(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-18
(45)【発行日】2024-07-26
(54)【発明の名称】コロナウイルス3CLプロテアーゼを標的とするVHLリガンドに基づくPROTAC、およびその調製方法と応用
(51)【国際特許分類】
C07D 417/14 20060101AFI20240719BHJP
A61K 31/53 20060101ALI20240719BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20240719BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
C07D417/14 CSP
A61K31/53
A61P31/14
A61P43/00 111
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023047013
(22)【出願日】2023-03-23
【審査請求日】2023-06-12
(31)【優先権主張番号】202210412066.6
(32)【優先日】2022-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522281350
【氏名又は名称】シャンシー・パンロン・ファーマシューティカル・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SHAANXI PANLONG PHARMACEUTICAL CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】NO. 2801, BALIU 2ND ROAD, MODERN TEXTILE INDUSTRIAL PARK, BAQIAO DISTRICT, XI’AN, 710025 SHAANXI, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】チェンユアン・リャン
(72)【発明者】
【氏名】リャン・シン
(72)【発明者】
【氏名】レイ・ティエン
(72)【発明者】
【氏名】ジュアン・シア
(72)【発明者】
【氏名】ナン・チン
(72)【発明者】
【氏名】ジンイー・リー
(72)【発明者】
【氏名】タオタオ・チアン
(72)【発明者】
【氏名】ハン・リー
(72)【発明者】
【氏名】シューチュアン・ワン
(72)【発明者】
【氏名】シャオリン・シエ
(72)【発明者】
【氏名】ドゥジュー・ジャン
(72)【発明者】
【氏名】チンボー・ジャオ
(72)【発明者】
【氏名】ジェンフェン・シー
(72)【発明者】
【氏名】ミン・リー
(72)【発明者】
【氏名】シャオジュン・ジャン
(72)【発明者】
【氏名】カンシオン・ウー
(72)【発明者】
【氏名】キャサリン・ジェー・リー
(72)【発明者】
【氏名】マギー・レウィス
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ・マー
(72)【発明者】
【氏名】シュイファ・ジョウ
【審査官】中村 政彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/231778(WO,A1)
【文献】UNOH, Y. et al.,“Discovery of S-217622, a Noncovalent Oral SARS-CoV-2 3CL Protease Inhibitor Clinical Candidate for Treating COVID-19”,Journal of Medicinal Chemistry,2022年03月30日,Vol. 65, No. 9,pp. 6499-6512,DOI: 10.1021/acs.jmedchem.2c00117
【文献】DESANTIS, J. et al.,“Indomethacin-based PROTACs as pan-coronavirus antiviral agents”,European Journal of Medicinal Chemistry,2021年,Vol. 226,pp. 113814,DOI: 10.1016/j.ejmech.2021.113814
【文献】内藤 幹彦 他,“分子間相互作用を基盤とするユビキチン・プロテアソーム創薬”,日本薬理学雑誌,2021年,第156巻,第1号,pp. 9-12,DOI: 10.1254/fpj.20070
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 417/00
A61K 31/00
A61P 31/00
A61P 43/00
CAplus/REGISTRY(STN)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iまたは式IIの化合物、その薬学的に許容される塩、そのジアステレオマー、またはその互変異性体。
【化1】
または、
【化2】
【請求項2】
前記化合物が、
【化3】
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記薬学的に許容される塩が、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、フマル酸、マレイン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、グルタミン酸およびアスパラギン酸からなる群から選択されるうちの1つを含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
請求項1に記載の化合物を含む、抗コロナウイルス医薬製剤。
【請求項5】
前記コロナウイルスが、新型コロナウイルスSARS-CoV-2である、請求項4に記載の抗コロナウイルス医薬製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2022年4月19日に出願された中国特許出願第202210412066.6号の優先権を主張し、この出願は、本明細書に完全に記載されているかのように、あらゆる目的のために参照により組み込まれる。
【0002】
本発明は、医薬化学の技術分野に属し、特にコロナウイルス3CLプロテアーゼを標的とするVHLリガンドに基づくPROTAC、およびその調製方法と応用に関する。
【背景技術】
【0003】
COVID-19(新型コロナウイルス肺炎)は、感染力が強く、病原性も高く、その変異株であるデルタ株とオミクロン株は、より強い感染力を有する。絶え間なく生じる変異株は、世界の疫病状況をより複雑にしている。新型コロナウイルスは、人間の健康、社会の安定、および経済の発展に深刻な脅威をもたらしている。
【0004】
