(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-18
(45)【発行日】2024-07-26
(54)【発明の名称】カーボンクレジット付与システム、カーボンクレジット付与方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0207 20230101AFI20240719BHJP
【FI】
G06Q30/0207 350
(21)【出願番号】P 2024060651
(22)【出願日】2024-04-04
【審査請求日】2024-04-04
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和 6年 2月 1日に、ウェブサイトで公開された中小企業庁主催のアトツギ甲子園にて、芦田拓弘が発明したJ-クレジットを活用した商品購入ポイント運用システムについて公開した。 〔刊行物等〕 令和 6年 2月 9日に、ウェブサイトで公開された中小企業庁主催のアトツギ甲子園にて、芦田拓弘が発明したJ-クレジットを活用した商品購入ポイント運用システムについて公開した。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524130445
【氏名又は名称】株式会社あしだ
(74)【代理人】
【識別番号】100195752
【氏名又は名称】奥村 一正
(72)【発明者】
【氏名】芦田 拓弘
【審査官】山崎 雄司
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-150704(JP,A)
【文献】特開2023-178222(JP,A)
【文献】国際公開第2020/121446(WO,A1)
【文献】特開2009-116750(JP,A)
【文献】特表2011-521314(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0034909(US,A1)
【文献】米国特許第08527335(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
消費者が参加可能なカーボンクレジット付与システムであって、
消費者が保有する消費者側通信端末と、
カーボンクレジットを取得しようとする企業又は自治体が保有する企業等側通信端末と、
カーボンクレジット保有者が保有し、前記消費者側通信端末及び前記企業等側通信端末と通信を行うサーバと、を備え、
前記サーバは、
前記消費者が前記企業又は自治体から購入した商品又はサービスの購入金額を把握する購入金額把握部と、
前記購入金額把握部が把握した前記購入金額に対し所定のインセンティブ割合に基づいて算出したインセンティブを前記消費者に付与するインセンティブ付与部と、
前記購入金額把握部が把握した前記購入金額に対し所定の付与割合に基づいて算出したカーボンクレジットを前記企業又は自治体に付与するカーボンクレジット付与部と、を有したことを特徴とするカーボンクレジット付与システム。
【請求項2】
前記サーバは、前記購入金額に基づいて前記企業又は自治体に付与したカーボンクレジットによるCO2削減効果を前記消費者側通信端末に表示するCO2削減効果表示部を有したことを特徴とする請求項1に記載のカーボンクレジット付与システム。
【請求項3】
前記サーバは、前記購入金額に対し、所定の運営割合に基づいて算出した運営費を前記カーボンクレジット保有者のカーボンクレジット運営費として付与するカーボンクレジット運営費付与部を有したことを特徴とする請求項1に記載のカーボンクレジット付与システム。
【請求項4】
前記サーバは、前記消費者側通信端末に対して前記企業又は自治体の基本情報、セール情報、又はイベント情報を前記消費者側通信端末に表示する企業等情報表示部を有したことを特徴とする請求項1に記載のカーボンクレジット付与システム。
【請求項5】
前記CO2削減効果表示部は、前記消費者側通信端末ごとに累積したCO2削減効果を表示することを特徴とする請求項2に記載のカーボンクレジット付与システム。
【請求項6】
消費者が参加可能なカーボンクレジット付与方法であって、
前記消費者が保有する消費者側通信端末と、
カーボンクレジットを取得しようとする企業又は自治体が保有する企業等側通信端末と、
カーボンクレジット保有者が保有し、前記消費者側通信端末及び前記企業等側通信端末と通信を行うサーバと、を備えたシステムにおいて、
前記サーバが、
