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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-18
(45)【発行日】2024-07-26
(54)【発明の名称】電流感知システム
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/3233 20160101AFI20240719BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20240719BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20240719BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20240719BHJP
【FI】
G09G3/3233
G09G3/20 611H
G09G3/20 623Z
G09G3/20 642A
G09G3/20 670J
G09G3/20 670Q
H05B33/02
H05B33/14 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020119288
(22)【出願日】2020-07-10
(65)【公開番号】P2021033265
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2023-06-30
(31)【優先権主張番号】62/887,434
(32)【優先日】2019-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/656,423
(32)【優先日】2019-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1, Samsung-ro, Giheung-gu, Yongin-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002619
【氏名又は名称】弁理士法人PORT
(72)【発明者】
【氏名】アミール アミカーニー
(72)【発明者】
【氏名】アヌープ ピー ホセ
(72)【発明者】
【氏名】ガウラフ マルホトラ
(72)【発明者】
【氏名】ソン ヨンフン
(72)【発明者】
【氏名】アルゼフタウィ ムハンマド
【審査官】橋本 直明
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第02738757(EP,A1)
【文献】特開2005-124120(JP,A)
【文献】特開2005-341018(JP,A)
【文献】特開2007-281661(JP,A)
【文献】特開2011-019115(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0154573(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0114815(US,A1)
【文献】国際公開第2019/233120(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/3233
G09G 3/20
H05B 33/02
H10K 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素電流と基準電流との差電流を受信する第1導体を含む差動入力と差動出力を有する差動低域通過フィルタと、
差動入力と差動出力を有する差動積分器と、
前記差動低域通過フィルタの差動出力を前記差動積分器の差動入力に接続する2個のミラーリングキャパシタと、
前記ミラーリングキャパシタと前記差動積分器の差動入力との間に接続されて前記ミラーリングキャパシタと前記差動積分器の差動入力の接続極性を選択的に切り替える極性反転スイッチと、
前記2個のミラーリングキャパシタと前記極性反転スイッチとの間に接続されている一対の結合スイッチと、
を含み、
それぞれの結合スイッチは選択的に、
前記2個のミラーリングキャパシタのうち対応するミラーリングキャパシタの端子を前記極性反転スイッチの対応端子と分離し、
前記対応するミラーリングキャパシタを電圧基準に接続し、
前記電圧基準の電圧値は一定の電圧値である、
表示装置における画素の電流感知システム。
【請求項2】
前記差動低域通過フィルタは、
差動増幅器と、
前記差動低域通過フィルタの差動出力の対応導体および前記差動低域通過フィルタの差動入力の対応導体にそれぞれ接続されている2個のフィードバックキャパシタと、
前記2個のフィードバックキャパシタのうち対応するフィードバックキャパシタの両端にそれぞれ接続されており、前記対応するフィードバックキャパシタを選択的に放電させる2個の再設定スイッチと、
を含む、請求項1に記載の電流感知システム。
【請求項3】
前記差動増幅器は、全差動増幅器である、請求項2に記載の電流感知システム。
【請求項4】
前記差動増幅器は、擬似差動増幅器である、請求項2に記載の電流感知システム。
【請求項5】
前記差動積分器は、
全差動増幅器と、
前記差動積分器の差動出力の対応導体および前記差動積分器の差動入力の対応導体にそれぞれ接続されている2個のフィードバックキャパシタと、
前記2個のフィードバックキャパシタのうち対応するフィードバックキャパシタの両端にそれぞれ接続されており、前記対応するフィードバックキャパシタを選択的に放電させる2個の再設定スイッチと、
を含む、請求項2に記載の電流感知システム。
【請求項6】
第1画素と第2画素を含む表示板(display panel)と、
制御回路と、
をさらに含み、
前記制御回路は、
前記第1画素の貯蔵電圧を前記第1画素のオン状態(on state)に該当する第1値に設定し、
前記第2画素の貯蔵電圧を前記第2画素のオフ状態(off state)に該当する第2値に設定し、
前記差動低域通過フィルタの再設定スイッチを閉じ、
前記差動積分器の再設定スイッチを閉じ、
前記第1画素の画素電流をディセーブル(disable)状態にし、前記第1画素の画素電流と基準電流との差電流が前記差動入力に入力されず、
前記差動低域通過フィルタの再設定スイッチを開き、
前記差動積分器の再設定スイッチを開き、
第1積分区間の間待機し、
前記極性反転スイッチが前記ミラーリングキャパシタと前記差動積分器の差動入力の接続極性を反転させるようにし、
第2積分区間の間待機する、
請求項5に記載の電流感知システム。
【請求項7】
前記差動低域通過フィルタの再設定スイッチが開かれた後、前記差動積分器の再設定スイッチが開かれる前に、前記制御回路は前記差動低域通過フィルタの基本時定数を超える長さの区間の間待機する、請求項6に記載の電流感知システム。
