し、前記第1のバブルを含有する第1のバブル含有水溶液を供給するバブル生成部と、
前記バブル生成部に接続され、前記バブル生成部から供給されるマイクロオーダーの粒径を有するマイクロバブルを含む第1のバブル含有水溶液を通過可能であり、通過する前記第1のバブル含有水溶液に超音波を照射し、前記第1のバブル含有水溶液のバブルを圧壊して前記第1のバブルより粒径の小さい第2のバブルを生成し、前記第2のバブルを含有する第2のバブル含有水溶液を供給するバブル圧壊部と、
前記バブル圧壊部に接続され、前記バブル圧壊部から供給される、ナノオーダーの粒径を有するナノバブルを含む第2のバブル含有水溶液を貯留する貯留部とを備え、
前記貯留部内を加圧できる装置および前記貯留部内を温度制御できる装置を備え、
前記バブル生成部は、前記水溶液にオゾンガスを混合して前記第1のバブルを生成し、
前記水溶液は、
濃度5%~20%の範囲のグリセリンを含有することを特徴とする、ウルトラファインバブル含有水溶液製造装置。
【請求項2】
水溶液中にマイクロオーダーの粒径を有するマイクロバブルである第1のバブルを生成し、前記第1のバブルを含有する第1のバブル含有水溶液を供給するバブル生成ステップと、
前記バブル生成ステップにて得られた第1のバブル含有水溶液を通過させ、通過する前記第1のバブル含有水溶液に超音波を照射し、前記第1のバブル含有水溶液のバブルを圧壊して前記第1のバブルより粒径の小さいナノオーダーの粒径を有するナノバブルである第2のバブルを生成し、前記第2のバブルを含有する第2のバブル含有水溶液を供給するバブル圧壊ステップと、
前記バブル圧壊ステップにて得られた第2のバブル含有水溶液を貯留部にて貯留する貯留ステップと、
貯留部に貯留された第2のバブル含有水溶液をバブル生成ステップに再帰させる再帰ステップとを含み、
前記バブル生成ステップ、前記バブル圧壊ステップ、前記貯留ステップおよび前記再帰ステップを、前記水溶液中の第2のバブル含有量が1000万個/mL以上となるまで繰り返すとともに、
前記貯留部を加圧できる装置および前記貯留部内を温度制御できる装置を備え、
前記バブル生成部は、前記水溶液にオゾンガスを混合して前記第1のバブルを生成し、
前記水溶液は、
濃度5%~20%の範囲のグリセリンを含有することを特徴とする、ウルトラファインバブル含有水溶液製造方法。
【請求項3】
前記バブル生成ステップ、前記バブル圧壊ステップ、前記貯留ステップおよび前記再帰ステップを繰り返すことにより、前記水溶液中の気体濃度を5ppm以上とする、請求項
2に記載のウルトラファインバブル含有水溶液製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウルトラファインバブル(以下「UFB」とも称する。)を含有する水溶液の生成装置および生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、衛生意識の高まりに伴い、多様な分野及び場面で消毒剤や殺菌剤が使用されている。例えば、調理器具や食品自体の消毒では、安全性の観点から、消毒成分として、エタノール等の生体安全性の高い成分の使用が望まれる。ただ、アルコールのみでは、近年注目されているノロウイルスや新型コロナウイルス、食中毒菌等に対して十分に消毒効果を発揮することができない。一方、これらの特定のウイルス等に対しては、強酸又は強アルカリの消毒剤が有効であることが知られているが、このような消毒剤は生体安全性の観点からは望ましくない。
【0003】
そこで、界面活性剤を含む水溶液に消毒殺菌性の強いオゾンを溶解させて消毒剤として利用するものがある。特許文献1には、そのような消毒剤として使用できるオゾン溶存グリセリン溶液が記載されている。特許文献1においては、散気管からタンク内に放出し(以下、「散気管方式」とも称する。)、終濃度3000ppmのオゾン濃度のオゾン溶存グリセリン溶液を得られることが記載されている。
【0004】
ところで、近年、マイクロオーダの粒径を有する気泡(以下「マイクロバブル」とも称する。)や、ナノオーダの粒径を有する気泡(以下「ナノバブル」とも称する。)を液中に含有させたバブル含有液が注目されている。そのようなバブル含有液は、医療、農業、水産業、飲食、養殖等の各分野への応用が期待されている。
【0005】
そのようなバブル含有液において、含有するバブルの粒径が、100μm未満のものをファインバブルと称し、その中でも特に、バブルの粒径が1μm未満のものをウルトラファインバブル(UFB)と称している。また、バブルにおいて、可視光を散乱する気泡は数十ミクロンの粒径を有するが、粒径がさらに微細になり、数百ナノメートル以下の気泡になると、気泡の粒径が可視光の波長よりも小さくなる。したがって、ウルトラファインバブルが支配的なバブル含有液は透明になるという特徴がある。さらに、ウルトラファインバブルは、気泡がマイナス電荷を帯びることと、ブラウン運動を行うことで、液中のUFBは浮上せずに、液中に数ヶ月以上にわたり留まることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の散気管方式では、タンクへ気体を放出する期間が7日間にも及ぶことが記載されており、消毒剤の量産には不向きという課題があった。また、高濃度のオゾンガスは、生体に有害であり、特許文献1の散気管方式では、高濃度のオゾンガスを工場内に放出するため、装置使用の危険度が高いという課題があった。
【0008】
そこで、本発明の発明者が鋭意検討したところ、圧壊方式の循環型UFB発生装置により、ガスを液中でUFB化してグリセリン水溶液中に含有させることで、量産性を維持し、危険度の低い状態でガス含有水溶液を生成できるという知見を得た。
【0009】
