(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-18
(45)【発行日】2024-07-26
(54)【発明の名称】電動工具
(51)【国際特許分類】
B25F 5/00 20060101AFI20240719BHJP
B25F 5/02 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
B25F5/00 C
B25F5/02
(21)【出願番号】P 2020147755
(22)【出願日】2020-09-02
【審査請求日】2023-06-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】冨永 祥吾
【審査官】マキロイ 寛済
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-104969(JP,A)
【文献】特開2019-162676(JP,A)
【文献】特開2019-171504(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F 5/00
B25F 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
前記モータにより駆動する出力部と、
前記モータを収容し、グリップ部と、前記グリップ部の下方に配置されるバッテリ装着部とを有し、左右の半割ハウジングを組み付けてなるハウジングと、
前記グリップ部に保持され、前方へ突出するトリガを後方へ押し操作することで前記モータを回転させるスイッチと、
前記バッテリ装着部に収容され、上面に発光部材が搭載される制御回路基板と、を含み、
前記グリップ部は、前記ハウジングにおける左右方向の中央部に配置されて上下方向に延び、
前記グリップ部の前方で、且つ前記バッテリ装着部の上面の左右何れか一方側の前記半割ハウジングのみに、前記発光部材の発光を後方から視認するための穴が貫通形成されている電動工具。
【請求項2】
前記一方側の前記半割ハウジングの前記上面には、第2の穴を介して板状部材が装着され、前記穴は前記板状部材に設けられている請求項1に記載の電動工具。
【請求項3】
前記板状部材には、前記発光部材の発光動作の契機となる操作部が設けられている請求項2に記載の電動工具。
【請求項4】
前記操作部は、動作モードの切替用である請求項3に記載の電動工具。
【請求項5】
前記穴は、前記板状部材に設けられて前記発光部材の真上に配置される筒部の貫通穴である請求項2乃至4の何れかに記載の電動工具。
【請求項6】
モータと、
前記モータにより駆動する出力部と、
前記モータを収容し、グリップ部と、前記グリップ部の下方に配置されるバッテリ装着部とを有し、左右の半割ハウジングを組み付けてなるハウジングと、
前記グリップ部に保持され、前方へ突出するトリガを後方へ押し操作することで前記モータを回転させるスイッチと、
前記バッテリ装着部に収容され、上面に発光部材が搭載される制御回路基板と、を含み、
前記グリップ部は、前記ハウジングにおける左右方向の中央部に配置されて上下方向に延び、
前記グリップ部の前方で、且つ前記バッテリ装着部の上面の左右何れか一方側の前記半割ハウジングのみに、前記発光部材の発光を後方から視認するための穴が貫通形成される板状部材が設けられている電動工具。
【請求項7】
前記板状部材には、前記発光部材の発光動作の契機となる操作部が設けられている請求項6に記載の電動工具。
【請求項8】
前記操作部は、動作モードの切替用である請求項7に記載の電動工具。
【請求項9】
前記穴は、前記板状部材に設けられて前記発光部材の真上に配置される筒部の貫通穴である請求項6乃至8の何れかに記載の電動工具。
【請求項10】
前記発光部材は、LEDである請求項1乃至9の何れかに記載の電動工具。
【請求項11】
前記ハウジングには、前記出力部を収容するギヤハウジングが組み付けられ、
前記モータの駆動により回転するファンを備え、前記ハウジング内には、前記ファンの回転により前記ギヤハウジングを冷却する空気が流れる冷却路が形成される請求項1乃至10の何れかに記載の電動工具。
【請求項12】
モータと、
前記モータにより駆動する出力部と、
前記モータを収容し、グリップ部と、前記グリップ部の下方に配置されるバッテリ装着部とを有し、左右の半割ハウジングを組み付けてなるハウジングと、
