(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-18
(45)【発行日】2024-07-26
(54)【発明の名称】弁装置
(51)【国際特許分類】
F16K 31/06 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
F16K31/06 305A
(21)【出願番号】P 2020078571
(22)【出願日】2020-04-27
【審査請求日】2023-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135220
【氏名又は名称】石田 祥二
(72)【発明者】
【氏名】岡本 将佳
(72)【発明者】
【氏名】二宮 誠
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 豊
(72)【発明者】
【氏名】三好 良
【審査官】橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-232460(JP,A)
【文献】特開平09-068287(JP,A)
【文献】特開2003-173911(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/06-31/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が通る弁口と、挿通孔とを有するバルブブロックと、
前記弁口を開閉する弁体と、
前記挿通孔に挿通され、且つ前記弁体を摺動案内する案内部材と、
通電により磁界を発生するソレノイドと、
前記ソレノイドと協働して前記弁体を移動させる固定磁極と、
前記ソレノイドを収容するように前記挿通孔に挿通され、前記弁口を通る流体から圧力を受ける前記案内部材を支持する筒状の支持部材と、
前記支持部材の内周面に接合されて前記支持部材の開口を塞ぐ蓋部材と、を備え、
前記支持部材は、前記バルブブロックに接合されている、弁装置。
【請求項2】
前記固定磁極は、前記蓋部材を有している、請求項1に記載の弁装置。
【請求項3】
前記支持部材は、螺合することによって前記バルブブロックに接合されている、請求項1又は2に記載の弁装置。
【請求項4】
前記支持部材は、一端側部分を前記挿通孔から突き出させている、請求項1乃至3の何れか1つに記載の弁装置。
【請求項5】
前記支持部材は、一端側部分を前記挿通孔から突き出させ、
前記支持部材の端側部分の側面には、把持部が形成されている、請求項3に記載の弁装置。
【請求項6】
前記ソレノイドは、前記バルブブロックに対して前記ソレノイドを位置決めする位置決め部を有している、請求項1乃至5の何れか1つに記載の弁装置。
【請求項7】
前記バルブブロックは、側面に前記挿通孔に繋がる取出し孔を有し、
前記取出し孔には、前記ソレノイドに通電する通電部材が延在している、請求項1乃至6の何れか1つに記載の弁装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁口を開閉可能な弁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
弁装置として、例えば特許文献1のような電磁弁が知られている。特許文献1の電磁弁は、挿通孔を有する弁本体を備えている。挿通孔には、弁体、可動鉄心、コイル、及び固定鉄心が収容されている。このように構成されている電磁弁では、コイルに通電すると可動鉄心が固定鉄心に吸引される。そうすると、弁体が弁口から離れて弁口が開く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の電磁弁では、蓋部材が挿通孔の開口に被せられ且つ蓋部材がボルトによって弁本体に締結されている。しかし、蓋部材にボルト孔を形成する必要があるので、蓋部材の外形形状が大きくなる。即ち、弁装置の外形形状が大きくなる。
【0005】
そこで本発明は、外形形状の小型化を図ることができる弁装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の弁装置は、流体が通る弁口と、挿通孔とを有するバルブブロックと、前記弁口を開閉する弁体と、前記挿通孔に挿通され、且つ前記弁体を摺動案内する案内部材と、通電により磁界を発生するソレノイドと、前記ソレノイドと協働して前記弁体を移動させる固定磁極と、前記ソレノイドを収容するように前記挿通孔に挿通され、前記弁口を通る流体から圧力を受ける前記案内部材を支持する筒状の支持部材と、前記支持部材の開口を塞ぐ蓋部材と、を備え、前記支持部材は、前記バルブブロックに接合されているものである。
