(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-18
(45)【発行日】2024-07-26
(54)【発明の名称】液体容器、外蓋付き液体容器、及び噴霧器
(51)【国際特許分類】
B05B 11/06 20060101AFI20240719BHJP
B05B 7/30 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
B05B11/06 A
B05B7/30
(21)【出願番号】P 2020145469
(22)【出願日】2020-08-31
【審査請求日】2023-05-23
(73)【特許権者】
【識別番号】599083411
【氏名又は名称】株式会社 MTG
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松下 剛
【審査官】大塚 美咲
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-051802(JP,A)
【文献】特開2016-124583(JP,A)
【文献】米国特許第04477023(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 11/06
B05B 7/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体ノズルとガスノズルとを有して液体とともに気体を噴霧させる噴霧器に接続される液体容器であって、
開口部を有し、内部に前記液体を収容する容器本体と、
前記開口部に取り付けられた中栓と、を備え、
前記中栓は、前記液体ノズルに連通して前記液体が流通する流路と、前記容器本体の内部と外部とに通じる孔とが形成されて
おり、
前記中栓が、前記開口部の開口端面よりも前記容器本体の内方に配置されている液体容器。
【請求項2】
前記中栓は、外周側に延びた鍔状をなす鍔部を有する請求項1に記載の液体容器。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の液体容器と、
前記中栓が前記開口部に取り付けられた状態で、前記開口部を閉じる外蓋と、を備えている外蓋付き液体容器。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の液体容器が接続される前記噴霧器であって、
前記中栓に接続して、前記液体ノズルと前記流路を連通させる接続部を備えている噴霧器。
【請求項5】
前記接続部は、前記孔の外側に通じるとともに前記噴霧器の外部に通じる外側孔が形成されている請求項4に記載の噴霧器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体容器、外蓋付き液体容器、及び噴霧器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体ノズルとガスノズルとを有して液体とともに気体を噴霧させる噴霧器が知られている。例えば下記特許文献1に記載の噴霧器は、化粧水等の液体を収容する液体容器を有している。液体容器は、上面が開口した有底筒状をなす液体ボトルと、液体ボトルの上面側に取り付けられたボトルキャップとを備えている。この液体容器は、ボトルキャップを取り外して、液体ボトルに液体を容易に再充填できる構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のように、液体ボトルに液体を容易に再充填できる構成では、正規の液体ではなく、非正規の液体を再充填して使用されるおそれがある。非正規の液体とともに気体を噴霧させて噴霧器を使用した場合、正規の液体とともに気体を噴霧させて得られる所望の効果が見込めず、改善の余地がある。さらに、上記の液体容器は、ボトルキャップが外された状態で液体ボトルが転倒した場合に、液体ボトル上面の開口から液体がこぼれることが懸念される。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、正規の液体の使用を促進することができ、容器本体が転倒した場合であっても液体がこぼれにくい液体容器を提供することを目的とする。