前記グリップ部に保持され、前方へ突出するトリガを後方へ押し操作することで前記モータを回転させるスイッチと、を含み、
前記グリップ部は、前記ハウジングにおける左右方向の中央部に配置されて上下方向に延び、
前記グリップ部の前方で、且つ前記バッテリ装着部の上面の左右何れか一方側の前記半割ハウジングのみに、動作モードの表示用の発光部が設けられている電動工具。
【請求項13】
モータと、
前記モータにより駆動する出力部と、
前記モータを収容し、グリップ部と、前記グリップ部の下方に配置されるバッテリ装着部とを有するハウジングと、
前記グリップ部に保持されるスイッチと、
前記バッテリ装着部に収容され、上面に発光部材が搭載される制御回路基板と、を含み、
前記バッテリ装着部の上面の左右何れか一方側に、前記発光部材の発光を視認するための穴が形成されている電動工具であって、
前記一方側の前記上面には、第2の穴を介して板状部材が装着され、前記穴は、前記板状部材に設けられて前記発光部材の真上に配置される筒部の貫通穴である電動工具。
【請求項14】
モータと、
前記モータにより駆動する出力部と、
前記モータを収容し、グリップ部と、前記グリップ部の下方に配置されるバッテリ装着部とを有するハウジングと、
前記グリップ部に保持されるスイッチと、
前記バッテリ装着部に収容され、上面に発光部材が搭載される制御回路基板と、を含み、
前記バッテリ装着部の上面の左右何れか一方側に、前記発光部材の発光を視認するための穴を有する板状部材が設けられていると共に、前記穴は、前記発光部材の真上に配置される筒部の貫通穴である電動工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリュードライバ等の電動工具に関する。
【背景技術】
【0002】
スクリュードライバ等の電動工具は、モータと、モータにより駆動する出力部とを備える。モータを収容するハウジングは、下方へ延びるグリップ部と、グリップ部の下方に配置されるバッテリ装着部とを備えるものが知られている。特許文献1には、バッテリ装着部に、バッテリパックが電気的に接続される端子台が収容され、その上方に、制御回路基板が設けられる構造が開示されている(
図9)。また、バッテリ装着部の上面には、操作盤(発光部)が設けられている。操作盤には、ライトスイッチと、残容量表示スイッチと、電池インジケータとが設けられている。残容量表示スイッチを押し操作すると、電池インジケータがバッテリパックの残容量に応じた数の目盛りを点灯させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記操作盤は、バッテリ装着部の上面で左右方向の中央に配置されているため、グリップ部を片手で把持すると操作盤の発光が手で隠れて後方から視認しにくくなっていた。これは、バッテリパックの残容量に限らず、スクリュードライバのように複数の動作モードを切替可能で、選択した動作モードを操作盤で発光表示するような場合も同様で、どの動作モードかわかりにくかった。
【0005】
そこで、本発明は、報知用の発光部の視認性が向上する電動工具を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のうち、第1の発明は、モータと、
前記モータにより駆動する出力部と、
前記モータを収容し、グリップ部と、前記グリップ部の下方に配置されるバッテリ装着部とを有し、左右の半割ハウジングを組み付けてなるハウジングと、
前記グリップ部に保持され、前方へ突出するトリガを後方へ押し操作することで前記モータを回転させるスイッチと、
前記バッテリ装着部に収容され、上面に発光部材が搭載される制御回路基板と、を含み、
前記グリップ部は、前記ハウジングにおける左右方向の中央部に配置されて上下方向に延び、
前記グリップ部の前方で、且つ前記バッテリ装着部の上面の左右何れか一方側の前記半割ハウジングのみに、前記発光部材の発光を後方から視認するための穴が貫通形成されていることを特徴とする。
上記目的を達成するために、本発明のうち、第2の発明は、モータと、
前記モータにより駆動する出力部と、
前記モータを収容し、グリップ部と、前記グリップ部の下方に配置されるバッテリ装着部とを有し、左右の半割ハウジングを組み付けてなるハウジングと、
前記グリップ部に保持され、前方へ突出するトリガを後方へ押し操作することで前記モータを回転させるスイッチと、
