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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-18
(45)【発行日】2024-07-26
(54)【発明の名称】破袋機
(51)【国際特許分類】
   B65B 69/00 20060101AFI20240719BHJP
   A01G 18/66 20180101ALI20240719BHJP
【FI】
B65B69/00 101
A01G18/66
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021200214
(22)【出願日】2021-12-09
(65)【公開番号】P2023085900
(43)【公開日】2023-06-21
【審査請求日】2023-08-31
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和3年11月4日に有限会社妙義産業にて発明に関する動作試験を公開
(73)【特許権者】
【識別番号】391025589
【氏名又は名称】株式会社中村製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 智彰
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-352626(JP,A)
【文献】特開2018-184191(JP,A)
【文献】特開平08-337203(JP,A)
【文献】特開平07-061429(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 69/00
A01G 18/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
培地に種菌が繁殖し袋開口が封止された培地充填袋が載置されたまま順次搬送する袋搬送部と、
前記袋搬送部に搬送された培地充填袋の未充填部を挟持し、前記培地充填袋を吊り下げたまま搬送する吊り下げ搬送部と、
前記吊り下げ搬送部によって所定位置へ吊り下げ搬送された培地充填袋の搬送方向両側面に未充填部から培地充填部にわたって第一切断線を各々形成する第一切断部と、
前記第一切断線を両側面に形成された培地充填袋が前記吊り下げ搬送部により搬送される搬送動作に伴って、前記第一切断線と交差する高さ位置で第二切断線を形成する第二切断部と、
前記第一切断線と前記第二切断線が連なって破袋され、破袋部が開口することで自重によって落下する培地を受け止める培地受け止め部と、を備えたことを特徴とする破袋機。
【請求項2】
前記吊り下げ搬送部は、一対のスプロケットホイールに無端状のローラチェーンが巻き付けられた駆動側ローラチェーンと従動側ローラチェーンが互いに噛み合うように隣接配置されており、培地充填袋の未充填部が互いに噛み合うローラチェーン間に挟み込まれたまま吊り下げ搬送される請求項1記載の破袋機。
【請求項3】
前記袋搬送部の袋搬送方向下流端には培地充填袋を検出する袋検出センサが設けられており、袋検出センサが培地充填袋を検出すると、駆動側ローラチェーンを駆動する駆動モータを起動して培地充填袋の未充填部がローラチェーン間に挟み込まれて吊り下げ搬送される請求項2記載の破袋機。
【請求項4】
前記袋搬送部の袋搬送方向下流端には前記培地充填袋の未充填部を正立姿勢で前記吊り下げ搬送部に受け渡すための下流側が幅狭となる平面視V字状に配置された一対のガイド板が設けられている請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の破袋機。
【請求項5】
前記第一切断部は、一対の第一切断刃を昇降させる昇降機構と、前記一対の第一切断刃を鉛直姿勢と傾斜姿勢とで変位させる変位機構とを備え、前記昇降機構が第一切断刃を上昇位置に移動させると、前記変位機構が前記一対の第一切断刃を鉛直姿勢から培地充填袋の側面側にハの字状に刃先を近づけた傾斜姿勢に変位させ、前記昇降機構が下降位置に移動する際に、前記培地充填袋の搬送方向両側面に未充填部から培地充填部にわたって第一切断線が各々形成される請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の破袋機。
【請求項6】
