IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シーアン・カンユアンシェン・バイオメディカル・テクノロジー・カンパニー・リミテッドの特許一覧

特許7523167チアゾール-ピリジンベンジル4級アンモニウム塩側鎖を含むプレウロムチリン誘導体ならびにその調製方法および使用
<>
  • 特許-チアゾール-ピリジンベンジル4級アンモニウム塩側鎖を含むプレウロムチリン誘導体ならびにその調製方法および使用 図1
  • 特許-チアゾール-ピリジンベンジル4級アンモニウム塩側鎖を含むプレウロムチリン誘導体ならびにその調製方法および使用 図2
  • 特許-チアゾール-ピリジンベンジル4級アンモニウム塩側鎖を含むプレウロムチリン誘導体ならびにその調製方法および使用 図3
  • 特許-チアゾール-ピリジンベンジル4級アンモニウム塩側鎖を含むプレウロムチリン誘導体ならびにその調製方法および使用 図4
  • 特許-チアゾール-ピリジンベンジル4級アンモニウム塩側鎖を含むプレウロムチリン誘導体ならびにその調製方法および使用 図5
  • 特許-チアゾール-ピリジンベンジル4級アンモニウム塩側鎖を含むプレウロムチリン誘導体ならびにその調製方法および使用 図6
  • 特許-チアゾール-ピリジンベンジル4級アンモニウム塩側鎖を含むプレウロムチリン誘導体ならびにその調製方法および使用 図7
  • 特許-チアゾール-ピリジンベンジル4級アンモニウム塩側鎖を含むプレウロムチリン誘導体ならびにその調製方法および使用 図8
  • 特許-チアゾール-ピリジンベンジル4級アンモニウム塩側鎖を含むプレウロムチリン誘導体ならびにその調製方法および使用 図9
  • 特許-チアゾール-ピリジンベンジル4級アンモニウム塩側鎖を含むプレウロムチリン誘導体ならびにその調製方法および使用 図10
  • 特許-チアゾール-ピリジンベンジル4級アンモニウム塩側鎖を含むプレウロムチリン誘導体ならびにその調製方法および使用 図11
  • 特許-チアゾール-ピリジンベンジル4級アンモニウム塩側鎖を含むプレウロムチリン誘導体ならびにその調製方法および使用 図12
  • 特許-チアゾール-ピリジンベンジル4級アンモニウム塩側鎖を含むプレウロムチリン誘導体ならびにその調製方法および使用 図13
  • 特許-チアゾール-ピリジンベンジル4級アンモニウム塩側鎖を含むプレウロムチリン誘導体ならびにその調製方法および使用 図14
  • 特許-チアゾール-ピリジンベンジル4級アンモニウム塩側鎖を含むプレウロムチリン誘導体ならびにその調製方法および使用 図15
  • 特許-チアゾール-ピリジンベンジル4級アンモニウム塩側鎖を含むプレウロムチリン誘導体ならびにその調製方法および使用 図16
  • 特許-チアゾール-ピリジンベンジル4級アンモニウム塩側鎖を含むプレウロムチリン誘導体ならびにその調製方法および使用 図17
  • 特許-チアゾール-ピリジンベンジル4級アンモニウム塩側鎖を含むプレウロムチリン誘導体ならびにその調製方法および使用 図18
  • 特許-チアゾール-ピリジンベンジル4級アンモニウム塩側鎖を含むプレウロムチリン誘導体ならびにその調製方法および使用 図19
  • 特許-チアゾール-ピリジンベンジル4級アンモニウム塩側鎖を含むプレウロムチリン誘導体ならびにその調製方法および使用 図20
  • 特許-チアゾール-ピリジンベンジル4級アンモニウム塩側鎖を含むプレウロムチリン誘導体ならびにその調製方法および使用 図21
  • 特許-チアゾール-ピリジンベンジル4級アンモニウム塩側鎖を含むプレウロムチリン誘導体ならびにその調製方法および使用 図22
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-18
(45)【発行日】2024-07-26
(54)【発明の名称】チアゾール-ピリジンベンジル4級アンモニウム塩側鎖を含むプレウロムチリン誘導体ならびにその調製方法および使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 417/04 20060101AFI20240719BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20240719BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20240719BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
C07D417/04 CSP
A61K31/4439
A61P31/00
A61P31/04
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023053920
(22)【出願日】2023-03-29
(65)【公開番号】P2023147283
(43)【公開日】2023-10-12
【審査請求日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】202210320742.7
(32)【優先日】2022-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521378163
【氏名又は名称】シーアン・カンユアンシェン・バイオメディカル・テクノロジー・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】XI’AN KANGYUANSHENG BIOMEDICAL TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】ROOM A‐117‐11, I CHUANGTU ZHONGCHUANG PARK, NO. 14 GAOXIN 2ND ROAD, HIGH‐TECH ZONE, XI’AN, 710075 SHAANXI, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ジャ
(72)【発明者】
【氏名】リャン,チェンユアン
(72)【発明者】
【氏名】ティエン,レイ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ジエ
(72)【発明者】
【氏名】シン,リャン
(72)【発明者】
【氏名】リ,ジンイ
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ,ユーチン
【審査官】鳥居 福代
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106008395(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111170911(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111689914(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第113149929(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110818648(CN,A)
【文献】特表2005-529088(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チアゾール-ピリジンベンジル4級アンモニウム塩側鎖を含むプレウロムチリン誘導体であって、
前記チアゾール-ピリジンベンジル4級アンモニウム塩側鎖を含むプレウロムチリン誘導体が、一般式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩であることを特徴とする、チアゾール-ピリジンベンジル4級アンモニウム塩側鎖を含むプレウロムチリン誘導体。
【化1】
(式中、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、メチル、トリフルオロメチル、メトキシ、トリフルオロメトキシ、tert-ブチル、ニトロ、シアノ、ハロゲン原子、またはフェニルから選択される。)
【請求項2】
代表的な化合物が、以下の化合物から選択されることを特徴とする、請求項1に記載のチアゾール-ピリジンベンジル4級アンモニウム塩側鎖を含むプレウロムチリン誘導体。
【化2】
【請求項3】
前記薬学的に許容される塩が、一般式Iの化合物と、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、フマル酸、マレイン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、グルタミン酸、またはアスパラギン酸と、によって形成される塩であることを特徴とする、請求項1に記載のチアゾール-ピリジンベンジル4級アンモニウム塩側鎖を含むプレウロムチリン誘導体。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のチアゾール-ピリジンベンジル4級アンモニウム塩側鎖を含むプレウロムチリン誘導体を調製するための方法であって、前記方法が以下のステップ:
1)プレウロムチリンをp-トルエンスルホニルクロリドと反応させて中間体Iを得るステップであって、ここで、前記中間体Iが、
【化3】
である、ステップ;
2)ステップ1)で調製した前記中間体Iと2-メルカプト-4-(4-ピリジル)チアゾールとを、原料として用い、有機溶媒に溶解し、触媒作用および加熱条件下で反応させ、分離および精製後に中間体IIを得るステップであって、ここで、前記中間体IIが、
【化4】
であり、前記触媒が、炭酸カリウムおよびヨウ化カリウムである、ステップ;
3)ステップ2)で調製した前記中間体IIを原料として用い、様々な置換基を有するベンジルブロミド化合物と反応させ、分離および精製後、一般式Iに示す構造のチアゾール-ピリジンベンジル4級アンモニウム塩側鎖を含むプレウロムチリン誘導体を得ることができる、ステップ、を含むことを特徴とする、方法。
【請求項5】
ステップ1)において、前記プレウロムチリンと前記p-トルエンスルホニルクロリドとのモル比が1:1.2であり、ステップ2)において、前記中間体Iと前記2-メルカプト-4-(4-ピリジル)チアゾールとのモル比が1:1.2であり、ステップ3)において、前記中間体IIと、前記様々な置換基を有するベンジルブロミド化合物とのモル比が、1:(2~6)であることを特徴とする、請求項4に記載の、チアゾール-ピリジンベンジル4級アンモニウム塩側鎖を含むプレウロムチリン誘導体を調製するための方法。
【請求項6】
抗病原性微生物薬の調製における、請求項1から3のいずれか1項に記載のチアゾール-ピリジンベンジル4級アンモニウム塩側鎖を含むプレウロムチリン誘導体、の使用。
【請求項7】
前記抗病原性微生物薬が、感染症を治療するための医薬製剤であることを特徴とする、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
前記感染症が、マイコプラズマ属(Mycoplasmas)または薬剤耐性菌に感染したヒトまたは動物の感染症であることを特徴とする、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
前記医薬製剤が、1つまたは複数の薬学的に許容される担体、賦形剤、または希釈剤を含むことを特徴とする、請求項7に記載の使用。
【請求項10】