また、そのような外蓋付液体容器、及び噴霧器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の液体容器は、液体ノズルとガスノズルとを有して液体とともに気体を噴霧させる噴霧器に接続される液体容器であって、開口部を有し、内部に前記液体を収容する容器本体と、前記開口部に取り付けられた中栓と、を備え、前記中栓は、前記液体ノズルに連通して前記液体が流通する流路と、前記容器本体の内部と外部とに通じる孔とが形成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、中栓に流路と孔が形成されているから、中栓が開口部に取り付けられた状態で噴霧器を使用することができ、中栓を開口部から取り外す必要がない。このため、中栓を取り外して、容器本体に非正規の液体が再充填されることを抑制し、正規の液体の使用を促進することができる。また、開口部に中栓が取り付けられているから、中栓によって開口部の開口面積を小さくすることができ、容器本体が転倒した場合であっても開口部から液体がこぼれにくい構成を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】噴霧器を載置部に載置した状態の噴霧装置を右方から見た右側面図
【
図3】噴霧器を載置部に載置した状態の噴霧装置を上方から見た平面図
【
図4】噴霧器を載置部に載置した状態の噴霧装置を示す断面図であって、
図3のA-A位置における断面に相当する断面図
【
図7】中栓の断面図であって、
図6のB-B位置における断面に相当する断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の好ましい形態を以下に示す。
上記構成において、前記中栓が、前記開口部の開口端面よりも前記容器本体の内方に配置されていてもよい。このような構成によれば、中栓を開口部から取り外しにくく、容器本体に非正規の液体が再充填されることをより一層抑制できる。
【0010】
本発明の外蓋付き液体容器は、上記の液体容器と、前記中栓が前記開口部に取り付けられた状態で、前記開口部を閉じる外蓋と、を備えていてもよい。このような構成によれば、外蓋付き液体容器に液体を充填して市場で流通させやすい。また、外蓋付き液体容器から外蓋を外して、噴霧器に接続される液体容器を容易に交換できる。
【0011】
本発明の噴霧器は、上記の液体容器が接続される前記噴霧器であって、前記中栓に接続して、前記液体ノズルと前記流路を連通させる接続部を備えていてもよい。このような構成によれば、液体容器から液体ノズルに通じる液体通路を容易に形成することができ、液体容器の交換が容易である。
【0012】
上記構成において、前記接続部は、前記孔の外側に通じるとともに前記噴霧器の外部に通じる外側孔が形成されていてもよい。このような構成によれば、噴霧器が液体とともに気体を噴霧させる際に、接続部の外側孔と、中栓の孔を通して外部の空気を容器本体の内部に流入させることができる。このため、噴霧器から十分な量の液体を噴霧させることができる。
【0013】
<実施例>
以下、本発明を具体化した一実施例について、
図1から
図8を参照しつつ説明する。以下、各構成部材において、
図2の上側を上方、下側を下方とし、また、
図2の左側を前方、右側を後方とし、上下方向及び前後方向と直交する方向を左右方向(
図3の左右方向)として説明する。各図には、前後方向をX軸方向とし、左右方向をY軸方向とし、上下方向をZ軸方向としてXYZ軸を表す。
【0014】
本実施例における液体容器10は、
図1及び
図2に示すように、噴霧器50に接続される容器である。液体容器10には、液体として、例えば、ローション状またはジェル状の化粧料(図示せず)が充填されている。噴霧器50は、液体ノズル51とガスノズル53とを有して液体とともに気体を噴霧させる(
図4参照)。噴霧器50は、気体が充填されたボンベBを収容するケース本体80に、チューブTを介して接続されている。チューブTは、ボンベBとガスノズル53とを繋ぐ気体通路の一部を構成している。
