(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-18
(45)【発行日】2024-07-26
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
H05B 6/12 20060101AFI20240719BHJP
F24C 3/12 20060101ALI20240719BHJP
F24C 7/04 20210101ALI20240719BHJP
【FI】
H05B6/12 313
F24C3/12 A
F24C7/04 301A
(21)【出願番号】P 2020158939
(22)【出願日】2020-09-23
【審査請求日】2023-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】弁理士法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】後藤 雅樹
【審査官】西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-204910(JP,A)
【文献】特開2013-019575(JP,A)
【文献】特開2016-181427(JP,A)
【文献】特開昭60-036829(JP,A)
【文献】特開平02-115621(JP,A)
【文献】国際公開第2018/033428(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 6/12
F24C 3/00- 3/12
F24C 7/00- 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱物を加熱する加熱手段と、
前記加熱手段の加熱出力を制御する制御手段と、
前記加熱出力を変更するための入力操作を受ける入力手段と、を備え、
前記制御手段は、予め設定された調理シーケンスに基づいて少なくとも前記加熱出力を制御する自動調理動作を実行可能な加熱調理器であって、
前記調理シーケンスには、前記加熱出力の実行値と、前記加熱出力の上限値及び下限値の少なくとも一方によって決まる変更範囲と、が規定され、
前記制御手段は、前記自動調理動作の実行中に前記入力手段が前記入力操作を受けた場合、前記変更範囲内で前記加熱出力を変更するように構成され
、
前記調理シーケンスは、それぞれ前記実行値と前記変更範囲とが規定された複数の調理ステップを有し、
前記調理シーケンスは、前記実行値が異なる前記調理ステップ同士の前記変更範囲の少なくとも一部が重複する構成を含んでいることを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
報知を行う報知手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記変更範囲を超えて前記加熱出力を変更しようとする前記入力操作が前記入力手段に対してなされた場合、前記報知手段を制御して前記変更範囲を外れている旨の前記報知を行わせる請求項
1記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記調理シーケンスを記憶する記憶手段をさらに備え、
前記制御手段は、
前記自動調理動作の終了時に、実行した前記調理シーケンス中に前記加熱出力を変更した変更履歴があるか否かを判断し、
前記変更履歴があると判断した場合、前記変更履歴に対応する前記調理シーケンスを前記記憶手段に記憶させるか否かの選択入力を受ける請求項1
又は2記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記制御手段は、前記変更履歴に対応する前記調理シーケンスを前記記憶手段に記憶させるときに、前記変更履歴の発生前と発生以降とに区分けして記憶させる請求項
3記載の加熱調理器。
【請求項5】
被加熱物を加熱する加熱手段と、
前記加熱手段の加熱出力を制御する制御手段と、
前記加熱出力を変更するための入力操作を受ける入力手段と、を備え、
前記制御手段は、予め設定された調理シーケンスに基づいて少なくとも前記加熱出力を制御する自動調理動作を実行可能な加熱調理器であって、
前記調理シーケンスには、前記加熱出力の実行値と、前記加熱出力の上限値及び下限値の少なくとも一方によって決まる変更範囲と、が規定され、
前記制御手段は、前記自動調理動作の実行中に前記入力手段が前記入力操作を受けた場合、前記変更範囲内で前記加熱出力を変更するように構成され、
前記調理シーケンスを記憶する記憶手段をさらに備え、
前記制御手段は、
前記自動調理動作の終了時に、実行した前記調理シーケンス中に前記加熱出力を変更した変更履歴があるか否かを判断し、
前記変更履歴があると判断した場合、前記変更履歴に対応する前記調理シーケンスを前記記憶手段に記憶させるか否かの選択入力を受け、
前記制御手段は、前記変更履歴に対応する前記調理シーケンスを前記記憶手段に記憶させるときに、前記変更履歴の発生前と発生以降とに区分けして記憶させることを特徴とする加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1及び特許文献2に従来の加熱調理器の例が開示されている。これらの加熱調理器は、加熱手段、制御手段及び入力手段を備えている。加熱手段は、被加熱物を加熱する。制御手段は、加熱手段の加熱出力を制御する。入力手段は、加熱出力を変更するための入力操作を受ける。
【0003】