(1)この知見に基づき、本発明にかかるUFB含有水溶液製造装置は、水溶液中に第1のバブルを生成し、前記第1のバブルを含有する第1のバブル含有液を供給するバブル生成部と、前記バブル生成部に接続され、前記バブル生成部から供給される第1のバブル含有液を通過可能であり、通過する前記第1のバブル含有液に超音波を照射し、前記第1のバブル含有液のバブルを圧壊して前記第1のバブルより粒径の小さい第2のバブルを生成し、前記第2のバブルを含有する第2のバブル含有液を供給するバブル圧壊部と、前記バブル圧壊部に接続され、前記バブル圧壊部から供給される第2のバブル含有液を貯留する貯留部とを備え、前記水溶液は、グリセリン、ポリエチレングリコール、ソルビトール、ショ糖のいずれかを含有することを特徴とする。
【0010】
このUFB含有水溶液製造装置によれば、バブル生成部で生成された第1のバブルを含有する第1のバブル含有液に対して超音波を照射して圧壊することにより、前記第1のバブルより粒径の小さい第2のバブルを生成し、前記第2のバブルを含有する第2のバブル含有液が生成され、貯留部に貯留される。これにより、本発明にかかるUFB含有水溶液製造装置に水溶液を導入するだけで、バブル生成部、バブル圧壊部、貯留部を水溶液が流れる中でガスをUFBとして含有させることができる。したがって、高い量産性を維持してガス含有水溶液を生成できる。
【0011】
また、このUFB含有水溶液製造装置によれば、ガス濃度を高めることとなるUFBの増加によって、ガスを水溶液に含有させることができる。これにより、低濃度ガスであってもUFBを水溶液に含有させることができるため、高濃度ガス供給が不要となり、生成装置使用の危険度を低下させることができる。
【0012】
(2)上記のUFB含有水溶液製造装置において、前記貯留部は、供給されたバブル含有液を貯留するタンクと、前記タンクに設けられ、貯留されたバブル含有液のタンクの底側の一部を外部に供給する供給口と、前記タンクに設けられ、貯留されたバブル含有液の中央の一部を前記バブル生成部に供給する取出口とを備え、前記タンクは密閉構造を有するものであるとよい。
【0013】
(3)上記のUFB含有水溶液製造装置において、前記貯留部は前記バブル生成部に接続され、前記バブル生成部と前記バブル圧壊部と前記貯留部とで循環経路を形成しているとよい。
【0014】
(4)上記のUFB含有水溶液製造装置は、前記貯留部内を加圧できる装置および前記貯留部内を温度制御できる装置を備えるとよい。
【0015】
上記のUFB含有水溶液製造装置において、前記バブル圧壊部は、バブル含有液が通過する通路と、前記通路の外側から径方向内側に向けて、それぞれ異なる方向から超音波を照射する複数の超音波振動子とを備えるとよい。
【0016】
(5)上記のUFB含有水溶液製造装置において、前記バブル生成部は、前記水溶液にオゾンガス、水素ガス、酸素ガス、二酸化炭素ガス、窒素ガス、および、空気のいずれか少なくとも1つを混合し、前記第1のバブルを生成するとよい。
【0017】
(6)上記のUFB含有水溶液製造装置において、前記水溶液は、濃度5%~20%のグリセリン、ポリエチレングリコール、ソルビトール、ショ糖のいずれかを含有していてもよい。
【0018】
(7)上記のUFB含有水溶液製造装置において、前記水溶液は、濃度5%~20%のグリセリンを含有していてもよい。
【0019】
(8)上記の知見に基づき、本発明にかかるUFB含有液の製造方法は、水溶液中に第1のバブルを生成し、前記第1のバブルを含有する第1のバブル含有液を供給するバブル生成ステップと、前記バブル生成ステップにて得られた第1のバブル含有液を通過させ、通過する前記第1のバブル含有液に超音波を照射し、前記第1のバブル含有液のバブルを圧壊して前記第1のバブルより粒径の小さい第2のバブルを生成し、前記第2のバブルを含有する第2のバブル含有液を供給するバブル圧壊ステップと、前記バブル圧壊ステップにて得られた第2のバブル含有液を貯留する貯留ステップとを含む、前記水溶液は、グリセリン、ポリエチレングリコール、ソルビトール、ショ糖のいずれかを含有することを特徴とする。
【0020】
このUFB含有液の製造方法によれば、バブル生成ステップで生成された第1のバブルを含有する第1のバブル含有液に対して超音波を照射して圧壊することにより、前記第1のバブルより粒径の小さい第2のバブルを生成し、前記第2のバブルを含有する第2のバブル含有液が生成され、貯留部に貯留される。これにより、本発明にかかるUFB含有液の製造方法に水溶液を適用するだけで、バブル生成ステップ、バブル圧壊ステップ、貯留ステップの一連の水溶液を流す工程にてガスをUFBとして含有させることができる。したがって、高い量産性を維持してガス含有水溶液を生成できる。
【0021】
また、バブル圧壊方式によれば、ガス濃度を高めることなるUFBとしてガスを水溶液に含有させることができるため、高濃度のガスが不要となり、装置使用の危険度を低下させることができる。
【0022】
(9)上記のUFB含有液の製造方法において、前記貯留工程にて貯留された前記第2のバブル含有液を、再度、前記バブル生成工程に戻す再帰工程を含む。
【0023】
(10)上記のUFB含有液の製造方法において、前記バブル生成ステップ、前記バブル圧壊ステップ、前記貯留ステップおよび前記再帰ステップを、前記水溶液中の第2のバブル含有量が1000万個/mL以上となるまで繰り返すとよい。
【0024】
(11)上記のUFB含有液の製造方法において、前記バブル生成ステップ、前記バブル圧壊ステップ、前記貯留ステップおよび前記再帰ステップを4時間繰り返すことにより、前記水溶液中の気体濃度が5ppmを超えるようにするとよい。
【0025】
(12)上記のUFB含有液の製造方法は、前記貯留部から第2のバブル含有水溶液を取り出す取出ステップを含み、取り出した第2のバブル含有水溶液を冷蔵保存してもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、圧壊方式の循環型UFB発生装置により、ガスをUFB化してグリセリン水溶液中に含有させることで、量産性を維持し、危険度の低いガス含有水溶液を生成できる。例えば、オゾンガスを用いた前記バブル含有水溶液の場合、冷蔵保存で1ケ月以上にわたり、溶存オゾン濃度を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の実施形態に係るUFB含有水溶液製造装置の機能ブロック図を示す。