【請求項8】
前記制御回路は、
前記第1積分区間の終了時点に前記2個のミラーリングキャパシタを前記極性反転スイッチと分離させるように前記結合スイッチを設定し、
最大安定化時間の間待機し、
前記第2積分区間の開始時点に前記2個のミラーリングキャパシタを前記極性反転スイッチと接続するように前記結合スイッチを設定し、
前記最大安定化時間は、
前記基準電流が前記差動低域通過フィルタの差動入力で安定化するまでかかる時間、および前記画素電流が前記差動低域通過フィルタの差動入力で安定化するまでかかる時間のうち、大きい方から始まる、請求項7に記載の電流感知システム。
【請求項9】
画素電流と基準電流との差電流を受信する第1導体を含む差動入力と差動出力を有するフィルタと、
差動入力と差動出力を有する差動積分器と、
前記フィルタの差動出力を前記差動積分器の差動入力に接続する2個のミラーリングキャパシタと、
前記ミラーリングキャパシタと前記差動積分器の差動入力との間に接続されて、前記ミラーリングキャパシタと前記差動積分器の差動入力の接続極性を選択的に切り替える極性反転スイッチと、
前記2個のミラーリングキャパシタと前記極性反転スイッチとの間に接続されている一対の結合スイッチと、
を含み、
それぞれの結合スイッチは選択的に、
前記2個のミラーリングキャパシタのうち対応するミラーリングキャパシタの端子を前記極性反転スイッチの対応端子と分離し、
前記対応するミラーリングキャパシタを電圧基準に接続し、
前記電圧基準の電圧値は一定の電圧値である、
表示装置画素の電流感知システム。
【請求項10】
前記フィルタは、
差動増幅器と、
前記フィルタの差動出力の対応導体および前記フィルタの差動入力の対応導体にそれぞれ接続されている2個のフィードバックキャパシタと、
前記2個のフィードバックキャパシタのうち対応するフィードバックキャパシタの両端にそれぞれ接続されており、前記対応するフィードバックキャパシタを選択的に放電させる2個の再設定スイッチと、
を含む、請求項9に記載の電流感知システム。
【請求項11】
前記差動増幅器は、全差動増幅器である、請求項10に記載の電流感知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関し、特に表示装置にある画素の電流を感知するシステムおよび方法に関する。
【0002】
本出願は、2019年8月15日付で米国特許庁に出願した米国特許出願番号第62/887,434号の優先権を主張し、ここに引用することによってその出願の全体内容を本願に含む。
【背景技術】
【0003】
電子装置の表示装置、例えばコンピュータ、モバイル機器などの映像表示装置は複数の画素を含み、各画素は発光ダイオード(LED:light emitting diode)(例えば、有機発光ダイオード(OLED))など表示素子に流れる駆動電流を制御する駆動トランジスタを含む複数のトランジスタを含む。表示装置の駆動トランジスタ間の特性差または駆動トランジスタの時間に応じた特性変化を補償しなければ、表示画像または映像の画質が悪くなる。このような差または変化を補償するために駆動トランジスタの特性を測定することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、表示装置内にある駆動トランジスタの特性を測定するシステムおよび方法を提示することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態による表示装置画素の電流感知システムは、画素電流と基準電流との差を受信する第1導体を含む差動入力と差動出力を有する差動低域フィルタ、差動入力と差動出力を有する差動積分器と、前記差動低域フィルタの差動出力を前記差動積分器の差動入力に接続する2個のミラーリングキャパシタと、前記ミラーリングキャパシタと前記差動積分器の差動入力との間に接続されて前記ミラーリングキャパシタと前記差動積分器の差動入力の接続極性を選択的に切り替える極性反転スイッチと、前記2個のミラーリングキャパシタと前記極性反転スイッチとの間に接続されている一対の結合スイッチと、を含み、それぞれの結合スイッチは選択的に、前記2個のミラーリングキャパシタのうち対応するミラーリングキャパシタの端子を前記極性反転スイッチの対応端子と分離し、前記対応するミラーリングキャパシタを供給ノードに接続する。
【0006】
本発明の一実施形態によれば、前記差動低域フィルタは、差動増幅器と、前記差動低域フィルタの差動出力の対応導体および前記差動低域フィルタの差動入力の対応導体にそれぞれ接続されている2個のフィードバックキャパシタと、前記2個のフィードバックキャパシタのうち対応するフィードバックキャパシタの両端にそれぞれ接続されており、前記対応するフィードバックキャパシタを選択的に放電させる2個の再設定スイッチと、を含んでもよい。
【0007】
本発明の一実施形態によれば、前記差動増幅器は、全差動増幅器であってもよい。
【0008】
本発明の一実施形態によれば、前記差動増幅器は、擬似差動増幅器であってもよい。
【0009】
本発明の一実施形態によれば、前記差動積分器は、全差動増幅器と、前記差動積分器の差動出力の対応導体および前記差動積分器の差動入力の対応導体にそれぞれ接続されている2個のフィードバックキャパシタと、前記2個のフィードバックキャパシタのうち対応するフィードバックキャパシタの両端にそれぞれ接続されており、前記対応するフィードバックキャパシタを選択的に放電させる2個の再設定スイッチとを含んでもよい。
【0010】
本発明の一実施形態によれば、第1画素と第2画素を含む表示板(display panel)と、制御回路と、をさらに含み、前記制御回路は、前記第1画素の貯蔵電圧を前記第1画素のオン状態(on state)に該当する第1値に設定し、前記第2画素の貯蔵電圧を前記第2画素のオフ状態(off state)に該当する第2値に設定し、前記差動低域フィルタの再設定スイッチを閉じ、前記差動積分器の再設定スイッチを閉じ、前記第1画素の電流出力をディセーブル(disable)状態にし、前記差動低域フィルタの再設定スイッチを開き、前記差動積分器の再設定スイッチを開き、第1積分区間の間待機し、前記極性反転スイッチが前記ミラーリングキャパシタと前記差動積分器の差動入力の接続極性を反転させるようにし、第1積分区間の間待機してもよい。
【0011】
本発明の一実施形態によれば、前記差動低域フィルタの再設定スイッチが開かれた後前記差動積分器の再設定スイッチが開かれる前に、前記制御回路は前記差動低域フィルタの基本時定数を超える長さの区間の間待機してもよい。
【0012】
