(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-18
(45)【発行日】2024-07-26
(54)【発明の名称】液圧駆動システム
(51)【国際特許分類】
F15B 11/05 20060101AFI20240719BHJP
F15B 11/042 20060101ALI20240719BHJP
F15B 11/044 20060101ALI20240719BHJP
F15B 11/02 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
F15B11/05 Z
F15B11/042
F15B11/044
F15B11/02 M
(21)【出願番号】P 2020153515
(22)【出願日】2020-09-14
【審査請求日】2023-05-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135220
【氏名又は名称】石田 祥二
(72)【発明者】
【氏名】能勢 知道
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 勇人
(72)【発明者】
【氏名】村岡 英泰
(72)【発明者】
【氏名】木下 敦之
【審査官】高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-303814(JP,A)
【文献】特開平06-123302(JP,A)
【文献】特開2000-266009(JP,A)
【文献】特開2010-190261(JP,A)
【文献】特開2022-017833(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 11/05
F15B 11/042
F15B 11/044
F15B 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前記第1液圧アクチュエータを含む少なくとも1つ以上の液圧アクチュエータに対する作動液の給排を制御する第1回路系統と、
前記第1回路系統に作動液を供給する第1液圧ポンプと、
第2液圧アクチュエータに対する作動液の給排を制御する第2回路系統と、
前記第2回路系統に作動液を供給する第2液圧ポンプと、
前記第1液圧ポンプと前記第2液圧ポンプとを繋ぐ合流通路を開閉する合流弁と、
前記第1液圧アクチュエータ及び前記第2液圧アクチュエータの作動量を指示する操作量に応じた操作指令を出力する操作装置と、
前記操作装置からの操作指令に応じて前記合流弁の動作を制御する制御装置と、を備え、
前記第1回路系統は、
前記第1液圧アクチュエータに流れる作動液のメータイン流量を制御する第1メータイン制御弁と、
前記第1液圧アクチュエータからタンクに排出される作動液のメータアウト流量を制御する第1メータアウト制御弁と、を有し、
前記制御装置は、前記第1メータイン制御弁及び前記第1メータアウト制御弁の開度を夫々制御
し、前記第1回路系統から前記少なくとも1つ以上の液圧アクチュエータに供給される流量の総流量である第1総流量と前記第1液圧ポンプの最大吐出流量との差分に基づいて、前記合流弁の開度を制御する、液圧駆動システム。
【請求項2】
前記第2回路系統は、
前記第2液圧アクチュエータに流れる作動液のメータイン流量を制御する第2メータイン制御弁と、
前記第2液圧アクチュエータから前記タンクに排出される作動液のメータアウト流量を制御する第2メータアウト制御弁と、を有し、
前記制御装置は、前記第2メータイン制御弁及び前記第2メータアウト制御弁の開度を夫々制御する、請求項1に記載の液圧駆動システム。
【請求項3】
前記制御装置は、操作量に応じて前記合流弁の開度を制御する、請求項1又は2に記載の液圧駆動システム。
【請求項4】
前記第1液圧ポンプの吐出圧を検出する吐出圧センサと、
前記第1液圧アクチュエータの流入圧を検出する流入圧センサとを更に備え、
前記制御装置は、前記操作装置から出力される前記第1液圧アクチュエータに対応する操作指令に応じた目標メータイン流量と、前記吐出圧センサで検出される吐出圧及び前記流入圧センサで検出される流入圧の差圧とに基づいて前記第1メータイン制御弁の開度を制御する、請求項1乃至
3の何れか1つに記載の液圧駆動システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記第2液圧アクチュエータに対して小さい負荷となる前記第1液圧アクチュエータに供給する流量を抑制する前記第1メータイン制御弁に対して開度制御をする、請求項
4に記載の液圧駆動システム。
【請求項6】
前記第2回路系統は、前記第2液圧アクチュエータを含む少なくとも1つ以上の液圧アクチュエータに対する作動液の給排を制御し、
前記制御装置は、前記第2回路系統から前記少なくとも1つ以上の液圧アクチュエータに供給される流量の総流量である第2総流量と前記第2液圧ポンプの最大吐出流量との差分、及び第1総流量と前記第1液圧ポンプの最大吐出流量との差分の何れかに基づいて、前記合流弁の開度を制御する請求項
1乃至5の何れか1つに記載の液圧駆動システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液圧アクチュエータを駆動する液圧駆動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
液圧駆動システムとして、例えば特許文献1のような液圧制御装置が知られている。液圧制御装置は、2つの回路系統を有している。各回路系統には、別々の液圧ポンプが接続されている。また、2つの液圧ポンプは、合流弁によって互いに接続されている。これにより、2つの液圧ポンプから吐出される作動液が合流弁によって合流されて2つの回路系統又は何れか一方に流すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の液圧制御装置では、液圧アクチュエータ毎に圧力補償弁が設けられている。これにより、複数の液圧アクチュエータを同時に動かす際に、流量が負荷の小さい液圧アクチュエータに偏ることを抑制している。他方、圧力補償弁を設けることによって圧力損失が生じる。そうすると、液圧制御装置、即ち液圧駆動システムのエネルギーの消費を抑制することができない。
【0005】
そこで本発明は、エネルギーの消費を抑制することができる液圧駆動システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の液圧駆動システムは、第1液圧アクチュエータに対する作動液の給排を制御する第1回路系統と、前記第1回路系統に作動液を供給する第1液圧ポンプと、第2液圧アクチュエータに対する作動液の給排を制御する第2回路系統と、
前記第2回路系統に作動液を供給する第2液圧ポンプと、前記第1液圧ポンプと前記第2液圧ポンプとを繋ぐ合流通路を開閉する合流弁と、前記第1液圧アクチュエータ及び前記第2液圧アクチュエータの作動量を指示する操作量に応じた操作指令を出力する操作装置と、前記操作装置からの操作指令に応じて前記合流弁の動作を制御する制御装置と、を備え、前記第1回路系統は、前記第1液圧アクチュエータに流れる作動液のメータイン流量を制御する第1メータイン制御弁と、前記第1液圧アクチュエータからタンクに排出される作動液のメータアウト流量を制御する第1メータアウト制御弁と、を有し、前記制御装置は、前記第1メータイン制御弁及び前記第1メータアウト制御弁の開度を夫々制御するものである。
【0007】