【0007】
本発明に従えば、蓋部材をバルブブロックに取付けるべくボルト孔を形成する必要がないので、バルブブロックの小型化、即ち弁装置の小型化を図ることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、外形形状の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態の弁装置を示す断面図である。
【
図2】
図1の切断線II―IIで弁装置を切断して示す断面図である。
【
図3】
図1の弁装置を分解して示す分解断面図である。
【
図4】本発明の第2実施形態の弁装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る第1及び第2実施形態の弁装置1,1Aについて前述する図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明で用いる方向の概念は、説明する上で便宜上使用するものであって、発明の構成の向き等をその方向に限定するものではない。また、以下に説明する弁装置1は、本発明の一実施形態に過ぎない。従って、本発明は実施形態に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で追加、削除、変更が可能である。なお、本発明は、実施の形態に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で追加、削除、変更が可能である。
【0011】
<第1実施形態>
図1に示す第1実施形態の弁装置1は、圧力容器、例えば高圧タンクに設けられるタンクバルブに備わっている。弁装置1は、高圧タンク内に貯留される流体の充填及び排出を制御する。なお、弁装置1は、タンクバルブに備わるものに限定されず、流体流路に設けられるものであればよい。また、本実施形態において、高圧タンク内に対して充填及び排出される流体はガスである。弁装置1について更に詳細に説明すると、弁装置1は、電磁弁装置であって、通電することによってタンクバルブの通路を開くことができる。本実施形態では、弁装置1はパイロット式の電磁弁装置である。弁装置1は、バルブブロック10と、案内部材11と、主弁体12と、第1ばね部材13と、シートピストン14と、プランジャ15と、第2ばね部材20と、ソレノイド16と、磁性部材17と、ケース18と、固定磁極19とを備えている。
【0012】
バルブブロック10は、前述する各種構成を取付けるためのブロックである。また、バルブブロック10には、高圧タンク内にガスを充填し且つ高圧タンク内のガスを排出するための通路が形成されている。更に詳細に説明すると、バルブブロック10は、挿通孔21、第1通路22、及び第2通路23が形成されている。挿通孔21は、バルブブロック10において所定の軸線L1に沿って延在している。挿通孔21は、軸線方向一方側に開口21aを有している。また、挿通孔21は、軸線方向中間部分に段部21bを有している。そして、挿通孔21は、段部21bより軸線方向一方側(即ち、開口21a側)にある大径部21cが軸線方向他方側(即ち、底側)にある小径部21dに比べて大径に形成されている。第1通路22は、所定の軸線L1に沿って延在している。第1通路22は、弁口24を介して挿通孔21に繋がっている。第2通路23は、軸線L1に直交する方向に延在している。第2通路23は、小径部21dに繋がっている。第1通路22及び第2通路23は、弁口24及び挿通孔21を介して互いに繋がっている。また、バルブブロック10には、弁口24の周りに弁座25が形成されている。
【0013】
案内部材11は、主弁体12及びプランジャ15を摺動案内することができる。更に詳細に説明すると、案内部材11は、金属製の筒部材である。案内部材11は、挿通孔21に挿入されている。即ち、案内部材11は、軸線方向他方側部分が小径部21dにシールされている状態で挿通され且つ軸線方向一方側部分が小径部21dから大径部21cに突出している。また、案内部材11は、軸線方向他方側の端面を挿通孔21の底部に突き当て且つ弁口24を囲んでいる。更に、案内部材11の軸線方向他方側の端部には、第1通路22と第2通路23とを繋ぐ複数の案内流路11aが形成されている。また、案内部材11は、軸線方向中間部分に係合部11bを有している。そして、案内部材11は、係合部11bより軸線方向他方側部分が軸線方向一方側部分より小径に形成されている。