前記一対の第一切断刃は、前記培地充填袋の搬送方向両側面に対して、当該培地充填袋の上端開口が溶着された溶着部を正面視して当該溶着部を鉛直方向に通過する中心線より奥側において鉛直方向に第一切断線を各々形成する請求項5記載の破袋機。
【請求項7】
前記一対の第一切断刃は、前記培地充填袋の搬送方向両側面に対して、当該培地充填袋の上端開口が溶着された溶着部を正面視して当該溶着部を鉛直方向に通過する中心線の手前側から奥側に向かって斜めに第一切断線を各々形成する請求項5記載の破袋機。
【請求項8】
前記第二切断部は装置フレームに固定され、前記吊り下げ搬送部により前記第一切断部から前記培地受け止め部に搬送される搬送動作に伴って前記未充填部に形成された第一切断線と水平方向に交差する高さ位置で第二切断線が形成される請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の破袋機。
【請求項9】
前記培地受け止め部は、樹脂シートの中央部を撓ませて両端部が装置フレームに吊り下げ支持された湾曲部で破袋した培地充填袋から落下する培地が受け止められる請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の破袋機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、培地に種菌が繁殖した培地充填袋を破袋して培地を取り出す破袋機に関する
【背景技術】
【0002】
椎茸や舞茸などの茸を栽培する方法として、フィルム状の袋に培地を充填して押し固め
る。培地が充填された袋の開口を折り畳んだ状態で蒸気釜に入れて培地を殺菌してから袋
を開口して種菌を植菌し、袋開口をシール機で溶着して温度湿度が管理された培養室で種
菌を繁殖させる。種菌が培地に根付いて菌糸が繁殖すると、培地充填袋から培地を取り出
して、所定の保管場所で保管することで培地から茸が生えてくる。上記培地充填袋を破袋
して培地を取り出す作業は、主に作業者が手作業で行われていたが、これを自動機により
行う装置が提案されている。
【0003】
この包装袋除去装置は、塊状の人工榾木を収容し、開口部となる上端側が閉塞された包
装袋をコンベアにより榾受カップに載せたまま正立状態で搬送する。コンベアの途中に設
けられた側面切断装置により、包装袋の前,後方向両側に該包装袋の底部側から上向きに
伸長する切目が入れられる。側面切断装置の下流側に位置してコンベアの途中に設けられ
た上部切断装置により、包装袋の各切目上端側と交差する位置で該包装袋の上部側を切断
する。これにより、包装袋に塊状物の上側で切断開口部を形成する。上部切断装置の下流
側に位置してコンベアの途中に設けられた包装袋剥離装置によって、包装袋の切断開口部
に係合する左,右一対の係合部を左,右方向外向きに移動させることにより、包装袋を各
切目に沿って人工榾木から剥離させる。そして人工榾木は榾受けカップより上方に持ち上
げられて取り出される。
【0004】
包装袋の中心を通過する前,後方向両側に側面切断手段で入れた各切目の上端側と交差
させて、包装袋の上部側に上部切断手段で切断開口部を形成することで、該切断開口部の
位置まで各切目を伸長させる。この切断開口部から包装袋を各切目に沿って左,右方向に
開くようにして、塊状物から包装袋をスムーズに剥離させるようになっている(特許文献
1:特開平4-352626号)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平4-352626号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した包装袋除去装置は、コンベア上を搬送される榾受カップに包装袋を載せたまま
正立状態で搬送しながら、側面切断装置、上部切断装置、包装袋剥離装置の順に切断剥離
作業が行われるため、装置構成が複雑で大掛かりとなり広い作業現場が必要になる。また
、榾受カップに包装袋を載せたまま各工程に搬送されるため、例えば側面切断装置で包装
袋の側面に切り込みを入れる際に、その都度包装袋の開口部を前,後方向に引張りつつ把
持してから上方に引き上げることにより、包装袋に上,下方向の張力を与える必要がある
【0007】
更には、コンベア上を搬送される過程で、包装袋の切断剥離作業が行われて、破袋した
包装袋と人工榾木が分離される。このとき、破袋した包装袋には、培地に菌糸が繁殖して
いるため、培地に含侵した酸性の液体が漏れ出したり飛散したりし易いため、コンベアや
