(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-18
(45)【発行日】2024-07-26
(54)【発明の名称】電子デバイス及び電子デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
G09F 9/33 20060101AFI20240719BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20240719BHJP
H04N 5/66 20060101ALI20240719BHJP
H04N 9/30 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
G09F9/33
G09F9/00 338
H04N5/66 103
H04N9/30
(21)【出願番号】P 2020115596
(22)【出願日】2020-07-03
【審査請求日】2023-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】山田 一幸
【審査官】新井 重雄
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-519001(JP,A)
【文献】特表2018-508972(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0237449(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0148611(US,A1)
【文献】特開2020-074005(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0061227(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0373282(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/33
G09F 9/00
H04N 5/66
H04N 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極及び第2電極を備えたアレイ基板と、
前記第1電極の上に設けられた第1接続部材と、
前記第1接続部材の上に実装された第1LEDチップと、
前記第2電極の上に設けられた、前記第1接続部材よりも厚い第2接続部材と、
前記第2接続部材の上に実装された第2LEDチップと、
を有し、
前記アレイ基板の基準面から前記第2接続部材の上面までの距離は、前記基準面から前記第1接続部材の上面までの距離より大きく、
前記第1接続部材及び前記第2接続部材は有機物を含む電子デバイス。
【請求項2】
前記第1LEDチップは、前記第2LEDチップと異なる色で発光する、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項3】
前記第1接続部材及び前記第2接続部材の各々よりも厚い第3接続部材と、
前記第3接続部材の上に実装された、前記第1LEDチップ及び前記第2LEDチップの各々と異なる色で発光する第3LEDチップと、
をさらに有し、
前記アレイ基板は第3電極をさらに備え、
前記第3接続部材は、前記第3電極の上に設けられている、請求項2に記載の電子デバイス。
【請求項4】
前記第2接続部材は、前記第1接続部材より1μm以上厚い、請求項1乃至3のいずれか一に記載の電子デバイス。
【請求項5】
前記第3接続部材は、前記第2接続部材より1μm以上厚い、請求項3に記載の電子デバイス。
【請求項6】
前記第1接続部材及び前記第2接続部材に含まれる有機物の量は、前記第1電極及び前記第2電極に含まれる有機物の量よりも多い、請求項1乃至5のいずれか一に記載の電子デバイス。
【請求項7】
前記アレイ基板は、絶縁層をさらに有し、
前記第1電極及び前記第2電極の各々は、前記絶縁層に接している、請求項1乃至6のいずれか一に記載の電子デバイス。
【請求項8】
前記アレイ基板は、絶縁層をさらに有し、
前記第1電極、前記第2電極、及び前記第3電極の各々は、前記絶縁層に接している、請求項3に記載の電子デバイス。
【請求項9】
第1電極及び第2電極を含むアレイ基板を形成し、
前記第1電極の上に有機物を含む第1接続部材を形成し、
前記第2電極の上に、有機物を含み、前記第1接続部材よりも厚い第2接続部材を、前記アレイ基板の基準面から前記第2接続部材の上面までの距離が前記基準面から前記第1接続部材の上面までの距離より大きくなるように形成し、
前記第1接続部材の上に第1LEDチップを実装し、
前記第2接続部材の上に第2LEDチップを実装する電子デバイスの製造方法。
【請求項10】
第1電極及び第2電極を含むアレイ基板を形成し、
前記第1電極の上に第1接続部材を形成し、
前記第2電極の上に第2接続部材を形成し、
前記第1接続部材の上に第1LEDチップを実装し、
前記第2接続部材の上に第2LEDチップを実装し、
前記第2LEDチップを前記第2電極から取り外し、
前記第2電極の上に前記第1接続部材より厚いリペア接続部材を、前記アレイ基板の基準面から前記リペア接続部材の上面までの距離が前記基準面から前記第1接続部材の上面までの距離より大きくなるように形成し、
前記リペア接続部材の上に前記第2LEDチップと同じ色で発光するリペアLEDチップを形成する電子デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子デバイス及び電子デバイスの製造方法に関わる。特にLEDチップを含む電子部品を実装した電子デバイスとしての表示装置及び表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォン等の中小型表示装置において、液晶やOLED(Organic Light Emitting Diode)を用いた表示装置が既に製品化されている。特に、自発光型素子であるOLEDを用いたOLED表示装置は、液晶表示装置と比べて、高コントラストでバックライトが不要である、という利点を有する。しかしながら、OLEDは有機化合物によって構成されるため、有機化合物の劣化に起因して、OLED表示装置の高信頼性を確保することが難しい。
【0003】