本発明に従えば、第1液圧アクチュエータ及び第2液圧アクチュエータが同時操作され、且つ第2液圧アクチュエータに対して第1液圧アクチュエータの負荷が小さい場合において、制御装置は、第1メータイン制御弁の開度を制御することによって、第1液圧アクチュエータの流量を確保することができる。これにより、第1液圧アクチュエータに対して設けられる圧力補償弁を廃止することができるので、第1液圧アクチュエータ及び第2液圧アクチュエータが同時操作された際のエネルギーの消費を抑えることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、エネルギーの消費を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る液圧駆動システムを示す液圧回路図である。
【
図2】
図1の液圧駆動システムに備わる制御装置において合流弁の開度制御に関するブロック図である。
【
図3】
図1の液圧駆動システムに備わる制御装置において制御弁の開度制御に関するブロック図である。
【
図4】本発明の第2実施形態に係る液圧駆動システムの制御装置において合流弁の開度制御に関するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る第1及び第2実施形態の液圧駆動システム1,1Aについて前述する図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明で用いる方向の概念は、説明する上で便宜上使用するものであって、発明の構成の向き等をその方向に限定するものではない。また、以下に説明する液圧駆動システム1,1Aは、本発明の一実施形態に過ぎない。従って、本発明は実施形態に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で追加、削除、変更が可能である。
【0011】
[第1実施形態]
<液圧駆動機械>
建設機械、産業機械、及び産業車両等の液圧駆動機械は、複数の液圧アクチュエータ2~5及び液圧駆動システム1を備えている。そして、液圧駆動機械は、液圧アクチュエータ2~5を作動させることによって各種構成を動かすことができる。液圧アクチュエータ2~5は、例えば液圧シリンダ及び液圧モータである。本実施形態において、液圧駆動機械は、例えば液圧ショベルである。そして、複数の液圧アクチュエータ2~5は、例えばアームシリンダ2、ブームシリンダ3、バケットシリンダ4、及び旋回モータ5である。
【0012】
液圧シリンダ2~4の各々は、伸縮することによって各種構成であるアーム、ブーム、及びバケット(共に図示せず)の各々を動かすことができる。更に詳細に説明すると、液圧シリンダ2~4の各々は、第1液圧アクチュエータの一例であるアームシリンダ2、第2液圧アクチュエータの一例であるブームシリンダ3、及びバケットシリンダ4である。また、液圧シリンダ2~4には、シリンダチューブ2a~4aにロッド2b~4bが進退可能に夫々挿入されている。シリンダチューブ2a~4aには、ロッド側ポート2c~4c及びヘッド側ポート2d~4dが夫々形成されている。そして、各ポート2c~4c,2d~4dに対して作動液を給排することによってシリンダチューブ2a~4aに対してロッド2b~4bが夫々進退する、即ち液圧シリンダ2~4が夫々伸縮する。
【0013】
旋回モータ5は、回転することによって旋回体(図示せず)を旋回させることができる。更に詳細に説明すると、旋回モータ5は、液圧モータである。即ち、旋回モータ5は、2つの吸排ポート5c,5dを有している。そして、旋回モータ5は、一方の吸排ポート5cに作動液を供給すると、旋回体を所定の回転方向一方に回転させる。他方、他方の吸排ポート5dに作動液を供給すると、旋回モータ5は、旋回体を所定の回転方向他方に回転させる。
【0014】
<液圧駆動システム>
液圧駆動システム1は、液圧アクチュエータ2~5に対して作動液を給排することによって液圧アクチュエータ2~5を作動させる。更に詳細に説明すると、液圧駆動システム1には、液圧アクチュエータ2~5が並列的に接続されている。即ち、液圧駆動システム1には、液圧アクチュエータ2~5の各ポート2c~5c,2d~5dが個別に接続されている。そして、液圧駆動システム1は、液圧アクチュエータ2~5の各ポート2c~5c,2d~5dに対して作動液を吸排することができる。これにより、液圧アクチュエータ2~5を作動させることができる。
【0015】
液圧駆動システム1は、第1液圧ポンプ11と、第1回路系統12と、第2液圧ポンプ13と、第2回路系統14と、合流弁15と、複数の圧力センサ17,18,19R~21R,19H~21H,22L,22Rと、操作装置23と、制御装置24とを備えている。
【0016】
第1液圧ポンプ11は、駆動源に接続されている。駆動源は、エンジンE又は電気モータである。なお、駆動源は、本実施形態においてエンジンEである。そして、第1液圧ポンプ11は、駆動源に回転駆動されることによって作動液を吐出する。そして、吐出された作動液は、主に第1回路系統12に供給される。第1液圧ポンプ11は、吐出容量を変えることができる。第1液圧ポンプ11は、本実施形態において斜板ポンプ又は斜軸ポンプである。
【0017】
第1回路系統12は、第1液圧ポンプ11に接続されている。また、第1回路系統12には、アームシリンダ2及び旋回モータ5が夫々並列的に接続されている。そして、第1回路系統12は、アームシリンダ2及び旋回モータ5に対する作動液の給排を制御する。更に詳細に説明すると、第1回路系統12は、アーム用メータイン制御弁31、アーム用メータアウト制御弁32、旋回用メータイン制御弁33、及び旋回用メータアウト制御弁34とを有している。
【0018】
第1メータイン制御弁の一例であるアーム用メータイン制御弁31は、第1液圧ポンプ11及びアームシリンダ2に接続されている。そして、アーム用メータイン制御弁31は、第1液圧ポンプ11からアームシリンダ2に流れる作動液のメータイン流量を制御する。更に詳細に説明すると、アーム用メータイン制御弁31は、第1ポンプ通路11aを介して第1液圧ポンプ11に接続されている。そして、アーム用メータイン制御弁31は、ロッド側通路2eを介してアームシリンダ2のロッド側ポート2cに接続され、またヘッド側通路2fを介してアームシリンダ2のヘッド側ポート2dに接続されている。また、アーム用メータイン制御弁31は、入力されるアーム用メータイン指令に応じて、第1液圧ポンプ11からアームシリンダ2に供給される作動液の方向及びメータイン流量を制御することができる。即ち、アーム用メータイン制御弁31は、作動液を第1液圧ポンプ11からアームシリンダ2のポート2c,2dの何れか一方に供給し、且つメータイン流量を制御することができる。本実施形態において、アーム用メータイン制御弁31は、電磁比例制御弁及び電動アクチュエータ等によってスプールを駆動する電子制御式のスプール弁である。即ち、アーム用メータイン制御弁31は、アーム用メータイン指令に基づいてスプール31aを移動させることによって作動液の流れる方向を切換え、またアーム用メータイン制御弁31の開度を制御する。
【0019】
