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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-18
(45)【発行日】2024-07-26
(54)【発明の名称】原稿送り装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/028 20060101AFI20240719BHJP
   H04N 1/191 20060101ALI20240719BHJP
   G03B 27/54 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
H04N1/028 Z
H04N1/191
G03B27/54 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020138256
(22)【出願日】2020-08-18
(65)【公開番号】P2022034462
(43)【公開日】2022-03-03
【審査請求日】2023-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】青木 礼至
(72)【発明者】
【氏名】山中 久志
(72)【発明者】
【氏名】福留 正一
(72)【発明者】
【氏名】芳本 光晴
【審査官】橘 高志
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-009105(JP,A)
【文献】特開2009-217001(JP,A)
【文献】特開2008-078877(JP,A)
【文献】特開2009-271541(JP,A)
【文献】特開平10-257246(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/028
H04N 1/191
G03B 27/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を搬送する搬送路と、前記搬送路に沿って配置され、搬送される原稿を読み取る画像読取ユニットを備える原稿送り装置であって、
前記画像読取ユニットは、筐体内部に、光源、複数の反射ミラー、レンズ、および光電変換素子を備え、前記原稿の原稿読取位置において反射された反射光を前記複数の反射ミラーにより反射させて前記光電変換素子に入射させて画像を読み取り、
前記複数の反射ミラーのうち、前記原稿反射光を最初に反射する反射ミラーを第1ミラーとする場合、
前記第1ミラーは、前記原稿読取位置と前記第1ミラーとを結ぶ光路の光軸方向において、他の反射ミラーよりも前記原稿読取位置から離れた位置に配置されており、
前記原稿反射光は、前記第1ミラー、第2ミラーおよび第3ミラーの3つの反射ミラーによって順次反射される光路に沿って進み、前記レンズを通って前記光電変換素子に入射されるものであり、前記レンズおよび前記光電変換素子は、前記第3ミラーによって反射された前記原稿反射光の光路上に設けられ、
前記原稿読取位置と前記第1ミラーとを結ぶ光路の光軸方向において、前記第1ミラー、前記第3ミラーおよび前記第2ミラーの順に前記原稿読取位置から離れた位置に配置されており、
前記第2ミラーは、前記レンズより前記搬送路側であって、前記原稿読取位置と前記第1ミラーとを結ぶ光路に対して前記レンズが配置されている側における前記レンズの長手方向の範囲内に設けられていることを特徴とする原稿送り装置。
【請求項2】
原稿を搬送する搬送路と、前記搬送路沿いに配置され、搬送される原稿を読み取る画像読取ユニットを備える原稿送り装置であって、
前記画像読取ユニットは、筐体内部に、光源、複数の反射ミラー、レンズ、および光電変換素子を備え、前記原稿の原稿読取位置において反射された反射光を前記複数の反射ミラーにより反射させて前記光電変換素子に入射させて画像を読み取り、
前記複数の反射ミラーのうち、前記原稿反射光を最初に反射する反射ミラーを第1ミラーとする場合、
前記第1ミラーは、前記原稿反射光を最後に反射する反射ミラーと前記光電変換素子とを結ぶ光路に対して、前記原稿読取位置の反対側に配置されており、
前記原稿反射光は、前記第1ミラー、第2ミラーおよび第3ミラーの3つの反射ミラーによって順次反射される光路に沿って進み、前記レンズを通って前記光電変換素子に入射されるものであり、前記レンズおよび前記光電変換素子は、前記第3ミラーによって反射された前記原稿反射光の光路上に設けられ、