【0015】
液体は、噴霧時にはせん断力によってジェルが崩壊して霧状になり、その後、速やかにもとのジェル状に戻るチキソトロピー性に優れたジェル状組成物を使用してもよい。このようなジェル状組成物を使用することにより、吹き付け部(使用者の肌等)に吹き付けられた液体は、粘度が速やかに上昇するので液だれし難くすることができる。また、液体容器10に収容された状態では、液体容器10が転倒した衝撃によって瞬間的に粘度が低下したとしても、速やかに粘度が上昇するので液漏れを防ぐことができる。液体の粘度は、例えば、液体に添加される増粘剤の種類や使用量を適宜選択することによって、調整することができる。
【0016】
気体は、二酸化炭素を使用することが望ましい。二酸化炭素は血行促進作用を有するため、液体に溶解した二酸化炭素が皮膚に接触することにより、皮膚の血行促進効果が発揮され、美容や健康に好影響を及ぼす。また、二酸化炭素は水や油に溶けやすい性質を有することから、液体とともに皮膚に吹き付けられた二酸化炭素は皮膚から内部に浸透し、血管内に取り込まれる。血管内に二酸化炭素が取り込まれると、ヘモグロビンから酸素が遊離し、細胞内に酸素が供給されて代謝活性が発現される。そのため、二酸化炭素が溶け込んだ液体が肌に吹き付けられることで、より高い美容効果を得る事ができる。
【0017】
本実施例における噴霧装置Mは、噴霧器50に接続された液体容器10内の液体を使い切った場合、使用済みの液体容器10を取り外し、新たな液体容器10を取り付けて使用する構成である。液体容器10は、容器本体20、中栓30を備えている。液体容器10は、
図5に示すように、容器本体20に中栓30が取り付けられた状態で噴霧器50に接続される。
【0018】
容器本体20は、開口部21を有し、内部に液体を収容する。詳細には、容器本体20は、有底円筒状の胴部27と、胴部27の上端に肩部を介して接続された円筒状の首部28とを有している。液体は、主に胴部27内に収容されている。胴部27の外周面には、上下方向に沿って延びる凹部と凸部とからなる凹凸が形成されている。首部28は、胴部27よりも小径であり、上方に向けて開口する開口部21が形成されている。首部28の外周面には、噴霧器50及び後述する外蓋41の各々にねじ結合可能なねじ山が設けられている。
【0019】
開口部21の開口端面22は、円環状をなす。開口部21の内周面には、
図6に示すように、開口端面22よりも奥方に台座部23が設けられている。台座部23は、段付き状に形成され、上方を向く座面を有している。開口部21の内周面には、台座部23の座面から奥方に垂下する垂下部24が設けられている。垂下部24は、中栓30の外周面に液密に接触する。開口部21の内周面には、垂下部24よりも奥方に縮径部25が設けられている。縮径部25の内径は、垂下部24の内径よりも小さい。
【0020】
中栓30は、開口部21に取り付けられている。中栓30は、開口部21の開口端面22よりも容器本体20の内方に配置されている。つまり、中栓30の上端は、開口部21の開口端面22よりも下方に位置している。中栓30は、中栓本体31に中栓チューブ38を組み付けて構成されている。
【0021】
中栓本体31は、開口部21に圧入され、首部28に固定されている。中栓本体31は、樹脂成形体である。中栓本体31は、外筒部32、鍔部34、内筒部35、内隔壁部36、外隔壁部37を有している。中栓本体31の各部は同心状に設けられている。
【0022】
外筒部32は、開口部21の内周面に沿って延びた筒状をなす。外筒部32において縮径部25と対向する下筒32Bの外径は、垂下部24と対向する上筒32Aの外径よりも小さい。上筒32Aの外径は、垂下部24の内径と略同じである。上筒32Aの外周面には、外筒部32を一周する凸条部33が設けられている。凸条部33は、上下に並んで2条設けられている。中栓本体31が開口部21に圧入されると、凸条部33及び垂下部24の少なくとも一方が弾性変形して、凸条部33と垂下部24が密着する。下筒32Bは、内筒部35の下端と同等の位置まで下方に延びている。中栓本体31が首部28の軸線方向に対して傾いた場合に、外筒部32の下端が縮径部25に接触して、中栓本体31の傾きが抑えられる。