抗生物質薬であって、当該薬が、有効量の、請求項1から3のいずれか1項に記載のチアゾール-ピリジンベンジル4級アンモニウム塩側鎖を含むプレウロムチリン誘導体を含み、残部が、医薬賦形剤または他の適合する薬であることを特徴とする、抗生物質薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬化学の技術分野に属し、特に、チアゾール-ピリジンベンジル4級アンモニウム塩側鎖を含むプレウロムチリン誘導体、ならびにその調製方法および使用に関する。
【背景技術】
【0002】
抗生物質の発見は人類の発展の歴史において重要な役割を果たしてきたが、抗生物質の乱用により、多くの細菌において深刻な薬剤耐性が生じ、人間の健康に対する脅威が高まっている。セファロスポリン、アミノグリコシド、マクロライド、さらにはポリミキシンなどの既存の抗生物質は、一部の「スーパーバグ」により引き起こされる感染症を治療できなかったり、重篤な副作用のために広く使用できなかったりする。「抗生物質の時代」に戻るためには、耐性菌の問題を解決することが急務である。そのため、人々は新しい抗菌メカニズム、良好なバイオアベイラビリティ、および低毒性を有する抗生物質の探索を続けている。
【0003】
マイコプラズマ属(Mycoplasmas)は、細胞壁を有さず、高い多形態性を有し、細菌フィルターを通過することができ、人工培地で培養および増殖が可能で、0.1~0.3ミクロンの大きさを有する、最小原核細胞型微生物の一種である。また、それらは、糸状および枝分かれした形状を形成でき、マイコプラズマ(Mycoplasma)と呼ばれている。マイコプラズマ属はヒトや動物に広く存在し、その多くは病原性を有さない。ヒトに対する病原性を有するマイコプラズマ属としては、主に、マイコプラズマ・ニューモニア(Mycoplasma pneumoniae)、ウレアプラズマ・ウレアリチカム(Ureaplasma urealyticum)、マイコプラズマ・ホミニス(Mycoplasma hominis)、マイコプラズマ・ジェニタリウム(Mycoplasma genitalium)が挙げられる。マイコプラズマ属は病原性が弱く、一般に血液中には侵入しないが、接着によって宿主細胞に結合し、細胞膜から脂質やコレステロールを取得し、細胞膜に損傷を与える可能性がある。ウレアプラズマ・ウレアリチカムは、尿素を分解し、細胞にとって有毒なアンモニアを多量に放出する可能性がある。
【0004】
プレウロムチリン(Pleuromutilin)は、プレロータス(Pleurotus)によって生成される、優れた抗菌活性および抗薬物耐性を有する広域スペクトルのジテルペン系抗生物質であり、ほとんどのグラム陽性細菌、マイコプラズマ属、および一部のグラム陰性菌を効果的に抑制できる。プレウロムチリンは、3つの環で構成される主骨格を有し、最も基本的な構造は8員環であり、5員環におけるカルボニル基、およびC-11におけるヒドロキシル基は、活性にとって必須の基である。C-14は遊離ヒドロキシル基を有し、活性を有さず、現在ではC-14のヒドロキシル基を化学修飾する研究が主流となっている。プレウロムチリンのC-14側鎖の修飾により、2種類の動物用医薬品と2種類のヒト用医薬品の開発に成功し、動物用からヒト用への飛躍を完全に実現し、優れた臨床応用の見通しが示されている。プレウロムチリンおよびその誘導体は、細菌のリボソームサブユニット50Sに結合することにより、細菌のタンパク質合成を阻害することができる。このユニークな作用機序と優れた抗菌活性により、プレウロムチリンに関する研究は国際的な研究ホットスポットとなっている。
【0005】
第4級アンモニウム化合物は、良好な溶解性、安定した化学的性質、便利な使用、低毒性および高効率、広域スペクトルの抗菌効果などの利点を有するカチオン性界面活性剤の一種であり、一般的に医療用消毒および殺菌に使用され、この種の殺菌剤は、強い細胞浸透性、良好な安定性、低毒性、長い殺菌持続時間、顕著な殺菌効果などの特徴を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
(発明の概要)
上記先行技術の欠点を克服するために、本発明の目的は、薬剤耐性菌やマイコプラズマ属により引き起こされる感染症を予防および治療するための、チアゾール-ピリジンベンジル4級アンモニウム塩側鎖を含むプレウロムチリン誘導体、ならびにその調製方法および使用を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の技術的解決策を採用する。
【0008】
本発明は、一般式Iの化合物である、チアゾール-ピリジンベンジル4級アンモニウム塩側鎖を含むプレウロムチリン誘導体、またはその薬学的に許容される塩、および前記一般式Iの化合物もしくはその薬学的に許容される塩の、溶媒和物(solvent)、エナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、またはラセミ混合物を含む任意の比率でのそれらの混合物、を開示する。
【0009】
【化1】
式中、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、メチル、トリフルオロメチル、メトキシ、トリフルオロメトキシ、tert-ブチル、ニトロ、シアノ、ハロゲン原子、またはフェニルから選択される。
【0010】
好ましくは、代表化合物は、以下の化合物から選択される。
【化2】
【0011】
好ましくは、前記薬学的に許容される塩は、一般式Iで示される構造を有する化合物と、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、フマル酸、マレイン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、グルタミン酸、またはアスパラギン酸と、によって形成される塩である。
【0012】
本発明はまた、以下のステップを含む、上記チアゾール-ピリジンベンジル4級アンモニウム塩側鎖を含むプレウロムチリン誘導体を調製するための方法を、開示する。
【0013】
1)プレウロムチリンをp-トルエンスルホニルクロリドと反応させて中間体Iを得るステップであって、ここで、前記中間体Iが、
【化3】
である、ステップ。
【0014】
2)ステップ1)で調製した前記中間体Iと2-メルカプト-4-(4-ピリジル)チアゾールとを、原料として用い、有機溶媒に溶解し、触媒作用および加熱条件下で反応させ、分離および精製後に中間体IIを得るステップであって、ここで、前記中間体IIが、
【化4】
であり、前記触媒が、炭酸カリウムおよびヨウ化カリウムである、ステップ。
【0015】
3)ステップ2)で調製した前記中間体IIを、原料として用い、様々な置換基を有するベンジルブロミド化合物と反応させ、分離および精製後、一般式Iに示す構造のチアゾール-ピリジンベンジル4級アンモニウム塩側鎖を含むプレウロムチリン誘導体を得ることができる、ステップ。
【0016】
好ましくは、ステップ1)において、プレウロムチリンとp-トルエンスルホニルクロリドとのモル比は1:1.2であり、ステップ2)において、前記中間体Iと2-メルカプト-4-(4-ピリジル)チアゾールとのモル比は1:1.2であり、ステップ3)において、前記中間体IIと、様々な置換基を有するベンジルブロミド化合物とのモル比は1:(2~6)である。
【0017】
好ましくは、ステップ1)に記載の反応は、溶媒としてジクロロメタン、触媒としてトリエチルアミンおよび4-ジメチルアミノピリジンを用い、室温で8時間撹拌および反応させ、ステップ2)に記載の反応は、溶媒としてN,N-ジメチルホルムアミドを用い、60℃で6時間加熱し、ステップ3)に記載の反応は、溶媒としてアセトニトリル、アセトンまたはトルエンを用いる。
【0018】
本発明はまた、抗病原性微生物薬の調製における、上記したチアゾール-ピリジンベンジル4級アンモニウム塩側鎖を含むプレウロムチリン誘導体の使用を、開示する。
【0019】
好ましくは、前記抗病原性微生物薬は、感染症を治療するための医薬製剤である。
【0020】
さらに好ましくは、前記感染症は、マイコプラズマ属または薬剤耐性菌に感染したヒトまたは動物の感染症である。
【0021】
さらに好ましくは、前記マイコプラズマ属は、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumoniae)標準株J株、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ臨床分離株LH株、マイコプラズマ・ハイオリニス(Mycoplasma hyorhina)標準株BTS-7株、マイコプラズマ・ガリセプチカム(Mycoplasma gallisepticum)標準株R株またはマイコプラズマ・シノビエ(Mycoplasma Synoviae)WVU1853株である。前記薬剤耐性菌は、多剤耐性緑膿菌(multidrug-resistant Pseudomonas aeruginosa)、多剤耐性肺炎桿菌(multidrug-resistant Klebsiella pneumoniae)、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus aureus)、バンコマイシン耐性腸球菌(vancomycin-resistant Enterococcus faecalis)またはカルバペネム耐性アシネトバクター・バウマニ(carbapenem-resistant Acinetobacter baumannii)である。
【0022】
好ましくは、前記医薬製剤は、1つまたは複数の薬学的に許容される担体、賦形剤、または希釈剤を含む。
【0023】
本発明はまた、抗生物質薬を開示し、この薬は、有効量の、上記チアゾール-ピリジンベンジル4級アンモニウム塩側鎖を含むプレウロムチリン誘導体を含み、残部は、医薬賦形剤または他の適合する薬である。
【0024】
従来技術と比較して、本発明は以下の有益な効果を有する。
【0025】
本発明は、チアゾール-ピリジンベンジル4級アンモニウム塩側鎖を含むプレウロムチリン誘導体を提供する。チアゾール-ピリジンベンジル4級アンモニウム塩側鎖を含むプレウロムチリン誘導体は、プレウロムチリンの構造再構成を行い、次いで4級アンモニウム塩化合物で構造改変することにより、調製に成功した。in vitro抗菌活性アッセイにより、本発明により合成された化合物1~化合物15は、様々な細菌株に対して抑制効果を発揮し、薬剤耐性菌に対するほとんどの当該化合物の抑制能力は、市販の3種類の薬剤(レタパムリン、チアムリン、およびバルネムリン)より強いことが示される。好ましい化合物2は最も優れた抗菌効果を有し、ATCC 25923およびATCC 29213に対するMICは0.0625μg/mL、ATCC 19606に対するMICは1μg/mL、大腸菌(Escherichia coli)(ATCC 25922およびCMCC 44103)に対するMICはそれぞれ0.0625μg/mLおよび0.5μg/mLである。全ての臨床薬剤耐性菌(MDR-PA18-993、18-756、18-126、MDR-KP18-893、18-754、18-1482、MRSA 18-171、18-209、18-575、VRE18-94、18-80、18-507、CR-AB18-184、18-560、および18-882)に対する、好ましい化合物7の抑制効果は、市販薬リタモリン(ritamoline)の効果よりも優れており、広域スペクトルの抗菌活性を有する。抗マイコプラズマ活性の測定は、好ましい化合物7の抗マイコプラズマ効果が、市販のプレウロムチリン系抗生物質であるチアムリンの効果よりも、優れていることを示す。以上の実験から、このタイプの化合物は、in vitroで良好な抗菌活性と、強力なマイコプラズマ阻害活性とを有し、プレウロムチリン誘導体の難溶性を改善し、薬剤耐性菌およびマイコプラズマにより引き起こされる感染症の予防および治療に適用され得、非常に優れた医療開発価値を有する。