特許文献1開示の加熱調理器では、加熱手段は誘導加熱コイルであり、入力手段は前面操作部に設けられた操作ダイヤルである。制御手段は、外部端末から受信した調理データに基づいて加熱手段について少なくとも加熱出力を制御する自動調理動作を実行可能である。また、ユーザが外部端末で起動したアプリケーションを操作し、以前実行した調理データの内容を見ながら加熱出力等の調理データを変更した場合、制御手段は、その変更された調理データを外部端末から受信して自動調理動作を実行可能である。
【0004】
特許文献2開示の加熱調理器では、加熱手段は加熱コイルであり、入力手段は上面操作部に設けられた火力設定手段である。制御手段は、メニュー設定手段で選択された自動メニューに応じて加熱手段について少なくとも加熱出力を制御する自動調理動作を実行可能である。制御手段は、自動調理動作の実行中にユーザが火力設定手段を操作して加熱出力を設定した場合、自動メニューに従った加熱制御を取消し、火力設定手段によって設定された加熱出力で被加熱物を加熱するようにインバータ回路を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-72802号公報
【文献】特開2012-22905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1の加熱調理器では、調理データの加熱出力を変更するためには、自動調理動作の前に外部端末のアプリケーションを操作しなければならず、自動調理動作の実行中に加熱出力を変更できないという問題がある。
【0007】
また、上記特許文献2の加熱調理器では、自動調理動作の実行中にユーザが火力設定手段を操作すると、自動調理動作が中止されてユーザが手動操作で調理を続行することになる。このため、ユーザが加熱出力を過剰に変更してしまうと意図する調理が行えず、調理品の出来栄えがばらつき易い。さらに、一度、自動調理動作が中止された後にユーザが手動操作で適切に加熱出力を調整して良好な出来栄えの調理品を完成させたとして、その後に同じことを再現しようとしても、自動調理動作が中止された後にユーザが手動操作で加熱出力を同様に変更するための拠り所がユーザの前回の記憶しかないため、再現が難しい。
【0008】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、自動調理動作の実行中における加熱出力の変更を可能にしつつ、調理品の出来栄えのばらつきを抑制できる加熱調理器を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の加熱調理器は、被加熱物を加熱する加熱手段と、
前記加熱手段の加熱出力を制御する制御手段と、
前記加熱出力を変更するための入力操作を受ける入力手段と、を備え、
前記制御手段は、予め設定された調理シーケンスに基づいて少なくとも前記加熱出力を制御する自動調理動作を実行可能な加熱調理器であって、
前記調理シーケンスには、前記加熱出力の実行値と、前記加熱出力の上限値及び下限値の少なくとも一方によって決まる変更範囲と、が規定され、
前記制御手段は、前記自動調理動作の実行中に前記入力手段が前記入力操作を受けた場合、前記変更範囲内で前記加熱出力を変更するように構成され、
前記調理シーケンスは、それぞれ前記実行値と前記変更範囲とが規定された複数の調理ステップを有し、
前記調理シーケンスは、前記実行値が異なる前記調理ステップ同士の前記変更範囲の少なくとも一部が重複する構成を含んでいることを特徴とする。
【0010】
本発明の加熱調理器では、ユーザが自動調理動作の実行中に加熱出力を変更する場合、入力手段に対して入力操作を行うことにより、加熱出力の上限値及び下限値の少なくとも一方によって決まる変更範囲内で加熱出力を変更可能であり、自動調理動作を中止する必要がない。
【0011】
また、この加熱調理器では、自動調理動作の実行中における加熱出力の変更が変更範囲内に制限されることにより、ユーザが加熱出力を過剰に変更してしまうことを抑制できるので、意図する調理を行い易い。
【0012】
さらに、一度、自動調理動作の実行中にユーザが加熱出力を変更して良好な出来栄えの調理品を完成させたとして、その後に同じことを再現しようとする場合、ユーザが前回の記憶だけでなく、変更範囲の制限による過剰な変更の抑制を拠り所にできるので、再現し易い。
【0013】
したがって、本発明の加熱調理器では、自動調理動作の実行中における加熱出力の変更を可能にしつつ、調理品の出来栄えのばらつきを抑制できる。
【0014】
調理シーケンスは、それぞれ実行値と変更範囲とが規定された複数の調理ステップを有している。
【0015】
この構成により、調理シーケンスは、メニューに応じて、初期加熱、高温調理、低温調理、仕上げ等からなる複数の調理ステップを好適に設定できる。ここで、調理ステップにおける加熱出力の実行値が大きい場合、その実行値から過剰に増加させるように加熱出力を変更すると、焦げ等の加熱し過ぎの原因になり易い。また、調理ステップにおける加熱出力の実行値が小さい場合、その実行値から過剰に減少させるように加熱出力を変更すると、生焼け等の加熱不足の原因になり易い。この点、上記構成により、各調理ステップの調理目的に応じて加熱出力をきめ細やかに変更可能となる。その結果、加熱し過ぎや加熱不足を抑制でき、調理品の出来栄えのばらつきを一層抑制できる。
【0016】
本発明の加熱調理器は、報知を行う報知手段をさらに備えていることが望ましい。そして、制御手段は、変更範囲を超えて加熱出力を変更しようとする入力操作が入力手段に対してなされた場合、報知手段を制御して変更範囲を外れている旨の報知を行わせることが望ましい。