前記バッテリ装着部に収容され、上面に発光部材が搭載される制御回路基板と、を含み、
前記グリップ部は、前記ハウジングにおける左右方向の中央部に配置されて上下方向に延び、
前記グリップ部の前方で、且つ前記バッテリ装着部の上面の左右何れか一方側の前記半割ハウジングのみに、前記発光部材の発光を後方から視認するための穴が貫通形成される板状部材が設けられていることを特徴とする。
上記目的を達成するために、本発明のうち、第3の発明は、モータと、
前記モータにより駆動する出力部と、
前記モータを収容し、グリップ部と、前記グリップ部の下方に配置されるバッテリ装着部とを有し、左右の半割ハウジングを組み付けてなるハウジングと、
前記グリップ部に保持され、前方へ突出するトリガを後方へ押し操作することで前記モータを回転させるスイッチと、を含み、
前記グリップ部は、前記ハウジングにおける左右方向の中央部に配置されて上下方向に延び、
前記グリップ部の前方で、且つ前記バッテリ装着部の上面の左右何れか一方側の前記半割ハウジングのみに、動作モードの表示用の発光部が設けられていることを特徴とする。
上記目的を達成するために、本発明のうち、第4の発明は、モータと、
前記モータにより駆動する出力部と、
前記モータを収容し、グリップ部と、前記グリップ部の下方に配置されるバッテリ装着部とを有するハウジングと、
前記グリップ部に保持されるスイッチと、
前記バッテリ装着部に収容され、上面に発光部材が搭載される制御回路基板と、を含み、
前記バッテリ装着部の上面の左右何れか一方側に、前記発光部材の発光を視認するための穴が形成されている電動工具であって、
前記一方側の前記上面には、第2の穴を介して板状部材が装着され、前記穴は、前記板状部材に設けられて前記発光部材の真上に配置される筒部の貫通穴であることを特徴とする。
上記目的を達成するために、本発明のうち、第5の発明は、モータと、
前記モータにより駆動する出力部と、
前記モータを収容し、グリップ部と、前記グリップ部の下方に配置されるバッテリ装着部とを有するハウジングと、
前記グリップ部に保持されるスイッチと、
前記バッテリ装着部に収容され、上面に発光部材が搭載される制御回路基板と、を含み、
前記バッテリ装着部の上面の左右何れか一方側に、前記発光部材の発光を視認するための穴を有する板状部材が設けられていると共に、前記穴は、前記発光部材の真上に配置される筒部の貫通穴であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、グリップ部を把持した状態でもバッテリ装着部での発光が視認しやすくなり、報知用の発光部の視認性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】オートパックスクリュードライバの斜視図である。
【
図2】オートパックスクリュードライバの側面図である。
【
図3】オートパックスクリュードライバの平面図である。
【
図5】左側の半割ハウジング及びモータを省略した本体ハウジングの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、電動工具の一例であるオートパックスクリュードライバの斜視図、
図2はその側面図、
図3はその平面図をそれぞれ示している。
オートパックスクリュードライバ(以下単に「スクリュードライバ」という。)1は、本体ハウジング2を備える。本体ハウジング2の前側には、筒状のギヤハウジング3が組み付けられる。ギヤハウジング3の前側には、前方へ延びる筒状のケーシング4が取り付けられる。ギヤハウジング3とケーシング4との内部に出力部5が設けられる。ケーシング4の前側には、フィーダボックス6が設けられている。フィーダボックス6の前端には、ストッパベース7が設けられている。ケーシング4の下方で本体ハウジング2の前側には、連結ネジを収容するマガジン8が設けられている。
【0010】
本体ハウジング2は、モータハウジング9とグリップハウジング10とを一体に備えている。モータハウジング9は、ギヤハウジング3に繋がる上端から下方へ向かうに従って後方へ移動する傾斜直線状となっている。グリップハウジング10は、モータハウジング9の後側で上下端が繋がるループ状となっている。グリップハウジング10は、上下方向に延びるグリップ部11を有している。
