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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-18
(45)【発行日】2024-07-26
(54)【発明の名称】色変換パネル及びディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20240719BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20240719BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20240719BHJP
   H01L 33/50 20100101ALI20240719BHJP
   H01L 33/58 20100101ALI20240719BHJP
   H01L 33/60 20100101ALI20240719BHJP
【FI】
G09F9/30 349A
G09F9/30 310
G09F9/30 349C
G09F9/00 313
G02B5/20
H01L33/50
H01L33/58
H01L33/60
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022198658
(22)【出願日】2022-12-13
(65)【公開番号】P2024064922
(43)【公開日】2024-05-14
【審査請求日】2023-02-04
(31)【優先権主張番号】111141246
(32)【優先日】2022-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】390023582
【氏名又は名称】財團法人工業技術研究院
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRIAL TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE
【住所又は居所原語表記】No.195,Sec.4,ChungHsingRd.,Chutung,Hsinchu,Taiwan 31040
(74)【代理人】
【識別番号】100204490
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 葉子
(72)【発明者】
【氏名】梁 凱玲
(72)【発明者】
【氏名】郭 威宏
(72)【発明者】
【氏名】沈 暉堂
(72)【発明者】
【氏名】呉 俊億
(72)【発明者】
【氏名】林 素芳
【審査官】西田 光宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-009408(JP,A)
【文献】特表2021-503626(JP,A)
【文献】特開2021-140028(JP,A)
【文献】特開2004-063819(JP,A)
【文献】特開2020-205417(JP,A)
【文献】特開2019-179111(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第113178513(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111769109(CN,A)
【文献】特開2022-118915(JP,A)
【文献】特開2006-165041(JP,A)
【文献】中国実用新案第216053106(CN,U)
【文献】特開2017-175004(JP,A)
【文献】特開平06-027317(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20-5/28
G02F 1/1335-1/13363
G06T 7/00
G06V 40/00-40/70
G09F 9/00-9/46
H01L 21/205
H01L 21/31
H01L 21/365
H01L 21/469
H01L 21/86
H01L 33/00-33/64
H04N 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光素子を備えた発光画素アレイパネルと、
前記発光画素アレイパネル上に設けられた色変換パネルと
を含む
ディスプレイ装置であって、
上記色変換パネルが、
複数の第1画素開口と、複数の第2画素開口と、複数の第3画素開口とを含む不透明基板と、
前記不透明基板上に設けられたサファイア基板と
を含み、
前記第1画素開口が赤色量子ドット材料で充填され、前記第2画素開口が緑色量子ドット材料で充填され、
