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特許7523186感度と遺伝子解析に基づく燃料電池シミュレーション最適化方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-18
(45)【発行日】2024-07-26
(54)【発明の名称】感度と遺伝子解析に基づく燃料電池シミュレーション最適化方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G06N 3/126 20230101AFI20240719BHJP
   H01M 8/04992 20160101ALI20240719BHJP
【FI】
G06N3/126
H01M8/04992
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2024063928
(22)【出願日】2024-04-11
【審査請求日】2024-04-11
(31)【優先権主張番号】202310539206.0
(32)【優先日】2023-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522401992
【氏名又は名称】中汽研新能源汽車検験中心(天津)有限公司
【氏名又は名称原語表記】CATARC New Energy Vehicle Test Center (Tianjin) Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.88 Xiongzi Road,Dongli District,Tianjin 300300,China
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】楊 子栄
(72)【発明者】
【氏名】李 岩
(72)【発明者】
【氏名】▲ハオ▼ 冬
(72)【発明者】
【氏名】張 妍懿
(72)【発明者】
【氏名】楊 ▲ユン▼▲ポン▼
(72)【発明者】
【氏名】孫 田
(72)【発明者】
【氏名】陳 向陽
(72)【発明者】
【氏名】馬 継成
【審査官】山本 俊介
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-96866(JP,A)
【文献】特開2010-182073(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第114824373(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106709131(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107463995(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06N 3/126
H01M 8/04992
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
感度と遺伝子解析に基づく燃料電池シミュレーション最適化方法であって、
基本効果法を用いて燃料電池の動作状況パラメータの感度分析を行い、前記燃料電池の動作状況パラメータの感度値を取得することと、
前記燃料電池の動作状況パラメータの感度値の進数マッピングテーブルを構築し、前記燃料電池の動作状況パラメータの異なる感度値と対応使用されるコード進数とのマッピング関係を形成することと、
前記燃料電池の動作状況パラメータの感度値と感度値の進法マッピングテーブルに従って、前記感度値に対応するコード進数を採用することと、
前記燃料電池の動作状況パラメータによって形成される個体群の規模に応じて、前記燃料電池の動作状況パラメータに対して、前記コード進数の範囲内でランダムにコード化されて値を取り、第1世代のランダム個体群コードを取得することと、
前記第1世代のランダム個体群コードに対して選択、交差、および変異の操作を実行し、第2世代のランダム個体群コードを取得することと、
前記第2世代のランダム個体群コードをデコードし、さらに変換して、前記燃料電池の動作状況パラメータのランダムパラメータの組み合わせを取得することと、
前記ランダムパラメータの組み合わせを燃料電池モデルに順次入力して、前記ランダムパラメータの組み合わせの各セットでのパワー値と動作効率値を取得することと、
前記パワー値と前記動作効率値の高速非優越ソートと混雑度計算を実行し、適応度値が事前設定された閾値よりも大きいパワー値と動作効率の個体群の組み合わせを選択し、前記パワー値と動作効率の個体群の組み合わせに対応する燃料電池の動作状況の組み合わせを第3世代のランダム個体群とすることと、
前記第3世代のランダム個体群を、前記コード進数に従ってランダムにコードし、第3世代のランダム個体群コードを取得することと、
反復回数が停止条件を満たしているかどうかを判断し、満たしている場合はシミュレーションを終了し、前記第3世代のランダム個体群コードを記録し、満たしていない場合は前記第3世代のランダム個体群コードを選択、交差、および変異の操作を再びに実行することと、
を含み、
前記基本効果法を用いて前記燃料電池の動作状況パラメータの感度分析を行い、前記燃料電池の動作状況パラメータの感度値を取得することは、
前記燃料電池の動作状況パラメータの値の範囲を設定することと、
前記燃料電池の動作状況パラメータの値の範囲を標準化し、ランダム行列に入力することと、
前記動作状況パラメータの値範囲の組み合わせを前記ランダム行列で演算して取得し、前記値範囲の組み合わせを解析して燃料電池モデルに入力し、前記燃料電池の出力電圧を取得し、基本効果値を計算することと、
前記基本効果値に基づいて、前記燃料電池の動作状況パラメータの感度値を計算することと、
を具体的に含み、
前記燃料電池の動作状況パラメータの感度値の進数マッピングテーブルを構築し、前記燃料電池の動作状況パラメータの異なる感度値と対応使用されるコード進数とのマッピング関係を形成することは、
前記燃料電池の動作状況パラメータの感度値の最大値と最小値を取得することと、
前記コード進数の数に応じて前記感度値の区間を分割し、複数の感度値の区間を取得することと、
前記感度値の区間に応じて前記コード進数が分配され、分配された前記コード進数と前記感度値の区間との間にマッピング関係が形成され、感度値進数マッピングテーブルを取得することと、
を具体的に含む、