本体ハウジング2は、左右一対の半割ハウジング2a,2bを左側からねじ込まれる複数のネジ12,12・・によって組み付けることで形成される。ギヤハウジング3は、本体ハウジング2の前部上側に前方から4本のネジ13,13・・によって組み付けられる。
【0011】
図4に示すように、モータハウジング9内には、モータ15が収容される。モータ15は、筒状のステータ16と、ステータ16の内側に配置されるロータ17とを有するインナロータ型のブラシレスモータである。モータ15は、ロータ17に設けた回転軸18がモータハウジング9の傾斜方向に沿って上向きに延びる姿勢でモータハウジング9内に支持される。
但し、モータ15は、モータハウジング9の前側の内面寄りに配置される。モータハウジング9の内面には、
図5にも示すように、当該前寄り位置でステータ16を支持する支持リブ19,19が立設されている。ステータ16の後上側でモータハウジング9の内面には、支持リブ19,19と繋がり、回転軸18と平行に延びる横壁20が立設されている。
ステータ16は、ステータコア21と、上下のインシュレータ22A,22Bと、複数のコイル23,23・・とを有する。下側のインシュレータ22Bには、センサ回路基板24が下方からネジ止めされている。センサ回路基板24は、その上面に図示しない回転検出素子を備える。回転検出素子は、ロータ17に設けた永久磁石27の磁界を検出する。各コイル23のワイヤは三相結線を形成する。三相結線の電源線は、インシュレータ22Bの後側からコネクタ25を介して後述するコントローラ53側へ引き出される。回転検出素子の信号線もセンサ回路基板24の後側からコントローラ53側へ引き出される。
【0012】
ロータ17は、回転軸18と、その周囲のロータコア26とを備える。ロータコア26の内部に複数の永久磁石27,27・・が固定されている。
回転軸18の下端は、モータハウジング9の内面に立設した下壁28に、軸受29を介して回転可能に支持される。下壁28は、横壁20の下端と間隔をおいて配置されて、両壁28,20間からコネクタ25がモータハウジング9内に突出している。
回転軸18の上部は、モータハウジング9の内面に立設した上壁30に、軸受31を介して回転可能に支持される。回転軸18の上端は、ピニオン32を備えてギヤハウジング3内に突出している。
ステータ16と軸受31との間で回転軸18には、ファン33が設けられる。ファン33は、遠心ファンで、上側の支持リブ19と、横壁20と、上壁30とに囲まれるファン収容室34内に収容される。
ファン33の外側でモータハウジング9の左右両側面には、複数の下排気口35,35・・が形成されている。下排気口35,35・・は、回転軸18と直交する前下がり傾斜方向に並べて形成されている。ファン33の下方でモータハウジング9の左右両側面には、複数の吸気口36,36・・が、回転軸18の軸方向に並べて形成されている。吸気口36の開口面積の合計は、下排気口35の開口面積の合計よりも大きくなっている。
【0013】
また、上壁30より上方でモータハウジング9の左右両側面には、2つの中排気口37、37が形成されている。上壁30には、軸受29の左右で上壁30の上方をファン収容室34と連通させるスリット38(
図5)が形成されている。
さらに、ギヤハウジング3の後方で本体ハウジング2の左右両側面には、上排気口39が形成されている。横壁20と上壁30との間には、ギヤハウジング3の後方をファン収容室34と連通させる間隙40が形成されている。
よって、
図5に示すように、本体ハウジング2には、ファン33が回転すると、吸気口36から吸い込まれた外気がモータハウジング9内を上昇してファン収容室34に至り、下排気口35から排出される第1冷却路41が形成される。また、本体ハウジング2には、下排気口35から排出されなかった空気の一部がスリット38を通って上昇し、中排気口37から排出される第2冷却路42が形成される。そして、本体ハウジング2には、下排気口35から排出されなかった空気の他の一部が間隙40を通って上昇し、上排気口39から排出される第3冷却路43が形成される。
【0014】
グリップ部11内の上部には、トリガ46を前方へ突出させたスイッチ45が設けられている。スイッチ45の上側には、正逆切替レバー47が設けられている。スイッチ45と正逆切替レバー47との間には、正逆切替レバー47の操作に伴って切替動作する図示しない正逆レバースイッチが設けられている。正逆切替レバー47の下方には、トリガ46の押し込みを維持するためのロックボタン48が設けられている。