本発明の一実施形態によれば、前記制御回路は、前記第1積分区間の終了時点に前記2個のミラーリングキャパシタを前記極性反転スイッチと分離させるように前記結合スイッチを設定し、最大安定化時間の間待機し、そして前記第2積分区間の開始時点に前記2個のミラーリングキャパシタを前記極性反転スイッチと接続するように前記結合スイッチを設定し、前記最大安定化時間は、前記基準電流が前記差動低域フィルタの差動入力で安定化するまでかかる時間、および前記画素電流が前記差動低域フィルタの差動入力で安定化するまでかかる時間のうち大きい方であってもよい。
【0013】
本発明の一実施形態による方法は、相関二重サンプリングを用いて表示装置における画素の画素電流を感知する画素回路を動作させる方法であって、第1時間区間の間、画素感知回路を再設定し、前記第1時間区間の後の第2時間区間の間、前記画素感知回路を積分モードで動作させ、前記第2時間区間の後の第3時間区間の間、前記画素感知回路を維持モードで動作させ、および前記第3時間区間の後の第4時間区間の間、前記画素感知回路を前記積分モードで動作させること、を含み、前記画素感知回路は前記画素電流を感知し、前記画素感知回路は低域フィルタと前記低域フィルタの出力に接続された積分器を含み、前記方法は、前記第3時間区間および前記第4時間区間の間前記積分器と前記低域フィルタの出力の接続極性を反対に維持することをさらに含み、前記画素感知回路の再設定段階は再設定モードで前記低域フィルタと前記積分器それぞれを動作させることを含み、前記積分モードで動作させることは、前記低域フィルタを通常モードで動作させ、前記積分器を通常モードで動作させること、を含み、前記維持モードで動作させることは、前記低域フィルタを通常モードで動作させ、前記積分器を通常モードで動作させ、前記積分器を前記低域フィルタと分離させること、を含む。
【0014】
本発明の一実施形態によれば、前記方法は、前記第1時間区間の後、前記第2時間区間の前の第5時間区間の間、前記画素感知回路を待機モードで動作させることをさらに含み、前記待機モードで動作させることは、前記低域フィルタを通常モードで動作させ、前記画素の雑音電流が正常状態になるまで前記積分器を前記再設定モードで動作させること、を含んでもよい。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、前記低域フィルタは差動低域フィルタであり、前記積分器は差動積分器でありうる。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、前記差動低域フィルタは、差動増幅器と、前記差動低域フィルタの差動出力の対応導体および前記差動低域フィルタの差動入力の対応導体にそれぞれ接続されている2個のフィードバックキャパシタと、前記2個のフィードバックキャパシタのうち対応するフィードバックキャパシタの両端にそれぞれ接続されており、前記対応するフィードバックキャパシタを選択的に放電させる2個の再設定スイッチと、を含んでもよい。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、前記差動増幅器は、全差動増幅器であってもよい。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、前記差動増幅器は、擬似差動増幅器であってもよい。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、前記差動積分器は、差動増幅器と、前記差動積分器の差動出力の対応導体および前記差動積分器の差動入力の対応導体にそれぞれ接続されている2個のフィードバックキャパシタと、前記2個のフィードバックキャパシタのうち対応するフィードバックキャパシタの両端にそれぞれ接続されており、前記対応するフィードバックキャパシタを選択的に放電させる2個の再設定スイッチと、を含んでもよい。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、前記差動増幅器は、全差動増幅器であってもよい。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、前記差動増幅器は、擬似差動増幅器であってもよい。
【0022】
本発明の一実施形態による表示装置画素の電流感知システムは、画素電流と基準電流との差を受信する第1導体を含む差動入力と差動出力を有する低域フィルタリング手段と、差動入力と差動出力を有する差動積分器、前記低域フィルタリング手段の差動出力を前記差動積分器の差動入力に接続する2個のミラーリングキャパシタと、前記ミラーリングキャパシタと前記差動積分器の差動入力との間に接続されて前記ミラーリングキャパシタと前記差動積分器の差動入力の接続極性を選択的に切り替える極性反転スイッチと、および前記2個のミラーリングキャパシタと前記極性反転スイッチとの間に接続されている一対の結合スイッチと、を含み、それぞれの結合スイッチは選択的に、前記2個のミラーリングキャパシタのうち対応するミラーリングキャパシタの端子を前記極性反転スイッチの対応端子と分離し、前記対応するミラーリングキャパシタを供給ノードに接続する。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、前記低域フィルタリング手段は、差動増幅器と、前記低域フィルタリング手段の差動出力の対応導体および前記低域フィルタリング手段の差動入力の対応導体にそれぞれ接続されている2個のフィードバックキャパシタと、前記2個のフィードバックキャパシタのうち対応するフィードバックキャパシタの両端にそれぞれ接続されており、前記対応するフィードバックキャパシタを選択的に放電させる2個の再設定スイッチと、を含んでもよい。
【0024】
本発明の一実施形態によれば、前記差動増幅器は、全差動増幅器であってもよい。
【発明の効果】
【0025】
このように表示装置内にある駆動トランジスタの特性を測定することによって、駆動トランジスタ間の特性差または駆動トランジスタの時間に応じた特性変化を補償することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態による概念図である。
図2a】本発明の一実施形態による表示板と駆動および感知集積回路の概略図である。
図2b】本発明の一実施形態による表示板と駆動および感知集積回路の概略図である。
図2c】本発明の一実施形態による表示板と駆動および感知集積回路の概略図である。
図3】本発明の一実施形態による概略図である。
図4】本発明の一実施形態による概略図である。
図5a】本発明の一実施形態によるフローチャートである。
図5b】本発明の一実施形態によるタイミング図である。
図5c】本発明の一実施形態によるタイミング図である。
図5d】本発明の一実施形態によるスイッチ状態表である。