【
図2】
図1に示すUFB含有水溶液製造装置のバブル圧壊部の側面図および正面図を示す。
【
図3】
図1に示すUFB含有水溶液製造装置のバブル圧壊部の側断面図を示す。
【
図4】
図1に示すUFB含有水溶液製造装置の貯留部の正面図および上面を示す。
【
図5】本発明の実施形態に係るUFB含有水溶液製造方法のフロー図を示す。
【
図6】本発明の実施形態に係るUFB含有水溶液製造装置および製造方法により得られたUFBバブル含有水溶液の生成に要した循環生成時間に対するUFB水溶液のオゾン濃度の変化のグラフを示す。
【
図7】本発明の実施形態に係るUFB含有水溶液製造装置および製造方法により得られたUFBバブル含有水溶液の生成後の経過日数に対するUFB粒子個数とUFB粒子直径(粒径)の変化のグラフを示す。
【
図8】本発明の実施形態に係るUFB含有水溶液製造装置および製造方法により得られたUFBバブル含有水溶液の生成後の経過日数(0日~28日)に対するオゾン濃度の変化の比較のグラフを示す。
【
図9】本発明の実施形態に係るUFB含有水溶液製造装置および製造方法により得られたUFBバブル含有水溶液の生成後の経過日数(0~180日)に対するオゾン濃度の変化の比較のグラフを示す。
【
図10】本発明の実施形態に係るUFB含有水溶液製造装置および製造方法により得られたUFBバブル含有水溶液の生成後の殺菌効果のグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
<実施の形態>
【0029】
本発明の第1の実施の形態に係るUFB含有水溶液製造装置100について、
図1~
図4を参照しつつ説明する。UFB含有水溶液製造装置100は、水溶液中に所定のガスをウルトラファインバブル(UFB)化させたUFB含有水溶液を製造する。本実施形態において、バブル含有水溶液は
、グリセリンを濃度20%になるように水に溶解させた水溶液に、UFB化したオゾンガスを含有させたものである。
【0030】
図1は、UFB含有水溶液製造装置100の機能ブロック図の概略を示す。
図1に示すように、本実施の形態に係るUFB含有水溶液製造装置100は、主に、水溶液中に第1のバブルを生成し、該第1のバブルを含有する第1のバブル含有水溶液を供給する第1のバブル生成部110と、バブル生成部110に接続され、バブル生成部110から供給される第1のバブル含有水溶液を通過させ、通過する第1のバブル含有水溶液に超音波を照射し、第1のバブル含有水溶液のバブルを圧壊して第2のバブルを生成し、該第2のバブルを含有する第2のバブル含有水溶液を供給するバブル圧壊部120と、バブル圧壊部120に接続され、バブル圧壊部120から供給される第2のバブル含有水溶液を貯留する貯留部130とを備える。
【0031】
バブル生成部110と、バブル圧壊部120と、貯留部130とは、相互に接続されており、バブル含有水溶液を循環させる循環経路(循環ループ)を形成している。水溶液が循環経路を繰り返し流れることにより、高濃度にUFBを含有したバブル含有水溶液が生成される。
【0032】
また、UFB含有水溶液製造装置100は、上記の構成の他に、貯留部130に接続され、水溶液を導入する原液導入部140と、バブル生成部110に接続され、気体を導入する気体導入部150と、各部を接続する流路と、流路の各所に設けられたバルブと、UFB含有水溶液製造装置100の一連の動作を制御する制御部160とを備える。
【0033】
さらに、UFB含有水溶液製造装置100では、製造されたバブル含有水溶液を装置の外部に取り出す取出部170と、不要となった水溶液を外部に排出する排出部180とが貯留部130に接続されており、また、気体導入部150、バブル圧壊部120、貯留部130に冷却水を供給する冷却部190が接続されている。
【0034】
制御部160は、制御パネルに電気的に接続されており、作業者により操作される。また、制御部160は、UFB含有水溶液製造装置100内の各所に設けられた水域センサ、温度センサ等のセンサの検知情報等に基づいて、各所に設けられた各バルブ及びスイッチ等を制御する。
【0035】
原液導入部140は、水溶液をUFB含有水溶液製造装置100に導入するためのものである。本実施の形態においては、グリセリンを濃度20%で有する水溶液を例に説明する。原液導入部140から導入された水溶液は、水溶液を一度貯留部130に導入し、後述する取出口103を介してバブル生成部110の気液混合器111に供給される。しかし、原液導入部140は、UFB含有水溶液製造装置100の製造するバブル含有水溶液の種類により、他の水溶液を導入してもよい。例えば、水溶液としてエタノールや、2-メチル-2-プロパノールのようなブタノール、メタノール等を含む水溶液であってもよい。
【0036】
気体導入部150は、本実施の形態において、バブル化対象の気体の一例としてオゾンガスをバブル生成部110に導入するためのものである。気体導入部150は、従来よく知られるオゾンを供給するオゾン発生装置であり、圧力計、流量計、逆止弁を介してバブル化ガス供給源に接続されている。しかし、気体導入部150は、UFB含有水溶液製造装置100の製造するバブル含有水溶液の種類により、オゾン以外の酸素、窒素、水素、アンモニア、二酸化炭素等の他の気体を導入してもよい。
【0037】
バブル生成部110は、水溶液および気体を混合させる気液混合器111と、気液混合器111により気体が混合された気泡含有水溶液を供給され、第1のバブル含有水溶液を生成するバブル生成器112と、気液混合器111から気泡含有水溶液をバブル生成器112に供給するための気液ポンプ113とを備える。