【0023】
鍔部34は、外筒部32の上端から外周側に延びた鍔状をなす。鍔部34の下面は、台座部23の座面に接触して、中栓30の圧入深さを規定する。鍔部34の外周面は、開口部21の内周面に近接ないし接触する。鍔部34の下面が台座部23の座面に接触した状態で、鍔部34は開口端面22よりも下方に位置する。このようにして、鍔部34の下面と台座部23の座面との間に針金等を差し込んで、中栓30を外しにくい構成が実現されている。
【0024】
内筒部35は、液体ノズル51に連通して液体が流通する流路39の一部を構成する。内筒部35の上端部には、噴霧器50の構成部材又は外蓋41の構成部材と嵌合する上嵌合部35Aが設けられている。上嵌合部35Aは、内筒部35の内周面において段付き状に形成されている。内筒部35の下端部には、中栓チューブ38の一端が嵌合する下嵌合部35Bが設けられている。
【0025】
内隔壁部36は、内筒部35の内部空間を上下に仕切る形態で設けられている。内隔壁部36は、平面視円形状をなし、中心に液体を通す液体孔36Aが形成されている。液体孔36Aの下側縁の周囲には、中栓チューブ38が挿入される内筒部35が位置している。このようにして、液体孔36Aに挿入した針金等を液体孔36Aの下側縁に引っ掛けにくく、針金等を液体孔36Aの下側縁に引っ掛けて中栓30を外しにくい構成が実現されている。
【0026】
外隔壁部37は、内筒部35と外筒部32との間において、内部空間を上下に仕切る形態で設けられている。外隔壁部37は、平面視円環状をなし、外筒部32の上筒32Aと下筒32Bの境界付近において外筒部32と内筒部35に連なる。外隔壁部37には空気孔37Aが形成されている。空気孔37Aは、容器本体20の内部と外部とに通じる孔に相当する。空気孔37Aは、内筒部35と外筒部32の間に形成された溝の奥面に開口する。このようにして、内筒部35と外筒部32が障壁となって針金等を空気孔37Aに挿入しにくく、針金等を空気孔37Aの下側縁に引っ掛けて中栓30を外しにくく構成が実現されている。
【0027】
空気孔37Aは、液体が噴霧される際に、外部の空気が容器本体20の内部に流入する孔である。噴霧器50は、空気孔37Aの径に応じて容器本体20の内部に流入する空気量が変更され、液体の噴霧量が調整される。このため、空気孔37Aの径を液体の粘度に応じて設定することで、噴霧器50からの液体の噴霧量を最適化することができる。
【0028】
空気孔37Aは、
図7に示すように、外隔壁部37に複数(本実施形態では3つ)形成されている。空気孔37Aを複数形成することによって、空気孔37Aが1つの場合に比して外部の空気が容器本体20の内部に流入し易くなり、噴霧器50から液体がスムーズに噴霧される。また、空気孔37Aを複数形成することによって、1つの空気孔の開口面積を大きくした構成に比して、中栓30を外しにくく構成が実現されている。複数の空気孔37Aは、開口部21の中心からの距離が略一定の仮想円周上に位置している。複数の空気孔37Aは、上記仮想円周上において等間隔に配列している。このように、複数の空気孔37Aが分散して配置されることによって、中栓30の強度を確保することができ、また、内筒部35が正規の位置から傾くことを抑制できる。空気孔37Aの上側縁部には、上方に向けて拡径した形態をなすテーパ面37Bが形成されている。テーパ面37Bは、外隔壁部37の上面に落ちた微量な液体を空気孔37Aに誘導する誘導面である。テーパ面37Bから空気孔37Aに流れた液体は、容器本体20の内部に流入する。
【0029】
中栓チューブ38は、液体ノズル51に連通して液体が流通する流路39の一部を構成する。中栓チューブ38の一端は、内筒部35における下嵌合部35B内に圧入される。中栓チューブ38が内筒部35に圧入された状態では、中栓チューブ38と内筒部35が液密に繋がって流路39が形成される。中栓チューブ38は、