近年、次世代表示装置として、回路基板の画素回路に微小なLEDチップを実装した、いわゆるマイクロLED表示装置(又はミニLED表示装置)の開発が進められている(例えば、特許文献1)。LEDは、OLEDと同様の自発光型素子であるが、OLEDと異なり、ガリウム(Ga)、インジウム(In)などを含む無機化合物で構成される。したがって、OLED表示装置と比較すると、マイクロLED表示装置は高信頼性を確保しやすい。さらに、LEDチップは、OLED表示装置よりも発光効率及び輝度が高い。したがって、マイクロLED表示装置は、高信頼性、高輝度、及び高コントラストの次世代表示装置として期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
マイクロLED表示装置は、OLED表示装置と異なり、その製造方法において、LEDチップを実装する工程を有する。画素には、LEDチップを実装するための接続部材が画素電極上に設けられている。LEDチップは、接続部材によって画素電極と電気的に接続されるとともに、画素電極上に固定される。マイクロLED表示装置では、同じ色で発光するLEDチップ毎に実装される。つまり、例えば、まず画素領域内に赤色LEDチップが実装され、続いて当該領域内に緑色LEDチップが実装される。隣接する画素における赤色LEDチップと緑色LEDチップとの距離は非常に短いため、例えば赤色LEDチップを実装した後に、その隣の領域に緑色LEDチップを実装しようとした場合、当該緑色LEDチップ、LEDチップを取り付けるために用いられるその他の部材が、既に実装済みの赤色LEDチップに干渉してしまう場合がある。この干渉を避けるために、特許文献1では、バックプレーン基板(アレイ基板)の段差形状又は導電性接着構造が接続される接続パッドの厚さを画素によって調整する技術が開示されている。
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、予め決められた画素でしか段差形状又は接続パッドの厚さを調整することができない。つまり、表示装置の設計段階又はアレイ基板の製造段階で段差形状又は接続パッドの厚さが調整されている必要があるため、アレイ基板形成後の製造工程における自由度が小さいという問題があった。
【0007】
例えば、マイクロLED表示装置の製造後に輝点や暗点などの不良が確認された場合、不良が確認された画素に設けられたLEDチップを交換することで、これらの不良を修理(リペア)することができる。リペアを行う対象の画素に新たなLEDチップを取り付ける際、その周囲の画素に配置されたLEDチップとの干渉を避ける必要がある。特許文献1では、アレイ基板形成後の製造工程における自由度が小さいため、このよう場合に対応することができなかった。
【0008】
本発明は、上記問題に鑑み、設計及び製造方法における自由度が高い電子デバイスを提供することを課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態に係る電子デバイスは、第1電極及び第2電極を備えたアレイ基板と、前記第1電極上に設けられた第1接続部材と、前記第1接続部材上に実装された第1LEDチップと、前記第2電極上に設けられた、前記第1接続部材よりも厚い第2接続部材と、前記第2接続部材上に実装された第2LEDチップと、を有する。前記アレイ基板の基準面から前記第2接続部材の上面までの距離は、前記基準面から前記第1接続部材の上面までの距離より大きい。
【0010】
本発明の一実施形態に係る電子デバイスの製造方法は、第1電極及び第2電極を含むアレイ基板を形成し、前記第1電極上に第1接続部材を形成し、前記第2電極上に、前記第1接続部材よりも厚い第2接続部材を、前記アレイ基板の基準面から前記第2接続部材の上面までの距離が前記基準面から前記第1接続部材の上面までの距離より大きくなるように形成し、前記第1接続部材上に第1LEDチップを実装し、前記第2接続部材上に第2LEDチップを実装する。
【0011】
本発明の一実施形態に係る電子デバイスの製造方法は、第1電極及び第2電極を含むアレイ基板を形成し、前記第1電極上に第1接続部材を形成し、前記第2電極上に第2接続部材を形成し、前記第1接続部材上に第1LEDチップを実装し、前記第2接続部材上に第2LEDチップを実装し、前記第2LEDチップを前記第2電極から取り外し、前記第2電極上に前記第1接続部材より厚いリペア接続部材を、前記アレイ基板の基準面から前記リペア接続部材の上面までの距離が前記基準面から前記第1接続部材の上面までの距離より大きくなるように形成し、前記リペア接続部材上に前記第2LEDチップと同じ色で発光するリペアLEDチップを形成する。
【0012】
本発明の一実施形態に係る電子デバイスは、第1電極及び第2電極を備えたアレイ基板と、前記第1電極の上に設けられた第1接続部材と、前記第1接続部材の上に実装された第1電子部品と、前記第2電極の上に設けられた、前記第1接続部材よりも厚い第2接続部材と、前記第2接続部材の上に実装された第2電子部品と、を有する。前記アレイ基板の基準面から前記第2接続部材の上面までの距離は、前記基準面から前記第1接続部材の上面までの距離より大きい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る表示装置の模式的な断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る表示装置のリペア方法を示す断面図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る表示装置のリペア方法を示す断面図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る表示装置のリペア方法を示す断面図である。
【
図10A】本発明の一実施形態に係る表示装置のリペア方法を示す断面図である。
【
図10B】本発明の一実施形態に係るリペアを施した表示装置の模式的な断面図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る表示装置の全体構成を示す平面図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係る表示装置の回路構成を示すブロック図である。
【
図13】本発明の一実施形態に係る表示装置の画素回路を示す回路図である。