【0026】
本発明は、上記のチアゾール-ピリジンベンジル4級アンモニウム塩側鎖を含むプレウロムチリン誘導体を調製するための方法を提供し、この方法は、原料が入手しやすい、操作安全性が高い、反応条件が穏やか、低コスト、72.51%~89.19%の高収率という利点を有し、工業生産に適している。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、重水素化DMSO中での本発明の化合物1のH NMRスペクトルである。
図2図2は、本発明における重水素化DMSO中での化合物1のC NMRスペクトルである。
図3図3は、本発明における重水素化DMSO中での化合物2のH NMRスペクトルである。
図4図4は、本発明における重水素化DMSO中での化合物2のC NMRスペクトルである。
図5図5は、本発明における重水素化DMSO中の化合物3のH NMRスペクトルである。
図6図6は、本発明における重水素化DMSO中の化合物3のC NMRスペクトルである。
図7図7は、本発明における重水素化DMSO中の化合物4のH NMRスペクトルである。
図8図8は、本発明における重水素化DMSO中の化合物4のC NMRスペクトルである。
図9図9は、本発明における重水素化DMSO中の化合物5のH NMRスペクトルである。
図10図10は、本発明における重水素化DMSO中の化合物5のC NMRスペクトルである。
図11図11は、本発明における重水素化DMSO中の化合物6のH NMRスペクトルである。
図12図12は、本発明における重水素化DMSO中の化合物6のC NMRスペクトルである。
図13図13は、本発明における重水素化DMSO中の化合物7のH NMRスペクトルである。
図14図14は、本発明における重水素化DMSO中の化合物7のC NMRスペクトルである。
図15図15は、本発明における重水素化DMSO中の化合物8のH NMRスペクトルである。
図16図16は、本発明における重水素化DMSO中の化合物8のC NMRスペクトルである。
図17図17は、黄色ブドウ球菌(ATCC 29213)に対する化合物2のin vitro抗菌活性の測定結果を示すグラフである。
図18図18は、黄色ブドウ球菌(ATCC 25923)に対する化合物2のin vitro抗菌活性の測定結果を示すグラフである。
図19図19は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(ATCC 33591)に対する化合物2のin vitro抗菌活性の測定結果を示すグラフである。
図20図20は、アシネトバクター・バウマニ(Acinetobacter baumannii)(ATCC 19606)に対する化合物2のin vitro抗菌活性の測定結果を示すグラフである。
図21図21は、大腸菌(CMCC 44103)に対する化合物2のin vitro抗菌活性の測定結果を示すグラフである。
図22図22は、マイコプラズマ5株に対する化合物7のMIC測定結果を示すグラフであり、(A)Mhp-J株、(B)Mhp-LH株、(C)Mhr-BTS-7株、(D)MG-R株、および(E)MS-WVU1853株である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
当業者が本発明の解決策をよりよく理解できるようにするために、本発明の実施形態における技術的解決策を、本発明の実施形態における添付図面と共に明確かつ完全に説明する。明らかに、説明された実施形態は、本発明の実施形態の一部に過ぎず、すべての実施形態ではない。本発明の実施形態に基づいて、当業者であれば発明的努力を伴うことなく得られる可能性のある他のすべての実施形態は、本発明の保護範囲内に入る。
【0029】
本発明の説明および特許請求の範囲ならびに上記図面における用語「第1」および「第2」は、類似の対象を区別するために使用されるが、必ずしも特定の順序または連続を説明するために使用されているわけではないことに留意されたい。このように使用されるデータは、本明細書に記載された本発明の実施形態が、本明細書に図示または記載されたもの以外の順序で実施され得るように、適切な状況下で交換可能であることを理解されたい。さらに、用語「含む(comprise)」および「有する(have)」、ならびにそれらの変形は、非排他的な包含を意図しており、例えば、一連のステップまたはユニットを含むプロセス、方法、システム、製品または装置は、必ずしも明示的に列挙されたものに限定されず、明示的に列挙されていない、あるいはプロセス、方法、製品または装置に固有の、他のステップまたはユニットが含まれてもよい。
【0030】
以下、添付図面と共に本発明をさらに詳細に説明する。
【0031】
本発明は、一般式Iの化合物である、チアゾール-ピリジンベンジル4級アンモニウム塩側鎖を含むプレウロムチリン誘導体、またはその薬学的に許容される塩、および前記一般式Iの化合物もしくはその薬学的に許容される塩の、溶媒和物、エナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、またはラセミ混合物を含む任意の比率でのそれらの混合物を、提供する。
【0032】
【化5】
式中、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、メチル、トリフルオロメチル、メトキシ、トリフルオロメトキシ、tert-ブチル、ニトロ、シアノ、ハロゲン原子またはフェニルから選択され、用語「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを指し、前記薬学的に許容される塩は、一般式Iで示される構造を有する化合物と、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、フマル酸、マレイン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、グルタミン酸またはアスパラギン酸と、によって形成される塩である。
【0033】
本発明は、上記のチアゾール-ピリジンベンジル4級アンモニウム塩側鎖を含むプレウロムチリン誘導体の調製方法を提供し、当該方法は以下のステップを含む:(1)プレウロムチリンをp-トルエンスルホニルクロリドと反応させて中間体Iを得るステップであって、その反応式は以下の通りである。
【0034】
【化6】
【0035】
ここで、本反応では、溶媒としてジクロロメタン、触媒としてトリエチルアミンおよび4-ジメチルアミノピリジンを用い、室温で8時間撹拌する;プレウロムチリンとp-トルエンスルホニルクロリドとのモル比は1:1.2である。
【0036】
(2)ステップ(1)で調製した中間体Iと、2-メルカプト-4-(4-ピリジル)チアゾールとを原料として用い、有機溶媒に溶解し、触媒作用および加熱条件下で反応させ、分離および精製後に中間体IIを得るステップであって、反応式は以下の通りである。
【0037】
【化7】
【0038】
ここで、本反応では、溶媒としてN,N-ジメチルホルムアミドを用い、60℃で6時間加熱する。中間体Iと2-メルカプト-4-(4-ピリジル)チアゾールとのモル比は1:1.2である。触媒は炭酸カリウムおよびヨウ化カリウムである。精製の具体的な操作は、好ましくは、反応終了後、反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液で希釈し、酢酸エチルで抽出し、酢酸エチル相を回収し、カラムクロマトグラフィーで分離および精製して中間体IIを得る。
【0039】
(3)ステップ(2)で調製した中間体IIを原料として、様々な置換基を有するベンジル化合物と反応させ、分離および精製後、一般式Iに示す構造のチアゾール-ピリジンベンジル4級アンモニウム塩側鎖を含むプレウロムチリン誘導体を得ることができるステップであって、反応式は以下の通りである:
【0040】
【化8】
【0041】
ここで、本反応では、溶媒としてアセトニトリル、アセトン、トルエン、より好ましくはアセトニトリルを用い、本反応において、中間体IIと、様々な置換を有するベンジルブロミド化合物とのモル比は1:(2~6)、さらに最適にして1:4である。精製の具体的な操作は、好ましくは、反応終了後、反応混合物を減圧下で濃縮して溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィーで分離および精製して目的物を得、溶離液の比率がジクロロメタン:メタノール=10:1であること、である。
【実施例
【0042】
1.化合物1~化合物15の合成の具体例
【0043】
本発明の代表的な化合物の構造式を以下に示す。
【0044】
【化9】
【0045】
上記化合物の合成例を以下に示す。化合物の構造は、NMRによって特徴付けられる。
【0046】
実施例1
(1)中間体Iの調製
【化10】
【0047】
プレウロムチリン9.5g(25mmol)およびp-トルエンスルホニルクロリド5.7g(30mmol)を反応器に入れ、ジクロロメタン150mLに溶解し、トリエチルアミン10.5mL(75mmol)および4-ジメチルアミノピリジン305.4mg(2.5mmol)を加えて室温で8時間撹拌し、TLCを用いてモニターした。反応後、反応液を減圧下濃縮して溶媒を除去し、得られた固体を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100mL)および水(100mL)で洗浄し、乾燥して12.7gの中間体I(収率95.32%)を得た。
【0048】
(2)中間体IIの調製
【化11】
【0049】
中間体I10.7g(20mmol)および2-メルカプト-4-(4-ピリジル)チアゾール4.7g(24mmol)を反応器に入れ、N,N-ジメチルホルムアミド100mLに溶解し、そこに炭酸カリウム5.5g(40mmol)およびヨウ化カリウム332mg(2mmol)を加え、60℃で6時間加熱して反応させ、TLCを用いてモニターした。反応後、反応液を飽和塩化アンモニウム水溶液で希釈し、酢酸エチルで抽出し、酢酸エチル相を回収し、カラムクロマトグラフィー(固定相として200~300メッシュシリカゲル粉末を使用、移動相としてジクロロメタン:メタノール(V:V)=20:1)で分離および精製し、乾燥して10.2gの中間体II(収率91.93%)を得た。
【0050】
(1)化合物1の合成
化合物1:1-ベンジル-4-(2-(((8-ヒドロキシ-4,7,9,12-テトラメチル-3-オキシ-7-ビニルデカヒドロ-4,9a-プロパンシクロペント[8]サイクレン-5-イル)オキシ)-2-オキソエチル)チオチアゾール-4-イル)ピリジルブロミド塩の調製
【化12】
【0051】
ステップ(2)で合成した 中間体II 166.4mg(0.3mmol)とベンジルブロミド205.2mg(1.2mmol)とを反応器に入れ、アセトニトリル5mLに溶解し、室温で一晩撹拌し、TLCによりモニターした。反応後、反応混合物を減圧下で濃縮してアセトニトリルを除去し、カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール(V:V)=10:1)で分離および精製し、乾燥して193.5mgの化合物1(収率88.85%)を得た。重水素化DMSO中での化合物1のH NMRスペクトルを図1に、重水素化DMSO中でのC NMRスペクトルを図2に示す。
【0052】