作業装置に付着すると、腐食が進んで動作不良を起こすおそれがあり、好ましくない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明はこれらの課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、簡
易な装置構成で、培地充填袋の破袋を行なって、しかも袋内の液体が装置に付着すること
なく培地を袋と分離して取り出すことが可能な破袋機を提供することにある。
【0009】
本発明は上記目的を達成するため、次の構成を備える。
培地に種菌が繁殖し袋開口が封止された培地充填袋が載置されて順次搬送される袋搬送
部と、前記袋搬送部に搬送された培地充填袋の未充填部を挟持し、前記培地充填袋を吊り
下げたまま搬送する吊り下げ搬送部と、前記吊り下げ搬送部によって所定位置へ吊り下げ
搬送された培地充填袋の搬送方向両側面に未充填部から培地充填部にわたって第一切断線
を各々形成する第一切断部と、前記第一切断線を両側面に形成された培地充填袋が前記吊
り下げ搬送部により搬送される搬送動作に伴って、前記第一切断線と交差する高さ位置で
第二切断線を形成する第二切断部と、前記第一切断線と前記第二切断線が連なって破袋さ
れ、破袋部が開口することで自重によって落下する培地を受け止める培地受け止め部と、
を備えたことを特徴とする。
このように吊り下げ搬送部は袋搬送部で搬送された培地充填袋の未充填部を挟持して吊
り下げたまま搬送するので、培地充填袋に適度な張力を付与することができる。よって、
第一切断部によって第一切断線を培地充填袋の両側面に形成し、第二切断部によって第一
切断線と交差する高さ位置で第二切断線を形成する際にも、培地充填袋に適度な張力を維
持したまま切断線を形成することができる。
また、培地受け止め部は、第一切断線と前記第二切断線が連なって破袋した培地充填袋
の破袋部が開口することで自重により落下する培地を受け止めるので、培地に含侵した酸
性の液体が飛散して装置に付着するおそれもなく、培地を破損することなく培地充填袋か
ら分離回収することができる。
【0010】
前記吊り下げ搬送部は、一対のスプロケットホイールに無端状のローラチェーンが巻き
付けられた駆動側ローラチェーンと従動側ローラチェーンが互いに噛み合うように隣接配
置されており、培地充填袋の未充填部が互いに噛み合うローラチェーン間に挟み込まれた
まま吊り下げ搬送されることが好ましい。
このように、培地充填袋の未充填部が互いに噛み合うローラチェーン間に挟み込まれた
まま吊り下げ搬送されるので、培地充填袋を破袋する際に常時培地充填袋に適度なテンシ
ョンを付与することができ、所望の切断線を容易に形成することができる。また、従来の
ようにその都度袋を把持したり吊り上げたりする装置構成は不要となる。
【0011】
前記袋搬送部の下流端には培地充填袋を検出する袋検出センサが設けられており、袋検
出センサが培地充填袋を検出すると、駆動側ローラチェーンを駆動する駆動モータを起動
して培地充填袋の未充填部が互いに噛み合うローラチェーン間に挟み込まれて吊り下げ搬
送されるようにしてもよい。
これにより、袋搬送部により複数の培地充填袋を連続搬送しながら、袋検出センサが培
地充填袋を検出する限り、吊り下げ搬送部を駆動して培地充填袋の未充填部が順次ローラ
チェーン間に挟み込まれて破袋作業を連続して行うことができる。
【0012】
前記袋搬送部の袋搬送方向下流端には前記培地充填袋の未充填部を正立姿勢で前記吊り
下げ搬送部に受け渡すための下流側が幅狭となる平面視V字状に配置された一対のガイド
板が設けられていることが好ましい。
これにより、一文字折かガゼット折かを問わず培地充填袋の未充填部を搬送方向の先端
部より吊り下げ搬送部に受け渡して正立状態で吊り下げることができる。
【0013】
前記第一切断部は、一対の第一切断刃を昇降させる昇降機構と、前記一対の第一切断刃
を鉛直姿勢と傾斜姿勢とで変位させる変位機構とを備え、前記昇降機構が第一切断刃を上
昇位置に移動させると、前記変位機構が前記一対の第一切断刃を鉛直姿勢から培地充填袋
の側面側にハの字状に刃先を近づけた傾斜姿勢に変位させ、前記昇降機構が下降位置に移
動する際に、前記培地充填袋の搬送方向両側面に未充填部から培地充填部にわたって第一
切断線が各々形成されるようにしてもよい。
これにより、培地充填袋に適度なテンションが付与されたまま培地充填袋の搬送方向両
側面に未充填部から培地充填部にわたって第一切断線を形成することができる。
【0014】