【
図14】本発明の一実施形態に係る表示装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎない。当業者が、発明の主旨を保ちつつ、実施形態の構成を適宜変更することによって容易に想到し得る構成についても、当然に本発明の範囲に含有される。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合がある。しかし、図示された形状はあくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号の後にアルファベットを付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0015】
本発明の各実施の形態において、アレイ基板からLEDチップに向かう方向を上又は上方という。逆に、LEDチップからアレイ基板に向かう方向を下又は下方という。このように、説明の便宜上、上方又は下方という語句を用いて説明するが、例えば、アレイ基板とLEDチップとの上下関係が図示と逆になるように配置されてもよい。また、以下の説明で、例えばアレイ基板上のLEDチップという表現は、上記のようにアレイ基板とLEDチップとの上下関係を説明しているに過ぎず、アレイ基板とLEDチップとの間に他の部材が配置されていてもよい。また、上方又は下方は、複数の層が積層された構造における積層順を意味するものであり、トランジスタの上方の画素電極と表現する場合、平面視でトランジスタと画素電極とが重ならない位置関係であってもよい。一方、トランジスタの鉛直上方の画素電極と表現する場合は、平面視でトランジスタと画素電極とが重なる位置関係を意味する。
【0016】
本明細書において「αはA、B又はCを含む」、「αはA,B及びCのいずれかを含む」、「αはA,B及びCからなる群から選択される一つを含む」、といった表現は、特に明示が無い限り、αがA~Cの複数の組み合わせを含む場合を排除しない。さらに、これらの表現は、αが他の要素を含む場合も排除しない。
【0017】
以下の各実施形態は、技術的な矛盾を生じない限り、互いに組み合わせることができる。
【0018】
以下の実施形態では、一例としてLEDチップが搭載された表示装置について説明するが、本発明は表示装置に限定されない。例えば、LEDチップに代えて、又はLEDチップに加えて、光センサなどの他の電子部品が設けられた電子デバイスに本発明が適用されてもよい。以下の説明において、第1LEDチップ、第2LEDチップ、及び第3LEDチップは、本実施形態に適用可能な第1電子部品、第2電子部品、及び第3電子部品の一例である。第1~第3電子部品はセンシングする色が異なる光センサであってもよく、互いに機能の異なるセンサであってもよく、センサ及びセンサ以外の電子部品であってもよい。
【0019】
〈第1実施形態〉
[表示装置10の構成]
図1を用いて、本発明の一実施形態に係る表示装置10について説明する。なお、
図1では、表示装置10のうちの一部の画素構成について図示されている。
図1は、本発明の一実施形態に係る表示装置の模式的な断面図である。
図1に示すように表示装置10は、アレイ基板100、接続部材250、及びLEDチップ200を有する。アレイ基板100は、第1面101及び第2面103を備えている。第1面101と第2面103とは反対側の面である。アレイ基板100は、基準面109を有する。本実施形態において、基準面109はアレイ基板100に含まれる絶縁性基板(例えば、
図14の絶縁性基板305B)の表面(上面)である。ただし、基準面109は、当該絶縁性基板の裏面(下面)であってもよい。基準面109は、上記絶縁性基板の上面又は下面のように実在する平坦な面だけでなく、アレイ基板100中において定義される平坦な仮想平面であってもよい。
【0020】
アレイ基板100は、第1面101側に絶縁層120及び画素電極190を備えている。画素電極190は絶縁層120に接している。詳細は後述するが、画素電極190は画素回路(
図11の画素回路110Bに対応する)に設けられた配線の一部である。つまり、
図1では図示しないが、アレイ基板100は、絶縁性基板上に設けられたトランジスタ及び配線を備えている。画素電極190は、第1画素電極191、第2画素電極193、及び第3画素電極195を含む。第1画素電極191、第2画素電極193、及び第3画素電極195は、同一の絶縁層120に接しており、同じ厚さを有している。つまり、第1画素電極191、第2画素電極193、及び第3画素電極195は同一層である。ここで、同一層とは、複数の部材が、1つの層がパターニングされることによって形成されたものであることを意味する。つまり、第1画素電極191、第2画素電極193、及び第3画素電極195が同じ厚さであることは、これらの画素電極の厚さが、これらの画素電極の基である層の基板面内における膜厚ばらつきの範囲内であることを意味し、必ずしも完全同一の厚さである必要はない。なお、これらの画素電極を特に区別する必要がない場合、これらをまとめて画素電極190という。
【0021】
画素電極190の上に接続部材250が設けられている。接続部材250は画素電極190とLEDチップ200とを接続する。接続部材250は、第1接続部材251、第2接続部材253、及び第3接続部材255を含む。第1接続部材251は第1画素電極191の上に設けられている。第2接続部材253は第2画素電極193の上に設けられている。第3接続部材255は第3画素電極195の上に設けられている。上記の3つの接続部材を特に区別する必要がない場合、これらをまとめて接続部材250という。
【0022】
第2接続部材253は第1接続部材251より厚い。第3接続部材255は第1接続部材251及び第2接続部材253の各々よりも厚い。第2接続部材253の厚さと第1接続部材251の厚さとの差は、各々の厚さのばらつきの範囲を越える。例えば、アレイ基板100上に設けられた複数の第2接続部材253の厚さの標準偏差をσ2とし、複数の第1接続部材251の厚さの標準偏差をσ1とした場合に、±3σ2で表される範囲と±3σ1で表される範囲とは重ならない。具体的には、第2接続部材253は第1接続部材251より300nm以上、500nm以上、1μm以上、又は2μm以上厚い。同様に、第3接続部材255の厚さと第2接続部材253の厚さとの差は、各々の厚さのばらつきの範囲を越える。例えば、複数の第3接続部材255の厚さの標準偏差をσ3とした場合に、±3σ3で表される範囲と±3σ2で表される範囲とは重ならない。具体的には、第3接続部材255は第2接続部材253より300nm以上、500nm以上、1μm以上、又は2μm以上厚い。