前記不透明基板に面した前記サファイア基板の第1表面が、前記第1画素開口に対応する複数の第1弧面と、前記第2画素開口に対応する複数の第2弧面と、前記第3画素開口に対応する複数の第3弧面とを有し、
前記第1弧面のエッジは、対応する前記第1画素開口のエッジと位置合わせされ、
前記第2弧面のエッジは、対応する前記第2画素開口のエッジと位置合わせされ、
前記第3弧面のエッジは、対応する前記第3画素開口のエッジと位置合わせされ、
前記複数の第1画素開口と、前記複数の第1画素開口と同数の前記第1弧面とが、一対一で対応しており、
前記複数の第2画素開口と、前記複数の第2画素開口と同数の前記第2弧面とが、一対一で対応しており、
前記複数の第3画素開口と、前記複数の第3画素開口と同数の前記第3弧面とが、一対一で対応している、
ディスプレイ装置。
【請求項2】
前記色変換パネルが、前記サファイア基板における前記第1表面の反対側に位置する前記サファイア基板の第2表面上に位置し、前記第1画素開口、前記第2画素開口、及び前記第3画素開口に対応する、複数のメタレンズ又はマイクロレンズを更に含む、
請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項3】
前記色変換パネルが、前記サファイア基板における前記第1表面の反対側に位置する前記サファイア基板の第2表面上に設けられた分布型ブラッグ反射層を更に含む、
請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項4】
前記色変換パネルが、前記第1弧面と前記第1画素開口との間、前記第2弧面と前記第2画素開口との間、及び前記第3弧面と前記第3画素開口との間に位置する複数の高屈折材料層を更に含み、
前記高屈折材料層の屈折率が1.7~2.0の間である、
請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項5】
前記第1弧面の内側凹面、前記第2弧面の内側凹面、及び前記第3弧面の内側凹面が、前記不透明基板に面する、
請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項6】
前記色変換パネルが、前記不透明基板と前記サファイア基板との間に設けられた遮光マトリックスを更に含み、
前記遮光マトリックスが、前記第1画素開口、前記第2画素開口、及び前記第3画素開口に対応する複数の透光開口を備える、
請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項7】
前記発光画素アレイパネルと前記色変換パネルとの間に設けられた遮光マトリックスを更に含み、
前記遮光マトリックスが、前記第1画素開口、前記第2画素開口、及び前記第3画素開口に対応する複数の透光開口を備える、
請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項8】
前記発光画素アレイパネルが遮光マトリックスを更に含み、
前記遮光マトリックスが前記発光素子に対応する複数の透光開口を備え、前記発光素子が前記透光開口に位置する、
請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項9】
前記色変換パネルに面する前記発光素子の表面が弧面である、
請求項1に記載のディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明はパネル及びディスプレイに関するものであり、特に色変換パネル及びディスプレイ装置に関するものである。
【0002】
近年、ディスプレイ技術がより成熟するにつれ、高コントラスト画像を提供可能な低電力消費の発光素子もディスプレイ装置に採用されている。しかし、画素間のピッチが縮小し続けるにつれ、隣接する画素間のクロストーク現象がより深刻となり、よって色純度及び色域の性能に影響を及ぼす。単色発光ダイオードを量子ドット材料と組み合わせて色変換を行うことでカラー表示を達成するとき、等方性発光特性を有する量子ドット材料もクロストークの問題を更に悪化させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、関連技術において存在するクロストーク現象を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の色変換パネルは、不透明基板と、サファイア基板とを含む。不透明基板は、複数の第1画素開口と、複数の第2画素開口と、複数の第3画素開口とを含む。第1画素開口は赤色量子ドット材料で充填され、第2画素開口は緑色量子ドット材料で充填される。サファイア基板は不透明基板上にある。不透明基板に面するサファイア基板の第1表面は、第1画素開口に対応する複数の第1弧面と、第2画素開口に対応する複数の第2弧面と、第3画素開口に対応する複数の第3弧面とを有する。