このとき、前記一対の第一切断刃は、培地充填袋の搬送方向両側面に対して、当該培地充填袋の上端開口が溶着された溶着部を正面視して当該溶着部を鉛直方向に通過する中心線より奥側において鉛直方向に第一切断線を各々形成するようにしてもよいし、培地充填袋の搬送方向両側面に対して、当該培地充填袋の上端開口が溶着された溶着部を正面視して当該溶着部を鉛直方向に通過する中心線の手前側から奥側に向かって斜めに第一切断線を各々形成するようにしてよい。
これにより、培地充填袋に収容された培地は、袋底部の半分以上が破袋部として垂れ下がるため不安定となり自重で培地受け止め部に落下させることができる。
【0015】
前記第二切断部は装置フレームに固定され、前記吊り下げ搬送部により前記第一切断部
から前記培地受け止め部に搬送される搬送動作に伴って前記未充填部に形成された第一切
断線と水平方向に交差する高さ位置で第二切断線が形成されるようにしてもよい。
これにより、第二切断部は装置フレームに固定されるので、第二切断部の構成を簡略化
することができる。また、未充填部に形成された第一切断線と水平方向に交差する高さ位
置で第二切断線を形成することで、舌片状の破袋部が下方に垂れ下がり、培地が破袋部の
開口より大きく露出して落下を促すことができる。
【0016】
前記培地受け止め部は、樹脂シートの中央部を撓ませて両端部が装置フレームに吊り下
げ支持された湾曲部で破袋した培地充填袋から落下する培地が受け止められるようにして
もよい。
これにより、培地充填袋が破袋して落下する培地を両端部が装置フレームに吊り下げ支
持された樹脂シートの湾曲部で受け止めるので、培地に含侵した酸性の液体が飛散して装
置に付着するおそれもなく、培地を破損することなく培地充填袋から分離回収することが
できる。
【発明の効果】
【0017】
簡易な装置構成で培地充填袋の破袋を行なって、しかも袋内の液体が装置に付着するこ
となく培地を培地充填袋と分離して取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】破袋機の正面図である。
図2図1の破袋機の平面図である。
図3図1の破袋機の右側面図である。
図4図4(a)~(c)は培地充填袋の破袋工程を説明する袋正面及び右側面を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る破袋機の実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。培
地充填袋Pとしては、例えば一端に開口を有しガゼット折りされたポリプロピレン製の袋
等が用いられる。また、培地としては例えば椎茸や舞茸などの栽培用としておが粉等が用
いられる。
【0020】
図1を参照して、破袋機1の概略構成について説明する。培地充填袋Pは培地Qに種菌
が繁殖したものが用いられ、未充填部P1の上端開口が溶着部P2により封止されている

袋搬送部Aは、培地充填袋Pを所定間隔で並べて搬送するコンベア装置2を備える。袋
搬送部Aより袋搬送方向下流側には吊り下げ搬送部Bが設けられている。吊り下げ搬送部
Bは袋搬送部Aより受け渡された培地充填袋Pの未充填部P1を挟持して培地充填袋Pを
吊り下げたまま搬送する。
【0021】
吊り下げ搬送部Bによる吊り下げ搬送路には、第一切断部C1が設けられている。第一
切断部C1は、培地充填袋Pの搬送方向両側面に未充填部P1から培地充填部にわたって
第一切断線L1を各々形成する。第一切断部C1より袋搬送方向下流側には第二切断部C
2が設けられている。第二切断部C2は、吊り下げ搬送部Bにより搬送される培地充填袋
Pに第一切断線L1と交差する高さ位置で第二切断線L2を形成する(図4(b)参照)
【0022】
第二切断部C2より袋搬送方向下流側には培地受け止め部Dが設けられている。培地受
け止め部Dは、培地充填袋Pに第一切断線L1と第二切断線L2とが形成されて破袋部P
3が開口して自重によって落下する培地Qを受け止める。
【0023】
以下、各部の構成について具体的に説明する。
袋搬送部Aに備えたコンベア装置2について説明する。コンベア装置2は駆動ローラ2
a,従動ローラ2b間に無端状のコンベアベルト2cを巻き付けられている。コンベアモ
ータ2dによって駆動ローラ2aを回転駆動することで、コンベアベルト2c上に所定間
隔で載置された培地充填袋Pを連続搬送する。コンベアベルト2c上には袋開口が封止さ
れ培地に種菌が繁殖した培地充填袋Pが供給される。
【0024】
吊り下げ搬送部Bは、装置本体フレーム1aの上部に、コンベア装置2に連続して設け