前記原稿読取位置と前記第1ミラーとを結ぶ光路の光軸方向において、前記第1ミラー、前記第3ミラーおよび前記第2ミラーの順に前記原稿読取位置から離れた位置に配置されており、
前記第2ミラーは、前記レンズより前記搬送路側であって、前記原稿読取位置と前記第1ミラーとを結ぶ光路に対して前記レンズが配置されている側における前記レンズの長手方向の範囲内に設けられていることを特徴とする原稿送り装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の原稿送り装置であって、
前記原稿反射光は、前記第1ミラー、第2ミラーおよび第3ミラーの3つの反射ミラーによって順次反射される光路に沿って進み、前記レンズを通って前記光電変換素子に入射されるものであり、
前記原稿読取位置と前記第1ミラーとを結ぶ光路は、前記第2ミラーと前記第3ミラーとを結ぶ光路および前記第3ミラーと前記光電変換素子とを結ぶ光路に交差し、かつ、前記第1ミラーと前記第2ミラーとを結ぶ光路は、前記第3ミラーと前記光電変換素子とを結ぶ光路に交差することを特徴とする原稿送り装置。
【請求項4】
請求項1から3の何れか1項に記載の原稿送り装置であって、
前記第1ミラーは、前記筐体の内壁面に設けた突起に接触して配置されていることを特徴とする原稿送り装置。
【請求項5】
請求項1から4の何れか1項に記載の原稿送り装置であって、
前記第1ミラーは、原稿読取位置と前記第1ミラーとを結ぶ光路の光軸方向において、前記レンズよりも前記原稿読取位置から離れた位置に配置されていることを特徴とする原稿送り装置。
【請求項6】
請求項1からの何れか1項に記載の原稿送り装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿の裏面を読み取る裏面読取部を備えた原稿送り装置、および原稿送り装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複合機などの画像形成装置においては、原稿読取装置が設けられている。また、原稿読取装置は、通常、原稿送り装置と共に用いられる。原稿送り装置は、原稿トレイに載置された原稿束からピックアップローラおよび給紙ローラによって原稿を1枚ずつ分離・給送し、画像読取位置を経由させて排出トレイへ排出するように搬送する。画像形成装置における原稿読取装置は、原稿送り装置によって搬送される原稿の表面を読み取るものである。一方、原稿送り装置には、搬送される原稿の裏面を読み取る裏面読取部を備えるものがある(特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-58860号公報
【文献】特開2006-253914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
裏面読取部は、小型化した画像読取ユニットとして原稿送り装置に備えられるものであり、画像読取手段であるCCD(光電変換素子)と原稿読取位置(原稿接触ガラスにおける原稿接触面)との間に、レンズと複数の反射ミラーとからなる縮小光学系を有している。複数の反射ミラーは、限られた大きさの裏面読取部の中で十分な光路長を得るために設けられている。すなわち、裏面読取部は、光源から原稿読取位置に向けて光を照射すると共に、原稿読取位置からの反射光を複数の反射ミラーで反射し、さらにレンズを介してCCDへ入射させて読み取る構成となっている。
【0005】
このような裏面読取部では、反射ミラーの反射面に埃が付着した場合、読取画像に副走査方向の埃筋が生じる場合があった。これは、従来の裏面読取部では、第1ミラー(原稿読取位置からの反射光を最初に反射する反射ミラー)が原稿読取位置に近接して配置されているためである。この場合、第1ミラーの反射面がレンズのピント位置(原稿読取位置)に近くなり、第1ミラーの反射面に埃が付くと、読取画像に埃の影響が出やすくなる。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、裏面読取部を備え、裏面読取部の反射ミラーに付着した埃の影響を低減することのできる原稿送り装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の第1の態様である原稿送り装置は、原稿を搬送する搬送路と、前記搬送路に沿って配置され、搬送される原稿を読み取る画像読取ユニットを備える原稿送り装置であって、前記画像読取ユニットは、筐体内部に、光源、複数の反射ミラー、レンズ、および光電変換素子を備え、前記原稿の原稿読取位置において反射された反射光を前記複数の反射ミラーにより反射させて前記光電変換素子に入射させて画像を読み取り、前記複数の反射ミラーのうち、前記原稿反射光を最初に反射する反射ミラーを第1ミラーとする場合、前記第1ミラーは、前記原稿読取位置と前記第1ミラーとを結ぶ光路の光軸方向において、他の反射ミラーよりも前記原稿読取位置から離れた位置に配置されていることを特徴としている。