前記企業又は自治体から前記消費者が購入した商品又はサービスの購入金額を、前記消費者側通信端末、或いは前記企業等側通信端末を介して把握する購入金額把握工程と、
前記購入金額把握工程で把握した前記購入金額に対し、所定のインセンティブ割合に基づいて算出したインセンティブを前記消費者側通信端末に付与するともに、前記購入金額に対し、所定の付与割合に基づいて算出したカーボンクレジットを前記企業等側通信端末に付与するインセンティブ及びカーボンクレジット付与工程と、を
実施することを特徴とするカーボンクレジット付与方法。
【請求項7】
前記サーバが、前記購入金額に基づいて前記企業又は自治体に付与したカーボンクレジットによるCO2削減効果を前記消費者側通信端末に対して表示するCO2削減効果表示工程を
実施することを特徴とする請求項6に記載のカーボンクレジット付与方法。
【請求項8】
消費者が保有する消費者側通信端末と、
カーボンクレジットを取得しようとする企業又は自治体が保有する企業等側通信端末と、
カーボンクレジット保有者が保有し、前記消費者側通信端末及び前記企業等側通信端末と通信を行うサーバと、を備えたシステムにおいて、
前記消費者にインセンティブを付与するとともに、企業又は自治体にカーボンクレジットを付与するための前記サーバにおけるプログラムであって、
前記消費者が前記企業又は自治体から購入した商品又はサービスの購入金額を把握する購入金額把握
工程と、
前記購入金額把握
工程が把握した前記購入金額に対し所定のインセンティブ割合に基づいて算出したインセンティブを前記消費者に付与するインセンティブ付与
工程と、
前記購入金額把握
工程が把握した前記購入金額に対し所定の付与割合に基づいて算出したカーボンクレジットを前記企業又は自治体に付与するカーボンクレジット付与
工程と、を
前記サーバに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項9】
前記購入金額に基づいて前記企業又は自治体に付与した前記カーボンクレジットによるCO2削減効果を表示するCO2削減効果表示
工程を
前記サーバに実行させることを特徴とする請求項8に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、政府が推進するカーボンオフセットの事業に一般の消費者が間接的に参加することで温室効果ガス削減を推進するカーボンクレジット付与システム、カーボンクレジット付与方法、及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
排出権を保有する者が、温室効果ガスを発生させる企業などに対してJ-クレジット等のカーボンクレジットを販売することで、排出権保有者が排出権を拡大維持するための運営費を取得するとともに、温室効果ガスを発生させる企業などがカーボンクレジットを購入してカーボンオフセットを実現しようとする排出権取引の事業を政府が推進している。
【0003】
森林所有者は森林が効果的にCO2を吸収できるようにするためには、植林、草刈、伐採等の林業サイクルを長年にわたって継続していかねばならず、その運営費用を適切に得ることが望まれている。
【0004】
特許文献1には、商品やサービスの決裁時にカーボンオフセットに参加するか否かを問い、参加する場合には決済金額に加えて、J-クレジット等のカーボンクレジットの価値を算出してその価値金額を徴収する構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特許文献1:特開2022-150704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のものは、一般の消費者が商品又はサービスの決裁を行う場合には、カーボンクレジットを購入するという動機に至ることがまれであるから、排出権を保有する者の運営費取得やカーボンオフセット制度の推進は期待できないという問題がある。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決して、一般の消費者が商品又はサービスを購入した際に、ポイント等のインセンティブを一般の消費者に付与するとともに、CO2排出者に対して所定の割合でカーボンクレジットを付与してカーボンオフセット制度を推進することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明は、消費者が参加可能なカーボンクレジット付与システムであって、
消費者が保有する消費者側通信端末と、
カーボンクレジットを取得しようとする企業又は自治体が保有する企業等側通信端末と、