ことを特徴とする感度と遺伝子解析に基づく燃料電池シミュレーション最適化方法。
【請求項2】
請求項1に記載の感度と遺伝子解析に基づく燃料電池シミュレーション最適化方法であって、
前記第2世代のランダム個体群コードをデコードし、さらに変換して、前記燃料電池の動作状況パラメータのランダムパラメータの組み合わせを取得することは、具体的に、
前記第2世代のランダム個体群コードが、次の式を使用してデコードされることを含み、
【数8】
前記Gn maxは、前記燃料電池の動作状況パラメータに対応する最大5桁のn進数コードを十進数に変換した値であり、Gn'は、前記第2世代のランダム個体群コードの5桁のn進数コードを十進数に変換した値であり、xminは、前記燃料電池の動作状況パラメータの最小値であり、xmaxは、前記燃料電池の動作状況パラメータの最大値であり、xは、デコードされた動作状況パラメータの値である、
ことを特徴とする感度と遺伝子解析に基づく燃料電池シミュレーション最適化方法。
【請求項3】
請求項1に記載の感度と遺伝子解析に基づく燃料電池シミュレーション最適化方法であって、
前記反復回数が停止条件を満たしているかどうかを判断し、満たしている場合はシミュレーションを終了し、前記第3世代のランダム個体群コードを記録し、満たしていない場合は前記第3世代のランダム個体群コードを選択、交差、および変異の操作を再びに実行することは、
前記第2世代のランダム個体群コードのデコード結果に基づいて、パワーと動作効率の燃料電池の動作状況パラメータの組み合わせが選別され、対応する前記燃料電池の動作状況パラメータの組み合わせが感度の進数に従ってコードされて前記第3世代のランダム個体群が得られ、前記第3世代のランダム個体群のすべての個体が非支配的にソートされることと、
遺伝的アルゴリズム操作に従って第4世代のランダム個体群を生成することと、
前記第3世代のランダム個体群と第4世代のランダム個体群の個体を親個体群として合併することと、
前記親個体群を再非支配的にソートし、混雑距離を計算し、適者生存を通じて個体数を初期状態値と一致させることと、
前記遺伝的アルゴリズム操作を再度実行して、新世代の子個体群を生成することと、
前記反復回数が最大代数より小さいかどうかを判断し、小さい場合は第2ステップに戻り、そうでない場合はデータを記録してシミュレーションを終了することと、
を具体的に含む、
ことを特徴とする感度と遺伝子解析に基づく燃料電池シミュレーション最適化方法。
【請求項4】
請求項1に記載の感度と遺伝子解析に基づく燃料電池シミュレーション最適化方法であって、
前記パワー値と前記動作効率値の高速非優越ソートと混雑度計算を実行し、適応度値が事前設定された閾値よりも大きいパワー値と動作効率の個体群の組み合わせを選択し、前記パワー値と前記動作効率の個体群の組み合わせに対応する燃料電池の動作状況の組み合わせを第3世代のランダム個体群とすることは、
多目的最適化関数の値が、前記パワー値と前記動作効率値に基づいて決定されることを具体的に含む、
ことを特徴とする感度と遺伝子解析に基づく燃料電池シミュレーション最適化方法。
【請求項5】
感度と遺伝子解析に基づく燃料電池シミュレーション最適化システムであって、
基本効果法を用いて燃料電池の動作状況パラメータの感度分析を行い、前記燃料電池の動作状況パラメータの感度値を取得する感度分析モジュールと、
前記燃料電池の動作状況パラメータの感度値の進数マッピングテーブルを含み、前記燃料電池の動作状況パラメータの異なる感度値と対応使用されるコード進数とのマッピング関係を形成するマッピングモジュールと、
前記燃料電池の動作状況パラメータの感度値と感度値の進法マッピングテーブルに従って、前記感度値に対応するコード進数を採用する進法コードモジュールと、
前記燃料電池の動作状況パラメータによって形成される個体群の規模に応じて、前記燃料電池の動作状況パラメータに対して、前記コード進数の範囲内でランダムにコード化されて値を取り、第1世代のランダム個体群コードを取得するランダムコードモジュールと、
前記第1世代のランダム個体群コードに対して選択、交差、および変異の操作を実行し、第2世代のランダム個体群コードを取得する遺伝子分析モジュールと、
前記第2世代のランダム個体群コードをデコードし、さらに変換して、前記燃料電池の動作状況パラメータのランダムパラメータの組み合わせを取得するデコードモジュールと、
前記ランダムパラメータの組み合わせを燃料電池モデルに順次入力して、前記ランダムパラメータの組み合わせの各セットでのパワー値と動作効率値を取得し、前記パワー値と動作効率値の高速非優越ソートと混雑度計算を実行し、適応度値が事前設定された閾値よりも大きいパワー値と動作効率の個体群の組み合わせを選択し、前記パワー値と動作効率の個体群の組み合わせに対応する燃料電池の動作状況の組み合わせを第3世代のランダム個体群とする多目的最適化モジュールと、
ランダムコードモジュールが前記第3世代のランダム個体群を、前記コード進数に従ってランダムにコードし、第3世代のランダム個体群コードを取得することと、
反復回数が停止条件を満たしているかどうかを判断し、満たしている場合はシミュレーションを終了し、前記第3世代のランダム個体群コードを記録し、満たしていない場合は前記第3世代のランダム個体群コードを選択、交差、および変異の操作を再びに実行するループ判定モジュールと、
を備え、
基本効果法を用いて前記燃料電池の動作状況パラメータの感度分析を行い、前記燃料電池の動作状況パラメータの感度値を取得する前記感度分析モジュールは、
前記燃料電池の動作状況パラメータの値の範囲を設定することと、
前記燃料電池の動作状況パラメータの値の範囲を標準化し、ランダム行列に入力することと、
前記燃料電池の動作状況パラメータの値範囲の組み合わせを前記ランダム行列で演算して取得し、前記値範囲の組み合わせを解析して燃料電池モデルに入力し、前記燃料電池の出力電圧を取得し、基本効果値を計算することと、
前記基本効果値に基づいて、前記燃料電池の動作状況パラメータの感度値を計算することと、
を具体的に含み、
前記燃料電池の動作状況パラメータの感度値の進数マッピングテーブルを含み、前記燃料電池の動作状況パラメータの異なる感度値と対応使用されるコード進数とのマッピング関係を形成する前記マッピングモジュールは、
前記燃料電池の動作状況パラメータの感度値の最大値と最小値を取得することと、
前記コード進数の数に応じて前記感度値の区間を分割し、複数の感度値の区間を取得することと、