【0023】
基準面109から第2接続部材253の上面までの距離は、基準面109から第1接続部材251の上面までの距離より大きい。換言すると、上下方向(又は、鉛直方向)において、第2接続部材253の上面の位置は、第1接続部材251の上面の位置よりも上方にある。基準面109から第3接続部材255の上面までの距離は、基準面109から第2接続部材253の上面までの距離より大きい。換言すると、上下方向において、第3接続部材255の上面の位置は、第2接続部材253の上面の位置よりも上方にある。
【0024】
接続部材250の上にLEDチップ200が実装されている。LEDチップ200は、第1LEDチップ201、第2LEDチップ203、及び第3LEDチップ205を含む。第1LEDチップ201は第1接続部材251の上に実装されている。第2LEDチップ203は第2接続部材253の上に実装されている。第3LEDチップ205は第3接続部材255の上に実装されている。これらの3つのLEDチップは異なる色で発光する。ただし、これらのLEDチップが同じ色で発光してもよい。上記の3つのLEDチップを特に区別する必要がない場合、これらをまとめてLEDチップ200という。
【0025】
基準面109から第2接続部材253と第2LEDチップ203との接触面(又は、接触点)までの距離は、基準面109から第1接続部材251と第1LEDチップ201との接触面(又は、接触点)までの距離より大きい。換言すると、基準面109から第2LEDチップ203の下面までの距離は、基準面109から第1LEDチップ201の下面までの距離より大きい。
【0026】
本実施形態では、LEDチップ200の下部にアノード電極が設けられており、LEDチップ200の上部にカソード電極が設けられている。LEDチップ200のアノード電極は、接続部材250に接続されている。なお、図示しないが、LEDチップ200のカソード電極は、カソード電極の上方に設けられた導電層(例えば、後述する導電層420B(
図14参照))に接続される。アノード電極からカソード電極にLEDチップ200内を流れる電流によって、LEDチップ200は発光する。本実施形態では、LEDチップ200は上方に光を放出する。LEDチップ200の側壁には反射部材が設けられている。反射部材は、傾斜面が上方を向くように傾斜しており、LEDチップ200の発光部から横方向に放出された光を上方に反射する。また、画素電極190は反射部材としての機能を備えており、LEDチップ200からアレイ基板100側に放出された光を上方に反射する。また、LEDチップ200は上述の構造に限らず側壁に反射部材が形成されていないものであってもよい。さらには、LEDチップ200は下部にアノード電極及びカソード電極が設けられたフリップタイプのLEDチップであってもよい。
【0027】
[表示装置10の各部材の材質]
アレイ基板100の絶縁性基板(例えば、
図14の絶縁性基板305B)として、ガラス基板、石英基板、又はプラスチック基板(樹脂基板)などの透光性を有する基板を用いることができる。プラスチック基板として、ポリイミド基板、アクリル基板、シロキサン基板、又はフッ素樹脂基板などの可撓性を有する基板を用いることができる。また、アレイ基板100に導電性基板が用いられる場合、当該導電性基板としてステンレス基板又はアルミニウム基板などの金属基板を用いることができる。導電性基板が用いられる場合は、導電性基板の表面に絶縁層が形成されていてもよい。また、上記の絶縁性基板及び導電性基板の他に、シリコン基板、炭化シリコン基板、化合物半導体基板などの半導体基板をアレイ基板100に用いることができる。
【0028】
画素電極190は、LEDチップ200を実装するための接続部材250を形成するためのパッドとして機能する。画素電極190として、例えば、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、錫(Sn)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、ビスマス(Bi)、銀(Ag)、銅(Cu)、白金(Pt)、金(Au)及びこれらの合金又は化合物が用いられる。また、画素電極190として、上記の材料が単層で用いられてもよく積層で用いられてもよい。なお、LEDチップ200が下方に光を放出する場合、画素電極190として透明導電膜を用いることができる。当該透明導電膜として、インジウム・スズ酸化物(ITO)及びインジウム・亜鉛酸化物(IZO)を用いることができる。
【0029】
接続部材250は、LEDチップ200を画素電極190に実装するための接続部材として機能する。接続部材250として、例えば、銀ペースト、はんだ(Sn)、金属ナノ粒子を含むペースト、又は異方性導電膜(ACF)を用いることができる。例えば、接続部材250として金属ナノ粒子を含むペーストが用いられる場合、塗布後だけでなく、焼成後の接続部材250中にも有機物が含まれている。一方、画素電極190には有機物は含まれていないが、仮に画素電極190中に不純物として有機物が含まれていたとしても、接続部材250に含まれる有機物の量は、画素電極190に含まれる有機物の量よりも多い。ただし、画素電極190に含まれる有機物の量が接続部材250に含まれる有機物の量と同じであってもよい。
【0030】
絶縁層120として、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、又はシロキサン樹脂などの有機絶縁材料を用いることができる。また、絶縁層120として、有機絶縁材料だけでなく無機絶縁材料を用いることもできる。無機絶縁材料として、酸化シリコン(SiOx)、酸化窒化シリコン(SiOxNy)、窒化シリコン(SiNx)、窒化酸化シリコン(SiNxOy)、酸化アルミニウム(AlOx)、酸化窒化アルミニウム(AlOxNy)、窒化酸化アルミニウム(AlNxOy)、または窒化アルミニウム(AlNx)などの無機絶縁材料を用いることができる。ここで、SiOxNy及びAlOxNyは、酸素(O)よりも少ない量の窒素(N)を含有するシリコン化合物及びアルミニウム化合物である。また、SiNxOy及びAlNxOyは、窒素よりも少ない量の酸素を含有するシリコン化合物及びアルミニウム化合物である。絶縁層120として、無機絶縁層材料および有機絶縁材料が各々単独で用いられてもよく、これらが積層されてもよい。