第1メータアウト制御弁の一例であるアーム用メータアウト制御弁32は、アームシリンダ2とタンク10とに接続されている。そして、アーム用メータアウト制御弁32は、アームシリンダ2からタンク10に排出される作動液のメータアウト流量を制御する。更に詳細に説明すると、アーム用メータアウト制御弁32は、アーム用メータイン制御弁31に対を成すように設けられている。そして、アーム用メータアウト制御弁32は、対応するアーム用メータイン制御弁31に並列するようにロッド側通路2e及びヘッド側通路2fの各々に接続されている。また、アーム用メータアウト制御弁32は、入力されるアーム用メータアウト指令に応じて、アームシリンダ2からタンク10に排出される作動液の方向及びメータアウト流量を制御することができる。即ち、アーム用メータアウト制御弁32は、アーム用メータイン制御弁31が接続されるポート2c,2dと異なるポート2d,2cをタンク10に接続し、且つメータアウト流量を制御する。なお、アーム用メータアウト制御弁32は、アーム用メータアウト制御弁32を流れるメータアウト流量を、アーム用メータイン制御弁31を介してアームシリンダ2に供給されるメータイン流量から独立して制御することができる。更に詳細に説明すると、アーム用メータアウト制御弁32及びアーム用メータイン制御弁31は、各々のスプールを別々の動きをする構成されている。それ故、アーム用メータアウト制御弁32及びアーム用メータイン制御弁31は、個別に制御可能である。アーム用メータアウト制御弁32は、本実施形態において電子制御式のスプール弁である。即ち、アーム用メータアウト制御弁32は、アーム用メータアウト指令に基づいてスプール32aを移動させる。そして、アーム用メータアウト制御弁32は、スプール32aを移動させることによって作動液の流れる方向を切換え、またアーム用メータアウト制御弁32の開度を制御することができる。
【0020】
旋回用メータイン制御弁33は、アーム用メータイン制御弁31に並列するように第1液圧ポンプ11に接続され、且つ旋回モータ5に接続されている。そして、旋回用メータイン制御弁33は、第1液圧ポンプ11から旋回モータ5に流れる作動液のメータイン流量を制御する。更に詳細に説明すると、旋回用メータイン制御弁33は、アーム用メータイン制御弁31に並列するように第1ポンプ通路11aに接続されている。旋回用メータイン制御弁33は、第1旋回用通路5eを介して旋回モータ5の第1吸排ポート5cに接続され、また第2旋回用通路5fを介して旋回モータ5の第2吸排ポート5dに接続されている。また、旋回用メータイン制御弁33は、入力される旋回用メータイン指令に応じて、第1液圧ポンプ11から旋回モータ5に供給される作動液の方向及びメータイン流量を制御することができる。旋回用メータイン制御弁33は、本実施形態において電子制御式のスプール弁である。即ち、旋回用メータイン制御弁33は、アーム用メータイン指令に基づいてスプール33aを移動させることによって作動液の流れる方向を切換え、また旋回用メータイン制御弁33の開度を制御する。
【0021】
旋回用メータアウト制御弁34は、旋回モータ5とタンク10とに接続されている。そして、旋回用メータアウト制御弁34は、旋回モータ5からタンク10に排出される作動液のメータアウト流量を制御する。更に詳細に説明すると、旋回用メータアウト制御弁34は、旋回用メータイン制御弁33に対を成すように設けられている。そして、旋回用メータアウト制御弁34は、対応する旋回用メータイン制御弁33に並列するように第1旋回用通路5e及び第2旋回用通路5fの各々に接続されている。また、旋回用メータアウト制御弁34は、入力される旋回用メータアウト指令に応じて、旋回モータ5からタンク10に排出される作動液の方向及び流量(メータアウト流量)を制御することができる。なお、旋回用メータアウト制御弁34は、旋回用メータアウト制御弁34を流れるメータアウト流量を、旋回用メータイン制御弁33を介して旋回モータ5に供給されるメータイン流量から独立して制御することができる。更に詳細に説明すると、旋回用メータアウト制御弁34及び旋回用メータイン制御弁33は、各々のスプールを別々の動きをするように構成されている。それ故、旋回用メータアウト制御弁34及び旋回用メータイン制御弁33は、個別に制御可能である。旋回用メータアウト制御弁34は、本実施形態において電子制御式のスプール弁である。即ち、旋回用メータアウト制御弁34は、旋回用メータアウト指令に基づいてスプール34aを移動させることによって作動液の流れる方向を切換え、また旋回用メータアウト制御弁34の開度を制御することができる。
【0022】
第2液圧ポンプ13は、第1液圧ポンプ11と同様に駆動源に接続されている。即ち、第2液圧ポンプ13は、駆動源によって回転駆動されることによって作動液を吐出する。そして、吐出された作動液は、主に第2回路系統14に供給される。第2液圧ポンプ13もまた、吐出容量を変えることができる。第2液圧ポンプ13は、本実施形態において斜板ポンプ又は斜軸ポンプである。また、第2液圧ポンプ13の駆動源は、第1液圧ポンプ11の駆動源と同一又は別体であってもよい。
【0023】
第2回路系統14は、第2液圧ポンプ13に接続されている。また、第2回路系統14には、ブームシリンダ3及びバケットシリンダ4が夫々並列的に接続されている。そして、第2回路系統14は、ブームシリンダ3及びバケットシリンダ4に対する作動液の給排を制御する。更に詳細に説明すると、第2回路系統14は、ブーム用メータイン制御弁35、ブーム用メータアウト制御弁36、バケット用メータイン制御弁37、及びバケット用メータアウト制御弁38とを有している。
【0024】
第2メータイン制御弁の一例であるブーム用メータイン制御弁35は、第2液圧ポンプ13及びブームシリンダ3に接続されている。そして、ブーム用メータイン制御弁35は、第2液圧ポンプ13からブームシリンダ3に流れる作動液のメータイン流量を制御する。更に詳細に説明すると、ブーム用メータイン制御弁35は、第2ポンプ通路13aを介して第2液圧ポンプ13に接続されている。そして、ブーム用メータイン制御弁35は、ロッド側通路3eを介してブームシリンダ3のロッド側ポート3cに接続され、またヘッド側通路3fを介してブームシリンダ3のヘッド側ポート3dに接続されている。また、ブーム用メータイン制御弁35は、入力されるブーム用メータイン指令に応じて、第2液圧ポンプ13からブームシリンダ3に供給される作動液の方向及びメータイン流量を制御することができる。即ち、ブーム用メータイン制御弁35は、作動液を第2液圧ポンプ13からブームシリンダ3のポート3c,3dの何れか一方に供給し、且つメータイン流量を制御することができる。ブーム用メータイン制御弁35は、本実施形態において電子制御式のスプール弁である。即ち、ブーム用メータイン制御弁35は、ブーム用メータイン指令に基づいてスプール35aを移動させることによって作動液の流れる方向を切換え、またブーム用メータイン制御弁35の開度を制御する。
【0025】
第2メータアウト制御弁の一例であるブーム用メータアウト制御弁36は、ブームシリンダ3とタンク10とに接続されている。そして、ブーム用メータアウト制御弁36は、ブームシリンダ3からタンク10に排出される作動液のメータアウト流量を制御する。更に詳細に説明すると、ブーム用メータアウト制御弁36は、ブーム用メータイン制御弁35に対を成すように設けられている。そして、ブーム用メータアウト制御弁36は、対応するブーム用メータイン制御弁35に並列するようにロッド側通路3e及びヘッド側通路3fの各々に接続されている。また、ブーム用メータアウト制御弁36は、入力されるブーム用メータアウト指令に応じて、ブームシリンダ3からタンク10に排出される作動液の方向及びメータアウト流量を制御することができる。即ち、ブーム用メータアウト制御弁36は、ブーム用メータイン制御弁35が接続されるポート3c,3dと異なるポート3d,3cをタンク10に接続し、且つメータアウト流量を制御する。なお、ブーム用メータアウト制御弁36は、ブーム用メータアウト制御弁36を流れるメータアウト流量を、ブーム用メータイン制御弁35を介してブームシリンダ3に供給されるメータイン流量から独立して制御することができる。更に詳細に説明すると、ブーム用メータアウト制御弁36及びブーム用メータイン制御弁35は、各々のスプールを別々の動きをするように構成されている。それ故、ブーム用メータアウト制御弁36及びブーム用メータイン制御弁35は、個別に制御可能である。ブーム用メータアウト制御弁36は、本実施形態において電子制御式のスプール弁である。即ち、ブーム用メータアウト制御弁36は、ブーム用メータアウト指令に基づいてスプール36aを移動させることによって作動液の流れる方向を切換え、またブーム用メータアウト制御弁36の開度を制御することができる。