【0017】
この場合、ユーザが変更範囲を超える入力操作を行ったことを容易に認識できる。その結果、ユーザが変更の程度を小さくして入力操作をやり直すことができるので、利便性が向上する。
【0018】
本発明の加熱調理器は、調理シーケンスを記憶する記憶手段をさらに備えていることが望ましい。そして、制御手段は、自動調理動作の終了時に、実行した調理シーケンス中に加熱出力を変更した変更履歴があるか否かを判断し、変更履歴があると判断した場合、変更履歴に対応する調理シーケンスを記憶手段に記憶させるか否かの選択入力を受けることが望ましい。
【0019】
この場合、ユーザは、加熱出力の変更履歴があったときのみ、変更履歴に対応する調理シーケンスを記憶手段に記憶させるか否かを選択すればよい。このため、ユーザが判断する煩雑さを抑制できるので、利便性が向上する。さらに、一度、自動調理動作の実行中にユーザが加熱出力を変更して良好な出来栄えの調理品を完成させたとして、その後に同じことを再現しようとする場合、ユーザが前回の記憶に頼ることなく、記憶された調理シーケンスを利用することにより、容易に再現できる。
【0020】
制御手段は、変更履歴に対応する調理シーケンスを記憶手段に記憶させるときに、変更履歴の発生前と発生以降とに区分けして記憶させることが望ましい。
【0021】
この場合、変更履歴に対応する調理シーケンスを記憶手段に記憶させるときに、ユーザが調理シーケンスの途中で行った加熱出力の変更を好適に反映させることができる。その結果、変更履歴に対応する調理シーケンスを記憶手段から読み出して再度実行するときに、調理品の出来栄えのばらつきを一層抑制できる。
本発明の別の加熱調理器は、被加熱物を加熱する加熱手段と、
前記加熱手段の加熱出力を制御する制御手段と、
前記加熱出力を変更するための入力操作を受ける入力手段と、を備え、
前記制御手段は、予め設定された調理シーケンスに基づいて少なくとも前記加熱出力を制御する自動調理動作を実行可能な加熱調理器であって、
前記調理シーケンスには、前記加熱出力の実行値と、前記加熱出力の上限値及び下限値の少なくとも一方によって決まる変更範囲と、が規定され、
前記制御手段は、前記自動調理動作の実行中に前記入力手段が前記入力操作を受けた場合、前記変更範囲内で前記加熱出力を変更するように構成され、
前記調理シーケンスを記憶する記憶手段をさらに備え、
前記制御手段は、
前記自動調理動作の終了時に、実行した前記調理シーケンス中に前記加熱出力を変更した変更履歴があるか否かを判断し、
前記変更履歴があると判断した場合、前記変更履歴に対応する前記調理シーケンスを前記記憶手段に記憶させるか否かの選択入力を受け、
前記制御手段は、前記変更履歴に対応する前記調理シーケンスを前記記憶手段に記憶させるときに、前記変更履歴の発生前と発生以降とに区分けして記憶させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明の加熱調理器によれば、自動調理動作の実行中における加熱出力の変更を可能にしつつ、調理品の出来栄えのばらつきを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、実施例の加熱調理器の斜視図である。
【
図2】
図2は、実施例の加熱調理器のブロック図である。
【
図3】
図3は、自動調理動作プログラムのフローチャートである。
【
図4】
図4は、自動調理動作プログラムのフローチャートである。
【
図5】
図5は、調理シーケンスの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、変更履歴に対応する調理シーケンスの一例であって、変更履歴の発生前と発生以降とに区分けして記憶させる場合を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。
【0025】
(実施例)
図1に示すように、実施例の加熱調理器1は、本発明の加熱調理器の一例であり、台所等に設置される所謂ビルトイン式のガスコンロである。なお、
図1では、加熱調理器1の前面パネル8P側を前方と規定し、天板9側を上方と規定して、前後方向及び上下方向を表示する。また、前面パネル8Pに対面する状態で加熱調理器1を見たときに左に来る側を左方と規定して、左右方向を表示する。
【0026】
加熱調理器1は、調理器本体8及び天板9を備えている。調理器本体8は略箱状体であり、その前面に前面パネル8Pが配置されている。天板9は、調理器本体8の上面を覆うように配置された略矩形平板である。
【0027】
また、加熱調理器1は、
図2に示す制御手段20と、
図1及び
図2に示す燃焼部10、操作部30及び報知手段40とを有している。燃焼部10は、本発明の「加熱手段」の一例である。
【0028】
<制御手段>
図2に簡略して示すように、制御手段20は、CPU、ROM、RAM等を含んで構成された周知の制御回路である。制御手段20は、燃焼部10及び報知手段40を制御するとともに、操作部30がユーザから受ける操作の情報を取得する。
【0029】
また、制御手段20は、記憶手段21を含んでいる。記憶手段21は、
図3及び
図4に示す自動調理動作プログラムを含む各種の制御プログラムを記憶している。また、記憶手段21は、自動調理動作の対象となる複数のメニューに対応して予め設定された複数の調理シーケンス、例えば
図5に示す調理シーケンスを記憶している。
【0030】
後で詳しく説明するように、制御手段20は、ユーザが複数のメニューの中から1つを選択して自動調理動作を実行する操作を行ったときに、