図6】本発明の一実施形態による概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付する図面を参照して以下に記載される詳細な説明は、相関二重サンプリング画素感知前端(correlated double sampling pixel sensing front end)の実施形態に関するものであり、本発明によって実現される形態または用いられる形態をすべて表現したものではない。以下、添付する図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。しかし、互いに異なる実施形態で具現されるものと同じまたは均等の機能および構造も本発明の範囲内に含まれる。明細書全体にわたって同一又は類似する構成要素に対しては同じ図面符号を付けた。
【0028】
図1を参照すると、本発明の一実施形態による表示装置(例えば、モバイル表示装置)105は、行列に配列された複数の画素を含み得る。各画素は1つの色(例えば、赤、緑または青)の光を生成し、複合画素(composite pixel)の一部であり得るが、複合画素は、例えば3個の画素を含み、広い範囲の色の一つを生成することができる(場合によって本明細書で「画素」を「副画素(subpixel)」といい、本明細書で「複合画素」を「画素」ともいう。)。各画素は駆動回路を含み得るが、駆動回路の例としては図1の左側に図示した7T1C(7-transistor 1-capacitor)駆動回路または図1の下側に図示した4T1C(4-transistor 1-capacitor)駆動回路がある。4T1C駆動回路では、画素が発光するとき、キャパシタ(capacitor,115)によってゲート-ソース電圧が制御される駆動トランジスタ(drive transistor,110)が発光ダイオード(light emitting diode,120)に流れる電流を制御する。上部パス-ゲートトランジスタ(pass-gate transistor,125)を用いて駆動トランジスタ110のゲート(およびキャパシタ115の1つの端子)を電源電圧(power supply voltage)に選択的に接続することができ、下部パス-ゲートトランジスタ130を用いて駆動感知導体(drive sense conductor,135)をソースノード(source node,140)に選択的に接続でき、ソースノード140は駆動トランジスタ110のソース、発光ダイオード120のアノードおよびキャパシタ115の他の端子と接続されている。
【0029】
画素駆動および感知回路(pixel drive and sense circuit,145、以下でさらに詳細に説明する)は、駆動感知導体135と接続され得る。画素駆動および感知回路145は、駆動感知導体135に一度に一つずつ選択的に接続される駆動増幅器(drive amplifier)と感知回路(sensing circuit)を含み得る。駆動トランジスタ110に電流が流れて下部パス-ゲートトランジスタ130がオフになり、駆動感知導体135がソースノード140から分離すると、発光ダイオード120に電流が流れて発光する。下部パス-ゲートトランジスタ130がオンになり、駆動感知導体135が発光ダイオード120のカソードより低い電圧で駆動されると、発光ダイオード120は逆バイアスとなり、駆動感知導体135に流れる電流が画素駆動および感知回路145に流れて感知することができる。感知電流を期待電流(desired current)(例えば、理想的な(ideal)トランジスタまたは名目上の(nominal)トランジスタが同じゲート-ソース電圧で駆動する電流)と比較して、感知電流が理想電流と異なる程度までは、偏差を補償する(例えば、ゲート-ソース電圧を調整する)措置がとられてもよい。
【0030】
図2aを参照すると、本発明の一実施形態では、正確度向上のために画素の電流を互いに異なる方式で感知することができる。例えば、図2aの左側にある画素(以下「奇数番目(odd)」画素という)の駆動トランジスタ110が駆動する電流を感知する場合、奇数番目画素の駆動トランジスタ110をオンにし(奇数番目画素のキャパシタを充電することによって奇数番目画素の駆動トランジスタ110をオンにし)、図2aの右側にある画素(以下「偶数番目(even)」画素という)の駆動トランジスタ110をオフにし(偶数番目画素のキャパシタを放電することによって偶数番目画素の駆動トランジスタ110をオフにし)、該当する二つの導体(以下「列導体(column conductors)」205という)で流れる二つの対応電流の差を測定することができる。各列導体205は表示装置の一列にあるすべての画素と接続され得、そのため特性化(characterized)する奇数番目画素を除いたすべての画素がオフになっても他の画素の総リーク電流が重要になる。(偶数番目画素を含む)隣接する列のリーク電流が同じである限り、二つの列導体205に流れる電流の差を感知すると、奇数番目画素に接続された列画素に流れる電流に対するリーク電流の寄与分をなくすことができる。
【0031】
SCAN1、SCAN2、EMIT制御線は行ごとに備えられ、行ごとに互いに異なるタイミングを有し得る。上述したように、差動感知を用いて一つの動作により一行にある画素の半分を感知することができる。奇数番目画素と偶数番目画素を区別しないように奇数番目画素および偶数番目画素に同じゲート制御信号のセットを印加することができる。それぞれのデジタル-アナログ変換器(DAC)およびこれに接続された駆動増幅器220を用いて、駆動トランジスタ110が駆動する電流を感知するときに基準電流を生成するとともに、列導体205を駆動して画素のキャパシタを充電することができ、これは図示したようにマルチプレクサを用いて実現することができる。図1に示す一実施形態はこのような特徴を含まない代わりに、二つの個別のデジタル-アナログ変換器を含む。
【0032】
図2bを参照すると、本発明の一実施形態では、回路が駆動モードにあるとき、各画素の駆動トランジスタ110のゲートはELVSSに接続され、各画素の駆動トランジスタ110のソースは(ELVSS-VDRIVE)に駆動される。すなわち、
VGS=ELVSS-(ELVSS-VDRIVE)=VDRIVE
である。ここで、VGSはゲート-ソース電圧である。
【0033】
各画素の発光トランジスタ(emit transistor)はオフ状態のままであってもよい。
【0034】
このような過程で、それぞれのVDRIVEは各画素の画素キャパシタに保存される。奇数番目画素を感知するとき、偶数番目画素の駆動トランジスタ110のVDRIVEはELVSSであり得、そのため、上述したように偶数番目画素の駆動トランジスタ110はオフとなる。
【0035】
