(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-18
(45)【発行日】2024-07-26
(54)【発明の名称】鋳型造型装置および鋳型造型方法
(51)【国際特許分類】
B22C 15/02 20060101AFI20240719BHJP
B22C 15/06 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
B22C15/02 B
B22C15/06
(21)【出願番号】P 2023510467
(86)(22)【出願日】2022-11-24
(86)【国際出願番号】 JP2022043395
(87)【国際公開番号】W WO2023195199
(87)【国際公開日】2023-10-12
【審査請求日】2023-03-17
(31)【優先権主張番号】P 2022063676
(32)【優先日】2022-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】592089799
【氏名又は名称】メタルエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095577
【氏名又は名称】小西 富雅
(72)【発明者】
【氏名】下村 幸一
(72)【発明者】
【氏名】船木 大輔
(72)【発明者】
【氏名】金平 諭三
【審査官】岡田 隆介
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-207440(JP,A)
【文献】特開昭60-115346(JP,A)
【文献】実開昭60-005748(JP,U)
【文献】特開平01-127136(JP,A)
【文献】特開2002-273547(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22C 15/02
B30B 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクイズテーブル上に載置された鋳枠およびキャリアプレートで形成された造型空間において、投入された鋳物砂を、押圧する押圧部材と、
前記押圧部材と前記スクイズテーブルとの間を、接近離間するように駆動させる駆動機構であって、前記押圧部材を押圧させる方向に沿って相対的に移動する出力部を備えた駆動機構と、
前記駆動機構を駆動させる電動モータと、
前記出力部に出力される前記駆動機構の力を減少するように調整し、前記押圧部材に前記鋳物砂の押圧に必要な所定の押圧力を生じさせる圧力調整装置と、
を備えた鋳型造型装置。
【請求項2】
前記駆動機構は、前記出力部に生じさせる力に変動を伴う駆動機構であり、
前記圧力調整装置は、前記出力部に出力される前記駆動機構の変動する力を減少するように調整する請求項1に記載の鋳型造型装置。
【請求項3】
前記圧力調整装置は、前記押圧部材の押圧力を受ける油圧シリンダと、前記油圧シリンダの背圧を制御する圧力制御弁とを備え、
前記押圧部材は、複数個のスクイズフートで構成されている、請求項2に記載の鋳型造型装置。
【請求項4】
前記駆動機構は、
前記電動モータによる回転運動を押圧させる方向に沿った直線運動に変換する運動変換装置を備え、
前記出力部は、前記運動変換装置によって直線運動するものであり、
前記圧力調整装置は、前記出力部と前記押圧部材との間に設けられている、請求項2または3に記載の鋳型造型装置。
【請求項5】
前記運動変換装置は、円形の外輪部を有し、前記電動モータによって前記外輪部の中心より所定距離偏心した偏心軸の偏心回転中心周りに回転駆動される偏心輪と、一方側が前記偏心輪の外輪部に相対回転可能に連結され、他方側が前記出力部に揺動可能に連結されたリンク部材と、を備えた、請求項4に記載の鋳型造型装置。
【請求項6】
前記運動変換装置は、共通する前記出力部を挟んで配置された一対の前記運動変換装置であり、
二つの前記運動変換装置の間には、それぞれの前記偏心輪を反対方向に同期させて回転させる同期装置を備えた、請求項5に記載の鋳型造型装置。
【請求項7】
前記駆動機構には、前記押圧部材を前記鋳枠内に投入された鋳物砂の押圧を開始する第一位置まで下降させる第一下降装置と、
前記押圧部材を、前記鋳枠内の前記鋳物砂の押圧を実施して終了する第二位置まで下降させる第二下降装置と、を備える請求項2に記載の鋳型造型装置。
【請求項8】
前記第一下降装置は、円形の外輪部を有し、前記電動モータによって前記外輪部の中心より所定距離偏心した偏心軸の偏心回転中心周りに回転駆動される偏心輪と、
一方側が前記偏心輪の外輪部に相対回転可能に連結され、他方側が前記出力部に回転可能に連結されたリンク部材と、を備え、
前記偏心軸の前記偏心回転中心は、前記偏心輪の下降端である下死点において、前記外輪部の中心を通る垂直線上に配置される、請求項7に記載の鋳型造型装置。
【請求項9】
請求項5に記載された鋳型造型装置を使用して鋳型を造型する方法であって、
前記偏心輪の一方方向の一回転により、前記鋳物砂を前記押圧部材で押圧して鋳型を造型する一工程を終了する鋳型造型方法。
【請求項10】
出力部に生じさせる力に変動を伴う駆動機構と、
前記駆動機構を駆動させる電動モータと、前記出力部に出力される前記駆動機構の変動する力を減少するように調整し、押圧部材に鋳物砂の押圧に必要な所定の押圧力を生じさせる圧力調整装置と、を有する鋳型造型装置を使用して鋳型を造型する方法であって、
上盛枠と鋳枠と模型が固定されたキャリアプレートと下盛枠とにより、形成される造型空間に投入された前記鋳物砂に対して押圧するための前記押圧部材の初期押圧力を、予定されるスクイズにおける最も高い押圧力よりも高い値に設定する初期押圧力設定工程と、
前記模型の上方から前記模型の背面に向かって行う第一のスクイズにおいて前記押圧部材の押圧力を、前記圧力調整装置により第一の押圧力に調整して行う背面側予備スクイズ工程と、
前記模型の模型面側から上方に向かって行う第二のスクイズにおいて、前記押圧部材の押圧力を、前記第一の押圧力よりも高い第二の押圧力に調整して行う模型面側スクイズ工程と、
前記模型の上方から前記模型の背面に向かって行う第三のスクイズにおいて前記押圧部材の押圧力を、前記第二の押圧力よりも高く、かつ前記初期押圧力よりも低い第三の押圧力に調整して行う背面側本スクイズ工程と、
を備えた鋳型造型方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
鋳物砂を使用した鋳型の造型装置およびその造型装置を実施するための鋳型造型方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鋳型を造型するには、模型が載置固定された模型定盤と鋳枠とで形成した造型空間内に、鋳物砂を充填する。この投入された鋳物砂を押圧し、模型を抜き出すことで、砂による鋳型を形成する。
【0003】
このような鋳型を製造する鋳型造型装置として、油圧式シリンダによるアクチュエータによって、鋳枠内の鋳物砂を押圧(スクイズ)するのが一般的であった。
【0004】
しかし、油圧式シリンダの圧力源である油圧発生装置は、設備の稼働中、常時運転する場合が多く、使用電力量が特に多い装置であるため、大きなランニングコストを生じるものであった。
【0005】
そのため、近年は、使用電力の削減による省エネを目指して、脱油圧式シリンダが検討され、アクチュエータの電動化が進められている。
そのような電動化の例として、特許文献1には、サーボモータを使用した直動型の電動シリンダを使用してスクイズプレート(押圧部材)を昇降させている。