【0026】
バケット用メータイン制御弁37は、ブーム用メータイン制御弁35に並列するように第2液圧ポンプ13に接続され、且つバケットシリンダ4に接続されている。そして、バケット用メータイン制御弁37は、第2液圧ポンプ13からバケットシリンダ4に流れる作動液のメータイン流量を制御する。更に詳細に説明すると、バケット用メータイン制御弁37は、ブーム用メータイン制御弁35に並列するように第2ポンプ通路13aに接続されている。バケット用メータイン制御弁37は、ロッド側通路4eを介してバケットシリンダ4のロッド側ポート4cに接続され、またヘッド側通路4fを介してバケットシリンダ4のヘッド側ポート4dに接続されている。また、バケット用メータイン制御弁37は、入力されるバケット用メータイン指令に応じて、第2液圧ポンプ13からバケットシリンダ4に供給される作動液の方向及びメータイン流量を制御することができる。バケット用メータイン制御弁37は、本実施形態において電子制御式のスプール弁である。即ち、バケット用メータイン制御弁37は、バケット用メータイン指令に基づいてスプール37aを移動させることによって作動液の流れる方向を切換え、またバケット用メータイン制御弁37の開度を制御する。
【0027】
バケット用メータアウト制御弁38は、バケットシリンダ4とタンク10とに接続されている。そして、バケット用メータアウト制御弁38は、バケットシリンダ4からタンク10に排出される作動液のメータアウト流量を制御する。更に詳細に説明すると、バケット用メータアウト制御弁38は、バケット用メータイン制御弁37に対を成すように設けられている。そして、バケット用メータアウト制御弁38は、対応するバケット用メータイン制御弁37に並列するようにロッド側通路4e及びヘッド側通路4fの各々に接続されている。また、バケット用メータアウト制御弁38は、入力されるバケット用メータアウト指令に応じて、バケットシリンダ4からタンク10に排出される作動液の方向及びメータアウト流量を制御することができる。なお、バケット用メータアウト制御弁38もまた、バケット用メータアウト制御弁38を流れるメータアウト流量を、バケット用メータイン制御弁37を介してバケットシリンダ4に供給されるメータイン流量から独立して制御することができる。更に詳細に説明すると、バケット用メータアウト制御弁38及びバケット用メータイン制御弁37は、各々のスプールを別々の動きをするように構成されている。それ故、バケット用メータアウト制御弁38及びバケット用メータイン制御弁37は、個別に制御可能である。バケット用メータアウト制御弁38は、本実施形態において電子制御式のスプール弁である。即ち、バケット用メータアウト制御弁38は、バケット用メータアウト指令に基づいてスプール38aを移動させることによって作動液の流れる方向を切換え、またバケット用メータアウト制御弁38の開度を制御することができる。
【0028】
合流弁15は、合流通路15aを開閉する。合流通路15aは、第1液圧ポンプ11と第2液圧ポンプ13とを繋いでいる。より詳細に説明すると、合流通路15aは、第1及び第2ポンプ通路11a,13aに接続されている。本実施形態において、合流通路15aは、第1ポンプ通路11aにおいて液圧アクチュエータ2,5より上流側の部分に接続され、且つ第2ポンプ通路13aにおいて液圧アクチュエータ3,4より上流側の部分に接続されている。そして、合流通路15aは、第1液圧ポンプ11から吐出される作動液を第2ポンプ通路13aに合流させ、また第2液圧ポンプ13から吐出される作動液を第1ポンプ通路11aに合流させることができる。合流弁15は、合流通路15aに介在している。そして、合流弁15は、入力させる合流指令に基づいて合流通路15aを開閉する。更に、合流弁15は、入力される合流指令に基づいて合流弁15の開度を制御することができる。本実施形態において合流弁15は、電磁比例制御弁である。
【0029】
複数の圧力センサ17,18,19R~21R,19H~21H,22L,22Rの各々は、各所を流れる作動液の圧力を検出する。そして、複数の圧力センサ17,18,19R~21R,19H~21H,22L,22Rの各々は、検出した圧力を制御装置24に出力する。更に詳細に説明すると、第1吐出圧センサ17及び第2吐出圧センサ18は、第1ポンプ通路11a及び第2ポンプ通路13aに夫々接続されている。そして、第1吐出圧センサ17及び第2吐出圧センサ18は、第1液圧ポンプ11の吐出圧及び第2液圧ポンプ13の吐出圧を夫々検出する。また、ロッド側圧力センサ19R~21Rは、ロッド側通路2e~4eに夫々接続されている。そして、ロッド側圧力センサ19R~21Rは、アームシリンダ2、ブームシリンダ3、及びバケットシリンダ4のロッド側ポート2c~4cの圧力(ロッド圧)を検出する。更に、ヘッド側圧力センサ19H~21Hは、ヘッド側通路2f~4fに夫々接続されている。そして、ヘッド側圧力センサ19H~21Hは、アームシリンダ2、ブームシリンダ3、及びバケットシリンダ4のヘッド側ポート2d~4dの圧力(ヘッド圧)を検出する。第1旋回用圧力センサ22L及び第2旋回用圧力センサ22Rは、第1旋回用通路5e及び第2旋回用通路5fに夫々接続されている。そして、第1旋回用圧力センサ22L及び第2旋回用圧力センサ22Rは、2つの吸排ポート5c,5dの圧力(ポート圧)を検出する。
【0030】
操作装置23は、液圧アクチュエータ2~5の作動量を指示する操作量に応じた操作指令を制御装置24に出力する。本実施形態において、操作装置23は、例えば操作弁又は電気ジョイスティック等である。そして、操作装置23は、2つの操作レバー23a,23bを有している。操作レバー23a,23bは、操作者によって操作可能に構成されている。操作レバー23a,23bは、その操作量によって液圧アクチュエータ2~5の作動量を指示するための操作具である。即ち、操作装置23は、操作レバー23a,23bの操作量に応じた操作指令を制御装置24に出力する。本実施形態において、2つの操作レバー23a,23bの各々は、互いに交差する2方向(例えば、前後方向及び左右方向)を含む360度全方向に揺動可能に構成されている。そして、操作装置23は、操作レバー23a,23bの操作方向及び操作量に応じた操作指令を制御装置24に出力する。本実施形態において、第1操作レバー23aが平面視で第1方向に操作されると操作量に応じたアーム操作指令が出力され、また平面視で第2方向に操作されると操作量に応じた旋回操作指令が出力される。更に、操作レバー23aを平面視で斜め方向(例えば、平面視で第1方向に角度αを成す方向)に操作されると、アーム操作指令及び旋回操作指令の両方が出力される。そして、操作レバー23aの操作量のうち第1方向成分(即ち、第1方向への操作量)に応じたアーム操作指令が出力され、また第2方向成分に応じた旋回操作指令が出力される。また、第2操作レバー23bが第3方向に操作されると操作量に応じたブーム操作指令が出力され、第4方向に操作されると操作量に応じたバケット操作指令が出力される。更に、操作レバー23bを平面視で斜め方向(例えば、平面視で第3方向に角度βを成す方向)に操作されると、ブーム操作指令及びバケット操作指令の両方が出力される。そして、操作レバー23bの操作量のうち第3方向成分(即ち、第3方向への操作量)に応じたブーム操作指令が出力され、また第4方向成分に応じたバケット操作指令が出力される。アーム操作指令は、アームシリンダ2を作動させる操作指令である。また、旋回操作指令は、旋回モータ5を作動させる操作指令である。ブーム操作指令は、ブームシリンダ3を作動させる操作指令である。バケット操作指令は、バケットシリンダ4を作動させる操作指令である。
【0031】