1H NMR (600 MHz, DMSO) δ 9.26 (d, J = 6.5 Hz, 2H), 8.97 (s, 1H), 8.56 (d, J = 6.5 Hz, 2H), 7.54 (d, J = 7.6 Hz, 2H), 7.49 - 7.40 (m, 3H), 5.99 (dd, J = 17.8, 11.2 Hz, 1H), 5.85 (s, 2H), 5.51 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 4.91 - 4.78 (m, 2H), 4.50 (d, J = 6.0 Hz, 1H), 4.27 (s, 2H), 2.35 (s, 1H), 2.17 (dd, J = 19.2, 10.9 Hz, 1H), 2.11 - 1.91 (m, 3H), 1.68 - 1.56 (m, 2H), 1.50 - 1.42 (m, 1H), 1.38 - 1.19 (m, 7H), 1.06 (d, J = 15.8 Hz, 1H), 1.02 - 0.93 (m, 1H), 0.80 (s, 3H), 0.77 (d, J = 7.0 Hz, 3H), 0.58 (d, J = 7.0 Hz, 3H)。
【0053】
13C NMR (151 MHz, DMSO) δ 217.55, 166.94, 166.69, 148.54, 147.70, 145.74, 141.13, 134.96, 129.76, 129.67, 129.04, 127.11, 124.26, 115.61, 72.89, 70.85, 63.01, 57.60, 45.37, 44.34, 43.89, 41.97, 36.84, 36.72, 36.33, 34.44, 30.50, 28.86, 27.02, 24.89, 16.58, 14.91, 11.97。
【0054】
実施例2
化合物2:1-(4-メチルベンジル)-4-((2-((8-ヒドロキシ-4,7,9,12-テトラメチル-3-オキソ-7-ビニルデカヒドロ-4,9a-プロパンシクロペント[8]サイクレン-5-イル)オキシ)-2-オキソエチル)チオ)チアゾール-4-イル)ピリジルブロミド塩の調製
【化13】
【0055】
中間体Iおよび中間体IIの調製方法は、実施例1と同じである。 中間体II 166.4mg(0.3mmol)およびp-メチルベンジルブロミド222.1mg(1.2mmol)を反応器に入れ、トルエン5mLに溶解し、室温で一晩撹拌し、TLCによりモニターした。反応後、反応混合物を減圧下で濃縮してトルエンを除去し、カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール(V:V)=10:1)で分離および精製し、乾燥して183.7mgの化合物2(収率82.79%)を得た。重水素化DMSO中での化合物2のH NMRスペクトルを図3に、重水素化DMSO中でのC NMRスペクトルを図4に示す。
【0056】
1H NMR (600 MHz, DMSO) δ 9.24 (d, J = 6.5 Hz, 2H), 8.97 (s, 1H), 8.55 (d, J = 6.5 Hz, 2H), 7.44 (d, J = 7.9 Hz, 2H), 7.26 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 5.99 (dd, J = 17.8, 11.2 Hz, 1H), 5.79 (s, 2H), 5.51 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 4.90 - 4.79 (m, 2H), 4.51 (d, J = 6.1 Hz, 1H), 4.26 (s, 2H), 2.35 (s, 1H), 2.31 (s, 3H), 2.17 (dd, J = 19.3, 11.0 Hz, 1H), 2.11 - 2.01 (m, 1H), 2.01 - 1.91 (m, 2H), 1.66 - 1.55 (m, 2H), 1.50 - 1.42 (m, 1H), 1.38 - 1.19 (m, 7H), 1.07 (d, J = 15.8 Hz, 1H), 1.02 - 0.93 (m, 1H), 0.81 (s, 3H), 0.78 (d, J = 7.0 Hz, 3H), 0.57 (d, J = 7.1 Hz, 3H)。
【0057】
13C NMR (151 MHz, DMSO) δ 217.53, 166.92, 166.65, 148.56, 147.64, 145.61, 141.14, 139.36, 131.99, 130.19, 129.13, 127.05, 124.22, 115.59, 72.90, 70.87, 62.87, 57.61, 45.38, 44.36, 43.92, 41.98, 36.85, 36.73, 36.34, 34.45, 30.51, 28.86, 27.02, 24.90, 21.23, 16.57, 14.91, 11.96。
【0058】
実施例3
化合物3:1-(4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-4-(2-(8-ヒドロキシ-4,7,9,12-テトラメチル-3-オキソ-7-ビニルデカヒドロ-4,9a-プロパンシクロペント[8]サイクレン-5-イル)オキシ)-2-オキソエチル)チアゾール-4-イル)ピリジルブロミド塩の調製
【化14】
【0059】
中間体Iおよび中間体IIの調製方法は、実施例1と同じである。 中間体II 166.4mg(0.3mmol)とp-トリフルオロメチルベンジルブロミド286.8mg(1.2mmol)とを反応器に入れ、アセトン5mLに溶解し、室温で一晩撹拌し、TLCによりモニターした。反応後、反応混合物を減圧下で濃縮してアセトンを除去し、カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール(V:V)=10:1)で分離および精製し、乾燥して186.8mgの化合物3(収率78.43%)を得た。重水素化DMSO中での化合物3のH NMRスペクトルを図5に、重水素化DMSO中でのC NMRスペクトルを図6に示す。
【0060】
1H NMR (600 MHz, DMSO) δ 9.28 (d, J = 6.5 Hz, 2H), 8.99 (s, 1H), 8.61 - 8.57 (m, 2H), 7.84 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 7.75 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 6.15 - 5.87 (m, 3H), 5.52 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 4.91 - 4.81 (m, 2H), 4.51 (d, J = 6.0 Hz, 1H), 4.27 (s, 2H), 2.37 (s, 1H), 2.17 (dd, J = 19.2, 10.9 Hz, 1H), 2.11 - 2.01 (m, 1H), 2.02 - 1.94 (m, 2H), 1.66 - 1.56 (m, 2H), 1.50 - 1.41 (m, 1H), 1.39 - 1.17 (m, 7H), 1.09 (d, J = 15.8 Hz, 1H), 1.02 - 0.92 (m, 1H), 0.83 (s, 3H), 0.78 (d, J = 7.0 Hz, 3H), 0.58 (d, J = 7.1 Hz, 3H)。
【0061】
13C NMR (151 MHz, DMSO) δ 217.55, 166.93, 166.74, 148.55, 147.89, 145.98, 141.19, 139.41, 129.90, 127.29, 126.52, 126.49, 124.34, 115.60, 72.89, 70.88, 62.18, 57.61, 45.38, 44.38, 43.91, 41.98, 36.85, 36.72, 36.34, 34.44, 31.38, 28.90, 27.02, 24.89, 16.57, 14.91, 11.95。
【0062】
実施例4
化合物4:1-(4-(メトキシ)ベンジル)-4-(2-(8-ヒドロキシ-4,7,9,12-テトラメチル-3-オキソ-7-ビニルデカヒドロ-4,9a-プロパンシクロペント[8]サイクレン-5-イル)オキシ)-2-オキソエチル)チアゾール-4-イル)ピリジルブロミド塩の調製
【化15】
【0063】
中間体Iおよび中間体IIの調製方法は、実施例1と同じである。中間体II 166.4mg(0.3mmol)および4-メトキシベンジルブロミド 120.7mg(0.6mmol)を反応器に入れ、アセトニトリル5mLに溶解し、室温で一晩撹拌し、TLCでモニターした。反応後、反応混合物を減圧下で濃縮してアセトニトリルを除去し、カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール(V:V)=10:1)で分離および精製し、乾燥して178.9mgの化合物4(収率78.89%)を得た。重水素化DMSO中での化合物4のH NMRスペクトルを図7に、重水素化DMSO中でのC NMRスペクトルを図8に示す。
【0064】
1H NMR (600 MHz, DMSO) δ 9.24 (d, J = 6.4 Hz, 2H), 8.97 (s, 1H), 8.55 (d, J = 6.3 Hz, 2H), 7.54 (d, J = 8.3 Hz, 2H), 7.00 (d, J = 8.3 Hz, 2H), 5.99 (dd, J = 17.8, 11.1 Hz, 1H), 5.76 (s, 2H), 5.51 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 4.82 (d, J = 12.6 Hz, 2H), 4.52 (d, J = 6.0 Hz, 1H), 4.26 (s, 2H), 3.76 (s, 3H), 2.35 (s, 1H), 2.17 (dd, J = 19.2, 10.9 Hz, 1H), 2.10 - 2.03 (m, 1H), 2.01 - 1.89 (m, 2H), 1.65 - 1.55 (m, 2H), 1.50 - 1.41 (m, 1H), 1.38 - 1.18 (m, 7H), 1.06 (d, J = 15.8 Hz, 1H), 1.02 - 0.93 (m, 1H), 0.80 (s, 3H), 0.77 (d, J = 7.0 Hz, 3H), 0.57 (d, J = 7.1 Hz, 3H)。
【0065】
13C NMR (151 MHz, DMSO) δ 217.56, 166.93, 166.63, 160.44, 148.56, 147.57, 145.45, 141.13, 130.96, 126.99, 126.82, 124.21, 115.61, 115.02, 72.89, 70.85, 62.66, 57.60, 55.75, 45.37, 44.35, 43.89, 41.97, 36.84, 36.72, 36.32, 34.44, 30.50, 28.86, 27.02, 24.89, 16.57, 14.90, 11.96。
【0066】
実施例5
化合物5:1-(4-(トリフルオロメトキシ)ベンジル)-4-(2-(8-ヒドロキシ-4,7,9,12-テトラメチル-3-オキソ-7-ビニルデカヒドロ-4,9a-プロパンシクロペント[8]サイクレン-5-イル)オキシ)-2-オキソエチル)チアゾール-4-イル)ピリジルブロミド塩の調製
【化16】
【0067】