グリップハウジング10の下部には、バッテリ装着部50が形成されている。バッテリ装着部50には、バッテリパック51が後方からスライド装着される。バッテリ装着部50内には、バッテリパック51と電気的に接続される端子台52が設けられる。端子台52の上側には、コントローラ53が収容される。コントローラ53は、制御回路基板54を備えている。制御回路基板54は、マイコンやスイッチング素子の他、
図6及び
図7に示すように、モード切替用のボタンスイッチ55と、モード切替表示用のLED56とを備えている。ボタンスイッチ55とLED56とは、制御回路基板54の左側縁に沿って配置されている。
【0015】
制御回路基板54の左側上方で半割ハウジング2aには、スイッチプレート60が設けられている。スイッチプレート60は、バッテリ装着部50の左側上面に形成された平面視矩形状の穴61に嵌合した状態で固定される平面視矩形状を有している。スイッチプレート60には、上方からの押し操作によって下降動作する動作棒62が一体形成されている。動作棒62は、
図7に示すように、ボタンスイッチ55の真上に位置している。
動作棒62の前方でスイッチプレート60には、角筒部63が下向きに一体形成されている。角筒部63は、LED56の真上に位置している。角筒部63の貫通穴は、スイッチプレート60の上面に開口63aを形成している。
スイッチプレート60の上面には、表示シート64が貼着されている。表示シート64には、動作棒62の上面を覆うボタン表示部65と、角筒部63の開口63aを覆う透明な発光部66とが表示されている。
【0016】
図4に示すように、出力部5は、中間軸70と、第1スピンドル71と、クラッチカム72と、コイルバネ73と、第2スピンドル74とを含んでなる。ギヤハウジング3と本体ハウジング2との間には、保持プレート75が組み付けられている。
中間軸70は、ギヤハウジング3内で軸線を前後方向に向けて配置される。中間軸70の前端は、ギヤハウジング3に軸受76を介して回転可能に支持される。中間軸70の後端は、保持プレート75に軸受77を介して回転可能に支持される。中間軸70の中間部には、ベベルギヤ78が一体回転可能に設けられて回転軸18のピニオン32と噛合している。中間軸70の後部には第1ギヤ79が一体に設けられている。
第1スピンドル71は、中間軸70の上方で軸線を前後方向に向けて配置される。第1スピンドル71の後端は、保持プレート75に軸受80を介して回転可能に支持される。第1スピンドル71の後部には、第2ギヤ81が一体回転可能に設けられている。第2ギヤ81は、第1ギヤ79と噛合している。
【0017】
クラッチカム72は、複数のボール82,82・・を介して第2ギヤ81と一体回転可能に結合される。クラッチカム72の前面には、後カム部83が形成される。
第2スピンドル74は、第1スピンドル71の前方へ同軸に配置される。第2スピンドル74は、ギヤハウジング3及びケーシング4に保持されるスリーブ84によって回転可能且つ前後移動可能に保持される。
第1スピンドル71の前部は、第2スピンドル74の後部に設けた有底孔85に挿入している。有底孔85内には、軸受86が固定されている。第1スピンドル71の前端は、軸受86を遊挿して有底孔85内で第2スピンドル74と同軸で回転可能に支持されている。
コイルバネ73は、第1スピンドル71に外装されている。コイルバネ73の後端は、クラッチカム72の前面に当接している。コイルバネ73の前端は、軸受86の後面に当接している。
【0018】
第2スピンドル74の後端には、フランジ87が形成されている。フランジ87の後面には、前カム部88が形成されている。前カム部88は、クラッチカム72の後カム部83と対向している。前カム部88と後カム部83とは、互いの当接状態では正逆回転方向で係合する。
第2スピンドル74は、コイルバネ73によって前方へ付勢される。スリーブ84の後端には、ストッパ89が支持されている。第2スピンドル74のフランジ87は、ストッパ89に当接して第2スピンドル74の前進を規制する。
第2スピンドル74の前端には、ビット保持部74aが形成されている。ビット保持部74aには、先端工具であるドライバビット等のビットが前方から着脱可能となている。
【0019】