られる。吊り下げ搬送部Bは、図2に示すように、一対のローラチェーン搬送装置3A,
3Bを有している。ローラチェーン搬送装置3A,3Bは、一対のスプロケットホイール
3a,3bに無端状のローラチェーン3c1,3c2が各々巻き付けられている。駆動側
ローラチェーン3c1と従動側ローラチェーン3c2が長手方向に沿って互いに噛み合う
ように隣接配置されている。駆動側ローラチェーン3c1が巻かれたスプロケットホイー
ル3aは駆動シャフト3dに連結されている。駆動シャフト3dはチェーンモータ3eに
より歯車機構を介して回転駆動される。チェーンモータ3eを起動すると駆動シャフト3
dを介して駆動側ローラチェーン3c1が回転し、駆動側ローラチェーン3c1と噛み合
う従動側ローラチェーン3c2が一対のスプロケットホイール3a,3b間で従動回転す
る。これにより、培地充填袋Pの未充填部P1が互いに噛み合う駆動側ローラチェーン3
c1及び従動側ローラチェーン3c2間に挟み込まれたまま培地充填袋Pが吊り下げ搬送
される。
【0025】
このように、培地充填袋Pの未充填部P1が互いに噛み合うローラチェーン3c1,3
c2間に挟み込まれたまま吊り下げ搬送されるので、培地充填袋Pを破袋する際に培地充
填袋Pに常時適度なテンションを付与することができ、所望の切断線を容易に形成するこ
とができる。また、従来のようにその都度袋を把持したり吊り上げたりする装置構成は不
要となる。
【0026】
また、コンベア装置2の袋搬送方向下流端には培地充填袋Pを検出する袋検出センサ4
が設けられている。袋検出センサ4は例えばフォトセンサなどが用いられる。袋検出セン
サ4が培地充填袋Pを検出すると、駆動側ローラチェーン3c1を駆動するチェーンモー
タ3eを起動して培地充填袋Pの未充填部P1が互いに噛み合うローラチェーン3c1,
3c2間に挟み込まれて吊り下げ搬送される。
これにより、コンベア装置2によって複数の培地充填袋Pを連続搬送しながら、下流端
の袋検出センサ4が培地充填袋Pを検出する限り、吊り下げ搬送部Bを駆動して培地充填
袋Pの未充填部P1が順次ローラチェーン3c1,3c2間に挟み込まれて破袋作業を連
続して行うことができる。
【0027】
図2において、コンベア装置2の袋搬送方向下流端には、培地充填袋Pの未充填部P1
を正立姿勢で吊り下げ搬送部Bに受け渡すための下流側が幅狭となる平面視V字状に配置
された一対のガイド板5が設けられている。
これにより、一文字折かガゼット折かを問わず培地充填袋Pの未充填部P1を搬送方向
の先端部より吊り下げ搬送部Bに受け渡して正立状態で吊り下げることができる。
【0028】
第一切断部C1は、吊り下げ搬送された培地充填袋Pの両側で一対の第一切断刃6を昇
降させる昇降機構7を備えている。昇降機構7は、ガイド付き昇降シリンダ7aの昇降動
作により左右に設けられた可動板7bが鉛直方向に設けられたガイドレール7cに沿って
昇降する。昇降シリンダ7aは、例えばエアシリンダが用いられる。左右の可動板7bに
は第一切断刃6が各々設けられている。また、左右の可動板7bには、第一切断刃6を鉛
直姿勢と傾斜姿勢とで変位させる変位機構8を備えている。具体的には第一切断刃6は可
動板7bに回転可能に組み付けられた回転板8aに保持されている。この回転板8aには
変位シリンダ8bのシリンダロッドが連結されている。変位シリンダ8bは、シリンダロ
ッドの伸縮に応じて回転板8aを所定方向回転させ、回転板8aに保持された第一切断刃
6を鉛直上向き姿勢と、培地充填袋Pの側面側に傾斜した傾斜姿勢とで各々変位させる。
変位シリンダ8bは例えばエアシリンダが用いられ、ケーブルチェーン7dを通じてエア
が供給される。
【0029】
具体的には培地充填袋Pの未充填部P1が互いに噛み合うローラチェーン3c1,3c
2間に挟み込まれて所定位置まで吊り下げ搬送されると一旦停止する。例えば、袋検出セ
ンサ4(例えばフォトセンサなど)により培地充填袋Pを検出するとチェーンモータ3e
の駆動を所定時間停止させている間に、以下に述べる切断線が形成される。先ず、昇降機
構7の昇降シリンダ7aが作動して可動板7bと共に第一切断刃6を上昇位置に移動させ
ると、変位機構8が一対の第一切断刃6を鉛直姿勢から培地充填袋の側面側にハの字状に
刃先を向けた傾斜姿勢に変位させる。昇降シリンダ7aが作動して可動板7bを下降位置
に移動する際に、一対の第一切断刃6を培地充填袋Pの搬送方向両側面に未充填部P1か