【0038】
気液ポンプ113は、従来よく知られたエア駆動型容積式ポンプが適用されているが、マグネットポンプや軸流ポンプ等の非容積式ポンプが適用されてもよく、その他のポンプが適用されてもよい。
【0039】
気液混合器111は、気液ポンプ113の上流側に設けられており、後述する貯留部130の再帰導出口133(
図4を参照)に接続された水溶液取入口(図示しない)と、気体供給路に接続された気体取入口(図示しない)とを備える。気液混合器111は、取出口103を介して、原液導入部140から一旦貯留部130に供給された原液、または貯留部130に貯留されたバブル含有水溶液を供給される。
【0040】
気液混合器111では、水溶液の流れに沿って気体が取り込まれるように、水溶液取入口に接続した水溶液流路(図示しない)と気体取入口に接続した気体流路(図示しない)が形成されており、気液ポンプ113の吸引力を利用して水溶液と同時に気体が吸引される。これにより、水溶液と気体とが円滑に気液ポンプ113に供給され、気液ポンプ113内で水溶液と気体とが混合し気泡含有水溶液が生じる。このような気液混合器113によれば、多量の気体が導入され気液ポンプ113が空運転することや、気体がほとんど入らず気泡発生が定量化しないといった問題を生じることがない。この気泡混合液は、バブル生成器112に供給される。
【0041】
バブル生成器112は、気液混合器111から供給される気泡含有水溶液を螺旋状に旋回させて旋回流を形成する旋回部と、旋回流を形成された気泡含有水溶液の気泡を突起に衝突させて圧壊させる突起圧壊部と、圧壊された気泡を含有するバブル含有水溶液を一定時間滞留させる畜養部と、一定時間滞留された後のバブル含有水溶液を高濃度に発泡させる発泡部とを備える。これにより、バブル生成部110は、第1のバブルを含有する第1のバブル含有水溶液をバブル圧壊部120に供給することができる(例えば、特開2015-186781号公報を参照)。ここで、従来の純水に比較して、界面活性剤を含有し、粘度の高い水溶液の方がマイクロバブルの生成効率がよくなるとの知見を得た。
【0042】
バブル生成器112は、旋回圧壊、畜養、発泡(加圧減圧)および減圧の機能を有し、低揚程能力のポンプであるエア式ベローズポンプや同式ダイヤフラムポンプでも微細均一化高濃度マイクロバブルを生成することが可能となり、しかも、マグネットポンプや軸流ポンプでも更なる濃度向上が可能となる。このため、これらの機能により、気液ポンプ113の種類を選ばないバブル発生装置が可能となる。本実施の形態において、バブル生成部110は、第1のバブルとして、マイクロオーダの均一な粒径を有するマイクロバブルを生成する。
【0043】
バブル生成部110は、バブル圧壊部120で圧壊される第1のバブルを生成できれば、他の構成であってもよい。例えば、従来よく知られる旋回流方式のバブル生成装置(特開2006-116365号公報を参照)、加圧剪断方式のバブル生成装置(特開2006-272232号公報を参照)等をバブル生成器112として利用することができる。しかし、均一な粒径を有するバブルをバブル圧壊部120に供給するためには、本実施の形態に係るバブル生成器112を用いることが望ましい。
【0044】
図2は、バブル圧壊部120を示し、(A)はバブル圧壊部120の側面図を示し、(B)はバブル圧壊部120の正面図を示す。バブル圧壊部120は、バブル生成部110のバブル生成器112に接続され、バブル生成部110で製造された第1のバブル含有水溶液を通過させる通路121と、通路121の周囲を覆う外装体122とを備え、通路121と外装体122とから中間空間123を有する二層構造とされている。バブル圧壊部120は、通路121が水平方向に延びるように配置されている。
【0045】
外装体122には、超音波振動子124が設けられており、各超音波振動子124は、通路121に向けて超音波を照射する。通路121と外装体122の間には伝搬液が充填され、超音波振動子124から照射された超音波は、伝搬液を介して通路121の内部に伝搬され、通路121の内側を流れる第1のバブル含有水溶液を超音波圧壊する。
【0046】
通路121は、円形の断面を有し同一径で円柱状に延び、均一な流路を形成している。通路121はバブル生成部110と貯留部130とに介在するように接続されており、バブル生成部110から供給された第1のバブル含有水溶液は、通路121の内側に充満した状態で貯留部130まで流される。本実施形態において、通路121を通過する第1のバブル含有水溶液に超音波が照射されることで第1のバブルよりも粒径の小さい第2のバブルが生成される。水溶液は通路121を通過するだけであるため、溶媒を含む水溶液であっても流れが妨げられるようなことはなく、効率よく第2のバブルが生成される。
【0047】
外装体122は、ステンレスを材料とし、正六角形の断面を有する六角柱状に延びる側周部材122aと、側周部材122aを延在方向の両側から挟む円板状の一対の平面部材122bとからなる。両平面部材122bは、中央に通路121をはめ込まれて、側周部材122aの六角形の中央に通路121が延びるように通路121を固定している。これにより、通路121の外側と外装体122の側周部材122aには中間空間123が形成され、通路121の外周と、六角形の側周部材122aの各面は、それぞれ同様の中間空間123を形成している。
【0048】
図3はバブル圧壊部120を
図2(B)の矢印a-a’で切断した側断面図を示す。
図3に示すように、バブル圧壊部120は、通路121と外装体122から形成される中間空間123に超音波を伝搬可能な伝搬液を充填される。本実施の形態において、伝搬液として冷却部190(