【0008】
上記の構成によれば、原稿読取位置と第1ミラーとを結ぶ光路の光軸方向において、第1ミラーを他の反射ミラーよりも原稿読取位置から離れた位置に配置することにより、限られた大きさの筐体内で、第1ミラーを原稿読取位置からできる限り離した配置とすることができる。その結果、第1ミラーに付着した埃の影響を低減し、読取画像における埃筋の発生を抑制できる。
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の第2の態様である原稿送り装置は、原稿を搬送する搬送路と、前記搬送路沿いに配置され、搬送される原稿を読み取る画像読取ユニットを備える原稿送り装置であって、前記画像読取ユニットは、筐体内部に、光源、複数の反射ミラー、レンズ、および光電変換素子を備え、前記原稿の原稿読取位置において反射された反射光を前記複数の反射ミラーにより反射させて前記光電変換素子に入射させて画像を読み取り、前記複数の反射ミラーのうち、前記原稿反射光を最初に反射する反射ミラーを第1ミラーとする場合、前記第1ミラーは、前記原稿反射光を最後に反射する反射ミラーと前記光電変換素子とを結ぶ光路に対して、前記原稿読取位置の反対側に配置されていることを特徴としている。
【0010】
上記の構成によれば、第1ミラーを、原稿反射光を最後に反射する反射ミラーと光電変換素子とを結ぶ光路に対して、原稿読取位置の反対側に配置することにより、限られた大きさの筐体内で、第1ミラーを原稿読取位置からできる限り離した配置とすることができる。その結果、第1ミラーに付着した埃の影響を低減し、読取画像における埃筋の発生を抑制できる。
【0011】
また、上記原稿送り装置では、前記原稿反射光は、前記第1ミラー、第2ミラーおよび第3ミラーの3つの反射ミラーによって順次反射される光路に沿って進み、前記レンズを通って前記光電変換素子に入射されるものであり、前記原稿読取位置と前記第1ミラーとを結ぶ光路は、前記第2ミラーと前記第3ミラーとを結ぶ光路および前記第3ミラーと前記光電変換素子とを結ぶ光路に交差し、かつ、前記第1ミラーと前記第2ミラーとを結ぶ光路は、前記第3ミラーと前記光電変換素子とを結ぶ光路に交差する構成とすることができる。
【0012】
上記の構成によれば、複数の光路が互いに交差しあうように第1~第3ミラーを配置することで、限られた大きさの筐体内で効率的に光路長を確保することができる。
【0013】
また、上記原稿送り装置では、前記第1ミラーは、前記筐体の内壁面に設けた突起に接触して配置されている構成とすることができる。
【0014】
上記の構成によれば、原稿読取位置と第1ミラーとの距離を、筐体内で最大限に得ることができる。また、この構成により第1ミラーの表面に埃が付きにくくすることができる。
【0015】
また、上記原稿送り装置では、前記第1ミラーは、原稿読取位置と前記第1ミラーとを結ぶ光路の光軸方向において、前記レンズよりも前記原稿読取位置から離れた位置に配置されている構成とすることができる。
【0016】
また、上記原稿送り装置では、前記原稿反射光は、前記第1ミラー、第2ミラーおよび第3ミラーの3つの反射ミラーによって順次反射される光路に沿って進み、前記レンズを通って前記光電変換素子に入射されるものであり、前記原稿読取位置と前記第1ミラーとを結ぶ光路の光軸方向において、前記第1ミラー、前記第3ミラーおよび前記第2ミラーの順に前記原稿読取位置から離れた位置に配置されている構成とすることができる。
【0017】
また、上記原稿送り装置では、前記原稿反射光は、前記第1ミラー、第2ミラーおよび第3ミラーの3つの反射ミラーによって順次反射される光路に沿って進み、前記レンズを通って前記光電変換素子に入射されるものであり、前記第2ミラーは、前記レンズの下部であって、前記レンズの長手方向の範囲内に設けられている構成とすることができる。
【0018】
また、上記原稿送り装置では、前記原稿反射光は、前記第1ミラー、第2ミラーおよび第3ミラーの3つの反射ミラーによって順次反射される光路に沿って進み、前記レンズを通って前記光電変換素子に入射されるものであり、
前記原稿読取位置と前記第1ミラーとを結ぶ光路の光軸方向において、前記第1ミラー、前記第2ミラーおよび前記第3ミラーの順に前記原稿読取位置から離れた位置に配置されている構成とすることができる。