【0006】
上記電動シリンダは、一般的にボールねじ機構のねじとナットで構成されている。制御方法は、一般的に鋳物砂の押圧力をサーボモータのモータートルクに換算してトルク制御される。
【0007】
特許文献2には、サーボモータを使用して、クランク軸とコンロッドにより回転運動を直線運動に変換するプレス機械が記載されている。
【0008】
しかし、特許文献1および特許文献2において、原動機としてサーボモータを使用していることから、その作動は複雑な制御が必要である。そのため設備費用の増大や保全上の問題があった。また、生産数が少ない造型設備では、造型速度が遅くできるので、サーボモータ制御による短時間での加速および減速位置決めの必要がない場合があり、設備費用の削減と装置の簡素化が望まれていた。
【0009】
また、ボールねじ機構は、精密な部品で構成されており、鋳物工場の粉塵の影響により支障が発生する不具合と保全上の問題があった。
【0010】
また、鋳型の造型において、鋳枠内の鋳物砂の性質(圧縮度)や模型形状によって、鋳型高さをスクイズのたびに変更することが必要になる。しかし、このような変更に対して、特許文献2のプレス機械では、適正な押圧力を出力するための対応が充分にはできないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開平8-164444号公報
【文献】特開2004-17089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明はかかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、設備コストの低減を図るとともに、電動モータを使用して、鋳物砂をスクイズして造型することが可能な鋳型造型装置およびその造型に使用される造型方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第一の態様の鋳型造型装置によれば、スクイズテーブル上に載置された鋳枠およびキャリアプレートで形成された造型空間において、投入された鋳物砂を、押圧する押圧部材と、前記押圧部材と前記スクイズテーブルとの間を、接近離間するように駆動させる駆動機構であって、前記押圧部材を押圧させる方向に沿って移動する出力部を備えた駆動機構とを備えている。
【0014】
さらに、前記駆動機構を駆動させる電動モータと、前記出力部に出力される前記駆動機構の力を減少するように調整し、前記押圧部材に前記鋳物砂の押圧に必要な所定の押圧力を生じさせる圧力調整装置と、を備えている。
【0015】
これによれば、駆動機構が出力部を移動させる際に生じる力を、圧力調整装置で減少されるように調整して押圧部材に伝達する。これによって、造型毎に異なる鋳物砂の圧縮度や鋳型の高さの変更に対応して、押圧部材に所定の押圧力を生じさせて鋳物砂を押圧することができる。
【0016】
本発明の第二の態様の鋳型造型装置によれば、第一の態様の鋳型造型装置において、前記駆動機構は、前記出力部に生じさせる力に変動を伴う駆動機構であり、前記圧力調整装置は、前記出力部に出力される前記駆動機構の変動する力を減少するように調整する。
これによれば、駆動機構が出力部を移動させる際に生じる変動する力を、圧力調整装置で減少されるように調整して押圧部材に伝達する
【0017】
本発明の第三の態様の鋳型造型装置によれば、第二の態様の鋳型造型装置において、前記圧力調整装置は、前記押圧部材の押圧力を受ける油圧シリンダと、前記油圧シリンダの背圧を制御する圧力制御弁とを備え、前記押圧部材は、複数個のスクイズフートで構成されている。
【0018】
これによれば、模型の形状、鋳物砂の性質に合わせてスクイズフートの押圧力を調整して、適切な押圧力で押圧することができる。
【0019】
本発明の第四の態様の鋳型造型装置によれば、第二または第三の態様の鋳型造型装置において、前記駆動機構は、前記電動モータによる回転運動を押圧させる方向に沿った直線運動に変換する運動変換装置を備え、前記出力部は、前記運動変換装置によって直線運動するものであり、前記圧力調整装置は、前記出力部と前記押圧部材との間に設けられている。
【0020】
これによれば、電動モータの回転運動を運動変換装置によって押圧する方向に沿った直線運動に変換する場合には、出力部に生じる押圧力や移動速度に変動を生じている。しかし、圧力調整装置によって、出力部における圧力の変動を減少させ、押圧部材に安定した押圧力を生じさせることができる。
【0021】
本発明の第五の態様の鋳型造型装置によれば、第四の態様の鋳型造型装置において、前記運動変換装置は、円形の外輪部を有し、前記電動モータによって前記外輪部の中心より所定距離偏心した偏心軸の偏心回転中心周りに回転駆動される偏心輪と、一方側が前記偏心輪の外輪部に相対回転可能に連結され、他方側が前記出力部に揺動可能に連結されたリンク部材と、を備えた。
本明細書における「偏心回転中心」とは、偏心輪の中心から偏心した偏心軸の軸心であって、偏心輪が回転する場合の回転中心となるものを意味する。
【0022】
これによれば、偏心回転中心を中心として回転する偏心輪の外輪部の揺動回転によって、リンク部材の他方側に連結された出力部は、押圧する方向に沿って直線上に移動する。
偏心回転中心に対して外輪部の中心が垂直となる位置の近傍において、出力部の移動速度は遅くなるが、押圧する方向への圧力は大きくなるという変動が生じる。しかし、こういった変動を、圧力調整装置によって減少させることができる。
【0023】
本発明の第六の態様の鋳型造型装置によれば、第五の態様に記載の鋳型造型装置において、前記運動変換装置は、共通する前記出力部を挟んで配置された一対の前記運動変換装置であり、二つの前記運動変換装置の間には、それぞれの前記偏心輪を反対方向に同期させて回転させる同期装置を備えた。
【0024】
これによれば、各偏心輪により出力部に斜め荷重が作用しても、横方向の荷重成分は、反対方向に向かうものであるため、相殺される。そのため、出力部には垂直方向の力のみが作用する。出力部は、垂直方向にガイドする特別な機構を使用しなくても、上下方向に円滑に移動することができる。
【0025】
本発明の第七の態様の鋳型造型装置によれば、第二の態様の鋳型造型装置において、前記駆動機構には、前記押圧部材を前記鋳枠内に投入された鋳物砂の押圧を開始する第一位置まで下降させる第一下降装置と、前記押圧部材を、前記鋳枠内の鋳物砂の押圧を実施して終了する第二位置まで下降させる第二下降装置と、を備える。
【0026】
これによれば、押圧部材を下降させる駆動機構を、単に押圧部材を下降させる第一下降装置と、実際に押圧部材で加圧を行う第二下降装置と二つに分けることで、第一下降装置には、少ない電力で駆動する装置とすることができ、電力の無駄を削減することができる。
【0027】
本発明の第八の態様の鋳型造型装置によれば、第七の態様の鋳型造型装置において、前記第一下降装置は、円形の外輪部を有し、前記電動モータによって前記外輪部の中心より所定距離偏心した偏心回転中心周りに回転駆動される偏心輪と、一方側が前記偏心輪の外輪部に相対回転可能に連結され、他方側が前記出力部に回転可能に連結されたリンク部材と、を備え、前記偏心軸の軸心は、前記偏心輪の下降端である下死点において、前記外輪部の中心を通る垂直線上に配置される。
【0028】
これによれば、偏心軸の軸心は、偏心輪の下降端である下死点と一致しているので、第二下降装置によるスクイズ時に高荷重が作用しても、第一下降装置の偏心輪が回転することなく、確実にスクイズすることができる。
【0029】