前記感度値の区間に応じて前記コード進数が分配され、分配された前記コード進数と前記感度値の区間との間にマッピング関係が形成され、感度値進数マッピングテーブルが取得することと、
を具体的に含む、
ことを特徴とする感度と遺伝子解析に基づく燃料電池シミュレーション最適化システム。
【請求項6】
請求項5に記載の感度と遺伝子解析に基づく燃料電池シミュレーション最適化システムであって、
前記第2世代のランダム個体群コードをデコードし、さらに変換して、前記燃料電池の動作状況パラメータのランダムパラメータの組み合わせを取得する前記デコードモジュールは、具体的に、
次の式を使用して、前記第2世代のランダム個体群コードをデコードすることを含み、
【数9】
前記Gn maxは、前記燃料電池の動作状況パラメータに対応する最大5桁のn進数コードを十進数に変換した値であり、Gn'は、前記第2世代のランダム個体群コードの5桁のn進数コードを十進数に変換した値であり、xminは、前記燃料電池の動作状況パラメータの最小値であり、xmaxは、前記燃料電池の動作状況パラメータの最大値であり、xは、デコードされた動作状況パラメータの値であり、
反復回数が停止条件を満たしているかどうかを判断し、満たしている場合はシミュレーションを終了し、前記第3世代のランダム個体群コードを記録し、満たしていない場合は前記第3世代のランダム個体群コードを選択、交差、および変異の操作を再びに実行する前記ループ判定モジュールは、
前記第2世代のランダム個体群コードのデコード結果に基づいて、パワーと動作効率の燃料電池の動作状況パラメータの組み合わせが選別され、対応する前記燃料電池の動作状況パラメータの組み合わせが感度の進数に従ってコードされて前記第3世代のランダム個体群が得られ、前記第3世代のランダム個体群のすべての個体が非支配的にソートされることと、
遺伝的アルゴリズム操作に従って第4世代のランダム個体群を生成することと、
前記第3世代のランダム個体群と第4世代のランダム個体群の個体を親個体群として合併することと、
前記親個体群を再非支配的にソートし、混雑距離を計算し、適者生存を通じて個体数を初期状態値と一致させることと、
前記遺伝的アルゴリズム操作を再度実行して、新世代の子個体群を生成することと、
前記反復回数が最大代数より小さいかどうかを判断し、小さい場合は第2ステップに戻り、そうでない場合はデータを記録してシミュレーションを終了することと、
を具体的に含む、
ことを特徴とする感度と遺伝子解析に基づく燃料電池シミュレーション最適化システム。
【請求項7】
請求項6に記載の感度と遺伝子解析に基づく燃料電池シミュレーション最適化システムであって、
前記多目的最適化モジュールは、
多目的最適化関数の値が、前記パワー値と前記動作効率値に基づいて決定されることを具体的に含む、
ことを特徴とする感度と遺伝子解析に基づく燃料電池シミュレーション最適化システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気化学燃料電池の分野に属し、特に感度と遺伝子解析に基づく燃料電池シミュレーションの最適化方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
プロトン交換膜燃料電池の動作状況には、相対湿度、化学量論比、動作温度と圧力など、最適化する必要がある多くのパラメータが含まれる。燃料電池の実物テスト方法には、長いテストサイクルと高いコストという問題がある。それに対して、シミュレーションテストは、サイクルが短く、コストが低い方法である。
【0003】
シミュレーション最適化を実行する場合、最適化の動作状況パラメータの組み合わせを決定するために、各動作状況パラメータを詳細に分割する必要がある。たとえば、1つの動作状況パラメータに5つの値を選択すると、4つの動作状況パラメータは、625セットの動作状況パラメータの組み合わせが生成され、シミュレーションテストの計算量が膨大になる。この方法は、異なる動作状況パラメータが燃料電池性能に与える影響の程度が異なるという問題を無視しており、燃料電池性能に与える影響の程度が小さい動作状況パラメータを特定できれば、パラメータの値の数を減らすことができる。シミュレーションの計算量を大幅に削減し、シミュレーションの最適化の効率をさらに向上させる。
【0004】
従来の技術では、一般的に燃料電池の動作状況パラメータを組み合わせてシミュレーションの最適化を実行し、シミュレーションプロセス中に異なる動作状況パラメータのさまざまな感度を無視している。実際に、分析する動作状況パラメータの感度が非常に低い場合、つまり、動作状況パラメータの変化が燃料電池の性能に与える影響が小さい場合、そのような高いグリッド精度で計算する必要はない。そうしないと、データの検索と計算を完了するために多くのシミュレーション時間が無駄になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の燃料電池のさまざまな動作状況パラメータの膨大なシミュレーション最適化計算量の問題を解決するために、本発明は、感度と遺伝子分析に基づく燃料電池シミュレーション最適化方法及びシステムの保護を請求する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、本発明は、感度と遺伝子解析に基づく燃料電池シミュレーション最適化方法の保護を請求し、その方法は、
基本効果法を用いて燃料電池の動作状況パラメータの感度分析を行い、燃料電池の動作状況パラメータの感度値を取得することと、
燃料電池の動作状況パラメータの感度値の進数マッピングテーブルを構築し、燃料電池の動作状況パラメータの異なる感度値と対応使用されるコード進数とのマッピング関係を形成することと、
燃料電池の動作状況パラメータの感度値と感度値の進法マッピングテーブルに従って、感度値に対応するコード進数を採用することと、
燃料電池の動作状況パラメータによって形成される個体群の規模に応じて、燃料電池の動作状況パラメータに対して、コード進数の範囲内でランダムにコード化されて値を取り、第1世代のランダム個体群コードを取得することと、
第1世代のランダム個体群コードに対して選択、交差、および変異の操作を実行し、第2世代のランダム個体群コードを取得することと、
第2世代のランダム個体群コードをデコードし、さらに変換して、燃料電池の動作状況パラメータのランダムパラメータの組み合わせを取得することと、
ランダムパラメータの組み合わせを燃料電池モデルに順次入力して、ランダムパラメータの組み合わせの各セットでのパワー値と動作効率値を取得することと、