【0031】
[表示装置10の製造方法]
図2~
図6を用いて、表示装置10の製造方法を説明する。
図2~
図6は、本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法を示す断面図である。
【0032】
図2に示すように、アレイ基板100の第1面101側において、絶縁層120に接するように第1画素電極191、第2画素電極193、及び第3画素電極195を形成する。画素電極190は、画素電極190の基となる導電層がアレイ基板100の有効エリア(機能素子又は配線が形成されるエリア)の全面に成膜され、当該導電層がフォトリソグラフィー工程によってパターニングされることで形成される。上記のように、第1画素電極191、第2画素電極193、及び第3画素電極195は、同一の導電層がパターニングされたものなので、それぞれの膜厚は全面に成膜された導電層の面内ばらつきの範囲内でほぼ同じ膜厚である。
【0033】
画素電極190の基となる導電層の成膜法として、物理蒸着法(Physical Vapor Deposition:PVD法)が用いられる。ただし、当該成膜法として、化学蒸着法(Chemical Vapor Deposition:CVD法)が用いられてもよい。PVD法としては、スパッタリング法、真空蒸着法、及び電子ビーム蒸着法などが用いられる。CVD法としては、熱CVD法、プラズマCVD法、触媒CVD法(Cat(Catalytic)-CVD法又はホットワイヤCVD法)などが用いられる。
【0034】
図3に示すように、第1画素電極191の上に第1接続部材251を形成し、第2画素電極193の上に第2接続部材253を形成し、第3画素電極195の上に第3接続部材255を形成する。第1接続部材251、第2接続部材253、及び第3接続部材255の各々は厚さが異なるように形成される。具体的には、第2接続部材253は第1接続部材251より厚く形成され、第3接続部材255は第2接続部材253より厚く形成される。第1接続部材251、第2接続部材253、及び第3接続部材255は、基準面109から第2接続部材253の上面までの距離が、基準面109から第1接続部材251の上面までの距離より大きくなるように形成され、基準面109から第3接続部材255の上面までの距離が、基準面109から第2接続部材253の上面までの距離より大きくなるように形成される。これらの接続部材250は、マイクロディスペンス法、インクジェット法、ピン転写法、マスク蒸着法、マスクスパッタリング法、ACF(Anisotropic Conductive Film)/NCF(Non-Conductive Film)接合法、めっき法、又は印刷法を用いて形成することができる。
【0035】
図4に示すように、第1接続部材251の上に第1LEDチップ201を実装する。例えば、第1LEDチップ201が赤色LEDチップである場合、アレイ基板100の全面に配置された複数の赤色画素に第1LEDチップ201が実装される。
【0036】
次に、
図5に示すように、第2接続部材253の上に第2LEDチップ203を実装する。例えば、第2LEDチップ203が緑色LEDチップである場合、アレイ基板100の全面に配置された複数の緑色画素に第2LEDチップ203が実装される。このとき、第2接続部材253が第1接続部材251より厚いため、第2LEDチップ203が第2接続部材253に接した状態において、第2LEDチップ203の上面は第1LEDチップ201の上面よりも上方に位置している。したがって、第2LEDチップ203を実装する際に第1LEDチップ201との干渉を避けることができる。
【0037】
次に、
図6に示すように、第3接続部材255の上に第3LEDチップ205を実装する。例えば、第3LEDチップ205が青色LEDチップである場合、アレイ基板100の全面に配置された複数の青色画素に第3LEDチップ205が実装される。このとき、第3接続部材255が第1接続部材251及び第2接続部材253の各々より厚いため、第3LEDチップ205が第3接続部材255に接した状態において、第3LEDチップ205の上面は第1LEDチップ201及び第2LEDチップ203の各々の上面よりも上方に位置している。したがって、第3LEDチップ205を実装する際に第1LEDチップ201及び第2LEDチップ203との干渉を避けることができる。
【0038】
以上のように、本実施形態に係る表示装置10によると、接続部材の厚さが異なることで、LEDチップを実装するときに、その周囲に既に実装された他のLEDチップとの干渉を避けることができる。また、アレイ基板100を形成後の接続部材250を形成する工程で接続部材250の厚さを調整することができるため、アレイ基板100形成後の工程における設計及び製造方法における自由度が向上する。
【0039】
〈第2実施形態〉
図7~
図10Bを用いて、本発明の一実施形態に係る表示装置10A及びその製造方法について説明する。なお、本実施形態では、表示装置10Aの製造後に画素の不良が確認された場合に、当該不良が発生した画素のLEDチップをリペアする方法について説明する。
図7~
図10Bは、本発明の一実施形態に係る表示装置のリペア方法を示す断面図である。以下の表示装置10Aの説明において、
図1~
図9で説明した第1実施形態の表示装置10と同様の特徴については説明を省略し、主に表示装置10との相違点について説明する。
【0040】
[表示装置10Aの製造方法]
図7に示すように、第1画素電極191Aの上に第1接続部材261Aを介して第1LEDチップ201Aが実装され、第2画素電極193Aの上に第2接続部材263Aを介して第2LEDチップ203Aが実装され、第3画素電極195Aの上に第3接続部材265Aを介して第3LEDチップ205Aが実装される。上記の3つの接続部材を特に区別する必要がない場合、これらをまとめて接続部材260Aという。なお、本実施形態では、第1接続部材261A、第2接続部材263A、及び第3接続部材265Aの各々の厚さは同じである。本実施形態では、第2LEDチップ203Aが発光せず、リペアをする必要がある場合について説明する。