【0019】
また、上記原稿送り装置では、前記原稿反射光は、前記第1ミラー、第2ミラーおよび第3ミラーの3つの反射ミラーによって順次反射される光路に沿って進み、前記レンズを通って前記光電変換素子に入射されるものであり、前記第2ミラーは、前記レンズの上部であって、前記レンズの長手方向の範囲内に設けられている構成とすることができる。
【0020】
さらに、上記の課題を解決するために、本発明の第3の態様である画像形成装置は、上記記載の原稿送り装置を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0021】
本発明の原稿送り装置および画像形成装置は、限られた大きさの筐体内で第1ミラーを原稿読取位置からできる限り離した配置とすることができ、第1ミラーに付着した埃の影響を低減して、読取画像における埃筋の発生を抑制できるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明が適用される画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
図2】本発明の一実施形態を示すものであり、原稿送り装置に備えられる画像読取ユニットの断面図である。
図3】裏面読取部の内部における主要部品に関し、裏面読取部の上面側から見た配置を示す図である。
図4】画像読取ユニットの変形例を示す断面図である。
図5】実施の形態2に係る画像読取ユニットにおいて、主要部品の配置レイアウトを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
〔実施の形態1〕
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明が適用される画像形成装置10の一例を示す概略構成図である。尚、図1に示す画像形成装置10は、複数のプロセスユニットを有するカラー画像形成装置であるが、本発明はこれに限定されるものではなく、単一のプロセスユニットを有するモノクロ画像形成装置に適用することもできる。
【0024】
画像形成装置10は、図1に示すように、本体部11、原稿読取部12、原稿送り装置20および給紙装置13を具備して構成されている。本体部11は、記録用紙に画像を印字するための画像形成部を内部に有している。原稿読取部12は、本体部11の上方に配置され、原稿のコピーを行う際に原稿の読取を行う。原稿送り装置20は、自動読み取りモードにおいて、原稿セットトレイ上に載置された原稿を原稿読取部12の原稿載置台上に向かって順次搬送する。また、原稿送り装置20は、搬送される原稿の裏面を読み取る裏面読取部として使用可能な画像読取ユニット30を内部に有している。すなわち、原稿送り装置20によって搬送される原稿は、原稿読取部12によって原稿の表面(第1面)が読み取られるが、このときに同時に、画像読取ユニット30によって原稿の裏面(第2面)を読み取ることができる。給紙装置13は、記録用紙をストックし、画像形成時に記録用紙を本体部11へ給送する。
【0025】
画像形成装置10において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に応じたもの、又は単色(例えばブラック)を用いたモノクロ画像に応じたものである。このため、画像形成装置10は、ブラック、シアン、マゼンタ、およびイエローに対応付けられた4つのプロセスユニットPa~Pdを有している。各プロセスユニットPa~Pdは、電子写真技術を用いて画像データに応じたトナー像を形成する。
【0026】
各プロセスユニットPa~Pdで形成された各トナー像は、中間転写ベルト14に順次転写して重ねられる。これにより、中間転写ベルト14上にカラーのトナー像が形成される。中間転写ベルト14上のカラーのトナー像は記録用紙上に転写され、定着装置15にて記録用紙を加熱および加圧し、記録用紙上のカラーのトナー像を定着させる。
【0027】
以下に、本実施の形態に係る原稿送り装置20の特徴的構成について説明する。上述したように、原稿送り装置20は画像読取ユニット30を備えている。図2は、原稿送り装置20に備えられる画像読取ユニット30の断面図である。尚、本実施の形態においては、原稿送り装置20において搬送される原稿の幅方向(原稿送り装置20の前後方向)をX方向、原稿送り装置20の左右方向をY方向、原稿送り装置20の高さ方向をZ方向とし、これらの方向をそれぞれの図面に図示している。
【0028】