パワー値と動作効率値の高速非優越ソートと混雑度計算を実行し、適応度値が事前設定された閾値よりも大きいパワー値と動作効率の個体群の組み合わせを選択し、パワー値と動作効率の個体群の組み合わせに対応する燃料電池の動作状況の組み合わせを第3世代のランダム個体群とすることと、
第3世代のランダム個体群を、コード進数に従ってランダムにコードし、第3世代のランダム個体群コードを取得することと、
反復回数が停止条件を満たしているかどうかを判断し、満たしている場合はシミュレーションを終了し、第3世代のランダム個体群コードを記録し、満たしていない場合は第3世代のランダム個体群コードを選択、交差、および変異の操作を再びに実行することと、
を含む。
【0007】
本発明の第2の態様によれば、本発明は、感度と遺伝子解析に基づく燃料電池シミュレーション最適化システムの保護を請求し、そのシステムは、
基本効果法を用いて燃料電池の動作状況パラメータの感度分析を行い、燃料電池の動作状況パラメータの感度値を取得する感度分析モジュールと、
燃料電池の動作状況パラメータの感度値の進数マッピングテーブルを構築し、燃料電池の動作状況パラメータの異なる感度値と対応使用されるコード進数とのマッピング関係を形成するマッピングモジュールと、
燃料電池の動作状況パラメータの感度値と感度値の進法マッピングテーブルに従って、感度値に対応するコード進数を採用する進法コードモジュールと、
燃料電池の動作状況パラメータによって形成される個体群の規模に応じて、燃料電池の動作状況パラメータに対して、コード進数の範囲内でランダムにコード化されて値を取り、第1世代のランダム個体群コードを取得するランダムコードモジュールと、
第1世代のランダム個体群コードに対して選択、交差、および変異の操作を実行し、第2世代のランダム個体群コードを取得する遺伝子分析モジュールと、
第2世代のランダム個体群コードをデコードし、さらに変換して、燃料電池の動作状況パラメータのランダムパラメータの組み合わせを取得するデコードモジュールと、
ランダムパラメータの組み合わせを燃料電池モデルに順次入力して、ランダムパラメータの組み合わせの各セットでのパワー値と動作効率値を取得し、パワー値と動作効率値の高速非優越ソートと混雑度計算を実行し、適応度値が事前設定された閾値よりも大きいパワー値と動作効率の個体群の組み合わせを選択し、パワー値と動作効率の個体群の組み合わせに対応する燃料電池の動作状況の組み合わせを第3世代のランダム個体群とする多目的最適化モジュールと、
ランダムコードモジュールが、第3世代のランダム個体群を、コード進数に従ってランダムにコードし、第3世代のランダム個体群コードを取得することと、
反復回数が停止条件を満たしているかどうかを判断し、満たしている場合はシミュレーションを終了し、第3世代のランダム個体群コードを記録し、満たしていない場合は第3世代のランダム個体群コードを選択、交差、および変異の操作を再びに実行するループ判定モジュールと、
を備える。
【0008】
本発明は、感度と遺伝子解析に基づく燃料電池シミュレーション最適化方法及びシステムの保護を請求する。燃料電池の動作状況パラメータの感度解析を通じて、感度値の進数マッピングテーブルが構築され、動作状況パラメータによって形成される個体群の規模に応じて、対応するコード進数の範囲内で、動作状況パラメータが、ランダムにコード化されて値を取得し、ランダムな個体群コードが取得され、選択、交差、および変異の操作の後、次世代のランダムな個体群コードが取得され、デコードされ、動作状況パラメータのランダムなパラメータの組み合わせと、その下でのパワー値および動作効率値を変換して取得し、多目的最適化処理により、対応する動作状況パラメータを次世代のランダムな個体群として取得し、反復回数が停止条件を満たすまで反復を継続し、結果を記録する。本方案は、燃料電池の動作状況パラメータの感度定量値を遺伝的アルゴリズムの5桁の遺伝子コードと組み合わせて、高感度パラメータのグリッドが精密になるとともに、検索精度が高くなり、低感度パラメータのグリッドがまばらになるとともに、検索精度が低くなり、より高いシミュレーション効率を図る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明によって保護を請求する感度と遺伝子解析に基づく燃料電池シミュレーション最適化方法の動作フロー図である。
図2図2は、本発明によって保護を請求する感度と遺伝子解析に基づく燃料電池シミュレーション最適化方法の第2の動作フロー図である。
図3図3は、本発明によって保護を請求する感度と遺伝子解析に基づく燃料電池シミュレーション最適化方法の第3の動作フロー図である。
図4図4は、本発明によって保護を請求する感度と遺伝子解析に基づく燃料電池シミュレーション最適化方法の第4の動作フロー図である。
図5図5は、本発明によって保護を請求する感度と遺伝子解析に基づく燃料電池シミュレーション最適化方法の最適化前の第1世代個体群のサンプル空間分布図である。
図6図6は、本発明によって保護を請求する感度と遺伝子解析に基づく燃料電池シミュレーション最適化方法の最適化前の最終世代のサンプル空間分布図である。
図7図7は、本発明によって保護を請求する感度と遺伝子解析に基づく燃料電池シミュレーション最適化方法の最適化された第1世代集団のサンプル空間分布図である。
図8図8は、本発明によって保護を請求する感度と遺伝子解析に基づく燃料電池シミュレーション最適化方法の最適化された最終世代集団のサンプル空間分布図である。
図9図9は、本発明によって保護を請求する感度および遺伝子解析に基づく燃料電池シミュレーション最適化システムの概略構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本開示の実施形態をより詳細に説明する。本願に使用される「第1」、「第2」などの用語は、本明細書において様々な要素を説明するために使用され得るが、これらの要素は、特に断りのない限り、これらの用語によって制限されないことを理解できる。これらの用語は、最初の要素を別の要素と区別するためにのみ使用される。本開示の例示的な実施形態が図面に示されているが、本開示は、本明細書に記載された実施形態によって制限されることなく、様々な形で実施され得ることが理解されるべきである。代わりに、これらの実施形態は、本開示をより完全に理解し、本開示の範囲を当業者に完全に伝えるために提供される。
【0011】
以下、添付の図面を参照して、本出願の実施形態をさらに詳細に説明する。
【0012】