3CLpro(3C様プロテアーゼ、主要プロテアーゼMproとしても知られている)は、コロナウイルスの重要な非構造タンパク質として、マイクロRNAウイルスの3Cプロテアーゼと同様の切断部位特異性を有し、子孫ウイルスの複製と転写に極めて重要な役割を果たす。3CLproは3つのドメインを有する。ドメインIおよびドメインIIは主にβシート構造から構成され、ドメインIIIは主にαヘリックス構造から構成される。活性部位は、ドメインIとIIとの間に形成される溝に位置している。ドメインIIIは二量体形成に関与している。ドメインIIIと比較して、異なるコロナウイルスのドメインIとドメインIIの配列保存性は高く、これは活性部位が最初の2つのドメインに位置していることと一致する。3CLproは、保存的システインおよびヒスチジンを触媒アミノ酸として用い、システインが求核攻撃基でヒスチジンが塩基性基である触媒二重鎖、を形成している。コロナウイルス3CLproは、ウイルス複製に必須であり、高度に保存されているため、理想的な抗コロナウイルス薬の標的となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
タンパク質分解標的キメラ分子(PROTAC)は、近年の医薬品開発において最も革新的な技術の一つである。タンパク質分解標的キメラ(PROTAC)は、タンパク質を化学的に分解する技術である。標的タンパク質とE3ユビキチンリガーゼとを同時に結合させ、標的タンパク質をE3ユビキチンリガーゼに近づけ、標的タンパク質をユビキチン化し、ユビキチン-プロテアソーム系(UPS)の分解により標的タンパク質を分解することができる。なお、標的タンパク質の機能に関係なく、PROTAC技術で分解できることは、言及する価値がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の概要)
1つの実施形態において、本願は、式Iまたは式IIの化合物、その薬学的に許容される塩、そのジアステレオマー、またはその互変異性体を開示する。
【化1】
または
【化2】
【0007】
式Iおよび式IIにおいて、nは1~6である。
【0008】
別の実施形態では、前記化合物は、
【化3】
からなる群から選択される。
【0009】
別の実施形態では、前記薬学的に許容される塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、フマル酸、マレイン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、グルタミン酸およびアスパラギン酸からなる群から選択されるうちの1つを含む。
【0010】
別の実施形態において、本願は、本願の化合物を含む抗コロナウイルス医薬製剤、を開示する。
【0011】
別の実施形態において、前記コロナウイルスは、新型コロナウイルスSARS-CoV-2である。
【0012】
従来技術と比較して、本発明は、以下の有益な効果を有する。
【0013】
本発明は、コロナウイルス3CLプロテアーゼを標的とするVHLリガンドに基づくPROTACを提供し、E3リガーゼリガンドとしてVHLリガンド(S、R、S)-AHPCを選択し、異なるタイプおよび異なる鎖長のリンカーを用いてコロナウイルス3CLプロテアーゼ阻害剤をE3リガーゼに結合する。3CLプロテアーゼを標的とするPROTACでは、標的タンパク質を効果的に標的化するように成功裏に調製された。3CLpro阻害活性実験結果は、本発明で合成された化合物が3CLproに対して強力な阻害作用を有し、3CLproに対する化合物4、化合物5、化合物6、化合物8、および化合物9のIC50値がいずれも100nM未満であることを示している。3CLpro分解活性試験結果は、前記化合物はすべて3CLproに対して分解活性を有し、3CLproに対する化合物5、化合物6、および化合物8のDC50値はすべて100nM未満である。前記化合物は、単一構造タイプ、限られた薬力学的経路などの既存のコロナウイルス3CLプロテアーゼ阻害剤の欠点を、克服する。
【0014】
本発明は、コロナウイルス3CLプロテアーゼを標的とするVHLリガンドを含むPROTACの調製方法を提供する。目的生成物を得るために、すべての反応は、高温、高圧、高毒性試薬の使用を避け、反応装置に対する要求が低く環境汚染が少ない比較的温和な条件で、実行され得、同時に、原子効率(atom economy)が高く、工業生産に適している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(詳細な説明)
当業者が本発明の解決策をよりよく理解できるようにするために、本発明の実施形態における技術的解決策を、本発明の実施形態における添付図面を参照して、以下に明確にかつ完全に説明する。明らかに、記載された実施形態は、本発明の一部の実施形態に過ぎず、実施形態の全てではない。本発明の実施形態に基づき、創造的な努力なしに当業者によって得られる他のすべての実施形態は、本発明の保護範囲に入る。
【0016】
なお、本発明の説明および特許請求の範囲並びに上記図面における「第1」、「第2」などの用語は、類似のものを区別するために用いられ、必ずしも特定の順序または配列を説明するために用いられないことに留意されたい。このように使用されるデータは、本明細書に記載される本発明の実施形態が本明細書に図示または記載される以外の順序で実施され得るように、適切な状況下で交換され得ることを理解されたい。さらに、用語「含む(comprising)」および「有する(having)」、ならびにそれらの任意の変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図しており、例えば、一連のステップまたはユニットを含むプロセス、方法、システム、生成物またはデバイスは、必ずしも明示的に列挙したものに限られない。むしろ、それらのステップまたはユニットには、明示的に列挙されていない、またはこれらのプロセス、方法、生成物またはデバイス固有の、他のステップもしくはユニットが含まれ得る。
【0017】
以下、添付の図面と併せて、本発明をさらに詳細に説明する。
【0018】
本発明により提供される、コロナウイルス3CLプロテアーゼを標的とするVHLリガンドを含むPROTACは、式Iまたは式IIで表される化合物、その薬学的に許容される塩、そのジアステレオマー、またはその互変異性体である。
【0019】
式Iまたは式IIの化合物の構造式は、以下の通りである。
【化4】
または、
【化5】
【0020】
式IおよびIIにおいて、nは1~6である。
【0021】
前記薬学的に許容される塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、フマル酸、マレイン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、レモン酸(lemon acid)、リンゴ酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、グルタミン酸、またはアスパラギン酸の塩であり得る。
【0022】
本願の化合物の調製方法は、以下の通りである。
【0023】