【0014】
主弁体12は、案内部材11に摺動可能に挿通され且つ弁口24を開閉するように移動する。更に詳細に説明すると、主弁体12は、有底筒状に形成され、且つ主弁体12の軸線に沿ってパイロット通路12aが形成されている。そして、主弁体12は、軸線L1に沿って摺動可能に案内部材11に挿入されている。主弁体12は、先端が弁座25に着座する閉位置と先端が弁座25から離れる開位置との間で移動する。そして、主弁体12によって弁口24が開かれることによって第1通路22から第2通路23にガスが流れる。また、主弁体12は、主弁体12に外装されている第1ばね部材13によって弁座25から離れる方向(開方向)に付勢されている。
【0015】
シートピストン14は、パイロット通路12aを開閉可能に移動する。更に詳細に説明すると、シートピストン14は、円柱状に形成されている。シートピストン14は、主弁体12に摺動可能に挿入されている。そして、シートピストン14の先端部は、主弁体12に着座している。これにより、パイロット通路12aが閉じられている。また、シートピストン14は、パイロット通路12aから離れるように移動することができる。これにより、パイロット通路12aが開かれる。シートピストン14の側面には、複数の溝14aが形成されている。そして、複数の溝14aによって、主弁体12の軸線方向一方側に形成される空間と第1通路22とが連通する。
【0016】
プランジャ15は、ソレノイド16の通電状態に応じて主弁体12を開位置及び閉位置へと移動させる。更に詳細に説明すると、プランジャ15は、磁性材料を含む円筒状の部材である。プランジャ15は、主弁体12の軸線方向一方側において摺動可能に案内部材11に挿入されている。また、プランジャ15には、軸線方向一方側部分をプランジャ15から突出させ且つ軸線方向他方側部分をプランジャ15に係合させるようにしてシートピストン14が挿通されている。それ故、プランジャ15が軸線方向一方に移動すると、シートピストン14が持ち上がる。これにより、シートピストン14をパイロット通路12aから離すことができる。
【0017】
付勢部材である第2ばね部材20は、主弁体12に付勢力を与え、主弁体12を弁座25に押し付ける。本実施形態では、第2ばね部材20は、シートピストン14を主弁体12に押し付けて着座させる。更に、第2ばね部材20は、主弁体12を弁座25に着座させるべく、着座するシートピストン14を介して主弁体12を付勢している。本実施形態において、第2ばね部材20は、圧縮コイルばねである。第2ばね部材20は、軸線方向他方側の端部をシートピストン14に当接させ且つ圧縮させてプランジャ15に挿入されている。これにより、シートピストン14がプランジャ15に押し付けられる。また、第2ばね部材20は、着座している状態でシートピストン14を主弁体12に押し付ける。
【0018】
ソレノイド16は、通電されると磁界を発生する。ソレノイド16は、円筒状に形成されている。更に詳細に説明すると、ソレノイド16は、円筒状のコイルボビン16aにコイル16bを巻き付けることによって構成されている。ソレノイド16は、挿通孔21の大径部21cに配置されている。また、ソレノイド16は案内部材11に外装されている。ソレノイド16の軸線方向一方側部分は、挿通孔21から軸線方向一方側に突き出ている。即ち、ソレノイド16は、バルブブロック10から軸線方向一方側に突き出ている。更に、ソレノイド16は、コイル16bに通電するための端子16cを有している。端子16cは、ソレノイド16の他端部から軸線方向他方に突出している。
【0019】
磁性部材17は、ソレノイド16と共に磁気回路を構成する。更に詳細に説明すると、磁性部材17は、円環状に形成されている。本実施形態において、磁性部材17は、継鉄である。そして、磁性部材17は、ソレノイド16より大径に形成されている。磁性部材17は、案内部材11に外装され、且つ挿通孔21の大径部21cに配置されている。なお、磁性部材17と案内部材11との間には、隙間が空いていてもよい。より詳細に説明すると、磁性部材17は、案内部材11の小径の部分に対応して配置されている。また、磁性部材17は、挿通孔21においてソレノイド16と段部21bとの間に介在している。本実施形態において、磁性部材17は、ソレノイド16のコイルボビン16aに一体成型されている。また、磁性部材17の内縁部は、案内部材11の係合部11bに係合する。即ち、軸線方向一方側から案内部材11に外装されている磁性部材17は、内縁部を案内部材11の係合部11bに当接させている。