本発明の第1の態様によれば、図1を参照すると、本発明は、感度と遺伝子解析に基づく燃料電池シミュレーション最適化方法の保護を請求し、その方法は、
S101:基本効果法を用いて燃料電池の動作状況パラメータの感度分析を行い、燃料電池の動作状況パラメータの感度値を取得することと、
S201:燃料電池の動作状況パラメータの感度値の進数マッピングテーブルを構築し、燃料電池の動作状況パラメータの異なる感度値と対応使用されるコード進数とのマッピング関係を形成することと、
S301:燃料電池の動作状況パラメータの感度値と感度値の進法マッピングテーブルに従って、感度値に対応するコード進数を採用することと、
S401:燃料電池の動作状況パラメータによって形成される個体群の規模に応じて、燃料電池の動作状況パラメータに対して、コード進数の範囲内でランダムにコード化されて値を取り、第1世代のランダム個体群コードを取得することと、
S501:第1世代のランダム個体群コードに対して選択、交差、および変異の操作を実行し、第2世代のランダム個体群コードを取得することと、
S601:第2世代のランダム個体群コードをデコードし、さらに変換して、燃料電池の動作状況パラメータのランダムパラメータの組み合わせを取得することと、
S701:ランダムパラメータの組み合わせを燃料電池モデルに順次入力して、ランダムパラメータの組み合わせの各セットでのパワー値と動作効率値を取得することと、
S801:パワー値と動作効率値の高速非優越ソートと混雑度計算を実行し、適応度値が事前設定された閾値よりも大きいパワー値と動作効率の個体群の組み合わせを選択し、パワー値と動作効率の個体群の組み合わせに対応する燃料電池の動作状況の組み合わせを第3世代のランダム個体群とすることと、
S901:第3世代のランダム個体群を、コード進数に従ってランダムにコードし、第3世代のランダム個体群コードを取得することと、
S1001:反復回数が停止条件を満たしているかどうかを判断し、満たしている場合はシミュレーションを終了し、第3世代のランダム個体群コードを記録することと、
を含む。
満たしていない場合は第3世代のランダム個体群コードを選択、交差、および変異の操作を再びに実行する。
停止条件は、事前に設定された反復回数である。
【0013】
さらに、図2を参照すると、ステップS101は、具体的には、
S102:燃料電池の動作状況パラメータの値の範囲を設定することと、
S103:燃料電池の動作状況パラメータの値の範囲を標準化し、ランダム行列に入力することと、
S104:動作状況パラメータの値範囲の組み合わせをランダム行列で演算して取得し、値範囲の組み合わせを解析して燃料電池モデルに入力し、燃料電池の出力電圧を取得し、基本効果値を計算することと、
S105:基本効果値に基づいて、燃料電池の動作状況パラメータの感度値を計算することと、
を含む。
【0014】
その中で、基本効果法は、入力パラメータの変化が出力パラメータに与える影響の程度の統計分析である。
【0015】
感度分析は、燃料電池モデルと共同でシミュレートする必要がある。具体的なプロセスは、
燃料電池の分析対象の動作状況パラメータの値の範囲、サンプルの次元、および軌跡数を設定することと、
燃料電池の動作状況パラメータの値の範囲を標準化して、0-1内の対応する値に変換し、構築されたランダムマトリックスに取り込むことと、
ランダム行列で異なる燃料電池動作状況パラメータの組み合わせを生成し、それを実際のパラメータ値に解析して燃料電池モデルに順次取り込み、演算された燃料電池電圧の結果を収集し、基本効果を計算することと、
を含む。
【0016】
基本効果法のパラメータ点選択方法は、まず、k次元のパラメータ空間から基準点を抽出し、次に、すべてのパラメータ次元で単位格子長の範囲の移動を行い、最終的に(k+1)個のパラメータ点を含むパラメータ軌跡を取得することである。3次元空間(k=3)により、X、X、Xをそれぞれの次元とし、基準点x(1)をランダムに生成し、任意のパラメータ次元で3回、単位グリッド長範囲の移動を行い、x(2)、x(3)、x(4)を生成し、即ち、パラメータ軌跡になる。
【0017】
サンプル軌跡をランダムに生成する方法は、
k次元のNレベルのグリッド空間で基準点x*をランダムに生成する第一のステップと、
x*からランダムなパラメータの方向に増分Δを増減して、第一のサンプルポイントx(1)を取得する第二のステップと、
x(1)から他のパラメータの方向に増分Δを増減して、x(2)を取得し、つまり、x(2)=x(1)±eiΔであり、eiは単位方向ベクトルであり、変化する方向がパラメータiの方向である第三のステップと、
x(2)からx(3)をx(k+1)まで生成し続け、つまり、ランダムに生成された一連のサンプル軌跡シーケンスx(1)、x(2)、...、x(k+1)を取得する第四のステップと、
を含むことに要約できる。
【0018】
各サンプル軌跡の各パラメータの方向は1回だけ使用できるため、2つの隣接する点は、ランダムなパラメータ次元に単位長を追加または削減すると見なすことができる。
【0019】
それぞれの次元におけるサンプル軌跡の基本効果値を計算する第五のステップと、
上記の方法に従ってr個のサンプル軌跡がランダムに生成され、各パラメータの毎に、r回の基本効果値を計算でき、r個の基本効果値の基本効果平均値と基本効果分散を計算でき、各パラメータの感度値を計算できる第六のステップと、も含む。
【0020】
基本効果の計算方法によると、パラメータ軌跡には(k+1)個のパラメータ点があり、各パラメータはそれぞれの次元で1回の基本効果値を計算できる。これに基づいてr個のパラメータ軌跡が設定され、各パラメータはそれぞれの次元でr回の基本効果値を計算できる。そのため、何れのパラメータに対して、そのパラメータ次元における任意のパラメータの感度は、次の式で表すことができる。
【数1】
【0021】
ここで、EEi jはj番目のパラメータ軌跡上のパラメータiの基本効果値を表し、rはパラメータ軌跡の数を表し、Σj=1 rEEi jは、1番目のパラメータ軌跡からr番目のパラメータ軌跡まで基本効果値EEi jを加算することを表し、uiは基本効果平均値を表し、ui *は基本効果値の絶対値の平均値を表し、σi は基本効果分散を表す。部分のパラメータの基本効果値の値は0より大きい場合もあり、0より小さい場合もあるため、基本効果の平均値は小さくなるか、負の数になる。これにより、パラメータの感度が低下するか、非感度のパラメータになる可能性がある。これは、統計の第2タイプのエラーである。したがって、最初に基本効果値に絶対値を使用してから平均処理を行い、基本効果値の絶対値の平均を求め、感度値の補正を完成する必要がある。