カーボンクレジット保有者が保有し、前記消費者側通信端末及び前記企業等側通信端末と通信を行うサーバと、を備え、
前記サーバは、
前記消費者が前記企業又は自治体から購入した商品又はサービスの購入金額を把握する購入金額把握部と、
前記購入金額把握部が把握した前記購入金額に対し所定のインセンティブ割合に基づいて算出したインセンティブを前記消費者に付与するインセンティブ付与部と、
前記購入金額把握部が把握した前記購入金額に対し所定の付与割合に基づいて算出したカーボンクレジットを前記企業又は自治体に付与するカーボンクレジット付与部と、を有したことを特徴とするカーボンクレジット付与システムを提供するものである。
【0009】
この構成により、一般の消費者が商品又はサービスを購入した際に、ポイント等のインセンティブを一般の消費者に付与するとともに、CO2排出者に対して所定の割合でカーボンクレジットを付与してカーボンオフセット制度を推進することができる。
【0010】
カーボンクレジット付与システムであって、前記サーバは、前記購入金額に基づいて前記企業又は自治体に付与したカーボンクレジットによるCO2削減効果を前記消費者側通信端末に表示するCO2削減効果表示部を有した構成としてもよい。
【0011】
この構成により、一般の消費者に対してCO2削減の効果が伝わり、カーボンオフセット制度を支援しようとして、さらなる当該企業又は自治体からの商品又はサービス購入が期待できる。
【0012】
カーボンクレジット付与システムであって、前記サーバは、前記購入金額に対し、所定の運営割合に基づいて算出した運営費を前記カーボンクレジット保有者のカーボンクレジット運営費として付与するカーボンクレジット運営費付与部を有した構成としてもよい。
【0013】
この構成により、カーボンクレジット保有者が運営費を得ることができ、さらなる排出権獲得を進めてカーボンオフセット制度を支援することができる。例えば、森林所有者であれば、植林、草刈、伐採等の林業サイクルを長年にわたって継続して森林が効果的にCO2を吸収できるようにすることができる。
【0014】
カーボンクレジット付与システムであって、前記サーバは、前記消費者側通信端末に対して前記企業又は自治体の基本情報、セール情報、又はイベント情報を前記消費者側通信端末に表示する企業等情報表示部を有した構成としてもよい。
【0015】
この構成により、一般の消費者が当該企業又は自治体から商品又はサービスを購入する動機につながることが期待できる。
【0016】
カーボンクレジット付与システムであって、前記CO2削減効果表示部は、前記消費者側通信端末ごとに累積したCO2削減効果を表示する構成としてもよい。
【0017】
この構成により、一般の消費者に対してCO2削減の累積効果が伝わり、益々カーボンオフセット制度を支援しようとして、さらなる当該企業又は自治体からの商品又はサービスの購入が期待できる。
【0018】
また、上記課題を解決するために本発明は、消費者が参加可能なカーボンクレジット付与方法であって、
前記消費者が保有する消費者側通信端末と、
カーボンクレジットを取得しようとする企業又は自治体が保有する企業等側通信端末と、
カーボンクレジット保有者が保有し、前記消費者側通信端末及び前記企業等側通信端末と通信を行うサーバと、を備えたシステムにおいて、
前記サーバが、
前記企業又は自治体から前記消費者が購入した商品又はサービスの購入金額を、前記消費者側通信端末、或いは前記企業等側通信端末を介して把握する購入金額把握工程と、
前記購入金額把握工程で把握した前記購入金額に対し、所定のインセンティブ割合に基づいて算出したインセンティブを前記消費者側通信端末に付与するともに、前記購入金額に対し、所定の付与割合に基づいて算出したカーボンクレジットを前記企業等側通信端末に付与するインセンティブ及びカーボンクレジット付与工程と、を実施することを特徴とするカーボンクレジット付与方法を提供するものである。
【0019】
この構成により、一般の消費者が商品又はサービスを購入した際に、ポイント等のインセンティブを一般の消費者に付与するとともに、CO2排出者に対して所定の割合でカーボンクレジットを付与してカーボンオフセット制度を推進することができる。
【0020】
カーボンクレジット付与方法であって、前記サーバが、前記購入金額に基づいて前記企業又は自治体に付与したカーボンクレジットによるCO2削減効果を前記消費者側通信端末に対して表示するCO2削減効果表示工程を実施する構成としてもよい。
【0021】