図1を参照)から供給される冷却水が充填される。伝搬液は、通路121が水平方向に向く状態に配置されたバブル圧壊部120において、外装体122の平面部材122bの下側に設けられた伝搬液導入口122cから導入され、外装体122の平面部材122bの上側に設けられた伝搬液導出口122dから導出される。これにより、中間空間123では、伝搬液は、図面の左側から供給され、下側から上側に充填されていき、上側から排出される。したがって、伝搬液は、中間空間123内に空気を残さず充填される。
【0049】
外装体122に取り付けられた超音波振動子124から照射される超音波は、伝搬液を介して通路121に伝搬される。このとき、中間空間123に空気が残ると、伝搬液と空気の伝搬率が異なるため、超音波が均等に伝搬しない。したがって、中間空間123内に空気を残さないことにより、効率的かつ均一に超音波を通路121の内部に伝搬できる。
【0050】
伝搬液は、中間空間123を定常的に流されている。これにより、超音波圧壊によるバブル圧壊部120の熱を排出することができる。伝搬液は、通路121を流れるバブル含有水溶液と同一方向に流されている。これにより、効率的に熱を排出することができる。また、伝搬液の流速を上げることにより、より熱の排出効率を高めることができる。伝搬液の流速は、例えば伝搬液をバブル圧壊部120に送るポンプを制御することで達成できる。外装体122は、熱センサ(図示しない)が設けられており、バブル圧壊部120の発熱状態を見ながら伝搬液の流速を制御することができる。
【0051】
本発明に係る実施の形態において、伝搬液は、定常的に流されているが、中間空間に一度充満させておいて伝搬液の供給を止め、バブル圧壊部120の温度が上昇したときだけ伝搬液を再度流すようにしてもよい。伝搬液は、超音波を伝搬するが、それでも伝搬による損失が生じるため、中間空間123は狭い方が望ましい。しかし、伝搬空間が狭すぎると冷却水(伝搬液)の量が減り、熱の排出効率が低下する。しかし、伝搬液を定常的に流すようにすることで、熱の排出効率が低下することを抑止し、中間空間123を狭くすることができ、バブル圧壊部120の設計自由度を高めることができる。
【0052】
再び
図2を参照するに、外装体122は、六角柱の各面に超音波振動子124を取り付けられている。超音波振動子124は、通路121の延在方向に2段に分けて設けられており、バブル生成部110側を前段の超音波振動子群、貯留部130側を後段の超音波振動子群としている。各段の超音波振動子群は、通路121の中心軸から放射状に設けられた6つの超音波振動子124からなる。対向する2つの超音波振動子124が一対の発振子対となり、6つの超音波振動子124は3対の発振子対となっている。各超音波振動子は、周波数および出力を制御部160により調整可能とされている。本実施の形態において、12個の超音波振動子124は、それぞれ、同一周波数、同一出力で超音波を照射している。
【0053】
各発振子対は、通路121の延在方向の同一の位置であって外装体122の六角柱の一対の対向する側面に設けられている。ここで、外装体122は、ステンレスを材料に形成されているため、超音波を反射する。したがって、側周部材122aの一の面に設けられた超音波振動子124から発振された超音波は、側周部材122aの対向する他の一の面で反射する。この反射した超音波は、他の一の面(その反射面)に設けられた超音波振動子124から照射された超音波と重ね合わされる。
【0054】
これら6つの超音波振動子124は、それぞれが、通路121の中央の一点に向けて超音波を照射している。したがって、各超音波振動子124は、それぞれ異なる位置から径方向の異なる方向に向けて、かつ通路の中心に向かうように径方向の内側に向けて超音波を照射する。これにより、通路121を流れるバブル含有水溶液が超音波により流れを阻害されることが抑止される。特に各一対の発振子対は、対向する位置から対向する方向に向けて超音波を発振している。これにより、通路121の中央から超音波圧壊場が形成され、通路121を通過する第1のバブル含有水溶液が圧壊されて、粒径の均一な第2のバブルが生成される。
【0055】
バブル圧壊部120では、複数の方向から超音波が照射され、超音波の集中する場所に超音波圧壊場が形成される。したがって、本実施の形態において、各超音波振動子群が、それぞれ、通路121内に超音波圧壊場を形成する。前段の超音波振動子群により形成された超音波圧壊場で第1のバブルの全てが圧壊されなかったとしても、後段の超音波振動子群により形成された超音波圧壊場が残りの第1のバブルを圧壊するため、本実施の形態に係るバブル圧壊部120では、確実に第1のバブルを圧壊し、均一な第2のバブルを生成できる。本実施の形態において、バブル圧壊部120は、第2のバブルとして、ナノオーダーの均一な粒径を有するナノバブルを生成する。
【0056】
本実施の形態において、各超音波振動子群に6つ、すなわち偶数の超音波振動子124がバブル圧壊部120の外装体122に設けられている。しかし、超音波振動子124は、奇数の超音波振動子124が設けられていてもよく、その場合は、複数対の発振子対と、1の超音波振動子124となる。
【0057】
図4は、貯留部130を示し、
図4(A)は貯留部130の平面図を示し、
図4(B)は
図4(A)のB-Bの断面図を示す。
【0058】
貯留部130は、
図4に示すように、主に、タンク容器131と、タンク容器131を覆う外装容器137とからなる。タンク容器131は、バブル含有液を貯留するための所定量の容積を有する貯留空間を形成する。また、タンク容器131と外装容器137との間には、冷却空間が形成されており、冷却水導入口191を介して冷却部170から冷却水が供給され、冷却水導出口191より冷却水が導出される。なお、本実施形態において、貯留部130は、チラーが接続されており、貯留するバブル含有液を所定の温度になるようにコントロールしてされている。
【0059】