図2cを参照すると、本発明の一実施形態では、回路が感知モードにある時、上部パス-ゲートトランジスタ(125,図1)がオフとなり、駆動トランジスタ110のゲートがフローティング状態となり(float)、各画素のキャパシタの電荷が一定になる。各画素の駆動トランジスタ110のソースが(例えば、ELVSSより若干小さいVREFで)駆動され、それぞれの発光ダイオード120が逆バイアスとなり、発光ダイオード120に電流が流れない。各画素の発光トランジスタがオンとなり、発光ダイオード120が逆バイアスとなることによって、画素の駆動トランジスタ110が駆動する電流がそれぞれの列導体205を介して感知回路に流れる。このモードで、デジタル-アナログ変換器およびこれに接続された駆動増幅器220は基準電流(IREF)を生成することができる。本発明の一実施形態によれば、デジタル-アナログ変換器および駆動増幅器220を制御して電圧ランプ(voltage ramp)を生成することによって、基準電流が生成され、電圧ランプはキャパシタに印加されて次の方程式による電流を供給する。
IREF=CdV/dt
ここで、Cはキャパシタの容量である。
【0036】
動作時には、感知動作前に前端(front-end)積分器を再設定する。それぞれの感知動作は駆動動作に先行することができ、駆動動作の間に駆動増幅器(220,図2aないし図2c)は列導体205を設定電圧(set voltage)に駆動する。感知動作を始める前に、列導体205の電圧をVREFに復旧することができる。図2cの回路と関連する他の問題は、列導体205の接地容量(capacitance to ground)が大きいため(再設定モードで)駆動増幅器220が列導体205の電圧をVREFにするまで長時間を必要とすることである。
【0037】
図3は第1画素(例えば、図2aないし図2cの奇数番目画素)からの電流と第2画素(例えば、図2aないし図2cの偶数番目画素)からの電流との差を感知するための二つの入力を有する差動感知回路(differential sensing circuit,400)を図示する(ここで各電流は該当基準電流に対する相対値、すなわち、本来電流から該当基準電流を差し引いたものである。)。差動感知回路400は、二段構造(two-stage architecture)を有するが、低域電流フィルタ(low-pass current filter,405)(または「差動低域フィルタ(differential low-pass filter)」)(例えば、図示されている第1積分器)が第1段、積分器410(または「差動積分器(differential integrator)」)(例えば、図示されている第2積分器)が第2段である。積分器410は二つのミラーリングキャパシタ(mirroring capacitor,425)を介して低域電流フィルタ405と接続され得る。低域電流フィルタ405および積分器410それぞれは、各フィードバック経路(feedback path)内にキャパシタ(またはフィードバックキャパシタ)がある全差動演算増幅器(fully differential operational amplifier)を含み得る。上述したように、回路を用いて隣接する二つの画素(例えば、(3個の画素、赤画素、緑画素および青画素を含む複合画素の)赤画素と緑画素または緑画素と青画素)に対する差動感知を行う。広帯域共通モードフィードバック増幅器(wideband common mode feedback amplifier,415)は、(10MHzから100MHzまでの開放ループ帯域(open loop bandwidth)を有し得)低域電流フィルタ405の周りをフィードバックする。
【0038】
説明の便宜上、図3の回路は、列導体205をモデリングするために使うそれぞれの抵抗-キャパシタのネットワークを通じて駆動増幅器220および差動感知回路400が両方とも同時に画素420に接続されることを示す。しかし、本発明の一実施形態によれば、列導体205が画素あたり一つのみあり、いつでも駆動増幅器220と差動感知回路400の一つが列導体205と接続される(図2aないし図2cで、マルチプレクサを用いて駆動増幅器220と差動感知回路400のいずれかを選択して列導体205に接続する。)。
【0039】
本発明の一実施形態によれば、低域電流フィルタ405および差動積分器410は全差動であってもよい。ここで、全差動回路は(シングルエンド(single-ended)または擬似差動(pseudo-differential)増幅器とは異なり)信号を固定された基準値と比較しない回路である。その代わり、全差動増幅器でそれぞれの差動利得段階は、例えば処理する二つの信号を直接互いに比較する。
【0040】
広帯域共通モードフィードバック増幅器415は、低域電流フィルタ405出力端の共通モード出力信号を計算し(例えば、抵抗ネットワークを用いて二つの出力導体での電圧平均を計算して)、低域電流フィルタ405の共通モード入力に戻す。共通モード入力は、例えば(i)低域電流フィルタ405内にある差動対の二つのソース(source)に接続された電流源(または「テイル電流源(tail current source)」)のゲート、または(ii)低域電流フィルタ405内にある差動対の負荷ネットワークにある二つの対応するトランジスタに接続されたノードであってもよい。
【0041】
図3に図示した回路の出力には感知する電流((i)奇数番目画素の駆動トランジスタ110が駆動する電流と(ii)基準電流との差)の寄与分だけでなく各種ノイズ源の寄与分も含まれ得る。例えば、奇数番目画素に接続された列導体205と接続された(オフである)他のすべての画素のリーク電流は奇数番目画素の駆動トランジスタ110が駆動する電流より非常に大きくてもよい。これと類似するリーク電流が偶数番目画素に接続された列導体205に流れる場合には、リーク電流寄与分を少なくとも一部分除去することができる。列導体205の接地容量(C)に生じた小さい不整合によって、概略次のような大きい差動電流(Idiff)もたらし得る。
diff~ILeakagexΔC/C
ここで、ILeakageはリーク電流である。
【0042】
この差動電流は感知する電流と区分することはできず、両方ともDC信号である。また、列導体205の接地容量(C)に不整合がある場合、接地雑音が差動電流に変わり得る。広帯域共通モードフィードバック増幅器415は、このような影響を減らすことができるが、広帯域共通モードフィードバック増幅器415の利得が高い周波数でも差動電流エラーは概略次の通りである。
diff~VxΔC/C
ここで、Vは接地電圧である。
【0043】
接地雑音の低周波成分も感知する電流と区分することができない。
【0044】