この構成により、一般の消費者に対してCO2削減の効果が伝わり、カーボンオフセット制度を支援しようとして、さらなる当該企業又は自治体からの商品又はサービスの購入が期待できる。
【0022】
さらに、上記課題を解決するために本発明は、費者が保有する消費者側通信端末と、
カーボンクレジットを取得しようとする企業又は自治体が保有する企業等側通信端末と、
カーボンクレジット保有者が保有し、前記消費者側通信端末及び前記企業等側通信端末と通信を行うサーバと、を備えたシステムにおいて、
前記消費者にインセンティブを付与するとともに、企業又は自治体にカーボンクレジットを付与するための前記サーバにおけるプログラムであって、
前記消費者が前記企業又は自治体から購入した商品又はサービスの購入金額を把握する購入金額把握工程と、
前記購入金額把握工程が把握した前記購入金額に対し所定のインセンティブ割合に基づいて算出したインセンティブを前記消費者に付与するインセンティブ付与工程と、
前記購入金額把握工程が把握した前記購入金額に対し所定の付与割合に基づいて算出したカーボンクレジットを前記企業又は自治体に付与するカーボンクレジット付与工程と、を前記サーバに実行させることを特徴とするプログラムを提供するものである。
【0023】
この構成により、一般の消費者が商品又はサービスを購入した際に、ポイント等のインセンティブを一般の消費者に付与するとともに、CO2排出者に対して所定の割合でカーボンクレジットを付与してカーボンオフセット制度を推進することができる。
【0024】
プログラムであって、前記購入金額に基づいて前記企業又は自治体に付与した前記カーボンクレジットによるCO2削減効果を表示するCO2削減効果表示工程を前記サーバに実行させる構成としてもよい。
【0025】
この構成により、一般の消費者に対してCO2削減の効果が伝わり、カーボンオフセット制度を支援しようとして、さらなる当該企業又は自治体からの商品又はサービスの購入が期待できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明のカーボンクレジット付与システム、カーボンクレジット付与方法、及びプログラムにより、一般の消費者が商品又はサービスを購入した際に、ポイント等のインセンティブを一般の消費者に付与するとともに、CO2排出者に対して所定の割合でカーボンクレジットを付与してカーボンオフセット制度を推進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の実施例1におけるカーボンクレジット付与システムの構成を説明する図である。
【
図2】本発明の実施例1におけるプログラムを説明する図である。
【
図3】本発明の実施例1におけるカーボンクレジット付与方法を説明する図である。
【
図4】本発明の実施例1における企業等情報表示の例1を説明する図である。
【
図5】本発明の実施例1における企業等情報表示の例2を説明する図である。
【
図6】本発明の実施例1におけるCO2削減効果表示の例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0028】
本発明の実施例1のカーボンクレジット付与システム、カーボンクレジット付与方法、及びプログラムについて、
図1―
図6を参照して説明する。
図1は、本発明の実施例1におけるカーボンクレジット付与システムの構成を説明する図である。
図2は、本発明の実施例1におけるプログラムを説明する図である。
図3は、本発明の実施例1におけるカーボンクレジット付与方法を説明する図である。
図4は、本発明の実施例1における企業等情報表示の例1を説明する図である。
図5は、本発明の実施例1における企業等情報表示の例2を説明する図である。
図6は、本発明の実施例1におけるCO2削減効果表示の例を説明する図である。
【0029】
(カーボンクレジット付与システム) 本発明の実施例1におけるカーボンクレジット付与システム100は、
図1に示すように、一般の消費者が保有する携帯電話、スマートフォン、タブレット、又はパソコンなどの消費者側通信端末20(20a、20b、20c)と、カーボンクレジットを取得しようとする企業又は自治体が保有する携帯電話、スマートフォン、タブレット、又はパソコンなどの企業等側通信端末30(30a、30b、30c)と、森林所有者、風力発電事業者、又は太陽光発電事業者などのカーボンクレジット保有者が保有し、消費者側通信端末20及び企業等側通信端末30とインターネットを介して通信を行うサーバ10と、を備えている。また、政府のカーボンクレジット管理コンピュータ40のJ-クレジット登録簿システム等を介して、カーボンクレジットの売買又はカーボンオフセットの申請を行うことができる。