図3及び
図4に示す自動調理動作プログラムを実行する。
【0031】
<燃焼部>
図1に示すように、燃焼部10は、天板9上に設けられた複数のガスバーナ11を有している。本実施例では、2つのガスバーナ11が天板9上の右部分と左部分とに設けられている。左右のガスバーナ11のそれぞれに付帯する部品等の構成は、同じである。
【0032】
天板9上には、ガスバーナ11を囲む五徳11Gが設けられている。五徳11Gには、鍋やフライパン等である調理容器5が載置される。調理容器5は、本発明の「被加熱物」の一例である。また、焼き網や焼き網に載置された被調理物等も、本発明の「被加熱物」に含まれる。
【0033】
ガスバーナ11の中央には、有蓋筒状の温度検知部11Dが上向きに突出するように設けられている。温度検知部11Dは、五徳11Gに載置された調理容器5に当接したときに、内蔵するサーミスタ等の温度センサによって調理容器5の底部の温度を検知する。
【0034】
ガスバーナ11の炎孔形成部の近傍には、点火プラグ11Eが設けられている。点火プラグ11Eは、
図2に示すイグナイタ11Hによって高電圧が印加されることにより、ガスバーナ11を点火する。
【0035】
ガスバーナ11の炎孔形成部の近傍における点火プラグ11Eから離れた位置には、炎検知部11Fが設けられている。炎検知部11Fは、熱電対の熱起電力に基づいて、ガスバーナ11の燃焼炎の有無を検知する。
【0036】
調理器本体8内には、
図2に示す燃料制御弁11Vが設けられている。燃料制御弁11Vは、ガスバーナ11の点火時に開いてガスバーナ11に燃料ガスを供給し、消火時に閉じる主弁や、ガスバーナ11の火力調整に応じて開度調整されて燃料ガスの供給量を調整する火力調整弁等の複数の制御弁が組み合わされてなる。
【0037】
点火プラグ11E、イグナイタ11H、燃料制御弁11V、温度検知部11D及び炎検知部11Fも、燃焼部10の一部を構成している。
【0038】
燃焼部10は、制御手段20に制御されて、ガスバーナ11、点火プラグ11E、イグナイタ11H、燃料制御弁11V、温度検知部11D及び炎検知部11Fが連携動作することによって、調理容器5を加熱し、調理容器5に収容され、又は載置された被調理物の調理を行う。この際、制御手段20は、ガスバーナ11の加熱出力を制御する。本実施例では、加熱出力は火力と同義である。
【0039】
また、燃焼部10は、
図1に示すように、調理器本体8の内部中央に設けられた加熱庫17を有している。前面パネル8Pの中央には、グリル扉17Mが配置されている。加熱庫17は、グリル扉17Mによって閉鎖されている。そして、グリル扉17Mを引く操作によって、
図1に二点鎖線で示すように、グリル扉17Mに連結されたグリルトレー17Tを加熱庫17から引き出すことが可能となっている。
【0040】
図示は省略するが、加熱庫17内には、複数のガスバーナと、ガスバーナを点火する点火プラグ及びイグナイタと、ガスバーナに燃料ガスを供給する燃料制御弁と、温度検知部と、炎検知部とが設けられており、これらも燃焼部10を構成している。
【0041】
加熱庫17は、グリルトレー17T上に載置された調理容器や、グリルトレー17T内の焼き網に載置された被調理物等をガス燃焼により加熱して、グリル調理やオーブン調理を行う。この際、制御手段20は、加熱庫17の加熱出力を制御する。
【0042】
<操作部>
操作部30は、加熱調理器1の電源のオン及びオフを切り替えるための電源スイッチ33を有している。電源スイッチ33は、前面パネル8Pにおけるグリル扉17Mよりも右方に位置する領域の右上部分に配置されている。
【0043】
また、操作部30は、左右のガスバーナ11及び加熱庫17のそれぞれについて、点火、消火及び加熱出力調整を操作するための3つの操作ダイヤル31を有している。操作ダイヤル31は、本発明の「入力手段」の一例である。
【0044】
左右のガスバーナ11用の2つの操作ダイヤル31は、前面パネル8Pにおけるグリル扉17Mよりも右方に位置する領域に配置されている。加熱庫17用の1つの操作ダイヤル31は、前面パネル8Pにおけるグリル扉17Mよりも左方に位置する領域に配置されている。
【0045】
ユーザが任意の操作ダイヤル31を押し込む点火操作を行うと、その情報が操作部30から制御手段20に伝達される。すると、制御手段20は燃焼部10を制御して、その操作ダイヤル31に対応するガスバーナ11又は加熱庫17を点火する。
【0046】
ユーザが点火操作を行った後に操作ダイヤル31を押し込まなくなると、操作ダイヤル31は前面パネル8Pから前方に突出した状態となる。
【0047】
操作ダイヤル31が突出した状態で、ユーザが希望する加熱出力の増加量に相当する回転角度で操作ダイヤル31を時計方向に回転させる加熱出力増加操作を行うと、その情報が操作部30から制御手段20に伝達される。すると、制御手段20は燃焼部10を制御して、その操作ダイヤル31に対応するガスバーナ11又は加熱庫17の加熱出力を増加させる。
【0048】
また、操作ダイヤル31が突出した状態で、ユーザが希望する加熱出力の減少量に相当する回転角度で操作ダイヤル31を反時計方向に回転させる加熱出力減少操作を行うと、その情報が操作部30から制御手段20に伝達される。すると、制御手段20は燃焼部10を制御して、その操作ダイヤル31に対応するガスバーナ11又は加熱庫17の加熱出力を減少させる。
【0049】