【0022】
さらに、図3を参照すると、ステップS201は、具体的には、
S202:燃料電池の動作状況パラメータの感度値の最大値と最小値を取得することと、
S203:コード進数の数に応じて感度値の区間を分割し、複数の感度値の区間を取得することと、
S204:感度値の区間に応じてコード進数が分配され、分配されたコード進数と感度値の区間との間にマッピング関係が形成され、感度値進数マッピングテーブルが取得することと、
を含む。
【0023】
その中で、この実施例では、搭載された遺伝的アルゴリズムでは、遺伝子の交差とコンパイルは5桁の10進コードに基づいて行われる。これでは、遺伝的アルゴリズムに入る過程で実際のパラメータを5桁の十進数コードにコードする必要があり、計算が完了した後、実際のパラメータにデコードし、それを燃料電池モデルに代入して計算に参加する必要がある。
【0024】
5桁の10進コードの値の範囲は0~99999である。xを解析するパラメータの1つ、yをランダムに生成された5桁の十進数コードとすると、変換関係は次のようになる。
【数2】
ここで、xmaxは、分析対象の燃料電池の動作状況パラメータの値の範囲の最大値を表し、xminは、分析対象の燃料電池の動作状況パラメータの値の範囲の最小値を表す。
【0025】
分析対象の動作状況として相対湿度を選択し、相対湿度の値の範囲(x∈[0.1,0.9])を例にとると、相対湿度値の1つが十進数に変換されて56234になると、このパラメータの実際の値は約0.550になる。
【0026】
5桁の十進数でコード化されたグリッド精度は100,000ですが、実際の分析対象の燃料電池の動作状況パラメータの感度が非常に低い場合、つまり、燃料電池の動作状況パラメータの変化が燃料電池の性能に対して影響が非常に小さい場合、そのような高いグリッド精度で計算することは必要ではない。そうしないと、データの検索と計算を完成するために多くのシミュレーション時間が無駄になる。
【0027】
この実施形態では、燃料電池の動作状況パラメータの感度定量化値を遺伝的アルゴリズムの5桁の遺伝子コードと組み合わせて、高感度パラメータのグリッドが精密になるとともに、検索精度が高くなり、低感度パラメータのグリッドがまばらになるとともに、検索精度が低くなり、より高いシミュレーション効率を図る。
【0028】
この実施形態は、グリッドのサイズを変更するために、さまざまな進数コード方法を利用する。遺伝的アルゴリズムの遺伝子の長さを確保するために、各燃料電池の動作状況パラメータに対応する遺伝子の数として5桁を選択する。異なる進数に対応する5桁のコードとそれを十進数に変換した実際の値を表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
この方法を使用して、G10 maxがランダムに生成された5桁のn進数コードを十進数に変換した最大値であり、Gn'がランダムに生成された5桁のn進数コードを十進数に変換した値であると仮定すると、解析対象の燃料電池の動作状況パラメータxの値は次のとおりである。
【数3】
【0031】
この式を使用して、相対湿度の値の範囲(x∈[0.1,0.9])を例として選択する。相対湿度値の1つが3進数に変換されて11202になり、計算により、Gn'が128になり、5桁の3進数の最大値はG10 max=242であり、このパラメータの実際の値は約0.523である。
【0032】
上記の分析対象の燃料電池の動作状況パラメータと異なる進数との変換関係に基づいて、どのようなパラメータがどのレベルのグリッド精度に対応するかを判断して分析する必要がある。
【0033】
燃料電池の動作状況パラメータの感度定量化結果によると、燃料電池の動作状況パラメータの感度定量化値の範囲は0.01から0.15の間であり、この範囲内で、表2に示すように、遺伝的アルゴリズムを実行する過程で使用される、異なる燃料電池の動作状況パラメータに対応するコードとデコードの進数レベルを定義することができる。
【0034】
【表2】
【0035】
さらに、ステップS601は、具体的には、
次の式を使用して、第2世代のランダム個体群コードをデコードすることを含む。
【数4】
Gn maxは、燃料電池の動作状況パラメータに対応する最大5桁のn進数コードを十進数に変換した値であり、Gn'は、第2世代のランダム個体群コードの5桁のn進数コードを十進数に変換した値であり、xminは、燃料電池の動作状況パラメータの最小値であり、xmaxは、燃料電池の動作状況パラメータの最大値であり、xは、デコードされた動作状況パラメータの値である。
【0036】
さらに、図4を参照すると、ステップS1001は、具体的には、
S1002:第2世代のランダム個体群コードのデコード結果に基づいて、パワーと動作効率の燃料電池の動作状況パラメータの組み合わせが選別され、対応する燃料電池の動作状況パラメータの組み合わせが感度の進数に従ってコードされて第3世代のランダム個体群が得られ、第3世代のランダム個体群のすべての個体が非支配的にソートされることと、
S1003:遺伝的アルゴリズム操作に従って第4世代のランダム個体群を生成することと、
S1004:第3世代のランダム個体群と第4世代のランダム個体群の個体を親個体群として合併することと、
S1005:親個体群を再非支配的にソートし、混雑距離を計算し、適者生存を通じて個体数を初期状態値と一致させることと、
S1006:遺伝的アルゴリズム操作を再度実行して、新世代の子個体群を生成することと、
S1007:反復回数が最大代数より小さいかどうかを判断し、小さい場合は第2ステップに戻り、そうでない場合はデータを記録してシミュレーションを終了することと、
を含む。
【0037】
その中で、この実施形態では、個体群内の個体の多様性をより適切に維持するために、個体群内の良好なパフォーマンスと比較的小さな密度を持つ個体を保持し、次世代の遺伝的反復に参加させる必要がある。
【0038】
異なる個体間の混雑した距離を判断して、どの優れた個体が保存できるかを決定する必要がある。ここで、個体iの周りの最も近い2つの個体を長方形にして、その混雑距離idを計算する必要がある。このidは、個体iの周りの2つのサンプルポイントの異なる次元における目的関数の差の合計として定義される。
【0039】