タンク容器131および外装容器137は、ステンレスを材料に形成され、タンク容器131は密閉構造にされている。これにより、バブル圧壊部120の超音波圧壊時に発生する微量ガスは、貯留部130に流されてきても大気と接触することない。さらに、タンク容器131が密閉構造とされているため、貯留部130内の圧力制御が可能であることから、外部へのガス漏れが無く、安全に生成ができる。
【0060】
貯留部130は、また、タンク容器131に、側周面の外側から取り付けられる複数の超音波振動子134を備える。本実施形態において、貯留部130は、側周面に同一の角度で同一の高さ位置に配置された8つの超音波振動子134を備える。各超音波振動子134は、タンク容器131の中央に向けて超音波を照射する。超音波振動子134は、タンク容器131に設けられており、直接タンク容器131に貯留されたバブル含有液に超音波を照射する。
【0061】
対向する2つの超音波振動子134が一対の発振子対となり、8つの超音波振動子134は4対の発振子対となり、タンク容器131の中央に超音波圧壊場を形成する。各超音波振動子は、周波数および出力を制御部101により調整可能とされている。本実施の形態において、4つの超音波振動子134は、それぞれ、同一周波数、同一出力で超音波を照射している。これにより、タンク容器131に残留しているマイクロバブルまたはナノバブルを更に圧壊する。
【0062】
貯留部130は、さらに、原液導入部140に接続される原液導入口192と、バブル圧壊部120に接続されるバブル含有液導入口132と、再帰流路103に接続される再帰導出口133と、取出部170に接続されるバブル含有液導出口193と、排出部180に接続される排出口194と、加圧部172に接続される加圧口195とを備え、これらがタンク容器131に設けられている。
【0063】
原液導入口192は、円筒のパイプからなり、後述するバブル含有液導入口132のパイプと同様に、くの字形状に30°程度の角度に折り曲げられており、さらに、先端が鉛直方向に切断されている。
【0064】
また、加圧口195は、主に、円筒のパイプからなり、タンク容器131の上面からタンク容器131内の頂面まで延在し、加圧部172からの圧力をタンク容器131の貯留空間内に加圧する。貯留部130は、加圧部172により加圧された状態で液体を貯留する。
【0065】
バブル含有液導入口132は、主に円筒のパイプからなり、タンク容器131の上面から、タンク容器131内の底面部から2/3の高さ位置まで延在し、バブル圧壊部120から第2のバブル含有液をタンク容器131の上側から供給する。バブル含有液導入口132のパイプは、くの字形状に30°程度の角度に折り曲げられており、さらに、先端が鉛直方向に切断されている。これにより、バブル含有液を吐出する際に、貯留空間の側面に沿わせながら、水平方向に向けてバブル含有液を吐出し、当該側面に向けてバブル含有液が吐出される。バブル含有液が貯留空間の側面に沿って吐出されることにより、バブル含有液は貯留空間の側面に沿って導入されることになり、泡立つことを抑制される。
【0066】
再帰導出口133は、主に、円筒のパイプからなり、タンク容器131内の底部から1/3の高さ位置においてタンク容器131の側部から水平方向に延在してタンク容器131内に連通し、タンク容器131の底部から1/3の高さ位置のバブル含有液を再帰流路103に導出し、バブル含有液を気液混合器111に再帰させる。
【0067】
再帰導出口133のパイプは、水平方向にバブル含有液を吸引する。これにより、バブル含有液は、水平方向に吸引圧を受け、貯留空間内で撹拌される。しかし、バブル含有液は上下方向に吸引圧を受けることがないため、粒径の小さいバブルが貯留空間の下方で高濃度化することを妨げない。
【0068】
バブル含有液導出口193は、貯留部130と同様に、主に、円筒のパイプからなり、タンク容器131の底部からタンク容器131外まで延在し、バブル含有液をタンク容器131の底から取り出す。排出口194は、主に、円筒のパイプからなり、タンク容器131内の底面からタンク容器131外まで延在し、バブル含有液をタンク容器131の底から排出する。
【0069】
貯留部130は、タンク容器の上面に設けられた通気口196を介してベントフィルターに連通して、貯留空間からの通気路を確保する。ベントフィルターと通気口196との間には、開閉バルブ(図示なし)が設けられており、制御部160が開閉バルブの開度を調整することにより貯留空間内の圧力調整を可能とする。貯留空間の圧力は、制御部101が、圧力トランスミッターにより貯留空間内の圧力を測定し、加圧部172とベントフィルターにより、所定の値に調整される。
【0070】
さらに、貯留部130は、タンク容器131内に貯留された液体を撹拌する撹拌機Kを備える。撹拌機Kは、タンク容器131の上方に設けられたモータK1と、モータK1に接続するシャフトK2と、シャフトK2に取り付けられた撹拌羽K3とを備える。モータK1は制御部160に接続しており、駆動するタイミングを制御される。
【0071】
ここで、微細気泡または超微細気泡を含有するバブル含有水溶液は、微細気泡を含有しない液体に比較して泡立ちやすい特性を有し、その特性は、粘度が高い液体で顕著となる。したがって、バブル含有液の導入および貯留において、バブル含有液は、貯留部130に導入される際に、泡立ってしまうと、バブル濃度の低下、および安定的に取出し困難となる。
【0072】
本変実施形態に係る貯留部130では、バブル含有液導入口132の吐出口が貯留空間の側面に沿わせて形成され、バブル含有液導入口132が水平方向にバブル含有液をタンク容器131の側面に向けて吐出する。これにより、バブル含有液が貯留槽211の側周面に沿って貯留空間に導入されることにより、泡立つことを抑制して貯留することができる。
【0073】
次に、UFB含有水溶液製造装置100を用いたバブル含有水溶液製造方法について
図5を参照して説明する。
【0074】