そして、ユーザが突出した状態の操作ダイヤル31を元の位置に押し込む消火操作を行うと、その情報が操作部30から制御手段20に伝達される。すると、制御手段20は燃焼部10を制御して、その操作ダイヤル31に対応するガスバーナ11又は加熱庫17を消火する。
【0050】
操作ダイヤル31に対する加熱出力増加操作及び加熱出力減少操作は、本発明の「加熱出力を変更するための入力操作」の一例である。なお、本実施例では、後述するように、自動調理動作の実行中に加熱出力増加操作又は加熱出力減少操作が行われた場合、制御手段20が条件付きで加熱出力を変更する。
【0051】
さらに、操作部30は、各種の設定や選択入力を行うための操作ボタン32A、32B、32Cを有している。操作部30は、前面パネル8Pにおけるグリル扉17Mよりも右方に位置する領域の右下部分に配置されている。
【0052】
例えば、ユーザが希望するメニューについて自動調理動作を実行する場合、操作ボタン32A~32Cを操作して複数のメニューの中から希望する1つを選択して自動調理動作の実行を指示する。また、操作ボタン32A~32Cは、後述するように、自動調理動作の終了時に、変更履歴に対応する調理シーケンスを記憶手段21に記憶させるか否かの選択入力を受ける。
【0053】
<報知手段>
図1及び
図2に示すように、報知手段40は、表示部41及び発音部42を有している。表示部41及び発音部42は、前面パネル8Pにおけるグリル扉17Mよりも右方に位置する領域の右下部分に操作ボタン32A~32Cと並んで配置されている。
【0054】
表示部41は、ガスバーナ11及び加熱庫17の作動状態、エラーの状態、各種の設定情報等を文字メッセージ等の表示によってユーザに報知する。発音部42は、ガスバーナ11及び加熱庫17の作動状態、エラーの状態、各種の設定情報等を音声メッセージ、ブザー音、メロディ音等によってユーザに報知する。
【0055】
<自動調理動作>
制御手段20は、ユーザが操作ボタン32A~32Cを操作して複数のメニューの中から希望する1つを選択して自動調理動作の実行を指示した場合、
図3及び
図4に示す自動調理動作プログラムを実行し、予め設定された調理シーケンスに基づいて加熱出力及び所要時間等を制御する自動調理動作を実行する。
【0056】
本実施例では、ガスバーナ11を用いて自動調理動作を実行する場合について説明する。なお、加熱庫17を用いて自動調理動作を実行する場合は同様であるのでその説明を省略する。
【0057】
調理シーケンスは、メニューに応じて、初期加熱、高温調理、低温調理、仕上げ等からなる複数の調理ステップを有している。そして、各調理ステップのそれぞれには、加熱出力の実行値と、加熱出力の上限値及び下限値の少なくとも一方によって決まる変更範囲と、が規定されている。
【0058】
本実施例では、選択されたメニューの自動調理動作が
図5に示す調理シーケンスに基づいて実行される場合について説明する。なお、
図5に示す調理シーケンスは、説明の簡略化のため、調理ステップの数を3つとして単純化している。
【0059】
図5に示す調理シーケンスの1番目(i=1)の調理ステップには、加熱出力の実行値E1(=5)と、加熱出力の上限値U1(=7)及び下限値L1(=3)によって決まる変更範囲C1と、が規定されている。
【0060】
図5に示す調理シーケンスの2番目(i=2)の調理ステップには、加熱出力の実行値E2(=10)と、加熱出力の上限値U2(=11)及び下限値L2(=7.5)によって決まる変更範囲C2と、が規定されている。
【0061】
図5に示す調理シーケンスの3番目(i=3)の調理ステップには、加熱出力の実行値E3(=3)と、加熱出力の上限値U3(=4)及び下限値L3(=2)によって決まる変更範囲C3と、が規定されている。
【0062】
制御手段20は、
図3及び
図4に示す自動調理動作プログラムを開始すると、初めに
図3に示すステップS101において、選択された調理シーケンスの情報を記憶手段21から取得する。
【0063】
本実施例では、制御手段20は、
図5に示す調理シーケンスについて、3つの調理ステップの所要時間や、各調理ステップの実行値E1、E2、E3及び変更範囲C1、C2、C3(上限値U1、U2、U3、下限値L1、L2、L3)等の情報を取得する。
【0064】
次に、制御手段20はステップS102に移行し、調理ステップのカウンタ変数iについて、i=1に設定する。
【0065】
次に、制御手段20はステップS103に移行し、燃焼部10を制御してガスバーナ11を点火し、
図5に示す調理シーケンスを開始する。
【0066】
次に、制御手段20はステップS104に移行し、i(=1)番目の調理ステップについて、所要時間、実行値E1、変更範囲C1(上限値U1、下限値L1)等の情報を取得する。
【0067】
次に、制御手段20はステップS105に移行し、ガスバーナ11の加熱出力が実行値E1となるように燃焼部10を制御する。
【0068】
次に、制御手段20はステップS106に移行し、i(=1)番目の調理ステップについて、所要時間の計時を開始する。
【0069】
次に、制御手段20はステップS111に移行し、操作ダイヤル31に対する加熱出力増加操作及び加熱出力減少操作がなされたか否かを判断する。ステップS111において「No」の場合、ステップS112に移行する。その一方、ステップS111において「Yes」の場合、ステップS113に移行する。
【0070】
ステップS111からステップS112に移行すると、制御手段20は、所要時間が経過したか否かを判断する。ステップS112において「No」の場合、ステップS111に戻る。その一方、ステップS112において「Yes」の場合、ステップS116に移行する。