id値が小さい場合は、当該個体の周囲に存在する個体数が多いことを意味する。したがって、最適解における個体群の多様性のためには、より大きいidを持つ個体を次世代に継承して反復計算を行う必要がある。次に、個体群反復のルールは、個体群反復を実行する場合、非支配的な個体の級数が事前に設定された閾値よりも大きい個体を先に次世代に継承する必要があり、同級数の個体のうち、混雑度の高い個体が反復優先権を持つことである。
【0040】
燃料電池の出力性能と燃料利用率をよりよく示すために、燃料電池のパワーと動作効率を最適化するパラメータとして設定する。
【数5】
【0041】
ここで、Pは燃料電池パワー(W)であり、Voutは燃料電池出力電圧(V)であり、Iは電流密度(A cm-2)であり、Aは有効反応面積(cm-2)であり、ηは動作効率であり、LHVH2は水素の低発熱量(MJ kg-1)であり、mH2は水素質量流量(kg s-1)であり、STaはアノードストイキ比であり、MH2は水素のモル質量(g mol-1)であり、Fはファラデー定数(C mol-1)でである。
【0042】
上記の内容に基づいて、最終的な多目的最適化関数は次のように決定される。
【数6】
【0043】
ここで、f(x)は多目的最適化関数であり、Tstackは燃料電池動作温度(K)であり、RHaはアノード相対湿度であり、RHcはカソード相対湿度であり、STaはアノードストイキ比であり、STcはカソードストイキ比であり、Paはアノード圧力(atm)であり、Pcはカソード圧力(atm)である。
【0044】
多目的最適化の最適化効果を示すためには、進化代数をより大きな値に設定する必要がある。最適化後の優れた計算効果をより直感的に示すために、最適化の前後の第1世代と第80世代の個体群のサンプル空間分布を比較した。
【0045】
図5-8を参照すると、1.0A/cm-2の電流密度での反復中の個体群の値の変化が示されている。横軸は燃料電池のパワーを表し、縦軸は燃料電池の動作効率を表す。図5図7は、最適化の前後の第1世代の個体群のサンプル空間におけるデータ分布を示している。このセットのデータは最適化されておらず、それが示した性能は空間にランダムに分布している。図6図8は、最適化の前後の第80世代の個体群のサンプル空間におけるデータ分布を示している。図8の最適化されたすべての個体が基本的に最適な非支配的なシーケンスの周りに分布し、ごく少数の個体が支配的な範囲になることは、発見する。そのため、現在の個体群の最先端の個体は、現在の条件下での燃料電池システムの最適な個体群であると見なすことができる。一方、図6では、ほとんどの個体が最適な非支配的なシーケンスになっているが、依然としてかなりの割合の個体がまだ支配的な範囲にある。
【0046】
最適化前のサンプルデータの反復を継続することにより、第96世代まで計算すると、最先端の個体数は最適化後の第80世代と同様になり、最適化後の計算効率は最適化前と比較して20%増加する。
【0047】
本発明の第2の実施形態によれば、図9を参照すると、本発明は、感度と遺伝子解析に基づく燃料電池シミュレーション最適化システムの保護を請求し、そのシステムは、
基本効果法を用いて燃料電池の動作状況パラメータの感度分析を行い、燃料電池の動作状況パラメータの感度値を取得する感度分析モジュールと、
燃料電池の動作状況パラメータの感度値の進数マッピングテーブルを含み、燃料電池の動作状況パラメータの異なる感度値と対応使用されるコード進数とのマッピング関係を形成するマッピングモジュールと、
燃料電池の動作状況パラメータの感度値と感度値の進法マッピングテーブルに従って、感度値に対応するコード進数を採用する進法コードモジュールと、
燃料電池の動作状況パラメータによって形成される個体群の規模に応じて、燃料電池の動作状況パラメータに対して、コード進数の範囲内でランダムにコード化されて値を取り、第1世代のランダム個体群コードを取得するランダムコードモジュールと、
第1世代のランダム個体群コードに対して選択、交差、および変異の操作を実行し、第2世代のランダム個体群コードを取得する遺伝子分析モジュールと、
第2世代のランダム個体群コードをデコードし、さらに変換して、燃料電池の動作状況パラメータのランダムパラメータの組み合わせを取得するデコードモジュールと、
ランダムパラメータの組み合わせを燃料電池モデルに順次入力して、ランダムパラメータの組み合わせの各セットでのパワー値と動作効率値を取得し、パワー値と動作効率値の高速非優越ソートと混雑度計算を実行し、適応度値が事前設定された閾値よりも大きいパワー値と動作効率の個体群の組み合わせを選択し、パワー値と動作効率の個体群の組み合わせに対応する燃料電池の動作状況の組み合わせを第3世代のランダム個体群とする多目的最適化モジュールと、
ランダムコードモジュールが、第3世代のランダム個体群を、コード進数に従ってランダムにコードし、第3世代のランダム個体群コードを取得することと、
反復回数が停止条件を満たしているかどうかを判断し、満たしている場合はシミュレーションを終了し、第3世代のランダム個体群コードを記録し、満たしていない場合は第3世代のランダム個体群コードを選択、交差、および変異の操作を再びに実行するループ判定モジュールと、
を備える。
【0048】
さらに、基本効果法を用いて燃料電池の動作状況パラメータの感度分析を行い、燃料電池の動作状況パラメータの感度値を取得する感度分析モジュールは、
燃料電池の動作状況パラメータの値の範囲を設定することと、
燃料電池の動作状況パラメータの値の範囲を標準化し、ランダム行列に入力することと、
燃料電池の動作状況パラメータの値範囲の組み合わせをランダム行列で演算して取得し、値範囲の組み合わせを解析して燃料電池モデルに入力し、燃料電池の出力電圧を取得し、基本効果値を計算することと、
基本効果値に基づいて、燃料電池の動作状況パラメータの感度値を計算することと、
を具体的に含む。
【0049】
燃料電池の動作状況パラメータの感度値の進数マッピングテーブルを含み、燃料電池の動作状況パラメータの異なる感度値と対応使用されるコード進数とのマッピング関係を形成するマッピングモジュールは、
燃料電池の動作状況パラメータの感度値の最大値と最小値を取得することと、
コード進数の数に応じて感度値の区間を分割し、複数の感度値の区間を取得することと、
感度値の区間に応じてコード進数が分配され、分配されたコード進数と感度値の区間との間にマッピング関係が形成され、感度値進数マッピングテーブルが取得することと、
を具体的に含む。
【0050】
さらに、第2世代のランダム個体群コードをデコードし、さらに変換して、燃料電池の動作状況パラメータのランダムパラメータの組み合わせを取得するデコードモジュールは、