(1)3-tert-ブチル-6-(エチルチオ)-1,3,5-トリアジン-2,4(1H,3H)-ジオンを出発物質として使用し、2,4,5-トリフルオロベンジルブロミドをアルキル化して化合物a1を得る;次いで、6-クロロ-2-メチル-2H-インダゾール単位がトリアジン核の6位に導入されて化合物a2を得る;化合物a2のトリアジン核の3位のtert-ブチル基を酸性溶媒中で除去して化合物a3を得る;次いで、化合物a3のトリアジン核の3位に3-プロピニル基を導入し、最終的に化合物a4を得る。反応スキームは以下の通りである。
【0024】
【0025】
化合物a1の合成プロセスで使用する溶媒は、アセトニトリルである。3-tert-ブチル-6-(エチルチオ)-1,3,5-トリアジン-2,4(1H,3H)-ジオンと2,4,5-トリフルオロベンジルブロミドとのモル比は1:1.1である。反応は、炭酸カリウムを用い、加熱還流条件下で行われる。化合物a2の合成プロセスにおいて、化合物a1と6-クロロ-2-メチル-2H-インダゾール-5-アミンとのモル比は1:1.3、反応温度は0℃、使用される溶媒はテトラヒドロフラン、使用される触媒はリチウムビストリメチルシリルアミド(LiHMDS)である。化合物a3の合成プロセスにおいて使用される酸溶媒は、トリフルオロ酢酸(TFA)である。化合物a4の合成において、化合物a3と3-ブロモプロピンとのモル比は1:1.2であり、使用される溶媒はN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)であり、反応温度は60℃である。
【0026】
(2)(S,R,S)-AHPC(MDK7526、VH032-NH2、VHL LIGAND 1)(Shanghai McLean Biochemical Technology Co.,Ltd.から購入、CAS番号1448297-52-6)を出発物質として使用し、酸-アミン縮合反応において、鎖長の異なるブロモアルカン酸と反応させて対応化合物b1~b6を得て、ヨウ化カリウム触媒下でアジ化ナトリウムと反応させて対応化合物c1~c6が得られる。
【0027】
【0028】
または、(S,R,S)-AHPC(MDK7526、VH032-NH2、VHL LIGAND 1)を出発物質として、アジド-ポリエチレングリコール-酢酸化合物と酸アミン縮合反応を行い、対応化合物d1~d3が得られる。
【0029】
【0030】
化合物b1~b6の合成において、(S,R,S)-AHPCとブロモアルカン酸とのモル比は1:1.2である。ブロモアルカン酸をジクロロメタン(DCM)に溶解し、使用する縮合剤は2-(7-アゾベンゾトリアゾール)-N,N,N’,N’-テトラメチル尿素ヘキサフルオロリン酸エステル(HATU)である。化合物c1~c6の合成において使用する溶媒はDMF、化合物b1~b6とアジ化ナトリウムとのモル比は1:3、使用する触媒はヨウ化カリウムである。化合物d1~d3の合成において、(S,R,S)-AHPCとアジド-ポリエチレングリコール-酢酸化合物とのモル比は1:2、使用する縮合剤は塩化チオニル、溶媒はテトラヒドロフランである。
【0031】
(3)化合物a4は、化合物c1~c6と反応し、式Iの化合物が得られる。
【0032】
あるいは、化合物a4は、化合物d1~d3と反応し、式IIの化合物が得られる。
【0033】
反応スキームは、以下の通りである。
【0034】
【0035】
反応における化合物a4とc1~c6またはd1~d3とのモル比は1:1.2、反応に用いる溶媒はテトラヒドロフランと水との混合物であり、テトラヒドロフラン:水の体積比は10:1であり、触媒は硫酸銅五水和物およびアスコルビン酸ナトリウムであり、反応はアルゴン保護下で45℃にて行われる。
【実施例】
【0036】
1.合成化合物1~9の具体例
【0037】
本発明の代表的な化合物の構造式は、以下の通りである。
【0038】
【0039】
上記化合物の合成例を以下に示す。
【0040】
実施例1
化合物1:(2S,4R)-1-((S)-2-(3-(4-(((E)-4-((6-クロロ-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)イデンアミノ)-2,6-ジオキシ-3-(2,4,5-トリフルオロベンジル)-1,3,5-トリアジン-1-イル)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)プロピオンアミド)-3,3-ジメチルブチリル)-4-ヒドロキシ-N-(4-(4-メチルチアゾール-5-イル)ベンジル)ピロリジン-2-カルボキサミドの調製
【0041】
【0042】
ステップ1:化合物a1の合成
3-tert-ブチル-6-(エチルチオ)-1,3,5-トリアジン-2,4(1H,3H)-ジオン(114.7mg、0.5mmol)、2,4,5-トリアジンフルオロベンジルブロミド(123.8mg,0.55mmol)および炭酸カリウム(79.6mg、0.48mmol)を反応器に入れ、アセトニトリル10mLに溶解し、還流するまで加熱し、3時間撹拌し、TLCでモニターした。反応終了後、反応混合物を減圧下濃縮して溶媒を除去し、得られた固体残渣を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、酢酸エチルで抽出し、有機相を回収し、カラムクロマトグラフィー(移動相としてn-ヘキサン:酢酸エチル(V:V)=8:2)で分離精製し、乾燥して161.0mgの化合物a1(収率86.24%)を得た。
【0043】
ステップ2:化合物a2の合成
化合物a1(186.7mg、0.5mmol)と6-クロロ-2-メチル-2H-インダゾール-5-アミン(118.1mg、0.65mmol)を反応器に入れ、5mLのテトラヒドロフランに溶解させた。テトラヒドロフラン中の1mmolのリチウムビストリメチルシリルアミド(LiHMDS)(0.2mL、1mmol)の溶液を0℃で反応器にゆっくりと加え、反応物を3時間撹拌し、TLCでモニターした。反応終了後、反応混合物を室温まで冷却し、塩化アンモニウム水溶液を加えてクエンチし、反応液を減圧下で濃縮し、テトラヒドロフランを除去した。得られた残渣を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、酢酸エチルにて抽出し、有機相を回収し、カラムクロマトグラフィーで分離した。精製(移動相としてジクロロメタン:メタノール(V:V)=10:1)により、62.2mgの化合物a2(収率25.24%)を得た。
【0044】
ステップ3:化合物a3の合成
化合物a2(246.4mg、0.5mmol)を反応器に入れ、トリフルオロ酢酸(TFA)3mLを加え、室温で一晩撹拌し、次いで減圧下でトルエンと共沸濃縮して溶媒を除去し、乾燥して202.1mgの化合物a3(収率92.52%)を得た。
【0045】
ステップ4:化合物a4の合成