【0005】
本発明のディスプレイ装置は、発光画素アレイパネルと、色変換パネルとを含む。発光画素アレイパネルは複数の発光素子を含む。色変換パネルは発光画素アレイパネル上に構成される。色変換パネルは、不透明基板と、サファイア基板とを含む。不透明基板は、複数の第1画素開口と、複数の第2画素開口と、複数の第3画素開口とを含む。第1画素開口は赤色量子ドット材料で充填され、第2画素開口は緑色量子ドット材料で充填される。サファイア基板は不透明基板上にある。不透明基板に面するサファイア基板の第1表面は、第1画素開口に対応する複数の第1弧面と、第2画素開口に対応する複数の第2弧面と、第3画素開口に対応する複数の第3弧面とを有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明により提供される色変換パネル及びディスプレイ装置は、関連技術において存在するクロストーク現象を低減させる効果を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A】本発明の1つの実施形態による色変換パネル及びディスプレイ装置の製造工程を表す概略断面図である。
図1B】本発明の1つの実施形態による色変換パネル及びディスプレイ装置の製造工程を表す概略断面図である。
図1C】本発明の1つの実施形態による色変換パネル及びディスプレイ装置の製造工程を表す概略断面図である。
図1D】本発明の1つの実施形態による色変換パネル及びディスプレイ装置の製造工程を表す概略断面図である。
図1E】本発明の1つの実施形態による色変換パネル及びディスプレイ装置の製造工程を表す概略断面図である。
図1F】本発明の1つの実施形態による色変換パネル及びディスプレイ装置の製造工程を表す概略断面図である。
図2A】本発明のもう1つの実施形態による色変換パネル及びディスプレイ装置の製造工程を表す概略断面図である。
図2B】本発明のもう1つの実施形態による色変換パネル及びディスプレイ装置の製造工程を表す概略断面図である。
図2C】本発明のもう1つの実施形態による色変換パネル及びディスプレイ装置の製造工程を表す概略断面図である。
図2D】本発明のもう1つの実施形態による色変換パネル及びディスプレイ装置の製造工程を表す概略断面図である。
図2E】本発明のもう1つの実施形態による色変換パネル及びディスプレイ装置の製造工程を表す概略断面図である。
図2F】本発明のもう1つの実施形態による色変換パネル及びディスプレイ装置の製造工程を表す概略断面図である。
図3】本発明の6つの他の実施形態による色変換パネル及びディスプレイ装置の概略断面図である。
図4A】本発明の6つの他の実施形態による色変換パネル及びディスプレイ装置の概略断面図である。
図4B】本発明の6つの他の実施形態による色変換パネル及びディスプレイ装置の概略断面図である。
図5】本発明の6つの他の実施形態による色変換パネル及びディスプレイ装置の概略断面図である。
図6】本発明の6つの他の実施形態による色変換パネル及びディスプレイ装置の概略断面図である。
図7】本発明の6つの他の実施形態による色変換パネル及びディスプレイ装置の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1A図1Fは、本発明の1つの実施形態による色変換パネル及びディスプレイ装置の製造工程を表す概略断面図である。図1Aを参照し、本実施形態の色変換パネル及びディスプレイ装置の製造工程において、サファイア基板120が先ず提供される。次に、図1Bを参照し、サファイア基板120の第1表面S12に、複数の第1弧面S12Aと、複数の第2弧面S12Bと、複数の第3弧面S12Cとを形成するため、エッチングプロセス又は他の適切な方法が実行される。図示を簡易にするため、ここではこれら弧面のそれぞれ1つのみを示している。
【0009】
図1Cを参照し、例えば、不透明基板110がサファイア基板120の第1表面S12上にエピタキシープロセス又は他の適切な方法により形成される。不透明基板110の材料は、ポリシリコン、金属、又は他の不透明材料であってよい。不透明とは、可視光に対する低透過率を有する特性を指す。本実施形態において、第1弧面S12Aの内側凹面と、第2弧面S12Bの内側凹面と、第3弧面S12Cの内側凹面とが、不透明基板110に面する。
【0010】
図1Dを参照し、例えば、複数の第1画素開口P12と、複数の第2画素開口P14と、複数の第3画素開口P16とが、反応性イオンエッチングプロセス又は他の適切な方法を通じて不透明基板110に形成される。図示を簡易にするため、ここではこれら画素開口のそれぞれ1つのみを示している。各第1画素開口P12の位置は第1弧面S12Aに対応し、各第2画素開口P14の位置は第2弧面S12Bに対応し、各第3画素開口P16の位置は第3弧面S12Cに対応している。