【0020】
また、磁性部材17は、
図2に示すように、ソレノイド16の端子16cに対応する位置に切欠き17aを有している。端子16cは、切欠き17aへと突出している。また、バルブブロック10の側面には、切欠き17aに対応する位置に取出し孔10cが形成されている。取出し孔10cは、挿通孔21に繋がっている。更に詳細に説明すると、取出し孔10cは、切欠き17aに繋がっている。これにより、切欠き17aに配置される端子16cを取出し孔10cに臨ませることができる。また、取出し孔10cは、バルブブロック10外方とも繋がっている。それ故、バルブブロック10の側方から取出し孔10cに通電部材2が延在している。通電部材2は、例えば配線又は端子である。本実施形態において、通電部材2は、端子である。通電部材2は、端子16cと接続されている。そして、通電部材2は、端子16cを介してソレノイド16に通電することができる。このように取出し孔10cから通電部材2を取り出すことができるので、通電部材2の取り回しが複雑化することを抑制できる。
【0021】
支持部材の一例であるケース18は、ソレノイド16を収容している。より詳しくは、ケース18は、ソレノイド16の軸線方向一方側部分に被せられている。また、ケース18は、弁口24が開いた際に流れるガスから圧力を受ける案内部材11を支持する。更にケース18は、磁性部材17と共に磁気回路を構成している。更に詳細に説明すると、ケース18は、磁性材料から成り且つ円筒状に形成されている。また、ケース18は、内周面に内向きフランジ18aを有している。内向きフランジ18aは、内周面においてケース18の軸線方向一方側の端部から離れて形成されている。そして、ケース18には、内向きフランジ18aより軸線方向他方側にソレノイド16が収容されている。そして、ケース18は、ソレノイド16を収容し且つシールされている状態で挿通孔21に挿入されている。また、ケース18の先端は、磁性部材17の外縁部分に当接している。
【0022】
ケース18は、バルブブロック10に螺合されている。また、ケース18は、外周面において軸線方向一方側に把持部18bを有している。把持部18bは、スパナ等のケース用治具によって把持することができる。例えば、把持部18bは、軸線方向一方側からみて多角形(本実施形態において、六角形)に形成されている。それ故、把持部18bを把持してケース18を回すことによって、ケース18をバルブブロック10に螺合させることができる。また、ケース18を回すと、ケース18を段部21bの方へと推し進めることができる。これにより、ケース18が磁性部材17に当接する。これにより、ケース18は、弁口24が開いた際に磁性部材17を介して案内部材11を支持する。
【0023】
なお、ケース18を回す際にソレノイド16及び磁性部材17が供回りしないように、ソレノイド16は位置決めピン27を有している。位置決め部である位置決めピン27は、ソレノイド16から磁性部材17を貫通して軸線方向他方へと突出している。バルブブロック10の段部21bには、位置決めピン27に対応する位置に位置決め孔10dが形成されている。位置決めピン27は、位置決め孔10dに挿入されている。これにより、ソレノイド16及び磁性部材17の回転が阻止されている。
【0024】
固定磁極19は、ソレノイド16と協働して第2ばね部材20の付勢力に抗する励磁力を発生させて主弁体12を移動させる。より詳細に説明すると、固定磁極19は、強磁性体から成る円柱状の部材である。固定磁極19の先端部分は、プランジャ15に対向させるように案内部材11に挿入されている。それ故、ソレノイド16に通電することによって磁化したプランジャ15を固定磁極19によって吸着することができる。これにより、シートピストン14が持ち上げられる。そうすると、第1ばね部材13によって主弁体12が弁座25から離され、第1通路22が開く。また、シートピストン14は、固定磁極19との間に配置されている第2ばね部材20によって付勢されている。それ故、ソレノイド16の通電が解除されると、シートピストン14は、第2ばね部材20によってプランジャ15と共に主弁体12の方へと押される。これにより、シートピストン14を主弁体12に着座させ、またシートピストン14を介して主弁体12を弁座25に着座させることができる。
【0025】