化合物a3(218.4mg、0.5mmol)、3-ブロモプロピン(43μL、0.6mmol)および炭酸カリウム(82.9mg、0.6mmol)をN,N-ジメチルメタン10mLと共に反応器に入れた。反応混合物を60℃で5時間加熱攪拌し、TLCでモニターをした。反応終了後、反応混合物を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、酢酸エチルで抽出し、有機相を回収し、カラムクロマトグラフィー(移動相としてn-ヘキサン:酢酸エチル(V:V)=6:4)により精製した。乾燥後、148.2mgの化合物a4(収率62.43%)を得た。
【0046】
【0047】
ステップ1:化合物b1の合成
3-ブロモプロピオン酸(91.8mg、0.6mmol)を3mLのジクロロメタンに溶解し、反応器に入れた。HATU(380.2mg、1mmol)およびDIPEA(260μL、1.5mmol)を添加した。反応混合物を1時間攪拌した。(S,R,S)-AHPC(215.3mg、0.5mmol)を3mLのジクロロメタンに溶解させ、反応器に滴下して加えた。次いで、反応混合物を室温で5時間攪拌し、TLCでモニターした。反応終了後、反応混合物を減圧下で濃縮してジクロロメタンを除去し、得られた固体残留物を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、酢酸エチルで抽出し、有機相を回収した。230.6mgの化合物b1を分離し、カラムクロマトグラフィー(移動相としてジクロロメタン:メタノール(V:V)=10:1)で精製し、収率は81.55%であった。
【0048】
ステップ2:化合物c1の合成
化合物b1(282.8mg、0.5mmol)、アジ化ナトリウム(97.5mg、1.5mmol)、ヨウ化カリウム(8.3mg、0.05mmol)を10mLのN,N-ジメチルホルムアミドと共に反応器に入れた。混合物を70℃で5時間加熱攪拌し、TLCでモニターをした。反応終了後、反応混合物を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、酢酸エチルで抽出した。有機相を回収して乾燥して、218.3mgの化合物(c1)(収率82.74%)を得た。
【0049】
【0050】
化合物a4(142.4mg、0.3mmol)、化合物c1(190.0mg、0.36mmol)および硫酸銅五水和物(30.0mg、0.12mmol)、およびアスコルビン酸ナトリウム(23.8mg、0.12mmol)をテトラヒドロフラン10mLと水1mLとの混合物と共に反応器に入れた。反応混合物をアルゴンで保護し、45℃で一晩加熱攪拌し、TLCでモニターをした。反応終了後、反応混合物を減圧下で濃縮して溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィー(移動相としてジクロロメタン:メタノール(V:V)=15:1)で分離精製し、乾燥して106.1mgの化合物1(収率35.27%)を得た。
【0051】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ10.55 (s, 1H), 9.17 (s, 1H), 9.02 (s, 1H), 8.59 (t, J = 8.2 Hz, 1H), 8.41 (s, 1H) ), 7.89 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 7.73 (s, 1H), 7.69-7.58 (m, 2H), 7.50 - 7.40 (m, 4H), 7.32 (m, 1H), 5.24 (s, 2H), 5.13 (s, 2H), 5.06 (s, 1H), 4.62 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 4.54 - 4.43 (m, 2H), 4.36 (s, 1H), 4.23 (t, J = 6.5 Hz, 2H), 4.15 (dd, J = 15.6, 5.6 Hz, 1H), 4.08 (s, 3H), 3.41 - 3.30 (m, 2H), 2.73-2.62 (m, 2H), 2.54 (s, 3H), 1.92 - 1.79 (m, 2H), 0.98 (s, 9H)。
【0052】
13C NMR (101 MHz, DMSO-d6) δ178.88, 175.24, 164.81, 156.92, 155.33, 153.89, 151.38, 150.91, 150.52, 149.76, 148.14, 147.87, 145.78, 144.45, 142.15, 136.67, 133.28, 129.44, 128.61, 126.99, 125.52, 122.12, 121.03, 117.89, 116.56, 116.04, 114.89, 107.54, 72.33, 66.80, 57.05, 53.78, 51.62, 49.37, 44.24, 41.87, 37.65, 34.82, 31.94, 30.93, 27.93, 16.12。
【0053】
実施例2
化合物2:(2S,4R)-1-((S)-2-(4-(4-(((E)-4-((6-クロロ-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)イデンアミノ))-2,6-ジオキシ-3-(2,4,5-トリフルオロベンジル)-1,3,5-トリアジン-1-イル)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)ブタンアミド)-3,3-ジメチルブチリル)-4-ヒドロキシ-N-(4-(4-メチルチアゾール-5-イル)ベンジル)ピロリジン-2-カルボキサミドの調製
【0054】
【0055】
化合物2を、異なる出発物質を使用して化合物1と同じ方法で、調製した(収率32.62%)。
【0056】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ10.58 (s, 1H), 9.21 (s, 1H), 9.00 (s, 1H), 8.61 (t, J = 8.4 Hz, 1H), 8.39 (s, 1H) ), 7.92 (d, J = 9.3 Hz, 1H), 7.75 (s, 1H), 7.71-7.60 (m, 2H), 7.52 - 7.40 (m, 4H), 7.35 (m, 1H), 5.28 (s, 2H), 5.17 (s, 2H), 5.08 (s, 1H), 4.58 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 4.57 - 4.45 (m, 2H), 4.42 (s, 1H), 4.38 (t, J = 6.5 Hz, 2H), 4.26 (dd, J = 15.6, 5.6 Hz, 1H), 4.20 (s, 3H), 3.42 - 3.30 (m, 2H), 2.58 (s, 3H), 2.34-2.23 (m, 2H), 2.10 - 1.99 (m, 2H), 1.89 - 1.77 (m, 2H), 1.01 (s, 9H)。