【0041】
図8に示すように、第2LEDチップ203Aを上方に引き上げることで、実装されていた第2LEDチップ203Aを第2画素電極193Aから取り外す。なお、
図8の例では、第2LEDチップ203Aと共に第2接続部材263Aが第2画素電極193Aから剥離されているが、これは単なる一例に過ぎず、第2接続部材263Aが第2画素電極193Aに残っていてもよい。
【0042】
図9に示すように、第2LEDチップ203Aが取り外された後の第2画素電極193Aの上に、リペア接続部材270Aを形成する。なお、リペア接続部材270Aは、第1接続部材261A、第2接続部材263A、及び第3接続部材265Aの各々よりも厚い。リペア接続部材270Aは、基準面109Aからリペア接続部材270Aの上面までの距離が、基準面109Aから第1接続部材261A(又は第3接続部材265A)の上面までの距離より大きくなるように形成される。そして、リペア接続部材270Aの上にリペアLEDチップ207Aを実装する。なお、リペアLEDチップ207Aは、本来第2LEDチップ203Aが正常に発光すれば得られたはずの色で発光するLEDチップである。
【0043】
上記のようにリペア作業を行うことで、発光不良が発生していた第2LEDチップ203AがリペアLEDチップ207Aに置き換えられた、
図10Aに示す表示装置10Aが完成する。
【0044】
以上のように、本実施形態に係る表示装置10Aによると、リペア接続部材270Aがその周囲の接続部材よりも厚いことで、リペアLEDチップ207Aを実装するときに、その周囲に既に実装された他のLEDチップとの干渉を避けることができる。
【0045】
なお、本実施形態では、リペア前の複数の接続部材260Aの厚さが同じである構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、第1実施形態と同様にリペア前の複数の接続部材の厚さが異なっていてもよい。この場合、リペアLEDチップ207Aの厚さは、最も厚い接続部材と最も薄い接続部材との差よりも厚いことが好ましい。また、リペア接続部材270Aを第2画素電極193Aの上に形成する代わりに、リペアLEDチップ207Aの下面にリペア接続部材270Aに相当する部材を形成した状態で、リペアLEDチップ207Aを第2画素電極193Aの上に形成してもよい。
【0046】
以下、
図1に示す第1実施形態と同様に、赤色LEDチップである第1LEDチップ201と、緑色LEDチップである第2LEDチップ203と、青色LEDチップである第3LEDチップ205とが設けられた表示装置10に対して上記のリペアが行われた場合について説明する。この場合、それぞれのLEDの発光色ごとに接続部材251、253、255の厚さが異なる。このような表示装置10に対してリペアを行う場合、リペア接続部材270Aの厚さは、接続部材251、253、255うち最も厚い接続部材(
図10Bの例では接続部材255)よりも大きい。
図10Bでは、ある画素において、第1LEDチップ201のリペアが行われ、第1LEDチップ201の代わりにリペア接続部材270Aを介してリペアLEDチップ207Aが配置された例を示した。
図10BにおけるリペアLEDチップ207Aを第4LEDチップ(又は、第4電子部品)という場合がある。リペア接続部材270Aを第4接続部材という場合がある。
【0047】
なお、
図10BにおけるリペアLEDチップ207Aは赤色である。上記のように、各々の厚さが異なる3つの接続部材251、253、255が設けられた表示装置10に対してリペアが行われた場合、
図10Bに示すように、各々の厚さが異なる4つの接続部材(接続部材251、253、255、及びリペア接続部材270A)が設けられた構成になる。なお、リペアがLEDの色毎に行われる場合、各々の厚さが異なる3つのリペア接続部材(赤色リペア接続部材、緑色リペア接続部材、及び青色リペア接続部材)が設けられてもよい。この場合、表示装置10には、各々の厚さが異なる6つの接続部材(接続部材251、253、255、赤色リペア接続部材、緑色リペア接続部材、及び青色リペア接続部材)が設けられる。つまり、同色のLEDにおいて高さが異なる接続部材が設けられた構成が得られる。
【0048】
〈第3実施形態〉
図11~
図14を用いて、本発明の一実施形態に係る表示装置の全体構成について説明する。なお、以下の実施形態に示す表示装置20Bは、第1実施形態における表示装置10の製造方法及び第2実施形態における表示装置10Aのリペア方法を適用して製造することができる。
【0049】
[表示装置20Bの概要]
図11は、本発明の一実施形態に係る表示装置の全体構成を示す平面図である。
図11に示すように、表示装置20Bは、アレイ基板100B、フレキシブルプリント回路基板600B(FPC600B)、及びICチップ700Bを有する。表示装置20Bは表示領域22B、周辺領域24B、及び端子領域26Bに区分される。表示領域22Bは、LEDチップ200Bを含む画素回路110Bがマトリクス状に配置された領域であり、画像を表示する領域である。周辺領域24Bは、表示領域22Bの周囲の領域であり、画素回路110Bを制御するドライバ回路が設けられた領域である。端子領域26Bは、FPC600Bが設けられた領域である。周辺領域24B及び端子領域26Bの外縁のアレイ基板100Bの側面が第3面105Bである。ICチップ700BはFPC600B上に設けられている。ICチップ700Bは各画素回路110Bを駆動させるための信号を供給する。また、上記の例に限らず、例えばICチップ700Bはアレイ基板100Bに実装されるCOG(Chip on glass)構造であってもよい。
【0050】
[表示装置20Bの回路構成]
図12は、本発明の一実施形態に係る表示装置の回路構成を示すブロック図である。
図12に示すように、画素回路110Bが配置された表示領域22Bに対して第2方向D2(列方向)に隣接する位置にはソースドライバ回路520Bが設けられており、表示領域22Bに対して第1方向D1(行方向)に隣接する位置にはゲートドライバ回路530Bが設けられている。ソースドライバ回路520B及びゲートドライバ回路530Bは、上記の周辺領域24Bに設けられている。ただし、ソースドライバ回路520B及びゲートドライバ回路530Bが設けられる領域は周辺領域24Bに限定されず、画素回路110Bが設けられた領域の外側であれば、どの領域でもよい。