また、固定磁極19の基端側部分は、案内部材11及びソレノイド16から軸線方向一方側へと突き出ている。固定磁極19の基端側部分は、先端側部分より大径に形成されている。そして、固定磁極19の基端側部分が蓋部材19aを成している。蓋部材19aは、軸線方向一方側の部分がケース18の内向きフランジ18aに挿通され且つ螺合されている。更に、蓋部材19aは、ソレノイド16の軸線方向一方側の端部に当接している。
【0026】
蓋部材19aの軸線方向一方側の端部、即ち固定磁極19の軸線方向一方側の端部には、六角レンチ等の蓋用治具を挿入する治具用孔19bが形成されている。そして、治具用孔19bに蓋用治具を挿入して固定磁極19を回すことによって固定磁極19がケース18に螺合される。これにより、蓋部材19aによってケース18の軸線方向一方側の開口部18cを塞ぐことができる。また、固定磁極19を回して押し進めることによって、蓋部材19aによってソレノイド16を磁性部材17に押し付けることができる。
【0027】
弁装置1では、主弁体12が弁座25に着座して弁口24が閉じられている。ソレノイド16に通電されると、ソレノイド16と固定磁極19とが協働して励磁力を発生させて主弁体12が開位置へと移動させる。より詳細に説明すると、ソレノイド16に通電されると、プランジャ15が固定磁極19に吸着される。これにより、シートピストン14が第2ばね部材20の付勢力に抗して持ち上げられる。そうすると、第1ばね部材13によって付勢されている主弁体12が開位置へと移動し、弁口24が開く。これにより、第1通路22と第2通路23とが案内部材11の案内流路11aを介して連通する。他方、通電を止めると、シートピストン14は、第2ばね部材20によってプランジャ15と共に主弁体12の方へと押される。これにより、シートピストン14が主弁体12に着座する。更に第2ばね部材20は、シートピストン14を介して主弁体12を弁座25に着座させる。これにより、弁口24が閉じられ、第1通路22と第2通路23との間が遮断される。
【0028】
また、弁装置1は、以下に示すような組み立て方法の一例に基づいて組み立てられる。即ち、
図3に示すように、まず案内部材11内に主弁体12、第1ばね部材13、シートピストン14、及びプランジャ15等が組付けられる。組付け後、案内部材11がバルブブロック10の挿通孔21の小径部21dに挿入される。次に、ソレノイド16及び磁性部材17が案内部材11に外装される。そして、ソレノイド16及び磁性部材17が挿通孔21の大径部21cに挿入される。この際、位置決めピン27が位置決め孔10dに入るようにソレノイド16及び磁性部材17の位置合わせが行われる。位置合わせ後、ケース18がソレノイド16に被せられる。そして、ケース18が挿通孔21の大径部21cに挿入される。更に、ケース用治具によってケース18が把持されてケース18が回される。これにより、ケース18がバルブブロック10に螺合される。また、ケース18を回して押し進めることによって、磁性部材17がバルブブロック10に押し付けられて固定される。最後に、ケース18の開口部18cからソレノイド16内に固定磁極19が挿入される。そして、蓋用治具で固定磁極19が回されることによって、固定磁極19がソレノイド16に螺合される。また、固定磁極19が回されて押し進められることによって、固定磁極19によってソレノイド16が磁性部材17に押されて固定される。このようにして弁装置1が組み立てられる。
【0029】
弁装置1は、蓋部材19aを取付けたケース18がバルブブロック10に螺合されている。それ故、蓋部材19aをバルブブロック10に取付けるべくボルト孔を形成する必要がない。それ故、バルブブロック10の小型化を図ることができる、即ち弁装置1の小型化を図ることができる。また、固定磁極19が蓋部材19aを兼ねているので、弁装置1の部品点数を低減することができる。
【0030】
更に、ケース18及び蓋部材19aによってソレノイド16等を覆うことによって、ケース18がバルブブロック10から突き出させることができる。それ故、バルブブロック10の高さを抑えることができる。バルブブロック10は、例えばアルミ合金等の金属から成る。他方、ケース18は、磁性材料から成る。それ故、バルブブロック10の高さを抑えることによって、材料のコスト及び加工コストを低減することができる。また、ケース18の突き出ている部分を把持部18bとして利用することによってケース18の大型化を抑制することができる。また、ケース18に把持部18bを形成することによって、ケース用治具で把持して回すことが容易にできる。これにより、ケース18をバルブブロック10に容易に螺合させることができる。