【0057】
13C NMR (101 MHz, DMSO-d6) δ179.04, 176.32, 165.56, 156.02, 155.23, 154.33, 151.27, 150.89, 150.43, 149.46, 148.32, 147.12, 145.89, 144.62, 141.11, 136.48, 133.12, 129.24, 128.58, 126.71, 126.57, 121.34, 120.89, 117.65, 116.62, 116.21, 114.63, 106.43, 71.34, 68.69, 56.71, 54.38, 52.59, 48.34, 42.31, 40.65, 38.45, 35.78, 32.54, 31.73, 26.23, 24.22, 16.01。
【0058】
実施例3
化合物3:(2S,4R)-1-((S)-2-(5-(4-(((E)-4-((6-クロロ-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)イデンアミノ))-2,6-ジオキシ-3-(2,4,5-トリフルオロベンジル)-1,3,5-トリアジン-1-イル)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)ペンタンアミド)-3,3-ジメチルブチリル)-4-ヒドロキシ-N-(4-(4-メチルチアゾール-5-イル)ベンジル)ピロリジン-2-カルボキサミドの調製
【0059】
【0060】
化合物3を、異なる出発物質を使用して化合物1と同じ方法で、調製した(収率28.28%)。
【0061】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ10.65 (s, 1H), 9.25 (s, 1H), 9.02 (s, 1H), 8.58 (t, J = 8.5 Hz, 1H), 8.41 (s, 1H) ), 7.89 (d, J = 9.4 Hz, 1H), 7.72 (s, 1H), 7.69-7.58 (m, 2H), 7.50 - 7.39 (m, 4H), 7.33 (m, 1H), 5.32 (s, 2H), 5.19 (s, 2H), 5.12 (s, 1H), 4.62 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 4.54 - 4.42 (m, 2H), 4.38 (s, 1H), 4.30 (t, J = 6.8 Hz, 2H), 4.24 (dd, J = 15.8, 6.0 Hz, 1H), 4.12 (s, 3H), 3.38 - 3.27 (m, 2H), 2.65 (s, 3H), 2.48-2.38 (m, 2H), 2.06 - 1.94 (m, 2H), 1.90 - 1.79 (m, 2H), 1.71-1.60 (m, 2H), 1.02 (s, 9H)。
【0062】
13C NMR (101 MHz, DMSO-d6) δ178.89, 175.17, 164.45, 155.92, 156.23, 154.23, 151.12, 150.62, 150.37, 149.83, 148.12, 146.85, 145.91, 144.64, 141.06, 136.45, 133.02, 129.14, 128.55, 126.68, 126.45, 121.24, 120.71, 117.45, 116.74, 116.31, 114.58, 106.23, 72.27, 69.35, 57.76, 55.57, 51.73, 45.52, 41.45, 40.38, 39.02, 36.45, 34.74, 29.23, 27.21, 25.89, 23.72, 15.44。
【0063】
実施例4
化合物4:(2S,4R)-1-((S)-2-(6-(4-(((E)-4-((6-クロロ-2-メチル-2H-インダゾール-5)-イル)イデンアミノ)-2,6-ジオキシ-3-(2,4,5-トリフルオロベンジル)-1,3,5-トリアジン-1-イル)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)ヘキサミド)-3,3-ジメチルブチリル)-4-ヒドロキシ-N-(4-(4-メチルチアゾール-5-イル)ベンジル)ピロリジン-2-カルボキサミドのピロリジン-2-カルボキサミドの調製
【0064】
【0065】
化合物4を、異なる出発物質を使用して化合物1と同じ方法で、調製した(収率24.29%)。
【0066】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ10.51 (s, 1H), 9.19 (s, 1H), 9.03 (s, 1H), 8.60 (t, J = 8.6 Hz, 1H), 8.39 (s, 1H) ), 7.91 (d, J = 9.8 Hz, 1H), 7.76 (s, 1H), 7.71-7.60 (m, 2H), 7.52 - 7.41 (m, 4H), 7.37 (m, 1H), 5.29 (s, 2H), 5.15 (s, 2H), 5.13 (s, 1H), 4.62 (d, J = 9.4 Hz, 1H), 4.58 - 4.46 (m, 2H), 4.42 (s, 1H), 4.34 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 4.28 (dd, J = 16.0, 6.1 Hz, 1H), 4.16 (s, 3H), 3.42 - 3.30 (m, 2H), 2.67 (s, 3H), 2.52-2.38 (m, 2H), 1.98 - 1.87 (m, 2H), 1.85 - 1.71 (m, 4H), 1.54-1.42 (m, 2H), 0.96 (s, 9H)。
【0067】
13C NMR (101 MHz, DMSO-d6) δ179.23, 175.22, 164.33, 155.90, 156.12, 154.12, 150.98, 150.54, 150.48, 149.78, 148.04, 146.76, 145.89, 144.56, 141.12, 136.27, 132.89, 128.97, 128.45, 126.62, 126.37, 121.13, 120.68, 117.34, 116.67, 116.24, 114.45, 106.31, 72.18, 68.45, 58.36, 57.27, 53.83, 44.36, 40.71, 40.44, 38.29, 36.19, 35.64, 28.91, 28.18, 27.62, 26.25, 23.42, 16.38。
【0068】
実施例5