中間体Iおよび中間体IIの調製方法は、実施例1と同じである。 中間体II 166.4mg(0.3mmol)およびp-トリフルオロメトキシベンジルブロミド153.0mg(0.6mmol)を反応器に入れ、5mLのトルエンに溶解し、室温で一晩撹拌し、TLCによりモニターした。反応後、反応混合物を減圧下で濃縮してトルエンを除去し、カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール(V:V)=10:1)で分離および精製し、乾燥して183.9mgの化合物5(収率75.69%)を得た。重水素化DMSO中での化合物5のH NMRスペクトルを図9に、重水素化DMSO中でのC NMRスペクトルを図10に示す。
【0068】
1H NMR (600 MHz, DMSO) δ 9.34 (d, J = 6.6 Hz, 2H), 9.04 (s, 1H), 8.65 - 8.60 (m, 2H), 7.76 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 7.51 (d, J = 8.3 Hz, 2H), 6.04 (dd, J = 17.7, 11.2 Hz, 1H), 5.95 (s, 2H), 5.56 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 4.94 - 4.84 (m, 2H), 4.54 (d, J = 6.0 Hz, 1H), 4.32 (s, 2H), 2.41 (s, 1H), 2.22 (dd, J = 19.7, 10.5 Hz, 1H), 2.14 - 2.07 (m, 1H), 2.05 - 1.98 (m, 2H), 1.70 - 1.61 (m, 2H), 1.54 - 1.45 (m, 1H), 1.42 - 1.23 (m, 7H), 1.12 (d, J = 15.8 Hz, 1H), 1.05 - 0.99 (m, 1H), 0.86 (s, 3H), 0.82 (d, J = 7.0 Hz, 3H), 0.62 (d, J = 7.1 Hz, 3H)。
【0069】
13C NMR (151 MHz, DMSO) δ 217.54, 166.93, 166.69, 149.30, 148.55, 147.79, 145.81, 141.17, 134.29, 131.38, 127.21, 124.32, 122.15, 115.59, 72.88, 70.86, 61.95, 57.60, 45.37, 44.36, 43.90, 41.97, 36.85, 36.72, 36.34, 34.44, 31.24, 30.50, 28.87, 27.02, 24.89, 16.57, 14.91, 11.94。
【0070】
実施例6
化合物6:1-(4-(tert-ブチル)ベンジル)-4-(2-(8-ヒドロキシ-4,7,9,12-テトラメチル-3-オキソ-7-ビニルデカヒドロ-4,9a-プロパンシクロペント[8]サイクレン-5-イル)オキシ)-2-オキソエチル)チアゾール-4-イル)ピリジルブロミド塩の調製
【化17】
【0071】
中間体Iおよび中間体IIの調製方法は、実施例1と同じである。 中間体II 166.4mg(0.3mmol)およびp-tert-ブチルベンジルブロミド136.3mg(0.6mmol)を反応器に入れ、アセトン5mLに溶解し、室温で一晩撹拌し、TLCによりモニターした。反応後、反応混合物を減圧下で濃縮してアセトンを除去し、カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール(V:V)=10:1)で分離および精製し、乾燥して170.1mgの化合物6(収率72.51%)を得た。重水素化DMSO中での化合物6のH NMRスペクトルを図11に、重水素化DMSO中でのC NMRスペクトルを図12に示す。
【0072】
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 9.27 (d, J = 6.4 Hz, 2H), 8.98 (s, 1H), 8.57 (d, J = 6.4 Hz, 2H), 7.48 (s, 4H), 6.01 (dd, J = 17.8, 11.2 Hz, 1H), 5.83 (s, 2H), 5.53 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 4.97 - 4.73 (m, 2H), 4.45 (d, J = 5.9 Hz, 1H), 4.27 (s, 2H), 2.36 (s, 1H), 2.19 (dd, J = 19.1, 10.8 Hz, 1H), 2.12 - 1.93 (m, 3H), 1.69 - 1.57 (m, 2H), 1.52 - 1.42 (m, 1H), 1.42 - 1.31 (m, 4H), 1.31 - 1.19 (m, 12H), 1.09 (d, J = 15.8 Hz, 1H), 1.04 - 0.94 (m, 1H), 0.84 (s, 3H), 0.79 (d, J = 6.9 Hz, 3H), 0.59 (d, J = 6.9 Hz, 3H)。
【0073】
13C NMR (101 MHz, DMSO) δ 216.72, 166.89, 166.62, 152.33, 148.54, 147.61, 145.64, 141.11, 132.07, 128.84, 127.02, 126.42, 124.23, 115.60, 72.87, 70.84, 62.71, 57.58, 49.04, 45.35, 44.32, 43.86, 41.95, 36.82, 36.69, 36.31, 34.87, 31.42, 30.50, 28.86, 27.01, 24.87, 16.56, 14.88, 11.91。
【0074】
実施例7
化合物7:1-(4-(ニトロ)ベンジル)-4-(2-(8-ヒドロキシ-4,7,9,12-テトラメチル-3-オキソ-7-ビニルデカヒドロ-4,9a-プロパンシクロペント[8]サイクレン-5-イル)オキシ)-2-オキソエチル)チアゾール-4-イル)ピリジルブロミド塩の調製
【化18】
【0075】
中間体Iおよび中間体IIの調製方法は、実施例1と同じである。 中間体II 166.4mg(0.3mmol)およびp-ニトロベンジルブロミド194.4mg(0.9mmol)を反応器に入れ、5mLのトルエンに溶解し、室温で一晩撹拌し、TLCによりモニターした。反応後、反応混合物を減圧下で濃縮してトルエンを除去し、カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール(V:V)=10:1)で分離および精製し、乾燥して179.2mgの化合物7(収率77.51%)を得た。重水素化DMSO中での化合物7のH NMRスペクトルを図13に、重水素化DMSO中でのC NMRスペクトルを図14に示す。
【0076】
1H NMR (600 MHz, DMSO) δ 9.29 (d, J = 6.5 Hz, 2H), 9.00 (s, 1H), 8.60 (d, J = 6.9 Hz, 2H), 8.30 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 7.79 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 6.09 - 5.94 (m, 3H), 5.52 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 4.90 - 4.82 (m, 2H), 4.51 (d, J = 6.2 Hz, 1H), 4.28 (s, 2H), 2.36 (s, 1H), 2.17 (dd, J = 19.2, 10.9 Hz, 1H), 2.10 - 2.02 (m, 1H), 2.00 - 1.94 (m, 2H), 1.66 - 1.55 (m, 2H), 1.49 - 1.40 (m, 1H), 1.38 - 1.19 (m, 7H), 1.09 (d, J = 15.8 Hz, 1H), 1.02 - 0.93 (m, 1H), 0.81 (s, 3H), 0.78 (d, J = 7.0 Hz, 3H), 0.57 (d, J = 7.0 Hz, 3H)。
【0077】
13C NMR (151 MHz, DMSO) δ 217.56, 166.94, 166.77, 148.53, 148.33, 147.98, 146.07, 141.94, 141.17, 130.37, 127.39, 124.61, 124.39, 115.61, 72.88, 70.88, 61.88, 57.60, 45.38, 44.38, 43.89, 41.97, 36.85, 36.73, 36.33, 34.44, 30.50, 28.89, 27.02, 24.89, 16.57, 14.91, 11.96。
【0078】
実施例8
化合物8:1-(4-(シアノ)ベンジル)-4-(2-(8-ヒドロキシ-4,7,9,12-テトラメチル-3-オキソ-7-ビニルデカヒドロ-4,9a-プロパンシクロペント[8]サイクレン-5-イル)オキシ)-2-オキソエチル)チアゾール-4-イル)ピリジルブロミド塩の調製
【化19】
【0079】
中間体Iおよび中間体IIの調製方法は、実施例1と同じである。 中間体II 166.4mg(0.3mmol)およびp-シアノベンジルブロミド176.4mg(0.9mmol)を反応器に入れ、アセトニトリル5mLに溶解し、室温で一晩撹拌し、TLCでモニターした。反応後、反応混合物を減圧下で濃縮してアセトニトリルを除去し、カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール(V:V)=10:1)で分離および精製し、乾燥して182.5mgの化合物8(収率81.01%)を得た。重水素化DMSO中での化合物8のH NMRスペクトルを図15に、重水素化DMSO中でのC NMRスペクトルを図16に示す。
【0080】
1H NMR (600 MHz, DMSO) δ 9.28 (d, J = 6.5 Hz, 2H), 9.00 (s, 1H), 8.61 - 8.57 (m, 2H), 7.95 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.72 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 6.05 - 5.95 (m, 3H), 5.52 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 4.90 - 4.81 (m, 2H), 4.52 (d, J = 6.0 Hz, 1H), 4.27 (s, 2H), 2.36 (s, 1H), 2.17 (dd, J = 19.2, 10.9 Hz, 1H), 2.10 - 2.02 (m, 1H), 2.01 - 1.93 (m, 2H), 1.66 - 1.55 (m, 2H), 1.50 - 1.41 (m, 1H), 1.39 - 1.17 (m, 7H), 1.08 (d, J = 15.8 Hz, 1H), 1.02 - 0.93 (m, 1H), 0.81 (s, 3H), 0.78 (d, J = 7.0 Hz, 3H), 0.57 (d, J = 7.0 Hz, 3H)。
【0081】