【0011】
次に、図1Eを参照し、複数の高屈折材料層130が、第1弧面S12A、第2弧面S12B、及び第3弧面S12Cにより定義された空間内に形成される。高屈折材料層130は、第1弧面S12Aと第1画素開口P12との間、第2弧面S12Bと第2画素開口P14との間、及び第3弧面S12Cと第3画素開口P16との間に位置している。
【0012】
次に、図1Fを参照し、赤色量子ドット材料R10が第1画素開口P12内に充填され、緑色量子ドット材料G10が第2画素開口P14内に充填される。加えて、青色量子ドット材料B10が第3画素開口P16内に選択的に充填されてもよい。他の実施形態において、第3画素開口P16は、固形材料で充填されなくてもよい、又は、良好な光透過率を有するポリマー材料又は他の適切な材料で充填されてよい。他の実施形態において、反射層(未図示)が、不透明基板110の第1画素開口P12、第2画素開口P14、及び第3画素開口P16の内壁に設けられてよく、反射層の材料は金属又は他の高反射材料である。このようにして、本実施形態の色変換パネル100が基本的に完成する。更に、分布型ブラッグ反射層140が、不透明基板110から遠いサファイア基板120の第2表面S14上に選択的に設けられてよい。
【0013】
次いで、色変換パネル100が発光画素アレイパネル52と組み合わせられ、本実施形態のディスプレイ装置50が基本的に完成する。
【0014】
本実施形態のディスプレイ装置50は、発光画素アレイパネル52と、色変換パネル100とを含む。発光画素アレイパネル52は、複数の発光素子52Aを含む。発光素子は、無機発光ダイオードチップ又は有機発光ダイオードチップであってよい。発光素子のサイズはミクロンレベルである。発光素子のサイズは100ミクロン未満のレベルであってよい。発光素子の辺長は、100ミクロン未満であってよい。発光素子はマイクロ発光ダイオード(マイクロLED)であってよい。色変換パネル100は、発光画素アレイパネル52上に設けられる。色変換パネル100は、不透明基板110と、サファイア基板120とを含む。不透明基板110は、複数の第1画素開口P12と、複数の第2画素開口P14と、複数の第3画素開口P16とを含む。第1画素開口P12は赤色量子ドット材料R10で充填され、第2画素開口P14は緑色量子ドット材料G10で充填される。サファイア基板120は、不透明基板110上に位置する。不透明基板110に面するサファイア基板120の第1表面S12は、第1画素開口P12に対応する複数の第1弧面S12Aと、第2画素開口P14に対応する複数の第2弧面S12Bと、第3画素開口P16に対応する複数の第3弧面S12Cとを有する。
【0015】
本実施形態のディスプレイ装置50及び色変換パネル100において、発光素子52Aにより放射された光は、例えば、第1画素開口P12中の赤色量子ドット材料R10上に入射する。次いで、赤色量子ドット材料R10は光を赤色光に変換して赤色光を放出する。赤色光が第1弧面S12Aを通過するとき、集光効果を生むために光は屈折され、これにより隣接する副画素上に入射する赤色光の量を低減させ、即ち、クロストーク現象を低減させる。同様に、発光素子52Aにより放射された光は、例えば、第2画素開口P14中の緑色量子ドット材料G10上に入射する。緑色量子ドット材料G10により放出された緑色光が第2弧面S12Bを通過するとき、集光効果を生むために光はやはり屈折され、これにより隣接する副画素上に入射する緑色光の量を低減させる。例えば、発光素子52Aにより放射された光は、第3画素開口P16中の青色量子ドット材料B10上に入射する。青色量子ドット材料B10により放出された青色光が第3弧面S12Cを通過するとき、集光効果を生むために光はやはり屈折され、これにより隣接する副画素上に入射する青色光の量を低減させる。
【0016】
不透明基板110上に形成された第1画素開口P12、第2画素開口P14、及び第3画素開口P16が採用されることから、異なるカラー光が第1画素開口P12、第2画素開口P14、及び第3画素開口P16の間でクロストーク現象を生むことを防ぐことが可能である。更には、第1弧面S12A、第2弧面S12B、及び第3弧面S12Cは集光効果も有し、第1弧面S12A、第2弧面S12B、及び第3弧面S12Cを出るカラー光がクロストークを生む可能性を低減させる。更に、サファイア基板120の加工は比較的容易であることから、本実施形態のディスプレイ装置50及び色変換パネル100の加工時間及びコストも低減される。
【0017】
高屈折材料層130の屈折率は、例えば1.7~2.0の間である。本実施形態において、高屈折材料層130の屈折率は、例えば、量子ドット材料の屈折率とサファイア基板120の屈折率との間である。高屈折材料層130は、第1弧面S12A、第2弧面S12B、及び第3弧面S12Cの生む集光効果を高めることに寄与する。