本発明に係るバブル含有水溶液製造方法は、UFB含有水溶液製造装置100に水溶液を供給すること(ステップ1)、UFB含有水溶液製造装置100に気体を供給すること(ステップ2)、水溶液と気体とを混合して気泡含有水溶液を生成すること(ステップ3)、気泡含有水溶液から第1のバブル含有水溶液を生成すること(ステップ4)、第1のバブル含有水溶液に超音波を照射し、第1のバブルを圧壊して第2のバブルを生成すること(ステップ5)、第2のバブル含有水溶液を貯留すること(ステップ6)、貯留されたバブル含有水溶液をバブル生成部110に再帰させること(ステップ7)、貯留されたバブル含有水溶液を外部に取り出すこと(ステップ8)を含む。
【0075】
ステップ1では、先ず、原液導入部140から水溶液を貯留部130に供給する。具体的には、原液導入部140に設けられたバルブを開状態として原液を貯留部130に供給する。このとき、貯留部130のタンク131に所定量の水溶液が満たされるまで継続して原液が供給される。次に、取出口103を介して気液混合器111に原液を供給する。具体的には、取出口103に設けられた再帰バルブを開状態として、気液ポンプ113の吸引により、タンク131内の下側1/4の位置まで貯まった原液が気液混合器111の水溶液取入口に導入される。
【0076】
ステップ2では、先ず、気体供給部から気体を気液混合器111に供給する。このステップは、先のステップ1に並行して行われる。具体的には、気体導入部150に設けられたバルブを開状態とし気体を気液混合器111に供給する。
【0077】
ステップ3では、先ず、気泡含有水溶液が生成される。具体的には、気液ポンプ113を動作させ気液混合器111に原液と気体とを吸入させる。このとき、ステップ1により原液が気液混合器111に供給されており、これに並行してステップ2により気体が気液混合気に供給されており、気泡含有水溶液が生成される。次に、製造された気泡含有水溶液がバブル生成器112に供給される。具体的には気液ポンプ113が気泡混合液を吐出する。
【0078】
ステップ4では、気泡含有水溶液から第1のバブル含有水溶液が生成される(バブル生成ステップ)。具体的には、気泡含有水溶液が、旋回部に導入され旋回流が形成され、突起圧壊部で圧壊され、畜養部で一時滞留され、発泡部で減圧される。次に、発泡部を通過したバブル含有水溶液がバブル圧壊部120に供給される。なお、第1のバブルはマイクロオーダの粒径が支配的となる。
【0079】
ステップ5では、第1のバブル含有液から第2のバブル含有液が生成される(バブル圧壊ステップ)。具体的には、バブル圧壊部において伝搬液が中間空間に充満した状態で流された状態で、第1のバブル含有水溶液が通路121を通過する。このとき、第1のバブル含有水溶液は、通路121を充満した状態で通過する。これに伴って、第1のバブル含有水溶液に超音波が照射される。これにより、通路121の内部に超音波が集中する超音波圧壊場が形成され、第1のバブルが圧壊されて第1のバブルより粒径の小さい第2のバブルが生成される。次に、通路121を通過したバブル含有水溶液が貯留部130に供給される。なお、第2のバブルはナノオーダーの粒径が支配的となる。
【0080】
ステップ6では、バブル含有水溶液導入口133を介して貯留部130に第2のバブル含有水溶液が導入される(貯留ステップ)。バブル含有水溶液導入口は、タンク131の中段位置まで伸びており、第2のバブル含有水溶液は、タンク131の中段位置に導入される。導入されたバブル含有水溶液は、既に貯留されている水溶液と混ざり合い、バブルが液内を拡散していく。このバブルの拡散により、タンク131の底部には、ナノオーダーの粒径を有する、いわゆるナノバブルの存在が支配的なNB領域が形成され、その上側には、ナノバブルとマイクロバブルが混在するMN領域が形成され、さらにその上側にはマイクロバブルの存在が支配的なMB領域が形成される。各領域は、水溶液の貯留量によりタンク131内の位置が変動する。
【0081】
ステップ7では、貯留部に貯留されたUFB含有水溶液を気液混合器111に再帰させる(再帰ステップ)。具体的には、再帰流路103に設けられたバルブが開状態とされ、気液ポンプ113の吸引により、貯留されたバブル含有水溶液がバブル生成部110の水溶液取入口に導入される。再帰導出口134が、タンク131内の下側1/4の位置付近まで延在しているため、MN領域またはMB領域のバブル含有水溶液が再帰される。バブル含有水溶液の再帰は継続的に行われる。
【0082】
ステップ8では、貯留部130に貯留されたUFB含有水溶液を取り出す(取出ステップ)。具体的には、取出部180に設けられたバルブが開状態とされ、タンク131の底側のバブル含有水溶液が外部に取り出される。タンク131の底部にはNB領域が形成されているため、NB領域のバブル含有水溶液が取り出される。
【0083】
本実施形態にかかるバブル含有水溶液製造方法では、バブル生成ステップ、バブル圧壊ステップ、貯留ステップおよび再帰ステップを、水溶液中の第2のバブルの含有量が所望の値となるまで繰り返すことができる。例えば、上記ステップを4時間繰り返すことにより、水溶液中の気体濃度が5ppm以上とすることができる。このとき、第2のバブルの含有量が1000万個/mL以上となる。なお、本実施形態にかかるバブル含有水溶液製造方法ではバブル生成ステップ、バブル圧壊ステップ、貯留ステップおよび再帰ステップを繰り返すことにより、第2のバブルの含有量が5000万個/mL以上とすることもできる。
【0084】
<実施例>
【0085】
本発明の実施形態にかかるUFB含有水溶液生成装置およびUFB含有水溶液生成方法(以下、「UFB方式」とも称する。)により生成されたUFB含有水溶液(以下、「改質オゾンUFB水」とも称する。)の特徴について
図6~10を用いて、以下に説明する。なお、本実施形態にかかるUFB含有水溶液は、
グリセリンの濃度20%とした。
【0086】
図6は、UFB含有水溶液生成装置の動作時間、すなわち、UFB含有水溶液生成装置により水溶液を循環させ、UFB含有水溶液の生成に要した循環生成時間に対して、UFB含有水溶液のオゾン濃度の変化を示す。