図4を参照すると、本発明の一実施形態では、相関二重サンプリング(correlated double sampling)を用いてこのような雑音寄与分および可能な他の低周波雑音寄与分を抑制する。本発明の一実施形態によれば,この方法は、第1段階(phase)と第2段階を含む。第1段階では信号(すなわち、感知する電流)をオフにして雑音を累積(例えば、積分)し、第2段階では信号をオンにして信号と雑音の組み合わせを累積(例えば、積分)した後,この二つの累積値を差し引くことができる。画素電流を感知する場合には、第1段階で画素がオフのとき入力電流を積分し(すなわち、雑音を積分して)、第2段階で画素がオンのとき入力を積分することができる。
【0045】
この目的として一部は、図4の実施形態は図3に図示した回路に示されていない多数のスイッチを含む。差動低域フィルタ405のフィードバックキャパシタそれぞれは、両端に接続された再設定スイッチ(T1,例えば、トランジスタスイッチ)を有し、差動積分器410は、フィードバックキャパシタそれぞれは両端に接続された再設定スイッチ(T,これもトランジスタスイッチであり得る)を含み、該当スイッチを閉じることによって(例えば、該当トランジスタをオンにすることによって)差動低域フィルタ405および差動積分器410を再設定することができる。極性反転スイッチ(polarity-reversing switch,T)は、ミラーリングキャパシタ425を差動積分器410の入力に接続する。極性反転スイッチTは、例えば、オンのとき(i)ミラーリングキャパシタ425の上側を差動積分器410の上部入力に、(ii)ミラーリングキャパシタ425の下側を差動積分器410の下部入力に接続する第1スイッチ対を含む。極性反転スイッチTは、例えば、オフのとき(i)ミラーリングキャパシタ425の上側を差動積分器410の下部入力に、(ii)ミラーリングキャパシタ425の下側を差動積分器410の上部入力に接続する第2スイッチ対をさらに含み得る。このように、第1スイッチ対がオンとなり第2スイッチ対がオフのときの差動低域フィルタ405と差動積分器410との接続極性が、第1スイッチ対がオフとなり第2スイッチ対がオンのときの差動低域フィルタ405と差動積分器410との接続極性とは反対である。
【0046】
動作において、差動低域フィルタ405および差動積分器410を再設定した後、再設定を解除する。差動積分器410は、第1時間区間(または「第1積分区間(first integration interval)」)の間、(例えば、奇数番目画素の下部パス-ゲートトランジスタ130がオフとなり、)オフとなっている奇数番目画素に対する差動電流を積分することができる。次に、奇数番目画素がオンになり(すなわち、下部パス-ゲートトランジスタ130がオンになり、駆動トランジスタ110が駆動する電流が列導体205を介して流れて)、極性反転スイッチTの極性が変わり、差動積分器410は第1時間区間と同じ長さの第2時間区間(または「第2積分区間」)の間、差動電流を積分することができる。第2時間区間の終了時点において差動積分器410の出力は奇数番目画素がオンであるとき駆動トランジスタ110が駆動する電流に比例すると予測することができ、第1および第2時間区間の間に一定の雑音電流が、第2時間区間の終了時点では差動積分器410の出力で大きく抑制されると予測することができるが、これは雑音電流を第1時間区間の間は第1符号で積分して第2時間区間の間はその反対に符号で積分するからである。極性反転スイッチTは、差動低域フィルタ405の入力の代わりに差動低域フィルタ405と差動積分器410との間に具現され、この場合、極性反転スイッチTが、容量が大きい列導体205と直接接続することを避けることができる。
【0047】
この動作モードにおける様々な要素がシステムの性能を低下させ得る。まず、差動低域フィルタ405は、システムの帯域と安定化時間を決定する。先立って説明したように、差動低域フィルタ405は動作を始めるときに再設定される。また、再設定状態でフィルタ応答が変化し得る。これは第2時間区間の間に積分された雑音が、第1時間区間の間に積分された雑音を相殺する範囲に影響を及ぼす。二番目の要素は、信号を送って画素電流(Ipixel)と基準電流(IREF)をオンにするとき、これらをオンにした影響が差動低域フィルタ405で互いに異なる時間に現れ得ることである。例えば、下部パス-ゲートトランジスタ130をオンにする信号は、画素に到達するときに遅延が発生し得(遅延は表示装置内での画素位置によって変わる)、画素からの電流が差動低域フィルタ405に到達するときも遅延が発生し得る(この遅延も表示装置内での画素位置によって変わる)。画素電流と基準電流のいずれか一つだけが差動低域フィルタ405に存在する時感知回路が積分すると、感知エラーが生じ得る。
【0048】
本発明の一実施形態によれば、(i)第1積分区間開始の前に待機モード(wait mode,または待機状態)を実行し、(ii)第2積分区間開始の前に維持モード(hold mode,または維持状態)を実行すると、このような要素を緩和させることができる。待機状態では、差動低域フィルタ405の出力が正常状態(steady state)に達する間、差動低域フィルタ405を再設定から解除して差動積分器410を再設定状態に維持する。待機状態の長さは、低域電流フィルタ405の基本時定数(fundamental time constant)(フィルタの支配極(dominant pole)の逆数(reciprocal)と定義する)より十分に大きくすることができる。維持状態の長さは(i)画素電流をオンにする信号と基準電流をオンにする信号との間のタイミング不整合および(ii)その列のRC時定数より十分に大きくすることができる。
【0049】
二つのミラーリングキャパシタ425と極性反転スイッチTとの間に接続された一対の結合スイッチ(coupling switches,T)を用いて待機モードを具現することができる。それぞれの結合スイッチTは(i)第1状態で、該当するミラーリングキャパシタ425を極性反転スイッチTの該当端子に接続し、(ii)第2状態で、該当するミラーリングキャパシタ425の端子を極性反転スイッチTの該当端子から分離して該当するミラーリングキャパシタ425の端子を供給ノード(supply node)に接続することができる。ここで「供給ノード(supply node)」は、電源端子(power supply terminal)、接地(ground)または電圧がほぼ一定に制御されるノードなどいかなる電圧基準でも構わない。第1積分区間の終了時と待機区間の開始時には、ミラーリングキャパシタ425を差動積分器410から分離するように結合スイッチTを設定し、極性反転スイッチTを切り替える。本発明の一実施形態によれば、結合スイッチTと極性反転スイッチTが物理的に結合されている。このような実施形態で、図4で結合スイッチTと極性反転スイッチTの機能を統合した一つの統合スイッチは3個の動作モードを有することができ、3個の動作モードは、(i)通常接続(normally connect)、(iii)逆方向接続(reverse connect)、(iii)両方の分離(disconnect both)である。