【0030】
なお、実施例1においては、サーバ10はインターネットを介して、消費者側通信端末20、企業等側通信端末30、及び政府のカーボンクレジット管理コンピュータ40と通信を行う構成としたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、電話回線等の有線通信やトランシーバー等の無線通信で通信を行ってもよい。
【0031】
サーバ10は、
図2に示すような構成を有しており、これらはコンピュータのプログラムで構成されている。つまり、一般の消費者が企業又は自治体から購入した商品又はサービスの購入金額を把握する購入金額把握部11と、購入金額把握部11が把握した購入金額に対し所定のインセンティブ割合に基づいて算出したインセンティブを当該消費者に付与するインセンティブ付与部12と、この購入金額に対し所定の付与割合に基づいて算出したカーボンクレジットを消費者が商品又はサービスを購入した当該企業又は自治体に付与するカーボンクレジット付与部15と、を少なくとも有している。
【0032】
ここで、本願におけるインセンティブとは、一般の消費者が企業又は自治体から商品又はサービスを購入した購入金額に応じて付与するもので、将来のさらなる購買意欲に対する刺激や動機を与えるものである。具体的には、将来の購入金額に充当可能なポイント、割引クーポン、又はアップグレードサービス等である。
【0033】
また、サーバ10は、購入金額に基づいて企業又は自治体に付与したカーボンクレジットによるCO2削減効果を消費者側通信端末20に表示するCO2削減効果表示部13、購入金額に対して所定の運営割合に基づいて算出した運営費を前記カーボンクレジット保有者のカーボンクレジット運営費として付与するカーボンクレジット運営費付与部16、及び消費者側通信端末20に対して当該企業又は自治体の基本情報、セール情報、又はイベント情報を消費者側通信端末20に表示する企業等情報表示部14を有している。
【0034】
サーバ10における購入金額把握部11、インセンティブ付与部12、CO2削減効果表示部13、企業等情報表示部14、カーボンクレジット付与部15、及びカーボンクレジット運営費付与部16は、Webアプリのプログラムとして構成されている。
【0035】
なお、実施例1においては、サーバ10における購入金額把握部11、インセンティブ付与部12、CO2削減効果表示部13、企業等情報表示部14、カーボンクレジット付与部15、及びカーボンクレジット運営費付与部16をWebアプリのプログラムとして構成したが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、消費者側通信端末20におけるアプリのプログラム、及び企業側通信端末30におけるアプリのプログラムとして構成してもよい。
【0036】
(カーボンクレジット付与方法) カーボンクレジット付与方法について
図3を参照して説明する。 予め、森林所有者等のカーボンクレジット保有者は、商店、コンビニ、スーパー、ガソリンスタンド等のカーボンクレジット購入者である企業や自治体を自らの事業ネットワークに加盟させて、サーバ10が企業等側通信端末30と通信が行える環境を整備しておく。
【0037】
また、消費者はカーボンクレジット保有者が主導する事業ネットワークに加盟してサーバ10が消費者側通信端末20と通信が行える環境を整備しておく。
【0038】
事業ネットワークに加盟した企業又は自治体は、企業等側通信端末30からサーバ10に、企業又は自治体における基本情報、クーポン情報、又はセール情報等の消費者が興味を持つような企業等情報を通知する。サーバ10は、受けとった企業等情報を事業ネットワークに加盟した消費者の消費者側端末20に表示する企業等情報表示工程61を実施する。
【0039】
企業等情報表示工程61を実施して消費者側端末20に表示した企業等情報の例を
図4と
図5に示す。
図4は、地域における事業ネットワークに加盟する企業又は自治体の基本情報の一つである位置情報を示した例である。ここで表示された位置情報のアイコンをクリックするとさらに詳しい情報が表示される。
図5は、事業ネットワークに加盟する企業又は自治体におけるクーポン、セール情報、又はイベント情報の一例である。
【0040】