制御装置24は、各液圧ポンプ11,13、各制御弁31~38、合流弁15、各圧力センサ17,18,19R~21R,19H~21H,22L,22R、及び操作装置23に接続されている。そして、制御装置24は、各液圧ポンプ11,13の吐出流量を制御する。本実施形態において、制御装置24は、吐出圧センサ17,18で検出される圧力に基づいて、液圧ポンプ11,13の吐出流量を馬力制御する。なお、液圧ポンプ11,13の吐出流量の制御方式は、馬力制御に限定されず、ロードセンシング制御であってもよい。また、制御装置24は、操作装置23からの各操作指令及び各圧力センサ17,18,19R~21R,19H~21H,22L,22Rで検出される圧力に応じて、合流弁15及び各制御弁31~38の開度を制御する。更に詳細に説明すると、制御装置24は、操作装置23からの各操作指令及び液圧アクチュエータ2~5の負荷に応じて合流弁15の動作を制御する。即ち、制御装置24は、操作装置23からの各操作指令及び液圧アクチュエータ2~5の負荷に応じて合流弁15に合流通路15aを開閉させる。これにより、第1液圧ポンプ11及び第2液圧ポンプ13の一方から吐出される作動液を他方から吐出される作動液に合流させることができる。更に、制御装置24は、操作装置23からの各操作指令及び液圧アクチュエータ2~5の負荷に応じて合流弁15の開度を制御する。制御装置24は、合流弁15の開度を制御することによって操作レバー23a,23bの操作量に応じた合流流量の作動液を合流させることができる。また、制御装置24は、メータイン制御弁31,33,35,37の開度を制御することによって各液圧アクチュエータ2~5に供給される作動液のメータイン流量を制御する。また、制御装置24は、メータアウト制御弁32,34,36,38の開度を制御することによって液圧アクチュエータ2~5から排出される作動液のメータアウト流量を制御する。
【0032】
更に詳細に説明すると、制御装置24は、合流弁15の動作を制御すべく以下のような機能を有する。即ち、制御装置24は、
図2に示すように合流判定部41と、合流弁開度演算部42と、合流切替部43と、乗算器44とを有している。また、制御装置24は、メータイン流量及びメータアウト流量を調整すべく以下のような構成を有する。即ち、制御装置24は、
図3に示すようにメータイン制御弁開度演算部(M/I制御弁開度演算部)45、圧力補償付きM/I制御弁開度演算部46、及びメータアウト制御弁開度演算部(M/O制御弁開度演算部)47を有している。
【0033】
図2に示す合流判定部41は、第1液圧ポンプ11及び第2液圧ポンプ13の一方から吐出される作動液を他方から吐出される作動液に合流させるか否か(即ち、合流の有無)を判定する。より詳細に説明すると、制御装置24は、操作装置23からの各操作指令及び液圧アクチュエータ2~5の負荷に基づいて合流条件を充足するか否かを判定する。本実施形態において、制御装置24では、液圧アクチュエータ2~5の作動状態に応じた複数の合流条件が設定されている。例えば、制御装置24では、第1合流条件及び第2合流条件が設定されている。第1合流条件(アーム及びブーム同時操作)は、第1操作レバー23aの第1方向への操作量及び第2操作レバー23bの第3方向への操作量の各々が第1及び第2所定量以上で、且つアームシリンダ2の負荷が所定値以上あるという条件である。ここで、アームシリンダ2の負荷とは、アームシリンダ2の流入側受圧面積に流入圧を乗算した値からアームシリンダ2の流出側受圧面積に流出圧を乗算した値を減算した値である。また、第2合流条件(アーム単独操作)は、第1操作レバー23aの第1方向への操作量が第3所定量以上で且つアームシリンダ2の負荷が所定値以上であるという条件である。即ち、制御装置24は、第1合流条件によってアームシリンダ2及びブームシリンダ3の同時操作時における合流判定を行い、また第2合流条件によってアームシリンダ2の単独操作時における合流判定を行う。その他、制御装置24には、操作装置23からの各操作指令及び液圧アクチュエータ2~5の負荷に基づいて判定可能な複数の合流条件が設定される。そして、制御装置24は、第1合流条件及び第2合流条件を含む複数の合流条件の充足の有無を夫々判定する。なお、合流条件は、前述するものに限定されず、操作レバー23a,23bの各々に対する単独操作、及び複合動作に応じて設定される。なお、制御装置24は、操作レバー23a,23bの各々の操作量に基づいて複数の合流条件の有無を判定しているが、各制御弁31~38のスプール31a~38aに与えられるパイロット圧が操作量として用いられてもよい。
【0034】
合流弁開度演算部42は、合流弁15の開度を演算する。更に詳細に説明すると、合流弁開度演算部42には、前述する複数の合流条件毎に対応させた複数の合流開度マップ又は複数の演算式が設定されている。そして、合流開度マップ又は演算式では、操作量と合流弁15の開度とが対応付けられている。そして、合流弁開度演算部42は、操作量と合流開度マップ又は演算式とに基づいて合流弁15の開度を演算する。合流弁開度演算部42は、充足する全ての合流条件に対して合流弁15の開度を演算する。そして、合流弁開度演算部42は演算された複数の開度のうち最も大きい開度を合流弁15の合流開度として選択する。
【0035】
合流切替部43は、合流判定部41の判定結果に応じて、合流指令の出力の有無を切替える。更に詳細に説明すると、合流切替部43は、合流判定部41の判定結果に応じて切替係数を出力する。本実施形態において、制御装置24は、複数の合流条件の充足に応じて合流可否状態を切り替える。即ち、合流不可の状態に設定されると、合流切替部43は0の値を出力する。他方、切替指令によって合流可の状態に設定されると、合流切替部43は1の値を出力する。
【0036】
乗算器44は、合流弁開度演算部42にて選択された合流開度に合流切替部43から出力される切替係数を乗算することによって合流指令を作成する。そして、乗算器44は、作成した合流指令を合流弁15に出力する。このようにして合流可の状態において合流判定部41の結果に応じて合流弁15の開度が制御される。他方、合流不可の状態において、合流弁15によって合流通路15aが閉じられている状態が維持される。
【0037】
図3に示すM/I制御弁開度演算部45は、操作装置23からの各操作指令に基づいてメータイン制御弁33,35,37の各々の開度を演算する。更に詳細に説明すると、M/I制御弁開度演算部45は、各操作指令とそれに対応するメータイン制御弁33,35,37の開度との関係を示す開度マップ又は演算式を有している。そして、M/I制御弁開度演算部45は、取得する操作指令と開度マップ又は演算式とに基づいてメータイン制御弁33,35,37の開度を演算する。M/I制御弁開度演算部45は、演算された開度に応じたメータイン指令を対応するメータイン制御弁33,35,37に出力する。これにより、M/I制御弁開度演算部45は、メータイン制御弁33,35,37の開度を制御して、操作装置23からの操作指令に応じたメータイン流量を対応する液圧アクチュエータ3~5に供給する。
【0038】