【0031】
<第2実施形態>
第2実施形態の弁装置1Aは、第1実施形態の弁装置1と構成が類似している。従って、第2実施形態の弁装置1Aの構成については、主に第1実施形態の弁装置1と異なる点について説明し、同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0032】
図4に示すように第2実施形態の弁装置1Aは、バルブブロック10と、案内部材11と、ソレノイド16と、磁性部材17と、ケース18Aと、固定磁極19とを備えている。なお、弁装置1Aは、主弁体12、第1ばね部材13、シートピストン14、プランジャ15、及び第2ばね部材20も備えている。
【0033】
支持部材の別の例であるケース18Aは、弁口24が開いた際に流れるガスから圧力を受ける案内部材11を支持するようにバルブブロック10に接合されている。より詳細に説明すると、ケース18Aは、ケース本体31と、締結部材32とを有している。ケース本体31は、ケース18と構成が類似している。即ち、ケース本体31は、ソレノイド16の一端側部分に被せられてソレノイド16を収容している。更に詳細に説明すると、ケース本体31は、磁性材料から成り且つ円筒状に形成されている。また、ケース本体31は、内周面に内向きフランジ18aを有している。そして、ソレノイド16は、内向きフランジ18aより軸線方向他方側にソレノイド16を収容している。更に、ケース本体31は、シールされている状態で挿通孔21に挿入されている。また、ケース本体31の先端は、磁性部材17の外縁部分に当接している。更に、ケース本体31は、外周面に外向きフランジ31aを有している。外向きフランジ31aは、外周面においてケース本体31の他端部から離れて形成されている。
【0034】
締結部材32は、ケース本体31をバルブブロック10に締結する。より詳細に説明すると、締結部材32は、円筒状に形成されている。そして、締結部材32は、ケース本体31に外装されている。また、締結部材32の軸線方向他方側部分は、挿通孔21に挿入され且つバルブブロック10に螺合されている。そして、締結部材32の先端は、ケース本体31の外向きフランジ31aに当接している。更に、締結部材32は、外周面において軸線方向一方側に把持部18bを有している。それ故、把持部18bを把持して締結部材32を回すことによって、締結部材32を押し進めることができる。これにより、締結部材32が外向きフランジ31aを介してケース本体31を磁性部材17に押し付ける。これにより、ケース本体31がバルブブロック10に締結される。このようにしてケース18Aがバルブブロック10に螺合(接合)される。
【0035】
第2実施形態の弁装置1Aは、第1実施形態の弁装置1と同様の作用効果を奏する。
【0036】
<その他の実施形態について>
本実施形態の弁装置1は、パイロット式の電磁弁装置であり、シートピストン14及びプランジャ15を介して主弁体12が動かされるが、必ずしもこのように構成されている必要はない。即ち、主弁体12が固定磁極19に吸着されてもよい。また、第2ばね部材20が主弁体12を閉位置の方に付勢してもよい。ケース18は、必ずしもバルブブロック10に螺合されていなくてもよい。例えば、ケース18は、バルブブロック10に溶接されていてもよい。また、ケース18は、必ずしもバルブブロック10の開口21aから突き出ている必要ない。
【0037】
また、弁装置1では、固定磁極19の基端側部分が蓋部材19aを構成しているが、蓋部材が固定磁極19と別に構成されていてもよい。また、蓋部材がケース18と一体的に形成されてもよい。また、バルブブロック10に対するソレノイド16の位置決めは、必ずしも位置決めピン27による方法に限定されない。例えば、磁性部材17及びバルブブロック10の段部に互いに対応する段差又は凹凸が形成される。そして、対応する段差又は凹凸同士を互いに係合させるによって、ソレノイド16がケース18と供回りすることを抑制することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 弁装置
2 通電部材
10 バルブブロック
10c 取出し孔
11 案内部材
12 主弁体(主体)
16 ソレノイド
18,18A ケース(支持部材)
18b 把持部
19 固定磁極
19a 蓋部材
20 第2ばね部材(付勢部材)
24 弁口
27 位置決めピン(位置決め部)
31 ケース本体
32 締結部材