13C NMR (151 MHz, DMSO) δ 217.56, 166.93, 166.74, 148.54, 147.93, 146.01, 141.17, 140.10, 133.50, 129.93, 127.35, 124.36, 118.80, 115.61, 112.43, 72.89, 70.88, 62.17, 57.61, 45.38, 44.38, 43.89, 41.97, 36.85, 36.72, 36.33, 34.45, 30.51, 28.89, 27.02, 24.89, 16.58, 14.91, 11.97。
【0082】
実施例9
化合物9:1-(4-フルオロベンジル)-4-(2-(8-ヒドロキシ-4,7,9,12-テトラメチル-3-オキソ-7-ビニルデカヒドロ-4,9a-プロパンシクロペント[8]サイクレン-5-イル)オキシ)-2-オキソエチル)チアゾール-4-イル)ピリジルブロミド塩の調製
【化20】
【0083】
中間体Iおよび中間体IIの調製方法は、実施例1と同じである。 中間体II 166.4mg(0.3mmol)およびp-フルオロベンジルブロミド170.1mg(0.9mmol)を反応器に入れ、アセトン5mLに溶解し、室温で一晩撹拌し、TLCによりモニターした。反応後、反応混合物を減圧下で濃縮してアセトンを除去し、カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール(V:V)=10:1)で分離および精製し、乾燥して175.7mgの化合物9(収率78.73%)を得た。
【0084】
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 9.31 (d, J = 6.3 Hz, 2H), 9.02 (s, 1H), 8.60 (d, J = 6.2 Hz, 2H), 7.70 (t, J = 6.8 Hz, 2H), 7.34 (t, J = 8.6 Hz, 2H), 6.03 (dd, J = 17.9, 11.2 Hz, 1H), 5.89 (s, 2H), 5.55 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 4.97 - 4.81 (m, 2H), 4.53 (d, J = 5.8 Hz, 1H), 4.30 (s, 2H), 2.39 (s, 1H), 2.21 (dd, J = 19.2, 11.0 Hz, 1H), 2.15 - 2.06 (m, 1H), 2.06 - 1.93 (m, 2H), 1.70 - 1.57 (m, 2H), 1.54 - 1.43 (m, 1H), 1.42 - 1.21 (m, 7H), 1.11 (d, J = 15.4 Hz, 1H), 1.01 (t, J = 13.4 Hz, 1H), 0.85 - 0.78 (m, 6H), 0.61 (d, J = 6.8 Hz, 3H)。
【0085】
13C NMR (101 MHz, DMSO) δ 216.71, 166.94, 166.68, 148.56, 147.72, 145.66, 141.15, 131.81, 131.73, 127.15, 124.28, 116.69, 116.47, 115.60, 72.90, 70.86, 62.13, 57.61, 45.38, 44.34, 43.91, 41.97, 36.84, 36.72, 36.34, 34.44, 30.51, 28.83, 27.03, 24.89, 16.58, 14.91, 11.96。
【0086】
実施例10
化合物10:1-(4-クロロベンジル)-4-(2-(8-ヒドロキシ-4,7,9,12-テトラメチル-3-オキソ-7-ビニルデカヒドロ-4,9a-プロパンシクロペント[8]サイクレン-5-イル)オキシ)-2-オキソエチル)チアゾール-4-イル)ピリジルブロミド塩の調製
【化21】
【0087】
中間体Iおよび中間体IIの調製方法は、実施例1と同じである。 中間体II 166.4mg(0.3mmol)とp-クロロベンジルブロミド369.9mg(1.8mmol)とを反応器に入れ、アセトニトリル5mLに溶解し、室温で一晩撹拌し、TLCでモニターした。反応後、反応混合物を減圧下で濃縮してアセトニトリルを除去し、カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール(V:V)=10:1)で分離および精製し、乾燥して203.4mgの化合物10(収率89.19%)を得た。
【0088】
1H NMR (600 MHz, DMSO) δ 9.26 (d, J = 6.5 Hz, 2H), 8.98 (s, 2H), 8.57 (d, J = 6.8 Hz, 1H), 7.60 (d, J = 8.3 Hz, 2H), 7.53 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 6.00 (dd, J = 17.7, 11.2 Hz, 1H), 5.86 (s, 2H), 5.52 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 4.95 - 4.79 (m, 2H), 4.51 (d, J = 6.0 Hz, 1H), 4.27 (s, 2H), 2.36 (s, 1H), 2.17 (dd, J = 18.9, 11.2 Hz, 1H), 2.11 - 2.01 (m, 1H), 2.01 - 1.92 (m, 2H), 1.66 - 1.56 (m, 2H), 1.50 - 1.41 (m, 1H), 1.40 - 1.18 (m, 7H), 1.08 (d, J = 15.7 Hz, 1H), 1.02 - 0.93 (m, 1H), 0.82 (s, 3H), 0.78 (d, J = 6.9 Hz, 3H), 0.58 (d, J = 7.0 Hz, 3H)。
【0089】
13C NMR (151 MHz, DMSO) δ 217.55, 166.93, 166.69, 148.54, 147.77, 145.75, 141.16, 134.60, 133.84, 131.17, 129.64, 127.19, 124.28, 115.61, 72.90, 70.87, 62.10, 57.61, 49.06, 45.38, 44.36, 43.91, 41.97, 36.84, 36.72, 34.45, 30.51, 28.88, 27.02, 24.89, 16.58, 14.91, 11.96。
【0090】
実施例11
化合物11:1-(4-ブロモベンジル)-4-(2-(8-ヒドロキシ-4,7,9,12-テトラメチル-3-オキソ-7-ビニルデカヒドロ-4,9a-プロパンシクロペント[8]サイクレン-5-イル)オキシ)-2-オキソエチル)チアゾール-4-イル)ピリジルブロミド塩の調製
【化22】
【0091】
中間体Iおよび中間体IIの調製方法は、実施例1と同じである。 中間体II 166.4mg(0.3mmol)およびp-ブロモベンジルブロミド449.9mg(1.8mmol)を反応器に入れ、5mLのトルエンに溶解させ、室温で一晩撹拌し、TLCでモニターした。反応後、反応混合物を減圧下で濃縮してトルエンを除去し、カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=10:1)で分離および精製し、乾燥して201.0mgの化合物11(83.26%)を得た。
【0092】
1H NMR (600 MHz, DMSO) δ 9.25 (d, J = 6.9 Hz, 2H), 8.98 (s, 1H), 8.57 (d, J = 6.9 Hz, 2H), 7.67 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.52 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 6.00 (dd, J = 17.7, 11.2 Hz, 1H), 5.83 (s, 2H), 5.52 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 4.90 - 4.81 (m, 2H), 4.51 (d, J = 6.0 Hz, 1H), 4.27 (s, 2H), 2.38 - 2.35 (m, 1H), 2.21 - 2.13 (m, 1H), 2.11 - 2.01 (m, 1H), 2.01 - 1.93 (m, 2H), 1.66 - 1.55 (m, 2H), 1.50 - 1.41 (m, 1H), 1.39 - 1.18 (m, 7H), 1.08 (d, J = 15.9 Hz, 1H), 1.02 - 0.94 (m, 1H), 0.82 (s, 3H), 0.78 (d, J = 6.9 Hz, 3H), 0.57 (d, J = 7.0 Hz, 3H)。
【0093】
13C NMR (151 MHz, DMSO) δ 217.56, 166.94, 166.70, 148.55, 147.78, 145.76, 141.17, 134.24, 132.58, 131.41, 127.19, 124.28, 123.26, 115.61, 72.90, 70.87, 62.18, 57.61, 45.38, 44.37, 43.91, 41.97, 36.85, 36.73, 36.34, 34.45, 30.51, 28.89, 27.02, 24.90, 16.58, 14.91, 11.97。
【0094】
実施例12
化合物12:1-([1,1’-ビフェニル]-4-イルメチル)-4-(2-(8-ヒドロキシ-4,7,9,12-テトラメチル-3-オキソ-7-ビニルデカヒドロ-4,9a-プロパンシクロペント[8]サイクレン-5-イル)オキシ)-2-オキソエチル)チアゾール-4-イル)ピリジルブロミド塩の調製
【化23】
【0095】
中間体Iおよび中間体IIの調製方法は、実施例1と同じである。 中間体II 166.4mg(0.3mmol)および4-ブロモメチルビフェニル(bromomethylbiphene)444.9mg(1.8mmol)を反応器に入れ、アセトン5mLに溶解し、室温で一晩撹拌し、TLCでモニターした。反応後、反応混合物を減圧下で濃縮してアセトンを除去し、カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール(V:V)=10:1)で分離および精製し、乾燥して197.6mgの化合物12(収率82.14%)を得た。
【0096】
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 9.33 (d, J = 6.5 Hz, 2H), 9.01 (s, 1H), 8.61 (d, J = 6.4 Hz, 2H), 7.77 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.68 (dd, J = 11.5, 7.9 Hz, 4H), 7.50 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 7.41 (t, J = 7.3 Hz, 1H), 6.03 (dd, J = 17.8, 11.2 Hz, 1H), 5.94 (s, 2H), 5.55 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 4.96 - 4.83 (m, 2H), 4.47 (d, J = 5.9 Hz, 1H), 4.29 (s, 2H), 2.37 (s, 1H), 2.25 - 2.13 (m, 1H), 2.13 - 1.93 (m, 3H), 1.69 - 1.55 (m, 2H), 1.53 - 1.44 (m, 1H), 1.42 - 1.19 (m, 7H), 1.12 (d, J = 15.8 Hz, 1H), 1.05 - 0.93 (m, 1H), 0.87 (s, 3H), 0.80 (d, J = 6.9 Hz, 3H), 0.60 (d, J = 6.9 Hz, 3H)。