圧力補償付きM/I制御弁開度演算部(以下、「圧力補償演算部」という)46は、操作装置23からのアーム操作指令及びアーム用メータイン制御弁31の前後圧に基づいてアーム用メータイン制御弁31の開度を演算する。アーム用メータイン制御弁31の前後圧は、第1吐出圧センサ17で検出される吐出圧及びロッド側圧力センサ19R又はヘッド側圧力センサ19H(流入圧センサ)で検出されるアームシリンダ2の流入圧の差圧である。更に詳細に説明すると、圧力補償演算部46は、アーム操作指令とメータイン流量との関係を示す流量マップ又は演算式を有している。そして、圧力補償演算部46は、取得するアーム操作指令及び流量マップ又は演算式に基づいてアーム目標メータイン流量を演算する。ここで、アーム目標メータイン流量は、アームシリンダ2のメータイン流量の目標値である。次に、圧力補償演算部46は、第1吐出圧センサ17、ロッド側圧力センサ19R、及びヘッド側圧力センサ19Hに基づいてアーム用メータイン制御弁31の前後圧を算出する。そして、圧力補償演算部46は、演算された前後圧及び目標メータイン流量並びに演算式(例えば、ベルヌーイの定理)に基づいてアーム用メータイン制御弁31の開度を演算する。圧力補償演算部46は、演算された開度に応じたアーム用メータイン指令をアーム用メータイン制御弁31に出力する。これにより、圧力補償演算部46は、アームシリンダ2のメータイン流量に対して圧力補償を行うことができる。それ故、アーム操作指令に応じた目標メータイン流量の作動液をアームシリンダ2に供給することができる。また、圧力補償を行うことによって、同時操作される他の液圧アクチュエータ3~5に流れる作動液のメータイン流量を確保することができる。
【0039】
M/O制御弁開度演算部47は、操作装置23からの各操作指令に基づいてメータアウト制御弁32,34,36,38の各々の開度を演算する。そして、M/O制御弁開度演算部47は、演算された開度に応じたメータアウト指令を対応するメータアウト制御弁32,34,36,38に出力する。これにより、メータアウト制御弁32,34,36,38の開度が制御され、操作装置23からの操作指令に応じたメータアウト流量が液圧アクチュエータ2~5の各々から排出される。
【0040】
<液圧駆動システムの動作>
液圧駆動システム1は、操作レバー23a,23bが操作されると、操作方向及び操作量に応じた操作指令が操作装置23から制御装置24に出力される。そして、M/I制御弁開度演算部45及び圧力補償演算部46は、操作指令に基づいてメータイン制御弁31,33,35,37にメータイン指令を出力する。また、M/O制御弁開度演算部47は、操作指令に基づいてメータアウト制御弁32,34,36,38にメータアウトン指令を出力する。これにより、液圧アクチュエータ2~5の一方のポート2c~5c,2d~5dに操作指令に応じたメータイン流量の作動液が供給され、且つ他方のポート2d~5d,2c~5cから操作指令に応じたメータアウト流量の作動液が排出される。それ故、液圧アクチュエータ2~5が操作指令に応じた速度にて作動する。
【0041】
また、液圧駆動システム1は、前述する何れかの合流条件を充足する場合、2つの液圧ポンプ11,13の作動液を合流させる。更に詳細に説明すると、制御装置24は、操作装置23から出力される操作指令に基づいて何れかの合流条件を充足するか否かを判定する。例えば、アームシリンダ2とブームシリンダ3とを同時に作動させるために第1操作レバー23aが第1方向に且つ第2操作レバー23bが第3方向に同時に操作された場合について以下で説明する。
【0042】
まず、制御装置24の合流判定部41は、アーム操作指令及びブーム操作指令に基づいて第1合流判定の充足の有無を判定する。そして、第1操作レバー23aの第1方向の操作量が第1操作量以上で且つ第2操作レバー23bの第3方向の操作量が第2操作量以上であって、センサ19H,19Rの何れかが所定圧力以上である場合、合流判定部41は第1合流条件を充足すると判定する。また、合流判定部41は、アーム操作指令に基づいて第2合流判定の充足の有無を判定する。そして、第2操作レバー23bの第3方向の操作量が第3操作量以上であり、且つアームシリンダ2の負荷が所定値以上である場合、合流判定部41は、第2合流条件を充足すると判定する。そして、合流切替部43は、少なくとも1つの合流条件を充足すると、切替係数として1の値を乗算器44に出力する。
【0043】
次に、合流弁開度演算部42は、充足する合流条件に対応する合流開度マップ又は演算式に基づいて合流弁15の開度を演算する。そして、合流弁開度演算部42は、演算された複数の開度のうち最も大きい開度を合流開度として選択する。即ち、合流弁開度演算部42は、第1合流条件及び第2合流条件に夫々対応する合流開度マップ又は演算式に基づいて2つの開度を演算する。そして、合流弁開度演算部42は、2つの開度のうち大きい方の開度を合流開度として選択する。乗算器44は、選択される合流開度に合流切替部43からの切替係数を乗算させた合流指令を出力する。切替指令によって合流可の状態に設定されている場合、合流指令が合流弁15に出力される。これにより、合流弁15によって合流通路15aが開かれる。それ故、第1液圧ポンプ11及び第2液圧ポンプ13の作動液を合流させることができる。そうすると、1つの液圧ポンプ11,13の最大吐出流量を超えるメータイン流量の作動液を液圧シリンダ2,3(本実施形態において、ブームシリンダ3)に供給することができる。本実施形態において、最大吐出流量とは、馬力制御されている液圧ポンプ11,13が夫々吐出可能な最大値である。即ち、各液圧ポンプ11,13の最大吐出流量は、各液圧ポンプ11,13に対する馬力線図と各ポンプ11,13の吐出圧に基づいて算出される。但し、最大吐出流量は、前述する最大値に限らず、他の制御によって制限される吐出流量の最大値であってもよい。
【0044】
また、M/I制御弁開度演算部45は、操作装置23からのブーム操作指令及び開度マップ又は演算式に基づいてブーム用メータイン制御弁35の開度を制御する。これにより、ブームシリンダ3にブーム操作指令に応じたメータイン流量の作動液が供給される。即ち、ブームシリンダ3が操作レバー23bの第3方向の操作量に応じた速度にて作動する。他方、圧力補償演算部46は、操作装置23からのアーム操作指令及びアーム用メータイン制御弁31の前後圧に基づいてアーム用メータイン制御弁31の開度を制御する。即ち、圧力補償演算部46は、圧力補償しながらアーム操作指令に応じたメータイン流量の作動液をアームシリンダ2に供給させる。更に、M/O制御弁開度演算部47は、操作装置23からのアーム操作指令及びブーム操作指令に基づいてメータアウト制御弁32,36の各々の開度を制御する。これにより、アーム操作指令に応じたメータアウト流量の作動液をアームシリンダ2から排出させ、且つブーム操作指令に応じたメータアウト流量の作動液をブームシリンダ3から排出させることができる。
【0045】
液圧駆動システム1では、アームシリンダ2の負荷がブームシリンダ3の負荷より小さい場合、制御装置24がアーム用メータイン制御弁31の開度を制御することによってアームシリンダ2に流れる作動液の流量を制限することができる。これにより、アームシリンダ2に対して設けられる圧力補償弁を廃止することができるので、アームシリンダ2及びブームシリンダ3が同時操作された際のエネルギーの消費を抑えることができる。本実施形態において、エンジンEの燃費を向上させることができる。
【0046】
更に詳細に説明すると、液圧駆動システム1では、アームシリンダ2のアーム用メータイン制御弁31及びアーム用メータアウト制御弁32の開度を別々に制御することができる。即ち、制御装置24は、アーム用メータアウト制御弁32の開度をアーム操作指令に応じた開度に維持し、且つ合流通路15aの開閉及びアーム操作指令に応じてアーム用メータイン制御弁31の開度を制御することができる。これにより、アーム用メータイン制御弁31によってアームシリンダ2へのメータイン流量に対して圧力補償を行うことができる。それ故、合流通路15aが開いている状態においても、第1操作レバー23aの第1方向の操作量に応じた速度にてアームシリンダ2を作動させ、且つ第2操作レバー23bの第3方向の操作量に応じた速度にてブームシリンダ3を作動させることができる。
【0047】
また、液圧駆動システム1では、各液圧ポンプ11,13の作動液を合流させることによって1つの液圧ポンプ11,13の最大吐出流量を超えるメータイン流量の作動液を液圧シリンダ2,3に供給することができる。これにより、第1液圧ポンプ11及び第2液圧ポンプ13の小型化を図ることができる。