【0018】
分布型ブラッグ反射層140は、環境光がディスプレイ装置50に進入して、要件に満たない光を放出するよう量子ドット材料を励起することを防ぐことができる。分布型ブラッグ反射層140はまた、所望の波長帯にない光がディスプレイ装置50から放射されることを防ぐことができる。
【0019】
本実施形態における発光素子52Aは青色光を放射するよう例示されているが、本発明はこれに限定されない。発光素子52Aが青色光を放射するとき、たとえ第3画素開口P16が青色量子ドット材料B10で充填されずに真空に保たれるか気体で充填されるのみである、又は光透過性に優れたポリマー材料又は他の適切な材料で満たされている等であるとしても、第3画素開口P16を出る光はやはり青色光である。このため、カラー表示の目的はやはり達成されることができる。他の実施形態において、発光素子52Aは紫外線光を放射し、第3画素開口P16は紫外線光を青色波長帯の可視光に変換するために青色量子ドット材料B10で充填される必要がある。
【0020】
図2A図2Fは、本発明のもう1つの実施形態による色変換パネル及びディスプレイ装置の製造工程を表す概略断面図である。図2Fを参照し、本実施形態のディスプレイ装置60及び色変換パネル200は図1Fのディスプレイ装置50及び色変換パネル100に類似しており、以下の説明は主にこれら2つの実施形態の間の差異に焦点を当てる。加えて、本実施形態に適用しても矛盾を生まない図1Fの実施形態における様々な追加的な技術的解決策も、本実施形態に適用されてよい。
【0021】
図2Aを参照し、本実施形態の色変換パネル及びディスプレイ装置の製造工程において、先ず、互いに組み合わせられたサファイア基板220と窒化ガリウム層150Aとが提供される。次に、図2Bを参照し、サファイア基板220の第1表面S22上に、複数の第1弧面S22Aと、複数の第2弧面S22Bと、複数の第3弧面S22Cとを形成するため、エッチングプロセス又は他の適切な方法は実行される。図示を簡易にするため、ここではこれら弧面のそれぞれ1つのみを示している。図2Cを参照し、例えば、不透明基板110がサファイア基板220の第1表面S22上にエピタキシープロセス又は他の適切な方法を通じて形成される。不透明基板110の材料は、ポリシリコン、金属、又は他の不透明材料であってよい。
【0022】
図2Dを参照し、例えば、複数の第1画素開口P12と、複数の第2画素開口P14と、複数の第3画素開口P16とが、反応性イオンエッチングプロセス又は他の適切な方法を通じて不透明基板110上形成される。図示を簡易にするため、ここではこれら画素開口のそれぞれ1つのみを示している。各第1画素開口P12の位置は第1弧面S22Aに対応し、各第2画素開口P14の位置は第2弧面S22Bに対応し、各第3画素開口P16の位置は第3弧面S22Cに対応している。
【0023】
次に、図2Eを参照し、任意に、赤色量子ドット材料R10が第1画素開口P12と第1弧面S22Aとにより定義された空間内に充填され、緑色量子ドット材料G10が第2画素開口P14と第2弧面S22Bとにより定義された空間内に充填される。更に、青色量子ドット材料B10が第3画素開口P16と第3弧面S22Cとにより定義された空間内に選択的に充填されてもよい。他の実施形態において、第3画素開口P16と第3弧面S22Cとにより定義された空間は、固形材料で充填されなくてもよい、又は、良好な光透過率を有するポリマー材料又は他の適切な材料で充填されてよい。このようにして、図2Fに示す本実施形態の色変換パネル200が基本的に完成する。
【0024】
次に、図2Fを参照し、その後、色変換パネル200が発光画素アレイパネル52と組み合わせられ、本実施形態のディスプレイ装置60が基本的に完成する。更に、不透明基板110から遠いサファイア基板220の表面上に、第1画素開口P12、第2画素開口P14、及び第3画素開口P16に対応する複数のメタレンズ150を形成するため、窒化ガリウム層150Aが更にパターン化される。メタレンズ150は、微細構造の組合せを用いて光学素子の効果を生み出す。ここで、メタレンズ150はクロストーク現象を更に軽減させるため、通過する光の集光効果を生むよう構成される。メタレンズ150は窒化ガリウムからなる。
【0025】
不透明基板110上に形成された第1画素開口P12、第2画素開口P14、及び第3画素開口P16が採用されることから、異なるカラー光が第1画素開口P12、第2画素開口P14、及び第3画素開口P16の間でクロストーク現象を生むことを防ぐことが可能である。更には、第1弧面S22A、第2弧面S22B、及び第3弧面S22Cは集光効果も有し、第1弧面S22A、第2弧面S22B、及び第3弧面S22Cを出るカラー光がクロストークを生む可能性を低減させる。更に、サファイア基板120の加工は比較的容易であることから、本実施形態のディスプレイ装置60及び色変換パネル200の加工時間及びコストも低減される。