【0051】
ソースドライバ回路520Bからソース配線521Bが第2方向D2に延びており、第2方向D2に配列された複数の画素回路110Bに接続されている。ゲートドライバ回路530Bからゲート配線531Bが第1方向D1に延びており、第1方向D1に配列された複数の画素回路110Bに接続されている。
【0052】
端子領域26Bには端子部533Bが設けられている。端子部533Bとソースドライバ回路520Bとは接続配線541Bで接続されている。同様に、端子部533Bとゲートドライバ回路530Bとは接続配線541Bで接続されている。FPC600Bが端子部533Bに接続されることで、FPC600Bが接続された外部機器と表示装置20Bとが接続され、外部機器からの信号によって表示装置20Bに設けられた各画素回路110Bが駆動する。
【0053】
第1実施形態及び第2実施形態に示す表示装置10及び10Aは、第3実施形態に示す表示装置20Bの画素回路110Bの一部に相当する。
【0054】
[表示装置20Bの画素回路110B]
図13は、本発明の一実施形態に係る表示装置の画素回路を示す回路図である。
図13に示すように、画素回路110Bは駆動トランジスタ960B、選択トランジスタ970B、保持容量980B、及びLEDチップ200Bなどの素子を含む。選択トランジスタ970Bのソース電極は信号線971Bに接続され、選択トランジスタ970Bのゲート電極はゲート線973Bに接続されている。駆動トランジスタ960Bのソース電極はアノード電源線961Bに接続され、駆動トランジスタ960Bのドレイン電極はLEDチップ200Bのアノードに接続されている。LEDチップ200Bのカソードはカソード電源線963Bに接続されている。駆動トランジスタ960Bのゲート電極は選択トランジスタ970Bのドレイン電極に接続されている。保持容量980Bは駆動トランジスタ960Bのゲート電極及びドレイン電極に接続されている。信号線971Bには、LEDチップ200Bの発光強度を決める階調信号が供給される。ゲート線973Bには、上記の階調信号を書き込む画素行を選択する信号が供給される。
【0055】
[表示装置20Bの断面構造]
図14は、本発明の一実施形態に係る表示装置20Bの画素回路110Bの断面図である。
図14に示すように、表示装置20Bは、トランジスタ300B及び配線部400Bを有する。トランジスタ300B及び配線部400Bによって画素回路110Bが構成されている。
【0056】
トランジスタ300Bは、絶縁性基板305B及び下地層310Bの上に設けられている。なお、本実施形態では、基準面109Bは絶縁性基板305Bの上面である。トランジスタ300Bは、半導体層320B、ゲート絶縁層330B、ゲート電極340B、絶縁層350B、及び導電層402B(ソース電極及びドレイン電極)を有する。半導体層320Bは下地層310Bの上に設けられている。ゲート電極340Bは半導体層320Bの上方に設けられている。ゲート絶縁層330Bは半導体層320Bとゲート電極340Bとの間に設けられている。絶縁層350Bはゲート絶縁層330B及びゲート電極340Bの上に設けられている。導電層402Bは、絶縁層350Bの上に設けられており、絶縁層350Bに設けられた開口を介して半導体層320Bに接続されている。
【0057】
配線部400Bは、導電層402B、導電層403B、平坦化層404B、導電層406B、絶縁層408B、導電層410B、導電層411B、絶縁層120B、導電層414B、導電層416B、画素電極190B、及び接続部材250Bを有する。以下の説明において、LEDチップ200Bのアノードに接続された配線(接続部材250B)が設けられた領域を第1領域480Bという。また、LEDチップ200Bのカソードに接続された配線(導電層416B)が設けられた領域を第2領域490Bという。
【0058】
平坦化層404Bは導電層402Bの上に設けられている。平坦化層404Bには、第1領域480Bに導電層402Bの一部を露出する開口422Bが設けられ、第2領域490Bに導電層403Bの一部を露出する開口424Bが設けられている。導電層406Bは、平坦化層404Bの上に設けられ、開口424Bを介して導電層403Bに接続されている。絶縁層408Bは導電層406Bの上に設けられている。絶縁層408Bには、開口422Bに対応する位置に開口が設けられている。なお、導電層406Bには、例えば共通の電源電圧PVDDが供給される。
【0059】
導電層410B及び導電層411Bは絶縁層408Bの上に設けられている。導電層410Bは開口422Bを介して導電層402Bに接続されている。導電層411Bは絶縁層408Bによって導電層406Bから絶縁されている。導電層411Bには、例えば共通の電源電圧PVSS(例えば、接地電圧GND)が供給される。
【0060】
絶縁層120Bは導電層410B及び導電層411Bの各々の上に設けられている。絶縁層120Bには、導電層410Bを露出する開口426B及び導電層411Bを露出する開口428Bが設けられている。画素電極190B及び導電層414Bは、絶縁層120Bに接して設けられている。絶縁層120Bとして、平坦化層を用いることができる。画素電極190Bは開口426Bを介して導電層410Bに接続されている。導電層414Bは開口428Bを介して導電層411Bに接続されている。
【0061】
接続部材250Bは画素電極190Bの上に設けられている。導電層416Bは導電層414Bの上に設けられている。接続部材250Bは、LEDチップ200Bを配線部400Bに実装するために用いられる。つまり、接続部材250BはLEDチップ200Bと画素電極190Bとを接着し、これらを電気的に接続する機能を有する。導電層416Bは、接続部材250Bと同様に、マイクロディスペンス法、インクジェット法、ピン転写法、マスク蒸着法、マスクスパッタリング法、ACF(Anisotropic Conductive Film)/NCF(Non-Conductive Film)接合法、又は印刷法を用いて形成することができる。
【0062】