本発明の第九の態様の鋳型造型方法によれば、第五の態様の鋳型造型装置を使用した鋳型造型方法であって、前記偏心輪の一方方向の一回転により、前記鋳物砂を前記押圧部材で押圧して鋳型を造型する一工程を終了する。
【0030】
これによれば、スクイズ終了端で上昇方向に切り替える際に、電動モータを減速停止して逆転する必要が無い。そのため、起動停止頻度の増加による電動モータへの負荷の軽減と切り替えのために発生する減速停止時間のロスを防止することができる。
【0031】
本発明の第十の態様の鋳型造型方法によれば、出力部に生じさせる力に変動を伴う駆動機構と、前記出力部に出力される前記駆動機構の変動する力を抑制するように調整し、押圧部材に鋳物砂の押圧に必要な所定の押圧力を生じさせる圧力調整装置と、を有する鋳型造型装置を使用して鋳型を造型する方法である。
【0032】
そして、上盛枠と鋳枠と模型が固定されたキャリアプレートと下盛枠とにより、形成される造型空間に投入された前記鋳物砂に対して押圧するための前記押圧部材の初期押圧力を、予定されるスクイズにおける最も高い押圧力よりも高い値に設定する初期押圧力設定工程と、前記模型の上方から前記模型の背面に向かって行う第一のスクイズにおいて前記押圧部材の押圧力を、前記圧力調整装置により第一の押圧力に調整して行う背面側予備スクイズ工程とを備える。
【0033】
そして、前記模型面側から上方に向かって行う第二のスクイズにおいて、前記押圧部材の押圧力を、前記第一の押圧力よりも高い第二の押圧力に調整して行う模型面側スクイズ工程と、前記模型の上方から前記模型の背面に向かって行う第三のスクイズにおいて前記押圧部材の押圧力を、前記第二の押圧力よりも高く、かつ前記初期押圧力よりも低い第三の押圧力に調整して行う背面側本スクイズ工程と、を備えた。
【0034】
これによれば、圧力調整装置によって押圧に必要な力が調整されるので、初期押圧力を、第三の押圧力より高く設定するだけで、特別な装置を付加することなく、三段階のスクイズを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明の鋳型造型装置の第一実施形態を一部断面図で示す正面側から見た概要図であり、スクイズ前の状態を示す図である。
【
図6】第一実施形態におけるスクイズを実施した状態を示す正面側から見た図である。
【
図7】第一実施形態におけるスクイズを実施した状態を示す側面側から見た図である。
【
図8】本発明の鋳型造型装置の第二実施形態を一部断面図で示す正面側から見た概要図である。
【
図9】第二実施形態において、予備スクイズ工程を実施した状態を表す図である。
【
図10】模型面側からのスクイズを実施した状態を表す図である。
【
図11】背面側からの本スクイズを実施した状態を示す図である。
【
図12】押圧部材を上昇させた状態を示す図である。
【
図13】本発明の鋳型造型装置の第三実施形態を一部断面図で示す正面側から見た概要図である。
【
図14】第三実施形態を一部断面図で示す側面側から見た図である。
【
図15】押圧部材を第一位置まで降下させた状態を示す図である。
【
図16】押圧部材を第二位置まで降下させた状態を示す図である。
【
図17】第四実施形態を一部断面図で示す正面側から見た図である。
【
図18】第四実施形態の造型装置において、スクイズした状態を表す図である。
【
図19】第五実施形態を一部断面図で示す側面側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
(第一実施形態)
本件発明にかかる鋳型造型装置および鋳型造型方法の第一実施形態を
図1から
図7に基づいて以下に説明する。
【0037】
第一実施形態における鋳型造型装置1は、
図1に示すように、スクイズテーブル2と、押圧部材3と、駆動機構4と、電動モータ5と、圧力調整装置6とを備えている。
【0038】
なお、駆動機構4の回転軸(偏心軸422)に直角な水平方向をX方向とし、X方向に直角な水平方向をY方向とする。搬送されるものがある場合に、その搬送方向に沿った仮想の中心線を考え、その中心線に近い側を「内側」、遠い側を「外側」というものとする。
また、鋳枠の搬送において、搬送の起点側を上流側といい、搬送の終点側を下流側というものとする。
【0039】
(スクイズテーブル)
スクイズテーブル2は、模型CMおよび模型定盤MPが固定されたキャリアプレートCPが載置され、スクイズの際、後述する押圧部材3の受けとなるものである。本実施形態におけるスクイズテーブル2は、基台73に固定された断面矩形状の台である。
【0040】
(押圧部材)
押圧部材3は、上盛枠TF、鋳枠MF、模型定盤MP等で構成される造型空間内に投入された鋳物砂CSを押圧することで、鋳物砂CSを突き固め、砂による鋳型を造型するものである。後述する駆動機構4の出力部44から出力されるか下方へ向かう力によって、鋳物砂CSを押圧する。
【0041】
本実施形態における押圧部材3は、複数のスクイズフート31から構成されている。各スクイズフート31は、略立方体形状の押圧部31aとロッド部31bとを備え、押圧部31aは、複数の押圧部31aを矩形状に集合させて並べられ、押圧部31aの下面で鋳物砂CSを押圧する。
【0042】
各押圧部31aの上部は、棒状形状のロッド部31bの下端が一体に連結されている。ロッド部31bの上端は、後述する圧力調整装置6のピストン部61bに連結されている。ロッド部31bは、後述する圧力調整装置6のシリンダ部61aの開口部より下方に向かって進退するよう構成されている。
【0043】
(上盛枠)
上盛枠TFは、スクイズするために押圧されるストローク分だけ、余分に造型空間に投入される鋳物砂CSがこぼれないように鋳枠MFに重ねて保持される。鋳枠MFに造型がなされた後には、鋳枠MFより取り外される。
【0044】
上盛枠TFは、例えば鉄製で矩形の枠状に形成されている。
鋳枠MFおよび模型定盤MPは、周知技術であるため、説明を省略する。
【0045】
(電動モータ)
電動モータ5は、後述する駆動機構4を駆動させる。電動モータ5は、構造体の支持立壁71の裏側にY方向に突出したブラケット部71eに固定されている(
図2参照)。
【0046】
電動モータ5は、例えば、誘導モータを使用することができる。誘導モータは、サーボモータのように複雑な制御を要しないタイプのものである。前述のように、電動モータ5の出力軸(図略)には、変速機52が設けられ、変速機52の出力部分には、カップリング51を介して後述する駆動機構4の偏心軸422に連結されている。
【0047】
(駆動機構)
駆動機構4は、電動モータ5の回転トルクを押圧部材3に押圧力として伝達する。
駆動機構4は、運動変換装置41と出力部44とを備えている。
【0048】
(運動変換装置)
運動変換装置41は、電動モータ5の回転運動を、出力部44の直線運動に変換する。
運動変換装置41は、偏心輪42と、コネクティングロッド(以下、コンロッド43という。)と、を備えている。コンロッド43は、リンク部材に相当する。
【0049】
偏心輪42は、例えば鉄製で、外輪部421と偏心軸422とを備えている。外輪部421は円形の板状に形成され、外輪部421の円周部にはリンク部材であるコンロッド43の一方の端部(大端部431)が、互いに相対回転自在に外嵌されて連結されている。偏心輪42は、偏心軸422の回転中心に設けられた偏心回転中心CE周りに回転する。
【0050】
偏心軸422は、外輪部421の中心Cより所定距離偏心した位置に設けられている。この偏心した所定距離の二倍が偏心輪42のストローク長さとなる。偏心軸422は、外輪部421の円周部に対して直角となる方向に表裏の両側に突出して形成されている(