化合物5:(2S,4R)-1-((S)-2-(7-(4-(((E)-4-((6-クロロ-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル))イデンアミノ)-2,6-ジオキシ-3-(2,4,5-トリフルオロベンジル)-1,3,5-トリアジン-1-イル)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)ヘプタミド)-3,3-ジメチルブチリル)-4-ヒドロキシ-N-(4-(4-メチルチアゾール-5-イル)ベンジル)ピロリジン-2-カルボキサミドの調製
【0069】
【0070】
化合物5を、異なる出発物質を使用して化合物1と同じ方法で、調製した(収率20.97%)。
【0071】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ10.58 (s, 1H), 9.27 (s, 1H), 9.00 (s, 1H), 8.58 (t, J = 8.3 Hz, 1H), 8.39 (s, 1H) ), 7.92 (d, J = 9.4 Hz, 1H), 7.76 (s, 1H), 7.65-7.53 (m, 2H), 7.50 - 7.39 (m, 4H), 7.35 (m, 1H), 5.29 (s, 2H), 5.12 (s, 2H), 5.11 (s, 1H), 4.62 (d, J = 10.2 Hz, 1H), 4.51 - 4.40 (m, 2H), 4.37 (s, 1H), 4.34 (t, J = 6.6 Hz, 2H), 4.22 (dd, J = 16.0, 5.8 Hz, 1H), 4.09 (s, 3H), 3.27 - 3.15 (m, 2H), 2.52 (s, 3H), 2.44-2.32 (m, 2H), 1.93 - 1.81 (m, 2H), 1.78 - 1.66 (m, 4H), 1.44 (s, 4H), 0.98 (s, 9H)。
【0072】
13C NMR (101 MHz, DMSO-d6) δ177.92, 173.64, 164.12, 155.94, 155.82, 153.43, 151.29, 150.71, 150.78, 148.90, 148.11, 146.78, 146.25, 144.43, 141.21, 136.27, 132.76, 129.34, 128.46, 126.62, 126.38, 121.44, 120.98, 117.27, 117.08, 116.63, 114.34, 106.42, 72.26, 68.56, 58.21, 57.36, 52.83, 44.42, 40.71, 40.34, 38.28, 36.19, 35.72, 33.26, 28.93, 28.17, 27.63, 26.12, 25.13, 16.32。
【0073】
実施例6
化合物6:(2S,4R)-1-((S)-2-(8-(4-(((E)-4-((6-クロロ-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル))イデンアミノ)-2,6-ジオキシ-3-(2,4,5-トリフルオロベンジル)-1,3,5-トリアジン-1-イル)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)オクタミド)-3,3-ジメチルブチリル)-4-ヒドロキシ-N-(4-(4-メチルチアゾール-5-イル)ベンジル)ピロリジン-2-カルボキサミドの調製
【0074】
【0075】
化合物6を、異なる出発物質を使用して化合物1と同じ方法で、調製した(収率17.83%)。
【0076】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ10.54 (s, 1H), 9.22 (s, 1H), 9.00 (s, 1H), 8.54 (t, J = 8.2 Hz, 1H), 8.41 (s, 1H) ), 7.87 (d, J = 9.5 Hz, 1H), 7.74 (s, 1H), 7.67-7.54 (m, 2H), 7.48 - 7.38 (m, 4H), 7.33 (m, 1H), 5.31 (s, 2H), 5.14 (s, 2H), 5.10 (s, 1H), 4.57 (d, J = 9.5 Hz, 1H), 4.53 - 4.41 (m, 2H), 4.39 (s, 1H), 4.30 (t, J = 6.7 Hz, 2H), 4.25 (dd, J = 15.9, 5.6 Hz, 1H), 4.12 (s, 3H), 3.23 - 3.11 (m, 2H), 2.47 (s, 3H), 2.32-2.21 (m, 2H), 1.89 - 1.75 (m, 2H), 1.72 - 1.57 (m, 4H), 1.36 (s, 6H), 0.97 (s, 9H)。
【0077】
13C NMR (101 MHz, DMSO-d6) δ178.21, 173.24, 165.35, 156.20, 155.78, 153.42, 151.27, 150.67, 150.53, 149.13, 147.68, 146.42, 146.03, 144.23, 140.81, 136.27, 132.56, 129.28, 128.44, 126.58, 126.37, 120.98, 120.70, 117.22, 116.89, 116.49, 114.21, 106.21, 72.19, 68.45, 58.36, 57.25, 52.48, 44.33, 40.67, 40.20, 38.14, 36.13, 35.68, 34.91, 33.28, 28.92, 28.14, 27.66, 25.90, 24.91, 15.48。
【0078】
実施例7
化合物7:(2S,4R)-1-((S)-2-(2-(2-(4-(((E)-4-((6-クロロ-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)イミノ)-2,6-ジオキシ-3-(2,4,5-トリフルオロベンジル)-1,3,5-トリアジン-1-イル)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)エトキシ)アセトアミド)-3,3-ジメチルブチリル)-4-ヒドロキシ-N-(4-(4-メチルチアゾール-5-イル)ベンジル)ピロリジン-2-カルボキサミドの調製
【0079】
(1)化合物a4の調製
調製方法は、実施例1と同様である。
【0080】
【0081】
2-(2-アジドエトキシ)酢酸(290.2mg、2mmol)を塩化チオニル5mLに溶解し、2時間加熱還流した。反応終了後、反応混合物を減圧下で濃縮して溶媒を除去し、次いで、(S,R,S)-AHPC(1mmol、430.6mg)およびテトラヒドロフラン10mLを溶媒として添加した。反応混合物を還流下で5時間加熱し、TLCでモニターした。反応終了後、反応混合物を室温まで冷却し、メタノール2mLを加え、1時間攪拌した。減圧下で濃縮して溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィー(溶出液:ジクロロメタン:メタノール(V:V)=10:1)により407.0mgの化合物d1(収率72.98%)を得た。