なお、実施例1においては、企業等情報を事業ネットワークに加盟した消費者の消費者側端末20に表示する企業等情報表示工程61を実施するようにしたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、企業等情報表示工程61を実施しなくてもよいし、ダイレクトメールを郵送して企業等情報を紹介してもよい。
【0041】
企業又は自治体における基本情報、クーポン情報、又はセール情報を受けとった消費者は、興味を引かれたスーパーなどの企業又は自治体にて商品又はサービスを購入する。そうすると、企業等側通信端末30又は消費者側端末20から商品又はサービスの購入金額をサーバ10に通知してサーバ10が購入金額を把握する購入金額把握工程62が実施される。把握する購入金額は消費税込みであっても消費税抜きであってもよい。また、企業又は自治体が消費税込みか消費税抜きかを決定するようにしてもよい。
【0042】
次に、把握した購入金額に対し、所定のインセンティブ割合に基づいて算出したインセンティブを前記消費者に付与するともに、所定の付与割合に基づいて算出したカーボンクレジットを企業又は自治体に付与するインセンティブ及びカーボンクレジット付与工程63を実施する。
【0043】
実施例1におけるインセンティブはポイントであり、インセンティブ割合は、購入金額の1%である。つまり、購入金額の1%をポイントとして付与する。このポイントは、サーバ10を管轄するカーボンクレジット保有者が主導する事業ネットワークに加盟したすべての企業や自治体が発行するクーポン、割引券、商品、又はカーボンクレジット等と交換できる。付与したポイントは消費者側通信端末20に表示される。
【0044】
なお、実施例1においては、インセンティブとしてポイントを付与するようにしたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、直接、割引クーポンやアップグレードサービスを付与するようにしてもよく、消費者にインセンティブを与えるものであれば任意のものを付与できる。
【0045】
また、把握した購入金額に対し、所定の付与割合に基づいて算出したカーボンクレジットを前記企業又は自治体に付与する。実施例1における付与割合は、購入金額の0.01%としている。この付与されたカーボンクレジットを貯めることで、企業又は自治体は、カーボンオフセットを行って、自身が排出したCO2の排出量をキャンセルすることができる。
【0046】
そして、購入金額に基づいて企業又は自治体に付与したカーボンクレジットによるCO2削減効果を消費者の消費者側通信端末20に対して表示するCO2削減効果表示工程64を実施する。CO2削減効果表示は累積表示も可能でその一例を
図6に示す。
図6の例では、累積で1527トンのCO2削減効果に相当する貢献があったことを示している。消費者はこの表示を見ることで、カーボンオフセット制度に貢献していると認識することができ、さらなる購買意欲につながることが期待できる。
【0047】
なお、実施例
1においては、CO2削減効果表示工程64を実施するように構成したが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、CO2削減効果表示工程64を実施しなくてもよいし、また、ダイレクトメールを郵送してCO2削減効果に相当する貢献があったことを紹介してもよい。
【0048】
また、実施例1においては、インセンティブ割合を購入金額の1%とし、カーボンクレジットの付与割合を購入金額の0.01%としたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、インセンティブ割合を購入金額の2%とし、カーボンクレジットの付与割合を購入金額の0.05%としてもよく、任意のインセンティブ割合、及び付与割合を設定することができる。
【0049】
本発明のカーボンクレジット付与方法により、企業又は自治体は、自身の事業を行うことでカーボンクレジットを増やすことができるとともに、消費者はカーボンクレジット保有者が主導する事業ネットワークに加盟した企業又は自治体から商品又はサービスを購入することで、インセンティブが得られてさらなる購買意欲が形成されることが期待できる。
【0050】