【0071】
ステップS111からステップS113に移行すると、制御手段20は、加熱出力増加操作又は加熱出力減少操作が変更範囲を超えているか否かを判断する。
【0072】
ステップS113において「No」の場合、ステップS114に移行する。そして、制御手段20は、加熱出力増加操作又は加熱出力減少操作に応じて、変更範囲内で加熱出力を変更した後、ステップS111に戻る。
【0073】
例えば、1番目の調理ステップを実行中において、
図5に示すタイミングT1で加熱出力を実行値E1(=5)から「1」増加させる加熱出力増加操作が行われた場合、加熱出力増加操作が変更範囲C1の上限値U1(=7)を超えていない。このため、制御手段20は、
図5に二点鎖線で示すように、加熱出力を実行値E1(=5)から「6」に変更する。
【0074】
その一方、ステップS113において「Yes」の場合、ステップS115に移行する。そして、制御手段20は、加熱出力増加操作又は加熱出力減少操作が変更範囲を外れている旨を報知した後、ステップS111に戻る。
【0075】
例えば、1番目の調理ステップを実行中において、加熱出力増加操作又は加熱出力減少操作が変更範囲C1(上限値U1、下限値L1)を超えている場合、ステップS113において「Yes」となり、ステップS115に移行する。そして、制御手段20は報知手段40を制御して、表示部41に加熱出力増加操作又は加熱出力減少操作が変更範囲を外れている旨の文字メッセージやエラーコードを表示させたり、報知手段40の発音部42からその旨の音声メッセージや警告音を発音させたりする。その結果、ユーザが変更の程度を小さくして加熱出力増加操作又は加熱出力減少操作をやり直すことができる。
【0076】
遡って、ステップS112からステップS116に移行した場合、i番目の調理ステップが終わったことを意味する。制御手段20は、ステップS116において、次の調理ステップが無いか否かを判断する。
【0077】
次の調理ステップがある場合、ステップS116において「No」となってステップS117に移行する。
図5に示す調理シーケンスでは、1番目及び2番目の調理ステップが終わった場合、ステップS116において「No」となる。そして、制御手段20は、ステップS117においてカウンタ変数iに「1」を加算した後、ステップS104に戻って次の調理ステップを実行する。
【0078】
その一方、次の調理ステップが無い場合、ステップS116において「Yes」となってステップS118に移行する。
図5に示す調理シーケンスでは、3番目の調理ステップが終わった場合、ステップS116において「Yes」となる。そして、制御手段20は、ステップS118において燃焼部10を制御してガスバーナ11を消火し、
図5に示す調理シーケンスを終了した後、
図4に示すステップS121に移行する。
【0079】
なお、説明は簡略するが、制御手段20は、
図5に示す調理シーケンスの2番目の調理ステップの実行中に、ステップS111、S113、S114によって、変更範囲C2(上限値U2、下限値L2)を超えない加熱出力増加操作又は加熱出力減少操作に応じて、変更範囲C2内でガスバーナ11の加熱出力を変更する。また、制御手段20は、
図5に示す調理シーケンスの3番目の調理ステップの実行中に、ステップS111、S113、S114によって、変更範囲C3(上限値U3、下限値L3)を超えない加熱出力増加操作又は加熱出力減少操作に応じて、変更範囲C3内でガスバーナ11の加熱出力を変更する。
【0080】
図3に示すステップS118から
図4に示すステップS121に移行すると、制御手段20は、実行した調理シーケンス中に加熱出力の変更履歴が有るか否かを判断する。ステップS121において「No」の場合、自動調理動作プログラムを終了する。その一方、ステップS121において「Yes」の場合、ステップS122に移行する。本実施例では、
図5に示す調理シーケンスの1番目の調理ステップの実行中に、タイミングT1で変更履歴が発生しているので、ステップS121において「Yes」となる。
【0081】
ステップS121からステップS122に移行すると、制御手段20は報知手段40を制御して、変更履歴に対応する調理シーケンスを記憶手段21に記憶させるか否かをユーザに選択させるための報知を実行する。具体的には、その選択をユーザにさせるための文字メッセージを表示部41に表示させたり、その旨の音声メッセージを発音部42から発音させたりする。
【0082】
次に、制御手段20はステップS123に移行し、変更履歴に対応する調理シーケンスの記憶が選択されたか否かを判断する。ユーザが操作ボタン32A~32Cを操作して変更履歴に対応する調理シーケンスの記憶を選択しない入力を行った場合、ステップS123において「No」となり、自動調理動作プログラムを終了する。その一方、ユーザが操作ボタン32A~32Cを操作して変更履歴に対応する調理シーケンスを記憶手段21に記憶させる選択入力を行った場合、ステップS123において「Yes」となり、ステップS124に移行する。
【0083】
ステップS124に移行すると、制御手段20は、変更履歴に対応する調理シーケンスを変更履歴の発生前と発生以降とに区分けして記憶手段21に記憶させる。
【0084】
具体例としては、
図5に示す調理シーケンスでは、1番目の調理ステップの実行中に、タイミングT1で変更履歴が発生している。この変更履歴に対応する調理シーケンスは、図
6に示すように、変更履歴が発生したタイミングT1よりも前と、タイミングT1以降に区分けされ、調理ステップの数が4つに増加した上で、記憶手段21に記憶される。