【0087】
図6に示すように、循環生成時間が少なくとも1時間~4時間までは、循環生成時間とオゾン濃度は比例関係を示す。本実施形態において、循環生成時間が1時間の時にオゾン濃度は1.5ppm、循環生成時間が2時間の時にオゾン濃度は3.0ppm、循環生成時間が4時間の時にオゾン濃度は5.9ppmとなっている。したがって、循環生成時間、すなわち、UFB含有水溶液生成装置の動作時間を調整することで、所望のオゾン濃度のUFB含有水溶液を生成することができる。なお、オゾン濃度は、株式会社アプリクス社製、紫外線吸光光度方式の溶存オゾン濃度計により計測した。
【0088】
図7は、生成されたUFB含有水溶液を長期に保存した場合、すなわち、生成後の経過日数に対して、UFB粒子個数とUFB粒子直径(粒径)の変化を示す。なお、UFBの粒径は、Malvern Panalytical社製、ナノ粒子解析システムNanoSight(ナノサイト)NS300により計測した。
【0089】
図7に示すように、本実施形態において、経過日数が1日でUFB粒子個数は激減し、経過日数が5日でUFB粒子個数の変化が安定している。また、UFB粒子直径は経過日数が2日程度までは大きくなり、それ以降は小さくなることが確認された。このことから、水溶液を生成した後、数日後にUFB粒径の小さい、安定したUFB含有水溶液を得られることがわかる。
【0090】
このことから、水溶液中のグリセリンの数十個から数百個分子が、UFB表面を被覆するように集まったナノサイズの球状ミセル構造形成した後、表面張力の影響で数日後にUFB粒径が小さくなり、均一粒径の安定したUFB含有水溶液を得られることがわかる。例えば、水溶液中の石鹸分子は親水性のカルボキシル基を外側に、親油性のアルキル基を内側にして、配列した球状ミセル構造を形成するのと同様な振る舞いである。
【0091】
図8は、生成されたUFB含有水溶液を長期に保存した場合、すなわち、生成後の経過日数(0日~28日)に対して、オゾン濃度の変化の比較を示す。オゾン濃度の変化の比較として、循環生成時間が1時間で冷蔵保存(5℃)のUFB含有水溶液、循環生成時間が2時間で冷蔵保存(5℃)のUFB含有水溶液、従来法の散気管方式であるマイクロバブルを含むミリバブルを用いた生成時間が4時間で冷蔵保存(5℃)のUFB含有水溶液、循環生成時間が2時間で常温保存(20℃)のUFB含有水溶液を比較した。UFB方式に比べて、従来法の散気管方式を用いると、初期(0日)のときから溶存オゾン濃度が上がっていないことがわかる。
【0092】
図8が示すように、本実施形態において、冷蔵保存することでUFB含有水溶液のオゾン濃度が30日程度は維持できることが明確になった。一方で、
グリセリンの濃度が5%以下となると、オゾンの高濃度維持が困難になり、常温保存での溶存オゾン濃度低下が激しくなることも分かった。したがって、
グリセリンの濃度は5%~20%の範囲にあることが望ましい。ここで、冷蔵保存は2℃~7℃の範囲をいい、常温保存は15℃~30℃の範囲をいう。
【0093】
図9は、改質オゾンUFB水を生成後、冷蔵保存で180日間経過した際の溶存オゾン濃度の推移を示す。本実験では、保存期間が7日で溶存オゾン濃度が保存前の濃度の約半分に減少した。その後、溶存オゾン濃度が徐々に減少し、保存期間が55日のときに1/3程度まで減少した。さらに、その後は、溶存オゾン濃度は安定し(ほぼ減少しなくなり)、保存期間が180日となっても5ppm~6ppmの範囲にあり、約5ppmの溶存オゾン濃度が維持された。
【0094】
図10は、
図9で示した保存期間180日の改質オゾンUFB水を用いて、すなわち、約5ppmの溶存オゾン濃度が維持された改質オゾンUFB水による大腸菌および黄色ブドウ球菌に対する殺菌効果を測定した結果を示す。この実験では、改質オゾンUFB水を含まない水に接した場合に大腸菌は残存菌数が2.4×10^6CFU/ml、黄色ブドウ球菌は残存菌数が1.3×10^6CFU/mlと存在し続けることが確認された(
図10の濃い棒グラフを参照)。一方で、約5ppmの溶存オゾン濃度が維持された改質オゾンUFB水に接触することで、大腸菌および黄色ブドウ球菌はともに、残存菌数が1.0×10^1と激減することが確認された(
図10の薄い棒グラフを参照)。
<変形例>
【0095】
<変形例>
本実施形態において、グリセリンの濃度20%とした。ここで、水溶液濃度が低いほど、UFB化が容易になるため、グリセリンの濃度20%以下が望ましいとの知見を得た。一方で、グリセリンの濃度が5%以下となると、オゾンの高濃度化が困難になり、常温保存での溶存オゾン濃度低下が激しくなることもわかった。したがって、グリセリンの濃度は5%~20%の範囲にあることが望ましい。
【0096】
また、水溶液に溶解させる溶質は、グリセリン、ポリエチレングリコール、ソルビトール、ショ糖等であってもよく、また、粘度を上昇させるものであれば、他の界面活性剤であってもよい。
【0097】
本実施形態において、UFB化させるガスとしては、オゾンガスを例に説明した。しかし、UFB化させるガスは、水素ガス、酸素ガス、二酸化炭素ガス、窒素ガス、および、空気のいずれか少なくとも1つを混合したものであってもよい。
【0098】
以上、本発明の具体的な態様の例を、本発明の実施形態および実施例により説明したが、本発明は、当該実施形態および実施例に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明は、バブル含有水溶液の製造に利用することができる。
【符号の説明】
【0100】
100 UFB含有水溶液製造装置
110 バブル生成部
103 再帰流路
111 気液混合器
112 バブル生成器
120 バブル圧壊部
121 通路
124 超音波振動子
130 バブル貯留部
133 再帰導出口
193 取出口