図2参照)。偏心軸422は、構造体7の支持立壁71の軸受けに軸支されている。偏心軸422の一方は、前述のようにカップリング51を介して電動モータ5の出力軸に連結された変速機52に接続されている(
図3参照)。
【0051】
(コンロッド)
コンロッド43は、出力部44と偏心輪42とを連結し、偏心輪42の回転運動を出力部44の直線運動に変換する。
コンロッド43は、例えば、鉄製で、一方側に設けられた大端部431と、他方側に設けられた小端部432と、大端部431および小端部432を繋ぐ連結部433とを備えている。大端部431、小端部432および連結部433は、一体に形成されている。
【0052】
大端部431は、リング状に形成され、偏心輪42の外輪部421の外周に相対回転自在に外嵌される。小端部432は、大端部431のリングの中心軸と平行に形成された連結軸432aが設けられている。連結軸432aは、後述する出力部44の上部に設けられた軸受け穴に回転自在に連結される(
図4参照)。
連結部433は、所定長さで平らな棒状に形成され、大端部431と小端部432とを相対移動不能に連結する。
【0053】
(出力部)
出力部44は、コンロッド43の力を受けて、上下方向に直線的に往復移動する。出力部44の下端は、昇降フレーム611の上端に図略のボルト等で連結されている。
出力部44は、例えば、鉄製で、上方から見て、中央に空間部を有する長方形の枠状に形成されている。また、正面から見て(
図1の正面図参照)方形状に形成されている。
【0054】
出力部44には、正面から見て、中央部には、連結軸432aが挿入される軸受け穴が、正面側と背面側とに同心で連通されている。軸受け穴には、図略のベアリングが設けられている。
【0055】
出力部44におけるX方向に並ぶ二つの側面の上部には、上下方向に延在する一対のガイド側壁442が設けられている。ガイド側壁442は、後述する構造体7の内壁71cに設けられたガイドローラ71dが接触して転動する。ガイド側壁442およびガイドローラ71dによって、出力部44は上下方向に直線的な往復移動が可能となっている。
【0056】
(構造体)
構造体7は、スクイズテーブル2、押圧部材3、駆動機構4、電動モータ5および圧力調整装置6を支持する役割を担う。
構造体7は、例えば鉄製で櫓状に形成され、支持立壁71と、天板部72と、基台73と、支持柱74とを備えている。
基台73は、矩形状の板で形成され、基台73の四隅から円柱状の支持柱74が立設されている。
【0057】
各支持柱74は、水平に設けられた矩形状の天板部72を四隅において支持する。天板部72には中央部に矩形状の貫通穴72aが設けられ、貫通穴72aには後述する油圧シリンダ装置61の昇降フレーム611が通過可能に収納される(
図5参照)。
【0058】
貫通穴72aのY方向に並んで対向する垂直面には、垂直方向に延在するガイドレール72bがそれぞれ設けられている。ガイドレール72bは、後述する昇降フレーム611のガイド溝611aに摺動可能に嵌合され、ガイドレール72bに沿って昇降フレーム611が上下動するようになっている。
【0059】
天板部72の上面には、支持立壁71が立設されている。
支持立壁71は、前述のブラケット部71eにおいて電動モータ5が配置されており、コンロッド43の大端部431を支持することで、コンロッド43に連結された出力部44、押圧部材3および圧力調整装置6を支持する。
【0060】
支持立壁71は、X方向に沿って延在し、Y方向に並んだ、略矩形状の二枚の板材より形成されている。二枚の板材は、上部において二本の連結橋部71aによって連結されている。二枚の板材は、下端部においてY方向に沿って延在する板状の脚部71bによって連結されている。
【0061】
支持立壁71は、出力部44のX方向に並ぶ二つの側面に対向する対となった内壁71cを有している。内壁71cは、垂直方向に沿って延在し、各内壁71cの下部には、出力部44のガイド側壁442の表面に接触して転動するガイドローラ71dが設けられている。
ガイドローラ71dは、以下の役目を担う。
【0062】
コンロッド43は、大端部431が回転中心から偏心して回転するので、出力部44には、垂直より斜めに傾斜した斜め荷重が生じる。そのため、出力部44には、斜め荷重の横方向成分である横荷重が一方に多く負荷され、他方に少なく負荷されるという現象が生じる。
【0063】
これによって、出力部44には、X方向における両側に異なった摩擦力が生じて、滑らかなスライドが行われなくなる。そのため、ガイドローラ71dにより負荷される荷重が異なっても、滑らかにスライドするように構成されている。
出力部44の下端は、後述する圧力調整装置6の上端部が連結されている。
【0064】
(圧力調整装置)
圧力調整装置6は、駆動機構4の変動する力を抑制するように調整し、押圧部材3に、安定したかつ必要な所定の押圧力を生じさせる。
圧力調整装置6は、油圧シリンダ装置61と、油圧ポンプ62と、圧力センサ63と、圧力制御弁64と、圧力指令アンプ65とを備えている。
【0065】
(油圧シリンダ装置)
油圧シリンダ装置61は、昇降フレーム611とシリンダ部61aとピストン部61bとを備えている。昇降フレーム611は、例えば、鉄製で四角形の立体状に形成され、昇降フレーム611の内部には、円筒状に形成されて垂直方向に延在する複数のシリンダ部61aが矩形状に並べて設けられている。昇降フレーム611のY方向に並ぶ外側面には、垂直方向に延在するガイド溝611aが設けられている(
図5参照)。
【0066】
油圧シリンダ装置61は、前述の複数のスクイズフート31のそれぞれに対応して設けられている。スクイズフート31のロッド部31bの上端が、ピストン部61bに連結されている。
【0067】
複数の油圧シリンダ装置61は、各シリンダ部61aが油路66で連通しており、各油圧シリンダ装置61による油圧力が、すべてのシリンダ部61aにおいて均等に働くようになっている。
【0068】
シリンダ部61a内には油が充填されており、スクイズフート31がその先端の押圧部31aで鋳物砂CSを押圧する際、その押圧力は、シリンダ部61a内の油圧(即ち、ピストン部61bに作用する後述する背圧)により規制される。これら複数のシリンダ部61aは、油路66を介して一つの油圧ポンプ62に連通している。
【0069】
(圧力センサ・圧力制御弁)
シリンダ部61aと油圧ポンプ62との間には、圧力センサ63が設けられている。圧力センサ63は、油圧シリンダ装置61の背圧側の圧力を検出する。圧力センサ63と油圧ポンプ62との間には、圧力制御弁64に接続された分岐油路が設けられている。圧力制御弁64は、接続された圧力指令アンプ65から指令される指定の圧力値に基づいて減圧する減圧弁として働く。
【0070】
圧力制御弁64は、駆動機構4が出力部44および昇降フレーム611に入力する変動する圧力を、油圧シリンダ装置61の背圧において一定の圧力となるように減圧する。駆動機構4が、出力部44および昇降フレーム611に入力する圧力は、押圧に必要な圧力より少し高めの値に設定されて実行される。駆動機構4による入力する圧力の設定は、電動モータ5の出力、運動変換装置41の構造等から算定されて行われる。例えば、押圧に必要な圧力が10MPaの場合、駆動機構4による入力する圧力を、12MPaとなるように設定する。
【0071】
圧力調整装置6は、スクイズフート31が鋳物砂を加圧した際、スクイズフート31の後端側に作用する背圧を二次側の圧力センサ63で検出するとともに、検出された背圧が所定の圧力値を超えた場合に、シリンダ部61aと連通する油路66から油を排出して、設定された圧力値まで背圧を低下させる。