図8に示すように、容器本体20の底面付近まで垂下している。中栓チューブ38の他端には、容器本体20内の液体を吸い込む吸い込み口が形成されている。
【0030】
本実施例における外蓋付き液体容器40は、
図8に示すように、液体容器10と、中栓30が開口部21に取り付けられた状態で、開口部21を閉じる外蓋41を備えている。外蓋付き液体容器40は、液体容器10が外蓋41によって密封されている。
【0031】
外蓋41は、外蓋天板部42、外蓋側板部43、ねじ結合部44、挿入部46を備えている。外蓋天板部42は、平面視円形状をなし、開口部21を上方から塞いでいる。外蓋側板部43は、円筒状をなし、外蓋天板部42の周縁から垂下している。外蓋側板部43の下端の外径は、胴部27の上端の外径と略同じである。外蓋41で液体容器10を閉じた状態で、外蓋天板部42及び外蓋側板部43は、胴部27から連続した意匠を構成する。ねじ結合部44は、首部28のねじ山とねじ結合するねじ溝を有している。挿入部46は、筒状をなし、外蓋天板部42の下面側に設けられている。挿入部46の下端部は、内筒部35に挿入され、上嵌合部35Aに嵌合する。挿入部46は、外蓋41を閉めるのに伴って、上嵌合部35Aに挿入される。挿入部46が上嵌合部35Aに挿入された状態では、挿入部46及び上嵌合部35Aの少なくとも一方が弾性変形して、挿入部46と上嵌合部35Aが密着する。
【0032】
図4に戻って、噴霧器50は、液体容器10が着脱自在に取り付けられるキャップ部60を備えている。キャップ部60は、複数の液体容器10を交換して使用する場合に、各液体容器10に共通して用いられる部材である。キャップ部60は、接続部61と、接続部61を外側から覆う外装部69とを備えている。
【0033】
接続部61は、中栓30に接続して、液体ノズル51と流路39を連通させる。接続部61は、容器本体20が取り付けられる取付部62と、液体ノズル51を保持するノズル保持部65と、取付部62に容器本体20が取り付けられた状態で中栓30に連結する中栓連結部66と、環状リブ67を有している。接続部61は、中栓30の流路39から流入した液体を、ノズル保持部65に保持された液体ノズル51に供給する中継流路を構成する。また、接続部61は外側空気孔68が形成されている。外側空気孔68は、中栓30の空気孔37Aの外側に通じるとともに噴霧器50の外部に通じる外側孔に相当する。
【0034】
取付部62は、天板部63、側板部64を有している。天板部63は、平面視円形状をなし、開口部21を上方から塞いでいる。天板部63は、ノズル保持部65と中栓連結部66を繋ぐようにして貫通孔63Aが形成されている。貫通孔63Aは、中継流路内において液体を通す部分である。側板部64は、円筒状をなし、天板部63の周縁から垂下している。側板部64の内面には、首部28のねじ山とねじ結合するねじ溝が設けられている。
【0035】
ノズル保持部65は、筒状をなし、天板部63の上面側に設けられている。ノズル保持部65には、液体ノズル51の下部が挿入されている。ノズル保持部65の内周面と液体ノズル51の外周面との間には、これらに密着して液体の漏れ出しを防ぐOリングが装着されている。
【0036】
中栓連結部66は、筒状をなし、天板部63の下面側に設けられている。中栓連結部66の下端部は、内筒部35に挿入され、上嵌合部35Aに嵌合する。中栓連結部66は、液体容器10の取り付けに伴って、上嵌合部35Aに挿入される。中栓連結部66が上嵌合部35Aに挿入された状態では、中栓連結部66及び上嵌合部35Aの少なくとも一方が弾性変形して、中栓連結部66と上嵌合部35Aが密着する。
【0037】
環状リブ67は、天板部63の下面側に、中栓連結部66を囲む形で設けられている。環状リブ67の先端は、中栓30における鍔部34内に挿入され、鍔部34の内周面に近接ないし接触する。
【0038】
外側空気孔68は、液体が噴霧される際に、外部からの空気を空気孔37Aに供給する孔である。外側空気孔68は、天板部63における環状リブ67と中栓連結部66の間において、天板部63を貫通して形成されている。外側空気孔68は、外装部69の内部空間を介して図示しない位置で外装部69の外部に通じている。