接続部材250B及び導電層416Bの各々の上に、LEDチップ200Bを埋設するように平坦化層418Bが設けられている。平坦化層418Bには、導電層416Bを露出する開口430Bが設けられている。平坦化層418Bの上面はLEDチップ200Bの上面と一致している。なお、LEDチップ200Bの上面が平坦化層418Bから露出されていればよく、平坦化層418Bの上面とLEDチップ200Bの上面とが一致していなくてもよい。平坦化層418Bの上には導電層420Bが設けられている。導電層420Bは、LEDチップ200Bに接続されている。また、導電層420Bは、開口430Bを介して導電層416Bに接続されている。
【0063】
接続部材250BはLEDチップ200Bのアノードに接続されており、導電層420BはLEDチップ200Bのカソードに接続されている。ゲート電極340Bにトランジスタ300BをON状態にするON電圧が供給されると、信号線(図示せず)に供給された電圧がトランジスタ300B、導電層410B、画素電極190B、接続部材250Bを介してLEDチップ200Bのアノードに供給される。LEDチップ200Bのカソードは、導電層420B、416B、414Bを介して導電層411Bに接続されている。
【0064】
[表示装置20Bの各部材の材質]
トランジスタ300B及び配線部400Bを構成する各導電層及びゲート電極340Bとして、Al、Ti、Cr、Co、Ni、Mo、Hf、Ta、W、Bi、Ag、Cu及びこれらの合金又は化合物が用いられる。これらの導電層及びゲート電極として、上記の材料が単層で用いられてもよく積層で用いられてもよい。なお、配線部400Bを構成する各導電層として、例えば、インジウム・スズ酸化物(ITO)またはインジウム・亜鉛酸化物(IZO)などの透明導電材料が用いられてもよい。特に、導電層420Bとして透明導電材料が用いられる。画素電極190Bは、LEDチップ200Bから配線部400Bに向かって放出された光を上方に反射する機能を有する。したがって、画素電極190Bとして他の導電層よりも反射率が高い材料が用いられる。
【0065】
トランジスタ300B及び配線部400Bを構成する各絶縁層、ゲート絶縁層330B、及び下地層310Bとして、酸化シリコン(SiOx)、酸化窒化シリコン(SiOxNy)、窒化シリコン(SiNx)、窒化酸化シリコン(SiNxOy)、酸化アルミニウム(AlOx)、酸化窒化アルミニウム(AlOxNy)、窒化酸化アルミニウム(AlNxOy)、または窒化アルミニウム(AlNx)などの無機絶縁材料を用いることができる。また、これらの絶縁層は、無機絶縁材料だけでなく、有機絶縁材料を用いることもできる。有機絶縁材料として、例えば、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、またはシロキサン樹脂などを用いることができる。上記の絶縁層として、無機絶縁層材料および有機絶縁材料が各々単独で用いられてもよく、これらが積層されてもよい。
【0066】
配線部400Bを構成する各平坦化層は、それぞれの下方に位置する構造物による凹凸の段差を緩和することができる。平坦化層の材料として、例えば、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、またはシロキサン樹脂などの有機樹脂を用いることができる。上記の平坦化層として、上記の有機樹脂が単独で用いられてもよく、積層されていてもよい。
【0067】
本発明の実施形態として上述した各実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。また、各実施形態の表示装置を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。上記の実施形態では、電子部品の一例としてLEDチップを用いて説明したが、電子部品はLEDチップに限定されない。LEDチップを光センサなどの他の電子部品に置き換えてもよい。つまり、本発明は、表示装置に限定されず、LEDに代えて又はLEDに加えて、他の電子部品が搭載された電子デバイスに適用することができる。さらに、上記のリペアLED207Aを、例えば光センサなどの電子部品に置き換え、LEDを用いた表示装置に他の電子部品を組み合わせた電子デバイスに本発明を適用することも可能である。つまり、この場合、光センサなどの電子部品を第4電子部品ということができる。
【0068】
上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、または、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0069】
10:表示装置、 22B:表示領域、 24B:周辺領域、 26B:端子領域、 100:アレイ基板、 101:第1面、 103:第2面、 105B:第3面、 109:基準面、 110B:画素回路、 120:絶縁層、 190:画素電極、 191:第1画素電極、 193:第2画素電極、 195:第3画素電極、 200:LEDチップ、 201:第1LEDチップ、 203:第2LEDチップ、 205:第3LEDチップ、 207A:リペアLEDチップ、 250:接続部材、 251:第1接続部材、 253:第2接続部材、 255:第3接続部材、 260A:接続部材、 261A:第1接続部材、 263A:第2接続部材、 265A:第3接続部材、 270A:リペア接続部材、 300B:トランジスタ、 305B:絶縁性基板、 310B:下地層、 320B:半導体層、 330B:ゲート絶縁層、 340B:ゲート電極、 350B:絶縁層、 400B:配線部、 402B、403B、406B、410B、411B、414B、416B、420B:導電層、 404B、418B:平坦化層、 408B:絶縁層、 422B、424B、426B、428B、430B:開口、 480B:第1領域、 490B:第2領域、 520B:ソースドライバ回路、 521B:ソース配線、 530B:ゲートドライバ回路、 531B:ゲート配線、 533B:端子部、 541B:接続配線、 600B:フレキシブルプリント回路基板、 700B:ICチップ、 960B:駆動トランジスタ、 961B:アノード電源線、 963B:カソード電源線、 970B:選択トランジスタ、 971B:信号線、 973B:ゲート線、 980B:保持容量