【0072】
(油圧ポンプ)
油路66の末端部分には、逆止弁67を介して油圧ポンプ62が配設されている。油圧ポンプ62は、後述する鋳物砂CSを押圧する動作においてシリンダ部61a側に後退したスクイズフート31を、当初の位置である前進端にまで戻す際に使用される。スクイズフート31を、当初の位置に戻す際に使用される圧力は、例えば、1MPa程でよく、そのために油圧ポンプ62を駆動させる電力量は、極めて少なく済ませることができる。
【0073】
(制御装置)
制御装置(図略)は、電動モータ5の駆動、偏心軸422の回転位置制御、圧力センサ63の信号に基づき圧力指令アンプ65を介して圧力制御弁64の吐出量制御を行う。
【0074】
(作動)
上記の鋳型造型装置1の作動について、
図1、
図2、
図6および
図7に基づいて以下に説明する。
まず、
図1は、鋳型造型装置1がスクイズする前の状態を示している。偏心輪42は、外輪部421が上死点で固定されている。コンロッド43は、上昇端に保持されており、コンロッド43に連結された出力部44、昇降フレーム611および押圧部材3(スクイズフート31)も、上昇端位置で保持されている。
【0075】
押圧部材3の下方には、スクイズテーブル2上にキャリアプレートCP、鋳枠MF、および上盛枠TFが重ねられていわゆる重合枠を形成している。重合枠内には、鋳物砂CSが図略の投入装置により投入されている。鋳物砂CSは、上盛枠TFの上端部位置まで盛り上げられている。
【0076】
油圧ポンプ62により駆動押圧部材3の各スクイズフート31は、シリンダ部内の油圧に押圧された状態で、シリンダ部61aに対して最下端に保持されている。
制御装置は、押圧部材3が初期押圧力で押圧するように、駆動機構4を算定した数値で出力させる準備を行う。
【0077】
次に、制御装置は、電動モータ5を駆動させ、偏心輪42を回転させる。
図6に示すように、180度回転させると昇降フレーム611は、最下端まで下降し、スクイズフート31によって、鋳物砂CSを押圧(スクイズ)する(
図7参照)。
【0078】
押圧部31aは、鋳物砂CSを押圧するする際に必要な所定の圧力で押圧する。その際に、所定の圧力以上の押圧力が加わった場合は、圧力センサ63により検知され、圧力制御弁64により余剰の圧力を生じる油が排出されて減圧される。そして、所望の押圧力によるスクイズを実現することができる。
【0079】
模型CMに対向する鋳物砂CSの厚みの小さい箇所は、該当するスクイズフート31により浅い位置まで押圧され、鋳物砂CSの厚みの大きな箇所は、スクイズフート31により深い位置まで押圧される。
【0080】
次に、制御装置は、偏心輪42をさらに同方向に180度回転させる。これによって、昇降フレーム611が上昇端位置まで上昇し、スクイズの一工程を終了する。
【0081】
上記の記載より明らかなように、本発明の第一実施形態の鋳型造型装置1によれば、スクイズテーブル2上に載置された鋳枠MFおよびキャリアプレートCPで形成された造型空間において、投入された鋳物砂CSを、押圧する押圧部材3と、押圧部材3とスクイズテーブル2との間を、接近離間するように駆動させる駆動機構4であって、押圧部材3を押圧させる方向に沿って移動する出力部44を備えた駆動機構4とを備えている。
【0082】
さらに、駆動機構4を駆動させる電動モータ5と、出力部44に出力される駆動機構4の力を減少するように調整し、押圧部材3に鋳物砂CSの押圧に必要な所定の押圧力を生じさせる圧力調整装置6と、を備えている。
【0083】
これによれば、駆動機構4が出力部44を移動させる際に生じる力を、圧力調整装置6で減少されるように調整して押圧部材3に伝達する。これによって、造型毎に異なる鋳物砂CSの圧縮度や鋳型の高さの変更に対応して、押圧部材3に所定の押圧力を生じさせて鋳物砂CSを押圧することができる。
【0084】
また、駆動機構4は、出力部44に生じさせる力に変動を伴う駆動機構4であり、圧力調整装置6は、出力部44に出力される駆動機構4の変動する力を減少するように調整する。
これによれば、駆動機構4が出力部44を移動させる際に生じる変動する力を、圧力調整装置6で減少されるように調整して押圧部材3に伝達する。これによって、押圧部材3の押圧力を安定して出力することができる。
【0085】
また、圧力調整装置6は、押圧部材3の押圧力を受ける油圧シリンダ装置61と、油圧シリンダ装置61の背圧を制御する圧力制御弁64とを備え、押圧部材3は、複数個のスクイズフート31で構成されている。
これによれば、模型CMの形状、鋳物砂CSの性質に合わせてスクイズフート31の押圧力を調整して、適切な押圧力で押圧することができる。
【0086】
また、駆動機構4は、電動モータ5による回転運動を押圧させる方向に沿った直線運動に変換する運動変換装置41を備え、出力部44は、運動変換装置41によって直線運動するものである。
【0087】
これによれば、電動モータ5の出力軸の回転運動を運動変換装置41によって押圧する方向に沿った直線運動に変換する場合には、出力部44に生じる押圧力や移動速度に変動を生じている。しかし、圧力調整装置6によって、圧力の変動を抑制し、安定した押圧力を生じさせることができる。
【0088】
また、運動変換装置41は、円形の外輪部421を有し、電動モータ5によって外輪部421の中心Cより所定距離偏心した偏心回転中心CE周りに回転駆動される偏心輪42と、一方側が前記偏心輪42の外輪部421に相対回転可能に連結され、他方側が前記出力部44に揺動可能に連結されたコンロッド43(リンク部材)と、を備えた。
【0089】
これによれば、偏心輪42の外輪部421の揺動回転によって、コンロッド43の他方側に連結された出力部44は、押圧する方向に沿って直線上に移動する。偏心回転中心CEに対して外輪部421の中心Cが垂直となる位置の近傍において、出力部44の移動速度は遅くなるが、押圧する方向への圧力は強くなるという変動が生じる。しかし、こういった変動を、圧力調整装置6によって抑制することができる。
【0090】
また、偏心輪42の一方方向の一回転により、鋳物砂CSを押圧部材3で押圧して鋳型を造型する一工程を終了する。
これによれば、スクイズ終了端で上昇方向に切り替える際に、電動モータ5を減速停止して逆転する必要が無い。そのため、起動停止頻度の増加による電動モータ5への負荷の軽減と切り替えのために発生する減速停止時間のロスを防止することができる。
【0091】
(第二実施形態)
次に、本件発明にかかる鋳型造型装置および鋳型造型方法の第二実施形態を
図8から
図12に基づいて以下に説明する。
第二実施形態の鋳型造型装置101は、
図8に示すように、下盛枠BF、下盛枠BFとキャリアプレートCPとの間のコイルばね102、およびストッパ103が設けられている点において第一実施形態と相違する。
【0092】
以下、主に相違点について説明する。
下盛枠BFは、模型面側からのスクイズをするために押圧されるストローク分だけ、余分に鋳物砂CSを造型空間に投入するために設けられる。ここで、模型面側からのスクイズとは、重合枠内の造型空間に充填された鋳物砂CSに対して、模型CMの上面側から相対的に下から上に向かって、模型CMおよび模型定盤が鋳物砂CSを押圧することをいう。
【0093】
(コイルばね)
下盛枠BFとキャリアプレートCPとの間のコイルばね102は、背面側からのスクイズを行う際に、下盛枠BFを下方に後退させるために使用される。コイルばね102は、棒状のガイドポール102aと、ガイドポール102aに外嵌されコイルばね本体102bとを備えている。ガイドポール102aの上端は、下盛枠BFの端部に横方向に突出した取付部BF1に取り付け固定されている。取付部BF1は、垂直方向に延在し下方が開口した垂直穴BF1aを有し、垂直穴BF1aの天井部にガイドポール102aの上端部を組付けている。