【0085】
図
6に示す調理シーケンスの1番目の調理ステップの実行値E1A及び変更範囲C1A(上限値U1A、下限値L1A)は、
図5に示す調理シーケンスの1番目の調理ステップの実行値E1及び変更範囲C1(上限値U1、下限値L1)と同じである。
【0086】
図
6に示す調理シーケンスの2番目の調理ステップの実行値E2Aは、
図5に示す調理シーケンスのタイミングT1で変更された加熱出力である。その一方、図
6に示す調理シーケンスの2番目の調理ステップの変更範囲C2A(上限値U2A、下限値L2A)は、
図5に示す調理シーケンスの1番目の調理ステップの変更範囲C1(上限値U1、下限値L1)と同じである。
【0087】
図
6に示す調理シーケンスの1番目の調理ステップの所要時間と2番目の調理ステップの所要時間との合計は、
図5に示す調理シーケンスの1番目の調理ステップの所要時間と同じである。
【0088】
図
6に示す調理シーケンスの3番目の調理ステップの所要時間、実行値E3A及び変更範囲C3A(上限値U3A、下限値L3A)は、
図5に示す調理シーケンスの2番目の調理ステップの所要時間、実行値E2及び変更範囲C2(上限値U2、下限値L2)と同じである。
【0089】
図
6に示す調理シーケンスの4番目の調理ステップの所要時間、実行値E4A及び変更範囲C4A(上限値U4A、下限値L4A)は、
図5に示す調理シーケンスの3番目の調理ステップの所要時間、実行値E3及び変更範囲C3(上限値U3、下限値L3)と同じである。
【0090】
そして、制御手段20は、ステップS124を終えると、自動調理動作プログラムを終了する。
【0091】
<作用効果>
実施例の加熱調理器1の作用効果について、ユーザが
図5に示す調理シーケンスに基づいて自動調理動作を実行する場合を例に説明する。
図5に示す調理シーケンスとは異なる調理シーケンスであっても、加熱出力の実行値と、加熱出力の上限値及び下限値の少なくとも一方によって決まる変更範囲と、が規定された調理シーケンスであれば、作用効果は同様である。
【0092】
実施例の加熱調理器1では、ユーザが
図5に示す調理シーケンスに基づいて自動調理動作の実行中に加熱出力を変更する場合、操作ダイヤル31に対して加熱出力増加操作又は加熱出力減少操作を行う。
【0093】
ここで、1番目の調理ステップの実行中であれば、
図3に示すステップS111、S113、S114において、加熱出力の上限値U1及び下限値L1によって決まる変更範囲C1内で加熱出力を変更可能である。同様に、2番目の調理ステップの実行中であれば、変更範囲C2(上限値U2、下限値L2)内で加熱出力を変更可能である。3番目の調理ステップの実行中であれば、変更範囲C3(上限値U3、下限値L3)内で加熱出力を変更可能である。その結果、この加熱調理器1では、加熱出力を変更するために自動調理動作を中止する必要がない。
【0094】
また、この加熱調理器1では、自動調理動作の実行中における加熱出力の変更が1番目の調理ステップでは変更範囲C1内に制限され、2番目の調理ステップでは変更範囲C2内に制限され、3番目の調理ステップでは変更範囲C3内に制限される。これにより、ユーザが各調理ステップにおいて加熱出力を過剰に変更してしまうことを抑制できる。その結果、この加熱調理器1では、自動調理動作によって意図する調理を行い易い。
【0095】
さらに、一度、自動調理動作の実行中にユーザが加熱出力を変更して良好な出来栄えの調理品を完成させたとして、その後に同じことを再現しようとする場合、ユーザが前回の記憶だけでなく、変更範囲C1、C2、C3の制限による過剰な変更の抑制を拠り所にできるので、再現し易い。
【0096】
したがって、実施例の加熱調理器1では、自動調理動作の実行中における加熱出力の変更を可能にしつつ、調理品の出来栄えのばらつきを抑制できる。
【0097】
また、この加熱調理器1では、調理シーケンスが複数の調理ステップを有しているので、メニューに応じて、初期加熱、高温調理、低温調理、仕上げ等からなる複数の調理ステップを好適に設定できる。そして、
図5に示す調理シーケンスの実行値E1、E2、E3及び変更範囲C1、C2、C3のように、各調理ステップには、それぞれ実行値と変更範囲とが規定されている。ここで、
図5に示す調理シーケンスの2番目の調理ステップにおける加熱出力の実行値E2(=10)が大きいことから、その実行値E2から過剰に増加させるように加熱出力を変更すると、焦げ等の加熱し過ぎの原因になり易い。また、3番目の調理ステップにおける加熱出力の実行値E3(=3)が小さいことから、その実行値E3から過剰に減少させるように加熱出力を変更すると、生焼け等の加熱不足の原因になり易い。この点、上記構成により、各調理ステップの調理目的に応じて加熱出力をきめ細やかに変更できる。その結果、この加熱調理器1では、加熱し過ぎや加熱不足を抑制でき、調理品の出来栄えのばらつきを一層抑制できる。
【0098】
さらに、この加熱調理器1では、制御手段20は、
図3に示すステップS111、S113において、1番目の調理ステップで変更範囲C1を超えて加熱出力を変更しようとする加熱出力増加操作又は加熱出力減少操作が操作ダイヤル31に対してなされたと判断した場合、ステップS115に移行し、報知手段40を制御して変更範囲C1を外れている旨の報知を表示部41及び発音部42に行わせる。この構成により、ユーザは、変更範囲C1を超える加熱出力増加操作又は加熱出力減少操作を行ったことを容易に認識できる。2番目の調理ステップで変更範囲C2を超えて加熱出力を変更しようとする場合、及び3番目の調理ステップで変更範囲C3を超えて加熱出力を変更しようとする場合も同様である。その結果、ユーザが変更の程度を小さくして加熱出力増加操作又は加熱出力減少操作をやり直すことができるので、利便性が向上する。