【0026】
本実施形態において、第1弧面S22A、第2弧面S22B、及び第3弧面S22Cのラジアンは互いに異なる。第1弧面S22A、第2弧面S22B、及び第3弧面S22Cを通過するカラー光の波長帯が異なることから、それぞれ最適な屈折角を得るようラジアンを異なるカラー光のために調整してよく、こうしてクロストーク現象を軽減させる。
【0027】
図3図7は、本発明の6つの他の実施形態による色変換パネル及びディスプレイ装置の概略断面図である。
【0028】
図3を参照し、本実施形態のディスプレイ装置70A及び色変換パネル300Aは図1Fのディスプレイ装置50及び色変換パネル100に類似しており、以下の説明は主にこれら2つの実施形態の間の差異に焦点を当てる。加えて、本実施形態に適用しても矛盾を生まない上記の実施形態における様々な追加的な技術的解決策も、本実施形態に適用されてよい。本実施形態の発光画素アレイパネル82は、遮光マトリックスBM10を更に含み、遮光マトリックスBM10は、発光素子82Aに対応する複数の透光開口P20Aを有する。即ち、各発光素子82Aは1つの透光開口P20Aに位置している。このため、隣接する発光素子82A間のクロストーク現象を更に軽減させることが可能である。更に、本実施形態において、色変換パネル300Aに面する発光素子82Aの表面は弧面であり、発光素子82Aにより放射された光は発散が比較的少なく、隣接する発光素子82A間のクロストーク現象を更に軽減させることができる。
【0029】
図4Aを参照し、本実施形態のディスプレイ装置70B1及び色変換パネル300B1は図1Fのディスプレイ装置50及び色変換パネル100に類似しており、以下の説明は主にこれら2つの実施形態の間の差異に焦点を当てる。加えて、本実施形態に適用しても矛盾を生まない上記の実施形態における様々な追加的な技術的解決策も、本実施形態に適用されてよい。本実施形態の色変換パネル300B1は、不透明基板110とサファイア基板120との間に設けられた遮光マトリックスBM20を更に含む。遮光マトリックスBM20は、第1画素開口P12、第2画素開口P14、及び第3画素開口P16に対応する複数の透光開口P20Bを有する。即ち、赤色量子ドット材料R10が、第1画素開口P12、透光開口P20B、及び第1弧面S12Aにより定義された空間内に充填され、緑色量子ドット材料G10が、第2画素開口P14、透光開口P20B、及び第2弧面S12Bにより定義された空間内に充填され、青色量子ドット材料B10が、第3画素開口P16、透光開口P20B、及び第3弧面S12Cにより定義された空間内に充填される。遮光マトリックスBM20は、第1画素開口P12、第2画素開口P14、及び第3画素開口P16の間のクロストーク現象を更に軽減させることができる。分布型ブラッグ反射層140が、不透明基板110から遠いサファイア基板120の表面に位置しており、分布型ブラッグ反射層140はサファイア基板120とメタレンズ150との間に位置している。
【0030】
図4Bを参照し、本実施形態のディスプレイ装置70B2及び色変換パネル300B2は図4Aのディスプレイ装置70B1及び色変換パネル300B1に類似しており、以下の説明は主にこれら2つの実施形態の間の差異に焦点を当てる。加えて、本実施形態に適用しても矛盾を生まない上記の実施形態における様々な追加的な技術的解決策も、本実施形態に適用されてよい。本実施形態の色変換パネル300B2の分布型ブラッグ反射層140Aは、第3画素開口P16に対応する開口142を有してよく、第3弧面S12Cを通過する青色光は分布型ブラッグ反射層140Aを通過しなくてよい。
【0031】
図示しない実施形態において、分布型ブラッグ反射層140Aは開口142を有さないが、第3画素開口P16に対応する分布型ブラッグ反射層140Aの一部は薄く設計されてよく、第3弧面S12Cを通過した青色光が通過することを可能とする分布型ブラッグ反射層140Aの厚さは比較的薄い。図示しないもう1つの実施形態において、分布型ブラッグ反射層140Aは、パターン化されて第1画素開口P12と第2画素開口P14のみに対応してよく、第1画素開口P12と第2画素開口P14に対応しない位置には分布型ブラッグ反射層140Aは提供されない。図示しないもう1つの実施形態において、分布型ブラッグ反射層140Aは、第1画素開口P12と第2画素開口P14を覆うが第3画素開口P16を覆わないようパターン化されてよい。
【0032】