【0094】
キャリアプレートCPの下端部にフランジ部FRが突設され、フランジ部FRには貫通孔が設けられている。ガイドポール102aの下端は、貫通孔に遊嵌され、ガイドポール102aの下端部に設けられた円盤状のヘッド102a1により抜け止めがされている。コイルばね本体102bは、ガイドポール102aに外嵌され、キャリアプレートCPおよび下盛枠BF間で離間する方向に付勢力が働くように圧縮されて配置されている。
ここで、背面側からのスクイズとは、模型CMの上面に向かって上方から押圧部材3で鋳物砂CSを押圧することをいう。
【0095】
(ストッパ)
ストッパ103は、模型面側からのスクイズにおいて、鋳枠MF、上盛枠TFおよび下盛枠BFが上方へ移動しないように押さえるために使用される。本実施形態におけるストッパ103は、昇降フレーム611と一体に形成されている。ストッパ103は、ストッパシリンダ103aと、ストッパロッド103bとを備えている。ストッパシリンダ103aは、図略の油圧ポンプに連通され、油圧ポンプとストッパシリンダ103aの間には、電磁切替弁104が設けられている。電磁切替弁104は、制御装置により切り替える作動が制御される。
【0096】
下盛枠BF、下盛枠BFとキャリアプレートCPとの間のコイルばね102、およびストッパ103はいずれも、三段階のスクイズを行う際に必要なものであり、公知技術であるため、詳細な説明は省略する。コイルばね102とストッパ103の機能については、以下の作動において説明する。
【0097】
(作動)
上記の構成の鋳型造型装置101を使用して鋳型を造型する工程について、
図8~
図12を参照して以下に説明する。
まず、押圧部材3の初期押圧力を設定する。
【0098】
初期押圧力は、出力部44が下方へ移動する際に出力可能な圧力であり、主に電動モータ5および変速機52に基づいて出力される。
【0099】
まず、初期押圧力は、予定される背面側からの本スクイズよりも大きな圧力が出力されるように設定される。油圧シリンダ装置61の各シリンダ部61aには、
図8に示すように、油圧ポンプ62から油が供給されて満杯状態とされている。
【0100】
次に、制御装置は、
図9に示すように、模型CMの上方から模型CMの背面に向かって第一のスクイズをおこなう。偏心輪42を時計回りに回転させて、昇降フレーム611およびストッパ103を下降させる。圧力調整装置6は、油圧シリンダ装置61に連通された圧力センサ63によりシリンダ部61aより排出される背圧を検知し、圧力制御弁64によりに排出される油の量を多く或いは少なく調節することで、押圧部材3の圧力を制御して、第一の押圧力に調整する(背面側予備スクイズ工程)。
【0101】
偏心輪42がコンロッド43を駆動させる場合、例えば、偏心輪42の偏心回転中心CEと外輪部421の中心Cとが垂直線上に並ぶ直前および直後は、垂直方向に出力部44を移動させる速度は遅いが、押圧力として最も力を出力する状態となっている。
【0102】
また、例えば、開始後に偏心輪42の中心と外輪部421の中心Cとが水平線上に並ぶ時点が、最も速度が速くなる。
しかし、偏心輪42の偏心回転中心CEと外輪部421の中心Cとが水平線上に並ぶ時点の押圧力は、偏心輪42の偏心回転中心CEと外輪部421の中心Cとが垂直線上に並ぶ直前および直後の押圧力よりも小さい。
【0103】
また、偏心輪42の偏心回転中心CEと外輪部421の中心Cとが水平線上に並ぶ時点は、回転中心である偏心輪42の偏心回転中心CEから水平方向に外輪部421の中心Cがずれることで、垂直でなく斜めからの力(傾斜荷重)を、出力部44に与える。そのため、偏心輪42が回転する間に、出力部44には、力、方向および速度が一定ではない変動が生じる。
【0104】
この出力部44における変動を、油圧シリンダ装置61の背圧として圧力センサ63で検知し、油圧シリンダ装置61から排出される油量を圧力制御弁64で制御することで、適正な押圧力が生じるように調整する。
【0105】
次に、制御装置は、
図10に示すように、偏心輪42をさらに回転させることで、第二のスクイズをおこなう。模型CM面側から上方に(相対的に)向かって行う第二のスクイズにおいて、押圧部材3の押圧力を、第一の押圧力よりも高い第二の押圧力に調整して行う(模型面側スクイズ工程)。
第二の押圧力についても、制御装置からの指令に基づく圧力指令アンプ65を介した圧力制御弁64により制御する。
【0106】
この第二のスクイズにおいて、押圧部材3で鋳枠MF内の鋳物砂CSを押圧するとともに、ストッパシリンダ103aは電磁切替弁104が油圧が加わった状態で固定され、ストッパ103により上盛枠TFの上端の相対的な上昇を抑制する。その際、コイルばね102の弾発力に抗して下盛枠BFの押圧代(おうあつしろ)分押圧する。
【0107】
また、
図10には示されていないが、下盛枠BFの上面が、模型定盤MPの上面位置より降下しないような構造が施されている。
そして、制御装置は、下盛枠BFの上面が、模型定盤MPの上面と面一となり、下盛枠BFが下降端となったことを図略の位置センサで検知し、偏心輪42の回転を停止させる。偏心輪42の回転の停止は、徐々に減速して停止するように制御される。
【0108】
これによって、鋳枠MFに対して模型CM面の相対的な上昇を可能にし、模型面側からのスクイズを実施することができる。鋳物砂CSは、下盛枠BFに設けられた押圧代に基づいて押圧される。模型CMの形状によって、鋳物砂CSの充填が難しい部分に対しても均等なスクイズが可能となる。
【0109】
次に、制御装置は、
図11に示すように、偏心輪42をあらためて回転させ、模型CMの上方から模型CMの背面に向かって行う第三のスクイズを行う(背面側本スクイズ工程)。
この場合、制御装置は、押圧部材3の押圧力を、第二の押圧力よりも高く、かつ初期押圧力よりも低い押圧力に出力するよう圧力制御弁64を設定する。
【0110】
制御装置は、押圧部材3が、上盛枠TFに設けられた押圧代の深さ分を押圧する。
この実施形態においても、押圧部材3と出力部44との間に設けられた圧力調整装置6によって、駆動機構4の変動する力を抑制するように調整し、押圧部材3に鋳物砂CSの押圧に必要な所定の押圧力を生じさせる。
【0111】
次に、制御装置は、
図12に示すように、偏心輪42を回転させ、昇降フレーム611およびストッパ103を上昇端位置まで上昇させる。突き固められて造型された鋳型は、コイルばね102によって、鋳枠MFとともに模型CMおよび模型定盤MPから分離され、次の工程に移される。
【0112】
上記の記載で明らかなように、第二実施形態における鋳型造型装置101は、以下のような鋳型造型方法を実施することができる。
上盛枠TFと鋳枠MFと模型CMが固定されたキャリアプレートCPと下盛枠BFとで形成される造型空間に投入された鋳物砂CSに対して押圧するための押圧部材3の初期押圧力を、予定される最も高い押圧力よりも高い値に設定する初期押圧力設定工程を備えている。
【0113】
模型CMの上方から模型CMの背面に向かって行う第一のスクイズにおいて押圧部材3の押圧力を、圧力調整装置6により第一の押圧力に調整して行う背面側予備スクイズ工程と、
模型面側から上方に向かって行う第二のスクイズにおいて、押圧部材3の押圧力を、第一の押圧力よりも高い第二の押圧力に調整して行う模型面側スクイズ工程と、を備えている。
【0114】