【0048】
更に詳細に説明すると、制御装置24は、ブーム用メータイン制御弁35の開度を制御することによって、ブームシリンダ3に流れる作動液の流量を確保することができる。即ち、液圧駆動システム1は、ブームシリンダ3のブーム用メータイン制御弁35及びブーム用メータアウト制御弁36の開度もまた別々に制御することができる。つまり、メータアウト流量を確保すべくブーム用メータアウト制御弁36の開度を維持しつつ、メータイン流量を調整するためにブーム用メータイン制御弁35の開度を変えることができる。これにより、合流通路15aが開いて大きな流量の作動液が第2ポンプ通路13aに供給されても、第2操作レバー23bの第3方向の操作量に応じた速度にてブームシリンダ3を作動させることができる。即ち、アームシリンダ2及びブームシリンダ3が同時に操作される場合において、アームシリンダ2及びブームシリンダ3を共に対応する操作量に応じた速度にて作動させることができる。
【0049】
更に、液圧駆動システム1では、アームシリンダ2及びブームシリンダ3が同時に操作された際、2つの操作レバー23a,23bの各々の操作量に応じて合流弁15の開度が制御される。そうすると、適量の作動液を第1液圧ポンプ11から第2回路系統14(又は第2液圧ポンプ13から第1回路系統12)に流すことができる。これにより、第2回路系統14(又は第1回路系統12)において、作動液の流量が絞られることによって必要以上にアクチュエータ4,5(又はアクチュエータ2,3)に導かれることを抑制できる。例えば、アームシリンダ2及びブームシリンダ3が同時に操作される場合、第2回路系統14に適量の作動油が導かれることによってブーム用メータイン制御弁35の開度を大きく設定することができる。これにより、ブーム用メータイン制御弁35の開度を絞ってエネルギーが消費されることを抑制することができる。即ち、ブーム用メータイン制御弁35における圧力損失を低減することができ、第2回路系統14においてエネルギーが消費されることを抑制できる。
【0050】
また、液圧駆動システム1では、圧力補償演算部46がアーム操作指令に応じた目標メータイン流量とアーム用メータイン制御弁31の前後圧とに基づいて前記アーム用メータイン制御弁31の開度を制御する。即ち、圧力補償演算部46は、アームシリンダ2のメータイン流量に対して圧力補償を行っている。それ故、同時に操作される際に2つの操作レバー23a,23bの各々の操作量に応じた流量の作動液をアームシリンダ2に供給することができる。これにより、同時操作された際のアームシリンダ2の操作性へ影響を抑えることができる。また、液圧駆動システム1ではアームシリンダ2の負荷とブームシリンダ3の負荷との差が大きい場合において、ブームシリンダ3に導かれる作動液の流量が減少する。それ故、圧力補償演算部46がアームシリンダ2のメータイン流量を抑制するようにアーム用メータイン制御弁31に対して開度制御をすることが、液圧駆動システム1では特に有用である。
【0051】
また、液圧駆動システム1では、ブーム操作指令に応じたメータイン流量に対して第2液圧ポンプ13の吐出流量が不足する場合において、制御装置24が合流弁15を開くことによって合流弁15を介して第1液圧ポンプ11の作動液を第2液圧ポンプ13の作動液に合流させることができる。これにより、ブームシリンダ3に対してブーム操作指令に応じたメータイン流量が確保することができる。他方、ブーム操作指令に応じたメータイン流量に対して第2液圧ポンプ13によって十分な流量が確保できる場合には、合流通路15aを合流弁15によって閉じることによってエネルギー消費を抑えることができる。本実施形態において、エンジンEの燃費を向上させることができる。
【0052】
[第2実施形態]
第2実施形態の液圧駆動システム1Aは、第1実施形態の液圧駆動システム1と構成が類似している。従って、第2実施形態の液圧駆動システム1Aの構成については、主に第1実施形態の液圧駆動システム1と異なる点について説明し、同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0053】
第2実施形態の液圧駆動システム1Aは、
図1に示すように第1液圧ポンプ11と、第1回路系統12と、第2液圧ポンプ13と、第2回路系統14と、合流弁15と、複数の圧力センサ17,18,19R~21R,19H~21H,22L,22Rと、操作装置23と、制御装置24Aを備えている。
【0054】
制御装置24Aは、第1実施形態の制御装置24と同様の機能を有する。そして、制御装置24Aは、更に以下のようにして合流弁15の開度を制御する。即ち、制御装置24Aは、第1総流量と第1液圧ポンプ11の最大吐出流量との差分である第1流量差分、及び第2総流量と第2液圧ポンプ13の最大吐出流量との差分である第2流量差分の何れかに基づいて、合流弁15の開度を制御する。第1総流量は、第1回路系統12から液圧アクチュエータ2,5に供給される目標メータイン流量(以下、「目標M/I流量」という)の総流量である。また、第2総流量は、第2回路系統14から液圧アクチュエータ3,4に供給される目標M/I流量の総流量である。また、各液圧アクチュエータ2~5の目標M/I流量は、各液圧アクチュエータ2~5のメータイン流量の目標値である。
【0055】
更に詳細に説明すると、制御装置24Aは、
図4に示すように第1合流開度演算部51と、第2合流開度演算部52と、合流開度選択部53と、合流指令出力部54とを有している。第1合流開度演算部51は、合流弁15の開度である第1合流開度を第1流量差分に基づいて演算する。更に詳細に説明すると、第1合流開度演算部51は、アーム用マップ又は演算式とアーム操作指令とに基づいてアーム目標M/I流量(アームシリンダ2の目標M/I流量)を演算する。また、第1合流開度演算部51は、旋回用マップ又は演算式と旋回操作指令とに基づいて旋回目標M/I流量(旋回モータ5の目標M/I流量)を演算する。そして、第1合流開度演算部51は、演算されたアーム目標M/I流量及び旋回目標M/I流量を加算して第1総流量を演算する。また、第1合流開度演算部51は、第1液圧ポンプ11の馬力線図と第1吐出圧センサ17で検出される吐出圧とに基づいて第1液圧ポンプ11の最大吐出流量を演算する。そして、第1合流開度演算部51は、第1液圧ポンプ11の最大吐出流量から第1総流量を減算する(即ち、第1流量差分を算出する)。そして、第1合流開度演算部51は、開度マップ及び第1流量差分に基づいて第1合流開度を演算する。
【0056】
第2合流開度演算部52もまた第1合流開度演算部51の演算方法と同様の方法によって合流弁15の開度である第2合流開度を第2流量差分に基づいて演算する。更に詳細に説明すると、第2合流開度演算部52は、ブーム用マップ又は演算式とブーム操作指令とに基づいてブーム目標M/I流量(ブームシリンダ3の目標M/I流量)を演算する。また、第2合流開度演算部52は、バケット用マップ又は演算式とバケット操作指令とに基づいてバケット目標M/I流量(バケットシリンダ4の目標M/I流量)を演算する。第2総流量演算部分73は、演算されたブーム目標M/I流量及びバケット目標M/I流量を加算して第2総流量を演算する。また、第2合流開度演算部52は、第2液圧ポンプ13の馬力線図と第2吐出圧センサ18で検出される吐出圧とに基づいて第2液圧ポンプ13の最大吐出流量を演算する。そして、第2合流開度演算部52は、第2液圧ポンプ13の最大吐出流量から第2総流量を減算する(即ち、第2流量差分を算出する)。そして、第2合流開度演算部52は、開度マップ及び第2流量差分に基づいて第2合流開度を演算する。
【0057】
合流開度選択部53は、第1合流開度演算部51で演算された第1合流開度及び第2合流開度演算部52で演算された第2合流開度の何れかを選択する。より詳細に説明すると、合流開度選択部53は、第1合流開度及び第2合流開度のうち何れか大きい方を選択する。