【0099】
また、この加熱調理器1では、制御手段20は、
図4に示すステップS121において、自動調理動作の終了時に、実行した調理シーケンス中に加熱出力を変更した変更履歴があるか否かを判断する。そして、制御手段20は、変更履歴があると判断した場合、ステップS122、123に移行し、変更履歴に対応する調理シーケンスを記憶手段21に記憶させるか否かをユーザに選択させるための報知を実行し、ユーザから選択入力を受ける。この構成により、ユーザは、加熱出力の変更履歴があったときのみ、変更履歴に対応する調理シーケンスを記憶手段21に記憶させるか否かを選択すればよい。このため、ユーザが判断する煩雑さを抑制できるので、利便性が向上する。さらに、一度、自動調理動作の実行中にユーザが加熱出力を変更して良好な出来栄えの調理品を完成させたとして、その後に同じことを再現しようとする場合、ユーザが前回の記憶に頼ることなく、記憶された調理シーケンスを利用することにより、容易に再現できる。
【0100】
さらに、この加熱調理器1では、制御手段20は、
図4に示すステップS124において、変更履歴に対応する調理シーケンスを記憶手段21に記憶させるときに、変更履歴の発生前と発生以降とに区分けして記憶させる。具体的には、
図5に示す調理シーケンスにおいてタイミングT1で変更履歴が発生した場合、図
6に示すように、変更履歴に対応する調理シーケンスは、タイミングT1よりも前と、タイミングT1以降に区分けされ、調理ステップの数が4つに増加した上で、記憶手段21に記憶される。この構成により、変更履歴に対応する調理シーケンスを記憶手段21に記憶させるときに、ユーザが調理シーケンスの途中で行った加熱出力の変更を好適に反映させることができる。その結果、変更履歴に対応する調理シーケンスを記憶手段21から読み出して再度実行するときに、調理品の出来栄えのばらつきを一層抑制できる。
【0101】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0102】
実施例では、加熱調理器1に内蔵された記憶手段21が複数の調理シーケンスを記憶しているが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、加熱調理器は、インターネット上のクラウドサーバ等を外部記憶手段として使用し、その外部記憶手段に複数の調理シーケンスが記憶されていてもよい。そして、制御手段は、自動調理動作を実行するときに、選択された調理シーケンスの情報を外部記憶手段から取得してもよい。
【0103】
実施例では、調理シーケンスの変更範囲C1は、加熱出力の上限値U1及び下限値L1によって決まっており、変更範囲C2、C3も同様であるが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、調理シーケンスの変更範囲は、加熱出力の上限値のみによって決まってもよいし、加熱出力の下限値のみによって決まってよい。
【0104】
実施例では、制御手段20は、変更履歴に対応する調理シーケンスを記憶手段21に記憶させるときに、変更履歴の発生前と発生以降とに区分けして記憶させるが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、変更履歴に対応する調理シーケンスを記憶手段に記憶させるときに、変更履歴が発生した調理ステップの加熱出力の実行値について、その調理ステップの初めから変更履歴後の加熱出力の値に変更して記憶させてもよい。また、制御手段20は、自動調理動作中にユーザが任意の調理ステップの所要時間を変更する操作入力を受けて所要時間を変更可能であってもよい。そして、制御手段20は、所要時間を変更する履歴があった場合、その履歴を含む変更履歴に対応する調理シーケンスを記憶手段21に記憶させてもよい。
【0105】
実施例では、加熱手段がガス燃焼式の燃焼部10であるが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、加熱手段は、抵抗加熱や電磁誘導加熱等を利用した電気式でもよい。
【0106】
実施例では、入力手段が操作ダイヤル31であるが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、入力手段は、加熱出力を増加させる押しボタンと、加熱出力を減少させる押しボタンとを有し、各押しボタンを押す回数によって増減の程度を入力するようになってもよい。また、入力手段は、加熱出力がレベル1~NのN段階で増減可能であり、各段階に一対一で対応するN個の押しボタンが並んで設けられていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明は例えば、住宅や調理施設等に設置される加熱調理器に利用可能である。
【符号の説明】
【0108】
1…加熱調理器
5…被加熱物(調理容器)
10…加熱手段(燃焼部)
20…制御手段
31…入力手段(操作ダイヤル)
E1、E2、E3、E1A、E2A、E3A、E4A…加熱出力の実行値
U1、U2、U3、U1A、U2A、U3A、U4A…加熱出力の上限値
L1、L2、L3、L1A、L2A、L3A、L4A…加熱出力の下限値
C1、C2、C3、C1A、C2A、C3A、C4A…変更範囲
40…報知手段
21…記憶手段