【0050】
結合スイッチTは、維持区間の間分離状態を維持するが、維持区間の長さを十分に長くして差動低域フィルタ405出力の瞬間変動(transient fluctuations)(例えば、画素電流と基準電流をオンにした影響が差動低域フィルタ405に現れる時の差に起因した変動)が収まる。上述したように、維持状態の長さは、(i)画素電流をオンにする信号と基準電流をオンにする信号との間のタイミング不整合、および(ii)列導体205のRC時定数より十分に大きくすることができる。例えば、維持区間を十分に長くすることによって画素のオンと基準生成器のオンとの間の不整合の一時的影響が、維持区間の終了時点に積分が再び始まる前に、収まるようにすることができる。このような一時的影響は、感知前端(sensing front end)に対して、イネーブル信号(enable signals)の到着不整合、および電流が一度イネーブルになった後(enabled)において電流の到着不整合による影響を含み得る。前者は表示装置上でのイネーブル信号伝播遅延と関連する。後者は列導体205の抵抗および容量と関係するが、これは、画素電流が列導体205の遠端(far end)に注入され(injected)、基準電流は列導体205の近端(near end)に注入される(injected)からである。維持区間の終了時点にミラーリングキャパシタ425が差動積分器410に再び接続されるように結合スイッチ(T)を設定し、第2積分区間を始める。第2積分区間の終了時点に差動積分器410の出力をサンプリングすることができる。このようなサンプリングされた出力値は画素電流(すなわち、奇数番目画素の駆動トランジスタ110が駆動する電流)の測定値になり、例えば、表示装置のトランジスタ間の差または時間に応じた特性変化を補償するために用いる補償係数を調整するのに用いてもよい。待機区間および維持区間それぞれは、1マイクロ秒より長くてもよく、例えば、5~30マイクロ秒でありうる。
【0051】
図5aは本発明の一実施形態による方法のフローチャートであり、図5bおよび図5cは図5aによるタイミング図であり、図5dは図5a、図5bおよび図5cのモードに対するスイッチ設定を示す表である。図5cは図5bのタイミング図を含み、システム内の制御信号(例えば、SCAN1_EN,SCAN2_EN)のタイミング図を示す。段階(505)において、奇数番目画素を感知期待電圧で駆動し、偶数番目画素をブラックに対応する電圧(すなわち、発光ダイオード120が発光しない電圧)で駆動する。この二つの駆動動作は、いずれも上部パス-ゲートトランジスタ125および下部パス-ゲートトランジスタ130をオンして各画素のキャパシタを該当電圧に充電することによって行われる。段階(510)で、偶数および奇数番目画素の両方をブラックに対応する電圧で駆動して列導体205を再設定する。この二番目の駆動段階(510)は、上部パス-ゲートトランジスタ125をオフにして各画素のキャパシタの電荷が影響を受けないようにすることによって行われ得る。
【0052】
段階(515)で、駆動増幅器220を列導体205と分離し、感知回路を列導体205と接続する。感知前端電圧と列導体205の電圧が同一になるまで差動低域フィルタ405および差動積分器410を再設定状態に維持する。段階(520)で、待機区間の間、差動低域フィルタ405を再設定状態から解除し、差動積分器410は再設定状態のままにすることによって、差動低域フィルタ405の出力に発生する雑音が安定化することを可能にする。段階(525)で、第1積分区間の間、差動積分器410を再設定状態から解除して雑音を積分する。段階(530)で、(上部パス-ゲートトランジスタ130をオンにすることによって)画素電流をイネーブル状態にし、基準電流をオンにし、極性反転スイッチTを反対極性に切り替え、結合スイッチTを開いて差動積分器410をミラーリングキャパシタ425と分離する。下部基準電流(IBlack)を選択して駆動トランジスタ110が駆動する電流を感知する時発光ダイオード120が十分に逆バイアスされるようにする。画素電流と基準電流が差動低域フィルタ405の入力で安定化するまでこのような状態を維持区間の間維持する。
【0053】
段階(535)で、結合スイッチTを閉じて差動積分器410をミラーリングキャパシタ425に再び接続し、第2積分区間の間、感知する電流(奇数番目画素の駆動トランジスタ110が駆動する電流と基準電流との差)を依然として残っている雑音電流とともに積分する。第2積分区間の間雑音電流の極性が反転し、そのため第1積分区間の間雑音の結果として蓄積された電荷が第2積分区間の間雑音電流が積分されて差動積分器410のキャパシタから除去される。段階(540)で、差動積分器410の出力を奇数番目画素の駆動トランジスタ110が駆動する電流の測定値としてサンプリングする。
【0054】
奇数番目画素の駆動トランジスタ110が駆動する電流の測定を行う前に、そして測定を完了する前に、画素を用いて例えば図5bの500および550に図示したように画像または映像を表示することができる。測定完了後に表示のために適した電圧で画素をプログラムする駆動段階は図5bの545に示す。図5dの表は上述したように図5aおよび図5bのモードに対するスイッチ設定を示す。注1(すなわち、上付き1)で示すセルに対して、これらのモードで差動積分器410が再設定状態であるため(T閉鎖)、表示されたスイッチ状態は互いに異なるが、回路は適正に動作できることに留意しなければならない。注2(すなわち、上付き2)で示すセルに対して、これらのモードで差動積分器410が差動低域フィルタ405と分離した状態であるため(T開放)、表示されたスイッチ状態は互いに異なるが、回路は適正に動作できることを知っておかなければならない。
【0055】
本発明の一実施形態によれば、第1積分区間と第2積分区間の役割が逆になり、すなわち、第1積分区間の間感知する電流を(雑音と共に)積分して第2積分区間の間(反対極性の)雑音を積分することができる。この場合、画素電流および基準電流が両方再設定モード後に待機モードの間オンになり、両方とも維持区間の開始時にオフになる。ここで説明した偶数番目画素を基準として使って奇数番目画素の駆動電流を感知する方法は表示装置のいかなるの画素に対しても他の画素を基準として適用することができる。例えば、ここで言及した奇数番目画素を基準として偶数番目画素の駆動電流を測定することができる。本発明の一実施形態によれば、差動低域フィルタ405または差動積分器410は全差動回路である代わりに(例えば図6に図示されている)擬似-差動(pseudo-differential)回路でありうる。