【0082】
【0083】
化合物a4(142.4mg、0.3mmol)、化合物d1(200.7mg、0.36mmol)、硫酸銅五水和物(30.0mg、0.12mmol)およびアスコルビン酸ナトリウム(23.8mg、0.12mmol)を、テトラヒドロフラン10mLと水1mLとの混合物と共に反応器に入れた。反応混合物をアルゴンで保護し、45℃で一晩加熱攪拌し、TLCでモニターした。反応終了後、反応混合物を減圧下で濃縮して溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィー(移動相としてジクロロメタン:メタノール(V:V)=20:1)で分離精製し、乾燥して82.5mgの化合物7(収率26.63%)を得た。
【0084】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ10.44 (s, 1H), 9.15 (s, 1H), 8.92 (s, 1H), 8.51 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 8.28 (s, 1H) ), 7.87 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 7.71 (s, 1H), 7.65-7.54 (m, 2H), 7.48 - 7.38 (m, 4H), 7.29 (m, 1H), 5.17 (s, 2H), 5.13 (s, 2H), 5.05 (s, 1H), 4.62 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 4.54 - 4.43 (m, 2H), 4.38 (s, 1H), 4.30 (t, J = 6.6 Hz, 2H), 4.24 (dd, J = 15.6, 5.6 Hz, 1H), 4.16 (s, 3H), 4.02-3.89 (m, 2H), 3.58 (s, 2H), 3.38 - 3.26 (m, 2H), 2.61 (s, 3H), 1.94 - 1.83 (m, 2H), 0.95 (s, 9H)。
【0085】
13C NMR (101 MHz, DMSO-d6) δ178.99, 175.44, 164.23, 156.18, 155.55, 154.23, 151.17, 150.78, 150.22, 149.58, 148.67, 147.55, 145.78, 144.34, 142.33, 135.52, 132.14, 129.58, 128.76, 126.90, 125.67, 122.12, 121.15, 117.45, 116.56, 116.33, 114.56, 108.58, 72.41, 71.12, 69.16, 67.32, 57.51, 55.42, 52.59, 47.24, 44.61, 42.47, 39.48, 36.12, 32.84, 27.45, 16,23。
【0086】
実施例8
化合物8:(2S,4R)-1-((S)-2-(2-(2-(2-(4-(((E)-4-((6-クロロ-2-メチル-2H-インダゾール)-5-イル)イミノ)-2,6-ジオキシ-3-(2,4,5-トリフルオロベンジル)-1,3,5-トリアジン-1-イル)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)エトキシ)エトキシ)アセトアミド)-3,3-ジメチルブチリル)-4-ヒドロキシ-N-(4-(4-メチルチアゾール-5-イル)ベンジル)ピロリジン-2-カルボキサミドの調製
【0087】
【0088】
化合物8を、異なる出発物質を使用して化合物7と同じ方法で、調製した(収率21.89%)。
【0089】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ10.52 (s, 1H), 9.18 (s, 1H), 8.95 (s, 1H), 8.50 (t, J = 8.2 Hz, 1H), 8.32 (s, 1H) ), 7.91 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 7.73 (s, 1H), 7.66-7.56 (m, 2H), 7.52 - 7.40 (m, 4H), 7.31 (m, 1H), 5.21 (s, 2H), 5.10 (s, 2H), 5.03 (s, 1H), 4.58 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 4.50 - 4.41 (m, 2H), 4.34 (s, 1H), 4.28 (t, J = 6.6 Hz, 2H), 4.22 (dd, J = 15.8, 5.6 Hz, 1H), 4.17 (s, 3H), 4.09-3.98 (m, 2H), 3.63 (s, 2H), 3.45 (s, 4H) , 3.36 - 3.24 (m, 2H), 2.59 (s, 3H), 1.97 - 1.87 (m, 2H), 0.98 (s, 9H)。
【0090】
13C NMR (101 MHz, DMSO-d6) δ179.07, 175.78, 166.45, 156.56, 155.24, 154.76, 152.27, 151.16, 150.78, 149.35, 148.76, 147.63, 146.32, 144.46, 142.89, 136.91, 131.36, 129.07, 127.86, 126.53, 125.72, 122.45, 121.63, 117.83, 116.95, 116.35, 114.67, 109.45, 73.78, 71.48, 70.23, 68.71, 68.32, 66.62, 58.31, 55.34, 51.60, 48.64, 45.33, 43.28, 39.79, 36.55, 33.21, 27.28, 15,90。
【0091】
実施例9
化合物9:(2S,4R)-1-((S)-2-(tert-ブチル)-14-(4-(((E)-4-((6-クロロ-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)イミノ)-2,6-ジオキシ-3-(2,4,5-トリフルオロベンジル)-1,3,5-トリアジン-1-イル)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)-4-オキソ-6,9,12-トリアゾール-3-アザテトラデシル)-4-ヒドロキシ-N-(4-(4-メチルチアゾール-5-イル)ベンジル)ピロリジン-2-カルボキサミドの調製
【0092】
【0093】
化合物9を、異なる出発物質を使用して化合物7と同じ方法で、調製した(収率17.42%)。