【0039】
外装部69は、下方に向けて開口した略カップ状をなし、内部に接続部61を収容している。外装部69の下端の外径は、胴部27の上端の外径と略同じである。接続部61に液体容器10が接続された状態で、外装部69は胴部27から連続した意匠を構成する。外装部69の上部には、液体ノズル51を挿通するノズル孔69Aが形成されている。ノズル保持部65に保持された液体ノズル51の先端は、ノズル孔69Aから上方に突出する。
【0040】
噴霧器50は、液体ノズル51及びガスノズル53を所定の位置関係で保持している。液体ノズル51の先端には、液体を噴出するための先端開口52が形成されている。ガスノズル53の先端には、気体を噴出するための先端開口54が形成されている。噴霧器50は、ガスノズル53の先端開口54の中心軸線と、液体ノズル51の先端開口52の中心軸線とが直交し、かつ近接する位置関係で液体ノズル51及びガスノズル53を保持している。液体ノズル51の先端開口54及びガスノズル53の先端開口54は、平面視、液体容器10の投影面内(キャップ部60の略中心)に配されている。
【0041】
噴霧器50は、気体を噴出させる操作を行うハンドル部70を備えている。ハンドル部70は、全体として、細長い棒状をなしている。ハンドル部70は、キャップ部60の上部から水平方向(前方)に延びる形態で、キャップ部60に着脱自在に組み付けられている。ハンドル部70の後端部には、先端を後方に突出させてガスノズル53が保持されている。噴霧器50は、ハンドル部70を操作することによって、ガスノズル53から後方に向けて気体が噴出する構成である。
【0042】
ハンドル部70は、
図4に示すように、ガスノズル53に接続されて気体通路の一部を構成する中継管71と、中継管71とチューブTとの間に接続されて気体通路の一部を構成する中継部品72と、中継管71及び中継部品72を保持するハウジング73と、気体通路を開閉操作する操作ボタン74と、操作ボタン74と連動する弁体75と、を備えている。常には、弁体75が上方に付勢されて、中継部品72の内周面に密着し、気体通路が閉鎖されている。操作ボタン74が押し下げ操作されると、弁体75が中継部品72の内周面から離れて、気体通路が開放される。これにより、ボンベBに充填された気体が、チューブT、中継部品72、中継管71を介してガスノズル53に供給され、ガスノズル53の先端開口54から噴出される。ガスノズル53の先端開口54からの気体の噴出に伴う負圧によって、容器本体20内の液体が吸い上げられ、液体ノズル51の先端開口52から気体の噴流に乗って噴霧される。
【0043】
本実施例における噴霧装置Mは、
図1から
図3に示すように、使用するときには噴霧器50をケース本体80から取り外し(
図1参照)、使用しないときには噴霧器50をケース本体80に載置することができる(
図2及び
図3参照)。噴霧装置Mは、噴霧器50がケース本体80の中心軸に対して右方(側方)にズレた位置に載置される構成である。
【0044】
ケース本体80は、全体としては略円柱状の外形をなし、噴霧器50を載置する載置部81が設けられている。載置部81は、ケース本体80の一部が右方(側方)に突出する形態で設けられている。載置部81には、載置部81の突出方向に対してハンドル部70の長さ方向を直交させる形態でハンドル部70が配置される。載置部81は、上方から見て突出先端側が先細る形状をなしている。ケース本体80の上面には、載置部81の左側に隣接して、載置部81側に下降する下降面82が形成されている。ケース本体80の側面は、載置部81の周縁から下方に下がるにつれて緩やか湾曲しつつ左方に後退している。ケース本体80の側面には、載置部81から下方に下がった位置に、チューブTの他端が接続している。
【0045】
載置部81は、
図3及び
図4に示すように、ハンドル部70を係止する係止部83が設けられている。係止部83は、載置部81における突出先端部に配置されている。係止部83は、下方に凹んだ凹部84と、凹部84の裏面側(