【0097】
13C NMR (101 MHz, DMSO) δ 216.32, 166.94, 166.68, 148.59, 147.74, 145.78, 141.58, 141.17, 139.74, 134.06, 129.77, 129.49, 128.35, 127.91, 127.29, 127.14, 124.31, 115.64, 72.91, 70.88, 62.69, 57.61, 45.37, 44.38, 43.90, 41.98, 36.84, 36.72, 36.34, 34.44, 30.51, 28.91, 27.02, 24.90, 16.58, 14.91, 11.95。
【0098】
実施例13
化合物13:1-(3,5-ジメチルベンジル)-4-(2-(8-ヒドロキシ-4,7,9,12-テトラメチル-3-オキソ-7-ビニルデカヒドロ-4,9a-プロパンシクロペント[8]サイクレン-5-イル)オキシ)-2-オキソエチル)チアゾール-4-イル)ピリジルブロミド塩の調製
【化24】
【0099】
中間体Iおよび中間体IIの調製方法は、実施例1と同じである。 中間体II 166.4mg(0.3mmol)および3,5-ジメチルベンジルブロミド 298.6mg(1.5mmol)を反応器に入れ、アセトニトリル5mLに溶解し、室温で一晩撹拌し、TLCでモニターした。反応後、反応混合物を減圧下で濃縮してアセトニトリルを除去し、カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール(V:V)=10:1)で分離および精製し、乾燥して189.9mgの化合物13(収率83.95%)を得た。
【0100】
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 9.29 (d, J = 6.4 Hz, 2H), 9.05 (s, 1H), 8.59 (d, J = 6.3 Hz, 2H), 7.17 (s, 2H), 7.07 (s, 1H), 6.01 (dd, J = 17.7, 11.1 Hz, 1H), 5.80 (s, 2H), 5.53 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 4.91 - 4.81 (m, 2H), 4.53 (d, J = 5.9 Hz, 1H), 4.28 (s, 2H), 2.37 (s, 1H), 2.29 (s, 6H), 2.19 (dd, J = 19.1, 10.8 Hz, 1H), 2.12 - 1.92 (m, 3H), 1.68 - 1.56 (m, 2H), 1.52 - 1.43 (m, 1H), 1.41 - 1.20 (m, 7H), 1.08 (d, J = 15.7 Hz, 1H), 1.04 - 0.94 (m, 1H), 0.83 - 0.76 (m, 6H), 0.60 (d, J = 6.8 Hz, 3H)。
【0101】
13C NMR (101 MHz, DMSO) δ 216.53, 166.92, 166.60, 148.55, 147.60, 145.70, 141.17, 138.89, 134.82, 131.06, 127.15, 126.69, 124.21, 115.57, 72.86, 70.84, 62.94, 57.59, 45.35, 44.32, 43.89, 41.95, 36.83, 36.70, 36.32, 34.43, 30.51, 28.80, 27.02, 24.87, 21.29, 16.58, 14.89, 11.95。
【0102】
実施例14
化合物14:1-(3,5-ジメトキシベンジル)-4-(2-(8-ヒドロキシ-4,7,9,12-テトラメチル-3-オキソ-7-ビニルデカヒドロ-4,9a-プロパンシクロペント[8]サイクレン-5-イル)オキシ)-2-オキソエチル)チアゾール-4-イル)ピリジルブロミド塩の調製
【化25】
【0103】
中間体Iおよび中間体IIの調製方法は、実施例1と同じである。 中間体II 166.4mg(0.3mmol)および3,5-ジメトキシベンジルブロミド346.6mg(1.5mmol)を反応器に入れ、トルエン5mLに溶解させ、室温で一晩撹拌し、TLCでモニターした。反応後、反応混合物を減圧下で濃縮してトルエンを除去し、カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール(V:V)=10:1)で分離および精製し、乾燥して194.5mgの化合物14(収率82.51%)を得た。
【0104】
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 9.34 (d, J = 6.3 Hz, 2H), 9.03 (s, 1H), 8.58 (d, J = 6.3 Hz, 2H), 6.82 (d, J = 2.2 Hz, 2H), 6.56 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 6.02 (dd, J = 17.7, 11.2 Hz, 1H), 5.77 (s, 2H), 5.54 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 4.93 - 4.81 (m, 2H), 4.53 (d, J = 5.9 Hz, 1H), 4.29 (s, 2H), 3.78 (s, 6H), 2.37 (s, 1H), 2.20 (dd, J = 19.2, 10.8 Hz, 1H), 2.14 - 1.93 (m, 3H), 1.69 - 1.58 (m, 2H), 1.53 - 1.43 (m, 1H), 1.42 - 1.18 (m, 7H), 1.10 (d, J = 15.9 Hz, 1H), 1.05 - 0.95 (m, 1H), 0.83 (s, 3H), 0.80 (d, J = 7.0 Hz, 3H), 0.60 (d, J = 6.9 Hz, 3H)。
【0105】
13C NMR (101 MHz, DMSO) δ 216.61, 166.93, 166.60, 161.44, 148.57, 147.65, 145.69, 141.14, 136.85, 127.13, 124.16, 115.57, 107.39, 101.19, 72.86, 70.85, 62.93, 57.60, 55.90, 55.41, 45.36, 44.32, 43.92, 41.96, 36.84, 36.71, 34.46, 30.51, 28.79, 27.02, 24.88, 16.58, 14.90, 11.95。
【0106】
実施例15
化合物15:1-(3,5-ジフルオロベンジル)-4-(2-(8-ヒドロキシ-4,7,9,12-テトラメチル-3-オキソ-7-ビニルデカヒドロ-4,9a-プロパンシクロペント[8]サイクレン-5-イル)オキシ)-2-オキソエチル)チアゾール-4-イル)ピリジルブロミド塩の調製
【化26】
【0107】
中間体Iおよび中間体IIの調製方法は、実施例1と同じである。 中間体II 166.4mg(0.3mmol)および3,5-ジフルオロベンジルブロミド310.5mg(1.5mmol)を反応器に入れ、アセトン5mLに溶解し、室温で一晩撹拌し、TLCによりモニターした。反応後、反応混合物を減圧下で濃縮してアセトンを除去し、カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール(V:V)=10:1)で分離および精製し、乾燥して185.5mgの化合物15(収率81.19%)を得た。
【0108】
1H NMR (600 MHz, DMSO) δ 9.29 (d, J = 6.4 Hz, 2H), 9.00 (s, 1H), 8.60 - 8.56 (m, 2H), 7.41 (d, J = 5.7 Hz, 2H), 7.38 - 7.33 (m, 1H), 5.99 (dd, J = 17.7, 11.2 Hz, 1H), 5.87 (s, 2H), 5.51 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 4.90 - 4.78 (m, 2H), 4.50 (d, J = 6.0 Hz, 1H), 4.27 (s, 2H), 2.36 (s, 1H), 2.17 (dd, J = 19.1, 11.0 Hz, 1H), 2.10 - 2.01 (m, 1H), 1.99 - 1.89 (m, 2H), 1.66 - 1.56 (m, 2H), 1.50 - 1.41 (m, 1H), 1.38 - 1.18 (m, 7H), 1.07 (d, J = 15.5 Hz, 1H), 1.01 - 0.93 (m, 1H), 0.79 - 0.75 (m, 6H), 0.58 (d, J = 7.1 Hz, 3H)。
【0109】
13C NMR (151 MHz, DMSO) δ 217.53, 166.94, 166.72, 162.78, 148.53, 147.90, 145.89, 141.17, 127.28, 124.32, 115.55, 112.91, 112.74, 72.87, 70.86, 61.62, 57.59, 45.37, 44.31, 43.91, 41.97, 36.84, 36.72, 36.26, 34.43, 31.24, 30.51, 28.77, 27.03, 24.89, 16.60, 14.91, 11.96。
【0110】
2.In vitro抗菌活性アッセイ
本発明のチアゾール-ピリジンベンジル4級アンモニウム塩側鎖を含むプレウロムチリン誘導体の最小発育阻止濃度(MIC)は、モキシフロキサシン(Shanghai Macklin Biochemical Technology Co.,Ltd.から購入)を陽性対照として、マイクロブロス希釈法で試験された。同時に、より優れた活性を含むプレウロムチリン誘導体をスクリーニングするために、本発明のチアゾール-ピリジンベンジル4級アンモニウム塩側鎖を含むプレウロムチリン誘導体を、市販のプレウロムチリン系抗生物質であるレタパムリン(Nanjing Chemlin Chemical Industry Co.,Ltd.から購入)、チアムリン(Shanghai Yuanye Bio-Technology Co.,Ltd.から購入)およびバルネムリン(Shanghai Acmec Biochemical Co.,Ltd.から購入)と比較した。
【0111】
標準菌株には、グラム陽性菌:表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)ATCC12228、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)ATCC 29213、ATCC25923およびメチシリン耐性黄色ブドウ球菌ATCC 33591;グラム陰性菌:サルモネラ(Salmonella)ATCC 14028、アシネトバクター・バウマニATCC 19606、大腸菌ATCC 25922およびCMCC 44103(すべての菌株はAmerican Type Culture Collectionから購入)が、含まれる。
【0112】