【0058】
合流指令出力部54は、合流開度選択部53で選択された合流開度に基づいて合流指令を出力する。更に詳細に説明すると、合流指令出力部54は、合流開度と合流指令との関係を示す指令マップを有している。合流指令出力部54は、選択された合流開度と指令マップとに基づいて合流指令を作成する。そして、合流指令出力部54は、作成された合流指令を合流弁15に出力する。これにより、合流弁15の開度が第1流量差分及び第2流量差分の何れかに基づいて制御される。
【0059】
<液圧駆動システムの動作>
液圧駆動システム1Aの制御装置24Aは、操作レバー23a,23bが操作されると、操作指令に基づいてメータイン制御弁31,33,35,37を制御すると共に合流弁15の開度を制御する。即ち、制御装置24Aでは、第1合流開度演算部51が第1合流開度を演算し、また第2合流開度演算部52が第2合流開度を演算する。そして、合流開度選択部53は、演算される第1合流開度及び第2合流開度の大きい方を選択する。更に、合流指令出力部54は、選択された合流開度に応じた合流指令を合流弁15に出力する。
【0060】
例えば、操作レバー23a,23bが操作されて第1総流量が第1液圧ポンプ11の最大吐出流量以上であって、第1合流開度が第2合流開度より大きい場合、合流開度選択部53が合流開度として第1合流開度を選択する。制御装置24Aは、選択された第1合流開度に応じた合流指令を合流弁15に出力する。これにより、合流弁15の開度が第1流量差分に基づいて制御される。同様に、第2総流量が第2液圧ポンプ13の最大吐出流量以上であって、第1合流開度が第2合流開度より大きい場合、合流開度選択部53が合流開度として第2合流開度を選択する。制御装置24Aは、選択された第2合流開度に応じた合流指令を合流弁15に出力する。これにより、合流弁15の開度が第2流量差分に基づいて制御される。
【0061】
このように構成されている液圧駆動システム1Aは、第1総流量に対して第1液圧ポンプ11の最大吐出流量が小さい場合において、合流弁15を介して第2液圧ポンプ13の作動液を第1液圧ポンプ11に合流させることができる。これにより、液圧アクチュエータ2,5において作動液の流量が不足することを抑制できる。同様に、第2総流量に対して第2液圧ポンプ13の最大吐出流量が小さい場合もまた、合流弁15を介して第1液圧ポンプ11の作動液を第2液圧ポンプ13に合流させることができる。これにより、液圧アクチュエータ3,4において作動液の流量が不足することを抑制できる。
【0062】
その他、第2実施形態の液圧駆動システム1Aは、第1実施形態の液圧駆動システム1と同様の作用効果を奏する。
【0063】
[その他の実施形態]
本実施形態の液圧駆動システム1,1Aでは、主にアームシリンダ2とブームシリンダ3とが同時に操作された場合について説明したが、第3乃至第5合流条件を充足する際も同じように前述する方法によって合流弁15によって合流通路15aが開かれる。また、液圧駆動システム1は、アームシリンダ2、ブームシリンダ3、バケットシリンダ4、及び旋回モータ5以外の液圧アクチュエータを備えていてもよく、それら以外の液圧アクチュエータの同時操作についても同様に適用可能である。
【0064】
また、本実施形態の液圧駆動システム1,1Aでは、合流弁15が電磁比例制御弁であるが、合流通路15aの開閉だけを切り替える開閉切替弁であってもよい。また、液圧駆動システム1は、3つ以上の液圧ポンプを備えていてもよく、各回路系統12,14に少なくとも1つ以上の液圧ポンプが備わっていればよい。また、液圧駆動システム1は、3つ以上の回路系統を備えていてもよい。更に、液圧駆動システム1は、アームシリンダ2、ブームシリンダ3、バケットシリンダ4、及び旋回モータ5以外の液圧アクチュエータを備えていてもよい。
【0065】
更に本実施形態の液圧駆動システム1,1Aでは、メータアウト制御弁32,34,36,38の開度が対応するメータイン制御弁31,33,35,37の開度に応じて制御されてもよい。即ち、メータイン流量に応じてメータアウト流量が制御されてもよい。また、メータアウト制御弁32,34,36,38の開度は、操作装置23からの各操作指令と液圧アクチュエータ2~5の負荷とに基づいて制御されてもよい。その他、メータアウト制御弁32,34,36,38の開度の制御方法は、前述する方法に限定されない。
【0066】
更に本実施形態の液圧駆動システム1では、アームシリンダ2だけが圧力補償されているが、M/I制御弁開度演算部45が各液圧アクチュエータ3~5に対して圧力補償を行ってもよい。なお、アームシリンダ2は、ブームシリンダ3に比べて圧力変動が大きい。それ故、アームシリンダ2に対して圧力補償を行うことは特に有用である。また、液圧駆動システム1において、全てのアクチュエータに対して圧力補償弁が廃止されているが、必ずしも全てのアクチュエータに対して圧力補償弁が廃止されている必要はない。例えば、バケットシリンダ4に圧力補償弁が接続されていてもよい。更に、操作装置23の操作レバーの数は、2つではなく1つ及び3つ以上であってもよい。例えば、操作レバーは、液圧アクチュエータ2~5毎に1つずつ設けられてもよい。
【0067】
また、本実施形態の液圧駆動システム1,1Aでは、液圧アクチュエータ2~5に対してメータイン流量を制御する制御弁31,33,35,37とメータアウト流量を制御する制御弁32,34,36,38とが夫々設けられているが必ずしもこのような構成に限定されない。例えば、液圧シリンダ2~4には、ロッド側ポート2c~4cに対する作動液の給排を制御するロッド側制御弁と、ヘッド側ポート2d~4dに対する作動液の給排を制御するヘッド側制御弁が設けられる。そして、ロッド側ポート2c~4cに作動液が供給される場合、ロッド側制御弁がメータイン制御弁として機能し、ヘッド側制御弁がメータアウト制御弁として機能する。他方、ヘッド側ポート2d~4dに作動液が供給される場合、ヘッド側制御弁がメータイン制御弁として機能し、ロッド側制御弁がメータイン制御弁として機能する。このように構成されている液圧駆動システムであっても液圧駆動システム1と同様の作用効果を奏する。
【0068】
また、本実施形態の液圧駆動システム1,1Aにおいて、液圧アクチュエータ2~5は自動運転を実現すべく操作装置23から出力される操作指令に基づいて液圧アクチュエータ2~5を作動させてもよい。即ち、操作装置は、種々のセンサやプログラム等に基づいて液圧アクチュエータ2~5の作動量を決める。更に、操作装置は、決められた作動量に基づいて操作量を設定し、操作量に応じた操作指令を制御装置21に出力する。これにより、液圧アクチュエータ2~5の自動運転を実現することができる。なお、前述する操作装置は、制御装置21と一体的に構成されてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1,1A 液圧駆動システム
2 アームシリンダ(第1液圧アクチュエータ)
3 ブームシリンダ(第2液圧アクチュエータ)
4 バケットシリンダ(液圧アクチュエータ)
5 旋回モータ(液圧アクチュエータ)
10 タンク
11 第1液圧ポンプ
11a 第1ポンプ通路
12 第1回路系統
13 第2液圧ポンプ
13a 第2ポンプ通路
14 第2回路系統
15 合流弁
15a 合流通路
17 第1吐出圧センサ(吐出圧センサ)
19H ヘッド側圧力センサ(流入圧センサ)
19R ロッド側圧力センサ(流入圧センサ)
23 操作装置
24,24A 制御装置
31 アーム用メータイン制御弁(第1メータイン制御弁)
32 アーム用メータアウト制御弁(第1メータアウト制御弁)
35 ブーム用メータイン制御弁(第2メータイン制御弁)
36 ブーム用メータアウト制御弁(第2メータアウト制御弁)