図5を参照し、本実施形態のディスプレイ装置70C及び色変換パネル300Cは図1Fのディスプレイ装置50及び色変換パネル100に類似しており、以下の説明は主にこれら2つの実施形態の間の差異に焦点を当てる。加えて、本実施形態に適用しても矛盾を生まない上記の実施形態における様々な追加的な技術的解決策も、本実施形態に適用されてよい。本実施形態のディスプレイ装置70Cは、発光画素アレイパネル52と色変換パネル300Cとの間に設けられた遮光マトリックスBM30を更に含む。遮光マトリックスBM30は、第1画素開口P12、第2画素開口P14、及び第3画素開口P16に対応する複数の透光開口P20Cを有する。即ち、各発光素子52Aにより生成された光は、対応する第1画素開口P12、第2画素開口P14、及び第3画素開口P16に進入する前に、先ず対応する透光開口P20Cを通過する。遮光マトリックスBM30は、隣接する発光素子52A間のクロストーク現象を更に軽減させることができる。
【0033】
図6を参照し、本実施形態のディスプレイ装置70D及び色変換パネル300Dは図1Fのディスプレイ装置50及び色変換パネル100に類似しており、以下の説明は主にこれら2つの実施形態の間の差異に焦点を当てる。加えて、本実施形態に適用しても矛盾を生まない上記の実施形態における様々な追加的な技術的解決策も、本実施形態に適用されてよい。本実施形態の色変換パネル300Dは、不透明基板110から遠いサファイア基板120の第2表面S24上に位置して第1画素開口P12、第2画素開口P14、及び第3画素開口P16に対応する、複数のマイクロレンズ160を更に含む。マイクロレンズ160は、クロストーク現象を更に軽減させるため、通過する光を収束するよう構成される。複数のマイクロレンズ160は、図2Eの窒化ガリウム層150Aをパターン化することにより形成されてよい。マイクロレンズ160の材料は窒化ガリウムである。他の実施形態において、不透明基板110から遠いサファイア基板120の表面上に分布型ブラッグ反射層140が存在してよく、分布型ブラッグ反射層140はサファイア基板120とマイクロレンズ160との間に位置している。
【0034】
図7を参照し、本実施形態のディスプレイ装置70E及び色変換パネル300Eは図1Fのディスプレイ装置50及び色変換パネル100に類似しており、以下の説明は主にこれら2つの実施形態の間の差異に焦点を当てる。加えて、本実施形態に適用しても矛盾を生まない上記の実施形態における様々な追加的な技術的解決策も、本実施形態に適用されてよい。本実施形態において、サファイア基板120の第1弧面S32Aの内側凹面、第2弧面S32Bの内側凹面、及び第3弧面S32Cの内側凹面は、不透明基板110Aとは反対を向いている。加えて、不透明基板110Aの第1画素開口P12A、第2画素開口P14A、及び第3画素開口P16Aの内壁に、反射層112Aが設けられてよく、光が量子ドット材料を通過するとき色変換により生ずる光発散を更に低減させるため、反射層の材料は金属又は他の高反射材料である。他の実施形態において、第1画素開口P12Aと第2画素開口P14Aの内壁にのみ反射層112が設けられてよい。
【0035】
まとめると、本発明の色変換パネル及びディスプレイ装置において、不透明基板の画素開口はクロストーク現象を避けることができ、サファイア基板の表面は集光効果を生み、これにより表示品質を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の色変換パネル及びディスプレイ装置は、表示品質を向上させるために関連技術において適用することができる。
【符号の説明】
【0037】
50、60、70A、70B1、70B2、70C、70D、70E:ディスプレイ装置
52、82:発光画素アレイパネル
52A、82A:発光素子
100、200、300A、300B1、300B2、300C、300D、300E:色変換パネル
110、110A:不透明基板
112、112A:反射層
120、220、320:サファイア基板
130:高屈折材料層
140、140A:分布型ブラッグ反射層
142:開口
150:メタレンズ
150A:窒化ガリウム層
160:マイクロレンズ
BM10、BM20、BM30:遮光マトリックス
P12、P12A:第1画素開口
P14、P14A:第2画素開口
P16、P16A:第3画素開口
P20A、P20B、P20C:透光開口
R10:赤色量子ドット材料
G10:緑色量子ドット材料
B10:青色量子ドット材料
S12、S22:第1表面
S14、S24:第2表面
S12A、S22A、S32A:第1弧面
S12B、S22B、S32B:第2弧面
S12C、S22C、S32C:第3弧面
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7