このように、実施例1においては、消費者が参加可能なカーボンクレジット付与システムであって、 消費者が保有する消費者側通信端末と、 カーボンクレジットを取得しようとする企業又は自治体が保有する企業等側通信端末と、 カーボンクレジット保有者が保有し、前記消費者側通信端末及び前記企業等側通信端末と通信を行うサーバと、を備え、 前記サーバは、 前記消費者が前記企業又は自治体から購入した商品又はサービスの購入金額を把握する購入金額把握部と、 前記購入金額把握部が把握した前記購入金額に対し所定のインセンティブ割合に基づいて算出したインセンティブを前記消費者に付与するインセンティブ付与部と、 前記購入金額把握部が把握した前記購入金額に対し所定の付与割合に基づいて算出したカーボンクレジットを前記企業又は自治体に付与するカーボンクレジット付与部と、を有したことを特徴とするカーボンクレジット付与システムにより、一般の消費者が商品又はサービスを購入した際に、ポイント等のインセンティブを一般の消費者に付与するとともに、CO2排出者に対して所定の割合でカーボンクレジットを付与してカーボンオフセット制度を推進することができる。
【0051】
また、消費者が参加可能なカーボンクレジット付与方法であって、
前記消費者が保有する消費者側通信端末と、
カーボンクレジットを取得しようとする企業又は自治体が保有する企業等側通信端末と、
カーボンクレジット保有者が保有し、前記消費者側通信端末及び前記企業等側通信端末と通信を行うサーバと、を備えたシステムにおいて、
前記企業又は自治体から前記消費者が購入した商品又はサービスの購入金額を、前記消費者側通信端末、或いは前記企業等側通信端末を介して把握する購入金額把握工程と、
前記購入金額把握工程で把握した前記購入金額に対し、所定のインセンティブ割合に基づいて算出したインセンティブを前記消費者側通信端末に付与するともに、前記購入金額に対し、所定の付与割合に基づいて算出したカーボンクレジットを前記企業等側通信端末に付与するインセンティブ及びカーボンクレジット付与工程と、を備えたことを特徴とするカーボンクレジット付与方法により、一般の消費者が商品又はサービスを購入した際に、ポイント等のインセンティブを一般の消費者に付与するとともに、CO2排出者に対して所定の割合でカーボンクレジットを付与してカーボンオフセット制度を推進することができる。
【0052】
さらに、消費者にインセンティブを付与するとともに、企業又は自治体にカーボンクレジットを付与するプログラムであって、 前記消費者が前記企業又は自治体から購入した商品又はサービスの購入金額を把握する購入金額把握部と、 前記購入金額把握部が把握した前記購入金額に対し所定のインセンティブ割合に基づいて算出したインセンティブを前記消費者に付与するインセンティブ付与部と、 前記購入金額把握部が把握した前記購入金額に対し所定の付与割合に基づいて算出したカーボンクレジットを前記企業又は自治体に付与するカーボンクレジット付与部と、を備えたことを特徴とするプログラムにより、一般の消費者が商品又はサービスを購入した際に、ポイント等のインセンティブを一般の消費者に付与するとともに、CO2排出者に対して所定の割合でカーボンクレジットを付与してカーボンオフセット制度を推進することができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明におけるカーボンクレジット付与システム、カーボンクレジット付与方法、及びプログラムは、温室効果ガスの排出権取引の分野に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0054】
10:サーバ 11:インセンティブ付与部 12:CO2削減効果表示部 13:企業等情報表示部 14:カーボンクレジット付与部 15:カーボンクレジット運営費付与部 20(20a、20b、20c):消費者側通信端末 30(30a、30b、30c):企業等側通信端末 40:カーボンクレジット管理コンピュータ
【要約】 (修正有)
【課題】一般の消費者に対してインセンティブを付与するとともに、CO2排出者に対してカーボンクレジットを付与してカーボンオフセット制度を推進するカーボンクレジット付与システム、方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】カーボンクレジット付与システム100において、サーバ10は、消費者(消費者側通信端末20)が企業又は自治体(企業等側通信端末30)から購入した商品又はサービスの購入金額を把握する購入金額把握部と、購入金額に対し所定のインセンティブ割合に基づいて算出したインセンティブを消費者に付与するインセンティブ付与部と、購入金額に対し所定の付与割合に基づいて算出したカーボンクレジットを企業又は自治体に付与するカーボンクレジット付与部と、を含み、政府のカーボンクレジット管理コンピュータ40のJ-クレジット登録簿システム等を介して、カーボンクレジットの売買又はカーボンオフセットの申請を行う
【選択図】
図1