模型CMの上方から模型CMの背面に向かって行う第三のスクイズにおいて押圧部材3の押圧力を、第二の押圧力よりも高く、かつ初期押圧力よりも低い第三の押圧力に調整して行う背面側本スクイズ工程と、を備えている。
【0115】
これによれば、圧力調整装置6によって押圧に必要な力が調整されるので、初期押圧力を、第三の押圧力より高く設定するだけで、特別な装置を付加することなく、三段階のスクイズを行うことができる。
【0116】
(第三実施形態)
次に、本件発明にかかる鋳型造型装置の第三実施形態を
図13から
図16に基づいて以下に説明する。
第三実施形態における鋳型造型装置201の駆動機構204は、第一下降装置211と、第二下降装置212と、を備える。
【0117】
(第一下降装置)
第一下降装置211は、押圧部材3を、上昇端位置から鋳枠MF内に投入された鋳物砂CS上面に到達した第一位置1Pまで下降させる(
図15参照)。
【0118】
第一下降装置211の構成は、第一実施形態における駆動機構4の運動変換装置41と同様である。しかし、偏心輪42の偏心軸422は、後述する支持スライダ214に設けられた軸受け(図略)に回転自在に軸支される。この点において第一実施形態の運動変換装置41と相違する。偏心輪42における外輪部421の中心Cは、偏心輪42における下降端である下死点において、偏心回転中心CEとともに垂直線PL上に配置される(
図15および
図16参照)。
【0119】
また、第一下降装置211の駆動に使用される電動モータ5は、第一実施形態の電動モータ5よりも小さな出力性能のものが使用される(
図14参照)。
その他の構成は、第一実施形態における運動変換装置41の構成と同様なので、同じ符号を付与して説明を省略する。
【0120】
(第二下降装置)
第二下降装置212は、押圧部材3を、鋳枠MF内に投入された鋳物砂CS上面に到達した第一位置1Pからスクイズする第二位置2Pまで下降させる(
図16参照)。
第二下降装置212は、
図13に示すように、スライダ支持柱213と、支持スライダ214と、第二コンロッド215と、第二偏心輪216と、同期ギヤ217(
図14参照)と、第二電動モータ205とを、備えている。
【0121】
(スライダ支持柱)
スライダ支持柱213は、構造体7の天板部72に固定され、後述する支持スライダ214を一対の第二偏心輪216および一対の第二コンロッド215を介して支える。
【0122】
スライダ支持柱213は、
図13に示すように、例えば、鉄製のY方向に沿って並んだ二重の板材により、正面から見て略H形に形成されている。スライダ支持柱213は、構造体7の天板部72の上面に、二つの脚部がX方向に沿って並ぶように立設されている。中ほどの高さ位置には、両端に第二偏心輪216の第二偏心軸222を支承する軸受けが、それぞれ設けられている。
【0123】
スライダ支持柱213の両側の先端部には、上方に向かって互いに離間するように伸びるアーム部213aが設けられている。アーム部213aの先端部には、先端部ガイドローラ213bが設けられている。先端部ガイドローラ213bは、後述する支持スライダ214を上下方向に円滑移動するようガイドする。
【0124】
(支持スライダ)
支持スライダ214は、中央部分に設けられた偏心輪42およびコンロッド43を支持する。支持スライダ214は、コンロッド43に支持された出力部44を、押圧部材3(押圧部31a)が鋳物砂CS上面に到達した第一位置1Pから鋳物砂CSをスクイズする第二位置2Pまでの間を上下動させる(
図15および
図16参照)。
【0125】
支持スライダ214は、X方向に沿って延在し、例えば鉄製の略横長の二枚の板材を、所定長さ離間させた状態で重ねて構成されている。二枚の板材は、Y方向に延在する垂直の板状の連結板部214aによって、二か所において連結されている。連結板部214aは二枚の板材の中央から、両端側にずれた位置に設けられている。二枚の板材の間において、X方向の両端部には、垂直方向に延在するローラレール部214bがそれぞれ設けられている。
【0126】
ローラレール部214bは、先端部ガイドローラ213bが当接して転動し、支持スライダ214を円滑に上下動可能とする。
二つの連結板部214aの間には、コンロッド43の大端部431を回転自在に連結する偏心輪42が外輪部421において嵌合されている。偏心輪42の偏心軸422は、カップリング51を介して電動モータ5の出力軸に連結されている。
【0127】
一方の連結板部214aと一方のローラレール部214bとの間、および他方の連結板部214aと他方のローラレール部214bとの間には、後述する第二コンロッド215の小端部2152が、回転可能に支持される支持軸214cがそれぞれ設けられている(
図13及び代用して示す
図20参照)。
【0128】
(第二コンロッド)
第二コンロッド215は、垂直方向に延在し、X方向に並んで一対設けられている。第二コンロッド215は、大端部2151がスライダ支持柱213に設けられた第二偏心輪216の外輪部2161に相対回転自在に連結されている。第二コンロッド215は、小端部2152が前述の支持スライダ214の支持軸214cに回転可能に連結されている。
【0129】
(同期ギヤ)
同期ギヤ217は、代用して示す
図20~
図23のように、二つの第二偏心輪216の間に設けられ、二つの第二偏心輪216を、反対方向に同期させて回転させる。
同期ギヤ217は、二つの第二偏心輪216の第二偏心軸222に相対回転不能にそれぞれ設けられた平歯車217aと、その間に第二偏心軸222の回転中心と平行な方向に沿って設けられた二つの平歯車217bとの合計四つの平歯車217a,217bで構成されている。
【0130】
一つの第二偏心軸222に設けられた平歯車217aと間に設けられた一方の平歯車217bとは噛合し、前記一方の平歯車217bは、他方の平歯車217bとも噛合する。他方の平歯車217bは、他の一つの第二偏心軸222に設けられた平歯車217aと噛合する。
各平歯車217a,217bは、同じ歯数で形成されている。
これらの平歯車217a,217bによって、二つの第二偏心軸222は、同期して反対方向に回転するよう構成されている。
【0131】
(第二電動モータ)
二つの第二電動モータ205は、X方向に沿って並べられて天板部72に固定されている(代用して示す
図21参照)。第二偏心軸222は、第一実施形態における偏心軸422と同様に変速機52およびカップリング51を介して第二電動モータ205の出力軸に連結されている。二つの第二電動モータ205の合計した出力は、第一実施形態の電動モータ5と同程度の値のものが配置されている。
【0132】
(作動)
次に、上記のように構成された第三実施形態の鋳型造型装置の作動について、
図13~
図16を参照して説明する。
【0133】
まず、第一下降装置211を構成する偏心輪42、第二下降装置212を構成する第二偏心輪216は、それぞれ外輪部の中心Cが、偏心回転中心CEの垂直線上の上方にある上死点に位置し、昇降フレーム611を上昇端に保持した状態となっている。
油圧シリンダ装置61のシリンダ部61aには、油が充填され、スクイズフート31は、昇降フレーム611の下端位置に保持されている。
【0134】
次に、制御装置は、
図15に示すように、偏心輪42を180度回転させ、押圧部材3の押圧部31aが鋳物砂CSの上面に接触する第一位置1Pまで昇降フレーム611を下降させる。
偏心軸422の軸心(偏心回転中心CE)は、外輪部421の中心Cを通る垂直線PL上に配置される。これは、偏心輪42の下死点となっている。
【0135】
次に、制御装置は、