本体ハウジング2内には、プッシュドライブモードの機構部分を形成するプッシュドライブ機構部90が設けられている。プッシュドライブ機構部90は、ロッド91と、レバー92と、センサ基板93とを備えている。
ロッド91は、第1スピンドル71の軸心で第1スピンドル71と別体で前後移動可能に設けられている。ロッド91の後端は、保持プレート75を貫通して本体ハウジング2内に突出している。
レバー92は、保持プレート75の後方に配置されている。レバー92は、本体ハウジング2の内面に突設された左右方向のボス94,94によって回転可能に保持されている。レバー92は、ロッド91の後方で下向きに突出する押圧片95と、押圧片95の後側で上向きに突出する検出片96とを備える。検出片96には、磁石97が設けられている。
【0020】
センサ基板93は、検出片96の後方に配置されている。センサ基板93は、ホール素子等の磁気センサを備えて、検出片96の回転による磁石97の磁界の変化を検出可能となっている。レバー92は、トーションバネ98の付勢により、常態では検出片96がセンサ基板93の前面に当接する第1の回転位置(
図4に実線で示す位置)にある。
ロッド91は、第1の回転位置のレバー92の押圧片95によって押圧される前進位置にある。前進位置のロッド91は、前進位置の第2スピンドル74の有底孔85の内底面に前端を当接させている。
【0021】
プッシュドライブ機構部90では、ロッド91が後退すると、ロッド91の後端がレバー92の押圧片95を後方へ押圧してレバー92を、二点鎖線で示す第2の回転位置に回転させる。すると、検出片96が前方へ回転してセンサ基板93から前方へ離間する。よって、磁石97の移動による磁界の変化を検出したセンサ基板93は、ON信号を出力することになる。
制御回路基板54のマイコンには、スイッチ45、正逆切替レバー47の正逆レバースイッチ、センサ基板93、ボタンスイッチ55の動作信号がそれぞれ入力される。マイコンは、正逆レバースイッチからの信号に基づいてモータ15の回転方向を設定し、モータ15を駆動させる。マイコンは、ボタンスイッチ55の操作信号に基づいて動作モードを設定する。
【0022】
フィーダボックス6は、コイルバネ100によってケーシング4から突出する前進位置に付勢されている。フィーダボックス6には、マガジン8から引き出された図示しない連結ネジが下方から差し込まれてセットされる。フィーダボックス6には、コイルバネ100の付勢に抗した後退によって連結ネジを1本ずつビットによるネジ締め位置に送り出す送り機構101が設けられている。
ストッパベース7は、フィーダボックス6に対する前後方向の取り付け位置を調整可能となっている。取り付け位置は、ネジの長さに合わせて調整される。ネジの締め付け深さは、深さ調整ダイヤル102の操作により、ストッパベース7から突出するビットの突出量を調整することで設定できる。
【0023】
以上の如く構成されたスクリュードライバ1において、スイッチプレート60のボタン表示部65を押し操作すると、動作棒62が下降してボタンスイッチ55をON動作させる。すると、マイコンは、動作モードをプッシュドライブモードへ切り替えると共に、LED56をON動作させる。LED56がONするとその光が角筒部63を通して開口63aに照射され、発光部66が発光する。再びボタン表示部65を押し操作すると、動作棒62が下降してボタンスイッチ55をOFF動作させる。すると、マイコンは、動作モードを通常モードへ切り替えると共に、LED56をOFF動作させる。よって、発光部66が消灯する。
このとき、作業者は、グリップ部11を右手で把持していれば、左手でスイッチプレート60のボタン表示部65を押し操作することになる。スイッチプレート60はバッテリ装着部50の左側上面に配置されているので、操作は容易に行える。
動作モードが切り替わると、発光部66が点灯又は消灯するため、動作モードの切り替わりを視認することができる。このとき、発光部66は、バッテリ装着部50の左側上面で且つグリップ部11より前方に位置しているので、グリップ部11を把持する右手で発光部66が隠されることがない。よって、作業者は発光部66の点灯及び消灯を容易に確認することができる。
【0024】
次に、具体的な動作モードでの使用態様を説明する。まず通常モードを説明する。