【0094】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ10.56 (s, 1H), 9.22 (s, 1H), 9.01 (s, 1H), 8.56 (t, J = 8.4 Hz, 1H), 8.36 (s, 1H) ), 7.89 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 7.72 (s, 1H), 7.64-7.54 (m, 2H), 7.48 - 7.36 (m, 4H), 7.28 (m, 1H), 5.28 (s, 2H), 5.15 (s, 2H), 5.09 (s, 1H), 4.62 (d, J = 9.4 Hz, 1H), 4.52 - 4.40 (m, 2H), 4.32 (s, 1H), 4.26 (t, J = 6.5 Hz, 2H), 4.20 (dd, J = 16.0, 6.2 Hz, 1H), 4.14 (s, 3H), 4.06-3.95 (m, 2H), 3.67 (s, 2H), 3.52 (s, 8H) , 3.38 - 3.30 (m, 2H), 2.62 (s, 3H), 1.94 - 1.83 (m, 2H), 0.96 (s, 9H)。
【0095】
13C NMR (101 MHz, DMSO-D6) δ 178.77, 176.23, 167.41, 156.78, 155.45, 153.03, 152.36, 151.90, 149.83, 147.45, 145.42, 138.26, 138.26, 138.26, 138.26, 138.26, 138.26, 138.26, 138.26, 138.26, 138.26, 138.26, 138.26, 138.26, 138.26, 138.26, 138.26, 138.26, 138.26, 138. 32.81, 26.88, 15,78。
【0096】
2.生理活性アッセイ
【0097】
(1)3CLpro阻害活性試験
SARS-CoV-2 3CLproに対する化合物の阻害活性は、蛍光共鳴エネルギー移動を用いて測定した。
【0098】
異なる濃度で調製した化合物溶液10μL(最終濃度1000、500、250、125、62.5、31.25、15.63、7.81、3.90、1.95nM、DMSO中)とSARS-CoV-2 3CLpro40μL(Shanghai Biyuntian Biotechnology Co.,Ltd.、最終濃度:0.5μM、Tris-HCl緩衝液(20mM Tris-HCl、100 mM NaCl、1mM EDTA、pH7.4)で希釈)を混合し、黒色の96ウェルプレートに加え、37℃で10分間インキュベートした。蛍光基質Dabcyl-KTSAVLQSGFRKME-Edans(Shanghai Biyuntian Biotechnology Co.,Ltd.、最終濃度:20μM)を50μL加えて反応を開始し、10分間インキュベートし、蛍光検出用の多機能マイクロプレートリーダー(Thermo Fisher Scientific Co.,Ltd.、Varioskan Flash)により測定を行った(励起波長:340nm、発光波長:490nm)。蛍光値を記録し、試料の阻害率を算出した。酵素活性対照として、化合物を含まないDMSOを使用し、ブランク対照として、SARS-CoV-2 3CLproを含まないTris-HClバッファーを使用し、処理方法は同じであった。試料(化合物1~化合物9)のIC50値を、GraphPad Prismソフトウェアを用いた非線形回帰分析により算出した。
【0099】
阻害率(%)=(RFU酵素活性対照-RFU試料)/(RFU_酵素活性対照-RFU_ブランク対照)×100%
【0100】
実験結果を表1に示す(表1中、IC50の欄、A:IC50<100nM、B:IC50=100~1000nM)、実施例の化合物はいずれも3CLproに対して阻害活性を有しており、中でも化合物4、5、6、8および9は、IC50値が100nM未満と、3CLproに対して強い阻害作用を有する。
【0101】
(2)ウエスタンブロットによる3CLpro分解活性の判定
対数増殖期のHEK293E細胞(Chinese Academy of Sciencesのセルバンク)を6ウェルプレートに6.0×105細胞数/ウェルの密度で播種し、5%CO2の37℃インキュベーターで8~24時間インキュベートした。密度が70%コンフルエントに達した時点で、プレートを、2mLの予め温めた血清フリー培地に交換した(Shanghai Opmax Biotechnology Co,Ltd.)。SARS-CoV-2 3CLpro発現プラスミド(2μg/ウェル、1×HBSで調製、Beijin Yiqiao Shenzhou Technology Co.Ltd.)を、3:4の質量対体積比にて、10μM PEI(ポリエチレンイミン、Shanghai McLean Biochemical Technology Co.,Ltd.)でトランスフェクトし、PEI-プラスミド混合物を上記無血清培地に滴下して穏やかに振盪混合し、5%CO2を含む37℃のインキュベーターで10時間インキュベートした。トランスフェクション試薬を含む培地を除去し、勾配濃度(最終試料濃度1000、500、250、125、62.5、31.25、15.63、7.81、3.90、1.95nM)の被験試料を含む培地を添加した。37℃、5%CO2で24時間培養後、上清を捨て、細胞を回収し、RIPA細胞溶解バッファー(Shanghai McLean Biochemical Technology Co.,Ltd.)を加え、氷上で30分間細胞を溶解し、3CLproの発現をウエスタンブロットにより検出した。Image Jで3CLproの相対発現量を解析し、タンパク質分解率を算出した。なお、被験試料を含まない培地を対照群とし、それ以外の処理方法は同じとした。各試料のタンパク質分解活性(DC50)は、GraphPad Prismソフトウェアを用いた非線形回帰分析により算出した。
【0102】
分解率(%)=(3CLpro相対発現対照群-3CLpro相対試料群)/3CLpro相対対照群×100%
【0103】
実験結果を表1に示す(表1中、DC50は欄内、A:DC50<100nM、B:DC50=100~1000nM)、実施例の化合物はいずれも3CLproに対して分解活性を有し、そのうち化合物5、化合物6および化合物8は3CLproに対する分解活性が強く、DC50値はいずれも100nM未満であった。
【0104】
【0105】
表1のデータから、化合物1~9は、3CLproの阻害および分解の程度が異なることが示される。3CLproに対する化合物5,6および8のIC50およびDC50値は、すべて100nM未満である。また、本発明の化合物は、3CLproに対する阻害活性と良好な分解活性の両方を有しており、抗コロナウイルス候補薬として開発・研究され得ることが示される。
【0106】
上記の内容は、本発明の技術的思想を説明するためのものであり、本発明の保護範囲を限定するものではない。本発明の技術的思想に基づいて提案された技術的解決策に基づいて行われるいかなる変更も、本発明の特許請求の範囲に含まれる。