図16に示すように、第二偏心輪216を180度回転させ、押圧部が鋳物砂CSをスクイズする第二位置2Pまで昇降フレーム611を下降させる。
圧力調整装置6は、圧力センサ63によって油圧シリンダ装置61の背圧を検知し、設定された押圧力が押圧部材3に生じるように、圧力制御弁64で減圧させて、押圧力を調整する。
【0136】
上記の記載で明らかなように、第三実施形態の鋳型造型装置201は、駆動機構204には、押圧部材3を鋳枠MF内に投入された鋳物砂CS上面に到達する第一位置1Pまで下降させる第一下降装置211と、押圧部材3を、鋳枠MF内の鋳物砂CSの押圧を行う第二位置2Pまで下降させる第二下降装置212と、を備える。
【0137】
これによれば、押圧部材3を下降させる駆動機構204を、単に押圧部材3を下降させる第一下降装置211と、実際に押圧部材3で加圧を行う第二下降装置212と二つに分けることで、第一下降装置211には、少ない電力で駆動する装置とすることができ、電力の無駄を削減することができる。
【0138】
また、第一下降装置211は、円形の外輪部421を有し、電動モータ5によって外輪部421の中心Cより所定距離偏心した偏心回転中心CE周りに回転駆動される偏心輪42と、一方側が偏心輪42の外輪部421に相対回転可能に連結され、他方側が出力部44に回転可能に連結されたリンク部材(コンロッド43)と、を備え、偏心軸422の軸心(偏心回転中心CE)は、出力部44の下降端である下死点において、外輪部421の中心Cを通る垂直線PL上に配置される。
【0139】
これによれば、偏心軸422の偏心回転中心CEは、出力部44の下降端である下死点と一致しているので、スクイズ時に高荷重が作用しても、第一下降装置211の偏心輪42が回転することなく、確実にスクイズすることができる。
【0140】
(第四実施形態)
次に、鋳型造型装置の第四の実施形態について、
図17および
図18を参照して以下に説明する。
第四の実施形態における鋳型造型装置301は、
図17に示すように、スクイズテーブル302が下部において出力部44に直列連結されている。キャリアプレートCPを載置させたスクイズテーブル302を上昇させ(
図18参照)、重合された鋳枠MF内に充填された鋳物砂CSを上方の天板部372に固定された押圧部材3によってスクイズする。
【0141】
圧力調整装置6は、構造体307の天板部372の下面には、昇降フレーム611が固定され、昇降フレーム611内には油圧シリンダ装置61が設けられている。各油圧シリンダ装置61には、第一実施形態と同様に、それぞれスクイズフート31が設けられている。
【0142】
駆動機構4は、設置床面IFに形成されたトレンチTRの中に収容される。基台373に貫通穴372aが形成され、貫通穴372aにはガイドレール372bが上方にはみ出るように垂直に設けられている。ガイドレール372bは、スクイズテーブル302に設けられたガイド溝3611aに摺動可能に嵌合している。
【0143】
第一実施形態の鋳型造型装置1の駆動機構4および構造体7を天地反転した状態で配置し、スクイズテーブル302を上下動させることで、停止した押圧部材3によって、スクイズテーブル302上に載置された鋳枠MF内の鋳物砂CSを押圧する。
【0144】
その他の構成は、第一実施形態と同様であるため、同じ符号を付与して説明を省略する。
これによれば、鋳型造型装置301を設置する工場内のレイアウトにおいて、上下方向の空間を大きく取れない場合に、空間の省スペースを図ることができる。
【0145】
(第五実施形態)
次に、鋳型造型装置の第五の実施形態について、
図19から
図22を参照して以下に説明する。
第五実施形態の鋳型造型装置401は、出力部444がT字状に形成され、一対の運動変換装置441を挟んで配置されている。各運動変換装置441は、コンロッド443の大端部4431を下方に小端部4432を上方にして配置されている。小端部4432が出力部444のT字の横棒部分444aの端部に連結されている。即ち、対となった小端部4432の間に、横棒部分444aが横架された状態で保持されている。
【0146】
コンロッド443の大端部4431は、出力部444の縦棒部分444bを挟んで両側に配置されている。コンロッド443の大端部4431には、それぞれ偏心輪542が嵌合され、各偏心輪542は、電動モータ405に変速機4052およびカップリング4051を介してそれぞれ連結されている。二つの偏心輪542の間には、同期装置417が設けられている。
【0147】
同期装置417は、
図21および
図22に示すように、各偏心軸5422に相対回転不能に組付けられた平歯車417aと平歯車417aの間に設けられた二つの平歯車417bとで構成されている。これらの平歯車417a,417bによって、二つの偏心軸5422は、互いに反対方向に同期して回転する。
【0148】
このように、二つの偏心軸5422が、同期してかつ反対方向に回転することで、二つのコンロッド443に斜め荷重が生じても、横方向の荷重は相殺されて出力部444には垂直方向の荷重だけが作用する。
【0149】
支持壁部471は、略H形に形成され、両上端部にはローラ413がそれぞれ設けられている。ローラ413は、出力部444の横棒部分444aの端部に両側から当接して、出力部444の上下方向の移動をガイドするようになっている。
その他の構成は、第一実施形態と同様であるため、同じ符号を付与して説明を省略する。
【0150】
上記の説明で明らかなように、第五実施形態の鋳型造型装置401は、運動変換装置が、共通する出力部444を挟んで配置された一対の運動変換装置441であり、
二つの運動変換装置441の間には、それぞれの偏心輪542を反対方向に同期させて回転させる同期装置417を備えている。
【0151】
これによれば、各偏心輪542により出力部444に対して斜め荷重が作用しても、横方向の荷重成分が、互いに反対方向に向かうため、相殺される。そのため、出力部444には垂直方向の力のみが作用する。出力部444は、垂直方向にガイドする特別な機構を使用しなくても、上下方向に円滑に移動することができる。
【0152】
なお、押圧力に変動を生じる駆動機構4として、偏心輪42を使用するものとしたが、これに限定されない。例えば、トグル機構、スライダークランク機構を使用することができる。
また、駆動機構4は、出力部44に変動する力を出力するものとしたが、これに限定されない。例えば、ピニオンラック機構、ボールねじ機構、リニアモータにより直線的に出力部が駆動される機構などを使用することができる。
【0153】
本発明は、上記しかつ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。
【符号の説明】
【0154】
1:鋳型造型装置、2:スクイズテーブル、3:押圧部材、31:スクイズフート、4:駆動機構、41:運動変換装置、42:偏心輪、421:外輪部、422:偏心軸、43:コンロッド(リンク部材)、44:出力部、5:電動モータ、6:圧力調整装置、61:油圧シリンダ装置、63:圧力センサ、64:圧力制御弁、7:構造体、101:鋳型造型装置、102:コイルばね、103:ストッパ、201:鋳型造型装置、204:駆動機構、211:第一下降装置、212:第二下降装置、217:同期ギヤ、301:鋳型造型装置、401:鋳型造型装置、405:電動モータ、417:同期装置、441:運動変換装置、442:偏心輪、4422:偏心軸、443:コンロッド、444:出力部、1P:第一位置、2P:第二位置、BF:下盛枠、CE:偏心回転中心、CM:模型、CP:キャリアプレート、CS:鋳物砂、MF:鋳枠、MP:模型定盤、PL:垂線、TF:上盛枠。