【0056】
ここで、回路の「入力(input)」は、一つ以上の導体を含んで追加の入力を含み得る。例えば、差動入力は非反転入力(noninverting input)と定義された第1導体と反転入力(inverting input)と定義された第2導体を含み得る。これと同様に、回路の「出力(output)」は、一つ以上の導体を含んで追加の出力を含み得る。例えば、差動入力は、非反転出力(noninverting output)と定義された第1導体と反転出力(inverting output)と定義された第2導体を含み得る。ここで、「スイッチ(switch)」は、複数のスイッチを含み得る。例えば、SPDT(single-pole double-throw)は、動作時に常に一つが開かれて他の一つは閉じられるように制御される2個のSPST(single-pole,single-throw,例えば、各SPSTスイッチはトランジスタである)として具現することができる。これと同様に、極性反転スイッチは、上述したように4個のSPSTスイッチ(例えば、4個のトランジスタ)で作られることができる。ここで、第1成分が第2成分に「選択的に接続(selectively connected)」されることは、第1成分がスイッチ(例えば、トランジスタスイッチ)を介して接続され、スイッチの状態に応じて第1成分が第2成分と接続または分離できることを意味する。
【0057】
本発明の一実施形態によれば、数値またはデータ処理動作(例えば、図2で第1デジタル-アナログ変換器など回路と多様な制御信号を制御すること)は処理回路によって行われ得る。「処理回路」は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェアまたはこれらの組み合わせを用いて具現することができる。処理回路は、例えば、特定用途集積回路(ASIC)、汎用または専用中央処理装置(CPU)、デジタル信号処理器(DSP)、グラフィックス処理装置(GPU)、FPGAなどのプログラム可能な論理装置を含み得る。処理回路におけるそれぞれの関数は、その機能を遂行する有線ハードウェアまたは非一時的(non-transitory)記憶媒体に保存された命令を行うCPUなどの汎用ハードウェアで行われ得る。処理回路は一つのプリント回路基板(PCB)に製作されたり互いに接続されたPCBに分散配置されたりし得る。処理回路は他の処理回路を含み得るが、例えばPCB上で互い接続されたFPGAとCPUを含み得る。
【0058】
「第1」、「第2」、「第3」などの用語を様々な元素、成分、領域、層、部分などに使うが、これらはこのような修飾語によって限定されない。このような用語はある元素、成分、領域、層、部分を他の元素、成分、領域、層、部分と区別するために使うものであり、本発明の趣旨と範囲を逸脱しない。
【0059】
説明の便宜上、図面に示すある部分または特性に対する他の部分または特性の関係を示すために「下」、「の下」、「上」など空間に関する用語を使用し得る。このような空間に関する用語は、図面に図示した使用または動作する装置の互いに異なる位置および/または方向を示すためである。例えば、図面である部分の「下」または「の下」にある場合を図示した部分は装置を反転させると逆に「上」にあることになる。したがって、例えば「下」および「の下」は上と下をすべて示すことができる。装置が、例えば90度回転したり他の方向に向いたりすることもでき、この場合、空間に関する用語はこれに合わせて解釈しなければならない。また、ある層が他の二層の「間」にあるという時、二層の間の有一の層であり得るが、または一つ以上の他の層がさらに存在し得る。
【0060】
ここで使われた用語は、特定実施形態を説明する目的で使うだけであり、本発明を制限しようとするものではない。ここで「実質的に」、「約」、「概して」およびこれと類似の表現は近似を表す表現であり、「程度」を表すものではなく、当業者が分かる測定値または計算値の固有誤差を示すことに使う。ここで複数のアイテムに対して使う「主要部分(major portion)」という用語はアイテムの半分以上を意味する。
【0061】
ここで数を特に言及しなければ単数または複数の場合をすべて含む。ある特徴、段階、動作、部分、成分などを「含む」という表現は、該当部分の以外に他の特徴、段階、動作、部分、成分なども含み得ることを意味する。「および/または」という表現は、羅列されたものなどの一つまたは二つ以上のすべての組み合わせを含む。羅列目録の前に記載した「少なくとも一つ」などの表現は、目録全体を修飾するものであって目録内のそれぞれのことを修飾するものではない。また、本発明の実施形態を説明するために使う「できる」という表現は「本発明の一つ以上の実施形態」に適用可能であることを意味する。「例示的」という用語は、例または図面を示す。「使用」、「利用」などはこれと類似の他の表現と共に類似する意味で使われる。
【0062】
部分、層、領域、成分などが他の部分、層、領域、成分の「上に」あるかまたは「接続されて」いると記載する場合、「すぐ」上にあるか、または「直接」接続されている場合だけでなく、中間に他の部分、層、領域、成分などがさらに介在する場合も含む。しかし、「すぐ上に」あるか、または「直接接続」されていると記載すると、中間に他の部分が介在しないことを意味する。
【0063】
ここに記載した数値範囲は、該当範囲内に含まれる同じ正確度のすべての部分範囲(sub-range)を含む。例えば、「1.0~10.0」の範囲は、最小値1.0と最大値10.0およびその間にあるすべての部分範囲、すなわち、1.0以上の最小値と10.0以下の最大値を有する部分範囲、例えば2.4~7.6を含む。ここで言及した最大値は、その中に含まれ、それより小さいすべての数値限界を含み、本明細書に記載した最小値はその中に含まれ、それより大きいすべての数値限界を含む。
【0064】
以上、相関二重サンプリング画素感知前端の実施形態について説明および図示したが、当業者であれば、このような実施形態を変更および修正することができる。したがって、ここで提示した原理により構成された他の相関二重サンプリング画素感知前端も本発明に含まれる。本発明は次の請求範囲およびその等価物によって定義される。
【符号の説明】
【0065】
110:駆動トランジスタ
115:キャパシタ
120:発光ダイオード
125,130:パス-ゲートトランジスタ
140:ソースノード
145:画素駆動および感知回路
205:列導体
220:駆動増幅器
400:差動感知回路
405:低域電流フィルタ/差動低域フィルタ
410:積分器
415:広帯域共通モードフィードバック増幅器
420:画素
425:ミラーリングキャパシタ
図1
図2a
図2b
図2c
図3
図4
図5a
図5b
図5c
図5d
図6