第2スピンドル74のビット保持部74aにビットを装着して正逆切替レバー47を正転位置にする。次に、作業者は、グリップ部11を把持してストッパベース7を石膏ボード等の被加工材の表面に当接させる。次に、作業者は、トリガ46を押し操作する。すると、スイッチ45がONして、バッテリパック51から電源が制御回路基板54を介してモータ15に供給される。よって、ロータ17が正回転して回転軸18の回転がピニオン32から中間軸70に伝わる。中間軸70が減速回転すると、第1スピンドル71及びクラッチカム72も一体に正回転する。しかし、第2スピンドル74は前進位置にあって前カム部88はクラッチカム72の後カム部83と係合しない。よって、第2スピンドル74は回転しない。
【0025】
次に、作業者がグリップ部11を押し込んでスクリュードライバ1を前進させる。すると、フィーダボックス6がコイルバネ100の付勢に抗して後退する。同時に送り機構101が連結ネジを1本分送り動作し、最初のネジをビットの前方に位置させる。最初のネジが被加工材に当接すると、ビットと共に第2スピンドル74が、コイルバネ73の付勢に抗して後退する。よって、第2スピンドル74の前カム部88が後カム部83と係合し、クラッチカム72の回転が第2スピンドル74に伝達される。すると、第2スピンドル74と共にビットが正回転し、ネジが被加工材へねじ込まれる。
ネジ締めが進むにつれてスクリュードライバ1が前進し、ストッパベース7がケーシング4に当接する。すると、その後はねじ込みに従って第2スピンドル74のみが前進する。前カム部88が後カム部83から離間すると、第2スピンドル74への回転伝達が遮断されてネジ締めが終了する。作業者がトリガ46の押し操作を解除するとスイッチ45がOFFしてロータ17の回転が停止する。ビットをネジから離すと、フィーダボックス6がコイルバネ100の付勢によって前進位置へ復帰する。第2スピンドル74も、コイルバネ73の付勢によって前進位置へ復帰する。よって、作業者がグリップ部11を押し込んでスクリュードライバ1を前進させると、次のネジが送り出されてねじ込まれる。この繰り返しによって連続したネジ締め作業が可能となる。
【0026】
一方、プッシュドライブモードでは、トリガ46を押し込んでもモータ15は駆動しない。ストッパベース7を被加工材に押し当ててスクリュードライバ1を前進させ、フィーダボックス6及び第2スピンドル74が後退すると、有底孔85の内底面に当接したロッド91が後退する。
すると、ロッド91の後端がレバー92の押圧片95に当接して、前述のようにレバー92を第2の回転位置に回転させる。よって、センサ基板93からON信号が出力され、このON信号に応じてマイコンがモータ15を駆動させる。その後、前カム部88と後カム部83とが係合し、クラッチカム72の回転が第2スピンドル74に伝達される。こうして第2スピンドル74と共にビットが正回転してネジ締めが可能となる。
【0027】
何れの動作モードの場合も、回転軸18の回転と共にファン33が回転すると、本体ハウジング2の側面の吸気口36から外気が吸い込まれる。吸気口36からの外気は、第1冷却路41を通り、ステータ16とロータ17との間を通過して下排気口35から外部に排出される。よって、モータ15が冷却される。また、下排気口35から排出されない外気の一部は、第2冷却路42を通り、スリット38を通過して中排気口37から外部に排出される。よって、軸受31が冷却される。さらに、下排気口35から排出されない外気の他の一部は、第3冷却路43を通り、間隙40を通過して上排気口39から排出される。よって、保持プレート75及びギヤハウジング3が冷却される。
【0028】
上記形態のスクリュードライバ1は、モータ15と、モータ15により駆動する出力部5とを含む。また、スクリュードライバ1は、モータ15を収容し、グリップ部11と、グリップ部11の下方に配置されるバッテリ装着部50とを有する本体ハウジング2(ハウジング)を含む。また、スクリュードライバ1は、グリップ部11に保持されるスイッチ45と、バッテリ装着部50に収容され、上面にLED56(発光部材)が搭載される制御回路基板54とを含む。そして、バッテリ装着部50の上面の左側に、LED56の発光を視認するための開口63a(穴)が形成されている(第1の発明)。
この構成により、グリップ部11を把持した状態でも開口63aからの発光が視認しやすくなり、報知用の発光部66の視認性が向上する。
【0029】