次の式を使用して、第2世代のランダム個体群コードをデコードすることを具体的に含む。
【数7】
Gn maxは、燃料電池の動作状況パラメータに対応する最大5桁のn進数コードを十進数に変換した値であり、Gn'は、第2世代のランダム個体群コードの5桁のn進数コードを十進数に変換した値であり、xminは、燃料電池の動作状況パラメータの最小値であり、xmaxは、燃料電池の動作状況パラメータの最大値であり、xは、デコードされた動作状況パラメータの値である。
【0051】
反復回数が停止条件を満たしているかどうかを判断し、満たしている場合はシミュレーションを終了し、第3世代のランダム個体群コードを記録し、満たしていない場合は第3世代のランダム個体群コードを選択、交差、および変異の操作を再びに実行するループ判定モジュールは、
第2世代のランダム個体群コードのデコード結果に基づいて、パワーと動作効率の燃料電池の動作状況パラメータの組み合わせが選別され、対応する燃料電池の動作状況パラメータの組み合わせが感度の進数に従ってコードされて第3世代のランダム個体群が得られ、第3世代のランダム個体群のすべての個体が非支配的にソートされることと、
遺伝的アルゴリズム操作に従って第4世代のランダム個体群を生成することと、
第3世代のランダム個体群と第4世代のランダム個体群の個体を親個体群として合併することと、
親個体群を再非支配的にソートし、混雑距離を計算し、適者生存を通じて個体数を初期状態値と一致させることと、
遺伝的アルゴリズム操作を再度実行して、新世代の子個体群を生成することと、
反復回数が最大代数より小さいかどうかを判断し、小さい場合は第2ステップに戻り、そうでない場合はデータを記録してシミュレーションを終了することと、
を具体的に含む。
【0052】
さらに、多目的最適化モジュールは、
多目的最適化関数の値が、パワー値と動作効率値に基づいて決定されることを具体的に含む。
【0053】
当業者であれば、本開示で開示された内容にはさまざまな変更や改良が可能であることを理解することができる。たとえば、上記で説明したさまざまな装置またはコンポーネントは、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせによって実現できる。
【0054】
本発明のフローチャートは、本発明の実施例に係る方法のステップを説明するために用いられる。なお、前後のステップは必ずしも順序通りに正確に行われるとは限らない。逆に、種々のステップを逆順に処理してもよいし、同時に処理してもよい。また、これらのプロセスに他の操作を追加することも可能である。
【0055】
当業者であれば、上述した方法のステップの全部または一部が、コンピュータプログラムによって関連するハードウェアに命令して完了させてもよく、プログラムは、読み出し専用メモリ、磁気ディスク、または光ディスクなどのコンピュータ可読記憶媒体に格納されてもよいことを理解するであろう。あるいは、上述の実施例のステップの全部または一部は、1つまたは複数の集積回路を使用して実現されてもよい。また、上記実施例における各モジュール/ユニットは、ハードウェアにより実現されてもよいし、ソフトウェア機能モジュールにより実現されてもよい。本開示は、ハードウェアおよびソフトウェアの特定の形態の組み合わせに限定されない。
【0056】
本明細書において使用される全ての用語は、特に断らない限り、本開示が属する技術分野における通常の知識を有する者によって共通に理解されるのと同じ意味を有する。また、通常の辞書に定義されているような用語は、本明細書で明示的に定義されていない限り、理想化された、または極端に形式的な意味を適用して解釈されるべきではなく、関連技術の文脈における意味と一致する意味を有するものとして解釈されるべきであることも理解されたい。
【0057】
以上が本発明の説明であり、これに限定されるものではない。本開示のいくつかの例示的な実施例を説明したが、当業者であれば、本開示の新規の教示および利点から逸脱することなく、例示的な実施例に多くの変更を加えることができることを容易に理解するであろう。したがって、このような修正は、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲に含まれるものである。以上が本発明の説明であり、開示された特定の実施例に限定されると考えられるべきではなく、開示された実施形態および他の実施形態に対する変更は、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることを理解されたい。本開示は、特許請求の範囲及びその等価物によって規定される。
【0058】
本明細書の説明において、用語「1つの実施例」、「いくつかの実施例」、「例示的な実施例」、「例」、「特定の例」、または「いくつかの例」などの記載は、その実施例または例に関連して説明される特定の特徴、構造、材料、または特性が、本願の少なくとも1つの実施例または例に含まれることを意味する。なお、本明細書において、上記の用語の概略表現は、必ずしも同一の実施例又は例を示すものではない。さらに、記載された特定の特徴、構造、材料、または特性は、任意の1つまたは複数の実施例または例において、適切な方法で組み合わせることができる。
【0059】
上記の説明は単に本出願の好ましい実施例であり、本出願を制限することを意図するものではなく、本出願の精神及び原則の範囲内で、いかなる修正、均等物の置換、改良などを行っても、本出願の保護範囲に含まれるものとする。
【要約】      (修正有)
【課題】特に感度と遺伝子解析に基づく燃料電池シミュレーションの最適化方法及びシステムを提供する。
【解決手段】方法は、燃料電池の動作状況パラメータの感度解析を通じて、感度値の進数マッピングテーブルを構築し、動作状況パラメータによって形成される個体群の規模に応じて、対応するコード進数の範囲内で、動作状況パラメータをランダムにコード化して値を取得し、第1世代のランダム個体群コードを取得し、それに対して選択、交差及び変異の操作の後、第2世代のランダムな個体群コードを取得し、それをデコードし、動作状況パラメータのランダムなパラメータの組み合わせと、パワー値及び動作効率値を変換して取得し、多目的最適化処理により、対応する動作状況パラメータを第3世代のランダムな個体群として取得し、反復回数が停止条件を満たすまで反復を継続し、満たした場合、第3世代のランダムな個体群コードを記録する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9