臨床耐性菌には、多剤耐性緑膿菌(MDR-PA)18-993、18-756、18-126、多剤耐性肺炎桿菌(MDR-KP)18-893、18-754、18-1482、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)18-171、18-209および18-575、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)18-94、18-80および18-507、カルバペネム耐性アシネトバクター・バウマニ(CR-AB)18-184、18-560および18-882(すべての臨床薬剤耐性株は、Huashan Hospital,Fudan Universityからのものであった)が、含まれる。
【0113】
具体的な操作ステップは以下の通りである。
【0114】
(1)MHB培地の調製:MHB培地(Guangdong Huankai Microbial Sci.&Tech Co.,Ltd.より購入)20.0gを計量し、蒸留水1Lに加え、完全に溶解するまで加熱煮沸し、三角フラスコに分注し、後に使用するために121℃で15分間のオートクレーブ処理を行った。
【0115】
(2)実験株の対数増殖期までの培養:無菌条件下で、回収した実験株を100mLのMHB培地に接種し、後に使用するために37℃の恒温恒湿インキュベーター内に20~22時間放置した。
【0116】
(3)試料溶液の調製:被検試料(本発明で合成した化合物1~化合物15、レタパムリン、チアムリン、バルネムリン)を秤量し、DMSO溶液に溶解して濃度10.24mg/mLの試料溶液を調製し、陽性対照(モキシフロキサシン)をDMSO溶液に溶解して濃度5.12mg/mLの試料溶液を調製した。
【0117】
(4)細菌懸濁液の調製:無菌条件下で、対数増殖期まで培養した実験株をMHB培地でMcfarland Standard0.5に補正し、後に使用するために1:200の割合で希釈した。
【0118】
(5)微量二倍希釈法によるMICの測定:滅菌済み96ウェルプレートに、2番目のウェルにモキシフロキサシン試料溶液10μL、4番目から11番目のウェルにDMSO溶液10μL、3番目と4番目のウェルに勾配希釈した試料溶液10μLを加え、10番目のウェルまで薬剤を2倍希釈し、11番目のウェルを溶媒対照とした。次いで、各ウェルに最終菌濃度が5×10CFU/mLとなるように希釈菌体懸濁液190μLを添加し、37℃の恒温恒湿インキュベーター内で20~22時間インキュベートした。
【0119】
(6)MICエンドポイントの解釈:黒背景下にて96ウェルプレートで認められる細菌の増殖を完全に抑制できる濃度を、細菌に対するその試料の最小発育阻止濃度とする。(代表化合物2のin vitro抗菌結果の一部を図17図21に示す)
【0120】
【表1】
【0121】
表1より、化合物1~化合物15は、表皮ブドウ球菌(ATCC 12228)および黄色ブドウ球菌(ATCC 25923およびATCC 29213)に対して良好な抑制効果を示し、化合物1~化合物12の効果は、市販のプレウロムチリン系抗生物質の効果よりも、はるかに優れている。このうち、ATCC 25923に対する化合物1、4、6、7のMIC値は0.5μg/mL、ATCC 29213に対する化合物1、7、8、10のMIC値は0.125μg/mL、ATCC 25923およびC 29213に対する化合物2のMIC値は最大で0.0625μg/mLで、これはすべての化合物の中で最高の抗菌効果である。合成された化合物1~化合物15はメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(ATCC 33591)を抑制できる。市販されている3種類のプレウロムチリン系抗生物質と比較すると、化合物1~化合物7および化合物9~化合物12の抗菌効果が市販薬よりも優れていることがわかる。
【0122】
さらに、化合物1~化合物15は、サルモネラ(ATCC 14028)およびアシネトバクター・バウマニ(ATCC 19606)に対しても抗菌作用を示し、すべての化合物のMIC値は0.5μg/mL~32μg/mLとなった。このうち、化合物4はATCC 14028に対して最も優れた抗菌作用を示し(MIC=0.5μg/mL)、化合物2はATCC 19606に対して最も優れた抗菌作用を示した(MIC=1μg/mL)。合成された化合物1~化合物15も、大腸菌(ATCC 25922、CMCC 44103)に対して程度の差こそあれ抑制効果を示し、その抗菌効果は市販の3種類の薬剤よりも弱くはない。このうち、化合物2はMIC値がそれぞれ0.0625、0.5μg/mLと最も優れた効果を発揮している。
【0123】
要約すると、本発明のチアゾール-ピリジンベンジル4級アンモニウム塩側鎖を含むプレウロムチリン誘導体は、様々な細菌株に対して抑制効果を発揮し、ほとんどの化合物が薬剤耐性菌に対して市販の3種類の薬剤よりも強い抑制能力を有しており、さらなる臨床研究の意義がある。
【0124】
【表2】
【0125】
表2から、化合物2、化合物4および化合物7は、試験した15種類の臨床薬剤耐性菌に対して様々な程度で抑制効果を発揮することができ、なかでも化合物7は、すべての臨床薬剤耐性菌に対して、レタパムリンの効果より優れた抑制効果を示し、広域スペクトルの抗菌活性を有し、薬剤耐性菌感染症の臨床治療における新たな選択肢として期待できることがわかる。
【0126】
3.抗マイコプラズマ活性アッセイ
様々なマイコプラズマ属に対する、チアゾール-ピリジンベンジル4級アンモニウム塩側鎖を含むプレウロムチリン誘導体の最小発育阻止濃度を、チアムリン(Shanghai Yuanye Bio-Technology Co.,Ltd.から購入)を陽性対照として、マイクロブロス希釈法で試験し、様々なマイコプラズマに対する抗菌効果を評価した。
【0127】
実験菌株には、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ標準菌株J株(Mhp-J;NCTC10110)、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ臨床分離株LH株(Mhp-LH)、マイコプラズマ・ハイオリニス(Mycoplasma hyorhini)標準菌株BTS-7株(Mhr-BTS-7; NCTC 10130)、マイコプラズマ・ガリセプチカムR株(MG-R)、マイコプラズマ・シノビエWVU1853株(MS-WVU1853;NCTC 10124)(英国のNational Collection of Type Culturesから購入)が、含まれる。
【0128】
具体的な操作ステップは、以下の通りである。
【0129】
(1)KM2培地の調製:KM2培地(Guangdong Huankai Microbial Sci.&Tech.Co.,Ltd.より購入)38.9gを秤量し、蒸留水800mLに加え、煮沸溶解し、後に使用するために115℃で20分間のオートクレーブ処理を行った。
【0130】
(2)細菌液ストックの調製:マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mhp)、マイコプラズマ・ハイオリニス(Mycoplasma hyorhini)(Mhr)、マイコプラズマ・ガリセプチカム(MG)、マイコプラズマ・シノビエ(MS)をそれぞれ0.5mL取り、KM2液体培地4.5mLに移し、培地の色が黄色になった時点で各菌をチューブあたり0.5mLでサブパッケージし(sub-packed)、細菌液として-70℃で保存した。
【0131】
(3)細菌液力価(色変化単位、CCU)の測定:96ウェルプレート法を用いて細菌液力価を測定した。保存菌液ストックを-70℃から採取し、溶融後、室温に平衡化した。96ウェルプレートの中央4列(つまり4重複で)の各ウェルに0.18mLのKM2培地を加え、細菌液ストックを0.02mL採取して1番目のカラムのウェルにそれぞれ加え、10-11まで10倍希釈を行った。KM2培地のみを含む陰性対照を設定した(カラム12)。プレートを密封し、37℃のインキュベーターに入れ、日毎に結果を観察した。培地の色が変化し得る最高希釈度は、菌株のCCU/mLであった。
【0132】
(4)MICの測定:マイコプラズマに対する化合物の最小発育阻止濃度を、マイクロブロス希釈法により測定した。各試験薬を濃度2560μg/mLのストック溶液として調製し、各薬物ストック溶液をKM2液体培地で2倍希釈し、試験濃度範囲を0.015~128μg/mL(濃度勾配大)および0.000004~0.06μg/mL(濃度勾配小)とした。適量の種菌液を採取し、その力価に応じて10CCU/mLまで連続的に希釈した。96ウェルプレートに各種希釈度の薬剤を順次添加し、その後、同量の希釈菌液を添加した。陽性対照として希釈マイコプラズマ液200μL、陰性対照としてKM2液体培養液200μL、さらに溶媒対照群(薬剤溶媒10μL+マイコプラズマ液190μL)を設定した。各実験に3重複で設定された。全ての培養プレートを密封した後、37℃で培養させ、毎日観察し、最終的なMIC値を記録した(5種類のマイコプラズマ株に対する代表的な化合物7のMIC測定結果については図22参照)。
【0133】
【表3】
【0134】
【表4】
【0135】
表4の結果は、マイコプラズマ・ハイオニューモニエJ株およびマイコプラズマ・ガリセプチカムR株に対する化合物7のMIC値はいずれも0.004μg/mL、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ臨床分離株LH株に対する化合物7のMIC値は、0.002μg/mL、マイコプラズマ・ハイオリニス(Mycoplasma hyorhinois)BTS-7株に対する化合物7のMIC値は0.008μg/mL、マイコプラズマ・シノビエWVU1853株に対する化合物7のMIC値は0.015μg/mLであったことを示している。この効果は市販のプレウロムチリン系抗生物質の効果よりも優れており、化合物7にはさらなる研究の意義がある。
【0136】
4.化合物の溶解度の測定
【0137】
実験方法:
溶解度測定のために代表化合物2、4、7を選択し、対照として塩酸レタパムリンを使用した。各試料1mgを採取し、10mLメスフラスコに定量溶解し、高速液体クロマトグラフィーで吸収ピーク面積を測定した。次いで、代表化合物2、4、7および対照薬レタパムリンの飽和溶液を10倍に希釈し、HPLCにより吸収ピーク面積を測定した。吸収ピーク面積を計算してそれぞれの溶解度を得た。
【0138】
実験装置はShimadzuLC-16、クロマトグラフィーカラムはHypersil C18 ODS(4.6×250mm×5μm)、流速は1.0mL/分、検出波長は300nm、移動相は0.05mol/Lの酢酸水溶液:アセトニトリル=30:70であった。
【0139】
【表5】
【0140】
表5の試験結果から、試験化合物は、中性水溶液、ヒト胃酸環境のPH=1.5を模擬した塩酸水溶液、およびn-オクタノールに対する溶解度が良好であり、対照薬の塩酸レタパムリンと比較して脂溶性および水溶性が大きく改善されていることがわかる。3つの試験化合物の、水溶液への溶解度は2mg/mLを超え、n-オクタノールへの溶解度は10mg/mLを超えている。これらの良好な特性から、これらの化合物はさらなる開発の可能性を秘めている。
【0141】
上記の内容は、本発明の技術思想を説明するためのものであり、本発明の保護範囲を限定するものではない。本発明で提案される技術的思想に基づく技術的解決策に基づいて行われるいかなる変更も、本発明の特許請求の範囲の保護範囲内に入る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22