図4の下側)に配置された第1マグネット部85とを有している。凹部84は、載置部81の突出端側(右側)がスロープ形状をなしている。凹部84の内面には、左側の壁部を一部切り欠いた切り欠き86が設けられている。
【0046】
ハンドル部70は、噴霧器50がケース本体80に載置された場合に、係止部83に係止される被係止部76が設けられている。被係止部76は、ハンドル部70の下面において、後端部とチューブTの一端が接続する位置との間に配置されている。被係止部76は、下方に突出する凸部77と、凸部77の裏面側(
図4の上側)に配置された第2マグネット部78とを有している。凸部77は、左右に突出する突起(図示せず)が設けられている。左右の突起の各々は、凹部84の切り欠き86に嵌合する。凸部77は、上下に延びた中心軸に対して180°回転対称な形状である。
【0047】
次に、本実施例における噴霧装置Mの使用方法の一例を説明する。噴霧器50を使用する際には、使用者は、載置部81に載置された噴霧器50を手に取り、ハンドル部70を操作して、任意の時間、液体とともに気体を肌等に吹き付ける。中栓30には液体の粘度に応じた径の空気孔37Aが形成されているから、使用者は煩雑な調整作業を行うことなく適量の液体を噴霧できる。
【0048】
噴霧器50の使用が終った後に、使用者は噴霧器50を載置部81に載置する。この際、キャップ部60とチューブTの位置を目安にして、前後方向において被係止部76を係止部83の位置に整合させ得る。また、載置部81に対して左側には下降面82が形成され、凹部84の右側にはスロープ形状が形成されているから、左右方向において被係止部76を係止部83の位置に整合させ得る。そして、被係止部76が係止部83に近接すると、凸部77が凹部84に嵌るとともに、磁力によって第2マグネット部78が第1マグネット部85に引き付けられる。このようにして、被係止部76が係止部83に係止され、噴霧器50が載置部81に安定的に載置される。なお、ハンドル部70は、
図3に示す姿勢と、
図3の姿勢から上下方向に延びる回転軸を中心として180°回転した姿勢のいずれにおいても載置部81に載置可能である。
【0049】
噴霧器50に接続された液体容器10内の液体を使い切って、液体容器10を交換する場合には、次のようにして行う。使用者は、液体容器10を逆転させてキャップ部60とのねじ結合を解除して、キャップ部60から使用済みの液体容器10を取り外す。使用者は、液体が充填された外蓋付き液体容器40から外蓋41を外して、新しい液体容器10を準備する。液体容器10は、空気孔37Aと液体孔36Aを除いて開口部21が中栓30で塞がれているから、転倒した場合であっても開口部21から液体がこぼれにくい。液体容器10を正転させてキャップ部60にねじ結合して、キャップ部60に新しい液体容器10を取り付ける。この過程で、中栓連結部66が内筒部35に連結して、中栓30に形成された流路39、接続部61に形成された中継流路、液体ノズル51が繋がった液体通路が形成される。以上により、液体容器10の交換が完了する。
【0050】
次に、上記のように構成された実施例の作用および効果について説明する。本実施例の液体容器10は、液体ノズル51とガスノズル53とを有して液体とともに気体を噴霧させる噴霧器50に接続される液体容器10であって、開口部21を有し、内部に液体を収容する容器本体20と、開口部21に取り付けられた中栓30と、を備え、中栓30は、液体ノズル51に連通して液体が流通する流路39と、容器本体20の内部と外部とに通じる空気孔37Aとが形成されている。
【0051】
本実施例によれば、中栓30に流路39と空気孔37Aが形成されているから、中栓30が開口部21に取り付けられた状態で噴霧器50を使用することができ、中栓30を開口部21から取り外す必要がない。このため、中栓30を取り外して、容器本体20に非正規の液体が再充填されることを抑制し、正規の液体の使用を促進することができる。また、開口部21に中栓30が取り付けられているから、中栓30によって開口部21の開口面積を小さくすることができ、容器本体20が転倒した場合であっても開口部21から液体がこぼれにくい構成を実現できる。