バッテリ装着部50の左側の上面には、穴61(第2の穴)を介してスイッチプレート60(板状部材)が装着され、開口63aはスイッチプレート60に設けられている。よって、スイッチプレート60において発光部66が確実に視認できる。
スイッチプレート60には、LED56の発光動作の契機となるボタン表示部65(操作部)が設けられている。よって、ボタン表示部65も視認しやすくなり、操作が容易に行える。
ボタン表示部65は、動作モードの切替用である。よって、ボタン表示部65の操作によって動作モードが容易に切替可能となる。
開口63aは、スイッチプレート60に設けられてLED56の真上に配置される角筒部63(筒部)の貫通穴である。よって、LED56の光を開口63aへ確実に導くことができる。
本体ハウジング2は、左右の半割ハウジング2a,2bを含んでなり、穴61は、左側の半割ハウジング2aに形成されている。よって、穴61が容易に形成可能となる。
【0030】
そして、上記形態のスクリュードライバ1では、バッテリ装着部50の上面の左側に、LED56の発光を視認するための開口63aを有するスイッチプレート60が設けられている(第2の発明)。
また、バッテリ装着部50の上面の左側に、動作モードの表示用の発光部66が設けられている(第3の発明)。
これらの構成により、グリップ部11を把持した状態でも開口63aからの発光が視認しやすくなり、報知用の発光部66の視認性が向上する。
【0031】
グリップ部11は、本体ハウジング2における左右方向の中央部に配置されている。よって、グリップ部11を把持した手が開口63aの視認の邪魔になりにくくなる。
開口63aは、グリップ部11よりも前方に位置している。これによってもグリップ部11を把持した手が開口63aの視認の邪魔になりにくくなる。
発光部材は、LED56である。よって、開口63aで良好な発光が得られる。
本体ハウジング2には、出力部5を収容するギヤハウジング3が組み付けられる。また、モータ15の駆動により回転するファン33を備える。そして、本体ハウジング2内には、ファン33の回転によりギヤハウジング3を冷却する空気が流れる第3冷却路43(冷却路)が形成される。よって、ギヤハウジング3を介して出力部5が冷却可能となる。
【0032】
以下、変更例を説明する。
スイッチプレートの平面視形状は円形や長円形等の他の形状であってもよい。
開口(穴)を形成する筒部は角筒でなく円筒等の他の形状であってもよい。長さも上記形態に限らない。開口がLEDの真上でなければ筒部は斜めに形成されていてもよい。
穴と操作部とは前後が逆に配置されていてもよい。左右に並べて配置してもよい。
別体のスイッチプレートを設けず、ハウジングに穴と操作部とを一体に形成してもよい。
動作モードによってはLED等の発光部材及び穴が複数あってもよい。発光部材及び穴は動作モードの切替用でなくてもよい。発光部材及び穴は、バッテリの残容量のインジケータとして利用してもよい。
穴及び操作部は、ハウジングの左側でなく右側にあってもよい。穴と操作部とが互いに左右反対側にあってもよい。
【0033】
ハウジングも左右の半割ハウジングを含む構造に限らない。ハウジングは前後に分割される構造であっても差し支えない。
グリップ部はループ状に限らない。出力部から下方に突出する直線状で、下端にバッテリ装着部が設けられる構造であってもよい。
スクリュードライバは連結ネジを用いないものであってもよい。スクリュードライバに限らず、インパクトドライバやインパクトレンチ、ドライバドリル等の他の電動工具にも本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0034】
1・・オートパックスクリュードライバ、2・・本体ハウジング、3・・ギヤハウジング、4・・ケーシング、5・・出力部、9・・モータハウジング、10・・グリップハウジング、11・・グリップ部、15・・モータ、18・・回転軸、50・・バッテリ装着部、53・・コントローラ、54・・制御回路基板、55・・ボタンスイッチ、56・・LED、60・・スイッチプレート、61・・穴、62・・動作棒、63・・角筒部、63a・・開口、64・・表示シート、65・・ボタン表示部、66・・発光部、71・・第1スピンドル、72・・クラッチカム、73・・コイルバネ、74・・第2スピンドル、90・・プッシュドライブ機構部、91・・ロッド、92・・レバー、93・・センサ基板。