ら培地充填部にわたって第一切断線(縦線)L1が各々形成される(図4(a)参照)。
これにより、培地充填袋Pに適度なテンションが付与されたまま培地充填袋Pの搬送方向
両側面に未充填部P1から培地充填部にわたって第一切断線L1を各々形成することがで
きる。
【0030】
図4(a)に示すように、一対の第一切断刃6は、培地充填袋Pの短手方向中心より奥
側を未充填部P1から培地充填部にわたって鉛直方向に第一切断線L1を形成する。或い
は、培地充填袋Pの短手方向中心より手前側から奥側に向かって未充填部P1から培地充
填部にわたって斜めに第一切断線L1を形成するようにしてもよい。
【0031】
第一切断部C1より袋搬送方向下流側には第二切断部C2が設けられている。第二切断
部C2は、吊り下げ搬送部Bにより搬送される培地充填袋Pに第一切断線L1と交差する
高さ位置で第二切断線L2を形成する。
具体的には、図2に示すように、装置本体フレーム1aの一部には、第二切断刃9が固
定されている。第二切断刃9は、第一切断刃6で形成される第一切断線L1と水平方向に
交差する高さ位置に設けられ、第一切断線L1と交差する第二切断線L2を形成する(図
4(b)参照)。第二切断刃9は固定刃であるので、第二切断部C2の構成を簡略化する
ことができる。
【0032】
これにより、図4(c)に示すようにことで舌片状の破袋部P3が下方に垂れ下がり、
培地Qが開口より大きく露出する。培地充填袋Pに収容された培地Qは、袋底部の半分以
上が破袋部P3として垂れ下がるため不安定となって落下を促す。そして、図4(c)の
破線で示すように培地Qを自重で培地受け止め部Dに落下させることができる。
【0033】
図3に示すように、培地受け止め部Dは、例えば矩形状の樹脂シート10(ビニールシ
ート、ナイロンシート等)の中央部を撓ませて両端部が装置本体フレーム1aに固定され
て吊り下げ支持されている。樹脂シート10の湾曲部10aで破袋した培地充填袋Pから
自重落下する培地Qが受け止められる。
これにより、培地充填袋Pが破袋して落下する培地Qを両端部が吊り下げ支持された樹
脂シート10の湾曲部10aで受け止めるので、培地Qに含侵した酸性の液体が飛散して
装置に付着するおそれもなく、培地Qを破損することなく破袋した培地充填袋Pから分離
回収することができる。
【0034】
尚、破袋した培地充填袋Pは、吊り下げ搬送部Bにより下流端に搬送されてローラチェ
ーン3c1,3c2間の挟み込みから解放されると、落下して分離回収することができる
【0035】
以上、説明したように、吊り下げ搬送部Bは袋搬送部Aより受け渡された培地充填袋P
の未充填部P1を挟持して吊り下げたまま搬送するので、培地充填袋Pに適度な張力を付
与することができる。よって、第一切断部C1によって第一切断線L1を両側面に形成し
、第二切断部C2によって第一切断線L1と交差する高さ位置で第二切断線L2を形成す
る際にも、培地充填袋Pに適度な張力を維持したまま切断線を形成することができる。
また、培地受け止め部Dは、コ字状に連なる切断線により破袋した培地充填袋Pより自
重により落下した培地Qを受け止めるので、培地Qに含侵した酸性の液体が飛散して装置
に付着するおそれもなく、培地Qを破損することなく破袋した培地充填袋Pから分離回収
することができる。
【0036】
上述した破袋機1の吊り下げ搬送部Bはローラチェーン搬送装置3A,3Bをローラチ
ェーン3c1,3c2どうしを噛み合わせて構成したが、これに限らず他の構成でもよい
。例えば、培地充填袋Pの未充填部P1を把持部で把持した状態で吊り下げ搬送してもよ
いし、未充填部P1を吸着したまま吊り下げ搬送してもよい。
【符号の説明】
【0037】
A 袋搬送部 B 吊り下げ搬送部 C1 第一切断部 C2 第二切断部 D培地受け
止め部 P 培地充填袋 P1 未充填部 P2 溶着部 P3 破袋部 Q 培地 1
破袋機 1a 装置本体フレーム 2 コンベア装置 2a 駆動ローラ 2b 従動
ローラ 2c コンベアベルト 2d コンベアモータ 3A,3B ローラチェーン搬
送装置 3a,3b スプロケットホイール 3c1 駆動側ローラチェーン 3c2
従動側ローラチェーン 3d 駆動シャフト 3e チェーンモータ 4 袋検出センサ
5 ガイド板 6 第一切断刃 7 昇降機構 7a 昇降シリンダ 7b 可動板
7c ガイドレール 7d ケーブルチェーン 8 変位機構 8a 回転板 8b 変
位シリンダ 9 第二切断刃 10 樹脂シート 10a 湾曲部
図1
図2
図3
図4