【0052】
本実施例では、中栓30は、開口部21の開口端面22よりも容器本体20の内方に配置されている。このような構成によれば、中栓30を開口部21から取り外しにくく、容器本体20に非正規の液体が再充填されることをより一層抑制できる。
【0053】
本実施例の外蓋付き液体容器40は、液体容器10と、中栓30が開口部21に取り付けられた状態で、開口部21を閉じる外蓋41と、を備えている。このような構成によれば、外蓋付き液体容器40に液体を充填して市場で流通させやすい。また、外蓋付き液体容器40から外蓋41を外して、噴霧器50に接続される液体容器10を容易に交換できる。
【0054】
本実施例の噴霧器50は、液体容器10が接続される噴霧器50であって、中栓30に接続して、液体ノズル51と流路39を連通させる接続部61を備えている。このような構成によれば、液体容器10から液体ノズル51に通じる液体通路を容易に形成することができ、液体容器10の交換が容易である。
【0055】
本実施例では、接続部61は、空気孔37Aの外側に通じるとともに噴霧器50の外部に通じる外側空気孔68が形成されている。このような構成によれば、噴霧器50が液体とともに気体を噴霧させる際に、接続部61の外側空気孔68と、中栓30の空気孔37Aを通して外部の空気を容器本体20の内部に流入させることができる。このため、噴霧器50から十分な量の液体を噴霧させることができる。
【0056】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施例では、容器本体が胴部と首部を有していたが、これに限らず、容器本体は、例えば有底筒状をなしていてもよい。
(2)上記実施例以外にも、中栓の形状、配置、開口部への取り付け構成は適宜変更可能である。例えば、中栓は下方に向けて細くなる円錐台形状であってもよく、鍔部が開口端面に係止されるハット形状等であってもよい。また、中栓は開口部に対して爪嵌合されていてもよく、また、接着や溶着されていてもよい。
(3)上記実施例では、中栓チューブと内筒部によって流路が形成されていたが、流路の構成はこれに限られない。例えば、中栓チューブが中栓本体を貫通して、内筒部に替えて中栓チューブによって噴霧器に繋がる流路が構成されてもよい。
(4)上記実施例では、空気孔の数は3つであったが、空気孔の数は1つまたは2つであってもよく、4つ以上であってもよい。その場合には、空気孔の数に応じて各空気孔の径を変更して、液体の噴霧量を調整することができる。
(5)上記実施例では、空気孔の上側縁部にテーパ面が形成されていたが、テーパ面は形成されていなくてもよい。また空気孔の径や、配置も適宜変更可能である。
(6)上記実施例では、液体容器が外蓋で閉じられていたが、これに限られず、液体容器は密封フィルムや、流路や空気孔が塞がれた中栓で閉じられていてもよい。
(7)上記実施例以外にも、接続部の形状、液体ノズルと流路を連通させる構成は適宜変更可能である。例えば、接続部に内筒部が挿入される孔が形成され、その孔に内筒部が挿入されることによって、液体ノズルと流路を連通させる構成であってもよい。また、接続部が開口部を塞がない構成では、接続部に外側空気孔が形成されていなくてもよい。
(8)上記実施例では、ケース本体の一部が側方に突出する形態で載置部が設けられ、載置部にハンドル部が配置されていたが、これに限られず、載置部はケース本体の一部が下方に凹む凹部とされ、載置部に液体容器が配置されてもよい。
(9)上記実施例では、被係止部の凸部が係止部の凹部に嵌って、磁力によって第2マグネット部が第1マグネット部に引き付けられる構成であるが、これに限られず、被係止部が係止部に係止めされる構成は変更可能である。例えば、係止部がフック状をなし、被係止部が係止部に掛け止めされる構成であってもよい。
【符号の説明】
【0057】
10…液体容器
20…容器本体
21…開口部
22…開口端面
30…中栓
37A…空気孔(孔)
39…流路
40…外蓋付き液体容器
41…外蓋
50…噴霧器
51…液体ノズル
53…ガスノズル
61…接続部
68…外側空気孔(外側孔)