画像読取ユニット30は、図2に示すように、原稿送り装置20内の所定の搬送路に対して、その上方側に配置されている。尚、画像読取ユニット30が配置される搬送路は、好適には、原稿読取部12における原稿読取位置と原稿排紙トレイとの間の搬送路である。この搬送路においては、原稿は表面(第1面)を下に向けて搬送される。したがって、搬送路の上方側に配置される画像読取ユニット30は、原稿の裏面(第2面)に対して読み取りを行うことができる。
【0029】
画像読取ユニット30は、筐体31に対して、原稿の読み取りを行うための主要部品を配置したユニットとして構成されている。画像読取ユニット30における主要部品には、原稿接触ガラス32、LED(光源)33(図3参照)、第1~第3ミラー34~36、レンズ37およびCCD(光電変換素子)38、および導光部材39が含まれる。LED33、第1~第3ミラー34~36、レンズ37、CCD38および導光部材39は、筐体31の内部に配置される。
【0030】
原稿接触ガラス32は、筐体31に設けられた原稿読取用の開口部分を覆うように、筐体31に対して取り付けられ、搬送路に対向して配置される。搬送路を搬送される原稿は、原稿接触ガラス32の表面に接触させながら搬送されることで、読取画像のピントが合わせられるようになっている。すなわち、搬送路を搬送される原稿において、原稿接触ガラス32の表面と接触する箇所が原稿読取位置P1となる。
【0031】
LED33は、原稿接触ガラス32を介して原稿読取位置P1に光を照射するものである。原稿読取位置P1では、原稿幅方向の全体に光を照射する必要があるため、LED33は、導光部材39と組み合わせて使用される。本実施の形態では、導光部材39は、原稿幅方向を長手方向とする棒状の部材とされており、LED33は導光部材39に対して長手方向の両端から光を入射する。また、本実施の形態では、導光部材39は2本備えられており、これに対応してLED33は4個(1本の導光部材39につき、2個のLED33)備えられている。
【0032】
原稿の原稿読取位置P1において反射され、最終的にCCD38に入射される光(原稿反射光)は、第1ミラー34、第2ミラー35および第3ミラー36によって順次反射される光路に沿って進み、さらにレンズ37を通ってCCD38に入射される。すなわち、画像読取ユニット30では、第1~第3ミラー34~36の反射によって、限られた大きさの筐体31内で必要な光路長を確保している。
【0033】
図3は、画像読取ユニット30の内部における主要部品(LED33、第1~第3ミラー34~36、レンズ37、CCD38および導光部材39)に関し、画像読取ユニット30の上面側から見た配置を示す図である。図3に示すように、第1~第3ミラー34~36は、光路に沿って原稿読取位置P1から近い順に、原稿幅方向の長さが大きくされている。すなわち、第1ミラー34が原稿幅方向の長さが最も大きく、第2ミラー35がその次に長く、第3ミラー36が最も短くなっている。尚、導光部材39の原稿幅方向の長さは、第1ミラー34と同じか幾分長くされていることが好ましい。また、LED33はLED基板33aに取り付けられており、CCD38はCCD基板38aに取り付けられている。
【0034】
本実施の形態に係る画像読取ユニット30は、第1~第3ミラー34~36の配置を工夫することで、第1ミラー34に付着した埃の影響を低減しようとするものである。すなわち、第1ミラー34は、原稿読取位置P1からの反射光を最初に反射する反射ミラーであるため、第2ミラー35および第3ミラー36に比べてレンズ37のピント位置(原稿読取位置P1)に近くなり、第1ミラー34の反射面に埃が付くと、読取画像に埃の影響が出やすくなる。このため、画像読取ユニット30では、第1ミラー34に付着した埃の影響を低減することが重要である。
【0035】
画像読取ユニット30では、第1ミラー34を従来よりも原稿読取位置P1から離した配置とされている。このような配置により、第1ミラー34の反射面においてピントが合いにくくなり、第1ミラー34に付着した埃の影響を低減することができる。すなわち、画像読取ユニット30の読取画像において埃の影響が出にくくなる。
【0036】
第1ミラー34の具体的な配置方法については、例えば、以下のような考え方が挙げられる。
【0037】
第1の考え方は、原稿読取位置P1と第1ミラー34とを結ぶ光路の光軸方向において、第1ミラー34を、他の反射ミラー(第2ミラー35および第3ミラー36)よりも原稿読取位置P1から離れた位置に配置するという方法である。
【0038】
第2の考え方は、第1ミラー34を、第3ミラー36(すなわち、CCD38に入射される原稿反射光を最後に反射する反射ミラー)とCCD38とを結ぶ光路に対して、原稿読取位置P1の反対側に配置するという方法である。
【0039】
これらの考え方に沿って第1ミラー34を配置することにより、限られた大きさの筐体31内で、第1ミラー34を原稿読取位置P1からできる限り離した配置とすることができる。その結果、第1ミラー34に付着した埃の影響を低減し、読取画像における埃筋の発生を抑制できる。また、第1および第2の何れの考え方においても、第1ミラー34は、原稿読取位置P1と第1ミラー34とを結ぶ光路の光軸方向において、レンズ37よりも原稿読取位置P1から離れた位置に配置されていることが好ましい。
【0040】
また、本実施の形態1に係る画像読取ユニット30では、図2に示すように、第2ミラー35が、レンズ37の下部であって、レンズ37の長手方向の範囲内に設けられている。この場合、原稿読取位置P1と第1ミラー34とを結ぶ光路の光軸方向において、第1ミラー34、第3ミラー36および第2ミラー35の順に原稿読取位置P1から離れた位置に配置されている。
【0041】
また、原稿読取位置P1と第1ミラー34とを結ぶ光路は、第2ミラー35と第3ミラー36とを結ぶ光路、および第3ミラー36とCCD38とを結ぶ光路に交差し、かつ、第1ミラー34と第2ミラー35とを結ぶ光路は、第3ミラー36とCCD38とを結ぶ光路に交差することが好ましい。このように、複数の光路が互いに交差しあうように、第1~第3ミラー34~36を配置することで、限られた大きさの筐体31内で効率的に光路長を確保することができる。
【0042】
図2において、第1~第3ミラー34~36は、筐体31の内部に形成されている突起311に各ミラーの反射面を押し当て、各ミラーの両端部の背面(反射面と反対側の面)を図示しない板バネで内壁面側から内部に向けて押圧することで取り付けられている。この場合、第1~第3ミラー34~36は、筐体31の内壁面に接触しない配置となる。尚、筐体31の内壁面とは、筐体31の最も外側の壁板における内壁面を指す。
【0043】
但し、第1ミラー34は、筐体31の内壁面に接触して配置されていてもよい。このとき、第1ミラー34は、図4に示すように、筐体31の内壁面に形成される突起312に第1ミラー34の背面を押し当て、第1ミラー34の両端部の反射面を図示しない板バネで内部から内壁面側に向けて押圧することで取り付けられる。このように、第1ミラー34を筐体31の内壁面に接触して配置することで、原稿読取位置P1と第1ミラー34との距離を、筐体31内で最大限に得ることができる。
【0044】
また、画像読取ユニット30は、原稿送り装置20において搬送路の上方側に配置され、搬送される原稿の上面を読み取る。すなわち、原稿読取位置P1は、画像読取ユニット30の下方に位置するため、第1ミラー34を筐体31の内壁面に接触して配置すれば、第1ミラー34を筐体31内の最も高い位置に配置することができる。画像読取ユニット30の筐体31内に侵入した埃は、重力によって下方に溜まりやすく、上方には溜まりにくいため、この構成により第1ミラー34の表面に埃が付きにくくすることができる。
【0045】
また、第1ミラー34を筐体31の内壁面に接触して配置することで、第1ミラー34の背面に埃が溜まり、その埃が落下して第1ミラー34の表面に付くことも防止できる。
【0046】
〔実施の形態2〕
実施の形態2では、画像読取ユニット30における一部の主要部品(原稿接触ガラス32、第1~第3ミラー34~36、レンズ37およびCCD38)に関し、実施の形態1とは異なる配置となる変形例を示す。図5は、本実施の形態2に係る画像読取ユニット30において、主要部品の配置レイアウトを示す模式図である。
【0047】
すなわち、第2ミラー35は、図5に示すように、レンズ37の上部であって、レンズ37の長手方向の範囲内に設けられていてもよい。この場合、原稿読取位置P1と第1ミラー34とを結ぶ光路の光軸方向において、第1ミラー34、第2ミラー35および第3ミラー36の順に原稿読取位置P1から離れた位置に配置されている。
【0048】
今回開示した実施形態は全ての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0049】
10 画像形成装置
20 原稿送り装置
30 画像読取ユニット
31 筐体
311,312 突起
32 原稿接触ガラス
33 LED(光源)
34 第1ミラー
35 第2ミラー
36 第3ミラー
37 レンズ
38 CCD(光電変換素子)
39 導光部材
P1 原稿読取位置
図1
図2
図3
図4
図5